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1952-12-19 第15回国会 衆議院 農林委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 野原 正勝君 理事 原 健三郎君    理事 平川 篤雄君 理事 井上 良二君    理事 足鹿  覺君       青木  正君    秋山 利恭君       大島 秀一君   小笠原八十美君       高見 三郎君    中馬 辰猪君       寺島隆太郎君    村松 久義君       金子與重郎君    高倉 定助君       高瀬  傳君    中村 寅太君       川俣 清音君    中澤 茂一君       芳賀  貢君    中村 英男君  出席政府委員         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農業改良局長) 清井  正君  委員外出席者         議     員 山村新治郎君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)   林田 悠紀夫君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合課         長)      村田 豊三君         農林事務官         (農地局管理課         長)     河井 大治郎君         参  考  人         (全国組合金融         協会専務理事) 杉野精一郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信者     ————————————— 十二月十八日  自作農創設維持資金制度の確立と同資金の大幅  増額に関する請願田中角榮紹介)(第一二  一九号)  入院患者用配給米増配に関する請願山下春江  君紹介)(第一二五〇号)  同(石野久男紹介)(第一二五一号)  治山事業等予算増額に関する請願西村直己  君紹介)(第一二五七号)  農林省統計調査部昇格等に関する請願(平野  力三君紹介)(第一二五八号)  木炭県営検査強化に関する請願和田博雄君紹  介)(第一二五九号)  蓮根腐敗病防除等に関する請願江崎真澄君紹  介)(第一三五三号)  蚕糸業振興に関する請願佐藤善一郎君外一名  紹介)(第一三五四号)  自作農維持育成に関する請願佐藤善一郎君紹  介)(第一三五五号)  治山及び造林事業強化拡充等に関する請願(  福井順一紹介)(第一三五六号)  都道府県農業試験場整備拡充に関する請願(坂  田英一君外四名紹介)(第一三五八号)  農業機械化普及促進に関する請願遠藤三郎  君外五名紹介)(第一三五九号)  農地かんがい事業国営化に関する請願(木暮  武太夫君紹介)(第一三六〇号)  米の消費者価格引上げ反対に関する請願外一件  (坂本泰良紹介)(第一三六二号)  輸入食糧等の室蘭港利用陸揚に関する請願(南  條徳男紹介)(第一三九四号)  農村の電柱敷地補償に関する請願河野金昇君  外一名紹介)(第一三九九号)  林業改良普及事業費増額に関する請願足鹿  覺君紹介)(第一四四四号)  民有林林道開発予算増額に関する請願足鹿覺  君紹介)(第一四四五号)  忍野村の農地買収除外指定取消に関する請願(  足鹿覺紹介)(第一四四六号)  治山事業予算増額に関する請願足鹿覺君紹  介)(第一四四七号)  菜種油政府買上げに関する請願足鹿覺君紹  介)(第一四四八号) の審査を本委員会に付託ざれた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  参考人招致に関する件  飼料需給調整法案井上良二君外七名提出、衆  法第四号)  湿田単作地域農業改良促進法案青木正君外七  十七名提出衆法第八号)  農林漁業金融公庫法案野原正勝君外五十六名  提出衆法第一一号)     —————————————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  この際小委員補欠選任についてお諮りいたします。委員の異動に伴いまして、畜産に関する小委員が一名欠員になつておりますが、その補欠委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。それでは中馬辰猪君を畜産に関する小委員に指名いたします。
  4. 坂田英一

    坂田委員長 次に農林漁業金融公庫法案審査に関してお諮りいたしたいことがあります。本案に関しまして、本日午後の委員会におきまして、農業協同組合関係者より、参考意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。なおその人選は、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
  7. 坂田英一

    坂田委員長 次に湿田単作地域農業改良促進法案に関しまして、質疑を続行いたします。平川篤雄君。
  8. 平川篤雄

    平川委員 大体湿田単作地域立法そのものにつきましては異議ないものでありますが、ややもすると、執行とか運用の面で、当初の考え方が歪曲せられたり、あるいは立法当時の精神が失われてしまうという例が多々あるのであります。私どもも、この審議会が将来大綱をきめるのでありますから、それにまかせることに別に異論のあるわけではありませんが、基本的な点について、一応念を押しておきたいと思うのであります。第一にこれは政府当局からお答えをいただきたいのでありますが、二、三の点について、私の考えに大体どういうふうな御批判を持たれるかということを確かめておきたいと思います。  まず第一番に、湿田単作地域に対する法律は、きわめて生産条件の悪いものについて、特に政府が考慮する、国家が考慮するということが本質でございますので、当然特別法をつくる意義は、土地改良法実施以上の好条件にならなければならないと私は思う。そうしなければこれは意味がないように考、えますが、この点についてはいかにお考えになつておられますか、これを一点お伺いしたいのであります。
  9. 松浦東介

    松浦政府委員 平川さんにお答えいたします。この法律立法化されましたならば、仰せのように審議会決定を尊重いたしまして、運営に誤りなきを期したいと存じます。なおこれは平均よりも条件の劣悪な地帯対象としての特別立法でございまするので、あなたがただいま仰せられましたようなことで十分運用して参りたい、かように考えます。
  10. 平川篤雄

    平川委員 農林大臣指定が、今までの急傾斜あるいは積寒その他の法律実施におきましては、郡市並びに県というような単位指定することになつておるのでありますが、この場合にはそれが行われるかどうかは別といたしまして、特に基本的に考えておかなければならぬことは、今申し上げました二つの他の法律よりも、この湿田単作地域というものは行政区画によつて考えることが一層むずかしい点があるのではなかろうかと思いますが、そういう点についての御認識はどうでございますか、お伺いしたい。
  11. 松浦東介

    松浦政府委員 仰せのように、この湿田地域と申しますものは全国に散在いたしておるのでありますから、私どももそのように考えております。
  12. 平川篤雄

    平川委員 地域という言葉が使つてありますが、これは私は、湿田並びに半湿田面積の算術的な和を求めまして、その比較多数を選ぶということには何らの科学性もない、また本法精神とも反するもののように思いますので、そのようなきわめて機械的な作業の結果で地域決定せられることにつきましては、非常にわれわれは危険を感ずるのでありますが、当局としてはこの点についてどろいうふうにお考えでありますか。
  13. 松浦東介

    松浦政府委員 立法化されまして審議会ができましたならば、なおこの地域という問題につきましても、特に政府の方から基準等のことにつきまして御相談申し上げまして、しかるべく定義をくだしたいと考えております。
  14. 平川篤雄

    平川委員 大体大まかな点について政務次官よりお話がありましたことを了承いたします。どうか審議会におきましては、不利な条件のために生産に苦しんでおります農民が、なるべく多く救われるようにやつていただきますように、しかもなお非常に合理的に筋の通つた制度にしていただきますように、お願いするわけでございます。
  15. 坂田英一

    坂田委員長 次は芳賀貢君。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 法律案によりますと、積寒地帯は除かれることになつておるわけでございますが、積寒地として指定された区域においても、湿田地帯というものは相当あると思われるわけでございますが、それらの数字は大体どれくらいになつておるかお伺いしたいと思います。
  17. 松浦東介

