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1953-02-19 第15回国会 衆議院 文部委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十九日(木曜日)     午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 伊藤 郷一君    理事 坂田 道太君 理事 竹尾  弌君    理事 田中 久雄君 理事 松本 七郎君    理事 坂本 泰良君       北 れい吉君    東郷  實君       永田 亮一君    長野 長廣君       水谷  昇君    井出一太郎君       菊地養之輔君    辻原 弘市君       山崎 始男君  委員外出席者         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     福田  繁君         文部事務官         (初等中等教育         局地方課長)  北岡 健二君         参  考  人         (沖繩教職員会         会長)     屋良 朝苗君         参  考  人         (沖繩教職員会         教育研究部長) 喜屋武真栄君         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衞門君     ————————————— 二月十八日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として田  中稔男君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員田中稔男辞任につき、その補欠として辻  原弘市君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 同月十八日  教育委員会法及び教育公務員特例法の一部を改  正する法律案田中久雄君外二百二名提出、衆  法第三七号) 同月十二日  青年学級振興に関する請願外五件(山崎猛君紹  介)(第一七〇七号)同外三件(丹羽喬四郎君  紹介)(第一七六九号)  学校給食法制定等請願外九件(星島二郎君紹  介)(第一七〇八号)同(犬養健紹介)(第  一七〇九号)  同(江崎真澄紹介)(第一七七二号)  教育委員会法の一部改正に関する請願羽田武  嗣郎君紹介)(第一七七〇号)  盲、ろう児就学奨励法制定に関する請願(河野  密君紹介)(第一七七一号)  教職員給与市町村移譲反対に関する請願(川  野芳滿紹介)(第一七七三号)  市町村教育委員会設置費全額国庫負担に関する  請願川野芳滿紹介)(第一七七四号)  高等学校定時制教育振興法制定に関する請願(  三木武夫紹介)(第一七七五号)  公立義務教育学校教職員の定員並びに給与の  負担に関する請願(阿部千一君紹介)(第一七  七六号)  公立学校緊急施設費等に関する国庫負担制度の  立法化に関する請願川野芳滿紹介)(第一  七七七号) 同月十六日  学校建築等建設用地買収費国庫補助等に関す  る請願赤路友藏君外九名紹介)(第一九一九  号)  教職員給与準則制定に関する請願八木一男君  紹介)(第一九二〇号)同(辻原弘市君紹介)  (第一九二一号)  学校給食法制定等請願外一件(和田博雄君紹  介)(第一九二二号) の審査を本委員会に付託された。 同月十二日  義務教育費全額国庫負担等に関する陳情書(第  一二三三号)  義務教育費国庫負担に関する陳情書(第一二三  四号)  義務教育予算増加に関する陳情書(第一二三五  号)  六・三制教育施設整備に関する陳情書(第一  二三六号)  公立学校施設災害復旧事業費国庫負担制度の立  法化に関する陳情書(第一二三七号)  青年学級振興に関する陳情書(第一二三八号)  勤労青少年教育振興に関する陳情書(第一二  三九号) 同月十七日  義務教育費全額国庫負担制度に関する陳情書外  一件(第一三三六号)  名古屋工業大学生産工学科並びに繊維工業研  究所設置請願福井勇紹介)(第一九二三  号)  学校校舎改築費国庫補助等に関する請願外二件  (只野直三郎紹介)(第一九二四号)  産業教育振興法による中学校への国庫補助増額  の請願山口丈太郎紹介)(第一九二五号)  産業教育振興に関する請願只野直三郎君紹  介)(第一九二六号)  教育委員会設置費全額国庫負担に関する請願外  三件(只野直三郎紹介)(第一九二七号) 同月十八日  産業教育振興に関する請願江崎真澄紹介)  (第二一六八号)  定時制高等学校校舎建築費国庫補助等に関する  請願山中日露史紹介)(第二一六九号)  学校給食法制定等請願外三件(近藤鶴代君紹  介)(第二一七〇号)  同(内田信也紹介)(第二一七一号)  同(木暮武太夫紹介)(第二一七二号)  紀元節復活に関する請願大倉三郎紹介)(  第二一七三号)  らい療養所内高等学校設置に関する請願(永  田良吉紹介)(第二一七四号)  旧海軍工廠工員養成所卒業生文部省資格認定  に関する請願前田榮之助君紹介)(第二一七  五号)  老朽校舎改築費に関する請願大石ヨシエ君  紹介)(第二一七六号)  義務教育整備に関する陳情書(第一三三七号  )  義務教育施設整備復旧促進に関する陳情書(  第一三三八号)  六・三制一般校舎整備費補助等に関する陳情書  (第一三三九号)  学校給食に関する陳情書(第一三四〇号)  同(第一三四一号)  青少年問題対策に関する陳情書(第一三四二号  )  産業教育振興法に基く国庫補助増額に関する  陳情書(第一三四三号)  盲、ろう児就学奨励法制定に関する陳情書(第  一三四四号)  紀元節復活に関する陳情書(第一三四五号)  同(第一三四六号) を本委員会に送付された。     ————————————— 本日会議に付した事件  教育委員会法及び教育公務員特例法の一部を改  正する法律案田中久雄君外二百二名提出、衆  法第三七号)  文部行政に関する件  参考人より意見聴取の件     —————————————
  2. 伊藤郷一

