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1952-12-16 第15回国会 衆議院 農林委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十六日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 野原 正勝君 理事 原 健三郎君    理事 平川 篤雄君 理事 井上 良二君    理事 足鹿  覺君       青木  正君    秋山 利恭君       大島 秀一君   小笠原八十美君       高見 三郎君    中馬 辰猪君       寺島隆太郎君    松野 頼三君       村松 久義君    金子與重郎君       高倉 定助君    高瀬  傳君       中村 寅太君    川俣 清音君       中澤 茂一君    芳賀  貢君       中村 英男君  出席政府委員         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官         (農業改良局         長)      清井  正君         食糧庁長官   東畑 四郎君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   河井大治郎君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      櫻井 志郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十二月十六日  委員中馬辰猪君辞任につき、その補欠として池  田清君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十五日  国有林野所在町村に対する交付金支給に関する  請願小山長規紹介)(第九一八号)  弘瀬奈路網川山上間林道開設請願(長野  長廣紹介)(第九二二号)  国有林野整備評価基準に関する請願小山長規  君紹介)(第九二三号)  早場米供出実務職員に対する超過勤務手当支給  に関する請願猪俣浩三紹介)(第九四〇  号) の審査を本委員会に付託された。 同日  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法に伴う国庫補  助増額等に関する陳情書  (第七五五号)  急傾斜地帯農業振興臨時措置法施行該当地区  追加に関する陳情書  (第七五六号)  湿田単作地域農業改良促進対策に関する陳情  書(第七五七号)  農業災害復旧費補助金急速交付等に関する陳  情書(第七五八  号)  農業災害復旧並びに防除対策推進に関する陳情  書  (第七五九号)  米価決定に関する陳情書  (第七六〇号)  主要農産物価格並びに輸送に関する陳情書  (第七六一号)  肥料需給調整に関する陳情書  (第七六  二号)  飼料の需給調整に関する陳情書  (第七  六三号)  結核患者給食米に関する陳情書  (第七六四号)  関門穀物取引所設立に関する陳情書  (第七六五号)  植林事業補助金増額並びに植林増反に関する陳  情書(第七六六  号)  国有林野開放促進並びに臨時措置法の改正に関  する陳情書(第七  六七号)  林業技術普及事業強化拡充に関する陳情書  (第七六八  号)  森林組合に対する国庫助成に関する陳情書  (第七六九号)  農林漁業組合並びに連合会再建整備方策の強  化に関する陳情書  (第七七〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  湿田単作地域農業改良促進法案青木正君外七  十七名提出衆法第八号)  てん菜生産振興臨時措置法案野原正勝君外四  十一名提出衆法第九号)     ―――――――――――――
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより農林委員会を開会いたします。  湿田単作地域農業改良促進法案を議題といたし、審査を進めます。質疑を許します。  なお前もつて申し上げておきますが、質疑者が相当多くありますので、要点をつかんでお願いいたしたいと思います。金子與重郎君。
  3. 金子與重郎

    金子委員 法律の逐条の問題に入る前に、総括的な問題で政府にお聞きしたいのであります。かりにこの法律案が通過した後において、政府はこの法案目的を達するための予算裏づけ等については、どういう見通し見解を持つておりますか、その点を伺いたい。
  4. 松浦東介

    松浦政府委員 この湿田単作地域農林改良促進法案が立法化された場合に、政府はこれに対する予算措置については現在どういうふうに考慮しているかという御質問のようでございます。御承知のように、二十八年度の予算については目下大蔵省との間に折衝中でございますが、これは前に積雪寒冷単作地帯あるいは急傾斜特殊土壌というふうに、特に立地条件の劣悪な地点に対する特別立法がございますが、大体これと同様の処置をとつて参りたい、このように考えております。すなわち主として土地改良に重点を置くと思いますが、土地改良の中でも国営とか県営というような大規模のものではなく、団体営ということになるかと思いますけれども積雪寒冷にも当らない、急傾斜にも当らない、また特殊土壌にも当らない団体営予算要求をいたしておりますので、その中からこれを出すということになると思います。
  5. 金子與重郎

    金子委員 政府予算的な見通しにきましては、今まで立法化された積寒冷地帯あるいは急傾斜地帯というようなものから、規模としても種目としても除外される湿田単作という不利な条件地帯に対して予算措置を講じたいというお話でありました。そうしますと、この問題は近く政府が立法化しようとしている食糧増産五箇年計画の中にある土地改良とどういう関連性を持たせて行けるか、その見解を承りたい。
  6. 松浦東介

    松浦政府委員 食糧増産の方はあくまで食糧増産でありまして、この法律とはできれば併用的に考えて参りたいと思います。すなわち土地改良の面ではあるいは重複するような点もあるかと思いますけれども土地改良という一般的な問題でなく、特に湿田地帯、あるいは半湿田地帯というような非常に劣悪な条件を持つている地帯に対する特殊の問題でありますから、これは併用してさしつかえないというふうに考えております。
  7. 金子與重郎

    金子委員 併用の問題でありますが、今食糧増産五箇年計画の下見の範囲でありますが、それを拝見しますと、やはりこういうふうな不利な状態環境に置かれているところの土地生産性を高めて行くという、いわゆる土地改良予算も相当その中に盛られるように見られるのであります。そうするとそれをわけて行くことに技術的に、たとえば土地改良においては、団体を中心にしてある一定以上の面積最小限度規模に押えて行く。そうすると下に漏れるものがあるというようなことが現在あるわけでありますが、それとこの法案湿田地帯土地改良といわゆる事業規模というようなものによつてわけて行くか、あるいはどういうふうな考え調整をとつて行くか、その点の技術的な面をもう一ぺん御説明願いたい。
  8. 櫻井志郎

    櫻井説明員 五箇年計画との関連性でございますが、ただいま政務次官からお答えした通りでありますけれども、この法案によつて施行せられるであろう土地改良による増産は、五箇年計画増産の中におおむね包含される、増産に関する限りこういう形になつて参ります。
  9. 金子與重郎

    金子委員 増産の問題は包含するということになりますと、この法律目的土地改良して増産するということになると思うのでありますが、今度の五箇年計画法律が出ますと、その中で働くというような形にこの法律はなりますか、その点はどうですか。
  10. 櫻井志郎

    櫻井説明員 増産に関する限り御説の通りでございます。ただ五箇年計画目的増産という一本やり、それからこの法案考えておりますことは、ただいま政務次官から申し上げました通り増産とその地域の劣悪な農業経営状態を改善し、農家の経営状態をよくするといういまひとつ目的が包含されている点を御了解願いたいと思います。
  11. 金子與重郎

