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田中(久)
委員 教育委員会法及び
教育公務員特例法の一部を改正する
法律案について、補足
説明を加えたいと思います。
ただいま議題となりました
教育委員会法及び
教育公務員特例法の一部を改正する
法律案の改正の要点について簡単に御
説明をいたします。
教育委員会法は御承知の通り昨年第十四国会におきまして、地方
委員会の設置等を一年延期するという政府の改正提案が、参議院におきましては全会一致可決されながら、衆議院におきましては抜打ち解散のために
審議未了と相
なつたものであります。
従つて現行法のごとくただちに全市町村に
教育委員会を設置することについては、政府並びに自由党も十分に検討の必要を認めておられ、また輿論もほとんどそれを望んでおるのであります。私
どももこの
改正案に対しては全面的にこういう意味から政府与党ともに御賛同をいただけるものと確信をいたしておる次第であります。
まず第一点の改正点は、地方
教育委員会を任意設置にいたしました。すなわち現行法におきましては
教育委員会はその第三条第一項において、都道
府県及び市町村にこれを設置するとあります。すなわち地方住民の意思のいかんにかかわらず、これを義務的に設置しなければならないということに相な
つておりました。これを今回は、五大都市以外の市または町村の
教育委員会は当該市町村の条例によ
つてこれを置かないことができるというようにいたしたのであります。この場合あらかじめ当該
教育委員会の意見を聞かなければならないこととし、また条例の制定には、
出席議員の三分の二以上の同意がいることといたしました。このことは現に就任をしておる教育
委員が地方住民の直接選挙によ
つて選ばれていることと、教育基本法及び
教育委員会法の精神にのつとる教育行政の重要性を考え、特にその存廃にあた
つて慎重を期する必要があると考えたからであります。さらに
教育委員会を置かない市町村の教育
事務については特例を設けまして、当該市町村長がこれを管理し、執行することにいたしました。
改正の第二点は教科内容及びその取扱い、教科用図書の採択、教職員の研修、給与
負担職員の人事、保健、福利、衛生等の
事務を、都道
府県委員会の権限に移しました。これは昨二十七年十一月一日に全市町村に
教育委員会が設置せられて以来の実情にかんがみまして、また
昭和二十三年
教育委員会発足以来都道
府県委員会がいろいろ処理いたして参りました事柄について考えました場合に、どうしても都道
府県委員会の所管
事務にしないと、教育行政の円滑な運営ができないと考えたからであります。と申しますのは、たとえば現在設置されておる地方
委員会のうち、町村に設置されておるもの九十何パーセントまで教育長は助役兼任であり、
委員会の
事務職員は役場吏員の兼任であり、たまたま専任職員が置かれておりましても、それはほとんどの町村がただの一名であります。このような事態をこのまま放置いたしますならば、教育を破壊するばかりであると考えまして、都道
府県委員会に機関委任をすることにいたしたわけであります。ただこの場合職員の人事につきましては特に慎重を要しますので、当該市町村の
教育委員会、
教育委員会が置かれていない場合は市町村長の意見を求めなければならないことにいたしております。
第三点は五大市を除く市及び町村の
教育委員会には教育長を置かないことができるようにいたしました。これは特に財政的な
理由によるのでありますが、現行法によりますと、本年三月三十一日までは当該市町村の教育
関係の部課の長が兼ねてもいいことにな
つておりますが、四月一日からはどうしても専任の教育長を置かなければならない。御承知のごとく教育職員免許法によりまして教育長になるためには相当な資格要件がいるわけであります。
従つてこれらの資格要件を備えた教育長を迎えるためには、相当高額の
俸給を支給しなければなりません。このことは財政の貧弱な町村においてはとうてい耐えられないことであり、第二点の改正と相ま
つてこれを置かなくても仕事ができると考えまして、条例で置かないことができるとしたわけであります。
次に
教育公務員特例法の改正でありますが、第一点は、給与
負担職員の勤務条件に関する措置の
要求及び不利益
処分に関する審査機関についてであります。これは勤務条件に関する措置の
要求については、地方公務員法に明記されているものを現行特例法には抜けておりますので、入れたまでであります。なおこの
要求及び不利益
処分に対する審査機関は、人事権の移動とともに都道
府県の人事
委員会に当然移るものとしてそのように措置いたしました。
第二点は職員団体でありますが、現行法では給与については都道
府県に、人事は市町村に交渉しなければならないことにな
つておるのを、人事給与ともに都道
府県に移しましたために、職員団体も都道
府県の当局と交渉するための団体を結成できるようにいたしました。
なお
委員会法第二条、第四条、第五条、第二十九条、第三十一条、第四十五条、第四十七条、第五十二条、第六十一条、第六十五条、第六十五条の三、第六十五条の五、第六十六条、第六十八条、第八十一条、第八十五条、第八十六条、特例法第二条、第十三条、第十六条、第十九条、第二十五条の二、第二十五条の四、第三十三条、は、これらの改正に伴う当然の
整理条項として処理いたしました。
何とぞ
文部委員会全員の御賛同を仰ぎたいと思います。