運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-03-11 第15回国会 衆議院 農林委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十一日(水曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 青木  正君 理事 野原 正勝君    理事 平川 篤雄君 理事 井上 良二君       秋山 利恭君    高見 三郎君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       松野 頼三君    村松 久義君       金子與重郎君    高倉 定助君       高瀬  傳君    中村 寅太君       川俣 清音君    中澤 茂一君       芳賀  貢君    山本 幸一君       中村 英男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 田子 一民君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農業改良局         長)      塩見友之助君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 三月十日  委員佐藤榮作辞任につき、その補欠として綱  島正興君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として小松  幹君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十日  農村工業並びに副業振興に関する請願高倉定  助君紹介)(第三八七〇号)  同(中澤茂一紹介)(第三八七一号)  硫安の国内消費価格引上げ反対に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第三八七二号)  農業改良普及事業に関する請願大石ヨシエ君  紹介)(第三八七三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  主要農作物種子法の一部を改正する法律案(中  馬辰猪君外二十四名提出、衆法第四七号)     ―――――――――――――
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  この際、農林大臣より発言を求められております。これを許します。田子農林大臣
  3. 田子一民

    田子国務大臣 昨日当委員会におきまして、芳賀委員の御質問に対する私の答弁中、――――――――――――         ――――― こういう言葉を私も速記録に発見したのでありますが、いろいろ誤解を生ずる憂いもありますと存じますので、ここにあらためてこの言葉は取消すことにいたしたいと存じます。右御了承を願います。なお憲法遵法精神人後に落ちないつもりでございます。
  4. 山本幸一

    山本(幸)委員 議事進行について……。今農林大臣から昨日の芳賀委員に対する答弁取消しのごあいさつがあつたわけですが、実は憲法八十九條云云取消しだけでなしに、大臣は重大な発言をしておると思うのです。これは現国会を軽視する御発言多分にあつたということは、大臣も御承知だろうと思うのです。私はその点について、まだ速記録は見ておりませんけれども大臣言葉をかりて言うと、自分は三十年間の議員生活をやつてつて、昔の大臣というものは金を自由にどこでも使えたのだが、今の大臣はあらゆる法案に縛られて、何ともならないということをおつしやつたのです。そういう考え方は、結局大臣のお考えそのものが、かつての帝国議会的な、復古的な、復元的な考え方でおつしやつたのか、あるいはまた今の国会運営では、これは民主的でない、昔の国会の方がきわめて民主的で、大臣が自由に何でもできたのだ、こういうお考え方で、そういう言動を発せられたのか、さらにもう一つは、私ども考えておるのは、大臣のおつしやつたような考え方が、昔の国会において大臣がいろいろ利権をあさつたり、あるいは不正事実を起しておつたわけです。従つて今日国会がこういうように改正せられて来たわけなのですが、その点について大臣の御意向を少し承りたいと思います。
  5. 田子一民

    田子国務大臣 昨日お答えしましたのは、芳賀委員から、大臣は抱負経綸ありやというお問いがありまして、それで現在は法律昭和二十八年度の予算によつて行う以外に大した抱負がないという意味で申し上げまして、古今を比較したという意味ではございません。
  6. 山本幸一

    山本(幸)委員 実は私が聞いたのでは、古今を比較せられて、あなたは特に腕を上げてその点を強調せられたと思います。  そこでもう一つお尋ねしたいのは……。
  7. 坂田英一

    坂田委員長 山本幸一君に申し上げますが、議事進行に関する発言だけにして……。
  8. 山本幸一

    山本(幸)委員 これは議事進行に関する問題なんです。この点がはつきりしないと、議事進行ができないのです。  もう一つ、お尋ねしたいのですが、あなたは―――――――――――――         ――――― こういう御意向はつきり言われたわけです。そこで芳賀委員の強調した点は、ハイアライ法的なセンスをもつて農政をやられたのでは、日本の農民はたまらない、こういう角度から主張をいたしたわけです。この点は言うまでもなく日本において国際賭博を導入して、そして一部の業者の運動に乗ぜられて、これを大臣大臣にならぬ前に、しかも強力な支持者としてこれを推されておられる。こういう考え方で、はたしてまじめに日本農村建設、あるいは働く者の建設が可能であるかどうかということを私どもは疑う重要な点なんです。そこで芳賀委員は特にその点に重点を置いて、ハイアライ法的なセンス農政をやられたのでは困る。だから、従つて大臣は今どういう心境でこの農政をおやりになろうと思われるのかという点を強調したと思うのです。ところが大臣答弁は、その点をぼかしてしまつて、単なるハイアライ法案説明をされただけです。われわれはハイアライ法案説明を受けようとは考えておりません。そんなことをあなたから聞く必要はない。問題は、そういう考え方農政をおやりになるかどうかという点が、質問の重要な点だと思います。従つてこの際私は、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  9. 田子一民

