運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-18 第15回国会 衆議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十八日(木曜日)     午後一時五十七分開議  出席委員    委員長 田嶋 好文君    理事 松岡 松平君 理事 小畑虎之助君    理事 石川金次郎君       相川 勝六君    佐治 誠吉君       花村 四郎君    福井 盛太君       星島 二郎君    松永  東君       清瀬 一郎君    後藤 義隆君       木下  郁君    田万 廣文君       多賀谷真稔君    木下 重範君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君  出席政府委員         検     事         (大臣官房調査         課長)     位野木益雄君         検     事         (大臣官房経理         部長)     天野 武一君  委員外出席者         検     事         (大臣官房人事         課長)     宮下 明義君         最高裁判所事務         総長      五鬼上堅磐君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      鈴木 忠一君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 十二月十八日  委員久野忠治君、佐治誠吉君及び風見章辞任  につき、その補欠として島村一郎君、大村清一  君及び木下重範君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員大村清一辞任につき、その補欠として佐  治誠吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  検察官俸給等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第二〇号)  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第二一号)     —————————————
  2. 田嶋好文

    田嶋委員長 これより会議を開きます。  検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、以上二案を一括議題といたします。  この際お諮りいたします。これら両案の審議中、最高裁判所長官またはその指定する代理人より本委員会において説明したいとの要求があります場合には、国会法第七十二条第二項の規定従つてこれを承認いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。それでは、ただいまより両案に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますから順次これを許します。福井盛太君。
  4. 福井盛太

    福井(盛)委員 私は根本の問題についてお尋ねしたいと思うのです。この裁判官報酬法案及び検察官俸給法案改正の率でございますが、これは一般政府職員給与増額率と同様であるのか、もしくは差異があるかということについて御説明を願いたいと思います。
  5. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 裁判官検察官俸給の今回の増加比率は、これに対応いたしまする一般政府職員俸給月額、これは同額のものがあるのでありますが、それの増加比率と同じであります。その割合は、裁判官検察官をわけて申し上げますと、裁判官につきましては二割一分八厘から三割八分、検察官につきましては三割三分から三割八分までの増加率なつております。
  6. 福井盛太

    福井(盛)委員 その率は、一般行政官の率より幾らか高いのですか。
  7. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 一般政府職員の全部を平均いたしますと、その増加比率は約二割ということになつております。従いまして、全部と比較いたしますとこちらの方が高いのでありますが、一般政府職員のうち比較的高等、と申しますか、上級の者と比較いたしますと同じ率ということになります。
  8. 福井盛太

    福井(盛)委員 なお一点、引続いて同じ問題で質問をしたいと思いますが、この両法案を通じまして今回の改正案によりますると、私どもの計算によると、増加率が上の方には三割七分五厘、下の方に割合に薄いような感じがするのであります。すなわち最高裁判所長官検事総長は三割七分五厘で、普通の判事検事は二割何分、三割強のように見えます。これは一般給与体系の上からどういうふうに理論づけることができるのか、それについての御説明を願いたいと思います。
  9. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、これは裁判官及び検察官報酬または俸給の問題に限定されないのでありまして、広く今度の政府職員のベース・アップ全体にわたる問題と申してさしつかえないと考えるのであります。要は公務員給与が、従来の生活給と申しますか、そういうものから責任給と申しますか、そういうふうなものへの推移の傾向が現われておると申していいのではないかと考えます。戦前に比較いたしますと、戦後の中級及び下級職員給与引上げ方が、上級のものに比較いたしまして従前相当高つたのであります。それを戦時、戦前状態に近づけつつあるという傾向にあるようであります。それで今回の裁判官検察官給与増額の率も、そういうふうな全般的な傾向に合せまして、今回の案のようにいたしたのであります。ただここでちよつと附言いたしておきたいのは、税金関係等を考えますと、ここに数年に現われているほど大きな実質上の差異はない、相当軽減されておるということであります。
  10. 福井盛太

    福井(盛)委員 いま一点、責任給与お話ちよつと出ましたが、責任給与でありまするから、精神的能力に関する評価というものも考えなければならぬですが、何か基準があるんですか、それともこれはまあ推定して勘案するものなんですか。
  11. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 的確な基準と申すものは、これは別にございません。ただこの程度の差が、戦前公務員給与の上下の差、民間の状態等を比較いたしまして相当じやないかと考えられたものがここに出たのであります。
  12. 福井盛太

    福井(盛)委員 よくわかりました。実はこの案を見ると、ただいま申しました通り、上に厚く、下に薄いという感じを与えるので、ある者などは私のところに尋ねに来られることがあるのであります。そこで私どもは、なるべくならば一般から見て——従来は大分狭められておつたが、だんだん離れて来たことは事実なんであります。しかし離れても、ただいまの御説明のごとく税金関係で実際はそれほど大きな問題ではないのでありますが、ただ一般にそういう感じを与えることはいかがかと思いますので、その根本的な御説明をお聞きして、なるべくそういうことができるならばということをお伺いしたのであります。私はこれで終ります。
  13. 木下重範

