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1953-03-05 第15回国会 衆議院 農林委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月五日(木曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 青木  正君 理事 平川 篤雄君    理事 井上 良二君       秋山 利恭君    大島 秀一君       高見 三郎君    中馬 辰猪君       寺島隆太郎君    原 健三郎君       松野 頼三君    金子與重郎君       高倉 定助君    高瀬  傳君       川俣 清音君    中澤 茂一君       芳賀  貢君    山本 幸一君       中村 英男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 田子 一民君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君  委員外出席者         農林政務次官  篠田 弘作君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    林田悠紀夫君         農林事務官         (畜産局飼料課         長)      花園 一郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 三月二日  委員木村文男君辞任につき、その補欠として佐  藤榮作君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月三日  肥料需給安定法案井上良二君外五十九名提出、  衆法第三九号)  飼料品質改善に関する法律案中馬辰猪君外  二十四名提出衆法第四二号)  農業委員会法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五〇号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五一号) 同月二日  政府でん粉買上げ反対に関する請願辻寛一  君紹介)(第三三二九号)  サイロ並びにたい肥舎設置費国庫補助に関する  請願小山長規紹介)(第三三三〇号)  硫安の国内消費価格引上げ反対に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第三三三一号)  同(大石ヨシエ紹介)(第三三七二号)  国有林野払下げに関する請願永田良吉君外二  名紹介)(第三三三二号)  竹野郡を海岸砂地地帯として指定請願大石  ヨシエ紹介)(第三三三八号)  鹿屋市に特殊農業試験場設置に関する請願(永  田良吉紹介)(第三三七一号) の審査を本委員会付託された。 同月三日  蚕糸業法改悪反対に関する陳情書  (第一六四九号)  昭和二十七年産でん粉政府買上わく引上げの  陳情書外一件(  第一六五〇号)  海岸砂地地帯農業振興対策に関する陳情書  (第一六五二号)  急傾斜地帯農業振興に関する陳情書  (第一六五三号)  急傾斜地帯農業振興臨時措置法指定地域へ編入  に関する陳情書  (第一大五四号)  国有林野整備臨時措置に関する陳情書  (第一六五五号)  民有林道開設に要する昭和二十八年度予算増額  に関する陳情書  (第一六五六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  農業委員会法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五〇号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五一号)  飼料品質改善に関する法律案中馬辰猪君外  二十四名提出衆法第四二号)     ―――――――――――――
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  この際新任の農林大臣及び農林政務次官よりごあいさつをいたしたいとの申出があります。これを許します。田子農林大臣
  3. 田子一民

    田子国務大臣 委員長のお許しを得まして、ごあいさつを申し上げます。  去る三日農林大臣の命を拝しました。かかる重要なる地位を与えられましても、元来何らの素養もなく、はなはだ忸怩たるものがございます。しかし現在の国会法を見ますると、委員会議会運営中心をなしまして立法事務には最も力強く進んでおるように存ぜられます。委員各位にはこの道の練達堪能の方々がお集りになりまして、この御指導、この御意見従つて、わが国の農政、農業問題等の解決に当りますれば、もつて農民、漁民その他この種の人々の要望にこたえ得るものと考えます。何とぞ御支援、御鞭撻、ことに御高教を拝する機会の多いことをお祈りする次第であります。ここにまことを捧げてごいさつをいたします。(拍手
  4. 篠田弘作

    篠田説明員 はからずも農林政務次定を拝命いたしましたが、御承知の通りまつたくのずぶのしろうとであります。皆様方から御指導を受けましてその職責を全うしたいと思つております。ただ日本農業問題に対する熱意だけは、皆様同様非常に盛んなものがあると確信しております。温厚練達なる大臣のもとに、まず一年生として修業を兼ね、皆様方の御指導と御厚情によつて職責を全うしたいと考えております。どうかよろしくお願します。(拍手)     —————————————
  5. 坂田英一

    坂田委員長 それでは、去る三月三日本委員会付託になりました、内閣提出農業委員会法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を議題とし審査を進めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。それではただいまの両案を一括議題といたします。まず両案の趣旨について政府説明を求めます。農林大臣
  7. 田子一民

