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1952-12-11 第15回国会 衆議院 文部委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十一日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 伊藤 郷一君    理事 坂田 道太君 理事 田中 久雄君    理事 松本 七郎君 理事 坂本 泰良君       江崎 真澄君    竹尾  弌君       東郷  實君    永田 亮一君       水谷  昇君    菅野和太郎君       井伊 誠一君    辻原 弘市君       山崎 始男君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         文部政務次官  廣瀬與兵衞君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     小林 行雄君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君         文部事務官         (大学学術局         長)      稲田 清助君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財務課長)   奥野 誠亮君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     福田  繁君         専  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 十二月六日  委員竹尾弌君辞任につき、その補欠として白石  正明君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員白石正明君辞任につき、その補欠として竹  尾弌君議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月四日  義務教育費全額国庫負担等に関する請願山崎  岩男君紹介)(第四一五号)  産業教育振興法による設備充実定時制に優先  適用の請願吉武惠市君紹介)(第四一六号)  高等学校定時制教育振興法制定に関する請願(  吉武惠市君紹介)(第四一七号)  同(大森玉木君外一名紹介)(第四二三号)  同(長野長廣紹介)(第四九五号)  同(吉江勝保君外一名紹介)(第四九六号)  高等学校定時制課程モデルスクール実現に関  する請願吉武惠市君紹介)(第四一九号)  高等学校定時制分校設備充実助成に関する請  願(吉武惠市君紹介)(第四二〇号)  高等学校定時制分校校舎建築費国庫補助に関  する請願吉武惠市君紹介)(第四二一号)  高等学校定時制教員給国庫補助法の復活に関す  る請願吉武惠市君紹介)(第四二二号)  産業教育振興法による中学校への国庫補助増額  の請願坪川信三紹介)(第四九三号)  教職員給与準則制定に関する請願坪川信三君  紹介)(第四九四号) 同月十日  教育職員免許法の一部改正に関する請願長野  長廣紹介)(第五三七号)  幼稚園教員待遇改善に関する請願田中久雄  君紹介)(第五三八号)  同(淺沼稻次郎紹介)(第五三九号)  同(辻原弘市君紹介)(第五七〇号)  同外一件(中村英男紹介)(第五七一号)  養護教諭普通免許状付与に関する請願井伊誠  一君外十一名紹介)(第五七二号)  教育委員会法の一部改正に関する請願外二件(  中村高一君紹介)(第五七三号)  同外二件(山花秀雄紹介)(第五七四号) の審査を本委員会に付託された。 同月四日  教育公務員給与ース引上げ並びに年末手当  に関する陳情書  (第六一〇号)  産業教育振興法に基く国庫補助増額に関する  陳情書(第  六三五号)  室蘭工業大学校舎復興に関する陳情書  (第六三六号)  市町村教育委員会設置費全額国庫負担に関する  陳情書(第六九二  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  文部省関係予算説明聴取に関する件  新潟大学新発田分校移転問題に関する件     ―――――――――――――
  2. 伊藤郷一

    伊藤委員長 開会いたします。前回委員会において決定しました新発田問題に関する委員派遣は、議運において承認になりましたので、予算案通過後ただちに出発することにいたします。  この際御報告いたします。文部大臣は一昨夜から風邪のため臥床いたしまして、昨日も本日も欠席しておることはまことに遺憾にたえません。  これより文部省関係予算に関する質疑を許します。辻原委員
  3. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま委員長から報告のありました新発田大学統合の問題につきまして、前回委員会においていろいろ質疑をかわしました結果、大体私ども現地から得ました情報並びにこの問題にまつわつている根本的な問題について、当委員会並びに議院運営委員会におきましてその調査するここを決定したことは、この問題を提起いたしました私どもといたしまして非常に喜んでいるわけでありまするが、なおこの問題につきましてその後どういうふうな経過をたどつておるかという点につきまして、一応文部省にお伺いをいたしておきたい、かように思うのであります。その後私どもがこの問題に対して調査に参るという点について、それが現地にどういうような影響を与えているか、あるいはこの問題についてそれぞれ両者が反対、賛成の立場において、非常なトラブルを起しておりましたが、一応静観をするような態度をとつているかどうか、その点にいつて伺いをいたしたい。
  4. 近藤直人

    近藤政府委員 お答えいたします。前会新発田大学移転に関しまして、参議院並びに衆議院の文部委員会におきまして、現地視察するというお話伺いまして、それに文部側もお供いたしまして参るということに決定いたしました次第は、私どもより政府の方に連絡いたしてございます。その後衆参お話合いの結局、参議院は本日正午に現地に参るということでございますので、私の方から田中施設部長並びに事務官一名同行いたしまして、本日現地に参るようになつております。それで前に通知をいたしましたその後どのように現地が動いておりまするか、その点につきましてはまだ情報は受けておりませんが、聞くところによりますと、現地の方では、まだ今週中はこちらの視察を待つておるというふうに伺つております。
  5. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま局長からの御答弁によりますと、現地情報は得ておらないというお話でございました。なお大体こちらの方の調査をするという趣旨現地も受入れて、静観をして、その調査の結果を待つというふうな態度であるらしいというお話を承つたわけでありますが、最近において現地からこの統合の問題について、文部省に直接連絡があつたはずだと思つておるのでありますが、その点は確かになかつたのかどうか。これはまあ現地から申しましても、いろいろな立場の方々がおありになるだろうと思いますが、端的に申しまして、大学当局から何か連絡がなかつたかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  6. 近藤直人

    近藤政府委員 衆参両院現地視察するというお話決定いたします前に、現地大学会計課長見えまして、受入れ態勢話等伺いました。それからその後でございますが、多分今から四、五日前かと思いますが、大学長がお見えになりまして、現地お話伺いました。
  7. 辻原弘市

    辻原委員 現地から確かに連絡があつたというお話を今されたわけです。これはきのう帰られたはずだと思うのでありますが、その現地お話をお伺いする前に、私も簡単に申し上げたいと考えます。おそらく文部省に対して持つて来られた話は、先ほど答弁された静観をするという問題でなくして、すでに現地においては移転開始をする。その具体的なスケジユールを持つて確かに私は文部省に来られたはずだと思う。それによつてすでに現地においては続々そのスケジユールを実行し始めたというのが、私どもの知る範囲においては確実であると思うのでありますが、そういう点についてはそのときの学長の話には全然なかつたのかどうか、これをちよつとお伺いしておきたいと思います。
  8. 近藤直人

    近藤政府委員 申し忘れましたが、昨日大学松井理学部長がお見えになりまして、現地お話伺いました。
  9. 辻原弘市

    辻原委員 その際の現地お話というのは、結局私が申しましたように、具体的なスケジユールを持つて移転開始するというふうなことではなかつたのですか。
  10. 近藤直人

    近藤政府委員 昨日の話は、受入れ態勢を完了いたしまして、移転し得る態勢にあるというお話であります。
  11. 辻原弘市

    辻原委員 もう少し私近藤局長ざつくばらんに話を聞かしていただきたいのです。ある程度私どももいろいろな話を聞いておりますが、はたしてその点が符号するかどうかをお伺いしておるのであつて、ただやつて来てどうこうというだけでは、さつぱり話が進みませんので、具体的に、その際に現地受入れ態勢整つたから移転開始するというふうな程度の話であつたか。もう移転開始するから、その点を文部省に心得ておいてもらいたい。いわば、接収か引越しかわからないけれども通告といつたような、そういう関係のものを文部省に突きつけて来たのであつたかどうか、その点を私は聞いておきたい。
  12. 近藤直人

    近藤政府委員 私決してこの話を隠して申し上げておりません。ありのままを申し上げております。そのときの話は、受入れ態勢を完了しておりますので、近日移転をしたいということでございます。但し新発田分校におきまして、来週十六日に進学適性検査がございますので、教官がその方の仕事にかからねばなりません。従いまして十六日と、それから採点をいたしますので、翌日の十七日、この両日は教官が手がつきませんので、おそらくその日までは移転は困難であろうという話を伺いました。
  13. 辻原弘市

    辻原委員 局長が知らぬとおつしやられれば、あとで私はいま少し責任のある答弁をお伺いしたいのです。これは次官が来られれば話はわかると思いますが、私どもが聞いた範囲では—これは現地から聞いた範囲であります。これは私はその通りだと思つておるのですが、今もお話のように、十六日から適性検査が始まるので、それ以前はむずかしいという話でなくして、十六日から適性検査があるので、その間の日にちを抜いて、すでに十二日にはこの移転開始の段取りをして、そして十三日には閉校式を挙行する。そうしてこの間の適性検査日にちだけを除いて、冬休みまでには移転を完了したいというスケジユールを—確かに私ども現地においてはすでにそれが実行されておることも聞いておるし、その点の通告があつたようにも聞いておるわけです。その点がただいまのお話と齟齬いたしておりますので、もし局長答弁通りであるとするならば、あえて私どもこの問題を申し上げる必要もないのでありますが、その辺のことを全然文部省としてはノー・タツチで、大体今局長お話通りに、十六日までには現地においても移転は困難であつて、その後の経過も十六日までは全然移転開始されるということはあり得ぬだろう、こういうふうなことであるのか。そこのところは非常に差迫つた問題でありますので、もう少し明らかにしておいていただきたいと思うのであります。その点がわからなければ、さらに次官が来られれば私は追究いたしたいと思うのであります。  そこで局長にいま一点、その際十六日以降でなければ、適性検査が終らなければ移転が困難だろうという話を持つて来られた。その通り局長としては受取られて、その際にこちらの調査の問題について現地大学当局に話をして、前回文部委員会の際に各委員からもお一話がありましたように、こういう調査を実施するのであるから、それまではやはり現地においては移転開始するというようなことのないように、特段の配慮をしてもらいたいというようなことを、大学当局要請されたのであるか、されなかつたのであるか。この点をお伺いしておきたいと思います。
  14. 近藤直人

    近藤政府委員 先ほど移転の話を申し上げましたが、なおそのほかに大学長の方から、十二月一日をもちまして校名を改称いたしまして、新潟分校改正しまして、同日付をもちまして主事以下全員の勤務がえをしたという報告がございます。それ以外につきましては先ほど申し上げた通りでございますので、十七日以降でなくては困難であろうというように話を伺つております。  それから現地大学に対して、衆参委員会の方におきまして調査するから、それまで移転を待つたらどうかというお話でございますが、それにつきましては国会の方でさような御意見がございましたという点は申しておきました。
  15. 辻原弘市

    辻原委員 私はこの問題を早く解決したいと思いますし、非常に食い違つておりますので、大臣病気だという話ですが、早急に次官出席—向うが終ればすぐ来てもらつて、この点をはつきりしていただきたいと思うのであります。ただ、局長答弁は、現地は全然動いておらぬという受取り方でありますが、事実は現地においてはそうでなくして、すでに移転開始したということであります。昨夜来の現地からのいろいろな情報では、すでに分校の前の山崎主事その他が現場指揮をとつて移転開始いたしておる。物品の搬出に乗り出しておる。こういうあわただしい状況であるので、非常にこの問題は急ぎます。今、近藤局長は、現地の方の調査が終るまでそういうことのないように要請をされたということなんですが、その要請をいわば無視して、聞かずに、現地においてはそういう措置に出ておるのでありますから、この点ただちに具体的な措置を私たちとしてはとつてもらいたいということを要請したいのであります。私の申し上げることは事実であるわけですが、事実とすればどういうふうに措置をおとりになるか。その点を局長にお伺いしたい。
  16. 近藤直人

    近藤政府委員 十七日以後というお話を私申し上げましたが、そのことにつきましては現地新発田分校山崎主事からも私あてに電信がございまして、その電信の文面は、十五日からは進学適性検査があるから、もし御視察があるならばその前にお願いしたい、返待つというような趣旨のことでございました。それをいろいろ確かめました結果、先ほど申し上げましたように、十六日に検査をいたしまして、十七日に採点するということでございます。従いまして十七日までは移転は困難であろうということを伺つたわけでございます。ところがただいまのお話では、すでに移転開始しておるというお話でありますが、その点につきましては私は情報を持つておりません。ただ受入れ態勢がほぼ完成したという話だけ伺つております。
  17. 辻原弘市

    辻原委員 だからそれは事実であると申し上げておるので、事実でありますから、今その事実に立つて早急に—私ら移転したあと調査行つて、その報告を持つてつたつて何も意味をなさないのであります。こういう問題のさ中にそういうことをやること自体がおかしいと思う。だからその点に対して、文部省は少くとも—調査日にちはそう長くかかるわけでもないのですから、少くとも調査するまでは現地においてもそういうことを何とか待たせるような措置をとつてもらいたいということを申し上げております。その点についてはお答えはなかつた。どういうふうに考えておるのか、はつきり今お伺いしたいのであります。
  18. 近藤直人

    近藤政府委員 要望がございました点につきまして、現地の方にさよう連絡いたしたいと思います。
  19. 辻原弘市

    辻原委員 そういう要望があつたから、伝えておくじや実際問題として何の措置にもならないわけです。だから一体どういう方法をもつてこれをやつたか、私どもの考えとしては、少くとも現地において調査するだけの価値ありと認めて行くわけでありますから、行つてそれがもうすでに移転が完了してしまつて、既成事実をつくつてしまつてつたというふうなことでは、きわめて私どもとしては大きな問題にも考える。そこで文部省としてはそういうことのないように、少くとも手を打つてもらいたいということを端的に言うておるわけであります。その点については、ただそう伝えるということでなしに、文部省の意向としてどうするかという腹を聞かしてもらいたいと言つておるのであります。
  20. 近藤直人

    近藤政府委員 現在の大学当局におきまして、いろいろの事情を勘案されまして、移転の議が決定いたしました。準備がほぼ完了いたしましたので、移転開始するという決定をいたしたわけであります。現地大学といたしましてさような方針移転を進めておるものと考えます。従いまして文部省といたしましては、現地方針におまかせするよりほか方法がないと考えます。しかしながら国会の方のさような御要望がございます点につきましては、現地の方に十分連絡いたすつもりでございます。
  21. 辻原弘市

    辻原委員 そこなんです。前会からも終始文部省意見としては、大臣意見が食い違つておりましたが、私どものお伺いした範囲の事務次官局長の御答弁によれば、ともかくこれは現地大学自体の問題である、だから大学がどういうふうにこの問題を時期を定めて取運ぼうと、それは文部省がとやかく言う筋合いでもないし、全然そういうことに手を触れたくないのだということを強調をされておると思うのですが、私はここに相当問題があると思うのでありまして、お伺いしたいのは、一体この種の問題については、文部省は全然タツチをする権限がないものか、また一体大学自治というのは、どういうふうな法制的根拠に基いておるのか、具体的の大学自治内容というものは、どんなものか、この際私はむしろお伺いしておきたい。そうでなければ、ともかく大学設置、きわめて大きな大学行政教育行政に関する事柄であつても、事と次第によれば、これは大学自治だからということで文部省は逃げる。端的に、露骨に申し上げますが、そういうふうなにおいも感ぜられるので、そこでこういうふうにいくら私どもが真剣に取上げましても、何ら具体的な真剣な解決の態度が見出せない。もちろん行政府がおとりになつておる措置でございますから、別段その措置について単にどうこうということを申し上げておるのではなしに、少くとも大きな一つの政治上の問題であるという観点から、この問題を取上げておるにかかわらず、それを単に大学だけの運営上の問題のごとき取上げ方で文部省が考えている。その点は私どもと非常に食い違う。その点が違うからこそ、この問題の処理を国会とともに協力して、有終の結末をつけるという立場にお立ちになられないのではないか、私はそういう臆測も実はいたしておるわけであります。  この際そういう点を私大臣にお伺いしたがつたのでありますが、伺うことができませんので、終始その立場をとられておる局長にその点を私は具体的に聞いておきたい。これは今後の大学管理機関問題等にも触れて、きわめて重要な問題でありますが、一体大学自治とはそもそもどういうふうな制度に基き、どういうふうな具体的な内容を執行するのであるか、その点一般行政の部面と、文部省の主管すべき事項とはどういう点において相違があるか、明確に御答弁願います。
  22. 近藤直人