    田子国務大臣 国務大臣としても、また議員としましても、ハイアライ法案そのもの反対する態度を表明いたします。
  10. 井上良二

    井上委員 大臣はただいま昨日の発言を、速記録を見た上で穏やかならぬ発言をしたから取消す、こういうことで、率直にお取消しになりましたが、速記録を見なかつたならば、自分発言がわからぬというようなことで一体どうするのか。  それからいま一つ、昨日私の質問に対して、ただ言葉の末で、何か間違つている点があれば、それはいつでも私の精神通り訂正いたします、こういう御答弁を昨日承つております。つまり大臣は、――――――――――――――         ――――― こういうことを発言したことを、何か言葉の端と、こういうふうにお考えになつている、その考え方憲法みずからを無視する考え方ではありませんか。そうお考えになりませんか。
  11. 田子一民

    田子国務大臣 ただいまその点につきましては取消しをいたしました。
  12. 井上良二

    井上委員 取消しをしたで事がお済みになるとお考えになりますか。どろぼうをして、悪かつたからというて物を返したら、それで罪になりませんか。この点を伺いたい。
  13. 坂田英一

    坂田委員長 井上良二君に申し上げますが、大臣はそこまでいろいろお取消しになつておるわけなのですが……。
  14. 井上良二

    井上委員 本発言国会運営の上に、また本委員会議事進行の上にきわめて重大な発言であります。われわれは田子農林大臣がいかなる考え方を持つて国政を処理し、農政を処理するかという基本的問題が、憲法に基いてやらなければならぬことになつておる。その憲法を、疑義を生じ、否定するがごとき言動を吐かれておる以上は、明確にその所信を伺わなければ、議事を進めるわけに行きません。従つて単に自分が述べたことに対して責任を感ぜずに―もしあなたがほんとうにお取消しになるならば昨日取消すべきだ。それを、自分の述べた言葉を、速記録を見なければどういうことを言うておつたかわからぬというようなことでは、国務大臣としての責任が果されますか。そんなにわれわれ委員を侮辱しますか。少くとも自分言つた言動には責任を持たなければならぬのです。責任を持たぬで、あとで自分が必要以上のことを言うて、その責任を追究され、これが政治問題化するや、これを取消した、取消したらもう何ら自分責任がない、自分心境に対しても何ら答える必要がない、そういう考え方でうまく国政が処理されると思いますか、うまくあなたのやろうとする農政国会が協力できますか、この点に対し伺いたい。
  15. 田子一民

    田子国務大臣 先ほど申し上げたように、憲法を遵守する精神では人後に落ちないつもりでおります。
  16. 井上良二

    井上委員 これ以上私は質問をいたしませんが、憲法を遵守する精神人後に落ちないという者が、――――――――――――――――――などというような言葉がどこから出て来ますか。自分ハイアライ法を正当化しようとして―したことを正当化しようとして、われわれ民主的な国家建設土台である憲法を守つて行かなければならぬ立場にある者が、しかもそれを土台にして国政を行わなければならぬ者が、――――――――――――――――――――――というようなことを言うようなことが常識で考えられますか。あなたがほんとう憲法を遵守することは人後に落ちないというほどの自信を持つておるなら、この條章をひつぱり出して自分の―――――――――する意見を正当化しようという考え方間違つておるじやありませんか、そう思いませんか。
  17. 田子一民