    木下(重)委員 両本案の、裁判官報酬に関する方では第九条、それから検察官俸給に関する方では第一条にある宿日直手当、これはちよつと意味がわからぬですが、どういう意味のものですか、まずどういう性質のものか御説明を願いたい。
  14. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 宿日直手当と一言にまとめて簡単に言つておりますが、わけますと宿直手当日直手当ということであります。一般職職員日直または宿直勤務に対しましては、従来超過勤務の一種として手当が支給されていたのであります。しかしこの方法は必ずしも実情に適していませんので、これにかわるものといたしまして、今回一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案におきまして、新たに宿日直手当制度を設けまして、宿日直勤務一回につき三百六十円を越えない範囲内の金額を支給することといたしておるのであります。裁判官及び検察官宿日直勤務に対しましては、従前超過勤務手当は支給されていなかつたのであります。それで今回一般職の方に宿日直手当制度はできましたけれども、これは裁判官及び検察官に対しては支給すべきものではなかろうというので、このような字句の改正をいたしたのであります。
  15. 木下重範

    木下(重)委員 それは今の説明でわかりましたが、私は本文を見まして奇異に感じたのですが、一般職職員給与に関する法律では超過勤務手当とか休日及び夜勤手当を支給しておるのに、裁判官及び検察官には支給しないというのはどういう理由ですか。何か根拠がありますか。
  16. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 裁判官及び検察官は、その職務性質から見まして、時間的に役所に長くいたからそれだけ勤務をよけいしたというふうに見ることは適当でないというふうなことから、また夜勤手当なんかも、これは一般職につきましては通常夜間勤務をすることを職務内容とする場合に、割増しの手当を与えようというのでありますが、これも裁判官及び検察官に対しては、職務性質上支給することは適当でないだろう、むしろこういうふうな手当的な要素も十分考慮して、本俸の中に繰入れて考えた方が適当ではないかということから、裁判官及び検察官報酬または俸給に関する現在の法律ができました当時から、裁判官及び検察官に対してはこの種の手当は別に与えないというふうな建前なつております。
  17. 木下重範

    木下(重)委員 ただいまの説明を聞きますと、仕事性質上時間が長くなるので、それに一々夜勤手当を払うということは適当でないというお話でしたが、これは弁護士の仕事に携わつてみるとよくわかりますが、およそ高等官——今は高等官という制度はありませんが、以前は高等官といつておりましたが、行政官と司法官の仕事性質についてわれわれは常に痛感しておつたのでありますが、検察官及び裁判官ほど、何と言いますか、精神的重労働に耐えている職務はないと思います。それで給与の面を見ましても、先ほど説明によりますと、二割増で一般官公吏に対する給与一つもかわつておりません。これに織り込んで支給すべきだという意見でありますが、別に織り込まれておらないのであります。それで宿直及び日直手当を、今まで支給しておつたものを削るということは、どうもわれわれは納得ができないのであります。むしろ今申しました面からして、何らかの方法で、ほかに全然収入の道がないのでありますから、その働きに対するだけの待遇のできる面があれば、出してやりたいという気持をわれわれは持つております。どうでありましようか。先ほど説明によれば、給与の面に繰入れて考えるべきであるということでありますが、実質的に給与の面に繰入れられておるかどうか。一般官公吏と全然相違がないのではないか、この点の御意見を承りたいと思います。
  18. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 まことに裁判官及び検察官に対して同情のあるお言葉でございまして、感謝にたえないのであります。この裁判官及び検察官報酬または俸給に関する法律ができました当時、御意見の、超過勤務手当あるいは夜勤手当等裁判官あるいは検察官に支給するかどうかというふうな点も、論議上つたのであります。いろいろ論議の末、裁判官及び検察官給与につきましては、こういうものを支給しない。そして大体この法律ができました当時の標準にいたしまして、一般行政官吏よりも約四割程度はよくするというふうな内容で、現在の俸給額の元の表ができたのであります。そ  の中には、これは数字的に、どの部分がどの割合で織り込まれておるということは、的確には出せないのでありますが、超勤なんかも支給されない、あるいは夜勤手当も支給されないという点が、十分加味されて決定された事情にあるのであります。その建前で現在まで進んで来たのであります。なお現在の建前がそれで十分であるかどうか、検討余地がないかどうかということは、これは決して再検討余地がないということは申し上げられないのでありまして、御意見の点なんかも十分しんしやくいたしまして、将来なお裁判官及び検察官俵給につきましては、その勤労に値するような待遇をするということについては、慎重に研究いたしたい、こういうふうに考えております。
  19. 木下重範

