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1952-12-15 第15回国会 衆議院 農林委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十五日(月曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 野原 正勝君 理事 平川 篤雄君    理事 井上 良二君 理事 足鹿  覺君       青木  正君    秋山 利恭君       大島 秀一君    高見 三郎君       中馬 辰猪君    寺島隆太郎君       松野 頼三君    村松 久義君       金子與重郎君    高倉 定助君       高瀬  傳君    川俣 清音君       芳賀  貢君    山本 幸一君       中村 英男君  出席政府委員         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官         (大臣官房官房         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農業改良局         長)      清井  正君         食糧庁長官   東畑 四郎君  委員外出席者         議     員 松田 鐵藏君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    林田悠紀夫君         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   河井大治郎君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      櫻井 志郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十二月十三日  農林漁業金融公庫法案野原正勝君外五十六名  提出衆法第一一号) 同月十五日  てん菜生産振興臨時措置法案野原正勝外四  十一名提出衆法第九号)  農山漁村電気導入促進法案松田鐵藏君外六十  二名提出衆法第一二号) 同月十三日  治山事業予算増額に関する請願早稻田柳右エ  門君紹介)(第八一六号)  開墾工事費並び開拓道路費増額等に関する  請願早稻田柳右エ門紹介)(第八一七号)  千歳地区漁川貯水池かんがい計画に関する請願  (薄田美朝君紹介)(第八五三号)  那須野ケ原国営開拓建設工事施行請願外一  件(船田中君紹介)(第九〇八号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  農林漁業金融公庫法案野原正勝君外五十六名  提出衆法第一一号)  てん菜生産振興臨時措置法案野原正勝外四  十一名提出衆法第九号)  農山漁村電気導入促進法案松田鐵藏君外六十  二名提出衆法第一二号)     —————————————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより農林委員会を開会いたします。  本日、本委員会付託に相なりました野原正勝外四十一名提出てん菜生産振興臨時措置法案及び松田鐵藏君外六十二名提出農山漁村電気導入促進法案趣旨について提案者説明を求めます。松田鐵藏君。
  3. 松田鐵藏

    松田鐵藏君 ただいま議題になりました松田鐵藏外六十二名の提案による農山漁村電気導入促進法案提案理由を御説明申し上げます。戦後わが国民主化を推進いたしますためには、総人口の半ばを占める農山漁民生活文化を向上し、農山漁家経済を安定し、あわせて農林漁業生産力を高めることが最も肝要であります。しかるにわが国農山漁村実情を見ますと、いまだに電燈さえなく文化恵みを受けることのできない農山漁家全国で二十万戸を越える状況であります。さらに動力線が入つておらないために、生産にぜひとも必要な動力機械を使うことができない農山漁村も、全国に多数存在している現状であります。これらの未点燈部落、あるいは電力不足地域生活しております農山漁業者が万難を排して、電力導入しようと熱烈な要望を抱いていることは、きわめて当然のことであります。従いまして戦後、見返り資金あるいは農林漁業資金融通法によりましてある程度資金が供給され、現在までに約百箇所ほどの小水力発電所建設された次第であります。しかしながら、これだけでは単に一部の希望を満したにすぎないのでありまして、いまなお数百箇所の地点で建設を希望していながら資金を得られないため、貧しい暗い生活を余儀なくさせられている状況であります。従いましてわれわれといたしましては、これらの恵みを受けることの少い人々に、光を与えようといたしまして、この法案提案いたす次第であります。  次にこの法案の主要な点を申し上げます。  第一は無点燈部落あるいは電力不足地域を積極的に都道府県をして現地調査せしめ、これらの地域電気導入する方法及び施設建設計画等内容とする電気導入計画農林大臣提出せしめ、農林大臣はこれらの計画に基いて毎年度電気導入計画を樹立すべきことを規定いたしました。これはとかく早いもの勝ちに融資対象に取上げられている現状を改めて、計画的に能率的に電化促進事業を進めて行くためであります。  第二は政府電力導入事業を実施しようとする農林漁業団体が小水力(または火力発電所または配電施設建設する場合に必要な資金を右の計画に基いて、貸し付けることを積極的に規定いたしました。  第三は開拓地において、開拓農業協同組合が、小水力(または火力発電所または配電施設を設ける場合に、国が補助金を交付しようとする規定であります。  第四は電気施設建設に関し、また建設した施設維持管理または利用に関して、農林大臣が適切な指導を加えて行きたいという規定であります。またこの指導は必要に応じて都道府県その他農林大臣の指定する法人に行わせることができることといたしました。  第五は都道府県が第一項の現地調査を行うために必要な経費の一部及び農林大臣が委託した指導事務を行うために必要な経費の一部を国が補助し得ることとしたことであります。  第六は農林漁業団体送配電施設または発電施設建設いたします場合に、その施設利用上既設の電力会社との間に、電気の供給または託送、売買についていろいろの交渉の必要が出て参りますので、その際なるべく弱い農林漁業岩に不当な負担のかからないように協議、裁定の道を設けました。  第七は現在農林省が土地改良事業として、灌漑排水施設を設置し、中には相当大きな水利ダム等も築造されているのでありますが、これらのダム及び水路を活用いたしまして、農業水利との調整を図りながら同時に水力発電事業も考慮して、工事を施行することが、国家のため最も有利でありますので、この点を法文の上に明言いたしまして水力資源の総合的な開発を期待するものであります。  以上がこの法案の主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 坂田英一

    坂田委員長 本案に対する質疑は、次会よりこれを行うことにいたします。     —————————————
  5. 坂田英一

  6. 野原正勝

    野原委員 ただいま議題となりましたてん菜生産振興臨時措置法提案理由を御説明いたします。  てん菜は大正九年以来北海道の農業開発に多大な貢献をなして参つたのでありますが、その理由は冷害に強いこと、副産物の頸葉及びビートパルプは貴重な家畜飼料となること、またてん菜跡地は他作物が増収すること等でありまして、今後もますます北方寒地農業開発上その発展が強く要望されているところであります。またわが国は敗戦による領土喪失の結果、砂糖自給国が一転して莫大な砂糖をほとんどすべて海外に依存せざるを得なくなつておりますので、国内砂糖生産増大は、わが国経済自立上極めて重要事となつている次第であります。しかるに、最近輸入糖価格は異常な低落を来し、てん菜栽培を強度に圧迫し、このまま放置するにおいてはわが国よりてん菜栽培はまつたく姿を消すという危機に直面いたしております。元来輸入糖価格は変動がきわめて著しく、その低落に遭遇する場合は、てん菜栽培維持上何らかの保護政策をとる必要があることは、英、米等先進てん菜糖業国立法措置の例を見ても明らかなところであります。  以上の情勢と理由によりまして、わが国てん菜栽培を保持し、かつその生産力発展をはかる措置をすみやかに講ずることが緊要と存じ、ここに臨時立法として本法を制定いたしたいと存ずる次第であります。  この法案二つの点が主要事項となつておりまして、その一つは、一定計画のもとに栽培合理的発展に必要な経費の一部を国で補助し、その生産力を拡張し、需要最低必要量国内で確保しようとすることであり、もう一つの点としましては、農家てん菜最低価格を支持するため、特に必要があると認められるときにはてん菜糖政府買入れを行うことであります。この二つによりまして、寒地における農家経営を安定向上せしめ、かつ北方僻地産業を振興せしめ、またわが国砂糖自給度を高めて、わが国経済自立に寄与せしめたいと思うのであります。  以上がてん菜生産振興臨時措置法律案提案理由でありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  7. 坂田英一

    坂田委員長 本案に対する質疑は一時これを留保することとします。     —————————————
  8. 坂田英一

    坂田委員長 次に去る十三日本委員会付託に相なりました野原正勝君外五十六名提出農林漁業金融公庫法案議題といたし、審査を進めます。まず本案趣旨について提出者説明を求めます。野原正勝君。
  9. 野原正勝

    野原委員 ただいま議題となりました野原正勝外五十六名提出農林漁業金融公庫法案提案理由を御説明申し上げます。  わが国経済自主体制を確立するためには、食糧増産を目途とする農林漁業生産力の早急な拡大強化がその基盤をなすものであり、しかして農林漁業生産力拡大強化をはかるためには、これが基本的施設に対し、積極的に資金導入することが刻下の急務であることは言をまたないところであります。しかるにかかる資金農林漁業の特質にかんがみ、長期かつ低利であることを要するため、一般金融機関融通にまつことは困難であり、国家資金による政策的金融を行う必要があるのであります。  かかる要請に応ずるため、昨年農林漁業資金融通特別会計が設置せられ、これによつて昭和二十六年度百二十億円の融資を行い、さらに本年度は二百億円の予算をもつて融資が行われつつあり、この制度が農林漁業生産力拡大強化する上に果しつつある役割はまことに大きいものがあるのでありますが、今後食糧増産計画の積極的な推進とともに、ますます増大せらるべきこの資金の適正かつ円滑な運用を将来にわたつて期する上には、なお二、三の検討を要すべき点があるのであります。すなわちこの特別会計において当初予想した資金量に比し、実際の資金量国内食糧増産の緊急当面の要請にこたえ、はるかに上まわるに至つたため、現在の人員以つてしてはこの業務の円滑な処理はとうてい困難であると考えられるのであります。また貸付決定実質上の責任者ないしは事務に当る者が公務員であり、その地位を長期間固定することが実質上困難であるため、長期貸付決定責任の所在が不明確になるおそれがある点、また政府の直接貸付にかかる国の債権であるため、財政法規定により、債権の保全が形式的には極わめて厳重な一方、実質的には金融業務に本来必要とされる機動的な処理を行い得ないため、かえつて管理回収業務の円滑な運用を期し得ない点等、単に特別会計機構人員を増加したのみでは解決し得ない問題が多々存するのであります。  以上の諸点にかんがみまして、きわめて重要なこの農林漁業長期融資取扱い機構としては、独立とともにますますその重要性を加え、資金量も今後いよいよ増大せられるべきこの際において、新たにこの融資目的とする恒久的な独自の政府機関として農林漁業金融公庫を設置し、以つて農林漁業長期資金の適正円滑な運用に遺憾なきを期せしめたいと考えるのであります。これが本法案提案した理由であります。  次に本法案概略を御説明申し上げます。  まず農林漁業に対する長期低利資金融通目的として農林漁業金融公庫を設置し、これを法人とするのであります。  これが資本全額政府出資とし、農林漁業資金融通特別会計から承継する資金以つてこれに充てるのであります  業務につきましては、従来の農林漁業資金融通法による融資対象のほかに、さらに災害復旧の場合に限り個人施設をも対象として貸付を行うものとし、貸付決定以外の実務につきましては、農林中央金庫その他の金融機関にこれを委託し得るものとしております。  貸付利率償還期限及びすえ置き期間の限度はおおむね現行通りと定め、その範囲内における貸付条件細目等業務方法事業計画等主要事項については主務大臣認可を要するものとし行政との密接な関連を保持せしめることといたしております。  役員については総裁及び監事は政府任命とし、理事任命についても主務大臣認可を要するものとしております。  会計については公庫予算及び決算に関する法律の定むるところにより、大体国の予算及び決算に準じた取扱いをするものとし、利益金を生じた場合は全額を国庫に納付するものといたしております。  なお、公庫政府から借入をなし得るものとし、今後の政府追加出資とともに貸付の財源とし得ることとし、さらに外貨資金導入をはかり得る道をも設けている次第であります。  以上が法案内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決賜わりますようお願い申し上げる次第であります。     —————————————
  10. 坂田英一