    金子委員 少し技術的になりますけれども、たとえば現実の問題として、AならAの村に湿田地帯が百町歩なら百町歩ある。その場合にそれは増産五箇年計画計画の中にも入ると同時に、この法律によつて市町村なりあるいは地方庁の生産計画、いわゆるこの事業事業計画の基礎の中にも入るというように、二つに入つて行くと思うのでございますが、そのときに予算のめどはどこをねらつているか、どの予算をこれに充てて行くようになるか。たとえば増産計画土地改良予算と別なわくで出て来るものか、その点をもう一ぺん伺いたい。
  12. 櫻井志郎

    櫻井説明員 増産に関する限りは五箇年計画の中に入るわけでありますが、予算的にいいますと、これは解釈が相当複雑になるおそれもございますけれども、五箇年計画といいますとただ増産するという一本やり、それからこの法案で行きますと、たとえば増産のほか先ほど申し上げた点がありますので、予算的にいいますと、ある仕事については他の地域よりも補助率を高くするというようなことも予算的には考える必要がある場合がございます。これはたとえの例でございますが、急傾斜臨時措置法でいいますと、同じ農道をやるにいたしましても、急傾斜法律指定された地域農道助成は、他の地域よりも高くしたい、こういう予算案もございます通りであります。予算的には一般的な問題、それからこの地域に特別に限られた予算措置という問題とがあると思います。
  13. 金子與重郎

    金子委員 この問題は最近この種の積雪寒冷地帯にいたしましても急傾斜地にいたしましても、あるいは特殊な湿田地帯にいたしましても、農業経営上特に不利な立地条件に置かれている地帯農業経営並びに生産力を、特に国家が何らかの施策をもつてよりよい環境に持つて行こうという趣旨はよくわかり、またそういう意味において最近この種の法律がたくさん出て参つているのでありまして、趣旨そのものは私どもよくわかり、また賛成するのでありますが、そういう結果法律が非常に錯雑して参りまして、一つの村なり、あるいは県になればもちろんでありますが、今の趨勢で行きますと、この法案によつて一つのたんぽなり、あるいは農耕地というものがいろいろの面に関連して、受ける方の立場から行くと、ほとんど混雑してしまうのではないか、そういうふうに考えられるのでありますが、その際、これらの趣旨は一応わかるが、これを総合的な一つの一本化した法律によつて、その特異性土地によつて考え方をかえて行くよう将来考えたらどうかということも考えられるのであります。今後食糧増産といいますと、その主力は広い意味における土地改良の問題に入るのでありますが、その際、今政府考えておりますところの増産計画などをにらみ合せて、将来この種の法律のあり方について、どう持つて行つたらいいかということを、この際次官からお伺いしたい。
  14. 松浦東介

    松浦政府委員 ただいまの金子さんの御意見は非常にごもつともでございまして、こういう特殊な法律がたくさんできましたけれども、なるべく煩雑なことは避けて参りたいと思います。御承知のように非常に雪の降る地方もあり、あるいはまた非常に急傾斜地帯もあり、また南方の特殊土壌という地帯もあり、ただいま御審議を願つておりますこういう湿田のような非常にまたかわつた状態もございまして、もう一つあるいは議員立法砂丘地云々というものも最近現われるやに聞いておるのでありますけれども、こういういろいろな土地立地条件が違うところが多々あるのでありますから、やはりこれは画一的に農政を施すというよりも、その土地々々の立地条件を救うなり、あるいは生かすなり、そういう方向へ持つて行くことが私ども食糧増産のためにもよろしいのではないかと考えております。食糧増産は非常に大きい問題でございますし、今後これをどういうふうに持つて行くかということにつきましては、現在はそういういろいろな法律を併用してやつて参りたいと思つておりますけれども、将来のことにつきましては、なおとくと研究をして参りたいと考えております。
  15. 坂田英一

  16. 足鹿覺

    足鹿委員 湿田単作地帯というものの定義、さらにまた半湿田というようなものの簡潔な定義はどういうことになりますか。
  17. 松浦東介

    松浦政府委員 湿田と半湿田との定義はという御質問でございますが、ただいま政府考えております定義というのはこういうことになつております。湿田とは、一年を通じて表層最大容水量以上の含水状態にある水田で、地表に水をたたえているものから、表層が常にじめじめしているものまでを含むものである。半湿田とは乾田湿田との中間的性格を有する水田で一年のある期間湿田状態となる水田、あるいは表層が常に野外容水量以上、最大容水量以下の含水状態にあるもので足を踏み入れると水がにじみ出ることが多い水田とする。大体こういう定義を下しておるようであります。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 非常に長たらしい定義でありまして、はたして定義かどうかわかりませんが、定義の解説とでも聞きとれるのですが、その基準従つて湿田単作地帯あるいは半湿田地帯というものを認定して行くのはだれがやるのですか。
  19. 青木正

    青木(正)委員 ただいま湿田、半湿田定義関連いたしまして、だれが規定するかという問題でありますが、なお私補足的に申し上げておきたいと思いますのは、この湿田、半湿田基準につきましては、一応こういう定義になつておりまする。たとえば雪の方の単作地帯の問題につきましては利用率一三〇%、こういう規定がきめられておるわけであります。同じように現実問題になると、農林省の方で事務的にその基準はつきり出す必要があるのじやないか。そうしてその基準によりまして、どの地域湿田もしくは半湿田地域となるかということは審議会によつて決定する、こういうことになるわけであります。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 審議会がおきめになることは、法律にも若干うたつてあるようでありますが、この適用にあたつて、今政務次官が言われたような定義と申しますか、基準を実際に適用して行く場合には非常に問題があると思うのです。実際上の場合に、審議会つて現地調査するわけでもあるまいし、結局政府が出した資料に基くし、また地方実情というものが審議会に集まつて来て、これを適正に判断して審議会が御決定になるのでありますが、審議会決定したものを政府がそのまま地域指定、あるいは地区指定というふうにやつて行くのですか。政府審議会決定したものに対しては取捨選択をする権能がありますか、ありませんか。
  21. 青木正

    青木(正)委員 決定いたしますのは農林大臣であります。審議会意見を十分に尊重し、審議会と相談の上、農林大臣決定する、こういうことになります。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 第二条に、「農林大臣は、湿田単作地域農業改良促進対策審議会議決を経て、」ということがはつきりありますが、この議決というものは農林大臣地域あるいは地区指定を拘束するものと解釈していいのでありますか。今審議会意見を尊重してというようなお言葉でありますが、これは法律解釈上非常に大事なことになると思うのですが、どうですか。
  23. 青木正

