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1953-03-04 第15回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月四日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 船田  中君    理事 熊谷 憲一君 理事 富田 健治君    理事 大矢 省三君 理事 井手 以誠君       大西 禎夫君    岡田 忠彦君       砂田 重政君    橋本 龍伍君       森 幸太郎君    北村徳太郎君       粟山  博君    吉田 賢一君       辻  政信君  出席国務大臣         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         内閣官房長官 江口見登留君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長事         務代理)    久田 富治君         総理府事務官         (大臣官房賞勲         部長)     村田八千穂君         保安庁次長   増原 恵吉君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         保安庁保安局長 山田  誠君         保安庁経理局長 窪谷 直光君         保安庁装備局長 中村  卓君         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君  委員外出席者         総理府事務官         (大臣官房審議         室参事官)   佐藤  薫君         大蔵事務官         (大臣官房文書         課長)     村上  一君         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ――――――――――――― 三月三日  井手以誠君辞任につき、その補欠として八百板  正君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員八百板正辞任につき、その補欠として井  手以誠君議長指名委員に選任された。 同日  井手以誠君理事補欠当選した。     ――――――――――――― 三月二日  軍人恩給復活に関する請願長野長廣紹介)  (第三二九四号)  同(笹森順造紹介)(第三二九六号)  同(熊谷憲一紹介)(第三二九七号)  同(小林かなえ紹介)(第三二九八号)  同(木村文男紹介)(第三二九九号)  同(長野長廣紹介)(第三三三九号)  同(中島茂喜紹介)(第三三八四号)  同外一件(楠山義太郎紹介)(第三三八五  号)  元軍人遺族扶助料復活に関する請願外二件(  久野忠治紹介)(第三三〇〇号)  公務員の給与改訂に伴う恩給改訂に関する請願  (今村忠助紹介)(第三三〇一号)  同(富田健治紹介)(第三三四〇号)  同(櫻内義雄紹介)(第三三四一号) の審査を本委員会に付託された。 同月三日  傷い軍人恩給復活に関する陳情書外一件  (第一六〇一号)  遺族扶助料に関する陳情書  (第一六〇二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出第  五五号)  青少年問題協議会設置法案内閣提出第九二  号)  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九七号)  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出(第一三二号)     ―――――――――――――
  2. 船田中

    船田委員長 これより内閣委員会を開きます。  本日は栄典法案保安庁法の一部を改正する法律案青少年問題協議会設置法案厚生省設置法の一部を改正する法律案、及び大蔵省設置法の一部を改正する法律案、以上五法案を議題といたします。  なお、恩給法の一部を改正する法律案審査を本日より始める予定でございましたが、都合により次会よりこれを行うごとといたします。  まず保安庁法の一部を改正する法律案の質疑を行います。辻政信君。
  3. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでは保安庁長官にお伺いいたしたいと思います。日米安全保障条約に基きまして、日本防衛することになつておると、政府はたびたび述べられておりますが、その際に政府のだれが、どの機関が、米国側との交渉に当つておるかを承りたいと思います。
  4. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいまの質問の御要旨は、安全保障條約によつてアメリカ日本防衛の任に当つておる、その機関はどれかということですか。
  5. 辻政信

    ○辻(政)委員 いえ、そうじやございません。日本の安全は、日米安全保障條約によつて保階されておるということが、政府の御答弁としてたびたび行われております。しかしこれは私は、おそらく外国の侵略に対して守る場合に、米軍のみでは守り得ないのであつて日本が協力しなければならぬというふうに感ずるのでありますが、その際に、日本はいかに協力するかという点については、日本側米軍と密接に連携しなければならぬはずでありますが、日本政府のどの機関が、だれがその衝に当つておられるか。
  6. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点について申し上げておきます。直接侵略については、安全保障條約によつてアメリカ責任をもつてその任に当るのであります。従いまして直接侵略に対するすべての計画は、アメリカ側でやつております。むろんある事項についてはこちらへ報告もありましようが、その計画については、日本側においては扱つておりません。
  7. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでは、日本側で担当されておる計画なり準備なりというものは、日本国内治安を維持するという面に限られておりますかどうか。
  8. 木村篤太郎

    木村国務大臣 まさにその通りであります。
  9. 辻政信

    ○辻(政)委員 それではその前提となるべき国内情勢判断、いわゆる今日の共産党が組織的に強力な軍事組織を持ち、訓練をしております。そういうことについて、政府はどれだけの資料判断をお持ちになつておるかという点について伺いたい。
  10. 木村篤太郎

    木村国務大臣 それはすべて国警公安調査庁、それから保安庁独自の機関をもつて、三者連携の上にこれをやつておるわけであります。
  11. 辻政信

    ○辻(政)委員 私はそこに非常な弱点があると思います。いやしくも国内治安を維持する機関は、強力に統制されておらなければならぬ。情報の面においても、また運用の面においても、装備訓練の面においても、それがばらばらになつておることが、日本の最大の弱点と思うのであります。たとえば共産党情報にしても、国警自治警公安調査庁、いろいろなものがやつておるのであります。こういうものを強力にだれかが責任をもつて総合し、検討するということが必要でありますが、そういう機関努力があるかどうか。
  12. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これは国警自治警公安調査庁等情報を十分に検討した上において、私が保安庁長官として責任をもつて、この情報を分解研究しておるのであります。
  13. 辻政信

    ○辻(政)委員 その概略の状況を承ることができますか。
  14. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ここで申すことはできません。
  15. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでは警察予備隊を十一万にされ、また国警自治警を一本にされようとする現在の情勢において、政府の持つておられる、共産党のいわゆる国内侵略というものが、どういう企画において準備をされておるかというまとまつ資料を、ある機会においてお示しを願いたい。それが根本になつて保安隊編成改編とか増強が考えられるのであります。その根本が認識を欠くから、こういう問題についていいろいろ議論が起るのであります。そういう意味において、きようでなくてもよろしゆうございますから、適当な機会にお示しいただきたいと思います。
  16. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ここで申し上げておきますが、それはただいま十分検討中でありますので、お約束はいたしかねます。
  17. 辻政信

    ○辻(政)委員 次に、国警自治警とを一本にする法案が今進められておりますが、保安隊警察とは現在の通り二本建でいいのかどうか、それとも暴力革命に対しては警察力だけで処理できるから、保安隊はその必要なしという御見解かどうかを伺いたい。
  18. 木村篤太郎

    木村国務大臣 申すまでもなく、保安隊保安庁法第四條において、日本国内の平和と秩序を維持し、人命、財産を保護するために特に必要な場合において、これは行動する部隊であります。普通の暴動その他については、これは国警自治警お互い連携を保ちましてこれの鎮圧の任に当るのであります。その手でいかないいわゆる緊急やむを得ざる場合に初めてやるのであつて、普通の場合には保安隊を出動させることはよろしくない、こう考えております。
  19. 辻政信

    ○辻(政)委員 緊急やむを得ないという判断はだれがおとりになりますか。
  20. 木村篤太郎

    木村国務大臣 それは保安庁長官責任を持つて判断し、そうして総理大臣にこれを報告して、総理大臣の命によつてやることになつております。
  21. 辻政信

    ○辻(政)委員 その際に保安隊警察との指揮運用については連携で行くのか、統一するのかどうか。
  22. 木村篤太郎

    木村国務大臣 連携で行くつもりであります。
  23. 辻政信

    ○辻(政)委員 ふだんであつたならば連携でも事足りるのでありますが、いやしくも計画的に武器を持つて暴動を起すようなものに対しては、戦場行動に準ずるものになりますので、とうてい連携ではいけないと私は考えます。もつと強力に統一する必要はないのでありますか。
  24. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私は互いに緊密なる連携を保つて行けば処置し得ると考えております。
  25. 辻政信

    ○辻(政)委員 警察保安隊とを今のように連携をして任務を達成されるという場合においては、その配置相互支援関係情報収集関係において緊密一体の調整が必要でありますが、それは現在の機構において行われておりましようか。
  26. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま総合的の今申されたことは行われておりません。ただ互いに情報を収集いたしまして、緊急やむを得ざる場合にいかにして対処すべきかということをお互いに協議するのでありまして、そういう総合機関を持つておりません。
  27. 辻政信

    ○辻(政)委員 総合機関をおつくりになるということが私はぜひ必要のように思いますが、そういう方向に向つて努力なさる意思はありませんか。
  28. 木村篤太郎

    木村国務大臣 御意見として承つておきます。
  29. 辻政信

    ○辻(政)委員 次は保安隊の将来について若干根本問題をお伺いいたします。いろいろ具体的な問題はこの前の機会幕僚の各位に申し上げておきましたが、きようは長官から根本について伺いたい。第一は、保安隊成立の経緯にかんがみまして、すべての点が米国から強制されたというものが多いのであります。編成装備訓練配置、それを将来の日本実情に合うように改められる御意思があるかという点であります。
  30. 木村篤太郎

