運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1952-11-13 第15回国会 衆議院 法務委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年十一月十三日(木曜日) 午後二時八分
開議
出席委員
委員長
田嶋
好文君
理事
高橋 英吉君
理事
松岡
松平
君
理事
小畑虎之助
君
理事
猪俣 浩三君 相川 勝六君 熊谷 憲一君
小林かなえ
君 永田 良吉君 花村 四郎君 福井
盛太
君 古島 義英君 松永 東君 大川 光三君
清瀬
一郎
君 後藤 義隆君 多
賀谷真稔
君 古屋 貞雄君
委員外
の
出席者
検 事 (
法務省刑事局
長) 岡原 昌男君
外務事務官
(條約
局長
)
下田
武三
君 専 門 員 村 教三君 専 門 員 小木 貞一君 ――
―――――――――――
十一月十三日
委員永井勝次郎
君辞任につき、その補欠として 多
賀谷真稔
君が議長の指名で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
十一月十二日
戦犯受刑者
の助命、減刑、
釈放
、
内地服役等
の
陳情書
(第二六 号)
戦犯者
の
釈放
と
家族救済
の
陳情書
(第二八号)
戦犯者
の
釈放
に関する
陳情書
(第二九号) 同(第三〇号) 同(第三一号) 同(第三二号)
戦犯者福岡千代吉
の
釈放
に関する
陳情書
(第三三号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
国連軍
の
裁判管轄権
に関する件 ――
―――――――――――
田嶋好文
1
○
田嶋委員長
これより
会議
を開きます。
国連軍
の
裁判管轄権
に関する件について
調査
を進めます。
本件
につきましては、
アメリカ
合衆国との
行政協定
の
締結
前後よりその性質の
重大性
にかんがみまして、本
委員会
におきましても、過ぐる第十三
国会
以来鋭意慎重なる
調査
を進めて参
つたの
でありますが、昨今の
新聞
の報ずるところによりますと、重大なる局面に逢着し、
事態
は緊急を要する段階に到達いたしましたので、本
委員会
といたしましては、
関係
各
大臣
より
国連軍側
との
折衝経過
の
説明
を聴取し、
事情
をただし、これに対する本
委員会
の態度を
決定
いたしたいと存じまして、本日特に
委員会
を開会し、御協議願うことにいたしたのであります。 それではまず
政府側
より
本件折衝
の
経過
について
説明
を聴取し、その後に
委員各位
より御
発言
を願うことといたします。
政府
よりはただいま
外務省條
約
局長下田武三
氏が
出席
をされておりますので、
下田武三
氏よりその
折衝
の
経過
について
説明
を聴取することといたします。
下田武三
2
○
下田説明員
本日はあいにく
岡崎外務大臣
が
外国人
を招いて、パーテイをいたしておりますので、私直接
国連軍協定締結
の
交渉
に当
つて
おりますので、私から
経過
を簡単に御報告さしていただきたいと思います。
国連軍協定
の
締結交渉
は、本年七月七日に第一回の
正式会議
を開きまして、爾来五箇月にわたりまして
正式会議
十七回、その間
専門委員会
数十回にわた
つて
交渉
を続けて参
つて
おる次第でございます。
協定
の包含すべき
事項
はいろいろ多岐にわた
つて
おりますが、本日は
刑事裁判管轄権
の問題について報告を求められておりますので、その点に
限つてお話
を申し上げたいと思います。 まず、私も
交渉当事者
といたしまして、
双方
がいかなる案を出しておるかというところまで御報告申し上げる自由を持たないのでございますが、しかしながら
双方
の根本的な考え方をごひろういたしまして御参考に供したいと存ずるのであります。 御
承知
のように、
国連軍協定
より先に
行政協定
というものが
日米
間に
締結
されておりますが、
行政協定
におきましては、
刑事裁判管轄権
に関して、
米国軍軍律
に服する者に対しては一切
アメリカ側
が
裁判権
を行使する、また
日本
の
法令
に違反する
犯罪
も、
犯罪者
が
米国
の
軍人
であるならば
アメリカ側
が
裁判
をする、
日本側
としては、
日本
の警察は
逮捕権
を持
つて
おりますが、逮捕しても
米軍
に引渡さなければならないという
建前
にな
つて
おるのであります。ただ
行政協定
におきましても、
米軍
の方で
裁判権
を放棄するという
條項
もあります。
従つてアメリカ側
が
裁判権
を放棄した場合にのみ
日本側
が
裁判
をなし得るという
建前
にな
つて
おるわけであります。今回の
交渉
におきまして
米国
、
英連邦諸国
は、
国連軍
にも
行政協定
と同じ
待遇
を与えてくれということを終始強く
主張
して参
つて
おる次第であります。 これに対しまして
日本側
は御
承知
の
北大西洋協定
の
方式
になら
つた案
を提出いたしまして、これを今まで
主張
し続けて参つたわけであります。この
北大西洋協定方式
と申しますのは、まず
原則
として
派遣国
は
派遣国
の
法令違反
の罪を罰する。
接受国
すなわち
日本側
は
日本
の
法令違反
の罪を罰する。しかしながら
両方
の
法律
で罰し得る罪という競合する範囲がたくさんございますので、
双方
の
裁判権
が競合する場合にはどうするかという点が一番大事になるわけでありますが、
北大西洋協定
におきましては、大体従来の
一般国際法
に従いまして、次の
四つ
の場合には
派遣国側
に
裁判権
を認めております。すなわち第一には、
派遣国
の
国家
または
軍隊
の安全に対する罪は
派遣国側
に
裁判権
を認める。第二に、
派遣国
または
派遣国
の
軍隊
の財産対する
加害行為
は
派遣国
の
法令
に
従つて派遣国
が
裁判
をする。第三に、
派遣国軍隊
に所属する
軍人
、軍属の身体に対する
加害行為
も
派遣国側
が
裁判
をする。第四に、
派遣国
の
軍隊
が
公務遂行
中に犯した
犯罪
については
派遣国側
が
裁判
をする。ただいま申し上げました
四つ
の場合以外のすべての場合には
接受国側
が
裁判
するということにな
つて
おるのであります。
日本側
の
根本的主張
は、従来の
一般国際法
を最もよく取入れておると思われるこの
北大西洋協定方式
で行きたいという
主張
で一貫して参つたわけであります。
米軍
は
日本国自体
の安全を守るために
日本
に駐留しておるわけであるが、
国連軍
は
日本
を守るためのものではない。
朝鮮
において
作戦行動
をして、たまたま
日本
に
休養
、
休暇等
のために
臨時
に来る
軍隊
である。
従つて日本自体
を守る使命を持つ
米軍
と同等の取扱いをなすことはできない。また
日本
はつい近い歴史上において
治外法権
の苦しみをなめた。
治外法権
の撤廃には数十年にわたる困難な
外交交渉
を経た記憶がいまだ新たである。いやしくも
治外法権
的な
特権
を
外国軍隊
に認めることは、
国民感情
の上からいたしましてとうてい耐えられないところであるという
主張
をもちまして強く
NATO方式
、
北大西洋協定
の
方式
に近い案を
主張
し続けて参
つたの
であります。 これに対しまして
国連軍側
の
主張
を御紹介申し
申げ
ますと、
日本側
は
一般国際法
、
一般国際法
と言うが、
国際法
は第二次
大戦
を経て非常な変化を来しておる。たとえば
イギリス
においては第二次
大戦
に数十万、ときとして百万に近い
外国軍隊
を
英本国
に迎えた。しかしながら
英本国
におるこれらの
外国軍隊
に対して
派遣国側
に
専属的裁判権
を認めて来たのである。また
アメリカ自身
も、
アメリカ国内
で大部隊の
外国軍隊
を迎えたことはないけれども、
ミリタリ治トレー
・ニングその他いろいろな
目的
で
米軍
にも少なからざる
外国軍隊
が来たことがある。また現におる。これらの
米国
におる
外国軍隊
の
構成員
に対しては、その
軍隊所属国
に
専属的裁判管轄権
を認めておる。カナダしかり、濠州しかり、ニユ—ジーランドしかりというわけでございまして、第二次
大戦
以来この
軍隊
の
特殊性
に基いて
軍隊
を送
つて
おる方の国に
専属的裁判権
を認めるという多数の
事例
が確立されてお
つて
、
日本側
の言うような
国際法
というのは、第二次
大戦
前の時代遅れの
国際法
にな
つて
おるということを
先方
は言うのであります。また
日本側
は
NATO協定
、
北大西洋協定方式
ということを盛んに言うけれども、
ヨーロツパ
の
事態
と
極東
の
事態
とは違うのである。
北大西洋協定
はなるほどできているけれども、欧州では現案に
戦闘行為
は行われておらないのである。ところが
極東
においては
現実
に
戦闘行為
が行われておる。
北大西洋協定
におきましても—あれは
戦争
がないときにつくられた條約でありますけれども、あの
協定
を見ますと、一旦
ヨーロツパ
に
戦争
が起つた場合には
刑事裁判管轄権
に関する
規定
は再検討するということにな
つて
おります。
従つてヨーロツパ
でも
極東
と同じような戦端が開かれるならば、やはり
刑事裁判権
の
規定
は再検討するということにな
つて
おる。それを
戦闘
のない場合の
ヨーロツパ
の
NATO方式
を、
戦闘
が現に行われておる
極東
に持
つて
来ようとする
日本側
の
主張
は無理ではないかということも
先方
は申すのでございます。また
英連邦側
の最も強い
主張
、これは
日本
にいる
米軍
と
国連軍
との間に
差別待遇
をするということは耐えられないことである。なるほど
米軍
は
日本自体
の安全を守るための
軍隊
であり、
英連邦軍
は
—国連軍
はそうでないという
差別
があることは事実であるけれども、大きく考えてみると、