    青木(正)委員 拘束いたします。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 それから地域指定でありますが、地域とは「都道府県区域の全部又は一部」というふうに第二条に書いてありますが、これは都道府県区域全部でなくてもいいし、また全部でもいい、あるいは行政区画にとらわれないで、ある地域指定される場合に、その地域基準は何でありますか。
  25. 青木正

    青木(正)委員 農林大臣の方が郡までやりまして、町村になりますと県できめる、こういうことになるわけであります。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 そうするとやはり地域指定行政区画にその基準があるのですか。この法律趣旨とはちよつと違うように思うのですが……。
  27. 青木正

    青木(正)委員 市町村の一部がその地域として指定される場合もあるわけでありますが、しかし市町村がやはりその地域として指定される。農業委員会等関連もありますので、単位としてはその市町村、こういうことになるわけであります。
  28. 足鹿覺

    足鹿委員 私の聞いているのは、地区の問題についてはまた申し上げますが、最初のこの地域というものは何か面積関係があるのですか。一定町歩のある面積基準決定ものさしにして、その面積以上の地域指定する場合に、これは都道府県とかあるいは郡とかいう行政区画関係なくしてできるとも解釈するのです。その地域は一応まず行政区画を考慮に入れるということは御答弁はつきりしているようですが、その場合に何か面積上の制約がありますか。その点いかがですか。
  29. 河井大治郎

    河井説明員 お答えいたします。地域指定につきましても審議会議決を経るわけでございまして、第二条の三項は地区指定について書いているわけでございますけれども、やはり同様に審議会において基準というものを出して参るわけでありまして、その審議会においてどういう基準を設けるかということによつて、ただいまの面積の問題も出て来る、かように思うわけでありますけれども、現在私どもの方でこの法案関連いたしまして考えておりますことは、特に面積という基準を置いて指定をするという考え方はいたしておりません。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 審議会がその基準をきめるとおつしやつても、これは積雪寒冷単作地帯のときでも、急傾斜の場合でも、やはりあなた方がある一つものさしをつくる。だからぼくはその考え方について聞いておるのです。審議会にみな押しつけたつてだめです。そこをもう少しはつきり伺いたい。
  31. 河井大治郎

    河井説明員 面積制限審議会の方へ提案して、そういう制限を置くという考え方は今いたしておりません。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 もし審議会面積にある一つ制約を加えるような議決をした場合に、今の御答弁ではお困りになると思うが、それはどうですか、そういうことはありませんか。
  33. 河井大治郎

    河井説明員 お尋ね審議会にかける案として、事務当局はどう考えるかというお尋ねでありましたので、私どもとしては面積制限考えておりませんというお答えをいたしたわけであります。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと審議会決定した基準につきましては、当局もそれに基いて地域なり地区指定をおやりになるというふうに解釈してよろしいのですか。
  35. 河井大治郎

    河井説明員 この法律が成立いたしまして、その法律趣旨によつて審議会決定がありますならば、それに従つて運用いたすべきである、かように考えております。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 これは参考的に承つておきたいのですが、湿田あるいは半湿田一定行政区域の中にある場合に、点在してある場合と集団してある場合——たとえば一県の中にも東の方に点々とある。まん中には集団化してある。西の方にもまた点在してある。そういう場合に集団しておるということが指定条件にはなりませんか。きめます場合にその行政区画内におけるある一定面積——集団とか、点在ということが条件になりましようか。
  37. 河井大治郎

    河井説明員 この法律事業実施は、第十条にありますように、土地改良関係については、この法律規定があります事項以外につきましては、土地改良法に基いてやるということになる点が一点。それから第四条以下にございますように農業改良計画というものを定めます。また第九条に農業改良計画の内容というものがありまして、その二項にもありますように、立地条件その他いろいろの諸条件を勘案して、一定地域について定めて行くということでありますので、そこにある程度の集団が必要であるということは、事業上おのずから出て来ることだと思うのであります。特に指定の際に面積制限を置くという考え方は持つておらぬというのは、先刻申し上げた通りでございますけれども事業実施いたします際に、たとえて申せば現在積寒法にいたしましても、それを実施する場合には土地改良法に基いてやる。すると補助の対象としておるものは、実際の扱い上として、ある程度の面積集団してあることを要求されておる、そういう実情にあります。やはりそういう扱い方というものがおのずから出て来るのではないか、かように考えております。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 土地改良法との関係をおつしやつたのですが、もう一ぺん土地改良法とはどういう関係になるか承りたい。
  39. 河井大治郎

    河井説明員 お尋ねの点は面積の点と思いますが、土地改良法上は特に面積制限を置くような趣旨規定はございません。ございませんが、土地改良土地改良法によつてやることになります。土地改良法によつてつております事業については、補助をいたします際に、取扱いといたしまして、現在ある程度の面積集団を要求いたしておるわけであります。それは積寒法等につきましても、そういう扱いをいたしておるわけでありますので、指定をいたします面からは、この法律適用上特に一定面積制限を置くという考え方はございませんけれども扱いはそういうものがおのずと出て来るであろうというふうに考えておるということを申し上げたのであります。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 法律運用の問題ですが、法律をつくつてしまつたらあなた方がこれを運用されるので、はつきりさせておきたいと思うのです。かりに土地改良法による一定面積というものがある。しかし実情からいつてその面積には達しない湿田乾田にする、半湿田改良して行こうというのでありますから、どこかにその水の抜け場がなけらねばならぬ。ところがその水の抜けて行くところはその指定外地帯で、河とか海とかに抜けて行く。そういう場合にやはり運用上において、実情に即するとでもいいますか、ちよつと私も言葉がわかりませんが、そういう方法はいたされますか。この点大事ですよ。
  41. 河井大治郎

    河井説明員 お尋ねの点は、たとえば数反歩の湿田がある、そういうものを計画的に排水をして改良をしようとすれば、そういう地域だけでは排水をうまくやることができないであろう。従つて相当な広がりを持つ必要があろう。こういうふうな御趣意のように承るわけであります。当然そういうことはあるわけでありまして、土地改良法実施をいたしますならば、その利益を受けまする地域区域として土地改良をすることになつて、その地域における効果を総合的に上げる、土地改良法の上においてもそういう趣旨がございますし、この法律案におきましても、九条の二項におきまして、立地条件等を総合的に勘案して事業総合的効果を最大限に発揮するということがございますので、そういう趣旨から一定地域について計画が行われるということがおのずから出て来るだろう、かように申し上げておるわけであります。
  42. 足鹿覺