    田子国務大臣 ただいま本委員会付託となりました農業委員会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  農業委員会法制定せられましてから満二年、市町村農業委員会及び都道府県農業委員会が発足しましてから一年有半を経ておりますが、その間農業委員会は、農地等利用関係の調整、自作農の創設維持農地等交換分合、また農業総合計画の樹立及び実施についての建議、諮問答申等農民代表機関としての職責の完遂に努めて参つたのであります。しかしながら経済情勢の変遷に即応してその使命を達成いたしますためには、おのずからその所掌事務の重点が変化しなければならず、またその事務を完遂するに最も適した構成が考えられなければならないことは申し上げるまでもないことであります。  このような意味におきまして農業委員会制度に関しまして、次のような方針で改正を加えることにいたしたいのであります。すなわち第一に、生産技術指導については、現行農業改良普及制度と相まつて生産技術指導徹底をはかるために、市町村農業委員会の書記の一部を技術員に切りかえまして農業委員会技術に従事せしめると同時に、改良普及員事業協同組合の行う生産技術指導に協力せしめることといたし、これとともに委員会組織などにつきまして多少の改正を加えました。  第二に、農業委員会制度につきましては、それが真に農民農業代表機関として自主的にも活動し得るように、都道府県農業委員会法人としての都府県農業委員会議とし、これと同時に、第三に全国的組織を結成し得る道を開くこととしました。以上の考え方に基きまして本法律案提案いたす次第であります。以下本法律案主要内容について概略説明申し上げます。  第一は、市町村農業委員会についての改正であります。改正の第一点は、その所掌事務についてでありますが、新たに技術員設置されますので、その技術員をして協同組合事業農業改良普及員事業等について協力する点を明確にしたことであります。なお米穀生産者別政府買入れ数量決定について従来、市町村長は、個々の委員意見を聞くこととなつておりました点は、委員会そのもの意見を聞くように改めることといたしました。第二点は、選挙による委員の定数につき、現行の十五人を十人から二十五人までの間で市町村条例で定めることといたしますと同時に、選挙方法を簡素化したことであります。第三点は、選任による委員を必置の委員といたしまして、農業協同組合及び農業共済組合の推薦した理事二人以内、市町村議会の推薦した学識経験者三人以内を市町村長委員として選任しなければならないことといたしたのであります。また委員の任期を現行の二年から三年に改めることといたしたのであります。  第二は、都道府県農業委員会議についての規定追加であります。現在都道府県にはその付属機関として都道府県農業委員会が置かれていますが、農業及び農民一般的利益代表機能を果すには、行政機関とは別個の人格を持たせる必要がありますので、これにかわり法人たる都道府県農業委員会議設立することにいたしたのであります。都道府県農業委員会議は、都市単位代表者会議において農業委員会委員及び農業協同組合理事のうちから互選された者と、農業協同組合中央会農業共済組合連合会及び農業協同組合連合会代表者等をもつて構成するものとし、その業務は、従来都道府県農業委員会が所掌していた事務のほか、米穀市町村別政府買入れ数量決定その他農業及び農民に関し、意見を公表し、行政庁に建議し、その諮問に答申すること、及び農業及び農民に関する啓蒙宣伝調査研究を行うこと等であります。国が毎年度予算範囲内において都道府県農業委員会議に要する経費を負担ないし補助することといたし、なお法人税所得税事業税等各種の税の免除を考え、その健全な発展、公正な活動を期待しておる次第であります。  第三は、全国農業委員会議所に関する規定追加であります。全国農業委員会議所は、都道府県農業委員会議全国農業協同組合中央会全国農業組合連合会その他農業改良発達をはかることを目的とする法人学識経験者等をもつて構成される社団法人でありまして、農業及び農民に関し意見を公表し、行政庁に建議し、その諮問に答申し、また啓蒙宣伝及び調査研究並びにこれらの業務についての都道府県農業委員会議指導連絡を行うことを主たる目的としているのであります。全国農業委員会議所は、設立解散加入脱退の自由な法人でありまして、全国を通じて一個とし、これに対しましては免税措置のほかに、国庫補助をなし得ることといたしまして、全農業、全農民一般的利益代表団体たるにふさわしい公正にして活発な運営を期待しておる次第であります。  以上が本法律案概略でありますが、何とど慎重御審議の上、すみやかに御賛同を得られまするよう切望する次第であります。  次に農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  農業協同組合法制定されましてから今日まで五年有余を経過し、この間、農業協同組合は、諸種の悪条件と闘いながら、農業生産力の増進と農民社会的経済的地位向上をはかり、あわせて国民経済発展に寄与するために努力して参つたのであります。しかしながら、激しい社会的経済的変動とその間に処する主体的条件の不備のため、経営不振の状態に陥つた組合も少くなく、そのままに放置しがたい事態に遭遇いたしましたので、適宜必要な指導を行うことにより、組織整備事業振興及び経営健全化をはかつて参りましたが、特に財務処理基準令制定行政庁による常例検査実施及び農林漁業組合再建整備法制定等によりまして、今日まで相当の成果をあげて参つたのであります。それにもかかわらず、今日の組合組織事業及び経営状況を検討いたしますとき、なお整備強化を必要とする部面は少くないのでありまして、今後一般状勢の推移に即応する発展を期するためには、まず組合指導体制整備いたしますとともに、現行制度に若干の修正を加える必要があるのであります。これが、この法律案提出いたします理由でありますが、以下その主要な内容につきましてその概略を御説明申し上げます。  第一は、組合総合指導組織確立であります。今回新たに、組合総合指導組織として、農業協同組合中央会全国及び都道府県区域設置することにいたしました。現在、組合指導組織といたしましては、全国及び都道府県区域指導農業協同組合連合会等があるのでありますが、その法制上の性格から見ましても、またその組織事業及び財務状況から見ましても、指導機関として十分なものでなく、このため、農業協同組合系統組織全国的な組織活動に必要な統一性機動性を確保し、十分に組合事業振興経営刷新向上をはかり得るような指導教育を行うことが困難な状況にあるのであります。このような弱点を克服し、会員たる組合のみならず広く全組合に対する指導教育全国的規模において統一的かつ効果的に行い、もつて組合の健全な発達をはかるため、農業協同組合中央会設置いたすことにした次第であります。  会員加入及び脱退は、都道府県中央会については自由といたしましたが、統一ある全国的組織確立するため、全国中央会については、都道府県中央会及びその正会員たる農業協同組合及び同連合会は、これに当然に加入させるとともに、全国中央会は、都道府県中央会に対して指導連絡を行い、またそのために必要がある場合には、都道府県中央会に必要な指示等をすることができることとしまして、その全国的統一活動を可能ならしめているのであります。しかして、政府は、このような中央会活動をより活発かつ効果的にするため、全国中央会及び都道府県中央会事業に要する経費の一部を、毎年度予算範囲内において補助することができることとしたのであります。なお、中央会設置に関連いたしまして、指導農業協同組合連合会の処置についてでありますが、現にあるものの存続は認めることとし、今後新しいものの設立は認めないことといたしたのであります。  第二は、組合に関する規定整備したことであります。その一は組合事業に関してでありますが、信用事業を行う組合は、新たに定期積金受入れをも行うことができることとするほか、組合員と同一の世帯に属する者及び営利を目的としない法人の貯金または定期積金受入れについては、員外利用の制限を適用しないこととし、事業分量の拡大をはかろうといたしたのであります。その二は、組合の管理に関してでありますが、そのおもなものは、役員責任明確化であります。従来役員責任に関する規定が不備でありまして、組合運営上における責任体制確立において欠けるところがありましたので、役員組合に対する忠実義務を明文化し、かつ、組合に対する任務を怠つた場合における組合及び第三者に対する連帯損害賠償責任に関する規定を設け、その責任の所在を明確化したのであります。以上のほか、組合運営等に関する諸規定のうち必要なものについて部分的修正を加え、その合理化簡略化をはかつた次第であります。  第三は、行政庁監督権を若干強化したことであります。行政庁監督権は、本来でき得る限り小範囲にとどめることが望ましいのでありますが、組合実情は、いたずらに形式的な自主性のみを尊重することを許さないものがありますので、必要最小限度において監督権整備強化いたしまして組合健全化に資しようとしたのであります。  すなわち、組合または中央会法令等に違反した場合において行政庁が必要な措置をとるべき旨の命令をしたにもかかわらず、これに従わなかつたときは、行政庁は、その組合または中央会業務の停止または役員の改選を命ずることができることといたしますとともに、特に組合につきましては、事業外事業を行つたとき等の特定の場合には、行政庁がその解散を命ずることができることといたしたのであります。  以上がこの法案の主要な内容でありまして、すべて組合現状から真にやむを得ないものでありますので、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御協賛あらんことを切に希望する次第であります。
  8. 坂田英一

    坂田委員長 ただいまの両案については、次会より質疑を行うことにいたします。     —————————————
  9. 坂田英一

    坂田委員長 次に中馬辰猪君外二十四名提出飼料品質改善に関する法律案議題といたし、審査に入ります。  まず本案趣旨について提出者説明を求めます。
  10. 中馬辰猪

