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1953-03-02 第15回国会 衆議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月二日(月曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 船田  中君    理事 熊谷 憲一君 理事 富田 健治君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 大矢 省三君    理事 井手 以誠君       大西 禎夫君    岡田 忠彦君       砂田 重政君    田中 萬逸君       橋本 龍伍君    森 幸太郎君       粟山  博君    吉田 賢一君       辻  政信君  出席政府委員         総理府事務官         (大臣官房賞勲         部長)     村田八千穗君         総理府事務官         (行政管理庁統         計基準部長)  美濃部亮吉君         保安政務次官  岡田 五郎君         保安庁次長   増原 恵吉君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         保安庁保安局長 山田  誠君         保安庁人事局長 加藤 陽三君         保安庁経理局長 窪谷 直光君         保安庁装備局長 中村  卓君         法務政務次官  押谷 富三君         検     事         (法務省矯正局         長事務代理)  高橋  孝君         厚生政務次官  越智  茂君  委員外出席者         保安庁長官官房         総務課長    山上 信重君         保安庁長官官房         法規課長    麻生  茂君         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ――――――――――――― 二月二十八日  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三二号) 同月二十七日  軍人恩給復活に関する請願町村金五君紹介)  (第三〇五三号)  同(坊秀男紹介)(第三〇五四号)  同(大村清一紹介)(第三〇五五号)  同(勝俣稔紹介)(第三〇五六号)  同(足鹿覺紹介)(第三〇九三号)  同(北れい吉紹介)(第三〇九四号)  同(加藤常太郎紹介)(第三〇九五号)  奄美大島教員及び公務員恩給支給に関する請  願(池田清紹介)(第三〇五七号) 同月二十八日  軍人恩給復活に関する請願外一件  (臼井莊一君紹介)(第三一五七号)  同(楢橋渡紹介)(第三一五八号)  同(足鹿覺紹介)(第三一八八号)  同外五件(町村金五君紹介)(第三二四二号)  同(小金義照紹介)(第三二四三号)  奄美大島公務員恩給等に関する請願床次徳  二君外九名紹介)(第三一五九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公聴会開会承認要求に関する件  保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出第  五五号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第五八号)  統計法の一部を改正する法律案内閣提出第六  三号)  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九七号)     ―――――――――――――
  2. 船田中

    船田委員長 これより内閣委員会を開きます。  本日は公報をもつてお知らせしておきました通り栄典法案保安庁法の一部を改正する法律案法務省設置法の一部を改正する法律案統計法の一部を改正する法律案青少年問題協議会設置法案厚生省設置法の一部を改正する法律案及び恩給法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより法務省設置法の一部を改正する法律案及び統計法の一部を改正する法律案の二案につき討論採決を行います。  討論は省略し、ただちに採決を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 船田中

    船田委員長 御異議ないようでありますから、さよう決します。  これより採決を行います。法務省設置法の一部を改正する法律案及び統計法の一部を改正する法律案、右両案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  4. 船田中

    船田委員長 起立総員。よつて両案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたしますが、一日採決いたしました両法案についての委員会報告書の作成については、委員長に御一任をお願いいたします。     ―――――――――――――
  5. 船田中

    船田委員長 次にお諮りいたしたいことがございます。恩給法の一部を改正する法律案につきましては、公聴会を開きたいと存じますが、この旨議長に申し出て承認がありましたら公聴会を開くこととし、開会日時、人選などについては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 船田中

    船田委員長 御異議なければさよう決します。     ―――――――――――――
  7. 船田中

    船田委員長 次に、保安庁法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。井手以誠君
  8. 井手以誠

    井手委員 私は前会、長官に対してぜひ質問したい。また長官でなければお伺いできにくいような次第になつておりましたので、出席を要求いたしましたが、本日もまだお見えになりませんので、長官にお尋ねする以外の部分についてお尋ねいたしたいと思います。  前会お尋ねいたしました保安庁装備の全容、アメリカから買い入れた武器弾薬内容の詳細を承りたいと考えております。先日大臣と相談の上に後刻お答えするという御答弁になつておりましたので、どういう結果になりましたか。もし御了解が得られておれば、この機会に装備の全貌を御発表いただきたいと存じます。
  9. 上村健太郎

    上村政府委員 米軍から借りております武器の種類、数量につきましては、次の通りでありますので申し上げたいと思います。  自動拳銃九千八百、騎銃等七万四千、短機関銃二千百、小銃二万四千、自動小銃三千二百、軽機関銃八百八十、重機関銃千五百、二・三六インチ・ロケット発射筒五千、三・五インチ・ロケツト発射筒四百四十、六十ミリ迫撃砲三百八十、八十一ミリ迫撃砲四百七十、百五ミリ榴弾砲二百十、百五十五ミリ榴弾砲六十五、ハーフ・トラック二百五十、特車百九十、そのほかに浜松に来ております軽飛行機三十六機でございます。
  10. 井手以誠

    井手委員 大体わかりました。そこでお尋ねいたしますが、そういう武器はどういう方法で借り入れられておりますのか。その方法内容を承りたいと存じます。
  11. 上村健太郎

    上村政府委員 現在はこの武器保安庁において正式に借り入れておりませんので、ただ各駐屯地部隊におります米軍将校がこれを管理しておりまして、事実上その部隊隊員使用させてもらつておる。こういうような状況であります。
  12. 井手以誠

    井手委員 これはまた意外のお答えを得たわけであります。その点についてさらにお尋ねしたいと思いますが、その前にお尋ねしたいのは、そういう武器の返済についてはどういうふうにお考えになつておるか。ものによつて修繕して返すという話合いができておるのかどうか、どういうふうになつておるかお尋ねいたしたい。
  13. 上村健太郎

