運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-03-13 第15回国会 衆議院 農林委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十三日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 青木  正君 理事 野原 正勝君    理事 井上 良二君       秋山 利恭君    大島 秀一君      小笠原八十美君    高見 三郎君       綱島 正興君    金子與重郎君       高倉 定助君    高瀬  傳君       中村 寅太君    川俣 清音君       中澤 茂一君    足鹿  覺君       芳賀  貢君    山本 幸一君       中村 英男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 田子 一民君  出席政府委員         農林政務次官  篠田 弘作君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君  委員外出席者         農 林 技 官         (畜産局有畜営         農課長)    山本兵三郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 三月十二日  委員平川篤雄辞任につき、その補欠として芦  田均君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員小松幹辞任につきその補欠として足鹿覺  君が議長指名委員に選任された。     —————————————  本日の会議に付した事件  有畜農家創設特別措置法案寺島隆太郎君外二  十四名提出、衆法第四八号)  肥料に関する件     —————————————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  有畜農家創設特別措置法案を議題といたし、昨日に引続き審議を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。高倉定助君。
  3. 高倉定助

    高倉委員 政府当局にお聞きしたいと思います。有畜農家創設要綱について若干質問いたしたいと思いますが、この有畜農家創設農家経済から見まして、一日も早く完成することがわれわれの念願するとろでありますが、この要綱を見ますと、なかなかむずかしい要綱であります。特に家畜導入する上において、相当考慮すべきものがありますのと、地域的にも経営的にも条件がたいへんにむずかしいように見受けるのであります。また導入資金貸付要綱相当に手数がかかるというところの非難があるのでありまするが、国が資金を貸し付けるのでありまするから、一応いろいろの条件が必要とは思うのでありますけれども、この際貸付金貸付は、農業協同組合に、いつそある程度までまかしてやつた方が、地域的にも、また経済的にもその地域についてよくわかつておるのでありますから、かえつてその方がいいように思うのですが、その点に対する所信をお伺いしたいと思います。
  4. 長谷川清

    長谷川政府委員 ごもつともなお話だと思いまするが、御承知のように家畜農家導入いたしまするにつきましては、その農家経営に適合することがまず大事であるのであります。特に農家といたしましては、いたずらに購入飼料にたよるということでなしに、できるだけ自給飼料中心家畜が飼えるという態勢にある、しかもその農家資金がないというような場合に、この資金を融通をするというところにこの制度のねらいがあるのではないかというふうに考えるのでありまして、条件は、一応そういう意味からいたしまして、いろいろ列挙いたしますると非常にきゆうくつなように見えますけれども、その真意は今申し上げましたようなところの趣旨にあるのでございます。御了承をいただきたいと思うのであります。  なお貸付け手続簡素化につきましては、これは方々から御要望があるのでありまして、われわれといたしましても、中金信連にいたしましても、できるだけその趣旨をくんでやつておるのでありまするが、とにもかくにも金を貸すという仕事でありますので、一応書類あるいは担保等につきまして、一定の手続を要求せられるということは、ある程度やむを得ないのでございまするが、この事業もすでに一年を経過しておりますし、今後そういう手続の面につきましても、いろいろ改善すべき点はさらに改善いたしまするとともに、金を借ります方につきましても、漸次その手続になれて来るというふうな考え方もできるのでありまして、お話の御趣旨にはわれわれも努めて沿いたいと考えまするが、そういう事情にありますることを御了承願いたいと思います。
  5. 高倉定助

    高倉委員 この創設資金についてでありますが、家畜導入資金を受ける場合、市町村長の副申がいる、こういうことになつておる。この副申を添付しなければならぬという副申は、一体どういうものであるかということをお尋ねしたいのですが、農村電化の場合、北海道あたり農村電化をやるときには、その町村の議会の決議文を出して、それを添付しなかつたならば融資もできないようなことになつておるのですが、この家畜導入の場合はそういうことがあるのかないのか。  それからもう一つ再建整備に指定されたとこちの組合が全国に相当ある。こういうような再建整備に入つておるところの組合中心としての借入れは、でき得るものかどうか。この場合、新しく家畜導入のための一つ組合をこしらえてやつてもいいのかどうか。この点もひとつお伺いしておきます。
  6. 長谷川清

    長谷川政府委員 前段の市町村長の副申でございまするが、これは考え方といたしますると、家畜導入は単にその個人の関係だけでなしに、その村の振興計画と結びつけて、それから単に農家の一戸を中心とするよりも、むしろ部落なり町村全体の総合的な家畜導入をはかるという意味からお願いをしておるのでありまするが、あえて市町村決議を要するというふうなことも考えておるわけではございません。市町村長の副申で十分だというふうに考えております。  それから第二段の再建整備中の組合についての貸付でありまするが、現に再建整備計画をつくりまして、その計画従つてその再建に努力しておられまする組合につきましては、この資金貸付は行われますし、現実にもそれに貸し付けておる例がございます。  なおお話の、既存の農業協同組合ではどうしても借りられないから、新たに酪農協同組合等をつくつて貸付を受けることができるかという点につきましては、もちろん可能でございまして、現実の問題といたしましても、そういう事例がございます。
  7. 高倉定助

    高倉委員 今申し上げた町村長の副申ですが、これはどういうわけで副申がいるのです。その組合がしつかりしておれば、何も副申をつける必要がないと思うのですが、どういうような意味でこれは副申をつけるのか。
  8. 長谷川清

    長谷川政府委員 言葉が足りませんでしたが、要するにこの家畜導入仕事は、村全体の一つ振興計画と申しまするか、村全体の仕事として考えてもらうところに一つの大きな意義があるベきであるし、またそういうふうに考えなければならないというような意味におきまして、市町村長意見を要求しておるような次第であります。
  9. 高倉定助

    高倉委員 さらにお伺いしたいのは、この家畜導入資金貸付期間があります。すなわち乳牛においては、貸付期間のすえ置き期間が一年以内、償還期間三年以内、役肉用牛、馬に対しては、一年以内、四年以内、めん羊やぎ、豚は一年以内の二年以内ということになつておりますがこれはどういう基準できめられたのですか。
  10. 山本兵三郎