    松浦政府委員 法律の条文には、特に積寒地帯を除くというようなことはございません。そこでその運用その他は当然審議会において決定せらるべきものであると考えます。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう場合において、湿田に対する農業改良を行う場合は、たとえこの法律が通りまして、湿田単作地域として指定を受けた場合の湿田と、積寒法によるところの地域指定を受けた湿田等に対する農業改良という仕事は、やはり同一の取扱いを受けまして、逐次その成果を上げて行くように進めて行くわけであるかどうか、そういう点もお伺いしたいと思います。
  19. 河井大治郎

    河井説明員 ただいまの点につきましては、この法律によります湿田につきましても、積寒地帯におきまする湿田につきましても、その劣悪な条件改善いたしまして、農業生産性を高め、合理化になりまするように、この法律ができましたならば、一層両者とも効果を上げて行くように進めらるべきものだと思うのであります。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 日本農業は米作を中心とした食糧生産に重点が置かれておるという現状においても、まだ水田総面積の四七%というものが湿田であるというような条件で、土地生産力の劣悪な、しかもこういう土地条件の中におけるところの農業経営というものは、労働生産性を非常に阻害しておるということになるわけであります。これらの状態が今まで放置されておつたところに政府農業生産に対する政策貧困性がうかがわれるわけでございますが、たとえば積寒法を初め最近において各種の議員立法によるところの特殊立法が次々と実施されておるわけでございますが、そのように分散的にいろいろな特殊立法をつくらなければ農業政策の面に対する予算的なものが獲得できないということは、非常に遺憾であるといわなければならぬのであります。特に農地に対するいろいろな改良とか、条件改善することは農業改良という意味からも当然でありますが、これは国土の総合改良という面から見ても、大きく取上げて、政府がこのことに力を注がなければならぬというふうに考えられるわけであります。これらの特殊立法というものは、その関係地区農民に大きな夢と希望を与えているわけでありますが、これらの法律が実際の場合には、その実行というものは非常に遅々として、全体の希望に沿わぬものが多いわけであります。たとえば積寒法にいたしましても、町村、都道府県の段階を経て農業振興計画が積み上げられて来ているのでありますが、それを政府予算的、財政措置によつてどれだけ実現できるかということになると、期待は非常に少いわけであります。そういうときにこの法律が通過した場合において、たとえば湿田四十二万町歩、半湿田二十七万町歩、大体七十万町歩にわたるところの、この条件のもとにある湿田が、計画的に見て、五箇年後にはどのくらいのものが正常な条件農業改良が行われるかということについて当局にお考えがあれば、聞かしていただきたいと思うわけであります。
  21. 青木正

    青木(正)委員 御指摘のごとく、でき得るならば全国の約七十万町歩全部その改善をはかりたい希望でありますが、しかしながら予算等関係もありまして、一応政府側の意向を承りますと、五箇年間に大体お示しの数字の半分を対象として、とりあえず改良を行うといろ考え方であります。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 湿田改良する場合においては、これに付随したところの灌漑排水あでるとか、暗渠排水であるとか農道等の工事が先行して行くと思いますけれども、これをやる場合においては、これに付随した大きな土木工事的なものが行われなければならぬと思うのでありますが、これらの公共事業に属するような仕事は、これと重大な関連をもつて並行して進めることができるかどうかというような点についてもお伺いしたい。
  23. 河井大治郎

    河井説明員 この法案が成立いたしますと、公共事業で主としてやつております灌漑排水その他の改良あるいは農業改良事業もあわせて一層効果を上げるようにいたすべきであると思います。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 私がただいまお伺いしましたのは、公共事業費で行うような筋合いのものが、積寒法予算に移行したりして片一方のものがちよつとふえることによつてまた一面が減つて来る全体を総合した場合においては何らふえておらぬ。そういう予算の技術的なものが非常に危惧されるわけであります。問題は今の特殊立法と既存の法律関連性考えるとき、この湿田法案というものができたことによつて、さらにこれがプラスされて行くということであればけつこうでありますけれども、絶対数の上においては何らふえないで、ただ一面において減つて、それによつて片一方がふえて行く、ただそういう一つの技術的な操作によつて、この法案ができることを願望してやまないところの地域農民を欺瞞するようなことがあつてはならぬということなのであります。今までそういうことがまま行われておつたと私は考えておるわけでありますが、今後においてはどういうようなお考えのもとに、たとえばこれに関連のあるところの土地改良法であるとか、あれらの法律によつても当然行われるところの仕事が、さらにこれによつてプラスされるということでなければならぬと思うので、そういう点についてもお伺いしたいのであります。
  25. 松浦東介

    松浦政府委員 芳賀さんのお話はまことに、ごもつともと存じます。例を積寒地帯のことにおとりになつたようでございますから、その例をとつて答弁申し上げますが、積雪寒冷地帯といえどもこれは日本の国でありますので、国の土地改良予算は配分いたします。それ以外に積雪寒冷地帯として、その生産力を高めるにどうしても必要な予算が計上されておるわけでございまするから、それにプラスする、そういうような考え予算の配分をいたしたい、かように考えております。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 この際真剣に申し上げたいことは、現在政府のとつておる農産物に対する物価政策は、日本経済自立のために低物価政策をとらなければならぬというような、一つの一貫した意図のもとに低賃金、低米価政策をとつているわけで、現在におけるような七千五百円米価というような線で農民生産意欲をくぎづけにしておるわけでありますが、そういう一つの低物価政策をとつて農家経済に圧力を加える場合においては、一面において、やはり日本における農業生産性を高めるという諸般の手段とか政策を着々として実現しなければならぬと思うのであります。そういう場合において、国内における土地条件の劣悪なところに対しては、このような議員立法が行われない場合においても、土地生産性を高め、しかも農業労働が非常に近代化されて行われるような、農業労働生産性が高まるような施設が、低米価政策をとる場合において行われて、そうして生産コストの切り下げが行われて、国際経済とも競争のできるような状態につくり上げるということでなければならぬと思うわけであります。この法案の中にも、農業改良を行うと同時に、一面においてはそういう地帯における農業技術改善であるとか、試験機関の設置というようなことが、これに付随して行われておるわけでありますが、この試験機関全国における現況を見ましても、最近試験場とかそういう機関が非常に整理されまして、以前より減じておるわけであります。こういう状態は、当然従前よりもこれを拡大して——日本農業が非常に後進的な性格を持つておるので、これをもつと近代化するための試験施設等は、単にこういう湿田単作というような土地立法によらなくても、大きな筋の通つた政策の面から打出していただきたいということも、これに関連して希望を申し上げて、私の質疑はこれで終ります。
  27. 坂田英一

