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1952-12-18 第15回国会 衆議院 農林委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十八日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 野原 正勝君 理事 原 健三郎君    理事 平川 篤雄君 理事 井上 良二君    理事 足鹿  覺君       青木  正君    秋山 利恭君      小笠原八十美君    高見 三郎君       中馬 辰猪君    寺島隆太郎君       松野 頼三君    村松 久義君       金子與重郎君    高倉 定助君       高瀬  傳君    川俣 清音君       中澤 茂一君    芳賀  貢君       中村 英男君  出席政府委員         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官        (農業改良局長) 清井  正君  委員外出席者         議     員 山村新治郎君         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   河井治郎君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社施設局施設部         長       米澤  滋君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  湿田単作地域農業改良促進法案青木正君外七  十七名提出衆法第八号)     —————————————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより農林委員会を開会いたします。  まず湿田単作地域農業改良促進法案を議題といたし、前会に引続き審査を進めます。  この際前回の委員会における平川委員質疑に関しまして、委員長から政府に要望しておきました湿田解釈並びに地域指定基準につきまして説明を求めることにいたします。
  3. 松浦東介

    松浦政府委員 先般の当委員会におきまして平川委員から、湿田地域解釈でありますとか、その指定基準についての農林省の現在の考え方はどうであるかというようなことについての御質問でございますが、湿田単作地域指定につきましては、申し上げるまでもなく法第二条によりまして、湿田単作地域農業改良促進対策審議会の議決を経て指定することになつておるわけでありますが、大体の私ども考え方としましては、さきに施行になりました急傾斜地帯農業振興臨時措置法とか、そういうものに準拠いたしました考え方でこれを考えておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、決定法律通りました以上は審議会においてこれをきめることになつておりますが、現在農林省考えておる基準をとおつしやれば、一応事務的な考え方を申し上げたいと思います。急傾斜地帯農業振興臨時措置法の第三条第一項の規定による、県の区域指定基準に準じた考え方もその一つであると思います。御承知のように急傾斜地帯県指定は次に申し述べますような条件を充足する郡を該当郡といたしております。第一は急傾斜地面積九百町歩以上、第二は総耕地面積に対する急傾斜面積の比率九%以上、第三は土壌浸触度流亡率二五%または流亡速度年三ミリメートル、こういうことでございまして、この該当郡数当該都道府県内の総郡数の三分の二以上を占めるときは都道府県の全部を、または三分の一以上を占めるときは都道府県の一部を指定したのでありますが、湿田単作地域指定につきましては次のような基準案を参考として考えております。一、湿田であつて利用率がおおむね一三〇%以下であること、二、前項の利用率湿田面積が郡市の水田面積の四〇%以上ある場合、または市郡の区域内でおおむね九百町歩以上ある場合であること、全国水田面積に対する湿田面積割合は四七%であり、全国平均の一市郡当り湿田面積は九百五十町歩であります。以上のようなことでありますが、先ほど申し上げましたように本法案が成立いたしました以上は審議会でこれを御決定願いたい、こういうふうな考え方をしております。
  4. 坂田英一

    坂田委員長 質疑を続行いたします。川俣清音君。
  5. 川俣清音

    川俣委員 ただいま農林政府委員から指定条件についての説明がありましたが、これは法律でありますから、本法に示す湿田単作地域定義を明らかにしていただきたいのであります。並びに今までの説明によりますと、学問的な意味湿田、半湿田説明はありましたが、湿田単作地域というものについての定義説明はなかつたのであります。この点を明らかにしていただきたいのであります。なお今までの説明によりますと、農地の劣悪な条件を克服するために、本法提出するのであるということでありますが、表題によりますと、農業改良ということになつておりまして、農地改良よりも農業改良という意味を強く表題に出ししおられます。そうなつて参りますと、これは単に農地の劣悪な条件を克服することでなくして、農業改良農業の劣悪な条件改良するという意味であろうかと思いますが、そうなりますと、農業の劣悪な条件を克服するための条項というものは、これには出ておらないようであります。こうなつて参りますと、羊頭を掲げて狗肉を売るような法律案となるおそれもありますので、この点に対する御説明を願いたい。なお今までの御説明によりますと、湿田単作地域公共性を欠くものはこれから除くというような御説明もありましたが、将来日本食糧増産を進めて参ります上からは、土地改良法という法律もありまして、これらとの関係もにらみ合せて考えて行かなければならぬのに、本法だけが公共性を欠くということで湿田地域指定から除くことになると、将来の土地改良に与える影響も大きいと思いますので、この点もあわせて御説明を願いたいと思います。
  6. 松浦東介

    松浦政府委員 ただいまの川俣委員の御質問でありますが、地域指定とか、地域解釈とか、あるいはその指定基準については先ほど申し上げた通りであります。ただ湿田であるために農地としての利用率が非常に低い、農業生産力が非常に劣つておる湿田地域農業技術の改善に関しまして、全然考慮を払つておらぬではないか、こういうような御質問もあつたようでありますが、その点につきましても、実は二十八年度からいろいろな施策をやりたいと、用意をいたしておるようなわけであります。詳しくは他の政府委員から御説明申し上げますが、たとえば湿田改良いたしまして半湿田にすることが一つ目的であろうと思いますが、半湿田になりました場合に、高うね栽培実施するためにいろいろな施策を行うとか、あるいは乾田化または高うね栽培の困難な半湿田につきましては稲作の早期栽培後の秋作蔬菜世人等計画土地利用の問題、そういうような試験地をつくつて推進するとか、そういういろいろな方法を、実は二十八年度からの予算において考えるつもりで、現在用意をいたしておるような次第であります。なおその点につきましては他の政府委員よりお答え申し上げます。
  7. 清井正

    清井政府委員 ただいまのいわゆる非常な湿田地帯利用率が低い、こういう問題に加えて、裏作が全然できない。あるいはごく一部しか裏作ができないということで、表作、裏作を通じての収入が、二毛作を完全に実施する場合に比して非常に低いということをねらいまして、この湿田単作の問題が取上げられたのであろうと考えておりますが、ただいま政務次官からも御説明申し上げました通り、いわゆる土地改良と申しますか、排水と申しますか、そういうことによりまして、現在の湿田を半湿田に、半湿田乾田にするということは、これはもつぱら農地関係事業として実施していただくことになります。端的に申しますれば、それに至ります前の問題として、現在の湿田なり半湿田利用率を幾分でも高くいたしまして、当該農地の総合的な生産力引上げることが必要かと存ずるのであります。その点はお話の通りでありますが、その問題につきまして、私どもただいま考えておりますことは、ただいま政務次官が御説明申し上げた通りでありまして、たとえば半湿田につきましては高うね栽培実施して行かなければならない。これはこれよりほかに方法はないのでありまして、さしあたり畜力農機具を導入いたしまして、高うね栽培をするということであります。畜力農機具研究につきましては、すでにある程度完成をいたしておりますけれども、まだ実際上全国的に完全にこれが行き渡つていないのは残念でございます。なおさらに畜力農機具を入れまして、半湿田について高うねの栽培実施する試験研究はいたしますが、一応完成しておるものにつきましては、これを実地に改良指導をいたすなり、あるいはそれを普及員仕事の中に入れて、展示圃によつてこれを模範的に実施させる、こういうような方法考えておるのでございます。さらに高うね栽培のほかに、そこに作付する作物といたしましては、菜種、それから最近考えられております亜麻、あるいは緑肥作物等考えられるのでありまして、菜種につきましては、共同育苗、これは現在積寒地方については考えておりますが、さらに湿田単作地域におきましても新たなる施策考える。たとえば亜麻につきましても簡易繊維製造施設考える。あるいはさらに緑肥作物原種圃考える。こういうようなことを考えまして、半湿田対策を講じて参りたい、こういうふうに考えております。さらに植物の耐湿性を強化する試験も、あわせていろいろ実施して行かなければならぬというふうにも考えております。半湿田についてはさような方法考えられるのであります。湿田、いわゆるほんとの湿田につきましては、これをまず土地改良によりまして半湿田にして行く以外に今のところちよつと利用方法がないのでありますが、ごく一部につきましては、先ほど御説明申しましたことく、蔬菜を導入するというようなことを考えなければならぬ、これはもつぱら指導によつてやらなければならぬというように考えております。以上のような方法湿田対策、半湿田対策として農業技術上必要だと考えられるわけでありますが、これを総合強化いたしまして、土地改良政策と並行いたしまして当該土地利用率を高度化する、それによつてさらに生産力引上げる、こういうことがわれわれの考えるべきことかと考える次第であります。
  8. 川俣清音