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  文部行政に関する件を議題といたします。本件に関連して参考に資するため、沖繩諸島における文教についてその事情を聴取したいと存じます。  まず参考人指名を行います。沖繩教職員会長屋良朝苗君、及び教育研究部長喜屋武真栄君の両君を参考人指名いたします。  この際お断りいたしておきますが、文部行政について沖繩事情参考にするため御出席願つたのであります。屋良朝苗君。
  3. 屋良朝苗

    屋良参考人 ただいま御紹介いただきました私沖繩教職員会を代表して参つておりますところの屋良朝苗であります。  本日本委員会におきまして日ごろ私どもが悩んでおりますところの深刻な問題について訴えを申し上げ、お願いをする機会を与えてくださいましたことは、終戦以来祖国と切り離された悲境にある私どもにとりましては格別な感激であり、光栄でありまして、ここに深甚の謝意を表する次第であります。この機会を与えてくださいましたことは、皆々様が沖繩のことにつきまして非常に御関心を払つてつてくださるということの現われでありまして、私は沖繩全住民を代表いたしまして、その御厚意に深甚の感謝の意を表する次第でございます。  さて悪夢のような十数年の歳月は、御同様有史以来のいばらの道でありましたが、今や祖国は晴れて主権を回復し、独立第二年を迎え、いよいよ国運発展基礎を固められつつありますことはまことに喜びにたえず、衷心から祝意を表するものであります。  しかしながら翻つて沖縄現状を顧みますと、今次太平洋戦争におきまして、物心両面ともに灰燼的な打撃を受け、さらに戦後長い期間完全なる占領行政特殊事情のもとに置かれて参つたのであります。いままた変転きわまりない国際情勢の俎上に載せられて、将来についても確たる見通しも立たない苦境に立つて懊悩している次第であります。この複雑混迷のさ中にあるだけに、真に再建基礎をつちかう教育の持つ意義は、実に重かつ大なるものがあると確信いたすものであります。沖繩教育者またこのことを確認いたしまして、あらゆる困苦欠乏に耐えながら教育を守つて行くためにいばらの道を闘いつつありますが、教育を阻むあらゆる苛酷なる条件にさいなまれまして、内容的効果をあげ得ないでまことに苦慮しているのであります。たといいかなる環境の中にあつても、教育の対象である青少年は絶えず成長を続けて行くものであります。そしてその成長を助ける教育はいわゆる百年の大計のもとに行われる永遠のものでなければなりません。従つて教育こそは、永遠基礎の上に本来の姿において打ち立てられなければならないと思うのであります。しかるに沖繩の置かれている国際的地位はまつたくこの基本的条件を不可能にしているのであります。すなわち沖繩の現在の立場はまつたく畸形的不明瞭な仮の姿でしかないと思うのであります。そのような基礎の上に真実永遠教育建設は遺憾ながら不可能であります。  沖縄の帰属の問題については国連憲章平和条約締結根本精神たる人道主義的立場からしても、また民族文化的歴史的な関係からしても、さらに沖繩県民の心情からしても、祖国日本に復帰すべきことはきわめて当然であつて、本質的には何らこれを阻む理由はないと信ずるものであります。われわれはこの確固たる大前提に立つて若い世代の教育を進めて行きたいのであります。すなわち形式的にもまた実質的にも真実日本人として祖国児童生徒と同一の基礎立場に立つて教育を施して行きたいのであります。しかるに冷厳なる現情勢はこの押えがたい欲求を完全に阻んでいるのであります。われわれは何とかしてあ障害を排除して、畸形的な架空的な逆境から脱却して、永遠に向つて伸び行く子供たちを一日も早く本然の姿において育て、素直な成長に空白を残さないように熱願しているものであります。それこそは一日も早く沖繩が元の沖繩県として祖国に復帰することによつてのみかなえられることであります。  およそ個人にいたしましても、戸籍のない子供は肩身の狭い浮浪児であると存ずるのであります。そのような境遇の子がはたして素直順調に成育して参りましようか。同機に社会にしても現実的に国籍があいまいになつている社会は国際浮浪的な存在であり、そのみじめなる境遇においてどうして社会も人も本来の成長発展をとげることができましようか。このようなぬえ的立場に起因して、われわれ籔育上勢障害を身をもつて体験しつつあるのであります。たとえば今沖縄子供たちが使用している日本地図から沖繩地図は消えております。また戦争は終結したにかかわらず、国旗さえ自由に立て得ないのであります。その上に祖国子供たち共通国民行事さえ持ち得ず、さらに何ら国家的恩恵にあずかり得ないのであります。かかる境遇にある子供たちがどうして真実日本人として素直に成長して行くことができましようか。  皆様つてこの島は、かのアメリカ国運を賭しての大攻勢から、血をもつて祖国を守つて来たわが将兵十万余、無事の住民十六万の骨を埋めたゆかりの地であります。それなるがゆえにこの島が犠牲となつ巨万同胞の血のあがないのかいもなく、いつまでも祖国より分離されておりましては、地下の戦没者の霊も無念の血の叫びを続けていることでありましよう。また時勢の流れには当時としては抗するすべもなく、かの悲惨なる戦争に参加して、いたいたしくも祖国に殉じた青少年男女学徒等の最期をわれわれは絶対に忘れることはできません。彼らは愛する祖国を守るためにこそ、純情一遂に最後まで祖国の勝利を信じつつ、あたら花のつぼみのようなうら若い身を、かの映画「ひめゆりの塔」で見られますように祖国に捧げたのでありました。われわれはいかなる障害を乗り越えても彼女らの純情を生かしてやりたいのであります。このことはわれわれ沖繩教育者の至上崇高なる課題であります。すなわちわれわれは彼らが文字通り身を持つてつて来た祖国を失わしたくはないのであります。国政に参与せられる皆様、どうぞこの島に眠る戦没者の魂の声を聞きとつていただきたい。また条件はどうであろうと、いやしくも祖国を有し、それと一連の共通文化と歴史を持ち、日本人としての民族的矜持を有する沖縄住民が、どうしていつまでも異民族統治下に満足しておられましようか。どうぞ沖繩住民立場になつて考えていただきたいと思うのであります。  戦争以来今日まで沖繩同胞が背負つて来た十字架はあまりにも苛酷であつたと思うのであります。天道正に非なりと申したいのであります。