米軍
と
国連軍
とは同じ
目的
のために
戦争
をしておるのではないか。
朝鮮
における
共産軍
の侵略は、たとえて言えば外ぼりの
戦争
だ。内ぼりにまで
戦争
が及んで来た場合には、なるほど
米軍
は干戈をも
つて
日本
を防ぐであろうが、現に外ぼりの
戦争
で
国連軍
は多数の
死傷者
と莫大な
経費
を
使つて戦
つて
いるのだ。
従つて
大局的に見れば、
極東
の安定平和というものは内ぼりではまだ血を流していないけれども、外ぼりでは今血を流している。そういうことを考えるならば、この
米軍
と
国連軍
との間に
差別
を設けることはとうてい耐えられないことであるということも
先方
は申すのであります。さらに
先方
の
法律的主張
といたしましては、
日本
は
平和條
約の第
五條
で
一つ
の
義務
を負
つて
おる。
平和條
約の第
五條
は御
承知
の
通り
でありますが、「
日本国
は、
国際連合憲章
第二條に掲げる
義務
、特に次の
義務
を受諾する。」と
規定
しております。その次の
義務
の中に、「
国際連合
が
憲章
に
従つて
とるいかなる
行動
についても
国際連合
にあらゆる
援助
を与え、且つ、
国際連合
が
防止行動
又は
強制行動
をとるいかなる国に対しても
援助
の供与を慎むこと。」そういう
義務
を
独立
の際に
日本
は負
つて
しま
つて
いるではないか。
朝鮮
における
行動
は、とりもなおさず
国際連合
が
憲章
に
従つて
と
つた行動
にほかならない。この
朝鮮
における
国連
の
行動
にあらゆる
援助
を与えるということは、
日本
がすでに
独立
を回復したとたんに、
平和條
約によ
つて
課せられている
義務
ではないか。このあらゆる
援助
という中には、
国連軍
の立場からする
刑事裁判管轄権
の
米軍
との
均等待遇
くらいの
援助
を与えてもいいではないかというような
主張
を
先方
はなしておるのであります。また
日本側
は
治外法権
的な
特権
ということを
日本
の
新聞
も言い、輿論も言
つて
おるけれども、これは誤解もはなはだしいものである。過去の
治外法権
の例を見ると、
日本
を初め列国が支那の
租界
その他で地域的に
治外法権
を持
つて
お
つた事例
、たとえば上海の
租界
においては、いかなる
犯罪
を
外国人
が犯してもその
所属国
の
領事
が
裁判権
を行使する。あるいはエジプトのごとく、その領域いかなるところで
犯罪
を
外国人
が犯しても、その
所属国
の
領事
が
裁判
する。そういうのが
治外法権
である。
日本
に来る
一般
の
外国人—新聞記者
でも、
旅行者
でも、バイヤーでも、これはことごとく
日本
の
裁判権
に服しているのである。ただ
国連軍
が
休養
のため、あるいは
休暇
を利用して見物のために
日本
に
臨時
に来ている場合に、これを
日本側
の
裁判権
に服せしめて長く拘束されるということは、遠い地球の
反対側
から来る一人々々の
兵隊
をとらえても、その背後に莫大な
経費
をかけておる。そのいわば
国連軍
から見れば非常に貴重な一人々々の兵士の身柄を、
日本側
に
裁判権
を認める結果長く拘束されるということは、軍事上非常な苦痛である。まつたく便宜の問題である。
治外法権
でも何でもないのだということを
先方
は申しておるのであります。 ただいま御紹介いたしましたのが、今日までの
交渉
におきまして
日本側
及び
国連側
の
双方
が
主張
し続けて参りましたおもなる点でございます。
日本側
は九月十二日に
刑事裁判管轄権
に関します
最後案
を出しまして、爾来回答を待
つて
お
つたの
でございます。
国連軍側
はこの
日本側
の
最後案
に対しまして、それぞれ
本国政府
と
打合せ
をいたしまして慎重に討議してお
つた模様
でございましたが、
本国政府
の意を体した上で、東京で
関係
の五箇国の大
公使
がさらに相談をいたしました上で昨日
外務大臣
のところに五国の大
公使
がそろ
つて
参りまして、ただいま御紹介申し上げましたような従来の
国連軍側
の
主張
を強く
外務大臣
に再び申し入れて参りました。私
ども現実
に
交渉
に従事いたしております者といたしましては、あらゆる
日本側
の
主張
は
主張
し尽したという感じがいたします。
先方
の言い分も、中にはもつともな点も多々あると思いますが、
先方
の
主張
もわが方に十分わかり尽しております。問題の
重要性
にかんがみまして、いずれ今回の五
国大公使
の
申入れ
に対しましては
政府
におかれまして最高の御
決定
があることと存じまするが、私
ども事務当局
といたしましては、
政府
の御
決定
に従いまして今後の
交渉
を進めて参りたいと存じておる次第でございます。簡単でございますが、今までの
交渉
の経緯を御報告いたします。
田嶋好文
3
○
田嶋委員長
これにて
下田條
約
局長
の
説明
は終りました。
発言
の通告がありますから、順次これを許します。法務
大臣
、
外務大臣
はまだ
出席
されておりませんが、いずれ
出席
されることと思います。
松岡松平
君。
松岡松平
4
○
松岡
(松)
委員
今條約
局長
の
お話
の、昨日
各国
の大
公使
がそろ
つて
外務大臣
に面接されて話された
内容
がしごく簡単でよくわからないし、またそのときにおけるこちらの
外務大臣
の話の
内容
も、もし
お話
願いたい。この問題についてかなり
交渉
を続けておられるものと察しまするが、特に急迫して
向う
が要求を持
つて
来た、そういう状況についても御
説明
を賜わりたいと思います。
下田武三
5
○
下田説明員
昨日の五
国大公使
の
外務大臣
に対する
申入れ
、異はこれをそのまま発表いたしまして
国民
の前に
先方
の
主張
及びわが方の
主張
をありのままにごひろうした方がいいのではないかという考えがございまして、それを発表することにつきまして、今
先方
と
打合せ
中なのでございます。従いまして
先方
が発表していいということを申すまでは、私といたしましてここで発表いたす自由を持たないのであります。もう
一つ
の急迫した
事情
とおつしやいましたが、案はそれほど急迫したと申しますか、先はども申しましたように、もう二箇月も前にわが方の
最後案
を出しまして、それに対して、
先方
は
本国政府
と
打合せ
まして、慎重に審議いたしておりました
事態
が二箇月続いたわけでありまして、その
先方
の
慎重審議
の結論が昨日
外務大臣
にもたらされた、そういうふうにお考え置き願いたいと思います。
松岡松平
6
○
松岡
(松)
委員
今のお
答え
に対しましてこの
経過
の
内容
を公表せられるのは当然であるし、また
国民
がそれを希望しておることと思いますが、それを今差控えられるのは、
相手国大公使
どの話合いの上において、そういう秘密を守らなければならぬ
事情
があるのでありますか。
下田武三
7
○
下田説明員
先方
は
覚書
にしたためものを持
つて
参りまして、
覚書
という
外交
上の
文書
は、やはりこれを出しました方の了解を得られませんと、一方的に受けた方で発表いたせない
国際慣例
にな
つて
おりますので、先ほどのようにお
答え
申し上げた次第であります。
田嶋好文
8
○
田嶋委員長
清瀬一郎
君。
清瀬一郎
9
○
清瀬委員
今
松岡
君のお求めにな
つたの
は、
先方
の発表の中にある、八週間前に
日本
が
国連軍
に提示した
最終案
でしよう。
松岡
さん、そうでしよう。これは
向う
が提示したのではなくして、こちら側が提示したものなんですね。こつちが出したもの、そのことをおつしやらぬと、きのうのやつはそれに対する
向う
の
答え
だから、
答え
の方だけ聞いてもよくわからぬ、こういうことなのです。
下田武三
10
○
下田説明員
一番初めにお断りいたしましたように、
双方
の
当事者
が出しました
具体案
を
交渉
の途中でひろうするということもいろいろさしさわりがございますので、詳しくは申し上げられないのでございますが、大体先ほど来御
説明
申し上げた
通り
、
日本側
が最も適当と認め、また最も
国際法
の
原則
に近いと思われる
北大西洋方式
、それに近いものを
日本
は
最後案
として提示しておるわけでございます。
清瀬一郎
11
○
清瀬委員
そのことは
松岡
君のお問いの補充として私申し上げたのであります。
外務大臣
と
司法大臣
が来られましたら、なお伺いますが、この時間を利用しまして、少し予備的にあなたに聞いておきたいことがあるのであります。この
協定
の
相手
は一体だれですか。
国連軍
という
一つ
のまとまつたものですか、
一つ
一との
国家
とや
つて
おるのですか。
下田武三
12
○
下田説明員
国連軍協定
の
締結
の
相手方
は、ただいまのところでは、
交渉
に現に参加しておりますのは、
アメリカ
、
イギリス
、濠州、カナダ、ニユージーランドの五箇国でございます。しかしながら、
交渉
はその五箇国と
日本
でや
つて
おりまするが、できたものにさらに多数の国が参加するかどうかという点は、目下のところまだきま
つて
おりません。
清瀬一郎
13
○
清瀬委員
この
国連軍
は、
朝鮮
では今
クラーク大将
が
指揮
をして、
国連軍
という
一つ
のものとしてや
つて
おるのでしよう。だから
国連軍協定
といえば、
国連軍
という
一つ
のものとの
協定
ではないのですか。
下田武三
14
○
下田説明員
協定
の対象となります
軍隊
、すなわち
国連軍
は
一つ
のものでございまするけれども、
国連軍
の総
司令官
の
クラーク大将
だけが調印いたしました
文書
が、ただちに
英連邦
その他の
外国
をも拘束する
効力
を持ち得るかどうかという点には多大の疑問がございまして、今までの
双方
の
見解
では、
司令官
だけが署名しても、ただちに他国を拘束する効果は持たないという
見解
