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1953-02-25 第15回国会 衆議院 農林委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十五日(水曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 野原 正勝君 理事 平川 篤雄君    理事 足鹿  覺君       秋山 利恭君    大島 秀一君      小笠原八十美君    木村 文男君       高見 三郎君    中馬 辰猪君       寺島隆太郎君    松野 頼三君       金子與重郎君    高倉 定助君       高瀬  傳君    川俣 清音君       中澤 茂一君    山本 幸一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房官房         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 二月二十三日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として和田  博雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として足  鹿覺君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員三木武夫辞任につき、その補欠として平  川篤雄君が議長指名委員に選任された。 同日  平川篤雄君及び足鹿覺君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 二月二十日  農林省林業試験場札幌支場一等級格付に関す  る請願永井勝次郎紹介)(第二二九八号)  鬼怒川中部木外四箇所用水堤修築に関する請  願(船田中君紹介)(第二二九九号)  厚眞原野開発促進に関する請願南條徳男君紹  介)(第二三四六号) 同月二十一日  家畜共済制度変更に関する請願原茂紹介)  (第二四五三号)  わら製米俵使用廃止等に関する請願原茂君紹  介)(第二四六七号)  非農家の農地所有並びに耕作に関する請願(原  茂君紹介)(第二四六八号)  農地買収に伴う代替地に関する請願川俣清音  君紹介)(第二四六九号)  切干甘藷価格維持に関する請願安平鹿一君紹  介)(第二四七〇号) 同月二十四日  国有林野払下げに関する請願永田良吉君外二  名紹介)(第二五五五号)  家畜共済制度変更に関する請願岩本信行君紹  介)(第二六三五号)  海岸砂地地帯農業振興臨時措置法制定に関する  請願足鹿覺紹介)(第二六三六号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十三日  農業生産力増強に関する陳情書  (第一四六〇  号)  農業協同組合固定化資金流動化促進に関する  陳情書  (第一四六一号)  農地転用の許可に関する陳情書  (第一四六二号)  民有林道開設に要する昭和二十八年度予算増額  に関する陳情書  (第一四六三号)  同  (第一四六四号)  同(  第一四六五号)  同(  第一四六六号)  同  (第一四六七号)  治山関係国庫補助予算増額に関する陳情書  (第一四六八号)  昭和二十八年度治山治水事業並びに林道予算増  額の陳情書  (第一四六九号)  愛知川ダム建設反対に関する陳情書  (第一四七三号) 同月二十四日  農村工業副業振興に関する陳情書  (第一五四九号)  民有林道開設に要する昭和二十八年度予算増額  に関する陳情書  (第一五五〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  農政の諸問題及び農林関係予算説明聴取に関  する件     ―――――――――――――
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選任についてお諮りいたします。委員異動伴にいまして、現在理事が二名欠員になつおります。その補欠委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、平川篤雄君、足鹿覺君を理事指名いたします。
  4. 坂田英一

    坂田委員長 前回の委員会におきまして、来年度の農林関係予算につきまして説明を承りましたが、本日はまずこれらの予算に盛られている農政の諸問題についての政府施策の大綱、及びかかる施策の背景をなす農政に関する基本的な考え方等につきまして、農林大臣に対する質疑を行います。質疑はお一人三十分以内において簡潔にお願いいたしたいと存じます。
  5. 高瀬傳

    高瀬委員 議事進行について。実はただいま委員長から、明年度予算の全体についてこの前政府委員から説明があつたから、引続きそれについての討議を行う旨のお話がありましたが、私はこの議事進行方法について一言意見がありますので、この際委員長においてその点について考慮されんことを私は希望します。幸いにいたしまして、本日は廣川農林大臣が、就任以来第二回目の出席をされました。私はこの点は農林委員会権威確立の点からまことにけつこうだと思うのであります。われわれ農林委員も、大臣をむやみとひつぱり出して、長い時間をとつていやがらせをやろうというのではありませんから、廣川農林大臣におかれましても、時間の許す限り、この農林委員会権威確立のために、ぜひともわれわれが希望する場合はご出席を願いたい。  それからもう一つ、幸いに大臣が出ておられますから、目下世間を非常に聳動している春の肥料の問題について、総予算説明あるいは討議あとに延ばしましても、これは農村の非常に重大な関心を有する重大問題でありますので、ぜひともこの際肥料に関する農林委員会所見を申述べ、また農林当局あるいは大臣所見を拝聴して、春の肥料値段あるいは配給が円滑に行くように、この委員会において肥料問題を取上げられんことを提案いたします。
  6. 坂田英一

    坂田委員長 ただいまの高瀬傳君の申出通り委員長もさように心得ておりますので、それらを含めて農政に関する質疑として続行をしたいと存じております。  発言の順序に従いまして高瀬傳君。
  7. 高瀬傳

    高瀬委員 私は、農林の全体の予算の中にある問題と関連はありましようが、肥料の問題について一言所見を質したい。まず大臣所見を質す前に、農林当局一言所見を伺いたいのでありますが、今回の肥料値下りは、大臣の非常な努力によつてある程度まで実現したようであります。しかしながら私は、本年きまりました現在の米価肥料関係について、事務当局所見を一応伺つておきたいと思うのであります。すなわち本年度きめられました米価肥料関係からいたしまして、硫安の例をとつてみれば、硫安値段は幾らくらいがメーカーに関連して妥当であるか、こういう問題についての農務省事務当局の明快な所見を伺つておきたいと考えるわけであります。
  8. 渡部伍良