    近藤政府委員 御質問に対してお答えになるかどうかわかりませんが、文部省設置法によりまして、大学に対する文部大臣権限と申しますか、これにつきましては技術的専門的面につきましては文部大臣は指導、監督、指示する、しかしながら行政的運営的面につきましては、法律に定めるものに限り、それ以外につきましては権限がない、監督しないということに相成つておりますから、さような線におきまして文部省権限を行使することができると考えております。この新発田の問題につきましても、大学管理機関であります評議会が全会一致決定いたしまして、おおむね十一月末をもつて統合をするということに決定をいたしまして、その準備も完了いたしましたので、移転開始するということになつたのでございます。従つてそれに関する限り、文部省といたしましては、特別の支障のない限りは大学決定にまかせるということだろうと考えます。
  23. 松本七郎

    松本(七)委員 問題は非常に大切なんで、大臣に質問したいところですが、御病気ではしかたありません。少し局長にお伺いしながら、政務次官の御意見も伺つておきたいと思います。  私は大学統合の問題は、結局の責任大臣にあることは明確だと思うのです。そこで今大学評議会の方できめたからこれはそれでいいんだ、特別の支障がない限りいいんだという御答弁があつたのであります。その特別の支障というのが現在われわれから言わせるならば起つておる。文部省側ではかりにそれが特別の支障とまでは考えられないにしても、いやしくも国会でそういう問題を論議しておる以上は、これがはたして特別の支障なりやいなやということを十分に検討するだけの余裕というものは、文部省の方が積極的に獲得すべきものではないかと思います。現在のやり方を見ておりますと、責任の所在がはなはだあいまいなんだ。こういうあいまいなことで文部行政を行えるわけがないのです。  これは諮問機関である設置審議会でこれはよかろうということになつた、そうしてこの前の稲田局長答弁を聞いておりますと、将来統合すべきだという漠然とした将来の方針文部省は打ち出した。従つて具体的な点については大学当局にきめてもらう、こういうことです。そして大学当局がきめたからもうこれでいいんだと簡単に言つておられるのですが、将来の統合方針をきめて、それに基いて具体化する過程においてこういういろいろな問題が起きて来た。この問題が起きておる以上は、最終責任はあくまでも文部大臣が負わなければならない。従つていやしくも国会において衆参両院でこれが問題になり、しばらく猶予すべきである、そして白紙にもどして、これを純教育的な立場から検討してみて、どうしても現在統合することがいいということになつたら、そのとき初めて実行に移そうというような意見が大体の空気であるということは、御存じのはずです。それならば大臣責任において、これは一時中止するなり、そのくらいの積極的な処置をとるのが国会に対して当然の責務ではないかと私は思う。この点についての局長の御意見をまず伺つておきたい。
  24. 近藤直人

    近藤政府委員 ただいまのお話でございますが、法律上さような規定になつておりまするが、事実上非常に支障がある場合にはこれに勧告をする、あるいは指示をするということは私はあり得ると思います。現にさような意味におきまして、現地大学長に対しまして、またあるいは学校当局に対しまして、私個人的にかような情勢になつていると注意を申し上げたことはございます。従いまして現地大学長並びに学校当局といたしましては、十分さような事情は承知されておるものと私は考えます。しかしてその限度を越えまして何らか権限的な措置をするということは、先ほど申し上げました意味におきましてこれは困難ではないか、また事実不可能である、かように考えますので、国会から現地を御視察なさるということ、並びにその間移転を待たれることが、あるいは常識的ではないかというようなことは、私重々申し上げております。現地といたしましては十分了承されておると思つております。
  25. 松本七郎

    松本(七)委員 これは問題がない場合にはなるべく大学にまかせるという態度が望ましいのですが、こういう重大な問題が起つておる場合に、最初にその方針決定した文部大臣としては、もつと責任のある態度をとつてもらわなくちやならぬと思う。これは保安庁の長官も無理はしたくない、円満に解決したい、こう言つておる。文部省としては、形の上では諮問機関に諮つた上で将来の統合方針をきめた、そうして地元においてとにかくそういう態勢ができたのであるから、表はそういうふうな円満な様相を呈しております。しかしその実情は必ずしもそうじやない。初めにどういうところからこの問題が起つて来たか、その地方の実情その他から考えると、この両方の上層の方では、さも円満に解決したような形をとつて、そうして保安庁の方では、教育行政立場からこれは必要ないということになつたんだからあとに入るんだ、こういう形になつて来る。実際にはすでに非常な問題になつておるのであります。従つてそういう問題のある場合には、やはり最終の責任者である文部大臣がこれをとどめるぐらいの積極的な処置を一時とるべきであるとわれわれは考えるわけです。この点は局長の考え方とはいささか違うようです。  そこで私は政務次官にお伺いしたいんですが、政務次官もこの前からこの問題についてはすでに相当御研究なさつただろうと思うのですが、こういうときにこそ政務次官に積極的に働いていただかなければならぬ大きな任務が私はあると思うのです。どのような御見解を抱いておられ、またどのような行動を今までとつて来たかということを明らかにしていただきたいと思います。
  26. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬政府委員 はなはだ汗顔の至りでございますが、よくなれませんものですから、この問題につきまして大臣に聞いたりあるいは局長によく聞いたのですが、これは大学設置審議会において一度許可をしたものであるから、これ審定するということはなかなかむずかしい問題であるというふうに私は聞いておりました。そういうものである、こう信じております。
  27. 松本七郎

    松本(七)委員 どうも政務次官はいつまでも様子がわからぬらしいですが、たよりない話です。設置審議会で許可をしたというようなお言葉がありましたが、これは諮問するだけであつて最終責任はあくまでも文部大臣にあるのですから、政務次官もこの問題に真剣に取組んでいただいて、われわれの意のあるところをもつとくんで、具体的な解決に少し御尽力願いたい。ただ文部大臣にたより、局長にたよつて行くというのでは政務次官の務めは果せません。  そこで局長にお伺いしたいのは、文部大臣は今病気だといわれるのですが、電話なりあるいは自宅に行かれるなりして、こういう緊急を要する場合には連絡をとつて次官ともお打合せの上至急にこれは一時中止するくらいのことをやつていただかなければ、私ども文部大臣を信任するわけに行きません。こういう重大な問題で、これだけ国会で問題にし、現地ではどんどん実行に運んでおりながら、これを放置して、できてしまつたあとの祭りだというようなことでは、われわれも責任を果すことにはならない、従つて保安庁の長官まで呼んで、円満解決までにはどうするかということで真剣に取組んでおる、現地ではどんどん進行しておる、しかも反対の運動までやりました。これを放置されるならばわれわれとしては大いに考えなければなりませんから、この点局長の方で至急に文部大臣連絡されて善処されるようにお願いしたいと思います。
  28. 坂本泰良

    ○坂本委員 大臣が来ておられないからまことに困るのですが、局長にお伺いしたいのです。十二月四日に文部委員会がありまして、その際にこの委員会調査派遣を決定したのですが、その日に新潟大学学長その他が来ておるといううわさを聞いたのですが、果して来ていたかどうか、来ていたならばこの問題についてどういう折衝をされたかされないか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  29. 近藤直人

    近藤政府委員 十二月四日ごろには学長はお見えになつていらつしやらなかつたと記憶いたします。
  30. 坂本泰良

    ○坂本委員 この新潟大学の問題が二十七年の七月三日の当委員会で問題になりました際に、これは速記録を今持つていないのでありますが、稲田局長は、局長を派遣中であるからというような答弁をしたのを、—その前の委員会でしたか、聞いた覚えがあるわけです。しかるに先般の委員会では、文部省は積極的に調査したこともない、報告を聞いておるだけだ、こういう事実に反するようなことを聞いておるわけなんです。従つてこの答弁は信頼ができないのであります。実は十二月四日に大学学長が来ておるということを聞いたわけですが、大学関係者が来ていなかつたかどうか、その点がはつきりしないのであります。この移転については、前国会からこの文部委員会において問題になつておる。少くとも管理局長の地位にある者は、それに対して単なる取次では済まされないと思うのです。根本的な統合の問題が討議されて、しかも空気としては、保安隊はもう円満解決をしたいということを希望しておる。また校舎があくからそのあとに入るのであつて、何も積極的に入るのではないということを保安隊の方は申しております。そういうような情勢にあるのに、すでに現実は移転開始しておる。十二月一ぱいにこの移転を完了するということを向うで決定しておるのだから、それを向うがやるのに対して何ともいたし方がない。これでは文部省の監督権の発動がどこにあるか、その点が疑われるのであります。逆にこれを考えると、文部省国会における委員会では何ら関知しないようなことを言つて、その裏では積極的にこの統合を促進しておるというようなふうにも考えられる。少くとも疑いを持たれる。もう少し監督の地位にある文部省は積極的に問題を取扱い、さらに責任ある答弁をしなければならないと思うのであります。かような見地に立ちましたならば、すでに机とかその他を五日、十日の間に運び得るというような段階にあるのに、それは中止してもらいたいという権力がなかつたならば、要望くらいは積極的にやるべきものである、かように考えるのです。従つて、数日中に調査委員が行くという現段階において、局長は実際上やつておることをやめさせるという強い要望をやられる意思があるかどうか、その点をお聞きしたい。
  31. 近藤直人

    近藤政府委員 初めに、私十二月四日には学長がお見えになつておらないと考えると申し上げましたが、ノートを見ましたら、十二月四日に学長がお見えになつておりますので、御訂正願います。  それからただいまの御質問でございますが、先ほど辻原委員お答え申し上げましたように、事実上私といたしましては、衆参両院のこういう強い要望があるから、現地の方も十分その点は考慮してもらいたいということは申し上げておりますので、その点は現地といたしましても十分承知のことと考えます。しかしながら、文部省が全面的に大学に対してああせいこうせいということは、先ほど申し上げましたように事実上不可能であると思いますので、その点は御了承願いたいと思います。
  32. 坂本泰良

    ○坂本委員 十二月四日に大学学長が来たということを今認められたわけですが、四日の日の委員会ですから、四日に来たらその日かあるいはその翌日までいたと思うのですが、その際に、向うの受入れ態勢というのがこの委員会でも相当問題になつた。その受入れ態勢がはたして規格に合うようにできたかどうか。それから強い要望があるが、この統合の問題については調査委員も行くことになつているから、これを一時見合して、そうして円満に解決するような方途がないかどうか。これは一例ですが、そういうような統合調査ということにかかつているこの問題に対して、学長が幸いに来たから、その学長内容にわたつて交渉されたかどうか。されたならばその内容はどうであるかということを承りたい。
  33. 近藤直人

    近藤政府委員 学長見えておりましたのは、具体的にどうこうということではございませんので、一つは、非常に国会で問題になつていると承知してたいへん御出惑をかけておるという意味合いのことと、それから受入れ能勢がほぼ完了しておるので、自分としては既定方針通り移転をいたしたい、かような意見でございました。それに対して私は、国会はこういう情勢である、そういう点も十分考慮していただきたいということはお話申し上げました。私の方で早く移転せいというような、けしかけたというようなことは毛頭ございません。
  34. 坂本泰良

    ○坂本委員 その際に大臣が会われたかどうか。あるいは稲田大学局長が会われたかどうか。もちろん大学学長がわざわざ新潟から出張旅費をもらつて文部省に来た以上は、この統合の問題で来たと私は判断する。おそらく間違つていないと思う。そういたしますと、これに対しては大臣も、大学局長も、管理局長も、やはり鳩首この問題について打合せをした、相談をした、そう考えるのが一般の常識であり、公知の事実ではないかと思われる。そこの点はどうですか。
  35. 近藤直人

    近藤政府委員 大学長は、留学生の問題でアメリカ大使館でございましたかに打合せに見えたと申されました。私のところに見えましたので、私との話合いの後に、これは大臣にお会いなさつた方がよろしゆうございましようと申しまして、私が御案内申し上げまして、大臣にお会いになられたのでございます。
  36. 坂本泰良

    ○坂本委員 あまりくどいようですが、その際に局長は立会われたかどうかということも聞きたい。
  37. 近藤直人

    近藤政府委員 私立会いました。
  38. 坂本泰良

    ○坂本委員 立会われたならば、これは文部大臣の職務権限で秘密に属するのならばしようがないけれども、少くともこの新潟大学の分合並びに留学生の問題では、当委員会で秘密にする事項もないと思うのです。だから立会われたならば、この新潟大学の問題について話があつたかどうか、話があつたならば、どういう話があつたか、その点を承りたいと思います。
  39. 近藤直人

    近藤政府委員 大臣とのお話の詳細につきましては申し上げかねますが、私の承知いたします限りにおきましては、たいへんこの問題について大臣にごめんどうをかけております、しかしながら受入れ態勢がもう完成しておりますので、自分としては既定方針通り遂行したい、かようなお話合いがあつたと記憶しております。
  40. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしますと、文部省の方から、この問題について非常な異論があるから、少し待つてもらいたいとか、考えたらどうかという話はなかつたか。そういう点についてただ向うの報告を聞いただけであつて、こつちから積極的に話されたことはないか、あつたならば、その内容をお聞きしたい。
  41. 近藤直人

    近藤政府委員 詳細につきましては私申し上げかねますが、こちらから積極的に話合いされたことはないと記憶いたしております。
  42. 坂本泰良

    ○坂本委員 私はこの問題について、結局は大臣が来ていないからだめだということになるのですが、私は大臣にかわつて政務次官要望したい点がある。というのは、十二月四日の委員会では、次官は終始熱心にこの席におられまして、その情勢も賢明なる次官にはおわかりだと思うのです。従つてこういう問題こそ私は、国会議員として政務次官にあられる限り、その解決の衝に当らるべきであると存ずるのであります。従つて大臣よりもさらに文部政務次官において、もつと積極的にこの事件の処理に当つてもらいたい。と申しますのは、われわれ立法府にある者は、立法府がつくつた法律の実行に際して、それが立法の趣旨に合わない点、その他現実に沿わざる点がたくさんあつて、その変更を求める。法律においては改正の問題があり、こういう行政措置の問題については、その法律の解釈その他についてやはり立法府としての重要なる責任があると存ずるのであります。かような意味におきまして、これからでもおそくないから、私は政務次官に対して特段の御努力をお願いしまして、一応質問を打切ります。
  43. 辻原弘市

    辻原委員 先ほど伺つた中で、これは最後に御質問をした点と関連があるのですが、だんだんとお話を承れば、最初私が御答弁いただいた点と、多少話が違つて来た点があるのですが、学長が来られたときの話の中にこういう点がなかつたかどうか。それはすでにスケジユール決定してあつて大学ではその移転の執行を行いたいと考えているので、今いろいろこの問題について騒いでおるけれども、その方針を曲げる考え方は持つていないので、もし文部省がこれに対して阻止をするとか、あるいは干渉するという場合には、大学当局としては自治の立場からあくまでもそれに対しては闘うといつたような、そういう大学当局立場を明らかにせられなかつたかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  44. 近藤直人