に一致しております。
清瀬一郎
15
○
清瀬委員
そうするとどうなんですか。
司令官
だけが署名しても
効力
を持たないから、
司令官
と、及び中隊か大隊かしらぬけれども、かりにもわずかばかりの
兵隊
でも送
つた国
と、こういう複合の契約をするつもりですか。
下田武三
16
○
下田説明員
日本国
を一方といたしまして、
国連軍
の
構成員
たる
軍隊
を送
つて
いる複数の国を
他方
といたしました
協定
になると存じます。
清瀬一郎
17
○
清瀬委員
多数の国と、及び
国連軍
それ
自身
も拘束するのでしようね。
下田武三
18
○
下田説明員
国連軍
の
構成員
たる
軍隊
を派遣している
国家
を拘束いたしまするから、その
国家
の
機関
である
軍隊
に当然その
効力
は及ぶと思います。
清瀬一郎
19
○
清瀬委員
国家
の
機関
たる
軍隊
ですが、それを集めて
国連軍
として
一つ
の、
日本
の昔の
言葉
でいえば、
指揮統帥
のもとにや
つて
おるのでしよう。その
意味
にも解していいのですか。そこがまだちよつと……。
下田武三
20
○
下田説明員
ただいまの
国連軍
の
法律的地位
から申しますと、
国連軍
の
司令官
はそれだけの
権限
をいまだ持
つて
おりません。どうしても
国家
を頭に立てまして、
日本
を一方とし、多数の国を
他方
として
協定
する以外に、
法律
的に可能な道がない
状態
でございます。
清瀬一郎
21
○
清瀬委員
まだよく了解しませんが、
国連軍
の総
指揮官
を拘束せぬようなものをここでつく
つて
何か役に立つのでありますか。一人々々の
兵隊
は総
指揮官
の
指揮
によ
つて
動いておる。そうすると、総
指揮官
を拘束しなければ、それをこちらが勾引したところが、どうもそこに行き届かぬものがあると思います。そこを聞いておるのです。
国民
もそれを疑
つて
おる。この
表題
は
国連軍協定
というでしよう。
国連軍
と
協定
しておるのです。しかし
国連軍
ではない、ほかの
個々
の
国家
が出て来て、
外務省
へ乗り込んで行く、ここがどういうものであろうか、こういうことです。
下田武三
22
○
下田説明員
普通国連軍協定
と申しておりまするが、
相手方
は
国連軍
でございませんので、正確な
表題
はまだきまつたわけではございませんが、かりにつけております
表題
は、
日本国
における
国際連合軍
の
地位
に関する
協定
、そういうことであります。
清瀬一郎
23
○
清瀬委員
国際連合軍
という
言葉
は長いから
国連軍
というので、
国連軍
の
地位
に関する
協定
、こういうことなんですね。私は、
国連軍
を拘束するものでなければ、当面の役には立たぬと思います。
下田武三
24
○
下田説明員
国連軍司令官
は単に
統帥機関
にすぎませんで、
停戦協定等
の
権限
はございまするけれども、
刑事裁判管轄権
のごとき重大な
立法事項
を含む
協定
を
締結
する
権限
は、軍の
指揮官
にはございません。従いまして
日本
にる
国連軍
の
地位
を明確に定めるためには、
国連軍
を構成しております
軍隊
の主権を持
つて
いる
個々
の
国家
を
相手
として
協定
を
締結
するほかはないと存じます。また
国連軍
の
司令官
は、
アメリカ人
でございまして、
アメリカ
の
軍司令官
でございますが、
アメリカ
の
軍司令官
であると同時に
国際連合
から委託せられた一定の
国際的指揮官
の
両方
の
地位
を持
つて
おりまするが、この
アメリカ人
としての
指揮官
、
米国政府
の下にある
国連軍司令官
でございまするから、
米国
がごの
協定
に参加すれば、当然
国連軍指揮官
も拘束し得ることになると考えております。
清瀬一郎
25
○
清瀬委員
そうすると
司令官
を抱束する力は、
アメリカ
と
日本
が
協定
をすれば、その
反射作用
として拘束されるのであ
つて
、その
協定自身
でただちに
一つ
の
単位
、
国連軍
という一
単位
の
指揮官
たる
クラーク大将
は拘束しない、こう聞いていいのですね。
下田武三
26
○
下田説明員
仰せの
通り
であります。
清瀬一郎
27
○
清瀬委員
その次にこの
協定
というものはどういうものでありましようか、今の御
説明
では、
協定
の
各国
を拘束する。従て
日本
をも拘束することはむろんであります。前の
行政協定
とはたいへん違うと思います。どう解釈していいでありましようか。やはりこれは條約と見ていいのでありましようか。
下田武三
28
○
下田説明員
行政協定
はごの場合
日米両国
間のみの
協定
でございまして、この
行政協定
のできます前に
安保條
約がございまして、その
安保條
約の
規定
に基いた
細目協定
とな
つて
おります。今度の場合は、
国連軍
に関してとりきめた條約は、いまだ
日本
が参加しておるものとしては何にもございませんので、全然新たな国際的の
権利義務
を
日本
が持つことになりますので、
国連軍協定
は当然
憲法
にいいます條約である、従いまして
国会
の御
承認
を得てから
締結
するものと存じております。
清瀬一郎
29
○
清瀬委員
そうしますると、あなた方が今
協定
をしますが、結局
最後
の
決定
は
憲法
にある
通り国会
の
承認
を得る。そうしますると、いろいろ
国会
の方でも聞かなければならぬことがあります。この
協定
が
不成立
に
なつ
たらどういうことになりますか、この
協定
がなければ
国連軍
の
地位
はどうなりますか。
下田武三
30
○
下田説明員
その点は、
不成立
になりました場合には
日本
におきます
国連軍
の
地位
に関する何らの定めもないという
白紙
の
状態
が
法律
上は継続すると思います。
清瀬一郎
31
○
清瀬委員
白紙
といいましても、
国際法
というものが数百年の
人類
の経験であるのであります。これがなければ
国際法通り
に行くのでしよう。そうして
外務省
の方では
国際法
の
原則
に一番近い罰則を見越してやればいいという
意味
でありまするから、どうもこちらからこの條約の成立を必要とする理由はちつともないように思いまするが、どういうわけのものでありましようか。
下田武三
32
○
下田説明員
先ほど申し上げましたように、
平和條
約におきまして、
国際連合
の
現実
に基いてとられる
行動
には、あらゆる
援助
を与えるべきことを
日本
は
独立
のとたんに課せられているわけでありまして、それが今日世界に生いて
国際連合
がと
つて
おります
行動
で最も重大な
行動
の
一つ
であるのが
朝鮮
における
国連
の
行動
でございます。従いまして
平和條
約の
規定
を忠実に守ろうといたしますならば、この
朝鮮
における
国連軍
の
行動
を容易ならしめるために何らかのとりきめをしなければならないことになります。もう
一つ
は
吉田
・
アチソン交換公文
というものが
平和條
約と同時に交換せられておりまして、これは
国会
の御
承認
も得ておりますが、その場合に、
朝鮮
における
国連
の
行動
に参加する
軍隊
に対して
日本国内
並びに
日本国
の近傍におきまして支持することを容易ならしめるということを
日本
は約束いたしております。従いまして
協定
を結ばないで
白紙
にな
つて
も一向かまわぬということは、
平和條
約の
義務
と
吉田
・
アチソン交換公文
の
義務
とを照し合せて考えます場合には、さようには、言えないと思うのであります。
清瀬一郎
33
○
清瀬委員
国際公法
は悪いものだという前提の上ならそうでありますけれども、
国際公法
は何べんも何べんも
人類
が使
つて
みて、これが一番妥当であろうということに定着しておるのでありますから、
吉田
・
アチソン交換公文
によりましても、
国際法
さえ十分に守
つて
やれば、
国際法
といえども
外国
の
軍隊
を無理にひつぱ
つて
来て厳罰に処するという規則はないのです。それからまた軍の公務として執行する場合については手出しはしないのです。ただ公務でなくて出て来て酒を飲み過ぎたり、女にたわむれたりする場合のことでありますから、そういうものはやはり最もすみやかに
各国
において処理するということが、処理してもらう
軍隊
に対しても規律を維持する上においていいのであります。あの公文があるから、また
日本
が
各国
の
兵隊
の不行儀を取締るということが、何も国際
国会
軍を妨害するということにはならない。それは悪意に解釈した解釈であろうと思います。こうなりますと、議論になりますけれども、さように考えていることを十分御記憶願いたいのであります。 そこで問題をかえまして先刻の
お話
から本年の七月から二箇月間や
つて
おる、それでまたけさの要旨としてだれかが発表したものでありましようが、八週間前にというと、ほぼ合うのでありますが、二箇月以前に、五月の三十一日に
吉田
書簡というものが出ておりますが、これが出ました経緯は一体どういうわけでしようか。
下田武三
34
○
下田説明員
まだ
平和條
約発効前において在日
米軍
につきましては、発効はいたしませんが、すでに
行政協定
ができております。
平和條
約発効後、在日
米軍
を規律する
行政協定
はすでにできております。しかしながら
国連軍
をいかに取扱うかというとりきめは何らできておりません。そうしてまだ
平和條
約が発効する前からさしあたり最小限度のことはとりきめようという見地から
交渉
が行われております。その
交渉
がさしあたり
刑事裁判権
の問題につきまして、
日本側
の取扱い方針を通報しようということになりまして、あの書簡が出たわけであります。従いまして今度の
国連軍協定
の
交渉
と全然無
関係
なわけではないのであります。
清瀬一郎
35
○
清瀬委員
その
交渉
はだれとの間に行われましたか。
下田武三
36
○
下田説明員
やはり
アメリカ側
及び主要
英連邦側
だと存じております。