    中馬委員 飼料品質改善に関する法律案につきまして、提案理由説明を申し上げます。  旧臘成立を見ました飼料需給安定法により、一応飼料量的確保並びに価格の安定をはかる見通しがついたのでありますが、飼料品質改善向上につきましては、今日までしばしば問題となりつつ、遺憾ながらいまだ何らの措置も講ぜられていないのが現状であります。飼料と同じく重要な農業資材でありまする肥料についてみまするに、明治三十四年十二月施行せられまして以来実に四十二年間の長きにわたり、肥料取締根拠法規としてその品質向上に寄与するとともに、農民施肥技術進歩に資するところがきわめて多かつたのであります。また他の重要な農業資材、たとえば米、麦の種子、その他の種苗農薬等につきましても、昭和二十二年以来それぞれ主要農作物種子法農産種苗法及び農薬取締法として立法措置が講ぜられ、食糧の増産、経営の安定、農業技術進歩向上に裨益しておるのであります。  翻つて畜産振興基礎資材たる飼料を見まするに、戦時中以来の飼料不足状態の下におきまして、不正または不適当な飼料のため、消費者に対して不測の損害を与えることが多かつたのみならず、善良な飼料業者に対しても一方ならず迷惑を与えて来たのであります。今や畜産振興有畜農業経営確立農業政策上の主要課題なつているのでありますが、畜産経営合理性採算性確立いたしますためには、この際畜産経営上最も比重の大きい飼料品質均質化向上をはかりますことが緊急不可欠の要件でありまして飼料量的確保価格の安定のための措置と並行して、その質的対策を樹立いたすべく、ここに本案提出することにいたした次第であります。  次に法案の主要な内容を申し上げます。第一に、飼料特に配合飼料中心といたしまして、その製造業者または輸入業者の希望によりまして、飼料登録を行うことにいたしていることであります。第二に、登録を受けた飼料には、必ず名称、その含んでいる蛋白、脂肪、水分等成分量その他を明記した保証票を、その容器、包装の外部に添付させることにいたしていることであります。これによりまして消費者である農民は、成分保証されました飼料を安んじて購入し、消費ずることができるわけであります。第三に、登録飼料を主といたしまして、異物混入保証成分量等取締るため、政府は必要に応じて抜取り検査を行うことにいたしているのであります。  以上が本法案の主要な骨子でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決を賜わらんことをお願い申し上げる次第であります。
  11. 坂田英一

    坂田委員長 本案に対し、質疑または御意見があれば発言を許します。
  12. 井上良二

    井上委員 政府当局にちよつと伺いたいですが、飼料需給安定法制定されまして以来の、飼料需給状況及び価格の動向について御説明を願います。
  13. 長谷川清

    長谷川政府委員 昨年末飼料需給安定法成立をいたしました以後の飼料需給状況の概要は、概して円滑に進んでおりまして、特に飼料のうちで最も重要でありますふすま等の価格は、飼料需給状況を反映いたしまして、平年に比較いたしまして相当低下しているような実情でありますことを喜んでおる状況であります。
  14. 井上良二

    井上委員 法律は四月から実施されることになりますから、この法律実施された後にどうなるかということは、まだこれからの話でありますけれども、大体の傾向として、飼料価格は安定の方向に進んでおるということが言い得られると思います。  さて本法案に関連して二、三伺いたいのですが、この法案によると、大体配合飼料業者登録を申請して、その登録を申請された飼料保証に値するだけの有効成分を含んでいるということによつて保証票を渡す、その保証票によつて飼料品質需要者に信用してもらう。大体こういう建前のようい思います。そうしますと、飼料製造業者登録を申請しない飼料強制検査はしない、こういうことになりますか。事務的にどういうことになりますか。いずれの飼料でも政府がかつてに他人の倉庫へ出入りして次にありますような抜取り検査等が行われ得るようになりますか。そうではなしに、大体配合飼料等を製造しておる者は一応政府登録をさして、そうして不正飼料を抑制して行くというような方向へ持つて行くのですか。まつたく自主的にみずから届出をしてその検査を受ける、こう二つになろうと思いますが、どつちを一体やろうとしておるのでありますか。
  15. 中馬辰猪

    中馬委員 異物混入飼料に対する検査等につきましては、徹底的にやりたいと思います。それからただいまの御質問のうちで、抜取り検査その他については、異物混入以外のものは登録飼料のみを対象にいたしております。
  16. 井上良二

    井上委員 そうしますと、異物混入しておるかしていないかというようなことは、全国相当の、何百万トンからの飼料が動いております。それをわずかの人で一体そういうことが確実にできるやいなやという問題が起つて来ます。従つて飼料業者を一応政府登録さしておいて一定の品質規格というものを明示しておいて、それに異なつたものをつくつた場合、ここへも明記してありますように、主要成分を含んでおらぬ、かつ異物混入しておるというようなものについて取締つて行くことが正しい行き方じやないか、そうでなしに、単なる抜取り検査といつたところで、検査に当つたものはよろしいけれども、検査からのがれるものはどうするのです。その点はどういうことになりますか。
  17. 長谷川清

    長谷川政府委員 ただいま提案者よりお話がありましたように、飼料品質改善のこの法案趣旨は、主として登録によりまして、その飼料内容をなしておりまする成分保証しようということを中心に考えておるのであります。しかし物によりましては、土砂だとかありるいはその他の異物混入することによりまして、飼料の価値を非常に減殺し、あるいはさらには有害たものもあち得る点を考慮いたしまして、これらのものにつきましても検査を行い得るという建前なつておるのでありますが、成分保証につきましては、主として国家の官吏が抜取り検査をやり、必要に応じましては、その成分分析検査をも考えておるのでありまするが、異物混入検査につきましては、これは主として都道府県をして都道府県条例によりまして具体的にその販売所等において、異物混入の事実の有無を、必要に応じて調査をせしめようというふうに考えておる次第であります。具体的に異物検査についての抜取り調査等につきましては、実はこの法律制定になりますれば、政府といたしましても、できるだけこの法案趣旨をあまねく関係業者周知徹底をいたさせまして、できるだけ異物混入等事態の起らないように、あらかじめ行政的措置によつて万全を期したいというふうに考えておりまして、具体的に府県の係官等が現地に参りまして検査をいたしまして、違反の事実のあまり大きくならないようにいたすように努力をいたしたいと考えておる次第であります。
  18. 井上良二

    井上委員 こういうことにはなりませんか。養鶏飼料なら養鶏飼料はこういう成分を含んでおらなければ、養鶏飼料として役に立たないという一つの規格をここにきめまして、その規格に合つていない飼料については飼料として認めない。もしそういうものを売る者があつた場合には、それはまつたくインチキでけしからぬやつですから、そうものは罰して行く、こういうように品質規定をいたしまして、それを有畜農家徹底せしめ、また飼料業者にも徹底せしめて、その規格基本において大体この飼料品質保全に必要な登録検査等を行つて行く、こういうぐあいにした方がいいのではないかと考えますが、これは法的には非常にむずかしいですか。
  19. 長谷川清

