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1952-12-11 第15回国会 衆議院 農林委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十一日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 野原 正勝君 理事 原 健三郎君    理事 平川 篤雄君 理事 足鹿  覺君       青木  正君    秋山 利恭君       大島 秀一君    高見 三郎君       中馬 辰猪君    寺島隆太郎君       松野 頼三君    村松 久義君       金子與重郎君    高倉 定助君       中村 寅太君    川俣 清音君       中澤 茂一君    芳賀  貢君       山本 幸一君    中村 英男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     川田 三郎君         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官         (大臣官房官房         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         林野庁長官   柴田  栄君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君  委員外出席者         議     員 平野 三郎君         日本電信電話公         社施設局施設部         長       米沢  滋君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十二月五日  委員寺島隆太郎辞任につき、その補欠として  廣川弘禪君議長指名委員選任された。 同月八日  委員平川篤雄辞任につき、その補欠として大  麻唯男君が議長指名委員選任された。 同月十日  委員廣川弘禪君及び大麻唯男辞任につき、そ  の補欠として寺島隆太郎君及び平川篤雄君が議  長の指名委員選任された。 同月十一日  平川篤雄君が理事補欠当選した。     ————————————— 十二月六日  飼料需給調整法案井上良二君外七名提出、衆  法第四号)  狩猟法の一部を改正する法律案平野三郎君外  十三名提出衆法第五号) 同月十日  杉原村神通を国営採種地として指定の請願(内  藤隆紹介)(第五四四号)  菓子用砂糖随意契約による売却制度廃止に関  する請願辻寛一紹介)(第五八〇号)  荒茶粉引撤廃に関する請願外二件(佐藤虎次郎  君紹介)(第五八一号)  国有林野整備臨時措置法の一部改正に関する請  願(森田重次郎紹介)(第五八二号)  蚕業技術指導強化に関する請願生田和平君紹  介)(第五八三号)  同(石田博英紹介)(第六〇八号)  同(笹山茂太郎紹介)(第六〇九号)  同(飯塚定輔紹介)(第六一〇号)  同外一件(鈴木直人君外二名紹介)(第六一一  号)  同(山崎猛紹介)(第六一二号)  同(小平久雄紹介)(第六一三号)  同外二件(岡部周治君外三名紹介)(第六一四  号)  同(福永健司君外六名紹介)(第六一五号)  同(小川豊明紹介)(第六一六号)  同(並木芳雄紹介)(第六一七号)  同(渡邊良夫君外一名紹介)(第六一八号)  同(大森玉木紹介)(第六一九号)  同(吉江勝保君外一名紹介)(第六二〇号)  同(小川平二君外三名紹介)(第六二一号)  同(井出一太郎君外二名紹介)(第六二二号)  同(小坂善太郎君外二名紹介)(第六二三号)  同(植原悦二郎君外二名紹介)(第六二四号)  同外一件(平野三郎紹介)(第六二五号)  同(高見三郎紹介)(第六二六号)  同(久野忠治紹介)(第六二七号)  同(河野金昇紹介)(第六二八号)  同(江崎真澄紹介)(第六二九号)  同(濱地文平君外一名紹介)(第六三〇号)  同(森幸太郎紹介)(第六三一号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第六三二号)  同(堤康次郎紹介)(第六三三号)  同(堤ツルヨ紹介)(第六三四号)  同(佐治誠吉紹介)(第六三五号)  同(甲斐中文治郎君紹介)(第六三六号)  同(中田政美紹介)(第六三七号)  同(中崎敏紹介)(第六三八号)  同(平川篤雄紹介)(第六三九号)  同(西川貞一紹介)(第六四〇号)  同(高橋英吉君外二名紹介)(第六四一号)  同(長野長廣君外一名紹介)(第六四二号)  同(中村寅太紹介)(第六四三号)  同(平井義一紹介)(第六四四号)  同(山崎巖紹介)(第六四五号)  同(坂田道太紹介)(第六四六号)  同外二件(松野頼三君外三名紹介)(第六四七  号)  同(中馬辰猪紹介)(第六四八号)  農林漁業組合再建整備強化に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第五八四号)  砂糖行政改正に関する請願辻寛一紹介)  (第五九九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  肥料に関する小委員会において参考人招致に関  する件  小委員会設置に関する件  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫時  措置に関する法律の一部を改正する法律案(中  馬辰猪君外二十六名提出衆法第三号)  狩猟法の一部を改正する法律案平野三郎君外  十三名提出衆法第五号)  農地林野使用又は収用に関する件  農産物の運賃に関する件     —————————————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより農林委員会を開会いたします。  念のため御報告いたします。去る十二月六日、井上良二君外七名提出飼料需給調整法案及び平野三郎君外十三名提出狩猟法の一部を改正する法律案が本委員会に付託になつております。右御承知おき願います。この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。平川篤雄君が一時委員辞任されておりましたので、理事が一名欠員となつておりましたが、同君は再び農林委員選任になりましたので、委員長において平川篤雄君を理事に御指名いたしたいと思いますが、柳異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。よつて平川君は理事選任されました。     —————————————
  4. 坂田英一

    坂田委員長 次に小委員補欠選任についてお諮りいたします。委員の異動に伴い、畜産に関する小委員ニ名欠員になつておりますので、この補欠委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。それでは寺島隆太郎君及び平川篤雄君を畜産に関する小委員指名いたします。     —————————————
  6. 坂田英一

    坂田委員長 次に小委員会設置の件についてお諮りいたします。昨日の理事会において御協議を願いましたように、林業に関する諸般の問題を調査するため小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。  なお小委員の数、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めまして、追つて公報をもつて指名することにいたします。     —————————————
  9. 坂田英一

