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1953-02-20 第15回国会 衆議院 農林委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十日(金曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 青木  正君 理事 野原 正勝君    理事 井上 良二君 理事 足鹿  覺君       秋山 利恭君    大島 秀一君       高見 三郎君    中馬 辰猪君       寺島隆太郎君    金子與重郎君       高倉 定助君    高瀬  傳君       中村 寅太君    川俣 清音君       中澤 茂一君    芳賀  貢君       中村 英男君  出席政府委員         経済審議政務次         官       小川 平二君         経済審議庁審議         官       前谷 重夫君         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君  委員外出席者         農林事務次官  山添 利作君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  肥料に関する件  農林関係予算に関する説明聴取     —————————————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  本日はまず、農林関係予算について説明を聴取することにいたします。昭和二十八年度予算は、目下本院において審議中でありますが、今後農林委員会に付託される予定の諸種の重要法案の審査や、議長の承認を経ておりまする国政に関する調査の参考に資するために、農林関係予算につきまして、政府の御説明を承りたいと存じます。山添次官
  3. 山添利作

    山添説明員 昭和二十八年度の農林関係予算につきまして、その大要を御説明申し上げます。  現在農業生産は漸次回復いたして参つておりますけれども、しかしながら、なお年間三百数十万トンの食糧輸入しなければならない事情にありますことは、御承知の通りでございます。従つて当面の経済施策基本方向としては、食糧国内自給度を急速に高め、これより節約のできる外貨を経済再建に欠くことのできない基礎物資輸入に振り向け、日本経済自立基盤を養うとともに、国民生活安定向上をはかることにあるのでありまして、日本農業及び農民も、この基本的な方向に沿いつつ、わが国経済再建のため、今後ともその責任と負担を負わねばならないと考えるのであります。こういう意味合いから経済自立基盤としての農業生産力を急速に高めて、総合的な自給強化促進農家経済安定向上をはかることをもつて今後の農政の基調とし、主要食糧増産農産物価格の安定、畜産振興養蚕合理化農業団体等強化森林資源維持培養農林漁業資金拡充等を当面の目標とし、施策重点を置いて参る所存であります。  以上申し述べましたごとき基本方針に基きまして、二十八年度の農林省関係予算編成いたしましたが、これを二十七年度予算と比較して申し上げますと、二十七年度は一切の農林省所管として計上した経費千三百五十九億七千九百万円に対し、二十八年度は千二百二十億一千九百万円でありますから、差引き百三十九億六千万円の減少となるのであります。以上のほか農林関係予算といたしましては、従前通り北海道における公共事業費六十三億二百万円が北海道開発庁の経費に計上され、官庁営繕費一億一千三百万円が建設省に計上され、また新たに設立される農林漁業金融公庫への政府出資百億円が大蔵省に計上されておりますので、これらの経費を加えますと、農林関係予算といたしましては、二十八年度は、千三百八十四億三千五百万円となり、二十七年度の千四百七億八千七百万円に比べ、二十三億五千二百万円の減となるのであります。このような減額になりました理由は、後に述べますところの食糧管理特別会計輸入食糧価格調整補給金が二十七年度三百八十億円に対し、二十八年度は、三百二十億円となつて、そこに六十億円減少しており、また二十七年度に計上されておりました政府食糧管理特別会計歳入不足補償金百億円、詳しく申しますと百十四億でございますが、これを計上いたしておりません。そこでこれらのものを差引きますと、実質的な農林関係予算といたしましては、おおむね百二十億円の増加なつておるのであります。  まず一般会計から御説明申し上げます。最初に食糧増産関係経費でございます。この経費中には、第一に農地拡張及び改良、第二に耕種改善経費がございます。まず農地拡張及び改良経費でございますが、これは総額におきまして二百八十三億三千八百万円でありまして、二十七年度に比較して六十一億三千百万円の増加なつております。このうち土地改良事業といたしましては、国営灌漑排水事業五十七億九千三百万円、土地改良事業補助九十二億三千九百万円、これは県営、団体営事業を含み百六十三億二百万円を計上いたしております。開拓事業としては百十四億二千万円でございまして、このうちには開拓建設事業五十一億五千二百万円、干拓事業二十九億四千万円、開拓事業補助三十億八千六百万円を計上いたしております。開拓計画といたしましての新規入植は八千戸を予定いたしております。また農地災害復旧及び耕地関係公共施設災害復旧といたしましては百三十六億八千六百万円を計上いたしておりまして、これは昨年度は百十九億八千五百万円でございましたから、十七億円ばかりの増額に相なつております。  次に食糧増産関係経費の第二といたしましての耕種改善経費でございますが、予算事項といたしましては、主要農作物種子対策費低位生産地改良事業費耕土培養対策費特殊土壌対策費北海道農業振興費西南暖地等水田生産力増強費病害虫発生予察事業費及び植物防疫費として要求いたしております。これらの経費につきまして、ごく簡単に申し上げたいと思います。  第一の主要農作物種子対策費でございますが、この経費は、米麦大豆等の原々種圃原種圃採種圃設置補助緑地作物原種圃採種圃設置補助寒冷地帯健苗育成のための保温折衷苗しろ設置に対する補助災害対策用といたしまして種ばれいしよの予備貯蔵というような目的を持つておるのでございまして、経費は八億四千三百万円、おおむね前年度通りでございます。  次に低位生産地改良事業でございますが、これは耕土培養対策費及び特殊土壌アカホヤ地帯対策に関する調査でございまして、この経費は五千四百万円、これも若干前年より増加をいたしておりますが、事業内容といたしましては、おおむねかわりはございません。  次に耕土培養対策費及び特殊土壌対策費について御説明をいたします。これは酸性土壌秋落水田及びアカホヤ地帯に対して、炭酸カルシユームあるいは含鉄物資等を施すことによりまして、これら低位生産地土壌改良し、食糧増産を期したいというのでございまして、この経費といたしましては、耕土培養対策費として一億八千三百万円、特殊土壌対策費として三千八百万円を計上いたしております。  次は北海道農業振興費でございますが、これは北海道における心土耕混層耕用機械整備のための経費でございまして、一億八百万円でございます。これは従来からいたしております施設でございますが、前年度の六千三百万円に比べますと、ざつと三倍の増加に相なつておる次第であります。  次に西南暖地等水田生産力増強費について御説明をいたします。最近の農業技術の進歩によりまして、暖地における水稲の早植え栽培が可能となりましたので、群馬県から西南暖地におきまして、常習的な風水害をこうむつておりまする地帯三千町歩をまずもつて試験対象といたしまして、特殊早植え栽培を試みますとともに、これと並行して水田二期作三毛作を可能ならしめるために試験を行うことといたしまして、新しい作付体系における栽培法及び品種選抜に関する試験を行う経費でございまして新しく三千七百万円を計上いたしております。これは今後における日本農業生産に相当大きな変更をもたらし得べき希望のある試験でございます。  次に植物防疫関係経費について御説明を申し上げます。この経費は毎年病虫害による農作物被害が莫大なものがございますので、これを防除することによりまして食糧の減産を防止しようとするものでございまして、その一は病虫害発生予察事業経費でございます。これまたずつと前からいたしておりますが、その経費九千二百万円、いま一つは米麦種子消毒米麦病害虫防除のための農薬購入補助病害虫異常発生に備える農薬購入防除組織整備異常災害発生対策費等目的といたしまして十三億八千八百万円を要求いたしております。この経費は前年度におきまして十一億八千九百万円でございましたから、二割の増加でございます。  第二に農業経営改善のための経費について御説明いたします。その第一といたしましては、農業生産高度化をはかるための有畜農業確立のための経費でございます。この経費農家家畜導入させることを目的として資金を融通し、かつこれを低利ならしめるために利子補給をする。それは昭和二十七年度から三箇年計画をもつて実施することにいたしたのでありますが、二十八年度はこれを畜産振興十箇年計画に切りかえ、特に乳牛導入重点を置いて実行いたす予定でございます。二十七年度に引続き有畜農家の増設のための利子補給を行うことといたしまして、二十八年度に導入いたします家畜の分と合せまして利子補給が一億九千四百万円を要求いたしております。  なお有畜営農確立のためには、右の家畜導入資金の確保とあわせて飼料を確保することが最も緊要でありますので、牧野の造成改良には特に力を注ぎまして、二十八年度にはこのための経費として一億一千八百万円を計上する。これは前年度の約倍でございます。さらに飼料優良品種普及をはかるために、飼料の原採種圃を設けることといたしまして、飼料作物種子対策費千八百万円、自給飼料増産費千九百万円を要求いたしておるのであります。  右のほか酪農振興のための新規事業としまして集約酪農地区を設定するに必要な経費八千八百万円を計上いたしております。これは濠州、ニユージーランド及びアメリカ等海外から粗飼料にただるところの飼いやすいジヤージー種乳牛輸入いたしまして、これを酪農協同組合に対して県を通じて国が貸付け、できた子供で返してもらうというのでございまして、これは岩手山麓とか八ケ岳山麓とかいうような地帯対象として実施する方針でございます。二十八年度におきましては、とりあえず六百頭をこの二地区に入れようとするものでありまして、この事業は明年度以降も引続いて実施して行きたいと考えておるのでございます。  農業経営改善のための第二といたしましては、養蚕振興対策があります。繭が農家経済上に重要な地位を占めておりますことは申すまでもございません。従つて繭増産繭生産費の低減をはかることは、農家経営の安定上きわめて緊要なことでございます。これがため優良な桑苗を確保し、老朽桑園改植を奨励いたしますとともに、稚蚕共同飼育所設置を奨励し、さらに蚕桑病害虫防除を行うために養蚕振興対策費として一億七千百万円を計上いたしております。  第三に農業団体の再編成のための経費について御説明をいたします。農業団体のいわゆる再編成につきましては、関係団体の間にいろいろ意見がございましたが、政府も入れまして、政府団体との間に意見が一致をいたしまして、次のような基本的な方針の決定を見たのでございます。すなわち第一といたしまして、農業技術生産指導については現行農業改良普及制度整備強化するとともに、市町村農業委員会の職員として技術員設置することとし、この技術員改良普及員普及事業に協力をしてその効果をあげて行く。