清瀬一郎
37
○
清瀬委員
あの時分からカナダとか、ニユージーランドとか、濠州とか、あるいは
朝鮮
へはトルコ兵も行
つて
おるのでしようが、それらがやはり口を出して来ましたが、あるいはまた
アメリカ側
だけ、マーフイーか、クラークか、リツジウエイですかが代表としてや
つたの
でしようか、
当事者
が段階的に違
つて
おりはせかということを聞いておるのです。
下田武三
38
○
下田説明員
吉田
書簡前の段階におきましては、
米国
が
先方
を代表いたしまして前面に出て来ております。
米国
の背後で
英連邦側
と協議はいたしておつたと存じますが、
日本
に対して直接対して参りましたのは
米国
が主でございます。
清瀬一郎
39
○
清瀬委員
前の
国会
が解散されまして、翌日にあのことについて
外務大臣
より御発表になりました。しかしながら
国会
はあれについてはまだ直接に聞いていないのであります。あの発表のうちに、これは
日本側
から出した書簡でとりかわしたものでないからそれについては責任は発生しない。
言葉
はたいへん違いますけれども、そういう
意味
があつたと思いまするが、今でも同様にお考えでありましようか。また私の今言うたのは聞き違いでありましようか、それをひとつ御
説明
願いたい。
下田武三
40
○
下田説明員
問題は、あの
吉田
書簡がはたして国際約束であるかどうかという点だと存じまするが……。
清瀬一郎
41
○
清瀬委員
約束じやないことは知
つて
おるのです、
義務
を生ずるかどうかということなんです。
下田武三
42
○
下田説明員
あの書簡自体で申しておりまするように、
日本側
はこう取扱うつもりだという
日本側
の方針を一方的に通報したものでございます。従いまして通報した以上は道義的にはそれを守る
義務
があると存じます。
清瀬一郎
43
○
清瀬委員
それで了解しました。通報した以上は
先方
もそうするだろうという期待を持ちますから、ここで守るべき
義務
がある。私も同様に考えておるのですが、そうすると一体これを守るだけの措置は、具体的に言えばこれを逮捕するのは警察官であり、検挙するのは検察官であります。その当時これを守らしめるだけの措置をおとりにな
つて
おりまするか。
岡原昌男
44
○岡原
説明
員 その点お
答え
いたします。実は
吉田
書簡なるものが出ました直後私の方でそれを
承知
いたしまして、その線に沿いましてただちに協議をいたました結果、全国の検察官に対しましてかような基準で事を処理するようにという取扱い基準というものを出してございます。
清瀬一郎
45
○
清瀬委員
その取扱い基準の写しを御提出願いたいと思います。
岡原昌男
46
○岡原
説明
員 それでは近い機会に、ちよつと長文のものでございますから印刷して差上げることにいたします。
清瀬一郎
47
○
清瀬委員
そうするとその後に不幸にして神戸水兵事件が起つた。神戸における
国家
地方警察官なり検察官はその基準を見落したのでありましようか。
岡原昌男
48
○岡原
説明
員 あの
吉田
書簡をどのようにお読みになりましたか知りませんが、この点は、大体
吉田
書簡なるものが、四項目からな
つて
おりまして、最初の一項目は
国際法
の
原則
に基いて
裁判権
をきめる。第二項目におきましてそれが不明確な場合におきましては、
関係
国と協議してこれをきめる。第三項目におきまして身柄のやりとりについて
向う
にやるのを
原則
とする。但し第四項目におきまして、こちらへ引取
つて
まま事件を処理すを場合がある。もし身柄の処置について協議がととのわなかつたならば、それは暫定的に
向う
に引渡す。しかし
裁判権
の問題は一、二項で解決しておりますので、起訴云々の点については特に神戸事件が
覚書
違反という問題にはならぬわけであります。
清瀬一郎
49
○
清瀬委員
あの規則を読みますと、逮捕はするが、軽微と書いてあります。通常の場合は
向う
に渡す。ところが六月二十九日に逮捕されて七月二日に起訴されております。
先方
に渡しておりません。それから解釈がつかぬ場合には、四十八時間おいて、再び必要があればもどすという條件で
先方
に渡す。これもしておりません。初め二項のことは
裁判
のことで別として、四項のことは行われておらぬと思いますが、これはわれわれの間違いでありましようか。
岡原昌男
50
○岡原
説明
員 その点、実はきよう
国連
協定
の
関係
だと申しますので、神戸事件の具体的な書類を持
つて
参りませんでしたが、一応記憶にあるままにそのいきさつを申し上げますと、
お話
の
通り
大月二十九日に事件が発生いたしまして、間もなく逮捕になりました。当時たしか英国のシヨア・パトロール、
向う
の警察官もその逮捕に立ち会いまして、そうして身柄をこちらに引渡しまして、警察で調べをした上、検察庁で事件を受理いたしました。それが六月三十日と記憶しております。それで翌七月一日にその事件について検察庁で調べをいたしました。
関係
人その他も捜査いたしました上で、
お話
のように七月二日に起訴した案件でございます。身柄の処置につきまして、当時神戸の副
領事
であつたと記憶いたしますが、
申入れ
がありました。ただその
申入れ
がすこぶる簡単な、いわゆる
外交
折衡というようなものではなくて、本人が呉から
向う
に出発したいと言
つて
おるらしいが、もし身柄を引渡してくれるようだつたら引渡してもらいたい、というふうな軽い
申入れ
であつたそうでございます。こちら側としては既定方針としてずつと調べて行きたいというふうなことからいたしまして、そのまま上司の
指揮
を仰いでやつたというようなことにな
つて
おるわけであります。それで御不審の、しからばその協議をしたかしないかということになるわけでございますが、これは神戸の
領事
館においても、実は私どもの方も神戸の
領事
館が少しうかつだつたと申しておるのでございますが、そのことをこちらの大使館に通報して来なかつたらしいのでございます。
従つて
外交交渉
に移されましたのはたしか七月の八日であつたと思いますが、ずつと還れまして、神戸の
領事
館から検察庁あてに身柄を引渡してもらいたいという協議が来たそうであります。そのときはもうすでに起訴してございましたので、こちら側としてはそのまま、問題は保釈の問題が残るだけであるというので、検察庁は打切つたというふうなことにな
つて
おるわけでございます。
清瀬一郎
51
○
清瀬委員
まだほかに質問者がございますか。
田嶋好文
52
○
田嶋委員長
ほかに質問者はありま
清瀬一郎
53
○
清瀬委員
では簡単に……。今の御
説明
を聞きましても、
向う
の要求がなかつたからというふうに聞えますが、協議を始めて四十八時間後に引渡すというので、どうしてもこれは完全に
吉田
書簡
通り
にはや
つて
おらぬと私は断定するのであります。これを守るために必要な措置をとられたかという問いに対して、訓示をしたとおつしやるので、その訓示を拝見してから申し上げます。この
吉田
書簡に書いてあることは書簡でありますけれども、中のことは実は刑事手続が書いてある。刑事訴訟法が書いてある。
日本
の
憲法
によれば、これは
法律
でしなければならぬことが書いてあるのです。それを守らそうと思えば、検事だけにそういうことを言わないで、
国民
全部に急な場合だからして
国連
協定
ができるまではこういうことにしてあるぞと知らせることが、私ども
吉田
書簡を間違いなく守らせるゆえんであろうと思うのであります。かようなことに対する御所見はまた
大臣
に別にお伺いしたいと思いますので、この
見解
に対するお
答え
は私から求めません。 再び
外務省
の
下田
さんに聞きますが、こういう
吉田
書簡といつたようなものを前に出しておきますと、これからの
協定
もえてしてそれが既成事実にな
つて
それに引かれやすいという心配がありますが、あなた方はどうお考えでありますか。前に自発的にさえこういうことをや
つて
おるのだから、これだけはもう当然
向う
がのしかか
つて
来るように思いますが、どう考えておりますか。
下田武三
54
○
下田説明員
ただいままでのところ
先方
が
吉田
書簡を引用して、この
通り
にしろというようなことは全然申しておりません。
先方
の
国連軍協定
における態度は、
国連軍
にも
行政協定
の
待遇
をしろということでございまして、
吉田
書簡以上のことを要求しておるわけではありません。
清瀬一郎
55
○
清瀬委員
今まで以上のことを要求しておるでありましようが、
向う
が要求しないのに、自発的にさえあれだけのことを
吉田
は言うておるのだ、
日本
はここまでは認めるぞという証文をここに預けたということになるのだ、こういうことはわれわれ
国民
としては非常に残念に思
つて
おる次第であります。 なお他に御質問もおありのようでありますから、私は一旦打切りまして、
大臣
がお見えになりましてからまた御質問いたします。
猪俣浩三
56
○猪俣
委員
今の続きの問題を第一にした方がよいと思います。これは
行政協定
を
締結
した際に、1時の法務府
関係
の方から私は漏れ聞いたのでありますが、どうも
外務省
は法務府とあまり相談しないでどんどんか
つて
にや
つて
非常に困るということを聞かされております。そこでこういう
吉田
書簡というようなものは、今
清瀬委員
も申されたように、国政の運用上、ことに
裁判権
の問題などに対しましては重大な影響があると思います。
裁判権
の問題のごときは、法務省としては重大な関心のある事案であると思います。そこでこういう書簡を出される前に、
外務省
は法務府と何か
交渉
されたのであるかどうか。これは事務官僚であるあなたとしては御答弁できないかも存じませんが、もしその辺のいきさつがおわかりでありましたら、結局法務府とどういう
交渉
をして
吉田
書簡というものが出されたのであるか、その点について忌憚ない御意見を承りたいと思います。
下田武三
57
○
下田説明員