しかしこの混迷のさ中に立つておりましても、われわれは常に祖国独立を祝福しつつ、また祖国復帰の悲願を堅持しつつ、郷土再建努力を続け、米国もまた援助は続けてはいますが、戦災があまりにも甚大であつたため、復興は遅々たるもので、祖国復興の目ざましさに比すべくもありません。終戦八年間におよそ主要耕地の三〇%は単用地となり、残り七〇%も十分耕作されず、生産はきわめて不振で、戦前主要農産物であつた黒糖の、ごときいまだ二〇%しか復興していないのであります。輸出・産業復興も三〇%以下、住宅復興二〇%以下、教職員の待遇は戦前の五七%以下、校舎復興生徒一人当り〇・五坪位を目標にしても四〇%以下で、復興の前途は実に遼遠であります。  なかんずく、教育復興程度に至りましてはさんたんたる実情と申すほかはありません。たとえば教職員資質について見れば、戦争のため当時の教員数の二五彩に及ぶ中堅有能な教師と師範学校男女生徒四百名を失い、すでに戦後教育人的要素に補いがたいギヤツプを生じ、また生き残つて教壇にもどつた教員も極度の生活困窮から他の社会に転じ、終戦以来今日までのその数二千二百名を算し、これは現在教員数の五八%に及んでいるのでございます。教職員勤務年数戦前の十八年に対し戦後は八年に短縮しており、終戦後初めての教壇経験者、すなわち数年以下の勤務者が五五%を占めているのであります。教員組織も従来の師範学校卒業者が小学校で三〇考、中学校で四八%で、いかに資質が低下し、かつ教育界が不安動揺しているかがうかがえるのであります。  この教員の不足と資質の低下を補うにも、戦後師範学校は跡絶え、教員養成機関は完備せず、いずれも弥縫的暫定措置によりまして、その補給を糊塗している現状であります。図書館その他設備不備指導者欠乏本土との内面的つながりの欠如などで、教員研修機会も乏しく、さらに教員生活がきわめて不安貧困のため、いよいよ資質向上障害となつているのでございます。すなわち教員給与べースは現在沖縄で使用しているB円の三千六百円、日本円に換算すると一万八百円で、そのほかは家族手当もなければ勤務地手当もなく、一文の賞与もありません。消費物資はほとんど本土より輸入されますが、物価は平均して本土の一・五倍くらいで、その物価換算率からすると、B円の三千六百円は日本円の七千二百円の価値しかなく、沖繩教職員本土生活するとして日本円の七千二百円ベースに該当する悲惨な給与であります。これは食生活の最低を保障できない程度であつて、一方戦争のために、ほとんどの者は一切の住宅、衣類、調度を失つていますので、そこから来る生活費の加算を考えると、その困窮は言語に絶するものであります。それに恩給法共済会法等社会保障制度がないので、教育者生活は極度に不安に満たされ、暗澹たるものがあるのであります。  次に、校舎の問題でありますが、今沖縄住民が何よりも優先的にその復興を望んでおり、そしてそのために非常に苦しんでいるのは、実に学校校舎復興であります。戦争のために校舎は百パーセント破壊し、終戦以来露天天幕教室、トタンぶき、かやぶき校舎と変遷、難渋しつつ教育を続け、一方アメリカガリオア援助によつて暴風に耐える普通校舎も建ちつつはありますが、被害が甚大なため、その建設また遅々として進まず、終戦八年の今日いまだ生徒一人当り〇・五坪を目標にしても、その四〇%に達せず、残り六〇%の学級の子らは、多くは板壁もなく、窓ガラスも床板もないかやぶきの土間教室で風雨の支配に苦しみつつ学業を続けている気の毒な状態であります。ことに毎年二、三、回襲来する台風は、この粗末な校舎を倒壊し、これが建直しには父兄も奔命に疲れ、児童またそれを建て直すまでは、露天で授業をするか、休業する以外処置ないのであります。今すべての学級永久校舎の一教室を与えるとして、日本円三十億を要し、沖繩現状からして、いかに希望的に観測しても、実に十年以上を要すると当局は見積つています。沖繩が現在のまま放置されていたら、この問題の解決はまつたく不可能であり、従つて沖繩教育復興もまた絶望せざるを得ないのであります。校舎と同じく、設備ももちろん貧弱不備で、その程度祖国皆様にはとうてい御想像も及ばないと思うのであります。戦後の復興いまだしとはいえ、新生祖国児童らが恵まれた条件のもとに嬉々として幸福に教育を受けつつあるに引きかえ、この校舎にこの設備及び砂漠のような荒漠たる悪環境下実に恵まれない条件のもとに不自由な教育を受けつ、ある沖縄の子ら、いかに戦争のためとはいえ、あまりにもその影響が苛酷なほど片寄りすぎていることを残念至極に思うのであります。どうぞ皆様お力によつてこの戦災校舎復興し、少しでも沖繩の不遇な児童らに明るい希望を与えてくださるよう、私は懇請申し上げる次第であります。  また教育環境についても、何しろ畸型的な基盤に立つ社会なるがゆえに、世相きわめて不健全であり、その所産として青少年悪質犯罪婦人犯罪は加速度的に増加の一途をたどり、その恐るべき影響から子供らをいかに守つて行くかは教育者の苦悩の種であります。  かく物心両面あらゆる不利な条件の中で行われる教育ゆえに、教育者の血のにじむような努力にもかかわらず、本土との教育のずれはおおうべくもなく、教育者はその責任に懊悩いたしている次第であります。悲惨なる戦争、悲惨なる敗戦の結果、今や太平洋の孤児として里子的存在に立つに至つた沖繩住民は、物心両面かく有史以来のいばらの道を闘いつつあるのでありますが、対決する諸問題は、現地だけで解決できるものではありません。しかるにその根本的解決なくしては、沖縄は絶対に救われないのであります。その根本的解決こそ実に沖縄祖国への復帰あるのみです。なかんずく真に日本人として基盤をつちかい得る教育のごとき一日も早く祖国に直結してくださることであります。皆様どうぞ今沖縄の悩みつつある諸問題を皆様お力により解決していただき、悲境にある住民に明るい希望を与えてくださるよう衷情を披瀝して、重ねてお願い申し上げる次第であります。  これを要するに、   一、沖繩完全祖国復帰を実現するため、万全の措置を講じていただきたい。  二、祖国復帰の前提として、一日も早く沖繩教育を完全に祖国行政に直結せしめるため、万般の措置を講じていただきたい。  三、沖繩戦災校舎復興援助せられる措置を講じていただきたい。  以上簡単でございましたが、沖繩教育状況の一端を披瀝申し上げます。  なお沖繩教育等は、やはり本土教育に準じまして、六・三・三・四制度でございます。教科内容も、教科書もまつたく本土と軌を一にしておるのでございます。
  4. 伊藤郷一