    上村政府委員 破損、破壊等をいたしました場合に返還するという約束はついておりません。
  14. 井手以誠

    井手委員 破損した場合などは返還する約束はついてないということですが、そうしますと貸与に関して返還あるいは原形復帰、あるいは修繕ということについては何にも話合いはいたしておりませんのか、お尋ねいたします。
  15. 上村健太郎

    上村政府委員 現在のところこちらの保管に移つておりませんので、損壊いたしました場合におきましても、向う保管将校責任において修理もして行くわけであります。
  16. 井手以誠

    井手委員 重ねてお尋ねいたしますが、それではそういつたことについて何らとりきめがないのか、話合いになつておらないのか、お伺いいたします。
  17. 上村健太郎

    上村政府委員 現在、先ほど申し上げました通りに各駐屯部隊におります米軍将校保管をいたしまして、私ども保安隊員が使わせてもらつておるのでありますが、そういたしますと米軍の個人の将校保管責任が個々になりまして、先方で非常に困るというような話もございますし、一括いたしまして保安庁が借り受けたい、こういう交渉を現在米軍との間で行つております。
  18. 井手以誠

    井手委員 一括して借り受けたいということはわかりましたが、先刻もお尋ねしますように返還であるとか、修繕であるとかについてのわが方の支出、そういう方面について何かお話合いはないかということをお尋ねしておるわけであります。
  19. 上村健太郎

    上村政府委員 現在向う駐屯地部隊におります米軍将校管理にございますので、部品だとかその他も先方が持つて参りまして修理をいたしております。ただ多少の小修理保安庁予算の範囲内におきまして当方でしておるのもございます。
  20. 井手以誠

    井手委員 もう一点、根本問題を聞く前にお尋ねするのは、一部のものは当保安庁修理をいたしておる、こういう御答弁であります。くどいようですけれども返還する場合の修理をしなくちやならないという向うとの話合いはいたしていないかということを、もう一ぺんお伺いいたします。
  21. 上村健太郎

    上村政府委員 修理につきましては部品等その他向うから参りまして、こつちがとりつけ程度のことをいたしておるものはございますけれども、こちらで修理するという約束は全然ございません。
  22. 井手以誠

    井手委員 わかりました。  そこでお尋ねいたしますが、会計法の二十九条に、「各省各庁において、売買、貸借、請負その他の契約をなす場合においては、すべて公告して競争に付さなければならない。但し、各省各庁の長は、競争に付することを不利と認める場合その他政令で定める場合においては、政令の定めるところにより、指名競争に付し又は随意契約にすることができる。」かようにはつきり規定されておるのでありまして、保安庁のただいまの武器借入れは、会計法第二十九条による貸借だと考えられるのであります。従つて随意契約書ができておらねばならぬだろうと思うのであります。その点についてその随意契約書内容を御提示願いたいと思います。
  23. 上村健太郎

    上村政府委員 有償でございませんし、そういうような契約は必要ないと存じまして、いたしておりません。
  24. 井手以誠

    井手委員 これは官房長からそういつた答弁を聞くのははなはだ意外でございます。官庁においては有償であろうと無償であろうと、必ず契約書がなくては借入れはできないはずだと私は考えております。会計法二十九条によつても明らかであります。役所にお勤めの方は十分御承知と思います。契約書がなくて借りられるものではないのであります。ただいまの御答弁ではそういうものがないというお話ですが、これははなはだ意外です。もう一回お尋ねいたします。
  25. 上村健太郎

    上村政府委員 先ほどから繰返して申し上げた通り、現在借入れをいたしておらないのでありまして、先方保管しております武器を事実上使用さしてもらつておるという状況でありますし、また有償でございませんので、会計法には抵触いたさないものと考えております。
  26. 井手以誠

    井手委員 ますます私は意外なことを聞く。官庁がかつてに民間あるいはよそといろいろな契約をする場合に、あるいは契約でなくても借り入れたりなんかする場合に、貸借契約せずに借り入れるということはあり得ないと思う。随意契約の中に当然そういう契約があるべきだと考える。そういうふうにかつて役所が借り入れられるものではないはずであります。私どもはその点は会計法違反だと考えます。もう少し御研究して御答弁を願いたい。
  27. 上村健太郎

    上村政府委員 繰返し申し上げておりますが、借入れいたす場合においては、契約は必要かとも存じます。私主管局長でございませんので、契約内容をどういうふうにするかということは、はつきりは申し上げかねますけれども借入れをいたします場合につきましては、契約はいるかと存じますけれども、まだ正式借入れの手続もなつておりませんし、借入れもしておりませんので、会計法に抵触することはないと考えております。
  28. 井手以誠

    井手委員 便法上簡単なものを契約書をとりかわさないでやることはあり得るかもしれませんが、いやしくも特車百九十台その他たくさんの武器を借り入れるのに、契約もせずに借り入れる、あるいは使うということは常識では考えられない。この点については会計法違反だと考えております。私はさらに追究をいたしたいと思いますが、当局の方もあまり研究も進んでいないようでありますので、後日あらためてここで御質問申し上げたいと考えております。  なおついでにお尋ねいたしたいと思いますが、この借り入れられました特車百九十台ほか多数の武器日本で製造すればどのくらいの時価になるか、その点を念のためにお聞きいたしておきたいと考えます。
  29. 中村卓