    近藤政府委員 さような話合いはございません。
  45. 辻原弘市

    辻原委員 なかつたとおつしやるので、この点はあとで立会われた事務次官等にもお伺いしたいと思いますが、もし大学当局の意思の表明がそういう形においてなされんとし、また文部省もそれを肯定され、先ほど私に答弁のありましたように、法制上大学に対してはこのような問題が起つた場合において、タツチをすると申しますか、それに指導と助言を与えるという権限がないという立場を固執されることになれば、これは先ほども申しましたように、問題は一向解決しない。  そこで大学の自治ということは、憲法の学問の自由を保障するという立場において、極限までその立場をとるということが正しい、私はこう思うのであります。しかしながら大学の運営において、執行機関である文部省が、単に独断でその問題に関与して、権力をもつてその運営を曲げるといつたような場合、あるいは他からの不当な干渉によつて大学の自治がゆがめられるという場合に、正常な大学の自治を守るという立場があり得るのであつて、少くとも国会においてこの問題が取上げられ、大学の自治を尊重しつつこの問題を解決して行こうという調査の執行にあたつて、それに対して若干の期間を延ばして、その調査が完了するまで、その執行を待てということは、私は決して大学の自治に権力をもつて介入するというふうなことには当らないと思うのであります。  また先ほどはつきり法制的にそうなつておるということを申されましたが、寡聞にして私、文部省設置法あるいは国立学校設置法を見ましても、さような明確な規定はないと思う。あるならば、各条章についてお教えを願いたいのでありますが、少くとも文部省設置法においては、第五条の権限の中に、その十七ないし十八号において、これらの大学の設置、あるいは大学その他の教育機関に対して指導と助言を与えるということが述べられてあるだけであつて、また国立学校設置法においても、文部省設置法においても、その点については人事の点においてのみ特例法においてそれを規定するということであつて、具体的に大学行政のあり方、あるいは大学の自治において、大学の行政機関としての権限内容というものは明確に規定されてないと私は思う。この点はもちろん現行の法律に不満があるから、設置法の問題が出て来るのであると思いますけれども、これは法の不備といたしましても、少くとも現行の建前といたしましても、大臣に負わされておる、あるいは文部省に負わされた指導助言の責任というものは相当多い。しかも公立学校が本来文部大臣の所轄にかかるものであるならば、私は今回の問題のごとき大学統合の問題も、裏を返して見れば、大学の設置に関する問題である。従つてそういう立場から、当然大学の設置のみを議する諮問機関である大学設置審議会統合の問題も議せられておるということは、これは設置と統合という問題が切つても切り離せない立場において議せられておるものと考えますが、そうしたいろんな観点から見ましても、決してこの問題について文部省が介入すべき、またとかくのことを申してはならぬというような性質のものじやない、かように私は考えるのであります。さらにもう少し明確な法制的な見解なり、最初私が質問いたしました、大学自治というのは厳密にこういうふうな規定があるんだという点があるならば、お教えを願いたい。
  46. 近藤直人

    近藤政府委員 大学の自治のお話でございますが、私の承知いたしております範囲におきましては、先ほど申し上げました通り文部省設置法の規定でございます。しかしながらその詳細につきましては大学局長お話願うことにいたしまして、私の承知いたしております限りにおきましては、文部省設置法の規定によるものと考えております。それは御指摘になりました設置法の第五条の十八号ないし三十二号の2でございます。その規定と考えております。
  47. 辻原弘市

    辻原委員 十八号は、指導と助言を与える文部省権限を書いてあるのであつて、何もこれは大学の行政機関たる性格について書いておるものではないと私は思う。三十二号は同じく、特段の法律命令によつて定めている場合には、この権限から除外するということであると私は考えるのですが、特段の法律命令があるならば、お教えを願いたいというのです。
  48. 近藤直人

    近藤政府委員 その点につきましては、大学局長からお答え申し上げることにいたしたいと思います。
  49. 辻原弘市

    辻原委員 なぜ私が申し上げるかというと、終始一貫大学局長なり管理局長あるいは次官の御答弁が、たびたび文部省設置法ないしは国立学校設置法をたてにとられて、法制的に明確であるという、答弁があつたから、少くとも責任あるそういう答弁をされる以上は、もう少しはつきりした法制的な根拠なり、あるいは実際の行政運用上の立場から、そういうことを私は説明されたというふうに考えて承つてつたのでありますが、ただいま若干法律を繰つてみましたけれども、その点については、どうもそうしたはつきりしたものがないし、私の常識をもつていたしましても、必ずしも仰せのようなことには相ならぬかとも思つておるのであります。その点を御質問したのでありますが、このような明確ではない規定を振りまわして、別段私は法律的な問題を申し上げるのではございませんが、これで逃げられておるという感じを持ちますから、その点をただしたわけでありまして、これはあと大学局長がどのような答弁をされるかもわかりませんけれども、少くとも管理局長とされても、そういうことをはつきり申されておる以上、私はもつとはつきりしたこれに対する御見解がおありかと思つたのでありますが、大学局長見えられましたから、一応局長の御意見をお伺いしておきたい。
  50. 稲田清助

    稲田政府委員 御質問の際この席におりませんで、たいへん申訳ないことでございますけれども、あるいは御質問の御要旨を取違えていはしないかということを恐れながら、一応お答え申し上げます。  大学の自治が法制に現われておりますのは、御承知のように人事において最も顕著な規定があるわけでございます。その他に対しましては、要するに文部省設置法において、主務大臣である文部大臣の、所轄の各機関に対しまする諸権限が現われておるわけでございます。そのうちに、たとえば技術的、専門的の助言を与えるというような面があるかと思います。同時に、これと表裏いたしまして、文部省設置法では、法律に特別の定めある場合を除くのほか、文部大臣は行政的管理的の監督をしてはならぬ、こうありまするので、一般的に専門的技術的助言以外におきましては、大学管理機関それ自身の行政管理運営にまかせておる。ただ文部大臣は、もとより大学に関しまする法律案の作成でありまするとか、予算案のとりまとめであるとか、また大学という点についての一般的基準を定めるとかいうような点につきましては、その職権があることだと考えております。御質問に当らないかもしれませんが、一般論としてはそう心得ております。
  51. 辻原弘市

    辻原委員 ただいまの御説明は、大体私の考えと一致するのであります。少くとも現在の大学の行政において、特に大学の行政の中で大学自体にゆだねられておる権限というのは、人事を主としている。一般的行政については、一般的ないわゆる大学の自治を尊重する。それは先ほど申し上げましたように、学問の自由という立場から尊重するという一般的規定と、文部省という性格と、それから大学という性格において、あるいはその他の付設のいわゆる独立した教育機関というものに対する、それとの関係において、それぞれの自治を尊重して行くという、そういう私は一般的な立場において、大学の自治、あるいは行政において関与してはならぬという原則が生れておるもの、こういうように私は把握しておる。従つてこれは先ほど近藤局長が言われたように、法制的に明確であるから、全然タツチしてはならないということはあり得ない、こういうように思うのでありますが、その点は稲田局長どうお考えになりますか、この種の問題について。
  52. 稲田清助

    稲田政府委員 この問題につきましては、時間的の経過において私どもは考えておるわけでありまして、一番最初に大学設置審議会の議に基きまして、文部省自身が国立大学の将来あるべき方針というものを立てたわけでございます。これは文部大臣それ自身として、大学から予算要求がありました場合に、これに同意するかしないかといつたような場合の腹構えの基本にもなるわけだし、一面は文部省自体の国立大学将来の基本方針でもあり、また他面大学に専門的技術的性質の助言をいたしますることは、将来大学が行政運営の方針を立てる上において、これはなし得ることだということで、それに基いて、文部次官から各大学にそれを伝えたわけでございます。その後において、それに基いて大学管理機関それ自身が大学方針として、あるいは実際運営の段どりをきめるという決定がありますれば、問題は大学の行政、大学の運営に移行して来た、こう見ていいのではございませんでしようか。
  53. 辻原弘市

    辻原委員 これは前会から質疑がかわされておる点でありますので、くどくは申し上げませんが、その時間的経過によつて、この問題が一応大学にまかされた。しかしまかした結果がよかつたかどうかということでなく、大学の問題にとどまらず、非常に一般の住民にも多大の影響を与えて来て、それが学区制の問題として取上げられるという問題が出て来て、ここに調査という問題が出て来た。従つてその調査がいずれに結論が行くかは別問題として、そこまで発展した問題は、これは単に大学自体だけの、いわゆる大臣がかくかくの原則によつてつてもらいたいという範囲の中で解決できる問題でなくなつて来たという点の把握からして、ここに少くとも調査の段階が過ぎるまでは、一応その大学にまかした点において、新たな事態としての指導と助言を与えられることが、これは私は一応当然、執行機関としての任務の中に包括されるのではないか、かように考えて、けさほど来、少くとも現地において国会調査が行われる以前に、移転開始するというふうな強行策をとつて来て、これがまた新たなトラブルの問題に発展しかけておるということを考えて、それを強く要望しておるわけなんですが、大臣が御出席になつておりませんし、     〔委員長退席、坂田(道)委員長代理着席〕 また局長の御答弁で、私は一応局長としては当然であろうと思うのでありますが、非常に事態が緊迫をしておるので、ここで大臣のはつきりした御見解を承つて、一応調査団が現地におもむいて、調査の結末を早急に出すという態勢ができるまでは、現状のままで、反対、賛成いずれであつても、大学当局としてその間の事情を考慮されて適切な処置をされるということに、文部省は最善の努力を払つてもらえないかということを申し上げておるのでありますが、その点は政務次官も御出席になつておられますけれども、はつきりした御見解を示されておりませんので、ここらあたりを何とか大学局長としても善処されるお考えをお持ちになつておるか、その点をお伺いしたい。
  54. 稲田清助

    稲田政府委員 この点につきましては主管局長より御答弁申し上げた点について、私といえども別段の考えを申し上げるべき性質のものではないと思います。
  55. 辻原弘市

    辻原委員 そこで先ほどからたびたび政務次官に対する御要望がありましたから—これは質疑を繰返しておつても始まりませんので、何とか早急に文部省責任のある態度をおきめ願つて、できる限りすみやかにこれを明示されたいと思います。単に伝えるとか、そういうふうに善処したいというのではなく、具体的にどういうふうな手を打つてもらえるか、その点をお伺いしたい。あくまでもそれは責任が持てないということなれば、またあらためて考えなければならぬ点がございますので、その点を早急にお考え願いたい。政務次官にお願いしておきます。
  56. 松本七郎

    松本(七)委員 政務次官にひとつつておきたいのですが、この前から稲田局長の御答弁は同じなので、文部省側の考えは、大学の設置統合等についての基本的なものは、将来あるべき姿として審議会に諮つた結果、かくかくあるべきだという線を文部省は出した。それに基いてどういう時期にどういうふうにしてやるかということは、これは大学の問題として大学でやるのだから、それについて文部省は関与しないというのが文部省側の考え方だつた。ところが御承知のように大学の設置統合については文部大臣が最終の責任は負うので、それに基いて将来あるべき姿というものを出した。ただその将来あるべき姿というようなことを出しただけで、行政府としての責任が果せるかどうかという問題があるわけです。漠然と将来はこういう姿が望ましいというようなことを出してみても、そういう方針にのつとつてどういう統合をやるかというところに現実の問題があるわけです。そこでやはり現実の問題と取組む責任を持つている以上は、その問題が現実に起つたときに、いろいろ派生的な紛争あるいは問題が起るだろうと思いますが、特定の問題についてこれははたしてどこまでも大学自体にまかせきりでいいものかどうか、あるいは文部省が再びこれを取上げてやるべき性質のものかどうか、そういうところを個々の問題について具体的にきめるべきものだろうと思う。ただ全体の一般的な基本方針文部省がつくるので、あとの具体的な問題は大学へまかせきりでいいのだと形式的に割切るだけではいけないと思う。やはり現実に行政府責任として、そのときに起つた個々の問題の性質を検討して、その上でこれはあくまで大学にまかせるべき問題であるか、あるいは文部省が再び取上げるべき問題であるか、それを研究しなければならぬと思います。そういうところが現在あいまいになつておるので、この質疑応答も文部省の方は逃げておるような答弁ばかりしておるし、こちらの意図ははつきりしておるわけですが、私どもの考えでは、これは最初の出発は、文部省が純然たる教育問題の立場からこれを取上げたのでありましようけれども、いろいろな経過、実際の実情その他から大きな問題になつておりますから、こういう大きな問題になつた場合には、すでに大学に移つた問題だから、文部省として動く必要はないという形式的な態度をとるべきものではないと私は思う。あくまでも文部省はそれを中止させるような処置をとつて、そして一応白紙にもどして、再び純然たる教育的な立場からこれを検討し直すべきだ、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。大切な政務次官立場におられる方として、その点どういうふうなお考えを持たれるか、伺つておきたいと思います。政務次官答弁を求めます。
  57. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬政府委員 よく調査いたしまして、御答弁いたします。
  58. 田中久雄

    田中(久)委員 非常に大事な問題になつて来ましたので、近藤局長にお伺いしますが、こちらから調査に行くということについての先方への連絡は、文書でなさつたか、電話でなさつたか、口頭でせられたか、何日にやられたか、それをどういうふうに伝えられたか、それをひとつ伺いいたします。
  59. 近藤直人

    近藤政府委員 文書をもつていたしました。
  60. 田中久雄

    田中(久)委員 その文書を一ぺん読んでください。
  61. 近藤直人

    近藤政府委員 手紙で出しましたが、手元にありません。
  62. 田中久雄

    田中(久)委員 控えがありますか。
  63. 近藤直人

    近藤政府委員 控えを持ち合せておりません。
  64. 田中久雄

    田中(久)委員 文部省にありますか。
  65. 近藤直人

    近藤政府委員 控えはありません。
  66. 田中久雄

    田中(久)委員 これはきわめて重大な問題だ。局長は先般来視察に行くという言葉を使つておられた。これが根本的な誤りなのです。視察というものは一つのものの実情を見るだけだ。われわれのは視察に行くのではない。われわれのは国政の調査で、憲法六十二条に基く調査なんです。根本的に文部省の重大な手落ちであります。この責任はだれが負うのですか。
  67. 近藤直人

    近藤政府委員 衆参両院国会の方から現地調査に参られるということでございますので、これは正式には国会の事務当局の方からの通知がなされるものと考えます。しかしながら私どもの方といたしましてもそれに随行いたして参りますので、その趣を私の方から伝えたわけであります。
  68. 田中久雄

    田中(久)委員 大学文部省の管轄です。従つてわれわれが調査に行くときには一応その監督官庁である文部省連絡をするが、これは憲法六十二条に基いて国政の調査をするきわめて重大なことなのです。もしこれが私文書のごときもので出されておつたなら、これは容易ならぬことです。今からでも遅くありません。それだから、こういう事態になつておるのにかかわらず、大学はかつてほうだいにとんでもないあわて方をして引越しを始めておる。だから、この調査というのは憲法六十二条に基く国政の調査であるということを、あらためてこちらからも通知すると同時に、文部省からもぜひそういう通知を電報で発してもらいたい。
  69. 近藤直人

    近藤政府委員 ただいまのお話よく承知いたしました。さつそく手配をいたします。
  70. 田中久雄

    田中(久)委員 先般来これは何べんも繰返しながら徹底を欠いていることでありますが、文部省当局としては、大学設置審議会の答申に基いて統合を可とするということになつたから、その後の経過については干渉できないことであつて、あげて大学の自治であるという事務当局のお説は、事務当局としてごもつともであります。当然そうあるべきことであると思いますが、今問題になつていることは、そのことが根本となつてつて来ている。諸般の情勢について調査の必要が起つて来た。その一つは保安隊との関係があり、その一つは統合することがその地元に及ぼしておる社会的な問題がある。ゆえにこの点を調査をするのであつて、事務当局が考えておられることは、当局として当然なことであります。われわれが調査を必要としているということは、第一には保安隊の関係、第二は社会問題との関係、このことについての調査をする。従つて調査の結果、統合は不適当であるという結論が、あるいは出ないとも限らない。相なるべくはすでにそういう施設ができておることであるから、無理にさようなことをする必要はないのであつて、結果においては諸般の事情からそういうことはやむを得ない。もとより大学は国政の一部である。国政の一部でありますから、それについて国会調査をすることは当然であります。その結論として、統合するか、あるいは取消しになるかもわからぬということにこれは考えられる。そういうときに、一方的なことだけでやられることは、将来に禍根を残すから、この点について先般来松本辻原、坂本の同僚諸君が品をきわめて忠告をしておられるのであろうと思う。しかしながら事務当局としてはこれはできないらしい。私は文部大臣出席を求めたいと思いますが、風邪で休んでおられる。病状をひとつ政務次官から聞いてください。出席ができない病状であるかどうか。体温は何度であるか。     〔坂田(道)委員長代理退席、委員   長着席〕
  71. 伊藤郷一