    坂田委員長 なおこの機会にお諮りいたしたいことがあります。本案に、つきましては、大蔵委員会より連合審査会を開会してもらいたいとの申出がありますが、この連合審査会を開くに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。  なお連合審査会開会時日等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。  それでは本案に対する質疑次会より行うことにいたします。     —————————————
  13. 坂田英一

    坂田委員長 これより質疑に入ります。まずてん菜生産振興臨時措置法案について、質疑または意見があれば発言を許します。中馬君。
  14. 中馬辰猪

    中馬委員 私はてん菜生産振興臨時措置法案に関連して、菜種の問題について政府に所見をただしたいと思います。  現在全国において菜種滞貨が約百万俵あると推定せられております。その内訳につきましては、大略愛知県が十二万俵、滋賀県七万俵、福岡県におきましては十五万俵、岐阜県八万俵、三重県七万俵、鹿児島八万俵、その他四十三万俵ございます。しかもこの滞貨につきましては、現状をもつてすれば生産者の希望する価格では政府筋が全然これを買う見込みが立つていないのであります。従いまして残量の百万俵については販売の見込みが全然立つていないというのが、今日の実情であります。そこで私は、政府農民を保護するという大きな見地から、適当な価格相当数量を買い上げてもらいたいと思うのであります。これは農産物価格安定政策の大きな政治一環でございまするから、この問題についてはすみやかに、また真剣に考えてもらいたいのであります。しかしながらいかに原料を高くいたしましても、原料高製品安という現象では永続性がございませんから、そこで私どもは、さきに政府澱粉を買い上げたる措置に準じまして、すみやかに農家の不安を解消してもらいたい。来年度におきましては終戦以来農民諸君の非常な御努力によりまして、菜種増産が他の生産物に比べまして非常に生産意欲拡大をせられておるのであります。来年度におきましても、本年度に比べまして約二〇%から三〇%程度増産が予想をせられておるのであります。従つて年度増産意欲をしてりつぱな成果を生ましめるためには、政府はこの際すみやかに澱粉買上げ措置に準ずるところの、菜種政府買上措置をとつていただきたいと思うのであります。政府においてこの構想があるならば、この際全貌を明らかにしてもらいたいと思います。
  15. 松浦東介

    松浦政府委員 ただいまの中馬君のてん菜糖買上げその他に関連しての菜種の御質問でございますが、政府としましては、農業保護政策一環として農産物価格維持のために、重要農産物価格が暴落する危険がありますときは適当な措置をとらなければならない、こういう観点に立つて考えております。ただいま仰せられました菜種の問題につきましても、いろいろ具体的な例があつたようでありまするが、現在その問題についての事務的な考え方につきしては、事務当局よりお答えいたさせます。
  16. 東畑四郎

    東畑政府委員 来年度菜種生産を控えまして、菜種そのもの価格を安定するという面から、政府におきましても来年度予算等において検討するということは、大臣からもこの委員会で御説明をいたしたかと思います。ただいまの御質問は、本年度の約百万俵に当りまする菜種滞貨の問題でありますが、率直に申しますと、本年度補正予算では、菜種を買う予算は実は組んでおらないのであります。われわれとしましては、当初そういう予定をしておらなかつたのであります。その後の事態においてよく検討を進めまして、そういう要請が相当ございますので、大蔵当局とも目下折衝をいたしておる過程でございます。
  17. 中馬辰猪

    中馬委員 ただいま長官お話によると、現在具体的な方針はいまだ立つていないというお話でございますが、これは少くとも来年の一月一ぱいごろまでにこの方針決定の上具体的な措置を講じなければ、来年の二月になりますと、すでに非常な手遅れになる問題でございますから、政府においてはこの問題に関しましてさらに一段の御努力をせられるようお願い申し上げたいと思います。
  18. 坂田英一

  19. 井上良二

    井上委員 てん菜生産振興臨時措置法案に関して二、三質問をいたしたいと存じます。  ただいま提案者説明を伺い、内容検討しますと、一つ北方寒地農業開発てん菜生産が絶対に必要であるから、その保護育成をはかるということが一つ、それから一つは、国内砂糖自給度を高めて安定さして行きたい、こういう考え方のようでございます。今日まで砂糖の問題は国会でも案外論議をされずに済まされて参りました。ところが御承知の通り国民食生活内容検討してみますと、粒食による政府責任配給は、一箇月の米食率が大体十五日ということになつております。あと十五日は粉食であります。粉食による食生活をさらに検討すると、砂糖の占める価値というものが非常に重要になつて来ております。そこで政府粉食常食化伴つて国内砂糖需要を何とか円滑にいたしますために、一つ国内産の砂糖に対する保護奨励一つ海外からの輸入、これによつて辛うじて国内砂糖需要を満たしておるわけであります。ところが現在の砂糖国内需要状況を見ておりますと、砂糖価格が、一体妥当な価格で売られておると政府考えておるかということについて、もつと検討する必要がありはせぬか。たとえて申しますと、今砂糖状況について、私は専門家でありませんから、よくわかりませんが、ちまたに参りますと、斤十族という一つの特別な金もうけの一族が発生しております。これは一斤に対して十円方もうかるということであります。だれが一斤に対して十円方もうけておるかというと、おもに日本の有力なる砂糖生産業者であります。何がゆえにそんなにもうけておるかという点でさらに掘り下げて調べてみますと、今申します著名砂糖会社の株の相場は五十円株が二百五十円から三百五十円くらいのところへ行つております。また各製糖会社配当率、さらに生産設備の拡充、増資等を見ますと、他産業に比して驚嘆する状態に置かれております。しかるに一般消費者価格は、アメリカその他の砂糖を使つております諸国に比較いたしましてべらぼうに高い消費者価格がそのまま放任されております。どういうわけでそういう少数会社が独占的なもうけをいたし、消費者が高い砂糖をなめておらなければならないかということをさらに追求してみると、一つ政府外国砂糖輸入一定の制限を加えておる、つまり戦前大体百万トンくらいの国内消費砂糖が、今日人口増国民生活向上等によりまして、砂糖の使用は相当大幅に上まわつておるにかかわらず、まだ五、六十万トン程度にしか砂糖輸入を認めてない。しかもその砂糖輸入にあたつては、外貨割当政府行つてつて、この外貨割当が今申します少数重要製糖会社を中心に割当てられておる。この外貨による砂糖輸入が非常に好条件で行われるということから、みな外貨割当に非常な政治力を各製糖会社とも発揮いたしまして、この輸入、しかも外貨による輸入の方に非常な力を注いでおるのであります。そうして今申しましたような一斤に十円もの利益を壟断しておるというべらぼうな結果が今日横行しておるのであります。  そこで政府は、この状態では当然問題になると考えて、承るところによると、明年度砂糖輸入わくを一躍百万トン台に引上げようという要請を通産、大蔵にいたしておるやに承つております。そうなつて参りますと、ここに問題になつて来ますことは、価格の問題、国内糖業保護助成の問題にこれが影響して参りますし、また澱粉水あめ等価格にこれが影響して参ります。そうわれわれは一応一貫的にものを見ておるのでありますが、この際特に承つておきたいのは、今私が申し上げますように、特別な独占資本利潤壟断によるべらぼうに法外な高い価格砂糖が売られておる、その消費者価格をいかなる手段によつて引上げようとするか、これをまず政府責任者大臣がおりませんから、政務次官からお伺いしたい。
  20. 松浦東介

    松浦政府委員 ただいまの井上さんの砂糖に関する該博な御知識には私敬意を表しますが、私はまだ詳細を知つおてりませんので、政府輸入計画等につきましては他の政府委員よりお答え申し上げます。
  21. 井上良二

    井上委員 私が質問しておりますのは、砂糖消費者価格をいかにして引下げるかという一つ政府としての砂糖にたいする対策を要求しておるのでありまして、輸入計画とかどうとかいうのはその次に出て参りますから、この価格についてどういう価格をお考えになりますか、そういうべらぼうな金もうけをしておる会社があつてもしようがないとお考えになりますか、これは高いからもつと下げよう、下げられなければどうしたいと思つておるということをひとつあなたから聞かなければならない。
  22. 松浦東介

    松浦政府委員 ただいま申し上げたように、そのことにつきましてはまだ私はよく聞いておりません。そこで責任のあるお答えは他日の機会にいたしたいと思います。
  23. 井上良二

    井上委員 そうすると政治的には答弁できぬとすれば、事務的に当面の責任者である食管長官は、今私が指摘いたしましたような状況についてどうお考えになつておりますか。
  24. 東畑四郎

    東畑政府委員 砂糖消費量は漸次増加をいたしましたけれども、ドル等資金不足のために外貨配分をいたしまして砂糖輸入を制限いたしておることは事実でございます。従いまして若干砂糖がやみ的な価格を形成しておつたものが、漸次需給が緩和すると同時に、統制を撤廃いたしました以後価格は月々若干の高騰をいたしておるのでありますが、漸次輸入量を増加いたしまして、前段は下げております。問題は製糖工業利潤の問題かと考えます。問題は粗糖の価格精製糖価格との格差の問題いかんということになると思います。われわれといたしましては、両者の合理的な調整をはかりまして、適正な利潤に持つて行きたいということは当然であります。そのために粗糖の輸入をはかつたり精製糖輸入をはかつたり、根本的には粗糖及び精製糖の免税の点等検討を行わなければならぬと考えております。漸次輸入量を増加いたしまして、先ほどおつしやいましたように百万トン以上の輸入計画いたしております。ドル以外のものにつきましてはなるたけ自由にこれを入れたいという方向で目下考えております。おそらく来年度四月以後は、ドル以外のものはそういう方向に参るのではないかと実は考えております。量の問題と、粗糖と精製糖との間の調整をはかれば、井上さんの御指摘の点も漸次改善されると考えております。
  25. 井上良二

    井上委員 あまりこまかい点について質問しても、あなたの下の人がおらぬようですからわからんと思いますが、およそでよいですから、およその答弁を願いたい。今お話のように、食糧庁としては来年度大体百万トンの輸入をしたいということで要請をしている。そうなりますと、この輸入によつて現行小売価格はどのくらい下る見当をおつけになつて、そういうことをやられておりますか、これを伺いたい。
  26. 東畑四郎

    東畑政府委員 われわれとしましては、小売価格を極端に下げますこと自体は、ほかの関連産業、そしてまた澱粉でありますとか、砂糖代替の産業にも、実は非常に影響いたすのでありまして、極端な小売価格の引下げは容易になし得ないところでございます。問題は、現在の一斤六十八円程度を中心にして、これが非常に不安定にならぬような形で参つておるかどうか。なおこの中に実は十九円五十銭の消費税がございまして、それを換算いたしましたところで輸入をいたして参りたい、こういうふうに考えております。
  27. 井上良二