    川俣委員 今の御説明でありますと、農林省の持つております農業改良全般にわたる総合計画一端が示されただけでありまして、特に湿田単作地域に対して農業改良を行わなければならない、しかも指定地域に対して行わなければならないという説明ではないと思います。これはむしろ総合的な農業改良を行う一端をお示しなつただけでありまして、特に湿田地帯だけを農業改良を行わなければならない理由にはならないと思うのですが、農政の面といたしまして、当然全般的な総合的な農業改良促進的な面を受持たれなければならないのにかかわらず、その方を等閑にしておるために、これに便乗して農業改良を行うという意味なのか、総合計画一端としてこれを行うという意味的なのか、この点の説明を願いたい。また前の説明によりますと、面積が小面積であるならば公共性を欠くということがあつたのでありますが、はたして湿田単作地域面積が過小であります場合は公共性を欠くというふうに、この法律規定しようとしておるのであるかどうか。もしもそうでありますと、一般土地改良事業と衝突するにおそれがあると思いますので、この点の御説明をあわせてお願いいたしたいと思います。
  9. 松浦東介

    松浦政府委員 御質問の中の土地の小面積の場合は、農業経営公共性を欠く、こういうような話があつたということでございますが、私どもはさようには考えておりません。これは前の委員会あたりで、説明の半ばに、今までのいわゆるアメリカの占領当時は、日本農業を非常に誤解する面が多くて、すなわち農業といえども一個の企業である、であるから土地改良その他に対して国の資金を投入することは、あまり好ましくないというようなアメリカの例の指導の綜が出ました場合の話であつたと思いますが、私ども日本農業というものは、ある意味では企業であるかもしれませんけれども、非常に公共性を持つたものであるというふうに考えておりますので、そういう点は何か話の行き違いではないかと思います。  ほかの技術面については、他の政府委員よりお答え申し上げます。
  10. 清井正

    清井政府委員 ただいまの川俣さんの御質問でありますが、なるほどこの問題につきましては、政府といたしましても総合的な施策を講ずべきであることはもちろんであります。この湿田単作地域に関する法律まつまでもなく、私どもといたしましても、この湿田のために何ら裏作作物が得られないところの、いわゆる一毛作田を二毛作田化するための必要な施策はすでに講じておるわけであります。土地改良関係はむろんでありますが、その他一般試験研究にいたしましても、あるいはその普及にいたしても、営農試験というものを設けまして、理想的な模範施設考えますとか、あるいは先ほど御説明申し上げた展示圃を設けまして一般農民模範施設とするとか、あるいは緑肥作物を導入するとか、いろいろ考えておるのでありますが、この際この法案提出されるにあたりまして、今まで考えておりました施設をさらに高度化するという意味におきまして、ただいま申し上げたようなことを考えておるということを実は申し上げた次第で、ございまして、この問題は単に本法にのみ関連するばかりでなくて、一般的な半湿田あるいは湿田対策として、私どもも従来からいろいろ施策を講じて参つておる次第であります。
  11. 川俣清音

    川俣委員 そうしますと、指定湿田単作地帯以外の農業改良並びに農地改良について、政府はどのようなお考え予算的措置をとつておられますか、その点をお伺いいたします。
  12. 清井正

    清井政府委員 ただいまの御質問でありますが、具体的に事項をあげて申し上げる用意をいたしていないことははなはだ残念でありますが、ただいま申し上げました試験研究につきましては、一般的な畜力農機具によりますいわゆる高うね栽培改良、あるいは現地試験、さらに畜力でなしに動力機械を入れるという問題を現在関東、東北の試験場において実施いたしておるのであります。そのほか営農試験の制度を実施しておりまして、各県に数箇所ずつ単作地帯営農試験地を設け、単作についての指導的な模範施設をつくつて、それに試験場の総合的な知識を導入してただいま実施をいたしております。それから予算化はいたしておりませんけれども普及員試験場趣旨に基いて、それぞれの単作地域において展示圃を今実施いたしております。そのほか菜種原種圃及び共同育苗圃並びに亜麻に対する簡単な施設、あるいは緑肥作物原種圃等、金額はただいまはつきりいたしておりませんが、そういうような施設一般的な湿田単作地帯に対する対策として現に実施しておるのでありますが、さらにこの際これらの施設を強化して参りたいと考えております。
  13. 川俣清音

    川俣委員 この法律が出なければ、農地改良農業改良が困難であるというふうにお考えになつておりますか、その点が一点。なお土地改良法というものがありますが、土地改良法だけでは湿田単作地域農業改良及び農地改良が不可能であるとお考えになつておりますから、この点をお伺いいたします。
  14. 河井大治郎

    河井説明員 この法律案の第九条のところで、灌漑排水施設その他農地改良に関する事項をあげておりますのは、湿田関係して施行されます土地改良事業そのものがあがつているわけでございます。なお第十条におきまして、「第三条から前条までに規定する農業改良計画に基く事業は、この法律に定めるものの外、当該事業に関する法律規定」に従つて実施することにいたしておりますので、先刻来御答弁がありましたように、土地改良農業改良農業技術改良というものを総合的にあわせ実施する計画が定まつて参ります。そしてその土地改良に関する部分の仕事は、やはり土地改良事業として土地改良法において行う、こういう行き方になると思います。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 今の御答弁ですが、土地改良は二十町歩以上という線が引いてある。それから急傾斜地にも一つの問題がある。特殊土壌の問題についてもやはり一定率制限がある。そうするとこの二十町歩に満たない湿田というものはどうなるのですか。それだけが取残されてしまつて、同じ農民であつても片手落ちのようになる、問題はそこだと思うのです。どうするつもりですか。
  16. 河井大治郎