    足鹿委員 大体了承いたしました。  次にここに資料をもらつておりますが、湿田単作地域における湿田調べ、これはだれが何によつてこういう調査をされたものでありますか。
  43. 櫻井志郎

    櫻井説明員 農林省農地局府県知事に照会して調査した資料であります。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 それはいつですか。
  45. 櫻井志郎

    櫻井説明員 ちよつと私はつきり記憶いたしませんが、二十二年から二十四年にかけての調査のようでございます。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 その以外に農林省自体としての独自の御調査はありませんか。審議会でいろいろと御審議になるでありましようが、結局よるべき資料となるものは、おそらくこういうものが資料になつて来ると推定されます。それで大体この湿田調べが日本の農耕地における湿田の現況であるというふうに押えて、今後の法律適用事業計画の設定等いろいろな点について運営されるお考えでありますか。
  47. 櫻井志郎

    櫻井説明員 このほかによるべき調査統計資料がございませんことは遺憾であります。ただ調査をいたしましたのが、今申し上げたように相当年数がたつております。それで現状はこれよりふえておるか、減つておるかという問題がございます。その後土地改良をやつておる観点からいいますならば、当然これから多少減つておるであろうという推定が立つのであります。しかし今のところ、これを基本的な資料にして行きたい、こういう考えでございます。
  48. 足鹿覺

    足鹿委員 積雪寒冷単作地帯は、この法律適用から除外されることになるのですか。
  49. 櫻井志郎

    櫻井説明員 その通りです。
  50. 足鹿覺

    足鹿委員 そういたしますと、この該当を予想される現在の面積は幾らありますか。
  51. 櫻井志郎

    櫻井説明員 積雪寒冷単作地帯として指定を受けておるものを除外いたしましたものは、お手元に差上げました表にございますが……。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 わかりました。さつき金子委員から補助率の問題についてお話がありましたが、補助率は大体想定されておりますか。
  53. 櫻井志郎

    櫻井説明員 補助率は大体それぞれの事業につきまして想定はいたしております。ただ私どもといいましようか、農林省の要求というものと、財政当局の承認といいましようか、それの折衝はまだ残つております。従いまして、これは私ども見解にすぎないという前提ではあります。
  54. 足鹿覺

    足鹿委員 その前提でけつこうですから、それをお聞かせ願いたい。
  55. 櫻井志郎

    櫻井説明員 各事業ごとに申し上げますと、灌漑、排水事業につきましては四割ないし五割、それからその他の諸土地改良事業と言つております暗渠排水でありますとか、区画整理、客土、農道、こうしたものは三割という想定をいたしております。そのうち現行と違いますのは農道で、現在一般土地改良補助いたしておりますのは二割ということになつております。以上でございます。
  56. 足鹿覺

    足鹿委員 農林省の案で行くと、これは一応その効果があるのですが、大蔵省へ行つてこれが削減を受けますと、急傾斜地帯のときのように、せつかく法律をつくつてもらつても、補助金があまり少いとどうも困る、こんなことではとてもやれないということになつて、かえつて法律をつくつた趣旨というものが農村の実情とかけ離れてしまうという点を、私どもは心配をいたしておるのです。私はこの法案に賛成ですが、法律ばかりつくつても、なかなか予算の裏づけが——結局するところは補助率の問題に来ると思うのです。これは提案者にひとつ伺いたいのですが、今農林省当局は、四〇から五〇%の範囲内において灌漑排水、その他諸土地改良三〇%ということを想定しておると言われておりますが、提案者としてどのようなこれの実現についての御決意がありますか、特に青木さんに承つておきたいと思います。
  57. 青木正

    青木(正)委員 私どもも、足鹿さんの御意見にまつたく同じことでありまして、できるだけこの問題を解決するためには、補助率を高くしていただきたいという熱意を持つているわけであります。しかしながら現実の問題になりますと、国の財政の面もあるでありましようし、また他の法律との関係もあろうかと思います。そこで単に私たちの希望から申しますれば、最大限にしていただきたいということは言うまでもないのでありますが、他の法律との関連、財政の現状等も勘案いたしまして、許せる範囲内においてできるだけ補助率を高くしていただきたいということで、農林当局にも十分の御決意をお願いいたしますし、また私どもも、機会あるごとにその実現に向つて今後も常に努力して参りたい、かように存ずる次第であります。
  58. 足鹿覺

    足鹿委員 最後にもう一点お伺いしておきたいと思います。第三条から以降に、農業改良計画市町村長がつくつて知事に出し、さらに農林大臣に出して行くということになつて農林大臣が今度は審議会議決を経たものによつて国の農業改良計画を定めて県知事に出すというようなことがある。ところが積寒法の場合でも、これは予算との関連もありますが、非常に問題になるのは、せつかく市町村においては熱意を込めて改良計画を設定しても、それが上に行つて最後にもどつて来る段になると、だんだん影が薄くなつてしまう。これは予算制約もあることでしようが、これでは困るのです。農民に一つの幻想を与えてぬか喜びをさせて、実質的には負担の増高を来すということになつておるのが、残念ながら今までの状態ではないかと思います。この農業改良計画適用を受ける市町村長が定めたものに対しては、その一定の年限を期して年次計画を定めて行く場合もありましようし、数年または一年の計画を立てる場合もありましよう。しかし実際において市町村でやる場合には、部落の順位があるとか、いろいろやつて行く場合に上から削られてしまうと困るのです。やはり百姓はだれもが一ぺんにやつてもらいたいのです。そういう場合に、せつかく立てた農業改良計画を、農林大臣が参酌するという程度ではたよりないような感じを受けるのです。これは実際上の問題ですが、農業改良計画を定めたものに対して、予算の建前上できぬ場合は、政府の責任です。従つてそのものに対しては、年限を延長するとか、臨機の措置が講ぜられて農民の希望にほんとうにマツチするように行かないと困ります。従来の改良計画は、残念ながら空転していると思いますが、その点について従来の轍を私どもは踏みたくないと思いますが、何かこの点について当局でお考えになつていることはありませんか。また政務次官はその方面のオ—ソリティでありますが、御所見はいかがでありましよう。
  59. 松浦東介

