○五鬼上
最高裁判所説明員 私から御
説明申し上げます。御
質問の御
趣旨は、
最高裁判所の
事件が相当たくさんある。これは
新聞にも載
つたことであります。ただいま大体民刑合せまして、
最高裁判所に係属しておる
事件が大体六千九百件
——新聞では七千件と出ておりますが、大体七千件を割
つた六千九百件で、こまかい
数字のはつきりしたのは今手元にありませんが、大体
民事事件が千五百件ぐらい、
刑事事件が五千四、五百件という
程度の
事件が係属しております。これは実は
大審院の
年間平均を見てみますと、大体六千件ぐらいであります。その当時の
大審院の
判事の数は四十人ないし四十五人、今日は御承知の
通り十五名の
裁判官がお
つて処理しておる。
従つてそういう点からも、またいろいろその他の原因もありまして、今日大体七千件近い
事件が
最高裁判所に持越しに
なつている。しかもわずかではありますけれ
ども、大体二十四年当時の
事件がある。これは非常に問題があ
つて残
つておる
事件がおもなものでありますが、数においてはきわめてわずかであります。二十五年、二十六年、二十七年の
事件がただいま約六千九百件ぐらいある。これだけでございます。従いまして、いろいろな点からこの
事件を何とかして一掃しなければならないというので、実は昨年の十月ごろから
最高裁判所の
許訟促進に関していろいろの協議をいたしまして、大体この
事件の
見通しから行きますと、昨二十六年度においては約一万件の
事件が参
つておりまして、昨年
処理したのが約六千件あまり、六千五百件ぐらいだと思います。この二十六年度の
事件の内訳は、
民事が千二百件、
刑事が八千八百件、本年度の大体は、これは
推定件数になりますけれ
ども、約九千五百件ぐらいはあ
つたのじやないか。大体
民事千七百件、
刑事約七千六百件、ところが
一般の
下級裁判所の
刑事、
民事事件をながめてみますと、大体二十年を境としてだんだん新
受事件が減りつつある。これにかわ
つて民事事件が多少ふえておるような
状態であります。
従つて最高裁判所といたしましても、いろいろ内部的に
事務の
処理方法について考究いたしまして、最近では各小法廷から
委員を出していただいて、
委員会においていろいろ
処理方法を協議する、あるいは
調査客の数を増すとか、あるいは
最高裁判所の
事務総局における
事務官で書記官の
仕事ができる者をほとんど全部その方の応援にまわして、そうして
事務的には
処理をいたしております。しかしながら最近においては、二十七年の一月から
事件の
処理は大体
黒字で、新
受事件が、
刑事が五百件
程度で、多いときには
既済が二、三百件から八百件の
黒字を出しております。しかしここにとにかく七千件という
事件を抱えておりますので、そう簡単にすぐにははけて行かないと思いますけれ
ども、われわれの
見通しではこの十一月、十二月中には千件くらい
既済になるじやないか。新
受事件が民刑合せて五、六百件という状況でありまして、
見通しはそう暗くないじやないか、かように考ております。しかしながらここで鶴ではいろいろな問題がありまして、あるいは上告部の設置とか、あるいは上告をするためにどこかに審査部を置くとかいうようなことが叫ばれております。あるいは
最高裁判所の
判事を増員したらいいじやないかというようなことも言われているようであるし、あるいは東京高等裁判所に上告をするようにしたらいいじやないかというようなことが問題に
なつているのでありまして、
最高裁判所としてもこれに対してはいろいろ考究いたしておりますけれ
ども、何を申しましても、非常に
刑事事件が多いというのは、これは異常の
状態であることは申すまでもないことであります。特に占領
政策違反とか、あるいは統制
事件の違反という
事件が相当たくさんありまして、
刑事事件が六千件も七千件もたまるようにな
つたのであります。それで大体
下級裁判所移しの
刑事事件が減りつつあり、
既済が上まわりつつある今日におきまして、内部的にいろいろ
努力してや
つて行けば行けるじやないかというようなことで、われわれの方といたしましても、これはまだ実現いたしておりませんが、二十八年の一月から、たとえば司法行政
事務を裁判所が持
つておりますが、その
最高裁判所の
裁判官会議というものも、大体週一回ずつ開いてお
つたのを月一回くらいにして、必要の場合には
委員というようなものを設けて、長官とその三人くらいの
委員で
処理して行けるような
方法にしよう。これはまだ私の方としては
最高裁判所の
裁判官会議を通
つたものではございませんが、われわれとしては二十八年一月から実施するのにはさような点を考えて行かなければなりません。その他いろいろ小法廷の人数の問題で、ごく簡単な
事件をやる法廷は、たとえば三人でも構成できるじやないかというようなことをして、あらゆる
努力を払
つて訴訟の遅延を片づけて行きたい、かように考えておる次第であります。大体率直に申し上げまして以上のようなわけであります。