    田子国務大臣 井上さんのおつしやる通り、今のハイアライ法議員としても反対、閣僚としても反対の意思を明確に申し上げます。
  18. 井上良二

    井上委員 私はこれ以上追究しようとは思いませんが、かつて国会議長まで勤められ、相当政治経歴をお持ちになつているあなたが、議員立法として提案をしました法案に対して、自分提案者になつているじやないか。提案考になつているものが、今日になつて、あの法案間違つてつた。――大臣になつてから、自分提案者になることは大臣として困ると言うのなら話はわかります。議員としてあなたは提案者になつている。それなのに今のお言葉では、全然ハイアライ法案には反対で、自分は撤回したようなことを言うておる。問題になつて来たからあなたはそういうことをする。これははなはだ私ども議員を侮辱した、また議員として自信のない言葉じやないかと私は考える。これ以上私はあなたに質問しません。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 私は農林大臣取消し行つたということを追究するわけではありませんが、農林大臣は昨日私に、あなた様は憲法第八十九條をお読みなつたと思いますがと言われましたが、この憲法八十九條というものは非常に大きな意味を持つているわけです。これは日本の新しい民主化一つバツク・ボーンとも言えることをここに表示してあるわけであります。「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体使用便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善教育若しくは博愛事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」これはかつてわが国宗教国家権力が結託して、いわゆる国家神道というような表現のもとに、宗教を通じて権力支配行つたことを全面的にこの憲法では否定して、ほんとうにこういう宗教の中からも権力と結託しない民主化が発展でき得るという要素をここでうたつておるわけであります。これをあなたは――――――――――――――――――――
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 私は農林大臣取消し行つたということを追究するわけではありませんが、農林大臣は昨日私に、あなた様は憲法第八十九條をお読みなつたと思いますがと言われましたが、この憲法八十九條というものは非常に大きな意味を持つているわけです。これは日本の新しい民主化一つバツク・ボーンとも言えることをここに表示してあるわけであります。「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体使用便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善教育若しくは博愛事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」これはかつてわが国宗教国家権力が結託して、いわゆる国家神道というような表現のもとに、宗教を通じて権力支配行つたことを全面的にこの憲法では否定して、ほんとうにこういう宗教の中からも権力と結託しない民主化が発展でき得るという要素をここでうたつておるわけであります。これをあなたは―――――――て、本日また取消しなつたわけでありますが、取消したこと自身が悪いのではなくて、あなたの観念の中に、先ほど山本委員も言われたように、何か復古的な、三十年の代議士生活をおれは行つたのだという回顧的な誇り、そういうものと、かつて明治憲法と通ずる要素というものが、多分にあなたの中から払拭されておらないという証左であるということが、指摘できるわけである。  もう一点は、あなたはよほど研究されて、この点は否定しなければならぬという観察が常に脳裡に満ち満ちておつたのを、たまたまきのう発言されたと思うのであります。これをかりに一歩譲つて善意に解釈したとしても、この憲法を引用して、あのばくち法案であるところのハイアライ法を通す場合の提案趣旨弁明にあなたが国会において行つたとすれば、きのうの発言以上に重大なるものを発見しなければならぬというふうに考えておるのでありますけれども、この憲法のうたつておるところの精神條章に対して、あなたは現在どのような心境でおられるかということを、お聞きしたいのであります。  もう一つ、本日あなたは、議員としても大臣としてもハイアライ法案に対しては反対であるということを言われましたけれども――――――――――――――――――――――でありましたと言つておるわけであります。そうすると、わずかな時間的な経過しかない今日において、それが――――――――でなくなつたということは、どこから出発したかということもあわせてお伺いしなければならぬし、この発言の全体をながめて、一部分だけを取消したことによつて、あなたの憲法否定に対する精神はまつたく抹殺されておるということは言い得ないのであつて、むしろこれは全文に対して率直に取消すというお考えがあるかどうかも、あわせてお尋ねしたいわけであります。
  21. 田子一民

    田子国務大臣 憲法否定とおつしやいましたが、そういう意味合いは全然ございません。それから代議士として云々というのは、提案当時の心境を申し述べたのでございます。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう、その場だけを糊塗すれば済むという、これは昔の大臣あたり手練手管であつて、その場だけのがれれば、それがいかにも優秀な大臣としての稼業が成り立つというような誇りを持つているということを、あなたは忘れておらぬのであります。現在の国会は、国民の選良として、代表者として、真剣に自分の信念を通じ、大衆の意欲を通じて、自分言辞に対してはあくまで責任を持つという態度でなければ、あなたは今後におきまするこの当面した日本農政の最高の担当者として、今日言い、明日すぐ取消すような態度で、どうしてその任にたえるかということをお聞きしたいわけであります。もちろん、あなたは夢にも思わなかつた大臣いすが与えられたので、現在まだ勉強もされておらぬということを言われましたし、その点は私どもは個人的には幾分了承できますけれども、しかし一国の農林大臣としてそのいすにすわつた場合における責任というものは、おのずから異なつて来るということをお考え願いたいのであります。そういう点についてもう少し信念的な、まじめな態度による御弁明を願いたいと思うのであります。
  23. 坂田英一