    松浦政府委員 その問題につきましては、法律ができればそのまま行政する以外にないのでございますが、従来の積雪寒冷その他の例から考えましても、いろいろその点は悩みがあるわけであります。つまり市町村の単位でいろいろ計画を立てます場合には、年来の希望を一挙に解決したいのあまり、理想論に走るような場合もありますし、また自己において負担する面もあまり顧慮することなしに計画するような面も多少ないこともないわけであります。そこで全部をやることはもちろんでございますけれども、第五条の二項にありますように、「政府は、毎年度国の財政の許す範囲内において、」というようなことで、財政的にも一応実際面においては制限を受けるようなことにもなりますし、その間の調整が非常にむずかしいと思うのでありますが、これはいろいろ他に法律の例もあることでありますから、下部にも進行状況等も話をすれば、その調整ができるのではないかと私は考えております。  なお計画をいたした分は、五箇年のうちにおいて実施することになりますので、あるいはその順序等についていろいろ問題があると思いますが、五箇年目に計画せられ、着手せられたような事業の延長というようなことはまた別個にそのころ考えてみたい、こういうように考えております。
  60. 坂田英一

    坂田委員長 平川君。
  61. 平川篤雄

    ○平川委員 ただいま金子委員足鹿委員からお尋ねになりましたことに関連をいたしますので、それをもう少し確めたいと思いますので、簡単にお聞きしたいと思います。ただいま足鹿君の質問のときに問題になりました湿田単作地帯における湿田調べでありますが、この資料はこの法律案に対してどういう役割をするために出されておるのか聞きたいのです。というのは、これを見ますと、積雪寒冷単作地帯を除いて、全部が一括した数字になつておる。これは郡市別でもなければ、町村別でもないのでありますが、この湿田、半湿田としてあります数字の地帯は、いずれも一つ残らずこの法律該当することができるという意味でお出しになつておるのかどうか、お聞きしたい。
  62. 櫻井志郎

    櫻井説明員 この法案を御審議いただくのに際して、実際に湿田あるいは半湿田というものは各府県別にどういうふうにあるであろうかということの資料という意味で出したわけでございます。
  63. 平川篤雄

    ○平川委員 ただいま河井さんなどのお話によりますと、土地改良法によつて補助の対象になる事業規模というようなことも一定制約を加えられるということになりますと、この資料はまつたく無意味なものであつて、この中には相当数の湿田単作地帯として除外をせられるものが出て来るのではないかと想像いたしますが、これは間違いないと思います。そうなると、私はこの資料はほんとうに意味のない資料考えますが、そう了解してよろしゆうございますか。
  64. 櫻井志郎

    櫻井説明員 この湿田面積の数字は当然審議会で再検討されるものでございます。
  65. 平川篤雄

    ○平川委員 それに関連して言いたいこともあるのでありますが、これは省きます。先ほど足鹿君も言われますように、われわれの聞きますところでも例の積寒地帯等において、法律がたいへん喜ばれておるのでありますが、二十町歩というような制限が課せられておることについて、非常に失望をしておる向きもあるのであります。たしか農林委員会であつたかと思うのでありますが、昨年農林当局から例の資金の貸付が議せられた際に、そういう資金の貸付の対象でありますが、二十町歩を十町歩程度に引下げたいというような御意向が農林省当局のどなたからか漏らされたように記憶いたしておるのであります。そういう点が打開されなければ、うまく運用がつかないのじやないかという感じがするのでございます。今この法律が出て参りますのはどこまでも食糧増産目的であることは間違いないのでありまして、そのために不利な条件になつておる土地を改善しようというのが本義であります。ところが従来のように、積寒地帯審議会がやつておりますように、郡市が指定せられ、県が指定せられることになりますと、他にもそれに該当する地点がありますにもかかわらず、そこは全然法律によつて救われない。そういうことになりますと、そういう地帯だけが特殊な権益を持つようなことになつて、さつきの金子君のお話のように、食糧増産五箇年計画に基いてこれらの法律を全部一風して、あらためて総合的なものを立てなければならなくなるような段階が来るのじやないかということは私も想像せられるのであります。もしそういうことをうまく円滑にやつて行こうというならば、ただいまの土地規模制限はある程度融通を持たせるということよりほかにはないと考えるのでありますが、そういう点では当局はどういうような御見解をお持ちになつておられますか。
  66. 櫻井志郎

    櫻井説明員 恐縮でありますが、今の御質問の御趣旨は、たとえば補助対象の面積の二十町歩というような制限を撤廃しなければいけないじやないか、こういうことに解釈してよろしゆうございますか。
  67. 平川篤雄

    ○平川委員 撤廃とまでは申しませんが、実情に即してそこに緩急の差をつけるということ、あるいはまた指定せられた地域以外は、事実湿田はありましても全然法律適用せられない。そういうことでは運用せられるあなた方自体もお困りになるようなことになりはしないかということについて疑問があるものですから、お伺いしておるわけです。
  68. 櫻井志郎

    櫻井説明員 後段の指定された地域以外についての運用という点につきましては、法律でどういう地域指定するということになりますので、その指定地域以外に対する運用ということは実際問題として困難だと思います。  それから二十町歩制限でございますが、実は積寒法が施行されまして、この事業補助対象の問題が、実は最初私どもは五町歩以上という低い制限をもちまして大蔵省当局と交渉を始めたのでございますけれども、五町歩といいますと耕作農民からいつてもわずか数戸じやないかということで、大蔵省としては最初五十町歩以上を主張したわけでありまして、最後に妥協点として二十町歩という限度におちついた状態でございます。従いまして私どもといたしましてはいま少しく制限を下げたいという気持がございますけれども、財政当局との折衝の段階におきましては非常に困難であろうという想定をいたしております。
  69. 平川篤雄

    ○平川委員 農林省が五町歩以上という低い考えをお持ちになつておることは、一応その限りにおいて満足をするわけであります。先般小笠原前農林大臣に私が聞きましたこともそれによるのでありまして、規規を広くとるということは技術的な問題もありましようが、根本において、自由党内閣にはそういうふうに農業をできるだけ公益的につかむけれども、個人の持つております農地の生産性については、ほとんどこれを無視する考えがそこらに働いておるのではないかということを私は聞いたわけなんです。大蔵当局が五十町歩以上という考え方を持つておるというのは、これは単に金を出したくないという考え方でありますかどうですか、その折衝に当つてお気づきのところがあつたら、この際聞いておきたいと思います。
  70. 櫻井志郎

    櫻井説明員 私どもが大蔵省と折衝いたしました段階におきまして、あるいは聞きあるいは感じましたことは、これはやや主観にわたるかもしれませんのでその点はあらかじめ御了解をいただきますが、公共性に欠けるという点、つまり面積が狭くなりました場合には公共性が薄くなるという点と、それから今お話の通り補助対象が非常に広くなりまして、財政支出をいたずらにふやすという点、こういう二つの点から大蔵省が言つておるのだと想定されます。これはさかのぼりますけれども、前にいわゆるドツジ・ラインで、団体土地改良が昭和二十四年に全面的に停止を食いました。そのとき私どもが聞かされました最大唯一の理由は、こうした補助は公共的なものでない、個々の農民に補助をするならばその他の階層にも政府がやつていいじやないかということで、こういう意見が非常に強く出たというふうに聞いておるのであります。
  71. 平川篤雄