    木下(重)委員 これは多少政策面に関することに関連しますから、法務大臣がいらつしやれば都合がいいと思つたのでありますが、どなたか政府委員でわかる方から御説明願えればけつこうだと思います。ただいま私が質問いたしました、いわゆる検察官及び裁判官が、非常な劇務に耐えておる、さような状態からして、給与の面で一般給与との比較から見まして、先ほど法の制定当時の事情を話されておりましたが、実質においては非常に不公平だ。もむ少し優遇してやらなければ、体面の維持ができないのではないかということについて、政府委員の方はどう思われておりますか。それでちようど適当なところと思われておりますか。もう少しこれはふやさなければならないという見解を、実際の調査の結果、持たれておりますか、この点お答えを願いたいと思います。
  20. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 仰せの通り、現在の増酬または俸給が十分なものであるということは、絶対に言えないというふうに考えております。できる限り、財政事情というようなものが許す限り、待遇改善すべきものであると確信いたしております。ただ、財政事情あるいは他の行政職員等との均衡等について、いろいろな問題があるのであります。しかしながら、裁判官及び検察官職務性質から、十分これに値するような待遇改善につき、でき得る限り努力をいたしたい。事務当局といたしましても、十分な努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  21. 木下重範

    木下(重)委員 そうしますと、先ほどからの御趣旨でわかりましたが、将来相当これは改善をしてやりたいという気持があられることはわかつたのですが、その場合は給与の本給の面で考えられるという御意思なんですか。この手当という面は、一応削除されることになりますが、優遇の方法をどういう方法でやる御意思でしようか。その辺ひとつ具体的にお願いいたします。そうしないと、この法案に対するわれわれの見解がはつきりしませんから、どういう方法でやるか、明確にしていただきたいと思います。これは法務大臣に聞かなければ無理かもしれません。将来の政策に関連しますのでお答えができなければ、法務大臣がお見えになりましてからにいたします。
  22. 田嶋好文

    田嶋委員長 それでは国務大臣が出席されてからお聞き願うことにいたしましよう。
  23. 石川金次郎

    石川委員 お伺いいたしますが、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案で、その第十条の二でございます。「人事院は、管理又は監督地位にある職員の官職のうち人事院規則で指定するものに、ついてその特殊性に基き、第六条に規定する俸給表に掲げられている俸給額につき適正な特別調整額表を定めることができる。」と規定してあるのでありますが、これはどういう規定でありましようか。
  24. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の第十条の二に定められております「俸給特別調整額」これは一般職職員のうち、管理または監督地位にある職員に対して、その職務特殊性に基きまして、本来その者に支給されることになつておる俸給額について、本俸の二割五分の範囲内におきまして調整をして、それよりも多い金額を支給するということを内容といたしておるものであります。結局その職務特殊性に基いて、俸給について特別の調整がなされるということであります。そして実体におきましては、従前超過勤務手当、これにかわる性質を持つているものであります。すなわちこれらの管理または監督地位にある職員に対しましては、従前は正規の勤務時間以上に勤勤務いたしました場合には、超過勤務手当が支給されていたのでありますがこの制度はそういうふうな地位にある者に対しては、必ずしも実情に適しておるものではなかろうというので、それにかわるものとしてこの制度が設けられたものであります。
  25. 石川金次郎

    石川委員 御説明になりましたが、十条の二の制度は、裁判官並びに検事にはこれは適用すべきでないかと思われるようでありますが、適用せられないかどうかをお聞きしたい。
  26. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 この十条の特別調査制度は、ただいま申し上げましたように、従前超過勤務手当にかわるものとして支給される建前なつております。従いまして、従前超過勤務手当を支給されないことになつております裁判官または検察官に対しましては、さしあたりこの制度は適用しないというふうな建前なつております。
  27. 石川金次郎

    石川委員 もう一つお伺いいたしますが、管理または監督地位にある公務員というのは、具体的には課長とか部長、そういうことになりますか。
  28. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 現在まだ確定案ができていないようであります。今までいろいろ案が考えられておつたようでありますが、大体本省の課長級以上、地方では部長級以上というふうな線になるのではないかというふうに考えております。
  29. 石川金次郎

    石川委員 それらの人々が定まつた俸給額より二割五分増額してもらうことになりますと、従来その人たちのとつてつた夜勤手当超過勤務手当というものは、それに匹敵しておつたのでありますか。
  30. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 従前予算を見ますと、超過勤務手当は大体本俸の十三、四パーセントというふうな数字が出ているようであります。しかしその給与の実態につきましては、詳細は調査してもなかなかわからないのであります。具体的な程度、こういうものに対してはこの程度与えられておるというようなことは、お答えできないのでありますが、平均いたしましては、十三、四パーセントになる。今度の調整額もその予算範囲内で行うということになつております。
  31. 石川金次郎