    伊藤委員長 お諮りいたします。新潟大学新発田分校移転の問題は、当文部委員会におきまして、最近これのみが論議の対象になつてつたのでございまして、さればこそその内容の重要性にかんがみまして、衆議院運営委員会におきましても、会期中は委員派遣をしないという建前であつたにもかかわらず、各党一致いたしまして委員派遣が承認せられるに至つたのでございます。なお参議院におきましても、承れば本日調査団が文部当局とともにすでに新発田に出発しておるのでございます。当委員会調査団も予算の通過直後において参ることは先ほど申し上げた通りでございます。そこで文部省立場並びに法制上の立場はとにかくといたしまして、その問題の重要性にかんがみまして、せつかくこの国会会期中に行つて調査することがきまり、しかも近く行くということになつておるのでございますから、文部当局におきましては、よし命令ができないにいたしましても、この当委員会における強い空気を察知いたされまして、新発田分校が今移転をしているとするならば、その移転をとめることが望ましいし、賢明であるというように、委員会の意思として文部省当局に対しまして強く要望したいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 伊藤郷一

    伊藤委員長 それではそのように要望いたします。     —————————————
  73. 伊藤郷一

    伊藤委員長 なお新発田ばかりでなく、いろいろの重要な問題があると思いますので、あと質疑を続行していただきたいと思います。
  74. 松本七郎

    松本(七)委員 前回委員会のときでしたか、管理局長に、例の教育施設のうち占領軍に接収されておるもので、優先返還の問題についてその後の経過をお伺いいたしまして、局長から学校の数をあげられて、見込みのあるもの、それから当分見込みのないもの、そういうふうな御答弁がございましたが、ここに問題になつておる問題でお伺いしたいのは、例の東京水産大学の問題でございます。やはり接収され、いろいろな過程を経て、現在は倉庫みたいなところにおるということでありますが、この水産大学の越中島の校舎が第八軍に接収され、そしてこれは現在何か保安庁の本部になつておるというようなことを聞いております。この水産大学の校舎は、接収との関係その他から今後どういうふうになるのか、その点をちよつと御説明願いたいと思います。
  75. 近藤直人

    近藤政府委員 ただいま水産大学移転の問題につきましてのお尋ねでございますが、水産大学につきましては、すでに第十三国会におきましてもいろいろと論議がいたされまして、私といたしまして非常に責任を感じておるわけでございます。御承知のように、水産大学はただいま越中島の校舎を追い出されまして、目下久里浜の非常に狭い古い建物におるわけでございます。水産大学を入れる先はどこか、いつ入れるかという問題でございますが、その問題につきましては、先般米軍補給本部が使用しております芝浦の元の海軍経理学校の跡の土地がきわめて適当であるということになりまして、もしこの芝浦の経理学校の跡が接収解除になりますれば、そこへ入りたいということで、学校当局並びに文部省も賛成いたしまして、方針決定したわけであります。ただいまのところはいつその東京の米軍の補給本部が接収解除になるかという一点にかかつているわけであります。こういう点につきまして、私しばしば外務省へ参りまして、この接収解除の促進方につきましてお願い申し上げて来ているのでございますが、ただいまでははつきりした期日がつかめませんので、その点今後とも努力を続けまして、一日も早く接収解除をしてもらうよう交渉いたすつもりであります。
  76. 松本七郎

    松本(七)委員 その他の接収されておる教育施設と比較してみてどうでしようか。
  77. 近藤直人

    近藤政府委員 外務省の話によりますと、ただいまの芝浦の米軍補給本部が将来移転するということは確実でございます。その移転先は群馬県の小泉付近、ただいまここには米軍のキャンプがあります。キャンプ・ドルーというところでありますが、その地域を拡張いたしまして、そこへ新たに倉庫を建てまして、米軍の補給本部をそこへ移しまして、その跡が接収解除になりましたらそこへ移る、かように方針決定いたしております。問題はいつ建築がされ、いつ移転するかということにかかつておるものと考えております。
  78. 松本七郎

    松本(七)委員 学校当局も非常に急いで解除を要望されておるようでありますから、文部省の積極的な御努力を要望いたしたいと思います。  稲田局長見えられておりますから、この際伺つておきたいと思うのですが、例の大学の特別研究生の問題です。これは以前給費生であつたのが、現在貸費生にかわつた。そのためにベース・アツプなどの恩典に浴することもできない。何か元の給費生にかわると同時に、その費用の増額を希望しておるということを聞くのであります。この点はどういうことでございましよう。
  79. 稲田清助

    稲田政府委員 お言葉のように、昭和二十四年度から従来のいわゆる特研生が育英会の奨学金をもらう対象になつたことは事実でございまするが、これはまた同時に国家公務員ではございませんので、一般ベース・アツプと同等に扱うという問題についてはまあ疑問もございますけれども、従来は一般のべース・アツプで俸給が改正になりました際にはそれぞれ単価上げて参つて来ておるわけでございます。
  80. 松本七郎

    松本(七)委員 その以前の給費生の者がまだおるわけですね。それだけはベース・アツプの恩典に浴して、ほかの者はこれに浴せないというのが現状じやないでしようか。そういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  81. 稲田清助

    稲田政府委員 今申しましたように、直接そのべース・アツプと並行的には上つておりませんけれども、そういう機会に、昨年におきましても上の方はたしか九千円でありましたが、一万円でしたか、下の方は七千円でしたか、経費を増額いたしておるようなわけでございます。
  82. 松本七郎

    松本(七)委員 この特研生を育英会で扱うということ自体がなお研究を要するのじやないかと思うのですが、これを育英会で扱うようにした趣旨、それから経過、現在そのままでいいかどうか、その点お伺いいたします。
  83. 稲田清助

    稲田政府委員 これにつきましてはいろいろ立場によつて論議があるわけでございますけれども、当時の考え方といたしましては、御承知のようにこの特研制度ができましたのは、戦時中の研究要員の養成であつて従つて国家的要請という色彩が非常に強かつたのでございます。終戦後におきましてはいわゆる自由な立場において自由に研究する、またその後において就職その他についてもこれを自由にする、いわば大学という学術研究機関、教育機関を任意に利用するということは、これは過去の学制と同じような本体になつて来た。しかもその研究について経費的の援助をする必要があるので経費を貸与した。こういう建前の相違、前においてはいわゆる国家機関の一部であつた。今日においては研究機関のいわば客体である。これが根本の相違であろうと思うのです。
  84. 辻原弘市

    辻原委員 大蔵省にお伺いしたいと思います。今回政府から出されておりまする公務員のベース・アツプにつきまして、特に地方公務員の財源措置についてでありますが、自治庁からその後修正して出されておりまする修正財政計画によりますと、二百八十五億の財源措置をやつておりますが、これによりまして考えました場合に、現在教職員を含めまして、一般地方公務員にやつている給与そのままの形においては、国が定めました二割のベース・アツプを実施するには、財源上不可能であるという考え方を持つております。その理由は、先年から大蔵省が積極的に取上げられておりました国家公務員並びに地方公務員との給与の実態差、この点が財源的に引かれておると考えておるのでありますが、その点財源上引きました理由についてお伺いをいたしておきたいと思います。
  85. 大村筆雄

    ○大村説明員 最初にお断り申し上げておきますが、この問題につきましては私ども給与課長が担当しておりまして、私たまたま文部予算を担当していますから、ただいま私の承知している範囲お答えいたします。  昨年度給与の実態調査をいたしました。その調べた結果によりますと、地方の教職員は国の教職員に比べまして三百七十五円ほど高いのでありまして、その結果に基きまして、国の公務員のベースと比べて地方の公務員の予算が少くなつておる、そのように承知いたしております。
  86. 辻原弘市

    辻原委員 その問題は大蔵省のどなたか見えるまで保留しまして、文部関係の予算についてお伺いいたしたいと思うのであります。  補正予算で文部省が要求いたしておりまする六・三建築費を見ますると、三十二億の要求になつておりまするが、これが全額大蔵省の査定において削減せられておるという点、この三十二億要求いたしました根拠について検討を私どもがいたしました場合に、少くともこれは昨年来の〇・七坪基準に満たないものを、一応中学校のみこれを解決するという数字であると私把握するのでありますが、この点につきましては大蔵省も少くとも、文部省が二十七年度において従来の〇・七坪未満の点を解消して、現在—昨日も水産学校その他を視察いたしまして、現場からさらによく伺つたのでありますが、〇・七坪基準のこの点にとどまつている点から、水産学校問題も解決しなければ、あるいは生徒の自然増の問題も解消しない。いわゆる戦前の原状復帰すらこの現状の基準においては困難であるという点が、これが全国的に今問題化されておるという点から、われわれとしてはどうしてもこれは早い年次において解決をして、次年度からは少くともこの基準の引上げという点に力点を置かなければならぬ、かように考えておりまするが、全額削除せられたという点からいたしますると、またこれが二十八年度に持ち越され、さらにそれが当初予算において解決しなければ、それがまた補正予算の問題になり、それがまた次年度に持ち越されるということになつて、永世この学校建築の問題が遷延せられて、解決しない。そうしている間にはこの戦後建てられたところのいわゆるちやちな校舎が新しく老朽校舎の中に包括されて来て、現在建てられておる増築校舎の全国坪数よりも厖大なものになつて、悪循環をするということを私どもは考えるのでありまするが、そうした点について大蔵省はどう考えられてその点を査定されたか。全国坪数の措置が、単に財源がございませんというふうな御答弁では、この問題は処理できないと私は考えますので、どのように扱われるかをひとつお答え願いたい。
  87. 大村筆雄

    ○大村説明員 〇・七坪未満の解消につきましては、二十四年の当時の調査の数字といたしましては、本年度予算をもつて一応完了いたすことになつております。その後に人口の増加あるいは異動がございまして、戦災地におきましてはいまだに問題が解消せられていないという、そういう現状が残つておるわけであります。この点につきましては最近の実態をよく調査いたしまして、来年度予算においてできるだけ検討し考慮する必要があると考えております。
  88. 辻原弘市

    辻原委員 これは今の御答弁によりますと、一応大蔵省の方では全部完了しておつたと把握しておる。ところが最近に至つて調査された結果、水産学校その他のあれでも、生徒数の異動とか、ふくれ等によつて、〇・七坪に満たぬようになつて来ておる。こういうことで新しく出て来た問題だというふうに大蔵省としては現在受取つておられるのですか。一旦完了したけれども、その後の人口増加等によつて、あるいは生徒の自然増加によつて、新しく生れて来た〇・七坪未満であるから、これはもう一回調査をして来年度予算の問題とするのだ。こういうふうに考えられているのですか。その点はどうですか。
  89. 大村筆雄

    ○大村説明員 その点につきましては文部省の来年度予算に出ております。
  90. 辻原弘市

    辻原委員 文部省の予算の来年度の要求に出ていることは、これは編成されている過程からわかるのですが、私が言つている問題は、補正予算で文部省が出して、その間折衝があつてつたわけですから、削つたのは一体どういう理由かと聞いておる。その削つた理由は単なる財源的な理由で削つたというのではあまり通り一ぺん過ぎますから、この際もう一ぺん御担当の文部係官の主計官として、少くともこれらの点については一応の御見解を持つてつたに違いありませんから、その点を詳細に私は聞いておるわけです。今お答えなつ趣旨から見れば、これは文部省は〇・七坪は終つた、ところがその後異動があつたために新しく生れた問題だから、次年度予算として、文部省は二十八年度の予算として要求された。また大蔵省もそういう受取り方をして、だから補正予算には計上しないで、当初本予算に盛つている。こういうことであれば若干文部省に質問しなければならない、かように考えて再度お尋ねしたわけです。
  91. 大村筆雄

    ○大村説明員 その問題につきましては、前の池田大蔵大臣のお考えもございまして、一応二十四年度当時の〇・七坪は本予算をもつて完了する、その後における人口増加等によるものについては二十八年度予算において考慮する。そういう方針です。
  92. 辻原弘市

    辻原委員 これはあまりくどくはつつ込んで聞きませんが、結論としてはこういうふうに受取つていいわけですね。それはともかく以前にこの〇・七坪に満ちているか満ちていないかということはある程度見解の相違もあつたようでありますが、少くとも現在、今お答えなつた点から私推察いたしてみますと、〇・七坪の基準に満たないところの坪数がなお相当数あるということはお認めになつて、その予算措置か必要であるということは、大蔵省においても考えられておるというふうに受取つてさしつかえありませんね。それは予算技術上補正予算にするか当初予算にするかの問題は別として、ともかて三十二億という二十六万坪でありますか、その程度の〇・七坪はこれは大蔵省でもとにかく基準に満たないものがあるということは現在においても把握されておる。従つてその点についての予算措置は講じなければならぬということを今思つている。これは間違いございませんね。
  93. 大村筆雄

    ○大村説明員 最近の調査の結果から言いますと、学校により、地域によりましてはそういうことになりますが、まだ予算省議も行われておりませんので、責任をもつてその通りであるとお答えするわけに参りませんが、少くともそういうふうに考慮いたしたいと思います。
  94. 坂本泰良

    ○坂本委員 この補正予算の三十二億何がしかの今の六・三整備費のゼロに減額されたのは、補正予算の性質でないから削つたということを聞いておるのでありますが、この点についての大蔵省の見解を承りたいと思います。
  95. 大村筆雄

    ○大村説明員 先ほど申し上げました通り、前の大蔵大臣の御方針もございまして、翌年度予算以降においてできるだけ考慮するということで削除いたしました。
  96. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、性質上補正予算に組むべきものではない、そういう見解があつた、ただ大臣方針として来年度予算に延した、こういうふうに了解してよろしうございますか。
  97. 大村筆雄

    ○大村説明員 補正予算に組むべき筋合いのものでもございませんし、前の大臣の御方針もありましたので……。
  98. 坂本泰良

    ○坂本委員 その点は私たち非常にただしておきたいのであります。この補正予算の性質でないという点は、私はやはりこういうのは補正予算の対象になる、そういうふうに考えておるのでありますが、性質上補正予算に組むべきではないというその法律上の根拠を承りたい。
  99. 大村筆雄

    ○大村説明員 従来補正予算は当初予算編成後に生じました当初予期しなかつた緊急事態に対処するため編成するのを方針としております。
  100. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこでわれわれが承知いたしましたのも、先ほどの大村説明員の話にもありましたように、二十四年度の調査基準で三十二億何がしかの補正予算を組んだわけなのであります。それを削除された。そういうふうの経緯から考えますと、当然に補正予算に入るべきものだ、こういうふうに考えるのでありますが、その点についての御見解を承りたい。
  101. 大村筆雄

    ○大村説明員 その点は当初予算編成の際にも一応わかつてつたところであります。
  102. 伊藤郷一

    伊藤委員長 自治庁財務課長奥野説明員が参りました。なおこの部屋は午後一時から他の委員会が用いますので、そのおつもりで質疑を続行していただききいと思います。
  103. 辻原弘市

    辻原委員 一つだけ大蔵省にお伺いしておきたい。補正予算の性格を説明されたわけなんですが、当初予算で予期せざるものは補正予算でやるのだ、こういう御答弁であつたと思うのです。ならばこういう点についてはどう考えられて処理されたか。というのは、ただいまの六・三建築整備費について、本年の当初予算においては三十四億が組まれておつたと記憶するのです。そのときは木造が二万三千、鉄筋が五万七千という単価で組まれておつた。ところが今度の補正予算に出ている費目の教育関係以外のものについて見ますと、当初予算で組んだ後の物価等によつて同じ建築単価に補正を考えられておる。たとえば公庫であるとか、そういうものの建物の単価を引上げておるという点から見ますと、他の建造物の単価が物価等によつて引上つておるにもかかわらず、六・三建築のみ単価が上つておらぬということは、これは議論にならないのではないかと思う。そうするならば、当然一応補正予算において組むべき性格ではないという御見解で三十二億を削られたとするならば、逆に今度は当然補正予算として組むべきこの単価増についてなぜ組まれなかつたか。その点をどうして補正せられなかつたか。これをお伺いしておきたい。この点は先般文部省に御質問をいたしました際には、今度の補正予算で三十二億出したその単価は、補正として、木造を二万七千ですか、鉄筋を七万ですか、ここまで引上げられて補正予算を要求しておるということでありますので、もしその点の数字を認められておるとするならば、私は当初予算の六・三建設に関する単価の補正を行うべきではないか、こういうふうに考えるのでありますが、やはり大蔵省としては必要がないというふうに考えられて計上されなかつたのかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  104. 大村筆雄