    山本説明員 乳牛役肉用牛、あるいは馬、めん羊やぎ等につきまして、すえ置き期間が一年以内と同様になつておりまして、ただ償還期間において差がございますのは、それぞれ各家畜経済性、つまり収入がいつごろから起るか、しかも償還が円滑に行き得るようにという点をにらみ合せまして、かような差ができておるのであります。個々の経営に当りますと、若干これはしやくし定規たという点もあろうかと思いますけれども、あまり長く償還期間を置きますことは、かえつて償還の熱意をそぐというようなこともいろいろ議論されたこともあつたのであります。やや短かいというきらいはあろうかと思いますが、この辺がかえつて農家のためには償還期間としては妥当ではないか、かように考え一つ基準としてきめておるわけであります。しかし実際の問題としましては、現に中金あるいは信連等で貸代が行われておりますが、その契約の内容といたしましては、むしろこの償還期間よりも短かい期間貸付がなされておる。これはどちらかと申しますと、金を貸す方の側としましては、従来やりました経験等から見て、むしろ少し短かい方が償還が円滑に行くというようなことから、この基準よりもやや短かい期間償還期間として実際には行われておるようであります。
  11. 高倉定助

    高倉委員 今の短かい方が償還の率がたいへんいいというお話もごもつとものようであるけれども、われわれはちよつと納得できない。たとえば牛についてみましても、牛が生後大体十八箇月くらいで種付して、妊娠したのが、順調に行つて十箇月で分娩しますから、大体において二十八箇月くらいかかります。それから初産の牛はなかなか乳がそう思うように出ない。こういうようなことになつて来ると、三年でやるということは少し期間が短かいように思う。私も、これは古い話でありますけれども、千葉県、秋田県から牛を三十五頭入れまして、村の部落に貸し付けたことがあります。そういうような場合も、償還年限を三年でやつたけれども、なかなかこれがスムーズに償還ができていない例があるのです。でありますから、少くともこれは四年、そして馬の場合は五年というように、もう一年くらい延ばすようなお考えがあるかどうかというのでお伺いしたのですが、今お話になりました経済的の問題あるいは償還の今日までのしきたりの問題等によつて、こういうふうになつたのでありましようけれども、もう少し延ばされるお考えはないか。
  12. 長谷川清

    長谷川政府委員 この償還期限のきめ方につきましては、導入いたしました家畜経済的な価値ができて参る、従つて農家償還能力が生ずるという時期を一応の目安としてつくつてあるのでありますが、お話のように、この点につきましてはあるいは生産地状況あるいは飼育地帯状況等によりまして、地域的にもいろいろ違う場合があり得ると思うのであります。しかしそうかと申しまして、あまり長いこともどうかと思いまして、一応この期間で去年よりスタートしたのでありますが、お話のようにもう一年程度、特に馬等については延ばしたらどうかという意見も聞いておるのであります。これは今後の問題といたしまして十分研究をいたしました上、そういう必要があるという場合にありましては、またあらためて考えてみたいと思う次第であります。
  13. 高倉定助

    高倉委員 今の問題はひとつ十分に御考慮を願いたいと思います。  それから自己資金家畜導入したものでも、知事届出をしなければならぬというのは、これは一体どういうわけか。政府の金を借りるのじやない、自己資導入したにかかわらず、どういうわけで届出をしなければならないか。
  14. 長谷川清

    長谷川政府委員 この事業は、原則といたしまして中金及び信連資金導入し、それに五分の利子補給する、こういう建前でありますが、例外的に全部を自己資金でまかなう場合に、その七割分について利子補給をして巻上げようというために、その自己資金の分を明らかにするために届出をしていただく、こういうことになつておる次第であります。
  15. 高倉定助

    高倉委員 それから家畜導入事業の問題ですが、こういうふうに書いてある。知事は毎年十二月家畜需要計画を定めて大臣にその計画書を提出することになつておるのであります。この場合知事は、「大臣の指示に従い、生産者団体、」これはいいのです。次の「家畜商組合等関係者意見を聞いて、」とあるのですが、家畜商組合にどういうわけで意見を聞かなければならぬのか、これが納得できないのです。生産者団体家畜の売買はできるのですから、生産者団体意見を聞けばいいだろうと私は思います。ここに小笠原会長もおられるのですが、あえて家畜商組合に何ら意見を聞く必要はないと思うのですが、どれはどういうわけで意見を聞かなければならぬのか、これもお伺いします。
  16. 長谷川清

    長谷川政府委員 この仕事はもちろん自治的に行わるべき性質のものでございますけれども、いやしくも政府資金をあつせんし、利子補給をするというような一つ制度として行うということになりますと、どうしてもこれに要します家畜頭数相当の数に上ります。これを無計画に放任しておきますと、いたずらに家畜奪い合い等のために、実畜の値上りを生ずるというような問題がありますので、一応知事は管内の家畜需給状況考え合せて計画を立て、農林大臣はそれをもとにしまして全国的な家畜の流れについての見通しを立てて、それに基いてこの計画を円滑に実施をいたしたいという趣旨から出ておるのでありますが、さてその計画を実行するにつきましても、これはひとり官庁だけの仕事では十分でないのでありますから、生産者団体農業協同組合あるいは家畜問等の御協力を得てやることが望ましいというふうに考えておるのであります。特に家畜商を入れる必要がなぜあるかというお話でございますが、御承知のように、家畜商こそ家畜の取引に実際にたずわつておる人でありまして、家畜の移動あるいは家畜輸送等に関しまして知識を持たれておる方々でありますので、それちの意見をあわせ聞いて、家畜が円滑に計画通りに、従つてまた価格等を不当につり上げるということのないように実施をいたしまするためには、こういう関係者意見を聞くことが適当であるというふうに考えた次第でございます。
  17. 高倉定助

    高倉委員 それはそれとしまして、次に大家畜導入は、昨年の実績はどうなつておりますか。それから昨年は外国から相当の牛を輸入されたように思つておりますが、輸入されたらその頭数、種類あるいは産地がどこであるかということを、大体わかつておりましたならば聞きたいと思います。
  18. 長谷川清

    長谷川政府委員 本年度有畜農家創設事業進捗状況につきましては、昨日井上委員の御質問にお答えをいたしましたように、総金額にいたしまして、昨年の末で大体七〇%消化をされておりまして、本年三月末までにはこれが大体消化できる見込みであると考えておるのであります。その具体的の戸数につきましては、お手元にあります説明資料の四枚目の欄に、有畜農家創設計画戸数という表がございます。この数字について実績を申し上げますと、実はここにあげてあります昭和二十七年度数字は、当初の計画数字であつたわけでございます。現在の大体実施見込み数量を申し上げますると、乳牛につきましては、一万二千五百とありますのが、大体一万五千六百、それから役肉用牛につきましては、四万二千とありますのが四万七千程度、馬は八千五百とありますが、これが五千六百、それからめん羊は一万六千五百とございますが、これが二万一千程度、大体現在の見込みでは、本年度実績は以上のような戸数になるのではないかというふうに見込んでおる次第であります。
  19. 高倉定助