    坂田委員長 川俣清音君、前会の保留分について……。
  28. 川俣清音

    川俣委員 大臣出席を求めておるのですが……。
  29. 松浦東介

    松浦政府委員 廣川農林大臣は病気で欠席いたしております。
  30. 川俣清音

    川俣委員 それでは政務次官にお尋ねいたします。政務次官から懇切な答弁をいただいておるわけでありますが、さらにお尋ねいたしておきます。それは食糧増産緊急対策の上がら、すみやかに灌漑排水施設農業用道路その他農地の保全もしくは利用上必要な施設の新設、廃止もしくは変更、区画整理、客土、埋立てその他農地改良実施する必要のあることは論をまたないところであります。しかし要はどの程度予算化されるかという点に問題があると思うのでありまして、かかる特別立法が続々出て来ることは、結局政治力貧窮であつて、そのために予算化できないところに対する農民反発が、かかる特別立法になつて現われて来ると私どもは見ておるのであります。だから要は、農民期待するところはこうした特別立法でなくて、どの程度土地改良のために、あるいは農業改良のために予算化されるかということが大きな問題だと思うのであります。こういう特別立法が出なければ予算化できないということは、これは政治力貧窮であつて、こうした政治力貧窮が続く限りにおいては、いかに特別立法がたくさん出ましても農民期待に反する結果になりまして、ちようど積寒法が最近農民期待に反しておりますことは、予期したほどの予算化が生れて来ないというところにあると思うのであります。この法律が出ましても、十分な予算化ができなければ、つくつた以上に農民から反発を受ける結果になりはせぬかということを非常に憂えるのであります。この法律自体は必要であることは当然である。いかにして日本が早く食糧増産の上から、灌漑排水その他の施設を通じて生産力を上げなければならないかということは、これは政治家ばかりでなく、現に農業を営んでおる農民の切望するところであります。この切望に報いるには、法律でなくて問題は予算化だと思うのでずが、この予算に対する責任ある御答弁を願いたい。
  31. 松浦東介

    松浦政府委員 川俣さんの御意見まことにごもつともでございます。従来からもいろいろやつて参つたのでありますけれども、特に今度は、食糧の自給なくしては自立経済の達成が不可能であるという観点から、食糧増産政策を非常に強く立つて参りたい、こういう考え方政府は進んでおるのであります。その食糧増産をする方法は多々ありますけれども、その第一の手段は、広汎な意味における土地改良ではないかというふうに考えておりますので、今るるお述べになりました灌漑排水でありますとかその他の予算につきましては、そういう見地に立つて十分に財政折衝をいたしまして、御期待に沿いたい、かように考えております。
  32. 川俣清音

    川俣委員 さらに問題は、積寒法実施されて農民期待に反しておるのでありますが、予算の分配の上において積寒法予算もつ増額し、さらに灌漑排水をも増額して、あるいは特殊立法が将来出ない前に処置するようた考え方がおありにならなければならぬと思いますが、この点に対するお考えを承りたい。もつと具体的に言うと、積寒法などに対してもつ予算を出すつもりか、減らしてまわすつもりか、その点を伺いたい。
  33. 松浦東介

    松浦政府委員 過失は過去といたしまして、今後は先ほど申し上げましたように、食糧増産第一主義の政策を強調いたしまして、積寒予算なりあるいはまたただいま議題となつておりまする湿田の問題につきましても、できるだけ多くの予算をとりまして、十分に農政を強化して参りたい、かように考えます。
  34. 井上良二

    井上委員 私も最後に一点確かめておきたいのですが、平川君からも昨日来執拗に質問をいたしております本法指定基準面積の引下げの問題であります。この指定基準面積というのは、これは法律できまつておるわけではないのです。ただ役人さんが大蔵省と予算折衝をする場合に、できるだけ公共性という立場から一定の面積を確保した上で、予算のとりやすいようなかつこうをつけるというか、そういうことでやられているのではないかと思うのであります。ところが御存じのように農地が開放されて、経営が非常に小規模になつて、実際を言いますと経営の小規模な農家ほど自力でもつて改良ができないのです。また広範囲な改良を要する所でありますならば、全体の大きな力を借りて改良運動を起して行くことができる。政府に要請する政治力もそこに生れて来ますけれども、あちらに三反、こちらに五反というふうに分散してあります湿田改良は、まつたく放任される危険が起つて参る。だから一行政単位であります市町村なら市町村区域内において、あちらに三反、こちらに五反と地域は分散しておりましても、これがまとまつて町歩なら一町歩になる。二町歩なら二町歩になるという場合は、それを一つ指定面積にする。そういうやり方は実際上不可能ですか。その点どうでございますか。これほど大事なことはないのです。実際政治はそこまで行き届かなければならぬと考えておりますが、そういう線を積極的に推進することこそ、この法律を生かして使うことにもなるのであります。大勢の力を借り得ない零細な農民のそういうものこそ、日本農地現状から見て必要でありますので、この点に対して、本法施行政府は特にその点に対してどういう考え方を持つておるか。この点は政務次官並びに事務当局からも伺つておきたいと思います。
  35. 松浦東介

    松浦政府委員 井上さんの御意見まことにごもつともであります。そこで基準その他はたびたび申し上げましたように、これは原則としまして審議会で御決定を願いたいと思うのでありますが、零細農家が非常に狭い土地を持つてつて、あるいは二十町とか三十町とかまとまらないので、非常に劣悪な条件に悩んでおるものほどこれは引上げてやらなければならないのではないかというお説には、私非常に賛成であります。そこでなるべく基準を下げてこれを実行するような予算的措置を講じたい、かように考えておるのでありますがたびたび例に出ました積寒法について考えてみましても、そういうことはまま起きておるのであります。そこでこれは何と申しましても、国の財政にも限度がありまして、なかなか見ようとしても見られないような場面も実際には起つて来るのではないかと思うのであります。御承知のように農業保護政策は国だけの力ではなかなかできないのでありまして、農民の盛り上る気持の上に手を貸す。そういうことが一つ考え方ではないかと思うのであります。一例を積寒法にとりますと、だれが見ても条件もつともだ、しかも基準にはまらないというようなものについては、各県思い思いにこれを県單位でカバーするようなことも現実に行われておるようであります。私どもとしましては財政の上においてできるだけの措置をとりたいと思うのでございますけれども、そういうこともまた一つ方法ではないかとかように考えております。
  36. 坂田英一

    坂田委員長 本案に対し他に御質疑はありませんか。御質疑はなきものと認めます。これにて質疑は終局といたします。
  37. 野原正勝

    野原委員 本案に対しましては提案説明以来、当委員会におきまして慎重に討議がかわされまして、大体政府説明あるいは提案者説明等で、よく法案の内容、あるいはその目的に関すること、今後のそれに対する予算的な問題算につきましあても、いろいろ検討が加えられましたので、大体委員会としては意見がまとまつておると思うのであります。従いましてこの際もし御異議なければ討論を省略いたして、採決していただきたい、かように考えます。
  38. 坂田英一

    坂田委員長 ただいまの野原君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。  それではこれより湿田單作地域農業改良促進法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  40. 坂田英一

    坂田委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  この際井上良二君より、本案に対する附帯決議の提案があります。これを許します。井上良治君。
  41. 井上良二