    長谷川政府委員 登録飼料品質につきましては、単にその成分保証するだけでなしに、一定の規格を定めて、その規格以上の品質飼料でなければ販売してはいけないというふうにするのがよく徹底していいのではないかというお話でございまして、私たちもその点についてはそういうふうに考えるのでありますが、しかし先ほど提案者の御説明にもありましたように、肥料等につきましては、もう数十年の歴史を持つて肥料取締りをやられておるのでありまするが、飼料につきましては、今度初めてこの問題が取上げられておるような状態でありますので、いきなり公定規格等を設けまして、これ以下の飼料は販売できないというふうにいたすこともどうかというふうに考えられまするし、なお御承知のように、飼料成分と申しますると、結局蛋白とか脂肪とかあるいは水分だとか灰分だとかいうようなものがその成分とされておるのでありまするが、これが何パーセント以上あれば卵が何個生れるということを保証いたしますることが、現在のところ技術的にもなかなか困難があるようであります。この問題はさらに今後の問題といたしまして、慎重に研究をいたしまして、もしそういうことができ得る段階になりますれば、そういう方法につきまして研究を進めたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  20. 井上良二

    井上委員 くどいようですけれども、政府の方で品質保全目的とした法律をつくります場合には、少くともその飼料に対して一定の成分量を基礎とした規格がきまつておらずして、どこを一体基礎にしてこれは優良飼料である、これは悪いやつであるということが言えるのです。それだから肥料検査の方においても、ちやんと配合分の規格がありまして、硫安の場合はこう、過燐酸の場合はこうと、ちやんと規定があるのです。それに合致しないものは不良肥料なつておる。だから、やはりえさの方も、少くとも一定の品質を証明し得る成分量を、それぞれの規格で一応きめておかなければ、一体何を根拠に登録証票を渡すのですか。そうでないと、はなはだおかしいと思うのです。だから、私はそれをまず法的に一応明確にしておかなければ、一定の成分量保証された保証票というものを政府責任を持つて渡すという点がはなはだどうもあいまいになりはせぬかと思いますから、それをお尋ねするのが一つと、それから抜取り検査をやるというのですが、抜取り検査という問題になつて来ますと、検査をした場合、不良飼料であつたとして、その販売を禁止するということをいたします場合において、実際上法的にどうかという問題が起つて参ります。だから、やはり抜取り検査をした結果、一定の成分量を含んでいない飼料に対しては販売を禁止する、製造を禁止するというところへ持つて行かなければ、不良飼料を扱います業者を撲滅さすわけには参りません。だから、単に政府が優良飼料としてその品質保証する保証票を渡して、その証票によつて、安心して有畜農家飼料を買い入れる、こういうことを繰返してやれば、そのうちに悪い者は撲滅されるであろう、こういう簡単なお考えのようでありますけれども、第三に説明しております異物混入保証成分が足らないだけの飼料の抜取り等による場合は、一体どう処置をするのですか。そういう不正なものが、もし発見された場合は、その製造を禁止し、製品の販売を禁止するというところまで行けますか、その方はどうなるのですか。
  21. 長谷川清

    長谷川政府委員 第一点の、保証成分規格の点でございまするが、具体的に例をあげて申し上げますと、たとえば蛋白質のごときものは、大体一七%ないし二三%程度含まれておりますことが、成鶏用の配合飼料としては適当なものであるということは、学者の間で大体意見の一致を見ておるのであります。しからば成鶏用の配合飼料を売るにつきまして、この際蛋白質は必ず一七%以上なければならないと規定いたしますことが、現在の配合飼料状況から見まして、少し時期尚早ではないかという点が考えられますことと、かりに一五%であつたならばなぜ悪いかというような点、その一%、二%の間の境をいかにりくつづけるか、行政的に取締る根拠にするかというような点につきまして、なお学者の間に若干の意見もございますので、この問題は、先ほども申し上げましたように、さらに研究を進めまして、逐次そういう方向に向つて考えを進めたいというふうに思うのでありますが、実際問題といたしますと、こういう登録制度ができますと、業者はなるべく登録をして、国の保証を受けて、これを販売するということになることが期待されるのでありまして、政府の方といたしましても、行政的の指導によりまして、先ほど申し上げましたような成分飼料がなるべくたくさん流通するように、指導いたして参りたいと考えている次第でありますので、御了承を得たいと思います。  それから第二の、抜取り検査の結果についていかなることを考えているかというお話でございますが、まず第一は、この法案の二十一条第四項にございますように、農林大臣は抜取り検査をいたし、その原料の分析検査をいたしました場合には、その概要を新聞その他の方法によつて一般に公表するというような措置をとり、一面にはその飼料品質のいいことを保証して参りたいと考えるのであります。なお、特にその品質検査の結果、その保証票と違つている内容があることが発見されました場合には、その次の第二十二条の規定に基きまして、その飼料の譲渡もしくは引渡しを制限し、もしくは禁止し、またはその登録を取消すというような制限規定を考えている次第であります。
  22. 井上良二

    井上委員 もう一点、政府が優良飼料として登録し、保証票を渡す、そして保証票を渡した飼料に対しては、必要以上に手当を加えて行くということについてはよくわかります。ただどうもわからぬのは、優良飼料をきめるきめ手があなたの方にない。きめ手なしに優良飼料とどうして言い得られるか、ここに問題が一つある。それからもう一つは、政府の方の不良飼料があつた場合の措置がはなはだ寛大でありまして、優良飼料を推奨するとともに、不良飼料に対しては、相当手きびしい制裁を加えて行くということをあわせて考えるべきじやないかと私は思う。従つて異物混入あるいはその他不正飼料を発見しました場合には、その業者に対して警告なり、またその品物は販売を禁止するの処置を法的に明示する、もし違反した者は、罰則を設けてこれを処罰するというように明記しておくことが必要でないかと思います。何分数多い品種で、また家畜もいろいろ種類がございまして、家畜の種類に応じた飼料のそれぞれの有効成分規定づけることは、非常に困難な仕事と思いますが、一応成分保証という項目が規定されております以上は、やはりそれぞれ成分保証に値する具体的な内容政府の方で持つ必要があろうと考えます。なおこの法律によつて一体どれだけの職員が必要になり、またこの法律を実際運用するにあたつて、予算的処置はどうなつておりますか、この点をあわせて伺つておきたいと思います。
  23. 長谷川清