私はそのときにまだ就任しておりませんで、伝え聞きでございますが、何分
先方
は徹頭徹尾
行政協定
と同じ取扱いを
国連軍
に対してもしろということで強く押して来てお
つたの
であります。
平和條
約発効後一月にな
つて
も何も意見が一致しないということで、とりあえずそれでは
吉田
書簡のラインで行ごこということがきまりましたのが、書簡発出の直前であつたそうであります。事務当局の下の法務省との協議は省略して法務省の首脳部と
外務省
の首脳部との話合いがあつたというように聞いているのです。
猪俣浩三
58
○猪俣
委員
そうするとそれは伝聞的なことでありますが、あなたのお聞きに
なつ
たことでは、法務省の責任者と
外務省
の責任者とが
打合せ
の上でこの書簡が出されたものであるとお聞きにな
つて
いるわけですね。それではその責任者に聞くことにいたします。 今
清瀬委員
から
お話
のあつたことでありますが、一体
吉田
外交
なるものははなはだ秘密
外交
でけしからぬということが輿論にな
つて
いる。これは自由党内部におきましても、いわゆる鳩山四
原則
の
一つ
になり、そういう点からいたしましてこの書簡を出す際に一体法務府の責任者と話合いがなかつたか、検察当局とも話合いがなかつたか、独断的にこれを突然秘密裡にマーフイに渡されたものではないかと私どもが考える点が多々あるのであります。しかしその点についてはあなたは御存じないとするならば他にお聞きいたすことにいたします。 あなたは今度條約
局長
になられたのでありますが、かような秘密
外交
的なやり方に対しては事務官僚としても
政府
に強くその非なるゆえんを説いていただいて、なるべく
国民
とともに
外交
をするようにお願いしたいと思うのであります。なおこれは
外務大臣
に要望しますけれども、事務官僚であるあなた方にもお願いします。どうもなわ張り争いみたいなことがあ
つて
事務官僚同士の連絡もなしに、こういうことが独断的に行われたという心配がわれわれあるのであります。それが原因になりまして、今日の
イギリス
の水兵事件のような醜態を演じたのではないかと思います。私はこれは醜態だと思うのであります。 次にお尋ねいたしますことは、
国連軍
の性格と申しますか、
国連軍
と称しましても
法律
概念から見るとはなはだはつきりしない。一体この
国連軍
と称している国の
兵隊
というものはどこの国とどこの国が現在
朝鮮
へ出ていわゆる
国連軍
というものを形成しているか、それを承りたいと思います。
下田武三
59
○
下田説明員
現在
現実
に兵力を参加させている国は、先ほど申し上げました五国のほかフランスでありますとか、イタリアでありますとか、エチオピアまでも入りまして十七箇国あることにな
つて
おります。
猪俣浩三
60
○猪俣
委員
そうすると先ほどの
説明
は、
国連軍
なるものを一団体とした條約の
相手
ではなくて、結局において
各国
と
日本国
との間の
協定
というふうに承るのですが、そうするとエチオピアに対してもわれわれから見れば
治外法権
的な條約を結ぶことを彼らが要求して来ていることになる。そこに
国連軍
の名において実は
国連軍
というものが
相手
でなくて十七箇国と
日本
との條約ということになるのでありますか、結局エチオピアと
日本
との間の條約ということに理解してよろしゆうございますか。
下田武三
61
○
下田説明員
もしエチオピアが
国連軍協定
に参加を欲するならエチオピアも当事国となるのでありますが、
日本
で軍事
裁判
所を持
つて
おる国は
アメリカ
のほか
英連邦
だけでございまして、軍事
裁判
所を持
つて
いない国が
裁判
をしようと思
つて
もできないことになりますから、実際に
刑事裁判管轄権
について特別な
待遇
を受けるのは、
日本
で軍事
裁判
所を持
つて
おる限られたる少数の国になると思
つて
おります。
猪俣浩三
62
○猪俣
委員
そうすると、エチオピアとの間でも協約はするのだが、実際は軍事
裁判
所をエチオピアは持
つて
おらぬからそうならぬということになるのですか。そこがちよつとはつきりせぬが……。
下田武三
63
○
下田説明員
その点は、まだ突き詰めた
規定
は
交渉
でできておりませんが、当然そういうことになりまして、軍事
裁判
所がある国だけが軍事
裁判権
を行使し得るということになると思います。
猪俣浩三
64
○猪俣
委員
そうすると、エチオピアが軍事
裁判
所を持つことになれば、やはりエチオピアとの間にもこういう
治外法権
的なとりきめができる、こういうことになるのですか。
下田武三
65
○
下田説明員
エチオピアが軍事
裁判
所を
日本
に開設しますれば、そういうことになります。
猪俣浩三
66
○猪俣
委員
それからお尋ねしたいことは、今あなたの発表されたのは、
相手方
の
国連軍側
と称する国々の
主張
を
一つ
として
日本
の
主張
をする
国際法
上の
原則
というものはもう今行われないのだ、第二次世界
大戦
後はあれと違つたものだ、こういうのですか。
相手方
の
主張
するようなそういう
現実
の姿というものは、いわゆる国際慣習法、たとえば
日本
の
憲法
の九十八條ですか、「
日本国
が
締結
した條約及び確立された
国際法
規」、こういう
国際法
規に入
つて
おるという
主張
になるのですか。
向う
の
主張
はどうなんですか。現在第二次
大戦
後に行われている慣行というものは、国際慣習法としてわが国の
憲法
の「
国際法
規」に含まれておる、こういう
主張
になるのですか、ならぬのですか。
下田武三
67
○
下田説明員
先方
は、第二次
大戦
中に
国際法
は非常な変化を遂げたと申しておりますが、わが方は、そんなことはない、従来からのオーソドツクスの
国際法
が行われておるのだということをただいままで強く
主張
しておるわけであります。
猪俣浩三
68
○猪俣
委員
そうすると、
向う
方は、北大西洋條約のある国々は
戦闘
がないのだし、現在
日本
には
朝鮮
事変という
戦争
が行われておるのだ、そこで北大西洋條約の
原則
に従われないというような
主張
をしておるが、これに対して一体
外務省
はどういう
主張
をなさ
つて
おるのでありましようか。
下田武三
69
○
下田説明員
外務省
は、北大西洋條約が最も正しい現行
国際法
の
原則
に近いものであるから、これによ
つて
日本
における
国連軍
の
裁判権
をきめるのが正しいという
主張
をしておるわけであります。
猪俣浩三
70
○猪俣
委員
それは最初からわか
つて
おるが、
向う
の言い分に対してこちらはどうしてはね返しておるかというのです。
向う
には
戦争
がない、
日本
には
戦争
があるというようなことを言
つて
違うのだという
主張
をしておるというから、
外務省
はそれに対してどういうふうな
主張
をなさ
つて
おるか、それを聞いておるのであります。 ついでにさつきあなたがあげられた
向う
の
主張
に対してわが方としてはいかなる
主張
をなさ
つて
おるか、われわれに知らしめていただきたい。もしあなた方の知恵が足りなければこの
委員会
で知恵を出してもよい。
向う
はこう言うけれどもわれわれはこういう
主張
をしているという
主張
をひとつ明らかにしていただきたい。
下田武三
71
○
下田説明員
ヨーロツパ
には現在戦火を交える
戦闘
は行われていない、
極東
には
朝鮮
において
現実
の
戦闘行為
が行われているということは事案でございますから、その事実に対しては事案は事実として聞くだけでありまして、事実を否定する必要はないと思います。 それから
先方
の
主張
に対してわが方はどういう
主張
をしておるかということでありますが、先ほど
先方
の
主張
を紹介いたします前に、わが方の基本的態度を申し上げました。すなわち
日本
としては
一般国際法
の
原則
で行くべきである、そうしてもし先例にすべきものがあるならば、
一般国際法
の
原則
を最も思案に取入れている
北大西洋方式
で行くべきだというのが
日本
の第一の根本的な
主張
であります。 第二の
日本
の
根本的主張
は、
米軍
は
日本自体
の
国家
の安全を守るために駐留しておるのである、しかるに
国連軍
は
日本
の安全の防護という使命を持
つて
いないのであ
つて
、両者を区別するのは当然であるというのがそれであります。 第三の
日本側
の繰返して申しておりますことは、
日本
の特殊
事情
でございます。明治以来
日本
は
治外法権
の撤廃に非常に苦心さんたんして来た。多年の
外交
の結果やつとこれを解消することができたのであります。
従つて
日本国
民は
治外法権
的な
特権
に対しては非常に敏感であるという
国民感情
を訴えまして
主張
しておる。この三つがわが方の
主張
の最大
原則
であります。
猪俣浩三
72
○猪俣
委員
私がお尋ねしたいことは、
向う
の
日本
はもう
戦争
があるのではないかという
主張
、それをそのまま事実として認めているということに対して私どもは不満がある。これは
朝鮮
事変ですが、わが方とは
関係
がない。
日本
には
戦争
なんかありません。その
朝鮮
の
戦闘
に参加している
国連軍
なるものに対して、われわれが一体
日本国
としてどういう
待遇
をするか。
戦争
があるのだから北大西洋條約と違うというような論拠は、当然
日本
を
朝鮮
事変の当事国のように彼らが考えておるのではないか、こういうことをそのまま
外務省
がお認めにな
つて
いるということは、将来非常に禍根を残すと私どもは思う。私どもは
朝鮮
事変に
関係
がない。
日本
の国には
戦闘
がないのであります。それを
向う
がそういうことを口実にして、
朝鮮
の
戦闘
に参加していることをも
つて
日本
が当然その一員なるがごとき認識のもとに北大西洋條約との違いを指摘して
治外法権
的なことを
日本
に迫るということは、私は非常に大きな問題だと思う。それに対して