    渡部政府委員 生産者米価の算定にあたりましては、肥料費が大体農業経営現金支出の三割か四割を占めるというので、非常に重大な問題でありますから、十分検討を加えたのであります。いろいろな計算の仕方がありますが、われわれのところで硫安値段米価の七千五百円の中にどれくらい持てるかというのをやつた場合には、一応十貫目当り九百円見当であれば間に合う、こういう計算になつております。但しこれはいろいろ議論がありまして、生産費のとり方、ボーダー・ラインをどこに引くかによつて問題がありますが、従来の農林省計算からやりますと、硫安一かます当り九百円見当が七千五百円の生産者米価の中には適当であるというように考えております。
  9. 高瀬傳

    高瀬委員 そうしますと、今回の硫安値下げ問題について、農林当局は大体どとくらいの値段が妥当であるという事務的な見解を一応承つておきたい。
  10. 渡部伍良

    渡部政府委員 硫安価格につきましては、米の生産費だけの関係検討するわけに行かないので、経済事情海外事情等もあわせて考えなければなりませんから、われわれとしましては、硫安一俵八百六十円を中にしまして、三十五円上下の間であれば一応やむを得ないのではないかというように考えております。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 議事進行について。委員長にこの際ただして本委員会の運営について御所見を承りたいと思うのでありますが、本日から三日間の本委員会は、昭和二十八年度における農林予算についてきわめて重要な審議をすることになりまして、ただいまの理事会におきましても、それぞれ日程を組みまして、秩序あり、また合理的な各委員発言を行いまして、慎重なる審議をすることの申合せをいたしました。しかるに本日の委員出席を見まするのに、この重大な昭和二十八年度の農林予算審議にあたつて委員出席過半数に満たない現状でありますが、このような状態においてはたしてこの重大な予算案審議が可能でありましようか。私どもはほかの軽微な問題でありますならば、あえてこういう形式的な議論はいたしません。問題の内容がきわめて重要であるだけに、理事会決定に従いまして、今後の円滑なる議事、そして合理的なる審議を進めたいと念願をいたしておるものでありますが、委員長においては過半数に満たない本委員会を続行なさる御意思でありますか、委員長の御所見を承つておきたいと思います。
  12. 坂田英一

    坂田委員長 足鹿君の御発議がありましたので、懇談に移りたいと思います。      ————◇—————     〔午前十一時十六分懇談会に入る〕     〔午前十一時三十分懇談を終る〕      ————◇—————
  13. 坂田英一

    坂田委員長 再開いたします。  足鹿君の発言の趣旨に沿うよう委員長としても特に配意努力することといたし、高瀬傳君の質疑を続行いたしたいと存じます。高瀬傳君。
  14. 高瀬傳

    高瀬委員 先ほど農林事務当局から、硫安値段は八百六十円を根にして、三十五円を上下にまわつているのが妥当のように思うというお話がありました。従つて農林当局としては、今回の春肥硫安に対する値段は、政治的の考慮は別として、事務的に見てこれで妥当なりとお考えになつておるかどうか、この点を……。
  15. 渡部伍良

    渡部政府委員 これは前々からいろいろ国会で御討議の際に、大臣からお話がありましたように、政府の方で正確な生産費をつかんでおりませんので、この程度でやむを得ない、こういうふうに考えております。
  16. 高瀬傳

    高瀬委員 そういたしますると、この程度でやむを得ないということになつておるようでありますが、硫安協会だの何かでは、この肥料値段をめぐつて世間にかなり波紋を投げておるように私は見受けます。しかも全購連に対して配給する肥料値段を、いわゆる上限一ぱい八百九十五円というふうに申し出ておるようでありますが、これに対して事務当局はどういうふうに考えるか。
  17. 渡部伍良

    渡部政府委員 昨日でしたかきようの朝刊でしたか、硫安協会建値として八百九十五円を要求するということが出ておりますが、何と申しましても全購連硫安配給過半数を占めておりますから、大手筋として相当の交渉が今後行われるものと期待しております。
  18. 高瀬傳

