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1952-12-22 第15回国会 衆議院 農林委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十二日(月曜日)     午後二時五十一分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 野原 正勝君 理事 原 健三郎君    理事 平川 篤雄君 理事 井上 良二君    理事 足鹿  覺君       青木  正君    秋山 利恭君      小笠原八十美君    高見 三郎君       中馬 辰猪君    寺島隆太郎君       松野 頼三君    金子與重郎君       高瀬  傳君    中村 寅太君       川俣 清音君    芳賀  貢君       山本 幸一君    中村 英男君  出席政府委員         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君         食糧庁長官   東畑 四郎君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局飼料課         長)      花園 一郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十二月二十二日  飼料需給安定法案小笠原八十美君外十二名提  出、衆法第二三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  飼料需給安定法案小笠原八十美君外十二名提  出、衆法第二三号)     —————————————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより農林委員会を開会いたします。  この際お知らせいたします。本日小笠原八十美君外十二名提出飼料需給安定法案が本委員会に付託になりました。これより本案議題といたし審査を進めます。まず本案趣旨について提出者説明を求めます。寺島隆太郎君。
  3. 寺島隆太郎

    寺島委員 提案者を代表いたしまして、一言飼料需給安定法案提案理由説明を申し上げます。  ただいま議題と相なりました飼料需給安定法案に関して、提案理由を御説明申し上げます。  飼料国内需給現状を見まするに、供給量需要量に対しまして相当の不足を告げておりますために、その格価は必ずしも低廉とは申せないのであります。特に一部の主要飼料については、生産と消費との時期にずれがあつて価格季節的変動が著しいのであります。また、飼料輸入に関しましては、国内価格の安定に欠くるところがあつて民間輸入は至つて低調な状況であります。しかして、畜産業現状よりいたしまするに、専業者はもちろん、一般有畜農家におきましても、自給飼料生産はいまだ十分でなく、経営の中において占める飼料購入費の割合はきわめて大きく、飼料価格をできるだけ低位に安定しなければ、その発展向上を見ることは至難と存ぜられるのであります。政府が現に実施中の畜産振興計画におきましても、飼料問題の解決なくして、その完遂を期することはできません。  以上申し述べました事情のもとにおいて、飼料価格を安定し、引下げまするためにはいかなる方法をとるべきかといいまするに、まず何よりも供給の絶対量を増加することがかんじんであると思うのであります。従いまして、当面のかような要請に応じ、政府は、食糧管理特別会計をして輸入飼料の買入れ、保管及び売渡しを行わしめ、飼料需給及び価格の安定をはかり、もつて畜産振興に貢献せしめようとして本案提出することといたした次第であります。  次に法案の主要な内容を申し上げます。  まず、政府の買入れ対象は、農林大臣飼料の用に供するものと認めた輸入にかかる麦類、ふすま、とうもろこし及び農林大臣指定する飼料といたしております。しかして、輸入飼料の買入れ価格については、別段の規定を設けておらないのでありますが、政府所有飼料売渡し価格に関しましては、国内飼料市価等を参酌し、畜産業を安定させることを旨として農林大臣が定めまする予定価格によらしめることといたし、できるだけ安価な飼料供給するよう期待したのであります。しかして、飼料需給が逼迫し、価格が著しく騰貴しました場合の特別の措置としまして、政府所有する小麦を売り渡す場合、相手方に対して、その小麦から生産されるふすまの譲渡または使用について、時期の指定価格制限等条件をつけ得ることとしたのであります。  なお本法の適正な運用をはかりますために、農林省に飼料需給安定審議会を設置せしむることといたしました。  以上が、本法案の概要であります。会期切迫折柄ではありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決を賜わらんことをお願い申し上ぐる次第であります。
  4. 坂田英一

    坂田委員長 これより質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。金子與重郎君。
  5. 金子與重郎

    金子委員 今の食糧問題を解決する上に畜産重要性ということは申すまでもないことでありますが、それに対して非常な隘路となつております飼料需給調整がはずされて以来、畜産農家購入飼料の騰貴によつて非常な困難を来しておるという現実におきまして、毎国会この飼料問題が出て来るのでありますが、前国会におきましても、前々国会におきましても、不幸にしてこれらの法案というものが日の目を見ずに今日に至つておるわけであります。そこで私どもは、従前通り国会にも飼料需給調整法案というものを提案しておるわけであります。そこでそれに先だつてただいま飼料需給安定法案というものが上提されたのでありますが、これは本来のあり方とするならば、今度の安定法考え方と、ただいまわれわれが提案しました需給調整法考え方と両方の特徴なり、欠陥なり、あるいは行き過ぎなりを調整いたしまして、そして各党共同提案によつて行くことを私どもは一番理想の形として望んだのでありますが、ここに飼料需給安定法案が先に上程されましたゆえに、その法律の枢要な点数箇所に対して私どもの疑問を解きたいと思うのであります。  まず第一に、この飼料需給安定法案は第一条、第二条の点にも書いてある通り輸入飼料といもうのを対象にしてこの安定をはかろう、輸入飼料の買入れその他の操作によつて国内飼料価格並びに需給の安定をはかろう、こういうことをねらつておると思うのでありますが、これは後に入れたという第七条によると、ときには国内飼料も扱えるかのようにも見受けられるのでありますが、この法律では、あくまで輸入飼料というものだけを対象にして立法基礎を考えておつたかどうかということを質問したいと思います。
  6. 寺島隆太郎

    寺島委員 本法につきましては、ただいま御質疑通りでございまして、輸入飼料に対する措置をもつぱら考えておるのであります。さりながら必要に応じましては、第七条に掲げておりますような国内のものにつきましても及ぶことがあるのでありまして、建前といたしましては、あくまで飼料の安定した需給を考えておる次第であります。
  7. 金子與重郎

    金子委員 第七条に国内飼料需給が非常に困難あるいは逼迫を来したときには、政府の手持ちしておるところの、小麦の副産物であるところのふすまをさしておると思いますが、これらのものを、この安定物資一つ対象にするということをうたつてありますが、この払下げ条項であるとか、あるいは買上げ条項というような字句には、常に輸入飼料輸入飼料というふうに書いてあるのでありまするが、そうすると、この七条というのは、この法律と別に独自な立場で働くわけですか。ほかの条文には全部輸入飼料を払い下げる場合にはどうであるとか、輸入飼料を買い上げる場合にはどうとかいうように、「輸入」という字が入つておるわけであります。そうしますと、今の国内産のふすまを買い入れるというときには、この七条の問題は、買入れも売渡しも別個な立場で、ほかの条文とは関係なしに働くのでありますか、その点を承りたい。
  8. 長谷川清