    高倉委員 今のは外国牛輸入ですか。外国牛輸入のことをお聞きしているのです。
  20. 長谷川清

    長谷川政府委員 申し落しましたが、本年度外国から入りました乳牛頭数は、イラワラシヨートホーンが七十三頭、ホルスタインが六十二頭、合計百三十五頭でございます。
  21. 高倉定助

    高倉委員 そこでイラワラシヨートホーンその他が入つておるようですが、最近聞きますと、デンマークでは、私らはホルスタインを主として飼つておるものと思つてつた。ところがデンマーク赤牛と申しますか、レツド・デーニシユ相当に多くふえておるし、この赤牛は体重も大体平均一トンくらいある。それから乳量も多い。ことに脂肪率も今まで大体三・五%くらいのものであつたのが、改良の結果四・四%くらいになつておる。性質も非常に温良である。でありますから、非常に飼いやすいように私たち考えるのです。ホルスタインなどは、乳量は多くても脂肪率が少い。エアーシヤーなどは脂肪率が多くても、性質が敏感で飼いにくいというような点もあるのですけれども、レツド・デーニシユは非常に飼いやすい。これらの条件が備わつておるが、この赤牛をこの際大量に輸入して改良したらどうかということを聞かされ、非常にいいことだと私も考えておるのですが、これに対して御研究なつたことがあるか、輸入して試験的にやつてみる意思があるかどうか。
  22. 長谷川清

    長谷川政府委員 デンマーク赤牛につきましては、お話のように、脂肪の点から申しましても、あるいは飼養管理の点から申しましても、相当注目すべき品種であるというふうにわれわれも考えておるのでありまして、実はそのために昨年わざわざ有畜営農課長デンマークにやりまして、レツド・デ一二シユの実情を調査せしめておるのであります。ただ行政的な問題として若干考慮を要しまする点は、まず第一に北欧付近一つ病気といたしまして、口蹄疫という恐るべき病気があるのであります。これは何もレツド・デーニシユに必ずあるというわけではございませんが、これは日本には今のところ全然ないのであります。そういう新しい品種を入れることによりまして、そういうことの危険がはたして防げるかどうかということが、まず第一の問題でございます。第二の点は、御承知のように、距離が非常に遠いのでございまして、特に途中インド洋を経由しなければならないというような事情もございまして、運賃もさることながら、輸送期間相当長くかかるというような点で、はたしてこれを大量に円滑に持つて来れるかどうかという点に、第二の問題があるのであります。しかしながら、牛そのものは今お話のように相当りつぱなものでございますので、あるいは種牛になるような品種のものを若干入れるということも一つの方法ではないだろうかというふうに考えておるのであります。実は来年度集約酪農地区の建設のために、約六百頭の牛を外国から輸入するという予算措置をお願いしておるのであります。今のところ一応これは濠州、ニユージーランド、アメリカ専守ジャージー種考えておるのでありますが、なおお話デンマーク赤牛につきましても、さらに研究をいたしまして、先ほど申したような行政的な問題が明るい見通しがつきますれば、これらについても今申し上げましたような観点で、これを入れてみるということもひとつ研究いたしたいというふうに考えておる次第であります。
  23. 中村寅太

    中村(寅)委員 ただいまの高倉君の質問関連があるのですが、融資期間の問題です。畜産局長は一年くらいで場合によつては抜けるところもあるだろうということを言つてつたようでありますが、導入した乳牛とかあるいは牛馬その他のものの利益によつて償還ができるようなことを考えておかなければ、やはり期間をあまり短かくしておくと、農家経済に圧迫を生ずると思うのであります。そういう点から考え乳牛の場合に三年以内としてありますが、そういうことを考慮の上三年というようにきめたのか、何かそこに根拠があるかどうかを、ひとつ聞かしてもらいたい。
  24. 長谷川清

    長谷川政府委員 これは先ほど申し上げましたように、いろいろ地域的あるいは当該家畜につきましては、必ずしも一律には申し上げられないのでありますが、一応従来の資料等によりますと、一年のすえ置きを含んで三年、従つて合計四年ということでありますれば、もちろん長いということは言えないと思うのでございますけれども、一応この程度農家償還にさしつかえのない期間があろうというふうに、いろいろ研究をいたしまして、一応結論をつけたものであります。ただ先ほどもちよつとお話がありましたように、馬のごときものにつきましては、現在のところ一年のすえ置き、四年償還ということになつておりますけれども、しかし馬の特殊性にかんがみまして、さらにもう一年くらい延ばす必要があるのではないかという意見がいろいろの方面から御要求もある実情でございますので、その点につきましては、いろいろ研究を進めておるような次第であります。
  25. 中村寅太

    中村(寅)委員 そうしますと、乳牛の場合は三年ということでありますが、購入した乳牛から上つて来る利益で、一応三年くらいたてば償還ができるという根拠に基いておりますか。
  26. 長谷川清

    長谷川政府委員 償還期限はすえ置き期間一年を含んでおりますから、具体的に農家が返す最終の年は四年ということにはなりますから、四年間なら大体返せるだろうと考えている次第であります。
  27. 中村寅太

    中村(寅)委員 私たちはどう考えてみてもやはりすえ置き期間を含んでせめて五年くらいにして置いてもらわなければ、乳牛等を入れたことによつて、上つて来る利益から払いながら多少の余裕が農家経済に貢献するような姿でなければ、上つただけを全部四年間に払つて行かなければならないということでは、四年間の努力に対しての報いがないと思うのです。予算との関連もあると思いますが、できるだけ長くしてやることがこの立法の趣旨にも沿うと思います。その点を強く要望したいと思います。  もう一点高倉君の先ほどの質問の中に、自己資金による家畜導入を行う組合について、知事に報告をせなければならないが、どういう理由かという質問に対して、利子補給をするというふうに局長お話を聞いたようでありますが、自己資金によつて導入する家畜組合資金には利子補給はやるという計画でございますか。
  28. 長谷川清