    伊藤委員長 次は、最近沖繩へ行つてつて参られました南方連絡事務局長石井通則君からお話を承りたいと思います。石井通則君。
  5. 石井通則

    石井説明員 私南方連絡事務局長石井でございます。  私の局におきましては、南方地域との文化に関しましては、文化の交流に関する事務の推進、調整、あつせんというようなことをやつております。教育行政の直接の仕事は文部省が担当されますが、文部省に対しまして、現地要望を聞き、現地に即した何らかの措置日本政府において講ぜられないかというようなことを要望いたしまして必要な措置文部省にやつていただくということになつております。私どもの局に付属いたしまして、那覇南方連絡事務所というものを設けております。また奄美大島の名瀬にその出張所を設けております。この那覇南方連絡事務所は、文部行政に関しては直接には文部大臣の指揮、監督を受けるということになつております。ただ文部大臣が指揮監督する場合におきまして、総理大臣に協議をして行う、こういう立場になつております。私ども現地実情をいろいろ調査し、ま現地要望を聞きまして、日本政府といたしましてどういうことが実施できるかということを絶えず検討いたしまして、必要な措置文部省に依頼しているような事情でございます。  私昨年現地を調査いたしたのでございまするが、その状況は大体今屋良沖繩教職員会長が話された通りでございますので、特に私からつけ加えて申し上げることはございませんが、特に今お話の中にありましたことで、二、三つけ加うべき点を申し上げたいと思います。  南西諸島は、御承知のように、条約第三条によつてアメリカ行政のもとにありますが、これは決してこの領土権を失つたものでないのでありまして、日本領土権が残存している、いつか日本領土に完全に復帰するということが予定されているということ、それから南西諸島住民日本国籍をはつきり持つているということでございます。この点につきましてはいろいろ各方面にまだ認識が足らぬ点があるようでございますが、アメリカ側におきましても、日本政府が、南西諸島住民日本国籍を持つている日本民族であるということを、議会その他において答弁することを了承いたしておるのであります。ただ戸籍に関しましては、現在戦争直後のニミツツ布告というものがありまして、そのニミツツ布告によりまして、その当時実施されておりました日本法令自体がそのまま適用される。もちろん軍事的必要によりまして修正は行われまするけれども、その修正をしない限り、その当時の法令が実施されておるということでありまして、従いまして現地におきましては、原則として日本の旧民法、旧戸籍法が実施されておるのであります。ただ戦災によりまして、戸籍台帳をなくしました沖繩本島におきましては、臨時戸籍事務が取扱われまして、非常に簡単な住民登録みたいな戸籍が実施されております。私ども日本領土であり、日本国籍を持つておるという建前のもとに、できるだけ日本行政の中で可能な部分は、南西諸島に及ぼせるようにというような気持で実施いたしておるのであります。  教育面に関しましては、先ほど屋良会長から話がありましたように、校舎復旧に関しまして、できるだけこれに対して本土側援助をしなければならぬということを考えております。ただしかしながら現在のところにおきましては、日本政府予算をもつて補助を行うということにつきましては、現地反対の意向を示しておりますので、別途の方法を講じて行かなければならぬと考えておるのであります。  それから南西諸島教員の質の向上なりあるいは学生生徒日本における上級学校進学等につきましても、いろいろ政府としてできる限りのことを考えておるのでありますが、さしあたり、昨年の四月から南西諸島教員を選抜いたしまして、研究教員として日本に引受けて、約六箇月の教育文部省でやつていただきまして、交替々々に返しております。これは昭和二十八年度も継続いたしたいと考えております。  また学生進学に関しましては、従来アメリカ側資金によりまして、琉球政府におきまして選抜した者を日本大学に引受けて教育いたしておるのでありますが、これは現在約三百三十名くらいの南西諸島学生生徒が、いわゆる琉球政府契約学生として当地に参つて教育を受けておるのであります。しかしながら、だんだんアメリカ側援助資金も減少いたして参りまして、今後その継続が困難であるというような状況に立ち至つておりますので、二十八年度からは文部省予算で約五十名を向うから選抜して、日本本土大学進学させるような予定で進行いたしております。そのほか、あるいは青年団関係、体育団体の関係その他あらゆる民間の教育文化の諸団体に関しましては、できる限り本土南西諸島との緊密なる連繋を保持して、本土における各種の行事に南西諸島の方々が参加できるような方法を講じつつあるような状況でございます。  なお御質問がございますれば、いろいろ御答弁申し上げますが、簡単でございますが、一応現状を御参考のために御説明申し上げた次第でございます。
  6. 北昤吉