    高瀬委員 それでは廣川農林大臣に伺いますが、過般来この肥料値段決定について業者と交渉され、大いに努力された点に対しては、私は衷心から敬意を表します。ただわれわれが非常に遺憾にたえないことは、これらの交渉の結論が、あまりわれわれの期待するような点に達していない点でありますが、廣川農林大臣はどういう根拠でこういうふうな決定をされたか、その点ひとつ伺いたい。
  19. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 実はこの間会合いたしましたときには、一万田日銀総裁——これは肥料審議会会長を引受けてくれて、あの答申案をつくつたところの責任者でありまするから、一万田日銀総裁を加え、そしてまた特に硫安協会会長である藤山君のおいでを願い、小笠原君と私が政府を代表して交渉をいたしたのであります。しかし、先ほども事務の方から申し上げたように、われわれがこの生産コストを見る法的の基礎がないということは、もうたびたびここで私語し上げた通りでありまして、何を基礎に置いてやつたかということについては、基礎的数字はないのであります。ただ海外に非常に安い価格輸出をしておる。そういたしますと、現在の生産過程における原材料その他いろいろなことはわからないが、幾分安くなるのじやないかということは踏めて来るのであります。それに一番大きく影響を及ぼして来ましたのは本農林委員会意思決定であります。その意思決定によつて政府は、とにかく下げろ、但しこの国会内の空気を参酌いたしてみますと、大体五十円から百円くらいのことが言われておつたのであります。また硫安協会等から流れて来る声を聞いてみますと、二十円見当くらいならば話に乗れるというような声が聞えて来ておつたのでそれこれ勘案いたしまして相談いたしました結果、大体高値が八百九十五円、中値が八百六十円、下値が八百二十五円ということにいたしたのであります。この安定帯に基きまして、中値中心として取引することが望ましいのであります。そこでわれわれといたしましては、全購連を含めた全商社がこの中値で買えるようにいたしたいと思うと同時に、農民諸君にも買い急ぎをしないように勧めて参りたいと思つておるのであります。特にこの硫安等は、消費を節約いたしまして——あまり使い過ぎのために害を及ぼすのが近ごろだんだん出て参つて来ておりますので、われわれはこれを防ぎたいということを日ごろ申しておるのでありまして、一戸で一俵節約いたしますと、二十五万トンという数字が出て参るのであります。なるべく消費を節約いたしましてその値を下げるように、そうしてこれを外国に向けて出して行きたいというのがわれわれの今までの考えであります。さらにまた交渉過程におきましても、一月から五月の間において、当初の月は値が高いが、あとは必ず下るということをメーカー側の方で言つておるのであります。それらを勘案して、高値はどうしても八百九十五円程度にしてもらいたいということでありまして、だんだん三月、四月になると値下りになるということを向うでも言つておるのであります。特に豊水期の四月になりますと、生産が増大いたして必ず値が下るので、そういうときを勘案いたしまして、平均して中値で取引されることが望ましいとわれわれは考えているような次第であります。
  20. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいま大臣の御答弁では、三月、四月ごろになるとだんだん値が下るというのでありますが、私が非常に驚いていることは、硫安協会でちやんと値段を発表しておるのです。それによると、関東と東北、東海、これは二月には八百九十円、三、四、五月には八百九十五円、関西では、二月が八百八十五円、三月が八百九十円、四、五月は八百九十五円、九州は二月が八百八十円、三月は八百九十円、四、五の両月は八百九十五円、結局だんだんだんだんとしり上りになつて、いわゆる上限ぎりぎりまで行つている。要するに硫安協会などの考えているのは、政府のやつた肥料値下げは不当であるから、できるだけぎりぎり一ぱい高値で、売ろうという意思表示だろうと思うのです。ただいま大臣の言われたのとほど遠いように思いますが、これらの問題について大臣はいかがお考えでありますか。
  21. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これは商売のこつで、商売のいわゆる建値というものであると思います。特に硫安協会等は、値下りを防止するのにはそういう建値を立てて、将来も安くならないということを農民諸君に教えて行つて高く売りたい、こういう考えであると思うのであります。われわれはそういうことでなく、電力事情、それからまた電力が豊富になり、また石炭値下りになるといたしますると、四月を契機として必ず値が下ると思うのでありまして、六月にはまた大量の輸出の問題が多分問題になると考えておるのでありまして、将来値が上るということは断じてわれわれには考えられないのであります。そういうような観点から、全購連諸君にはここで大勇猛心を振つていただきまして、この交渉にあたつては、全農民の味方でありまするので、なるべく安く契約をし、それと同時に農民諸君買急ぎをしないように特にお願いをしたいと、われわれは思つておる次第であります。
  22. 高瀬傳

    高瀬委員 それでは大臣に伺いますが、仄聞するところによると、藤山愛一郎君は政府当局に対して、これらの交渉の途中に、六月、七月に二十五万トンくらい外国輸出をしたい、こういうことを申し出ておるそうでありますが、これは事実なんでありますか。
  23. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 この安定帯価格決定については、輸出の問題は切り離して別途に考慮するということにいたしております。
  24. 高瀬傳

    高瀬委員 それではこの肥料の一生産コストその他について、たとえば電力の問題、金利の問題、あるいは炭価の問題、いろいろそういう問題がございますが、これらについて政府としては、肥料値段をとにかく八百六十円を中値にして三十五円ずつ上下移動するということにいたしました際に、これらの金利値下り石炭値下り、あるいは電力の豊富なる配給というような点について、何か暗黙の了解を与えたことがございますかどうか、これも伺いたい。
  25. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 通産大臣予算委員会等におきましても、外炭の輸入を確約いたしておるようであります。それからまた電力割合等につきましても、三月一ばいはいかんともいたし方がないが、四月からは割当を変更して期待に沿いたい、金利については大蔵省と折衝してこれも期待に沿うように努力したいということを言明いたしております。
  26. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいま大臣の御答弁がありましたが、金利について硫安協会の代表が大蔵省側交渉した。ところが金利については、一般の市場金利とのバランスを破るといかぬから、全然金利の引下げは行わないということを大蔵省三井委員が言つておるというのですが、金利の点あるいはその他の点について、政府筋意見が全然一致していないように思うのですが、この点ひとつ
  27. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 予算委員会においては、大蔵大臣を含めた政府のおるところで小笠原通産大臣が言明いたしておるのでありまするから、間違いはないと思います。ただ事務の折衝がそこまで進んでいるかいないかはまだわかりません。
  28. 高瀬傳