    石川委員 二割五分になりますと二五%であります。従来十黒、四パーセントといえば、いくらか給料が実質的には上つたということでございましようか。上つたということになりますならば、裁判官及び検事の方にも上げて来るのが当然ではないかということになりはしませんか。
  32. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 これはそういうようなことにはならないと思うのであります。というのは、二割五分は最大限でありまして、職務性質によりまして、非常に忙しくて、しかも責任の重い職務もある。それにつきましては、従前も二割五分程度、あるいはもつとたくさんの超過勤務手当をもらつてつた人も現にあるわけであります。しかし少い人はもつとうんと少い。一割にも満たないという人、これまた非常に多い。一律にはこれは申せないのでありまして、二割五分は最大限度を定めたのでありますから、その数字からは必ずしも結論は出て来ないというふうに考えております。
  33. 石川金次郎

    石川委員 実質的なことはわかりましたが、条文の上から参りますと、管理または監督地位にあつて「その特殊性に基き、」こう言つておるのでありますから、裁判官及び検事はその特殊性に基き、やはり一般公務員が受くべき従来のそういう利益を受けるのが当然かと思われます。その判事とか検事特殊性にかんがみまして、十条を適用する必要がなかつたのか、ないとごらんになつたのか。
  34. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 裁判官検察官につきましても、管理または監督地位にある職員、そういうものもあるという見方は、十分にできるのでありまして、この制度裁判官検察官に適用するという余地はあると、考えるのであります。ただ現在の建前といたしましては、超過勤務手当にかわるものとして、その予算範囲内においてこれを支給するという建前なつておりますので、従来超過勤務手当を支給されない建前なつておる、すなわち本俸の中にすでに織り込まれておるというふうな建前なつておる裁判官たちに対しましては、これを支給しないということに考えておるのであります。
  35. 石川金次郎

    石川委員 なるほど従来の裁判官及び検事報酬俸給の中にそれらの手当が入つておるという御説明でありますが、私どもの知つておる限りにおいては、裁判官報酬をこしらえますときは、裁判官が今度の新しい国家の任務というものを考え、そうして裁判官の職責の正常であることを願うために、すべての行政官以上に、国務大臣と同一の報酬という制度を確立したいものであるという意味で、裁判官報酬というものが成立したかに私は記憶しておるのであります。ところがその後次第に、他の方々が上ることはけつこうでありますが、だんだん接近して来まして、当初考えましたこととは違つて来ておる。ことに今度の十条の二が入つて来ますと、行政官は二割五分も実質において増給である。そうするとほとんど接近して参るようなかつこうでありまして、裁判官報酬という法律をこしらえましたときの趣旨と、少し遠のいて来やしないかと思うのであります。私は裁判官にも検事にも、この十条の二の特別調整額が支給せられるように御配慮になつた方がいいのではないかと思います。これを私は申し上げて、質問を終ります。
  36. 後藤義隆