    坂田委員長 この機会農林大臣よりごあいさつをいたしたいとの申出がありますので、これを許します。廣川農林大臣
  10. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 このたび農林大臣に任命されましたが、皆様方の御協力を願いまして日本農業の進展のために協力いたしたいと思う次第でございますが、すでに今国会におきましては、前農林大臣より農林省の方針並びに農林大臣として所信を鮮明されておるはずであります。わが国の農林は、単に大臣が更迭したからといつて即座に大きな線をかえることのでき得ないことは、農林水産業にごく御堪能な皆様方においては御明察いただけると思う次第であります。要するに、農業はこれという一つのきめ手のあるものではないのでありまして、すべての総合されたものの上に立つのが農業でありますので、一つ一つを検討いたし、地道にそれを行つて行くことが一番大事なことであります。その大要は、すでに前農林大臣が鮮明いたされましたから、私はこの前農林大臣意向を受けて立ちたいと思う次第であります。ただ私たちは、この日本の独立と同時に自立をする場合に、経済基礎をなすものは農業であるということを、いつも念頭に置いているようなわけであります。日本の遅れた鉱工業技術と、磨滅し使用にたえないような鉱工業機械をもつて海外の貿易を先とすることが非常に困難であることは、われわれと直接関係のあるあの肥料において見てもわかるのであります。海外市場においていかにみじめな状態を呈しておるかということは、先刻皆さんが御存じの通りであります。単に肥料のみではなく、その他の鉱工業生産品が、海外において海外市場に真に商品としてこれが雄飛できるかどうかということは、非常に問題であるのであります。その場合に四億数千万ドルに達する外貨を使いまして、食糧を購入することは日本経済自立基礎をゆるがすものであるという信念にはかわりはないのであります。でありまするがゆえに、あくまで日本農業繁栄をはかり、国内消費において、過渡的な鉱工業生産を吸収し得る程度に農業繁栄させなければ、日本経済が非常な不安定を招くであろうと思うのであります。特に物資の非常に豊富な、しかも機械が発達しておるアメリカにおきましても、あの大生産をいたしながら、国内消費にほとんど大半を向けて輸出は非常に少いのでありまするが、このくらいに全人口の半分を持つておる農業繁栄させることが、国の経済繁栄をなす元であると考えますので、農業に対しましては諸君とともに全力を尽して行きたいと思つておる所存でございます。さような見地からいたしまして、われわれは全力をあげる意味においてあらゆる努力をいたすのでありますが、単に政府の力のみではでき得ないのでありまして、国民の代表であらせられる皆様方が協力一致いたしまして、われわれを御支援願わなければでき得ないのであります。どうかその意味におきまして、日本経済自立日本繁栄のために皆様方の格段の御努力をお願い申し上げる次第でございます。
  11. 坂田英一

    坂田委員長 次に農林水産業施設災害復旧事業国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き審査を進めます。本案に関して御意見または質疑のある方は発言を許します、青木委員
  12. 青木正

    青木(正)委員 本案につきましては質疑、討論を省略して、ただちに採決あらんことを望みます。
  13. 坂田英一

    坂田委員長 ただいまの青木君の動議に御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 坂田英一

    坂田委員長 異議なしと認めます。  これより農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。本案に賛成の諸君起立を求めます。     〔総員起立
  15. 坂田英一

    坂田委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 坂田英一

    坂田委員長 異議なしと認めましてさようとりはからいます。     —————————————
  17. 坂田英一

    坂田委員長 次に農地林野使用又は収用に関する件につきまして調査を進めることにいたします。本件につきましては駐留軍による接収の問題が大きな問題になつておりますが、なおこのほかに電柱の敷地の問題もあわせて調査を進めることにいたしますから、あらかじめ御了承を願います。  それでは駐留軍による農地接収問題について調査を進めます。足鹿君。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 私は農地局長接収地の問題並びにそれに関連する土地問題について二つお尋ねをいたしたい。  第一の問題は山梨県南都留郡忍野村字忍草における問題であります。これは問題の発生の当時から簡単に申し上げますと、駐留軍演習場の附近にある六町歩ばかりの土地であります。これは農地改革当時富士山麓電鉄会社が所有をいたしておつて鉄道施設関係から鉄道の駅を開設するという理由その他をもつて不在地主であつたにもかかわらず買収から除外の取扱いを受けておる。ところが駅もつかない、鉄道の敷設も進まない。また会社が述べておつた温泉鑿掘による遊覧地帯の問題もそのままになつて、何ら今日までなされておらない、買収除外理由一つも今日まで実現しておらないままに、その会社との間に従来の耕作者は引続いて耕作をしておつた。ところが御存じのように最近富士山麓駐留軍演習場として使用されており、そのごく近くにあります関係上、いろいろこの地の利用の問題については目をつけておる人々がたくさんあつたようであります。それに対して会社農地法の趣旨を全然無視いたしまして、耕作民無断でもつて赤線区域施設を最近そこに進めつつあり、関係住民は非常に驚いて、その不当なることを主張し続けておりますが、裁判にかけまして先日これに対して仮処分の立入り禁止をやつた。しかも従来仮処分の場合には、その土地生産されておるものに対しては、特別な措置でもつて収穫を許すことが大体今までの慣例のように聞いておるにもかかわらず、収穫物にも全然手をつけさせないために、せつかく植えつけたものは全部立ちくされのままに放置されておる、こういう状態になつておるのであります。たまたま参議院の基地周辺地域における文教上の問題で矢嶋議員現地を御視察になり、そしてこの問題が取上げられるに至つたことを私も聞いておるのであります。かような事実は駐留軍の直接の使用の問題ではありませんが、駐留軍関係を目標にいたしまして、附帯施設としていろいろそこで農地問題の発生しておるということは、全国にもいろいろあるそうでありますけれども、このような悪質な事例はかつてないように私どもも承知するのであります。第一不在地主でありながら、買収をのがれておりながら、さような措置をすること自体が農地法にもとつておるということが一つ。もう一つは、かような重大な、農地法の精神をまつたく無視蹂躙しておるようなことについて、農地局長御存じつたかどうか。今までこの事実について何らかの御調査をなさつて、いわゆる赤線区域問題等もあわせて御検討になつたことがあるでありましようか。今後全国的にもかようなことは相当頻発するのではないかと私考えるのでありますが、その実情についてはいかように御調査になつておりますか、お伺いいたしたいのであります。
  19. 平川守

    平川政府委員 私はただいまお話のありました具体的の土地については、まだ報告を受けておりません。ただお話のように駐留軍施設周辺においてそういう問題が起りがちであることは前々から承知いたしておりまして、場所によりましてはそれが早くわれわれの耳へ入りまして、農地法の建前からいたしまして、農地を壊廃する問題として、そういう施設をいたすことをさしとめたような例もあるのであります。従いましてお話のようにその実情をよく調べまして、農地を壊廃することについての農地法制限規定がございますから、これを運用すべき場合には運用いたすつもりであります。なおお話地区については、買収その他について非常に特殊の事情があるようでございます。この点についてはなお調査いたしまして、耕作者が不当に不利益を受けることのないように措置をいたしたいと考えます。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 御調査を願うそうでありますが、そうしますと今までまだその地区に対しては御調査なつたことはない、速急に現地等について御調査をいただいた上で、適当な御処置を講じていただくというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  21. 平川守

    平川政府委員 そう処置いたします。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 なおこの機会に、いま一つ駐留軍関係につきましてお伺いしておきたいのは、兵庫県の青野原という元陸軍演習場がありまして、その地帯が一時駐留軍演習場候補地となり、関係当局との間にその契約がなされた。しかし途中で計画が変更されて、現在は保安隊演習場使用されておる。ところがその地区には、学校を初め結核療養所があり、また周辺農民はこれを開拓すると同時に、百数十戸の入植農家もある。にもかかわらず、その演習場の中のところが使用されておる関係上、療養者は砲声とか混雑によつて療養を妨げられ、また教育上にも、学校施設が非常に近所にあるために支障を受けておるというような点で、今現地では非常に問題になつておるのでありますが、この実情についても当局としては御調査なつたことがあるでありましようか。その事実をお尋ねいたしたいのであります。
  23. 平川守

    平川政府委員 青野原につきましては、若干の調査をいたしております。お話のごとくこれは旧陸軍演習場でありまして、終戦後駐留軍接収されておつた地区でございます。ただこの地区は、お話のように現在駐留軍は使つておりませんで、保安隊の方で使用しておるという状況にありますので、この地区を今後引続き駐留軍使用せしむべきかどうかということについて、ただいま合同委員会相談をいたしておるのであります。私ども主張といたしましては、保安隊のみに使わせるのであれば駐留軍使用地区としては解除してもらいたい、そしてあらためて保安隊をして使用せしめることが適当であるかどうかを、日本政府部内において相談することにいたしたい、こういう主張をいたしておるのでありますが、先方としては部隊の朝鮮への移動等関係もあるので、ある程度予備的にとつておきたいという意向を持つておるのでございます。この地区につきましてはそういう状態でありまして、駐留軍側との折衝がまだきまらない段階にあり、われわれとしてはできるだけ解除してもらいたい、かように考えております。
  24. 坂田英一

  25. 中村寅太

    中村(寅)委員 私は、福岡県の芦屋飛行場拡張並びに試射場設定に伴いまして、農作物にいろいろ大きな被害を与えている実情が生じておるのでありますが、この点について二、三質問をいたしたいのであります。大体の経過を申し上げますと、福岡県の遠賀郡の芦屋町並びに岡垣村両町村にまたがつて被害でありまして、筑豊炭田南北に流れている遠賀川河口の左岸に、日本海に面して東西十二キロ、南北三キロの防風保安林飛行場のために切つたのであります。この保安林は約数百年間、あるいは老齢のものは千年以上にも達しているのではないかと言われるような、りつぱな木が立つて防風保安林効用を果しておつたのでありますが、これは当地に残つております古文書を調べてみますと、文久年間時代にお墨つきもあつて、これはその背後にある広大な農地を保護するためのものであるから、一切農民はこの樹木等に手を触れてはならないというような記録も残つておるのであります。これを昭和十四年の秋、戦争中ですが、飛行場としての起工にかかり、十八年に日本軍飛行場としては完成したのであります。ところが昭和二十年の末に、御承知のように国連軍が進駐して参りまして、飛行場として使用して今日に至つておるのであります。さらに昭和二十三年から米軍飛行場として、次々に拡張して行く傾向にあるのでございます。最近になつて町歩以上の射撃場を拡張するために、またこの保安林を切るというようなことになつておるのであります。この伐採に関しては周辺三箇町村農民には何らの相談もなく、切り払われて飛行場にかえられて行くという実情にあります。そのために非常に大きな被害をこうむつておるのであります。一切の防風林効用が消滅してしまつたために、潮風とかあるいは寒冷砂塵等によつて蔬菜果樹あるいは水稲その他家屋、農道等の破損は非常に莫大なものでございまして、現在までにこの三箇町村の約九百戸の農家が約一千町歩にわたる田畑から受けておりまする被害額は、数億に達するような莫大な金額になつております。この状態のもとにありながら、農民は何ら政府の援護を受けることもなく泣寝入りの姿で、今日農業生活に苦しい状態を続けながら努力をしておるのでございますが、この防風林は元来は国有林であつて、その伐採やり方等は、今まで申し上げますように、何ら地元農民に対してはもちろん、県に対しても協議せずに、無断伐採を行つておるのであります。もともとこの国林保安林つたと思うのでありますが、この点はどういうことになつてつたのか、ひとつ政府所見を伺いたいのであります。  さらに、これはたとい行政協定に基く飛行場設定拡張あるいに試射場設定の場合であつても、背後保安林設定の目的に従つて農地保全ということに対しては慎重な考慮を払う必要があると思うのでありますが、農民に与える影響等はまつたく無視して伐採の脅威を与えておるのであります。この点については政府の方にも重大な責任があると思うのでありますが、政府としてこの責任はどのように考えているか、さらにこの点について林野庁としてはどのような考えを持つて伐採を奨励しておられるか、そういう点について政府の御所見を伺いたいのであります。
  26. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 福岡遠賀川流域芦屋飛行場設置に関しまして、遠い昔から農業を保護するために防風林りつぱにつくつてあつたものを無断伐採したことによつて農村に与える被害の統計を十数年間とりまして、風の方向からあるいは雨量から、あらゆるものを検討して、その被害を統計的に確実に積み上げて参つておるのでありますが、これはわれわれといたしましても非常に遺憾なことであつた考えておるのであります。元来徳川時代におきましても、水源林に対してはおと、め山と称しお墨附を下げ渡して山を守つておるのであります。なおまたこの地帯における防風林に対しましては、又久年間における古文書としてりつぱに村に残つている文献にもあるような美林を切つたということは、われわれとしては遺憾にたえないのでございます。ただこれは大東亜戦争中に行われましたことで、その間非常に苦労をされながら今まで黙々として何らの不平なくやつて来たということでありますが、これはわれわれとしては十分考えなければならぬのであります。また今後これを拡張する場合に、農業を営んでいる農民諸君に無警告で防風林伐採し、しかも県、村等においてもこれを関知しないということは、われわれといたしましても非常に遺憾と存ずるのであります。農業を営む上においてわれわれは農地保全法を立法いたしたいと前々から考えておつたのでありまするが、昨日の予算委員会においてもその質問が出たようなわけでありまして、われわれは農地保全のために農地保全法の立法を急いでやりたいと思うのであります。ただ土地に関しては、間接的な問題でありますのでいろいろ問題があるとは考えまするが、事務を督励いたしまして、私たちはこの被害を除去する方法並びにこれによつてこうむつた損害等に対し、でき得るものならば善処いたしたいと考えている次第であります。
  27. 中村寅太

    中村(寅)委員 この問題が起つたことにつきましては、政府としても相当の責任を感じて善処するという農林大臣のお言葉でありまして、われわれもその点については政府の態度を了とするのでありますが、この問題を解決するのには二つの点があると思うのであります。それは、将来損失が起らないようにするためには、防風保安林をなくしておりますので、それにかわる政府の基本的な処置考えでいただくという点と、今まで起つている被害に対して何らかの補償の道を考えていただくという二つの点があると思うのであります。この二つの点について政府ではどのようにお考えになつているか、これを具体的にお示し願えればまことにけつこうだと思うのであります。
  28. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農地を将来安全に保障して行くためにはやはり新たな防風帯を設置しなければならぬのでありますが、それに対しては具体的に案をつくりたいと思います。しかし急に育つ樹木と、それから将来を考えて樹齢等を勘案いたしまして、防風帯設置に対して努力いたしたいと思います。また損害等につきましては実際に調査いたしまして、でき得るだけ善処いたしたいと思います。
  29. 中村寅太

    中村(寅)委員 国連軍飛行場拡張あるいは新設のために受けた被害でありますが、これに対して特別調達庁は、福岡県の芦屋の場合にはどういう処置によつてこの損失を補償しようと考えておられるのか、特調の方がおられましたら見解を聞きたいと思います。
  30. 坂田英一

    坂田委員長 ただいま特調の方へ連絡をとつておりますが、まだ見えておりません。
  31. 中村寅太

    中村(寅)委員 それではこの問題は保留しておきます。  今日米合同委員会が九州地区調査に出て、本日福岡に滞在しているということを聞くのでありますが、政府の方からこれに連絡をしていただいて、福岡県の芦屋飛行場周辺被害実情等を調査させていただきたいと思います。この点について農林大臣のお考えを伺いたい。
  32. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 そういう事実があればさつそく連絡をとつて被害状況を調査するようにしたいと思います。
  33. 坂田英一

    坂田委員長 電柱の敷地料の問題について質疑の通告がありますが、これを許すことにいたします。金子與重郎君。
  34. 金子與重郎

    ○金子委員 農地に対する電柱の敷地料でありますが、この問題はほとんど料金がきまつていたけれども、実際上払つたものもあれば払わぬものもあるということで、放任の状態に長年置かれているのを、昨年度全国の農業協同組合あるいは農村団体の人たち努力によつて、たまたま国会にもこの問題が持ち込まれ、まず電通関係ではその料金をどの程度にすべきかということで再三再四折衝があつたのでありますが、結論として当時約一億円の予算の範囲内でということで本年度はがまんしてくれ、そして来年度において予算をふやして適当な料金にしようということであつたのであります。その後においての支払い方法あるいは支払い金額等の経過はどんなふうになつているか、この点を公社の方からお聞きしたいと思います。
  35. 坂田英一

    坂田委員長 今総裁の方に連絡をとつておりますが、かわりに米沢施設部長が見えております。
  36. 金子與重郎

    ○金子委員 部長でけつこうです。
  37. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。電柱敷地料の敷地の補償の問題につきましては、全国の農村関係の団体その他と電通省時分に打合せいたしまして、昭和二十七年度の予算におきまして、大体一億円を損益勘定の中へ計上しております。現在約七千万円支払つております。
  38. 金子與重郎

    ○金子委員 この敷地料の支払い方法につきましては、各地主あるいは耕作者から農業団体が委任状を全部とりまとめまして、一括支払いの形で預金に振りかえて行く。そうして零細な金をむだに消費しないようにという心組みで当時計画したのでありますが、その支払い方法あるいは結果につきまして、公社の方として何かこういうふうにしたいとか、あるいはこういう欠陥があつたとかいう点がありましたら、その点をお聞きしたいと思います。
  39. 米沢滋

    ○米沢説明員 公社といたしましては、全国の指導農業協同組合連合会との間に一括の代理受理の協定を結びまして、全国で総数のおよそ八割、百八十万に対しまして支払いを完了いたしております。しかしまだこの農業協同組合を利用できない方もたくさんありますので、それらに対しましては、調査して支払いをやりたいと思つております。
  40. 金子與重郎

    ○金子委員 そうしますと、料金の問題は別といたしまして、支払い方法につきましては、なお二十七年度にやりましたような方法を続けて行かれる方が業者のためによろしいという見解を持つておりますか。
  41. 米沢滋

    ○米沢説明員 大体二十八年度も二十七年度の方法を踏襲して行きたいと思つております。
  42. 金子與重郎

    ○金子委員 次に料金の額の問題でありますが、昨年度はいろいろと耕作土から来る労力の損失あるいは収穫上のロスというようなむずかしい問題をこまかく取上げて折衝したのでありますが、さいぜん申し上げたように、結果といたしましては、予算の範囲内で二十七年度は了承してほしいというような円満な解決によつて、こういうふうな結果を見たのでありますが、御承知のように、たんぼのまん中に電柱を置かれるということは、単にその電柱の占める部分の収穫量だけでなしに、最近のように労力の非常に高い時代におきましては、馬耕その他耕転機の使用上のロスというような非常にむずかしい問題がたくさん出ておるのであります。そこでこれは幾らが正しいかということに対しては、非常に論議の余地があると思いますが、昔から常識的にも電柱一本米一升というようなことが言われております。そういう点から行きますと、昨年度二十七円だと思いましたが、非常に低いのであります。これに対して本年度どの程度まで予算措置をとつて上せる考えがあるか、その点をお聞きしたいと思います。
  43. 米沢滋

    ○米沢説明員 この電柱の敷地補償の料金につきましては、実は前の国会のときに公衆電気通信法——これは審議未了になつておりますが、それに関係いたしまして、郵政省の方から政令が出ることになつております。その政令を直しまして、金額をきめて行かなければ、事務的には行かなくなつております。予算といたしましては、これをきめるときに、全国の農業関係の団体と電通省がお打合せいたしまして、一つの結論を得ておりますが、本年の十一月十三日付で全国農村電柱敷地補償料対策協議会に全国指導農業協同組合連合会と全国農民連盟の両方から決議の案をいただいておりまして、これにつきましてはまだ検討を始めたところでありまして、いずれきまりましてから申し上げた方がいいんじやないかと思います。
  44. 坂田英一

    坂田委員長 金子さんにお諮りします。先ほど中村寅太君が質問を留保されましたが、調達庁の方が見えましたので、中村寅太君の調達庁に対する御質問をここにはさみたいと思います。中村君。
  45. 中村寅太

    中村(寅)委員 福岡県の芦屋における飛行場設置以来今日までの農村の被害について、特別調達庁ではどういう処置をとろうと考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  46. 川田三郎

    ○川田政府委員 芦屋防風林を軍の飛行場の操業のために切つた、そのために従来の耕作に対して被害があつたという報告は受けております。それでこういう接収地区外における被害は、直接国といたしまして契約であるとか、ないしは行政上その被害の原因を与えたことにはなつておらないわけでありますけれども、とにかく外国の軍隊を日本の国土に駐留せしめておるという状態は事実でございます。従つてこの接収であるとか、また行政上の制限を加えておる、そういう影響がある場合の措置につきましては、何らかこれを補償するなり、その損害を緩和する方法をとるなりしなければならぬ。まず第一にはそういうものの原因をなくすることが必要であると存じますが、これは調達庁の所管事項でないので、そういう報告を受けました場合に、外務当局その他関係の省庁に連絡いたしまして、まず原因の除去をお願いする、これが従来とつております一つの方法でございます。調達庁といたしましては、その方法も遂にとれなかつた場合に、この補償なり見舞なりをする。見舞では不十分であるという声は十分に承つております。しかし契約上の根拠のないものに対して財政上支出をするにはどうしても見舞という線でなければならぬ。そういうものに対しまして、かつては一人の人が死にました場合に、物価の差もございますが、五百円というような時代がございました。ところが今日ではなくなつた場合に百万円支出できる。見舞と申しましても、だんだんと財政上の力が国について参りましたなれば、実際の補償に近づけるようには努力しております。ただいまお話のありましたような接収地区外における被害につきましては、現在私どもの方の調査も進んでおりまして、被害額に対応する補償と申しますか見舞と申しますか、いずれにせよ財政支出をいたしまして損害を緩和する。その予算上の要求が幾らになるかという点を把握いたしまして、今日の財政として大蔵省当局がこの負担に耐え得るかどうかという点の交渉を現にやつておる状況でございます。この交渉をやりました結果、ある程度の資金を調達庁所管の予算に移しかえを得ますれば、不十分ながらそういうものに対してお見舞の金を支出するという意図を現在調達庁としては持つております。
  47. 中村寅太

    中村(寅)委員 今の話を聞きますと、防風保安林というものは、やはり間接被害ではなくて、直接被害だと思われるのでありますが、調達庁の見解によると、これは間接被害というふうに考えているのではないかと思いますので、もう一度はつきりしておきたい。
  48. 川田三郎

    ○川田政府委員 間接被害とは考えておりません。直接被害考えております。ただ従来間接被害という言葉の出たことがございました。そこで私も接収地区外というふうに申し上げておりまして、接収地区外の直接の被害であると存じます。
  49. 中村寅太

    中村(寅)委員 防風保安林の性格から考えましても、その背後にある農地保安林というものは一体のものであつて保安林をそとにして農地の健全な姿はあり得ないのであります。芦屋の場合は地区外の被害ではなくて、地区内の被害と解すべきであると思いますが、その点について見解を伺いたいと思います。
  50. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 政府部内でよく調整いたしまして善処いたしたいと思います。昨日の予算委員会におきましても同様な問題がありましたので、政府部内でよく調整いたしまして善処いたす考えでおります。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 今の中村委員の御質問に関連したことでちよつとお伺いしておきたいのですが、調達庁の不動産部長が仰せられたことは見舞金の問題の根拠は、二十七年の五月十六日の閣議決定にあるわけですか、それとも駐留軍の用に供する土地等の損失補償要綱第十四条に基く立木地区の損失補償算定の運用基準にあるのですか、どちらの方に属するのですか。新しく今お話を聞きますと、原因を除去するというお考えについては私もまつたく同感でありますが、しかし現実の場合にそういう問題を処理される基準ということになりますと、またそれらのいずれかであつた場合には、今のお話によりますと、適用上において二つの基準では処理しがたい重大な事態が現実に起きておると考えざるを得ませんが、これは農林大臣でもけつこうですが、何かこれらに関連して別個の一つの基準をつくるとか、あるいはこれの処理に対する方針をおきめになるというようなことについてのお考えはないのでありますか、その都度事態はみな違いますが、何かそこに一つの基準が必要な感じを受けますが、いかがですか。
  52. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 実はこれに似通つた問題が諸方にあるのでございます。つい先日も北海道の辺陬の地区飛行場拡張に関しまして道、村に何らの通知もなく飛行場拡張のことが如実に行われまして、農民が寒空を控えて非常に困つた事実があるのであります。しかしまたこれに関しまして賠償が決定されずに、移転料も支払われないというようなことがありましたので、私たちといたしましては、現在のように役所を四箇所も歩かなければ農民に実際補償額が渡らない、しかもその補償額の支払いが非常に遅れるというようなことはさせおけませんので、われわれの方で今検討いたしまして、そういうものはなるべく早く、しかも一箇所において集中できるように検討しておるようなわけでございます。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題はこの程度にいたします。
  54. 坂田英一

    坂田委員長 それでは先ほどに続けが金子與重郎君。
  55. 金子與重郎

    ○金子委員 もう一、二施設局の方にお伺いします。この予算はまだ検討中ではつきりしておらぬというお話でありますが、この前の場合は直接電通省の大臣との話でここまで来たのでありますが、今度の場合は郵政省の省令によつてその額がきめられるというようなことをちよつと伺つたのでありますけれども、それはどういう省令によつてきめるのですか。
  56. 庄司新治

    ○庄司政府委員 額の決定でございますが、監督官庁の郵政省の立場を一応申し上げれば御了解願えるのでありまして、私から申し上げたいと思います。額は電電公社で一応折衝なり検討なりされまして、そうしてその額が適当であり、また予算上からいつても無理でないというふうに公社でお考えになれば、その額を郵政省の方に持つて来られますと、郵政省としては交渉実行舞台は持つておりませんから、大体その額をのみたいというふうな考えでおります。
  57. 金子與重郎

    ○金子委員 それは何か一本の政令の中に含まれているのですか。それともこの料金の問題だけ——政令のあり方を説明してもらいたい。
  58. 庄司新治

    ○庄司政府委員 現在は法律でわずかな額がきまつておりまして、これに対して相当大きな額をプラスするという形で、最初は閣令できまつておりましたが、その額を不適当だと認めて、毎回ではないが三回ぐらいにわたりまして、最終のは昭和二十六年電気通信省令できまつております。ですからその形のままで行けば今度はそれが郵政省令にかわるわけでございますが、先ほどちよつと公社から話が出ましたが、実はそういう金額は法律的に基礎を置かなければならないだろうというので、公衆電気通信法というのを先々国会に出したのでございます。そうしてその先々国会の法律が先国会まで継続審議がありましたが、先国会で審議未了に終つて、今国会でもできれば法律案を出したいと思つております。が、その法律案によりますと、そういう金額は政令によつて定めるというふうに規定してあるのであります。それで額は今申し上げましたような額をとりまして、政令の形で出したい。ですからその政令だけは単独の政令のような形になるか、あるいは公衆電気通信法の全体の政令の中に含まれるか、それは別問題でございますが、形態としてはそういうふうな形で行くと思つております。
  59. 金子與重郎

    ○金子委員 公社の方にお伺いしますが、そうしますと公社の方ではこの料金の問題につきましては、昨年度決定とはいうけれども、昨年度は私どももその折衝の中へ入つてつたのでありますが、最後に、予算のあるだけでことしは了解してほしい、来年度はあらためて考えようということで、田村大臣当時からの話でこうなつたのでありますから、ことしは多分これらの全国協同組合連合会あるいは全指連または農民連盟のような、去年この交渉に当つた団体から、必ず問題として本年度どうしてほしいというような要望が出ておると思うのでありますが、それに対して予算を組み直して行こうという考えであるかどうかということについては、総裁でないとあなたは答弁できませんか。
  60. 米沢滋

    ○米沢説明員 大幅の改訂ということになりますと、これは非常に困難じやないかと思いますが、しかし合理的といいますか、たとえば労賃が上つたからそれに伴う値上げの問題ということにつきましては、なおよく打合せをいたしまして——これは大蔵省と完全な折衝をいたしておるわけではありませんが、必要ならば組み込めないものでもないと思います。
  61. 金子與重郎

    ○金子委員 これはまだ具体的の問題に入つておりませんので、ここでこれ以上申し上げることは控えますが、とにかく昨年度の料金というものは、予算をとつてしまつたあとの話なのだからこれで了承してほしいということになつたのは、当時私どももその席におりましてよく知つておるのであります。従つて今年度の決定につきましては、ぜひとも去年の続きからの全国農民の委任を受けたそれらの団体と、よく納得の行くように折衝して、そうして適当な金額をきめ予算措置をとつてもらいたいし、また郵政省の方もそれに対して、監督の立場にあるものとして、もしそれらの問題がありましたときには、その問題を両者の納得の行く範囲でスムーズに解決をするように努力していただきたいということをお願いいたしまして、一応質問を終りたいと思います。
  62. 川俣清音

    ○川俣委員 電柱の問題については、今後地方において相当やかましくなつて来るであろうと思われますが、これは物価指数による変更ということが当然考えられなければならないと思うのであります。値上り率が一般の物価と均衡がとれておらないと思われますが、この点について均衡がとられておると思つておられるか、不均衡だけれどもやむを得ないと考えておられますか、ひとつ伺いたいと思います。さらにもつと具体的に言うと、昔から大体農民の常識において、電信柱一本について米一升というような観念があつた。米価の値上りは、一般物価指数から見ると必ずしも均衡がとれておるとは思われませんけれども、少くとも米価と同じくらいな率で上つて来なければならないと思われますが、この点についていかような見解のもとに処置されておるか。
  63. 米沢滋

    ○米沢説明員 この敷地の補償料をきめます場合には、これが田や畑にあつて耕作に非常な不便を来すいわゆる耕作上の不便の問題、それからそこに電柱がありますと、自然にそのまわりの耕作ができないという土地に対する面積の問題、両方を考えて、その数字を農村関係の団体と打合せる。もう一つ予算の方との制約もありますので、両方からみ合つてきまつておるわけでありまして、たとえば労賃が上つたとか、それをきめたあとでいろいろ問題が起つたというようなことにつきましては、合理的な点が考えられるのじやないか。今の米一升云々のお話はまだ検討いたしておりませんので、何とも申し上げられません。
  64. 川俣清音

    ○川俣委員 私のお尋ねしたのは、昭和十一年以前の賃貸料と現在と均衡がとれておるかどうかということです。
  65. 米沢滋

    ○米沢説明員 私の方は現在の賃貸料がどうであるかということを調査いたしまして、それをべースにして考えておりますので、賃貸料が現在と昭和何年と比べて正しいかどうかということにつきましては——こちらはむしろ農林省から伺つて現在の賃貸料が幾らであるかという数字を基準にしてやつております。
  66. 川俣清音

    ○川俣委員 当時組まれておつた予算と現在組まれておる予算が、物価指数の変動と均衡がとれているかどうかという点をお尋ねしているのであります。
  67. 米沢滋

    ○米沢説明員 当時というと昭和十一年で、ずつと昔の話でございますが、これについては過去において非常に少かつたことは事実だと思います。
  68. 川俣清音

    ○川俣委員 非常に答弁が無責任ですね。そういう統計をとつて、その上に立つて予算を組んでおられるかどうかということを尋ねているのです。とつておらなければとつておらないでよろしいのです。当時の物価指数と今日の物価指数を勘案して予算を組んでおられるかどうかという点をお尋ねしているのです。
  69. 米沢滋

    ○米沢説明員 これはなお詳しく申し上げますと、占有面積に対しまして、坪当り賃貸価格が幾らであつて、それに対しまして昭和二十五年度の土地の算定価格が幾らであるかという一応正確な計算をいたしまして出したのでございます。
  70. 川俣清音

    ○川俣委員 私のお尋ねの要点が御理解いかないと思いますので、もう一度申し上げます。当時昭和十一年ごろに一坪当りに払われた価格と、今日の一坪当りに払われる価格が、物価の均衡と並行しておるかどうか、それをお調べになつて予算を組んでおられるかどうかということであります。
  71. 庄司新治

    ○庄司政府委員 今の物価指数の問題でございますけれども、電柱の敷地に対する手当といいますか、過去の歴史をずつと考えて見ますと、今から考えれば非常に不合理だと思います。というのは、明治二十三年に法律ができまして、そのときに一本四銭という額がきまりまして、終戦後まで四銭でありました。従つて昭和九年、十年ごろの物価指数にかけますと、四銭に何百倍かけましても問題にならないのでございまして、私、その当時これに関係したのではございませんが、おそらく物価指数の問題は取上げていなかつたのではないか、これは私の想像でございますが、ちよつと説明的に申し上げます。     —————————————
  72. 坂田英一

    坂田委員長 次に農産物の運賃の問題について調査を進めたいと思います。  目下本院において国鉄運賃の値上げ法案を審議中でありますが、運賃の値上げに関連して農産物の運賃が農民の立場から重要な問題となつておりますので、まず農産物の運賃の問題につきまして、政府より説明を求めることにいたします。
  73. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 鉄道貨物運賃の問題は、二つの問題を含んでおるのであります。給与ベースの値上げに伴う収入、増加をはかるための運賃の一割値上げ、それが第一なのであります。もう一点は貨物の等級を改正する点であります。これは鉄道の独立採算制の採用に伴いまして、収入をもつて支出をまかなうという建前を貫徹するためには、最近の貨物の価格と従来の価格とのバランスがかわつて来たこと、それから他の運輸機関、つまりトラツクが非常に発達しまして、現在の貨物運賃の等級の立て方では、トラツクとの競争ができない。そういうふうな点から、この等級をこの際直して行こうというので、運賃の一割上げの方は運輸審議会にかけて、旅客は来年の一月、貨物は二月から実施する法案を出すことになつておるようでありますが、等級の方は、国有鉄道公社の中に、関係官庁、鉄道を利用する荷主の代表者を寄せて貨物等級審議会というものをつくつて、それによつて等級の改正をして行こうということになり、一応の案がまとまりつつあるのであります。貨物等級の改正の方は、実は運賃値上げとは別に、相当長くかかつて、要するに貨物運賃の負担を公平にはかり、かつ他の輸送機関との競争に負けないような等級の仕組みをやろうというので、それには場合によつては輸送形態とか輸送距離とか、あるいは一定の貨車にどれだけ積めるか、つまり減トン制度をどういうふうに考えるか、十五トンの貨車もわらであれば実量としては半分も積めない、あるいは木材も長さがいろいろ切り方になつておるので、貨車の種類によつて積める実情が違うのであります。そういつたものも精査した上でこの等級を合理的にしよう、こういう意図で、貨物等級審議会は七月ごろから発足して、そういう点をつぶさに審議しておつたのでありますが、急に運賃値上げと一緒にやらなければならぬということになりまして、時間的には相当余裕をとることができませんで、まだ折衝を重ねておるような状態であります。  その内容を申し上げますと、等級別価格の基準というのを見ていただきたいと思いますが、従来貨物の基本等級は一級から五級であつたのでありまして、それのほかに六級から九級までがいわゆる政策割引で、品物の種類によつて割引を考えておつたのであります。さらに十級から十一級までを減トン割引ということで等級は十一級であつたのであります。これを今度は貨物の実重量一トン当りの価格を基準にして一級から十二級にわける。さらに生活必需物資、その他この級にはめたのでは運賃の負担がよけいになるもの、こういう点を考慮に入れて特別等級を三等級つくつたのであります。それを便宜二十一、二十二、二十三というふうな級にわけております。結局今度の等級では十五等級にしようというのであります。その等級の中の運賃の指数を見ていただきますと、従来の一級は指数二五〇、平均六級、指数九五ということになつてつたのであります。そして最低が十一級で指数五三ということになつてつたのであります。今度は、最高の指数がそんなに高くてはみなトラツクその他の運輸機関に流れて行くので、一級の指数を二〇〇、それからまた最下級の指数は十二級七五、これは鉄道で輸送する場合の管理費とか利子等を含まない直接の経費をまかなう費用は何ぼかということを算定して、その指数を七五としたのであります。そういうふうな指数のきめ方にし、かつこの実重量一トン当りの価格のランクを、一級は、従来は百二十万円以上だつたものを百三十四万円に上げる、最低が従来は四万円以下であつたものを、こまかく貨物の実重量一トン当りの価格によつて十二級にわけておるのであります。こういうわけ方によりまして、全体の貨物につきまして、実重量一トン当りの価格を、荷主側の団体並びに関係官庁にはかりまして、それによつて貨車載せの価格を算定します。それは地方によつて違うものもありますので、大体おもなる産地別の価格とその数量を加重平均しまして、貨物一トン当りの価格を出したのであります。それに基きまして逐一新等級に基く貨物別の指数を出したのが、貨物等級改正案、農林関係農林農林経済経済課、こういう縦の表と横の表とありますが、縦の表で申しますと、一番上の鮮魚下級というのは大衆魚のことであります。昔は鮮魚甲類といつておりましたもので、従来の等級で七級でありますが、今度は生活必需品として扱うので、特別等級の二十一級にする。そうすると指数は八五と八五ということであります。そういうふうにすれば、先ほど申しましたベース・アップに基く運賃値上げの一割を見なければ従来と同じということになるのであります。これはちよつと例が悪いのですが、その表の下から七行日あたりにわかめ、ひじき、てんぐさとありますが、てんぐさのごときは、従来の等級では七級、指数八五であつたものが、改正等級では三級になつて指数が一三〇になる。従来の等級にはこの中にやはり減トンがありましたので、それに相当する今回の等級改正に基く減トンを考えると、指数が一三〇のものは一〇四になる。そうするとこの一〇四の指数で運賃を払わなければならぬということになります。