    井上委員 そうすると、百万トン輸入しても、価格の下ることを望むのではなくて、斤六十八円見当で安定さしておきたい、こういう考えのようですが、今日この法案審議するあなたの立場としましては、そういう考え方を持つておらぬとぐあい悪くなろうが、しかし現に六十万トンそこそこしか輸入していないものを、百万トン入れた場合、砂糖の市場価格がどういうようになるかということは、これは常識上およそわかることであります。これは政府が統制しておりますならば別でありますけれども、自由競争の中に放任してある今日、約倍に近い数量のものがかりに入つたとした場合、砂糖市場価格低落の一途をたどるということは大体において想像がつき得る。そこで私が聞きたいのは、問題はてん菜価格の安定についてこの法律案を出している。ところが一方政府は、国内糖については一手買上げ方法によつて安定をはかり奨励をやると言いながら、一方では莫大な数量の外糖を輸入しようとしている。そうなつて来ると、この予算は狂つて参ります。そこであなたの方へ伺わなければならぬのは、このてん菜糖による一手買上げ予算的処置は、およそどのくらい見積つており、もし百万トン入れた場合、国内消費者価格がここへ下つて来るから、従つて年度予算において、またその次の予算において、砂糖価格はこうなるから、これだけまた多く見積るということにならなければいけません。下つたら下つたときのことだ、そう言われるならば、それはまたそのときの話になりますが、しかし法案審議するわれわれとしましては、一応見通しについてお話を承つておかなければいけませんので、もし百万トンの輸入計画が達成をされた場合、国内消費者価格というものはこの程度におちつく、そこでこれより多少上まわる価格で買わねばならぬという。これよりというのは、六十八円より多少上まわる価格で買わなければならぬ、こういうことになつて参りますと、そのときにいる所要資金はどうかわつて行くかということが、ここで一つ問題になります。同時にまたこの砂糖輸入てん菜糖に影響するのみならず、今申します通り、澱粉及び水あめに影響して参りますが、これはまた別の法律で何とかする予定でございますか。これもあらためて承りたい。  先般行われました臨時的な澱粉買上げは、法的根拠によつておりません。農林省令によつて多分やられたんじやないかと思うのであります。そうなりますと、このてん菜糖は法的根拠をもつて価格の安定をはかり、その保護助長をやるが、澱粉やいも作農家には何ら法的根拠を与えておらぬ。ただいま御質問になりました菜種に対しても対策がない。こういうことになつて参りますが、それらの関係をどういうぐあいに調整をしようというお考えですか。それを承りたい。
  28. 東畑四郎

    東畑政府委員 まず第一の御質問予算に関する問題でございますが、本年度の補正予算で組んでおりますのは、てん菜糖買上げを一応三万トン見ております。これは北海道のてん菜糖であります。買上げ費は一ピクル当り五千六百円、これは消費税抜きでございます。トンで申しますと九万三千円くらいになると思います。それから売却の数量は、本年度中に約一万トンは売れるというふうに考えております。持越しを約二万トン見ております。売却の価格は、一応ただいまのところ時価等をしんしやくいたしまして——一ピクル当り五千六百円で買うのでありますが、政府の売払いの予定は、予算上は四千六百二十円というのを単価にいたしております。従いましてこの差額は、来年度等において決算の上で赤字が出るということになつておる次第であります。  それから第二の御質問であります澱粉の関係等についての法的根拠いかんという問題でありますが、井上さんが申されましたように、ただいまのところは臨時的措置としていつも解決をいたしておりますので、農林省令等でできるものにつきましては、政令、省令で解決をいたしておるのでありますが、さらに恒久的にそういう価格安定をはかる必要があるということになつて参りますと、われわれとしても何かそういう根拠法規を設けた方がいいと実は考えるのであります。来年度予算にからみまして、政府としても重要農産物価格安定について目下検討いたしております。かんしよ、ばれいよ等の重要なものに影響のあります澱粉等につきましても、何らかの恒久的な措置を講じたいと思つて、目下検討を進めておる次第でございます。その点はてん菜糖と同じような考え方考えておる次第であります。
  29. 井上良二

    井上委員 もう一点、砂糖の問題について伺つておきたいのですが、さつき私が申し上げました通り、この砂糖輸入にあたつて外貨割当は、中小製糖への割当よりも大工場に対する割当を重点的に考えてやられておるようであります。われわれその内容はよくわかりませんが、御存じの通り、大工場は自由貿易による他の取引が十分できるだけの資産的また取引上の能力を持つておるのであります。あるいまた外国のいろいろな動き等についても情報を早く知り、また見返りその他の方法によつて取引するとか、いろいろな条件をたくさん実力的に持つておるのであります。そういう自由闊達に活動でき得る資力的背景を持つておる会社に、特に貴重な外貨を、非常な好条件で安く砂糖輸入できるように多量に割当てるという行き方は、これは自由党の政策か知らぬが、少くとも中小企業の資本力の弱い者を助けて行こうという政治的立場から考えますと、この外貨割当に対してはさらにもつと検討を加え、考慮を払うべき必要があろうと思いますが、これらに対して一体政務次官及び長官はどうお考えになりますか、この点を一応明確に御答弁願いたい。
  30. 東畑四郎

    東畑政府委員 外貨割当に問題が二つあると思います。一つ原料糖の外貨割当の問題、一つ精製糖外貨割当の問題でありますが、井上さんのおつしやつたのは主として原料糖の問題であろうかと思います。統制が解けましてから以後、政府原料糖の外貨配分をいたしております。それは主として精製糖工場にいたしておりますために、中小企業等で原料糖を直接使う者が、原料をもらえないという非難があることは私も了承いたしております。たまたま政府で統制いたしておりましたために、従来食糧管理特別会計で相当輸入した原料糖を持つておりました。その持つておりましたものを払下げいたしまして、中小企業等で原料糖の必要な者の需要をまかなつて来たような次第であります。漸次輸入糖は、ドル以外のものが割当としましては緩和して来る。現にAAと申しますか、自動承認制といつたようなものもございますし、その他の地区等につきましても漸次緩和して参りまして、ドル以外のものを自由にして行くという形でこれを解決して行きたいというのが現在の考え方でありまして、原料糖等の需給が相当緩和して参りますと、そういうもの自体、特に中小企業が外貨をもらつて入れるというめんどうなことをしなくても解決して行くのじやないかということで、実は来年の四月からそういうようにしたいというので今立案をいたしております。そういうことをいたしますれば、政府が統制をいたしませずとも解決して行くのではないか、こう考えておる次第でおります。
  31. 井上良二

    井上委員 次に伺いたいのは、てん菜生産する農家に対して、栽培に必要な経費の一部を国で補助する、こういうておりますが、どういう形、どういう方法でやるか。これは農家別の補助ですか、協同組合対象の補助ですか。補助の内容及び補助する対象が個人か団体かを明らかに願いたい。  それから、でき上つたてん菜はこれを政府が買い上げるのか、それともてん菜糖会社が買い上げるのか、その価格は一体どうなつておるか、その点を御説明願いたい。
  32. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま、てん菜生産者に対する補助その他の施設についての御質問がございました。本問題につきましては、昭和二十六、七両年度におきましては、農家直接のてん菜栽培に関する病虫害の防除費といたしまして七百五十万円程度を現在支出いたしておるのであります。ところが今回本法案提出されましたにつきまして、ただいま井上委員のおつしやつたごとくに、一部の国家助成をいたすことになつておりますので、この際単に病虫害防除のみならず、各般の事項にわたりまして国家補助を計画いたしまして、もつててん菜生産につきましてこれを容易ならしめるということを計画いたしておりまして、ただいまこれに必要な奨励措置につきまして、目下大蔵省と折衝いたしておる最中であります。そのおもなものにつきましては、第一はてん菜の優良品種の普及の促進であります。これは優良品種の一代雑種の利用及び最近輸入された外国産品種のようなものを農家に普及いたしたい。こういう趣旨のもので、原種圃、採種圃にこれを助成いたしたいということであります。第二番目は、種子の購入助成であります。これはてん菜原種圃及び採種圃が一般に普及しますまでの間、優良品種を絶えず購入をいたしたい、こういう考え方であります。第三番目は、先ほど申し上げましたところの病虫害の防除薬剤の購入でありまして、てん菜栽培上非常に被害の多い虫及び病気につきまして、これを徹底的に駆除するための薬剤の購入費につきまして助成をいたしたい、こういうことであります。さらにてん菜作の経営改善のために、機械の導入あるいはてん菜作の合理化等につきまして予算化をいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。そしてこの補助はあるいは組合に、あるいは個人に、それぞれその種類によつてつておるのでありますけれども、大体においてこれは組合を中心といたしまして、組合を通じて個人に補助して行くというような考え方であります。  それから次ののてん菜の買入れ値段の問題についての御質問でございます、この問題につきましては、来年度決定いたしましたのはてん菜を千斤当り三千という買入れ価格にきめまして、それからずつと計算をいたしまして、先ほど食糧庁長官から申し上げましたてん菜糖の一ピクル当り五千六百円の価格が出たのであります。このてん菜糖の買入価格につきましては、ただいま私より御説明申し上げましたところの将来の生産奨励に対する補助助成をいたしましても、この買入れ値段は少くともこれを維持して行きたい、こういうふうな考え方によりまして、将来作付面積の拡大なり、あるいは反当収量の増大なり、その他の方法によりまして逐次製糖の過程における経費を少くして行きたい。あるいは歩どまりの増加等によりまして、原料一キロ当りの原料費が減少するというようなことも考えならますので、そういつた問題によりまして将来の糖価の合理化をはかることといたしまして、農家から買入れるてん菜につきましては、本年の千斤当り三千円という価格はこれを維持するという方向で参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  33. 井上良二

    井上委員 そうすると千斤当り三千円で政府てん菜を買い上げることになりますか、これを伺いたいと思います。
  34. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御質問につきましては、本年度は一千斤当り三千円ということに決定いたしております。来年度につきましては、この法律が通りますればこの法律に基きましていろいろ決定いたすことになるのでありますが、私どもといたしましては、来年度決定いたしました千斤当り三千円というものは動かしたくない、こういう考え方を持つておる次第であります。
  35. 井上良二

    井上委員 それでは提案者に聞きますが、この千斤当り三千円でこの法律は買い上げようというのですか。
  36. 野原正勝

    野原委員 この買上げの値段につきましてはいろいろと検討を加え、生産者の再生産を可能ならしめるような価格で買うことになると思いますが、買いますのはてん菜で買うのでなくて、てん菜糖を買う。それを逆算しますと、ただいま局長の言つたようなことになると思います。
  37. 井上良二

    井上委員 いま一つ、念のために伺つておきますが、北海道におけるてん菜を耕作いたしております地方の農家が、主として耕作しておりますばれいしよ、とうもろこし、大豆、これらの反当り収益と今申しますてん菜の反当り収益と一体どう違いますか、これを明らかにしてもらいたい。
  38. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御質問でございますが、これは昭和二十七年産の北海道におきますところのばれいしよ、大豆、小豆、菜豆等を比較しての数字がございますので、一応それを申し上げてみたいと思うのであります。この申し上げる数字は、農林統計及びその速報による数字でありますることを申し上げておきます。ばれいしよにつきましては反当を三百二十一貫、十貫あたり三百九十三円三十銭と押えまして、ばれいしよの反当総収入は一万二千六百二十四円という計算になります。それから大豆につきましては反当収量が八斗六升九合、値段は石当り六千九百三十九円と押えまして、大豆の反当総収入が六千二百九十九円一六十銭。小豆につきましては同じく反当収量七斗九升四合、石当り一万二千五百五十八円と計算しまして、小豆の反当総収入が一万七百七十一円。菜豆につきましては、同じく反当収量が八斗五合、石当り八千六百七十三円と押えまして、その反当総収入は六千九百八十二円ということになつております。以上申し上げましたばれいしよ、大豆、小豆、菜豆の平均が大体九千百二円ということになつておるのであります。それに比べまして、てん菜は千斤三千円と押えますと、平均反収が二千九百四十斤という計算になります。さらに茎葉によりますところの副収入を加えますと、総収入が九千七百八十八円ということになるのでありまして、三千円の価格は、今申し上げました当該地におけるところの競作関係の農作物と見合つた三千円程度を適当と考えられたものと考える次第であります。
  39. 井上良二