    河井説明員 ただいま足鹿委員から土地改良法によつてやるものは、二十町歩制限があるというお言葉がございましたが、土地改良法そのものには面積制限はございません。ただ実施をいたしまする補助対象になつているものが、ただいまおあげになりましたようなそれぞれの事業においておおむね二十町歩以上という地帯計画について補助される、こういうことになつておるわけでございます。  そこでこの法律案につきましては、そういうことの具体的な予算的な問題が出て参つておりませんので、その点ははつきりと申し上げかねますけれども、もしこの法律におきまして、最小の地区として予算補助対象といたしますものが二十町歩と相なりました場合におきましても、団体営として行います土地改良では、一般予算において実施できないわけではないのでございます。ただ、今やつておりまする補助対象がそういう限度にまでなつておるということで、事業そのもの面積にかかわらずやり得る、こういうことだと思います。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 それはわかつているのです。団体営土地改良があるといつても、問題は補助なのだから、団体営をやる場合でも一定面積的な制約はあります。私の言うのは、それにかかわらない小団地や点在したものは一体どうなるかということなんです。この間もらつた資料を見ましても、この資料が最終的なものとは思えませんが、これで行けば、地域そのもの指定からも漏れるものが出て来ますよ。そういうことでは私どもはこれは賛成できません。ですから、その辺をはつきりさせてもらいたい。もうすでにほとんど特殊立法は出尽しておるのです。もう一つか二つ出れば出尽しますよ。あとから出て来ることを予想しても、今私が指摘したようないわゆる湿田や半湿田地帯農民というものは浮ばれないですよ。それを一体どうしますか。
  18. 松浦東介

    松浦政府委員 この法律をつくります御趣旨を拝承いたしましても、御承知のように、非常に農地湿田であるために土地生産力が低くて、いわゆる低位生産でありまして、畜力の導入はもちろん、耕作に困難をきわめ、あるいは病虫害も常に発生するというような、非常な悪条件に悩むこの地域農業引上げるというような大きな目的があるわけでございますから、私どもはその補助対象なり、そういうものも予算とにらみ合せて、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたい、こういうわけであります。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 政務次官から御答弁をいただきましたが、それではひとつ確かめておきたいのです。この手元へもらいました湿田調べですが、これは昭和二十二年か三年、ごろだということを言つておられたのですけれども、もちろん審議会に出されるものについては、さらに周到な御調査をなさつて出されるのでしようね。
  20. 松浦東介

    松浦政府委員 これは議員提出法律案でございましたので、政府の方におきましても、多少調査その他にも綿密を欠ける点があるかもしれませんが、立法化されました以上は、責任を持つて綿密な詳細な調査をいたしたい、かように考えております。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 提案者の代表の青木さんにお尋ねしますが、ここへもらいました湿田単作地域指定方針案、一、湿田であつて利用率がおおむね一三〇%以下であること。(全国平均水田利用率は一二七%である、)二、前号の利用率湿田面積が市郡の水田面積の四〇%以上ある場合または市郡の区域内でおおむね九百町歩以上ある場合であること。(全国水田面積に対する湿田面積割合は四七%である。全国平均の一郡当りの湿里面積は九百五十町歩である。)というのは、ただいま政務次官が当初にお答えになりましたものを要約したものである、こう解釈してよろしゆうございますか。
  22. 青木正

    青木(正)委員 ただいま足鹿さんの御指摘の問題でありますが、昨日この問題が提起されましたので、事務当局としてお考えなつたのでありますが、事務当局のお考えとしては、この種の立法例として一方急傾斜法律がありますので、積雪寝冷地帯の方は一つ地帯としてきまる、こちらは地区としてきまる、こういうことから、急傾斜地帯立法例にならつた解釈をもつて一応こうした事務当局としてのお考えをお示しなつたものと私は了承しております。しかし御承知のごとく、この地域指定審議会において決定すべきものでありまして私ども提案者考えといたしましては、こうした急傾斜地帯立法令そのままを採用するという考え方でなしに、審議会としては、当然この法案趣旨にのつとりまして、できるだけ広い範囲において湿田単作地帯の救済ができるような決定をなすべきもの、かように信じておる次第であります。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 最後にもう一つ明らかにしておいていただきたいのですが、この湿田単作地域指定方針案の中の湿田というのは、半湿田を含むと解釈してよいかどうかという点であります。  それから二項に、市郡という言葉や郡という言葉が出ておりますが、郡としてはこの条件に合わない、あるいは市郡とした場合にもこの条件に合わない、しかしこれを各町村別にとつてみると二十町歩にも達しないという実際上の問題が出て来ると思いますが、そうした場合にはどういうことになりますか。
  24. 青木正

    青木(正)委員 第一段の湿田という文字の中には、半湿田も包含しておるものであります。  それから第二点につきましては、先ほど私が申し上げましたような考え方に立ちまして、審議会において御指摘のような点について十分考慮いたして決定するものと存じております。
  25. 川俣清音

    川俣委員 土地改良法があるにもかかわらずまたこういうものが出て来たが、これらの点は土地改良法によつてできないのかどうかという点についてお尋ねしたのですが、足鹿君の関連質問がありましたので、それに対する御答弁がなかつたのであります。  また農業改良局があつて農業改良全般についての総合計画が立てられていなければならないのにもかかわらず、こうした立法がなければ農業改良が行われないというふうにお考えになるのかどうか。  もう一つ政務次官にお尋ねしたいと思います。積寒地帯に対する特別法ができておりますが、この法律では、指定地域積寒法地帯以外を目途にしているようでありますけれども、こうした立法がたくさん出て来ることになりますれば、総合的な立法にかえて行かなければならないと思います。特別な予算措置を大いに考慮されておつた積寒地帯に対してさえ、所期のような十分な予算的な措置ができ)ないのに、またこうした立法をして、法律幾つもつくつて予算化が十分でないということになりますれば、こうした法律がただ濫立するというだけに終るであろうと思います。目的は、予算をとるために幾つ法律をつくるということが主のようでありながら、予算をただ分離するだけで総合計画一つも立たないという結果になると考えますので、この点については政務次官から、前の二点につきましては、事務当局から御答弁願いたいと思います。
  26. 清井正

    清井政府委員 農業改良の点についての御質問でございますが、これも一般的な総合的な単作地帯に対する施設として実施いたしております事項は、先ほど御説明を申し上げた通りであります。これは単にただいま御提案になつている法律案地域のみならず、積雪寒冷地帯その他日本全国にわたつて施策であります。従つて、ただいまの御質問のように、この法律がなければ絶対できないかという点については、必ずしもそうではないのでありまして、本法がない場合におきましても、従前通りのような施策を強化することによつて、やはり農業改良全般仕事はできると思うのであります。ただ問題は、積寒法が制定されたことに基きまして、積寒地方菜種の共同施設なり、その他の施設が相当強化された実績もありますので、かかる法律が成立いたしますれば、その背景に基いて、事務当局としてもいろいろ施案ずる上に非常に便宜があるのではないか、こういうふうな考えを持つております。
  27. 川俣清音

    川俣委員 今の点についてお尋ねしますが、農業改良というものはこの法律がなくてもでき得るのである。この法律が出なければやれないわけではなく、今まですでに実施されておるならば、こういう単行立法は必要でなかつたと思う。この法律ができなければやれないというのであるか。またなくてもやれるとするならば、今までは予算的措置がなかつたからやれないというのか。その点をもう一度御答弁願いたい。
  28. 山村新治郎