外務省
は一体うのみになさ
つて
おるのであるか。そうすると、すでに
日本
も
朝鮮
事変の
関係
国の一国として、その
当事者
のような気持に
外務省
はなられておるのであるか、それをお尋ねしておきたい。
下田武三
73
○
下田説明員
先ほど事実は事実と申しましたのは、
ヨーロツパ
においては
現実
の
戦闘行為
が行われず、
極東
においてはつまり
日本
以外の
朝鮮
において
現実
の
戦闘行為
が行われている事案を事実として認めたというのでありまして、
日本
が
朝鮮
事変の
当事者
であるというような
意味
では毛頭ございません。
猪俣浩三
74
○猪俣
委員
なお
平和條
約第
五條
に
国連
協定
の協力のことが書いてあるのではないかという論拠に対しては、
外務省
はいかなることをも
つて
対抗されておるか、それについてお尋ねいたしたい。
下田武三
75
○
下田説明員
平和條
約第
五條
の
義務
について
法律
論を言いますと、いろいろな
見解
が成り立つのでありますが、先ほど読みました「
国際連合憲章
第二條に掲げる
義務
、特に次の
義務
を受諾する。」と書いてございますが、この
平和條
約は
国際連合憲章
第二條をはさみで切りまして、そうして
平和條
約の中にくつつけた。つまりこの第二條の
義務
は
平和條
約の一部をなしておるという見方もございます。それから
国際連合憲章
第二條に掲げる
義務
は、これをしさいに点検すればいろいろな
義務
がございますが、今度の
朝鮮
における
国連
の
行動
は、安全保章
理事
会の勧告に基いて加盟国がとつた措置でございますから、加盟国は勧告に従うと従わないとの自由は有する。
朝鮮
に
兵隊
を出すことを欲しない加盟国は出さなくてもいいわけであります。加盟国ですらそうであるならば、いわんや
日本
のような非加盟国は、勧告に対しては従うと従わないとの自由のあることは当然であります。
従つて
これはただちに
平和條
約の一部に
なつ
た
憲章
に掲げる
義務
が、そのまま選択の自由なくして
日本
の
義務
として
なつ
たものであると見ることはできないというのが、私どもの
主張
であるのであります。
田嶋好文
76
○
田嶋委員長
他に御質疑はございませんか。—
外務大臣
は三時半に
出席
する予定でございますから、ここで十分間休憩いたします。 午後三時二十三分休憩 ————◇————— 午後三時五十五分
開議
田嶋好文
77
○
田嶋委員長
休憩前に引続きまして
会議
を開きます。 質疑の通告がありますからこれを許します。
松岡松平
君。
松岡松平
78
○
松岡
(松)
委員
條約
局長
にお尋ねいたしたいのですが、先ほど
相手
国から
国際公法
は第二次
大戦
を通じていろいろ変化しておると言
つて
いるということでありますが、なるほど多少の変化もありましよう。しかしその変化は條約を通じて変化されておるのであ
つて
、條約なくしての変化ということはあり得ないわけなのであります。これらの
主張
に対するいかなる反駁的な
主張
を
日本
政府
はや
つて
おるのか。それから
援助
ということでありますが、およそ
援助
という観念については、
裁判管轄権
の問題、ことに
アメリカ
の場合は
日本
の防衛という立場から明白でありましようが、
朝鮮
の場合においては、
極東
々々と
相手
国が言うておるようですが、
極東
における
朝鮮
も世界における
朝鮮
も立場は別にかわらない。
極東
のことならば
国連
が
関係
を持つ以上は世界の
朝鮮
として関連を持
つて
おるのでありまして、
極東
にそういう
事態
が起きておるからあたかも
日本
を守るがごとく言われておるように私どもには聞えるのであります。そういうことが
国連
の
憲章
に基く
行動
に対する
援助
というものに入るのかどうか。言いかえるならば、連合国軍の
軍隊
に属する人たちがたまたま、
日本
の町に出て来て婦女子を犯したり、あるいはどろぼうを働いたり、あるいはその他の人権を侵すような
行動
をしたら、それを
裁判
するのは
独立
国の国権の発動である。それを
相手
国がそういうものまでも自分の手によ
つて
裁判
をしなければならぬという
主張
を持つこと自体が、それが
援助
であるという考え方をどういうふうにお考えにな
つて
おるのか。
外務省
当局としてもかなりこれを問題にしていると思う。そういうことまでが
援助
に含まれておるのかどうか。それに対してどういうふうに反駁的
主張
をしておられるのか。先ほど
外交
上の機密に関することは発表できないというお
言葉
でありましたが、それは別にしても、そういう理論的な反駁の
内容
は話しても私は一向さしつかえないことではなかろうかと考える。その点について私どもの理解の行くように御
説明
願いたい。
下田武三
79
○
下田説明員
御質問の第一点の、
国際法
はただかわつわつたと言
つて
もかわるものではなくて、
国際法
の淵源の
一つ
といたしまして、成文
国際法
、換言すれば條約ができて初めて
国際法
がかわるのではないかという御
見解
、まつたく同感でございます。
軍隊
の
特権
の
一つ
として、
刑事裁判管轄権
の行使についてはこれは今まで普遍的な條約はなかつたわけでありまして、万国
国際法
学会でいろいろな法典編纂の試みはございましたが、でき上つた
一般
的な條約というものは私どもは
承知
しているものではありません。それで個別的な
各国
間の條約でありますが、
先方
に対して、
国際法
がかわつたというからにはその証拠を見せろということを言いまして、
先方
からぽつぽつ送
つて
来ておりまするが、たとえば一九四二年に英米聞に交換公文をもちまして、英国における
米国
軍隊
の
裁判管轄権
を
規定
したものがございます。これはやはり
アメリカ
の軍法に付する者に対する
裁判権
は、
アメリカ側
に専属的に認めるということを
規定
しております。その他二、三あるようでございますが、まだ完全なるテキストをそろえてはおりません。かように
先方
は、條約でこのようにかわ
つて
来ておるのだからという実例はあげて来ております。 第二の点は、
日本
は
平和條
約第
五條
で
国連
の
行動
に対して
援助
を与えると言うが、一体
刑事裁判管轄権
の問題で、便宜の措置をきめてやることがどういう場合
援助
になるかという点の御質問でございます。
先方
は軍事的能率ということに非常に重きを置いて話をしておるのでありますが、
先方
の考え方は、たとえて申しますと先般の神戸の英水兵事件で水兵が数箇月間身柄を拘束されたというような場合、軍艦の乗組員は武器の搭載、弾薬の搭載でできるだけ最小限度の人員を乗せておる。一門の大砲を四人で処理することにな
つて
おる場合に、四人のうち一人が欠けたら軍艦の
行動
自体に支障を来す。軍艦の場合は特にそうでありますが、陸上兵力におきましても、地球の
反対側
からあるいは船により、あるいは飛行機によ
つて
莫大な
経費
をかけて送
つて
いる一人々々が貴重な存在である。
従つて
これを
日本側
で長く身柄を引きとめるということは、作戦上支障を来すということを言
つて
おるのであります。
先方
は何も
日本
が罰しないからとい
つて
、
向う
も罰しないのではないのだ。
向う
はむしろ
日本
以上に、軍法
会議
で
日本
が罰すると予想される以上に厳罰に処しておるのだけれども、作戦軍が罰する場合には、おのずから軍事上の必要に適合した罰し方をしたいということを言
つて
おるのであります。従いまして軍の
構成員
に対する
先方
の限られた人員の最も効果的な使用、その使用に便宜を与えてくれという
意味
で
先方
は
援助
、そう申しておるわけであります。
相川勝六
80
○相川
委員
條約
局長
にお伺いしたいのですが、そういうふうに
向う
が言うと、
外務省
はどういうふうにおつしやるのですか。それはごもつともとしてお引込みになるのですか、それをお伺いします。
下田武三
81
○
下田説明員
軍隊
の
特権
というものは
国際法
上認められてお
つて
、その
国際法
上いかなる範囲まで
特権
を認めるかということは
軍隊
の性質上から来る作戦の必要と、
軍隊
を送
つて
おる国の
法律
秩序の必要との妥協でございます。従いましてわが方としては、あくまで公務に無
関係
な
犯罪
については
日本側
が
一般国際法
上の
原則
に
従つて
、
裁判管轄権
を行使すべきだということを繰返し繰返し今日まで
主張
しておるわけであります。
松岡松平
82
○
松岡
(松)
委員
今までの点でありますが、なるほど軍の作戦用兵上、
援助
という考え方には多少触れて来るようでありますけれども、しかしながら彼らが用いておる
軍隊
の中にそういう
犯罪者
が一体何パーセントいるか、零点零幾つに当るかという問題でありまして、それはほんの
言葉
の上のあやで、結局これは
各国
の
国民
としての生存上における
一つ
の自信、いわゆる
国家
の一員であるという以上は、自己が犯されたる
犯罪
に対して自国が厳正なる
裁判
をしてくれるということが
国民
としての
一つ
の安心感であり、信頼感であろ。これがその
裁判権
を他国にやすやすと与えるということは重大な問題であります。
援助
に名をかりて、しかも
日本国
民に対して
一つ
の劣等感を持たせる、
一つ
の不安を与えるということは、連合国としておよそ
意味
のないことであると私は思う。しかも作戦用兵上の
援助
と言われるけれども、その作戦用兵上の支障などというものは、パーセンテージから言えば一体どの程度に当るものであるか。
個々
の具体的な場合において言うならば、一体どの程度の必要になるのか、私はとうてい考えられない。ただりくつの上だけに現われて来る
一つ
の
言葉
にしかすぎない。こういう点について
外務省
当局はほんとうに、先ほど申し上げたようにもつと
国民
の輿望というものをにな
つて
、あらゆる論証をも