    長谷川政府委員 組合自己資金によりますものにつきましても、組合組合との関係においては貸借関係があるわけでありまして、そのものにつきまして五分の利子補給する、こういう関係にあるわけであります。
  29. 小笠原八十美

    小笠原(八)委員 今、高倉君といい、中村君といい、重要な最も有意義な御質問があつたのですが、まだ畜産局の方は調査が足りない。そういうことではなかなか納得しない、治まりがつかなくなるから、もう少し御研究なさらなければならない。畜産の指導というのは、供給する方の面ばかり考えて、外国から輸入値段が高くなるとか、こういうことを考えるよりは、第一着に考えなければならないのは、農民にいかに適当な牛馬なら牛馬を獲得せしめるかということである。すなわち家族の構成いかんによつて、馬なら、若い衆のおるところでは馬車馬をやるとか、女子供ばかりのところでは農耕に簡易な小さい馬をやるとか、また牛であれば、慣行のあるところではホルスタインでもよろしいが、慣行のないところでは頭からホルスタインをやつたのではみんな病気になつてしまう、そういうことろでは雑種でなければならない。農民に適当なものを配給するということが第一であつてそれをお考えにならずに配給するとか、あるいは値段のことを言うということは、必要ではあるけれども、頭からそればかり考えるのはいけない。家畜商ほど各農家の実態を承知しておるものはない。そこで適当に牛馬を配給するには、家畜商意見を聞くのが一番いいと思うのです。また中村君の言つた経済問題ですが、あなた方は三年間でみんなまるもうけになるというのですが、そんなことはできるわけではない。それより牛馬を獲得すれば一年にそれによつて堆肥は何千貫獲得するか、その価極はけだしどういうふうに場面にまわつて来るか、それを計算してみなければこの経済ができない。そこで幾らかは借金は残つても、徐々に経済が補われて行くというそこの肥料をなくしたのでは、農家牛馬の獲得の必要はなくなる。畜産部門ばかりでなく、さらに肥料方面まで考えなくては当らない。馬や牛は一年や二年ではほど遠い。牛は短命であるし三才になつたら生れるか、馬は四才、五才、六才、——七才になつて初めて種になる。その経済はなかなかそういう簡単なものではいけないから、これはもう少しよく研究をなされて、皆さんにしつかりした御答弁をなし、みんなが納得するようにして進まないと、畜産の問題は治まりがつかないから、私はもう少し御研究を望むものであります。
  30. 坂田英一

  31. 芳賀貢

    芳賀委員 この法律案は、有畜農家創設要綱と非常に密接な関連があるので、主として長谷川局長質問いたしたいと思います。  この法案の第二条の規定によると、有畜農家の創設計画を立てる場合には、農林大臣がきめた基準に基いて都通府県知事計画を策定することになつておるので、そういうことになると、農民がほんとうに自主的な意欲によつて酪農経営をやろうという、そういう下から盛り上つた意欲は、その計画の中に十分現われて来ないようなおそれが多分にあるわけであります。それで都通府県知事がこの計画を策定する場合においては、いかなる方法によつて、この農民のほんとうに盛り上る意思を反映させるかという問題が一つと、これに関連いたしまして、積寒法等の特殊立法によるところの地域の指定を受けた地方におきましては、結局農業振興計画を立てるわけでありますが、その農業振興計画の中においても、当然家畜導入計画等は入つておるわけであります。この振興計画というものは、当然下から盛り上つて来るところの計画でありますが、この下から盛り上つて来る計画というものが、都道府県、地方団体を経るに従つて十分取上げられておらないような節が非常に多いのであります。それでこの二つの、上から降りて来るところの有畜農家の創設計画と、下から盛り上つて来るところの農業振興計画とを、どこでマッチさせて、どこで最も有効適切に計画化させるかという点についてお尋ねしたいわけであります。
  32. 長谷川清

    長谷川政府委員 この法律案は、一応都道府県と国との関係中心に規定をいたしております関係上、その点が非常に強く文章面に出ておるわけでありますが、もちろん都道府県がこの計画を立てますにつきましては、各市町村計画に基いて、都道府県が計画を立てるというふうに実際面では指導をしておりますし、従来もそういう計画によつて計画を立てさしておるのであります。特に先ほどお話のありました、特別立法によりまする農業振興計画家畜導入計画が盛られておりますものにつきましては、もちろん優先的にと申しまするか、できるだけその趣旨を尊重して、それを都道府県の計画従つて、またこれを国の計画に織り込むように努めておる次第であります。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 昨日局長さんからも、集約的に導入行つて、そこに一つのモデル的な地域を設定するというふうなお話がありましたが、これはただ単に家畜を集約的に導入するということだけではなくて、現在の酪農における諸般の情勢等を客観的に見た場合においても、結局この家畜導入と、その製品の最も効率的な処理ということが非常に相関連して行われなければならないのであつて、これを無視した場合においては、結局家畜経営の中に入れるということを、さつき小笠原さんが言われたように、その肥料価値としてそれを考えの中に入れなければ成り立たぬということを最初から肯定して、有畜農家になるようなことであつてはいつまでたつても日本の農民経済的に救われることができぬのであつて、酪農を政府が奨励してやらすことはいいけれども、結局それによつて酪農資本家のえさになるようなことがあつては何にもならぬと思うわけでありますが、そういう点に対してのお考えを聞きたいわけです。
  34. 長谷川清

    長谷川政府委員 集約的な酪農地区をつくります場合のきめ方といたしましては、お話のように単に家畜をまとめて導入するというだけではもちろん不十分でございまして、まずその前提といたしましてそれらの家畜を受入れられるような態勢を、その地帯に集中的に施策をして行く、たとえばその付近にあります牧野の改良を行うごとき、あるいはその地区におきまする農家経営規模の中に飼料作物の間混作を集中的に指導督励するということ、さらにはまたその地帯におきますところの農民の酪農に対する関心を高める諸施策を講ずる、あるいはまた道路等の整備につきましてもできるだけ力をいたしまして、牛乳を集めます場合の集乳費の低廉をはかるというような施策をあわせてやることによりまして、初めてその効果が期待できるのでありますので、われわれといたしましても、今申し上げましたような施設について、国でやりますことはできるだけ国でやりますし、また府県庁にしていただきたい点は、府県庁にお願いをいたしまして、そういう施策をこれらの地帯に集中的に行うというふうに推し進めたいと考えておるのであります。またできました牛乳の処理等につきましても、おそらく、こういう地帯ができますと、その組合員を中心にいたしまする酪農協同組合というようなものが当然結成されなければならないと思いますが、そういう組合中心に、加工処理の問題につきましても、国としてできるだけの力を注ぐというふうにやつて参りたいと考えておる次第であります。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 この法案の第四条第三号によると、都道府県が組合等にかわつて直接家畜を購買して配付する場合の規定があるわけでありますが、これが行き過ぎるような場合においては、協同組合の行う系統活動を抑制するようなおそれもあると思いますが、政府としては第四条の一号と二号の運営等に対してお考えがあればお聞かせを願いたい。
  36. 長谷川清