    ○北委員 ただいまの御説明のうちで、日本政府予算援助することは現地が承諾しないというのは、アメリカ軍の話ですか。現地というのは住民の意味ですか。
  7. 石井通則

    石井説明員 アメリカの民政府でございます。
  8. 屋良朝苗

    屋良参考人 先ほどの御質問でございますけれども、私たちが教職員といたしまして、校舎復興文部省請願いたしたことがございます。これは一昨年でありますが、当地軍政府にもお願いしたことがございますが、そのときにはガリオア資金で建ててやるからそれには及ばぬという御返事でありました。しかし最近フオスター大佐という責任の方が校舎建築について日本援助、これは政府でありますか、民間でありますかははつきりしませんが、日本援助に対してはさしつかえはないとうことをお答えになつたということが新聞に報ぜられて、私たちがごこに来てから送られて参つております。
  9. 松本七郎

    ○松本(七)委員 南方連絡事務局の方に少し伺つておきたいと思います。先ほど現地要望事務局の方から文部省に伝えて善処方を依頼したということですが、どういう具体的なものを要望され、文部省としてどの程度それを善処しておるか、そういう点と、それから今の問題ですが、日本政府予算措置を講ずることが禁ぜられておるので、その他の方法で何らか考慮されるというようなお話ですが、どういう方法があるのか、現にとつておられるのか、その二つをお伺いいたします。
  10. 石井通則

    石井説明員 現地要望に関しまして、いろいろ文部省に御依頼しおりますことは、たくさんございますが、まず先ほど申しました日本政府補助金を出すということを、従来アメリカの民政府反対しておつたというのは、いわゆる向うの政府補助金を出すということでございまして、向うから来る学生につきまして日本政府がこれを受入れて、ここでその生活費あるいは学資を支給するということ、こういうことについては反対はございません。これは従来はアメリカ資金で実施しておりましたのを、向うの方の経費が非常にきゆうくつになつて出せないということになりましたので、今度文部省予算に計上して南西諸島学生をこちらで教育してもらう、これが一つの事項でございます。  それから南西諸島におきましては、日本の教科書を使つておりますが、この教科書は従来なかなか必要な部数が入らなかつたり、あるいはまた時期的に入らなかつたり、あるいはまた余分に入りまして、それを返還できないというようないろいろな問題がありましてこの点につきましては、いろいろ文部省にお願いいたしまして、教科書が順調に必要な部数がおおむね満足する状況に送られるようになつて来つつあります。ただ若干為替関係で問題がございますが、この点も逐次解決してもらいたいと考えております。なおまた従来教科書の運賃が相当高かつたのでございますが、文部省のお骨折りによりまして、教科書の運賃も安くなつております。それからまた現地におきまして、いろいろの教育上の資料、あるいは教育関係の会議に参加を南西諸島が非常に要望いたしておりますので、この点は文部省にお願いいたしまして、南西諸島要望されております各種の刊行物はお送りするようにいたしております。それから各種の行事もできるだけ文部省から通知していただくようにいたしております。それから校舎復旧の経費に関しまして先ほど屋良会長から、南西諸島で了承するというようなニユースがあるというお話でございますが、この点われわれまだ調査しなければわかりませんが、これは現在のところ日本政府予算琉球政府補助をやり、その校舎復旧の経費に充てるということが困難な模様でございますので、できるだけ文部省とも協議いたしまして現地要望に沿つて何らか民間の浄財を集められるということについてわれわれも協力して行きたい、こういうように考えております。大体そういうことになつております。
  11. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 私は一昨年二月に政府を代表して沖繩に行つたことがあるのでありますが、そのときに屋良朝苗君はどういう職にあつたのですか、一応参考に伺いたい。
  12. 屋良朝苗