    ○大村説明員 私の担当以外のことにつきましては、ちよつと責任を持つて答弁するわけには参らぬのですが。
  105. 辻原弘市

    辻原委員 担当ではないのですか。大蔵省として、いわば責任のある御答弁を承りたいと思つたのですが、これもあれも担当でないとおつしやられると、質問しても無意味でありますから、その点は担当の方を呼んでいただきたい。担当の方を呼んでいただくまでは保留いたしまして、自治庁の方がお見えになりましたので、先ほど保留しておりました問題について、自治庁の御意見をお伺いしたいと思います。  先ほど大蔵省がお見えになりましたので、質問をしかけたのでありますが、今回自治庁が大蔵省と協議の上国会に出された平衡交付金の根拠である修正財政計画によりますると、その財源措置においていささか不足を生じておるというふうに私は考える。その点の理由は、これは先般来問題になつてつた国家公務員と地方公務員の給与差等の問題だというふうに考えるのであります。この給与差等の問題について、先年は三百七十五円が教職員において高い。さらに県庁職員あるいは市町村職員についても、それと同等もしくはそれ以上高いというふうな見解を大蔵省がとられ、それに自治庁も同調せられていました。その後数字がこのような数字から若干かわつているということをお見受けするわけですが、そのかわつて来た根拠についてまずお伺いをいたしたい。
  106. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 昭和二十六年度の当初の地方財政計画を立てます際に、大蔵省が調査されました地方公務員の給与が、国家公務員の給与と比較すると若干高過ぎる。従つてこれを引下げたのを基礎にして財源措置をすべきであるという見解をとられたわけでありますが、これは大蔵省の一方的な調査でありまして、今年まだ自治庁としてはそういう面の調査も持つておりませんでしたので、さしあたりそういう方針で財政計画をつくつたわけでありますが、その後さらに政府としてこの問題の調整をはかろうということから、大蔵省と自治庁と文部省と三者が一緒になりまして調査をしたわけであります。その結果が、大蔵省が地方公務員の給与があるべき姿と比較すると若干高過ぎると言つておりました額が、多少引下げられなければならないということになつたわけであります。このような共同調査の結果に基きまして、高過ぎるという額を修正いたしましたものを元にして、今次の地方財政計画の修正を行つたわけであります。
  107. 辻原弘市

    辻原委員 その後三者の共同調査の結果に基いて数字が出たということでありますが、それにつきまして、いつの実態を調査されたのか、どのような形において共同調査をされたのか、調査の方式はいかなる方式を採用されたのか、この点を承りたい。
  108. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 先ほど申し上げましたように、当初大蔵省だけが調査したのでありますが、その後三者話合いをいたしました結果、教育職員以外のものにつきましては、府県につきまして二〇%の抽出調査を行つたわけであります。その後さらに八府県につきまして全員についての調査を行つたわけであります。二〇%の抽出調査の結果と、それから八府県におきますところの全員調査の結果に基きまして、先に出しておりました数字を若干引下げるというような措置とつたわけであります。なお調査の時期の問題でありますが、たしか二十六年の四年一日現在じやなかつたかと思うのでありますが、ちよつと今資料を探しておりますから、もし間違つておりましたら、あとで訂正いたします。
  109. 辻原弘市

    辻原委員 今伺いました点で、教育職員を除かれたというのでありますが、それではこれは共同調査の対象にはしなかつたわけですか。
  110. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 教育職員につきましては、文部省調査をいたしたわけでありまして、これらにつきましてのあるべき給与額等につきましては、三者で話合いをいたしました結果、そのようなものさしを使つてやることが適当であろうということで行つたわけであります。
  111. 辻原弘市

    辻原委員 時期はあるいは誤りであるかもしれぬというお話でありますか、二十六年四月の調査であるといたしますると、この間今回の補正予算を組むまでに一箇年半という日子を経ておる、こういうふうに考えられるわけであります。少くとも給与等の問題につきましては、一箇年半たちますと、その間に昇給ないしは昇格等の措置もあり、また地方によりましては合法的な面において独自の給与措置もとられる、そういう期間的な余裕があると私は思うのであります。それをもつて今回の補正予算、ないしはこれが決定的なものであるとすれば、おそらくは当初予算もこの範囲内において行われると思うのでありますが、それが確実なものであるとお考えになつておられるのかどうか。現在ただいまの給与実態とにらみ合した場合に、そうした以前の調査が、今回使用するにあたつて確実である、今の問題の給与というのは現実の生活の問題でありますから、少くともこれは現在の人事院勧告等を見ましても、そうそう一年も前の物価指数を基礎にしてはじき出したものでないという点からするならば、この点においてそういう財源計算上差引くということがはたして当を得ているかどうか。その点は自治庁としてはどうお考えになつているか、お伺いしたい。
  112. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 お話のように調査日現在が若干過去のものでありますので、現在の地方公務員の構成もそれとは若干は食い違いが出ているだろうと思うのであります。しかしながら、一年なり二年なりの間に根本的な構成の変化を来すことはないだろうと思うのでありますが、傾向といたしましては、勤続年数などが若干過去の平均よりも延びて来ているのではないかと思います。さらに言いかえれば、構成が若干よくなつて来ているのではないかと思います。そういうことに応じます財源措置といたしましては、平常年度でありましたならば、平均給与というものはかわりないと思うのであります。昭和二十七年度の財政計画を作成いたしますときには、二十六年度の平均給与よりも五%程度給与が上つている。言いかえれば、五%程度の昇給財源を昭和二十七年度の地方財政計画の中に織り込んで算定したわけであります。
  113. 辻原弘市

    辻原委員 これは先般大蔵省独自の調査で、一例を教育職員についてあげてみますと、三百七十五円、今回の新しいケースによる調査が三百四十九円、その差がわずか二十六円というきわめて少額の移動をやつているわけです。これがただいま奥野説明員の説明によりますと、五%の昇給財源等を含んで措置しているから、あるいは資格構成、その他年令構成においてそう大幅の変化がないから動かないだろうと仰せられるわけでありますが、これは一般的な一つの考え方であつて、少くともこの程度の数字の動きというものは、今調査をやればやはり動く可能性を持つている。とすれば、これは財源措置において決定的に現在の給与の支給をする財源を差引く根拠としてはきわめて不適当である。従つて少くともこれはいま少し最近のデータ等をもつて、さらに現在の物価指数に合せた調査をやることが妥当であると私としては考えるのでありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  114. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 ただいま数字をおあげになりました教育職員については、さきに三百七十五円だけ高過ぎるとされておつたのを、三百四十九円だから、二十六円だけよけい高過ぎると見ているが、この二十六円という数字は、大蔵省が調査いたしました日現在における姿がそうであるということだけであります。財政計画の中において見ます財源措置といたしましては、当時の本俸を年間において五%だけ引上げて来ているというふうな計算をいたして参つているわけであります。
  115. 辻原弘市

    辻原委員 時間がありませんから、その問題は論議しても何ですが、だんだんお聞きしてその問題については、調査の時期がきわめて以前であつたために、現在の給与の実態の上に立つての数字でないということが一点明らかになりましたのと、それから共同調査ということを言われておりましたが、これは教職員に関しては共同調査の直接の対象とはならず、同じケースに基いてやつたという点が明らかになつております。  さらに私はいま一点御質問したいのは、一般地方公務員が三百四十八円、教職員が三百四十九円かりに高いといたしましても、調査方法によつては、財源上低いことが妥当であるかどうかということについては疑問が生じて来ると思いますので、一例を教育職員にとつて、教育職員についてのこの調査はどういうケースをとられておつたのか、この点文部省にお伺いいたしたいと思います。教育職員についてはどういう調査のケースをとられたか、全部おやりになつたのか。それに基いて自治庁にお伺いしたいと思います。
  116. 田中義男

    田中政府委員 文部省調査をいたしましたのは、市町村立学校の教職員の中の、特に師範学校を出ましたものが教諭として約七三%を占めておりますので、それを対象として調査をいたしました。
  117. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま文部省にお伺いいたしますと、教育職員の調査にあたつては、主として特定の学歴を持つているものについて調べた、それが七三%というようなお話でありましたが、この財源計算を見てみますと、教職員全体を通じて三百四十九円というものを財源上差引いているという結果になつているのですが、そういたしますと、三百四十九円というのは必ずしも教職員全体が、いわゆる国家公務員に対した場合高いという数字ではないにかかわらず、財源措置上としては全体に対してこれが差引かれておるということは若干おかしな点ではないかと思いますが、その点は一体どうお考えになりますか、文部省の方にお伺いしたいと思います。
  118. 田中義男

    田中政府委員 お話のように全部について調査をいたしておりませんので、その間あるいは多少差違があるかもしれません。御承知のように国立との間の均衡がどうなつておるか見たいというのでございまして、たとえば校長にいたしますと、国立では大学の教授の資格を持つて兼任されましたり、あるいはまた国立ではありましても助教諭というような制度はまた別途考えなければならぬというようなことで、大体両者に共通しておるレベルにおいて考えますと、ただいま申しましたような対象が適当だと考えたのでございまして、全部でないことはお話通りです。
  119. 辻原弘市

    辻原委員 これは厳密な数字上の問題であり、しかもそれが財源上差引かれるという問題でありますがために、ここらを私はあいまいにしておつてはならぬと思うのです。従つて少くとも三百四十九円というのが全体を通じて国家公務員との対比において高いという結論が出て、そうしてこれが財源を計算する場合に、それだけは全体として高いんだから計算して差引くということなら一応筋は通ると思うのですが、調査は一つのケースをとつて調査をやり、引く場合には全体を引くということは、私は財源計算上としてははなはだ不適当である、かように考えます。その点は文部省はどうお考えになりますか、多少近似値でありますことはよくわかるのですが、計算はあくまでも厳密な、一銭一厘の問題でございますから、その点についてはやはり厳密ではないと思う。少くとも私計算いたしましたときと異なるのでお伺いいたしたい。
  120. 田中義男

    田中政府委員 いろいろ御承知になるような事情で、三百七十五円から三百四十九円を出さざるを得ない事情つたわけなんです。そこでそのためには文部省のとりましたような調査によつて結果を得るというよりほかに実は道がなかつたわけでございまして、従つてそれに基いて財源措置をいたさざるを得ない、やむを得ないと考えておるのであります。
  121. 辻原弘市

    辻原委員 いま一点、それは地方公務員の調査の期日が、データがなければ二十六年でもやむを得ないと思うのですが、それの抽出と、それから国家公務員である教職員の抽出との実態調査の対比を試みられた場合に、財源上必要とする場合それほどの差があるかどうか。国家公務員である教職員全体のものと地方公務員全体のものを総括的に対比した場合に、財源上地方公務員がかくほど高いという結論が出るかどうか、そういう点の調査を試みられたかどうか、お伺いしたいと思います。
  122. 田中義男

    田中政府委員 御質問の点少しわかりかねるのですが、お話の点は、国家公務員としての教職員について調べたかというお話じやございませんか。
  123. 辻原弘市

    辻原委員 簡単に申しますと、国家公務員の教職員であるもの全体の予算上処置すべき額、それを人員で割つた単価、地方公務員の教職員全体の単価を比較した場合にどつちが高いかということです。
  124. 田中義男

    田中政府委員 文部省でやりましたのは、国立の付属の学校について、やはり同じようなことの調査をいたしたのでございまして、両方実態調査の結果このような数字が出た、こういうことなのでございます。
  125. 辻原弘市

    辻原委員 違うんです。もつと単純なことをお伺いしているのです。今問題は、私は財源措置としてこういうふうな引き方をすることは妥当ではないという前提を持つている。従つて予算全体の単価を比較してみた場合、国家公務員に一箇月払うその単価はどうなつておるか、地方公務員に一箇月支払うための単価はどうなつておるか、それを対比してみた場合に、どつちが一体高いかということです。同じ人員ならば比較できるでしよう。その場合にどつちが高いかといつたふうな、そういう計算をされたかどうか。
  126. 田中義男

    田中政府委員 私ども調査をいたしましたのは、たいま申しましたような調査をいたしたのでありまして、お話のような点についてさらに多くの調査をいたしておるかどうかは私ども確かめておりません。
  127. 辻原弘市

    辻原委員 要望いたしたいと思うのですが、この点をやつていただきたいというのは、財源措置上の問題でございますから、全体の単価を比較してどうなるかということが問題にならなければ、金を払う場合に、全体から財源計算のうちの幾ら幾ら金を引くという形は、これは妥当ではないはずです。調査というのと財源措置というのは私は違うと思う。だから少くともある一つのケースをとつてこの問題を検討してみた場合に、必ずしも地方公務員の財源措置の単価、国家公務員に支給する場合の平均単価というものは、地方公務員の方がかくほど高いということは出て参らないと私考えます。  次に今大体文部省からお伺いしてわかつたのでありますが、その点を自治庁にお伺いしたい。と申しますのは、これは自治庁として一応出された財政計画でありますので、ただいま文部省からお話がありましたように、一つの特定のケースを抜き出して、その結果出て来た一つの差というものを今度は全体の財源措置の単価から差引いておるという点において、これは数字上ぴつたり行くものであるかどうか、その点をお伺いしたい。
  128. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 地方公務員の給与が国家公務員の給与に比べて高過ぎるとか低過ぎるとかいいましても、総体としての問題であります。個々の地方団体におきましては、国家公務員の給与よりも低過ぎる地方団体もあるわけであります。ただ財源措置をいたします場合には、もとより地方税とか地方財政平衡交付金とかあるわけでありますが、地方財政平衡交付金の配分にあたりまして、基準財政需要額を考えます場合には、平均給与額を基礎にしてやつて来ておりますので、地方団体といたしましては給与費に多く出そう、あるいは給与費に少く出してほかの方に多く金を使う、その間にはいろいろの変化があろうと思います。
  129. 辻原弘市

    辻原委員 私の質問しております点は今の点でございませんで、平衡交付金ではなくして、財政計画において一応二百八十五億円の新規給与費の増として計算しておる点についてでありまして、その計算される場合に、計算の基礎において一律に三百四十九円を差引かれておるという点、それは三百四十九円が調査の結果においては七三%を占める特定の学歴を有する者の数字であつて、全体の数字ではないという点がただいま文部省から明らかにせられたわけであります。そういたしますと、全体の地方公務員である教職員の財源計算としてそれを適用するということは私は妥当でない、こういうふうに申し上げておるのであります。従つて文部省はその点が数字上近似値としてはそういうふうに出るというふうに申されましたけれども、その点はつきり計算した場合にこれは執行するわけでありますから、執行する場合に財源計算として過不足が生じないか、その点は全体を計算して引くことが妥当でないかということをお伺いしたい。
  130. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 第一点といたしましては、その文部省調査が全体に該当すかどうかというふうな点もおありのようでありますけれども、これは七十数パーセントにわたつて調査でありましたならば、まず一応行い得る、調査としては非常にすぐれた調査ではないかというふうにわれわれとしては考えておるわけであります。  第二点といたしましては、減額を総体からやつた場合に、はたしてそれで済むのかどうか、言いかえれば、結局は個々の地方団体における財源措置として、そういう財政計画を基礎にして考えて行つた場合に、個々の地方団体の財政運営に適合できるかどうだろうかというわけになるのではなかろうかと思うのであります。もしそうでありますならば、やはり地方税は、税法に規定せられたところに従いまして地方団体は徴収して行くわけであります。地方財政平衡交付金といたしましては、あるべき給与額を基礎として財政需要額を算定して行き、それだけのものを国家として補償すればよろしいのであつて、かりにあるべき給与額を上まわつておる場合には、財政補償としてはそこまで考えなくてもいいのではなかろうか、こういう考え方が考えられるのではなかろうかというふうに考えておるのであります。しかしながら、これと個々の団体の現実の財政運営とは、やはり自治が認められておりまする以上は、いろいろ食い違いが起きて来るというふうに考えております。
  131. 伊藤郷一