    長谷川政府委員 便宜私からお答えを申し上げたいと思います。  今提案されております法案趣旨は、ただいま寺島さんがお話になりましたように、輸入飼料中心需給の安定をはかろうということがねらいであると考えるのでありますが、しかしそれのみによりまして本法目的を達しがたい場合におきましては、第七条によりまして、国内産のものにつきましても、その需給の調節をする措置をとり得ることの例外的の規定を設けられたものであるというふうに解釈しておる次第であります。
  9. 金子與重郎

    金子委員 例外規定でありまするけれども、もしこれを適用いたした場合には、国内産飼料というものは、現実政府の手持ちの中に生れて来るわけです。そうすると、個々の売渡しのときや何かのときに、第五条とか、あるいは第六条というふうなこの条文は、輸入飼料を買い上げる場合だとか、輸入飼料を払い下げる場合にはどうということだけしか書いてないわけです。そうすると、国内産飼料に対して、売渡しとか、買上げというような形式はどういう形で起るかということは、別な解釈になるということを申し上げておるわけであります。
  10. 長谷川清

    長谷川政府委員 お話通りに、本法の全体の建前は、輸入飼料について規定をしておるのであります。ただ第七条に関しましては、政府は特に必要がある場合におきましては、その所有にかかる小麦を売り渡す、そのときにおいて、相手方に対し、その譲渡または使用に関し必要なる条件を付することができる、こういうふうになつておりまして、第七条に関します場合に限りまして、輸入飼料以外において政府所有しておりますところの飼料につきましても、今申し上げましたような条件を付することができるというふうになつておる次第であります。
  11. 金子與重郎

    金子委員 この問題はちよつと御理解願いにくい問題でありますけれども考え方によつて非常に重要なポイントでありますのでお尋ねしたいと思うのは、問題は、この法律というものは輸入飼料政府が買い上げたり、あるいはそれを払い下げたりする問題を中心にして規制しておるわけであります。そうしますと第七条という特例を設けて、これを買い上げる場合には政府が買い上げることもある。政府が買い上げるときには、それは国内飼料なんですから、輸人飼料を払い下げる場合という条項国内飼料には当てはまるか、当てはまらないか、こういうことです。言いかえれば、かりにこれを私の考えておる点に対して当てはめてみればこういうことなんです。これは意見になりますが、私は一つの例として申し上げるのですから……。今度の輸入飼料という限定を、輸入飼料は、輸入飼料はというこの字句を、かりに特定飼料というふうな形にして、そうしてもし国内飼料というものをすぐその特定飼料に入れないでおくという、いわゆる今あなたの方でお出しになつた法律と同じような立場に置くならば、特定飼料という名前にしておいて、そうしてその特定飼料指定審議会がやる、そうして審議会はさしあたり輸入飼料対象にする。国内全体の需給が合わなかつたときにはその特定飼料の中に、農林大臣国内のものも入れる、こういうような見解の上に立てば、今言うような疑義はなくなるわけです。ですからそういうふうな考え方はできないか、実際においては、当座において国内飼料というものを農林大臣特定飼料範囲指定しなければ今のままになつておるわけです。そうすると非常のとき今あなたの言う七条というものの特例を施行しなければならぬような場合は、審議会国内飼料もこの際特定飼料の中に入れろ、そうしてまた全国の需給調整をにらんで、その必要があると見たときには、農林大臣は入れるという、かりにそういうふうな考え方になれば、ここに輸入飼料を払い下げるときには、輸入飼料を買い上げるときにはというふうな法文をここに置いて、ただ七条だけを独立に働くというような考え方でなく、特定飼料というものは全体にどの法文も引つかかつて生きる、但しその指定にあたつて今の国内ふすまというものをすぐそうすることは困るというような今の安定法考え方であるならば、国内飼料というものを特別指定から除いておいたならば問題はないじやないか、その方が法として活用の範囲から見ましても、今後の重要性から見ましても、非常にすんなりした形がとれはせぬか、これはあなたの方で私の質問がよく了解にならぬと思うから例をあげて申し上げたわけです。その点に対して御意見いかがです。
  12. 長谷川清

    長谷川政府委員 御承知のように、飼料需給上現在一番困つておりますのは、輸入飼料計画通りに入つて来ないということが飼料需給調整におきましても、また価格調整におきましても、最もポイントをなしておる点でありますので、本案におかれましては、その点を中心にいたしまして、輸入飼料を確保しようということをとりあえずのねらいに考えておるものであると思うのであります。もちろん国内産飼料につきましても、これに何らかの規則を加える必要が考えられますので、従つてその点を考慮せられまして、第七条が規定せられておるものと考えるものでありますが、第七条は、これは政府が買い上げるというような措置を考えておるのではございませんで、政府所有しておりますところの小麦を払い下げます場合に、それから発生いたしまするふすまについて、その譲渡または使用に関し、時期の指定価格制限、その他必要なる条件を付そう、こういう考え方に相なつておるのであります。お話のように輸入飼料及び国内飼料全部を政府で買い上げまして、これを配給統制するということももちろん考え方として成り立つと思いまするし、徹底して配給統制をする場合には、そういう方法があり得るというふうに私たちも考えるのでありますが、現在の段階におきましては、先ほど申し上げましたように、とにもかくにも輸入飼料の確保をはかるということが、この際といたしましては最も必要事でありますので、本法案はその点を強くこの法律に織り込まれておるものだというふうに考えておる次第でございます。
  13. 金子與重郎

    金子委員 局長は私の話したことをそのまますなおにとつてない。輸入飼料中心にしてこの法案が出たということは、さつき言つた通りなんです。しかし七条の問題まで、国内飼料まで考えるというならば、考えるからこそ第七条を入れたんでしよう。それだけ考えるならば、私も今国内飼料をすぐ入れろという、全部買い上げろということを一つも言つておるのではない、そういうことを言つておるのではない。特定飼料という名前にしておいて、そうして農林大臣は今の段階において輸入飼料調整することによつて目的が達せられると思つたら、輸入飼料だけを特定飼料指定すればいい。それがもつと強化されなくてはならぬということになつたならば、国内飼料もこれに入れるということもあるいはあり得るかもわからぬ。私は今ここで国内飼料を全部買い上げろ、配給統制にしろということを主張する意味ではなくて、輸入飼料法律という考え方ではなくて、特定飼料という考え方にしておくならば、もつと法律の幅が広くなりはせぬか、あとで苦労せぬで済むんじやないか。この考え方なのです。それがいいか悪いかということについてのあなたの意見を聞いておるのです。
  14. 長谷川清

    長谷川政府委員 先ほど申し上げましたように、特定飼料といたしまして、国内飼料をも買上げ配給をするという考え方は、飼料配給を徹底的に統制してやろうという場合には一応考えられると思いまするが、この法律国内飼料に対しまする考え方は、政府がふすまを買い上げて配給統制をしようということを、この法律はねらつておらないようでありまして、ただ政府が払い下げます小麦から生産されるふすまについて、必要なる条件を付することによりまして、飼料価格の安定をはかろう、こういうことをねらつておるというように考えておる次第であります。     〔委員長退席野原委員長代理着席
  15. 金子與重郎