    長谷川政府委員 農家にあまねく家畜導入したいと考えます場合に、一応の考え方といたしますれば、農業協同組合資金をあつせんをすることによつて目的が達せられるのが普通であると思うのでありますが、しかし先ほどもお話がありました再建整備を要するような組合で、具体的にまだその計画が立つておらないというような場合、しかもその地帯にこの際家畜を入れまして、農家経済の改善をはかることが必要であると認められますような場合におきましては、単に資金を投入するだけでは家畜が入らないのでありますから、そういう場合におきましては、県がみずから家畜を買いまして、それをそれらの地帯の農家貸付をする。もちろんこれは無償ではないのでありまして、将来子供が生れましたならば、その子供を県に償還せしめるという条件で、これを無償貸付するというような方法をとりますれば、たまたま農業協同組合の資力が薄弱であつて、金を借りられないというような地帯にも、家畜導入を円滑に行うことができるということになります。現に御承知のように、相当の府県におきまして、県有の家畜貸付制度によつて貸し付けておるような状況でありますので、それを今回法文の上に明らかにいたしまして、国としても、そういう場合に県が必要とする資金をあつせんしてやろうということにいたした次第でございます。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 次に損失補償の問題についてちよつとお伺いしたいと思いますが、この事業をやる場合において、農林中金資金のほかに、単位の農協であるとか、あるいは信連等の余裕金などを活用して、この購入に充てておるような実情にもなつておるわけであります。そういう場合においても第六条の第一項の政令がきめる金融機関の中に、これらの信連であるとか、あるいは単位協同組合等が当然含まれておると思うわけですが、その点についてはどういうようにお考えになつておりますか。
  38. 長谷川清

    長谷川政府委員 お話のように、融資機関は中金のほかに信連及び単位農業協同組合を含んでおりますし、また必要がありますれば、地方銀行も指定をする考えであります。現にたとえば岩手県の岩手銀行、あるいは群馬県の大同銀行のごときは、本年すでに家畜導入資金を出しておりまするこれに対しましても国の利子補給考えておるような次第であります。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 有畜農家創設事業が開始される前後あたりを通じて、家畜値段相当つておるようにも聞いておりますが、これは有畜農家創設事業と何かの関連があつて、こういう値上りを示しておるのかどうか。導入する場合において、やはり価格問題は、買い入れる農家にとつても非常に大きな問題になると思いますので、こういう点について、この事業が開始される前から現在に至る家畜の価格の値上り状況等について資料があるなら、そういう点の説明もお聞きしたいと思うし、今後こういう事業がだんだん拡大されるに従つて、これに乗じて価格のつり上げ等が行われる場合もないとは限らぬので、そういう場合におけるいかなる対策をお考えであるかということを、具体的にお伺いしたいと思います。
  40. 長谷川清

    長谷川政府委員 こまかい具体的な数字につきましては、資料を差上げまして御参考に供したいと思いますが、この事業を始めました昨年の四月ごろからと現在とを比較してみますると、家畜値段が概して土つておるどいう傾向が見られることは事実であります。特にその傾向は乳牛について大きく、大体二割から三割程度高くなつておるのではないかというふうに見ておるのでありますが、これは御指摘のように、今回こういう事業を始めましたために、相当多数の家畜が移動をいたします関係上、こういう結果になつたであろうと思うのであります。しかしこういう状態に放置しておきますことはもちろん適当でありませんし、そういうことがあらかじめ予想されましたので、実は昨年各府県からの要望は非常にたくさんの、たとえば乳牛なんかについて申しますと、五万頭程度もあつたという状況であつたのでありますが、それをこのまま認めるということになりますと、それこそ非常に家畜値段を上げるということに相なりますので、われわれの方といたしましては、大体年間に生産されますところの家畜頭数、その中から特にこの有畜農家の創設事業に向け得ると考えられる大体一万五千頭程度一つ基準に置きまして、家畜のあつせんをするということによりまして、価格の騰貴をなるべく抑止するという措置を立てたのであります。将来の問題といたしましても、この点はわれわれも最も関心を払いまして、さらに家畜値段が上ることのないように努力をいたしたいというふうに考えておるのでありますが、幸い昨年あたりより家畜の生産が非常に旺盛になつて参りまして、家畜資源も相当豊富に期待できると考えられますので、漸次この傾向は緩和されて来るだろうと期待しておるのであります。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 なおこの購買に関連しますが、この購入県に対して、特定の県を指定してそこで購買させるというようなことになつておると思うのですが、そういう行き方だけでなくて、購入県の意思によつても適宜買えるようなことはお考えになつていないかどうかという点と、それからこの購買に出かけるのに相当経費がかさむような実情らしいのですが、そういうようなことは——家畜そのものの価格に対してはもちろんこれは当然でありますが、それ以外に、購入に要する経費等が大きな額に上るということは、これは抑止しなければならぬと思うので、そういう点について、もう少しこれを合理的な方法に改めるような点に対しては、具体的にどういうお考えを持つておられるか、たとえばこれらを全販連等にある程度まかせるような形で、一括購買させる方法も一つの方法であると思いますが、そういう点について御意見をお聞きしたいと思います。
  42. 長谷川清