    長谷川政府委員 成分保証をいたします場合のきめ手がはつきりしないじやないかというお話でございますが、その点は先ほども申し上げましたように、一応きめ手と考えられるようなものはあるのであります。ただこれを法律的に何パーセント以上のものでなければいけないというふうに書くことが、現在の段階では少し尚早ではないかと考えておりますので、その点を特に強調してないと思うのであります。ただしかし逆に、第五条の第一項にございますように「異物混入その他品質が著しく劣ることが認められるとき。」このときには登録しないという消極的な要件を掲げておきまして、間接になるべく良質の飼料登録せしむるように、行政指導で、しばらくの間やつて参りたいというふうに考えておる次第でございます。  それから違反に対する罰則の関係でございまするが、まず第一に十三条にございますように、保証成分量と異なる成分量飼料は譲渡の禁止を指定してございまして、この禁止に違反したものにつきましては、二十七条によりまして、三年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金に処せられることになりますし、またお話の異物混入の場合におきましても、二十七条の規定によりまして、三年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金という、相当重い罰則がついております。  最後に、この法案実施に要する職員及び予算的の処置についてでございますが、現在この法律を施行いたしました場合に予想せられます登録飼料数量は、これは概数でしかも見込みでございまするが、大体六十万トンないし七十万トン程度になるのではない、か、件数にして千二百件程度のものになるのではないかと想像いたしております。これらの数字を根擦にいたしまして、大体十八名程度の政府職員がありますれば、一応少くとも年に一、二回以上の抜取り検査を行い得るのではないかと考えております。ただ先ほどもお話のありました異物混入等の検査につきましては、これは都道府県の職員をして行わしめるという建前なつておりますので、それは別といたしまして、直接政府の職員の関係は以上のように考えております。その費用は、年間約二千万円程度必要ではないか、これはもちろん人件費のほかに、事務所費あるいは検査に要しまする薬品代、備品、消耗品費というようなものも合せまして大体二千万円程度必要とするであろうと考えておるのであります。  これの予算的処置でございまするが、この法案は最初の法律でもありますし、相当の準備も要しまする関係上、この実施期日が明年の四月一日ということになつておりますので、二千万円の費用は来年度予算成立をすればいいと思います。ただ準備のために、たとえば事務所をつくりますとか、あるいは検査の器具、器材をあらかじめ準備をするという必要が本年度に生ずるだろうと考えるのであります。それにつきましては、あるいは補正予算の機会とか、場合によりましては予備金等をいただきましてこの法案の施行にさしつかえないように努力いたしたいと考えておる次第であります。
  24. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいま井上委員からも質問があつた中の問題でありますが、飼料の特殊性から見まして、肥料のように金肥というもの全部の規格に対しで保証制度をつくるということが、飼料といたしましては、たとえばふすまとか米ぬかとかいうふうな常識的な配合原料のようなものも含まれておる関係上、全部を登録するということに持つて行けないということは一応わかるのでありますが、そこで問題になつて参りますのは、登録者と未登録飼料の販売なり製造なりする業者、この区別をどうしてもつて行くか、今の説明では、なるべくそう行くように奨励するということでありますが、しかしまた奨励いたしましても、その実をあげるということは一面から言うと相当困難だ、困難だということは、この法律制定しました趣旨が通らないということにありますので、現在政府が管理いたしております飼料を払下げするときに条件を付するということを、私暮れに修正で出しておりますが、一つの方法として、この際はつきりとあの払い下げる条件の中には飼料製造業者において登録されたものだということを確約することをまず考えていただきたい、こういうことをお願いするわけです。その点に対してどうお考えですか。
  25. 中馬辰猪

    中馬委員 まことにごもつともな御要望であると思いますので、そのようにとりはからいたいと思います。
  26. 金子與重郎

    ○金子委員 政府もそれでやりますか。
  27. 長谷川清

    長谷川政府委員 ただいまのお話のようにやりたいと考えております。
  28. 高倉定助

    ○高倉委員 ちよつと関連して……。ただいまいろいろ説明がありました中で、登録者を指定して登録者が製造したところのえさを、配合になります場合、いろいろの飼料がありますが、これを製造所において検査をするということはしないのですか、ただ抜取りだだけで終らすというのか、その点を明確に御説明を願いたいと思います。
  29. 長谷川清

    長谷川政府委員 製造業者につきましても、なるべく検査実施いたしたいと考えまして、二十一条に、製造業者事業場等につきましても検査を行えるというふうになつておる次第でございます。
  30. 高倉定助

    ○高倉委員 そうしますと、製造業者にもまた抜取り検査をやる。その場合にこういうことがたまたまあるのです。製造業者登録成分表を出しても、販売業者がそれに対して、販売するときに改造して成分を低下せしむるという点も出て来るのです。それで今お話のように、十七、八名検査員があればいいというようなお話がありましたが、成分検査するのは、役人の関係なり時日からいつて相当かかると思うのです。そうしますとその間において、製造業者登録した証票通りであつても、販売業者がいろいろの工作をして低下せしめたというようなものが各地にでき、あるいは製造業者登録保証票に違反したところのものを出して、そのものが各地に散布された場合に、これはなかなか再検査をすることが容易でないと思いますが、そういう場合はどういうようなことをされるのですか。
  31. 長谷川清

    長谷川政府委員 お話の通りに輸入業者及び製造業者が、自分のところで製造いたしましたものは保証票通りにつくつておりましても、途中で、特に販売業者等がその包装を解いてあるいは包装をかえて売るというようなことが予想いたされますので、その点につきましては第十八条に、「販売業者は、登録飼料の容器又は包装を開き、又は変更して当該飼料を販売するときは、当該飼料の容器又は包装に附されている保証票の写を、店頭その他見易い場所に呈示しなければならない。」というふうにありまして、今のようなことのないことを期したい、かように考えている次第であります。
  32. 高倉定助

    ○高倉委員 最後に一つ、現在製造業者というものは一体どのくらいの数があるのですか。
  33. 長谷川清

    長谷川政府委員 製造業者は、主として配合工場が中心でありますが、大体の数は二百十九、これが現在のところわかつておる数字であります。
  34. 金子與重郎

    ○金子委員 先ほど申し上げました、この未登録者と登録者について政策的な一つの面から、この法律趣旨を推進して行くという意味におきまして、政府の管理しております飼料の払下げ条件の中に、はつきりこれを入れて行くということはわかつたのでありますが、そういたしますと、もう一歩それを入れまして今度の払下げするときの条件の中には、配合飼料としてどれだけ使うのか、それを単飼料としてどれだけ販売するのかという区別も、一緒に条件の中に入れることが先決だと思うのですが、それに対しての意見はどうですか。
  35. 長谷川清

    長谷川政府委員 御承知のように、飼料需給安定法におきまして、政府が売却いたします場合の建前は、競争入札で売るということになつております。今御指摘のように、一定の条件を付しますような場合におきまして、その中に配合飼料で幾ら、単味で幾ら流すのだというような区別をつけます場合においては、お説のように配合飼料に幾ら、その配合飼料はこういう保証成分のものをつくるようにせよという条件を付すると考えますので、そのようにしたいと考えます。
  36. 金子與重郎