    ○山村新治郎君 提案者の立場から申し上げます。川俣委員の御意見まことにごもつともでありまして、同感する点が多分にあるのであります。ただ現実におきましては、一昨日通りました今度の補正予算におきまして、積雪寒冷単作地帯及び特殊土壌地帯あるいは急傾斜地帯についての補正の額が計上されておるのであります。ところが湿田地帯におきましては法的な裏づけがないという理由のもとに、現実には補正がされておらないということを考えてみましても、ほかの地帯特殊立法があるのに湿田にはないということは、湿田地帯にとつて非常に不利であるという証拠があるわけであります。この意味においてわれわれとしてこの法案提出いたした次第でありますので、何とぞひとつよろしくお願いをいたします。
  29. 清井正

    清井政府委員 ただいまの御質問でありますが、これは私ども事務当局といたしましても、むろん個々の法律がございませんでも、湿田単作地帯土地利用率をより高度化することが、農業改良施策の根本問題でございますので、この問題につきましては、私どもは事務的な努力を、従前もしておりますし、今後も極力して行かなければならぬと考えておるのであります。法律の制定によりまして予算の範囲内においてこれを補助するというような規定も、従来たびたび設けられおるのでありますが、そういうふうな法律の背景がございますれば、私ども事務的に言いましても、仕事が非常にやりやすい、こういうざつくばらんな気持を申し上げた次第であります。
  30. 坂田英一

    坂田委員長 井上君。
  31. 井上良二

    ○井上委員 私はまず法律的な関係を伺いたいと思います。昭和二十四年に法律第百九十五号として土地改良法が施行されております。この法律昭和二十六年にさらに改正されました。この法律の第二条において、「この法律において「土地改良事業」とは、この法律により行う左に掲げる事業をいう。一かんがい排水施設農業用道路その他農地の保全又は利用上必要な施設の新設、管理、廃止又は変更」とずつとございまして、最後に「七その他農地改良又は保全のため必要な事業」、このことが土地改良法施行規則第一条において、「法第二条第二項第七号の事業は、左に掲げるようなものとする。一客土 二暗きよ排水三床締」となつております。つまり土地改良法による湿田改良事業は当然やれることになつておる。ここに新しい法律ができると、土地改良法規定してあります部分は修正をするか削除しないといかぬことになつて来ますが、その関係はどういうふうに調整をするつもりですか。
  32. 河井大治郎

    河井説明員 土地改良法の方に、ただいまお話がございましたような事項を掲げてあるわけでございます。そしてこの法案におきましても、第一条に掲げておりますように、この法案趣旨とされますところは、これらの土地改良事業あるいは農業改良事業を総合的に勘案して、事業の経済効某を一層高めるような計画を立てて実施するということに内容が置かれておるわけでございましてその実施事業土地改良法に基いてこれをやる、農業改良法律に基いてこれをやる、こういうことで、ございましてその問は法律的には支障のないものと思います。
  33. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、土地改良法によつて湿田改良事業はまた別に考える。そして独立法としてできます湿田単作地域農業改良促進法、これはこれでまた別にやるということになると、この法案でやる面積土地改良法によつてやる面積と、どこでどう区別をつけるのですか。同じものを対象にして法律が二つ出ることになるのですよ。
  34. 河井大治郎

    河井説明員 湿田単作地域として指定をされた地域におきましては、この湿田単作地域農業改良促進法によつて計画をされます。その事業実施土地改良法関係いたしますことは土地改良法に基いてやる、こういうことになります。
  35. 井上良二

    ○井上委員 おかしいじやありませんか。この法律によつて必要な予算をとつて来るでしよう。そしてまた土地改良土地改良として必要な予算をとつて補助を出すのでしよう。同じものを右からと左からと両方からやるのですか。問題はそこにあるのじやありませんか。この法律ができたから、土地改良法により湿田改良土地改良法から除くというならば話がわかるのですが、事業対象は同じものですよ。対象が同じものであるにかかわらず、一方は一方の法律でやり、また一方は一方で別にやる。一つのものに両方から来ることになるじやありませんか。
  36. 河井大治郎

    河井説明員 この法律によつて行われますことは、その指定地域内に限るわけでございます。土地改良の方の予算によるそれぞれの改良事業は、やはり土地改良法によつて実施をいたしておりますけれども土地改良法にあげてあります事項をこの法律で総合的に計画をされて実施をするという場合に、やはり実施面は土地改良法で行うわけでございますから、申せば、同じ土地について、この法律による総合計画がなされて、その実施土地改良法に移す、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  37. 井上良二

    ○井上委員 これは非常に大事ですから伺つておるのですが、これはむろん補助事業として国の財政支出を裏づける事業であります。従つてこの単独法によつてある一定土地指定されて、そこに農業計画が樹立されて、それに基いてこれこれの補助を要求するということになつて来るのです。そうなると、この法律の方が優先的に事業計画し、実行することになり——補助をとるだけの法律ということならまた別です。土地改良法によつて総合的にやつてつて補助がよけいとれぬによつて、この新しい法律をつくつて補助をとろう、補助さえとつたらあとは土地改良事業でやるんだ、こういうことになりますか。そうならぬとどうも話が合わぬが……。
  38. 河井大治郎

    河井説明員 この法律案の第十条にございますように、この法律案に基いてやりますものは、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律規定従つてやる、こういうようにいたしておりますことは、土地改良の部分に関係いたしますものは、土地改良法規定に従う、こういうことをこの法律案自身で申しておるわけでありまして、計画そのものはこの法律によつて立てられまして、それを実施する場合にはこの法律に別段の規定があります以外のものは、土地改良法の適用があるわけであります。
  39. 井上良二

    ○井上委員 そうしますと、もう一度伺つておきますが、土地改良事業としておもにやる大きな仕事は、灌漑排水、あるいはまた農道、溜池等であり、特に土地改良事業として、これら積極的にやらなければならぬのは、湿田改良事業であろうと思うのです。そうしますと、土地改良事業としてこの法律に基いて積極的にやり得るのです。だからこの法律が新しくできまず以上は、この法律による方が非常に行き届いておるから、従つてこの湿田単作地域農業改良促進法に規定してある条項と相接触する分が土地改良法規定してあるならば、その部分だけは削除して、この法律によつて湿田改良はやる、こうしないと、筋道が通りません。この法律案は、われわれ議員立法提案しておりますけれども、これらの点を十分事務当局としても総合的に勘案をして検討して参りませんと、とんでもない法律をつくつたものだと、あとで笑いものになりますよ。これがまた参議院の審査に付託されましたときた、参議院の方から突き返されて来たときにどうするかということを、応われわれは考慮しなければなりません。そういう面からもこれらの土地改良法規定してある項目と、湿田単作地域改良促進法と相呼応するような——どうもいろいろ法的に検討してみると、重複するような条文はやはり直して行くということにしておかないと、末端においては非常に困るのではないかと思うのです。この部分は湿田単作地域農業改良促進法で行こう、この部分は土地改良法で行こう、こういうことになるのです。どちらが有利かということはそれぞれその事業を担当する面が考えてやることになつて、同じものに二つの改良助成の法律があるということになつたのでは、ちよつとおかしいと思いますから、その点を事務局としてよく御検討願いたいと思うのです。
  40. 山村新治郎