    ○平川委員 この問題につきましては、議論にもならないと思いますから打切りますが、ただいまの、ことに米などにおきますところの価格や、あるいは供出制度等を考えてみますときに、公共性がないものとして大規模なものしかつかむことができないという大蔵省のそういう考え方に対しては、私どもはやはり誤つておるという反対の見解をとつておるわけであります。そういう点から、今後ともできるだけその規模を縮小せられまして——財政の都合ならばやむを得ないところもあると思いますが、本質的な考え方としては、ただいま非常に大きな制限を受けておる農業の生産性を、国がどこまでも政治の力でこれを高めて行くという考え方に立つて、十分なる御折衝をお願いしたいと思うのであります。  今の問題に関連いたしまして、先ほど桜井さんは、増産という意味においてはこれは五箇年計画に包含せられるというふうにおつしやつたのでありますが、増産以外のものが加わつておるかどうかということについて、私はどうもあの御答弁はおかしいと思います。この質問言葉じりをとらえるものでしたら黙殺をしてもらいたいが、ほんとうにそういうものがあるならばお聞かせを願いたい。なおその際、食糧増産五箇年計画における補助率というものはどういうふうにお考えになつておるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  72. 櫻井志郎

    櫻井説明員 政務次官からも申し上げましたが、この法案には増産以外のいわゆる劣悪条件下における農業経営を、より合理的ならしめるという問題が法のねらいとしてあるということを私先ほど申し上げた次第でございます。  それから五箇年計画補助率でございますが、これは、上は国営事業から下は団体の仕事まで各事業主体、あるいは工種もたくさんございますので、おさしつかえございませんでしたら、後刻全部を表にしてお手元に差上げたいと思います。
  73. 平川篤雄

    ○平川委員 それでけつこうでございます。ただお聞かせ願いたいのは、劣悪な条件であるところを特に考慮したいという考えならば、一般の土地改良事業等よりも有利にお考えになるべきであると私は思いますが、同じでありましたりそれ以下であるとすれば、これは法の建前を無視して、何のことか意味のわからないものになると思います。その点だけは概略お話を願いたい。数字はなくともけつこうです。  それから、いずれにせよ、この湿田単作地帯法案には、積寒地帯に含まれない地帯を救うというような意味も含まれておると思います。そうなると大体今までの補助でありますとか、あるいはその他の国の助成については同様に扱われるものと想像しますが、先ほど審議会に対する事務当局の案としては、面積なんか考えていないというような河井さんのお話でございました。それは一つの立場としてお話になられただけであつて、具体的には積寒地帯法律のように行うのだと思いますが、そう了解してよろしゆうございますか。この二点を伺いたい。
  74. 河井大治郎

    河井説明員 こういう劣悪な地帯について特に考慮するという点においては、先ほどお答えがありましたように、補助率を場合によつては上げることも考えられるというようなことを申しておられます。ただそういう地域につきまして、農業経営の改善というものと土地改良というものをあわせ総合的に計画をやつて行くことが、やはりこの法案一つの眼目になつておるというふうに受取られる。そういうものを実現する場合に、特に劣悪な条件を満たすために、必要がありますならば補助率を上げるというふうなことも考えられるということは先ほどお答えがあつた通りであります。  それから実際の運用上、面積にある程度のわくがはまつて来るであろうということは、これは先ほどから御質疑なり答弁なりで繰返されておりましたように、やはり予算上の関係を持つて参りますので、その方で積寒地帯等におけるような、たとえば二十町歩以上というような補助の対象というものがありますと、それとのやはり比較と申しますか、運用関連性を見て参るわけでありますから、そういうようなものがまず一応考えられるというふうなことに実際上はなろうかと考えます。
  75. 平川篤雄

    ○平川委員 これは誠意をもつてお答えを願いたいと思いますが、今のようなことでは、実は私は満足できないのです。どういうわけかと申しますと、この前積寒地帯の問題で追加指定がございました際に、私は広島県ですが、広島県は、農民諸君が申しますのには、広島県農民史始まつて以来の大陳情運動が巻き起つたと言つております。実に莫大な金を使い、莫大な労力を使つて例の指定に入るために運動をした。私どもも、ある意味においてそれに巻き込まれたわけです。それで今こんなものがそういうぼんやりしたものによつてやられまして、しかもはつきりした基準も示されずに一般の知るところとなりましたならば、たちまち明日からでも猛烈なそういう陳情運動が起つて来るのではないかと思う。そこでこれは私が先ほど申しますように、そういう郡市の指定について、どれくらいの面積になつておるとか何とかいうようなことをお持ちになつておるならば、それをあらかじめはつきりお示しになつて、その理由はかくかくである、それに該当しないようなところは初めからあきらめてしまうようなはつきりした基準を出しておかないと、非常に妙なことになつてしまう。政治というものが非常にきたならしい動きになつてしまうのであります。これを私はこの前の積寒法の場合につくづく痛感をしたのであります。でありますから、それは審議会がおきめになるというので、建前としては今お話になりにくいのかもしらぬが、私が大体積寒地帯考えで行くのだろうと聞きますのは、それに基いての大体の基準があるならこの際お話になつて、もしもわれわれの中で討議するなら正式に討議をし、納得の行く線を出しておきたい、そして無用な混乱を避けたいというのが私の気持なのでありますから、そういう気持からの御答弁をお願いしたい。
  76. 青木正

    青木(正)委員 平川さんのお話まことにごもつともでありまして、私どももこの法案が通過いたしましたら、この法案により、かえつて農家の方々にいろいろそうした御迷惑をかけては非常に恐縮なことになるわけでありますので、できるだけ早く審議会においてはつきりした基準をきめ、その周知をはかりまして、無用の陳情等のことがないようにしたいと考えるわけであります。
  77. 平川篤雄

    ○平川委員 その際には大体現在の積寒地帯基準より下らないというふうに了解してよろしいですか。  もう一つ、あれは大体日照時間とか平均温度とかいうようなものがあつたわけですが、今度はそうでないといたしますれば、実際の湿田面積ということになるでしよう。そこでそれが市町村区域に何パ—セント含まれているとかなんとかいうことが一つ一つ問題になつて来ると、ああいう積寒地帯よりももつとむずかしい条件になつて、一町村々々々について問題にしなければならないということになりかねぬと私は思うのですが、技術的にそういう点をはつきりさせて、ここに最大公約数的な型をあなた方が見出し得る確信がおありになるかどうか、こういうような点で御答弁できることがあつたらしていただきたいと思います。
  78. 青木正