    中村(卓)政府委員 お答えいたします。たまその他の消耗品的なものを除きまして、新しくつくりますと、おおむね二百億くらいになるのじやないかと思つております。これは向うの雑誌その他に出ておりました一応の基準を、ドル価格を三百六十円で換算したものであります。
  30. 井手以誠

    井手委員 そうしますと、二百億と申しますのは、特車あるいは榴弾砲その他先刻お述べになりました武器数量の総合計であつて消耗品は品は別だということになりますか、いま一ぺんお伺いいたします。
  31. 中村卓

    中村(卓)政府委員 さようでございます。
  32. 井手以誠

    井手委員 消耗品についてはどの程度のものであるか。昨年中の実績があれば、実績でもけつこうでございます。あるいは二十七年度の使用並びに今後の使用見込み数量、そういつた一箇年の消耗品時価を承りたいと存じます。
  33. 中村卓

    中村(卓)政府委員 これはまだはつきりとした数字を実は確かめておらないのでございますが、一応の推定で申し上げますと、大体三百億から四百億程度じやないかと考えております。
  34. 井手以誠

    井手委員 前回の委員会以来の質疑応答によると、軍隊でない保安隊アメリカ戦車学校に入隊させるとか、あるいはこれだけの厖大武器を借りながら、契約書もかわさずにやつておる。その他防衛費自衛軍問題等でいろいろと私はお尋ねしたいことがたくさんあるのであります。しかしそれについて長官の御出席を願わなくては、どうしてもらちがあきませんので、長官がお見えになるまで質問を保留いたしたいと考えます。
  35. 大矢省三

    大矢委員 ちよつと関連して。今発表になりました武器については、これはまだアメリカ軍管理しているから、従つて何らの契約がないのだという答弁であつたのですが、一体保安隊並び警備隊で、日本独自に、日本が何ら外国の干渉を受けずに、そうしたものをどれくらい持つておるか、一つもないのですか。ただ人員だけで、武器はよそのそういうものを無償で借りて、しかもその管理向うがやつており、実際こつちは何もない保安隊ということになるのですか。これはどうなんですか。  いま一つは、向う管理しているから何らの契約はない、無償だと言いますが、せんだつてここで可決されましたフリゲート鑑貸借というものは契約があると思います。あれはいわゆる原形に復して返す、もし沈んだ場合には新造して返さなければならぬ。一体フリゲート鑑一隻日本でもしつくるとするならば、どのくらい金がかかるのか、ひとつ参考までにお聞きしたい。
  36. 中村卓

    中村(卓)政府委員 いわゆる殺傷兵器と申しますか、そういうものは大体こちらで調弁しているものはございません。わが国で調弁しておりますものは、車両とか通信機とか、そういうものでございます。
  37. 大矢省三

    大矢委員 車両とか通信機というもので、実際はせんだつて辻さんが言われたように、野党はみな軍隊だ々々々と言うけれども、あれは軍隊でも何でもないのだということが、われわれそれでよくわかるのですが、現に何もない。これは仮定の問題でどうなるか知らぬが、アメリカさんがもしつむじを曲げて、向うの言う通りにならなければ引揚げると言つたら、あれだけ厖大予算をとり、そしてあれだけの人員を持つていて、何もないということになる。ただ借りているのは契約によるいわゆるフリゲート艦その他のものであつて、実際は保安隊には何もないということになる。あるいはいわゆる輸送のぼろ自動車くらいなもので、あとは何もないことになるが、それは一体どうなんですか。私はそれは自由に使えるものだ、そういう契約があるものだと思う。それからフリゲート艦をもし原形にして返すという場合には、どのくらいかかるのか。
  38. 中村卓

    中村(卓)政府委員 今これから新しくつくりますとなると、はつきりわからないのでございますけれども、当時つくりました場合は、PFが二百五十四万二千ドルということに伺つております。LSは五十五万二千四百ドルということになつているようでありますが、現在は大分消耗しておりますし、先例等から考えますと、時価にいたしましてPFの方は約五億円くらいではないか、それからしSは一億五千万円くらいではないか、こういうふうに考えております。
  39. 大矢省三

    大矢委員 それではこういうことになるのですか。今の時価で返すわけじやないのです、原形にして返せというのですから新規にして返すので、今の見積りを聞いたのではないのです。もし破損した場合、あるいは沈没した場合には、原形にして返すということでございますから、厖大な金がかかる。しかも私、この間見学したのですが、ボロ船です、いつ何時こわれるかもしれない、それをまつさらにして返すという契約をどうしてしたのですか。時価にして弁償するなら別だけれども原形にして、新しくして返すということになつています。
  40. 上村健太郎

    上村政府委員 条約によりますれば、新しいものにして返すということではございませんので、その当時の状況使つて古くなれば古くなりました状況に回復いたしまして返すということになつております。従いまして新造のような経費はかからぬと思いますが、沈没いたしますれば、やはり現在  一隻五億円くらいの補償はしなくてはならぬと考えております。
  41. 大矢省三

    大矢委員 それはそのときにきめるのですか。価格はなんぼ消耗しているから、今だつたら幾ら弁済したらいいのかということで大体それが確定されているのか、そのときに双方立ち会つてされるのか。
  42. 上村健太郎