    ○金子委員 次に申し上げる問題は、この法案直接ではありませんが、それに関連した重要な問題でありますから、もう一つ念を押しておきますが、配合飼料がこうして保証成分をつけましても、とかくレッテルにものを言わして販売力を持つという考え方が非常に強くなります。たとえば肥料のごときもそういう傾向を持つております。従つて政府が払下げをしますとき、政府成分単価から推して今の市況として配合飼料の方が非常に割高だという場合には、払下げの条件が今度は付されるのですから、そこで配合用の飼料と単味の飼料との払下げ条件を相当区別して行く、言いかえれば、配合飼料が非常に最近割高だという場合には、配合飼料の配合の量を減らす。現在の段階なら、配合飼料のこの程度の価格は単味飼料に比べて割高でないという場合には、相当ふやしていい。この点、相当重要な問題ですから、この法律直接ではありませんけれども、間接にこれを運用することになりますので、十分考えていただきたいと思います。その点に対して、この場合約束しておいてもらいたいと思まいす。
  37. 長谷川清

    長谷川政府委員 適切な御意見を承つたのでありますが、われわれもできるだけ御趣旨の線でやつて参りたいと考えます。なお御承知のように、飼料需給安定法実施に関しましては、飼料需給安定委員会もありますので、委員会の御意見等をもさらに拝聴いたしまして遺憾のないようにいたしたいと考えます。
  38. 金子與重郎

    ○金子委員 この製造業者輸入業者あるいは配給業者というように、ここに法文にうたつてあります。これは肥料の場合、すべての場合に大きな疑問でありますが、一体協同組合のような購買体制を持つものまで業者ということで今の法律はすべて見解をとつておりますが、これは厳正に言うと非常に疑問があると思います。これは一体業者かどうかということです。そこらが協同組合の特異性というか、これを協同組合の消費体制、いわゆる購買体制の組織まで業者という中に含んで行くというところに、これから派生して来るいろいろな間葉が常にあるのであります。これはひとりこの場合に出たのではなくて、従前から、あらゆる法律がそういう関係を持つているのは非常に矛盾だと思いますが、これは経済局長小倉さんにひとつこういう見解を、ちようどいい機会でありますから、この機会に聞いておきたいと思います。
  39. 小倉武一

    ○小倉政府委員 協同組合配合飼料の問題でございますが、これは御指摘のように協同組合と申しましても、現行法では同じ建前で規制するというように法律ではなつております。ただ農家が持ち寄つて、自主的に配合するのだという形でもつてその辺の取扱い方につきまして緩和する措置を実はとつておるのであります。しかし法律がさようになつておりますので、いたずらに行政措置によつて緩和するということもできませんので、実は内情を申しますと、本国会にその辺の取扱い方につきまして、飼料取締法の改正案を提出したらどうかということを研究いたしたのでございますが、次の機会に譲りまして、近い将来に不便のないように措置をしたい、かように考えております。
  40. 金子與重郎

    ○金子委員 これはたまたまここに法文上出て参りましたし、すべてにこういう関係があるのですが、協同組合の取扱いの購買業務というものを、営業という中に入れて行くところに、私は昔から疑問を持つておつたのでありますが、といつて、協同組合といたしましても、相当数量相当組織によつてわけるのでありますから、この監督その他に対して差別待遇をしろというのではないのであります。そこでしいて言えば、製造業者、販売業者、輸入業者というふうに書かれるときに、別なわくとして法文はうたうべきではないか、こういう見解を持つておりますので、これは参考までに意見として申し上げておきます。  それから次に申し上げることは、これは将来出て来る問題でありますが、ただいまのところは、昨年度の暮におきまして、価格安定の法律によつて、輸入飼料というものを全部国家が管理しておりますから問題ないのでありますが、この国家管理というものが、時代とともにまたどういう形態に移るかもわからない。そこで心配になつて参ります問題は、一面において日本農業保護の建前から保税の問題が出て来るだろう。保税の問題が出て参りますと、結局またかつて大資本家の人たちの独占保税倉庫というものによつて全国飼料が牛耳られるということは、飼料行政の上に非常に恐ろしいことなのであります。でありますから、将来保税のような問題がかりに出ましても、今から政府は、再び元の悩みを繰返さないように、たとえば保税倉庫の許可をする場合には、こういうふうな規格に含つた業者でなければならない、また保税倉庫がかつての独占資本によつて独占された形をとらないように、この法律も一緒にそういうような方向べも使うということに対してお考えになつておりますか。
  41. 長谷川清

    長谷川政府委員 これはまことにごもつともなお話でございますが、ただいまのところ、まだ関税というような問題は起つておりませんが、お話のように、近い将来輸入飼料につきまして関税を課するというような問題が起きて来ることが予想をいたされますし、そうなりますと、いきおい保税工場というものを戦前と同じように設置することになろうかと考えます。その場合の保税工場につきましては、実はこの法案とも関連をいたしまして、大蔵省ともいろいろ話合いを進めておりまして、将来保税工場を設置いたします場合には、この法案趣旨をよくくんで、農林大臣意見に基いて保税工場の指定あるいは取消し等について、大蔵省とも十分連絡をとつてやつていただくように話合いを進めておるような次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  42. 金子與重郎

    ○金子委員 もう一、二点でありますが、この問題は、将来飼料行政、あるいは飼料配給のうちの一番大きく出て参ります悩みであります。今は関税の問題がないけれども、これは必ず近く起つて来る。同時に、今政府が管理していることはいつまで続くか、これも見通しがつかぬとするならば、農林省の畜産局は、保税倉庫のあり方に対して過去のようなことをいたしますと、どんな法律をつくりましても、結局大衆農民が資本家に搾取される。結局養鶏業者も、あるいは酪農家も、その資本攻勢の前には頭を下げて行かざるを得ないというようなみじめな姿になりますので、今がこの問題に対して一つ腹をきめて計画的にかかるいいチャンスでありますので、厳重にこの問題は農林当局に注意しておいてもらい、また再び過去のようなああいう結果が起らないようにしてほしいということを、この際要望いたします。  それから次の問題といたしまして特殊飼料の問題です。特殊飼料と申しますと変でありますが、最近蛋白、脂肪、澱粉、あるいは灰分というような計算に現われない、副成分を主体とした飼料が、あるいは細菌性のもの、あるいはかびのもの、そういうものが出て参りましてこれがややもすると相当誇大な広告をいたしているが、この取締りは保証制度でもつきませんし、今ここのところで法文化することは相当困難とは思いますけれども、これはすでに市販されているものでありますから、法律を補足しなくても、すぐ取締りのできるような見解がとれるかどうか、それをちよつと質問してみたい。
  43. 長谷川清