    井上委員 ただいまの説明を伺いまして、私どもちよつと納得の行かぬことがございますが、局地農業については今御説明になりましたような農産物が主要農産物として栽培されておりますが、これは病虫害その他の奨励によつて反当九千七百円、約一万円近い収入をあげておるわけであります。その主要農作物の栽培よりも、まだ保護を加えていない他の農作物をつくつておる農民は九千円でやつと一ぱい一ぱいのところにおるわけであります。この九千円をはるかに下まわつて、これが八千円台に下つた、あるいはまだ下るというのならば、これはまた農民の立場からも考えなければなりませんし、国内砂糖の自給を向上さすという見地からもこれを保護奨励する必要があります。ところが他の農作物の収入と比較して、現行においても上まわつておる現状にあるのです。これは国会で審議をしているわれわれとしましては、よほど検討を要する問題であります。しかも農民のつくつたものを直接政府が一手に買い上げまして、この製糖会社原料として売り渡すという手を政府が講じます場合は、極地農業の保護、奨励という意味から、これは一応われわれも大いに考慮を要する問題であります。ところが問題はその次に入つて参りまして、この点においては全然価格的な保障はされてない。てん菜糖を買い上げる価格をきめることによつててん菜価格をきめることができる、こういうつもりではじき出しているらしいのです。ところが、食糧庁長官は御存じでございましようが、この間澱粉の問題がやかましゆうなりまして、澱粉を買い上げましたね。あの澱粉を買い上げた結果、農家がどれだけ得をしていると思いますか。政府が割出した価格澱粉を買えば、いも十貫当り何円になるといういもの買上げ価格は算定できておりますが、はたして農民はあの算定価格澱粉会社に生いもを売つておりますか。問題はそこにるあんです。農民生産したものを完全に保障するというのならば、われわれも大いに考慮いたします。ところがその点はまつたくぼかしてしまつて、そして会社に売り渡して、会社がつくつたものを今度政府が市場価格よりもはるかに高い価格で買う。ここに問題がある、しかも買おうとする北海道のてん菜糖会社は個人の営利会社です。これが北海道の局地農業のてん菜だけを原料にして、てん菜だけで立つている会社であるということならば、その会社がなければ、結局てん菜はつくれないことになりますから、そういう形においては一応私どもは了承いたします。しかしこの会社てん菜だけではなしに、別に粗糖から精糖をつくつている製糖会社ではありませんか。そういう個人の営利会社で、しかも巨大な利益の予想される、また株価はものすごく高い値を呼んでいる会社が、どういう理由でそういうことをせにやならぬのでしようか。問題は私はそこにあろうと思う。農民から買い上げます場合、この値を下げられたんでは農民としては困るから、ここで政府が多少損をしても保障してあげなければいかぬというのならば、私はわかる。その面は何ら法的規定もなし、政府またその考えを持つておらず、農民が売り渡して、会社がつくつた砂糖を外国から輸入して高い関税を払つた砂糖よりもなお高い価格でわれわれは現実に買わなければならぬ、買わされるんです。政府は売らぬといつても、別に国庫負担によつてその赤字を埋めて行くんです。現実において市場価格よりも高い価格で買わされることになるんです。とにかくこれは野原さん、あなたにしても農林政務次官もやり、農林委員も長いことやられて、よくおわかりでございましようから、ここのところをもうちよつと何とかしてもらわぬと、遺憾ながら私どもは賛成しがたい。だから農民のつくつたてん菜を千斤当り三千円で買い上げという保障の法律ならば私ども大いに賛成いたしましよう。しかし個人の営利を目的にし、しかも現実に五十円株が三百何十円もしている会社に対して、何ゆえにそういう法的措置を講ずる必要がありますか、ここに私はこの法律の非常にややこしい点があると見ている。その点をそういうふうに直すお考え提案者にありますか、これを一応承りたい。
  40. 野原正勝

    野原委員 この法律をよく見ていただけば、井上委員が心配されるような点がほとんどないということを御了承願えると思うのです。第四条において政府は、「てん菜糖の製造を業とする者からてん菜糖の買入をすることができる。」となつており、第五条におきましては、「当該生産年において農林大臣が定める価格を下らない価格生産者から買入れたてん菜原料として製造されたものであつて政令で定めるものに限る。」とはつきりしておりまして、そこに「前項の最低生産者価格は、政令で定めるところにより算出される価格を基準とし、物価その他経済事情を参しやくして定める。第一項の最低生産者価格は、生産年の四月末日までに告示する。第一項の最低生産者価格は、経済事情の変動が著しい場合には、これに改定することができる。」というふうにあります。また第六条には「てん菜につき定められる前条の最低生産者価格てん菜の買入並びにてん菜糖の製造及び売渡に関する費用を加えて得た基準として農林大臣が定める。」とございます。また第七条におきましては、「製造業者に対し、業務及び財産の状況に関し、必要な報告を求め、又はその職員に製造業者の製造場、事務所、事業場又は倉庫に立も入らせ、帳簿書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる。」また「前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を証する証票を携帯し、関係人の要求があるときは、これを呈示しなければならない」などといろいろございます。要するにこの法案内容をごらんいただけばわかりますが、形においては製造業者からてん菜糖を買うのでありますけれども、実質はあくまでも北海道において寒冷農業に携わつている七万の農家対象とし、その農民の保護を目的としていることは、この一連の無味乾燥な法律の条文でさえもきわめて明白であると私は思います。その点におきましては、われわれの意図するものが決して一製造業者を保護しようというような考えでないことはおわかりであろうと思うのであります。ただ、ただいま井上さんの御指摘になつたような御心配に対しましては、事務当局つまり農林大臣が十分その責任を負うことによつてまじめに監査をし、この法律に定められたことを行政責任者として忠実にやつていただくということによりまして、井上さんの御主張が十分実現できるのではないかというふうに考えますので、これは決して一製造業者の利益を守つてやるということではなく、真に北海道農民の立場を考えてやらなければならぬということで出発しているものであるというふうに、御了承願いたいのであります。また昨年食管特別会計によつて買上げ措置を講じましたけれども、これは北海道のこの仕事をやつている農民にいたしますれば、一年限りの臨時の措置ということではどうも心配でならない、やはりはつきりした法律の定めるところによつて、北海道農業を何らの不安なく、今後ますます進歩するであろう有畜農業あるいは畜産、酪農という問題もあわせまして、この問題が安心してやれるようにしなければならぬと、いうことで、それが第四条から第七条までにはつきりしておりますので、その点御了承いただきまして、この際は御賛同をいただきたいと思います。
  41. 井上良二

    井上委員 立場が違うので、はなはだ残念ながら……。てん菜糖価格農林大臣が定めるにあたつて生産者価格をどう算定するかによつて生産者価格も安定する。結局買い上げる結果になるのじやないかとあなたは説明しておるわけであるが、そこに問題がある。てん菜糖価格を何ぼにきめるかというところに問題があるのです。これが営利会社でない場合は問題はありません。ところが営利会社としててん菜以外の製糖事業を別にやつておる。この会社は外国原料を買い入れて製糖業を別にやつておるんですよ。その会社がもしその方で大きな損害を起して会社全体がえらいことになつた——そんなことはないと想像するかもわかりませんが、そういう事態が起きたときに、こちらは政府価格をきめて買い上げてくれるのだから、少しその方面にうまく運動さえすれば一斤で二円や三円高く買つてもらうことは何でもないと考えるのです。その問題は逆算されて来ますから、そこに問題があると思うのです。自由党内閣のやつておることだから営利会社を助けるということはしようがないが、少くともわれわれ国民の貴重な税金がまわりまわつて使われることになる。使われる場合にそういう不明朗な法案内容というものは、もうすこし検討すべきではないかと思う。だからそんなまわりくどいことにせずに、てん菜生産者の生産したてん菜は千斤当り三千円で買い上げる、あるいはそのときの相場に生産費を参酌して買い上げるとはつきり何で一条入れておきませんのか。どういうわけでそれを入れるのを遠慮するのです。
  42. 野原正勝

    野原委員 井上さんとも思われないような先ほど来の御意見でありまして、かりに政府てん菜そのもを買つてどこかに置くとしても、実態を申し上げますと、北海道におけるてん菜糖をつくる会社は現在一つしかない。そうするとかりに政府が買つて支払いをするとしても、それを加工させるのはただいまのところその会社にやらすほかはない。そういう会社をつくるとすると、設備をするためには最小限度十四、五億の金がかかる。今政府がこれをつくる以外に北海道に持つて行つてだれか——井上さんの方でも御心配になれば別ですが、おそらくそういう工場をつくる方もなかろうと思います。そういう点からみましても、結局てん菜そのものを買いましても、加工するのは委託しなければならない。そうするとただいま申し上げましたような心配がまた起つてつて政府が買つておいたのだか、ほかにだれも加工する力がないじやないか、どうせおれのところに来るのだから、ひとつ思い切りうんとひつぱたいてしまえということで、とてもそんな値段では私は買いかねますと言われた場合には、一体どうなるかというところまでちよつとお考えくださると、井上さんはすぐれた政治家でありますからよく様子がわかると思いますが、結局問題は解決ないしと私は思う。そこで井上さんはさつきからこの条文を見ての御質問かどうか、実は私はさつきからちよいちよい書類などまわされたのを見まして、失礼ですが、あるいはごらんになつてなかつたのではないかと思うのであります。実はこれを見ますと、結局問題は一会社利益を守るという意図でないことは、先ほどはつきり申し上げた通りでありますが、なおその会社がもし万一にも利益の壟断をする、一独占企業なるを奇貨として、かつてなことをするようなことがありますれば、その際においては、政府農林大臣責任におきまして第五条から第七条までの条文によりまして、十分これに対する厳重なる監査をなし、あるいはまた買入れの価格その他におきましても、そのすべてが政府決定権があるのです。会社側にあるのではないのです。すべて行政庁たる農林省が行うのでありますから、ただいま御心配くださつたようなことに対しましては、結局心配ないのではないか。問題は政府の行政責任においてその結果を御判断いただきまして——もちろん十分御干渉いただき、政府の今後やることに対しましては、われわれといえどもこれは十分監査しなければなりませんが、この点につきましては、やはり第四条から第七条までに示されたようなことを忠実に政府にやつてもらうということで北海道のてん菜問題に対する——これが最善とは言えないまでも、まずまずこの程度で今のところはやむを得ないではないかということに御了承をいただきたいとお願いするわけであります。
  43. 井上良二