    伊藤委員長 私は先ほど午後一時からこの部屋が他の委員会でふさがると申しましたが、その後委員部の報告によりまして、ふさがらないことになりましたので、もし長ければ一応やめて午後再開したときにお願いしたいと思います。
  132. 辻原弘市

    辻原委員 それではもう一点だけ。御答弁が違います。私は個々の地方団体に適合するかどうかを質問しておるのでもなければ、これと税収との関係を申し上げておるのでもないのであります。問題は、文部省がやられた調査、具体的に申しますと、短大と申しますか、そういうところのケースをとられたのであろうと思いますが、短大の中には、私立だつたらケースがあると思いますが、特に教職員においては、場合によつては非常に高額を持つておる人もあるし、資格あるいは勤続年数の低いために安い人もある。そういう点が残る二七%に与える影響は必ずしもゼロではないと思う。三百四十九円に与える影響はゼ口ではない。従つてゼロでない以上、この数字は、もしその調査をやつて全体としての給与平均単価を計算するならば動いて来るし、財源計算上は、もう少し精密な計算があり得るのであります。短大の相乗平均をとるならとる、また別に何種類かについて残り二七%に対してとるならとるというように、同じケースをとつて相乗平均で出して行つた場合、必ずしも三百四十九円という数字にはならぬのではないか、これはきわめて常識的な考え方であります。従つてそういうふうに考えて行くと、これは必ず動くというふうに私は考える。従つてそれの動き方はどのような動きがあるか—その差はあるいは僅少かわかりませんが、決定的に三百四十九円は動きがないということは言えない。従つて動く可能性がある数字をもつて財源計算をやることは必ずしも厳密ではない、この調査自体は、必ずしも全体の地方公務員がこれだけ高いというふうに論断される決定的な基礎ではないということを申し上げておきます。その点についてはどうでありますか。
  133. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 教育公務員給与が国家公務員である教育職員に比べましてどのような姿になつておるかということにつきましては、政府としては文部省がその責任当局でありますし、またそれらの調査につきましては、もとより文部省とも相談をしてやつたわけでありますけれども文部省が考えておられますことが一番正しいとわれわれ言わざるを得ないのではなかろうかと思います。もとより御指摘になりましたように高過ぎるということですが、これは多少の高低は生ずるだろうと思うのであります。やはり対数観察としてこの数字を取上げて行くよりいたし方ないと思うのでありますし、また地方の財政計画は、一万有余の地方団体の財政がどういう趨勢をたどるであろうというようなところから考えて行くものでありますので、多少の誤善の生ずることは本質的にやむを得ないところではなかろうかというふうに考えております。もとより著しい誤差の生じまする場合につきましては、政府として常に必要な措置は講じて行かなければならぬものではなかろうかというふうに考えます。
  134. 辻原弘市

    辻原委員 今お話になりましたように、多少の誤差は生じてもやむを得ないというふうな点も、これは相当大きなこういう財政計画上は確かにおありになると思いまするし、やむを得ないと思うのであります。ただしかし問題は実際の給与の財源でございまして、現実に少くない額を地方団体に与えなければならぬ重要な基礎を持つておるという点からいたしました場合に、やはり精密度を高めることが絶対に必要でありますし、もしかかる高いとか低いとかいう問題がなければ、こういうことは起らぬと思うのでありますが、引くならば、軽々に不正確な数字から引いたりすることは、実際の給与支給の性質上から考えまして、行政措置としてはきわめておもしろくない、かように考えますので、特に文部省なり自治庁なりに、この数字の再検討なり実施面についての問題をさらに考慮いただきたいということを申し上げまして、この問題はさらに今後機会がありました際に申し上げたいと思います。
  135. 坂本泰良

    ○坂本委員 午後続行していただくそうですが、文部大臣が出て来られるかどうか、ぜひひとつ尋ねてもらいたいと思います。なお文部予算におきましては、補正予算九十二億要求したのを八億五千万円程度に削減されておるような関係がありますし、もう少しこの予算について御質問いたしたいと思いますから、大村説明員もけつこうでありますが、そのほかの課の方にも質問したい点がたくさんありますから、委員長にもお願いしますが、大蔵当局の方も責任ある方の御出席を午後はぜひお願いしたい。
  136. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬政府委員 先ほど田中委員のお尋ねで、大臣はどうかというお話でございますが、一昨夜来かぜで寝込んで、昨日は食事を少しもとらなかつたのでからだが非常に衰弱して、今朝少し食事をとつたところ、腹痛を起して下痢をしておられ、今日は出席ができません、こういう答えでございます。
  137. 伊藤郷一

    伊藤委員長 午前はこれにて休憩し、午後三時から再開いたします。     午後一時八分休憩      ————◇—————     午後三時四十二分開議
  138. 伊藤郷一

    伊藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  文部省関係予算に対する質疑を続行いたします。
  139. 辻原弘市

    辻原委員 自治庁にお伺いいたしたいのでありますが、けさほど御質問いたしました給与の財源計算にあたつて、地方公務員からそれぞれ所要の額を差引いて計算をいたしておるという問題につきまして、計数的な問題については若干けさお伺いいたしましたので、少しく政策的な面についてお伺いいたしたいと思うのであります。  それは国が財源計算をする場合の取扱いとして、こういうふうに差引いて計算をされたのでありますが、そもそも地方で給与措置をする場合に、これは地方公務員法、ないしは教職員の場合には、特例法等によつて、当然それに基く条例で、地方においては独自の給与政策がとられ得るということが明らかであろうと思うのであります。そういたしますと、国が財源の計算から差引いて、いわゆる地方でやつている給与の政策と違う財源を与えるという結果になるという点から、これは他方の給与の政策に対して、いわば国が干渉すると申しますか、やはりそれに対してある措置を強要しているというふうに考えられるのでありますが、そういう点について、自治庁としては、地方自治の立場からどうお考えになつているか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  140. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 まことにごもつともなお尋ねでございますが、地方公務員の給与は、ただいま仰せの通り、地方の条例によつてきめることになつておるわけでございます。これは自治の建前からそういうことになつておるわけでございます。その場合に、去年の補正予算並びに本年度の予算におきまして、国が地方に対する給与関係の財源措置をするのに、従来これが実態であるとして用いておつた給与単価に対して、ある程度の調整を加えて財源措置をするということは、地方団体がその公務員の給与を自主的にきめるということに対する制限になりはしないか。こういう御趣旨の御質問と思うのであります。しかしながら今回われわれが地方財政計画の算定におきまして、給与単価を計算いたしますのに調整額を加えましたのは、国家公務員について定められております基準の給与に比べまして、高過ぎると考えられますものにつきましては、国として財源措置はいたしかねる、こういうことで、ただ地方に対する給与問題、そのほか一般的な所要経費についての財源措置の一つの考え方として、さような措置をとつているわけでございまして、特にこの措置によりまして、給与は幾らでなければならぬ、あるいはこれ以上になつてはいかぬ、こういうような措置を考えておるわけではございません。ただ財源措置の計算といたしまして、国が地方に財源を付与いたします基準としては、この程度に考えるのがしかるべきではないか、このような考えでいたしておるわけでございます。
  141. 辻原弘市

    辻原委員 今のお答えで財源計算上の問題として考えているだけであつて、地方にはこれを給与の政策として決して強要するものではないということが、自治庁の見解として明らかにせられたわけでありますが、ただここで私いま少し御考慮願わなければならぬ点は、それは少くとも給与の政策を行う場合に、国家公務員である場合は、そのうちの幾パーセントかは全国各地に散在をしておりまして、その地域の物価指数なり、その地域の風俗、習慣等を採用されておると思うのでありますが、大多数の公務員は、主として同じような生活環境の中に一応包括せられておる。かように考えて間違いはないと思つておりますが、それに比べて地方公務員の場合には、それぞれ異つた地域に散在し、またその地方公共団体の政策によつて、この給与措置も行われなければならぬというふうな点が、非常にウエートが大きいわけであります。具体的に申してみますと、一例を教職員にあげますならば、かりに東京と近接しておるところの神奈川県の教職員、あるいは埼玉、千葉といつたようなそうした地方におきましては、片や東京においては、これは従来の実績から見まして、非常に給与措置も高いし、地域給の関係も違う。そこで交通も便利であるという点から、神奈川県で、その地方の教育に充当しようというところから、相当力を入れて教育養成に努力いたしましても、卒業しましたならば、これが待遇のいい東京の方に行つてしまう。そういう点から、優秀といいますか、いわゆる相当質的に考えなければならぬ教育構成に支障を来して来る、そこでその間の調整をはかるために、県独自としては、非常に無理な給与措置をとらねばならぬ。そうした結果が、いろいろ各地において異つた姿として出て来ておるのではないか。これは単に東京のみにとどまらず、それぞれ主要な都市の周辺における地方においてはそういう傾向があり得ると思います。ところがこれを一律にかりにならしてしまうということになりましたならば、そういう教育行政上の教職員確保といつたような点については、全然政策的に考慮するということが不可能な状態になつて来る。ここらに私は地方公務員に対する給与措置というものは、やはりある大きな一つの規準というものが、当然地方公務員法並びにその他の法律に基く原則に照してあるべきだと思うのでありますけれども、少くとも単価を幾らにするというような点については、これは国は形式的にも実質的にもやはりこれは干渉すべき問題ではないのではないか。少くとも国がそういう形で干渉するという場合には、地方公共団体の政策を助長する意味合い、少くとも地方自治というものを促進して、全般的な政策を向上せしめるという点に観点が置かれた場合のみそういう一つの国の指導というものがあり得るのであつて、逆に地方のそうした独立性をこわされるというようなときにおいては、これはいくら形式的にはそうでないといつても、実質的にそれに影響を与えるようなそういう方策はとるべきではない、かように私は考えるのであります。その点は自治庁としてはどのように考慮せられるかお伺いいたしたいと思います。
  142. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 地方のただいま例におとりになりました教員の給与の問題でございまするが、確かに地域によりまして、団体によりまして、たとえば大都市等のような団体あるいは山村を控えておるような団体におきましては、給与に相当な差が起り得る。団体としてそういうものを考えなければならないという問題のありますことは御指摘の通りだと存ずるものであります。私どものところで平衡交付金の総額を算定いたしまする際に、単価としてとつておりまする地方公務員の給与の単価は、これは一律一本でとつておりまするけれども、実際各団体に対してその財源として平衡交付金を配分いたしまする際には、御指摘のような経費の上に起つて来るところのそういう地理的な差違というものを見て配分をいたしておるのでございます。これは平衡交付金法自身の中にそういう場合における補正の方法を規定いたしてございまして、具体的に申しますれば、いわゆる公共団体の態様による補正と称しておりますが、都市的な団体あるいは比較的農村的な山村的な性格によりまして、所要財源の程度が違いますので、その点はそれぞれ補正をいたしまして、将来計算して配分しておるわけであります。従つてただいま御指摘のように、東京近郊のようなところは比較的多くの経費を要する、あるいは東北あるいは北陸のようなところは比較的その経費が少くて済むのではないかというような点につきましては、財源全体の配分におきまして補正係数を作成することによつて考慮いたしまして、財源の配分はいたしておる次第であります。
  143. 辻原弘市

    辻原委員 その点は全体の問題でありまするので、補正係数をつくられて配分をするという措置がとられましても、やはり全体的に足りないということになれば本質上しかたがないということでありますが、その範囲内において考慮せられるということはこれはよくわかります。時間もありませんのでそれは一応それだけにとどめます。  次にいま一点御質問しておきたいのは、同じく二十七年度の修正財政計画で、市町村の教育委員会設置に伴う経費として十億八千四百万円を算定の基礎に考えられておるのでありますが、この内容はどういうふうなものを含んでおられるのか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  144. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 修正地方財政計画におきまして、市町村教育委員会の設置に要する経費として十億八千四百万円というものを計上いたしてございますが、その内容は何を含んでおるかというお尋ねでございます。大体を申し上げますると、教育委員に要しまする委員会の経費、それから事務局の設置に要しまする事務局関係の経費とにわかれるわけであります。委員会の経費といたしましては委員の手当、報酬、その他これに附属いたしまする旅費あるいは需要費というようなものを計上いたしておりまして、その算定の考え方といたしましては、公選によります委員の待遇は、当該市町村の議会の議員と同じような考え方をもつて計上いたしておるのであります。それから事務局に関する経費といたしましては、大体の考え方は、市においては現在市にございまする教育関係の部課長並びにその関係の職員というものはそのまま事務局に移るものといたしまして、なおそのほかに指導職員一名及び事務局員一名を増置する経費を計上いたしておるのであります。それから町村の教育委員会につきましては、全町村のうち半数につきまして専任の教育長を一名設置をする計画でありまして、その待遇は、大体助役並みということで計上しております。大体以上のような内谷で計算をいたしまして積算をいたしましたものがこの十億八千四百万円でございます。
  145. 辻原弘市

    辻原委員 これは自治庁にお伺いしていいのかどうか、若干疑問でありますが、ただいまの内容から見ました場合に、委員報酬その他人件費としては同待遇のもの、事務局の設置としては事務局の指導職員一名の費用、それから町村では教育長の半数設置、きわめて少額のものが計上せられておるのでありますが、この中にはいわゆる市町村において事務局を持つなり、教育委員会を設置するということに伴つての施設費、その他については全然考慮をせられておりませんか。その点はどういうことになつておるか。それをお伺いいたします。
  146. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 私の説明がたいへん言葉が足りなかつたので恐縮でございますが、大体人件費関係のそのおもなものを申し上げたのでございまして、なおそのほかに需要費、初度調弁費及び関係の諸費等をおのおの計上いたしてございます。
  147. 坂本泰良

    ○坂本委員 六・三制の施設の整備のことについて自治庁の御意見を承つおきたいのですが、地方財政法の三十四条が改正になりまして、学校の復旧に対する経費という費目が一つできたわけでございます。これができます前に六・三制の整備費の中に戦災学校の復旧の費用が含まれていたかどうか。あるいは起債だけでこれをやつたかどうか、その点をまずお伺いしたい。改正の点はあとでよろしゆうございます。—それでは質問の順序をかえます。学校の戦災復旧についての費用が、数年前から六・三制の整備費に一緒になつたということを承つております。その点について承りたい。
  148. 近藤直人

    近藤政府委員 戦災学校の復旧の予算のお話と存じますが、戦災学校の復旧につきましては、昭和二十一年度かつ国庫補助金が支出されて参つております。しかしながらそれが昭和二十五十度からは小学校、盲聾唖学校につきましては、中学校優先の六・三整備費に一緒に組み入れられて参つておりまして、従いまして私どもの方も、昭和二十八年度の予算におきましても、この戦災小学校の復旧の予算につきまして、これを〇・七坪から〇・九坪まで引上げる予算の下足を要求しております。
  149. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、戦災復旧という特別の補助金はやめて、六・三制の中学優先という整備費に全部充ててしまつたということに承つてよろしゆうございますか。
  150. 近藤直人

    近藤政府委員 ただいまのお話は、小学校、盲聾唖学校についてでございまして、戦災復旧費といたしましては、大学と高等学校につきましては、昭和二十六年度並びに七年度ほぼ同額の予算を計上いたしております。
  151. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしますと、結局小学校にはないということになつたわけですね。
  152. 近藤直人

    近藤政府委員 小学校、盲聾唖学校につきましては、ただいままで六・三の予算の中で考慮して参つております。
  153. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこでお伺いいたしたいのは、六・三の中でどのくらいの程度に—パーセンテージでもよろしゆうございますが、認めて来られたかどうか、その点をお伺いしたい。
  154. 近藤直人