    上村政府委員 これは両国の外交交渉によりまして双方立会いの上、決定することになるわけでございます。
  43. 船田中

  44. 辻政信

    ○辻(政)委員 きようは首脳部がお見えになりませんからつつ込んだことは後日に延ばしまして、概略だけをお尋ねいたします。  第一には、御承知通り保安庁法の第四に保安庁任務を示されておるので、その最も特色とするところは、「保安庁は、わが国の平和と秩序を維持し、」という言葉があります。これは警察法にはないことであります。ちようど軍隊があつて日本の平和と秩序を維持しておつたと同じような大きな使命をここにうたつております。しからば警察と近い、元の軍隊に似たような大きな使命を持つた保安庁というものが、この第四条の任務を遂行する上においては、当然任務遂行の基本的な計画というものがなければならぬと思います。それを現在お持ちになつておるかおらないか、内容は別にしてあるかどうかということをお聞きいたします。
  45. 山田誠

    山田政府委員 持つております。
  46. 辻政信

    ○辻(政)委員 これはこの席で承ることはできないとして、他日承ることができますか。
  47. 山田誠

    山田政府委員 できます。
  48. 辻政信

    ○辻(政)委員 しからばその編成はその防衛計画に合うようにできておりますか。
  49. 山田誠

    山田政府委員 できております。
  50. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の見たところでは、今日の編成というものは必ずしもそうではないのです。その例を申し上げますと、林総監の持つておられる幕僚というものは米軍の一野戦司令部編成とよく似ております。おそらく御承知だろうと思います。そのほかに北部方面隊第一、第三管区隊、この編成内容を詳しく示されませんが、お示しになつ数字から見ると、米軍の戦時の野戦師団編成とよく似ておる。日本国内の平和と秩序を守るということが保安隊使命であるとすれば、その編成がかくのごとく幕僚も、実行部隊米軍野戦軍と似通つた編成がいいとお考えになるのか。
  51. 山田誠

    山田政府委員 現在のままでけつこうと考えております。
  52. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでいいとお考えですか。
  53. 山田誠

    山田政府委員 はい。
  54. 辻政信

    ○辻(政)委員 訓練ははたして目的に合うように行われておるとお考えですか。
  55. 山田誠

    山田政府委員 目的に合致しておると考えております。
  56. 辻政信

    ○辻(政)委員 私が直接見学したところによると全然目的と反対の訓練をおやりになつておる。その一例を申し上げますと、これは週間朝日にも出しましたけれども、新町の特車連隊教育予定表皆さんごらんなつたことはないか。大部分の時間はわれと同じ装備を持つた敵に対する攻撃じやないか。日本国内と平和と秩序を維持する、いわゆる間接侵略に対しての安寧秩序を維持するという国内防衛という訓練は薬にしたくもない。あの訓練計画であなたはいいとお考えでありますか。
  57. 山田誠

    山田政府委員 けつこうと考えております。
  58. 辻政信

    ○辻(政)委員 けつこうと考えられる。しからばさらに一歩つつ込んで伺いましよう。部隊突撃訓練ごらんになりましたか。
  59. 山田誠

    山田政府委員 見ております。
  60. 辻政信

    ○辻(政)委員 どういう突撃をしておりますか。
  61. 山田誠

    山田政府委員 任務達成訓練とし、てやつております。
  62. 辻政信

    ○辻(政)委員 あれは日本国内の平和と秩序を維持するための訓練見えない。鉄砲を持つたままゆつくりゆつくり歩いて行く。兵に聞くと、あの陣地は無尽蔵の弾薬によつて根底からくつがえしてしまつたという想定だ。われわれはそれを拾いに行けばいいので、昔の日本突撃と違う。こういうことを考えている。しかも砲弾はどうか、調べてみると射撃用のたましか渡つていない。日本にはその砲弾を支給すべき施設がない。これはアメリカが一平方メートルに何トンという鉄量を落す、そのアメリカ戦法そのものをとつて来て現在の保安隊がやつているのに、それでもあなたは保安隊任務達成の、国内の平和と秩序を維持するための訓練とお考えになつているかどうか。
  63. 山田誠

    山田政府委員 さように考えております。
  64. 辻政信

    ○辻(政)委員 そう考えておるとすれば頭がどうかしているじやありませんか。日本国内共産党暴動が起つたというときにあれだけの砲弾鉄量をもつてたたき上げて、アメリカと同じ突撃をやつていいと思つたならば、これは常識じやありませんな。
  65. 山田誠

    山田政府委員 御意見は十分に伺つておきます。
  66. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の意見じやない、あなたはあれをもつて正しいと思つているかどうか。
  67. 山田誠

    山田政府委員 正しいと思つております。
  68. 辻政信

    ○辻(政)委員 正しいと思つている、それについては……。
  69. 船田中

    船田委員長 辻君、私語を禁じます。どうぞ委員長をお呼びくださつて御発言を願います。
  70. 辻政信

    ○辻(政)委員 官房長から伺いますが、あなたも同じですか。
  71. 上村健太郎

    上村政府委員 先ほど共産党に対するというお話がございましたが、保安庁目的といたしますところは、共産党というものに限定しておりません。
  72. 辻政信

    ○辻(政)委員 第四条をごらんになると、「わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動するこれが保安隊である。そうしてあのような訓練をやつている事実は、無尽蔵の弾薬をもつて相手の陣地を耕しておいて、それを拾いに行くという根底に立つた訓練がいいかどうか。
  73. 上村健太郎

    上村政府委員 保安庁目的といたしますところは、先ほどお述べになりました第四条に規定してありますところでございます。国内に大きな内乱騒擾等暴動が起りました場合、これはただ単に日本国内の一部の力のみによるというふうには限らないと思う。他の第三国の援助によりまして起る場合もありましようし、また極端な場合を考えますれば、スペインの内乱というような事態も全然予想できないことはありません。私どもといたしましては、普通の状態においては警察がやりますが、あらゆる情勢を想定いたしまして対策を講じている次第でございます。
  74. 辻政信