従来八五の指数で運賃を払つたものは一〇四になるので、従来に比べて二二%の増になります。最後の右の欄のA分のBで見ていただきたいと思います。  現在農林省と運輸省の間でまだ交渉が全部できておりません。運輸省の方は非常に急いでおりますけれども、われわれの方ではそう簡単に応ぜられないというので、お手元に「二月一日実施予定の貨物運賃等級に関する農林省の申入」という一枚紙がありますが、係争になつておる点はその中に書いてある点であります。第一点は木材で、これは「貨物等級改正案」という資料で最後から二枚目の表を見ていただきますと、下から十三行目に「原木その他」という欄がございますが、現行の等級は七級で指数が八五であります。これが改正では七級で指数九五のものを約一トン減トンをつけて八八になる。これは木材の実情から行きますと、中型貨車を使うのは全体の輸送量の四割ないし五割、小型貨車もそれ相当あります。大型貨車も二割内外あるのではないか。こういう点を考えますと、この表だけでは指数はあまり上らない。つまり三%の上りであるというふうに見えるけれども、貨車の利用状況から見ると実はもつと上るので、それでは満足できない。そこで木材の原木のその他、坑木、パルプ用材、不工製材のその他——不工製材というのは次の紙の一番上の欄にございますが、それらのものにつきましては、貨車のいかんにかかわらず従来の指数と同じ八五にしてくれという要求をしておるのであります。もしそれができなければ今のように貨車別、それから木材のいろいろな形態、すなわち長さとかかつこうに関連しての輸送量をもう少し詳しく調べて、どういう減トンをすべきか、また小型にも大型にも減トンがあるはずじやないか、そういうことをもつとはつきり調べてから二十一級でいかぬというならばかえるように、もう少し合理的にしてくれ、こういう要求をしております。それから魚類につきましては、先ほどの一番上の欄に返りまして、野菜が二十三級になつておりますので鮮魚の下級の分がそれと同じように、つまり生活必需物資の最重要なものの一つであるという意味で二十三等級で指数七五に、従来より運賃を安くせよという要求をしております。この点もまだ係争中であります。それからそのほかの物資につきましては、運賃の一割上げを考えまして、それを含めて従来の運賃よりも三割以上になるものは三割にとどめてくれという要求をしておるのであります。この縦の表で見ますと、一番右の欄にA分のBというところがあります。そこでこれが一二○以下でありますれば運賃一割上げを見ても二二〇以下にとどまる。これはちよつと正確でありませんが、百十八、九ならば一三〇以下になるわけですが、この表で運賃一割を見ても一三○以上の結果になるものは一三〇になるように指数をかえて、その該当する指数の等級をつけろ、こういうわけであります。その品目はてんくさ、食料塩、生かんしよ、生ばれいしよ、たくあん(野菜塩づけ)、生野菜、茱類、荒茶、副蚕糸、牧草、ふすま、米ぬか、てんさいかす、魚かす、大豆かす、ほしさなぎ、鶏、薪、造林用苗木、桑苗木、脱穀機、落花生、そのほかこの表に載つていない全体の貨物につきまして一々それをやりまして、今の基準に合わないものはこの方針にする、こういうのでこの点もまだ話がついておりません。鉄道の方は、等級表は現行通りにして一年間この趣旨に合致するような運賃割引をやつて、一年間たつてからこの等級表の通りにしてくれ、こういう要求でまだ話がついておりません。なお特別等級に入れる品目につきましては、われわれの方でその四に書いてあります農林省案として、たとえば調味料については、みそ、しようゆ、すを現在二十二と言つておるけれども、二十三にしてくれとか、あるいは牛馬は三級で、それに減トンを加えて指数が九一になつているが、これを特別等級の二十一にせよとか、以下鳥卵その他のものについてもそういう交渉をしておりますが、まだ話はついておりません。それからこの貨物等級とは直接関係がございませんが、従来やつております遠距離割引につきましては、みかん、りんごその他、特産地と中央市場との距離を勘案しまして、従来よりもより合理的な遠距離割引をしてくれということで交渉しております。この点は大体鉄道の方も、たとえば千二百キロ以上を一割引とし、五百キロ以上を五分引にするというふうな案になつておりますが、具体的の荷物とその中心市場との関係で距離を千キロにしたらいいか、五百キロを二百キロにしたらいいか、こういう問題でまだ最後の案はできておりませんが、大体この点はわれわれと意見が一致する、こういうふうに考えております。等級の内容は非常に技術的でおわかりにくかつたと思いますが、今までの貨物等級改正の作業折衝の進行状況は以上の通りでございます。
  74. 坂田英一

    坂田委員長 この際お諮りいたします。この質問政府の参考資料を読んだ上で、次会に続行することといたしまして、この際狩猟法の一部を改正する法律案審査を進めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。     —————————————
  76. 坂田英一

    坂田委員長 それでは本案の趣旨について提出者の説明を求めます。平野三郎君。
  77. 平野三郎

    平野三郎君 ただいま議題となりました狩猟法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して提案の理由を御説明申し上げます。  戦前狩猟鳥として認められておりました。ツグミ、アトリ、カシラダカは、占領期間中捕獲を禁止されていたのでありますが、これらの鳥は、農産物に対する益害いずれが大であるか判定しがたい点は、他の一般狩猟鳥と同一でありますので、この際、わが国永年の慣習に従つて、捕獲を復活することが適当と存ずるのであります。  これがこの法律案提出する理由でありまして、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  78. 坂田英一

    坂田委員長 質疑は次会より行うことといたします。     —————————————
  79. 坂田英一

    坂田委員長 なお最後に、この機会にお諮りいたしたいことがあります。肥料に関する小委員長より、昨今における肥料事情にかんがみ、肥料消費者の立場として全購連の関係者、また肥料生産事情等について肥料メーカーから説明なり意見を肥料委員会において聴取することにいたしたいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。  なお参考人の選定等に関しては委員長及び小委員長に御一任願います。  本日はこれにて散会いたし、次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十四分散会