    近藤政府委員 その点につきましては、なお調査いたしまして後ほどお答え申し上げたいと思います。
  155. 坂本泰良

    ○坂本委員 ほとんどやらなかつたのじやありませんか。出したことは出したのですか。
  156. 近藤直人

    近藤政府委員 ただいま数字を持ち合せませんので、調査いたしまして後ほどお答えをいたします。
  157. 坂本泰良

    ○坂本委員 昭和二十七年法律第百四十七号で地方財政法が改正になりまして、三十四条第一項の第二号に「学校戦災復旧に要する経費」という項目が上つたわけなんですが、これに対して文部省としては対策を考えられておりますか。
  158. 近藤直人

    近藤政府委員 地方財政法三十四条の規定によりますと、戦災復旧の学校施設につきましては、国がこれを補助するという規定がございまして、国と地方公共団体の負担の割合、その他の基準につきましては、昭和二十八年の三月末日までに政令もしくは法律によつて定めるということになつておりますので、ただいま法律案につきまして検討をいたしております。
  159. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、二十八年度の予算にはまだこれは計上されないかどうか、その点を承つておきたい。
  160. 近藤直人

    近藤政府委員 二十八年度の予算には—〇・七坪から〇・九坪まで引上げる分といたしまして全体で八十九万六千坪ございますが、そのうち小学校の戦災復旧の分といたしまして二十一万二千坪、五箇年計画といたしまして、その五分の一、四万二千坪、約十億を計上いたしております。
  161. 坂本泰良

    ○坂本委員 その点はその程度にいたしまして、次に危険校舎の改築費の補助金ですが、これは二十七年度は起債四十億と承つておりますが、全部起債で、そのほかの国庫の補助はなかつたかどうか。
  162. 近藤直人

    近藤政府委員 御指摘のように全部起債でございます。その起債総額は、その後追加がございまして全部で四十二億に相なつております。そのうち十億が公募になつております。資金運用部の低利資金によりますものが三十二億、十億が一般の市場から金を借りる形式でございます。
  163. 坂本泰良

    ○坂本委員 今度の補正予算に二十六億五千万円余りを要求して、大蔵省がこれを全部削除されているのですが、危険校舎については、今局長の御説明のように四十二億の起債でやつただけで、そのほかに起債以外の国庫補助を要求されたかどうか、その点を承りたい。
  164. 近藤直人

    近藤政府委員 さようでございます。
  165. 坂本泰良

    ○坂本委員 文部省の説明によりますと、これもやはり補正の性質でないというような関係で、大蔵省が全部削除した、こういうことを前会承つたように聞いておりますが、大蔵省の方でどうしてこれを全部削除されたか、その点承りたい。
  166. 大村筆雄

    ○大村説明員 文部省側で御説明申し上げました通り、補正の性質でございませんので……。
  167. 坂本泰良

    ○坂本委員 この老朽校舎はすでに使用禁止になつておる分もあり、使用制限を受けておる分もあるのですが、特に二十六億というのは、使用禁止の部分の中の三分の一だと聞いておりますが、こういうすでに使用を禁止して、その校舎が使えずにおる学校の補助金が、性質上補正の中に入らないというのはどういう関係ですか。その点を大蔵省の方から御説明を承りたい。
  168. 大村筆雄

    ○大村説明員 従来中、小学校の建物につきましては、その改築は当該地方団体の経費をもつていたすことになつております。それで国といたしましては、なるべくその財源措置として起債を考慮するということにいたして参つている次第でございまして、前国会におきましても、前の大蔵大臣から、老朽校舎につきましてはなるべく起債の方で考慮したい、そういうふうに申し上げているのでございます。その結果といたしまして、前年度十六億でございましたか、それを本年度大幅に四十億にふやした次第でございます。
  169. 坂本泰良

    ○坂本委員 文部省は、その性質上補正予算に組むべきものじやないものを二十六億も要求されたのは、どういう意味なんですか。
  170. 近藤直人

    近藤政府委員 ただいま大蔵省側のお話通り、補正予算の性格でないと考えましてございますが、何分老朽危険校舎が相当数ございまして、非常に危険でございますので、一刻も早くこれを改築しなければならぬという意味合いにおきまして補正で要求した次第でございます。その老朽危険校舎の坪数が、二十七年五月一日現在におきまして約四十八万坪ございますが、そのうち使用禁止命令の出ておりますのは、約三分の一の十六万坪でございますので、このものに対してだけでも早急に改築しなければならぬという意味合いにおきまして、予算の要求をいたした次第でございます。
  171. 坂本泰良

    ○坂本委員 予算の性質上補正予算で組むべきものじやない、起債に持つて行くべきものだという大蔵当局の御説明が今あつたのですが、そういう点は御承知の上で今御説明のような意味で要求されたのか。あるいはこれは国家補助の対象となるべきものであり、さらに補正予算としても組むべきものであるというかたい信念のもとにこの補正予算の要求額として要求されたかどうか。その点について……。
  172. 近藤直人

    近藤政府委員 先ほどお話ございましたように、この老朽危険校舎につきましては、文部省といたしまして補助金の要求をいたして参つておるわけでありますが、ただいままでのところは起債ということに相なりまして、昭和二十六年度、二十七年度とも起債で参つたのでございます。しかしながらこの老朽校舎の発生の原因につきましては、相当国の責任があることが明らかでございます。たとえば戦時、戦後の資金資材の統制によりまして、学校改築が抑制された、あるいは学校施設の軍施設あるいは学校工場への転用があつた、あるいはまた学校林の供出を命ぜられたというようないろいろの理由によりまして、相当国に責任がある。しかも地方財政が非常に窮乏しておるような実情でございますので、できますれば補助金をもつてこれを改築することが最も望ましいと考えまして、補助金の要求をした次第でございます。
  173. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで大蔵省にお聞きしたいのですが、今、局長の説明のように、この老朽校舎については国家がその責任を負うべきものである、本質上国家の補助をもつてこれを復旧しなければならぬというので、この要求があつたわけですが、大蔵省としては単にこれは市町村の負担すべきものであるから地方起債によるという、そういう一片の法律的なお考えで全部削除されたのですかどうですか。
  174. 大村筆雄

    ○大村説明員 戦争責任をどこまで国が負担をするかという点につきましては、これは非常にむずかしい問題でありまして、まだ解決し得ない点も多々あると思います。その場合国の財政負担能力という点も勘案いたさなければならないと思うのでありますが、ただいままでのところは、先ほど申したようなことになつている次第でございます。
  175. 坂本泰良

    ○坂本委員 どうも大蔵省の責任のある方が来ておられないから、これ以上追究するのはどうかと思いますが、しかし、少くとも大蔵官僚として予算の編成に当つておられる以上は、もう少し観念をはつきりしていただかなければならぬと思うのであります。老朽校舎について、また戦争被害として、はたしてどれだけ国が負担すべきものであるかどうかという点について疑問を持つておられるようですが、これは当然国が負担をしてやらなければならない問題である。というのは、戦争中長い間修理もせずにほつたらかして、さらに校舎を分解使用する、こういう関係があつたために老朽校舎という問題が起きて来まして、現在四十八万坪も使用できないという状態になつておるわけであります。従つて国がこれを負担すべきであるということは当然だろうと思う。先般地方財政法の三十四条が改正になりまして、学校の戦災復旧に要する経費を国が全部または一部を負担するという立法措置が講ぜられたというのも、一つの証拠であると思うのであります。従つて国の財政措置の問題で云々するのは第二でありますけれども、老朽校舎に対する問題は、地方にのみ依存せずに、根本的に国家がこれを負担しなければならない、こういう見地に立つのは当然だと思うわけです。今補正予算の審議が行われておるのでありまするが、四十八万坪も使用禁止するというような現段階において、二十六億五千万円の要求額に対して少しもこれを認めずに、ただ単に二十六年度の地方債より二十七年度の地方債をふやしたというだけでは、これはできない問題であります。従つてこの点は、文部省ももつと強腰にやらなければならないのですが、大蔵省としてももう少し考えなければ、今度の補正予算を見ましても、文部省よりの要求額九十億が、わずかその一割の九億に削減されておるわけであります。こういうような大きい点から見ましても、文部予算に対してもう少し関心を持つてもらわなければならぬ、もし大蔵当局で関心を持つておるとすれば、今発言があつたように、こういう重要な国家の教育の問題の、校舎に対する国の責任があるかないかについて疑問を持つているなんて、そういうことは言われないはずだと思う。従つて、この点については文部当局も大蔵当局も、もう少し政治的の責任のある方の御出席を願つて御質問をいたすことにして、これで打切つておきます。  そこで別な問題ですが、もう一つ管理局長に聞いておきたいのは、アメリカ軍が使用しておる校舎の中に、永久使用するものがどれだけあるかということをまずお聞きしておきたいと思います。
  176. 近藤直人

    近藤政府委員 教育施設でただいま駐留軍の接収になつておりますもののうち、永久使用になつておりますのが学校にいたしまして十一件ございます。それから社会教育施設につきましては二件でございます。
  177. 坂本泰良

    ○坂本委員 この施設の回収については、文部省は努力しておると申されておりますが、使用されておる校舎の復旧について文部省が要求されるルートはどういうふうな順序でやられるか、その点を承つておきたい。
  178. 近藤直人

    近藤政府委員 接収教育施設の返還の問題につきましては、ただいま外務省が所管しております日米合同委員会の審議によつて決定するものでございます。日米合同委員会には駐留軍の方から委員が出ております。また日本側からも委員が出ております。それを外務省の国際協力局が主管いたしておりまして、日米双方の委員が定期に会合いたしまして、どこの施設を返還する、どこの施設を接収するというような決定をしております。従いまして、私の方といたしましては、この被接収校舎の返還につきましては外務省の国際協力局の方に出向きまして、これこれの事情であるのでぜひこれをすみやかに返還してもらいたい、接収を解除してもらいたいという要求をいたす筋合いになつております。
  179. 坂本泰良

    ○坂本委員 日米合同委員会でこの問題が議せられるということに承知いたしましたが、永久使用するようなものは—安全保障費が相当予算に組まれておるのですが、永久と言つてもいつになるかわからないのですが—少くともここ当分の間は返還の見込みがないものであります。そういたしますと、農地を接収された、場合と同じに、安全保障費から代償をもらつて、それでもつて永久の接収学校のかわりにつくるというような点について考えられておるかどうか、またそういうことが可能であるかどうかということを研究されたか承りたいと思います。
  180. 近藤直人

    近藤政府委員 接収校舎の解除につきましては、先ほど申し上げましたように、日米合同委員会決定によりますわけでございますが、もしそこで接収解除に決定いたしますれば、駐留軍の行く先を別に考慮するわけでございまして、さような場合に安全保障費の使用という問題が起るものと考えます。
  181. 坂本泰良

    ○坂本委員 もちろん安全保障費というのは、今御説明のように、接収しておるのを返還するからそのかわりのものを建てるとか、あるいは道路をつくるとかいう費用に使われるのでありますが、返還されない、当分見込みのないような校舎に対しても、やはり解釈上その保障費から出させて、逆に学校を建てて使用するというような方法が講ぜられるのではないかというふうにも考えられるわけです。その点についての研究をされたことがあるかどうかという点をお聞きしているわけです。
  182. 近藤直人

    近藤政府委員 無期限使用に決定いたしまして、当分返らないというものにつきましては、ただいままでのところ駐留軍と契約をいたすような仕組みになつております。しかしながらその場合に、学校側といたしまして、もはやさようなことは困る、別に建てる、あるいは移転するというようなことになりますと、補償の問題が起るわけでございまして、そういつた点につきましては、ただいま特別調達庁の方においてこの補償の問題を担当いたしておりますから、そこと連絡いたしまして損失補償の決定をするというような仕組みになつております。今日までのところ私の記憶している範囲におきましては、損失補償の問題が起つておりますのは一、二件あるように存じております。
  183. 坂本泰良

    ○坂本委員 一、二件あるというのは、例をあげてもらつてもいいのですが、それで十分の損失補償になるかどうか、その内容についてお聞きしたい。
  184. 近藤直人

    近藤政府委員 接収物件の損失補償要綱という規定がございまして、その立案の過程におきまして、文部当局意見を申しましてつくられたものでございます。従いまして、その補償によつて十分とは申せませんけれども、相当程度の補償ができるものと考えております。その詳しいことにつきましては、資料を整えまして御説明申し上げたいと思います。
  185. 井伊誠一

    井伊委員 私は新潟大学新発田分校の点について若干の質問をしたいと思うのです。新発田分校その他高田、長岡についても結局大学設置審議第九特別委員会が答申をしておるのでありますが、この第九特別委員会の構成はどういうものでありますか。
  186. 近藤直人

    近藤政府委員 構成のメンバーは大学設置審議会委員が主であります。それに文部省の者も参加いたしまして、おもに学校長でございます。
  187. 井伊誠一

    井伊委員 新潟大学学長は入つておりますか。
  188. 近藤直人

    近藤政府委員 参加しておりません。
  189. 井伊誠一

    井伊委員 その第九特別委員会は実地の査察をせられたようでありますが、実地はどこについてせられたのでありますか。
  190. 近藤直人

    近藤政府委員 その点につきまして私はつきり申し上げかねますが、おそらく各分校全部おまわりになられたことと考えます。
  191. 井伊誠一

    井伊委員 その実地査察の際に、新潟大学がこの査察に対して整理統合に関する意見書というものを提出しておるのであります。これは文部省においても見ておられると思うのですが、それはどうですか。
  192. 近藤直人

    近藤政府委員 第九特別委員会が設立いたされましたのは二十五年の十一月でございまして、それから審議を重ねまして、実地に調査をいたしましたのはおそらく二十六年に入つてからではないかと考えます。その際に新潟大学当局がどのような意見書を出されましたか、私存じません。
  193. 井伊誠一

    井伊委員 局長はその際においては第九特別委員会委員ではなかつたのでしようか。
  194. 近藤直人

    近藤政府委員 私は二十七年の一月からただいまの仕事を拝命しておりますので、当時は関係いたしておりませんが、当時の文部省管理局長委員になつておりました。
  195. 井伊誠一

    井伊委員 その新潟大学から出しました整理統合に関する意見書の内容を見ますると、大体においては統合ということは困難である、また不適当であるという趣意のものであります。そういうものが実際に第九特別委員会査察の前に提出されておるのでありますから、当然これがその審議の内容とならなけばならないのでありますが、文部省の方におきましては、この事実を—今では御承知ないかもしれませんけれども、当時の考え方としては、大学自体がこの統合に対しては賛成をしていない。そういうことは文部省においてはわかつていないのでしようか。
  196. 近藤直人

    近藤政府委員 当時のことにつきましては私詳しくは存じませんが、もしそういう意見書が出されたといたしますれば、もちろんさような意見書につきましても検討があつたと想像いたします。
  197. 井伊誠一

    井伊委員 第九特別委員会の答申というものは、天野文部大臣お答えによると、昭和二十六年の一月ということになつておりますが、それは間違いありませんか。
  198. 近藤直人

    近藤政府委員 答申は二十六年の五月と考えます。
  199. 井伊誠一

    井伊委員 通達をせられたのは昭和二十六年の六月二日と思うのでありますが、その通達によれば、新発田分校は新潟市に吸収するということが書いてある、この新潟に吸収するという意味はどういう意味でありますか。
  200. 近藤直人

    近藤政府委員 新発田分校を廃止いたしまして、新潟大学に集中するという意味と解釈いたします。
  201. 井伊誠一

    井伊委員 新発田市に存在するところの分校をただ新潟市に持つて来るというだけの、そういう意味合いにもとれるのでありますが、組織的に分校を解消してしまつて本校に統合するのか、その点はどうでございましようか。
  202. 近藤直人

    近藤政府委員 新発田分校におきましては、ただいま農学部の農業学科の職業課程が教育されておるわけでございますが、新発田の施設並びに内容等は、他と比べましてきわめて劣勢でございます。さような点と、それから分校を各地に散在させることが経営的にもまた教育的にも適当でないということ、その他の事由によりまして、これを新潟へ集中することが適当であるという第九特別委員会決定によつたと考えます。
  203. 井伊誠一