    屋良参考人 当時は文教部長としてあつちの文教行政に携つておりました。
  13. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 その当時文教部長をしていた屋良氏等の御案内によりまして、私は沖繩島全島ほとんど飛び歩きまして、小学校や中学校あるいは各種の団体等に顔を出して、いろいろの陳情なり意見なりを聞き、また視察をしたのでありますが、ただいま屋良氏から、いろいろ御報告になつた通りであります。私の行つたときには、校舎のごときは終戦後三〇%ぐらいに復興をしておつたのでありますが、一昨年の二月から今日までまる二箇年たつておりますが、このまる二箇年たつた間に約一〇%しか復興ができていない、こういう実情であるようでありますが、私が沖縄へ行きました最も重要な職責は、あそこに琉球大学というのができてこれはアメリカ政府がつくつて献納をした、その開校式に出席したのでありますが、その当時琉球に大学というものはなかつた。ところが首里の荒廃した戦災のあとにそういう大学をつくつてくれるというアメリカの好意に対しては非常に感激したものでありますが、その後だんだん考えてみると、アメリカ政府というものは教育に対してはわれわれ日本人と大分趣を異にして、教育は地方に委譲をするというようなかつこうからか、あまり政府がめんどうを見ない。これは設備の点においてもまた教職員の待遇の点においても同様の感じを持つておるのであります。従つて沖繩、琉球全体の教職員教育関係者はこのアメリカ教育に対する態度については好感を持つていないということが事実である。そこにこういう陳情の起る原因があると私は考える。私の行つた当時は、沖繩住民のすべての意向は日本に復帰したいということである。そのうちでも特に教育についてはぜひ日本と同様にやつてもらいたい。そこでいろいろの陳情を私は承りまして、当時のヴイトラー副長官にも面会をしているく私の視察した点から教育に対する意見を率直に申し述べたのでありますが、当時のヴイトラー副長官は原則としては全部賛成をしてくれた。ただちにこれを実現することは困難であるが、徐々に御意思に沿いたいということであつた。それがだんだんに実現せられまして、先ほど御報告の中にありましたいわゆる研究教員の派遣ということも実現した。それから自費留学生を許可をして来た。それから文部省の費用で留学生援助をするということも二十八年度から実現をすることになつた。その他教科書を送ることだとか、いろいろの印刷物を送るようなこと、これらは当時の御要望がだんだんに実現したものでありますが、今日は御承知の通りに日本独立をいたしましたので、この際屋良君からるる陳情せられましたようなことは事実でありますから、沖繩を視察してかの地の実情をよく聞いて参りました私からも委員の各位に特にその事情を肯定していただきまして、皆さんに特に今後の善処方を御依頼をする次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。
  14. 松本七郎

    ○松本(七)委員 これは結局はその根本を解決するために沖繩領土の完全な復帰ということ、できなければ教育行政だけでも日本にというようなことをやらなければならぬ。これは国会としても今後大いに大きく取上ぐべき問題であろうと思うのですが、それについて一つお伺いしておきたいのは、沖繩にいるアメリカ現地軍がおそらくあらゆる実情、ことに教育実情等をアメリカ本国にいろいろ報告をしているだろうと思う。しかしそれがどのような報告がなされておるかということ、それにはいい面ばかりが報告されるということはありがちなのですが、南方連絡事務局としては、日本政府を通じてそういう実情アメリカ本国に知らせるような努力もされておるのかどうか、この点を伺つておきたい。
  15. 石井通則

    石井説明員 南方連絡事務局といたしましては、現地のいかなる報告がアメリカ本国になされておるかは全然把握が不可能でございましてわかりませんが、私ども現地の問題に関しまして、特に外交の問題になりますと、外務省の所管でございますので、教育行政その他あらゆる現地実情を外務省に報告し、外務省がアメリカの大使館あるいは本国政府と折衝する場合のいい参考資料になるように努力いたしております。なおまた外務省が折衝される場合につきまして、南方連絡事務局といたしまして現地で把握した結果から生れました意見は絶えず外務省に申し出ております。私どもから直接アメリカ側に報告することは、全然やつておりません。
  16. 北昤吉

    ○北委員 石井局長さんにお尋ねしますが、数日前の英字新聞に報告が出ておりましたが、沖繩からアメリカへ行つておる使節団がアメリカの有力者、ことにタフトに会つて沖繩事情を陳情したところが、タフト上院議員は非常に同情を持つて、主権の回復に努めるという明言をしておる。私は現地日本当局との交渉だけでは、小さい問題は片づくかもしれぬけれども、大きな問題はアメリカの上院議員あたりのところへどしどし沖縄から有力者を派遣いたしまして、そしてアメリカ本国政府を動かすというのが一番近い道だと思う。ことに御承知のごとく、沖繩と小笠原島をアメリカが占領したのはヤルタ秘密協定によつたもので、十八年十一月のカイロ宣言では、御承知のごとく日本処分法を蒋介石とチヤーチルとルーズヴエルトが研究して発表したのであるが、それには、戦争によつて拡大した領土、及び貧欲によつて強奪した領土――おそらくは満州国のことでしよう、これを返せというだけであつて日本固有の領土をとるということは、カイロ宣言にはなかつたのです。御承知のごとくヤルタ会議は二十年の二月、秘密協定が行われて千島、樺太をロシアに渡し、アメリカはおそらくは沖縄や小笠原をとるという協定だつたのでしよう。ところがアメリカが秘密協定を破棄するという線に進めば、ロシアに樺太と千島の問題を解決させると同時に、自分らも当然沖繩と小笠原島を放棄しなければならぬはずです。タフトはヤルタ協定排撃の急先鋒でありまして、タフトはその立場からおそらく主権を回復することに好意を持つて明言されたと思う。新聞には沖縄の代表者の二人の名前が出ておりました。私今記憶しておりませんが、そういう事情が伝わつておりますか。
  17. 石井通則