    ○山村新治郎君 先輩井上委員の該博なる御質疑に対しましてはなかなかわれわれお答えしがたきものがございますが、しかしこの法律の骨子は単に土地改良一点張りではないという点も一応申し上げたいのであります。すなわち農業技術の改善その他農業生産に関する事項ということでありますが、この法律におきまして総合的な計画を立てまして、実施の面は土地改良法でやつて行くということに相なるわけでございます。すでに私から申し上げるまでもなく、井上さんも御存じのように、土地改良をするためにはまず予算をとるのが大事なことでありまして、予算をとるためにはぜひともこういう強力な計画性のある、裏づけある法律があつてこそ初めて皆様の御後援を得まして予算獲得もできる次第でございますので、いろいろと不備な点その他はあるかと思いますが、それらはいずれ審議権におきましてその具体性を多分指摘されると思いますので、何分ともひとつ井上さんにくれぐもお願いいたします。
  41. 松浦東介

    松浦政府委員 先ほどの川俣さんの御質問でございますが、実は先日本委員会におきまして、金子さんからもほぼ同様の御質問がありましてその際にも簡単にお答え申し上げておいたわけでございますが、重ねての御質問でございますので所信を簡単に申し上げます。つまり川俣さんの御意見といたしましては、今食糧増産が非常に大事である。そこで、日本は非常に細長い国でありますので、画一的にはやれないとは思う。しかし積雪寒冷地帯のように非常に自然的条件の違う大きな地帯、特に現実的には日本の穀倉的な役割を占めておる地帯に対する保護政策の積寒法というものはあるが、これは別に考えるとしても、あるいは急傾斜とかあるいは特殊土壌とか、あるいは今度の湿田単作であるとか、そういうのは総合的な見地から考えて一まとめにする方がむしろ便利なのではないかという御質問であつたと拝承いたします。これは考え方によりましていろいろかわつて来ると思いますけれども、御承知のように、日本は人口の割合に国土が狭小でありますが、それでも雪も降れば、非常に寒いところもある、山もあれば急坂もある旱害地帯もあれば湿田地帯のようにじめじめしたところもあるわけであります。そこで、食糧増産といたしまして一坪の土地も余すなくこれを利用いたしまして食糧増産の大きな目的を達成するには、これはあらゆる特殊の保護政策と申しましようか、特殊の農法と申しましようか、そういう行き届いた法律をつくりまして、これを順次引上げ日本の農力を食糧増産に結集する、そういう意味合いにおきまして現在はこれを併用して参りたいと考えておるのであります。なお総合的観点に立つての問題につきましては、非常に問題がむずかしいのでありますが、これはひとつお互いに慎重に今後とも考慮をいたして行きたいと考えております。
  42. 川俣清音

    川俣委員 私の質問に対してもう一つ事務当局から重ねて御答弁を願いたいのですが、大体今までお聞きしておるところによりますと、計画はこの法律によつて実施する、執行は土地改良法によつて執行するという御説明であつたようであります。当然日本食糧増産を急速に増進する上に、湿田及び半湿田改良が目下の急務であることは、私どもはこれを認めておるのであります。食糧増産計画の上から湿田、半湿田改良が最も手早い食糧の増産であるということは、これは言うまでもありません。そこに土地改良のための局も設けられ、農業改良に対する局も設けられておるのでありまして、このために万遺漏なきを期しておられるのが農林省の態勢であろうと思う。しかるに、この法律がなければどうしてもやりにくいという点についての御説明はまだ十分ないのです。執行は土地改良法によつて執行するというならば、計画のみが必要である。計画でありますならば、これは政府の当然行うべき施策でありまして、法律によらないでも当然行うべき施策であると思います。計画が必要であるという法律は、政府をむしろ軽視する結果になると思うのであります。この点については大臣の御答弁を得なければならないと思うのでありますが、事務当局の御意見を伺いたい。
  43. 河井大治郎

    河井説明員 土地改良あるいは農業改良にしましても、総合的な計画に基いてこの法律が施行せられましたならば、一層効果の上る運営ができるであろう、かように考えております。
  44. 川俣清音

    川俣委員 行政面というものは、総合計画を立てるのがその目的でなければならないと思う。計画が立たないような局でありますならば、それは無意味だと思うのであります。計画を立てるための法律が必要だということは説明にはならない。執行する上に必要な法律は当然求めなければならぬが、計画を立てる上に法律が必要だというようなことは、行政面としての事務当局の御答弁にはならないと思うのです。従つて計画はこの法律で立て、執行は土地改良法によつて執行するのであるとしますならば、土地改良法によるたけの法律でけつこうでありまして、予算化及び計画は当然持つております農林省の本来の立場において計画されるべきだと思うのですが、この点について重ねて御答弁願いたいと思います。
  45. 河井大治郎

    河井説明員 もちろん土地改良につきましても、農業の合理化、生産力の増大ということを目標としてやるわけでございますが、こういう法律が制定いたされますれば、一層総合的な計画か立ちまして、実質上効率の高い実施かできる、かように考えております。
  46. 川俣清音

    川俣委員 これ以上は事務当局を相手に質問いたしましても無意味でありますから、大臣の出席を求めた上であらためて質疑を続けたいと思います。保留しておきます。     —————————————
  47. 坂田英一

    坂田委員長 先般電柱の敷地の問題について調査をいたしました際、電信電話公社総裁に対する質疑を留保いたしておりましたので、この際これを許します。金子與重郎君。
  48. 金子與重郎

    ○金子委員 電柱の敷地問題に対しましては、電電公社の発足する以前におきまして長い間農民は放置されておりました。ごとに電柱敷地の問題につきましては、明治二十何年にたつた四銭というような金で、農民はいわゆるお、上のやることだからしかたがないというようなことで、一つのあきらめをもちまして田畑、耕作地へ電柱を立てられましても、大部分の人たちは補償料も受けないで長い間続いたのであります。昨年全国農民団体がこ即を取上げて、農民の代表機関としていろいろ折衝し、七、八割の者が初めて正式に補償料を受けたのであります。今度の梶井総裁は、その経過の申送りがあつたかどうか存じませんが、昨年度のこの問題の経緯というものは、補償料を要求いたします方と支払う方との間には相当の開きがあつたのでありますが、最後に、時期的に予算が一億円程度しかないから、それの範囲で本年度は治めてほしい。それから来年度に補償料がどの程度がはたして公正な額であるか、協議の上予算化しようじやないかということで、前大臣と話合いましてその結果昨年度は、木柱を標準にして二十七円という額が出たのであげます。そこで本年は予算の時期に入りまして、全国のこれら関係者を代表する全国農業団体から電電公社に対しまして、去年の約束がありますから、新しい補償料の決定について申入れがあつたことと存じますが、現段階において公社の方ではそれに対してどの程度の予算を組もうとしておるか。またもう一つは、これら代表者の計算の基礎であるところの考え方と、それから電電公社自体のお考えとの間にどういうふうな開きがあるか。それらの経緯を承りたいと存じます。
  49. 梶井剛