    後藤委員 ちよつとこの機会に関連事項ですが、お尋ねいたしたいのは、最高裁判所に非常に民事並びに刑事事件が係属しておるらしいのですが、現在最高裁判所刑事事件で何件くらい、民事事件で何件くらい係属しておるか、そうしてそれが長いのになると数年前から係属しておるというようなうわさも聞いておるのでありますが、そういうような状態にはたしてあるのかどうかというふうなことをお伺いしたいのであります。それからそういう事件に対して、今後現在の裁判官の数でもつてはたして処理ができ得るかどうか、一体どうしてこれを迅速に処理をして行くかというようなことについて伺いたいと思います。
  37. 五鬼上堅磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 私から御説明申し上げます。御質問の御趣旨は、最高裁判所事件が相当たくさんある。これは新聞にも載つたことであります。ただいま大体民刑合せまして、最高裁判所に係属しておる事件が大体六千九百件——新聞では七千件と出ておりますが、大体七千件を割つた六千九百件で、こまかい数字のはつきりしたのは今手元にありませんが、大体民事事件が千五百件ぐらい、刑事事件が五千四、五百件という程度事件が係属しております。これは実は大審院年間平均を見てみますと、大体六千件ぐらいであります。その当時の大審院判事の数は四十人ないし四十五人、今日は御承知の通り十五名の裁判官がおつて処理しておる。従つてそういう点からも、またいろいろその他の原因もありまして、今日大体七千件近い事件最高裁判所に持越しになつている。しかもわずかではありますけれども、大体二十四年当時の事件がある。これは非常に問題があつてつておる事件がおもなものでありますが、数においてはきわめてわずかであります。二十五年、二十六年、二十七年の事件がただいま約六千九百件ぐらいある。これだけでございます。従いまして、いろいろな点からこの事件を何とかして一掃しなければならないというので、実は昨年の十月ごろから最高裁判所許訟促進に関していろいろの協議をいたしまして、大体この事件見通しから行きますと、昨二十六年度においては約一万件の事件が参つておりまして、昨年処理したのが約六千件あまり、六千五百件ぐらいだと思います。この二十六年度の事件の内訳は、民事が千二百件、刑事が八千八百件、本年度の大体は、これは推定件数になりますけれども、約九千五百件ぐらいはあつたのじやないか。大体民事千七百件、刑事約七千六百件、ところが一般下級裁判所刑事民事事件をながめてみますと、大体二十年を境としてだんだん新受事件が減りつつある。これにかわつて民事事件が多少ふえておるような状態であります。従つて最高裁判所といたしましても、いろいろ内部的に事務処理方法について考究いたしまして、最近では各小法廷から委員を出していただいて、委員会においていろいろ処理方法を協議する、あるいは調査客の数を増すとか、あるいは最高裁判所事務総局における事務官で書記官の仕事ができる者をほとんど全部その方の応援にまわして、そうして事務的には処理をいたしております。しかしながら最近においては、二十七年の一月から事件処理は大体黒字で、新受事件が、刑事が五百件程度で、多いときには既済が二、三百件から八百件の黒字を出しております。しかしここにとにかく七千件という事件を抱えておりますので、そう簡単にすぐにははけて行かないと思いますけれども、われわれの見通しではこの十一月、十二月中には千件くらい既済になるじやないか。新受事件が民刑合せて五、六百件という状況でありまして、見通しはそう暗くないじやないか、かように考ております。しかしながらここで鶴ではいろいろな問題がありまして、あるいは上告部の設置とか、あるいは上告をするためにどこかに審査部を置くとかいうようなことが叫ばれております。あるいは最高裁判所判事を増員したらいいじやないかというようなことも言われているようであるし、あるいは東京高等裁判所に上告をするようにしたらいいじやないかというようなことが問題になつているのでありまして、最高裁判所としてもこれに対してはいろいろ考究いたしておりますけれども、何を申しましても、非常に刑事事件が多いというのは、これは異常の状態であることは申すまでもないことであります。特に占領政策違反とか、あるいは統制事件の違反という事件が相当たくさんありまして、刑事事件が六千件も七千件もたまるようになつたのであります。それで大体下級裁判所移しの刑事事件が減りつつあり、既済が上まわりつつある今日におきまして、内部的にいろいろ努力してやつて行けば行けるじやないかというようなことで、われわれの方といたしましても、これはまだ実現いたしておりませんが、二十八年の一月から、たとえば司法行政事務を裁判所が持つておりますが、その最高裁判所裁判官会議というものも、大体週一回ずつ開いておつたのを月一回くらいにして、必要の場合には委員というようなものを設けて、長官とその三人くらいの委員処理して行けるような方法にしよう。これはまだ私の方としては最高裁判所裁判官会議を通つたものではございませんが、われわれとしては二十八年一月から実施するのにはさような点を考えて行かなければなりません。その他いろいろ小法廷の人数の問題で、ごく簡単な事件をやる法廷は、たとえば三人でも構成できるじやないかというようなことをして、あらゆる努力を払つて訴訟の遅延を片づけて行きたい、かように考えておる次第であります。大体率直に申し上げまして以上のようなわけであります。
  38. 清瀬一郎

    ○清瀬委員 そのことは私は平素からたいへん心配しておることであります。今おつしやつた少しくらいの促進でこの問題は解決しないと思う。わが国の裁判制度の根本に何か欠陥がありはせぬか。近時少し減つたとおつしやいますけれども、それは上告受理の条件を非常に厳重にしたのです。ことに民事上告は別の臨時法をつくつて非常に制限しておりますし、刑事の方も刑事訴訟法四百五条というので非常に制限されておる。これがために被告の身になつてみると、非常に不平があつても上告ができない。その門をくぐつてようやくできたものが一年に一万件で、そのうち六千件近くが、裁判になるというのですからだんだんたまつて行くばかりです。これはつつ込んで行くと、わが国の憲法にも無理がある。しかし裁判所に関する憲法の規定改正することは非常に大騒動になりますが、そうでなくても、裁判法というものを根本的に——最高裁判所内部でちよちよい御相談なさるといつたようなことではなく、国会の議員も寄せて、一ぺんわが国の司法制度の再検討をする時期に達しておるのではないか。今は裁判官の月給のことについて問題が出ておるときでありますから、そういうことを条件にしてどうなるという考えを私は持つておりませんけれども、これは単に数字の問題だけじやありませんから、十分に御検討願いたいと思います。本日大臣が見えておりませんから、大臣には別の機会に申し上げたいと思います。
  39. 田嶋好文