    長谷川政府委員 家畜の購買先につきまして県を指定する問題でありますが、これは先ほど申し上げましたように、もし自由に放任をしておきますと、各県から特定の県に殺到いたしまして、その地方の価格を不当につり上げるというおそれがありますので、大体導入すべき県の家畜頭数と移出する県の家畜頭数とをにらみ合せまして、その間の調整をわれわれの方ではかつた次第なのであります。もちろんこの場合におきましては、各府県の希望をできるだけ尊重いたしまして、実施に努めたつもりであります。ただ遺憾ながら、乳牛のごとき、たとえば大部分北海道の牛がほしいと言われましても、それほどの資金がないということになりますると、あるいはよその県にこれをまわしたというようなこともありますけれども、これはなるべく地方の方々と御相談してきめた次第であります。  なお家畜の購買に関しまして、いろいろの諸経費をセーヴするために、なるべく団体的な取引をする必要があるのではないかというお話に対しましては、私たちもその通りであるというふうに考えまして、各家畜別に、主として県の経済連等を中心に一括購入をするというようなことを指導、奨励いたしておる次第であります。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 次に有畜農家創設事業の今後の推進についてお尋ねしたいと思います。この事業は、何としても日本の零細農の中において、これを集約して、何とか農民が人間的に生きて行く水準を守るためには、酪農というものは不可欠の問題として取上げるべきであると思いますが、この事業を推して行くためには、どうしても農業協同組合と行政庁との間における密接不可分な協力態勢というものが必要であると思いますが、これをやつて行く場合の、たとえば導入農家自己資金の積立ての問題であるとか、融資手続の問題であるとか、購買代金の決済の問題であるとか、これらの問題がスムーズに行くように、行政庁と組合との間における手続上の問題あるいはこれの協力のもとに、もう少し積極的に前進できるような態勢等に対して、今後この法案の通過等を通じて一層具体的な手が打たれると思いますが、そういう点に対して局長のお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  44. 長谷川清

    長谷川政府委員 お話の通りに、この仕事実施して参りますためには、農業協同組合その他関係者の強力なる御協力を得なければ円滑に参らないのであります。われわれこの仕事を始めまして以来、各関係方面に対しましていろいろお力添えをお願い申し上げておるのであります。私たちの気持から申し上げますると、そのお手伝いといたしまして、若干の助成というようなものも考えたいということで、いろいろ予算折衝をしたこともあるのでありますが、遺憾ながら今のところ実現を見ておりません。しかしこの計画は少くとも今後十箇年間押し進めて参りたいと考えておりますので、できるだけ早い機会に実現をいたしまするように考えたいと思う次第であります。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に一点お尋ねをして終ります。これは予算の面にも関連があるので、特に農林大臣からお答え願いたいと思いますが、有畜農家を創設する場合における酪農の自立化でありますが、これはどうしても家畜導入すると同時に、飼料の自給化ということが並んで行われなければ、安定せる酪農経営はおそらくできないわけであります。そういう場合においては、当然畑作地帯においては飼料作物を輪作栽培の中に入れて、あわせて地方の改善をはかるとか、あるいは水田裏作等に飼料作物を植えつけるとか、こういうことが農業経営の一環としてもあわせて行わるべき必要があると思うわけでありますが、そういう施策を行う場合における昭和二十八年度自給飼料対策に対する予算は非常に少いと思われるわけであります。たとえば飼料作物の種子対策にいたしましてもわずか千八百万円、それから自給飼料増産費に対しても千九百万円、こういう非常に問題にならない数字のもとにおいて、一面におきましては、二十八年度から十箇年計画において有畜農家の創設をはかろうとする大きな長期的な計画を持ちながら、一面においてその裏づけとなるところの自給飼料対策の確立が予算面を通じてもはかられておらぬということに対して、新農林大臣はいかなるお考えを持つておられるか。こういう二十八年度におけるわずかの経費をもつてしては何ともならぬと思うので、これに対しては補正予算等を組んで、もう少し積極的な自給飼料対策に対する予算的措置を行うお考えがあるかどうかもお伺いしたいわけであります。
  46. 田子一民

    ○田子国務大臣 御趣旨まことに御同感でございますが、補正予算のことはまだ考えを定めておりません。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうお言葉であれば、これで十分だという意味であると解してもさしつかえないのですか。
  48. 長谷川清

    長谷川政府委員 事務的の点を私からお答え申し上げます。飼料作物の予算が一千万円程度というお話でございましたが、従来の予算より本年度予算相当増額いたしまして、大ざつぱな数字で申し上げますと、畜産局予算で約七千万円程度、牧野関係予算が一億二千万円程度、それからなお農業改良局の方におきまして、飼料作物の研究費等を従来に比して相当増額をいたしておるような状況であります。もちろんこれでわれわれ満足をいたしているわけではございません。将来ともできるだけふやすような努力を、事務当局としては考えているような次第であります。
  49. 田子一民

    ○田子国務大臣 ただいま政府委員からお答えしましたように、なお十分私も考慮したいと思います。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 これが少いか多いかということを私は聞いておるのであつて、この十箇年計画をもつてする有畜農家創設の裏づけとなるための自給飼料増産の確立のために、二十八年度のこういう予算をもつてして対抗できるかどうかということを聞いておるわけなのです。私たちは農林当局としても、二十八年度予算が決定になるまでの経緯を見る場合において、これで了承できる予算であるとは考えておらぬわけなのです。それで新しく就任された大臣は、こういう不均衡な予算に対して、これでは少いと思われるかどうかということをお尋ねしておるわけです。
  51. 田子一民

    ○田子国務大臣 十分ではないと考えます。努力したいと考えます。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 十分でないというのは、今後善処されるというふうに解釈してさしつかえありませんか。
  53. 田子一民

    ○田子国務大臣 その通りです。
  54. 小笠原八十美

    小笠原(八)委員 今芳賀君からもいろいろな御質問があつたわけですが、有畜農家創設十年計画をやるというには、政府としての用意がなければならぬ。たとえば家畜の受入れ態勢にしても飼料が問題になるでしよう。また馬とか役牛に対しては牧野というものの裏づけがなければならない。それに対して政府はどういう用意をしておつて十年計画というものが立てられて行くのか、この答弁さえあればさほど困難なく終る問題である。大臣つて新しく大臣なつたのだからまごつくのだ。これは事務当局がもう少ししつかりしなくてはならぬ。さつき有畜農家創設関係で経費の節約ということを言われたが、経費の節約は汽車賃や宿銭だけが節約じやない。食糧に対して畜産の裏づけが重大な関係のあることはしばしば論ぜられた通りであり、大臣もよく承知の通りだ。しからば何ゆえに米麦の輸送と畜産の輸送とでこれだけ運賃が違うのか。これを運輸省に対してどれだけの交渉をするのか。同じ政府でありながら、同じ場面のものに対して、何ゆえにこういうふうに運賃を違えておるのか。ここは大臣が責任を持つて、これだけは解決するという御答弁がなければならぬ。これだけは大臣の責任なんだ。この問題の解決の見通しはいかがですか。
  55. 田子一民

