○芳賀委員
てん菜生産等に関する
法案が
提出された
機会に、
政府に対して、
国内の糖業政策に対してどういうふうなお
考えを持
つておるかということを、若干お伺いしておきたいのであります。
最近における
砂糖の需給関係を見てみますと、
輸入が大体六十万トン、
てん菜糖を中心とした
国内砂糖が三万トンということであ
つて、
国内の産糖率は全体のパーセンテージの五パーセントくらいにしかすぎないのであります。こういうような
状態において、
政府は、一面においては、食糧需給促進法というものをつくりまして、五箇年間に千七百五十万石の
増産をするということを言
つているわけでありますが、この
砂糖の
国民生活に占める重要度は決して軽く
考えてはならないわけであります。特に北海道における
てん菜糖の歴史は、先ほど
足鹿委員の申しました通り、まつたく
農民の一方的な犠牲のみによ
つてささえられて来た歴史を持
つているわけなのであります。戦争中を通じ、あるいは戦後といえども、ここ一、二年を除いて、このビート耕作に対しては、国が
一つの権力的な耕作
割当をして、たとえばビート耕作は、
農家経済の上からい
つて採算が成り立
つても成り立たぬでも、国の
要請によ
つて耕作しなければならぬのだという権力的な耕作をさせて来たわけであります。そうして現在において外国から非常に割安な
砂糖が
輸入できるということだけで、今後の北海道を中心とした
国内製糖に対する
方針をまつたく豹変するということは、今後の国の独立の上からい
つて、
砂糖政策がどの
程度の重要度であると
政府は
考えておるかということであります。先ほども二十七
年度のビートは、
原料を三千円で買い上げて、
砂糖は五千六百円で買い上げるというような
お話がありましたが、
価格支持政策という観点からい
つて、恩恵を与えるような意味における
買上げの態度であるか、今後
国内における
砂糖の
生産を増強するための迎え水というような形におけるところの、積極的な意図を持つた
買上げの
方針であるかということを、お聞かせ願いたいのであります。
それからまた現在のように、
政府が対米一辺倒の形で行く場合においては、この自由圏内からの
砂糖の
輸入は何ら不安がないかもしれないけれども、われわれが完全独立国として今後この国の農業を確立して行く場合においては、どうしても
国内における
砂糖の
生産度を高めることが重大な政策とな
つて来ると思うのでありますが、こういう
国内における糖業
増産に対して、
政府は、どういうふうな恒久的な
考えを持
つておられるかということを聞かせていただきたいのであります。
それからこの
法案は共同
提案でありますが、共同
提案なるがゆえに、この
法案が通過した場合に
考えなければならぬことは、あくまでもこれは
国内における
砂糖の
生産度を高めることが大きな目標にな
つておるわけでありますが、そのためには、それに最も勤勉と協力を惜しまないところの
農家の農業経営の面からい
つても、ビートをつくることが経営上採算が成り立つのだという安心感を前提として、この
法案をわれわれは
提案したようなことでありますけれども、ただ問題は、
原料ビートだけですぐ
砂糖になるのではなくて、その製造過程、いわゆる私企業の特定の
会社によ
つて加工されるという段階を経ることになるわけであります。そういう場合においてこのウエイトは、
会社の
利潤をまず前提として保護して行くことが
法案の精神になるか、あくまでも
砂糖の
生産を高めるという意味における
農民の
経済の上に安定感を与えるために、この
原料の買入れ
価格に重点を置くかということによ
つて、同じこの
法案が通過した場合においても、現われる現象は非常に異な
つて来るわけであります。先ほど
井上委員もこういう点を心配されて、繰返しての発言であると私は
考えておるわけであります。この
法案の持
つておる精神は、将来
国内における
砂糖の
生産度を高めるところに究極の目標を置いて、その段階としては局地における耕作
農民の
利益を守り、それに付随して
会社も公益的な糖業の政策に協力する意味においてこれをや
つて行くことに、この
法案が通過した場合においても
運用されなければ、まつたく死んでしまうようなことになるわけであります。以上今後における糖業政策に対する
政府の
考え方と、この
法案が通過した場合における
運用の精神をどこに置くかという点について、お答えを願いたいと思うのであります。