    木村国務大臣 申すまでもなく保安隊日本保安隊であります。警察予備隊の際は、これは初めて日本編成されたものであります。また武器その他の点におきましても、アメリカ援助なくしてはこれは行われなかつたのであります。やむを得ずその編成武器の使用あるいは武器の種類、これはアメリカの指示といつてあるいは言い過ぎかもわかりませんが、そのもとに行われたのは事実であります。しかし保安隊の発足以来におきましては、これは日本独自の考え方、また日本地勢その他風土、精神、いろいろな観点からいたしまして、私といたしましては新たなる保安隊をつくりたいと思つて今せつかく努力中であります。
  31. 辻政信

    ○辻(政)委員 それは保安庁長官意思、言いかえれば日本政府の自主的な意思で決定できることか。それともアメリカ顧問了解を要することか。
  32. 木村篤太郎

    木村国務大臣 顧問了解も何もいりません。日本が独自でやります。
  33. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでは安心して質問に入ります。現在の編成は、御承知の通り日本国内治安維持を建前とする編成とはやや趣を異にしまして、米軍の一野戦軍編成に近いものと見るのであります。第一幕僚監部の林さんの編成にしても、あるいは米軍の一野戦司令部編成によく似ておりますし、それから各管区編成は、米軍戦時編成に酷似しておると思う。しかも戦時編成に近いものをとつておられるところが非常に非能率的であります。十一万の兵員を最も能率的に訓練をし配置するのは、元の軍が持つてつた平時編成―直接必要なものだけ残しておいて、そのほか後方とか補給とかいうものは最小限にし、必要なときにおいでそれを動員して補填すれば、平時八千名の師団でただちに戦時編成一万三千名にできる、こうなつて来て経費も節減され、またすべての点において能率的であります。現在は十一万の兵員を四個師団編成している。師団という名称は悪いのですけれども、結局アメリカ戦時編成をそのまま模倣していますから、その間人間の使い方において非常な不経済な点が多いのであります。これをさつそくおかえになることが長官の第一のお仕事ではないかと思いますが、そういうことは今お考えになつておりますか、また御意思があるかどうか。
  34. 木村篤太郎

    木村国務大臣 各管区編成については、今せつかく考慮中であります。この十一万をいかに編成するかということにつきましては、おそらく近き将来においてこの編成がえもあることだろうと考えております。
  35. 辻政信

    ○辻(政)委員 次は装備についてお伺いしたいと思います。現在の装備は端的に申しますと、対外戦争には実戦の役にも立たない。国内装備には重過ぎて始末に負えないというものが多いのであります。真に保安隊日本国内の平和と秩序を維持するという目的に使用されるならば、その任務を達成するに最も適合した装備をとるべきであるというふうに感ずるのであります。現在のようにアメリカの廃品になつ兵器をただもらいぱなしにして、向うがかつてにくれるからかつてもらうというような状態では、自主的な装備はできない。日本政府は、目的に合うように自主的にアメリカに要求し、現在のような不経済な役に立たない装備を一日も早く切りかえることをお考えになつているか、またそれは可能であるかどうかということであります。
  36. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいまの御質問は、私はきわめて適切だと考えます。露骨に申しますと、現在保安隊において使用しております武器は、必ずしも適切なものとは考えておりません。ある武器においては、日本地勢に合わないものもあります。しかしながら私は常に言つておりますが、日本がみずからの手によつてみずからを守る以上においては、やはり日本人に適切なる武器を持たせたい。これは私の念願であります。おそらく日本国民全部が同感であろうと考えております。ただいかんせん、日本国情、端的に申しますれば、日本の財政上からしてこれをすべて日本人に適する、またわれわれの考えているようなものを製造し持たせることはたえ得ないところであります。しばらくがまんをいたしまして、アメリカから援助を受けたものを借りて、これを訓練の用にしております。将来においては、日本独自の考え方で、また日本人みずからの手によつてこれをやりたい。アメリカから借りたらどうかということであれば借りたくありません。日本国においてつくつてやりたいのは私の本心であります。どうかそういうことにおいてこの機会に各議員とも御努力をお願いしたいと考えております。
  37. 辻政信

    ○辻(政)委員 その御意見を聞いて非常に安心いたしました。  次は訓練についてであります。現在の訓練は、私は練馬保安隊新町連隊を見ただけで一斑にすぎませんが、その一斑を見て感じたところを率直に申しますと、これは大よそ保安庁法第四條の目的まつたくかけ離れた訓練をやつていると思います。少くとも保安庁法の本来の任務重点を置いた訓練とは見えないのでありますが、これらについてどういうふうにお考えになりますか。
  38. 木村篤太郎

    木村国務大臣 いわゆる一日入隊と申しましようか、練馬の隊の訓練をごらんになつたそうでありますが、どういう訓練の模様をお目にかけたか存じません。しかしながらこの訓練方法は幾つもあります。現実に私も各所をまわり、その訓練方法を見まわつて来ました。いわゆる小規模の反乱擾乱に対して適応すべき訓練もやつております。大きな反乱擾乱を仮定のもとにやつております幾多の訓練がありまするので、その一部をとらえて、これは適切ではないということの御批判は私は当らぬものと考えております。
  39. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでは早速ですが、ただちに御修正を願いたい点だけ申し上げます。それは両連隊について見たところによりますと、両連隊とも一致した大きな欠陥を持つておる。それはいわゆる突撃訓練です。この前も申し上げましたが、突撃訓練根本思想は、無尽蔵の砲弾によつて敵陣地を根底からひつくり返す。そうして軍の主体である歩兵が行つてとるという観念を基礎にしております。これは今からすぐかえていただきたい。日本実情に合わない。それが今日まで平然と行われておるというところに、アメリカによつて強制された訓練の形式を脱却し得ないということを私は感ずるのであります。
  40. 木村篤太郎

    木村国務大臣 御意見として十分承つておきます。改良すべきことは、将来大いに改良いたしたいと考えてます。
  41. 辻政信

    ○辻(政)委員 そのほか各個教練の問題にしても、あらゆる点がほとんどアメリカ典範令のまる写し、直訳になつておりますが、これは彼の長所をとるという意味において暫定的には首肯できるのですが、もはやすでに二年以上経過した今日においては、あくまで自主的に日本本来の伝統と経験を生かすことに重点を向けて、早急に改善をしていただきたい。これは金がかからない。予算措置を必要としません。その意味においてまじめにひとつ研究していただきたいと思う。
  42. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点については、将来十分に検討いたしまして、日本国情日本の若い人に沿うようなことをやつて行きたいと考えております。
  43. 辻政信

    ○辻(政)委員 次は補給の点について二、三お伺いします。兵器弾薬ガソリン食糧、こういうものの補給であります。もちろん現在は先ほどの御答弁のようにアメリカから借用しなければならぬという点に非常な難点があるのでありますが、今ある事が起つて軍隊が出動するときに、食糧ガソリンだけはこちらの方のやり方いかんによつてストックし得るだろうと思いますが、どのくらいのストック準備されておるか。
  44. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今ただちにお答え申し上げることはできませんが、端的に申しますれば、そうたくさんないと思つております。これはお説のごとく内地において内乱あるいは擾乱があつたときにおいても、私はふだんから準備しておかなければならぬと考えております。およそ一番問題は食糧あるいは燃料であります。これらの点については十分ふだんから備蓄をする必要があろうと考えております。しかし何分にも予算に限度がありまするので、十分とは行きませんが、将来ほかの面においてできるだけ節約をいたしまして、この備蓄の点について十分なる考慮払つて行きたい、こう考えております。
  45. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の一、二見ましたところによりますと、食糧は多くて二、三日、ガソリンはほとんどなく、その日その日の配給、こういう実情のように考えておるのですが、これはひとつまじめにやつていただかないと―大体保安隊が出動するようなときにおいては、食糧配給機構というものは混乱をする、鉄道は遮断される、通信もできない、橋梁は落される、こういうことが想定されるのであつて、それ以外においては必要のない問題である。それならば最も重要な対策としては、食糧燃料ストックをいかにして政府責任を持つて確保するかということが内乱に対する根本対策だと考えるのですが、今度の予算にはそういうことが計上されておらない。ただ建物をつくつたり、あるいは庁費を増したりするごとに莫大な予算を織り込んでありますけれども、そういう根本問題についてぬかりがあるということを心配するわけです。
  46. 木村篤太郎

    木村国務大臣 きわめて適切な御質問であります。その点については十分に注意いたしまして万違算のないようにとりはからいたいと思います。  ただ宿舎の問題で一言申し上げておきたいのです。宿舎の方をいろいろ先にやつてというお話でありますが、私は青年を預かる最高の責任者として、この点について力を置きたいと思つております。昔のような軍隊であればいざ知らず、将来ほんとうに日本の国土を守つて行こうという青年を教育して、行く上においては、できる限り私は快適な設備をしてやりたいと考えております。私はこの間隊へ参りましたときに、何をおいても湯殿と料理場医務室を見てまわつたのであります。この青年たち日本の国家のために、治安の任に当らせるには、相当なことをしてやらなければいけないと私は考えております。この予算面から見て、あるいは施設に金をかけ過ぎるのではないかという御批判があるかもしれませんが、大目に見てもらいたい。これは私は切望にたえない。若い人を預かる一人といたしまして、これらの点について十分考慮を払いたいと考えております。
  47. 辻政信