    石井説明員 その事実は私どもも承知いたしております。それは当地におりまする元首里市長の仲吉良光さんという方がタフト上院議員に詳細な陳情書を出されまして、それに対する回答でございまして、よく承知いたしております。
  18. 坂本泰良

    ○坂本委員 二、三点お聞きしますが、お答えは簡単でよろしゆうございます。  第一は、教育行政について沖繩島民は独立してやつておられるかどうか、アメリカ軍から相当干渉があるかどうかということです。  第二は、教職員の養成はどういうふうになつておるか。先ほどある一部の者が研究生として本土に来られるということは聞いたのですが、それは一部分ですか。その教員の養成の問題。  第三に、高等学校の卒業者などの就職の関係はどうなのか。  もう一つ、これは根本の問題ですが、教育経費の問題は沖繩政府負担しているのか、あるいはPTAなりで負担しているのか。先ほど日本の国内からの補助を拒絶しておるということがあつたのですが、沖繩島内においてはどういう操作で経費の分担その他をやつておられるか。この四つの点をお伺いいたします。
  19. 屋良朝苗

    屋良参考人 教育行政に対して干渉しておるかという御質問でございますけれども行政機構をつくりますための、たとえば教育法規の制定などには相当干渉がございます。従つて向うの現状といたしましては、たとえば教育委員会の市町村までの設置は非常に困難である、あるいは教育税というものの徴収も困難であるというふうに、非常にみんなが迷つておりましたけれども、これも軍令によつて制定されております。こういうふうに教育行政機構を打立てることにつきましては相当の干渉もございます。ただ教員の任免とかいつたようなものにつきましては、その法規の範囲内においては自由にできるような次第でございます。  次に教員養成の御質問でございましたけれども、先ほど説明を申し上げました通り、戦争のために師範学校があと絶えております。その後は文教学校と称して一年間暫定措置教員を養成して出すという機関が昭和二十四年まで続いて参りました。昭和二十五年に琉球大学というものが建ちまして、そのときに文教学校というのはなくなりまして、そこに教員訓練所というのが五箇所設定されました。それは指導は小学校の先生方がやられるというような仕組みのもので、これも半商年間、高等学校卒業者やあるいは一、二年間教育経験のあります者を訓練いたしまして、成績のいい者に免状を与える、こういつたような趣旨でありました。そこでこういつた暫定措置では、どうしても教員資質を高めることはできないと思いまして、われわれは文部省に学芸大学の設置を強力に陳情いたしました。しかしそれは実現しませんで、琉球大学に師範科というものが去年の四月から設置された。しかしそれは八十名しか採用いたしません。戦前沖繩県だけで毎年送り出す卒業生が二百五十名、それから奄美大島が九十人くらいあつたそうでありますから、南方諸島全部では三百四十名くらいの教員を送り出さなければいけなかつたはずであります。しかるに琉球大学が養成するといたしましても、八十名を毎年出したのでは焼石に水といつたような感じがする次第であります。  それから高等学校の卒業生の就職問題に関する御質問でありますが、これは非常に困つております。しかし今いろいろの軍作業といつたような労務があつたりしまして、そういつた事務面に行くとか、あるいは英語訓練所というのがあつて、これは主として英語の話方でありますが、そこで半箇年訓練するとか、そういつたところに行つたりいたしまして、卒業いたしますと通訳であるとかいうふうにして、軍労務に就職するようにしておりますけれども、しかしながらいずれにいたしましても高等学校の卒業生は就職難でございます。それで高等学校の卒業生は、たいがいは祖国本土に対する留学を非常に重いたしまして、本土本土へというところの希望は、アメリカに留学するよりもはるかに強い念願なのであります。  それから教育の経費についてでありますが、大体は教育経費は住民負担によつてまかなつております。たとえば去年政府予算が十四億ありましたうち、一般行政費に対する補助アメリカから三億五千万円ございました。これはB円でございますが、その三億五千万円の補助のうち、校舎建築に大体八千万円ぐらいは援助される予定でありました。なおそのほか、教員訓練所あたりの人件費が若干三億五千万円から出ることになつておりましてあとは住民負担行政費によつてまかなつております。なおそれでは足りないので、PTAが大体二割から二割五分にも相当する教育費の負担をしております。それから市町村も、やはり二割から二割五分ぐらいの負担はしておると思つております。以上であります。
  20. 伊藤郷一

    伊藤委員長 それでは委員長からお諮りいたしますが、本日は気の毒な占領下の教育行政のもとにある沖繩事情を聴取することで委員会を開いたのでございますが、昨日夜野党の方から、三派提案で地方教育委員法の改正案が出たことを承りました。そしてこれを本日説明だけさせるというお話でございますが、私もきよう初めて公報で見ましたので、昨日は沖繩事情を聞くということだけを了承して、――そういう要望もございましたし、帰つたわけであります。そこで意見が対立しておりますので、しばらく休憩いたしまして、ただちにここで理事会を開きたいと思います。
  21. 松本七郎

    ○松本(七)委員 その問題は後ほど協議するとしても、この沖繩の問題のけじめをつけて――せつかく参考人も来ておられるのだから、ちやんとあいさつしてけじめをつけてからにしていただきたい。
  22. 坂本泰良