    金子委員 あなたは私の質問を曲げてばかりいるからだめなんです。私は国内飼料を買い上げて払い下げろとか、規格の中に入れろということをひとつも主張しておらぬのです。ただ輸入飼料に対する法律ということでなくて、飼料問題の解決のために飼料全体の安定をはかるというならば、特定飼料という名前にしておいて、当座は今あなたの言うような状態であるならば、輸入飼料だけを特定飼料指定しておいたらいい。もしもつと非常事態が来たならば、国内のものも入れられるようにしておいて——今入れろということを言つているのじやない。従つてこの法律をことさらに輸入飼料に限定した狭い考え方をしなくともいいじやないか。それに対してそういう法律ではどこが悪いか、あなたの意見を聞きたいというのです。
  16. 長谷川清

    長谷川政府委員 私はこの法案趣旨を御説明申し上げておるのでありますが、この七条がねらつておりますのは、一条の輸入飼料に対する考え方とは違うのでございまして、七条は全面的に政府がふすまを買い上げるということを考えておらないようであります。しかし今お話のように、国内のものをも全部買い上げろということになりますれば、特定飼料ということにいたしまして、輸入飼料に限らず、国内産飼料をもここに含めておくということは、考え方として成り立ち得る、こういうふうに考えるのでありますか、たたこの際そこまで一挙にやる必要があるかどうかという点につきましては、いろいろ提案者にも御意見があるのではないかというふうに思つておる次第でございます。
  17. 金子與重郎

    金子委員 どうしてもあなたの答えはすつきりとわからない。これでこの問題に関する限り押問答をやめますが、この飼料需給安定法などというものは実にごまかしの名だと思うのです。この名の通りだとすれば、飼料需給安定のためにする輸入品に対する処置をきめる法律ということになるわけですか。
  18. 長谷川清

    長谷川政府委員 その点は輸入飼料が計画的に輸入せられるということでありますれば、国内飼料需給の安定は期せられるものであるというふうに考えておるわけであります。
  19. 金子與重郎

    金子委員 このことは時間を空費しますから、私には了解できないけれども、これで打切つておきます。  次に、今のこの法律輸入飼料対策としての法律なのか。もしそうならば、飼料安定法なんというものはまゆつばではないか、そんな飼料安定法という大きな看板をかけなくたつて輸入飼料に対する処置法でいいわけです。そうでなくて飼料安定法という広い幅の名前をつけるならば——これは私は三回も申し上げますが、国内飼料をすぐ買上げて、すぐ配給しろということはひとつも言つておらないのです。ただ飼料安定法という法律であるならば、幅を広くとつて輸入飼料であるとか国内飼料というような言葉でなく、特定飼料という名前にしておいて、その特定として指定するのは、現段階においては外国飼料だけとすれば、今の法律案と同じ取扱いということになるわけです。あと指定しないでおけば、国内飼料は放任されておる、そういうふうな幅のある法律にした方がいいのじやないかということを聞いておるが、あなたは常にその問いに対する答弁を逃げておるから、これは聞いてもしかたがないから言わぬ。  そこで第二の問題といたしまして、第六条に「政府は、前条の規定による輸入飼料を売り渡す場合には、その相手方に対し、売渡に係る輸入飼料(これを原料又は材料として製造した飼料を含む。)の譲渡又は使用に関し、時期の指定価格制限その他必要な条件を附することができる。」こういう条項があるのでありますが、もし、そういう必要なる条件を付しまして払い下げて、私がそれを守らなかつたときにはどうなるのですか。
  20. 長谷川清

    長谷川政府委員 第六条の必要なる条件と申しますのは、ある契約相手方に対しまして、違約金の徴収でありますとか、あるいは次の回における原料売渡し停止等措置を考えておるのでありまして、もし相手方がその条件に違反をいたしますような場合におきましては、違約金契約従つて取上げる、あるいは次の原料売渡しのときにその相手方払下げをしないというようなことを考えておる次第でございます。
  21. 金子與重郎

    金子委員 今あなたの答弁によると、それに違約した場合には、違約金を徴収するとか、あるいは次の払下げ指定を取消すとかいうようなことがあるそうですが、それはこの法律のどこの条文にあるのですか。
  22. 長谷川清

    長谷川政府委員 第六条の必要なる条件の中にそういうことを契約いたしまして、その契約に基いて、今申しましたような措置をいたしたいと考えておる次第でございます。
  23. 金子與重郎

    金子委員 これは自由にするのだ、いわゆる統制はいけないのだという一つのものの考え方基礎を置くならば、政府がやはり物資を払い下げるのに、特定の用途だとか、あるいは配給方法であるとか、時期であるとかいうようなことを指定すること自体が少しおかしいのであります。しかしこれはせつかく財政資金を使つて輸入した貴重な飼料でありますから、これを中間の利潤の対象物にせずに、末端の畜産家のために、一定の価格で届けるということが目的でありますから、この条項を付することは私は賛成なのです。しかしながらあなたはただこの契約条項の中にそれを入れるというお話でありますが、それは私としては非常に弱いのではないかと思う。むしろそれならばこの法律にきめて、第六条の二なら二に違約条項というものをはつきり入れるべきじやないか。違約した場合にはどうするのだということを立法化したらどうか。それはあなたが契約書の中にそれを入れるというのと、それを立法化するというのと、どこに違いがあるのですか。やることは同じじやありませんか。ただ事務的に事務屋契約書の中に書くのと、ここに法律でこういうふうに違約した場合には次の払下げをせぬとか、あるいはこうだとか、違約条項がたいていの法律ならばあると思うのであります。その違約条項を入れることに対してあなたはどういう考え方ですか。
  24. 長谷川清

    長谷川政府委員 違約いたしました場合に、法律罰則規定でこれを取締るということも、確かに有力なる一つ方法であると考えます。ただ一般的な社会立法と違いまして、経済行為を規律する経済的立法でありますので、契約相手方制裁を加えることができますれば、それで一応の効果を期待することができる、あえて罰則規定までを経済立法に織り込むことはどうかという考慮から、こういうことになつておるのであろうというふうに考える次第であります。
  25. 小笠原八十美

    小笠原(八)委員 いろいろ御質問があつたようでありますが、これの制裁についての法律問題に対しての御質疑があるようであります。これは前々から飼料問題解決のためには、農林委員の諸君が、各一派においてもいろいろな角度から御研究なされて来たことでありますからよく御承知のことと思いますが、何とかして全員のとりまとめをしようということに今日は努めて来たのであります。ただここの一角の問題の御質問に対して答えるには——ただちに法律をもつてこれに制裁を加えるというよりも、この法律さえきまれば、これに違反した者に対してはいろいろな角度から制裁を加える。今長谷川君が言つた通り、払い下げの制度をやめてみたり、あるいはまたその他買上げを停止してみたり、いろいろな方法制裁を加えれば十分だ、別段あらためて法律をつくらなくても、目的さえ達すればそれで十分なりという考えからこれをつくり始めたのでありますから、その点金子君も賛成で、十分御承知のことと考えておりますから、そういうふうに解釈を願いたいのであります。
  26. 金子與重郎