    高瀬委員 そういたしますと、政府当局としては、この低値を確保して、しかも硫安協会の言つているような八百九十五円見当農民肥料配給して、なおかつ外国肥料輸出することをお許しになる意向なのかどうか、これを一応伺つておきたい。
  29. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 私はそう高値のみに価格がくぎづけされると考えておりません。私は四月以後必ず下ると思います。また電力あるいはまた石炭その他の事情も好転いたしまして、内地の消費を圧迫しないほど大量に生産品が滞貨いたした場合には、別途にこれを考えたいと思います。
  30. 高瀬傳

    高瀬委員 いろいろお聞きしたいことはありますけれども、結局この肥料の問題について、これは大臣と私の見解相違でありますが、もし硫安協会の現在の態度が続くならば、おそらく八百九十五円をたえず持続して、この高値硫安協会が全購連に対して主張している限り、外国輸出するというようなことを事務的に農林当局が許せるかどうか、私は非常に疑問に思うのです。だからこの点を一応伺つたわけでありますが、これは見解相違でありますから、しいて御答弁を求めなくても、事実が証明すると思1いますので、私はこの点はやめますが、春肥配給というような時期を迎えると、毎回こういうふうに値段が問題になつて、しかも政府硫安協会その他に頭を下げて、農林大臣あるいは通産大臣が一々頼むというのでは、将来日本の農村生産増強あるいは振興に非常に問題であろうと私は考えるわけであります。従つてこれはどうしてこういうことになつたかというと、肥料生産なり配給なりを野放しにしておくからこういうことになつたのでありますから、こういうことが続く限り、政府権威はいかなる内閣ができてもだんだん失墜することになる。従つてこの肥料生産配給について何らかの考慮払つて、統制するとか、あるいは肥料需給調整法案を進んで制定するとかいう意思を、農林大臣はお持ちにはならぬか、あるいはなつているか、政府態度を一応伺います。
  31. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 今度の場合は海外市場の刺激によつてこの問題が非常に大きく取上げられて来たのでありますが、しかし毎回こういうふうなことをいたしまして、安定帯価格を設定するにいたしましても、実際の生産コストを調べることができないというようなことは放置すべきものでないと考えまして、われわれといたしましては生産コストを調べ得る程度立法をしたいと考えております。しかしあなたの御指摘のような、全流通面に対しての統制をしようとは考えておりません。
  32. 高瀬傳

    高瀬委員 生産コストの調査なり、あるいはこの算出を合理的にするような立法とおつしやいますけれども、この肥料生産における電力の問題その他の占める地位は大して大きくないということを言つている者があるのです。この点は私も技術的にはわかりませんが、たとえば電力配給を豊富にする、石炭をどうするといつても、影響を受ける会社はあまりないというのです。もしないとすれば、そんなことを理由に春の肥料を八百六十円を中心にして三十五円値下げをしたり上げたりするということは、あまりおもしろくないとわれわれは考えているのです。従つてどうしても生産コストの調査に対する法的措置なんてなまぬるということではなく、私は率直に申し上げて、自由党肥料自由販売という野放しの政策をとつたからだんだん肥料が高くなつたのであるから、こういう問題についてもつと抜本塞源的に考えて、絶えず肥料価格が当時の米価に比例して合理的にきまるように、廣川農林大臣が非常に忙しいところを一一硫安協会会長などを呼んで、三日も四日も交渉しないでもいいような方法がありそうに思う。だからそういう点について、ぜひ深甚なる大臣考慮をいたたぎたいと思つている次第であります。
  33. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 やはり価格の問題は生産量と切り離すことができませんので、自由党がこれをはずして生産意欲をあおつたから、ふえて参つて価格もだんだん下つて来るんだ、私はこう信じておりますがしかしこういうように海外市場によつて変動が来、しかもまた農民自体の負担を軽減する上においても、生産コストくらいはつかんでおかなければならぬとこういうは、私も考えておるのでありまして、そういう立法処置を講ずるように努力しております。
  34. 高瀬傳