    井上委員 湿田單作地域農業改良促進法案につきまして、附帯決議を提案したいと思います。  御存じのように食糧の自給度を向上することは、わが国経済再建の中核でありまして、この問題に必要な法的、予算的措置が順次拡充をして参りますことは、まことに御同慶の至りでありますが、さりと申せ、せつかく法律ができましても、これを実際具体的に実行いたします場合、その予算的裏づけがはなはだ貧弱で、せつかくの農民期待に沿い得ないことが非常に多いのであり、また法の運用にあたりましても、いろいろの欠陥が多く出て参りまして、期待する農民を裏切ることがなきにしもあらずであります。従つて政府はこの法案の成立にあたりまして、ただちに次年度予算の獲得に全力をあげていただきますと同時に、また本法運用にあたりましても、本委員会で各委員から詳細な希望的、要求的質問がございましたので、これらの点をまとめまして、ここに附帯決議をいたしたいと考えておる次第であります。案文を読んでみます。    附帯決議   政府は、食糧自給度の向上のため、現行土地改良法を再検討し、綜合的な農業計画のもとに土地改良事業の効率的な実施をはかるべきであるが、とりあえず、本法施行に当つては、指定基準面積をできるだけ引下げて、湿田單作地域指定範囲を最高限度に拡大すべきである。  以上であります。何とぞ御賛成を願います。
  42. 坂田英一

    坂田委員長 ただいまの井上君の提案に御意見があれば発言を許します。——別に御発言もないようでありますから、採決いたします。  本附帯決議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。よつてただいまの附帯決議は可決せられました。  なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました湿田單作地域農業改良促進法案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  45. 坂田英一

    坂田委員長 なおこの機会にお知らせいたします。昨日大蔵委員会より本委員会に対しまして、農林漁業金融公庫法案に関する修正意見の申出がありました。その内容はただいま各委員のお手元にお配りいたしました通りでありますから、御承知置きを願います。暫時休憩いたします。     午前十一時三十九分休憩      ————◇—————     午後二時四十六分開議
  46. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  午前の理事会の申合せによりまして、井上良二君外七名提出飼料需給調整法案を議題といたし、審議を進めます。  まず本案の趣旨について提出者の説明を求めます。井上良二君。
  47. 井上良二

    井上委員 ただいま議題となりました井上良二外七名提出飼料需給調整法案に関しまして、提出者を代表し提案の理由を御説明申し上げます。  食糧の国内自給と総合的増産が、現在の日本にとつて何よりも重要であり、急務であることは、いまさら申し上げるまでもないのでありますが、この食糧増産総合計画の一環として、畜産振興十箇年計画が立てられ、家畜の増殖によつて農業経営に畜力を導入し、自給肥料の増産をはかり、さらに国民食糧の蛋白給源を確保する措置がとられつつあるにもかかわらず、これに対する諸対策は必ずしも万全であるとは言いがたく、特に家畜の増殖に何よりも必要な飼料対策は、遺憾ながらきわめて不十分としか言えないのでありまして、このままではおそらくせつかくの畜産振興計画もこの面から拘束され、とうてい所期の目標に達し得ないのではないかと危惧されるのであります。  飼料対策の根幹は、まずその供給を確保し、価格の安定をはかることによつて、飼料が豊富に、かつ安価に農民の手に渡るような措置を講ずることでありますから、根本的には飼料自給度の向上、飼料輸入の増大をはかることが必要であることはもちろんでありますが、現実にふすま等の価格がきわめて不安定なため、農家は飼料確保に困惑している状態にあり、この実情を打開いたしますために、とりあえず国家の手によつて特定飼料の需給を調整し、もつて飼料価格の安定を期する必要があるのであります。  以下本法律案のおもなる内容について簡單に説明いたしますと、まず第一に、政府農林大臣の定める特定飼料需給調整計画に基いて、ふすま、輸入とうもろこし、及び大豆かすその他農林大臣指定する特定飼料を買い入れることができることとし、さらにこの買い入れた特定飼料を、適当な時期に売り渡して、その需給を直接調整することといたしております。  第二に、これらの買入れ及び売渡しには、いずれもあらかじめ定めた標準価格を基準とする予定価格によつて、原則的に競争入札の制度をとり、特に売渡しについては、上限価格をきめて市場価格の騰貴を押えることとしております。  第三には、政府がその所有する小麦を売り渡す場合、その小麦から生産されるふすまを政府に売り渡すべき旨の条件、また特定飼料を売り渡す場合には、その譲渡に関する条件を、それぞれ必要に応じて付することとしておるのであります。  第四には、農林大臣が必要に応じて、関係者から報告を徴することができることとし、さらに本制度の適正な運用をはかるためには、飼料需給調整審議会を設置することといたしております。  以上、本法律案提出の理由及び内容の概略を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  48. 坂田英一

    坂田委員長 なおこの機会に本案審査方針についてお諮りいたしますが、午前の理事会において協議いたしました通り、まず畜産に関する小委員会に付託して、慎重に審議せしめることにいたしたいと思いますが、この取扱いに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 坂田英一

    坂田委員長 異議なしと認め、さよう決しました。
  50. 坂田英一

    坂田委員長 これより農林漁業金融公庫法案を議題といたし、前会に引続き審査を進めます。  なお農林漁業金融公庫法案関係いたしまして、午前の委員会において定めたのでありますが、参考人といたしまして全国組合金融協会の専務理事杉野精一郎君が出席されておりますので、御了承願います。井上良次君。
  51. 井上良二

    井上委員 この農林漁業金融公庫法案が通過いたしますと、当然組合金融面にも重大な関係があります。そこで組合金融協会に参加しております各信連の金融状況を検討してみますと、先日もお伺いいたしました通り、相当多額な資金が固定化しておまりして、国としてもこれが何とか運用できる面を検討する必要が焦眉の問題として起つて来ておりますので、この金融公庫法案の審議と並行して、組合金融協会傘下の各信連の焦げつき資金について、具体的な方策を検討する必要があると思います。そこでただいま資料として提出されたものを読みますと、全体で百三十億に上る焦げつき資金があるようであります。これらの焦げつき資金の内容についていま少し具体的に説明をしていただきたいと思います。と申しますのは、終戦後の物価の変動、経済事情の変動、また当時の組合の再建整備等によりまして、いろいろそこに問題があり、その後協同組合の運営の不振に関連して再建整備等に伴う関係等が、これらの焦げつきを一層大きくしているように考えられますので、この際この焦げつきの内容を、たとえば各県別というのではなしに、どういうものがおもなる焦げつきの理由になつているという点を御説明願いたいと思います。
  52. 小倉武一

    ○小倉政府委員 配付になつております資料は組合金融協会が作成いたしたものでございまして、これについての詳細は、協会の方から御説明になつていただくのが適切かと思いますが、農林省の方も協会に依頼したという関係もございますので、折に触れて御説明をいたしたいと思います。ただいまお尋ねの点でありますが、焦げつきの理由につきましてはいろいろありますが、なかんずく最も重要な理由といたしましては、終戦後のインフレの終息期にできましたものが大部分だろうと思います。また農業会の資産の引継ぎに際してできたものも相当量に達するだろうと思われます。どういう理由でどの程度の金額があるかということについては、一々まとめた資料もございませんし、原因を追究することも実際問題としてなかなかむずかしいことでもございますので、そういう面の調査は手元にないのでありますが、概略百三十億の内訳を申しますと、資料に書いてあると思いますが、信連から出ているものが百五億になつておりまして、中金から出ているものが二十五億となつております。信連から出ているもののうち経済連に出ているものが八十億近く、その他の連合会を合せまして信連から連合会全部を含めますと九十一億六千万円になつております。百五億との差額はその他の単協、郡連ないし員外者に対する貸付の固定化ということになつております。中金からのものとしての二十五億のうち県連が十六億、全国単位の連合会が九億三千万円となつております。百三十億の内訳は以上のようであります。
  53. 井上良二