    ○梶井説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えを申し上げます。電柱敷地補償料につきましては前大臣からお引継ぎを受けております。しかし本年の八月一日に電電公社が発足いたしましたときには、電通省時代の予算をそのまま踏襲しておりますので、本年におきましては予算を修正することは全然できないのであります。従つてただいまのお話に対しましては、二十八年度の予算において電柱補償料をいかに修正するかというお尋ねと存じ上げます。もちろん現在の電柱補償料が一般物価に比しましてまだ安過ぎるという御意見であると思いますが、その点につきましては私らも同感であります。しかし電電公社とは申しながら、やはり予算につきましては政府の承認を経、かつ国会に提出されて承認せられなければならないのでありまして、勢いこの予算提出にあたりまして、当方で電柱敷地補償料としてかくかくであるべきであるということを申し出ましても、予算においてそれが承認せられるかどうかということについては、いまだ明らかでありません。まだ二十八年度予算は編成途中でありまして、十分に諸般の事情を考えて補償料の値上げを中に入れなくちやならない、従つて現在の状態におきまして、来年度においては電柱補償料を幾ばくにするかということをお返事いたしかねる状態にあります。しかし来年度において電柱補償料を値上げするという決心をもつて目下予算編成に当つております。その程度で御了承願います。
  50. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいまの梶井総裁の御答弁にあります、よし電電公社が敷地料をいかにすることが妥当だということを予算化いたしましても、それは郵政大臣がそれが至当だということでなければ、それは決定できないという経緯は、この間前委員会において郵政大臣からも、おいで願いましてその向きは承つておるのであります。ただ問題は、そのときの話にもあつたのでありまするが、公社自体が一つの案を出さなければならない。出してしかる後に郵政省は考えるものであつて、郵政省自体が今までと違つてこれこれにするというふうな考え方はできない。そこでこの問題に対しては、まず第一に公社自体が一つ計画を立てることが先決問題だ。こういうことを前委員会で承つたのであります。そこで先ほど申し上げましたように、多分この農業代表機関の方からこれらのものを代表してこのくらいの計数によつて、こういう基礎の上に立つて値上げしてほしいという要望があつたと思いますが、従つてそれらに対して当然電電公社で検討もなされていると思いますし、また公社自体としての見解もあると思うのでありますが、私は幾ら幾ら払うということをお聞きするのではなくて、今公社としてどの程度のお考えを持つておられるかということを、具体的にひとつ説明願いたい。
  51. 梶井剛

    ○梶井説明員 実は電電公社の二十八年度の予算の編成につきましては、幾つもの問題がまだ未解決のままに残つております。その一つを申しますと、従業員のベース・アツプの問題がまだ未解決になつている。それから来年度におきましては、従来大蔵省から拝借しておりました預金部資金の返済という問題が未解決になつております。これらの問題を解決するためには、勢い料金の問題を解決いたしませんと、現在の電電公社の独立採算制の状態におきましては解決が困難なのであります。従つて料金の問題も未解決の状態になつておるのであります。それで独立採算制から申して収支まつたく償わなくてはならないのでありますから、電柱敷地に対して幾ばくの財源を用いるかということが確定できないのであります。ですから先ほど申し上げましたように、電柱の補償料については、われわれ値上げする決心はいたしておりますけれども、それは具体的に何割値上げするか、あるいは何倍値上げするかというところの数値が得られないのであります。ただいま申し上げましたように、いろいろの根本問題が未解決のままで、どうしても予算を編成することができない事情でありますが、われわれとしましては、現在の補償料は安過ぎるので、これをできるだけ値上げするという考えでおりますことを御了承願いたいのであります。
  52. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいまの梶井総裁のお話は、ひとり電柱の敷地料だけの問題を考えておられぬ、ベース・アツプの問題、あるいはまたそれをやれば、独立採算の建前から料金の値上げというような大きな問題があるから、上げるという気持はあるけれども、それらを具体的に今研究しておられないというお話でありますが、私はそのままここでそうですがと言いたいのでありますけれども、遺憾ながらそれは少し問題じやないか。大体おとといあなたにおいで願いたい、と言つたときに、あなたは来られないということだつたし、副総裁は御病気だというお話でありましたけれども、あとで新聞で見ますと、その病気は医者では治らぬ病気のように承つております。そこで総裁はお忙しいだろうけれどもどうして来られないのかと思つて、あとで私質問しましたところ、それはベース・アツプその他の問題についての経営協議会があるからだということであつた。なるほど働く人たちが今ストライキもやりかねない状態にあり、また何か新聞紙上で見ますと、数万通の電報がストツプしておるというようなことで、従つてこれを放置できないあなたの今の立場は当然私はわかるのでありますが、しかし電電公社が独立採算だから払えるとか払えないと言つてみましても、農民つてやはり独立採算でありまして、どこからも金をもらつておるわけではありません。たんぼに持つてつて柱を立てられておれらは独立採算だからと言つてみたつてそうは行かぬ。お前らはそのうちに考えてやる、これじや少し話が受取れない。ことに私的な話になつて失礼でありますけれども、梶井総裁は——これはあなた直接のお話じやありませんけれども、間接に伺うと、非常に人間的な、一つの社会の苦労をなさつてつて、人に対して非常に思いやりの厚い方だということであります。そしてあなたは、浪人をしていたときのことをしみじみ感じられて、こうして自動車を持つ身分になると、浪人している人が駅にでもいたらそれを乗せてやりたいという気になる。それくらいまであなたはおつしやつておる。それくらい人情に厚いあなたでも、汽車に乗つて窓からたんぼを見れば、なるほど一つの風景だ、そこに電信柱が立つているとしかお思いにならぬ。ところが百姓している者から見ると、あの日本の百姓というものは、幅四寸のくわをもつて隣のたんぼに入れたとか、いや隣のやつがおれの方にくわを入れたとかといつて、非常に大きなけんかをやる。自然の一つの山を見れば、自然の景色であるが、その山の境界線の一尺、二尺を争つておる。それほどこせついた農業なんです。そういうところへでんと柱を立てられても、今まではこれはお上でやるんだからしかたがないという一つの没法子であきらめてしまつたのです。だから——なるほど労働者の連中も働かなければ電話は通じないかもしれませんけれども、しかし全部が無線にならない限りは、あの柱なしにはやはり電話は通じないのであります。それをあの連中は黙つておるというので、独立採算なんだから、またもつと忙しい問題があるから、おれの方はそれを考えておられぬというようなことは、われわれははなはだ聞き捨てにならぬのでありまして、柱がなければ電信も電話も通じないのであります。そういうように、それが公共性を持つておるということはよくわかつておる。また公共性を持つておるからこそ今日までこうやつて来たのでありましてもしも隣のおやじがああいうものを立てたなら、これはとうてい問題にならぬ。公共性を持つていたから農民はあきらめていた。そして黙つておるからこの問題はあとにする。一方電報もためてしまつてストライキをやる気勢を示したから、それらのものには優先的に対策考えるという政治のやり方はいけないのでありまして、この点に対し非常に人情に深い、しやばの苦労をなさつておるあなたがそういうふうな御答弁をなさることは、非常に遺憾なのであります。事務当局の方も一緒に来ておるようでありますが、そうは御答弁になつても、邪推するようですけれども、この問題についてはもう何らか、相当な研究をなされておるものと私は想像しておるのであります。それでどうぞ率直に——何もこれは私の方で払わせる権利があるわけじやありませんので、全国の黙つておる農民考え方を代表して申し上げておるのであります。実際はもう少し思いやりのある考え方をきつとなさつておると思いますから、それをそのまま打明けて御答弁願いたいと思います。
  53. 梶井剛