    ○辻(政)委員 次はややこまかくなりますが、弾薬の保管と警備について申し上げます。毛澤東が天下を取つたときは蒋介石の武器運用したのであります。日本共産党暴力革命をやるときに、直接ねらうのは、保安隊の保管している武器弾薬であると思います。この前新町部隊を見学して驚いたのは、あの弾薬庫を、三人連れて行けば占領できる確信を持つて帰つたのであります。歩哨たまを込めておらない。たつた一人が、まつたくそまつ隊員が警戒しておるにすぎない。警報装置もできておりますけれども、ベルを押して、それに基く警備演習は一切やつておらない。一体あの重要な任務につく歩哨が、たまを込めずに立つということがどこにあるか。こういうことは私は長官の部下の怠慢であると思う。こういうことを幕僚諸君がおられて気がつかないのですか。
  48. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これまたまことに適切な御意見であります。私もこの間新町へ参りまして、その点について十分に注意をするようにさしずをいたしました。その点については将来よく注意払つて、万違算のないようにやりたいと考えております。
  49. 辻政信

    ○辻(政)委員 次は保安隊全体の配置についてでありますが、これは日本防衛考えますと、対外侵略の懸念の多いのは北海道であると思います。それから対内の騒擾といいますか、暴力革命、この点はなかなか容易ではありませんが、この前の総選挙に現われた共産党の票を見ると大体うかがえると思います。最も多いのは京阪地方、その次は東京周辺、第三位が長野、第四位が北海道、第五位は兵庫、第六位が新潟、金沢こうつておるのであります。そういうところは共産党が今日最も重点的に力を注いでおる点であります。従いまして保安隊配置をきめるときはそういうことを考慮に入れて、守るべき主体に近く軍隊配置するという考慮が必要ではないかと考えるのであります。その意味において現在の配置は、はたしてそういう情勢に適合するものかどうかということについて伺います。
  50. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今の御意見は私も前から考慮しておる点であります。在来の点を十分に検討いたしまして、その配備に注意をしておるわけであります。われわれのぬかつておる点でありますれば、どうぞ御遠慮なく御注意を願いたいと考えております。
  51. 辻政信

    ○辻(政)委員 次は部隊の団結、統率という点であります。この前のときにもちよつと申し上げておきましたが、上級幹部非違行為についていまわしいうわさが飛んでおるという実情をよくお考えいただきたい。上級者の品位を峻厳に正すこと炉、軍規を振粛する根本の要件であると私は考えるのであります。その点につきましてはおぬかりがないだろうと思いますが、もしそれが事実とすれば思い切つた粛正をお願いしたいと考えるわけであります。
  52. 木村篤太郎

    木村国務大臣 多数の隊員を率いて行くについては、上官がきわめて厳粛にその任を果さなければならないのは当然であります。いやしくも非違がありますれば、これは隊員指揮上ゆかしき次第であります。さような事実が明白になりますれば、断然たる処置をするつもりであります。ただここで申し上げたいのは、とかく世の中では根拠のないことをかれこれ言つておる者があります。私三十数年来の在野法曹生活において最も悩まされたのはそれであります。一方的の言を決して信ずべからず、十分調査の上これを決定すべきであろうと考えております。密告とかあるいは一方的の言によつて動かされたらたいへんであります。十分慎重に掘り下げて、その事実の有無を調べまして、もしもそういう事実がありますれば、断固たる処置をして隊員の粛正をやりたいと考えております。
  53. 辻政信

    ○辻(政)委員 ただいまの点については、私の言つたのは必ずしも根拠なき密告とは考えておりません。これはいずれ御連絡いたします。  次に人の配置、隊内における人の配置は、役人と陸軍出身と海軍出身というような者の寄合い世帯であります。総監は内務出身の役人、副総監は陸軍、幕僚長は海軍、こういう配置が至るところに散見されるのであります。これはどういう意味でおやりになつたのか。
  54. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私は旧軍人とか役人ということは考えておりません。日本の国民であつて、ほんとうに日本治安を維持して行くのに適格者をそこに配置したいと考えております。
  55. 辻政信

    ○辻(政)委員 長官のその意図が下に徹底しておらない。実例を申しますと、ある管区長官が、一昨年の秋、旧軍人出身者が大量に入るときに、自分の直系の役人の一グループを集めて訓示している。われわれの第一の適は共産党であり、第二の敵は旧軍閥である、近く旧軍閥が入るが、これに対してわれわれはあくまでも主導権を確保せよと訓示しておる。その趣旨をよく徹底さしてもらいたい。こういう気持を持つておつたならば、この役人と陸軍、海軍というものが必ずそこに反目対立、お互に相排擁し合いまして、過去の軍にあつたものよりもさらに深刻なものができる、これを私は憂えるであります。
  56. 木村篤太郎

    木村国務大臣 隊内で派閥抗争があれば、これはたいへんなことであります。そういうことは断固として排撃しなければなりません。私は今申し上げました通り、旧軍人であろうと、あるいは旧官僚であろうと、あるいは民間人であろうと、ほんとうに日本治安を維持する責任者として熱意を持ち、また適格者であれば、喜んで迎えたいと考えておりすす。その間に何らの差別はしないつもりであります。
  57. 辻政信

    ○辻(政)委員 今の御答弁を聞いて非常に安心しましたが、その長官のすつきりした、きれいな気持を末端まで徹底してもらいたい。制度においても、人物の採用においても、運用においても、これを徹底してもらいたい。これを切にお願いいたします。  次に衛生について。前会に具体的な実例をあげて質問いたしましたが、今改善されようという空気にあることはたいへんけつこうであります。具体的に申すのははばかる点があるのですけれども、この前その衝におられた本名保安監―これは今の長官責任ではありませんが、これをお迎えになるときには、日本の医師会に三顧の礼をもつて迎えられた人です。しかも臨床の大家です。これが医務行政に不適任であるというので最近首になつておりますが、不適任であるといつて弊履のごとく捨てられ、迎えるときには三顧の礼をもつて迎えられる。保安隊の人事に対しては、下僚の責任を持つ人たちが情を持つて接していただきたい。私は本名という人にお目にかかつておりません。理由は、この人に医務行政の手腕がなかつた、こういう点にあると思うのでありますが、しかしその人は臨床の権威であり、おそらく病院長としては名病院長ではなかろうかと思うのです。こういう人を採用し、もしくは解雇するときには、いま少し慎重に検討されて、またいらなくなつても弊履を捨てるような態度をとつてはならぬ。結局こういう人を適材適所に置き得なかつたことは、閣下の幕僚に人を得ないことが最大の原因ではないかと思う。本人の責任ではない。迎えるときにあのくらい鄭重に迎えた人である。こういうことをやりますと、保安隊にはりつぱな衛生関係のお医者さんが入つて来ません。根本は人事にあると思う。
  58. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま御指摘の人事のことについては、私はよく存じていないのであります。あるいは怠慢といえば怠慢でしよう。そこまで手の届かなかつたことをはなはだ遺憾といたします。御指摘のように、迎えるときは三顧の礼を用い、これをやめさせるときには弊履のごとく捨てる、まことに遺憾であります。将来さようなことのないように十分注意いたしたいと思います。しこうしてこの事実については、私は十分調査いたしまして、将来の参考といたしたいと思います。
  59. 辻政信