    井上委員 今、野原さんは私が申し上げている意味を逆に説明されているのです。私は北海道てん菜糖業が独占的企業であるがゆえに問題にしているのです。あなたは独占企業だからしようがない、こう言つている。だから独占企業として立つているだけの会社ならまた問題はいいのだが、それが外国の粗糖を買つて精製をしている精糖業を別に兼営しているのです。そこにもひとつ問題があると思う。それともう一つは、そういうう独占的な会社なるがゆえに今お話のようなことが行われないとは言えない。どうしてもそこへ流して来なければならないのだから、おれの方はこの値でなければならぬ。たとえば今政府委員から御説明がありましたように、一ピクル五千六百円で買い上げようという、ところがこの五千六百円というのは現在の市価から比べますならば約一千円高い。外国輸入砂糖よりも一千円も高いですね。どういうわけでこれを高く買わなければならぬのですか、そこに問題がある。一千円高く買つてやらなければこの会社の採算が合わないとおつしやるのですか。
  44. 野原正勝

    野原委員 われわれは会社の採算が合うとか合わぬとかいうことは全然考えておりません。問題は北海道のてん菜をつくつている農民が立つか立たぬかということを考えていると申し上げたいのであります。たまたま製造しました会社が、忠実に製糖業者としての運営をしてやることはけつこうだと思います。そうしてほしいと思います。また先ほど来この会社が他の外糖を買つて精糖をしているというお話でありますが、その通りかもしれません。しかし北海道の分は北海道としてこれは他から買つておるのではない。やはり北海道のてん菜原料として採糖をやつておるわけであります。他の方面で利潤が上り、あるいはその他のことがあつてうまく行つておると思いますけれども、ほかの方の関係を一応抜きにいたしまして、ただいまのところはあくまでも北海道の農民、北海道農業というものを対象としてわれわれは考えたい。問題をあえてほかに及ぼして複雑に考えたところで問題の解決にならないと思う。そういう点につきましては、行政庁の責任において十分措置する幅のある法律でもあります。これは当然農林大臣責任上やるでありましよう。でありますから立法の措置としては、ただいま申し上げましたようなことで、この法律の望むところは寒冷地北海道の農業振興というものに十分役立つものであろうという意図のもとに考えておるので、その会社が立つか立たぬとか、もうかる、もうからないとかいうことは第二次的の問題であるというふうに考えております。
  45. 井上良二

    井上委員 くどいようですけれども……、あなたも北海道のてん菜生産農民を保護して行きたいという考え方なら、はつきりてん菜生産者価格をきめて、その生産品を買い上げるという規定をここにきめたらいいではないですか。製糖の価格をきめる場合に、当然生産費が問題になつて来る、あなたは問題にならぬとおつしやるが、これが独占企業であるがゆえに、やはりその価格会社が今年はなんぼに買いたということを主張するウエイトの方が弱いですよ。役人が少々言うてみたところで、会社の経理内容というものはそんなに簡単にわかるものじやありません。また無理に買おうと思えば買えるような原価計算を出して来ます。だから会社の経営のいかんに常に生産者価格は左右されて来ます。少くともこの法律が北海道てん菜農民を保護助長するための法律であるという自信を持つてあなたが言うならば一条ここにはつきり明記して、生産されたてん菜は、生産費を償う価格政府がこれを買上げる、ちようど米の価格をきめまして、政府が一手に買い上げるのと同じように、生産費を基礎にして算定をして買い上げる、そういう一条をはつきり入れておきさへすれば、私が今あなたに質問をしている疑問は解けるじやありませんか。
  46. 野原正勝

    野原委員 ただいまの井上さんのことは、内容的にはここにはつきりしておるのであります。つまり一条入れるも入れないもない。第五条におきまして、「生産者から買入れたてん菜原料として製造されたものであつて政令で定めたものに限る。」というふうにはつきりあります。第六条には、「てん菜につき定められる前条の最低生産者価格てん菜の買入並びにてん菜糖の製造及び売渡に関する費用を加えて得た額を基準として農林大臣が定める。」とありますので、てん菜をこれこれで買つて製造するのに、これだけ以上かけてはならない、また販売の経費等もこれ以内で売渡しができるようにというようなことをすつかり加えまして、そういうものを計算してそれを基準として、その範囲内で農林大臣がきめるというのでありまして、行政的な扱い方としては先ほども改良局長から答弁しましたようなことで行くわけだと私は思うのであります。こまかなことはわかりませんけれども、てん菜の買入れというようなことについては、当然あなたの御指摘になりましたようなことを十分考えておる。ただそれ一つずつ切つてしまつててん菜そのもので買うことにして、一条を設けて買う。これを政府が倉庫に入れておいて、今度は会社の方へさあお買いなさいというように、同じ一つの流れ作業で行く仕事を途中で切つてしまつてやるということが実際問題として——法律に書くことは簡単でしよう。しかし現実の問題としては容易でない問題じやないか。結局そのことは第七条を十分生かすことによつて主務大臣責任においてこれをやらせることがよろしいのではないかというふうに考えます。ですからただいま井上さんのおつしやいましたような御心配の筋はいろいろ考えて立法がされておるというふうに御了承りただきたいと思います。その点につきましては、はつきりと一条設けろとおつしやいますが、一条設けてみたところで、さつき申し上げましたようなこともございますからこの点はひとつこの第七条を十分尊重して行くということで、ただいまの御注意に対しましては、おそらく政府責任を持つてやるというふうに了解を願いたいのであります。
  47. 井上良二

    井上委員 そこのところはあなたもそういうつもりでおられますから、問題は明文化するかしないかの問題であろうと思います。ただここで問題になつて来ますのは、生産者価格を何ぼにきめるか。それからでき上りました製糖を何ぼで政府が買い上げるか。これがさきにお話のように、一ピクル五千六百円で買い上げる予定だというお話であります。これは現在あの会社としてはこの値で買い上げなければ採算が合わぬという価格でございますか。これを伺いたい。
  48. 東畑四郎

    東畑政府委員 五千六百円と申し上げましたのは、実は予算ではそういうことになりますが、現実にいいますと五千五百七十円でございます。いろいろ御議論もあつたのでございますが、てん菜糖価格をきめます前にてん菜価格が本年の四月にすでにきまつておるわけであります。政府としましては三千円ということを発表いたしました。この法案にも書いてありますように、三千円で買うものから出た精製糖価格であります。そこで三千円を原価におきまして、あとは原価計算の問題であります。独占会社でありますので、普通ならば一社で買う場合は利潤というものを見るのでありますが、私の方の計としましては、利潤というものを見ません。それでは費用を億うかという御質問でございますが、これは時と場合によります。もちろん一社から資料をとりまして、十分原価を見るのでありますけれども、それでは企業の合理化的な面が抜けますので、てん菜糖ではない他の精製糖の工場等の原価計算を参酌いたしましてこれをやることが筋であろうと思います。この法律が通りました上は必ずしも償却するということは政府としては言明できないと思います。他の会社等で参照になるような費用等もしんしやくいたしました場合は、それを原価に織り込むのです。従つてそれだけは合理化をしていただく必要が起つて来ると考えます。今日の五千五百七十円にきまりましたのは、昨年と比べましても決して高いものではないのであります。私の方で検討を重ねまして、相当きつい価格を実は一方的にきめておるような実情でございます。会社等から資料をもらつたものとは、非常に違つておるということだけを申し上げておきます。
  49. 井上良二

    井上委員 最後に一点伺つておきます。さつきもちよつと申し上げました通り、このてん菜に対する保護助長の法的な処置は、当然今日経済的ないろいろな圧迫のもとに立ち行くことのでき得ない他の農産物と関連して考えなければなりません。そこでさつきから問題になつております菜種の対策、澱粉、いもあめの対策、これがまたかんしよに及ぼす影響、だからかんしよの支持価格菜種の支持価格、鯨油の支持価格、あるいは柑橘類に対する支持価格、さらにまた局地的な特産物がそれぞれございます。これがいずれも採算の合わぬ生産費に下りました場合は、政府はこれらの農産物に対して支持価格をきめ、国家保護助成をする意思がありますか。これにあらゆるものが右へならえとなつて、必ず第二、第三の振興助成法が出て参ることは当然であります。そうなりました場合、それらの各農産物に対する価格の支持を目的にした予算的、法的処置を政府はどうお考えになつておりますか。当然これが一つの突破点となつて、必ず現われて来ると予想せねばなりませんし、その場合北海道のてん菜糖だけが別個だというわけには、国の政治としては参りません。これがこういう処置をとられました場合は、当然菜種油に対しても、かんしよに対しても、あるいは柑橘類に対しても、蔬菜類に対しても、必要な法的、予算的処置がとられなければならぬことになるだろうと思いますが、そういうことを、政府としては今後十分検討して対策を講じようとお考えになりますか、これを私は伺つておきたいと思います。
  50. 東畑四郎

    東畑政府委員 大分大きな御質問でありますから、私からお答え申し上げるのはいかがかと思うのでありますが、政府といたしましては、これは個々の農産物について考えてみる必要があるのではないか。その農産物の農業経済上における重要さというものが非常に違いますし、また個々の農産物によつて管理します場合における難易という点もございますので、一つ一つ農産物について検討してみることを必要とすると思います。同時にこのてん菜糖のごとく、価格支持をいたしますと同時に、生産増強をはかるという意図を明らかに持つている農産物もあります。あるいは生産増強ということを言わないで、価格支持だけをやる農産物もあります。そういう点で個々によつて非常に違いますので、一つ一つ農産物につきまして、その重要度を考えて行く必要があるのではないか、こういうように私は考えております。
  51. 井上良二

    井上委員 大事な質問のときに政府委員が一人もおらぬというのはけしからぬ。政務次官はどこへ行つたのですか。それではこれ以上私は質問いたしません。保留しておきます。大臣あるいは政務次官が来たら、この問題で質問します。
  52. 坂田英一