    長谷川政府委員 保税工場の問題につきましては、お話のようにできるだけ努力をいたしたいと思つております。  それから抗生物質飼料、いわゆる特殊飼料につきましては、現在すぐこの法律を適用するかどうかという点につきましてはまだきめておりませんけれども、いずれ農林大臣指定するものという飼料の中には入り得るというふうに考えておりますので、そういう必要が生じましたならば、これによつてその成分保証もし得るようにいたしたいと考えます。
  44. 金子與重郎

    ○金子委員 それではこの特殊飼料の問題につきましては、この法律の中でやり得るということであるとするならば、この飼料につきましては一般知識が少い上に、またこれに対して最近の流行的な一つのものもありますので、特に農民が惑わないように、特殊飼料に対しては特段に念を入れていただきたいということをこの際考えるわけであります。  最後に、この法律政府の御意見といたしましては一箇年後に実施したいというような要望でありましたので、一応こうなつたのでありますが、しかし準備期間と申しましても、これは政府登録飼料に対して全部を検査して証紙を出してやるというのではありませんし、ただ保証された成分がなかつたときにそれを摘発できるという法律なんでありますから、その準備といたしましても、満一箇年かからないでも何とかなるんじやないかと思いますが、もう半年ばかり繰上げたらどうですか。
  45. 長谷川清

    長谷川政府委員 前段の抗生物質飼料等の適用の問題につきましては、先ほど申しました通り、この法案でやり得るというふうに考えます。特に十二条にございますように、飼料の使用上の注意というようなものも証紙に記載するよう命令し得る規定なつておりますので、特に抗生物質飼料などにつきましては、この十二条の規定が生きて来る場合が多いだろうというふうに考える次第であります。  なお実施時期につきましては、もちろんもつと早くやり得ないこともないと思いますが、何せ今までの飼料というものが、こういう法律がなかつたために相当まちまちでございまして、やはり政府保証いたします以上は、先ほど井上委員からお話もありましたように、なるべく公定規格に近いようなものを保証するというように初めからいたすことが大事ではないかと考えるのでありまして従いまして、製造業者等に対しましてもよくこの法律趣旨を理解せしめ、品質のいいものをつくらせるというような指導を十分にいたしましてから、実施をいたしたいというふうに考えている次第であります。
  46. 金子與重郎

    ○金子委員 これは大体来年の四月からやるということになりますと、今から法律を定めて置くことは、まだ通常国会がもう一つあるのですから、それはりくつが立たぬように思いますし、私の考え方では、かりに現今販売されつつある飼料があるといたしましても、配合飼料が半年以上売るほど配合してあるということもないと思います。それから届出に対して登録というものがそれほど複雑なものでないという点、それからもう一つは、飼料検査施設というものが、よしんばそれまでに完備しなくても、飼料の分析というものは、新しい機関でなければできないのではなくて、今でも飼料の分析をする機関はいくらでもある。それは消費者なりあるいは販売業者なりが、保証成分があるかどうかを見てほしいということであれば、それはいくらでもいわゆる公的なり半公的の性格の機関があるのですから、これは六箇月くらいの猶予期間で十分実施できる、こういうふうに考えております。私は来年の四月からやる法律を今からきめるなんてそういう不見識な話はないと思うのですが、これはあとで提案者あるいは委員の方とも相談してぜひ考え直してもらいたいと思います。  それから、大体私のお聞きするところはその程度でありますが、飼料規格の問題であります。これは私はちよつと見解を違えておりますが、肥料のごときは規格をあまりやかましく言い過ぎるために、かえつて適地適作の規格が出ないといううらみを今持つておるわけなんです。でありますから、あくまでこれはその販売飼料が、その表示した成分に対して的確に保証し得るということだけに注意を置いて、あまり各成分の比率だとか、パーセンテージだとかいうものをやかましく言うことは、そ土はおのずから成分を計算して行けば、割高であるか割高でないかはわかる。またかりに一定の成分をあなた方がつくりましたところで、一つの例として養鶏飼料を見ましても、その飼料は換羽期になれば、蛋白質をふやさなければならぬだろうし、あるいは澱粉をふやさなければならぬということで、常に即応して行かなければならぬということでありますから、その規定成分ということをあまりやかましく言うことは、私は考えておらないのであります。以上質問とお願いを申し上げたのでありますが、これは単に品質だけでなく、価格政策であり、飼料行政全般の一環としての法律でありますので、政府はこの法律ができました後には、十分この運用に万全を期していただきたいということをお願いするものであります。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 二、三疑問の点についてお伺いいたしますが、これは議員提出であるので、政府委員にはあまり強いことを申し上げませんが、畜産局長に御意見をお伺いしたいのは、この法案によると、輸入業者並びに製造業者は届出の義務を持つている。ところが登録に対しては、登録の申請は任意であるというところに、この法案の弱さが出て来るのではないかと思うのです。数からいつても、二百十九名の配合業者しかないのですから、届け出でなかつた者に対しては、これはやはり検査を受けて登録するという義務を負わすことの方がいいのではないかという御意見をひとつ伺いたいと思います。
  48. 長谷川清

    長谷川政府委員 この法案の骨子は、飼料登録をやることによりまして、その成分保証をしようということがねらいであります。これを任意にいたしておりますのは、結局こういう制度ができますれば、善良なる飼料業者は大体登録をするということによつて、自分の飼料品質を改善、向上して参ることが期待されると考えるからであります。ただ全部の業者に届出を命じておりますのは、成分保証だけでなしに、異物混入取締り等の場合、あるいは何らかこれに関連いたしまして、いろいろの報告を関係業者から徴する必要があるというようなことが予想されますので、届出につきましては、すべての飼料業者に届出をしていただく。登録については自主的にまかせる。自主的ではありますけれども、結局結果的には優良な、あるいは妥当な飼料業者は、大体登録をするだろう、こういうように期待しておる次第であります。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御答弁で、大体自主性を持してだんだんやつて行きたいということでありますが、ただ心配になりますことは、こういうことによつて飼料価格がある意味においてつり上つて行くというようなおそれがないか、どうかということに対する御見解を聞きたいと思います。
  50. 長谷川清