    ○辻(政)委員 ただいまの点については、私はある日本の医師会の権威ある人から的確に承つた所見であります。どうかひとつ人事をやる方にはこの点について将来御注意願いたい。  次は結論として、時間がありませんから簡単に承ります。いろいろまだ聞きたいことはございますけれども、他の議事の進行上この次に譲りまして、最後場に一つ結論として申し述べたいことは、保安隊を率直に批判しますと、現状においては、われわれが過去においてつくつた満州国軍とよく似たところがあります。現状のままでは絶対に戦争の役に立ちませんから、その意味において軍隊ではない、こう考えるのであります。それでは警察かというと、警察訓練もまた不徹底であり、その機能、情報網、機動力、こういう点において私は警察の予備兵力としてははなはだ不適格だと思う。どつちにもつかない、ちようどおたまじやくしに足が一本はえたもののように考えるのであります。これは過渡期においてやむを得ないのでありますが、木村長官に切にお願いしたいことは、これをかえるにするか、おたまじやくしにするか、はつきり性格にされて、安心して将兵が目的を達成するように御指導願いたい。たいへん悪い言葉でありますが、幹部は役人と旧軍人失業者の集まりであります。隊員は農村の次三男の収容所だと言つても過言ではない。しかも反動とか軍国主義とののしられるのがいやなために、取扱いについては、形の上においては元の軍隊のような私的制裁もなく、またなごやかに、いかにもデモクラシーの新しいグループという感じを受けますが、しかし私はどうもこれはタイル張りのぬるま湯という感じを受けるのであります。ほんとうのことを言うと、外見はいかにもきれいでありますが、ぴんとしたところがない、ぬるま湯だ。これをタイル張りの熱い湯に育てて行くということが大事じやないか。八百三十億の予算をもつて、今のままでは警察にも役に立たない。内乱が起つたときには機動ができない。自動車編成で車両に依存しております。しかもガソリンストックはない。こういうものは内乱に役に立たない存在でありまして、ほんとうに内乱に備えるためには、自動車主体でなく自転車主体でなければならぬ。そしてどんなあぜ道でも行けるところの自転車でなければならぬ。ねらいが違つている。実戦の役にはもちろん立たない。これがために八百三十億という厖大な予算をただ使うということでは、まことに相済まない。特に遺憾に感じますことは、これは政治家の罪でありまして、私生児扱いにして戸籍もあげない。隊員が外出して労働者にひやかされておる。お前らみたいに役に立たない者がわれわれよりも高い日給をもらつているじやないかといつて……。そういう実情にある。私は率直に申しますが、あの中に入つておる青年にはりつぱな者がおりまして、われわれが教育したときの初年兵よりも、むしろある面において優秀である。このりつぱな日本青年、われわれの子弟というものが間違つた教育を受けておる、こういわざるを得ないのであります。あの青年たちにしつかりした方向を与え、光明を与え、また身をもつで民族の運命をになうところのものであるという誇りを持たせるならば、私は過去の一軍隊よりもはるかに能率的な、また快適なものができるということを信じて疑わないのであります。結局これは保安隊責任ではなくして政治家の責任である。政治の責任ということを痛感しまして、保安庁長官のみならず、われわれ国会に席を持つておる者としては、隊員のあの純真な人たちに不安と自己を興下するような感じを持たせないということが非常に大事じやないかと考えるのであります。軍隊にあらず、あるいは警察だと言つてみたところで、だれが見てもあれは軍隊と見られております。実質的には軍隊ではないと私は見ますけれども。それを一刻も早くはりきりして、戸籍をあげるということが政治家の担任さるべき最大の仕事ではないかと考えるのであります。これで一応私の質問を打切ります。
  60. 木村篤太郎

    木村国務大臣 よけいなことでありまするが、申し上げたい。今の保安隊についていろいろ御議論がありましたが、私は十分に参考にしたいと考えております。しかしこの保安隊が何かぬえ的なものであるということに私は御同意いたしかねる。私も最近各部隊を視察して参りました。この若き隊員は実に非常な熱心をもつてつております。私は泣いて来ました。あの精神力をもつて行けば、おそらく日本は立ち返り得ると私は考える。私は先月の十六日に東京を立つて舞鶴に参りました。二十日に向うで警備隊の訓練を見て参りました。十六日私が東京を立つた当日に入隊した者、わずかに三日間の訓練であります。それがあの重いオールを引いてカッターの分列式をやりました。たつた三日の訓練において実にりつぱな国体行動をやるのです。これは何に基くか、これは彼らのほんとの自覚です。霊くの手によつて日本の平和を守り、維持しようじやないか、この熱意のほとばしりであると私は信じております。各種部隊訓練も辻君はどういうところをごらんになりましたか、訓練においても実に真剣にやつておると思います。訓練が終つたあとにおいて、昔のような軍隊ではなく、これを十分ねぎらつてやらなければならぬ。そうして快適な生活をさしてやる、訓練はきびしくやる。しかし日常の生活においては快適にしてあげるというのが私の精神であります。その方向に向つております。先刻御質問のありましたような持つておる武器の点については、遺憾な点が十分あります。これは私は各位の御努力によりまして、十分なる快適な、また適切な武器を持たしたい。そういたしますと今の保安隊の精神力とこの武器と相まちまして、日本の平和と治安は私は十分に維持して行けるものと確信して疑いません。どうぞ御援助をいただきたいと私は考えております。
  61. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでは最後に一言つけ加えておきます。私は、現在の保安隊の将兵は軍隊という看板を上げられることを熱望しております。軍隊のつもりで入つて来て、その訓練を受けておるのであります。それを軍隊にあらずというところに彼らを失望させておるのじやないか、こう言いたいのであります。隊員長官もおつしやつた通りまことにまじめである、りつぱであると私は信じております。それを指導する者が、最高の政治が、軍隊にあらずということを言つて、教えておるところが軍隊自体である。そごに彼らの煩悶があるのであります。何を卑下する必要があるか。私は今、軍隊であると堂々と―おそらくこの問題は近くダレスがやつて来、アイゼンハウアーがやつて来て、軍隊を持つか持たぬかという点で日本が対決を迫られるのであります。何を遠慮されるか、私はそう言いたいのであります。これは木村長官に申し上げるのははなはだ何でありますが、思い切つて軍隊なり、軍隊に徹した新軍である。しかしこの軍隊は朝鮮に持つて行くアメリカの傭兵では断じてない。日本の独立を侵し、われわれの家庭を乱す外敵、内敵に対して守り抜くという自衛の新軍である、この性格をはつきりしたならば、今日の保安隊というものは立ちどころに筋金入りになるのであります。その点を私は最後に申し上げておきます。
  62. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点については私も十分注意しておるのでありますが、何も軍隊と言わなくても、今の保安隊というので私は徹底した精神力を持たせ得る考えております。われわれは日本の平和と秩序を維持する大きな役割を持つた一つの部隊である、旧軍隊ではない。われわれの手によつて日本の平和を守り抜くのだ、この重き任務を負つた隊である、私はこれによつてりつぱな精神教育をつけて行けると考える。何も軍隊と言わなくてもよしい、こう考えております。
  63. 船田中

    船田委員長 本案についての質疑は明日続行いたすことといたしたいと思います。
  64. 砂田重政

    ○砂田委員 ちよつと今のに関連して簡単な質問をさせていただきたい。私はただいまの保安隊の内容についての議論とは少し離れますが、保安庁の計画に対して一言私の希望を述べ、かたがた大臣の意見を伺いたいと思います。  それは過日の予算委員会において保安隊が持つ航空機、これらのものは外国からから買うつもりでおるとうことを大臣はお述べになりました。日本にはこれらの技術者のメンバーもまだそろつておらぬ、従つて日本国内でできればけつこうであるが、今のところその見込みがないので、外国から買うかもしれない。こういうことをお述べになりました。これは私は大臣に直接お話したいと思つておつたのですが、なかなかお互いに忙しくてその機会がないので申し上げます。なるほど日本は、戦争中には中島飛行機、その他三菱重工業等で相当の航空機はつくつておつた。それが戦後ちりぢりばらばらになりましたが、今日は国産のヘリコプターをつくりつつある。これはメンバ一はちやんとそろつておる。大学の教授あり、陸海軍軍人の技術者あり、その他現に保安隊の中にもこのメンバーの一員の人がおられる。これらの人が寄つて、現に今国産のヘリコプターをつくりつつある。しかしながら、これは一つの工場にまかして、その工場の中で全部を完成ができないから、あらゆる工場を動員してつくつておるのである。これは部下の方にお尋ねになれば、メンバーの一員は保安隊の中にもおられるのでありますから、これははつきりわかります。これは会計法上めんどうであるとか、あるいはいろいろなことのめんどうを考えられて、大会社でなければ注文ができないということで、今盛んにいろいろ奔走して、中には某会社のごときは外国のヘリコプターの特許権を買うて来てやろうかというようなことをもくろんでおる人もあります。これらの特許権によらずとも、日本の国には日本独自の技術者がおる。こういう人によつてつくらすということになれば、私はできると思う。現に今つくりつつあるのは、六月ぐらいには飛び上ると思いまするが、読売新聞がやつておる。これは国産のヘリコプターが最近に飛ぶ状態までできでおるのであります。これは、究極はやはり国内において生産するということを目途とされる以上は、ひとつ大臣も奮発してこのメンバーを集めて、第二号からは保安隊のものは国内で生産さす、これは外国から何も輸入しなくてもことごとく日本の国産品でできます。そうしてこれをだんだんに奨励して行くなら二号、三号と一箇月一台ぐらいは順次できるようになるものだと私は確信しておる。ところがどうも日本人は外国のものに依存しなければならぬような考えを昔から持つておる。ことに役人の間においては、大工場の設備があつて、その飛行機を組み立てるところまですべてを一つの工場の中でやらないと、そこには注文をしないというのだから、学者や技術者が寄つておるだけでは、それはできません。こういう点は少しお考えをめぐらされて行けば、そのうちには私は今日てんでんばらばらになつておる中島飛行機なども統合して、一つになる時代が来ると思う。そうすればジェット機までできる、いわんやその合金に要するコバルトだとか、いろいろな合金のものはことごとく日本でできる、外国によらなくても、外国の特許によらなくてもできるのみならず、今日では御承知の金属チタンまで国内でできるようになつたのでありますから、これはひとつ活用して国内の生産に移すようにしなければ、ああいう小さなヘリコプターなどは船に積んで来なければならぬ。とても間に合いません。いわんや今日はイギリスにおいても、アメリカにおいてもヘリコプターは輸出禁止である。そういう情勢にあるときに、まだ技術者のメンバ治もそろわぬからというような御答弁がこの前の予算委員会でありましたが、これはきれいにそろうておる。従来の経験によつて飛ばしておつた人間のメンバーがそろうておるのです。こういう人をお使いになるのがいいのじやないかと思います。ついでに私はもう一つ、大蔵省の政務次官がおいでになるからこれにも注文しますが、このごろどうも予算の扱いに大蔵省のひもがつき過ぎる。普通の款項に対するひもだけならよろしいが、こういう問題をやろうとするときにいつでも文句が出るのは大蔵省なんです。その大蔵省は、しまいには、ある特定の人間を周旋することまで大蔵省のひもをつけなければものができないというような現実になつております。これは悪いことです。これは政務次官などの御存じのないもつと下の方の連中でありましようが、そういうひもをつけたがるくせが、ややもすれば綱紀、官紀を乱す危険のあることもひとつ十分大蔵省でもお考えになつて、そうして適当な技術者によつて設計をさすように改めていただかなければならぬ時代であると私は考えますので、このことを大臣に申し上げるとともに、大臣の御意見をひとつ承りたいと思う。
  65. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ごもつともな御意見であります。私は、衆議院の予算委員会において、二十八年度でつくる飛行機は外国から買うのだということをまさにその通り申し上げました。と申しますのは、二十八年度においてこれを徴用しなければなりません。現在アメリカに同乗させてもらつている練習機は、わずかに八十五馬力のものであります。この前も申し上げましたように、強い風でも吹けば吹き飛ばされるようなこんなものに、大事な青年を扱つて乗らせることは危険しごくだとわれわれ考えております。少くとも将来においては四百馬力、五百馬力―アメリカではすでに練習機に八百馬力のものを使つておるといわれております。八百馬力であれば時速約四百五十キロであります。さようなものは今ただちにできなくとも、少くとも四百馬力ぐらいの練習機を使わせるのが至当じやないか。それはただいまの日本の工業生産力ではとうてい行かぬ。従いまして、やむを得ず二十八年度徴用にはどこかから買い入れるという考えを持つておるのであります。しかし私は、先刻辻君の御質問に対して申し上げたように、日本で使うものは日本でつくるのが当然であろうと考えております。従いまして、今仰せのごとく、せつかく技術陣がありますれば、その技術陣の総力をあげてこれをつくるごとに相なることを私は希望してやみません。でき得れば、二十八年度においても日本製の練習機を持つことが至当であると考えております。ただその日の一日も早く到来せんことを心から念願いたしますから、どうぞ民間人において激励をいただきたいと考えております。
  66. 砂田重政