    金子委員 ただいま小笠原さんがおつしやるように、何とかしなくちやならぬということを真剣に考えればこそ、私どもはこうして真剣になつて質問を申し上げるのであります。それから運用契約書でやればできるとかいうようなことは、それは法律うたつてはならない条項であるかどうかということを聞いておるので、法律うたつてさしつかえないならば、法律うたつた方がすなおじやないか。行政的にやれることだつたらば、契約書でうたつたつて法律でうたつたつて、実際の制約の面は同じでしよう。しかも法律うたつた方がすなおです。ですからそういう意味で、それは法律うたつてはいけないならば、こういう事情法律にうたわれないのだということを納得の行くように説明願いたい。こういうことなんです。
  27. 小笠原八十美

    小笠原(八)委員 それは法律にうたうことは一向さしつかえありませんけれども法律に何か制裁を加えるような条項を加えるよりも、契約であろうが、その他の方法によつて飼料のこの法案目的を達し得られる今日の事情にあることは、金子さん十分御承知通りだから、そういうことで解決をつけておく方が至当なりと考えた次第であります。
  28. 金子與重郎

    金子委員 全体的な抽象論につきまして、観念的な考え方は、だれも一致しておるのであります。ただそれを具体的な方法に表わすのがこの法律なのでありまして、考えていただけでは実行できない。問題は、法律に表わして、これを実行するところにあるわけです。実行するということになりますと、その法律によつて実行された結果が、できるだけ最小の国家資材なり、最小の労力で、最大の目的を達するようにということを念願するのが、私はこの法律の真意だと思いますので申し上げるのですから、そういう意味で別に私はこれに反対しているわけでも何でもない。同じ百億なら百億の政府資金を出したら、的確にこの目的が達せられるようにしたいから私どもは申し上げているわけです。法律にした方がいいか悪いかということについては、的確な御答弁がないようでありますが、時間を空費しますし、ほかに質問者がたくさんありますから、私はあと二、三要点だけ質問して、私の質問を一応保留しておきたいと思います。  もう一つは、ただいまの説明によりますと、契約条項の中に、時期とか、あるいは価格制限とか、いろいろなものを入れるというふうなお話でありましたが、その結果をどういうふうにしてとりまとめてみるのか、はたしてその通りつたか守らぬかという見返りがこの法律には少しもないわけでありますが、それはどういうふうな考え方でございますか。
  29. 長谷川清

    長谷川政府委員 報告の義務に関しましても、やはりこの制限その他必要なる条件の中に入れまして、必要なる報告を聴取することができるというふうに考えられております。
  30. 金子與重郎

    金子委員 この理論は、これ以上御質問しましても、さつきのところを堂堂めぐりすると思いますから、この問題は一応保留しておきます。  それから政府が、いろいろ民間に対してこうした政府財産を払い下げるときに、今度政府外国飼料なら外国飼料をどういう団体に何トンくらい払い下げたかということを一般消費者が知ることによつて、注意力が増す、またそれに対する矛盾を解決する方法はあると思うのでありますが、こういう政府の大切な金を使つて輸入したものを払い下げるのでありますから、政府はどういう団体に、どれだけの価格で、どういう条件で払い下げたということは、やはり国民に公示すべきだと思いますが、その点もこの法律うたつておりませんが、そのうたわない理由はどういう点にありますか。
  31. 長谷川清

    長谷川政府委員 お話通り政府特定目的をもつて払い下げるものでありますので、その払い下げました結果、すなわちどういう相手方に、どういう値段で、どういう数量を流したかということを公表いたしますことは、非常にけつこうなことだと考えているのであります。ただその点につきましては、現在食糧庁が払い下げております食糧につきましてもその公表をやつておるのでありまして、あえて法律規定を要しませんので、事実上そういうことはやりたい、またこれでやれるというふうに考える次第であります。
  32. 金子與重郎

    金子委員 この問題につきましては、今の御答弁では満足できないのであります。やはり私の考えといたしましては、はつきりこの法律で、払い下げたときには公表しろということをうたうべきであります。またそういう条文例はほかの場合にもたくさんあると思いますので、そう考えるが、それは意見になりますから控えておきます。  それから審議会条項がここに十まで大分こまかく入つているようでありますが、飼料関係業者及び関係行政機関という中に、消費面を代表するものはこのどこに考えているわけですか。
  33. 長谷川清

    長谷川政府委員 この飼料関係業者という中には、飼料生産者、輸入業者、配給業者のほかに、飼料を使います使用者の代表につきましてもこれに入るものだというふうに考えております。
  34. 金子與重郎

    金子委員 そうしますと、この審議会は、飼料需給、及び価格の安定のために必要な事項に関し、ということになりますと、払い下げの時期とか価格とかいうものも、当然審議会審議条項になると思いますが、そのうちに、一体飼料の関係者、えさ屋さんなんか入れたら、えらい矛盾じやないかと思いますが、この点はどういう見解を持つておりますか。
  35. 長谷川清

    長谷川政府委員 この委員の中には、ここにもありますように、飼料の関係業者のほかに、飼料に関する学識経験者、あるいは関係行政官庁の者等も含まれるのでありまして、皆さんで御協議を願えれば適当な結論が出るものだ、こういうふうに考えます。
  36. 金子與重郎