    長谷川政府委員 それは芳賀さんに申し上げるのは、釈迦に説法のようなことでございまするが、保証成分の中には、いわゆる先ほど来申し上げます蛋白質等が足らない、不足しておるというようなものもある反面、そんなにたくさん蛋白質ばかりいらないのだというような余分の蛋白を入れておるようなものもあるわけであります。私たちはこの法案ができましたからといつて、品質に相応した値段こそ期待いたしておりますけれども、それより高くなるというようなことは考えておりませんし、おそらくそうならないと考えますが、その辺につきましても、しかるべく行政的にも関心を持ちまして、指導して参りたいというふうに考える次第であります。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお聞きしたいことは、配合飼料に関しましては、肥料や何かと違つて配合する場合にも別に科学的な技術というようなものはいらぬわけです。ただまぜればいいという、原始的な操作で配合飼料はできるわけです。だから登録して分析表を表示しておるといなとにかかわらず、良質であると良質でないというような差別は、製造業者の良心的な仕事のやり方によつてきまつて出て来る答えであるというふうに考えるわけであります。そういう場合に、登録を受けない製品であつても、これが非常に良心的に製造された場合においては、それが優良であるという場合も出て来るわけであります。そういうことのけじめをつける場合においては、登録したものは必ず優良飼料であるというような裏づけをするという点についても、価格のつり上るというような点に対して、一抹の不安があるというふうに私たちには考えられるわけであつて、そういうところに指導して持つて行くという場合には、時間的にもすみやかに、製造した配合飼料に対しては分析表を表示して市販に出すというところに、一日も早く持つて行くのが妥当ではないかと考えるわけであります。  もう一点お伺いしたいことは、登録されない飼料を取引する場合において買手方の方で、それに対する成分の表示が必要であるというような要求が出たという場合においては、そういうことをやらなければならぬというような配慮があるかないか、お聞きしておきたい。
  52. 長谷川清

    長谷川政府委員 登録をしない飼料につきまして、需要者の方から、その成分等について何らかの表示を要求せられるというようなことがありといたしますれば、結局その飼料につきましては、登録をしていただくということになろうかと思います。
  53. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 値上りの問題ですが、私は芳賀君とは逆の立場からお尋ねしたいのですが、用途によつては配合でなくとも単飼で十分価値のあるものもあると思います。こういう制度をとつて行くと、逆に配合の方に手数料だとか証票貼付だとか、いろんな経費がかかつて、その反面単飼の方は売行きが早くてうんと価格が上つて来るという危険性が起きるのじやないですか。あなた方はその道の達人で、よくおわかりだと思いますが……。
  54. 長谷川清

    長谷川政府委員 これはいろいろ見方によつてあるいは違うのかとも思いますが、私たちの考え方から申し上げますと、現在のような配合飼料でありますれば、その内容でありまする成分に比較して割高な飼料が売られておるのではないか。もしこの法律ができますれば、成分に即応した価格ができる。従つて消費者の立場から考えますと、若干製造業者は手数料を納め、あるいは証票を貼付するというような経費はかかりますけれども、実質的には消費者はこれによつて安い配合飼料を手に入れることができるというふうに私たちは考えるものであります。また配合飼料と単飼との価格の関係についてのお話でございますが、これも実はむしろ山本委員の方がその方はお詳しいのでございまして、私が申し上げることはどうかと思いますが、むろん両者の間に価格の関連性があることは間違いないと思いますけれども、しかし要はそれよりもむしろ飼料全体の需給事情がその価格に反映する方が大きいのではないだろうかというふうに考えておるのでありまして、この法律ができるということが直接に原因して、単飼の価格が上るというふうにはちよつと考えられないと思つておる次第であります。
  55. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 関連したことでもう一つ伺いたい。今お説のように、結局輸入飼料を入れて、普通の調整によつて飼料の安全が認められると思うのですが、そこで今度この制度実施して行かれますと、検査が行われるわけですが、検査手数料は一体どれほどおとりになるのか。あるいは保証票は有料か無料か、ないしは検査手数料に含まれるのかどうか。さらにもう一つは各府県に委嘱せられるということになるのですが、そうした場合に、あなたの方でおとりになる検査手数料ないしは保証票の有料保証の場合は、そうした費用をもつて全部これを償えるだけの予定をなすつているかどうか、これだけをお聞きしたい。
  56. 長谷川清

    長谷川政府委員 抜取り検査に要する費用は業者から徴収することは考えておりません。ただ登録をいたします場合に、一件について二千円以内の手数料を納付することになつております。今のところかりに千件と仮定をいたしますれば二百万円ということになります。ところが先ほど井上委員からお話のありましたように、この法律の施行に要する費用は大体二千万円程度を必要とすることになりますので、収入は二百万円で支出は二千万円ということに一応考えておる次第であります。
  57. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 最後ですが、どうも先ほど井上さん、金子さんからもちよつとこの点について疑義があつてお尋ねがあつたのであります。来年四月からこれを実施されるわけでありますが、これはおかしいと思う。私は、予算的措置はないかもしれませんが、あなたのおつしやつたように、登録されるごとによつて飼料は幾分か上つて来ると思います。予備金を使うこともできると思うのでありますが、従つて確信を持たれるなら、なるべく早い時期にこれを実施することを考えたらどうか。その措置についてもお考えになつたらどうか。こういうことを伺つておきます。  もう一点は、結局中央には十七、八名雇われるという御説明でしたが、これは定員法とどういう関係があるか、そういうことについてもお考えなすつておるかどうか。
  58. 長谷川清

    長谷川政府委員 定員法との関係は、これを実施いたしますまでに適当な機会に定員法の改正をお諮りいたしたいと思います。     〔速記中止〕
  59. 坂田英一

    坂田委員長 ただいま青木君より本案に対する修正案が提出されました。これよりその趣旨説明を求めます。
  60. 青木正

    ○青木(正)委員 私は本案につきまして附則第一の施行期日について次のような修正動議を提出するものであります。すなわち本案によりますると、「この法律の施行期日は、昭和二十九年四月一日とする。」とありますのを「二の法律の施行期日は、公布の日から起算して九月をこえない期間内において、政令で定める。」かように修正いたしたいという動議であります。その理由につきましては、原案によりますと、今日から約一年一、二箇月後にこの法律実施することになつておるのでありますが、準備のためにそうした期間も一応考えられるかとも存じますが、あまりにも先の問題になりますので、できるだけ早くこの法律を施行し、そうして法律の効果をあげるようにしなければならぬ。かような考えから、おそくとも今年末までには二の法律を施行するようにせられたい。かような考えでこの修正案を提出した次第であります。何とぞ御賛同をお願いいたします。
  61. 坂田英一

    坂田委員長 青木君の修正案に御意見はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 坂田英一

    坂田委員長 御意見もなければこれより原案及び修正案を一括して討論に付します。—討論がないようでありますから、討論を省略いたしまして、これより採決いたします。  まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の方は起立を願います。     〔総員起立〕
  63. 坂田英一

    坂田委員長 起立総員。よつて修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  64. 坂田英一

    坂田委員長 起立総員。よつて本案修正案の如く修正すべきものと議決いたされました。  なおこの際お諮りいたします。衆議院規則第八十六条の規定による本案に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後零時四十二分散会