    青木(正)委員 私の方からも一言お答え申し上げておきます。御承知のように積雪寒冷地帯につきましては、積雪寒冷単作地区指定基準というものが二十六年の十月一日に出ているわけでありまして、これによりますと耕地の利用率が一三〇%以下であることとか、あるいは積雪期間が三十日以上とか、こういつた基準が出ているわけであります。しかしお話のように湿田になりますと、耕地利用率についてはそうした一応の基準が立つと思うのでありますが、それ以外の点になると、湿田になつている日数が幾日以上というような基準もなかなかきめにくいのじやないかと思うのであります。またお話のように地域的に申しましても、一行政区画のうちに半分以上あるとか、あるいは二〇%以上湿田であるとかというようなことも検討を要することだと思うのであります。そこで技術的にそうした疑念の生じない、しかもはつきりした筋の通るような基準をきめなければいかぬ、かように私ども提案者としては希望いたすのでありまして、いずれ審議会において正式に決定するわけでありますが、提案者の気持としては、そういう場合に平川さんのおつしやるようなことのないようにやつていただきたいということで、この法案を立案するにあたりましても、その点について事務当局に私どもの希望を再三申し述べているような次第であります。農林省におきましても私どもの気持を尊重して、急速にそうした基準を御決定になることと思い、またそのことを私ども希望するわけであります。
  79. 平川篤雄

    ○平川委員 桜井さんの方から技術的な点について伺いたい。
  80. 櫻井志郎

    櫻井説明員 今の御質問で一番むずかしい点は、先ほどお話のあつた湿田、半湿田定義はどうかという問題とやはり関連して来るわけであります。技術的に私ども審議会でおきめになる基準案を早急につくらなければならないと考えております。実際問題として時間とのフアンクシヨンが一番むずかしい問題だと思います。つまり表層に水がじみじみしみ出しているということはしろうとでも見えますが、それが一年を通じてあるか、こういう時間とのフアンクシヨンの問題であります。半湿田についても同様でありますが、これが実際問題として調査上非常にむずかしい問題なのであります。その点につきましては、私ども省の内外をあげまして技術者が相寄り、最も妥当と思われる基準案を早急につくりたい、かように考えております。
  81. 平川篤雄

    ○平川委員 そこでもう一つ聞きたいのですが、地帯ということなんです。どうせ郡とかなんとかいうことで指定せられると思いますが、その地帯をどういうふうにおまとめになる考えでありますか。今の点は了解いたしましたが、地帯とか区域とかいうことなのです。
  82. 河井大治郎

    河井説明員 積雪寒冷単作地帯の方は地帯指定となつております。この法案では地域指定、下に下りまして地区指定というように書きわけてあると申しますか、厳密な定義ということになるといろいろ意見はあると思いますけれども積寒法の方は気象条件を受ける地帯というものがある、それから湿田単作の方は、湿田定義についても今問題がありますが、そういう外観的な観察によつて認証し得る地域というものが出て来る、こういう考え方でそういう地域指定をするということになつているわけであります。
  83. 平川篤雄

    ○平川委員 そうすると農林大臣が郡市まで指定するということが私はわからないのです。今の積寒法の方は地帯、この方は地区だ、こうおつしやるのはいいのですが、郡市までどうしてまとめ上げられるのか、それが私はわからないから聞いているのです。
  84. 河井大治郎

    河井説明員 指定地域と申しましても、厳密に申せば湿田のある地盤までを指定するということになれば厳密な地域が出ると思いますが、農林大臣としては、湿田のある地区を含みます行政区画を対象として、審議会議決を経て地域指定をする、その地域指定を受けた中において、知事がその基準に従つて湿田のあります市町村の全部もしくは一部を地区として指定する、こういうことであります。
  85. 平川篤雄

    ○平川委員 質問を打切ろうと思つたのだけれども、最後のところでいよいよわからなくなりましたから、もう少しお聞きします。  今の地盤の関係であるとか、あるいは大きな川があつて大体が湿地帯であるとか、海岸の湿地帯であるということはあるだろうと思いますが、私が最初に湿田調べについてお聞きしたのはそれなんでして、これは原因のいかんを問わず山合いの谷底みたいな小規模の所も全部お含めになつているでしよう。そうすると一応湿田は原因のいかんにかかわらずお考えになつていると思う。湿田区域を含むとおつしやいますが、そういうことになれば区域というのもやはり問題です。私がわからなくなるというのはそれなんです。あつさりこれは雪寒地帯該当指定を受けていない所は全部指定をするとおつしやるなら私はわかると思いましたから、最初にこの表はどういう意味でお出しになつておるかということを聞いた。今までの雪寒地帯でない所は全部入れてあるというならわかる。しかしそこに基準を求めて、区域を定めて、しかも郡市というような大きな行政区画を御指定になるということになれば、そこに一定基準というものがなければならぬ。ある所だけ、たとえば一町村だけがべたに湿田地帯であればその郡を全部指定するというような単純なお考え方でもないと思う。私がわからないというのはそこなんです。そこをはつきりしておかなければ、もうあしたからでも陳情運動が起りますから、ひとつはつきりさせていただきたいと思います。
  86. 河井大治郎

    河井説明員 今のお話は、雪寒地帯を除く地域指定して、その地域にある湿田はすべてこの法律適用にかかるような指定があるならば、法律的には合理的であろうという御趣意のように承つたわけでありますけれども……。
  87. 平川篤雄

    ○平川委員 そうではないのです。技術的にそういう除外をなさるならなさるように、基準というものがあるだろう、私はそれをお伺いしておるのです。全部やるならこれは簡単だと言つておるのです。
  88. 河井大治郎

    河井説明員 それは、先ほど次官から湿田定義をお答えいたしましたけれども、そういう定義等によりまして、やはり一つ基準というものを審議会決定をして指定をするということで運用して参る、こういうことであります。
  89. 平川篤雄