    金子委員 この法案がこういうふうにして難航していることにも、業者の大きな力が働いていることはわかつているのです。今この審議会価格をきめたり、方法をきめるのに、また飼料配給関係の、いわゆるえさ屋関係業者を入れて、それをきめるということは、これは若干私には納得できない。しかしそれ以上は意見になりますので、そこで私は時間がきようはずれておりますし、他に質問者があると思いまするから、独占することは恐縮に存じますので、私の質問を一応保留いたしまして、次に進んでいただきたいと思います。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 提案者でも政府でもけつこうですが、主として法律ができますと政府が運営に当られるのでありますから、政府からお伺いいたしたいと思います。私のお伺いいたしたいと思いますことは、先刻金子委員がお尋ねになつて、若干重複する点もあろうかと思いますが、観点が若干違う点がありまするから、もし重複しておりましたらお許しをいただきたい。大体四つの点を大きくお伺いしたい。第一は、この飼料価格が高騰したときにはこの法律がどういう効果をもたらすか、この措置が不徹底だと思うが、この点について伺いたい。第二点は、予算上の措置についてはどういうふうになつておるかということを伺いたい。畜産委員会ではお話があつたかもしれませんが、全体のわれわれの委員会としては聞いておりません。第三点は輸入飼料の売却の点について、非常に私はこういう規定の仕方ではおもしろくないと思うのです。そういう点。最後に今金子さんからもありました審議会の構成と運営という点を、大体大まかに四つの点を伺いたいと思う。  まず第一の飼料価格高騰に対する措置ですが、現在飼料が高騰しておるということは、原因は絶対量が足りないからです。その絶対量が足りなくなつたということは、政府が無謀な麦の統制を撤廃したということが基本的な原因になつているのです。そういうことをいまさら言つてみたつてしようがありませんが、しからばその絶対量を確保して行くということについて、輸入量の確保がまず根本だろうと思うのですが、この輸入促進の対策について本法よりもまずそのとられなければならないことは、飼料が足りないから上るのだから、輸入促進の措置を講じなければならぬ。一体どういうふうな御措置をとつておられまするか、それからお伺いいたしたいのです。それで非常に輸入が停滞しておるということはいろいろな原因があろうと思うのです。大きな声で言えないような実情もわれわれは聞いおりますが、今それらは別として、そういう困難を排して政府には、本法がかりにもしできた場合に、並行して輸入促進をどうしてやるか、それの見通し、いいかげんなことではいけませんが、大体の見通しをひとつお伺いいたしたい。そうしなければ、こんな法案をいくらつくつたつて役に立たない。問題はそこにあろうと思います。
  38. 長谷川清

    長谷川政府委員 お話のように飼料価格が高騰いたしまする直接的な原因か、飼料の絶対量の不足にあることはお話通りだと考えまするが、特にその絶対量を確保するにつきまして、裏づけとなりまするのは、何と申しましても輸入飼料がその中心でありますので、この法律によりまして輸入の促進をはかるということに考えられておるわけであります。この法律政府輸入されました飼料を買い上げるという措置は、とりもなおさず輸入の最も具体的な促進策だと私たちは考えておるのでありまして、御承知のように輸入業者の力、あるいは販売業者の信用力というようなものから考えまして、現在の飼料輸入はきわめて不円滑でありますので、こういう法律によりまして政府がこれを買い上げるという裏づけがはつきりいたしますれば、輸入計画通りに促進されるものであるというふうに考えるのであります。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも抽象的で、そういう御答弁では満足できませんが、しからば関連してもう一つ飼料が高騰する原因というものは、いわゆる製粉業者なり飼料業者というものが、価格操作を上げるように上げるようにとやつている、そこに原因があると思う。この法律でもつて——これは私の想像ですが、何かの機会で聞いておるのでありますが、二十六万五千トン見当という、その程度のものをもつていわゆるほんとうに製粉業者なり飼料業者の価格操作を押えて行く要素になりますか。私はそんなことではとてもだめだと思うのですが、もしそういうことをやりますと、逆に今度輸入にしても商社に委託されている、政府自身がおやりになるわけじやないでしよう。そうすれば、従来からの経緯から見ますと逆に輸入をチエツクして内地価格を上げて行くような操作を今まではやつているのだ。そういう裏々とかかれている。もしやるならば、たつた二十六万五千トンそこらの飼料でもつてこの操作を押えるというようなことは、言うべくして無謀なことだと思う。さつきも話されたように、飼料需給安定法というようないいかげんの名をつけない方がよろしい、安定法がこういう内容であつては泣きますよ。そういう点はどうですか。
  40. 長谷川清

    長谷川政府委員 国内のふすまの値段が高騰をいたしまする原因は、結局は全体の飼料が不足をするということに大きな原因があると考えられるのであります。やはり全体の飼料輸入するということがまず前提でなけらねばならぬじやないかというふうに考えるのでありますが、特に飼料につきまして、私が申し上げるまでもなく非常に時期的な価格の変動があるのであります。御承知のように夏場は下り目でありますけれども、それが冬場になつて参りますと急に高騰をするというのが、従来のわれわれの経験したところであります。これを押えまする一つの手段としまして、冬場に相当まとまつた数量を放出するということができまするならば、これによつて冬場の飼料価格を安定することができるのではないかというふうに考えるのでありまして、その場合の数量といたしまして二十数万トンという数量は相当大きな効果を持つものだというふうに考えている次第でございます。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 これは長谷川さん実際問題ですが、今予定をしておられる二十六万五千トンというもののうち、ふすまは幾らか、四万トンか五万トンと聞いておるのです。ところが製粉会社が独占しておるふすまは四十五、六万トンもあるのです。飼料のほんとうの価格問題を決定するのはふすまですよ。四十五、六万トン持つておる業者に立ち向つて、四万トンや五万トンのふすまを操作しても、操作の目的は達成できないと私は思うのです。もし今私が言つておることを肯定なさるならば——法案自体できることは、あるがなきにまさる程度でいいでしようけれども、せつかくやるならば、いかに自由党の政権下であつても、安定法という名をつけるならば、それにふさわしい裏づけをなさらないと、法律の権威を失墜すると思います。また運用の面において必ず失敗すると思います。具体的な点でお答え願いたい。
  42. 長谷川清

    長谷川政府委員 現在考えております来年度の輸入ふすまの量は、お話のように五万トンでありますが、このほかにマニトバ・フアイブ十万トン輸入を考えておるのでありまして、それから出ますふすま等につきまして適当なる操作をすることによつて、冬場における価格の高騰を抑止することができるというふうに考える次第であります。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 これは見解の相違になるようでして、意見が多いのですが、お答えにならなければ、これ以上申し上げても時間を空費するだけですから多くは申し上げません。但し、そういうことでは残念ながら私ども納得し、了解することはできません。  第二の予算の裏づけですが、年間八十億というふうに仄聞しております。これは法律が示しておりますように、食管特別会計の中で迎用されると思うのです。そこで大蔵省方面とも話合いがついておるだろうと思うのですが、第七条の飼料需給が逼迫して政府売渡しを命ずる場合には、だれかが損しますね。それは政府がカバーするのですか。本人はその損失を覚悟で、指示を受けた場合には売り渡して行くわけですか。その辺財政的な面から見てどうなんですか。
  44. 長谷川清

    長谷川政府委員 第七条で政府相手方に指示します価格につきましては、政府が払い下げます原麦の値段と、それの加工費、生産費というようなものを見合いまして、ふすまの適当なる原価が生まれて来ると思います。その原価について相手方に指示するのでありますから、製粉業者に不当な損失を与えることはないというふうに考えておる次第であります。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 そうでしようか。第七条に関連して、政府の手持ちの小麦からふすまを安く売る、こういう場合がありますね。そういう場合には、安く得るためには政府小麦粉を高く売らなければバランスがとれません。政府小麦を高く売るのですか、どうするのですか。
  46. 長谷川清