    ○田子国務大臣 その線に沿つて努力したいと思います。
  56. 井上良二

    井上委員 有畜農家創設特別措置法案関連して大臣に一点だけ伺つておきたいのですが、これは農林大臣というよりも国務大臣として伺いたいと思しいます。すなわち本法の中に、都道府県が融資機関の融資による損失を補償する契約を結んで掛矢補償を行いますときは、国がその半額を補助する、こういう規定があります。さらに、その一年あまりの経過を見ました後に、契約の総額の三分の一を限度として補償するものに限るということで、これは昨日もちよつと議論をしたのでありますけれども、この家畜導入計画政府の方において立てられ、これが実施されるや、各県からは導入に対する非常に強い要求がございまして、各県とも政府導入基準従つて導入せんとする要望が非常に高まつております。この事実からもわかるように、損失補償をしなければ家畜導入が実際でき得ないという実情にはなつておりません。従つて私は、今日この導入にあたつて損失補償を予定する法案をきめますことは、政府資金を借りて導入しようとするまじめな団体に対してかえつて足踏みさせて、損がいつても国が補償してくれるからということで、県と話合いをしてまことに不確実な導入計画政府の方へ出される危険が起つて参ります。さらにまた国が損失補償をいたしますことから、もし他の関連のいろいろな産業や事業が、その行う事業に対しての損失補償を国に要求する法案を出して来た場合、これを補償しないということは政治の片手落ちであります。そういうことになりますが、多分この問題は、先般閣議でも大蔵当局との間で議論がされたように私ども承つております。たとえば外航船舶の建設にあたりまして、七割までたしかあれは国の融資によつて行つて、あと三割を市中銀行から融資を受けて造船をする。その造船に対して三割の損失補償をするという法案が運輸委員会にかけられるということを私ども聞いております。ここでこういう法案が成立いたしますと、その法案に対しても当然損失補償についての国の責任がかかつて行こうと思いますので、それらには対してかくのごとき法案が成立した場合、政府としてはこれは一向さしつかえないとするか、それとも検討を要することになつておるか、了解がされておるか、そういう点について、一応確めておきたいと思つて質問申し上げたわけであります。
  57. 田子一民

    ○田子国務大臣 御指摘のような点はまことに、ごもつともなことでございます。ただこの家賃を導入する地帯は、政府は大体の計画を定めましてその計画通り、地方々々に相談をしてその地区をきめようというのであります。もつとも多くは生活の困難な地帯でありまして他に農産物等のない、ごく非薄な地方もあるのであります。従つて金融面から見ますと、なかなか融資を受けがたいことが多いのであります。しかしこの導入によつて損失が生ずるかと申せば、必ずしもさようではございません。ただ資金を受けます場合に、やはり国がまかり間違つた場合には補償するという声がけだけでも仕事ができて行くと思います。船の場合でも同様の議論でございまして、やはり補償制度については相当議論いたしました。ここの特殊性としては、貧因地帯の融資の能力の乏しい地方が多い。それが計画を立つて行けば損失はないけれども、政府はまかり間違えば県の損失に対して補償するというようなつもりでこの道を開きたいという考えでございます。船舶の補償につきましても、すでに閣議でこの間きまつた次第であります。ほかにまたこういうような格別な場合のものは生じないと考えておりますが、万一の場合はまたさらに具体的なことについて検討をいたしたい。
  58. 川俣清音

    ○川俣委員 大臣と提案者にお聞きしておきたいのですが、造船の場合の損失補償は造船会社が過去の戦時中に受けた痛手が厚因で、融資を受ける能力がない、従つてその場合の損失補償と今度の有畜農家のような新しく創設する場合の損失補償とは、根本的に異なるという考え方をお持ちになつていなければならぬと思うのであります。さらに私は、有畜農家を創設する場合はどうしてもこれは危険が伴うと思います。しかしながら危険が伴うならそこに補償をするという建前をとらなければ奨励にならないということで、これは積極的な政策であるというふうに理解しておるのですが、その点の理解がなければならぬと思いますが、提案者並びに農林大臣にひとつ伺いたい。
  59. 金子與重郎

    ○金子委員 損失補償の考え方といたしましては、一般の農業資金を貸し付ける場合にも現にそういうことをやつておるのでありますが、実際家畜導入しようとする個人または単位のグループが貸付を受けたいという要望がありましても、それが一定のわくの中を通つて参ります関係上、下の金融機関がそういうあぶない事業はいやだということをやつたときに、それでもし損した場合には見てあげようじやないか、こういうことによつて金融機関がその仕事に協力できやすいようにする。こういう意味で一般の農林漁業資金貸付の損失補償と同じ意味のことをここに上げたのでありまして一般の希望はあるけれども、金融機関がこれをきらつた場合に、それを乗り越えるための一つの助成である、こういう見解でございます。
  60. 田子一民

    ○田子国務大臣 同じように思います。
  61. 坂田英一

    坂田委員長 他に御発言はありませんか。——別に御発言かなければ討論を省略して、ただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。  それではこれより有畜農家創設特別措置法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  63. 坂田英一

    坂田委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、お諮りいたします。本案に対する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  65. 坂田英一

    坂田委員長 この際肥料問題について調査を進めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 坂田英一

    坂田委員長 御異議ないようでありますから、春肥の価格問題を中心に調査を進めたいと存じます。質疑の通告がありますので、これを許します。川俣君。
  67. 川俣清音

    ○川俣委員 春肥の問題は、この委員会が非常に熱心に研究し、政府に対してたびたび決議もいたし、また農林委員会全体としての意思表示を行つて来たのであります。前大臣からこれに対しては非常な熱意をもつて解決するというその途中において、大臣がかわられたのであります。従いましてあらためてここで新大臣の所見をお伺いしなければならないのであります。特に東北地方ではもう春肥の需要が迫つてつておるのであります。この問題の解決いかんが、今年度の米麦に非常に影響の大きいことが考えられるのでありまして、すみやかなる処置が望ましいのであります。特に各新聞で発表になりましたように、また当委員会において問題にいたしました硫安協会の建値が独禁法違反ではないかという警告をたびたび発しておるのであります。これに対しまして公取委員長は、先般の農林委員会におきまして、目下調査中であるという言明でありました。先般の独禁法の委員会におきまして、私の発言に対しましては、明日でも決定をして態度を明らかにするということでありました。ところで公取委員会は、十一日硫安協会の春肥の建値決定に対する処置を協議した結果、同協会が建値を堅持することは、独禁法並びに事業者団体法に違反するという意見が強かつたようで、これに基きまして横田公取委員長は、公取委員会に藤山硫会協会会長を招いて、春肥建値の撤回を警告した。この警告に対する硫安協会側の出方いかんによつて、公取委員会はさらに今後独禁法の審判にかけるなどの必要な手段を講ずるという意向のようであります。これに対する農林大臣の御所見をお伺いいたします。
  68. 田子一民