    井上委員 固定化した理由についてはいろいろ御説明のようなことでありましようが、私の伺つているのは、たとえば経済連が購入した農機具が使いものにならないためにこれだけ損害を受けた。その購入にあたつて信連が金融をしておつてこれだげ損をした。あるいは報奨物資で繊維製品を何しておつたが、これだけ下つたためにこれだけ損をした、あるいは経済連の再建整備を単協がやつておりますが、やつておる間に、自己資金を増資することの建前になつておるのが、実際上は増資がなかなか困難単協があつて、そのために信連の方から金融を受けて一応増資をしたことにするというような経過等もありはせぬかと考えておりまして、その百二十億に及ぶ焦げつきになりました対象物件といいますか、対象件目といいますか、どういう件目があるかということが知りたいのであります。それをひとつ説明願います。
  54. 小倉武一

    ○小倉政府委員 単協といわず、連合会あるいは経済連にいたしましても、自己資本がはなはだしく不足してるということは御承知の通りでございます。全体についてと申しますよりも、特におそらく問題の中心であります再建整備の対象になつております連合会について申しますと、去年の三月末におきます自己資本の不足は百十四億になつております。なお自己資本と関連いたしますが、欠損金といたしましてはやはり昨年の三月末に、連合会におきましては八十二億ということになつております。それからまた固定化債権ないし在庫品といつたものも相当の金額になつておりまして、固定化債権につきましては二十二億六千万円、固定化在庫品につきましては十四億六千万円、以上のような事柄が信連の経済連等に対する固定した債権の例示と申しますか、それに見合うような数字だと存じます。
  55. 井上良二

    井上委員 私が今伺つて局長から御説明つたことですけれども、金融協会の杉野さんの方で、そういう単協及び経済連等の焦げつき、固定化のために信連が損害をこうむつたという件目ですが、その件目による金額等はわかりませんか。そういうことは整理せずに件別に整理しているようでございますが、できれば私の方ではそういう事件別の損害金額といいますか、固定化金額というものが知りたいのです。それでないと実際どういうことでそういうことになり、それをまた政府が金融上のめんどらを見るとしても、ほんとうに大切な国の金を使うのでありますから、妥当な処置をすることにしませんとあとで問題が起つて参りますから、このことのために固定化しているならこれはやむを得ないのではないかというて、国民が納得することにしなければなりませんので、内容をもう少し詳しく御説明願いたい。杉野さんの方でわかつてつたらいいし、わかつていなかつたら調べて資料を出してもらつてもいいです。
  56. 杉野精一郎

    ○杉野参考人 詳細な調査を課目別につきましては調べておりませんが、ただいま局長からお話がありましたように、連合会だけをとつてみますと二十六年の三月末には八十二億の赤字があつたのであります。それが最近調べたところによりますと二十七年の三月末だと思いますが、連合会の赤字が六十六億になつております。固定貸付金が九十一億でございますので、六十六億との差額が固定化在庫、あるいは固定資産に見合う固定貸付金になつているのではないかというふうに考えます。大体今のところこの程度しかわからないのであります。この六十六億の赤字がどういうふうになつてできたかということにつきましては、私ども考えといたしましては、農業会を解体いたしまして協同組合に移行する場合に、清算の方針といたしまして、農業会を破産に導かぬようにしなければならないというふうな基本的な方針で農業会の清算をしたのであります。従つてそのときに破産に導びかぬためには、在庫品なりあるいは固定資産を相当水増し評価をして清算をした。それが経済界のインフレの終息に伴つて評価が相当落ちた、そういうことが相当大きな赤字発生の原因になつておるのじやないかと考えるわけであります。詳細の点につきましては、調べましてまたあとから資料を御提出申し上げたいと思います。
  57. 井上良二

    井上委員 今杉野さんからのお話は大体大づかみな御説明でありまして、その件日別の具体的なことが出て参りませんと、各連合会単位の全体の赤字がこれだけあるから、従つてこれを保証して来た信連としても、こうなるからということでは、ちよつとそこには問題が起つて来やしないかと思いますので、ぜひひとつ今私が申しております件目別の赤字の説明を資料としてお出しを願いたいと思います。今の御答弁以上に答弁を求めることはこの際御無理かもしれませんが、さようひとつ願いたいと思います。
  58. 坂田英一

  59. 金子與重郎

    ○金子委員 この前合同審査会をする都合上、質問を途中で打切つたのでありますが、今日は中金は来ておりますか。
  60. 坂田英一

    坂田委員長 来ておりません。
  61. 金子與重郎

    ○金子委員 それでは小倉さんよりお話がありましたことを一応確かめておきますが、この従たる事務所を置くということにつきましては、先ほど懇談会の席で私申し上げましたことをあなたはお聞きでありますから、自分の考え方は大体おわかりになつたと思いますが、そういう意味で別に置いてはならないということを将来とも原則的にきめるのじやない。この際簡素なものを、そして公庫のあり方をきめておいて、次に来る問題は、政府の低利資金のようなものと、組合の自己資本というものを総合的に機関が動かして行く方が効果的である、あるいはまた別個な立場で行く方がいいかというような問題、もう一つは今のような代行の仕事で行く方が高能率で行けるか、あるいは独自の出張所を設ける、いわゆる従たる事務所を設けてやつて行く方が、より能率が高くコストが低く行くかということを再検討して、ことに農林中金、系統金融全般に対して掘り下げなくてはならない時期が来ておるから、それまでしばらくの間今まで通りの、いわゆる特別会計が公庫にかわつたというふうな姿で店開きをしておいたらどうか、こういうふうな考え方を持つておりますが、それに対して局長のお考えを伺いたいと思います。
  62. 小倉武一

    ○小倉政府委員 御趣旨の点もよくわかるのでございますが、ただ組合金融全体につきまして、長期あるいは中短期の金融といつたような問題、さらには組合金融につきましての制度上の問題につきまして、至急検討すべき問題があるということも御意見の通りだと思います。ところでそれに関連いたしまして、もし金融公庫が発足するといつたような場合に、どの程度の独立性を持つて発足するのが妥当かということになるのであります。その点につきましては、私どもも、考え方といたしましては、公庫というものが特別会計からかわりまして独立するにいたしましても、ただいま特別会計と中金その他の持つておる関係と、新しい公庫が中金その他との間に持つであろう関係とかわらないようにいたしたい、かように思つております。それをかえるにつきましては、今金子委員のおつしやつたような、全体の問題とからめて考えるのが妥当であるということについては、ほぼ同感でございます。ただそれにつきまして、現在提出になつておりまする法案の従たる事務所がそれならば法律上さしあたりは不要になるのではないかということに関連が参つて来るわけであります。これをもし重点を置いて考えるといたしますると、さしあたり特にどうという考えがなければ、従たる事務所を置くことができるというような規定は不要なもののようにも考えられますけれども、他方また、今仰せになつたような事柄が、たとえて申しますると、米の統制撤廃といつたようなことが、事情のいかんによりましては早急にまた問題にならぬとも限らないのでありますが、そういう場合には、これは金融機関としての信連あるいは中金等のあり方も当然検討しなければならぬ。そういうことが近い将来に予想ざれるといたしまするならば、今発足される公庫にも、将来のために必要な規定を置いておくということもいいのではないか、かように思つておるのであります。もつとも規定があるからと申しまして、先ほどお話になつたようた趣旨に違反して法律運用するということは毛頭考えておりません。従たる事務所を置くことにつきましても、主務大臣の認可がいるということにもなつておりまするし、その点についての運用は、御趣旨のように運用して行きたい、かように考えておるのであります。
  63. 金子與重郎