    長谷川政府委員 特に第七条というお話がありましたので、説明が足りなくて恐縮でありますが、第五条で政府が持つております飼料を放出します場合におきまして、もし輸入飼料の値段が非常に高く、これをそのままの値段で放出すると畜産経済を安定させるゆえんでないというように考えられる場合におきましては、第五条に示してある線によりまして政府はこれを払い下げることになろうと思います。その場合、もし食糧管理特別会計に赤字を生ずるというようなことがありますれば、一般会計によつてこれを補給することにしたいというふうに考えておる次第であります。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、それは明らかに二重価格を肯定になるのですね。運用の面においてはそうですね。政府手持ちの小麦粉を高く売らなければふすまは安く売れない。だから食管特別会計の独立採算上の上からは、そうしなければバランスがとれない。市況とにらみ合せて適当にやり、赤字が出たならば一般会計から繰入れる。これは明らかに二重価格制を肯定されたことであつて、まことに慶賀にたえません。それはけつこうです。幾ら赤字が出ても政府の方でおまかないになるならばけつこうですが、おそらくなかなかそうは参りますまい。長谷川さんのおつしやるように簡単なわけには参らないと思いますが、食糧庁長官はそういう点について御了解の上この立案に参画しておりますか、東畑さんいかがですか。
  48. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 えさのことは今言われた通りであります。私ども小麦輸入計画をいたしております。小麦輸入計画からふすまが相当出まして、そのふすまと飼料需給計画で輸入いたしますものを含せれば、年間大体需要をまかなえる、こういう前提で計画いたしております。しかるがゆえに、あとは食管がふすまを算定いたしまして原麦を幾らにするかという問題に帰すわけであります。われわれは一応原価計算上ふすまの価格を予定いたしまして払下げをいたしておるのでありますが、時期的に食管の払下げの少い場合におきまして、えさの値段が原価計算によるものよりも非常に高くなりまして御迷惑をかけているのであります。それを押えますために従来、冬場原麦をたくさん出しますのは、小麦粉の需要がないものでありますから非常に苦しかつたのであります。今回この法案ができますと、ふすま自体を輸入して冬場に売ることができますので、計画通りに入つて参りますれば赤字が出ないで済むじやないかと考えます。ただ時期的にふすまが非常に逼迫した場合におきましては、政府手持ちのふすまを放出するとか、あるいは条件をつけることによつて価格操作をやらざるを得ないのではないか。その間結果としてあるいは赤字が出るかもしれませんが、これは決算上の問題であります。当初から二重価格を予定して計画いたしておるわけではありません。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 食糧庁長官の御答弁のような結果になるだろうと思います。とにもかくにも一般会計から御支出になるということをお認めになつたわけでありますから……。  そこで第七条なり第五条の発動の問題ですが、飼料需給の逼迫した場合というのは、あるいは飼料売渡しをやる場合というのは、あげて審議会にまかしておられるようですが、今の場合、昭和二十七年の今日の場合は、逼迫した情勢とお認めになりますか。逼迫した情勢というものの具体的な判断の事例はどういう場合ですか。
  50. 長谷川清

    長谷川政府委員 現在飼料が逼迫した、従つて非常に騰貴した価格であるかどうかという判定は、いろいろ考えなければならない点もありまして、むかずしいと考えるのでありまするが、将来この法律ができて参りますると、飼料需給安定審議会等におきまして、それらに対して、委員各位のいろいろの御意見あるいは資料等に基きましてこれを判定するということになろうかと思うのであります。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 しかし長谷川さん、その情勢判断ですよ。審議会がやることはそれはわかります。その通りです、法律を運営して行くわけですから。しかし審議会というものは、非常勤で——あと審議会についてもお尋ねしますが、しかも三十人からの者がおつて、この法律運用して行く基準などには、若干意見を述べるくらいのことで、あと運用なんというのはあなた方かすつかり手中に収めてしまう。そうしたらやはり第五条なり第七条を発動して行く、いわゆる逼迫した時期とはいかん、飼料売渡しの時期とはいかんということの具体的な判断というものは、あなた方の出した資料に基いて審議会がある程度の判断を下すか、といつてもそう著しい差異というものは私はないと思う。この法律を今われわれは審議しておりますが、少くともこの瞬間は逼迫した情勢ですか、逼迫した情勢と認められませんか。審議会を代表される必要はありませんから、長谷川さんの個人的な見解でよろしいから、ひとつ承りたい。
  52. 長谷川清

    長谷川政府委員 現在のふすまの市場価格は七百円ちよつと上まわつておるようでございます。食糧庁が小麦を払い下げますときに予定されておりました価格は、たしか米価審議会等に出されました資料によりますると、五百九十円ということが出ておつたと思うのでございます。従つて、その限りにおきましては相当高騰しておるということも言えるかと思うのでありますが、一面、小麦の放出量がそのときに予定しておつたものよりも非常に少い現状でございますので、従つてその方からいたしまして、現在の七百円が適当であるかどうかという点につきましては、十分検討の余地があるものと考える次第であります。例年冬場になりますると、夏場より非常にふすまの値段は上るのでありまするが、本年度は、現在のところ、夏場と冬場における値段の開きは、それに関する限りは例年のようには上つておらないというような点も一つの判定の要素になろうかと考えるのであります。私たちはなるべく飼料価格が安いことを期待するものでありまするが、現実の現在の価格は、高いあるいは安いということにつきましては、これはいろいろむずかしい問題もありまして、今すぐどうだということを申し上げるのは差控えたいと考える次第であります。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 あまり申し上げても明確な御答弁はいただけないようでありますから、もうあと二点お伺いして打切りたいと思います。  第三の問題は、輸入飼料売却の問題であります。ただいまの問題と関連しておるが、政府輸入飼料を売却して行く場合に、何かひもをつけておられるようです。この点はさつき金子さんも触れられた大事な点ですが、売つてしまつてからは、ひもがついているかつこうだけれども、そのひもは何も拘束するものでも何でもありませんし、飼料のいろいろな内幕を聞いてみると、従来その実需払下げ条件というものが、かりにある法律対象になつたからといつて、それを取締る権限もないでしようが、この点はもつとちやんとされぬと何ぼでも裏をかけますよ。第一、実需者というものの範囲は一体何です。審議会できめたつて畜産団体は二十四からあるそうですが、その中からどれを実需者団体としてひもをおつけになりますか。これはこの法律運用上の一番大事なところです。どういう経路で、どういうふうにおちついて行くかという見定めがこの法律ではつかぬじやありませんか。実需者は農民ですよ、農民に確実に渡つたという証拠が何によつて証明つきますか、この法律では何もついておりませんよ。
  54. 長谷川清

    長谷川政府委員 実需者につきまして、実需者が組織しております農業協同組合を対象にいたしまして払下げ条件その他の条件を付するつもりでございます。
  55. 足鹿覺