    ○梶井説明員 ただいま一身上の問題をおつしやられましてまことに恐縮しごくでございます。別に私がそう人情に厚いというわけではありませんけれども、追放の最中においてそういうことを感じたということを、朝の訪問の際に申し上げたのをお聞き取りになつたものと思います。しかし独立採算制と申しましたのは、決して農民の方々がお困りになつてもわれわれは顧みないという意味のことを申し上げたのではありません。それは公共企業体が現在三つございまして、専売公社、国鉄並びに電電公社となつておるのでありますが、その公社法において三社とも多少の差異がございます。国鉄のごときは独立採算制とは申しながら、もし赤字が出ました場合においては国庫から補助を受ける、また利益が出たならば国庫に納付するというふうになつておりまして、その黒字、赤字ということに対する責任が、電電公社の場合と大分違つておるのであります。電電公社の場合においては、赤字が出ましたならば、翌年度においてそれを償わなければなりません。黒字になりますれば翌年度においてこれを使い得るというような独立採算制になつておりますために、すべての収支の責任を経営者として負わなければなりません。そういう意味で申し上げたにすぎないのであります。従つて予算編成の際にも、われわれといたしましてはそのことを十分頭に置きまして、収支バランスした予算を出さなければならない。でありますから収支ということになりますと、たとえば料金値上げをするということがもしも政府において承認せられ、国会において承認せられた場合においては、それだけ収入がふえるのであります。その財源をわれわれが十分に持ち得たならば、電柱の補償料も十分に差上げることができる。もしそういう問題が解決しない場合におきましては、現在の収支の関係におきましてはこれはなかなか困難になつて参ります。こういう意味で申し上げたのであります。従つて電柱の補償料につきましては、われわれは単に一つの案だけをつくりませんで幾つもの案をつくりまして、そうして二十八年度予算の際に、今の大きな根本問題の解決に伴つてどの案を採用し得るかということを目下検討中なのであります。従つて現在におきましては、幾ばく補償料を値上げするかということを、確実に御返事申し上げかねておる状態におりますということを申し上げたのです。しかし御趣旨はわれわれ十分肝に銘じおりまするので、あえて人情論を言うわけじやありませんけれども、われわれも国の基本が農業にあるということは重々承知しております。また大事な田や畑に電柱を立てておくことがいかに農民の方々に御迷惑をかけておるか、しかもそれが単なるお上の仕事であるということで、まつたくそろばんにも何にも乗らない補償料を差上げておる過去の経過を見まして、われわれは公社になつたこの機会において、できるだけその幣をためて行きたいという考えを持つておるのでありますけれども、先ほど来申し上げました通り予算関係がありますので、できるだけお言葉の御趣旨をわれわれは肝に銘じましてこの交渉を郵政省並びに大蔵省といたしたいと思つております。
  54. 金子與重郎

    ○金子委員 総裁のお気持としては、私は了解する。そしてできるだけということで、この際引下るのも一つ考え方でありますけれども、ただしつこいようでありますが、独立採算制ということもよくわかります。しかしながら私どもの家計も一つの独立採算制であります。独立採算制だから地代を上げちやいかぬ、地代を上げちややれなくなると言うことは許されませんので、やはりその間においては、自分の独立採算で赤字が出てもその賃貸料が公正ならば払わせられるのでありまして、これは電電公社ばかりでなく、われわれの個人生活もその通りなのであります。しかしながらここで、できるだけ考慮するということでは間に合わない段階にもう入つておるのであります。たとえば、これは一つの敷地補償料の問題でありますけれども、あなたが今直面しておるあの労組に対して、諸君の気持はわかる、諸君がいなければ電信はとまるのだ、君たちの生活はわかるし、できるだけやつてやるからと言つたら労組は賛成するかどうか。労働組合におる者としては、できるだけということだつたらいけませんので、それはやはりいつから上げる、二十八年度からとか、それに対する予算決定はいつになるということがなければならない。だから現在の考え方としては、何割程度を私どもの方は原案として出すつもりだ。それが通るか通らぬかは、これは郵政省の意見であります。その点は、もう時期が来ておる問題であります。あなたが労組にお話するときに、諸君の気持はわかる、できるだけ親切にやるということだけでは労働問題が解活しないのと同じようなことでありますので、しつこいようでありますが、別にその言質をとつてどうこう言うわけではありませんから、どうぞその点を明確にお答え願いたいのであります。
  55. 梶井剛

    ○梶井説明員 お答えいたします。私の気持を申せというお話でありますが、私個人としましては、気持は幾らでも申し上げる自由を持つておるのですけれども、電電公社の総裁といたしましては郵政省の監督下にありますので、私が総裁として答弁する場合においては、しかく自分の私見だけを申し上げかねるというわけであります。しかし先ほど来申し上げました通りに現在の補償料が安過ぎるということは、物価指数から見ましてまつたく争えない事実であります。従つて極力御期待に沿うように、大きな値上げをしたいという心持をもつてつておるのであります。しかしその問題は、先ほど来申し上げます通り独立採算制になつておりますために、収入がそれだけありませんとどうしても上げられないという事態になつて来るわけであります。今労働条件の問題についてちよつと御言及になりましたが、この問題につきましても、私が責任者といたしまして労働組合と折衝いたすときにも、数字的には、政府の承認を経ない限り、幾割上げるということは絶対に返事ができないのであります。現在でもそのままの状態で交渉を続けております。ことに電信電話が停滞いたしますために公衆に非常な迷惑をかけましたことは、われわれとしましてその責任を痛感しておるのでありますが、一昨日警告を発しまして、もはや昨日から正常な状態にもどりました。従業員を督励いたしまして、極力回復するように目下いたしております。しかしこの場合にも、従業員組合にはまだ数字的には何事もわれわれは回答をしておりません。しかし公衆のために働いておるわれわれとしましては、しかく最後的決定を待たないで、あえて中止を命じた次第でありまして、目下その問題につきましては、政府御当局において寄り寄り協議の上御決定くださることをわれわれは待つておる次第であります。従つて事柄としましては、非常に違つてはおりまするけれども予算の問題につきましても、単にわれわれの見込みを申し上げましても、現実に予算の上で承認されない場合におきましては、単なるむなしい御期待を招くようなことになりましては非常に相済まぬという考えで、正確な数値を申し上げかねるのであります。しかし現実の問題としては、値上げをするようにできるだけ努力しますということをお答えする以外には方法がないのであります。どうぞあしからず。
  56. 金子與重郎

    ○金子委員 どうも今の御答弁でふに落ちない点が一つあるのであります。独立採算制ということを一方に非常に強調される、これはごもつともであります。と同時に監督官庁との話合いがなければ、一応組んでも、許可にならなければだめだということは、私は劈頭にもこの間郵政省を呼びましたときにも、その通りつておる。但し郵政省の言うのには、今度は電電公社は独立採算の一つの公社なんだから、自分の方から要求を幾らにせいとかいうことは言わない。だから向うで計画を立てたものに対して妥当であるかどうかということを私の方で検討するんだと言うだけなんでありまして、ですから問題は、郵政省がどうこう積極的に言うわけでありませんので、電電公社自体が一つの原案なら原案をもつて承認を得る手続をしなければ、向うは一銭も上げないのであります。従つて今までは郵政省そのものにわれわれはこの問題を投げておつたのでありますが、郵政省の方では私のものじやありません、電電公社がそれが至当であり、またそれでどうこうということになれば、それをイエスかノーか、あまりひどければ、ひど過ぎるということを言う程度であります、と言うのです。あなたの方では郵政省の御了解を得なければだめなんだと言つて逃げてしまう。郵政省の方では、今度は公社になつたのですから、公社の方できめなければ、どうにもならぬことですと言う。そういうことですと、一体農村団体はだれを対象にしてこの問題を折衝するか。それから考えてくれといつても、結局もう時期が来ておるのでありますから、時期的にいつになつたら、電電公社としては何割ぐらいの引上げをするというあなたの方の御意思がきまるのか、その点はどういうふうになつておりますか。
  57. 梶井剛