    坂田委員長 芳賀君に申し上げますが、大臣は取消されているのでありますし、二時から参議院の委員会出席を要求されております。(発言する者あり)取消されたのでありますから、同じようなことを何べん御質問になつても、お答えは同じことと思いますが、一応今の点についてお答えをいたして、その上で、二時までに呼ばれておりますから、御了承願いたいと思います。     〔「だめだ」と呼び、その他発言する者多し〕
  24. 田子一民

    田子国務大臣 ただいまの芳賀さんの御注意は、大いに敬意を表して努力したいと思います。     〔「大臣、だめだよ」「不信任だ」と呼び、その他発言する者多し]
  25. 坂田英一

    坂田委員長 次に……。     〔「議事進行」と呼びその他発言する者多し〕
  26. 坂田英一

    坂田委員長 静粛に願います。―静粛に願います。
  27. 井上良二

    井上委員 私どもは何も政府に対して反対せんがための反対、あるいは糾弾せんがための糾弾でありません。われわれ国会議員憲法によつて保障され、構成され、運営されているのであります。その憲法を否定した言辞を弄したことに関して大臣の率直なる所信を伺つている。委員長取消したからと言われるが、取消したらそれでよいということなら、どんなことを言うてもみな取消したらそれで済むかという問題になる。だからそういう点は大臣として率直に、自分はそういう考えでなかつたなら、ない、こうだ、ああだということを、親切に議員に対して答えるべきであります。われわれはそういう重大な、憲法を否定する発言をしておいて、議員に十分な答弁もせずに退場するがごとき大臣のもとで、この審議を進めて行くわけには参りません。従つて本日の委員会暫時休憩動議を提出します。そうして委員長はただちに農林大臣と交渉されて、本委員会出席するかしないか、出席しなければわれわれは農林大臣不信任案委員会として提出します。それより方法はない。農林大臣不信任案提案します。私はまず最初に休憩動議を出して、その時間的余裕をあなたに与えますから、一ぺん交渉して来なさい。それでなおかつ出ないと言うならば、不信任案を出します。
  28. 坂田英一

    坂田委員長 暫時休憩。     午後二時十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十八分開議
  29. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
  30. 中村寅太

    中村(寅)委員 きのうの委員会における農林大臣発言を聞いておりますと、きわめて重大な発言であつたということは、芳賀委員その他同僚委員から指摘されまして、大臣が取消されましたのによつてもわかると思うのでありますが、その取消された過程において、きのうは、―――――――――――――――――――――――と言つておられたが、先ほどまた委員質問によると、反対であると言つておられます。きのうと、きようとぐるくかわつおるという姿を見るときに、農林大臣としてはたして責任が果せるかどうかという、大臣自信に私は疑念を持つのであります。そういう意味から考えましても、農林大臣に私はもつと冷静に、しかも真剣に農林行政と取組んでもらいたい、こう思うのでありますが、先ほどからの委員との議論の、やりとりを聞いておりますと、ハイアライ法案というものについては、個人としてもやはり今度は反対であるということを明確にお言いになつたようですが、そうすると、きのう行われた答弁は、あれは全面的に取消さるべきものではないか、さように考えるのであります。きのうは芳賀委員質問に対しては、―――――――――――――――――という見解のもとに答弁をなさつたのでありますから、きようそれを取消されたということになれば、きのうの答弁全部が私は意味ないことになるのじやないかと思います。そういう意味でひとつ、取消されるのであるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  31. 田子一民

    田子国務大臣 やつと今速記が全部できまして、これを読んでみますと、私の発言中のハイアライ法案につきましての発言も、これはいろいろ誤解を招く点があるように考えますから、ここに全部取消しをいたしたいと思います。なおこの機会に私は、憲法を遵守しますることはもちろん、農村振興にも努力する、精進を続けたいと思います。
  32. 坂田英一