    足鹿委員 農業協同組合に限定をされますか。そうしますと、そういう払下げ条件とやらいうものにつきましては、かりにあなたがそれを肯定されても、そういう方針でおられても、別にこれは法律規定したものでもなし、政令あるいは省令によつてかりにきめられても、割込んで来る余地というものはこれでは幾らでも出て来ます。一体その調整はどうなんですか。そうして、今かりに農業協同組合ということを局長は仰せられたが、農業協同組合もたくさんあるが、現在どういう農業協同組合をさしておつしやいますか。
  56. 長谷川清

    長谷川政府委員 お話のように非常にたくさんあるのでありまするが、代表的なものとして今考えられますものは、まず全購連、それから養鶏連、全畜連、全酪連等がおもなるものであろうと考えます。もつともまだそのほかにも開拓連等もございまするし、なお実需者と認められるものが必ずしも農業協同組合でない場合もあり得るかと思いますが、これらは具体的の配給にあたりまして研究をして参りたいと思う次第でございます。
  57. 足鹿覺

    足鹿委員 協同組合の一例をおあげになりました点、その点まことに良心的でけつこうですが、これは局長がお考えになつているようには運営上なかなか困難があると思います。しかし実需者団体の範囲を協同組合というふうにはつきり速記録にとどめられたことは確かにけつこうなことだと思います。  最後に審議会の構成及び運営。金子さんの質問とダブリます点を除きますが、これは大体農林大臣が任命されるということになつておるようでありますが、飼料需給調整によつて利益を受けなければならない畜産関係なり、あるいはその他の農民団体なり農業団体から入れて行くということを、飼料の関係業者という言葉で説明をされました。けれども、私はそれは不適当であると思う。畜産団体を代表するものや、農民団体や農業団体の代表というものは業者ではありません。飼料関係の業者ではありません。これはあくまでも実需者です。そういう法律解釈は間違つているような印象を受けますが、審議会のメンバーというものはもつとはつきりと——急傾斜地帯や、その他の特殊立法審議の過程から見ましても、選出の基準を明らかにしまして、そして構成のメンバーをはつきりしておりますが、何ゆえにこれだけは三十人からの厖大な委員を、しかも関係行政機関の職員のうちからというのは、一方においては審議権を持ち、一方においては行政権でどんどんやつて行くということになつて、それでなくても政令や省令の委任事項が多いということになりますと、この法律の運営は末恐ろしい結果が起きないと保証できますか。この審議会というものは、この運営の中核になるならば、行政機関の官吏は入れなくても、官吏は幹事でよろしい、もつと権威のある審議会をつくるのがほんとうじやないですか。半分近くも官吏を入れて、審議会をリードしておいて、そうして今度は一方においては、行政面で自分が運営する、そんな物騒なのはいけない。私はこの審議会はもう少し慎重にお考えになることが必要だと思いますが、その点はどうですか。
  58. 長谷川清

    長谷川政府委員 お話の農業団体の代表者等に関しましては、もし飼料の関係業者という中に含めますことが適当でないものにつきましては、「飼料に関し学識経験のある者」という範囲で考えられると思います。また関係行政機関と申しますものは、食糧庁長官なり、あるいは畜産局長等、この委員会できまりました事項を責任を持ちまして施行いたします関係行政機関を、この委員の中に入れておくことを適当と考えられたからであると思います。
  59. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に私は、この審議会の問題についてもう一点申し上げて、質問を打切ることにいたします。時間ばかり長くとつても恐縮でありますから。ただ問題は、この審議会というものの構成と運営というものが、この法律の結局実権を握ることになる。ところが先刻私が指摘しましたように、この審議会というものは、まつたくの非常勤である。他の農業関係の特殊立法を見ましても、専門委員を置き、あるいは特殊の事務局を持ち、あるいは国会からこれに入るというふうに、相当審議会というものは権威を持つておる。ところが、これはまつたくの諮問機関であつて、いわゆる農林大臣を拘束する力もない。しかし実際上はこの審議会は、この法律運用の重点をきめ、そして運営のすべての中心に立つものですが、私は少くともこの審議会の内容というものは、この法律運用中心になるという点をもつと明らかにして、でき得るならば、「諮問に応じ」という程度ではなくして、農林大臣の諮問にも答えますが、少くとも飼料行政の基本については、第三項に、「随時意見を述べることができる」というようなことで、ぼかしてありますけれども、議決を経てとか、あるいはもう少しこの審議会というものが権威を持つような内容にならないと、非常に問題が今後に残つて来ますし、官僚的な色彩が強い。審議会というものを民主的なものにして、実需者団体の代表者を入れる範囲を明確にして行くべきであると思いますが、どこまでもこの原案を固執せられますか。その点最後にお伺いしまして、私の質問を終りたいと思います。
  60. 小笠原八十美

    小笠原(八)委員 これはよくあなたも御承知通りに、どうせなければならないので、首をひねつてここまで来たんだから、とにかくこれをまとめるということに骨折つてもらいたいんです。この飼料問題の解決は、どうしたつて食糧問題の解決に重大な問題であることは、御承知通りなんです。これがどうも飼料によつて牛肉が上り下りがあつて、常に生活を脅かすようなことでは困る、これを安定させなくては困るということは、御承知通りで出す。従つて大きく言えば、農地問題に関連して、作付反別から飼料作物に何反歩とらなければならないけれども、農林省はまだそこまで進んでない。しかしながら、一方で飼料問題でいろいろごたごたやつているのだから、特にこの輸入麦類の問題については、どうも製粉業者にわがままされて、その都度脅かされておることは承知しておるのだから、それをいかに調整をとろうかということの結論としてここに至つたので、この案を出して固執するというより、これよりももつといい案があれば、改めることに躊躇しない。それで一生懸命かかつているのだから、とにかくこれを小委員会に委託してもらつて、明日あなたも出てもらつて、みんなで急いで小委員会でまとめようじやないですか。そうして妥協する点は妥協しようし、いよいよできなければ、ないよりいいのだから、これで通そうということで折れ合おうじやありませんか。いかがでしようか。
  61. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 足鹿君からの質問で私の質問しようと思う点は大体尽きたわけですが、ちよつと二、三質問したいと思います。  第七条ですが、先ほど長谷川さんの説明によりますと、主として輸入食糧を中心にやるのだ、従つてこれは例外の規定である、しかもこの適用はめつたにしないというような印象を受けたのです。ところが実際先ほどからお話を伺つておりますと、輸入飼料については非常に自信がないようなお説だと思うのですが、この例外規定をちよいちよい例外以上に扱われるようなことになるような状況がないとも限らぬと思う。その際にこれを適用せられて、なるほど価格指定及び譲渡指定をここで規定しておられるけれども、実際は先ほどもお説のあつたように、夏場、冬場によつて、時期的な関係で操作がされて価格騰貴をしておるわけです。一面において輸入飼料が自信がない、他面において、そういう価格操作ができるのだというときにおいて、価格指定あるいは譲渡指定をされたつて、裏でよけい金をとつて、事実上実需者が価格が高くつくというような事態が起きないとも限らぬと思うのですが、そういう場合にあたつてはどういう処置をとられるかということを、ちよつとお聞きしたいと思います。
  62. 長谷川清