    ○田子国務大臣 春肥の価格決定についてのあつせんということは、就任後すぐ考えまして、実はいろいろ考えておるのでありますが、今御質問の公取のことは政府委員からお答えいたさせます。
  69. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいまの公正取引委員会の問題でございまするが、これは昨日ですか、公正取引委員会としまして公に発表したものがございます。それによりますと、この間の建値発表が、各社の価格を拘束するものではないということ、また拘束する性質を持つたような価格であるならばそれを撤回するといつたことを公表されたい、こういう申入れをされておるのであります。従いましてこのことから考えられることは、あの建値自体がただちに独占禁止法等に違反するかどうかということははつきりいたしませんが、多分にそのおそれがある。おそらくそういう趣旨でもつてかような発表があつたのだと思います。
  70. 川俣清音

    ○川俣委員 大臣は先般の委員会におきまして、事務的のことや法律的のことについては、まだ十分研究を尽されていないだろうと思いますが、その他の政治的な問題については相当の見解を持つておられるような表現があつたわけであります。しかして肥料問題は、もはや事務的の問題を通り越して、政治的な解決の段階に入つておるわけであります。従いましてこれに対する大臣の答弁は、必ずしも不可能ではない時代だと思うのであります。これは目下すべての情勢から見まして、政治的な解決の段階に入つておると私ども見ておりますが、これに対する大臣の御意見をお伺いいたしたい。
  71. 田子一民

    ○田子国務大臣 今のあつせんは、きわめて近い時期にいたしたいと思います。
  72. 川俣清音

    ○川俣委員 廣川農林大臣の時代に、もう最後の段階に来ておつたはずであります。従いまして大臣の交代にあたりましては、当然引継ぎが行われておると思うのですが、肥料問題についての引継ぎはなかつたのでしようか。あつたとすればどんなような形において引継ぎがが行われたか、お尋ねいたします。
  73. 田子一民

    ○田子国務大臣 引継ぎは二、三分でありまして、書類を見てくれといつて、こんな大きなものをいただいただけであります。そういうような実情でございます。
  74. 川俣清音

    ○川俣委員 それはおそらく事務的な書類の引継ぎだと思いますが、大臣の御就任の一際には、この肥料問題については、本会議において決議案が出て、満場一致で通つておる問題であります。従いまして大臣が引継ぎをされた時分には、この問題について特に何らかの形において意見を聞いておるはずだと思うのですが、もし意見を聞かないで引継がれたとすれば、それは少し引継ぎ方が十分ではなかつたのではないかと思いますが、いかがですか。
  75. 田子一民

    ○田子国務大臣 国会におきましての発言は、速記録を取寄せましたりして肥料問題についての前大臣の御意見はよく承知いたしております。
  76. 川俣清音

    ○川俣委員 引継ぎは別になかつたけれども、速記録によつて大臣意見を十分知悉しておるというお言葉でありました。そうであれば、就任と同時に活動されていなければならないはずだと思う。事務的なことや、法律的なことや、予算的のことであるならば、これはなかなか日数を要すると思いますが、こういう政治的解決は、もう研究を要する問題ではない。もし研究を要する問題だとすれば、あらためて議論をいたしますが、私はそういう必要はないと思つて、お尋ねしておるのです。
  77. 田子一民

    ○田子国務大臣 関係大臣ともしばしば内輪で相談しております。
  78. 川俣清音

    ○川俣委員 それではさらに問題を提供いたしたいと思います。肥料対策委員会の模様を見ますと、需要者側委員から、全購連と硫安各会社との春肥交渉がまとまつていないから、早い機会に農林、通産各大臣、長官、一萬田肥料対策委員長らがあつせんしてほしいという発言があつたようであります。またこれに対して全購連からは、個別的に折衝しているけれども、メーカーは、さきに発表した建値なら売れると主張しておる。需要者側は、もつと安く主張しているので契約ができない、これも政府のあつせんを要望しておるようであります。このように、もはや春肥は議論の余地ないほど切迫した問題であります。これに対してまだ二、三日余裕を与えてくれということではならぬと思うので、もう一度この点について御意見を伺いたいと思います。
  79. 田子一民

    ○田子国務大臣 急にやりたいと思つても、二、三日になりますか、なかなか今忙しいので、みんなが会合するのは——そういうようなことでありますから、なるべく早くやりますから…。
  80. 井上良二

    井上委員 議事進行——ただいま川俣君が質問している肥料価格の問題は、御存じの通り、植付を控えまして、非常に時間的に急ぐ問題であります。われわれは、あの建値発表以来本委員会としても、それぞれ所要の対策を、政府に対し、また公取に対し要求して来ております。しかるにその後何ら事態は解決しておりません。このままでこれを放任しておきますと、春肥の需要の上に重大な支障を来しますから、従つてこの問題は、これをこのまま見のがすわけには参りません。そこで委員長は、午後特に通産大臣及びその関係当局、それから経済審議庁長官及びその関係当局、農林省の関係当局、大臣、この三者をお呼びくださつて、この問題に対して政府当局の所信を十分ただすことのできるようにおとりはからいを願いたい。そうしませんと、農林大臣まだ就任早々で、これ以上追究してみたところで問題になりませんから、はなはだ失礼でございますけれども、ぜひそういうふうにおとりはからいを願いたい。
  81. 坂田英一

    坂田委員長 それでは理事会を開きまして、御相談をした上で、さような趣旨に沿うよう努めたいと存じます。  午前中の会議はこれにて終り、午後引続き質問を継続することとします。  休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後二時四十分開議
  82. 坂田英一

    坂田委員長 午前中に引続き会議を開きます。  本会議が始まつたようでありますから、本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時四十一分散会