    ○金子委員 この従たる事務所を一応置かないで、すぐ全体金融の問題のあり方、あるいは中金の性格なりあり方に対しても私どもはここでいろいろ考えなければならぬ問題が多々あるのであります。ただここでなぜその点を申し上げるかというとかりに従たる事務所をそうたくさん置く必要はないといつても、たとえばある地域に、地域上どうしても一箇所、関西なり、東北なり、北海道なりに置くというようなことで出発いたしますると、今度は全体的にいつて能率なりコストの問題を考えることよりも、その地方々々のブロツク別の便利、不便という要求の方が非常に強く働きますことと、もう一つはお役所にしてもそうでありますが、どの機関にしても一応店を開いた以上は、自分の機構が大きい方が喜ばしいのでございます。これは各役人の一つの部局という点におきましても、自分の部局が大きい方がいいというので、その拡大強化ばかりはかるようにいたしまして、そういうふうな末端の要望と、そのマネージする人のセクシヨン、この二つの関係から、自然に尨大になつて来るということは、ひとりこの公庫だけの問題ではなくて、すべての問題にその考え方は通用し、またそういうあり方で、行政費にいたしましてもいろいろな費用が増して来ているのだと思うのであります。でありますから、そういうときの要求というものは、金融全体の能率だとか、全体のコストだとかいうことを度外視して大きくなるという必然性を持つておる、こういうふうに考えますがゆえに、私はその点を特に考えるわけであります。それは言葉の問題でなくて、今までのあらゆる機関がそういう経路をたどつて今日まで来ておりますので、そうしますと今の局長の御意見といたしますと——私どもはこれを置いてはならないというのではなくて、かりに今の中金が非常な高い、たとえば今の三分なり二分何厘というものを、資金がふえて来てもこれ以下ではできないというようなことを今度は現実の計数に出してみまして、それだけの費用を出すのならば、いわゆる公庫自体が直接従たる事務所を設けて、一般に便利な機構を立ててももつと安く行くのじやないか、こういう場合があるならばこれは別問題であります。そういうふうなことができるまでは、私は置かない方がいいのじやないかと考えておる。従つて今の中金に委託しているその委託の。パーセンテージが動かせないものだとは私は考えておりませんし、またそれが高いから、それだけの経費を払うならば、出張所を置いてもいいのじやないかという理論は、私としてはそれを金科玉条に考えておりません、弾力をもつて考えておるわけであります。そこでもしもそういうような場合があつたときには、法令の改正ということは簡単なことでありますので、そのときやつてもおそくはないのじやないか。  一箇所なり二箇所なり置いてしまつて、もう区切るわけにいかぬということになつて問題を起すよりもかえつていいのじやないかと考えるわけであります。くどいようでありますが、修正するとどこに不都合が起きますか伺いたい。
  64. 野原正勝

    野原委員 第三条における、主たる事務所を東京に置き、必要な地に従たる事務所を置くことができるという点、この問題につきましては、すでに御承知の通り、ただいまの発足いたします農林金融公庫なるものは、従来の農林資金融通法による特別会計そのままの仕事を継承してやつて行くのでありまして、中央における機関としての公庫はできますが、他はすべて従来通り農林中央金庫あるいはその他の金融機関に実務の方は委嘱してやるわけであります。従つて今のところ、従たる事務所をいつ置くとかいうふうなことを全然考えていないのでありますが、ただ仕事の性質上、その公庫が将来発展した場合において、農村の要望等にこたえる意味において、あるいは適当な場所に支店を設けるという必要が起きた場合をおもんぱかつて、ああいう箇条を設けてある。今あの箇条があるからといつて、すぐに置くようなことは全然考えていないわけであります。御指摘のように、そんなことならばとつてもいいじやないか、まことにごもつともであります。しかしながらまた同時に、あまりじやまにもならない条項であるから、置いたところで大したこともないではないか。別に置くことを今考えていないという点から行けば、これをことさらにとる必要もなかろう。実は農林委員会などでも前回から懇談の形でいろいろお話合いをしていますと、提案者になつていただいた方々はみんながそういうふうな考え方のように考えております。私も提案者として、その点はいずれにしていいか実は迷つておるようなわけであります。提案の際においては、さしあたつてこういうものを置くことは全然考えないつもりで案はつくりました。将来何か必要が起つた場合にはあらためて考えるというようにして、一応条文の体裁上主たる事務所を東京に置く、または必要な地に従たるものを置くことができるということにはなつておりますが、その点は今のところ全然考えていない、将来の問題としてあるいは考える場合が起るかもしれないという程度の軽い気持と御解釈をいただくならば、さほどむずかしいことではないじやないかというふうに考えております。
  65. 金子與重郎

    ○金子委員 これ以上申しますと討論になりますので、これ以上質問は申し上げませんが、ただ軽い気持、重い気持ということでなく、法律でありまする以上は、これは完全に置くことができるのでありまして、たとい一箇所でも一旦置きました後にこれを廃止するということは容易にできぬことでありまして、また非常に迷惑がかかることであります。それから先ほど御説明になりました中に、地方の要望によりというようなお言葉がありましたが、その通りでありまして、かりに私どもの群馬県なら群馬県にどんな役所でも、——ひとりこういう機関でなく、どういう機関でもあつた方が私の県としてはよろしいのであります。国全体として損であつても、私の県では何でも出張所ができた方が得なのであります。でありますから、地方の要望によるということですと必ず置かなければいけないということになります。それを置いたことを責めれば、それは地方の要望により置いたということになる。ですからそういう形で行きますと、今の行政機関にいたしましても、すべての機関が尨大になつて来るのであります。ひとつその点だけは政治のかけひきや何かで言つているのじやありません。実際今の日本の国はあらゆる面で大きな整理をしなければならぬ時期に直面しておる際でありますから、複雑化して行くことが必ずしも悪いというのではありませんが、私はそれをいま一年研究しようじやないか、研究してそれよりほかに道がないというのであるならば、それを置こうじやないかということでありまして、これ以上申し上げると意見になりますから、これで問答はやめたいと思います。
  66. 坂田英一

  67. 足鹿覺

    足鹿委員 農協再建整備法についてお伺いいたしたいと思いますが、現在の農協再建整備法は、その当時においては若干の効果期待もし、また事実上げたのでありますが、今になつて考えてみますと、これではとうてい現在の農協の再建整備を強力に推進する措置とは言い得ないと思うのでありまして、たとえば一つの矛盾としては、指定日が昭和二十六年の三月三十一日であります。ところが事実上において去年の澱粉の暴落等によつて相当な打撃を受けた連合会がある。ところがその後において購連と販連が合体をして経済連になつた。ところが当然それは前の購連を中心とする赤字に対する再建整備法を適用したと同様の経済変動の趣旨によつて痛手を受けておりながら、再建整備法の対象にならないという事態が相当私は出て来ておると思う。そういうふうに再建整備法自体が具体的に大きな欠陥を持つておるということは、現実から見て疑うことはできないと思いますが、この点専門の農協課長の村田さんにどういうふうにお考えになつておるか、お尋ねいたしたいと思います。
  68. 村田豊三