    長谷川政府委員 この法案が成立いたしますれば、輸入飼料につきましても的確な裏づけができますので、輸入計画が実現できるものだというふうに期待いたしておる次第であります。
  63. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 もう一つお尋ねしますが、第五条の二項に、原則としては一般競争入札をさせておられるわけですけれども、但書に、政令で特別に定めた場合には指名競争契約または随意契約ということになつておるわけです。ところが私ども今までいろいろお聞きするところによると、こうした問題は随契が多いと聞いたのですが、今までこれらについてどういうような考え方を持つておられるか、それをちよつとお尋ねしておきたいと思います。
  64. 長谷川清

    長谷川政府委員 随意契約によります場合は、競争入札で売りますことによりましては価格の高騰を抑止することができない、あるいは時期を失するとかいうような場合に随意契約によるのでありまして、現実の問題といたしまして、どちらが多くなるかという点につきましては、現実の事態によつてきまると思うのでありますが、考え方としますれば、原則は入札の方法によつてやるということになる次第であります。
  65. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 私先ほど小笠原さんが非常に答弁にあらざるうまい答弁をされたので、感心しておるわけですが、こんな半端な法律ではだめだ。諸君らはもつといい法律をつくつて来い、お持ちなら出してみろとおつしやつたのですが、われわれはこんな半端な法律で、はたしてあなた方が期待せられておるような飼料の安定ができるかどうか、この際ひとつその確信をお聞きしたいと思います。
  66. 長谷川清

    長谷川政府委員 この法案ができますることによりまして、輸入飼料の確保が計画通りに実現をいたすものだというふうに考えておるのでありますが、もちろん飼料対策といたしましては、流通対策だけでありませんで、自給飼料の面につきましてもせつかく努力をいたしまして、全体の飼料が安定をいたしまするように、努力をいたしたいと思う次第でございます。
  67. 芳賀貢

    ○芳賀委員 提案者にちよつとお尋ねしますが、会期切迫の折から、こういうおそまつではあるけれども、一応の安定のために出すのだというお話が当初ありましたが、この安定法の最もねらつているところは、これは全国の畜産農民それから養鶏業者等は、一日も早くこの飼料国内においてしかも価格的にも安定して供給されることを切実に希望しておるわけでありますが、この法案の持つねらいは、基本的な考えというものは需給調整に目標を置くのか、それとも価格調整に重きを置くのか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  68. 寺島隆太郎

    寺島委員 ただいま御指摘になりました両方について安定をさせたいというのが法案のねらいでございます。
  69. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことは当然のねらいであると思いますが、そういう場合において、国内飼料はこれを例外的にしておいて、輸入飼料だけに一つの規制を置くということで、その目的が十分果されるかどうか、この程度の調整をすることによつて、どの程度現在よりも需給価格の面において安定ができるかということを、具体的に説明願いたい。
  70. 小笠原八十美

    小笠原(八)委員 具体的にとおつしやつたけれども、数字的にはどうこうということはここで申されませんが、とにかく従来のような——長谷川君その他の方々より御説明があつた通り、時期によつていろいろな数量の関係で値段のでこぼこがあつた。これを今度この法律によつて飼料そのものを輸入して、そのでこぼこのないようにしようというねらいが一つ輸入関係においてもし欠陥があつた場合、いざという場合には農林大臣国内の問題にまで及ぼすことができるというように操作をしようというのです。できるだけまずほんとうの安定するところに行くのだという見通しであるのでありますから、これほどのよい見通しはないと信じておるわけであります。
  71. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なおお尋ねいたしますが、提案者のお考えは、麦の統制撤廃をしたあとでまた飼料統制するというようなことは、いろいろ面子の関係もあつて、そういう打出しはできないと思いますが、そういうことで安定という言葉を書いて出されたと思いますが、これはやはり一つの物の需給調整あるいは価格調整を規制するという点から考えた場合に、一つの微温的な統制であるというふうに解釈してさしつかえありませんか。
  72. 小笠原八十美

    小笠原(八)委員 それは統制解釈してよいというものでありませんで、絶対統制ではありません。従つて一部においてこの飼料価格の安定するのが目的であるということに御解釈を願いたいと思います。
  73. 芳賀貢

    ○芳賀委員 非常に御名論でありますが、この法案輸入飼料だけに重点を置いているわけですが、その輸入飼料をこの法律案の中で規制することによつて、間接的に国内飼料価格調整がとれる、間接的な統制であるというふうに私は受取つておるわけですが、それでさしつかえないですか。
  74. 小笠原八十美

    小笠原(八)委員 統制でも何でもありません。輸入においてちやんと飼料の方の安定ができればそれでけつこう、それではつきりしております。いざできない場合に、そこに及ぼすことができるということによつて、まずもつて飼料の安定をしようというのが目的であります。
  75. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だんだんわからなくなつて来ました。ただ問題は、いやしくも法律案を出す以上は、これによつて受益するところの畜産者、畜産農民、養鶏業者、そういう人たちの立場に立つてものを考えた法律案でなければ、いかに名前だけが安定法であつても安定しないということなんです。この法律案によると、非常に飼料業者と妥協して、しかも大きな妥協をして、幾分は実需者に対しても恩恵が及ぶようなことにはなつていますが、こういうことはきびしく批判しなければならぬと思うわけなんです。そういう点については第六条にも、審議会の構成の中にも正直にそういう面が出ているわけでありますが、少くともそういう実需者の立場に立つて、しかも議員立法の形で出される場合には、あくまでもその人たちの切実な利益を守るという立場に立つて、この法律案が一貫した、いわゆる筋の通つたものでなければならぬというように考えておりますが、そういう点にずいぶん反省の余地はあると思いますが、それは先ほど提案者も言われたように、まだこれよりよい案があれば、それと同調してやつて行きたいということは、正直な反省であるというふうに考えてさしつかえありませんか。
  76. 小笠原八十美

    小笠原(八)委員 いかなる提案者といえども、より以上の法案が出れば、それに同調するということはどなたも同じ考えだと思うのであります。しかしながらこの問題については、私らはこれが最も完全なる法案と心得て出したのであります。今のところこれが一番よいと思つて出しております。
  77. 野原正勝

    野原委員長代理 この際本案の取扱いについてお諮りいたします。本案を一応畜産に関する小委員会において審査せしめることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 野原正勝

    野原委員長代理 御異議なしと認め、さように決しました。  本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時十九分散会