第二に農業農民一般的利益代表機能を行わしめるために、現在の農業委員会の配列を整備いたしまして、都道府県農業委員会は新たにこれを法人として、利益代表機能を賦与する。法律におきましては都道府県農業委員会議という名前にかわる予定なつております。中央におきましても全国農業委員会議所という名前で、全国的な組織をも創設することに相なりました。第三番目は農業協同組合事業刷新強化をはかるため、全国及び都道府県農業協同組合総合指導組織として農業協同組合中央会を創設すること、このような根本方針に基きまして、農業委員会経費といたしましては、全国農業委員会経費六百万円、市町村農業委員会技術研修会費千二百万円、これらを含めまして三十億一千万円。それから農業協同組合経費といたしましては、農業協同事業活動促進対策費としての農業協同組合中央会への補助金八千万円を含めまして一億七千二百万円を要求いたし、さらに再建整備に必要な経費として増資奨励金及び固定化資金利子補給金に充てるため六億七千八百万円を要求いたしております。  第四に農業改良普及のための経費について申し述べます。これにつきましてはおおむね前年とかわつたことはございませんが、新しく農業改良助長法改正された等のこともございまして、都道府県農業試験場拡充強化のために農業改良研究員設置及び試験用機械購入補助関係経費を計上いたしております。蚕糸技術改良普及のための経費といたしましては二億九百万円、昨年度は一億七千七百万円でございましたが、それを要求いたしております。  第五に農産物価格調整について御説明いたします。これは予算的に申しますると、食糧管理特別会計に属することでございまするが、便宜ここで申し上げますると、政府は従来からこの方面に思いをいたしておるのでございますが、昭和二十八年度におきましても、北海道てん菜生産振興のために、関係法律成立の経緯にもかんがみまして、これを政府買上げをいたして参ります。また、かんしよ、ばれいしよの価格安定をはかりますために、澱粉等買上げを行うことを予定しておるのでございます。なおこの関係につきましては菜種等にも拡張をいたして行きたいというので、目下研究をいたしておるのでございます。  なお農産物ではございませんけれども、飼料の価格安定について一言申し上げますると、さき飼料需給安定法成立を見ましたので、二十八年度におきましては輸入のふすま、マニトバ五号——小麦でございますが——とうもろこし等政府食糧管理特別会計海外から買い入れまして、これを適時放出することにして、飼料価格の安定をはかる所存でございます。  第六といたしましては、農業災害補償経費につき御説明申し上げます。これは二十八年度におきましては百八億五千八百万円を計上いたしておりますが、二十八年度から内容的にかわりますものは、国庫保険料に対して負担いたします部分増加をいたしたのであります。すなわち今までは全国共通最低部分、たしか鳥取県であつたと思いますが、最低の料率はこれは農家負担、それから上は国と農家が半々ずつ負担する。それからまた特別の超異常というのは全額国庫負担ということでございましたが、二十八年度からは従来もつばら農家負担でございましたいわゆる最低部分につきましても政府がその三分の一を負担する、こういうふうにいたしておるのであります。  第二にかわりましたのは家畜の死亡並びに疾病に関する保険を一本化しよう、そうして家畜に対する保険合理化そうということでありますが、これにつきましては一挙に全面的にいたさないで、試験的にひとつやつてみようということで、これに要する経費といたしまして新規一般会計に一千三百万円、すなわちそういう試みをいたします組合事務費補助、それから農業共済保険特別会計に五千三百万円、これはそれだけ政府が持とうというのでございますが、そういう経費を計上いたしておるわけでございます。  第七番目に、農林漁業金融円滑化のために経費につき御説明をいたします。この目的のもとに従来は農林漁業資金融通特別会計開拓者資金融通特別会計中小漁業融資保証保険特別会計がありまして、それぞれ所期の目的を達成して参つたのでありますが、二十八年度からは目頭に述べましたことく、農林漁業資金融通特別会計を廃して、新たに農林漁業金融公庫に引継ぐことといたして、今後におけるこの金融円滑化をはかることにいたしました。二十八年度中の公庫新規貸出し財源といたしましては、一般会計から百億円の出資資金運用部から百三十億の借入れを行いまして、さらに償還金十億を加えまして、二百四十億を用意いたしておるのであります。開拓者資金融通特別会計におきましては、後にも述べますように、二十七年度同様入植後三年以内の開拓者営農資金及び開拓者役畜導入資金を融通することといたしております。二十八年度におきまする入植予定者は八千戸とし、役畜導入目標を八千頭と計画しております。  なお農地担保金融関係について一言申し上げまするが、自作農創設維持特別会計におきましてその余裕金を運用いたしまして、自作農維持資金等に充てておるのでありますが、二十八年度におきましては同特別会計余裕金八億五千万円を活用いたしまして、この目的を達したいと考えておる次第であります。  次に第八に林産振興のための経費につき御説明いたします。先づ第一に山林事業費であります。戦時中から戦後にかけての濫伐による森林荒廃を復元するため、二十六年に森林法改正を見たのでありますが、これを実効あらしめるため荒廃山地復旧奥地林の開発による局地的過伐の防止、すなわち里山が主として切られるということの防止伐採跡地荒廃防止のため行う植林事業等、前年度に引続き治山事業林道事業及び造林事業等にそれぞれ、治山が五十一億五千五百万円、林道が二十二億六千八百万円、造林が三十三億九千六百万円を計上いたしております。  このほか災害復旧費として八億一千万円を計上しております。  次に民有林森林計画樹立に必要な経費であります。森林法改正の実効を期するための財政投資の面は先に申し上げましたが、公共事業であります治山治水事業と相表裏いたしまして、民有林計画的施業がきわめて肝要であります。そこで二十七年度に引続き民有林森林計画樹立に必要な経費を五億四百万円計上いたしております。二十八年度は末端における活動の十全を期するため、経営指導員活動費を増額しますとともに、新規計画実行費一億二千九百万円を計上して森林組合等活動促進を期しておる次第であります。  以上のほか林業振興のための経費のおもなるものといたしましては、森林病害虫駆除に二億八千百万円、保安林整備に二千九百万円、林業改良普及に九千八百万円、優良種苗普及に三千百万円を計上いたしまして国土の緑化並びに森林荒廃防止を期しておる次第でございます。  最後に特殊地帯対策経費のうちおもなるものについて申し上げます。さき積雪寒冷単作地帯農業振興臨時措置法成立を見まして以来、急傾斜地帯特殊土壌地帯、湿田単作地帯等特殊の事情のある地域における農業振興のための特殊立法の制定を見たのでありますが、これらの立法措置に対応して、二十八年度予算におきましては種種の対策を講じたのであります。  その第一といたしまして、積雪寒冷地帯に対しましては、農業振興計画に取上げられました総合的に事業をやつて行こうという趣旨をくみまして、従来の土地改良事業等のほか、別にいろいろな計画のための仕事を助成して行くという意味におきまして、二百箇町村を選びまして総合的対策の遂行の助成をする、こういう経費を一億四百万円計上いたしました。これは二箇年間にわたりまして一箇町村百万円補助をするのでございます。  特殊土壌地帯につきましては、さき土壌改良の項で申し述べました通りアカホヤ対策経費として調査対策費三百万円、事業費として三千八百万円、計四千百万円を計上をいたしております。  なお災害防止のための茶園を設ける、または桑園を設けるということも考えておる次第でございます。これらの地域に対しましては、土地改良事業を施行いたしますことが主でございますから、これは土地改良費の中の経費をそれぞれ割振つて特殊地帯振興法目的を達成するように努めたいと考えております。  次に特別会計についてごく概要御説明申し上げます。まず食糧管理特別会計につき申し上、げます。二十八年度においては、米については二十七年度に引続き統制を継続する。麦については二十七年度同様配給統制は行わないが、生産者の要望により政府買付を行う。二十七年度に引続き澱粉てん菜糖の買入れを行うほか、新たにふすま、とうもろこし等飼料の買入れ、売渡しを行う。次に食糧の買入れ数量——これは計画であるが、国内産米が二千八百二十五万石、麦が三百七十三万石、外国食糧は三百三十五万四千トンを予定し、国内食糧の買入れは米麦とも買入れ、数量、買入れ金額とも前年同様として予算を計上しております。次に消費者価格は、米については現行通り十キロ当り六百八十円とする。それから早場米奨励金は八十一億千九百万円とする。輸入食糧価格補給金は三百二十億円とする。インベントリー・フアイナンスは行わない。このような方針のもとに歳入歳出とも六千百九十九億六千三百万円を計上いたしております。  第二に農業共済保険特別会計について申し上げます。まず農業勘定でありますが、二十八年度においては、米価の上昇に伴い水稲共済金額を増額したこと。過去の保険事故実績にかんがみ水稲及び麦の保険料率を高めたこと、——高めたというと語弊がありますが、これは安全率を除いておりましたのを今回回復をした。同時に一部国が負担する分を多くしたということは先ほど申し上げた通りであります。それから水稲及び麦の最低通常被害部分につき三分の一の国庫負担を行うことにしたこと、このような方針に基きまして一般会計から保険料国庫負担分として七十五億七千九百万円を受入れることとしておりますが、これは二十七年度に比べまして八億五千六百万円の増となつております。また特別会計共済組合連合会から受入れる再保険料収入として六千九百万円を計上いたしておりますが、これは二十七年度に比べて九億三千二百万円の減となつております。  家畜勘定は二十六億八千百万円でありまして、これは二十七年度の十九億八百万円に比べて七億七千三百万円の増となつておりますが、これは家畜最低共済金額を引上げたこと、及び加入頭数増加見込みによるものでありまして、保険料国庫負担分としては六億一千九百万円を一般会計から家畜勘定に繰入れることといたしております。なお両勘定におきまして、再保険金支払予備財源として、それぞれ農業勘定に二十六億五百万円、家畜勘定に三億一千万円を基金勘定から繰入れ得るよう措置いたしております。  第三に森林火災保険特別会計について申し上、げます。この会計歳入歳出はともに一億四千九百万円でございます。  次に開拓者資金融通特別会計について申し上げますが、この会計歳入歳出は二十億八千六百万円でありまして、二十七年度の十七一億九千百万円に比べまして二億九千五百万円の増加でございます。これは先ほど申し上げましたごとく、入植戸数を八千戸とし、家畜導入いたします分を八千頭と見ておる次第でございまして、家畜導入資金三億六千万円を融資することをいたしております。  次に、国営競馬特別会計でございます。まず投票券勘定歳入歳出は百八億七千万円でございまして、二十七年度の百億七千二百万円に比べまして、開催回数増加等により七億九千八百万円の増加なつております。業務勘定歳入歳出二十九億四千二百万円で、この分は益金として一般会計への繰入れ分十一億九千七百万円が含まれております。  次に、糸価安定特別会計歳入歳出四十九億九千二百万円を計上いたしております。  以上をもちまして説明を終ります。
  4. 坂田英一