    ○辻(政)委員 あの突撃朝鮮戦争における予行演習と私は見ている。保安庁法第四条の任務達成とはおよそかけ離れておると思いますが、これはいずれほかの隊を見学した上でもう一ぺんこの問題は聞きます。ことに大臣にじかにお聞きいたします。  それから現在保安隊の持つておる装備というものは、第四条の目的を達成するのに適当しておるというお考えかどうか。
  75. 上村健太郎

    上村政府委員 必ずしも十分であるとは申しませんけれども、現在の限りにおいては適当であると考えておる次第であります。
  76. 辻政信

    ○辻(政)委員 しからば現在持つておる二十トン戦車は、第四条の目的を達成するために適当なものであるというお考えですか。
  77. 上村健太郎

    上村政府委員 現在の治安情勢をそのまま継続して行くというふうに考えますれば、非常に過大な装備であるというふうに一般に考えられますけれども、将来のことを考えまして現在からその訓練をする必要もございますし、将来を想定いたしました場合には、過大な装備であるとは考えておりません。適当であると存じております。
  78. 辻政信

    ○辻(政)委員 二十トン戦車は朝鮮の戦争に持つて行きますと、ソ連の三十五トン戦車にもろくも敗れて、いくさの役に立たない、いわゆる対外防衛には価値のないものであります。しかららば対内の行動はどうか、共産党その他の不穏分子が暴動を起した場合は、あの二十トン戦車を持つて行きますと、国道以外の橋梁はみな落ちてしまいます。国内警備には不向きと私は考えるのであります。真に日本を外敵の侵略に対して防ごうという建前ならば、少くとも三十五、六トン級の戦車を必要とするし、そうではない内敵、国内の治安というならば、五、六トンの軽装甲車の方が行動が自在であつてはるかにいいのであります。それについてどういう御見解でありますか。
  79. 上村健太郎

    上村政府委員 お説の通り理想的な装備であるとは考えておりません。しかしながらあらゆる事態を想定いたしましたときに、現在程度装備は必要であり、適当であると存じておる次第であります。
  80. 辻政信

    ○辻(政)委員 しからばさらに小さく区切りまして、歩兵中隊で持つておる銃を見るに、ライフル銃、カービン銃の二種類がある。その口径は異なつておりまして、弾薬は二種類の弾薬を使わなければなりません。あの基本的装備小銃において、これは日本の過去の軍の装備をお考えになるとすぐわかるのでありますが、二つの種類の弾薬を使う銃が一つの中隊にあるということは理想かどうか。
  81. 上村健太郎

    上村政府委員 これもお説の通り、理想であるとは思いません。将来におまして保安隊の持ちまする武器につきましては、財政の許す限りあるいは国内生産上の力の許す限りにおきましては、つくつて行かなければならぬと思うのでございます。
  82. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の見たところでは、先ほどお示しになつ装備の種類と数量を見ましても、あれは率直に申して、アメリカの廃品になつた兵器の展覧場というような感じがいたします。この前の戦争で使つてどうにもならない古ぼけたものである。捨てるのも惜しいから、日本保安隊に貸してやれ、こういうものだとしか見えない。日本の国を国外の敵に対して守る。しからば日本の国情、日本の地形、道路網あるいは日本の兵隊の体格、あるいは装備、戦法、こういうものを自主的にあなた方が研究をなさつてアメリカに対して堂々と筋の通つた要求をするのが建前である。くれるものなら何でももらえというのでは、日本保安隊は健全な発達はいたしません。この点についての御所見はどうでありますか。
  83. 上村健太郎

    上村政府委員 先ほども申し上げます通り、現在のわが国の国力との見合いもございまして、努力はいたして参りたいと存じております。お説の通りだと存じます。
  84. 辻政信

    ○辻(政)委員 努力するということは、アメリカに対して強く要求しなければならぬのですが、その意思と用意がありますか。何でもいいからくれるものをただおじぎをしてもらうだけじやいけない。
  85. 上村健太郎

    上村政府委員 そういうような、何でもくれるからもらうのだというような折衝にはなつておりませんので、こちらからも要求もしておりまするし、先方の言いなりになつておるという次第ではありません。
  86. 辻政信

    ○辻(政)委員 それではなぜ特車のごとき、あるいは小銃のごとき、こういうものを黙つてもらつて、辞退しないか。
  87. 上村健太郎

    上村政府委員 特車は現在はいらないのだということは申し上げなかつたつもりでございますが、現在の情勢におきまして、やはり訓練にも、また演習にも持つことが望ましいというふうに考えまして、使用さしてもらつておるわけでございます。
  88. 辻政信

    ○辻(政)委員 バズーカ砲にしても二種類、重機関銃は水冷と空冷と二種類、軽機関銃も二種類、迫撃砲も二種類、こういうものも依然として続けて行くつもりか、あるいは積極的にこちらの必要なものを自主的に要求されるつもりですか。
  89. 上村健太郎

    上村政府委員 御説のように自主的に要求して行くつもりでございますし、現在もそういう折衝をいたしております。
  90. 辻政信

    ○辻(政)委員 自動車はどうです。あの編成は自動車編成が主体となつておる。詳しい編成表はお示しになりませんからわかりませんが、大体私の想像では一個師団の車両数が、米軍編成装備では二千五百になつておりますが、それをまたまねされるのではないかと思う。ガソリンを持つておらぬ日本において、しかも道路の発達しない日本において、アメリカの二千五百両一個師団という編成装備では国内では糞づまりになつてとうてい動けない。国内装備ということを重点にするならばそれよりも自転車装備がいい。そういう装備の問題についても御研究なさつておるかどうか。
  91. 山田誠