    坂田委員長 政府委員はただいま参ります。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 井上さんからてん菜糖の問題については微に入り細にわたつて質問がありましたので、私は省略したいと思いますが、この法案から受ける印象は、政府の無謀な砂糖政策の犠牲になつた北海道農民に対する救済と申しますか、保護と申しますか、そういう印象を私どもは非常に弱く受けるのであります。このてん菜糖に代表されますことは、局地における畑作物という点に非常に私は問題があると見ております。元来政府の施策を見ておりますと、いわゆる水田等につきましては、遅ればせながらいろいろな立法化が行われておるが、いわゆる畑地農業というものに対して系統的な、そして一貫した政策がない。特にこの畑地農業から生産される農産物は、国際的な関係が非常に強い。従つて政府の施策が一度当を失しました場合には、その受ける打撃がきわめて深刻である。こういうことが概念的に見て私は言い得ると思うのであります。その一つの事例として、先年来政府砂糖政策をあやまつて、内地の農作を圧迫し、北海道のばれいしよ作を非常なる窮地に陥れた。それと同時に北海道のてん菜農業に対して、致命的な打撃を与えたのであります。これは北海道のみならず、九州なり、あるいは四国、中国の一部地帯における白下砂糖工業に対しても非常な深刻な打撃を与えたことは、政府は御存じのことだと思いますが、この問題に関連して、問題はきわめて局地的でありますが、てん菜糖の問題を取上げる以上は、当然政府砂糖政策の犠牲になつた、いわゆる四国、九州、あるいは中国地方におけるところの白下砂糖工業というものに対して、私は当然一貫したところの施策が講じられなければならぬという印象を強く持つのであります。特に申し上げたいことは、この白下工業は、大会社が大きな施設をもつて工業をやつておるのではない。農家あるいは部落組合、あるいは協同組合がわずかな資本を持ち寄つて白下砂糖工業をやつておる事実は、先刻御存じの通りである。それに対しては何ら救済の手が伸びていないということは、私はこの問題と関連して非常に重大な問題だと思う。その点について政府はこの法案がかりに成立した場合において南国地帯におけるところの白下砂糖工業に対して、いかような保護ないしは助成についてのお考えを持つておいでになりますかということを、特に私はお伺いいたしておきたいと思います。  それからこの法案を見ますと、いわゆる当該地方行政庁が一つ生産計画というものを立てる。その立てたものに対して、農林大臣が判断をして、生産振興のための補助金を交付する、こういう構想のようであります。これは一種の農家の自家調整である。いわゆる官僚的な、天くだり的な作付規制ではなくして、これを逆に農家の立てたものを地方行政庁がやる。その地方行政庁の妥当と認めたものを農林大臣審査して、一つ生産奨励金を流して行くということは、とりあえず自治統制である作付に対するところの一つ調整をお認めになつたことになる意味において私はこの法案の重大な意義があると見ております。私は井上さんと観点をかえまして、生産農民が市場変動や、あるいは国際生産物の流通状態等、いろいろの点を予測して、たとえば政府がやつておる農業監察制というものを一つ考えかたにおきまして、農家あるいは協同組合、または地方の行政庁が一つの作付の自主的な調整を講じ、そうしてそれに必要な施策を政府に対して要望し、その裏づけとしての予算の必要が生じたときには、これを拒否する何らの理由もないと思う。その点について政府の所見はいかがでありますか、この点をお伺いいたしたいと思います
  54. 東畑四郎

    東畑政府委員 第一の御質問の白下糖の問題でありますが、この法案には実は関係なしに砂糖輸入量がだんだんと緩和いたしまして、価格が下落をいたしました上に、砂糖不足によつて非常に増加いたしました南国地常のかんしよ糖が打撃をこうむつたようなことは、私も認めざるを得ないのであります。しかしこれに関連をいたします中小企業の問題が実は相当ございます。これに急激な変化を与えますことはどうかと思いまして、私どもの方でも原料糖を政府で持つておりますので、こういう中小企業保護のために随意契約等をして、わずかでございますが、時々必要に応じて払下げをいたしまして、この企業の維持をはかりつつあるのであります。根本的に申しますと、なお消費税等において実は相当考慮いたしまして、価格そのものがそう下落をしないということをはかることが必要であり、もちろん砂糖そのものはまた別途の必要性もございますので、砂糖生産農家だけを中心に消費者価格を上げるわけにも参りません。彼此調整をいたしまして適当のところにおちつけているような次第でございまして、それ以上急激な下落をさせるということは、今のところ実は考えていないような次第でございます。
  55. 清井正

    ○清井政府委員 第二の御質問は、作付計画について統制的なことをすることになるのでないかという御趣旨お話のように伺つたのでありますが、本法案におきましては、てん菜糖の問題につきましては、てん菜の局地的な問題というような観点から本法案が成立いたしておるのでありまして、私どもといたしまして、こういつた方式をさらに他の作物等について及ぼすという問題につきましては、畑作物のそれぞれの物資の特性に応じて、ただいま足鹿委員のおつしつたような問題に対しては考えているのでありまして、てん菜糖につきましてとりました措置が、ただちにほかの畑作物に及ぶ前提であるというようには考えていないのであります。それぞれの必要に応じ、それぞれの物資の特性に応じまして、これを考えて行かなければならぬと考えている次第であります。
  56. 足鹿覺

    足鹿委員 それぞれの農作物の特性に応じて考えるべきであるということは、一応ごもつともだと思います。しかしこの法律をすべてに適用するわけではありませんから、私はあえてそのことは申しませんが、一つのこういう基準が、少くとも国の立法として通過いたしました場合には、てん菜糖という一つの作物に対してこういう措置がとられたということも、これは当然国の施策の一つなのであります。従いまして立法的な措置や、いろいろな点は別といたしましても、政府指導方針としてでも、当然こういう作付規制、作付調整というような農民の自主的な、いわゆる調整の自衛手段に対して政府は一応これに共鳴されることは間違いないと思う。これは反対ではない。そうしますと、指導方針としても、そういう方針を他の個々の農作物の問題に対しても、必然的におとりにならざるを得ないだろうということを私は聞いておるのであつて、とられる意思がありますか、とられぬのでありますか、その点がはつきりすればよろしいのであります。
  57. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまのお話の点はごもつともな点があるのでございますが、他の農産物については、普通種子の計画あるいは原種の計画、そういうものをそれぞれ生産者の方が相互に相談をいたしまして、適当に作付の計画を立てる。それに対して国が補助をいたしておるというのは他の作物においても現にございます。それを予算化しておるものもあるわけでございますが、一般的な問題としていたしまして、特に生産過剰のことが問題になるような作物について、個々の生産者がお互いに作付の問題について計画して相談し合うということは、趣旨としては別に問題はないことだと思いますけれども、それについて国家で助成するとかいう問題については、いろいろの場合を考えて、適当と思いました場合においては措置を講じなければならぬと思いますが、ただいまのころは種子計画程度以上のものについては考えていない次第でございます。
  58. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも清井さんの御答弁では不満足でありますが、これは大きな問題だと思いますので、この法案とは直接関係がありませんから、また別の機会にさらにこの法案の成否いかんにかかわらずお尋ねを申し上げたい。本日は保留をしておきます。  これに関連して先刻中馬場委員から菜種油脂の問題について御質疑がありました。しかし大蔵当局と折衝しておるというきわめて簡単な当局の御答弁でありましたので、東畑長官にもう少し具体的にお伺いいたしたいのであります。  まず第一の問題は、最近の菜種滞貨状態は百万俵と言われておるのでありますが、政府菜種滞貨状況についてどう御調査になつておりますか、それをお伺いいたしたい。
  59. 東畑四郎

    東畑政府委員 ひとつ率直に申し上げさせていただきたいと思います。菜種価格支持の問題につきましては、二十八年度予算からこれを実行すべく事務当局としてはいろいろ努力をいたしておりますし、また努力いたしておつたのでありますが、本年度菜種がどうなつておるかということについて、いろいろ前から心配しておつたのであります。最近の機会までは相当市場で売られておつて、そう滞貨はないというふうに聞いておつたのでありますが、ごく最近に百万俵程度滞貨があるという陳情を実は受けたのであります。私自身実は驚きまして、目下どの程度滞貨があるか調査しておるのであります。まだ政府として的確な資料を持つておりませんが数県合せて約百万俵の滞貨があるということを聞いておる次第であります。
  60. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、大体百万俵程度滞貨があるということはお認めになつておられますが、その滞貨ができたために非常に関係者が困つておる。搾油業者はもちろんのこと、農民あるいは農業協同組合が非常に困つておる。またその他の関係者が困つておるということは事実のようでありますが、この滞貨の原因というものは、たとえばその関係者が市況の判断を誤つたための滞貨とお考えになりますか。それとも大豆その他の輸入状態であるとか、菜種油の輸出が思わしくなかつたというような点に原因があるとお考えになつておりますか。これは政府としてこの問題に対処される考え方の基礎になると私は思うのでありますが、ああいうふうな滞貨並びに菜種及び菜種油が値下りになつた原因について、長官はどういうふうに御判断になつておりますか。その点をお伺いいたしたい。
  61. 東畑四郎

    東畑政府委員 根本は油脂そのものが相当国際的にも値が低くて、日本自体におきましても相当多量にできておるということが根本だと思います。従いまして油脂そのものの需要生産に比較して適正でない。その原因はまた国際価格が安いということだと思います。それの一環におきまして、日本菜種生産費の経費が他の農産物に比べてそう安くないために、原料高製品安という一つの形が油脂に現われて来ておる。そういう危険なものなのであります。それが一応農民の希望する価格である程度は売れておつたのでありますが、ある程度に参りますと急激に需要が減つて参りまして、思うように上らない、つまり下落して来たというのが現状であります。従いましてこの原因はいろいろな要素から来ておりますが、油脂界といいますか、油脂事情が一番大きな原因である、こういうふうに考えております。
  62. 足鹿覺

    足鹿委員 油脂事情が値下りなり滞貨をもたらした大きな原因だということと、いま一つ菜種生産費が、国的なこの種の原料費とつり合いがとれないという二つの原因に大体制約されたようでありますが、菜種国内における生産費から割出した、大体の妥当適正と思われる価格は、食糧庁ではいかようにお考えになつておりますか。農林省がことしの菜種の集荷の当初において各地に係官を派遣して、本年の菜種問題については政府も相当強力な御指導をなさつておることは事実であります。そのときに示されたいろいろな事情等も間接的に聞いておりますが、最近の政府のお見込みとは相当狂つておるように思いますけれども、大体昭和二十七年産の菜種の一俵当りの生産費を償う価格を、どの辺に線を引いてお考えになつておりますか。その点もし伺えたらお願いいたしたいと思います。
  63. 東畑四郎

    東畑政府委員 私に対する御質問でありますが、実は率直に申し上げまして、菜種生産費の計算は、米麦と同じようになかなかむずかしいのでございます。本年の春のことで、正確な記憶はございませんが、たしか私が言いましたのは三千二、三百円であろうか、こういうことを実は申したことを記憶いたしております。現実の生産費を農林省としてどう見ておりますかはなかなかむずかしい問題で、私としましてはその当時たしか三千二、三百円ということを申し上げたというように記憶いたしております。
  64. 足鹿覺

    足鹿委員 生産費の問題はそういうふうにお考えになつておつたということですが、最近の状況と比べますと、非常に問題が起きるのでありますが、とにもかくにも非常に滞貨が多くて、生産油の価格変動が非常にきびしいということは事実であります。これに対して、先刻の御答弁によりますと、大蔵省との折衝を始めておるということでありますが、当面の本年産の菜種あるいは菜種油の問題について折衝をしておいでになるのでありますか。来年度予算をお考えになつて、来年度の問題について交渉をしておいでになるのでありますか。折衝の大体の構想についてもう少しお伺いいたしたいのであります。
  65. 東畑四郎

    東畑政府委員 実は農林省としましては来年の問題として考えまして、来年度予算並びに制度を検討しておつたのでございますが、その後ごく最近に至りまして、百万俵程度滞貨があつて、これを救済すること自体が、農民に対する非常に大きな影響になると盛んに陳情を受けたのであります。当時もう補正予算は議会に提出いたしておりまして、本年度の補正予算にはそういうことは考慮しておらないのであります。ただ食管会計でございますので、予備費がございまして、そういうことができないかと思しますれば、政府としてそういう目を設定いたしますればこれは不可能ではありませんので、本年度の問題として解決することが必要とあれば、これを解決することも不可能ではないわけであります。従いましてそういう問題にからみまして大蔵省と話合いをしておるような次第であります。
  66. 足鹿覺

    足鹿委員 政府としては半ば必要とお認とお認めになつから大蔵省と折衝を開始しておるものと解釈いたしますが、緊急の措置として、本年産のものに対して、政府としては緊急措置を講じたい、こういう意図を持つて大蔵省と交渉をしておいでになる、そういうふうに解釈してよろしいのでありますか。われわれこれは非常に及ぼす影響が深刻なものがあるように伺つておりますが、その点もう少し、できうるならば最大限度までお話願いたい。そうして関係方面に安心をさしていただきたいと思います。
  67. 東畑四郎