    ○坂本委員 文教行政について沖縄の問題だけという委員長の発言があつたのですが、われわれ理事にも何ら諮られていない。われわれはきようは文教行政についての委員会だと、かように承知しております。従つてわれわれとしましては、文教行政についてきようは質疑をしたいと思つてつて来たわけであります。もし沖繩の問題なら沖繩の問題だけをやりたいというならば、やはりわれわれ野党側に喜かるべく相談がなければならぬ。文教行政というので委員会が開かれるとすれば、われわれ言としてもそれ鋳する準備もして参つておるわけであります。そういう点については、やはり議事の運用について今後しかるべく合理的にやつていただきたい。
  23. 伊藤郷一

    伊藤委員長 承知いたしました。
  24. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま坂本委員お話がありましたように、すでに各委員に通知されておることでありますし、予算上相当の問題も考えられますので、この点はただいま政府委員の方の出席もありますから、ただいま委員長が諮られておりますように、一応休憩をして、後ほど相談をして、本日出席を求めておいてなお委員会は継続してそれを午後行う、かようにおとりはからいを願いたいと思います。
  25. 伊藤郷一

    伊藤委員長 沖繩参考人の方々にはたいへん御苦労でございました。われわれ委員会沖縄教育振興のために善処したいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 伊藤郷一

    伊藤委員長 それではしばらく休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十一分開議
  27. 伊藤郷一

    伊藤委員長 休憩前に引続いて、会議を開きます。  休憩中理事会を開きましたので、その決定事項をお伝えいたします。教育委員会法等改正案について、本日野党三派から提案の説明だけを聴取することにいたします。但し条件といたしましては、きよう説明を聞くからといつて、引続きこの法案ばかり先議するということではなくて、やがて提案される政府義務教育関係の法案も、次会には説明を聴取いたしまして、大体並行審議するということに決めた次第でございます。御了承願います。  議事日程を追加し、教育委員会法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案を議題とすることに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 伊藤郷一

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。本案は昨日付託されたものであります。これより提出者の提案理由の説明を聴取いたします。田中委員
  29. 田中久雄

    田中(久)委員 教育委員会法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案提出いたしましたについて、提案の理由を簡単に御説明いたします。  昨年の十一月一日に設置せられました地方教育委員会は、その実施後の状態を見ておりますと、各方面にわたつてきわめて不合理な面がたくさん現われて参つておることは、すでに一般の認めて、おるところであります。これをこのままにいたしておきますことは、国費をいたずらに濫費する以外の何ものでもない。しごうして町村の自治を破壊するという危機を招いておる現状でございます。ここにおいて私どもは、教育委員会法によりますと、四月一日から選任の教育長を各市町村の教育委員会に置くというような、重大な段階を見るにあたりまして、それ以前に適当な改正を加えまして、この地方自治の混乱と国費の濫費を防ぐために、すみやかに本案を通過せしめたい、かような意味から、改進党、社会党両派、共同の上に立つて、この案を提出した次第であります。  案の最も重点といたしましたところは、教育委員会法の地方教育委員会に与えておられます権限、及び設置その他の面についてでありますが、教育委員会法では、いかなる小さい村にも教育委員会をつくらなければならぬということが根本になつております。その市町村の意思のいかんにかかわらずこれを強制しておる。しこうしてこれに要する経費は約六十億といわれておりますが、本年度予算に盛られておりますものは二十五億であつて、この面から見ましても、これはきわめて不徹底なものである。こういうことを考え、また地方の実情を組み入れまして、地方自治体において教育委員会の設置を必要としないと考えた場合には、設置しなくてもいいという条例を、市町村議会において三分の二の議決によつてつくることができる。あるいは条例の中に、去年公選せられた任期の者があり、二年の者もありますから、いつからこれを実施するとつけ加えておけば、公選せられた者をただちにやめさすという非難を避けることができるのであります。こういうふうに設置、不設置を原則といたしております。  これに伴つて、従来市町村の教育委員会に与えられておりました権限の一部を、当然都道府県の教育委員会べ持つて来るという面が現われて参ります。それは教科内容の取扱い、教科用図書の採択、校長、教員等の研修、保健計画の企画と実施、ユネスコの活動についての事務、こういうものが市町村委員会から当然府県の委員会事務に属することになるのであります。また市町村におきまして、委員会の廃止せられたところ、つまり設置しないところと、設置するところと起つて参るのでありますが、この場合において、市町村の教育委員会、または市町村教育委員会が廃止せられておるものにつきましては、教員の任免その他の人事権については、これは一応その市町村の意見を徴するというような面も取入れておるのであります。委員会のあるところは委員会の意見を聞くという、軽い意味の関連を持たせておるのであります。市町村立の高等学校、幼稚園、及び各種学校の人事権は、これは設置者であるところの市町村長、または残存する市町村の教育委員会にあるものとする、かような改正を加えておるのであります。  詳細にわたりましては、すでに法案がお手元へ届いておることでありますので、引続きいろいろ御譲を願うことと存じますが、提案者といたしましては、きわめて実情に即して、全国的に非常な苦悩となつておりまする現行教育委員会法の真の改正を企図してお、るのでありまして、党派を超越して慎重御審議の上、どうぞすみやかに通過せしめられんことを特にお願いをいたす次第であります。(拍手)
  30. 伊藤郷一

    伊藤委員長 本日はこれにて散会し、次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後二時四十八分散会