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1952-11-14 第15回国会 衆議院 文部委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月八日  竹尾弌君坂田道太田中久雄松本七郎坂本  泰良君が理事に当選した。 ――――――――――――――――――――― 昭和二十七年十一月十四日(金曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 伊藤 郷一君    理事 坂田 道太君 理事 竹尾  弌君    理事 田中 久雄君 理事 松本 七郎君    理事 坂本 泰良君       東郷  實君    永田 亮一君       長野 長廣君    水谷  昇君       山崎  猛君    井出一太郎君       菅野和太郎君    細野三千雄君       辻原 弘市君  出席政府委員         文部政務次官  廣瀬與兵衞君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     小林 行雄君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 森田  孝君         文部事務官         (文化財保護委         員会美術工芸品         課長)     本間 順治君         専  門  員 石井つとむ君        専  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 十一月十二日  昭和二十八年度以降における六・三制建築補助  継続の陳情書  (第四〇号)  公民館、図書館の建築費に対する国庫補助増額  の陳情書  (第四一号)  屋内体操場建設促進に関する陳情書  (第四二号)  公立学校施設金庫制度促進陳情書  (第四三号)  老朽校舎改築促進陳情書  (第四  四号)  学校給食堅持等に関する陳情書  (第四五号)  社会教育法の一部改正に関する陳情書  (第四六号)  不良文化財取締法令制定に関する陳情書  (第四七号)  青年教育実施に関する陳情書  (第四八号)  建国祝日設定陳情書  (第四九号)  教育委員会法の一部改正に関する陳情書  (第五〇  号)  同(第五  一号)  同  (第五二号)  教育委員会制度に関する陳情書  (第五三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  文部行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 伊藤郷一