    田嶋委員長 私からもちよつとお尋ねしますが、立法措置というようなものは裁判所は全然考えてないのでございますか、ここまで声が上つて来ると、あなたの方も黙つていちやいかぬと思います。
  40. 五鬼上堅磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 清瀬委員及び委員長からのお話でありますが、むろん日本の司法制度についてはいろいろ考慮することがございます。これらの点は、政府の方においてもいろいろ法制審議会というような方面において、民事訴訟法、刑事訴訟法の改正と相まつて考えておられるのじやないか、かように思います。裁判所の方といたしましては、何分にも現在与えられた事件について一応は処理して行かなければならない。しかしながら裁判所の機構の問題については、やはり裁判所としても内部的には検討いたしておるのであります。しかし何といつても、独立して一年たたぬ際においてすぐこの制度をどうかえるかということの結論はなかなか出て参らないのであります。先ほど清瀬委員から、一万件来て六千件しか処理しないのじや四千件残つて来るじやないかというお話がございましたが、数字の上から申しますと、一万件は二十六年度の最高であつて、二十七年度は大体既済、未済とんとんじやないか、かように見ておる次第であります。機構の問題その他については、裁判所は裁判所自体でいろいろ自分のことですから考えなくてはならないことでありますが、しかしながら根本的には国会あるいは政府の方においてもお考えを願わなければならぬということになるのではないかと思います。
  41. 田嶋好文

    田嶋委員長 これは私たち考えてみましても、どうも裁判所は少し眠つているんじやないかというような気がします。法務省というものは国会とつながりがあるものですから、国会からぎゆうぎゆう言われる、また国会自体も進んでやることがあるのですが、裁判所に対しては国会自体も尊敬の念というか遠慮ということもありまして、あまりタッチしないのですが、ここらあたりは裁判所自体みずからそれを反省しながら、大いに積極的な活動を開始しないことには、ただ裁判するだけが裁判所の務めだというわけには行くまい。ここまで輿論が来れば納まらないのじやないかと思います。ほんとうは事務総長にここへ来てもらうだけではぴんとしないので、最高裁判所の長官なり判事なりがこの委員会に出て来て、傍聴することはさしつかえないと思いますから、ある程度傍聴してもらいたいと思います。一度委員会を開いてみたいという気持もありますが、ただいま判事がここへ出ることはできませんので、あなたから判事が傍聴をするようなとりはからいをしてください。大いに委員会でつるし上げてみましよう。
  42. 木下重範

    木下(重)委員 幸い法務大臣が参りましたから、さつきからの関連事項ちよつとお尋ねします。今回両法案が提出されましたが、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案第九条、検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案第一条の宿直日直手当の削減であります。この本質はわかりましたが、これを何の理由で削減するかということにつきまして、関連して今まで政府委員に御質問申し上げたのであります。従来裁判官並びに検察官仕事は精神的に過重であつて、しかも時間的にも御承知の通り長時間仕事に当つておる。一般職員に対しましては、超過勤務手当とか夜勤手当とか休日の給与とか、こういうふうなものがあるのですが、これを削られてしまつて、さらにこのたび宿直手当日直手当を削ろうというのは、現段階における社会治安の面から見まして、まさに逆行しておるのではないかという考え方を持つておるわけであります。そこで仕事の面を一般官公吏と比べて見ますと、裁判官一つもかわつておらない。むしろ従来の行政官と違つて、司法官がいかに仕事内容において過重であるかということについては、これは皆様異論のないところであります。私の方ではもう少し優遇してやつて、そうして一生懸命に働いてもらわなければ社会治安の確立は困難だというふうにまで考えております。それに対しまして政府委員は、将来改善の道は講じたいと考えておるんだというお話であります。しからば手当関係を全部削除してしまうということになりますと、将来これを改善するとすれば、俸給の面でこれを増額してやられるかどうか、その点について御意見を伺いたいのであります。
  43. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。ただいまの御質問は、法務省としては非常にありがたい御同情のある御質問でございまして、まさにその通りでございます。仰せのように職務性質上、精神、肉体ともに非常に過労でありまして、私も就任以来そのことで悩んでおります。私は本日遅れましたのもその問題をやつてつたのであります。職務性質上、時間が来ても家へ帰ることができない。非常な責任感を持つて調べておる。あるいはその人の一生にさわることでありますので、何時間もかかる。その上こう申すと、ほかの省の官吏の方も御同様であるという御議論が出るかと思いますが、ことに法務関係の官吏は、私生活において毅然とした態度がとり得る背後の安心がなくてはなりません。いやしくも副収入などが絶対あつてはならぬ。裁判官検察官俸給一般官吏よりも従来多いというのは、そういうことを意味していたものと私存じておるのであります。ところが問題は、これは大蔵省といつも掛合いになるのであります。どうもただいまの超過勤務手当とかその他の手当本俸増加といつもからみまして、非常に折衝が複雑になるのは、これは御承知の通りであります。将来本給以外の手当を絶対に要求しないならば、本俸増加も考える、こういうような二つの課題がいつもはさみ撃ちみたいになつて、大蔵当局とも折衝いたすことになるわけであります。その点は誠心誠意、裁判官検察官職務がいかに過労であるか、またほかの官吏の方も毅然としておいでになることはもちろんでありますが、特に毅然とする必要のある性質のものだということをかけひきなしに説明して了解を得たい、こういう態度をとろうと、この二、三日会議をしておるのであります。それは折衝にまつわけでありますが、法務当局といたしましては、やはり職責の性質上、本俸一般官吏より増していただけることが一番望ましい、こういうふうに考えております。非常に御同情のある御質問を感謝いたします。
  44. 木下重範