    山田政府委員 研究いたしております。
  92. 辻政信

    ○辻(政)委員 装備はそのぐらいにしまして、しからば衛生機関について伺いたい。この前にちよつと御質問しましたが、私はこの前新町の特車連隊を見学に行きまして驚いたことがあります。それは午後八時ころに医務室に行きましたところが、三十九度五分という高熱患者が二人入つてつた。それに対して医者が外出していておらない。いわゆる衛生兵に相当する者はおりまじたけれども、何ひとつ手当をしていない。私が頭を冷やした。そうしてすぐ軍医を呼びに行つたところ、軍医は新町に遊びに出て夜の十二時ごろに帰つて来たらしい。午前三時ごろに私が起きて、また医務室に行つた。先ほどの兵隊はどうなつておるかと頭に手を当ててみると、やはり三十九度五分以上の熱を出してうなつておるが、帰つて来たお医者さんがその兵隊を午前三時ごろになつても診断していない。そこで医者を呼んで尋ねてみると診断したという。その隊員に聞くとまだ受けていないでうなつておる。しかもはなはだ心外なことは、あそこに今まで収容されておる隊員の患者に対して、熱計表がつけられていない。脈搏の表もとつていない。こういう医者が全国におるか。世界におるか。かくのごとき親切な状態において、われわれの青年を保安隊に安心して預けられると思つておられるかどうか。
  93. 加藤陽三

    加藤政府委員 新町の部隊における先ほど仰せになりましたお話は、私も承知しております。結論から申し上げますると、私どもも多くの日本の子弟を預かつておる者といたしまして、衛生の状態につきましては、ほんとうに親心を持つてやらなければならないということは重々承知いたしております。ただ御承知かと思いまするが、ただいまの状況におきましては、医者がなかなか思うように集まりません。現在四百数十名の定員に対しまして、二百十名足らずの医者がおるだけでございます。集まらないことにつきましてもいろいろ研究もし、考えおるのでございまするけれども、何と申しましても医者の社会的地位というものは相当に高く、これを獲得するということは容易ならぬ努力を要するのでございまして、厚生省所管の方の国立病院におかれましても、この点については困難を感じておられるようでございます。私どもは厚生省方面とも連絡をとり、また各関係の医者の団体等にもいろいろお願いをいたしまして、極力この獲得に努めておるのでございますけれども、思うように参つておらないような実情で、まことに申訳なく思つておるのでございます。しかし若い医官の諸君の中には、一つには今まで保安庁に衛生の研究施設や病院というものがないという、魅力を感じないというお話もあつたのでございますが、この点は二十八年度の予算におきまして、東京、福岡、札幌を初め数箇所に病院を建設するという計画を持つておりまするので、こういう方面の困難は若干打開できるのではないかと思つておるのでございます。なおその他の給与の点につきましても、まだ十分ではないと思つておるのでありまして、この点につきましてはさらに一層の努力をいたしまして、最初に申し上げましたような親心をもつて若い隊員をお預かりし、衛生施設を完備して行くように努力いたしたいと思つております。
  94. 辻政信

    ○辻(政)委員 現在の衛生学校長はどなたでしようか。
  95. 加藤陽三

    加藤政府委員 衛生学校長は現在欠員でございまして、ただいま松野という医官が学校長の事務を取扱つております。
  96. 辻政信

    ○辻(政)委員 その人はお医者さんですか。
  97. 加藤陽三

    加藤政府委員 医師の免許状を持つておるものでございます。
  98. 辻政信

    ○辻(政)委員 加納という人が兼任なさつておりましたね。
  99. 加藤陽三

    加藤政府委員 お話になります加納というのは、おそらく幹部学校長をし、ておつた加納君であろうと思うのであります。これには当時いろいろな事情がございまして、衛生学校長をきめかねる困難な内部事情がございましたので、一時衛生学校長に公認の適任者を得るまでということで、幹部学校と同じ場所に衛生学校がございますので、幹部学校長に兼任をさせておつたような事情であります。
  100. 辻政信

    ○辻(政)委員 その辺にこの衛生施設を軽視される人事が現われておるのであります。ほんとうに親心をもつて病人をなおしてやろうという意思があつたならば、一人や二人の衛生の専門家が得られない道理はないと思う。これを得ようとしておらない。  そのほか施設について見ますと、針尾の病院は私の調査では百ベット、福山病院は三百ベット、久里浜病院にも若干ありますが、これらはいずれも総合病院でない。ただ結核療養所程度のものであるが、現在そこにどのくらい収容されておりますか。
  101. 加藤陽三

    加藤政府委員 ただいま私の方の病院といたしましては、御指摘になりましたように、針尾に百床、広島県の福山に二百床ございます。あとは各駐屯地にそれぞれ簡単な休養施設程度のものを持つておるわけでございます。福山の方は百数十人の患者を収容しておると聞いております。針尾の方はただいま正確な数字を持ち合せておりません。
  102. 辻政信

    ○辻(政)委員 昨年末の私の調査では、針尾の入院患者は一名でした。百ベッドを持ちながら、病院の設備はあるけれども、入る者がない。なおすことができない状態です。それから昨年末の私の調査では、約一千名の結核患者が、いわゆる自宅療養をやつております。これに対してどういう措置を講じられておるか。
  103. 加藤陽三