    坂田委員長 別に農林大臣発言に対し御発言がございませんか。     〔「了解」と呼ぶ者あり〕     ―――――――――――――
  33. 坂田英一

    坂田委員長 次に主要農作物種子法の一部を改正する法律案を議題といたし審査を進めます。本法案に対する質疑並びに御意見がありましたら御発言を願います。
  34. 井上良二

    井上委員 この法案の第七條の「国は、毎年度予算の範囲内で、政令の定めるところにより、都道府県に対し、左に掲げる経費補助することができる。「この場合の補助の対身となります原々種、原種採種圃、そういうものの生産物審査、それから圃場審査等対象になるのでありますが、この審査をやります場合の人的な要素というものは一体どうなつておるか、これは府県が行いますから、まつた圃場対象にした、たとえば一町つくつた場合はこれ、二町つくつた場合はこれだけの補助をやる、こういうぐあいになりますか、それともこの審査に必要な人件費等もごの中に含まつておりますか。その場合それが各県に一体どういう配置になつて渡されますか、それらの点について御説明を願いたい。いただきました資料によりますと、稲、麦、大豆等についての圃場審査費生産物審査費計画指導費、こういうぐあいな抽象的な費目で計上されておるのでありますが、この内容をもつと具体的に説明を願いたい。
  35. 塩見友之助

    塩見政府委員 この審査を行いますのは、都道府県吏員となつておりまして、改良普及に従事しておられました専門技術員及び一般改良普及員というふうなものが実際上は主体になつてつております。人件費等につきましては農業改良助長法におきまして専門技術員及び普及員に対する助成を行つておりますが、この法律によつて重複しての助成はやつておりません。別に人件費補助はやつておりません。改良普及事業の一環として専門技術員ないしは一般普及員に対して行つておる助成に対して、府県の方は審査を行つておる、こういう状態でございます。手当及び旅費等につきましては当法の方から補助をやつております。
  36. 井上良二

    井上委員 そうしますと、圃場の場合の審査は反当別によつて審査をすることで、その反当の圃場育成等に要する経費ということで、その全都または一部を府県を通して補助する、こういうことであろうと思いますが、生産物審査の場合は、これはまつた改良普及員技術員がやるのであつたら、その場合は県の方を通して金を渡すというようなことはないのですか。
  37. 塩見友之助

    塩見政府委員 採種圃等につきまし、ては農家の方にも行つておりまするが、この審査につきましては、改良普及員に対する基本的な人件費補助改良助長法に基きまして行つておりますほか、この法律においては旅費であるとか、その他手当であるとか、そういう部分が府県の方に補助されておるわけでございます。
  38. 井上良二

    井上委員 この原種または原々種の品種の問題でございますが、これを単に府県試験研究機関だけにまかして、国としては別にこの新品種とか、あるいはまた増産が確保される品種というようなものについては、積極的に試験研究をやつておりますか。その場合と府県との関係はどうなりますか。その辺のことをお伺いしたい。  それからなおこれには米、麦、大豆となつておりますが、昨年でしたか、この改正法案が出ましたときに、本委員会としては附帯決議をつけてあります。それは大豆、かんしよ、ばれいしよ、とうもろこし、菜種等主要農作物までやれという附帯決議をつけてあるが、何ゆえに大豆だけに限つて、残余を削つたのでありましようか。
  39. 塩見友之助

    塩見政府委員 お答えいたします。品種改良につきましては、奨励品種決定の場合はもちろんですけれども奨励品種をつくりますことはこれは大体国がやつております。国が各県に対して適当だと思われるようなものを府県の方にまわしまして、それで府県の方で奨励決定のための試験をやつておりまして、それを大体府県でもいいと思われるようなものを奨励するということになつておりますので、元は国がつくつておる、こう考えていただいてよろしいかと存じます。  それからこの前の附帯決議は私もそれをよく拝見いたしました。もつともな附帯決議でございまして、できるだけそういう方向に努力すべきものだと存じておりますが、遺憾ながら二十八年度の予算措置といたしましては、かんしよにつきましては、どうしても大蔵省の認めるところにならなかつたわけでございます。それからばれいしよにつきましては、原種圃は認める。原々種だけは国営で生産いたしております。それからとうもろこしにつきましては、原々種圃と原種圃はございますが、種子審査経費はどうしても認めない。それから菜種につきましては、原種圃はございます。それからほかに積寒地帯の共同育苗圃の補助もございますが、体系的に米麦と同じように扱うというくらいまで予算を残しておらないような状態でございまして、そういうふうな関係から見ますると、二十八年度予算として、自信を持つて体系的に種子圃関係の仕事をやつて行きます上には、大豆だけは入れるという自信を持てるわけでございますけれども、その他のものにつきましては、これで十分だということはもちろん言えない状態でございまして、国会の方の附帯決議に応じて、私の方も極力大蔵省に対して努力いたしたいと思いまするが、遺憾ながら現状はその程度になつておるこういうことでございます。
  40. 井上良二