    木下(重)委員 御同情あるお言葉をいただいたのでわれわれ非常に満足したのでありますが、現段階におきましては、いまだ改善については具体的な結論というものが出ておらないのであります。しからばせつかく幾らかでも補いのつけられるところの宿直手当日直手当、これをいまさら今日の段階になつて削ろうという意味はわからぬのでありますが、これは削ることになるのですか。
  45. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 その点は、私の御説明があるいは不十分であつたかと思いますが、従前支給していなかつたものを今度支給するようにするというものではございません。従前一般職職員についても宿日直手当という制度はなかつたのであります。今度新らしく宿日直手当一般職の方に支給することにしたのでありますが、これは従前支給されておつた超過勤務手当にかわるものとして支給されることになつたのでありまして、実態は超過勤務手当を定型化したというふうなものであります。ところが裁判官検察官に対しましては、超過勤務手当は、本俸の中に繰入れられておる従前建前から支給されていないのであります。でありますから、今度の宿日直手当裁判官検察官に対しては支給しないという建前にいたしましたので、その旨をここに掲げたのであります。
  46. 木下重範

    木下(重)委員 御趣旨はよくわかりました。そうしますと、一般職官公吏に対しては、超過勤務手当にかわるものとして宿直日直手当をやるようになつたから、結局、あたりまえであれば、やはり裁判官及び検察官にもやらなければならぬ。しかしながら仕事性質上ほかの官公吏と違うから、これだけはやらないようにしたい、こういう趣旨でしよう。
  47. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 それはやや違うのです。宿日直手当超過勤務手当にかわるものとして新しく一般職に支給されるものであります。裁判官検察官に対しては、超過勤務手当は支給されない建前であるのです。ですから、この実態の同じ宿日直手当を支給することは不適当だということになるのです。前の建前とはかわらない。新たに不利にするという建前ではなくて、前の建前を堅持しておく、そのままにしておくという意味であります。
  48. 木下重範

    木下(重)委員 説明はよくわかりました。本年の裁判官及び検察官に対しまする給与をきめます際の原則に基いて従来はやらぬようにしているから、これもやらぬようにする趣旨だというのですね。わくわかりました。そこで、さつき私は法務大臣のお言葉をいただいたのですが、もうすでに司法官あたりは、普通の一般官公吏よりもむしろ逆に不利益な立場に置かれている。こうした面についても考えられて、体面維持のできるように、今後十分に御考慮願いたいと思います。  そこで一点関連してお尋ねいたしたい意いますが、従来われわれが聞くところによりますと、また実際われわれも調べたのですが、予算についての正当な主張であり要求であるにもかかわらず、司法部がいつも押えられて削られて、その正当な意見が通らない。そのために仕事の面におきましても非常にきゆうくつで、何かと運用に困つておるということをよく耳にするのであります。現に一例といたしまして、私小倉でありますが、小倉の裁判所の庁舎が非常に朽廃しておるからといつて、かねてから早く新築せねばならぬということで、幸い昨年七億の予算をいただきまして、三年継続事業で着手したのであります。ところが、今年の春から全然工事が進んでおらない。これはいろいろな事情もありますのでしようが、経理局長に会つてみますと、前にはそういう予算をもらつたけれども、今年はずいぶん削減されて、三千万円限度しか今年は金が出ぬというわけです。当初にきめられてとられた予算が次年度にまた削られるというようなだらしないことでは、こういう建物にいたしましてもそうでありますが、司法のすべての運用について何らか支障が来るんじやないかと思います。で司法部の予算につきましては、どうしてもいただかなければならぬ正しい予算は、法務大臣はどこまでも大蔵省に強硬に当つてつていただく、というのもはなはだ失礼なお尋ねと存じますけれども、今後の司法部のそうした面に対する予算獲得についての御方途を伺いたいと思います。
  49. 犬養健