    東畑政府委員 非常に影響の大きい問題でありますので、それ以上は私としてもまだ申し上げを段階でございません。何か解決の方法はないものかと努力いたしております。こういうことでございまして、それ以上はひとつごかんべん願いたいと思います。
  68. 足鹿覺

    足鹿委員 東畑さんはいつもそういう表現でお逃げになりますが、とにもかくにもこの問題は緊急を要します。そういうジグザグしたことをお考えになつて時期を失しられますと、先刻問題になつておりましたように、ことしの澱粉問題は農民利益せしめたか、澱粉業者を利益せしめたかという問題が起きる。あなた方のおやりになることをとやかく批判をし、そうして攻撃をするという立場ではなしに、もう少し機動性を物事に対して発揮していただかないと、せつかくの施策が死んでしまいます。澱粉がいい証拠ではありませんか。せつかく澱粉に対するところの千八百五十円の買入れ価格がきめられたときには、いもはもう農家の手を離れておる。従つてその結果は、農民を救わなければならないはずの措置澱粉業者に重点がかかる。そしてその結果としては、政府自体の施策が批判の対載にならざるを得ないのでありますから、この菜種の問題等についても、問題がここまで来て明らかになつておる以上は、すみやかに機敏におやりを願わなければ、これはまた死んでしまいます。今農家は来年度菜種を裏作にあるいは表作に、——畑の場合は表作でありますが、再植して行く最中であります。従つて政府がどういう考え方を持つておるかということによつては、農家の作付計画に重大な影響が来る。その時期をまた半月も一月も延べられたら意味をなしません。そこを私は言つておるのです。でありますから、もう少し機敏にやつていただきたいと思うのですが、ひとつ敏速にやつていただけますか。えらいだめを詰めるようですが、もう少しその点について御決意を表明願いたいと思います。
  69. 東畑四郎

    東畑政府委員 御意見は十分わかるのでありますけれども、結論が出ておりませんので、申しにくいのであります。結論さえ政府で御決定になりますれば一潟千里にやります。
  70. 足鹿覺

    足鹿委員 その結論が出ないということは、大蔵省の態度がまだ決定しないので結論が出ない、こういう意味ですか。農林省もへつぴり腰でお当りになつておるようなことでは、これはなかなか片がつかぬと思うのです。相当確信のあるようなお言葉もあつたようでありますが、その問題はある一つの方途を講じたいという気持でもつて大蔵省と折衝しておるが、まだ問題が解決しておらぬ、こういうふうに解釈していいのですか。これは早くやつてもらわないと役に立たぬですよ。
  71. 東畑四郎

    東畑政府委員 来年度予算等にからみまして、本年度予算ににつきましては、米の供出その他が成績がいいものでありますから、資金そのものが非常にいるわけであります。従いましてそういう問題にからみまして、問題は菜種作を安定し、現実の問題を解決する方法として、買うにしましても買う時期をいつにするか、あるいは方法をどうするか、価格をどうするかという技術問題について、農林省としての決心がつきませんことには、実に強い交渉もできないものでありますが、政府としてまだ決定していないのであります。この決定ができますれば、大蔵省との交渉ももつと事務的に進めたい、こういうふうに考えております。
  72. 足鹿覺

    足鹿委員 それはいつごろになるお見込みですか。まだ農林省自体が腹がきまつておらぬようなお話でありますが、これ以外にまだ御研究になる余地があるのですか。来年度予算も本年中に内示もあるやに仄聞しておりますが、大体そのころに対策がきまつて行くのだ、そういうふうに解釈していいのですか。別な機会に詳しく聞いてもいいのですが、せつかくの機会ですからお伺いしておきます。
  73. 東畑四郎

    東畑政府委員 率直に申し上げますと、本年度予算におきまする補正予算は、資金的に非常に苦しいのであります。従いまして新しい品目についてこれを買うという場合に、相当慎重な検討をいたしませんと、金が足らなくなる危険性が非常に多いのであります。従いまして、ものを買う時期は遅れましても、買うということを政府がきめ、その金利、倉敷等を見ますれば、一向にさしつかえないのでありますから、従いましてその引渡しのころを十分検討いたしまして、現実に菜種価格が安定し、油脂が安定し、農協そのものが不安がなければいいのであります。そういう技術問題をきめました上で解決したいと思つておるのであります。従いまして資金が足りないということがわかつてつてこれを買うということは、無謀でありますので、その点を慎重に検討した上で決定したい、こういうのが真相でございます。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 大体気持はわかりましたので、これ以上お伺いすることは本日は差控えたいと思います。さしあたつての大体の構想については承りましたが、その構想としては滞貨処理するという大体の方向によつて考えになつておるようでありますが、それはあくまでも当面の対策であります。来年度におきましても、できたものに対するところの対策にすぎない。従つて将来の大体の見通しについてこの際伺つておきたいと思います。来年度における油脂関係について、政府としてはどういう見通しを持つておいでになりますか。最近伝え聞くところによりますと、ブラジルから大豆が非常に安く入つて来ておる。しかもその品質が相当優秀であつて、業者関係は、内地産のものを使うよりも搾油度が非常に良好である。またその他の大豆を原料とする加工品をつくつで行く場合にも、内地産のものを使つたよりも有利である。この問題を非常に心配しておる向きもありますが、そういう点について、油脂関係の需給の見通しをどういうふうにお考えになつておりますか。これは先刻もちよつと申し上げましたが、政府が予定しておられたか、どなたが予定しておられたか存じませんが、とにもかくにも海外への輸出を考えておつた。ところがそれが停頓したということも値下りの非常な原因であるように私どもは承知をいたしております。そういたしますと、非常にこの国際性が濃くなつてつておるのでありまして、そういう点について、少くとも、今後の方針としては、できた結果に対してこうやく張りの対策をしよつちゆう講じておつてもいたし方がありませんが、輸出の対策につきましてはどういう対策を持つておいでになりますか。需給の見通しはどういう見通しでありますか。その問題に立脚して国内におけるところの業種の作付の調整の問題というような点については、どういうふうにお考えになつておりますか。それらの大体の構想が御説明願えるならば、この機会に承つておいて私の質問を打切りたいと思います。
  75. 東畑四郎

    東畑政府委員 油脂はことに代替性の強いものでありますが、日本で一番関係の深いものは大豆と菜種でございます。大豆と菜種を通しまして油脂そのものの輸入というものは非常に多く参つておる関係上、製品の価格は非常に安定といいますか、値下りをいたしておるのであります。これの原料であります大豆、菜種等は、敗戦以来非常に不足をいたしておりましたために、非常に値が高かつたのであります。ほかの農産物に比べまして、大豆、菜種等は比較的高かつたのであります。それが油脂そのものが安定をいたしましたために漸次下落をいたしまして、ほかの農産物とだんだんに均衡を得て来たというのが現状になつております。ある程度これが安定いたしましたときに、それ以上下りましたときは政府としても何らかの価格支持政策がいるのじやないか、こういうふうに実は考えております。菜種等が現実にそういう事態になつて参つたのであります。油脂そのものにつきましては、われわれはこれを内地の農業を圧迫するほど多く入れるという意図はもちろんありませんが、国際商品でありますので、実はだんだんと下つてつております。菜種等につきましても、従つてある程度政府の支持的なものがありませんと、これはまだまだ原料としては安くならざるを得ない作物じやないか。このことは次の国会におきまして、関税法の改正その他について十分資料を出しまして御検討をお願いしたい、こういうふうに考えております。
  76. 井上良二

    井上委員 本案審査についてぜひひとつ政府から出してもらいたい資料があります。これは委員長お話では、大体明日採決をしたいような御意向でございますから、たいへんどうも時間が差迫つておりまして、資料提出は困難かもわかりませんけれども、一つ砂糖を百万トン輸入いたしました場合の市場価格はどのくらいの見通とか、それによりましててん菜糖の買入れに伴う財政負担はどれだけふえるかということであります。といいますのは、この法案は約十箇年を限度にした法案でございますので、将来の砂糖需給いかんによりまして、砂糖価格の変動によつて国家財政支出がかわつて来ると思います。だから、砂糖価格が下落をいたしました場合は、当然国家負担が多くなると思いますから、そういう一つ見込みを明確にされて、百万トン輸入が達成されました場合の市場価格の大体の見通しはこう、その場合のてん菜糖国家財政支出はこのくらいになる見込みだという資料をお出し願いたい。  その次は、てん菜糖を買い入れる場合の最低生産者価格、同時にてん菜糖の買入れ価格をきめる場合の算定の基礎になつている資料、それからいま一つは、てん菜糖を買い入れる会社の考課状といいますか、それをひとつお出しを願いたいと思います。
  77. 坂田英一