    坂田委員長 ただいまの説明に対する質疑は、次会に大臣の御出席を得た上で行いたいと思いますが、この際足鹿君及び井上君並びに金子君より特に発言を求められております。すなわち足鹿君は資料の要求につき、井上君は農業災害基金に関し緊急を要する事項について、金子君は審議方針についての発言であります。これを許します。まず足鹿覺君。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま農林次官から来年度の農林関係予算の概要について御説明を聞いたわけであります。これの審議方針等については、あとでいろいろと他の委員からも御発言があるようでありますから、あえて多くは申し上げませんが、ただいまの御説明を聞きまして感じますことは、従来この委員会におきましては、予算の概要の説明がありますと同時に、農林予算の内容について相当詳細なるものをわれわれ常にもらいまして、検討を加えておつたのでありますが、本年は若干前年度と異なりまして、まだそれらの資料の御配付を受けておりません。それでこの概要を、さらにもう少し具体化したものは一応もらつておりますが、それではほんとうに農林予算の全貌を知悉することができないのでありますので、従来の慣行に従つて、この予算の内容をわれわれが具体的に検討するために、予算書自体各局別の詳細なる予算書の内訳を速急に御配付願えますかどうか、委員長からお確かめいただいてもけつこうでありますし、直接政府から御答弁をいただいてもけつこうでありますが、おとりはからいをいただきたいと思います。
  6. 松浦東介

    ○松浦政府委員 ただいま御要求の予算の各局別の内訳と申しますか、そういう資料はただいま準備いたしておりますので、なるべく早くお手元に配付するようにいたします。
  7. 坂田英一

    坂田委員長 井上良二君。
  8. 井上良二

    ○井上委員 ただいま二十八年度予算の概要について御説明をいただきましたが、その予算案を農林委員会としていろいろ審議いたしますについては、政府当局の方でもそれぞれ準備をしておりましようし、なおまた政府委員の方もそういません今日、全般的な方針について伺うことは困難と思います。そこで本日は、この際政府の方で緊急に解決をしてもらわなければならぬ問題が起つておりますので、この問題について伺つておきたいと思います。従つて一般的な問題は後日に譲ります。今日特に政府に質疑をいたしたいと思いますのは、農業共済組合連合会事業の不足分に伴います農業共済会の基金の対策の問題でございます。御存じの通り昨年農業共済基金が政府機関として成立いたしまして、一応発足をいたしたのでありますが、しかしこの基金を設定いたします場合、従来の連合会の持つております赤字をどうするかという、赤字に対する基本的な対策を全然講ぜずに、応分の処置として約三十億くらいの基金をもつて、一時これで操作して行こうという考え方で基金法が制定されたのであります。ところが当時三十億という資金わくについても、これでは実際上足らぬではないかという意見があり、なおまたその運用についても問題をたくさん残したまま、将来政府農業共済関係の法令の改正とあわせてこの基金対策についても、また連合会が持つております不足金についても、必要な措置がとられることを期待して今日に参つたのであります。ところが確かに昨年政府保険料率の改訂をいたしましたために、昨年のようにあまり災害がない年でさえ各県連合会では、全体で八億からの赤字、いわゆる不足金が出ているわけであります。そうしますと、前年度、すなわち二十六年度からの不足金が二十八億ほどございますので、これにさらに本年のものを加えますと、ここにどうしても三十五、六億という金がないと、実際に基金としての役割を果すことができない現状になつていることは、政府の御存じの通りであります。そこで基金みずから政府出資十五億、各県連の負担が、いろいろ督促をしておりますけれども、まだ一億に足らぬ八千五百万円くらいしか基金には入つておりません。本年にはさらにこれが一億なり、二億なり入ることにはなりましようが、現実においてはさような実情であります。そこで三十五、六億の金が必要であるのに、実際は十五億八千万円しかない。そうなりますと、ここに約二十一億ほどの金を緊急にあつせんいたしませんと、せつかくつくつた基金の制度というものがまつたく用をなさぬことになつてしまいます。この点について、政府は一体今日までどういう手を打たれたか。もう行き詰まつてもしかたがないとするのか、それとも何か特別な資金的、金融的措置を講じて、この際所要な資金を緊急にまわすような手当をしておるか。これは急を要する問題であり、せつかく国会の承認を得てでき上りましたこの基金法が用をなさないという実情になるのでございますから、この点に対して、政府としてどう処置をしようとするか、お伺いしたいと思います。
  9. 小倉武一