    ○砂田委員 この問題はここで申し上げるのは場所でないかもしれませんが、大体日本人というものは、日本の技術者に対してはなはだ冷酷である。そうして外人の言うことなら何でも偉いと考えているが、飛行機の部品をつくるのに、日本の国で完全にどこの国に工劣らないものができる時代に今日到達している。たとえばプロペラにしましても、金属でつくつている金属プロペラは世界のどこの国にも劣らない。合金は東北大学の本多博士によつて計画されて完成し、いずれの国にも劣らないものができるようになつている。その本多博士が病気になつて帝大に入院したときは、入院料もないようなことにしてしまつてこの技術者を顧みないというのは、これは日本の悪弊であります。原子爆弾だけは劣つたが、その原子爆弾でアメリカに負けた以外には、科学技術の上においては断じて負けないという確信を私は持つている。政府も国民も協力してこれをもつと助け合うという時代が来なければ、日本の産業、科学の発達というものは望むことはできないのであります。それを一定のわくにはめて、めんどうのないようにということで、一つの工場で全部できなければ注文をしないというようなことをやめて、こういうメンバーの人々によつてやれば今の予算の半分の金でできます。今のヘリコプター一台に対する予算の半分で日本の技術者はつくれる。しかも外国の特許によらずして、日本人独自の力でできるだけの確信を私は持つている。いずれ後にメンバーの名前書きも差上げますから、ひとつそういう点も十分お考えくださつて国産の発達に御努力を願いたい。政務次官、御答弁がありましたら伺いたい。
  67. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 先ほど来まことに適切な御意見を伺いまして、まことにありがたいことに存ずるのでありますが、ただいまお話のヘリコプター等の問題につきましては、実は大蔵省といたしましても、通産省その他の官庁方面はもちろんでございますが、寄り寄り民間側の権威のある方々の御意見を伺いまして、大蔵省としていたさなければならない資金関係の手当その他について非常に最近研究を進めて参つております。私どもといたしましても、できるだけ国産のもので合理的に調達することが最も望ましいことであるというふうに考えているわけでございます。  なお、先ほどひもつきというようなお話もございましたが、今後におきましてはさようなことが絶対にないようになお十分の注意をいたしたいと考えております。
  68. 船田中

    船田委員長 本案についての質疑は明日続行するごとといたします。     ―――――――――――――
  69. 船田中

    船田委員長 次に、大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題といたし、政府より提案理由の説明を求めます。大蔵政務次官愛知揆一君。
  70. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ただいま議題となりました「大蔵省設置法の一部を改正する法律案」につきまして、提案の理由を御説明いたします。  現在、大蔵本省の地方支分部局として六つの税関が設置されて日おりますが、最近の税関事務の実情にかんがみまして、税関行政の整備拡充をはかるため、今回東京税関及び長崎税関を新たに設置する等の必要があると認められますので、この法律案を提出いたした次第であります。  現在、東京には横浜税関の支署が設けられておりまして、東京港に関する税関業務、東京都に駐留する合衆国軍隊の貨物等に関する税関業務、東京都に散在する保税地域の取締り等を所掌しておりますが、その事務分量は最近急激に増加しておりまして、また、羽田税関支署は、御承知の通り最近における国際航空の充実に伴つてその重要性がいよいよ増大して参つているのでありますが、わが国の国際的信用を高める意味合いにおきましても、その事務を迅速かつ適切に処理することが強く要請されているのであります。さらに今後におきまして、これらの関係の事務はますます増加することが容易に予想されまするので、この際、これらの税関支署を横浜税関から分離しまして、東京税関を設置し、事務処理の万全を期したいと存ずる次第であります。  次に、現在の門司税関の管轄区域は、全九州及び山口県にわたつているのでありますが、他の税関に比しまして、海岸線が特に長大であり、密貿易の件数もはなはだ多く、そのため下部機関の数も他の税関に比しまして非常に多くなつております。戦前はこの方面には、門司及び長崎の両税関が設置せられていたのでありまして、最近における一般事務数量の増加、特に沿海各地域における監視取締り業務の充実を期するため、今回長崎税関を復活いたしたいと思うのであります。しかして今後における南方諸地域との貿易の増加等に対処いたしたいと存ずるものであります。  なお、以上のほか、主計局及び税関の事務について所要の規定の整備をはかることといたしました。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  71. 船田中