    高瀬委員 それでは私の質問はこれで打切ります。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 高瀬委員春肥対策等についての質問に対する農林大臣の御所見を拝聴したのでありますが、私はこの問題に関連して二、三この機会にお尋ねを申し上げておきたいと思います。先ほど来いろいろと高瀬委員から御議論もあり、御質疑もありましたので、重複を避けまして、私はそれらの問題については触れません。しかしながら当然仲値であるべきものとわれわれは解釈しておつた。ところが意外にもメーカーの一方的な昨日の発表によりますと、ほとんど最高価格によつて発表されている。これにつきましては、衆議院の院議をもつて議決したものの権威のためにも、われわれとしてはこのまま引下るわけに参らない気持を持つものであります。今後の問題に対しては、何らかの適切妥当な対策を樹立しなければならぬと考えておるのでありますが、その一つの問題といたしまして、私は先日の当委員会におきましても、出血輸出の問題については、独禁法四条、五条事業者団体法のやはり四条、五条に抵触するという根拠を持つておりますが、しかしながら先日小倉さんにお伺いいたしましたら、その点については、十分なる検討がなされておらないような話でありました。本日あらためて農林大臣にお伺いいたしますが、本日の毎日新聞に掲載されておるところによりますと、横田公正取引委員長は談話を発表されております。すなわち硫安協会が二十四日に春肥建値協定行つておることがもし事実であるならば、当然これは独禁法に抵触するものであるという見解を述べておられます。これは新聞紙でありますから、ただちにこの言葉を全部横田公正取引委員長の言として信ずることは、どうかと思いますが、いやしくも日本の大新聞であります新聞紙において、大々的にその談話が発表されておるということから、われわれはこれを無視することはできないと思います。農林省としては、過去の出血輸出の際に、独禁法の四条、五条に対する抵触の問題について検討されたかどうか。また二十四日にメーカーが一方的に発表をいたしました建値協定の問題について、その内容を調査し、あるいはいろいろとこれについての農林省側の見解をおまとめになつた事実はありますかどうか、この点を最初に農林大臣にお伺い申し上げたいのであります。
  36. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 春肥について、安定帯最高価格建値硫安協会の方でことさらに出しておるということについては、私どもも非常に不快な感じを持つてこれを見ております。しかし毎日新聞に横田氏が公正取引委員長の名をもつて出したということは、実はまだ新聞を見ておりませんので、これは承知しておりませんが、もしもそういうようなことがあるとしますれば、これはわれわれの方で公正取引委員会事務的にしつかり折衝いたしまして、もし独禁法に触れるようなことがあるといたしますれば、硫安協会に対して重大な勧告をいたしたいと思います。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 横田委員長は次のごとく述べております。「輸出の際は海外市場の確保という意味もあつて、公正取引委員会としても割合寛大に解釈したが、国内価格についても協定の事実があつたとすれば、農家に及ぼす影響も大きいので、当然問題となるので取上げざるを得ないと思う。またこれは改正独禁法で適用除外となる不況や合理化のカクテルにも当てはまらない。」と、はつきりこういう見解を述べております。すなわち合理化カクテルにも合わない、不況対策としても、今度独禁法がかりに緩和されてもそれとは性格の違うものであるという見解を述べております。すなわちこういう点に、われわれは先般の出血輸出農民にその犠牲を転嫁した一つのカルテルの行為であり、従つて私的独占禁止法に抵触する、こういう見解を持つたのでありますが、さらに二十四日の国内価格に協定価格をやつたということは、先刻事務当局から御発表になりましたように、これは明らかである。二月、三月、四月、五月における九州、関西、関東・東北・東海の三ブロツクにわけてその建値を発表しておることは、これは事実価格協定をやつたことに間違いないのであります。従つて大臣は重大な対策を講じたいという御意思でありましたが、その御決意の内容はどういうことになるか存じませんけれども、少くともこういう問題については、もつともつと農林省は強くやつてもらわなければならぬと思うので、すみやかにこの独禁法抵触の問題については、よく御調査をなされまして、速急にとるべき措置を講じていただきたいと存じます。  それと同時に、坂田委員長に私は建言をいたして、他の委員諸子の御同意をいただきまして、明日あるいは明後日のこの委員会横田公正取引委員長の御出席を求めまして、公正取委員長としてのこの問題に対する意見を聴取いたしたいと考えます。委員長においてさようおとりはからいをいただきますとともに、他の同僚委員の皆様方の御賛成をいただきたいと思いますが、委員長いかがなものでありましようか、御所見を承りたい。
  38. 坂田英一

    坂田委員長 今足鹿君の委員長に申された件については、皆さんによく御相談を申し上げて、でき得る限り御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは委員長も御了承いただきましたので、横田公正取引委員長の本委員会への御出席方について具体的な処置をお願い申し上げる次第であります。  なお農林大臣にお伺い申し上げたいのでありますが、伝え聞くところに上りますと、一週間を出でない三月・三日には、インド向けの入札が行われるということを聞いております。その数量も七万五千トンという数量でありまして、軽視のできない数量であるようでありますが、その事実を御調査になつておりますかどうか。また輸出につきまして、農林省には今まで通産省その他から事前の交渉があつたかどうか、その間の経過と、農林大臣の御所見を承つておきたいと思います。
  40. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 先ほどの、輸出の際と国内価格建値協定の問題を区別して、公正取引委員長が新聞に明言しているということでありますので、これは事務的に公正取引委員会と折衝をさして、善処いたしたいと思います。  それから次のインド向けの話は、私たちもうわさは聞いておりますが、正式にはまだ聞いておりません。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 もしインド向けの入札が事実といたします場合については、農林省としては、それに対する態度は、まだ事務当局としても全然情報もキヤツチ正しておらない、従つてそれに対して対策考えておらないということでありますが、これはもう事実のようであります。大臣はあるいは御多忙でありますから、御存じないかもしれませんが、小倉さんあたりはよく御存じではないかと思うのですが、いかがでしよう。
  42. 小倉武一