つて
答え
ておられるかどうか、どうもまだ私は納得が行かないのであります。その点はなかなか重大な問題でありますから、
外務省
当局におかれましても簡単な問題ではありますまい。
猪俣浩三
83
○猪俣
委員
これは外務当局並びに法務当局にも、質問であるか希望ということになるか知りませんが、先般の文芸春秋だつたと思います。これは山梨県下の事件だと思うのですが、学校の女の先生が進駐軍のために強姦される、そして
向う
の
裁判
にかけられたところが、これが妙な判決の処置によ
つて
無罪にされた。その先生は実に学校の教員であり、処女であつた人物、これがために婚姻の予約をしておつた
相手
があるけれども、ほとんどそれを破棄されるような
状態
にある上、学校の先生であるだけに生徒に与えた影響も甚大である。私どもはあの判決を見まして驚いたのであります。
日本
の最高
裁判
所判事をやつた塚崎直義氏も、実に乱暴な判決であるというふうに論じておるのであります。かようなことが、今、公にされておりまして、しかも呉市あたりには
国連軍
の暴行が頻々とあるということが当
委員会
の問題にもなり、近く
調査
団を派遣しようという相談までもある際であります。さような
意味
におきましてこの
裁判権
の問題は重大な
国民感情
と相な
つて
おると存じますので、
イギリス
の水兵事件については法務省が相当われわれの期待するような態度をおとりにな
つて
いるやに聞くのでありますが、どうかこういう問題につきましては
外務省
は法務省と十分なる連絡の上、せつかく盛り上げて来ておりまする
国民
の
独立
感を阻害しないようにや
つて
いただきたい。その
意味
におきまして、あなた方が
向う
の
主張
に対してどういうようなこちらの強固なる態度でも
つて
応酬せられておるか、その模様を実は承りたいのが各
委員
の考えだと思うのでありますが、どうも何だかはつきりしないのであります。もちろんあなた方としてははつきりさせるだけの自由がないのかも存じませんが、かような
国民感情
のあることも十分に認識していただきたい。そうしてこの
交渉
の過程において、かような女教員の
裁判
問題などを皆さんが持ち出されたことがあるかないか、それをひとつ承りたい。
下田武三
84
○
下田説明員
法務省との連絡は、岡原検務
局長
がうるさいと思われるくらい、私どもの方からいたしております。従いまして最近法務省と
外務省
との足並は完全にそろ
つて
おるわけであります。御指摘の刑事事件に対する考え方も、
外務省
も法務省もまつたく同じ考えを持
つて
おります。御質問の、こういう刑事事件の頻発に対してどういう措置をとつたか。法務省からいただきました資料に基きまして、
犯罪
の件数、その
内容
を横文字に直しましたものを
先方
に与えまして、数回警告を発しております。
先方
では
日本側
の
申入れ
をもつともだといたしまして、あるいは
司令官
のサーキユラを流すとか、あるいは呉におけるいろいろな措置、たとえて申しますと、呉のきま
つて
ある飲食店では
犯罪
が起るというようなところもありますので、これはあまりビールやなんか飲めるところが多過ぎるのだというので、米側の司法官憲と協議して、Aクラスと申しますか、これだけの飲み屋以外は入
つて
はいかぬというような制限もとりまして逆に
日本側
から、そうされると、それ以外の飲み屋はあがつたりになるから、何とかもう少しふやしてくれという地元の要求も出て来るような
状態
で、あるいは軍艦が入港して、
兵隊
の出入がはげしいような場合には、十一時以後の外出禁止であるとか、交代兵等が大勢来たからとい
つて
、事前に
日本側
の警察に連絡して来るとか、最近
先方
の態度は、いかにしても不幸な刑事事件の発生を防止したいという、非常にまじめな気持で、
日本側
に協力しておる次第であります。それで実際問題といたしまして、刑事事件の数は最近特に減少して来ておるように私ども報告を受けております。
猪俣浩三
85
○猪俣
委員
なお、民間側の声をあなた方に通ずることは
一つ
の任務だと思いますので、先般駐留軍の労務に服しておりまする労働組合の執行
委員長
が
陳情書
を持
つて
参りました。それは
朝鮮
へ輸送の任に当
つて
おります船員が、釜山沖におきまして、窃盗の嫌疑をかけられ、
国連軍
のために捕われて、非常な拷問を受けて、身体に障害を受け、遂に内地に送還された。これに対して、まつたく事案無根であるが、とりつく島がない。かような問題に対して一体どうするのであるかということを陳情に参りました。かような事案について
外務省
は
調査
されておるか。しかもそれに対して
国連軍
当局に何らかの連絡をとられたか、承りたいと思います。私は今ここに
文書
を持
つて
来ておりませんが、輸送の任に当
つて
おつた船の船員であり、
朝鮮
の埠頭で窃盗の嫌疑で非常な拷問を受けた事件で、
外務省
の何課だかにも陳情に行つたはずでありますが、あなた方の耳に入
つて
おるかおらぬか、入
つて
おらぬとすれば、
調査
して善処していただきたい。
下田武三
86
○
下田説明員
ただいまの件は主管局アジア局の方にはむろん行
つて
おると思いますが、條約局の方では、
個々
のケースについての処理をいたしておりませんので、私存じませんが、さつそく調べまして、どういう措置をとつたかを御報告申し上げたいと思います。
猪俣浩三
87
○猪俣
委員
法務省の岡原さんにお聞きしますが、今の事案のような問題は一体どこへ持ち込めばいいのですか。そういう事案を取扱
つて
おる局が一体どこにあるのですか。これはまつたくの人権蹂躙なんだ。
岡原昌男
88
○岡原
説明
員 私どもの直接の所管ではございませんが、いろいろ考えてみますと、賠償問題は特利調達庁ですか、あの方の所管ではないかと思います。
猪俣浩三
89
○猪俣
委員
損害賠償の問題はそこへ行くかもしれぬが、そういうまつたく無実の罪を着せられて拷問を受けた者に対して、その
相手
を不問に付すべきじやないと思う。こちらに処罰権がないにしても、何かの
機関
において、
向う
の官憲に要請するか何か手続をしなければならぬ。それは一体どこへ持ち込むのが本筋ですか。
岡原昌男
90
○岡原
説明
員 ただいま賠償の問題を申し上げましたが、なおこれも刑事
関係
と見まして、その被疑者が
日本
人であるか
外国人
であるかによ
つて
またわかれて来ると思うのでございます。被疑者が
国連軍
人で、被害者が
日本
人であります場合には、その
犯罪者
が
米国
軍人
でありました場合には、例の
日米
行政協定
が働くかどうかという問題が出て参ると思います。それからもしそれ以外の
国連軍
の将兵でありましたならば、先般来問題にな
つて
おります直接の
協定
のない、目下ぺンデイングにな
つて
おる
国際公法
の
原則
の線で、
事態
を個別的に処理する、かようなことに相なろうかと思います。従いましてその所管は、一応具体的な事案の詳細を私の方で承りまして、御判断といいますか、御鑑定いたしたいと思います。
古屋貞雄
91
○古屋
委員
先刻
清瀬委員
からお尋ねのあつた
相手
の問題でございますが、私ちよつと疑念があるので、なお重ねてお伺いしたいと思います。
各国
との
協定
だとおつしや
つて
おるのですが、しからば今
アメリカ
を
相手
にしてや
つて
おるのでありますが、
アメリカ
との
関係
はどうでありますか。
行政協定
で、管轄権はすでに
アメリカ
にあるということにきま
つて
おるのに、この
国連軍
の今の管轄権の問題の
協定
交渉
に、
アメリカ
の方がお出ましにな
つて
交渉
にな
つて
おる。しかも
アメリカ
の大使は、
日本
の要求
通り
にするならば、いわゆる属地主義の政策をとるならば、上院で北大西洋條約の批准ができないということまで言われておることを
新聞
に書いておるのですが、こういう点どうも納得が行きません。その点納得の行くような御
説明
を願いたい。 それからもう
一つ
は、
吉田
書簡を出さなければならなかつた何か特殊の
事情
があ
つたの
ですか。あればその点の御
説明
を願いたい。その二点です。
下田武三
92
○
下田説明員
第一点は、
米国
はどういう資格で
協定
の当事国になるかという点でございますが、これは実はまだ未
決定
なのでございます。
先方
は
朝鮮
作戦に従事している
米軍
も、安全保障條約に基いて
日本
を守るためにおる
米軍
も、観念的には区別できるけれども、実際
日本
におる間は同じく
クラーク大将
の麾下の
軍隊
であ
つて
、
朝鮮
に行つたからすぐ
日本
に帰
つて
来ても、これは
国連軍
だ、
米軍
でないと区別することに、観念上は言い得ても、
軍隊
の実際からは言えないのだ。
従つて
米軍
はすべて
行政協定
一本で処理すべきだというのが
アメリカ
の
主張
であります。
従つて
アメリカ
が
国連軍
の
当事者
となる
意味
は、
クラーク大将
が
国連軍
の最高
司令官
で、その統一司令部、ユニフアイド・コマンドというものがありますが、そのユニフアイド・コマンドの
当事者
としての資格に基いてやるべきもので、
派遣国
としての資格でやるのではないのだというのが
アメリカ
の
主張
であります。それに対して
日本
は、いや
朝鮮
作戦に従事することを主たる任務とする
アメリカ
軍も
国連軍
の一部である。
従つて
英連邦軍
と同じに
国連軍協定
の対象となるべきだという
主張
をいたしておるのであります。この点は意見が対立したまま未
決定
にな
つて
おります。 第二点の
吉田
書簡を出さざるを得なかつた
事情
と申しますのは、私直接
関係
いたしませんでしたが、聞きますと、
先方
の当初の要求は
行政協定
と同じ
待遇
を
国連軍協定
に与えるように講和発効後してくれということを、講和発効前、占領時代から強く要求しておつたようであります。これをあくまで回避するために
吉田
書簡が発せられて、
国際法
の
一般
原則
で処理するという大