    伊藤委員長 ただいまから開会いたします。  文部省関係補正予算について、文部当局より説明を聴取いたすことにいたします。小林会計課長
  3. 小林行雄

    小林説明員 本年度補正予算要求につきまして、概略を御説明申し上げたいと思います。初めにお断り申し上げておきたいと思いますが、お手元に御配付申し上げました資料の数字及び内容につきましては、現在まだ内定程度でございまして、最終決定には至つておりませんので、あるいは計数整理等の結果、多少変更を来すかとも思つておりますが、その辺はあらかじめ御了解いただきたいと思います。  補正予算といたしまして、文部省から要求いたしました総額は、九十二億九千四百万という数字でございますが、一応内定いたしました数字は、八億五千六百万ということでございます。但しその中には予備費として、その財源を予備費から出すというようなものが四千五百万、それから節約解除といたしまして六千四百万程度見込まれておりますので、純粋に補正予算として国会の御審議を仰ぐことになりますのは、七億四千七百万程度になる見込みでございます。  その内容につきまして、重要なものを拾いまして簡単に御説明申し上げますと、文部本省関係の第一の義務教育費国庫負担法実施準備に関する経費でございますが、これは前々国会におきまして、義務教育費国庫負担法が成立いたしまして、明二十八年度から実施されるのでございますが、それの準備をいたしますために必要な経費といたしまして二百九十三万七千円が認められております。  次に二番目の産業教育振興費でございますが、これは御承知通り二十七年度予算におきまして、六億六千六百万程度認められておるのでございますが、そのうち高等学校関係経費として五億五千万が使用されることになつております。ところが実際に実施準備をいたしまして、設備補助をいたしました結果、地方におきましては、なお不足として相当強い補助金増額要望がございます。それに対応いたしますために、文部省といたしましては三億三千八百万の補正要求をいたしたのでありますが、これに対して一億二千六百万の補正予算が現在内定いたしております。この内訳は、高等学校産業教育設備費補助といたしまして一億百九十万、それから同じく高等学校実習船建造費補助といたしまして二千三百万、それから共同実習所設備費補助といたしまして百十万、これが認められておるのであります。この補助額補助の率は、本予算と同様に高等学校関係でございますので、三分の一補助でございます。  それから第三番目の大学入学試験実施でございますが、これは大学入学試験並びに進学適正検査実施いたします上におきまして、本年度は前年度に比べて相当数志望者が多い見込みでございますので、既定の経費ではまかなえない分を要求いたしました。百八十五万程度内定を見ておるのでございます。  第四番目の教育長講習でございますが、これは前々国会決定いたしましたように、本年十一月から全国的に全面的に教育委員会制度が発足いたしまして、教育長をそれぞれの委員会に置くことになるわけでございますが、すでに有資格者相当養成されてはおりますものの、なお早急に来年の三月までに養成する必要も考えられますので、市の教育長といたしまして五十名、町村の教育長といたしまして三千九百名程度を明年の三月までに養成する、その養成講習実施する経費として九百三万二千円が内定いたしております。  次に第五番目の学生就職対策でございますが、これは明年三月におきましては、新制、旧制合せて十二万程度学生が卒業いたすことになつております。例年度より約二万名ばかり増加いたしておりますので、学生就職対策ということが社会問題としてかなり大きな問題になつておるわけでございますので、政府といたしましても、この就職対策として、学生就職あつせんということにつきまして協議会を開き、あるいは大学実情をよく産業界に徹底させるというようなこと、並びに従来の学生が大企業、大会社を志望いたす傾向に対しまして、本年度は中小以下にも学生就職してもらわなければならぬというようなこともございますので、学生受入れ分野調査というようなことにつきましても、調査実施いたしたいと考えて、この経費要求いたしておるわけでございます。  八番目の私立学校振興会出資金、七億七千三百万の要求をいたしましたが、これはいろいろ財務当局折衝をいたしました結果、現在におきましては、二十八年の本予算で考慮するということになつて、今回の補正としては認められないことに一応内定いたしております。  次に第九番目の公立文教施設整備経費でございますが、そのうち第一番目は、公立小中学校校舎整備費補助文部省といたしましては、この六・三のいわゆる落ちこぼれの問題につきまして、せめて補正予算中学校校舎であつて、しかも〇・七坪に達しない分につきまして、何とか考慮をしてもらいたいというので、財務当局折衝をいたしましたのでございますが、これについては二十八年度において考慮するということで、補正の性格のものでないというので、一応補正予算としてはゼロということになつております。  第二番目の公立小中学校屋内運動場整備費補助でございますが、この屋内運動場問題につきましては、前々国会におきまして、国会といたされまして御決議がございました。積雪地帯湿潤地帯における屋内運動場は、体育上からいつても、教育上からいつても、また衛生面からいつても、きわめて重要なものであるから、政府はこれに対して整備するための措置を急速に講ずるようにという強い御決議がございました。その御決議趣旨に基きまして、文部省といたしましても、この補正でぜひその補助金を認めてもらいたいというので、財務当局折衝いたしました。要求の五億三千八百万という数字は、これは現在屋内運動場施設基準というのが文部省にございまして、この基準によつて計算いたしますと、二十六万七千坪というのが大体不足しておりますので、これを五箇年で充足したいというので、その一箇年分を五億三千八百万要求したのでございますが、折衝の結果三億六百六十万という金額が、補正予算として認められたわけでございます。本年度補正予算で、しかも期間がほんの短いものでございますので、とりあえずの措置といたしまして、一応この程度運動場整備に着手し、不足につきましては、明年以降において文部省といたしましても十分努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから第四番目の領土復帰に伴う義務教育施設整備費補助でございますが、これは今まで占領行政下にありました鹿児島県下の十島村が独立とともに日本行政下に復帰いたしました。ところが戦争中並びに戦後のいろいろな経済上の事情から、この鹿児島県の十島村の教育施設は非常に荒廃いたしておりますので、この際何とかこれを整備してやりたいというのでこの経費要求いたしました。一部分につきましては木造、大部分につきましてはブロック、しかも大体補助率全額補助ということで、一応この二千百七十四万円という金額が認められておるわけでございます。  次に五番目の公立学校危険校舎改築費補助でございますが、いわゆる老朽校舎の問題は、施設の面から非常に大きな問題でございます。しかし老朽校舎と申しましても、非常に坪数が多いのでありますが、このうちいろいろな事情から使用禁止または使用制限なつているものだけを取上げまして、この坪数が四十八万坪でございますが、この使用禁止または制限の四十八万坪のうち、現在使用禁止なつているものを大体三分の一と見まして、十六万坪、この十六万坪のうち義務制に属する小学校、中学校校舎改築費だけを本年度補正予算として見てもらいたいというので、この二十六億の要求をいたしたわけでございまして、財務当局折衝いたしました。また承るところによりますと、閣議でも非常に問題になつたそうでありますが、これは本予算で検討して、本予算で考慮せらるべきものであつて補正で議論すべきものでないということで、一応現在では二十六億の要求に対してゼロということに内定しているそうであります。  それから第六番目の公立学校鉱害復旧費補助でございますが、これは御承知通り臨時石炭鉱害復旧法という法律がございまして、戦後の経済再建ということから石炭の増産に非常な努力をされました結果、その反面公共施設にいろいろな鉱害を及ぼしておる実情でございますので、この鉱害について政府補助いたしまして、鉱業権者にその公共施設に対する被害復旧させるという趣旨法律でございますが、文部省で算定しております学校被害の額は約二億七千万円程度でございます。この二億七千万円の学校被害に対して、この臨時石炭鉱害復旧法というのは、「臨時」と法律の目頭に書いてありますように、十箇年間の臨時法でありますので、その十分の一の二千七百万円、それに対して二分の一補助として千四百二十二万円という数字要求いたしたのでございますが、財務当局の査定の結果は五百万円で本年度とりあえずこの仕事を始めるということで、一応五百万円の数字内定しておるわけでございます。  次に第十番目の長崎大学学芸学部移転長崎大学学芸学部大村市にあつたのでございますが、本年七月にこの学芸学部予備隊が入ることになりまして、七月以来学芸学部大村市内小中学校に分散して教育実施しておるのであります。この際長崎大学学芸学部を長崎市に移転いたしまして、分散実施というようなことでなしに、集中的に教育をする必要がありますので、その経費を一億一千六百万円余要求いたしたのでございますが、九千二百九十万円の金額内定いたしております。これによりまして、寄宿舎校舎職員宿舎等を建設する予定でございます。  それから第十六番目の国立文教施設豪雨等災害復旧でございますが、これは本年の七月十日前後の豪雨、並びに同じく七月中旬の吉野地震によりまして、近畿地方中国地方四国地方等国立大学施設にいろいろと破損がございましたので、それを修理するための経費でございます。  それから国立学校の方へ参りますと、第一番目の外国学術雑誌バツクナンバー購入という経費がございます。これは戦争中並びに戦後の事情から、外国学術雑誌日本側で購入したくても購入不能という状況でありましたのが、最近に至つてようやく購入できるようになりましたので、この際欠号なつておりますバツクナンバーを購入したいということで、経費三億五千五百万円を要求いたしたのでございますが、これは要求当時はまだ九月ごろでございましたので、実は経費さえもらえば購入できる予定であつたのでございますが、現在の状況では、実際外国と連絡いたしまして、入手できるまでの期間が五箇月程度かかることになつておりますので、ただいまからですと、本年度内には入手の見込みがございませんので、文部省といたしましては、これは来年度の当初予算要求するということにして、一応要求を放棄いたしております。  第二番目の九大附属演習林火災復旧でございますが、これは九州大学演習林北海道にございます。この北海道にある九州大学演習林につきまして、五月の中旬にその演習林の付近の山林から火事を出しまして、よそのもらい火によつて演習林相当大きな被害を受けておりまして、約六百ヘクタールの土地をこの火災のために焼失いたしておりますので、この火災の消火に使用した経費並びに焼けた木の処理に関する経費とを要求いたした次第でございます。  それから九州地区松の木食虫駆除でございますが、これは九州大学、宮崎大学鹿児島大学農学部附属演習林におきまして、年々松の木食虫被害を受けておりますので、これの駆除に必要な経費要求いたしたのでございます。  それから五番目の集団赤痢発生に伴う経費でございますが、これは三重大学農学部寄宿舎、それから仙台電波高等学校寄宿舎におきまして、本年の五月、六月ごろ、寄宿生集団赤痢が発生いたしました。これの消毒、治療費等経費要求いたしたのでございます。  それから第八番目の寒冷地特殊経費の補足でございますが、これは寒冷地手当が、金額が改訂されましたので、その不足額要求いたしまして、実人員に応ずる不足額を認められたのでございます。  それから第十番目の大学附属病院医療費、それから十一番目の患者食糧費、十二番目の石炭費でございますが、従来大学附属病院医療費につきましては、昭和二十五年度の実績によりまして単価を計算して、一人一日、入院につきましては百十三円、外来患者につきましては、七十三円というような、比較的低い予算単価実施いたしておつたのでございますが、その後いろいろ新しい薬等もふえまして、大学病院としては、ぜひこの予算単価増額してもらいたいという要望が非常に強うございますので、これに対応して予算単価引上げ要求いたしました。大体入院につきましては、一人一日百五十円程度外来につきましては、八十七円程度までおのおの予算単価引上げが認められたのでございます。それから患者食糧費につきましても、同様従来は一日一人百十三円という予算単価で経営しておつたのでございますが、実際にはその後の経済事情変更によりまして、主食はかわりませんのでありますが、副食費、調味料その他につきましてかなり値上りがございますので、これの予算単価増額要求いたしまして、百十三円に対して、百四十二円程度まで、予算単価引上げが認められたのでございます。それから石炭費につきましても、石炭費増高が認められたわけでございます。  十六番目の日本脳炎研究費でございますが、これは岡山大学の医学部におきまして、日本脳炎の特殊な研究をなさつておられる教授がおられまして、日本脳炎の病原菌であるヴイールスを発見されたということでございます。この研究を継続するための経費として、この五十万円が認められたわけでございます。  次に所轄機関の、日本ユネスコ国内委員会事務局処理経費でございますが、これは本年発足いたしましたユネスコ国内委員会委員手当増額並びに調査員謝金増額でございます。  それから三枚目の方に参りまして、文化財保護委員会に関する経費でございますが、そのうち第一のアメリカ日本美術展覧会開催に関する経費、これは明年一月から一箇年間にわたりまして、アメリカのシカゴ、ボストン、シヤトルその他におきまして、日本美術展覧会が開催されることになつております。明年一月から開催されますので、十二月の初めには陳列すべき文化財を船積みいたさなければなりませんので、この経費は取急ぎ使用するというので、予備費の方として六百十七万六千円が認められたわけでございます。  第二番目の国宝及び重要文化財買上費追加でございますが、これは文化財保護法によりまして、海外に流出するおそれのある文化財、あるいは国内でも散逸するおそれのある文化財については、政府が買上げられるということになつております。当面早急に買上げなければならない重要な文化財が二点ほどございますので、その経費として一千万円が認められたわけでございます。  それから第三番目の姫路城石垣災害復旧でございますが、本年の七月の豪雨によりまして、姫路城石垣一部分が崩壊いたしました。二十面坪ばかりでございますが、これの補修をする経費でございます。  次に第五番目の国宝及び重要文化財建造物修理促進でございますが、従来国宝及び重要文化財建造物修理につきましては、修理五箇年計画というのを立てて、計画的に修理工事実施して参つておるのでございます。ところが二十七年度におきましては新規の修理工事が認められなかつた関係上、現状のまま進捗いたしますと五箇年計画というものがさらに延長しなければならないようなことになるわけでございます。そういつた事情もありまして、特に災害のためにどうしても修理しなければならないようなもののみを拾いまして、たとえば北陸地震あるいは吉野地震等で特別にいたんだものだけを拾いまして修理を行うということにいたしまして、五百九十九万五千円という経費が認められたのでございます。  第六番目の国宝及び重要文化財宝物類地震被害復旧でございますが、これは御承知奈良薬師寺の本堂に安置されております日光菩薩月光菩薩修理費でございます。これは仏像といたしましては一級品に属するきわめて重要な宝物でございますが、これが地震のために破損いたしましたので、それの修理を行う経費でございます。  第八番目の京都国立博物館出陳謝金追加でございますが、これは従来京都国立博物館は、この博物館自体陳列品を多数持つておるというのではございませんので、京都近傍社寺等から宝物類あるいは文化財を寄託してもらいまして、それを陳列して展覧会を開くというようなことをやつてつておるのでございますが、この展覧会実施するための寄託品謝金不足いたしておりますので、その謝金不足をこの四十一万円で補つてもらつたわけでございます。  第九番目の奈良国立博物館建物その他の震災復旧でございますが、これは吉野地震によりまして奈良国立博物館建物等が一部破損をいたしました。またその陳列品にも多少の被害がございましたので、これを修理するための経費でございます。  十一番目の石川門その他の復旧でございますが、石川門と申しますのは、金沢城の正門でございます。これが相当年数を経まして、現在かなり破損をいたしておるのでございますが、三月の北陸地震の結果さらに破損が大きくなりまして、今のうちに修理に着手しないと、破壊の程度がさらに大きくなりますので、本年度にこの修理を始めたいというので、この経費が認められたのでございます。  それから第十二番目の中尊寺国宝及び重要文化財収蔵庫建設に要する経費でございますが、これは御承知のごとく、平泉にあります中尊寺の多数の塔頭の中に、非常に多くの国宝重要文化財がございます。これが現在防災と申しますか、盗難あるいは火災等に対して、きわめて不十分な状況にあるのでございます。これに対してぜひともコクリートづくり収蔵庫を建設いたしまして、これらを一箇所に集めて、ン盗難あるいは火災等に対する万全の準備をいたしたというので、本年度といたしまして、百四十二万円を要求いたしまして、これが認められたわけでございます。  大体今年度補正予算要求といたしまして、文部省要求し、なお財務当局から一応内示的に認められた数字は以上のようなものであります。
  4. 伊藤郷一

    伊藤委員長 ただいま説明された補正予算について、何か御質問があればこれを許します。  ただ、約束になつておりました文部大臣出席は、閣議が昨日終了せず、本日も引続き続いておりますので、出席できず、まことに遺憾であります。なお剣木事務次官は先ほどまで在席しておられましたが、宮中の饗宴出席のため、先ほど退席せられました。文部大臣事務次官に対する質疑は、休会あけ委員会においてしていただきたいと思います。
  5. 水谷昇