    加藤政府委員 針尾の方も福山の方も、いつお調べになりましたのか存じませんけれども、私どもといたしましては、極力着々と収容施設を準備いたして参りました。準備ができ次第、患者を逐次収容して行くようにいたしておるのでございます。結核患者の自宅療養者につきましては、私どもといたしましては毎年定期の健康診断をいたしまして、レントゲンによる集団検診もいたし、結核患者を発見いたしました場合におきましては、まず現在のところにおきましては、病院には病床が少いものでございますから、国立の病院その他の病院に委託をいたすことを旨といたしております。ただそれに十分収容いたすことができない場合におきましては、自宅療養を認めておるのでございます。自宅療養の際におきましては、関係の医者と連絡をとらせまして、その医者から診療してもらうということにいたしております。
  104. 辻政信

    ○辻(政)委員 しからば人事について、若干お伺いしますが、現在の保安隊の幹部には、内務官僚、警察官僚、それから正規の陸海軍将校その他が入つておるのですが、人事権を持つておられるG1及び物資調達面に、元の軍人関係は入つておりますか、入つておりませんか。
  105. 加藤陽三

    加藤政府委員 保安隊のことをお尋ねであろうと思いますが、第一部におきましては軍人の者も入つております。物資調達関係とおつしやると非常に範囲が広いので、どこを指してお尋ねになつておりますか、私の答えが的をはずれておるかもしれませんが、もちろん物資調達関係の方にも旧軍人の方々がおられますし、他の役所からかわつて来られた方、民間からかわつて来られた方、いろいろな方がおられるのであります。
  106. 辻政信

    ○辻(政)委員 G1に旧軍人関係の入つておる例をあげてください。私の調査では一人もおりません。実際の名前をあげてもらいたい。だれが入つておるか。あなたは人事局長だから、わかつておるでしよう。
  107. 加藤陽三

    加藤政府委員 わかつております。第一部の副部長は和田君、これは元の陸軍中佐でございます。
  108. 辻政信

    ○辻(政)委員 そのほかに入つておりますか。
  109. 加藤陽三

    加藤政府委員 第一部の方には、私の知つておる旧軍人の一番階級の高い方は、和田君でございます。そのほかに、第一部の補充班長は海軍の少佐をしておつた男でございます。
  110. 辻政信

    ○辻(政)委員 各本部は役人が総監で、陸軍が副総監、海軍が幕僚長、役人と陸海軍を三つ並べて牽制しておるが、その見通しはどうでしようか。
  111. 加藤陽三

    加藤政府委員 私ども保安隊といたしまして、いかに隊の運営が能率的にうまく行くかということを旨といたしまして人事をいたしております。
  112. 辻政信

    ○辻(政)委員 名前を申し上げるのははばかりますが、ある総監が、かつて軍人が数百名入つて来たときに、役人だけを集めて、その席上で訓示をしておられます。第一の敵は共産党であり、第二の敵は旧軍閥である、近く旧軍閥の一部が入るが、われわれは協力して、あくまで主導権を確保しなければならぬという訓示をしております。一体日本保安隊が、旧軍人と内務官僚でそういうようないざこざをしておつて、りつばになると考えておられるのか。
  113. 加藤陽三

    加藤政府委員 私は旧軍人と内務官僚がいざこざを起すというようなことでなしに、保安隊に入られましたならば、ほんとうに保安隊をいかにりつぱに育成して国民の期待にこたえて行くかということを中心に協力しなければならぬと考えております。
  114. 辻政信

    ○辻(政)委員 従つてそういう目的を達成するためには、このようなとんでもない訓示をする総監を置くことが間違いである。みずから和を害しておるじやないか。みんな謙虚な気持で入つておる。それを敵とは何事であるか。
  115. 加藤陽三

    加藤政府委員 そのお話は私ただいま初めて耳にいたしました。この席上でこれに対してすぐお答えすることはできません。
  116. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の調査によると、連隊長の五〇%、管区総監は八〇%、第一幕僚課長以上の七〇%がずぶのしろうとである。その意味において、確かにこれは軍隊でないと思う。連隊長の五〇%、管区総監の八〇%が軍事を知らない。第一幕僚課長以上の七〇%がずぶのしろうとである。そこで吉田さんが軍隊にあらずと言うのもなるほどと思つた。文官優位というその原則は間違つておるのじやないか。
  117. 加藤陽三

    加藤政府委員 文官優遇とおつしやいましたけれども、これは保安庁法によりまして、長官、次長及び内局官房、各局の課長以上の者には、幹部の保安官、警備官であつた者はなれないということ、それから国会がこれらの行動に対して十分監視をするというようなことを、文官優遇というのであろうと思うのであります。今おつしやいました連隊長以下その他の者に対する人事は、文官優位というふうには考えておりません。
  118. 辻政信

    ○辻(政)委員 それに反して下級幹部の大部分は歴戦者であります。中小隊長から下は戦場で長い間たまの下をくぐつて来た歴戦の者が多い。その上の当局者は大部分がずぶのしろうとだ。これが保安隊の現状だ。  次に、保安隊の内部にはかなり不正があるといううわさを聞いております。その一つの例を申し上げますと、相当の高級幹部が食糧の上前をはねておる。それが発覚して転任々々で今逃げておる。(笑声)こういううわさがあります。その次は、ある方面の総監が自分のめかけに保安隊の酒保を経営させているといううわさがあります。「名前を言え」と呼ぶ者あり)名前は申しません。ここでははばかります。その次には、あるところの中級幹部がやはり自分の女に料理屋を経営させている。地方人はいわく、保安隊の兵隊さんは戦争はうまくないが金もうけは上手だ。(笑声)これはうわさです。しかし火のないところに煙は立たない。それをどう粛正するか。よほどの英断をもつてやらぬと、八百三十億の予算を食つておる保安隊は内部から崩壊する。私があえてこれを言うのは、あなた方のあげ足をとるためではない。蒋介石がくずれ去つたのはそこにある。蒋介石がくずれたのは共産党の戦略がまさつたのではない。内部の崩壊だつた。しかも内部の幹部の争いだ。これと同じようなことをやつておられるではないか。これをどうするか。
  119. 加藤陽三