    犬養国務大臣 ごもつともでございます。私もむだなことを大蔵当局に掛け合つて、そうして断わられてももともとだという態度はとらないのであります。節約すべきところは大蔵省の査定通りにやる。どうしてもいるものはどんなに食い下つても、というのも変な言葉ですが、そういうようにして理解をしてもらうという態度をとつておりまして、現に御承知と思いますが、補正予算で報償費を千五百万円大蔵省からもらつたのですが、これは両三年どうしても十分にもらえなかつた費用であります。私は今までの捜査、ことに著名な人物が地下に消えたまま手もつかないというようなおしかりが国会でもございますので、報償費という大蔵省で一番実体のつかみにくい、従つてなかなか承知してくれない費用なのでありますが、検察当局の苦衷を説明いたしまして、打明けて申し上げれば経理部が予期していたよりも五、六割多い予算がとれた。これは今度の大蔵大臣がなかなかそういうことはよくわかる人でありまして、今後ともそういうふうな調子で行きたいと考えております。  裁判所の建物のお話でございますが、これはよく調べますが、一般論として、私これは就任前に一国会議員として耳に入つたのですが、従来裁判所の建物がぜいたく過ぎるというような批評が一時起りまして、今大蔵省は裁判所の建物に対して経費を出すことについて反動期に入つているように思うのでありますが、しかし必要なものを途中で打切られるということは、これまた行き過ぎだと思いますので、さつそく今日調べまして善処いたしたいと思います。
  50. 田万廣文

    ○田万委員 私木下さんから御質問があつた点に関連してお尋ねいたしたいのですが、超勤を改めて宿直日直手当にしたというのですが、これは大体名前だけわかつたのでなくして、実質的に大きなプラスがあるわけでしようか。
  51. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 その点は、実質的にはむしろ不利になつたと申しますか、そういう見方もできるのであります。超過勤務手当として支給されますと、法律的には相当金額がかさむのであります。で実際におきましては予算がございませんので、定額で打切つて支給しておつたという実態であつたのであります。それを今度制度的に定額として支給し得るように宿日直手当という制度を設けたのでありまして、これによりまして実質的に手当の額がふえたということは言えないようであります。
  52. 田万廣文

    ○田万委員 先ほど清瀬さんからも御質問ございましたが、裁判の渋滞の問題に関連してお尋ねしたいと思うのです。戦後の事件の膨脹によりまして、非常に裁判所がお困りになつた結果、簡易裁判所の判事を、古い裁判所の書記から採用してやつていらつしやる事実があるのですが、非常に判決が粗雑だというようなそしりも、ある面においてあるのですが、そういう不満足な判決、裁判の権威が失墜するような裁判が行われた。従つてそういうことからだんだん控訴、上告というふうに移つて参る可能性があるのですが、こういう点に対しては、簡易裁判所の判事を、適当な時期に有資格者でもつて充填して、ほんとうの裁判らしい裁判をやるというふうな構想をお持ちになつておいでかどうか、これをひとつ裁判所側から伺いたい。
  53. 鈴木忠一

    ○鈴木最高裁判所説明員 簡易裁判所の判事の素質の問題と伺つたのでありますが、ただいま御質問のような、つまり裁判所に長く、ことに書記課において長く実務をとつてつた者を、簡易裁判所の判事に特別に任命している現状で、そのために今おつしやられたような御不満が生ずるかと思います。しかしこれはそういう不満の声をときどき耳にいたしますものですから、二年ばかり前からはその選考についてはきわめて厳重に細心の注意をもつてつており、その試験の程度は司法官補の試験程度の試験を実施しておつて、たとえば今年などの例を申し上げますと、七十名からの志願者があり、約六十名ばかりが実際は受けましたけれども、その中で及第さしたのは十三名くらいの状態なつております。そしてそういう特別な選考を受けた者に対しましては、高等裁判所において年に随時回数を定めまして研修を施し、それから中央の東京に集めまして研修所に一箇月程度の期間入れて、そこで理論的な方面の研修をもさせているわけであります。例外的にはおつしやられたような不都合な判決をいたす面もないとは保証いたしかねますけれども、現在は最初のスタートのときに比べると素質が相当よくなつているのではないかと思つております。  それから簡易裁判所の判事の中には今御質問になつたよう判事だけではなく、すでに六十五の停年が来たので裁判官をやめて、あとの五年間を簡易裁判所の判事なつてやつてもらうというような、きわめて老練な人もありますし、それから……。
  54. 田嶋好文

    田嶋委員長 ちよつと途中ですが、答弁をあとにしまして、今記名投票の採決がありますので……。  それでは、他に質疑はありませんか——他に質疑はないようでありますから、両案に対する質疑はこれで終了いたしました。  お諮りいたします。別に討論の通告がないようでありますから討論を省略し、ただちに採決を行うことにいたしますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認め、ただちに採決いたします。検査官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  56. 田嶋好文

    田嶋委員長 起立総員。よつて両案はいずれも可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま可決いたしました両案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いとうございますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認め、さようとりはからうことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時六分散会