    水谷(昇)委員 簡単なことをちよつとお尋ねしたいのですが、番号にしますと初めから九番目です。公立文教施設整備、それの(3)のところですが、公立学校給食施設整備費補助というものは、これは認められなかつたのですか、全然ないのですか。それから、給食費について一応説明していただきたいのです。それは、本日PTAの、この給食関係の代表の人の全国の会合があるようでありますから、一応承つておきたいのであります。  それから(5)の公立学校危険校舎改築費補助は、ただいまの説明によりますと、補正ではゼロになつているようでありますが、これは望めないのかどうか、まだ閣議において望みがあるのかどうかということを、ひとつ伺つてみたいと思います。  それから一つめくつていただきまして、おしまいの方でありますが、17の三重鹿児島大学設備火災復旧費でありますが、これは三重鹿児島大学と、別々にして内訳をひとつ説明してほしいのであります。  それからもう一つめくつて三枚目でありますが、6の国宝重要文化財地震被害復旧、ただいまの説明によりますと、薬師寺日光月光菩薩修理だと言つておりますが、新聞で報道しております首切りの問題でありますか、その辺ひとつ説明をしてもらいたい。以上であります。
  6. 近藤直人

    近藤説明員 ただいま御質問がございました、公立学校給食施設整備費補助についてお答え申し上げます。公立学校給食施設費補助を二千八百五十二万円要求いたしましたが、これは補正では認められません。学校給食につきまして、それではどういう予算要求であるかと申しますと、御承知のように学校給食は、本年度はこれは農林省予算でまかなうということに決定されまして、農林予算給食用のパンの半額、約二十四億でございますが、これを食管特別会計で操作するということに決定なつております。それから給食用脱脂ミルク運転資金利子補給金が九千六百万円、これも農林省予算食生活改善利子補給金という名前をもつて計上されております。さように学校給食経費は、農林省予算で、食生活改善という意味合いから計上されているわけでございます。文部省予算といたしましては、学校給食指導費といたしまして、百二十万円だけ計上されております。これが二十七年度の当初予算における学校給食費の形でございます。政府の御方針によりまして、学校給食食生活改善という見地から、今後推進されるという決定でございますので、従つて昭和二十八年度学校給食につきましても、当初予算と同様、これは農林省予算で計上していただくということで、農林省とも打合せいたして、やはり給食用のパンはその半額を食管特別会計で負担していただくということで、その金額二十六億を食管特別会計で操作するという要求をいたしております。それから給食用脱脂ミルクにつきましては、当初予算で計上いたしましたような、脱脂ミルクの輸入代金の運転資金の利子補給というやり方は、実際やつてみますとなかなかうまく行かないということと、そのほかにやはり給食費を負担する父兄の負担が過重であるというので、この際脱脂ミルクについても政府の方でもつと経費を負担してもらいたいという声が非常に強くありますので、二十八年度は今までと行き方をかえまして、普通児童が学校へ昼弁当を持つて行く値段、これを都市と農村の平均をとりますと大体十五円二銭になります。普通児童が学校へ昼食を持つて行く場合、一食分が十五円二銭、それに対しまして学校給食をした場合に幾らかかるか、これも都会と農村によつて違いますので、平均をとりまして、学校給食の場合はそれが十八円四十六銭、従いまして学校給食をしたときと弁当を持つて行つたときとの差額が三円四十四銭になりますが、その差額を国が負担をしたらどうかという考え方をいたしました。学校給食ということは非常にいいことである、児童の保健指導にきわめて意味のあることである、また教育上も非常に効果が大きいという大方針から、国が学校給食を推進するからには、その普通の弁当を持つて行く代金以上になる三円四十四銭について国が負担すべきじやないかという考え方をいたしまして、これは農林当局とも十分打合せをいたしまして、その結果その三円四十四銭についてどういう計算をいたしますかと申しますと、児童数はやはり六百万人に想定いたしまして、年間二百十五日というものを計算いたしますと、約トータルが四十四億というものになります。つまり四十四億を国が負担すれば完全給食が六百万人について行われるということであります。その四十四億のうち先ほど申しましたパンの半額、これは二十六億でございますから、その四十四億からパンの半額代の二十六億を引いた残りが約十八億でございます。四十四億からパンの半額代二十六億—食管特別会計で操作する二十六億を引いた残りの十八億、この十八億を脱脂ミルクに充当すれば非常に父兄の負担が減るのではないかという考え方であります。ところが農林省といろいろ話合いました結果、この際脱脂ミルクばかりでなしに、バターとかあるいは水産カン詰、こういつたものについても学校給食に使つたらどうかということになりまして、結局考え方といたしましては、脱脂ミルクだとかバターとか水産カン詰に対してその十八億を補助する。しかしそこへまたいろいろ考えが加わりまして、十八億は全部国が補助するというのは少し行き過ぎではないか、これは地方公共団体が半分くらいは負担してしかるべきではないかという意味合いによりまして、十八億のうちの半分の九億を国の負担といたしまして、残りの九億をさらに二分の一ずつ、県が四億五千万それから町村が四億五千万、そういうふうに国、県、市町村がそれぞれ負担するという形で予算が今要求されておるわけでございます。われわれといたしましては脱脂ミルクだけに十八億全部が使われますれば一番理想的と考えたのでございますが、給食のやり方につきましてもいろいろ批判がありますので、この際脱脂ミルクばかりではなしに、バターとかあるいは水産カン詰とかそういつたものにも使用した方がいいじやないかというような御意見なども参考にいたしまして、ただいま申し上げたようなことで、目下給食費予算農林省予算として要求されております。大体そういうものが大きいところでございます。そのほか学校給食に関連いたしまして、例の生活保護法の適用を受けておる家庭の児童に対して給食費を国が負担するということは、従来通り厚生省所管におきまして考慮されておりますが、さらに生活保護法の適用を受けておる児童の次に、その上になりますか下になりますか、つまり準生活保護児童と申しますか、保護法の適用までは行かないけれども、学校へ給食費を納められないという児童が相当おりまして、これに対してはただいまのところではPTAの負担とかあるいは地方公共団体が若干負担しておるところもございますが、国といたしましても、こういう面に対してある程度経費を負担してしかるべきじやないかという声もございまして、二十八年度はその所要額が約五億いる、そのうち国が八〇%負担し、地方が二〇%負担するという構想で予算要求をいたしております。しかしながら準要保護児童と申しますか、この保護児童の範囲の限定がなかなか困難でございまして、これは私去る十三国会におきましてもいろいろ御質問がございまして、お答え申し上げたのですが、どういうところに線を引いて準保護児童といたしますか、なかなかこの点はむずかしいのではないかという考えを申し上げたのであります。ただいまその線の引き方についていろいろ検討を加えております。しかしながらとりあえずこの程度の額は政府として見るのが適当ではないかということで、ただいま申しましたような国庫の負担といたしまして約四億というものを一応予算要求しております。学校給食予算の大要につきまして以上申し上げたわけでございます。   次に御質問の老朽危険校舎でございますが、これはただいま老朽危険校舎が四十八万坪ある。それは建築基準法  の第十条によりまして使用禁止もしくは使用制限を受けているものが四十八万坪、そのうち約十六万坪は、これはどうしても捨てておけないということで、今回予算要求いたしたのでございますが、いろいろ折衝の過程におきまして、これは補助で行くことも考えられるが、従来起債で行つておるものではないか、起債と申しますのは、当初予算におきまして約四十億の起債が認められたのでございます。昭和二十六年度は約十六億、それが昭和二十七年度当初におきましては四十億、そのうち低利資金によりますものが三十億、公募が十億、合計四十億の起債が認められまして、その当時は一応老朽危険校舎につきましては、政府補助でなしに、起債で行くのだという線が出ておつたようになつておりますので、一応起債で四十億ついております。しかしながら起債になりますれば、これはやはり返さねばならぬ金であり、また利子を負担しなければならないということになりますので、一番理想でありますのは、やはり政府補助金であるということで、今回さらに補正でおつかけまして要求したような次第でございます。しかしながら老朽危険校舎のうち、どうしても一時もほうつておけないというような約十数万坪については、これはやはり補助ですみやかにこれを改築するということが必要であろうと思いますので、この点につきましては、ただいまのところは補正ではきわめて困難な事情にございますが、二十八年度予算におきましてはぜひともこの補助金につきまして要求いたし、実現したい、かように考えておるのであります。  以上私の所管につきまして簡単でございますが申し述べました。
  7. 小林行雄

    小林説明員 鹿児島大学並びに三重大学災害復旧費の内訳についてお尋ねがございましたが、まことに申訳ございませんが、今その内容についての資料を持ち合しておりません。ただいま取調べ中でございますので、わかり次第御報告を申し上げたいと思います。
  8. 辻原弘市