    ○平川委員 雪寒地帯の分は、今の積雪期間であるとか何とかいうようなもう一つの宿命的なものが広汎な地域にあるのです。ところが今ここにお出しになつておる湿田の調べにしても、湿田定義にしても、それはそういうふうな一つの広汎な地域が運命的な支配を受けておるような考え方ではないように私は思う。そこであなた方が基準をおきめになるのにお困りになるだろうと思いますので、私は聞いておるのです。それで今申しましたように、郡市というものを指定せられるということになれば、そこに一つの何らかの大きな物理的な法則が支配をしておるという根底がなくてはならぬ。ところがその隣村の湿田がありましても、もはや指定を受けないということになる。これが今のように気候とか温度とかいうようなものによるならまだあきらめようがあります。ところがそうでない。こちらが谷が深くて湿田がある。しかもこの分は全然対象にならない。郡市を指定になるのは、私はむずかしいだろうと思う。だから申し上げておるのです。
  90. 坂田英一

    坂田委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  91. 坂田英一

    坂田委員長 速記を始めてください。それでは松浦政務次官から……。
  92. 松浦東介

    松浦政府委員 ただいま平川君から御指摘になりました問題につきまして、地域解釈の問題でありますとか、あるいは指定基準に関する件につきましては、政府の部内で案をつくつて答弁を申し上げることにいたします。
  93. 坂田英一

    坂田委員長 それでは地域解釈並びに指定基準については松浦政務次官から答弁があつた通り政府部内で案をつくつて答弁を申し上げることによつて進行することにいたします。それ以外については御質疑はありませんか——それでは質疑は次会に続行することにいたします。     —————————————
  94. 坂田英一

    坂田委員長 次にてん菜生産振興臨時措置法案を議題といたし、昨日に引続き審査を進めます。  昨日井上委員より御要求になりました資料はまだ印刷ができていないそうでありますので、でき次第お配りすることにいたしまして、この機会に政府より資料の内容について説明を求めます。清井政府委員
  95. 清井正

    ○清井政府委員 昨日井上委員より御要求になりました資料は、一応原稿は整いましたのですが、ちよつと不備がございまして、ただいま印刷し直しておる最中でございまして、本日までに間に合いませんでしたことをはなはだ恐縮に存じます。内容についてただいま御説明申し上げたいと思います。昨日御要求になりました資料の第一点は、てん菜の価格の算出方法はどうかという問題でございますが、この点については昨日もちよつと口頭で御説明申し上げましたが、三千円と決定いたしましたのは、次のような算出方法をもつて数字を計算いたしておるのであります。すなわちてん菜価格を決定いたします場合におきましては、昭和九年から十一年に至りますところの年次を基準といたしまして、その基準年次の基本を作別、すなわちばれいしよ、大豆、小豆、菜豆、小麦等の競合作物の基準年次の農産物価格と、決定しようとする年次の競合作物の各農産物価格との比率、たとえば昭和二十六年ならば二十六年の今申した農産物の価格と、昭和九年から十一年までのそれの価格との比率の平均値を求めまして、その平均値の数字を昭和九—十一年のてん菜の基準価格にかける、こういうふうな方法によつて計算いたして三千円という数字を出したのであります。  これを数字的にもう少し詳しく申し上げますと、ばれいしよ、大豆、小豆、菜豆、小麦の五品目でありますが、ばれいしよの比率が五二四・七、大豆の比率が四五九・六、小豆の比率が五六〇・六、菜豆の比率が四七一・一、小麦の比率が二五四・一、こういうふうになりましたので、それの平均を求めまして四五四という数字が出たのであります。その数字を昭和九—十一年のてん菜価格の六円五十銭に乗じますと、二千九百七十三円八十三銭という数字が出ましたので、これをまるくして三千円という数字を計算いたしたのであります。これが昨日御要求のありました資料の第一の問題であります。  それから次は、てん菜糖の政府買上げに伴つて特別会計がどういうふうになるかというお話でありましたが、この点につきましては昨日も御説明申し上げたのでありますが、私どもといたしましては、できるだけてん菜の生産者に対して今後補助奨励の施策を講じまして、品種の改良なり反別の増収をはかり、あるいは経営の改善等をはかります一方、生産力を高めることによりまして、できるだけその差額を縮めて参るという方法をとつて参りたいと思います。しこうしててん菜糖価格と外国産糖の価格との差を漸次縮めて参りますまでの間は、特別会計でその所要額を負担することになつております。その金額につきましては昭和二十七年度は大体六億二千七百八十七万五千円、その数字が食管の特別会計の負担になるということになります。二十八年度においては五億一千二百万円、二十九年度は四億五千万円、三十年度は四億三千万円というふうにずつと低下いたしまして、大体三十二年度くらいで外国産の砂糖価格とマツチさせて行きたい、こういう考え方でありまして、かりにそういうふうに計画通りに行くといたしますと、その間の特別会計の負担は二十五億程度に相なるのではないか、これは一応の計算でございますが、そういうふうに私どもは見ておるのであります。  それから第三の問題といたしまして、砂糖の輸入量を含め需給事情が百万トンくらいになつた場合の糖価の見通しはどうなるかというお話でございますが、本年度におきまする砂糖の需給状況は、外糖の輸入量が九十二万四千トン、前年度の繰越量が九万五千トン、国内てん菜糖の生産高が二万八千トン、合計百四万七千トンというのが本年度の需給状況でございまして、現在の輸入糖価は精製糖にしてピクル当りの平均が消費税抜きで四千二百四十円となつております。明年度におきましては輸入量が九十二万三千トン、前年度繰越量が十七万八千トン、国内てん菜糖の生産高が三万六千トン、合計百十三万七千トンという計画をいたしておるのでありまして、国際糖価も現状のままで行きますればさしたる急激な変動は予想されませんので、国内糖価は本年度程度すなわちピクル当り四千二百四十円程度の価格で推移するものと考えられる次第であります。  それから第四点の、日本甜菜製糖株式会社のことについてでありますが、最近の貸借対照表、損益計算書を用意いたしておりますので、刷りものができ次第早く出したいと思つております。
  96. 高倉定助

    ○高倉委員 この際動議を提出いたします。この法案は昨日から委員会におきまして井上委員が長時間にわたつて独占的に質問されたのであります。この質問によつて皆さん御了承のことと存じますので、これにて質問を打切りまして、またこの法案は井上君を除いた各派の農林委員が全部提案者になつている関係上、この際討論を省略いたしまして、ただちに採決あらんことを望むものであります。
  97. 坂田英一

    坂田委員長 高倉君提出の動議に賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  98. 坂田英一

    坂田委員長 起立多数。よつて高倉定助君の動議は成立いたしました。  それではてん菜生産振興臨時措置法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  99. 坂田英一

    坂田委員長 起立多数、よつて本案は原案通り可決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。衆議院規則第八十六条の規定による本案に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これにて暫時休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————  休憩後は開会に至らなかつた。