    井伊委員 私のお尋ねしたのは少し違うのです。新潟市に吸収するという意味は、分校を新潟市に集めて、やはり分校はつくつておくというお考えなのか、そういう趣意であろうかどうかということです。
  204. 近藤直人

    近藤政府委員 新発田分校を新潟へ集中いたしまして、ただいま新発田で教育いたしておりまする課程を新潟で行うという趣旨と解釈いたします。
  205. 井伊誠一

    井伊委員 よくわかりませんが、そうすると、新発田分校と名のついたものを新潟の地域へ持つて来て、新潟分校というものをつくるという趣意か、もう一度そこをお尋ねいたします。
  206. 稲田清助

    稲田政府委員 大学の運営の問題といたしましては、分校というのはひとつの校地、校舎設備でございます。従つて、それをある課程の全部あるいは一部が使つているのが分校の運営でございますから、分校統合と申しますと、その校地、校舎、校具を使わないで、そうして本来の課程と一緒にこれから運営しようというのであります。
  207. 井伊誠一

    井伊委員 管理局長からの御説明ですと、新潟大学においては、十二月一日をもつてすでに統合をして、新潟の市内に新潟分校という看板を掲げたというように報告を受取つておるというお話であつたのでありますが、やはりそれで本来の通達した趣意の統合ということになるのでありますか。
  208. 稲田清助

    稲田政府委員 この分校の名称の使用は非常にいろいろございまして、ちよつとおそれ入りますが、ほかに例をとりますと、東京学芸大学というのは世田谷、そのほか幾つかにわかれております。世田谷に本部はありますけれども、これを分校と称しておるのであります。ですから要するに全部が分校をもつて成り立つている形をとつております。新潟大学がその形態にのつとりましても、別にさしつかえないことだと思つております。私どもとしてはどうなければならぬとまでは、各大学に対しては出しておりません。
  209. 井伊誠一

    井伊委員 分校統合の初めの基本は、高田も長岡も新発田も、全部新潟へ吸収する、こういうふうに見えるのでありますが、そういうことはないのでありますか。
  210. 稲田清助

    稲田政府委員 さようなことはないのでございます。新潟と長岡と高田は存置する、ただ多少こまかくなりますけれども、高田及び長岡の芸能課程とか職業課程の上級学年は新潟に合す、これが設置審議会の御意見でございます。
  211. 井伊誠一

    井伊委員 長岡に二年課程の学科のみを置く、高田にも二年課程の学科のみを置く、四年課程に属するものは新潟に統合する、こういうことのようでありますが、結局この方針は実現しないようでありますが、それは事実はどうでございますか。
  212. 近藤直人

    近藤政府委員 ちよつと今の、実現しないとおつしやいますのは、どういうことでございますか。
  213. 井伊誠一

    井伊委員 長岡、高田には二年課程を置く、四年課程に属するものはすべて新潟に統合するということです。
  214. 近藤直人

    近藤政府委員 これは統合しないのでございますから、そのまま存置することになります。
  215. 井伊誠一

    井伊委員 さらにお聞きしたいのは、通知が昭和二十六年の六月でありますが、それから昭和二十七年、今年の二月ごろまではそのままに、この方針がきまつたということを指示しただけであつてあとは別に文部省の方からは大学の方へ、何らのさしずをしないのでありましたかどうか。
  216. 近藤直人

    近藤政府委員 お説の通りでございます。
  217. 井伊誠一

    井伊委員 昭和二十七年の二月ごろまでの間に、新潟県におきましては、この問題は新発田分校に一応限りますが、新発田校を統合するということについては、これに反対をいたしておるのであります。地元はもちろん、大学学長も、それから知事も反対しておるのであります。そのことは文部省においてはわかつていないのでありますか。
  218. 近藤直人

    近藤政府委員 二月までには、さようなことは承知いたしておりません。
  219. 井伊誠一

    井伊委員 本年の二月二十三日管理局長から新潟大学の事務局長あての書面によりますと、ここに初めて、新発田分校と村松農場、これは新潟大学の農学部の実習地と思うのですが、それの利用に関しての問い合せが来た。このことについては警察予備隊本部から本省へ種々問い合せがあるので、新発田分校及び村松農場について、下記事項に至急御回答ください、なお警察予備隊本部と折衝の参考にするのであるから、特に慎重を期して手違いのないようにお願いをする、こういう前書で、新発田分校については、分校に対する貴学の意向、それからさらに予備隊に移管をすれば、おそらくこれは建物だろうと思いますが、施設であります、その後の学生収容施設及びその時期はどうか、その他予備隊と折衝の参考となる事項、こういうことを問い合せをしておられるのであります。村松農場についもやはり同様似たような照会をしておられるのでありますが、予備隊本部の方からの交渉というのは、そのときが初めてでありますか。
  220. 近藤直人

    近藤政府委員 初めてでございます。
  221. 井伊誠一

    井伊委員 これに対しますところの教育学部新発田分校に関する意見というものが出ております。これによりますと、貴学の意見というのに対しては、文部省より先に受けておる通達を尊重することには異議がない、こういうことを言つておるのでありますし、もう一つのことは、予備隊が移管された場合、どういう影響があるかということについては、それぞれ数点にわたつて難色を示しておるのであります。予備隊に移管されれば、こういうことになる、都合の悪いことが起きるということが述べられてあるのであります。さらに第三点においては、市区の意向はどうであるかということを、参考として答えてあるところを見ると、新発田市及びその近郷の者は、予備隊を誘致しても、大学は存置したい。そうしてその一部の人は、これがためにもし予備隊の方にその施設をとられるというようなことであるならば、代替の施設を提供してもいいという趣意を述べておる。そのほか、この分校移転にまつ正面から反対している一部の人たちは、これは警察予備隊の問題であるから、それは何か金を持つて来て、そして建てた方がいいという意見を持つておる、こういうような参考のことを述べておるのであります。これらを総合してみますと、新発田市におきましても、予備隊の誘致はしたいけれども学校は離したくないという意向でありまして、少しも統合そのものに対して賛成はしていないのです。そのほか直接統合反対の者は言うまでもないのであります。また大学の観点からいたしましても、様々の不都合があるということを述べておるのであります。そうして一番中心問題は何であるかというと、さきにお示しになつた点を尊重するにはやぶさかでないという趣意を述べておるにすぎないのであります。こういうものを受取つておられまして、その後、慎重に予備隊本部と折衝をせられまして、どういうことにおちついたのでありましようか。そこをお聞きしたい。
  222. 近藤直人

    近藤政府委員 二月に現地大学に対しまして照会の手紙を出しまして、大学より回答がございました。その回答によりまして、文部省といたしましては事実上予備隊に対しましてお答えをいたしたと記憶いたしております。その当時は現地の反対などにつきましては詳細承知いたしておりませんが、現地の反対の意向が私の方にも漸次はつきりいたして参りまして、その結果国会でもこの問題が取上げられまして、ことに六月末移転という点につきまして非常に紛糾が起きまして、この点に対しまして参議院委員会におきましては決議もいただいたわけであります。しかしながら私どもといたしましては、どこまでも大学当局を信頼いたしまして、大学当局と力を合せて事を進めて参つております。文部省大学に対しまして差出がましく監督指示はいたすべきでないという方針で参つております。しかしながら事実かような状況にあるということは随時大学当局には指摘いたしまして、十分その点も考慮するようにということは実際上言つてつて来たような次第でございます。
  223. 井伊誠一

    井伊委員 その大学から回答が参りましてからの警察予備隊との折衝の内容は、局長はおわかりになつておるわけですか。
  224. 近藤直人

    近藤政府委員 大学当局からの回答は承知いたしております。
  225. 井伊誠一

    井伊委員 そこでその回答に基いて予備隊本部との折衝を慎重になされたというふうに想像ができるのでありますが、そうすれば予備隊本部との折衝は、結論はどういうふうに予備隊に対して与えられたのか、予備隊とのとりかわしはどういうふうになつておるのか、その点を承りたい。
  226. 近藤直人

    近藤政府委員 回答が参りましたので、回答の趣を伝えました。しかしながら現地におきましてかような問題がありますから、現地を刺激するようなことは極力避けてもらいたいということを伝えました。予備隊といたしましても何も学校を追い出してそのあとへ入るという趣旨ではない。あくまでも学校当局が円満に統合をされましたそのあとに、予備隊といたしましてキャンプをつくりたいということは申されておりました。
  227. 井伊誠一

    井伊委員 それでことしの五月の十日になりまして、—その前に地元の方で、文部省の方に聞けばこう言つておる、学長に聞けばこう言つておるといつて、その点がどうもあいまいであるという関係か、さまざまに学長の方が攻撃を受けて、そこで、文部省方針がかわつたのでもあるかという点からでありましよう、照会が来ておるのに対して、大学長あてに分校統合についての一つの通牒をしておられるのであります。それを見ますと、さきに二十六年六月二日に次官通牒をもつて出されたものとは違つて—違うところは、なるべく早い機会にというような文字が入つておるのであります。新潟大学新発田分校は、なるべく早い機会に新潟市内に吸収するという基本方針には変更ありませんと、こう述べておられますが、違うところはどこかというと、なるべく早い機会にということが、ここに述べられておるのであります。しかしさきの通達には、そういうこともないのみならず、今お伺いすれば、その当時は反対もあるのでありますから、なるべく早い機会という、そういうことが前からあつたのと、このときにできたのとでは、大学長の措置においても非常に違いが出て来るはずだと思う。なるべく早い機会というのは、これは第九特別委員会の答申に基いて文部省がきめた基本方針でございますか。
  228. 近藤直人

    近藤政府委員 第九特別委員会におきまして整理計画をきめた趣旨は、言うまでもなくなるべく早い機会において統合整理するという意味を含めまして、方針決定したものと考えます。
  229. 井伊誠一

    井伊委員 この答申はさまざまな事情を勘案して、統合することを可とするということを答申せられたと思うのでありますけれども、また文部省においても、そのことは方針としては決定したかもしれぬけれども、なるべく早くということを言つて、それが方針なりとするならば、これに対して何らかの措置をしなければならないし、またそうでなければ、大学の方でなるべく早くということは実現しないわけです。ことに地元においては反対をして、学長みずからも反対のところに署名をしておるような事情なのです。そういうことをなるべく早くというのならば、これは学長が初めから了解をしておつて、そうして向うの方では統合には反対をする。それからあとでは今度再確認を求めるときになると、こういうものをまた改めて、今度は自分で決定することについて、文部省の方からこういうものが来ておるのだということで、その方針を促進するということになつたもののように解される。その間に何らなるべくすみやかにというようなことはない。客観的に見てもそういう事情はないのではないか。統合はやはり地方の事情というものを見て、そうしてそれが統合することによつて前よりもよくなる、統合の実をあげるという状況に来なければ、統合に賛成するはずがない。こういう点についてなるべくすみやかにというのは、これはほんとうに文部省方針であつたのかどうかということをもう一度お伺いしておきます。
  230. 近藤直人

    近藤政府委員 ただいまのお話学長が反対されておつたというお話でございますが、昭和二十六年の六月に次官通牒をもちまして通牒いたしまして以来、学長が反対されておるということは私は承知しておりません。学長はもちろん統合の線に沿つて善処されておるものと了承いたしております。またなるべく早い機会にという言葉でございますが、これは大学設置審議会の第九特別委員会統合整備案をつくりました精神は何かと申しますと、大学統合整備を一刻も早くいたしまして、大学の水準を上げてりつぱな教育をしたいという精神から統合整備方針というものが生れ出た、私はかように考えます。従いまして各大学に対しましても、なるべくすみやかにこの統合整備を推進するということがその精神であると考えます。
  231. 井伊誠一

    井伊委員 最近の十一月をもつて統合の時期とする、こういうふうに伝えられておるのでありますが、統合をしたとか、統合をするとかいうことはどういう時期をもつて統合をしたということになるのでありますか。
  232. 近藤直人

    近藤政府委員 統合の具体的な日取りその他につきましては、これは現地大学長に一任いたしておりますので、現地大学長が諸般の情勢を勘案いたしまして、統合し得る態勢になりますれば統合を実施するものと考えます。
  233. 井伊誠一

    井伊委員 統合し得る態勢というのであるが、私はこれで統合が完了したという時期はいつだということをお聞きするのであります。
  234. 近藤直人

    近藤政府委員 ただいまの御質問ちよつとわかりかねますが。
  235. 井伊誠一

    井伊委員 統合がこれで完了したという時期はいつと見たらよろしいのでありますか。
  236. 近藤直人

    近藤政府委員 現実に統合を完了したという時期でございますか、その状態でございますか、もしそうでございますれば、新発田分校を廃止いたしまして、新潟分校に一切教職員全部移りまして、授業を開始するような態勢になりました状態をとらえまして、統合を完了したと考えてよいのではないかと思います。
  237. 井伊誠一

    井伊委員 十一月三十日をもつて新発田分校を新潟へ持つて行くことにきめた。この十三日をもつて向うの方で併校式をやる、こういうことになつておるのでありますが、一体文部省としましては、実際は一日から分校統合されたものとしてお考えになつておるのでありますか。それとも事実上の問題で、さまざまの施設が長引いて行くということになるならば、統合はしないものとしてのお扱いをなさるのでありますか。
  238. 近藤直人

    近藤政府委員 先ほど十二月一日をもちまして校名新潟分校と改称いたし、同日をもつて主事以下全員の勤務がえの手続をとるという報告学長から参つております、私その点を申し上げたのでございます。その後に事実上どのような違法の行為がとられましたか、まだ詳細報告を受けておりません。
  239. 井伊誠一

    井伊委員 今のお答えに関連いたしておりますが、十二月一日をもつて教職員の勤務がえをしたという報告を受けておるということをただいまお答えでありますが、報告だけでございますか、それには九級以上の人たちは文部省の決裁を得なければならないと思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
  240. 稲田清助

    稲田政府委員 職員におきましては、文部大臣において発令するものがあります。
  241. 井伊誠一

    井伊委員 新潟大学新発田分校に勤務しておつたところの教職員の新潟分校に勤務がえということに、ほんとうになつたのはいつでありますか。すなわち決裁になつたのはいつでありましたか。
  242. 稲田清助

    稲田政府委員 学長から上申がありましてから発令いたします。
  243. 井伊誠一

    井伊委員 それはいつでありますか。
  244. 稲田清助

    稲田政府委員 いまだ上申がないと心得ます。
  245. 井伊誠一

    井伊委員 それではまだ学長から上申がない。そうすると向うの方の学長のそういう一日に勤務がえをしたという報告だけであつて、実際はこれはわからぬ、あるいは大学分校という看板も掲げたという通知もあるけれども、これも実際かどうかわからぬ、こういうふうにお聞きしてよろしゆうございますか。
  246. 稲田清助

    稲田政府委員 心得ますと申し上げましたのは、確かなことを人事課長によくただしましてから事実をお答えいたします。
  247. 井伊誠一

    井伊委員 けつこうであります。
  248. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬政府委員 先ほど委員長からの御注意がありましたので、これは非常に重大問題でございますので、大臣と相談したいと思いまして、電話をかけたところが、どうもまだぐあいが悪いから、一両日中には必ず出るからという話でございまして、相談ができません。その要望を通達することを大臣と相談しようと思つたのでありますが、ぐあいが悪いからという話なんです。
  249. 伊藤郷一

    伊藤委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  250. 伊藤郷一

    伊藤委員長 速記を始めてください。廣瀬政務次官
  251. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬政府委員 先ほどの問題を大臣と相談しようと存じましたが、病気のぐあいが悪いという話でございますから、政務次官責任をもちまして、きようの委員会の空気を詳細に電話で報告させます。こういうことを申し上げます。
  252. 坂本泰良

    ○坂本委員 なお、十三日閉校式をやつて、きよう、あした荷物を運んでおるということを聞いておるのだが、もしそういうことがあつたら、中止してもらいたいという要望を入れておいてもらいたい。
  253. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬政府委員 いつも教わるようで申訳ありませんが、電話をかけまして、学長にこの委員会の空気を詳しく伝えまして、善処するように申し伝えます。
  254. 伊藤郷一

    伊藤委員長 次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時十四分散会