    ○辻原委員 少しく文教政策の基本的な問題について実はお伺いしたがつたのでありますが、大臣、次官とも御出席ございませんので、それはあらためて伺うことにいたしまして、ただいま御説明をいただきました予算の項目の中で、公立小中学校校舎整備費の補助の問題につきまして御質問をいたしたいと思います。かねがね文部当局の方からいろいろパンフレットであるとか、その他で知らされておりました六・三建築に対する方針としましては、一応昭和二十七年度でもつて従来のいわゆる〇・七坪に満たない校舎の整備に関しては一応打切りたい、二十八年度からあらためて、これが現在地方側でも非常に強く要望しておりますような、いわゆる基準引上げというような面について考慮したい、それに対する予算化をはかつて行きたい。かような点の方針が聞かされておつたのでありますが、ここに見られるような財務当局予算の編成につきましては、なおかつ〇・七坪が二十八年度に持ち越される。二十八年度においてその残余は考慮するというただいまのお話でありますが、そういうことになりましたならば、勢い従来主張されておりましたような、いわゆる六・三建築に対する新しい観点に基く予算編成ということが非常に至難になつて来る、こういうふうに私は考えるのであります。そういう点については、ただこうなつたからやむを得ないというような程度にお考えになつておるのか、あるいは一応補正予算として最終的決定を見ようとしておりますが、なおかつこれに対して努力をしようとしておるのか、この点について一応お答え願いたいということが第一点でございます。  第二点は、御説明によりますと、三十二億何がしというこの予算は、〇・七坪未満のものを要求したという御説明でありましたが、私はこの問題と同時に、特に御質問申し上げたいのは、この基礎になつておるところのいわゆる坪当り単価というものをどのように踏まれておるのか、またどう考えておるのか、昨今における資材の騰貴等に関連してそれに対する補正の必要がないのであるかどうかということ、またもしそのことを考慮されておるならば、折衝に当つてその点は一体どういう経過をたどつたか。少くともこの点について私はおそらく基本的な編成上の問題といたしまして、やはり〇・七坪未満の補正に関しては、これは本年度予算全般という問題から、おそらくこれはこういうふうに財務当局は押して来ておるのだと、こう考えるのであります。単価補正の問題につきましては、これは当然補正予算の性格上重点的に取上げてしかるべき問題ではないか。かように考えました場合には、少くともその点についての御説明があつてしかるべきでありまするし、またこれも整備費の重点的な問題として考慮しなければならぬのではないか。かように考えますので、その点をひとつ承つておきたい。まず整備費に関して二点御質問を申し上げます。
  9. 近藤直人

    近藤説明員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。〇・七坪の不足分についてただいま予算で三十二億要求いたしたのでございますが、これは認めるところとなりませんので、どうしても本予算で考慮するということにならざるを得ないと思うのでございます。〇・七坪の不足分につきましてはいろいろ見解がございますので、前回の国会におきましてもいろいろ話が出たのでございますが、昭和二十四年度におきまして実態調査をいたした数字をさらに分割いたしまして、つまりきわめて実態に即した計算によりまして不足坪数を計算いたしました。それはたしか百四十五万坪と考えております。百四十五万坪の不足を年々予算で実現して参りまして、それが昭和二十七年度の当初予算に三十四億の金によつて百四十五万坪が全部完了したということは一応事実であります。これは大蔵省も言うところでありますし、また一応計算上はさようなことになることは事実であります。しかしながらそこに文部省と大蔵省との食い違いが起つておるのであります。その食い違いと申しますのは、百四十五万坪を充足する場合の過程におきまして、建築基準法が昭和二十五年に施行されました関係上、防火地区における鉄筋の補正の問題、それが約三万一千坪ぐらい、それからさらに昭和二十六年だと思いますが、認証いたしました坪数につきまして、約十二万三千坪ぐらい文部省と大蔵省の見解の相違がございます。それと先ほどの三万一千坪を足しまして約十五万八千坪だと思いますが、数字ははつきりいたしておりませんが、とにかく大蔵省と文部省とは約十六万坪程度坪数の相違がありまして、これが前回の国会におきまして、前大臣から残りの約十六万坪、その金額が二十三億ですか足らないということが言われたのだと考えます。そういう数字が問題になりますので、これがただいまこの三十二億となつておりますのは、そのときの単価を上げまして三十二億になつておるのでございます。この〇・七坪の不足は今後の大蔵省との交渉によらなければなりませんが、〇・七坪はどうしても約十六万坪、三十二億円によらなければ、全部百四十五万坪が完成されないというこちらは見解を持つておりますので、今後ともその実現につきまして努力いたすつもりでございます。  それから御指摘の点は、この三十二億が補正からはずれて本予算なつたために、二十八年度の本予算の獲得の上に大きな影響があるだろうという御懸念だと思いますが、補正予算でもしこれが実現しておりますれば、二十八年度の本予算は私も楽ではないかというふうに考えておるのでございますが、ただいまのところは何分この補正が不可能になりまして、やはり本予算の方にまわりまする関係上、相当努力いたしませんと、なかなか両方とも実現することはむずかしいというふうに自分も感じております。しかしせつかく努力してぜひ実現いたしたいと考えております。それから御指摘の点は単価の点であろうと思いますが、二十七年度単価は、中学校につきましては木造が二万三千円、鉄筋が五万五千円でございました。これを昭和二十八年度要求といたしましては木造が二万八千円、鉄筋を七万円といたしております。それで補正要求もその数字要求いたしておりますが、主計当局の見解といたしましては、補正単価は二十七年度の当初予算単価と同じで行くということでありますので、その点につきまして大いに異議を申し述べておりますが、一応物価指数その他から勘案いたしまして、単価の点につきましては二十七年度の当初予算と同じでさしつかえないという見解を主計局はとつておりますので、一応その見解に従わざるを得ないということになつております。しかしながら二十八年度の分につきましては、新しい単価を大蔵当局も考えておるようでございます。一応お答え申し上げます。
  10. 辻原弘市

    ○辻原委員 非常に御丁寧な御説明をいただいたのですが、私御質問いたしましたのは、第一の点につきましては、これは二十八年度に出されておるわけでございますが、ただ困るとか困らぬとかいう問題ではなしに、結局一年ずつてしまうのじやないか。だからここらで文部当局として最終的にここで当初要求として出して、当初要求が結局全部削られて、その削られたものをそのまま当初予算の中に移してしまう、こういう形になつて来るので、幾分でもここの中でとどめておく、そういうような考え方をこの最終的な予算査定にあたつて今お持ちになつていないかどうか。それに関連して単価補正の問題を私は今御質問申し上げたわけです。というのは、先ほど申しましたように、単価補正の問題については、これは物価の値上りなんですから、その年度において補正すべきは当然補正しなければならぬ。こういうふうにりくつがつくわけですから、単価は当初予算通り、上つた分については二十八年度でこれを何とか見てもらうつもりだというのでは若干不十分じやないかというふうな気が私はいたしているわけです。だからこの中で今御説明をいただきました木造の場合は二万三千円から二万八千円に引上げる、鉄筋も同時に引上げた分だけでも確保しようというような心組みを今お持ちになつておらないのかどうかという点についてはつきりお伺いしておけば、われわれも文教予算の確保にあたつて非常に便宜かと存じますので、この点今の場合のお考えをいま少しはつきりとお教えを願いたいと思います。
  11. 近藤直人

    近藤説明員 御指摘の点はまことにごもつともなことでございます。われわれといたしましても補正予算のただいまの単価は、先ほど申し上げましたように、木造については二万八千円、鉄筋については七万円ということで要求いたしたのでございますが、われわれの努力の足らなかつたことに相なりまするか、屋内体操場というような場合、あるいはその他の国立学校の場合におきましても、補正におきましては遺憾ながら単価の値上りが実現されなかつたのでございます。その点は非常に遺憾なことと考えます。しかしながら二十八年度の本予算におきましては、必ず新しい単価予算を獲得したいというふうに考えております。また大蔵当局におきましても、二十八年度単価につきましては、新しい単価の構想を持つておるやに聞いております。
  12. 辻原弘市

    ○辻原委員 まだ若干はつきりいたしませんが、一応それはそれにとどめまして、ただいまの補正予算に関連をして御説明をいただかなかつた事項でございますが、平衡交付金も同様に今非常に問題になつておりまして、昨今あたり聞くところによりますと、一応閣議においても結論が出たような模様でございますが、それについて若干お伺いしておきたいと思います。と申しますのは、伝えられております交付金の最終決定はほぼ二百億だということを聞いたわけでありますが、それに加えて起債が百四十億でありますか、これだけが補正予算として地方財政に充当されることになりました場合に、先般文部閣議決定した今回の二割の公務員に対するベース・アップの財源で、地方公務員のうち、教職員につきましてどの程度文部当局として必要とせられておるか、その算定はどうであるかという点が第一点、それに関連いたしまして、もしかりにこの二百億が閣議に駆ける最終決定といたしますと、その文部当局が算定されました必要額と、この交付金との関係において、二割のべース・アップが地方財政において確保できているのかどうか、まず第一点はそれをお伺いしておきたいと思います。  次に第二点といたしまして、先年問題になりました国家公務員と地方公務員とのいわゆる給与差等の問題でありますが、その後何か調査をせられまして、当時聞いておりました国家公務員との差、教職員を例にとりました場合には、三百七十五円が、その後の調査によつて三百四十九円でありますか、その程度の差を国家公務員との間に持つておるという点につきまして、どのような調査をやられて、それに対して文部当局がどういうデータでもつて対抗されタッチされたか、またこの三百四十九円というのが、従来の例から見まして、当時は三百七十五円が非常に確定的なものだという主張が財務当局からなされておつたということを私は存じておつたのですが、それがその後数字が動いて三百四十九円になつた。これがはたして確定的なものであるかどうか、最終的なものであるかどうか、この点をお伺いしておきたい。
  13. 田中義男