原則
を冒頭に立てました
吉田
書簡というものが発生した、
先方
の
行政協定
と同じ
待遇
を
国連軍
に与えろという強い
主張
を回避するために、ああいうものが出たというように聞いております。
古屋貞雄
93
○古屋
委員
先刻
清瀬
さんからもその点をお尋ねしておつたようですが、その書簡に書かれた
事項
が道義的に
義務
づけられるというような
意味
のものであるというお
答え
があつたようですが、むしろさようなものを出さなくて、現在
政府
が御
主張
にな
つて
いるような国際慣行で行くのだという
主張
を
政府
は強く出していただきたいというのが
国民
の要望と考えるのですが、そういう問題につきまして一応出したものを前提して—これはくどいようでございますが、前提として
相手方
から管轄権に対する既成事実というような、ことにな
つて
の反撃を受けているような事実があるように思いますが、その点はいかがでしようか。
下田武三
94
○
下田説明員
先方
は占領時代は非常な
特権
を持
つて
おりましたが、講和発効によ
つて
日本
が
独立
回復後は占領時代の
特権
はもちろん、
国際法
に照して不正当と思われるような
特権
は剥奪すると申しますか、
日本側
の方がむしろ奪う立場に立
つて
、攻勢に出て、今度の
協定
は
先方
の考えで言いますと、非常に
日本側
の
主張
が強くてたじたじにな
つて
おるというのが客観的の
事態
だと思うのであります。
古屋貞雄
95
○古屋
委員
なお先刻御報告がありましたことについて、
外務省
のこれに対する具体的なお考えを聞いておきたいのです。その点
大臣
にも後刻御
出席
になりましてから重ねて御質問したいと思
つて
おりますが、
国連軍
が国内において不法行為をなした問題については、被害者は
日本
の
国民
である。
従つて
この不法行為に対する処罰が明確に、
国民
の納得の行くような方法を講じていただかなければ、
国民
の
相手
国に対する感情はますます悪くなる。なおそれに対してわれわれから考えますならば、思い及ばないような結果を引起す原因になるということを考えましてお尋ねするのですが、
平和條
約第
五條
に対する協力の問題について、
相手方
は
国連軍
の
行動
に対する
裁判管轄権
を、
行政協定
の
米国
に対する
関係
と同じようにしなければならない。協力の
意味
がそういう点まで協力をすべきだということをしいられておるようですが、不法行為をした場合に、これに対する事案を明確にして、制裁をはつきりするその管轄権が、属地主義によらずして属人主義的な
方式
によらなければならないということはいかなる
意味
の協力か、
外務省
はこれに対してどんなお考えを持
つて
おられるか承りたい。すなわち
日本
が
国連軍
に協力をするその協力が、不法行為に対する
裁判管轄権
を
相手
国に与える、それが協力の
意味
にもなるという
先方
の御
主張
らしいのですが、これに対して外務当局はどういうお考えを持
つて
おられるか承りたいと思います。
下田武三
96
○
下田説明員
同一の不法行為があつたといたしました場合に、その
軍人
の
所属国
は軍律による
裁判管轄権
を持
つて
おります。ところがその
犯罪
が
日本
領土内で起りますと、
日本
は領土権の当然の結果としてその
犯罪
に対して
裁判管轄権
を持
つて
おります。二つの主権
国家
の
裁判管轄権
が競合するわけであります。そこでどこで線を引いていずれに優先的な
裁判権
を認めるべきかという便宜の問題にな
つて
参ります。領土国としては当然自国領土内で起つた
犯罪
は、たとい
外国
の
軍人
が犯したものであろうと自国
裁判
所が
裁判
すべきことを
主張
するのは当然でありますが、
軍隊
という特殊な性質に基きまして、
軍隊
派遣国
は、軍律に従う者は軍事
裁判
所で罰したいという
主張
を持つのもまた当然であります。そこで
日本側
は、その問題は
一般国際法
の
原則
に
従つて
行くべきだという
主張
をしておるわけであります。
先方
は、
日本側
の
主張
する
一般国際法
というものは第二次
大戦
で條約の明文をも
つて
多くの変化が行われておる、そういう
建前
から
ヨーロツパ
諸国が認めた先例をなぜ
日本
が認めてくれないか、そしてその先例を認めてくれるならば、
軍隊所属国
は自分の方の軍事上のそれに最も相応した処罰の仕方をする、そうしていかに厳罰に処したかという結果も
日本側
に御通報いたしましようという態度であります。
古屋貞雄
97
○古屋
委員
今の問題は、
相手
国の要求をいれるということになりますと、結局
日本
の主権に制限を加える結果になるのでありまして、
国民
としては絶対に譲れない線である、かように信ずるのでありますが、との問題は主権に制限を加えることになるかならぬかに対する外務当局の御意見を承りたいと思います。
下田武三
98
○
下田説明員
いかなる
協定
も
国家
主権に対する制限であることはかわりないと思うのであります。いかなる條約でありましても、
国家
に対する主権の制限であるとか、一定の
義務
を約束するわけであります。しかしその主権の制限をどの程度に受けるかというところで、
日本側
は確立されておる
一般国際法
の
原則
に準じた主権の制限の程度でとどめたいということであります。それに対して、
日本側
の言う
国際法
は古いので、第二次
大戦
中の幾多の
事例
でも
つて
くつがえされておる、
ヨーロツパ
諸国がお互いに認めている程度の主権の制限は
日本
も認めてくれてもよいじやないかというのが、
先方
の
主張
であります。
田嶋好文
99
○
田嶋
委員
この際
小畑虎之助
君より
本件
の取扱いについて御
発言
を求められておりますから、これを許します。
小畑虎之助
100
○小畑
委員
大臣
が御
出席
にならぬことは非常に遺憾であります。法務
大臣
ももちろんさようでありますけれども、特にこの際
外務大臣
が御
出席
にならぬということは非常に遺憾であります事は申し上げるまでもなく非常に重大な問題でありまして、しかも
国会
としても急速に研究をすべきものは研究をいたしまして、態度をきめなければならぬことに迫られておるのであります。もちろん次会に
大臣
が御
出席
になりましたならば、十分本問題に対する検討を続けなければならぬことはもちろんでありますが、特にこの際急速に意思表示をするところの必要がある、かように考えるのであります。当
委員会
といたしましての意思表示を急ぐ、かように考えるのでありまして、私どもの考え方から申しますと、今
折衝
をせられております
国連軍
との
協定
に定めるべき、ただいまここで問題にな
つて
おります
刑事裁判権
につきましては、結論といたしまして、
独立
国の本質にかんがみて、まずわれわれは
日米
行政協定
の全面的改訂を求めたいと思
つて
おるのであります。しこうして今回の
国連軍側
に対する
交渉
につきましても、伝えられるところの属人主義を排して、
一般国際法
上の
原則
に基いて、いわゆる北大西洋條約の線に沿つた
協定
の
締結
に進むべきものである、かように思
つて
おるのであります。私どもが所属いたしております改進党は、すでにこの態度を
決定
いたしたのでありますが、各党ともにその
主張
のとりまとめを願いまして、そうして次回の当
委員会
におきましては各党の案を持ち寄りまして、適当なる決議を行いたい、かように思うのであります。皆さんの御賛成を願いたいと思うのでございます。 なお一言附加いたしておきたいことは、かかる重要問題で、しかも急速に研究を意思の表示を必要とする場合におきましては、すべての国務
大臣
諸君は約束を重んじて、そうして前に何日の何時に出るということをお約束になりましたならば、優先的にその時間の御都合を願いますことは当然のことでありますから、どうぞ法務
大臣
、
外務大臣
に対しましても
委員長
より厳重にこの趣旨をお伝えを願いたいと思うのであります。
田嶋好文
101
○
田嶋委員長
ちよつと
委員長
として小畑君にお尋ねいたしますが、その取扱いの
発言
の中に
日米
行政協定
の全面的改訂という
言葉
がありましたが、それも各党に持
つて
帰
つて
協議する
條項
の中に入るのでございますか。今回の
国連軍
との
刑事裁判権
の問題だけでございますか。
小畑虎之助
102
○小畑
委員
日米
行政協定
の改訂の問題につきましては、私の意見であり、かつ改進党がその態度を
決定
いたしておりますことを御参考までに申し上げた次第でございまして、この問題の取扱いについては、各
委員
が各党に帰りまして、各党の意見をいかにするかという意見をとりまとめて、その上で当
委員会
において論議の末適当なる御決議を願いたいかように考えております。
田嶋好文
103
○
田嶋委員長
あなたの議題の中心は何にかかるか。
日米
行政協定
をのけた
国連軍
との今回の
刑事裁判権
に対することだけですか、それとも、やはり
日米
行政協定
の
刑事裁判権
の問題にまでわた
つて
各党で協議して行くのですか。
小畑虎之助
104
○小畑
委員
その問題は各党の御随意でございますから……。
田嶋好文
105
○
田嶋委員長
ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
田嶋好文
106
○
田嶋委員長
それでは速記を始めてください。 本日議題に
なつ
たものについて、各党に持ち帰
つて
協議する、こう了解していいですね。—それではただいま小畑君の御
発言
の
通り
委員会
においてとりはからうことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田嶋好文
107
○
田嶋委員長
御異議なしと認めます。それではさようとりはからいます。 本日はこれにて散会し、次会は明後日十五日午前十時より開会いたします。 午後四時四十二分散会