    船田委員長 次に補足説明を求めます。大蔵省主税局税関部長北島政府委員
  72. 北島武雄

    ○北島政府委員 税関関係のことにつきましては、ただいまの提案理由によりまして相当明らかになつたように思うのでございますが、この際若干補足的な意味におきまして御説明申し上げたいと思います。  このたび現在の東京税関支署を東京税関、現在の長崎税関支署を長崎税関と、それぞれ昇格いたしたいと思いまして御提案申し上げた次第であります。まず東京税関の方から申しますと、現在東京税関支署と羽田税関支署は、いずれも横浜税関の支署になつております。これらの支署におきますところの税関は、いずれもわが国の、政治、経済の中心地、及び海外通路、交通の要衝を背景としておる関係上、最近特に事務量が増加いたしまして、税関手続の迅速化に対する民間の要請が非常に起つて参つたのであります。横浜税関がこれを一手に管轄して監督することは困難な実情であるのであります。特に具体的に申し上げますと、従来あまり仕事炉なかつたうちは、東京税関支署ということでも相済んだのでございますが、東京税関支署及び羽田税関支署の事務が非常にふえて参りまして、たとえば東京税関支署で処理できないような問題は、一々横浜税関まで行きまして監督を仰ぐわけであります。横浜税関におきまして、さらにまた解決困難と感ぜられます場合には、本省に相談があるわけであります。そういうような迂回コースをたどりまして、本省まで事件がいろいろ参ります。その間に事務の処理が非常に遅れまして、民間にも相当御迷惑をかけております点もございますので、この際東京税関支署を独立いたさせまして、本省の管轄下に置きまして、本省の指令がただちに東京税関の方に徹底するように、また東京税関の事務の問題もただちに迅速に処理することができるように考えまして、今回東京税関支署を独立させまして東京税関とし、羽田税関支署を新たに東京税関の管轄下に置くことにしたわけであります。  次に長崎税関でございます。御承知のように長崎港は徳川時代以前の古くからの開港でございまして、非常に由緒ある港でございます。戦前はこちらに長崎税関がございまして、九州方面は門司税関と長崎税関において管轄しておつたわけであります。戦争中税関が海運局に統合されまして、昭和二十一年六月税関が新しく大蔵省の傘下にもどりまして、復活いたしましたときにおきましては、とりあえず最小限度の規模で行こうということで、長崎税関は独立を見合せまして、門司税関の管轄に所属せしめて参つたのでございます。その結果門司税関の管下は、他の税関に比べまして著しく範囲が広いのであります。各税関の管下におきますところの支署、出張所等の数を見ましても、現在の門司税関の管轄にございますところは七十四箇所でございます。現在税関関係の役所は全国におきまして約二百近くございますが、そのうちの七十四というものを門司税関管下において管轄しておるのであります。門司税関において、単独にこの全体の地域を管轄いたしますことはきわめて無理があつたわけであります。二十一年の六月におきましては、まだ日本の貿易もほんの微々たるものでございましたので、とりあえずその程度でスタートして参つたわけであります。その後次第に税関の仕事が忙しくなるにつれまして、どうしても門司税関をもちまして、九州一円及び山口県を管轄せしむることは無理だということになりまして、一昨年から実は政府部内におきましてこの問題が取上げられ、国内的には長崎税関を設置することに閣議決定を見たのであります。その当時の司令部の関係におきまして、その案は握りつぶされまして、現在に至つたわけでございます。密貿易の点につきましても従来は朝鮮台湾炉わが国の領土でございましたが、戦後これがわが国の領土から離れた、また南西諸島は当分の間関税法上外国とみなすということになりまして、九州地方は直接密貿易の中心になるような感がございます。昨年中検挙いたしました密貿易の検挙件数の中におきまして、門司税関管下における検挙件数は、全体の四〇%近くも占めておるような状況でございます。この際長崎税関を独立させまして、このような障害を除きたいと考えておるのでございます。  なお主計局関係につきましては、文書課長から御説明があると思います。
  73. 村上一

    ○村上説明員 設置法の改正法律案のうち、主計局関係で簡単な改正をお願いしてございます。その点の御説明を加えたいと思います。  政府関係機関予算、決算及び会計に関することという事務を主計局の事務の中に加えたいというのが改正の趣旨でございます。そこで御承知のように現行法におきましては、国の予算及び決算に関すること、これはすでに規定が入つておるのでございますが「政府関係機関予算、決算及び会計に関すること。」という条項が脱けておるわけでございます。そこで今回主として税関関係のために改正の機会がございますので、これを差加えたい、かような内容でございます。この改正によりまして大蔵省全体あるいは主計局の事務権参限が異動を生ずるわけではございません。現在それぞれの政府機関の組織運用を規定しておる実体法におきまして、この予算、会計がどういうふうに行われるか、その場合に大蔵大臣との関係がどうなるかということは、すでに規定があるわけでございまして、その実体法で動いておる事柄を、今回変更しようというものではございません。  なお設置法の四條をごらんいただきますと、四條の冒頭に「大蔵省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律に従つてなされなければならない。」という規定が全体にかぶつておりまして、すなわち実体法で定められておる事項以外に、設置法で新らしい権限を付与することはないわけでございます。従いましてこの点は現在やつております事務につきまして規定が脱けておりますのを補うだけの意味というふうに御了承いただきたいと思います。
  74. 砂田重政

    ○砂田委員 しごくけつこうな法案だと思うのですが、この九州地区その他全地区にわたります密貿易の検挙数はただいま承りました。これは貴金属であるとか、その他そういうものだけ入つておるのを十分取締るという目標ならまことにけつこうなのですが、どういう品目のものが主として密貿易されておりますか、表をつくつていただきたいと思います。私がこういうことを申し上げるのは、中日貿易の上に、今日本の国でもアメリカでも一番困つておるのはタングステンであります。これは中共地区から世界の八割を出しておる。これがなければ、アメリカ武器もできなければ日本武器もできない。これは戦争前には主として香港に来たものですが、それでもその間にこれが密貿易によつて九江を経、上海を経て、日本に供給されて、これで今日までの日本武器はできておつた。ところがこれは今日ではソビエトの方が入り込んで監督権を持ち、全部ソビエトに持つて行かれるようになつておる。アメリカでも日本でも一番困つておるのはこれなんです。これはもう戦争以前より中支方面から出るものが密貿易によつて日本に入つて来て、これが出まわつておる。今日でもこのタングステンが中支から入つたということになれば、これはたいへんな問題になるわけです。公然とは入らない、入らないがこれがなければ日本武器機関銃も、高射砲も何もできない。でありますから、こういう点はよほど寛厳よろしきを得てもらわぬと困る問題なんです。御承知の通り戦争前に、主として朝鮮のちようど三十八度線前後のところで、一年にタングステ三千トンより出なかつたのを、われわれ非常な努力をして四千トン出るところまで到達したのであるが、これが今日はほとんど出なくなつた。これは世界中の悩みの種なんです。世界の八割まで持つておる中支の鉱山から出る分が、流れ流れて日本にも今日でもまだ来ておる。またアメリカもそれを期待して、日本に入つて来たものを日本の港からアメリカに持つて帰るということによつてようやくつなぎをつけておるというような実情にあるのであります。こういう点は税関を設けられて厳重に取締られるということも必要でありまするが、その辺は税関部長の方でよほどお考えを願わなければならぬ。これは世界中の一つの悩みなんだ。一つお考え置きを願わなければならぬと思うのは、大体あの海賊船という、ジャンクのような船が、―私は南に行つておりましたが、南の方に行つてもう船の輸送で米を持つて来ることがどうしてもできない、汽船に積んでサイゴンから持つて来るのもタイから持つて来るのも皆撃沈されてしまつて、もう食う米がなくなつてまつたときに、やむを得ず海賊船を利用してみた。一俵米を持つてくれば砂糖を一俵ただでくれてやるというのでやつたら、一週間たたぬ間に、どういう連絡をつけるのか、とにかく三千六百そうのジャンクが米を積んで持つて来るようになつた。そして終戦のときには、あそこには三年間分の米を集積することができたのだ。こういうものはそういう政治的な意味からいうと大事な問題になるわけなんです。ただいま申し上げたタングステンのごときは、今日では日本の鉱石価格は二百万円ぐらいしておるでしよう。しかしこれがもし全部絶滅して入らぬことになると、すべての重工業の上に大きな支障を来すおそれがあるということは、これは税関部長の頭にひとつ入れておいていただかなければならぬ問題だと思います。     〔船田委員長退席、富田委員長代理着席〕 まず政府から密貿易でどういうものが主として入つておるかという点を、表か何かにしてお示しを願いたいと思います。
  75. 北島武雄

    ○北島政府委員 検挙いたしました密貿易品目につきましてお尋ねでございますが、ここに資料がございませんので、一応口頭におきまして御説明申し上げたいと思います。昭和二十七年中に差押えました密輸出で、まず一番大きな金額でありましたのが工具類でございまして、この鑑定価格が約七千七百万円で、二番目に大きな数字になりますのは繊維製品、これが四千万円程度、三番目には機械類でございます。これが二千八百四十万円程度、四番目には文房具、これが千四百五十万円程度ございます。次に密輸入品の方でございます。昨年中におきまして差押えました密輸入品の一番大きな価格でありましたのが砂糖でございます。これが一億二千五百万円、二番目にはその他の食糧品、六千四百四十万円、三番目は時計及びその部分品、約五千六百万円程度でございます。四番目は繊維製品約九百万円というような数字に相なつております。  それからただいま砂田先生のお話の中で、密貿易の取締りに当つては寛厳よろしきを得るようにというお話がございました。私どもの率直な事務的の考えで恐縮でございますが、申し上げますと、密貿易と申しますのは、やはり国の貿易統制あるいは財政上の収入を破るものでございます。でき得ればまず貿易統制の方におきまして、日本として必要なものは正当に入れることができるようにするのが、まず第一でなかろうかと思うのであります。国の方針としてこういうものは入れない、ライセンスを与えないということになつておりまして、末端の税関においてはそれを見のがすというようなことになると、私どもとしてはまことに仕事はできにくいのであります。まず根本方針におきまして、正当に輸入できるような方法を講じていただくのが第一だと存じます。はなはだ事務的ななまいきな見解でございましたが、一応御了承願います。
  76. 北村徳太郎

    ○北村委員 大蔵省設置法の一部を改正する法律案は、きわめて単純な事務的なものでございますので、ただいまの説明で大体了承し得るじやないかと思います。従いましてかような事務的なきわめて簡単なかつ必要な修正でございまするから、これは討論を用うることなしにすみやかに採決をされてはいかがか、さように考えます。
  77. 富田健治