    ○梶井説明員 郵政省と公社の立場につきましては、ただいま御質問がありました通り、幾ばく上げるかという提案は公社がいたすのであります。そうしてそれを承認せられるのは郵政省であらます。従つてその間に関連はもちろんあるのでありまして私の方では提案したら、そのまま承認されるというように簡単には考えられない。従つてまた郵政省の方ではわれわれの方から提案しなければ全然何事もわからない。こうおつしやるのも無理ないと思うのです。そういう立場におりますことを御了承願いたいのであります。  それから一体値上げが幾ばくということがいつきまるかという御質問でありまするが、これは二十八年度予算を編成して入れるつもりでおります。従つて多分来年度予算のとりまとめがつきますのは、本年中できまると思います。次の臨時国会に来年度予算提案されるのでありますから、もう遠くない時期だと私は思うのでありますけれども、今まだ二十八年度予算については全然折衝が始まつておらないという状態でありまして何事も申し上げかねてる事情になつております。ことに先ほど申し上げましたように、基本的な料金問題とかそういうような問題が全然きまらないのでありますから、全体のわくさえもきまらないという状態になつておりまして、はなはだ申訳ないのでありますが、それ以上お答えができかねると思います。
  58. 金子與重郎

    ○金子委員 それはおかしいですね。今年一ぱいに大蔵省は予算案を決定するというのに、まだ全然考えている域に入つてない。少くとも数値の作業が終らないというのなら受取れるのでありますが、もう何日もないのでありますから、それはちよつと私には受取れない。先ほど申し上げたように、あなたが原案を出さなけば、郵政省はどうにもならぬと言う。従つてわれわれは郵政省にごの問題を追究するわけに行きませんので、そうすると、どうしても原案を出す、かりにあなたが非常な人情味を持つて、また今の不当であるということを御理解願つて、五割上げろとか、八割上げいと言つても、これでは行けぬから、三割にせよというふうに、郵政省がどう出るかの問題は、ここでは切離して考えて行きたい。私どももそれは承知しているのであります。そこで公社として少くとも今事務的な一つの案くらいはないはずはないと思うのでございます。ないとすれば、これは実に不見識な話なんです。しつこいようでありますけれども、別に言質をとつてどうこうということではございませんから、郵政省が許可する、しないは、あなたの方の責任じやありませんので、郵政省の責任なんですから、ぜひその点だけはもつとざつくばらんに御答弁願いたいのであります。
  59. 梶井剛

    ○梶井説明員 まだ基本的な問題がきまりませんのですから、どうしても数値を正確に出すことができないのであります。たとえば料金を何割上げるかということによつて収入の問題がきまつて来ます、またベース・アツプを幾らするかということによつて支出の問題がきまつて参るわけであります。その上でその収入の範囲内において他の事項をみなそれぞれきめて参らなくてはならないわけであります。従つてその基本条件になつておるベース・アツプと申しますのは、従業員の給与が支出の約五〇%であります。そういうように大きな項目になつております。そういう大きな項目が決定いたしませんと、まつたく収支予算が立たないのであります。ですから仮定的にものをつくりましても、それが実際に近いものであるということさえも申し上げかねるのでありまして、われわれとしましては、たとえば五割上げるとか十割上げるという案は一応はつくりまするけれども、それが予算の形に十分確定できないという状態になつておるのであります。
  60. 金子與重郎

    ○金子委員 全体の収入がわからぬから、支出のことは一切きめることはできないということですが、それじや国家予算にいたしましても、家計予算にいたしましても、会社の予算にいたしましてもできつこないと思います。私どもは、収入の中で一つの支出のわくが最後決定されるくらいのことは承知しております。一方は収入の最大限度をきめる工作を考えると同時に、国家予算にいたしましても、各省から、一つ事業を新規に始めるためにこれだけいる、これだけの賃金アツプをするためにこれこれいるということで、各省ごとに新しい事態に即応するだけの予算要求をいたしまして、その予算要求と収入をにらみ合したバランスによつて最後決定するのでありまして、私はその最後決定をお聞きしているのではないので、たとえばこの国会で二十八年度予算の請求をこういう程度にするということを現にやつております。この予算請求通り予算がとれなかつたといつて、農林大臣をいじめる、そんなばかなことはありません。予算請求はこういうふうな考え方でしているということは国会でもはつきりしている。その予算請求したものが、大蔵省と折衝の結果、必ずとれるというわけには参りません。あなたの方も収入財源がきまらないから、支払う方も一切考えておらないのだ、一切考えておらないで、十二月一ぱいにきめるには、もう日もない。そういうことはあり得ないと私は思つている。それで係の人たちはどの程度に考えているか。あなたの手元に持つて行かない資料でもよろしゆうございます。
  61. 梶井剛

    ○梶井説明員 事務当局としてはもちろん一つの案はつつております。その案がまだ予算の形に十分なつてないということを申し上げたわけであります。事務当局といたしましては大体五割くらい値上げをしたいという案をつくつております。しかしこれは、先ほど申し上げました通り、単なる事務当局の意見を申し上げたのであります。
  62. 金子與重郎

    ○金子委員 大体あなたの方で事務当局考えた案は五割くらいのアツプを考えていらつしやる。しかしながらこれは今後のあなたの方の財政全体のにらみ合せと、同時に郵政省の考え方というものによつて最後決定があるということで一応私は質問を打切りますが、この問題は私が申し上げなくとも、あなたもよく農民の心理がおわかりのようであります。政治面におきましても経済面におきましても、声の高いところは恵まれる、そうして黙つている国民層はいつでも踏みつけられている。この電柱敷地料なんかもそのいい例でありましてそういう点につきましては、農村のようなものは営業の性質と地域の性格からいつて、電柱にしても電気にしても、そのような犠牲は負うけれども、その恩典には比較的あずかつておらない。あずからないということが悪いとは言わぬけれども、職業の性質からいつても、地域の性格からいつてもそういう結果が出ておるのであります。独立採算の苦しさはよくわかりますけれども、同時に農民土地に対する愛着と今のような補償料から考えて、もしある人がああいう行為をやつたらそれこそ二代も続く訴訟が行われるほど大きな問題が起る。それを公営事業であるということ、もつと言うならば昔からの封建的なお上の仕事だというような没法子の気持から今日までやつて来ておるのであります。そういう点を考えまして、こういうこと以外にあなたの方と事務当局とこまかく研究折衝の機会を得たいと思いますが、どうぞくれぐれもこの点について特段の御考慮を願いたいことをこの際つけ加えて、私の質問を打切ります。
  63. 坂田英一

    坂田委員長 委員長からも梶井総裁に申し上げますが、これは農林委員会として全員非常に強い考え方を持つておりますので、その点御了承を願いたいと思います。  午前の会議はこの程度にいたしまして、午後二時より再開することにいたし、それまで休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————    休憩後は開会に至らなかつた。