    ○村田説明員 ただいま御指摘のように再建整備法の建前は指定日を押えまして、その指定日現在の自己資本不足額に対しましての増資でございますし、また指定日現在にありまする在庫品や、固定化債権の流動化を目標にいたしております。ただいま御指摘がございましたように、連合会のその後の赤字の累積等に対しまする再建整備推進上の奨励措置というような特別の措置は講ぜられていないことは御指摘の通りだと思います。
  69. 足鹿覺

    足鹿委員 御指摘の通りだというのではなく、それについて当該課長から、どういうふうにこれを改善するとか、何らかの対策をとらねばならぬという、事務当局としての御所見を承りたいのです。
  70. 村田豊三

    ○村田説明員 事務当局の所見はむしろ農業経済局長がおりますので、そちらから答えるのが妥当かと思います。
  71. 足鹿覺

    足鹿委員 この間も聞いたのですが、小倉さんは抽象論ばかりでなかなかほんとうのことを教えてくれないから、今日は専門の農協課長——部長が病気で来られないそうですから、あなたから局長とお打合せになつて、局長の所管範囲が非常に広いから、よくおわかりにならない点もあろうと思うので、遠慮なさらずにお話願いたいと思います。
  72. 村田豊三

    ○村田説明員 現行の再建整備方針だけではそういう新たなその後の予測しなかつた事態が発生いたしました際には、ただいまの方針だけでは、十分にそれを推進できないということもただいまお答え申し上げた通りでありますが、またその点につきましてはわれわれもただいまの再建整備法が十分ではないということを認識はいたしております。ただ、ただいま私見を言えと言われましたので、あえて主管課長としての私見を申し上げさせていただくならば、再建整備法が実施されまして、今日までちようどわれわれが正確に把握しております実績というものは初年度一年限りの実績でございますが、それがどうであつたかということにつきましては、先般来資料も御提出申し上げておりますので、ごらんおきの通りでございまして、一応表面に出ました数字的なものは増資にいたしましても、固定化債権の流動化にいたしましても、在庫品の流動化にいたしましても、かなりの成果を収めているというふうにわれわれは了解をいたしております。もとよりそれだけについてそのまま今後四箇年にわたつて再建整備が目的通り達し得るかどうかにつきましては、これはまたただいま御指摘のように、再建整備推進途上におきまして予測できない経済界の変動その他の条件が加わつて参りますので、今日ただいまあと四年で農協再建整備が完成するという確信も持ち得ませんけれども、一応われわれは初年度の実績をながめました上では、かなりの成果が上つているのではないかというふうにも見ておりますので、この初年度の実績が今後いかに推移をして参るかということを、今しばらくわれわれも二十七年度の実績等を検討しながら、さらに検討を重ねて参りたいというふうに考えておりします。
  73. 足鹿覺

    足鹿委員 御所見を承つたのですが、次から次に再建整備を必要とするものが続出する気運が大きくなつて行く傾向は見のがすことができないと思うのです。ですからこそ、いろいろな形において別途に再建整備法の準則の改正ができないならば、別個なる金融措置なりあるいは適切なる措置を要望する声がほうはいとして出て来ると思うのです、御検討になることはけつこうでありますが、たとえば今銀行法との関係についてわれわれが考えなければならないことは、結局その再建整備の対象組合なりあるいは不振組合の究極におちついて来るところは、農業金融の梗塞——信連の資金がさらに事業組合を圧迫し、そうして信連の方としては確実な金利が入つて来るからいいようなものの、全体から見れば固定化して、現在在庫したものをほんとうに時価に見積つて今全部これを整理し直すことになりますと、まだまだ赤字がたくさん出ます。今の在庫をさらに再評価してこれを処分するということになりますならば、あの再建整備指定日現在後において、おそらくまた大きく赤字が出て参ります。これはもう事務当局よく御存じだろうと思う。そういうことになりますと、これはよつてつて農業金融の梗塞に非常に大きく影響して参ります。従つて一方において再建整備法の必要な改正を行うことを急速にやつていただくと同時に、別途に何らかの措置が講ぜられなければ、これは片がつきません。そこでたとえば農業会からの引継ぎ譲渡資産の問題につきましても、先刻井上委員は債権の焦げついた、不良化したものもあるし、いろいろな面においてその内容を検討しなければならないのではないかという御意見でありましたが、あるいはそういう面もあるでしよう。しかし農業会からの引継ぎ資産の重圧というものに対して、各県の信連がばらばらに金利をとつておる。二銭三厘のところもあれば二銭六厘、はなはだしきに至つては二銭八厘のところもある。一体組合金融協会は何をしておるか、私は疑わざるを得ない。信連の自主性ということはあつても、何のための全国の金融協会です。農業会引継ぎの固定資産のもらいたくないものまでもお互いがのみ込んでおる。その資金の重圧というものは、私どもの知つておるところでも、おそらく出資金をみんなオーバーしております。そんなことで流動資金なんか一文もありません。従つてこれはさらに信連のやつかいにならなければならぬ現実の事態があります。ですから赤字そのものを全部埋めろということは国家の大きな見地から見ましたら無理かもしれません。しかし現実に国の方針によつて農業会が解散し協同組合が生れて、好むと好まざるとにかかわらずこれを押しつけられておる。このものに対してはりつぱに処置すべきはずなのです。国がいわゆる利子を補給するとか、あるいは中央金庫が真実に系統金融の中枢であるならば、これに対してもつとあたたかい措置を講ずべきなのです。その間にあつて実際に介在して働かなければならないところの金融協会の使命の一つでもあると思うのです。一体これらの点については政府自身はどうお考えになりますか。組合金融協会としても、今までどういう措置を講じておられますか、私はこの機会に伺つておきたい。
  74. 小倉武一

    ○小倉政府委員 御指摘のように再建整備にかかおりませず、なお協同組合特に経済関係の連合会が相当の赤字を出しておる。従つて信連が相当の固定貸しを持つておりまして、金融事情から見ましてもあるいは経済事情から見ましても、協同組合全般の状態が良好とは必ずしも言いがたいのであります。もちろんわれわれといたしましては、再建整備法に基いてやり得る範囲の助成、それから指導監督はいたして生るのでありますが、それにもかかわりませず難点があるということも御指摘の通りだと思います。ただ、非常に事務的な話になりまして恐縮でございますが、再建整備法が発足いたしましてまだ一年余りにしかならない、またその計画によりますと五箇年間で三十億を越すところの奨励金が組合に行くことになつておるのであります。従いまして事務を処理するものとしては、既存の法律でもつて、既存の大体の予算の計画で最善の努力をして行くということが、当然課せられた使命でございますので、それができないというふうにシヤツポを脱ぐのは、どうも事務的に割切れない問題がございますので、そういう点につきましては大臣の御判断を仰いで——御趣旨のような不ぐあいな点、なお足りない点があることは、私も認識するに人後に落ちないのでございます。ただそこに若干の政治的判断を要する部面があるというふうに思いますので、大臣の御意向もとくと承知いたしました上で、しかるべき対策を考えたい、かように存じておるのであります。
  75. 足鹿覺