    富田委員長代理 ただいま北村君から御発言がございましたが、他に御質疑の方もあるようでありますので、次会で続いて再質疑をやるようにしたいと思います。     ―――――――――――――
  78. 富田健治

    富田委員長代理 それでは次に青少年問題協議会設置法案並びに厚生省設置法の一部を改正する法律案を一括議題といたしまして、質疑を行うことにいたします。  質疑の通告がありますからこれを許します大矢省三君。
  79. 大矢省三

    ○大矢委員 この青少年問題の協議会を設置することに相なつておりまするが、この協議の結果を実践するのにどういうような方法によつてなされるか。せつかく協議会で決定されましても、これが実行に移されなければ何にもならないと思いますが、そういうことに対してどういう見解を持つておられるか。
  80. 江口見登留

    ○江口政府委員 青少年問題協議会は、現在すでに総理府設置法の規定によりまして設けられておるのであります。今後これを法律に特筆することによりまして、この協議会の活動をもつと活発ならしめようと考えておるのでありまするが、現在までやつて参りました青少年問題協議会の実際の活動の面でございますが、それはお手元に差上げてある「中央青少年問題協議会設立経過及設立後の活動状況」という資料をごらんいただきますると、そこに書いてありまするように、第五回国会の衆参両院の青少年問題を十分慎重に扱わなければならぬという決議に基いて設立されたのでありまするが、昭和二十四年に設立を見ましてから後発足以来の活動状況が、二のところからずつと数十項目にわたつて記載してござ事。私ども内閣にもいろいろ審議会、委員会というものがございまするが、その中でも最も活動しておる委員会の一つであろう、かように考えております。毎月、一、二回は必ずこの協議会を開いておりまするし、それ以外のときにおいても、幹事会あるいは専門委員会というものを非常に活発に開いておるのでありまして、これと地方におきまするブロック協議会との連繋を活発にし、さらに都道府県あるいは市町村に設置されておりまする協議会との連繋を十分に保つて来たと考えている次第でございます。
  81. 大矢省三

    ○大矢委員 この協議会の構成は、中央においては二十五名以内、学識経験ある八九名以内ということになつておりまするが、これの実際の費用はどのくらいかかるのですか。ついでにお尋ねししますが、厚生省設置法の人口問題審議会―約四十人からなる委員会が設置されるのでありますが、この費用がわずかに八十五万です。これでは名目はこしらえますけれども、実際上はどうすることもできないのではないかと思うのであります。これはあとからお尋ねしますが、この協議会の費用はどのくらいかかるのですか。
  82. 江口見登留

    ○江口政府委員 二十七年度におきましては、この協議会直接の経費が百五十四万二千円になつております。それから二十八年度におきましては、百五十万五千円となつております。しかしこの青少年問題協議会全般の予算につきましては、その協議会費のほかに、指導者協議会費とかあるいは保護育成運動費とかいうものがございますので、二十七年度におきましては、合計二百四十九万一千円となつております。それに比較しまする昭和二十八年度の経費は、二百四十二万四千円となつております。多少事務費は減少いたしておりまするが、それ以外に、昭和二十八年度におきましては、地方公共団体の青少年問題協議会に対しまする補助金が二千万円計上されておりまするので、約二千万円程度は二十七年度よりも増額になつているということがいえると存じます。
  83. 大矢省三

    ○大矢委員 これは都道府県には経費の一部を補助するとありますが、都道府県だけで市町村にはないのかどうか、特に大都市―府県にひとしいような百万、百五十万の人口を持つておるところの大都市に対しては、今の法文によりますと、ないということになりますが、これはどういうふうな意味か、府県から割当るからそうしてあるのだ、こういうのか、御見解を伺いたい。
  84. 江口見登留

    ○江口政府委員 われわれといたしましては、都道府県のみならず、大都市あるいはその他の市町村に対しましても、国庫からの補助を支出いたしたいことはやまやまでありまするが、何分にも地方公共団体に対するこの問題についての補助金というものは、ようやく二十八年度から発足することになつたわけでございまして、最初の年度としましては、とりあえず都道府県の分から補助するようにして行つてはどうか、国費多端の際でもありまするので、その実績に応じて、大都市その他の市町村にまでこの補助を広めて行くという計画を第二段に考えてはどうだろう、こう考えましたので二十八年度はとりあえず都道府県だけに補助する計画にいたしております。
  85. 大矢省三

    ○大矢委員 この法案の運営については、二十八年度は単に府県のみに限つて、市町村は後日でいいということなんですか。それともこの法律に基いて、費用は都道府県のみにして、市町村にはこれをやらないということですか。それはあとまわしにしていい、従つて翌年は考えるが、今年は考える必要はない、こういうふうに考えられるわけですか。
  86. 江口見登留

    ○江口政府委員 現在におきましても、都道府県におきましては、全国の都道府県に青少年問題協議会ができております。市町村では大体六割くらいはもう設置いたしておるのであります。この法律では、この設置は義務設置ではないのでありまして、都道府県も市町村も任意に條例その他によつてこの協議会を置くことができるということにしてありまして、置く場合には、この法律で予定しておりますような機構をもつて置いてもらいたいというのが、この法案のねらいでございます。従いまして、とりあえず都道府県の方から補助を開始いたしまして、そうすれば、場合によりますれば都道府県の方で、あるいは市町村に補助するというようなことを考える都道府県もあるかとも存じまするが、国からの補助といたしましては、直接には二十八年度は都道府県だけというふうに一応いたしたのでございます。
  87. 大矢省三

    ○大矢委員 この六割はすでにできているということでありますが、こういうものは法文で明らかにして都道府県にはやるが、市町村には、何ら規定がないのであるから、結局やらぬでもいいということになりますが、それはいわゆる府県の任意にまかすことに相なると思うのです。これは法文を明らかに規定する必要があるのじやないか。それから特に五大都市は官治法によつて特別に扱われておるのでありまするが、今度の警察法の改正にも、七十万以上のところにはやはり国警と同一のものを置くことを得ると書いてある。そういうふうに五大都市で、一番小さな府県の七十万、鳥取、島根以上の人口を持つ大都市は、府県と同一応扱うということが原則である。従つてこれは明らかに五大都市をも含むとか、あるいは市町村にも適当に補助金を出すという規定を置くことが必要ではないか、この目的を達成するために、特に裏づけとして府県と同様に取扱うべきではないか、従つてこれは法文に明らかにすべきだと思うのですが、それに対するお考えをお聞きしたいと思います。
  88. 佐藤薫

    ○佐藤説明員 ただいまの御意見まことにごもつともでありまして、事務的なことを申し上げて恐縮でありますが、当初の案としましては、市町村に対しまして約三億二千万円、五大都市に対しましては約四百万円、都道府県に対しましては四千六百万円、こういうふうな考えで進んだのでありまするが、財政の都合でどうしてもできないので、ただいま副長官がお話しましたように、とりあえずことしは都道府県だけに補助金を出すことにいたしたのであります。しかし当初はそういう考えでありまして、将来は何とか早くそういう段階に持つて行きたいと考えております。  もう一つは、都道府県も五大都市ももちろん含めて市町村も全部任意でございまして、その中で、いずれも任意であるけれども、実際には、一番大事といえば少し言い過ぎでありまするが、国の出先機関が一番多いのは都道府県の段階であります。あるいはまた地方の出先とか、厚生関係、労働関係、いろいろの地方あるいは国の機関が最も錯綜しておる段階が都道府県である、こういうふうな点も考えまして、とりあえず都道府県だけに出すというふうにしたのでありまして、御質問の御趣旨にはまつたく同感でございます。
  89. 大矢省三

    ○大矢委員 厚生省設置法の一部を改正する法律案についてお伺いします。人口問題審議会に委員四十名、専門委員二十二名を置き、人口と生活水準、人口と産業構造、人口と資源、人口と受胎調節、人口の資質向上の五部門を置いて、これを重要な一つのデータとしていろいろ立案されるのであげましようが、この重要な人口問題を調査し、これを審議するにあたつて、審議会の費用というものが、委員手当として十五万七千円、これは一体何に使うのか。こういう四十人にわたる専門委員を除く委員で、しかも五つの部門を絶えず開くというような説明がありましたが、こういうものに対して委員手当が十五万円、総係費として八十一万円、会議費はわずかに五万円、これだけの費用で一体何ができるか。何かはかから流用されるのか、あるいはこれでできるならばどういうふうに使い、どういう手当を出すのかということ、旅費ももつとも二十万円ほど見積つておりまするが、ともかくこれだけ大きな重要な審議機関においてわずかに八十一万円というのは実際能率が上らぬ、ほんの形式だけだと私は思う。これは何かほかから流用して実費を出すのか、予算の八十一万円についてもつと詳しく説明を願いたいと思う。
  90. 小山進次郎