    小倉政府委員 御推察の通り承知しております。もつとも大臣の御答弁にありましたように、まだ正式に通産省から同意を求められてはおりません。そういう情報がございますということは承知しておりますので、その可能性を内々検討いたしております。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 よく御検討になりまして、現在メーカーの昨日とつ態度というものにつきましては、少くともわれわれ衆議院の院議をもつてきめた問題であります。この問題に対しては、慎重によく各段の情勢を御察知になりまして、農林省として誤らざる、厳然たる態度をおとり願うように、大臣においても特によろしくお願いをいたしたいと思います。  肥料問題で最後に、過日の本会議における同僚議員からの肥料価格引下げに対する緊急質問に際しまして、農林大臣はるる御答弁なつたあげく、農林省としてはコスト調査についての立法措置の問題について若干お触れになつたようであります。もちろん本会議の議場のことでもありますし、そのことについては再質問も行われなかつたのでありますが、当委員会においてもう少し——今までおとりになつ農林大臣の努力というものに対してわれわれは無視しておりません、熱心におやりになつたことは認めますが、結果としてわれわれに非常に不満足な結果となつた。従つて今後における肥料問題の取扱い方というものにつきましては、大臣が言明になつたように、まずその基本であるコストを調査する立法措置、あるいは他の適当な措置というものを講ずるところから出発しなければ、安定帯価格の問題も解決しないし、肥料工業の近代化も、あるいはまた合理化も解決がつきません。従つてこの問題に対して御検討になつて、結論にまだ達しておらなければ承ることもできませんが、大体の構想というようなことについて、伺えるだけこの際御所信を承つておきたいと思います。
  44. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これはどうしても私はやらなくちやならぬと考えて、事務の方で検討を願つておるのですが、まだ明確に答えるまでには至つておりません。しかしこれはどうしてもやるつもりでおります。かりに電力を割当てるにいたしましても、あるいはまた金利を引下げるにいたしましても、あるいは外炭を輸入するにしても、あるいはフリー・ダラーを割当てるにしても、これはどうしたつて生産コストをつかまなければ、単なる想像の上に立つて国家助成ということになりますので、これはどうしても根本をつかまなければならぬのであります。また農民に対しましても、これだけの生産コストであるから、これ以上はあまり買い進まないようにということも、やはりそこから出発するのでありまして、どうしても私はこれをやりたいと考えております。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 二十八年度の予算につきましては、われわれの党としては、山本委員が適当な機会に大臣に御所信を質問されることと思いますので、私は先日予算委員会において、時間の関係上、どうしても触れることのできなかつた若干の問題がありますので、この機会に、予算に関連もありますので、大臣の御所信を承つておきたいと思います。食管特別会計における問題でありますが、政府は米の消費価格に十キロ六百八十円とする単価をもつて予算の編成に当つておられるようであります。しかしながら、輸入の状況その他を見ますと、この食管特別会計における欠損額の問題等について、今後いろいろ問題が起つて来る意うのであります。かりに生産価格が若干上るというような場合、その他いろいろな場合におきましても、この政府予算の建前になつておる消費米価十キロ六百八十円という現行建値は、堅持して行かれる御所信でありますか。一升当り約十円の引上げが今年の一月から実施されました。いろいろ理由づけでおいでになりますが、そういう事態は非常に重大な問題であろうと思います。そういう点について、この際御所信を承つておきたいと存じます。
  46. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 食管特別会計で会後の輸入米等についての欠損その他については、私も必配いたしておるのであります。ただこの消費米価決定する場合に、これにかけて行くかどうかというような御質問のようでありますが、消費米価は、直接消費大衆に及ぼす影響が大きいのでありまして、これをただちにこれにかけて行くというようなことは、これは考えなければならぬと思いますが、食管特別会計の長い年度において、欠損等はこれをあるいは補つて行くような方法もあるのでありまして、ただちにここに転嫁するというような考えは、私はとらない方がいいのではないかと思つております。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 くどく申し上げて他の委員質問の時間を侵してもなりませんから、次に移りますが、先日私は予算委員会において、農産物の価格安定対策について農林大臣に御所見を承りました。しかしそのときも時間の関係で十分触れられなかつたのでありますが、今政府は農産物等価格安定法というものを構想されておるようでありますが、先日予算委員会においては、農産物に限定するという御趣旨でありました。由来、政府の農産物価格対策というものを見ますると、流通状態というものにのみ重点を置き、あるいは滞貨金融の一つの方式を辛うじてとつておいでになることが、精一ぱいである。それでは私はいけないと思う。農産物の価格安定の根本は、いわゆる安定に必要な諸条件を整備して行くという方向に行かないと、この問題は解決しないと思うのであります。