○金子
委員 ただいまの梶井総裁のお話は、ひとり電柱の敷地料だけの問題を
考えておられぬ、ベース・アツプの問題、あるいはまたそれをやれば、独立採算の建前から料金の値上げというような大きな問題があるから、上げるという気持はあるけれ
ども、それらを具体的に今
研究しておられないというお話でありますが、私はそのままここでそうですがと言いたいのでありますけれ
ども、遺憾ながらそれは少し問題じやないか。大体おとといあなたにおいで願いたい、と言つたときに、あなたは来られないということだつたし、副総裁は御病気だというお話でありましたけれ
ども、あとで新聞で見ますと、その病気は医者では治らぬ病気のように承
つております。そこで総裁はお忙しいだろうけれ
どもどうして来られないのかと思
つて、あとで私
質問しましたところ、それはベース・アツプその他の問題についての経営協議会があるからだということであつた。なるほど働く人たちが今ストライキもやりかねない状態にあり、また何か新聞紙上で見ますと、数万通の電報がストツプしておるというようなことで、
従つてこれを放置できないあなたの今の立場は当然私はわかるのでありますが、しかし電電公社が独立採算だから払えるとか払えないと言
つてみましても、
農民だ
つてやはり独立採算でありまして、どこからも金をもら
つておるわけではありません。たんぼに持
つて行
つて柱を立てられておれらは独立採算だからと言
つてみた
つてそうは行かぬ。お前らはそのうちに
考えてやる、これじや少し話が受取れない。ことに私的な話にな
つて失礼でありますけれ
ども、梶井総裁は——これはあなた直接のお話じやありませんけれ
ども、間接に伺うと、非常に人間的な、
一つの社会の苦労をなさ
つてお
つて、人に対して非常に思いやりの厚い方だということであります。そしてあなたは、浪人をしていたときのことをしみじみ感じられて、こうして自動車を持つ身分になると、浪人している人が駅にでもいたらそれを乗せてやりたいという気になる。それくらいまであなたはおつしや
つておる。それくらい人情に厚いあなたでも、汽車に乗
つて窓からたんぼを見れば、なるほど
一つの風景だ、そこに電信柱が立
つているとしかお思いにならぬ。ところが百姓している者から見ると、あの
日本の百姓というものは、幅四寸のくわをも
つて隣のたんぼに入れたとか、いや隣のやつがおれの方にくわを入れたとか
といつて、非常に大きなけんかをやる。自然の
一つの山を見れば、自然の景色であるが、その山の境界線の一尺、二尺を争
つておる。それほどこせついた
農業なんです。そういうところへでんと柱を立てられても、今まではこれはお上でやるんだからしかたがないという
一つの没法子であきらめてし
まつたのです。だから——なるほど労働者の連中も働かなければ電話は通じないかもしれませんけれ
ども、しかし全部が無線にならない限りは、あの柱なしにはやはり電話は通じないのであります。それをあの連中は黙
つておるというので、独立採算なんだから、またもつと忙しい問題があるから、おれの方はそれを
考えておられぬというようなことは、われわれははなはだ聞き捨てにならぬのでありまして、柱がなければ電信も電話も通じないのであります。そういうように、それが
公共性を持
つておるということはよくわか
つておる。また
公共性を持
つておるからこそ今日までこうや
つて来たのでありましてもしも隣のおやじがああいうものを立てたなら、これはとうてい問題にならぬ。
公共性を持
つていたから
農民はあきらめていた。そして黙
つておるからこの問題はあとにする。一方電報もためてしま
つてストライキをやる気勢を
示したから、それらのものには優先的に
対策を
考えるという政治のやり方はいけないのでありまして、この点に対し非常に人情に深い、しやばの苦労をなさ
つておるあなたがそういうふうな御
答弁をなさることは、非常に遺憾なのであります。
事務当局の方も一緒に来ておるようでありますが、そうは御
答弁にな
つても、邪推するようですけれ
ども、この問題についてはもう何らか、相当な
研究をなされておるものと私は想像しておるのであります。それでどうぞ率直に——何もこれは私の方で払わせる権利があるわけじやありませんので、
全国の黙
つておる
農民の
考え方を代表して申し上げておるのであります。実際はもう少し思いやりのある
考え方をきつとなさ
つておると思いますから、それをそのまま打明けて御
答弁願いたいと思います。