    坂田委員長 芳賀君。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 てん菜生産等に関する法案提出された機会に、政府に対して、国内の糖業政策に対してどういうふうなお考えを持つておるかということを、若干お伺いしておきたいのであります。  最近における砂糖の需給関係を見てみますと、輸入が大体六十万トン、てん菜糖を中心とした国内砂糖が三万トンということであつて国内の産糖率は全体のパーセンテージの五パーセントくらいにしかすぎないのであります。こういうような状態において、政府は、一面においては、食糧需給促進法というものをつくりまして、五箇年間に千七百五十万石の増産をするということを言つているわけでありますが、この砂糖国民生活に占める重要度は決して軽く考えてはならないわけであります。特に北海道におけるてん菜糖の歴史は、先ほど足鹿委員の申しました通り、まつたく農民の一方的な犠牲のみによつてささえられて来た歴史を持つているわけなのであります。戦争中を通じ、あるいは戦後といえども、ここ一、二年を除いて、このビート耕作に対しては、国が一つの権力的な耕作割当をして、たとえばビート耕作は、農家経済の上からいつて採算が成り立つても成り立たぬでも、国の要請によつて耕作しなければならぬのだという権力的な耕作をさせて来たわけであります。そうして現在において外国から非常に割安な砂糖輸入できるということだけで、今後の北海道を中心とした国内製糖に対する方針をまつたく豹変するということは、今後の国の独立の上からいつて砂糖政策がどの程度の重要度であると政府考えておるかということであります。先ほども二十七年度のビートは、原料を三千円で買い上げて、砂糖は五千六百円で買い上げるというようなお話がありましたが、価格支持政策という観点からいつて、恩恵を与えるような意味における買上げの態度であるか、今後国内における砂糖生産を増強するための迎え水というような形におけるところの、積極的な意図を持つた買上げ方針であるかということを、お聞かせ願いたいのであります。  それからまた現在のように、政府が対米一辺倒の形で行く場合においては、この自由圏内からの砂糖輸入は何ら不安がないかもしれないけれども、われわれが完全独立国として今後この国の農業を確立して行く場合においては、どうしても国内における砂糖生産度を高めることが重大な政策となつて来ると思うのでありますが、こういう国内における糖業増産に対して、政府は、どういうふうな恒久的な考えを持つておられるかということを聞かせていただきたいのであります。  それからこの法案は共同提案でありますが、共同提案なるがゆえに、この法案が通過した場合に考えなければならぬことは、あくまでもこれは国内における砂糖生産度を高めることが大きな目標になつておるわけでありますが、そのためには、それに最も勤勉と協力を惜しまないところの農家の農業経営の面からいつても、ビートをつくることが経営上採算が成り立つのだという安心感を前提として、この法案をわれわれは提案したようなことでありますけれども、ただ問題は、原料ビートだけですぐ砂糖になるのではなくて、その製造過程、いわゆる私企業の特定の会社によつて加工されるという段階を経ることになるわけであります。そういう場合においてこのウエイトは、会社利潤をまず前提として保護して行くことが法案の精神になるか、あくまでも砂糖生産を高めるという意味における農民経済の上に安定感を与えるために、この原料の買入れ価格に重点を置くかということによつて、同じこの法案が通過した場合においても、現われる現象は非常に異なつて来るわけであります。先ほど井上委員もこういう点を心配されて、繰返しての発言であると私は考えておるわけであります。この法案の持つておる精神は、将来国内における砂糖生産度を高めるところに究極の目標を置いて、その段階としては局地における耕作農民利益を守り、それに付随して会社も公益的な糖業の政策に協力する意味においてこれをやつて行くことに、この法案が通過した場合においても運用されなければ、まつたく死んでしまうようなことになるわけであります。以上今後における糖業政策に対する政府考え方と、この法案が通過した場合における運用の精神をどこに置くかという点について、お答えを願いたいと思うのであります。
  79. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま本法案通過後における方針についてのお尋ねがございましたが、これは東畑長官の方からお答えなさるのが適当かもしれませんが、現在砂糖需要量に比較して、てん菜糖生産数量はほんのわずかなパーセンテージしかないことは御承知の通りであります。しかしながら戦後わが国の特殊事情に基きましても、乳幼児、病人、妊産婦、薬用等、どうしてもなければならないという砂糖の必要量あるわけでございますので、私どもは総需要量に対する内地てん菜糖生産がいかに少くとも、最少限度と申しますか、できる限り需要国内でまかなうようにして行きたいという根本的な考え方にはかわりはないのであります。しかしながらあまりにも数量が違いますので、全部国内生産によつてまかなうことはできぬわけでありますので、われわれとしても、適地に適作と申しますか、将来てん菜糖増産をはかつて自給度を少しでも高めて行きたい、こういうふうに思つておるのであります。従いましててん菜生産者に対しては、将来作付面積を逐次増加いたしますとともに、優良な品種を輸入し、あるいは優良品種の原採種圃等を普及いたしまして、できるだけ反当収量を増加して行く、それとともに品質を改良して、いわゆる歩どまりを増加いたす、こういうような方策をあわせ講じて参りたいということは、先ほど御答弁申し上げたのでありますが、要するにてん菜生産農家に対しましては、今後できるだけ作付面積を増加し、あわせて反当収量と歩どまりを逐次増加いたしますとともに、所要の経済的な支持を与えて参りたいと考えておるのであります。一方また生産量の増加、工場の能率化等によりまして、たといてん菜の買入れが千斤三千円といたしましても、先ほど東畑長官より御説明申しました通り、この原価計算につきましては、所要の経買を十分査定いたし、あるいは他の製糖会社経費等を勘案いたしまして、原料てん菜価格とともに生産されたてん菜糖価格をきめて参りたいと考えておりますので、私どもの考え方といたしましては、できるだけ自給度を高めるという意味におきまして、将来のてん菜生産を増強いたす方向に参りますとともに、農家に対しましては、補功金の交付等によりまして、てん菜糖の増加を期し、品質の改良を期して保護、奨励策を講じて参りたい、かように考えておる次第であります。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀委員 価格をきめる面において、砂糖に対してはその生産コストを十分に計算して、会社が損失が起きないようなことはできると思いますが、問題は一番基本をなすところの原料価格をきめる場合において、先ほど当局の御説明もありましたが、今年の原料の買入れは、千斤三千円ときめておる。それから今年は平均反収が大体二千九百四十斤ぐらいあるので、その捨てる茎葉を入れれば大体一万円近いくらいの価格になるだろうというようなお話でありましたけれども、二千九百四十斤というものは、これは今年は幸いにして北海道におけるビートの成育が非常にいいので、平均反収は二割くらいは増産になるだろうと思うわけでありますが、そういう場合においてこの二千九百四十斤くらいの数字が出るのであつて、今までにおける北海道の平均反収は大体二千五百斤程度を上下しておるような状態であります。特にその原料になる部分を除いて葉やなんかまでも価格に入れてこれだけになるという計算は、これはどうも非常に官僚的なやり方でありまして、これも換算すれば値があるじやないかというような計算が常に行われておる。こういう点にわれわれは非常に大きな心配を持つておるわけであります。ビートの耕作はばれいしよなどの耕作と違いまして、所要労力の点からいつても、栽培技術の点からいつても、五割くらいはよけいかかるわけであります。そういうようなことを厳密に考えた場合におきまして、今年の買上げ値段である三千円というものが、はたして生産費を償うことが出来る線に近い数字であるかどうかということについても御意見をお伺いしたいと存じます。  おなこれに関連いたしまして、最近重要農産物に対する価格支持の問題が出て来ておるわけであります。今年度買上げを行われた澱粉価格に一応論及してみますと、今年度は昨年度よりは早期に価格をきめて買上げを行つたということは、確かに昨年度よりはよかつたかもしれませんけれども、昨年よりも買上げの値段を下げたいという点について、長官からその理由をお聞かせ願いたいと思うのであります。昨年度はかんしよ澱粉は十貫目二千円、ばれいしよ澱粉は十二貫二千五百円が基本価格になつておつたわけでありますが、本年度はかんしよ澱粉が千八百五十円、ばれいしよ澱粉が二千三百二十円というふうに、買上げ価格が非常に下つておるわけであります。これはもちろん国内における需給関係等を見ての算出かもしれませんけれども、少くとも昨年度よりも諸般の経済情勢が、米の買上げ値段等においても上まわつておることを考えた場合において、政府価格支持を行つて、ある数を買上げるような場合において、毎年のように一定の根拠のないような方針で買い上げるということが、はたして農業生産を育成するための価格支持政策であるかどうかということにも疑いを持たなければならぬわけであります。そういう点について長官から、十分具体的な説明を聞かしていただきたいと思います。
  81. 清井正

    ○清井政府委員 最初の御質問てん菜の反当収量の問題でありますけれども、先ほど井上委員の御質問に対してお答え申し上げたのでございますが、ばれいしよ、大豆、小豆等の他の作物の粗収入と比較いたしまして、三千円ぐらいが適当であるというように押えたという趣旨の御答弁を申し上げたのであります。そのときにも御説明申し上げましたが、粗収入でありまして、生産費がどのくらいかかるかということは非常に実はむずかしい問題であります。ただいま計算を持つておりませんけれども、てん菜につきましては、その生産費が他の作物よりも相当かかるということは想像できることだと思います。そういう問題を彼此勘案いたしまして、三千円程度が妥当であるというように判定をしたのでございますが、その際の反当収量として二千九百四十斤という数字を申し上げたのであります。その数字がはたしてどうなるかという御質問であります。なるほどお話の通り二千九百四十斤と申しますのは、本年の成績で相当いい反収であることは事実であります。過去数年間は相当低い反収でありますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、優良品種の普及なり、優良原々種を確保することによりまして、反収を漸次向上して行くという政策をとつて参りたいと思つております。過去の一番多い反収は御承知の通り昭和九年に四千斤でありますが、その他それに近い数字を示しておる年もあります。相当高い数字が過去にございますので、今後私どもが指導奨励に尽力いたしますれば、この二千九百四十斤というものを基礎にいたしまして、来年度、再来年度、その次と逐次反当収量を増加し得るものと考えております。またそういう方向で私どもは指導奨励して参りたいと考えております。従いまして反収の増加によりまして、あるいは面積の増加によりまして、当然その分だけ生産額といたしましては収入増になりますので、そういう面から申しますと、てん菜生産につきましては利益がある程度確保されるというように考えております。
  82. 東畑四郎

    東畑政府委員 私に対しての御質問は、澱粉といいますか、いもの価格を下げたのはどういうわけかという御質問であつたと思います。昨年は実は買上げる時期等が非常に遅れまして、端境期にこれを決定したのであります。本年は先ほどもう少し早くすればいいのではないかというお話がありましたが、昨年に比べますと、でき秋前に決定したのでありますので、その間における金利、倉敷等を相当織り込んでおります。従いましてこれを端境期まで持つて参りますと、政府が今回とりましたものよりもう少し高くなるということになりまして、昨年決定いたしましたのとほぼ近くなるというように実は考えております。かんしよ、ばれいしよそのものを買い上げることは技術的にはなはだ困難であります。製品で買い上げるという形をとつておりますのはかんしよ、ばれいしよそのものの価格安定にはたしてどうかという御質問があつたのでありますが、現実から申しますとやむを得ないのじやないかと考えております。あとは金利、倉敷等を織り込みまして、なお企業そのものの合理化もはかりたいということの計算をいたしたのであります。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 澱粉買上げにつきましては、政府は一応昨年の六月において一千万貫の買上げ計画を持つたと思いますが、これは幸いにして一貫匁も買わなくて済んだと私は記憶しておるわけです。そういう点から考えた場合において、澱粉買上げについては本年度は四百二十万貫の買上げを一応食管会計にも織り込んであるように見ております。長官の今の御説明は表面的には合理的に聞こえますが、去年のような価格で買い上げた場合においては、去年と違つて相当の数量を買い上げなければならぬという場合において、赤字が大きく出ては困るという用心深い考え方から、買上げの値段を下げておけば、市場とあまり差のないような程度でぼかしておけば、またそう買上げをしなくても済むような結果になるのじやないかという深慮から出発して、値段をまず下げたというふうにも私たちは考えられるわけであります。価格支持の精神は、食管会計から赤字を出したら困るというような用心深さから出発するのではなくて、農業生産維持育成する意味において価格の下落に対しての保障を与えるというところに価格支持の政策の精神があると思うわけでありまして、これは私の長官に対する邪推かもしれませんが、もう一応その精神のほどを聞かせておいてもらいたいと思うのです。
  84. 東畑四郎

    東畑政府委員 考え方につきましては私ちつともかわつておらいのでありますが、方法といたしまして、政府特別会計農民の組織と両々相まつて価格安定を考えるのが一番よいのではないか。従いまして農業協同組合でありますとか、農民の希望する組織がある程度共同販売をいたしました場合において、政府はそれの金融的措置をいろいろ考慮することによつて価格安定をはかる、そして農家自身が農産物価格なり販売について利益を持つということを基盤にいたしまして、その上に政府特別会計がこれを支持して行く、従いまして、政府は全部これを買うのではなしに、農協その他がある程度価格安定をはかつた上の残りを買い上げて行く、そういうことによつて金融もつくでありましようし、価格安定もできるであろうというのが今考えておる澱粉買上げであります。ただ予算がいりますので一応予算上数字をあげたのでありますが、これにとらわれておるわけではありません。もつと率直にいえば、そういう前提のもとになお価格が安定いたしません場合には、無制限に買上げをするということを申し上げてちつともさしつかえないのであります。
  85. 坂田英一

    坂田委員長 残余の質疑次会にこれを行います。明日は午前十時から委員会を、午後一時から大蔵委員との連合審査の予定でありますから御了承願いたいと存じます。本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十八分散会