    ○小山説明員 ただいまお話になりました点は、そうお感じになりますことは、ごもつともだと思うのでありまするが、実はこの審議会でやります仕事は、これから新たに調査をしてするということではないのでございます。合問題ついてのいろいろな部分的調査と申しますか、基礎的な調査はすでに各方面でも行われておりまするし、また厚生省には今人口問題研究所という独立した機関がございまして、年来人口問題の研究をしております。予算で申しましても毎年一千五百万円前後程度の金を使いまして、組織から申し上げましても総務、調査という二部を持つておりまする非常に充実した研究機関でございます。世界でも国立の人口問題に関する研究機関を持つておりまするのは日本とフランスだけでございまして、そういう程度に調査機関については充実したものがあるのでございまして、これらの機関が中心になりまして年来人口問題の検討の基礎となるべきいろいろなデータについては調査をしているわけであります。現在日本で問題としておりまするのは、そういつた調査をどういうふうに意味づけて今後の政策を立てて行くかという問題であるわけであります。いろいろ部分的な調査があるが、それをどういうふうに読み、どういうふうに方向づけるか、たとえばよく一体政府は人口を抑制しようと思うのかどうかということをきわめて簡単にお尋ねになる向きがあるのでありますが、人口を抑制するかどうかということ自体は実は大問題でございまして、そういつた方向づけをして行くというためには、いろいろの討議をしていただかなければならぬ、そういうような今まで集まりました資料を整理し意味づけ、今後の方策を立てていただくということがこの人口問題審議会の任務になつておるわけでございますので、勢いこの審議会におきましては、そういつたいろいろの基礎資料の上に立つて御相談を願うということになります。委員手当というのは、これは文字通り委員手当でございまして、民間の委員の方々に年間幾らか車馬賃として差上げるという程度のものでございまして、それ以上のものを含んでおりません。それから委員調査旅費というのは、これは遠隔の地方から御出席を願わなければならぬ委員もございますし、また人口問題の基礎になつておりますいろいろの人口動態等について現地に出向いて調べてみたいこれはおもに受胎調節等の問題について起りがちなことでありますが、そういつたような必要があつた場合には、出ていただくために必要であろうというので組まれておる旅費でございます。それから庁費として組まれております四十一万円がごの審議会の主体をなす仕事に充てられるものでございまして、これで今まで部分的に調べられております資料を整備してとりまとめをしたり、あるいは審議会で御審議を願いました人口問題に関するいろいろの御意見をまとめて世間に頒布をする、こういうふうな使途に使うものでございます。従つて繰返して申しますと、この予算だけからごらんになりますと非常に少額であるというふうにお感じになると思いますが、ほかに人口問題研究所があり、またその他関係各省篤いてもいろいろの角度から調査をしておる資料がありまするので、それらと一体的に考えていただく場合、これで十分だ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  91. 大矢省三

    ○大矢委員 ほかのものがあるからこれでたくさんだと言われるのですが、これは委員の中で兼務される人があるのかどうか。それから十五万七千円と言えば、四十人に対して年額わずかに四千円足らずです、この四千円足らずの委員の手当で一体権威ある審議会ができるかどうか、あまりにも少額に過ぎる。ほかの審議会の設置に対してはこういうふうに具体的に予算が出ていない。ほかから流用しておるのかどうか私は存じませんが、この審議会に限つてこういう手当が少い。十五万七千円で、しかも四十人、これは専門委員は別でありますが、こういうふうになつておる。あるいは兼務をしていて必要のない人もあるかもしれない。しかしいずれにしても委員手当として十五万七千円というのは少な過ぎる。この審議会というものは日本の今後のあらゆる計画を立てる上に最も重要な基礎資料となるの下、あります。そういう重要な人口問題に対する審議会の委員が一年を通じてわずかに四千円くらいの手当では、一体どういう人が集まるか。私どもから言わせると、最も権威のある、非常にまじめに真剣にこれに精魂を打込んで研究しようという人に一年にわずか四千円の手当で一体何ができるか、これはほかで流用して、これ以外に実費として出す、単なる手当であるというのならば別でありますが、こういうふうに別個に予算を立てて、これを手当とするのだというのでは私は考えなければならぬと思いますが、何か方法があるのか、あるいはとりあえずこうしたので何かはかに流用の方法があるのか、それをひとつ官房副長官から伺いたいと思います。
  92. 江口見登留

    ○江口政府委員 私所管外でございますので、厚生省の責任者からお聞き願いたいと思います。
  93. 小山進次郎

    ○小山説明員 ただいま委員手当が非常に少いというお話がございまして、この点私どももまつたくさように考えております。ただこの点ごかんべん願いたいのは、大体政府の審議会等における委員の手当というものは一定の基準がございまして、特に多くする、少くするといつたことは非常に困難なのでございます。従つてこの審議会に限つて特に手当を増額するということはできないのでございます。従つてまた当然のことでございますが、予算の流用等によりまして、ほかから手当に類するものを支出するという考えはございません。これでやつていただく、こういうふうに考えて、おります。
  94. 大矢省三

    ○大矢委員 これ以上質問すると意見になりますから、あとでまた述べるごとにして質問はこれで終ります。
  95. 砂田重政

    ○砂田委員 説明員の方に申しますが、まだ政務次官がないらしいのですから、大臣にお伝えを願いたい。この間私ども全議員に対して全国の各県の赤十字社の支部から―支部長というのは大体みんな県知事ですが、その名前をもつて、事業資金を得るためにハイアライの法律案に賛成しろという電報がわれわれ議員のところに来ておる。私はハイアライがどういうふうに扱われるかということに意見も何もなかつたが、この電報を見て私は公憤を感じた。おそらくは日本赤十社がそういう指令を出して、各県の支部からわれわれのところにそういう電報をよこしたものだと思う。ハイアライというのは、御承知のごとく賭博の中でも最も非衛生的な集団であつて、六十メートルの壁に持つてつてボールをぶつけてばくちを打つが、そのばくちのてら銭がもらえるからこれに賛成しろという。丁半でもかぶでも、ばくちのてら銭がもらえるなら何でも賛成をするというような、道義のない、信念のない者が、赤十字社の中央の役員として全国の支部にこういう指令を出すというに至つては、これはさたの限りである。厚生省の予算の中には、日本赤十字社に対しては相当の支援をするだけの予算があると思うから、そういう信念のない人のやることに対しては、実行予算か何かで全部削つたらいいと思う。のみならず、白い羽だとか赤い羽だとかいう街頭で募集することもやめるがいい。役員が責任をとらぬ限りは、私はそういう募集をするところへ持つてつて、「これはハイアライ賛成者であります」と書いた看板を掲げてやりたいというぐらいに公憤を感じておる。日本の国の道義が頽廃して今日に至つたことは、これはわれわれの時代ではない。社会党内閣のときに競輪というものをこしらえたのが始まりりでる。そしてだんだんにばくちが多くなつて来た。こういうものは全部やめるべきものである。この間オリンピックに行く連中に競輪から金を寄付しようというたときに、さすがに青年のオリンピックの連中は、賭博の金をもらつては行きたくないというので、この金ですら拒絶したくらいである。一つの信念を持ち、信仰の力によつて赤十字というものはほんとうに私は完成して行くものでなければならぬと考えておるのに、ばくちのてら銭でも、事業資金がもらえるなら、ハイアライの賭博法に賛成しろなどということを各県知事に指令を出すに至つては、さたの限りである。われわれは全部の賭博をこれからやめなければならぬと考えておるのである。これはひとつお帰りになりましてから大臣にお伝えの上で、次の機会に一ぺんここへ出て来て答弁をしてもらいたい。私どもは非常な公憤を感じておる。けしからぬことで、そういう賭博行為に賛成して、今日の道義頽廃の時代に、一層若い人々をそういう中に巻き込むようなことに赤十字社が賛成をするなら、この赤十字に対しては、もはや国の力をもつて支援するなどということは全部やめるべきものだと、こう考えておるのであります。これについでは、お帰りになつてお伝えの上、大臣からひとつこの席で答弁をいただきたいと思う。
  96. 小山進次郎

    ○小山説明員 お話とくと拝承いたしました。確実にお伝えいたします。
  97. 富田健治

    富田委員長代理 砂田委員の御発言に対しましては、委員長としましても善処いたしまして、大臣が出るようにいたしたいと思いますから、さよう御了承願います。  続いで栄典法案につきましての審議の問題ですが、本日は官房長官さしつかえがありまして出席いたしかねますので、本案に対しまする審議は次会に譲りたいと存じます。  なおこの際お知らせ申し上げます。かねて委員長に御一任願つておりました恩給法の一部を改正する法律案についての公聴会の問題でありますが、この開会日時は来る十一日水曜日並びに十二日木曜日の両目の午前十時より開くごとにいたしたいと存じます。     ―――――――――――――
  98. 富田健治

    富田委員長代理 なお理事でございました井手以誠君委員辞任せられまして、再び委員になられましたので、同君を理事に御指名いたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 富田健治

    富田委員長代理 御異議なければ、さよう決します。  それでは本日はこれまでといたします。次会は明日午前十時より理事会、十時半より委員会を開くごとにいたしたいと存じます。これにて散会いたします。     午後零時十七分散会