そのためにはたとえば食蚕の問題においては、乾繭施設の問題、あるいは米麦その他菜種等の雑穀の問題については、農業倉庫の整備強化の問題、いろいろその安定のための基礎条件を整備して行かなければならないと存ずるのでありますが、その点についての大臣の御所信と、安定法を通じて、どういうふうにこの問題を解決されようとされますか、その点が一点、それからもしこの安定の対象を農産物に限定いたしました場合に、戦後非常に発展を示しました農村工業が、他の大商社等の設備が近代化したもの、豊富な資金を持つものの圧迫、あるいは変動常なき市況の変化等によつて農村工業は見る影もなく、最近崩壊しつつあるのでありますが、農産物価格安定の関係において、この線を急速に復興し来つた農村工業に対する保護あるいは育成というものについての大臣の御所見はどうでございますか、その点も第二点にお伺い申し上げます。
  48. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農産物の価格安定のことについては、この前予算委員会お話申し上げました通り「農産物等」という「等」を実は抜いておるのでありますが、これは国会意思ももう少し私は見きわめてから考えたいと思うのであります。  それで後段においてあなたの御質問になりました、いわゆる山工場と海工場の問題でありますが、この農村工業が非常に戦後に発達いたしており、しかも特に澱粉等においては、各協同組合がこれを競つてつたのであります。この生産品をどうするかということが、これも一つの大きな問題であるのでありまして、単に海工場の工場の施設転換等にのみこれはまかしておくべきものじやないと思うのであります。ことに菜種等はこれは裏作としてわれわれとしては非常にこれを勧めて来たが、今後は菜種からだんだん麦に転換して行くような方途を講じておるのでありますが、これは非常なふえ方であります。これを単に海工場の施設転換等にまかしておいてはならぬと考えておるものであります。  それからまた価格安定についてはあなたの御指摘のように倉庫——この繭においてもあるいはまた雑穀においても倉庫が大事なことはよくわかるのであります。しかしこの価格の安定の法律とこれに伴う予算については、この施設の方は一緒には私は考えられないのじやないか、別に方途を講ずるよりほかないと考えております。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 いろいろお伺いしたいことがありますが、あともう一点かあるいは二点お伺いを申し上げて質問を打切りたいと思うのであります。  農林大臣は、先刻の高瀬委員質問に対しまして、今後の肥料の供給力は相当豊富になつて行くという見通のようなお話があつたのでありますが、実情は必ずしもそうではないというわれわれは考えを持つて——すなわちメーカー側の腹としては、今後の国内需給が相当逼迫して行く、こういう見解に立つて今後の値下りを押えるいうので、上弦価格一ぱい一つの特定価格の線を出したのではないか、かようにも推察できるのであります。この今後における今肥料年度、あるいは米肥料年度における肥料の需給が非常に楽になるか逼迫するかという判断は、非常に大きな問題になると思うのであります。先刻私が輸出の問題についてお尋ねを申し上げましたように、もし逼迫するということになりますならば、ただちに三月三日のインド向け入札にしましても、七万五千トン出せばその逼迫に拍車をかけることになる。また逆に見るならば、そういう実情であるとするならば、輸出の余力はないとわれわれは考えざるを得ませんが、その点についての大臣の御所見はいかがでありますか、いま一応お尋ね申し上げたい。
  50. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 肥料工場の生産の見通しですが、これは常識として生産が大きくなるという見通しが大体の見きわめのようであります。その理由は、電力も多く割当てるということを政府が言明いたしております。それからまた石炭等の値下り、また入手が今までのように困難な状態が続かないということ、これが非常に大きなことと思います。大体メーカー側の推定によつても、六月から七月にかけては四十万トン程度余るというような見通しであります。ただこの目先において、春肥の需要の非常に大きいときに、インド等に対して大量のものをやるという場合には、よほどわれわれは見きわめをつけてやらなければならぬということは、あなたの御指摘の通りであります。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に資料をお願い申し上げたいのであります。十九日の委員会において、同僚の山本委員から食糧長官に対して黄変米の質問がなされました。これに対して東畑長官から一応の御答弁がありましたが、非常に重大な問題になつておるこの黄変米の問題につきましては、各新聞紙も一斉に報道し、各界から注目を浴びております。この問題の真相を突きとめて行かなければならぬと考えるものでありますが、そのために必要な資料といたしまして、明日食糧長官がこの委員会に御出席になるまでに、日本政府対ビルマ政府の、あの黄変米を出しました当時の取扱い数量に対する契約書の邦訳全文、日本政府対日本の商社との間にとりかわされた契約の写しの全文、またこれに関連をいたしまして輸入の量、またその時期別、船名、商社別の契約量、欠損金の単価等、その他これに関連して必要なる資料を文書をもつて御提示をお願い申し上げたいのであります。委員長の方においてもさようおとりはからいをいただき、また明日までにぜひいただきたいと思います。私の質問はこれで打切ります。
  52. 坂田英一