    足鹿委員 御研究になつておるというふうに委員会が抽象的な御答弁をしておることが、新聞にはもう具体的にみな出ているんです。きようの新聞をごらんになつても、農林金融に対する特別措置の問題についての農林当局の御構想というものがちやんと出ている。それなのに、国権の最高機関である国会において内容が承れないということはないでしよう。私はふしぎに思うのです。けさの新聞にはあなた方の構想というものがちやんと出ている。それをなぜこの委員会で言明ができませんか。私は小倉さんの人格はよく知つておりますが、あまりかたくかからないで、あげ足はとりはしませんから、率直のところを御発表になつてしかるべきものだと思う。再建整備法がどうしても今のところ速急に行かぬならば他の金融措置に対して現在政府当局考えておる構想をここまでも盛り上つたときに、その主管であるこの農林委員会でその構想が発表できないということはないでしよう。発表してください。
  76. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これは実のところまだ発表するといつたようなふうに固まつた案がないのであります。と申しますのは事柄の性質が非常にむずかしいのでございまして、また、協同組合といつては語弊があるかもしれませんが、協同組合の関係機関の要望するところも、必ずしも最近まで統一しておつた要望ということでもなかつた。どれをとり、どれを捨て、また必要な資金といたしましても、どういう資金繰りを考えるかということになりますと、やはりもう少し進めて考えなければならない点があると思います。従いまして、新聞にどういう案が出たのか、私うかつで拝見していないのでありますけれども、まだ局としても固まつた案が実はないのであります。さような次第で御了承願いたいと思います。
  77. 足鹿覺

    足鹿委員 けさの日本経済新聞をごらんになればよく出ております。あれはどこから出たのですか。大蔵当局との間にある程度の話合いを進めておると出ておりますが、これはおそらく推測記事じやないと思うのです。ですからある程度御研究になつておるはずですが、ないとおつしやればこれ以上申し上げてもいたし方がありませんから、それは政務次官なり大臣に出てもらつて、そこでさらにお尋ね申し上げたい。あるいは大臣政治的な立場において、政務次官政治的な立場からおやりになつておる点もあろうと思いますから、ひとつ明日でもこの問題は継続して、政府の責任者に出てもらうように、委員長はとりはからつていただきたい。この程度でこの問題に対する質疑は打切ります。
  78. 坂田英一

    坂田委員長 政府の方で発表できるときは瞬間的になるべく早く発表されるよう委員長からも申し入れます。
  79. 平川篤雄

    平川委員 今問題になつております金融公庫が直接貸し付けるか、金融機関に委託するかということの、一つの大事な点で、この経済局から出ております経費見込みにかかつておる点も多少あるので、参考のためにもら少し詳しくお話を聞きたいのであります。公庫の経費二百億円の場合の四億二千万円の分でけつこうでありますから、どういう積算の基礎であるか、それをちよつとお示し願つておきたいと思います。
  80. 小倉武一

    ○小倉政府委員 私十分見ておりませんので、金融課長から御説明いたさせます。
  81. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 公庫の経費四億二千万円の内訳につきましては、直接やる場合の資金量二百億円のときは五百人ということで算定いたしております。五百人の内訳は中央が八十人、地方が四百二十人、大体一所あたり十人ぐらいのことを考えておるわけであります。そこでその場合の人件費、事務費、及び固定資産の毎年の償却費を考えて算定したわけであります。
  82. 平川篤雄

    平川委員 人件費、事務費、固定資産費というものはどういうふうなお見込みになつておるか、それを聞きたい。
  83. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 事務費につきましては、給与を現在の公務員の大体三割アップぐらい、一人当り月一万六千円ぐらいを考えておるわけであります。それに退職手当の積立金とか、あるいは旅費、それから業務のいろいろな事務費たとえばノートを買いましたり、その他いろいろの雑費であります。それから固定資産の償却費、それだけを算定いたしております。
  84. 平川篤雄

    平川委員 四十箇所の事務所というものは、どういう構想でお考えになつておられますか。
  85. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 まず二百億円の場合はみずからやろうということが不可能という考えから、四十箇所というのは二百億円の場合は仮定であります。それで千億というふうに資金量がふえまして、各地に事務所を置いてやらなければいかぬということになりましたならばそういうことが可能と存じます。四十箇所ということになりましたならば、全国を四十ブロックぐらいにわけてやることになりますが、二百億の資金量ではちよつとやるという見通しもつきませんし、不可能であると考えております。
  86. 平川篤雄

    平川委員 そうすると、事務所費はこの中には全然入つていないのですね。二百億の場合は中央一箇所だけですね。
  87. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 二百億の場合におきましても、固定資産の償却費を考えております。各事務所の費用も一応入れて考えております。実際は私たちの予算第におきましては、これは考えていないので、仮定の数字でございます。
  88. 平川篤雄

    平川委員 そうすると、この四億二千万円の中に、今の固定資産の償却費は一体どのくらい入つておるのですか。
  89. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 五千万円考えております。
  90. 平川篤雄

    平川委員 それでは参考までに、一千億の場合にはその固定資産の方は幾らに計上してあるのですか。
  91. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 一億五千万円に考えております。
  92. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいま平川君から質問がありましたこまかい数字、これは相当正確な御研究によつてつたものと思います。それで今公庫の問題で従たる事務所を置くか置かぬかというふうな際にこの資料が出て来るということは、従たる事務所を置いてやつた方が現在の中金に委託しておるよりもはるかにコストが安く行くのだ、こういうことをこの表では結論として出しておるように思うのですが、こういうことがはつきりわかつておりながら、なぜ今の率で中金に委託したのか、その点はどういう理由ですか。
  93. 小倉武一

    ○小倉政府委員 この数字だけから見ますと、あるいはそういうふうにお考えになるかもしれませんが、委託の手数料と申しますのは、事務費とか人件費とかいうものばかりではなくて、委託機関が責任をもつ二割という部分に対する利息というものも入つておるのでございまして、その点を考慮しまして、二百億あるいは五百億の場合でも、利息——二割の分の含みを持つた上で比べて見ないと、結論がただちには出て来ないと私は思います。
  94. 金子與重郎

    ○金子委員 私もこれは手数料だけでなしに二割の危険負担というものがあるということを考えておりますが、ここには二割の危険負担——どれだけの出血が出て、平均どれだけ見込むかという数字が出ておりませんので、特にその間を比較したわけでございます。そこでそういうふうな問題があるからこそ、このところで、こういつた経費——事務所費に幾らかかる、人件費に幾らかかるということだけでは解決がつかぬのではないかと考えましたので、そういうことをお伺いしたわけです。
  95. 坂田英一

    坂田委員長 本案に関し他に御質疑はありませんか。——他に質疑なきものと認め、本案に関する質疑はこれをもつて終局といたします。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時五十分散会