    ○小倉政府委員 連合会の保険金の不足分につきましての、数字を御指摘の上の御質問でございまするが、数字の点につきましては、概算でございまするけれども、われわれも大体さように考えております。そこで、約三十六億になりまする不足金についての融資の問題が当然起きて来るのであります。これは基金法の御審議を願いましたときにもお話をしたのでありますが、こういう事態は、当然予測でき得たのであります。従いまして、こういう事態を基金自体としてスムーズに処理するためには、基金の出資金が多ければいいということになるのでありますけれども、この金は、年間必ず出るというわけでもございませんし、また損害の問題でありますので、あらかじめ予測することも困難であるということをもちまして、最小限度の出資でもつて発足したのであります。従いまして、こういう事態になりますれば、当然国といたしましても、財政当局なりあるいは関係金融機関を通じて、保険金の支払いに齟齬を来さないように措置をいたすつもりであります。ただいま損害額の決定いたしました県がまだ数県しかないのでございまして、ほかはまだ決定をいたしておりません。また損害保険の申請の出ておりません府県もございますので、数字は確定いたしておりませんけれども、すでに金融の方の交渉は始めております。さような次第であります。
  10. 井上良二

    ○井上委員 政府農業共済保険特別会計の本年の予算内容の説明を承りましたが、昨年の災害が案外少かつたということから、政府の再保険の収支においては、約三十億くらいの黒字になるんじやないか、こういう一つの意見が出ております。もし政府の再保険の方で三十億も黒字になるということになりますならば、当然各県連合会の方においても黒字にならなければならぬのにかかわらず、赤字になつておるという、その理由はどこにあるか。ここに料率改訂の欠陥がありはせぬかという問題が一つあります。それからいま一つは、各県連それぞれ会計を独立採算制でやつておりますので、これが全国的な一本のわくの会計でありますならば、被害の少い県と被害の多い県とのあんばいがうまく行きますけれども、各県ばらばらに世帯をやらしおりますので、ばらばらな結論が八億となつて現われる予想が出ているのです。政府の場合は全国一本でやつておりますから三十億ももうかつておる。ここにこの制度の料率その他に対する改訂について、具体的に検討せられなければならぬ点がありはせぬかと私は考えている。それらのことはいずれまた議論するときがございましようが、今政府としては、何とか保険金の支払えるような資金的な操作を、いろいろな資料がそろい次第準備したい、こうおつしやるのですが、その手当をいたしますおよその時期はいつでございますか。それから資金はおよそどのくらい準備するつもりですか。そうしてその資金はどこから持つて来るつもりですか。これが明らかになりませんと、実際上、下で手を受けて待つております県連及び農民は困りますので、これは一つの政治的に大きな問題でもございますから、政務次官からもお答え願いたいと思います。
  11. 小倉武一

    ○小倉政府委員 不足金の問題でございますが、基金がもちろん若干手持ちがございますので、すでに決定した府県につきましては、わずかでございまするが貸付けを了しております。なお全体的に申しますと、三十六億といたしますと、基金の出資部分が約十五億余りございますので、差引二十一億余り足りない、かようになるわけです。従いまして、この二十一億につきまして、中金の金繰り等も考えまして、必要があれば国庫余裕金の放出を願いまして、緊急にそういうことができるように今いろいろ折衝中であります。
  12. 松浦東介

    ○松浦政府委員 農業共済基金に関しましての経営等について、また考え方については、井上さんの仰せの通りでございます。また現在の金繰りの作業の過程は、ただいま農林経済局長から御答弁申し上げた通りでございます。
  13. 井上良二

    ○井上委員 今局長の御答弁によりますと、中金を通すというお話でございますが、中金の資金を用いるのですか、それとも財政余裕金でも持つて来るつもりですか。財政余裕金を直接農業共済基金に流しますか、それとも中金を通すことになりますか。これは金利の上に御存じの通り非常に問題がございますので、その点その筋道をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  14. 松浦東介

    ○松浦政府委員 その問題につきましては、従来の例が農林中央金庫を通じておりますので、そういう径路もたどつておるのでありますが、もつとよい方法があるならばと思いまして、今政府部内において研究しながら折衝中でございます。
  15. 井上良二

    ○井上委員 政府の財政資金なりその他の資金を直接農業共済基金に入れるのが一番よい方法です。何も中金の窓口を通す必要はないのです。それをひとつ明らかにしてもらいたい。これほど簡単なものはありはしないのです。直接そこへ流すようにすれば、必要以上の負担農民にかからぬでよいのですが、何ゆえ中金の窓口を通さなければならぬのですか。政府がつくつた機関ですから、そこに流すようにする、そういうぐあいにできませんか。
  16. 小倉武一

    ○小倉政府委員 御質問の御趣旨は、私どもも同感の点がないわけではないのであります。ただ国庫余裕金の運用につきましては、これは仰せもございまするし、また従来の取扱いの慣例と申しますか原則もございまして、金融機関の金繰りの緩和に資するということが建前になつておるのであります。従いまして中金は金貸しはいたしておりますが、いわゆる金融機関ではございません。従いまして直接にこの基金に国庫余裕金を期待することはなかなかむずかしい問題もあるのであります。もちろんこれは基金という立場から考えてみての原理でございまするけれども、他にそういう問題もいろいろございまして、なかなかむずかしいのであります。従いまして——もちろんこれは当初基金ができておらなかつたということもございますが、中金を経由しておつたのであります。もちろん私どもも直接に基金が借りられるようにいろいろ考慮いたしております。そのためには現在の制度でも、もちろん考えられないことはありませんが、基金制度の性質も若干関連して参ります。そういうこともございまするので、この際国庫余裕金が直接に基金に参るというお約束は、実はいたしかねるのでございます。
  17. 井上良二

    ○井上委員 局長はどういうおつもりでそういう答弁をされたかしらぬが、私ども寡聞にして農業共済基金のあつせんは中金を通さなければいかぬという法律をつくつた覚えはありませんが、法的に何か根拠があつて言うておるのですか、それとも慣例ですか。法律には何もそんなことは書いてないつもりですが、これはどういうことです。何か農林関係資金は全部中金を流さなければならぬというように、あそこが金融の大本山みたいに考えておるが、何でもかんでもあそこを流さなければいかぬという考え方は改めて、少しでも負担が軽くなる、少しでも安くなるようにしてやることが必要である。それとも法律にあるからしようがないというのなら、われわれは法律を直さなければならぬと思いますが、そういう法的根拠がありますか、その点を伺いたい。
  18. 小倉武一

    ○小倉政府委員 農業共済基金法にはどこから借りなければならぬということはもちろんないのであります。従いまして市中銀行から借りたつて、これはもちろんよろしい。ただこれは同じ農民がつくつておる団体でございまするし、場合によつては、連合会でもあらゆる連合会が必ずしもみんな不足金ばかり背負つておるわけではありませんので、若干でありますけれども余裕金を持つておる連合会もございます。そういうことを考えてみますと、中金には限りませんけれども、系統金融機関を一応建前として考えることがごく自然ではないか、共済基金だけは中金はいやだ、市中銀行から借りるということは、むしろ特別の理由がなければいたさないのがいいではないか、かように考えております。法律上の制限があるわけではございません。
  19. 井上良二

    ○井上委員 その点は今松浦政務次官からも十分考慮するというお話がございましたから、それ以上私は追究いたしません。ただ問題は、この資金あつせんについて、大蔵当局はいかなる態度をおとりになつておりますか。この問題は速急に解決する見通しがつきますか。それとも見通しがつきませんか、この点を明らかにしてもらいたい。これは時期も非常に急ぐ問題でありますから、ぜひその点を明らかにしてもらうことと、それからいま一つは、さきにも問題になりましたように、昨年のように台風その他の大きな被害がそれほどない年でさえ八億も赤字が出る予想がついておるというこの事実にかんがみまして、この共済制度の料率の改正や、また組織改正等について、政府としては基本的に新しい一つの検討を加えておりますか、現在のままでいいとお考えになつておりますか。この点について伺つて私の質問はこれで打切ります。
  20. 小倉武一

    ○小倉政府委員 不足金は今年も相当出まして、昨年の不足金がまた出て参りますから累加されるという事情は、去年の暮あたりからもちろん予測し得たわけであります。従いまして私どもも来年度予算の折衝をいたしますときに、すでにこの不足金の問題を指摘いたしまして、金融機関というような問題につきましても、財務当局の注意を喚起しております。ただいませつかく折衝中であります。この問題は事柄の性質が、たとえば協同組合事業活動の不足金というようなものと若干性質が違いまして、財務当局としても、これは当然相当の考慮を払うべきものだと思つておりますので、さほど時日をかけまして共済組合の支払いに事欠くようなことにはならないと確信しております。  それから基金制度についての根本的な問題でございますが、これは基金だけの問題ではございませんで、共済制度全体の問題に実は関連をすると思います。その点につきましては、先ほど次官から来年度の予算に関連してお話があつたのでありますが、一つは不足金が出る根源をなくすることが何と申しましても根本であります。そういう意味におきまして二十八年度の予算におきましては、一方農家の共済掛金の負担を軽減するという措置をとるとともに、他方安全割増しというようなものを復活いたしまして、いわば不足金の出る幅を縮小いたしておるのであります。逆にいえば、それがまた連合会によりましては若干でも剰余が出る、従いまして無事もどしも出る可能性を従来より強化する、こういう措置をいたしております。もちろんそれだけでは不足金が出ないとは保証ができませんので、基金制度といたしましても、これはおそらく再来年の予算をお願いする時分には、増資の問題でありますとか、あるいは過去の不足金の処理というような問題が真剣に取上げられまた解決されるべきものではないか、かように考えております。今年の問題としましては金融の問題で片がつくのではないか、かように考えております。
  21. 井上良二

    ○井上委員 財務当局を呼んでおりますが、まだ見えませんから、私この問題で財務当局に対する質問を保留しておきます。
  22. 坂田英一

    坂田委員長 それでは金子與重郎君。
  23. 金子與重郎

    ○金子委員 私は、農林委員会におきまする予算の問題が出まして、今後この予算の問題を中心にした議事の進め方につきまして、委員長に一言意見を申し上げたいのでありますが、この国会は従来と違いまして、参議院議員の選挙もある関係上、どうしてもある一定のところで、比較的日短かに今までに比べて切り上げなければならぬという情勢にありますので、その間農林委員会といたしましては、比較的会期が短かかろうと予想される。一方今日の予算案を見ますと、政府が農林政策に対して今まで発表され、あるいは考えられた点と、実際にここに予算に上つた点を見ますと、非常にかわつた縮小された点もあります。こういう点やら、あるいは農林問題というものが非常に間口の広い、いろいろ多岐にわたつております関係上、これらの問題を真剣に討議いたしますのには、相当計画的なものの考え方をしなければならぬと思うのであります。それによりましてまず第一にお願いしたいことは、予算関係の研究の間におきましては、責任大臣であるところの農林大臣にもう少し出席していただきたい。と申しますのは、なぜかと申しますと、農林大臣の責任によつて、大蔵大臣との折衝の結果、予算はこうなつたけれども、こう削られたということは、大臣でなければ責任を持つた答弁はできないと思いますので、この点をまずお願いするわけであります。  それから次に、運営の仕方について、でき得るならば毎日、各局の責任者はもちろん、係の者が全員出席することが望ましいのであります。しかしながら役所の関係もありますので、そういうことを全部要求しても、実際問題としてできないということになるといけませんから、もつと実質的に、それを基本として、ただこの運営上、特別に計画をして、そうしてその計画された日には、その局、係は必ず全員出席して、そうして後ほど答弁するとか、あるいは出席をまつてとかいうようなことで時間を空費することをなくすること。これが二点であります。  それから最後に、これは理事会等においてきめていただくのでありまするが、質問のあり方につきましても、そういうふうな計画的な考え方で、各党の各委員がおのおの予備知識を持つて、そうして要点をつまんで、簡潔に全面的な審議が行われるようなことについて、特に予算に関しては理事会でそういう方針をきめてもらいたい、この三つのことを私は委員長にお願いするものであります。
  24. 坂田英一

    坂田委員長 ただいまの金子委員からのお話でありますが、大臣の点については、予算委員会、その他へ出席して予算の問題を慎重審議を進めておるわけでありますが、なお当委員会においても、常に大臣のさしつかえない限り出席することに取運びたいと存じます。なおそのほかの点につきましても、たとえば各局長を全部そろえてということでありますが、今までも、各委員の要請によりまして、委員会の計画従つて、それぞれの係官を出席するようにやつておるのでありますが、なお十分それが達成されることに委員長は一層の努力を払うことをお誓い申し上げます。     —————————————
  25. 坂田英一

    坂田委員長 次に肥料に関する問題について、昨日に引続き調査を進めます。  順序によりまして発言を許します。芳賀貢君。
  26. 芳賀貢

    ○芳賀委員 肥料問題につきましては、もうすでに、これを客観的に見ても、最終段階に到達すべき時期であるというふうに考えられるわけであります。その証左といたしましては、農林大臣並びに通産大臣は、昨日と本日の両日にわたつて、硫安工業協会会長であるところの藤山会長と会見をして、価格の引下げに対する要請を行つておるはずであります。ただその内容が現在どういうような経緯をたどつておるかということにつきましては、大臣は見えておりませんが、これらの点については、昨日松浦次官から、この会談にはオブザーバーの資格で出席しておつたというお話があつたので、本日はそういう内容的な点についての具体的な、しかも事実を事実としたところの御説明を願いたいと思うのであります。われわれはあくまでも、二月十二日の本会議におけるところの肥料価格安定に関する決議案を中心として、政府当局は真剣にこの実現に進んでおるということに対する期待と信頼を持つておるわけでありますが、非常に疑問にたえない点は、昨日の日本経済新聞によると、農林、通産両相は、この価格引下げに対して百円方の引下げが行われるように要請しておるということが掲載されておるわけであります。しかるに今朝の同じ日本経済新聞を見ると、事実は四十円方の引下げを要請しておるということにすりかえられておるわけであります。はたして両大臣は百円下げると言つておるのであるか、四十円下げると言つておるのであるか、こういう内容についてわれわれ農林委員は全然関知しておらぬわけであると同時に、全国における農民諸君も、この肥料問題の推移に対しては、重大な関心と政府に対する大きな期待を寄せておるわけでありますが、わずかにこの両日にわたるところのこういう変化というものの内容について、両次官からつぶさに御説明を願いたいわけであります。
  27. 松浦東介

    ○松浦政府委員 ただいま芳賀委員からの御質問でございますが、新聞発表につきましては、私は責任を負うわけには参りません。但し食糧増産に最も必要な化学肥料は、事情の許す限りなるべく価格を引下げるべきであるということは、農民保護の立場に立つところの当委員会の従来一貫せる考え方でございまして、これは御承知の通りでございまするが、ただいま芳賀君の申されましたように、昨年十二月二十四日の当委員会の申入れ、また二月十二日の衆議院本会議の決議、並びにその後において行われました参議院農林委員会の申入れ等、われわれはその御趣旨を十分尊重いたしまして、実はあつせんをいたしておるような次第でございます。しかしながら御承知のように、この化学肥料は統制品でございません。これは自由価格品でございますので、政府が価格について強制的に命令を発する権限もなければ、そういう措置ができないので、われわれは非常にその間苦慮いたしておるような次第でございますが、最善の努力を払つておるつもりでございます。すなわち御承知のように、政府部内に諮問機関として設けられました肥料対策委員会、’これは御承知のように、今後の日本の肥料の根本問題をどうするかということについて、これは経済審議庁所管でございまするが、その委員会が設けられまして、この根本の問題と同時に、当面せる春肥の値段をいかにすべきかというようなことで、種々御検討があり、その答申も一応決定したような次第でございまするが、その後も、生産者側としましては、いろいろコストの関係もあり、その他の生産に必要な電力あるいはコークス等の値上り等の事情もあるせいでございましよう。なかなかその立場をとつて譲らないわけでございます。そこで政府としましては、ただいま仰せられましたように、昨十九日の午前十時から硫安工業協会の会長である代表者藤山氏並びに肥料対策委員会の委員長であつた一万田氏、それに農林、通産両大臣が加わりまして、四者会談を続けたのでございまするが、結論に達せず、本日また午前十時より、同様メンバーで会談を続けたのでありまするが、これまた両方の主張が一致しないようなわけでございまして、明日三たびこれを続行する運びに相なつておるようなわけであります。われわれもましては、最初申し上げましたような線で強く押しておりますことは、これは本会議の決議もありましたわけでございますから、その通り方針で進んでおりますが、何せ相手があることでございまするので、さように簡単に参らず、非常に苦慮いたしておるような次第でございまするが、なるべく早い機会において御趣旨の線に沿つたことをいたしたい、かように考えておりますが、まだ価格をどこまで下げるかという点については結論に達しておりません。
  28. 坂田英一

  29. 中村寅太

    中村(寅)委員 ただいま松浦政務次官から経過の御説明がありましたが、その経過はわかりましたけれども、もう一つ聞きたいのは、農林省としてはどういう方針でこの肥料対策委員並びに生産者代表に交渉しておるのか。農林省の立場を具体的に説明願いたいと思うのであります。
  30. 松浦東介

    ○松浦政府委員 それはただいま申し上げました通り農民保護の立場に立つ当委員会の伝統的な一貫せる立場、その気持を尊重いたしてやつております。
  31. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私が次官にお尋ねしたのは、抽象的な経過を聞いておるのではなくて、その会談に立会した場合における具体的な内容を聞いておるわけであります。現在法律的根拠によつて、メーカーにどれだけ引下げろというような権力的な指示ができないということは、われわれはもちろん知つておるわけであります。ただどこへめどを置くか。たとえば百円の線にめどを置いて問題を片づけようとしておるのか。四十円の線にめどを置いて政治的なあつせんを行つておるのか。そのポイントがどこにあるかということを、はつきりお伺いしたいわけであります。
  32. 松浦東介

    ○松浦政府委員 値段をどうするかというようなことは、相当政府としても考えなければならぬ立場でございますので、私から申し上げることができる範囲は、すなわち昨年設定いたしました政府と業界との間の協定とも申すべき安定帯価格というのがあるわけでございますが、この際の肥料問題というのは、国際価格と国内価格との調整にあるわけでございます。国際価格の方が安くて国内価格の方が高いのでありますから、その調整ということは、勢いこれは価格を引下げることである。その意味におきまして、私どもは安定帯価格の改訂という線で折衝を進めております。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もちろん折衝の進め方はそうあらねばならぬということはわきまえておるわけでありますが、ただ政治的なあつせんを行つておるという姿は、単に抽象的に、なるたけ下げてくれというようなことを繰返し言つておるものであるかどうか。国際価格と国内における安定価格の対立を、価格差の対比の上に立つて、基礎的な根拠に立つて、このあつせんを行つておるかどうかという、その具体的な事実をお伺いしておるのであります。
  34. 松浦東介

    ○松浦政府委員 もちろんその交渉の過程におきましては、安定帯価格の引下げという折衝の過程におきまして、数字の問題に触れておるようでございますけれども、あすかあさつてまでに何とか妥結をいたしたいということになつておりますので、数字の点につきましては、まだ御説明申し上げる段階ではございません。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して。今芳賀委員の御質問に対して、数目中に妥結の見込みだというお話であります。妥結することはまことにけつこうでありますが、ただその内容をわれわれは案じておるのであります。私の一番伺いたいことは、仄聞するところによると、この妥結に伴う条件とでもいいますか、いわゆる藤山会長以下メーカー側の立場は、今肥料年度における十五万トンの輸出を条件にするとか、あるいはその他各項にわたつて種々の条件を提示されておるやに聞いておりますが、農林省なり経済審議庁としては、その条件の上に立つて御折衝になつておるのでありますか。さようなことはないと存じますが、あくまでも安定帯価格の引下げである、改訂であるという見地に立つて御折衝を進めていただきませんと、今のメーカー側のとつておる態度というものは、代償を先に求めて、それを見て、安定帯価格ではないが、政治的な圧力だから、少しぐらい国会の面目を立てようという、まことに不遜な態度であるとも一面考えられるのであります。その条件の有無ということを、ひとつこの際はつきり両政務次官から承つておきたいと思います。
  36. 松浦東介

    ○松浦政府委員 条件ということにつきましては、さきに肥料対策委員会の答申案のような条件、すなわち金利の引下げの問題でありますとか、あるいはまた外炭の輸入の問題、あるいは電力の割当というような問題は、答申案にも出ておるようでございますが、ただいまの今肥料年度における輸出の数量という点までは、条件は提示されておりません。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀委員 松浦政務次官は数字の面に対しては全然何も御存じないと言われておるので、それをきのうの予算委員会みたい繰返し繰返し問答を行つても無意味でありますから、この点についてははつきりお聞きすることはやめて、これは農林大臣から直接お伺いしなければならぬと考えるわけであります。  それから経済審議庁次官にお伺いしますが、小笠原長官は、安定帯価格の四十円引下げ、つまり九百円の基本価格を八百六十円にして、上限と下限を四十円ずつの幅に広げて今度の安定帯価格の改訂を行いたいということを、この折衝、政治的あつせんを通じて発言せられておるように承知しておるわけですが、それらの事実について、御承知であればお聞かせ願いたいと思う。
  38. 小川平二

    ○小川政府委員 まず最初の御質問に対しまして補足的に申し上げまするが、先般肥料対策委員会から政府に対しまして、外炭の輸入、あるいは電力割当の増加、あるいは金利の引下げ、その他一連の措置をとるようにという要望があつたわけでございまして、政府においては、これを実現するために鋭意努力をいたしておるわけです。肥料のメーカーといたしましては、政府が今後とるそういう措置に対応しまして、それによつてコストが低下する度合いに応じて、また同時にこれを交換条件として値引きに応ずるというようなことでは決してないのでありまして、委員会発足以来、生産者側と消費者側がいろいろ論議を重ねておつたのですが、これがいわゆる水かけ論に終つて、問題を打開することができませんので、問題を打開する一つのめどとして、ああいう措置を講ずることになり、しかもそれらの措置を講ずる場合に、どのくらいのコストの低下ができるかということを、メーカーの方言をして見る。要するにこれは問題を打開する一つのめどにすぎないのでありまして、決してそれらの措置をとりかえつこ、あるいは条件としてというようなことではございません。それから、値段を引下げるという趣旨はわかるが、同時に輸出を増加してくれないかという要望がメーカーの方からあつたことは事実でございまするが、大体政府の方といたしましては、値段は下げろ、そのかわり輸出は認めてやるというような条件としては聞いておらないのであります。これは別個の問題として、メーカーの希望として聞きおくという程度のことでございます。  それから最後の御質問でございますが、審議庁長官が、安定帯価格の上限、下限を、現在の三十円から十円ずつ広げて、四十円ずつの開きにしてはどうかという提案をしたという事実は、私存じておりません。さようなことは言わなかつたというふうに承知いたしております。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 関連してもう一点。今の小川次官の御答弁で、さような輸出問題についての条件はない、ただ要望はある、こういうふうな御言明でありましたので、その通りだと私は存じ、その点は一応了承いたしますが、肥料対策委員会のもとに生産費の問題については小委員会が設置されております。これが結論は相当慎重を要する問題でございますが、時期を失してこの委員会の結論がかりに出たとしても——問題が解決し、妥結した後においてそのようなものが出ましても、あまり当面の問題としては有用ではないと私ども考えられます。しかるにかかわらず、今朝来各新聞紙が一齊に伝えておるところによると、メーカー側の生産費についての相当詳細な発表をやつておる。事実権威あると政府は信じておるでありましようが、審議会において、しかもコストについて小委員会を設けて、詳細に調査中のところ、このような重大な生産費の発表を行つておるということは、私が先刻来指摘しておりますように、まことに政府を愚弄し、そうして農民に対しては、今度の安定帯価格の若干の引下げが、いかにもこのコスト計算によつて裏づけをされるにひとしいような文書を新聞紙に発表すること自体が、私は非常に不満なものであります。メーカー側のとつておる処置というものは不遜きわまるものである。政府の法制的な基礎のない委員会にしろ、いやしくもコストの問題について真剣なる検討を始めておるときに、一方的にさようなものを出して来るということは、私は妥当ではないと思う。その点について川北小委員長のもとにおいてのコストの調査等についての進行状況、またその結論の発表の見通し、そういうふうなものについて、審議庁の次官からこの際伺つておきたいと思います。
  40. 小川平二

    ○小川政府委員 コストの問題につきましては、先般御報告申し上げました通り、川北さんを委員長といたします小委員会を設けまして、短期間の間にできるだけ正確にコストを捕捉すべく努力をいたして来たわけでございますが、いずれも肥料の専門家、あるいは肥料について一見識を有する方ばかりでございますが、コストの計算ということになりますと、非常に専門的な知識あるいは技術を要する仕事でありまして、小委員の方々にせつかく御努力を願つたのでありますが、どうもうまく行かない。そこで原価計算の専門家三名ほどの人に委嘱をいたしまして、実はやり直しをする、こういうことになつて来たわけでございます。その間におきまして、何分にも春肥の価格の問題は一刻もゆるがせにすべからざる大切な問題であることはもとよりでありますし、国会の御決議もあるということで、コストの計算は計算として、当面何とかメーカーの方に譲歩を求めて、ある程度の値段の引下げをやらせなければいかぬ、こういう空気になりました結果、委員会の一万田会長の提案によりまして、政府においてはしかじかの措置を講じてはどうか、またメーカーにおいてはこの際それらの措置を政府がとるということをも考慮して、大局的見地から考えてみてはどうか、こういう勧告をいたすことになつた次第であります。そこで、コストの計算につきましては、先ほど申し上げました三名の専門家が鋭意検討をいたしておる、一応の結論が出るのになお二週間くらいはかかるのではないか、今こういうふうに相なつておるわけでございます。  メーカー側から新聞に対してコストの発表をしたというお言葉でございましたが、私実はうつかりしておりまして、そういう発表をメーカーの方から積極的にいたしたかどうか承知しておらないような次第でございます。
  41. 坂田英一

    坂田委員長 ちよつと皆さんにお諮りしたいのですが、まだ肥料に関する質問の通告者が非常に多くありますので、皆さんの発言は簡潔にやつていただきたいと存じます。
  42. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して。今両政務次官からの御答弁の中で、どうも解せない点があるのであります。硫安は自由価格であるためにそう圧力を加えられないというお話であつた。それから小川次官からはやはり同様な御答弁であつたですが、私は必ずしも自由価格とは思いませんけれども、両政務次官の言うような自由価格であるとしますれば、今天然ガスによつて硫安をつくり出すとすると、資材が相当入手困難であり、あるいは設備費に非常な経費をかけていながらも、少くとも七百八十円くらいで採算が合うという計画のもとに会社が設立される場合は、なぜこれに対して許可を与えないのか。もしもそういう会社がある場合には、利子の補給とか、あるいは融資のあつせんをいたしまして、そうした七百八十円でコストの採算が合うような会社の設立をどんどん奨励して行つたらいいじやないかと思います。もしも自由価格であるという観点に立つならば、奨励されたらいいと思うのですが、この点について両政務次官から御答弁を願いたい。
  43. 松浦東介

    ○松浦政府委員 お説まことにごもつともでございますが、御承知のように、肥料行政が二元化されておりまして、農林省の方は消費者の立場で、通産省が生産の方をつかさどつておりますから、これは私からは何ともお答え申し上げられないのであります。
  44. 小川平二

    ○小川政府委員 農林政務次官の答弁と私まつたく同様に考えております。
  45. 川俣清音

    ○川俣委員 両次官ともコスト争いをする場合はもちろんいろいろあると思いますが、こうしたコストの安い硫安がつくられるということならば、これは農林省も大いに助力し、あるいは審議庁も率先してこれらの会社の設立に援助して、コスト引下げの努力をされなければならないと思うのであります。もしも通産省がいたずらにこういうコストを下げることをおそれておりますならば、両次官政治力を発揮して、こういうコストが安くて採算の合うような会社をつくられることが必要だろうと思いますが、もう一度御答弁願いたい。
  46. 松浦東介

    ○松浦政府委員 先ほど申し上げた通りでございますが、常識的に考えますれば、お説ごもつともに考えます。
  47. 小川平二

    ○小川政府委員 ただいまの御意見ごもつともと存じます。肥料対策委員会におきましても’当面の春肥の問題につきましてはようやく解決のめどがつきましたので、とれから先は日本の肥料工業をもつと合理的な基礎の上に立たせるためにどういうことをやつたらいいか。多少恒久的、長期的な観点に立つた対策を検討して行く段階に入つているわけであります。ただいまの御意見のごときも委員会で取上げられまして検討されることになると存じております。
  48. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほどまでの両政務次官のお話によつて具体的な内容をお伺いすることのできなかつたのは非常に遺憾でありますが、ただここで確認しておきたい点は、あくまでも農林、通産両大臣の行つている政治的なあつせんというのは、安定帯価格の改訂ということに力を注いでいるというお話でありましたが、そのほかに何ら条件とか、代償等をからましておらないという点については、両政務次官の御説明を信頼していいかどうか、その点を確かめておきたいと思います。
  49. 松浦東介

    ○松浦政府委員 先ほどお答え申し上げました通りでございます。
  50. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど足鹿委員からお話がありましたが、本日の日本経済新聞に、メーカー側のつくつた原価計算が出ておるわけであります。これを大別して申し上げますと、電解法による場合は十貫目一俵当り九百三十七円七十四銭、ガス法による場合においては九百三十三円五十九銭、平均九百三十四円六十二銭というような分析された計算が出ておるわけでありますが、これは肥料対策委員会に出されたデータと同一のものであるかどうか、経審次官に伺いたいのであります。
  51. 小川平二

    ○小川政府委員 委員会が発足いたしましてからほどなく、とにかくメーカーの方からこの辺が平均的なコストであるという数字を出してもらおうじやないかということになりまして、数字の提出を求めたことがございます。これが資料になりまして配付をさ、れたのでありますが、委員会の委員に対してだけ極祕に配付されたようなわけであります。まことに恐縮でございますが、ただいま手元にその数字を持つておりませんので、今お一話のございました数字が、そのときメーカーの方から提出された数字と一致しておるかどうかということをお答え申し上げることができないようなわけですから、取調べまして次会に必ず御返事を申し上げます。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して。コストの問題が出ましたので、いま一つ小川さんにお伺いしておきたいのですが、川北委員長のもとにある小委員の職、氏名を伺いたいと思います。
  53. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。委員会におきまして、コストに関する小委員会を結成したのでありますが、その際メーカー側から二名、それは硫安関係の代表者が藤山会長と宇部の俵田さんが出られております。それから消費者側といたしまして、荷見委員と内田委員がお出になりました。なお中立委員といたしまして、東畑委員と川北委員、この六名のほかに通産、農林の主管課長が二名加わつた、こういう形になつたのであります。そうして委員長は川北委員にお願いする、かようになつたのであります。
  54. 足鹿覺

    足鹿委員 委員の構成はわかりましたが、そのほかに顧問制というような、参考意見を徴されるような方がありますか。
  55. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 第一回の小委員会におきまして、私列席をいたしませんでしたが、川北委員長からのお話によりますと、委員の方から特に原価関係の専門家を入れたらどうかということが言われまして、太田哲三さん、元慶応大学教授の堀さんと、農林中金の諸富さんの三人を専門委員として委嘱してはどうかということになつたように御報告がありました。
  56. 足鹿覺

    足鹿委員 その三名の専門委員はどなたが御任命になつたのでありますか。
  57. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 特別委員会におきまして御相談になりまして、特別委員会としてその仕事を補助してもらうという意味において、専門委員として特別委員会が御委嘱になるという形であります。
  58. 足鹿覺

    足鹿委員 その三名のうち、太田哲三という人はどういう立場にある方でありますか。
  59. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 太田さんは学者といたしまして、原価計算の専門家として一般に知られておる方であります。
  60. 足鹿覺

    足鹿委員 太田さんは東海硫安の顧問会計士であるというふうにわれわれは聞いておりますが、そういう事実を御承知になつておりますか。
  61. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 私その点はまだ承知いたしておりません。
  62. 足鹿覺

    足鹿委員 さようなことがおわかりにならないはずがないと思う。そんなばかばかしい話があるものですか。きわめて公正な立場から専門委員というものを選ばれる場合に、少くとも一メーカーの顧問会計士を専門委員の中に加えられるということは、私はもつてのほかだと思う。そんなばかばかしい話で公正妥当なコスト計算ができますか。そういう人を入れるならば、当然これに対抗する立場の者も入れらるベきです。あとは学識経験者、一方においては東海硫安の顧問会計士をしておられる太田さんを入れられることは、私は妥当な専門委員の任命のやり方ではないと思う。さような政府が御組織なつた委員会において、この委員会の中心点であるコストの問題にまで、メーカーの一方的な立場において、常時その職務を行つておる者を専門委員に入れて、妥当なものが出るとお考えになりますか、私どもはさようなことはふしぎ千万な御処置であると考えざるを得ません。もう少しよく御反省になることを私は当局に要望申し上げたいと思う。
  63. 小川平二

    ○小川政府委員 経済審議庁といたしましては、先ほど政府委員から答弁申し上げましたように、小委員会を信頼をして人選等はおまかせをいたしたわけでございますが、太田さんが東海硫安の顧問会計士であるかどうかという事実は、私ども存じておりませんので、さつそく取調ベることにいたします。但しこの委員会の委員の人選にいたしましても、消費者、生産者、第三者と、あまねく各方面の代表者を人選いたしておるようなわけであります。先ほど委嘱しました専門家も三名おるわけでございます。たまたまメーカー側に近い立場の人も三名のうち一名おるということは、これはあり得る、またあり得てもさしつかえないじやないかとただいま考えるわけでございます。東海硫安の顧問会計士を実際いたしておるかどうか、私承知いたしておりませんので、さつそくこの点は取調ベてみたい、かように考えます。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は今日の両政務次官の政治的あつせんに対する中間的な報告に対しては、非常に失望しておるわけであります。私の考えをもつてしては、この価格引下げの問題は、両大臣の努力いかんにかかわらず、われわれの期待できるような結論は、おそらくその中から生れて来ないというふうにも考えられるわけであります。そのことは、あくまでも政府当局の考え方が安定帯価格の改訂ということで進んでおるのに対して、メーカー側はあくまでもその前提として、あるいは生産条件に対する国の配慮、あるいは五月、六月における硫安二十万トン輸出の暗黙のうちの了承というような、二つの問題を前提として提起しておるような形の中においてこの話合いが行われている限り、その中からは絶対に期待するものは生れて来ないと思うわけでありますが、これが効果的な結論が出ない場合においては、政府当局として——農林、通産両大臣は今日出席しておられませんけれども、その女房役である両政務次官は、どのような政治的な合みを持った手を打とうとしておるかという点について、お伺いしたいわけであります。
  65. 松浦東介