    坂田委員長 資料の要求につきましては、できる限りその趣旨に沿うようにいたしたいと思いますが、但し内容等によつて明日までにもしもできないような場合には、口頭で答弁させるとか、いろいろ御趣旨に沿うようなことに努力することだけは申し上げておきます。
  53. 野原正勝

    ○野原委員 大臣が御出席なのでこの機会に一、二点ただしておきたいと思います。  それは農林金融疏通促進に関する農林委員会のこの前の決議でありますが、これに対する政府側の措置につきまして御見解を伺いたいのであります。すでに昨年の十二月二十四日でありましたか、農林協同組合の固定化債権流動化の必要性に関しまして私から特に質問をいたし、また当委員会におきまして全会一致をもつて疏通促進に対する政府の善処方を決議したのであります。それに対しまして政府はいかなるお考えを持つておられますか。大体百三十億円の固定化債権がございまするが、この固定化資産に対する利子の補給あるいは損失、補償等の長期低利の財政資金の注入等が必要なのであります。これに対する政府側のその後の措置、あるいは今後行わんとする御方針につきまして、大臣から明確なる見解を披瀝願いたいのであります。
  54. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 大体百三十億に達する基金のこげつきに対しましては、これは非常に大事な問題でありますので、われわれといたしましては、これを国庫から入れろということを主張して参つたのでありますが、なかなかそうも行きませんので、ただいまは中金の自己資金を融通してもらいまして、これに対して利子を補給し、そしてまた損失を補償するような方途で資金が融通でき得るような案を立てまして、大蔵省と折衝中でございますが、まだ大蔵省事務局と了解がつきませんので、なるべく早く了解をつけてこれをやる意思でございます。
  55. 野原正勝

    ○野原委員 ただいまの大臣の御答弁によりますと、農林省としては、いろいろと検討を加え、対策を立てて、大蔵当局と折衝しておるが、まだ農林省側の期待するような結論には達していないような、心細いお話でありまして、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。ちようど経済局長もおられますので、この機会にその辺の具体的な経過を伺いたいのでありますが、政府の固定化資産に対する利子補給についてのお見通し、あるいはまた損失補償についての具体的な措置等がなし得られるかどうかという点をひとつ……。仄聞するところによると、大蔵省の一部には、農林省考えておる利子、補給程度の案では金融措置として不十分であるから、補給率の引上げあるいは損失補償融資ということなど考えてもいいというような積極的な意見もある、これはあるいは私の誤解かもしれませんが、非常に理解のある話もあるというように聞いております。そんなうまい理解のある考え方を大蔵当局が積極的に持つということはちよつと想像できませんけれども、そういうことが一部にあるということを聞いております。ので、そういうような非常に深い理解があつてくれればよろしいと思いますけれども、はたしてどんなふうになつておりますか、その辺の実情をひとつ伺いたいと思います。
  56. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまの協同組合関係の資金疏通の問題でございますが、私どもの今考えております案は、大臣から御説明がございましたように、利子補給を中心とする考え方であります。もつとも利子補給だけで一体再建ができるかどうかということになりますと、なかなかむずかしい点もございます。しかしながら、協同組合も最近は非常に再建整備の意欲に燃えておりまして、この程度のことでもりつぱにやつてのけるといいことになつて来られた向もだんだんと多くなつております。損失の補償の点でございますが、これはなかなか困難であります。これができればよいのでありますけれども、この点は非常にむずかしいのであります。なおいろいろ具体的に申し上げたい点もございますけれども、今日なお成案を得ない事情を、蛇足でございますが申し上げたいと思います。今の、一部人によつては損失補償がなくてはうまく行かぬではないかという御議論ももちろんあり得るのでありまして、連合会によつてはそういう事態になつておるのではないかといつたようなふうに認められる組合もあります。ただ私どもとして考えなければなりません点は、再建整備が始まりまして実はまだ二年目で、時期的にも成果をつかみ得ない現状であります。それからもう一つは、今後協同組合に一体どういう波が寄せて来るか。たとえば米の供出制度がだんだんと緩和されて来る。あるいはその他の農産物の販売関係がだんだんと困難になつて来る。こういつた事態がやはり協同組合にも大きな影響を与えはしないか。そういつたことも考え合せますと、現時点で押えまして、ここである程度の措置を講じても、なお将来むずかしい事態が起つて来はしないかということが心配されるのであります。従いまして、抜本的に考えるということになると、これは金融の問題、金融制度の問題、あるいは組合制度全体の問題とからんで参ります。しかしそういう抜本的措置をこれから準備するということでは急速には間に合いかねるのであります。そこで当面大体の組合はこれで行けるということでもつて措置をしたい、かような考え方を中心に私どもは考えておるのであります。
  57. 野原正勝

    ○野原委員 いろいろと政府側の苦心しておられる事情もわかりますが、この固定化資産の流動化に対する措置は、実は緊急を要するものであると考えている。いつまでも研究しておるとかあるいは交渉しておるというふうなことではいけないので、この国会にとしても出して成立させる意気込みで進めなければならぬのでありますが、国会もすでに二月の下旬になつて参りましたので、早く出してもらいたい。政府はこの国会にその法律案を提出する確固たる信念を持つて臨んでもらいたい。またその見通しがあるかどうか、この点を大臣から伺いたいのであります。
  58. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これわかねての懸案でございますので、できるだけ早く大蔵省と話をつけて、本国会に出すように努力いたします。
  59. 坂田英一

    坂田委員長 午前の議事はこの程度にいたしまして、午後は一時半より再開することにいたします。なお午後は農林大臣が所用のため出席できないので、大臣に対する質疑は明日続行することにいたし、大臣官房、農林経済局、農業改良局関係予算説明の聴取を行います。  これにて休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた)