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1953-02-09 第15回国会 衆議院 農林委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月九日(月曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 青木  正君 理事 野原 正勝君    理事 平川 篤雄君 理事 井上 良二君       秋山 利恭君    木村 文男君       高見 三郎君    中馬 辰猪君       松野 頼三君    村松 久義君       金子與重郎君    芳賀  貢君       山本 幸一君    中村 英男君  出席政府委員         経済審議政務次         官       小川 平二君         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)     松任谷健太郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 二月九日  理事原健三郎君の補欠として青木正君が理事に  当選した。     ――――――――――――― 二月七日  ダム建設工事に伴う農業用水優先確保に関す  る請願小澤佐重喜紹介)(第一五八四号)  かんがい排水用電気料金全額国庫負担に関する  請願佐藤洋之助紹介)(第一五九七号)  千歳地区漁川貯水池かんがい計画に関する請願  (薄田美朝君紹介)(第一五九八号)  植林事業補助金増額等に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第一六一七号)  団体営土地改良事業に対する国庫補助率引上げ  の請願川野芳滿紹介)(第一六一八号)  林道事業拡充に関する請願伊東岩男紹介)  (第一六四〇号)  国有林野所在町村に対する交付金支給に関する  請願佐々木秀世紹介)(第一六五八号)  土地改良法の一部改正に関する請願早稻田柳  右エ門紹介)(第一六七〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  農業災害補償制度強化に関する陳情書  (第一  〇五五号)  主要農産物価格保証支持政策実施に関す  る陳情書(第一〇五六  号)  食糧増産五箇年計画に関する陳情書  (第一〇五七号)  農業協同組合に対する長期低利資金融通に関す  る陳情書(第一〇五八  号)  農業協同組合固定化資金流動化促進に関する  陳情書  (第一〇五九号)  同(第一〇六〇  号)  農協生産指導事業強化に関する陳情書  (第一〇  六一号)  供米割当制度撤廃に関する陳情書  (第一〇六二  号)  肥料対策に関する陳情書  (第一〇六三号)  繭検定用供用繭採取改善に関する陳情書  (第一〇六四号)  災害復旧耕地事業促進に関する陳情書  (第一〇一六五号)  耕土培養事業拡充に関する陳情書  (第一〇六六号)  せき悪林地改良事業に要する二十八年度予算増  額に関する陳情書  (第一〇六七号)  昭和二十八年度開墾建設工事等予算増額に関  する陳情書  (第一〇六八号)  砂丘地帯開発改良に関する法律制定陳情書  (第一〇六九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員長補欠選任  肥料に関する件  食品に関する件     ―――――――――――――
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたしたいことがあります。理事原健三郎君より理事を辞任いたしたいとの申出があります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。よつて引続きその補欠を互選いたしたいと思いますが、これは委員長において御指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。それでは青木正君を理事に指名いたします。  次に、農林金融に関する小委員長野原正勝君より、小委員長を辞任いたしたいとの申出があります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、許可するに決しました。よつてただいまの小委員長補欠委員長において御指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。それでは原健三郎君を農林金融に関する小委員長に指名いたします。     —————————————
  7. 坂田英一

    坂田委員長 次に、これより澱粉買上げ等の問題について御質疑の要求がありますので、これを許します。井上良二君。
  8. 井上良二

    井上委員 この際政府から澱粉買上げ状況について御説明を願いたいと思います。
  9. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 澱粉買上げ状況につきまして御説明申し上げます。御承知通り今年のかんしよ、ばれいしよの生産関係は、かんしよが十六億五千万貫程度、ばれいしよが六億六千万貫程度つたのであります。それが澱粉用になりますのがばれいしよが約二四%、かんしよが一九%程度でありまして、生産の見込みが実は八千二百二十万貫と推定をいたしておつたのであります。買上げ関係閣議決定要綱によりまして、農協を通ずるものと、工業組合を通じますものとありますが、すべて全般を通じまして、政府が買い上げるという話合いで進んで参つておるわけであります。現在までどの程度澱粉政府に買われたかという数字につきまして、一月末現在の政府買上げ数量について地域別に申し上げますと、北海道につきましては、二十六万六千二百二十貫、それから愛知は三十万六千二百二十八貫、それから福岡が、これは九州地区ですが五十五万七千七百六貫、それから東京を中心としますものが十四万九千十貫、合計いたしますと一月末買入れ実績が百二十七万九千百六十四貫ということになつておるわけでございます。食糧庁におきましてはいろいろと澱粉買上げ関係は、要綱がきまりました趣旨に沿いまして、協同組合自主的販売態勢というものを前提とした、それをバツクとしての買上げという方向で進んでおるわけでございまして、一月末におきます澱粉買上げ数量は、今後相当伸びて参ると思うわけでございますが、あくまで協同組合組織の自主的な態勢の裏づけという線でいろいろと買い上げの線を進めておるのであります。おそらく政府買入れにつきましては、今後年度内で四百万貫以上になるのではないかと考えておるのでございます。  大体以上が、買入れの数字でございます。
  10. 井上良二

    井上委員 この澱粉買上げは、法文的基礎は何によつてつておるのですか。
  11. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 食糧管理特別会計法に基きまして、政府食糧を買い入れるという規定がございますので、その規定の中に含むものと解釈をしまして運用しておるのでございます。
  12. 井上良二

    井上委員 そうすると、食管法施行規則というか、それによつてつておりますか、それともこれは食管法自身を直さなくともやれるような法文規定になつておりますか。
  13. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 厳格に申しますると、食管法等法律があればなおさら妥当であろうと思うわけでございますが、現在別に強制的にこれを買い上げる、あるいは農家に強制して澱粉を供出させるといつたふうなことではございませんで、もつぱら農家利益のために、いも価格を安定するというのが最終目的で、協同組合等の力によつて、自主的に調整するという線の上を、食管がバツクする——食管と申しますか、政府がバツクするという建前になつておりますので、必ずしも食管法等強制規定その他を必要としないということで、従来食糧管理特別会計法におきまして、各種の食糧を買入れ、運用しておりました実績等もございますので、従来の関係において、特別会計法の運用によつてできるという解釈をとつておるのでございます。
  14. 井上良二

    井上委員 いずれ政府は今国会にこれに関係する法案を整備されることと思いますから、これ以上法的基礎の問題については議論は差控えておきたいと思いますが、この澱粉買上げ措置は、今御説明のありましたように、問題はこの生産者価格を安定さすということがねらいであろうと思います。ところがやつておる結果は、すでにでき上つた澱粉を買い上げるのであつてたとえばいもが収穫される一月、二月前に、本年の澱粉はこれこれの価格で買い上げるということを発表いたして、それから逆算して、生産者いも買上げ価格はこうなるということを公表するときに、初めて生産者価格がこの買上げによつて多少安定をするという効果を上げ得ることができると思います。ところが、もうすでに本年生産されております澱粉は、昨年度のいもによつて生産された澱粉であつて、しかもこの澱粉買上げ価格がきまる以前に、すでに原料いもは買い上げられている、こういうことになつておる。そうなると、たとえば現在政府が買い上げようとする澱粉価格から逆算をして、かりに生いも貫当り二十八円なら二十八円になるとしますと、それ以下で買い上げているものに対してはどうなるか。だから二十八円以上で買つておるなら問題はないけれども、二十八円から下まわつて原料いもが買われて澱粉生産されておることになつて来ると、この買上げによつて澱粉会社だけが利益を独占することになる。だからそういう措置を講ずる場合は、一体その生産した原料いもはなんぼで買つたかということが押えられて、もし二十八円以上に買うておりますのならいいけれども、それ以下に買うているものは、その格差を当然生産農民にバツク・ペイするという処置を講じてやらなければ、まつたくこれは生産農民踏み台にした価格政策である、こういう非難を受けると思います。これらの措置について一体政府はどういうことをお考えになつておりますか。これは政治的な問題でありますから、政務次官から御答弁を願いたいのです。  なおまた、この事実にかんがみまして、来るべき価格支持中心にした買上げ法的措置を講じます場合は、今私が申し上げますように、少くとも生産者がその生産したものを売却するまでの間に、その原価計算農民にわかるような処置を講じなければ、生産者を守る立法措置とはなり得ない。こういうふうに私は考えますが、そういう考え方で新しい立法措置をお考えになつていらつしやいますか。この二点について明確にしていただきたいと思います。
  15. 松浦東介

    松浦政府委員 重要農産物価格安定法といいますか、価格維持のための立法措置が必要であるということにつきましては、これは井上さんと全然考えが同じであります。そこで私どもは、今お述べになりました澱粉も、当然その重要農産物の中に入るべきものである、そういう観点に立つておるのでございますが、特に澱粉の問題につきましては、御承知のように非常に重要性を認識せられました結果、まだその立法以前において、多少不備の点もあるようでございますが、輿論にこたえました結果、行政措置として、現在買上げ措置等、そういう価格維持的な政策を実行しておるようなわけでございます。もちろんその目的生産農民を保護するという、農業保護という精神に立脚したものでありますので、この点は井上さんも御了承のことと存じますが、まだ立法化されておりませんために、一部にいろいろ問題があるようでございまして、その点を御指摘なつたようでありますが、いずれ安定法のようなものをつくります場合には、それらの隘路と申しますか、そういう点につきましても、法律の中においてこれを規定いたしたい、かように考えております。あくまでも精神農業保護建前から出ておるのであります。
  16. 井上良二

    井上委員 立法をされますものについては、そういう政治的な考慮払つて立法をされると、われわれも期待しておるのでありますが、現在の澱粉買上げというものが、今私の指摘いたしますような、すでに生産者の手を離れて製品化されたものを買い上げるということになつておりますから、そこで現在政府が買い上げます価格から逆算して、原料いも価格を割出して、それよりも不当に安く買つて生産したものを政府に売り渡すということになりますと、これはまつた農民踏み台にした政策である。こういうことになりますので、法的措置がないからというて、この問題を不問に付するわけには参りません。といいますのは政府も御承知通り、かつて米価を決定しますときには、その後の物価が上つて参りました場合は、さらにそれに伴つて格差生産農民に返すというバツク・ペイの処置をとつて来ております。この政府農民を保護するという立場から、当然全国の耕地の半分を占めております畑作農主要農産物であるかんしよ、ばれいしよの生産者を守るという立場からも、今回の買上げによつて農民が一向利益を受けないということになつたのでは、それは非難を受ける問題を残しますから、この際今申しますように、政府は逆算して生産者価格をはじき出して、それから不当に安く原料いもを買い上げて澱粉生産した会社に対しましては、その格差農民に返してやれという措置を当然とるべきであろうと思うのでありますが、そういう措置をとることが困難でありますか。それができますか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  17. 松浦東介

    松浦政府委員 井上さんがただいま仰せられましたように、また先ほど私から申し上げましたように、この制度、あるいは立法の気持、あるいは行政措置は、あくまで農業保護政策という観点に立つておりますことは、申し上げた通りでございます。但し現在はまだその安定法のようなものができておりませんので、先ほど申し上げましたように、一つの便法として行政的な措置をもつてつておるわけでございまして、御指摘の点についてもいろいろ個々に問題があるようでございますが、それらの問題につきましては、個々の問題についていろいろ研究中なのでありますけれども、いろいろ事務的に困難な面もあるようでございます。なお個々の問題につきましては、正確を期する意味において事務当局よりお答え申し上げます。
  18. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 井上委員からお話の御趣旨通りでございまして、この趣旨を貫徹いたしますためには、どうしてもいもそれ自体を買うというような措置がとられない限り、奥歯にものがはさまるような行政措置にならざるを得ないわけであります。ただいもそれ自体を買うということが非常に問題である。これはいろいろ財政的な面からも、管理の面から申しましても困難でございますし、現在澱粉買上げを通じましていも価格を安定するという方向を決定いたしましたのも、さような事情に基くものであります。ただいま政務次官からいろいろお話がございました通り井上委員の御質問の点はわれわれも十分検討いたしおるのでございます。ただただちにこの措置を、現在の建前のもとに措置できるかということになりますと、これは困難であるということを正直にお答え申し上げるよりほかはないのでありまして、農産物価格安定法といつたような制度法律的に樹立されるような際に、さような点がはつきりと打出されて実施になるということが、これを取扱います当局といたしましても非常に仕合せである、かように考えておるのでございます。
  19. 井上良二

    井上委員 本年買い上げる澱粉の結果によりますと、それはいも価格を安定さすと言うけれども、いもはもうすでに生産者の手を離れておりまして、いも価格安定というのは美名にすぎない。こういう結果しか現実にはなつていないわけです。大体澱粉会社がそれぞれ原料いもを買いつけます地帯は、およそ範囲がきまつておりまして、そんなに遠隔の地から買いつけるということはあり得ないのでありますから、もし異常な安い価格原料いもを買い上げて、政府澱粉を妥当な価格で売つております会社に対しては、政府としては当然そういうことを勧奨する必要があろうと思います。これは法的に規定されてなくとも、道義的な上からもまた政治的な考慮の上からも、当該澱粉製造の各メーカーに対して、そういう処置を講じよということを勧奨することは一向さしつかえない。またやるべきであると私は考えますから、これは政府の方でも一応御協議を願いたい。  次に伺つておきたいのは澱粉買上げ方法でありますが、たとえば政府買上げますところの、ある一定地域品物を持つて来させまして、そこで検査をやる。それで検査に不適当なものはこれを買上げないということにしているわけです。そうしますと、買上げが各県の澱粉なら澱粉生産しております現場で、米のように収買をしておりませんから、どうしてもある一定政府指定地域まで現物を持つて行かなければならぬ。そこで政府規格に合う、検査に合格したものだけは買い上げてもらえるけれども、そうでないものはまた再び生産地へ持つて帰る、こういうことが行われているのであります。そういうことは、結局は政府は買おうとして買わぬのじやないかというような印象を与えているようでありますが、そういう事実がありますか伺いたい。
  20. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 ただいま井上委員からのお話は、澱粉を買い入れます場合におきまして、現在政府消費地中心にいたしました倉庫のはい積み後の価格で買い取りをしているのでございますが、生産地におきまして工場あるいは倉庫検査をする、この検査農産物検査法または都道府県の条例によるところの委託検査といつたような形で、食糧庁検査官検査をいたしまして澱粉につきましては、現在規格一等から三等、等外ということになつておりますが、買上げの対象にいたしておりますのは、従来の実績から見まして一等、二等が非常に多い検査数量となり、三等、等外というものはほとんど微々たる数量でございますので、なるべく品質のよいものを買つて長期保管考えなければいかぬという意味合いからいたしまして、一等、二等につきまして買上げ処置を講じているのであります。そこで工場なり産地倉庫におきまして検査官検査をいたしましたものを、たとえば単協が県連、全販を通じまして消費地指定倉庫に持つて参つて、はい積み後の価格で買入れできるわけであります。ところが政府倉庫で全販から買上げます場合におきましては、もう一度検収をするわけであります。その検収の結果、産地検査をパスしましたものが、検収によりまして中にははねられるものも出て来たのでございます。井上委員の御指摘の点はこの点を御指摘されているのだろうと思うわけです。われわれといたしましても、同一の検査政府がして、しかも検収にはねるというのははなはだおかしいということで、その原因等も研究調査しているわけでございますが、現在その検収ではねられるものの原因は、水分が非常に多くなつているというものでございますとか、あるいは澱粉で酸化をいたしまして臭気を発しているというようなこともございますし、あるいは量目が非常に欠減をしているというような原因ではねているのでございます。そこで今までどうして産地検査の際に、そういつた検査が厳重になされて消費地まで運ばれないのかというような問題になるわけでございますが、この点は、澱粉検査が、買入れといつたような問題に結びつきまして実施されましたのが去年からでございまして、その準備等もはなはだ欠けていたのではないかということをわれわれも反省をいたしているのでございますが、中には買入れ要綱を発表いたします以前におきまして、地方によりますと多少検査がルーズになつてつたというようなところもあつたようで、ございまして、そのときに検査を受けて、買入れ要綱が発表された後におきまして国の買入れ処置に乗つて来たというような品物もあるように考えられるのでございます。非常に重要な問題でございますので、われわれといたしましても、あくまで十分実態を調査いたしまして、政府の悪いところはどしどし直して参りたい、かように考えているのでございます。
  21. 井上良二

    井上委員 もう一点この問題に関連して伺つておきたいのですが、政府は本年農林関係予算を獲得する一つ方法として、酒米を去年より今年ふやした。酒の税は下げるが、そのかわり増石の方で税収をはかろうとして、酒米割当をふやしている。これはけしからぬ政策です。貴重な内地米酒米に二、三十万石もよけいまわすというようなことは、まつた食糧政策考えないめちやくちやなやり方で、御存じのように配給基準量年令別その他の各段に細分化しておつて、末端では配給基準量簡素化を切実に要求している。現在たしか七、八段階にわかれていやせぬかと思うのでありますが、それを三段階ないし四段階に直すということが、どれほど大きく事務的能率を高め、かつ配給を受ける者も煩瑣な計算からのがれることができ得るのに、それさえ現状食糧事情からできない。これをやるためには少くとも百万石近い米がいるということから、食管事務当局ではこの配給基準量簡素化をやることさえでき得ない現状に置かれているのです。それほど貴重な内地米であります。それを酒米の方に繰込んでしまつて平気でいる。これと同じように、国内の澱粉による水あめその他の生産を、農村工業一つとして、また農家経済保護助長という見地から、免税処置を講じてまで保護して行こうとしておる。ところが一方では、砂糖大量輸入を認め、しかも砂糖に対しては、今度はまた税金を二割もよけいとる、こういう措置が講ぜられておりますね。こういうむちやくちやな政策というものが一体あり得ると政務次官はお考えですか。御存じ通り、あなたの出身県の方は米どころでございますから、年百年中内地米完全配給を大部分の人が受けておりましよう。ところが消費府県の者は、一箇月のうち十五日の政府の責任ある米の配給しか受けておりません。残余は粉食であります。そうしますと、粉食を取入れます場合、砂糖効用価値というものは非常に重要であります。今日砂糖ぜいたく品にあらずして、これは一つ食糧となつておるわけであります。重要な国民栄養給源になつておるのです。その国民生活の大きな部面を受持つ食生活の中の、さらにそのうちの半分以上が粉食によらなければ生活でき得ない現在の食糧構成において、粉食を取入れます場合の砂糖が、いかに家庭生活で重要な位置を占めておるかということを考えたときに砂糖から二割も税金をとつて年額五、六十億の消費税を巻き上げるというようなことは、一体どういう考え方でそういうことをおやりになつておるのですか、ひとつ責任のある答弁をお願いします。
  22. 松浦東介

    松浦政府委員 井上さんの該博なる御趣旨には私は敬意を表しますけれども、私がいくら米生産出身でありましても、生産県と消費地を非常に不公平に取扱うなどということは毛頭微塵考えたことはございません。また酒米云々でございますが、私は酒米のことは詳しくは知りませんが、農林省関係予算を獲得するために特に大量の酒米を提供したという事実はございません。ただ、今井上さん御承知のように、アルコール、ことに日本酒の需要がだんだんふえおることでございまするし、そこで多少酒米をふやしましても、濁酒、密造等のそういう不健康な酒を駆逐する意味においてもこれは多少必要である。そういう見解から若干の酒米が増加になつたことは事実でございますけれども、これを財源として提供して農林予算を獲得するなどというさもしい根性を、私は毛頭微塵も持つていないのでございますから、その点御了承願いたいと思います。
  23. 井上良二

    井上委員 一言政務次官に申し上げておくが、今政務次官生産県と消費県との区別をしていないと言われるが、あなたは食糧配給実態を知らぬでしよう。あなたの県は一箇月二十日分の内地米をもらつておる。現にあなたの方の山形県、福島県等、東北は一箇月二十日分の内地米をもらつている。こちらは十五日間もらうかもらわぬかである。そこで五日分はすでに差別しておるじやないか。現実そうなつておるんだ。それをあんた忘れて差別しておりはせんなんといつても、国民承知しない。十五日なら十五日におならしなさい。二十日なら二十日にならせばいい。それなら公平と言える。ところがあなたのおる県は二十日内地米を完全にもらつてつて、しかもやみ米は、いわゆる政府配給米より安いという実情にある。こつちの方は逆である。十五日もらつておるためにやみ米は二百円近い相場をしておる。そういう状態にあるときに、そういうむちやな——酒のやみ、密造を取締る、そういうものを少くするために、酒米をよけい配給してやつたらいいだろうというが、それは大きな見込み違いですよ。やみ、密造をやつておるのは、タバコにしても一緒だ。政府のタバコ、酒が価値以上の法外な税をとつておるところに密造があるのです。だから税を安くしてしまえば密造する人はありはせぬ。それをやらぬと、高い酒を何ぼつくつても飲める階級はおりはせんのじやないか。それだから、安くして多くの人が飲めるということなら、何も税務署のこわい目をのがれて密造しようなんという人はおりません。それだから密造しておるのは、酒が足らぬというのじやない。また酒がもし足らぬという場合は、合成酒その他をどんどん生産をする。今日合成酒は決してお互いのからだに危険なものでないということは事実である。だからしようちゆうを飲んでおる人の気持を考えてやらなければならぬ。一本千円するような一級酒をよけいつくつてもらつても、われわれ大衆の口には入らぬ。ですから、ほんとうに一ぱいの酒を飲んで慰安を求めておる勤労大衆を考えたときに、やはり今の配給基準量を直して行くというところにあたたかい政治がありはしないか、私はこう思うておる。何もあなたと議論しようと思わぬが、そういう点についてさらに一段の御考慮を煩わして、私のこの澱粉問題に関します質問は終ることにいたします。
  24. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私はこの機会に澱粉の相場関係についてお伺いしたいと思います。政府買上げの成績は、二十六年度産の場合においては、一貫目も買上げをする必要もなかつたわけですが、ただいまの報告を聞くと、大体百三十万貫程度買上げが進んでおるというお話であります。しかしこれは全体の生産量八千二百万貫から見れば、わずかに一・五%ぐらいの程度でありますが、この政府買上げ措置に伴つて、その後澱粉価格の状態はどういうような方向をたどつておるか、現在における政府買上げ価格と市場価格との見合いはどういうふうになつておるか、そういう点について具体的にお伺いしたいのであります。
  25. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 お話の点につきましては、御承知通り澱粉買上げは、先ほど申し上げましたが、農家協同組合等中心といたしましての自主的の出荷調整と申しますか、それによりまして、価格の安定をなるべくはかることが前提となつておるのでございます。それの裏打ちとしての国の買上げということが考えられておるのが出発点でございます。従いまして端的に、政府買入れ価格がただちに澱粉相場を左右する、あるいはいも価格を左右するというところまでは実勢が行つておらないのでございまして、われわれといたしましては、農業協同組合等を中心とする、大きな力がそこに生れて来るということを期待しておるのでございます。しからば具体的な動きはどういうふうな形になつたかというような御質問でございまするが、統計調査部の資料によりますると、二十七年の一月から本年の大体二月四日までの澱粉価格があるわけでございまするが、その初めの方を省きまして、八月以降の価格について申し上げますと、かんしよ澱粉につきましては、八、九、十、十一、十二、それから今年の一、二月というふうな順序で、八月の価格が二千七百五十円、九月が二千四百五十円、十月が千六百円、十一月が千六百九十円、十二月が千七百円、それから本年の一月、二月がいずれも千六百五十円というふうな価格が出ておるのであります。  ばれいしよ澱粉価格につきましても、大体同様の傾向でございまして、八月が三千五百二十円、九月が二千七百三十円、十月が二千三百五十円、十一月が二千五百五十円、十二月が二千四百七十円、一月が二千六百五十円、二月の四日現在ですが、二千七百五十円というふうな推移をたどつておるのであります。  それから生かんしよ、生ばれいしよ等の価格につきましては、これは食用と工業用との平均でございますので、澱粉の原料としての価格は反映いたしかねると思うわけでございますが、御参考のために読んで参りますると、生かんしよにつきまして、八月が六十四円八十九銭、九月が四十三円七十四銭、十月が三十円、十一月が二十二円、十二月が二十九円でございます。一、二月はちよつとわかりかねておるのでございます。  それから生ばれいしよの関係でございますが、これは八月が三十九円二十二銭、九月が三十二円二十九銭、十月が三十三円、十一月が三十五円、十二月が三十八円というふうな値段でございまして、政府の買入れ要綱が発表されましたのが十一月の十四日だと記憶しておるのでございます。その後十二月、一月の価格というものが、十月に比べますと多少高くなつたというような現状でございます。生かんしよは違いますが、十二月になると上つて来ておる。それで政府考えております価格水準という点に少しずつ近づきつつあるのではないかというふうに考えられておるわけであります。
  26. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一点は、澱粉生産量と国内における需要との関係がどういうようなことになつておるのか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  27. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 先ほど御説明申し上げました通り、二十七年産いもの推定収獲高が、かんしよで約十五億程度であります。それからばれいしよで六億七千万貫でございましてそれのかんしよ、ばれいしよともの用途別の推定消費見込みを考えてみますと、農家保有と、市場向きと、澱粉用と、アルコール用と、種子用と、切りぼしと、それからその他というふうに、生いもの用途としてはなつておるのであります。そのうちで澱粉用としてはかんしよが一八・七〇%、ばれいしよが二四・二%程度向けられるだろうと推定しておるのであります。その数字に基きまして、大体先ほど申し上げました通り、かんしよ、ばれいしよを原料とする澱粉生産量が八千二百二十万貫程度になつておるのでございます。しからば、澱粉の用途はどういうふうな用途になるかと申しますと、これはパーセンテージで推定いたしたのでありますが、水あめ、ぶどう糖に対しまして八〇%、水産練り製品の関係が五%、繊維関係が三・一%、加工澱粉澱粉粉というものが三・一%、医薬用が二・五%、ビール用が二・五%、雑工業用で三・八%といつたような用途別の比率になつておるのでございます。従いまして澱粉の用途といたしましては、水あめ、ぶどう糖というものが圧倒的な数量を占めておるのでございます。その結果、水あめ、ぶどう糖の需給関係というものが、ひいて澱粉価格に影響するというような関係になるのでございまして水あめ、ぶどう糖につきましては、砂糖関係でございますとか、あるいは出まわつて参りまするくだもの等の関係がございまして、現在のところ需要の方があまり振わないのでございますが、この季節が過ぎますと、また水あめ、ぶどう糖の需要が出て参るようでございます。需給関係といたしましては、現在の数量で大体とんとんに行くのではないか私どもは見込んでおるのでございます。従いまして従来澱粉価格が季節的に非常に変動しておる。端境期になりますと、非常に高くなつておるというような関係は、今度の買入れ措置によりまして農業団体等の自治的出荷調整による建前で、大体あまり年間の季節変動なしに澱粉価格が推移して参るのではないかと思うわけでございますが、そういうふうな建前から申しますと、この水あめ、ぶどう糖の需要というものも、その意味で安定した価格で伸びて参るのではないかと私どもは期待しておるのであります。なお、非常に関係の深い砂糖の問題等の価格、需給関係もございますが、この点は、われわれといたしまして、さかのぼつて農家いも価格というものに影響が大きくならぬように、なるべく調整に努力して参りたい、かように考えておるのでございます。
  28. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林次官に申し上げますが、この澱粉価格支持制度とつたということは一つの成功であると思いますが、この二箇年の経過を批判して、買上げを行う場合における時期的の問題ですが、これが生産者に非常に影響すると思うのであります。これは今後価格安定法等によつて恒久的な措置がとられると思いますが、少くともばれいしよ並びにかんしよを掘りとるような時期、工場に出荷する以前において、こういうような買上げ価格の値上げを発表するというようなことが行われなければ、価格発表以前に生産者いも工場に運び込まれてしまつて、先ほど井上委員が言つたように、すでに価格が決定になつた場合における生産者の損失というものは何ら還元されて来ないというようなことであつては、この法律も死んでしまうというふうに考える点が一つ。  それから時期の問題のほかにもう一つは、今度の政府買上げ処置につきましては第一期、二期、三期にわけて、そして時期別に価格が上つて行くようなことになつておるわけですが、一番大事なことは、このばれいしよやかんしよを掘り取つて工場に渡す時期の買上げ価格というものが原料いもに与える影響が非常に大きいのであります。それで少くとも生産者利益のためを考えて、こういうような法案を決定する場合においては、第一回の当初の買上げ価格というものに対して十分配慮をされる必要があると思うのでありますが、そういう点について次官はどういうように考えておられるか、お伺いしておきます。
  29. 松浦東介

    松浦政府委員 重要農産物価格維持制を設けんとしますのは、これは何べんも申し上げましたように、芳賀さんが仰せられましたような、つまり農業保護という見地からなすのでありまして、われわれ法律をつくるにあたりましては、できるだけそういう趣旨のもとにつくりたい、こう考えておるようなわけであります。ただいまのいろいろな御意見は十分尊重いたしまして、買上げ等、その他のいろいろな項目につきましてもよく研究いたしまして善処いたしたいと思います。
  30. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは将来のことに関しますが、生産者が一番心配しておることは、将来において澱粉等が国内に現在よりも増産されて国内における需要一が飽和状態に達したような場合においては、これは価格維持政策だけで安定をはかることはむずかしいことにもなると思うわけであります。そういう場合において、たとえば外国市場に国内の澱粉を出すというような事態も考えられるわけでありますが、そういう点について、政府はどのような研究をされておるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  31. 松浦東介

    松浦政府委員 政府に買い上げました澱粉の用途その他につきましても、目下研究中でございますが、用途を広めるとか、あるいはそれらのものについての輸出とか、これは十分今後研究して参りたい、かように考えます。         —————
  32. 坂田英一

    坂田委員長 次に肥料に関する問題について議事を進めます。井上君より発言を求められておりますのでこれを許します。井上良二君。
  33. 井上良二

    井上委員 肥料問題に関しましては、本委員会としては数回にわたつていろいろ審議を進めて参りました。政府の方も本委員会の意のあるところを参酌されまして、肥料問題に関する対策委員会、総理大臣の委嘱による委員会の構成ができ上り、連日肥料問題に関する具体的な対策をそれぞれ検討をされており、われわれ非常にその点に関しましては政府の努力に敬意を表するものでありますが、さりと申せ肥料問題は、今日何らの法的基礎の上に必要な対策を講ずることができず、また当面しまする国際価格と国内価格との一致しておりません現状から、春肥を前にいたしました全国の農民は、春肥の価格の引下げに対して相当大きな期待を政府並びに国会にかけていることは事実であります。そこでこの価格政策の問題につきまして、ここでいろいろ法的基礎のない、かつ価格統制が法的基礎の上で行われてない現状におきまして、いたずらにこの議論をいたしましても、結局は堂々めぐりみたいなことになるのでありまして、そこで国会としては、さらに事態の重要性にかんがみ、この際国会の意思を一応国民に明らかにし、また当面肥料対策委員会の審議の促進に資し、かつ政府の施策をすみやかに遂行できますような処置を講ずるため、ここに農林委員会の各派共同提案といたしまして、本会議肥料価格安定に関する決議を上程したいと考えております。その決議文の文案はあげて委員長の方に御一任をいたすことにいたし、なおこの案は本日ここで正式に提案をいたすのでありますから、各党それぞれ御検討願いまして、時期がきわめて急ぐ関係がございますので、できれば明日本会議が開かれます場合は、明日の本会議に提案ができますよう、各党においてそれぞれ態度の御決定を願いまして、もし提案が各党に異議ないということになりまするならば、各党共同提案といたしまして、農林委員長の本案に対する趣旨弁明をいたしてもらうことにおとりはからいを願いたいことを私から提案をいたします。  私の手元で持つておりまする試案は、主文は、「肥料価格安定に関する決議、政府は一貫せる肥料政策を確立し、肥料の国内価格の安定と引下げに関し速かに万全の措置を講ずべし、右決議する」大体こういう主文でございます。理由は多少意見が異なるところもありましようから、この際これを読むことを省略いたしまして、理由、主文等につきまして不十分なところがあります場合は、委員長で成案をいたしていただくようにお願いし、各党の了解を得ますならば、明日の本会議委員長趣旨弁明を願い、各党からこれに対する賛成演説をいたしまして、本決議は満場一致通過するように御努力願うよう、私からここに提案をいたします。
  34. 坂田英一

    坂田委員長 ただいま井上委員からの御提案がありましたが、これを決しまするに参考となりまする関係がありまするので、この際肥料委員会の中間報告を小委員長からいたしたいとの申出がありますから、これを許します。青木正君。
  35. 青木正

    青木(正)委員 ただいま井上委員から肥料問題に関する決議案を、委員会の一致する意見として本会議に提案するようとの御動議があつたのでありますが、これに関連いたしまして、肥料委員会における今日までの審議経過を簡単に申し上げまして本決議案の取扱い等の御参考に供していただきたいと思うのであります。  肥料委員会におきましては、昨年来本問題につきましていろいろ検討いたしました結果、御承知のごとく肥料価格の適正化並びに供給確保に関する件を決議いたしまして、これを政府に申入れいたしたのであります。これに基きまして政府側におきましても、本委員会の意向を十分に参酌せられ、昨年本決議がありますと早々に十六名の委員をもつて構成する肥料対策委員会を設置せられ、そうしてこの問題について検討を開始せられたのであります。しかるところその後の委員会の経過を見ますと、なかなか問題が広汎わたつておりますので、根本的な問題等も自然討議の対象となるおそれもあり、本委員会で最も憂慮しておりました春肥対策についての問題が急速に取上げられるかどうか、こういう点について若干の懸念もありましたので、今月に入りまして再び肥料委員会を開き、そうして小委員会としての態度を決定すべく論議いたしたのであります。  その委員会の経過につきまして概略申し上げますと、今月の二日に小委員会を開催いたしまして、政府側から松浦農林政務次官を初め、農林、通産、経済審議庁の方々に御出席を求め、政府肥料対策委員会の経過の御報告を受け、その経過の聴取に引続いて委員側からもいろいろの検討をいたしたのであります。その際におきまして一部少数意見といたしましては、この際肥料工業の経営内容まで立も入つてどうこうという論議はどうかというような議論もあつたのでありますが、結局大多数の覧といたしましては、いろいろな事情があるにいたしましても、国際価格よりも二百円も国内価格が上まわつておるというこの現実の姿に対しましては、どうしても農民の感情が許さない。これにつきましては何とかして農林委員会側としては農民感情の点も考慮いたしまして、春肥を前にいたして適当なる措置を講じてもらいたい、こういう意見に立ちまして、ここで決議案を出したらどうか。その決議の内容といたしましては、政府側として至急に肥料価格の安定の目先を立てるよう措置をすべきである。またそれが困難だという場合もありますので、そういう場合に対処するためには、法的な何らかの措置を講ずる必要もあるのではなかろうか。場合によりましては、また肥料価格の引下げをはかるために外安の輸入をはかつてはどうか。こういうことを内容とする決議を出してはどうかというような御意見の開陳もあつたのであります。これに対しまして松浦農林政務次官から、肥料対策委員会の経過もいろいろと説明があり、なるほど肥料対策委員会の審議経過は、あるいは農林委員会の期待する通りに進行していないという点もあるかもしれないけれども、ともかく政府側としては最善の方策を立てる、また委員会側にも十分政府の意向を伝え、また農林委員会の意向も伝えて、委員会側においては目下小委員会を設けて、大体十日までに結論を出すように小委員会側においてもせつかく検討中である、政府側もこれに対応して、できるだけ急速に対策を立てるように最善の努力を払つておるというような意味の御説明があつたのであります。そこで小委員会におきましては、小委員の大多数の意見である肥料の安定、値下げ、また春肥に対するいろいろの問題を至急に解決すべきであるという根本の趣旨におきましては、ほとんど大部分の方々が御異存がなかつたのであります。ただしかし、その決議案の取扱いにつきましては、松浦農林政務次官の御説明もあり、その意向も体しまして、十日に結論が出るということになつておりますので、それまでの経過を一応見てはどうか、かような申合せをその当日いたしまして、散会いたしたような次第であります。きわめて簡単でありますが、概略のことを申し上げました。
  36. 井上良二

    井上委員 ただいま小委員長からも御報告がございましたように、大体肥料問題に対する本委員会としての方向がおよそここに定まつて来ておるように思います。ただここで多少食い違いますのは、政府側といたしましては、肥料対策委員会の小委員会が十日の委員会において結論をつけるのではないだろうか、だからそれまで国会の方においても、この情勢を見た上で善処されてはどうかという意見があります。もちろんそういう御考慮も大切でありますが、問題は、この対策委員会なるものが法的基礎に立つて対策が立てられない関係から、どうしてもその結論はわれわれが期待するほどの結論はつきかねるのではないかという杞憂もあります。さらにまた、そこでかりに諸般の状況を検討されまして結論がついたとしましても、農民感情をまつたく裏切るがごとき、また農民感情に合致しないがごとき結論が出ました場合は、これはゆゆしき問題になります。そういうことからいたしまして、われわれはこの委員会が結論をつけますまでに国会の意思を明確に打出しておく必要がある。そうすれば委員会も、国会の意思がどこにあるかということもまた議論をされることになる。そこに妥当な諸般の情勢というものが考慮されて、結論をつけられるではないかとも考えられますので、この際ぜひひとつ、今私が申し上げました決議案が、明日の本会議に各党共同提案で提出できるようにおとりはからい願いたい。案文その他は委員長に一任、こういうことにしておきます。
  37. 坂田英一

    坂田委員長 暫時休憩いたします。     午後三時十九分休憩      ————◇—————     午後三時二十九分開議
  38. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまの井上君の御提案は、現下の情勢から、委員会としてはまことに適切なるものと認める次第でありますが、この趣旨を十分尊重いたしまして井上君の提案の趣旨を実現することを委員長においてとりまとめることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 坂田英一

    坂田委員長 なお文案等につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 坂田英一

    坂田委員長 それではさように決することにいたします。
  41. 井上良二

    井上委員 この際肥料問題に関しまして、二、三私から政府にだめを押しておきたい問題がございます。それは一つは、今春で政府価格引下げに関する問題を中心としての御答弁を伺つておりますと、出血輸出だ、出血輸出だというて、何か大きな損をして輸出をしておるような印象を与えて、そして国内価格はこれから安定帯価格よりも安く引下げることは困難であるような印象を与えるがごとき答弁が繰返されております。硫安が国内需要をはるかに上まわりまして、年間二百万トンにも近い生産がされております今日、当然硫安価格が引下げられることを、多くの農民は期待をしておるわけです。また現実にわれわれが各地方の肥料の取引の実情を調査いたしましても、たとえば十一月から十二月にかけましては、事実八百四十円という価格でもつて硫安が取引されております。ただ一月、二月になりましてからは、電力の事情や輸送の条件等が出て参りまして、先高の気配を示しておりますけれども、現に八百四十円台で硫安が取引されておるという事実を、われわれは無視するわけには行きません。そういう点から政府といたしましては、非常に困難な事業でありましようけれども、何としてもこの国内肥料価格を引下げるということに、この際政治的な手を打つていただきたい。と申しますのは、私ども終戦以来のわが国肥料生産の跡を顧みて、いかに肥料生産食糧増産の上に重大な政策であるかということから、必要以上の国家的な保護と、その事業の助成に力をいたして来ているのです。莫大な国家資金が投ぜられ、必要な価格補給金が出され、また金融的な処置が講ぜられて、終戦当時硫安が二十七、八万トンの生産にまで低下しておりましたものを、今日のように二百万トンまで飛躍的に増産する裏には、国家の保護政策というものが非常に大きく働いておることは事実であります。この国家から保護を受けてここまで増産をされて国内需要を上まわるものができているのに、肥料価格を下げることができないということは、何としてもこれは割切れぬ問題であり、しかも海外で二、三百円も安い価格で取引されているという事実に当面して、これは何としても、この際ひとつ価格を下げるように努力をしてもらわなければ農民感情が納まらないということを、私は強く政府に要請をしておきたい。同時にわれわれは、肥料が採算も合わず減産になるような政策は望んでおるわけではありません。肥料が国内の食糧増産の上に重要な役割を演ずるのみならず、かつ増産をされた分についたは、これが輸出産業として非常に大きな経済的効果、財政的役割を果すのでありますから、今後の肥料増産に対しては、政府としても国会としても、必要なる予算的、法律措置を講じて、これの保護助成をはからなければならぬとわれわれは考えておる。そういうことから考えて、この際目先の私利にメーカーを動かすことなく、将来の発展といいますか、この産業の確立の上からも、この際国民の協力を求める手として、ここに春肥に対する安定帯価格を大幅に引下げることが何としても必要であるということを御了承願いたいと思います。そういう面で政府としても、それぞれの対策を講ぜられるだろうと思いますが、この問題は、春肥の最盛期を目の前に控えておりますので、時期的に処理されませぬと何の役にも立たぬことになりますので、そういう点は十分御考慮されているとは思いますが、政府としては、われわれの意のあるところに対してどういうお考えでおりますか。それからまたその解決のおよそのめどはどういうところに置いおりますか。この際この二つについて、一つは経済審議庁の政務次官から、一つは当該の責任であります農林政務次官からお答えを願いたいと思います。  なお通産省の方におきましても、価格引下げに対して必要な石炭の価格の引下げであるとか、電力の割当の強化であるとか、資金的裏づけであるとか、あるいは輸出によるところの外貨獲得に対する諸般の対策に応じて、十分メーカーをして採算の合う経営に持つて行けるとわれわれはにらんでおりますが、そういう処置をおとりになりますか、この際通産省の政府委員から御答弁をいただきたい。
  42. 小川平二

    ○小川政府委員 ただいまるる御要望の御趣旨は十分に了承いたしました。従来政府がこの価格の引下げに対して熱意を示しておらないというお言葉でございましたが、今般肥料に関して審議会を設けまして、先般来申し上げておりますように、委員を督励いたしまして勉強を願つて、最短期間に具体的な結論を出すべく努力いたしておりますのも、ただいま御要望の線に沿つて行きたいと考えているからにほかならないのでございます。この委員会も何分発足早々でありますが、審議を急いでもらつており、先般コストの問題について小委員会を設けておるのでございまして、来る十日までに一応の結論を得て、委員会に報告してもらうということになつておるわけでございます。但し、正確なコストを捕捉するというような問題は、申すまでもなく非常に困難な事柄であることは御了承願えることと思うのでありまして、とうていさつきゆうに結論を得がたいというような見込みになりました場合には、審議会の進行状況とは別個に、政府として独自の対策を、御期待の線に沿つて打出して行かなければならないと考えておる次第でございます。
  43. 松浦東介

    松浦政府委員 食糧の増産は現下のわが国の政治、経済、あらゆる点から考えましても、これは党派を越えた大きな問題であると思います。そこで食糧増産をするには、政府政策もさることでありますけれども、これは農民の協力なくして、その実をあげるというわけには参りません。そこでこの食糧増産に最も関係の深い肥料の問題が、非常に大きな問題となるわけでございます。そこで井上さん御承知のように、この問題については、この委員会は前から関心を持ちまして、常に重要な発言をして参つたのでありますが、昨年の秋ごろから国際的に異常な事態が発生しましてそうしてここにはからずも国際的な価格と国内価格との調整が最も必要な事態に相なつたことは、これまた御承知通りでございます。現在の問題は、この国際価格と国内価格をいかに調整するか、そういう点が重大問題であると思うのでありまして、この調整をはかるために、その努力の一つとしまして御承知のような肥料対策委員会が設けられまして、今鋭意その結論を急いでおりますことは、ただいま小川政務次官からお答え申し上げた通りでございます。そこでわれわれは、その対策委員会の結論に対し非常に期待を持つておるようなわけでございますが、政府の内部におきましても、できるだけすみやかに意見の調整をしまして努力いたしたい、かように考えます。  国際価格と国内価格の調整とは申しましても、申し上げるまでもなく幅が非常にあるのでありますから、これは現実的には、現在の国内価格をどうしても下げる必要がある、こういう見解をわれわれは持つております。どのくらい下げるのが目的であるかということは、これまた目下努力中でございまして、御答弁申し上げる段階ではないわけでございます。
  44. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 化学肥料生産の増強の問題につきましての御質問にお答えいたします。特に重要でございます石炭、電力の増強、特に石炭価格の引下げを含む基本的な問題につきましては、目下通産省の最も重要な問題の一つとして、縦坑開発五箇年計画、こういうような問題も検討いたしております。電力につきましても、長期にわたります基本的な開発計画を立てまして、これに対するあらゆる努力を傾到いたしております。  なお化学肥料工業自体に対する合理化の問題につきましては、従来も合理化資金という面におきまして特段の留意をいたしておる次第でございますが、先般来当委員会においても申し上げましたように、さしあたり肥料工業のうちで割高と考えられます石炭——コークス法のコスト引下げにつきまして、特に必要なる合理化、設備の改善ということの問題に対する資金は優先的に考慮いたしたいと思います。  なお肥料の輸出上の有利性を確保する意味合いで、先般優先外貨の実施を本年の一月一日から実施することにいたしております。優先外貨の率は最高一五%といたしておりますが、肥料にはその最高の一五%を適用することにいたしております。なお化学肥料生産の増強については、その他所要の問題について遺憾のないよう努力して参る予定でございます。
  45. 井上良二

    井上委員 もう一点確めておきたいのです。今政務次官から肥料対策に対する愼重なる答弁を願つたのでありますが、その答弁中にもございますように、肥料の増産に伴う価格安定の問題は、国際価格との競合におきまして非常に今後問題になろうと思います。そこで今までのように、肥料生産に対して単なる資金的、予算的援助を与えるというだけでは、事態は解決できない状態になろうかと思います。どうしても国際価格が動揺いたしており、これがまた国内価格にはね返つて参る今日の国際経済の建前から、当然肥料に対する生産を確保するという面と、それから一つは、でき上つた生産物に対する価格の安定という線が明確に確保されておりませんと、年百年中こういうような議論を繰返しておらなければならぬ事態になりはしないか、こう私は憂えておるのであります。そういう見地より、この際肥料の需給、価格の安定をはかります上から、価格安定等に関する需給安定法というようなものを制定する意思があるかないか。これはぜひそういう方向へ行かなければ事態は収拾できなくなる、こう私は見ておりますが、政府のお考えはどうでありましようか、お伺いしたい。
  46. 松浦東介

    松浦政府委員 ただいまの井上さんの御発言は非常に重要でございまして、私もこれは政府を代表してお答え申し上げるというわけには参りません。しかしながら今仰せられましたように、国際価格と国内価格との調整をはかることが目的であり、国際価格と国内価格には相当な幅があるのでございますから、現実的にはこれは引下げるための一つ方法を講じておる、すなわち安定帯価格を改訂する必要がある、そういう見解のもとに私どもはいろいろ努力を続けておるわけでございまするが、国際的な関係から見ましても、国内の今後の肥料生産等を考えましても、対策委員会にはわが国の有数のその方面の権威者が集まつておることでございますので、私はそこにも大きな期待を持つておるわけであります。またメーカー側においても、それらの事情等は十分わかるであろうことを私は期待申し上げております。しかしながらどうしてもその間調整がつかないというような場合は——これは私の個人的見解でございますが、どうしてもその間目的を達することができないという場合は、私は立法措置等もあるいはあり得ることではないかと考えておりますけれども、今政府を代表してこれを申し上げる段階ではございません。
  47. 坂田英一

    坂田委員長 本日はこれにて散会いたします。次回は公報をもつてお知らせいたします。なお明日は午前十時から水産委員会との連合審査会を開会する予定でありまするから、御了承を願います。     午後三時四十九分散会