    ○松浦政府委員 肥料価格は下げるべきであるという前提のもとに、しかしとりあえず安定帯価格を改訂すべきである、こういうことが私は交渉の、またあつせんの主題であると思つております。安定帯価格の改訂によつて引下げができますならば、当然春肥の値段もそこにある一つの結着点が生ずるのである、かように私は考えておるようなわけでございますが、再三申し上げましたように、その安定帯価格の改訂の交渉の経過において、五月あるいは六月の輸出というようなことには、条件としては全然触れておりませんことを、再び芳賀君に申し上げておきたいと思います。その結果が最悪の場合、すなわちどうしても政府のあつせんに対して生産者側が応じない場合は、政府はどうするかということにつきましては、私はまだここでこれを言明するものを持つておらないわけでございます。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの次官の御発言によつて、われわれはまだ時間的にも今後若干の期待をつないで行きたいと思いますが、このことはすでに国会において決議されて、政府当局はあくまでもこの実現に対して、全農民の期待に沿つて具体的に善処するということを確信しておるわけであつて、これがやつてみたけれども、どうにもならなかつたということで引下るわけにいかぬというどたんばまで来ているということを、御了承願いたいわけであります。なお参考までに申し上げたいことは、昨日の当委員会において通産省の中村軽工業局長が非常に貴重な発言を行つたわけであります。それは足鹿委員の質問に対して、もし外安を輸入する場合においては、CIF六十ドル程度で十分これを入れることができるという発言をしておるのであります。当局としてはすでにこういう事態までも考慮されて慎重に研究を進められておることに対しては、われわれは実に敬服しておるわけでありますが、こういうことは将来において可能なる事実として取上げるべき機会があるであろうということを、私は期待したいわけであります。そういう点について松浦政務次官からお聞きしたいと思います。
  67. 松浦東介

    ○松浦政府委員 なかなかむずかしい御質問でございますが、私どもは、政府が最善の努力を払つておりますので、これは必ずある程度の期待は満たされるであろうと考えておるわけでございます。また国会の決議を尊重するということは、政府としては当然のことでございますから、これは今法的に措置を講じ得ないといいますならば、何らかの法的措置を講じましても、国会の決議の趣旨に応ずべきであると考えておりますが、今責任を持つてこうこうするということまでは申し上げられません。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に一点お伺いしたいことは、明日の第三次の会談において最終結論を出すのかどうか、この点をお伺いして、私の質問を終ります。
  69. 松浦東介

    ○松浦政府委員 私が先ほど申し上げましたように、廣川、小笠原、一万田、藤山会談に、オブザーヴアーとしてその座におつたわけでありますが、私がその空気を察しまして、明日あたりは妥結するのではないか、こういうふうに感じて参つたのでありますが、何分相手のあることでございますから、はつきり明言するわけには参りません。
  70. 高瀬傳

    ○高瀬委員 大分時間もたちましたし、私は直蔵簡明に一、二点質問したいと思います。  実は私は質問に入る前に、まず委員長意見を伺いたいのですが、当委員会の権威確立について一言委員長の所見をただしたいと思うのであります。私は農林委員は今回が初めてでありますが、いかなる委員会といえども、かくのごとき重大なる問題を議する際に、大臣の出席を当委員会が要求して、しかも昨日のごときは委員長代理野原正勝君は、まあまあというようなことで、一向廣川農林大臣を呼んで来ない。予算委員会開会中であるから農林大臣は非常に忙しいという話であります。しかし予算委員会へ行つてみましたところが、廣川農林大臣は窓のそばでたぬき寝入りをやつておる。これはまつたくの事実でありまして、本日の朝日新聞をごらんになればおわかりになりますが、大臣室に行けばどうもいずらい、ここの方が日は当るし非常に寝心地がいい、こういうようなことで二時間にわたつて彼はたぬき寝入りをやつておつた。しかるに一方わが農林委員会においては、農民の重大なる安危にかかわる肥料の値段について、大いに口角あわを飛ばして議論しておつた、こういうようなのが実情であります。なお自由党では委員長代理の野原君、高見三郎君、木村君、この三名しか出席していないのであります。そこでわれわれは、新聞の伝うるがごとき非常に重大な肥料の問題について質問を展開しようといたしましたが、一向らちがあかない、しかしわれわれは農民のために、農村の振興のために熱意を有しておるがゆえに、非常に一生懸命に質問を続行した。しかしこれは空へ向つて鉄砲を撃つようなもので、何ら農村振興にもあるいは農民の安寧幸福にも関係がない、農林委員会はいたずらに、この重要なる第十五特別国会においてむなしく議論を展開しておる。かくのごときは農林委員会の権威確立に重大なる問題だろうと私は考えるのであります。従つて午前中松浦政務次官も立ち会われたいわゆる廣川、小笠原、藤山会談、これについては先ほど政務次官のお話によると、午前中は農林大臣は話があつたが、不調に終つた。おそらく今ごろどこでたぬき寝入りをしておるかわかつたものではない。われわれ農林委員会が大臣の出席を要求した場合には、委員長の権威において、農林委員会の権威において、必ずこれが出席を実現せられるよう委員長にお願いしたい、これに対する委員長の所見を一応伺いたい、これが一つであります。それから同僚われわれ農林委員会諸君におかれましても、かくのごとき重要問題を論議するのに大臣が見えない、もちろん敬愛する小川、松浦の両政務次官はわれわれの尊敬おくあたわざる同士でありますから、決して両君がおられることを不満とするのではありませんが、しかしながら最も責任のある大臣が来ないで、しかも松浦政務次官とわれわれがやみ取引のような質問応答をしたとなつては、天下の農民に対して、農村に対して申訳ない、だからたぬき寝入りをしておつてもいいから、どうしてもここに来てもらいたい。われわれは彼にたぬき寝入りをさせませんから……。ひとつその点について委員長の御意見を伺いたい。  私は本日は実は肥料の問題について、私のつたない意見をここに開陳しようと思つて参つたのでありますが、農林大臣もいない、小笠原三九郎氏もいない、もちろん両政務次官をないがしろにするわけではありませんが、天下に対する、いわゆる農村に対する響きからいつてもはなはだ不十分でありますから、私は肥料に対する質問は大臣が来なければやらない、当委員会においても、大臣が来なければやらぬくらいのはつきりした方針を同僚諸君に確立してもらいたい。(「決議案を出せ」と呼ぶ者あり)決議案でも何でもけつこうです。  それからもう一つ、もしこういう事態が続くならば、私は委員長の提議において、発案において、この肥料対策を、委員長理事会をすみやかに開催して、理事会の名において、とにかくこの肥料対策に対し肥料需給調整法案を出すなり、あるいはその他の立法処置を講ずるなり、あるいは外肥の輸入促進するなり、委員長の名において、すみやかに私は理事会を招集していただきたい。そうして各党一致、肥料に対する具体案をつくつて、肥料需給調整法案を出すなり何なり、そういうことをやればよいし、もしやらなければわれわれ野党だけでもできるわけでありますから、ひとつこれについて委員長の所見を伺いたい。その二点について私は委員長の所見を伺いたいと思います。肥料に関する質問は後日に譲りたいと思います。
  71. 坂田英一

    坂田委員長 高瀬委員からの発言でありますが、昨日午後、私が所用がありまして、やむを得ず野原委員に委員長をかわつていただきましたわけでありますが、これは私やむを得ず要件のために欠席いたしましたことを御了承願いたいと思います。それから農林大臣といたしましては、この肥料問題については非常に熱心でありまして、通産大臣ともどもに、先ほど両政務次官からお話がありました通り、極力この委員会の決議の趣旨にのつとつて、本会議の決議の趣旨を貫徹すべく、農民のために、また国の肥料行政、工業の発展のために極力努力しておるということを、ここに重ねて皆さんに御報告申し上げる次第でございます。  なお委員会に大臣の出席することにつきましては、これはやはり予算委員会もあり、いろいろ本会議もあり、また国務大臣としての、行政長官としての要件もあり、いろいろありますので、それはその都合によることでありますが、でき得る限り出席を求めて進むということについては、皆さんと同意見でありますので、委員長を御信頼願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時四十三分散会