    田中説明員 今回のべース・アップに伴います地方の教員に対しまする措置でございますが、いろいろ自治庁等においても準備をされておりまして、私どもも事務的には折衝を重ねていろいろ連絡をいたしておるのでございます。ただそれをいかなる程度にやりますかということについての確定的な連絡も、今まで私どもとしては十分承知もいたしておりません点もございまして、ただいまはつきりした数字を私も持合せてお答えできないのでございますけれども、伝えられますように、かりに二割の増をここにいたしましたような場合において、それを現実の問題として、相当な定員と欠員等の関係もございますし、大よそ措置はできるものだと私どもも考えまして、そして私どもも計数をただいまはじいておるような次第でございます。  それから第二点の御質問でございますが、御承知のように三百七十五円という数字も一時いろいろ出ておつたのでございますが、その後文部省といたしましても、公立学校の職員について一応実態的に調査をいたしてみました。さらに地方の教員等についても実態調査もいたしてみまして、私どもの当時いたしました調査の資料に基きますと、昨年の十月でございますから、ただいまをもつてこれを判断するのは必ずしも当を得ないかも存じませんが、およそ昨年十月一日現在としては、当時の私どものただ限られた調査に相なるかと思いますけれども、その点では大体お話のように三百四十九円程度の差があるのではないかというような数字も出たのでございますが、しかしこれはただいま申しますように昨年のことでございまして、ただいまのところではつきりした数字をはじき出しておるわけではございません。以上お答え申し上げます。
  14. 辻原弘市

    ○辻原委員 非常にはつきりした御答弁をいただいたのですが、措置はできるものだという田中局長の御答弁であつたのでありますが、この措置はできる本のとおつしやる限りは、おそらく文部省が計算された数字をもつて今回の交付金が二百億ときまつた。その中の積算の基礎にこれが数字として含まれておるというふうに了解してさしつかえないわけでございますね。いわゆる必要所要額を事務的に折衝された。その折衝された結果、大体確保できる、いわゆるべース・アップは確保できるというただいまのお答えであつたわけですが、それならば、これは当然その折衝された場合の文部当局要求された数字が今回の交付金の積算の基礎になつておるはずだとこういうふうに了解してさしつかえないかどうか。重ねてひとつお伺いしておきたいと思います。
  15. 田中義男

    田中説明員 二百億にきまりましたかどうかというような点についても、実は私どもまだ承知もいたしておりま芝で、いろいろ今内閣においても討議されておると思うのでございます。それではたして確実にどういうふうなことになりますか、それによつて、ただいま私どもとしてその二百億を前提にできるのだということは申し上げかねます。私どもが従来折衝いたしておりました範囲では、それがもし実現いたしますならばできるだろう、かような見当で相談を続けておつたわけでございます。
  16. 辻原弘市

    ○辻原委員 しつこいようでありますが、措置はできるだろう。しかしまあその数字がどうなつておるかわからぬ、こういうことで、私もはつきりいたしませんが、もう一点、これはもう数字がどうなつておろうと、実際今局長がおつしやられたように、できるということ、またしなければならぬということは当然でありまして、国家公務員に対する措置が二割であれば、地方公務員、教職員に対する措置も二割であることは当然だ、その点について当然のことを政府として要求しておつて、大体それを見ておつてできる、いずれにしてもこれは見通しとしてはできる、こういうふうに私はお話くださつたと思うのですけれども、その場合に、私が第二点として質問いたしましたいわゆる給与差等の問題について、これは財源上、文部当局もこれを承認されて、自治庁との折衝あるいは財務当局との折衝に当られたものか、あるいはこれは一応財務当局がこういう数字を示して、この点については折衝の結果折れたものか、その点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  17. 田中義男

    田中説明員 私どもがその数字をはつきり認めて折衝したという前提ではございませんで、いろいろ折衝の結果においてさように出て来た、かように御了承いただきたいと思います。
  18. 伊藤郷一

    伊藤委員長 水谷君の質問に対して答弁があります。小林会計課長
  19. 小林行雄

    小林説明員 三重大学鹿児島大学災害復旧内訳というお尋ねでございまするが、三重大学の方は亀山にあります学芸学部の分校の附属小中学校の備品の復旧費でございまして、これは百五十万円でございます。それから鹿児島大学の方は、元の第七高等学校、現在の文理学部の一般教養部でございますが、これが全焼いたしましたので、その備品、図書類の復旧費三千八百五十万円ということになつております。
  20. 森田孝

    ○森田説明員 ただいま私が出席する前でありましたか、水谷委員から奈良薬師寺月光菩薩震災復旧対策についての御質問があつたそうでございますが、お手元にお配りしてあります補正予算につきましての書類の三枚目の紙に、文化財保護委員会関係経費が計上になつておりますが、その中の第六番目に載つております「国宝重要文化財宝物類地震被害復旧」という項目が、すべて薬師寺震災復旧対策費でありまして、六百十二万七千円というのは、この震災によつて月光菩薩だけではなく、あそこの日光菩薩及び講堂にあります菩薩に軽微の被害があつたのでありますが、その復旧費全部を含めまして六百十二万七千円であります。もちろんこれは経費全体でありまして、本年度にこれを全部修理することは不可能でありますので、大蔵省の査定であります二百二十二万八千円というのは、東院堂の方にあります月光菩薩日光菩薩修理費の一部でありまして、本年度のこの修理につきましては、非常に重要な、また困難な修理でありますので、特に他の修理とは違いまして、斯界の権威者を網羅した調査委員会を設けまして、これによつて修理のための調査を厳密に行つた上で修理に着手する必要上、本年度のうちにはとうていこれを完成することは不可能でありますので、大蔵省の査定の通り二百二十二万八千円で本年度でき得る限りの修理をいたしたいと考えている次第であります。
  21. 水谷昇

    水谷(昇)委員 ただいまの経費の点についての説明は伺つたのでありますが、この月光菩薩の首切りの問題について、新聞紙上等でいろいろ議論せられておるようでありますが、そのいきさつについてひとつ御説明を願いたいと思います。
  22. 森田孝

    ○森田説明員 この問題につきましては紙上非常に騒がれておるのでありますが、技術的な問題といたしましては、ただいま主管課長の美術工芸品課長が参つておりますので、技術的な面の御説明はその方から申し上げることにいたしますが、ただこれが新聞紙上に取扱われていることにつきましては、純粋の技術問題のほかに、いろいろのこれに関連した問題と申しますか、事情が伏在しておりましてことに騒ぎが大きくなつているような結果でありまして、これはまた将来適当な機会に御説明申し上げる機会があるかもしれぬのでありますが、まず本日は技術的な問題について簡単に御説明申し上げたいと思います。
  23. 本間順治

    ○本間説明員 申し上げます。せんだつての七月の吉野地震によりまして、薬師寺の本堂にあります月光菩薩が大きい被害を受けたのであります。その前に一応申し上げておきたいのは、この月光菩薩被害と申しますのは、今度初めての被害というものではありませんので、昔少くとも二回火災にあつているのであります。そのためだと思いますが、この首にかすかに亀裂の線が出ておつたのであります。ところが吉野地震のあとで、薬師寺の要請によりましてこちらの技官がかけつけまして調査いたしますと、地震によつて像全体がうしろに傾斜いたしまして、台座もろとも倒れかかりまして、それから首が下から見てもはつきり三分くらいの大きな亀裂ができておつたのであります。そこで調査いたしますと、明らかに全部首が切れているわけであります。こういう状態でありますので、もう一度地震が来るというようなことがありましたら、この像はまず倒れるという公算のものなのであります。またこの首も落ちるという公算でありますので、どうしてこれを予防しようかということになつたのでありますが、いろいろ考えましたあげく、一番いい方法として、この像を修理する前にまず横たえてしまうということが一番安心な方法であるということになりまして、まず像を横たえるという線で考えたわけであります。御承知とも思いますが、その像は全体で千四、五百貫あろうと思います非常に重い銅像であります。そこで問題になりましたのは、その像を横たえますときに、この離れました首のジグザグになつております切り口を痛めないでこれを横にすることが非常に大事なことなんでありますが、これはどういう方法をとろうかということになつたわけであります。あとでよくわかつたのでありますが、いつの時代か首が一応切れまして、それがのこぎりの歯のように上下ジグザグになつて、それがかみ合いまして——何しろ首だけで七十貫ぐらいの目方のものでありますので、その目方で押えられて一応安定しておりたというかつこうのものが、せんだつて地震はひどい上下動だつたわけで、その上下動によりまして首が一ぺん上に上りまして、左右に揺れましたときにずれて目違いができておつたわけであります。これをつぎ合せますときに、このジグザグのところがこれ以上こわれまして目違いがもつとひどくなりますと、なかなかうまく行かない。何としてもこのジグザグのところをこれ以上こわしたくないという線で考えたわけであります。それにはまず首を先におろして、それから胴体を横たえるという方法が一番いいという結論になつたわけであります。そこで問題の鉄の棒ということになるのでありますが、これも新聞などによりますと、文部省の連中が、中に鉄の入つていることを知らないで処理したところが、その棒があつて驚いて乱暴な措置をとつたなんということを言つている向きもあるのでありますが、そういうことは絶対にありませんで、その鉄の棒のあることは、少くとも専門学者であるならば、皆とうから知つていることなんであります。ところがその棒を切らないで抜き取ることができれば、それは一番けつこうなわけでありますが、これはどうしても切らないで抜くことができないのであります。そこでチエーンブロツクでその首を少し上に上げまして、そうしてのこぎりでその鉄の棒を切つて、首をおろして胴体を横たえた、そういうことであります。そこで世間がこの棒はどういう役目のものかということにあまり知識がないためにまたいろいろな疑問が起るようであります。この棒と申しますのは、これはささえの棒ではありませんので、ああいう鋳造の経験のある人ならば、みんなよくわかるわけでありますが、最初に土で中型をつくりまして、それを焼く。そしてその上にろうを着せて、また土を塗る。焼くとろうが溶けて流れる。そのあとに溶けた銅を流し込んで銅像というものがでるわけです。そしてその中型のときに用いました鉄の棒というものは、普通は最後にみんな抜き取るのです。ところがああいう大きい像になりますと、なかなか全部は抜け切れないということで、残つていることがままあるのです。それで薬師寺の場合も、今残つております中の棒のほかに、もう二本あつたことがわかる。それは、下の方は完全に抜き取つてしまつているのに、中の棒だけは、頭の中の土が非常にかたくなつておりまして、それに鉄の棒がかなり強く固定しておりますので、もう抜くに抜かれないで残つたものだろうと思いますが、これはまたあとで修理するときを考えますと、この棒はどのみちとつてしまわないと修理かできないものなのであります。そういう見通しもありまして、派遣いたしました技官がその棒を切つて首をおろした。そういう措置をとりました者としましては、鉄の棒は価値がないと言いましても、千何百年前の古いものだということには相違ないわけなのですが、その棒を犠牲にいたしまして、国宝の対象になるお像を助けた。まあ、そういう気持で処置したわけなのであります。
  24. 水谷昇

    水谷(昇)委員 それが問題になつておる理由はどういうところにあるのですか。
  25. 森田孝

    ○森田説明員 問題になつておる要素につきましては、ちよつとここで具体的に説明を申し上げかねるような要素も入つておるのでありますが、その中で説明をしやすいものだけを申し上げておきます。  法律によりまして、原状変更は専門審議会に諮問をして議決がなければできないわけでありますが、これは原状変更だから、専門審議会の議決を経ないでやつたのはけしからぬというのが表面の理由であります。これは原状変更なりやいなやということが結局問題になるわけでありますが、実は原状変更というのは何かということは、法律にはつきり規定してないのであります。従いまして、客観的にあるいはまた形式的に、これこれのことは原状変更だということは、だれも言えないわけであります。従いまして、従来の慣例によりましてこれを考える場合におきましては、修理復旧をした結果が、その修理復旧前の形とかわり、しかも重大なる変更があると認められる場合におきましては、これを原状変更と考えて、専門審議会に諮問をいたして決定をしておつたのでありますただいま本間課長から説明がありましたように、本来抜き取るべきものであり、そしてまた指定の対象になつております仏像そのものにつきましては、何らの変化を加えないというものでありますので、われわれの方といたしましては、これを原状変更とは考えていないのであります。しかしながら一部の専門審議会の委員の中には、あくまでこれは原状変更なりというので問題にしておられる方もあります。しかしながらわれわれの方といたしましては、将来においては、こういう問題が起りやすいので、現在、原状変更とは何ぞやという問題について、客観的な一つの線をつくり出さなければいけない。それには、たとえば指定の台帳に指定物件として記載してある面について変更を加える場合については、これを原状変更と考えるというように、形式的の一つの基準をつくる必要は確かにあると考えております。それがなければ、その点についての論議は事実上どちらも根拠のないものでありますので、将来これをはつきりして行きたいと今考えておるわけであります。  それからもう一つの問題は、寺側の承認なしに切つた、従つて信仰の対象であるものを寺の承認なしに切るとはけしからぬということでありますが、これにつきましては、事後において寺側の公表しておられることとその当面の事実とに、大分食い違いがあるようでありまして、寺側が事実と違つた公表をしておるについては、別の意図があるとわれわれは推測いたしておりますけれども、いずれにいたしましても、あの前に、寺の管長が翌日他の方へ講演に出張するというために、前夜派遣せられました係官と相当長い間これについて協議をいたしたのだそうでありますが、その場合において、最悪の場合においてはやはり心棒を切らなければならぬという問題も出たのであります。従つてその出た場合におきまして、心棒を切るにはどうしたらいいか、そしてまたどういう道具を使つたらいいか、その道具はどこで入手するのが一番いいかということまで、前夜管長をも交えて協議をいたして、そしてその結果万事まかせるということになり、よろしく頼むということで管長は出発せられたそうであります。またいよいよ切るということに決定して、翌日切らなければならぬという場合も、前夜協議した店でその道具も買つて来て切つたのであります。従つてこれが協議なしに切つたということは、われわれの受けておる報告におきましては、事実無根であると考えておりますが、ただこれが協議なしということが盛んに流布せられておるのは、信仰の対象を文化財保護委員会の技官が単に物として簡単に首を切つたのは非常にけしからぬというのが、一つのポイントになつておるわけであります。  それからもう一つこの問題についての大きな問題は、こういうような仏像の処置をする前に、文化財保護委員会の上司に対して申達をして指示を受けるべきであるという議論であります。これは文化財保護委員会におきましてもまことにもつともな議論と思つております。従つてその点については、技官が現場におきましてなしたあらゆる研究と、またそれに必要な現場における処置は、遺漏はなかつたとは考えておりますけれども、少くとも上司に対して指示を受けるだけの余裕は確かにあつたのに、指示を受ける点について手続上非常に遺憾な点があるということは、文化財保護委員会の方においてもこれを認めておるのであります。
  26. 水谷昇

    水谷(昇)委員 大体様子がわかりましたが、今日は御説明を承るだけで、この程度にしておきます。いずれまた重ねて御質問申し上げなければならぬこともありますから、保留しておきます。
  27. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 白書を出すという話ですが……。
  28. 森田孝

    ○森田説明員 この問題につきましては、新聞を見ますと、あるいはまた雑誌などに論ぜられているところによりましても、私の知る限りにおいては、必ず一箇所ないし数箇所、あるいは全部、故意かあるいは過失か、事実を曲げて書いてあるのでありまして、事実をはつきりする必要があるという意味におきまして、あらゆる専門家なり、あるいはまた委員会委員なりが調査した結果をも合せて、報告書を適当の機会に公表したいと考えております。
  29. 坂本泰良

    坂本委員 私は五つばかりただしておきたい点があります。まず第一に、教育長講習の費用二千四百八十七万九千円が約三分の一の九百三万に減つている。町村の教育長だけでも三千九百名ですが、この予算が削られたのを文部省はのんで、九百三億だけではたして教育長講習ができるかどうか、この点が第一。  第二は、学生就職対策、これは五百九十六万が三十六万円に減つている。これは十七分の一なんです。この就職の問題につきましては、日経連が非常に現在の情勢に即しない声明を発表する等の問題もありまして、来年三月の卒業期を控えまして、緊急な問題であるのであります。それに文部省は五百九十六万円という予算を組まれる以上は、先ほどの御説明では受入れ態勢の調査ということだけを申されたのでありますが、いろいろの計画を立ててこの予算を組まれたことと思います。しかるに十七分の一というすずめの涙のような少額に減らされて、それをのんで、はたして学生就職の対策ができるかどうか、こういう点についてはもう一度復活を要求してやらなければできない状態にありはしないか、これが第二であります。  第三は、先ほど辻原委員からも質問されました公立文教施設整備の第一の公立小中学校校舎の整備費補助の問題でありますが、三十二億も要求して、それが本予算で考慮する、そういう名目のもとに全部削除されておる。それをそのまま放置しておいて、はたして昭和二十八年度の本予算におきましてこの整備が確立できる自信があるかどうか。昨日からの補正予算閣議がきようまで延びておるし、本委員会文部大臣出席できないというのは、予算閣議出席するから出られないということであるならば、まだ現在の段階においてはその要求の時間があるわけであります。要求せぬでも来年の本予算でいいかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。  次は第五の危険校舎の問題でありますが、この点については二十七年度に四十億の起債にまかせた。これは二十七年度予算の審議をなす際にあたりまして、文部省は、たしか二十二億だと記憶しておりますが、これは要求したのであります。しかし二十七年度の本予算においては、危険校舎補助費が全部削除されたのであります。しかるに起債にまかせずに、さらに補正予算として二十六億五千万円ばかりの要求をされたのに対して、われわれ委員としては、文部省の労とまたその提出されたことについて非常に賛成するのでありますが、これに対して来年度の本予算でやる。本予算と申しますと、本年四月一日以降であります。しかるにこの危険校舎の中には、先ほどの説明にもありました通りに、全然校舎の使用が禁止されておるのが四十八万坪ある。その三分の一の十六万坪の要求が二十六億余りになつておるわけであります。現在使用が禁止されておるような校舎をそのまま放置して、そして大蔵財務当局から、それが来年の本予算でよろしいかと言われても、これはできないと思うのであります。四十八万坪もある使用禁止校舎復旧するには、この補正予算において少くとも文部省要求額ぐらいは獲得しなければならぬ。この点については、単なる本予算で考慮するという点だけで全部削除されてしまつては、われわれとしてはなかなか納得が行かず、何としてもこれは実現しなければならないのじやないかと思うのであります。二十七年度の四十億の起債については全部使い尽しておるかどうか、その点もあわせてお聞きいたしたいのであります。  もう一つは、十六番目の七月の十日並びに中旬に起りました豪雨等の災害復旧の費用でありますが、これは要求額が少いから要求額だけ全部認めたのかもしれません。この表を見ますと、ほとんど全部三分の一ないし大きいのは十七分の一にも削られておりますが、これだけは要求額を認めてあるわけです。ところがわれわれが聞くところによりますと、これは三億円以上の災害復旧費がいるということであります。大蔵省の査定によりましても、一億六千万円はいるだろう。それで百歩譲つて、大蔵省の査定の一億六千万円の二分の一の補助額と見ますと、八千万円いるのであります。この点については、これを本年と来年の二箇年に復旧するという計画を立てて、半分の四千万円を要求するということを聞いておるのでありますが、これを見ますると、その八千万の二分の一の四千万のまた約半分より少し多い二千四百十七万であります。これでどの税度の復旧ができるかといことを、われわれは非常に心配するのであります。この点についてもう少し御説明を願いたいと思います。  以上五つの点について御説明を承りたいと思います。
  30. 小林行雄

    小林説明員 私から教育長講習、それから学生就職対策、それから豪雨災害復旧費について、簡単にお答え申し上げます。  第一のお尋ねの教育長講習でありますが、二千四百万円も要求しておつて、九百万円程度の査定である。これではたして当初の計画通りのことができるかどうかというようなお尋ねと拝承いたしたのでありますが、文部省の考えといたしましては市町村の教育長養成講習を受講する者に対しまして、でき得れば旅費を見てやりたいということで、旅費を含めまして要求をいたしたのでございます。しかしながら大蔵省の考え方は、市町村が市町村自体の最も必要な教育長講習で養成してもらうのであるし、受講者もこの講習によつて教育長としての資格を得られるのであるから、旅費を出す必要はないということでありまして、最近のこの種の講習といたしましては、旅費の援助は実際現在におきましてはいたしておりませんので、この点もやむを得ないというふうに考えたわけでございます。それ以外の点につきましては大体文部省要求が認められておりますし、受講者の人数の点につきましても文部省要求がそのまま認められておりますので、この九百万程度の金で一応予定教育長講習実施し得るものと考えておるわけであります。  次に第二番目の学生就職対策経費でございますが、これは五百九十六万円、約六百万円近くの要求に対してわずかに三十六万の査定である、十八分の一程度の査定であるが、これでやれるかというようなお尋ねと拝承いたしたのでございます。これは当初各地域別に学生就職対策協議会を開くということを考えたわけでございまして、その際中央から単に文部省の職員のみならず、産業界の有力者に委員として御出席をお願いして、相当数それぞれの協議会出席して、産業界実情をいろいろ述べてもらうというような考え方をいたしておつたわけでございますが、実際大蔵省と折衝いたしました結果、中央のいわゆる産業界の代表者が全国的にまわる必要もなかろう、それぞれの地方産業界の人に出てもらつて大学就職あつせん担当官等とそれぞれ地方的な就職対策協議会をやればよかろうということでその点は納得したのでございます。従つて委員等の旅費とか、あるいは謝金等を相当多額に見込んでおつたのでありますが、それを削りましたので非常に少くなつたわけでございます。  なおこの三十六万円で現在やろうと考えておりますのは、ただいま申しました地域別の就職対策協議会、それから大学の実際の内情を受入れ側で知らないというようなことがあつてもいけませんので、大学の内情を知らせる大学案内というようなものを刊行する、それから先ほど一番初めの補正予算説明で御説明申し上げましたような、受入れ分野調査というようなことを考えておるのでありまして、実際この三十六万円でできません分につきましては、文部省の他の経費を流用いたしましてでも何とか実施いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから国立文教施設豪雨等災害復旧に関する経費でございますが、これは補正要求の直前になりまして資料がまとまりまして、いろいろ数字をきびしく検討いたしました結果二千四百万という数字が出まして、これを文部省から財務当局要求いたしたのでございますが、この点につきましては災害復旧としてどうしても必要であるというので、その数字がそのまま認められたのでございます。ただ国立学校関係豪雨被害吉野地震被害というものは比較的に小規模のものが多かつたのでございまして、たとえば奈良の女子大学奈良の学芸大学あるいは大阪、京都、その辺に比較的多いのでありますが、これも規模の小さいものが多いのでございまして、これを集めて二千四百万程度なつて、それがそのまま認められた、文部省としては比較的これは成績がいいのでございますが、一応豪雨吉野地震災害復旧はでき得るものというふうに考えております。
  31. 近藤直人

    近藤説明員 〇・七坪の不足分の三十二億でございますが、これは補正予算では一応認められませんので、本予算で考慮するということになつております。本予算ではぜひともこれを確保するように全力をあげて努めたいと考えております。  それから危険校舎でございますが、危険校舎も御指摘のように使用禁止を受けているものが四十八万坪のうち約十六万坪もございます。これも一日も放置できないものでございますので、当初予算で査定を受けましたにもかかわらず、補正でなおかつ補助要求した次第のものでございますが、これにつきましては補正ではなしに本予算で考慮するということになつております。これも本予算にはぜひとも実現するように努力いたしたいと考えます。
  32. 坂本泰良

    坂本委員 この教育長講習の問題、これはわれわれとしましては、この市町村の教育委員会をつくること自体にずいぶん反対しましたが、自由党の謀略と申しますか選挙対策と申しますか、それによつて通過させて、こういう問題が起きているのであるし、われわれは野党の方々とも相談しまして、この問題につきましては日本の文教対策の根本の問題であるので、大臣が出ておれば大臣にもこの点をたださなければならぬ点でありますが、見えておりませんからこれはこの程度にしておきます。  この学生就職計画、今三十六万円の受入れ態勢の調査であるとか、あるいは大学案内を出すくらいの就職対策では、これはとうてい不可能なのである。これはもう少し根本的の対策を、日本の文教対策とにらみ合せて立てなければならぬ問題だと思いますから、これもまた後日この問題については研究することにしたいと思います。  次に整備費、公立小中学校の整備費とそれから危険校舎の問題でありまするが、盛んに本予算と申されますが、二十八年度の概算要求額、まだ説明を承りませんが、これを見ますると、ここに出ていますように六・三制の建物については九十一億余り、危険校舎建築費については約五十九億円ここに要求してありますが、文部省はかりにこれが今度の補正予算が認められずに本予算に組み入れるということになれば、ここに計画しておられる今申しました二十八年度のこの概算にさらにこれを加えて、そうしてその予算を獲得される自信があるかどうか、この概算額についても、また弱い文部省相当大蔵省から削られるのじやないかとわれわれは非常に心配をしているものでありますが、ただ本予算にとりますから、やりますからと申しましても、この六・三制の建築費にしましても、この補正予算を合せますと百億以上になるのであります。危険校舎もやはり百億に近い額になるのでありまして、やはりこの問題は何としてもこの補正予算に獲得しておかなければ、二十八年度の本予算についてもまことに心配であり、(「心配するな、大いにやるよ。」と呼ぶ者あり)実現できないという危険があるのでありまして、前文部委員長は大いにやるとおつしやいますけれども、このことはなかなか実現されたことがないのでありまして、前委員会の実績に徴しましてなかなか実現したことがないのであります。(笑声)これは自由党の委員の方にも大いにお願いをしておかなければならないのでありますが、これは笑いごとではなくて、重要な問題であるのであります。従つてこれはあとで委員の方々にもお諮りいたしまして、まだ文部大臣ががんばつておるならば、文部委員会決議をもちまして、委員長からさらに内閣自身に対しての申入れもして、そうしてこれをがんばつておかなければならない、こういふうに考える次第であります。
  33. 松本七郎

    松本(七)委員 実は次官に御出席つて伺いたいと思つてつたのですが、おられませんからごく簡単に伺つておきたいのですが、前国会教育委員会を市町村単位でつくることにきめて、現在すでにこれが行われたのであります。われわれとしては最初から申しておりますように、この教育行政の制度はせめて都道府県、五大都市ぐらいに現状ではとどめて、もつと大切な点を解決しながら市町村に設置することを研究すべきだという考えを持つておるわけでありますが、前国会でも文部事務当局ではそういう意見で当時の与党、自由党に対しても相当説明あるいは努力をされておつたように聞いておるのですが、とにかく今日これが実行された以上は極力教育行政の混乱を避けていいものにして行く努力をされるご計画であろうと思うのでありますが、その場合どういう問題が今後困難な問題として出て来る御見通しか、その問題に対する解決方法についてどのように研究し、また臨まれようとしておるのか、概略でおわかりでしたらひとつお話願いたい。
  34. 田中義男