    井上委員 今申し上げましたような主要農作物の優良品種を普及するために必要とする経費は、およそどのくらいと見積つておりますか、それを伺いたいのであります。
  41. 塩見友之助

    塩見政府委員 それらに要しまする経費は、今持つて来ておりませんので、ちよつと即答をいたしかねるわけでございまするが、後ほどでもその当初要求、あるいは中間の査定のときの状態は、資料をもつて提出したいと思います。
  42. 井上良二

    井上委員 次に伺いますのは、主要農作物の種子法に基いて奨励品種、優良品種等の普及を徹底さして行く、その効果について、たとえばこういう品種がこれだけ普及をして、その結果これだけ増産ができておるという、経済的効果の面について何ら資料がないように思いますが、そういう点について何か資料がありますか。
  43. 塩見友之助

    塩見政府委員 推定いたしました資料はございます。ここでざつとお答え申し上げますると、稲につきましては、栽培面積が全体で約二百九十五万町歩、そのうち約六割を更新の対象考えておりまして、それが百七十七万町歩でございます。それから反当の増収量につきましては、手固く押えまして、大体七升四合と押えまして、全体の増産量を五十四万六千石と押えております。それから麦につきましては、栽培面積百六十万町歩、そのうち種子更新の対象面積といたしましてはやはり六割を押えまして、九十六万町歩。それからこれの反収の増加を大体四升九合、これは麦石で見まして全体の増産量は三十九万二千石、米石に換算いたしますると、三十二万九千石になります。それで米麦合せまして八十七万五千石程度というふうに推定いたしております。これは反収の増加を手固く見ての上のことでございます。
  44. 坂田英一

    坂田委員長 他に御質疑は、ございませんか―御質疑がなければこの際金子君より発言の要求がございますのでこれを許します。
  45. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいま井上委員からの質疑の中にるるありましたように、この法律日本の食糧増産の上にかつても非常に役立つており、また将来もこれを大きく役立たせまして、そうして食糧自給態勢確立の一助にしなければならない、こういう考えを持つておりますが、それにつきましてもかんしよ、ばれいしよのごときは穀物の範囲には入つておらないけれども、今日までかんしよの増産がされたということは、これ大きく品種改良のたまものでありまして、この問題は引続きやらなければならない問題が残されておりますので、この際ただいまの政府答弁によりますと、予算処置が講ぜられないために遺憾ながらその目的が達せられなかつたというようなことでありますが、本法案に賛成するにあたりまして、以上申し上げました趣旨による附帯決議を付したいと存ずるのであります。その案文といたしまして、ここへ配りましたのとちよつと文章が違つておりますのですが、ここに朗読いたします。    主要農作物種子法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、主要農作物種子法の目的を達成するため、速かに次の措置を講じ、本法の整備強化をすべきものと認める。   政府は所要の予算措置を講じて、本法の対象農作物を甘藷、馬鈴薯、玉蜀黍、菜種等主要農作物にまで拡大するとともに、優良種子の普及に関する調査研究を促進せしめ、もつて制度の確立をはかるごと。  以上であります。
  46. 坂田英一

    坂田委員長 お諮りいたします。これよりただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。それでは主要農作物種子法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  48. 坂田英一

    坂田委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  次に、金子君の提案になりました附帯決議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、附帯決議を付することに決しました。  なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六條の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ―――――――――――――
  51. 坂田英一

    坂田委員長 なおこの際お諮りいたします。目下経済安定委員会において審議中の内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について連合審査会を申し入れたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時九分散会