    田中説明員 各町村にまで教育委員会を設置いたしました場合に、いろいろ困難が予想されます点は、これも御承知のように人事交流の問題を主といたしまして、あるいは教育内容の指導の問題でございますとか、あるいはまた教員の研修の問題でございますとか、あるいはまたその他特に保健衛生の問題、あるいは学校給食の問題とか、いろいろ各町村だけで、狭い範囲でのみ考えました場合にさしつかえが起るだろうというような事務等ございますので、それらにつきましては、幸いに新たに地方自治法も改正されまして、たとえば協議会を設けますとか、あるいは場合によれば機関の共同設置をはかりますとか、あるいはまたやむを得なければ権限の性質によつて可能なものは一部委任をいたしますとか、さようなことも道が開かれておりますので、ともかく一応置いたのでありますから、それらの点についてできるだけ十分に検討され、話合いをされ、協議をされまして、それらの許された方法においてできるだけ運営を円滑にはかつていただきたい、かようなことで今までいろいろ御相談をいたして参つておるのでございます。それで当局といたしましても、それらの点がほんとうにうまく参りますかどうかについては、私どももでき得るだけ各当事者の方々と御相談を進めながら、その指導なり援助なりをいたしたいと思つておるのでございます。なお特に実績等についてはほんとうに計画的に実態調査をいたしまして、将来なお円滑な運営をはかるように具体的に検討を進める計画をただいま持つておるのでございます。
  35. 松本七郎

    松本(七)委員 問題になる具体的な点はいろいろある思うのですが、これは別の機会に譲ります。ただ一つ給与の負担者については何か御考慮があるかどうか伺いたい。
  36. 田中義男

    田中説明員 給与の負担につきましては、ただいま現行法におきまして都道府県の負担となつておるのでございまして、私どもも将来その線に沿つて進んで行きたいと思つておるのでございます。
  37. 松本七郎

    松本(七)委員 しかし地方行政制度改正に伴つて市町村教育委員会に人事権が移り、それと同時に給与の方も市町村に移すというような動きがあるように聞いておるのですが、この点はどうですか。
  38. 田中義男

    田中説明員 そういうふうな点につきましては私どもただ新聞等で拝見をしておる程度でございまして、直接の話は責任をもつては聞いておらぬのでございます。     —————————————
  39. 伊藤郷一

    伊藤委員長 次に国政調査承認要求に関する件を議題といたします。今国会も前国会と同様文部行政に関連する諸問題について国政調査の承認を得ておきたいと存じます。案文についてお諮りいたしたいので理事の御参集を願います。ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  40. 伊藤郷一

    伊藤委員長 速記を始めてください。ただいま案文を朗読いたします。    国政調査承認要求書  一、調査する事項学校教育に関する件、社会教育に関する件、教育委員会制度に関する件、文化財保護に関する件、教育職員の給与制度に関する件  二、調査の目的 学校教育、社会教育教育委員会制度文化財保護並びに教育職員の給与問題に関する実情調査し、その対策の樹立に資するため  三、調査の方法 小委員会の設置、関係各方面より意見聴取、報告及び記録の要求等  四、調査期間 本会期中  五、その他 右によつて国政に関する調査をいたしたいから衆議院規則第九十四条により承認を求める  昭和二十七年十一月十四日      文部委員長 伊藤 郷一    衆議院議長大野伴睦殿朗読いたしました国政調査承認の申請書を議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 伊藤郷一

    伊藤委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。なお整理を要すべき字句のあるときは委員長に御一任願います。     —————————————
  42. 伊藤郷一

    伊藤委員長 それでは最後の質問辻原君。
  43. 辻原弘市

    ○辻原委員 緊急な問題でございますが、これは先般来から大学の統合問題として注目を浴びておりました例の新潟大学の新発田分校の問題でございます。新聞紙上にもすでに発表されておりますように、八日の評議員会議において、従来非常に強くこの統合に対して反対をしておつた地元の意向、あるいは学生側のこれに対する考え等を無視いたしまして、急速十一月をもつて統合をするということを決定をしている事実が報道せられておりまするし、それに伴つていろいろこれに関します陳情を私ども受けておるのでありますが、それらの間をめぐりまして、当時の経緯からかんがみまして、この問題が十一月という時期を限つて急遽決定せられたということについては、非常に一般側としてもこれは納得の行かない点でありまするし、また教育的に考えましても、この十一月という時期が決して妥当ではないということは明らかでございます。従つてその間には何かの理由がなければそういう決定をしないのではないかと私は考えるのであります。いろいろ巷間うわさされておる問題をとらえましても非常に問題の点が考えられまするし、特にこの新発田分校の問題をめぐつて、現地においては十二月に保安隊が誘致せられるということが決定をされておりました。この間十二月という時期と十一月という時期とを考え合せますると、そこに保安隊の誘致と何らかの関係を持つのではないかということを私考えるのでありまして、この点おそらく文部当局におきましても調査され、かつまた現地からの報告があつたかと思うのでありますが、第一点といたしましてその点をお伺いいたしたいのと、同時に十一月のこの時期設定に対する決定について、従来文部当局説明せられておりましたように、十分現地の意向も考慮してこの問題を処理するという態度には、いささかこの決定は反しておると私も考えますので、どういう指導をこれにあたつてされたか。またこれに対して今県議会等においても問題とされて、県議会におきましては、新聞紙の伝えるところによりますと、十二月にこれに対する決定を見ようというような動きもあるやに書かれておりますが、こうした現地の意向というものを参酌した場合には、十一月の統合ということについて少くとも適切な指導があつてしかるべきだと私は考えまするので、これに対する見解と、とりました処置についてお伺いをいたしておきたいと思うのであります。
  44. 近藤直人

    近藤説明員 新潟大学の新発田分校統合の問題は、これは前国会からいろいろ問題となりまして、詳細な経過につきましてはすでに御承知と思いますから、この際省略さしていただきまするが、要するに国立大学設置審議会の第九特別委員会決定といたしまして、新潟大学の新発田分校を新潟に統合するということを決定されたわけでございます。その意見が文部省に答申いたされまして、文部次官の通牒をもちまして、かような決定があつたから大学長はこの決定の線に協力してもらいたいという次官通牒が、本年の二月と思いますが、出されたわけでございます。従いましてこの通牒を受けまた大学長といたしましては、その統合の線に沿うて努力を続けられたと思います。当初六月という線が一応出たわけでございますが、いろいろ新発田の地元の意向、あるいはまた多少学内の連絡の不十分という点もございましたので、その六月の期日は一応延期されたのでございます。しかしながらこの決定の線は、やはりすみやかに統合をするということでありますので、学長といたしましては、やはりその線に沿うて引続き努力されたものと考えます。御指摘のように、最近私どもは大学の評議員会から十一月の末に移転をするという決定が行われたという電報を受けました。おそらく十一月末と申しますのは、当時受入れ態勢が新潟に十分ではないんじやないかということがいろいろ論議されまして、これはしごくごもつともな御意見でございますので、受入れ態勢を整備した上で統合するということになりまして、文部省といたしましては約一千万円の予算をもちまして、校舎を新潟大学に増築いたすことになりました。その校舎の増築の完成が十一月末と聞いております。従いましてこの十一月末という決定がなされましたのは、この工事が完成するという機会をとらえて移転をする、こういう決定であろうと考えます。なおその委員会決定の経緯その他につきましては、まだ詳細なことは承知いたしませんので——一、二の書いたもののお話だけでございますので、詳細なる文書をもつて連絡するようにという指示はいたしておりますが、ただいまわれわれの方で承知いたしておりますのはそういう程度でございます。
  45. 辻原弘市

    ○辻原委員 校舎増築の完成が十一月末で、大体受入れ態勢が完了するだろうというふうに想定されるという御説明でありますが、現地のお話によりますと、その点もただいまの御説明とは若干異なつておりまして、必ずしも受入れ態勢で完備したとは考えられない。新潟日報という新聞紙によりましても、学生がこの問題に対してさらに強い動きを示しておりまして、あるいは学校運営上今後大きく問題化するのではないか、かようにも考えられますので、その点は早急に現地と連絡をとられて、適切な措置を講じられたいと思うのであります。  さらに三月末とか、そういう一つの学年末の時期でありますならば、一応教育的に理由が成り立つのでありますが、何分こうした学期中途において急速やるということは、いかように考えましても、これは教育的でなく、適切な措置ではないように私は思いますので、できる限りそういう教育的な観点に立つて文部省としても十分指導をされるように、これは私は強く要望をいたしておくとともに、次会にこの問題に対する地元側の見解、それからただいま若干の御報告がありましたが、この決定に至つた経緯、理由等につきましてお伺いすることにいたしまして、この質問の残りにつきましては保留をいたしておきたい、かように考えます。     —————————————
  46. 伊藤郷一

    伊藤委員長 この際廣瀬政務次官から新任のごあいさつを申出られております。廣瀬政務次官。
  47. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬政府委員 ただいま御紹介にあずかりました廣瀬與兵衞でございます。今回文部政務次官に任命されました。もとより浅学非才でございますが、驚馬にむちうちまして一生懸命にやつて行きたい、こう存ずる次第でありますから、どうぞ御指導御鞭撻のほどを切にお願い申し上げます。(拍手)
  48. 伊藤郷一

    伊藤委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十九分散会