    加藤政府委員 内部における規律の紊乱ということが隊の運営の上に一番大きながんであるということは、私どもよく承知をいたしておるのでありまして、この点につきましてはたえず戒真をし、注意をして参つておるのでございます。それらの事実等につきましては、私どもは不断に注意をいたしております。われわれの仕事の面において、でき得る限りの努力をいたしまして、そういうことのないように粛正いたさなければならないと考えております。
  120. 辻政信

    ○辻(政)委員 そんなことでは私は納得することができない。即時調べて事実をあげてくれということをお願いします。そのほかに第四条に基く日本の防衛のプラン、それから第十二条、これは保安局、山田さんのやつておられる仕事でしようが、その第一項「警備に関する計画の基本及び調整に関すること。」、この調整というものはおそらく日本国内の平和と秩序を維持する上において国警、自治警との調整というふうに私は考える。そういたしますと部隊の配置、編成訓練、運用等各種の広汎な面において、ほんとうにあなた万が真剣にこの日本の平和と秩序を維持する責任者であるというプライドを持つて責任を持つてやらなければならぬ。その内容についてはきようは首脳部がおられませんから質問を保留いたしまして、この次の機会にいたします。
  121. 井手以誠

    井手委員 関連質問。ただいま辻委員から意外なことが発表されたのであります。保安隊に不正があるという事実を指摘されたのであります。この国会の公開の席上において言われたことは、軽々に取扱うべきものではないと考えるのであります。当局もまたこういう事実を指摘されるべきで、軽々にこれを看過すべきものでない。調査の上、あるならある、ないならないとその内容はつさり示すように十分の注意をいたされるよう希望いたします。
  122. 加藤陽三

    加藤政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、私の方といたしましては、規律の維持につきましては厳重に注意をしておるのでございます。ただお尋ねが抽象的でございましたが、おそらくいろいろなことをお考えなつた上でああいうお尋ねになつたろうと私は解釈しておるのでありまして、この取扱いにつきましては、よく辻委員の真意を確かめた上でどういうふうに扱つたらよろしいか考えたいと思います。
  123. 井手以誠

    井手委員 私は注意ばかりではなかつた考えます。めかけがどうのこうのと、いろいろこういう席上で聞きがたいことを発表なさつたわけであります。従つて保安庁としては、保安庁の権威にかけてそういう事実はないならない、あるならこうだということをすぐ発表されることが必要だと考えます。私は、この席上で発表された以上は、委員長においても事実について厳重調査されるように御警告ありますようお願いいたします。
  124. 船田中

    船田委員長 承知いたしました。
  125. 砂田重政

    ○砂田委員 議事進行について。これはただいまの問題には関係ないことでございますが、栄典法案は最近に採決ざれる時期に到達していると思うのであります。この栄典法の修正に対し、われわれはこれから先の栄典ということのほかに、従来栄典を与えられておつた人々に対する待遇の問題について相当の修正を加えたいと考えておるのであります。日清、日露の戦争の当時に非常な功績をあげ努力をした人々は、金鶏勲章を与えられていたが、アメリカの勧告によつて、その功績の有無を問わず全部金鶏勲章は廃止されてしまつた。そうして日本の国家に対するほんとうの功績者に対する表彰をごとごとく侵略的のものなりとして、これは政令によつて停止されておるのであります。これらの人に対しては、その勲章を今後価用することを許されるごとく修正をいたしたいと考えておるのでありますが、これらの人に対して金鶏勲章の年金をもう一ぺん復活し得るかどうかということは、容易ならぬ財政上の問題等もありますから、精神的にこういう人々に対して適当な慰めの方法を講ずることもこの際必要だと考えております。金鶏勲章を古い時代に与えられてもう六十歳、七十歳に達しているような人々に対する年金制度はやめになりましたが、こういう人たちは、靖国神社のお祭り等には今日でも自費をもつて上京して来て参拝をし、その戦友を慰めるために努力を続けておるのであります。さような人々は、年金を復活してもらうよりも年に一度か二度のこの祭典に参列することを熱望しているものと思いますから、採決のありますまでに、これは運輸大臣が御折衝なさつて、鉄道公社の方から、そういうものに参列する人々に対しては無賃乗車券を与えるくらいの待遇はなさつても、決して悪いことではないと思う。運輸省は、ただ大臣がなるべくはからいましよようというようなことをここで言うだけではだめですから、この機会に鉄道公社に折衝なさつてそれくらいの待遇を与えることができるかどうか、これはひとつ採決の前に運輸大臣から、この席に御出席になり明言を得たいと考えます。このことを委員長から運輸大臣に御折衝くださいまして、適当におはからいを願いたいということをこの機会に希望いたしておきます。
  126. 船田中

    船田委員長 承知いたしました。他に御質疑がなければ、保安庁法の一部を改正する法律案についての質疑は明日続行いたしたいと存じます。     ―――――――――――――
  127. 船田中

    船田委員長 次に厚生省設置法の一部を改正する法律案について質疑を行います。辻政信君。
  128. 辻政信

    ○辻(政)委員 厚生省に人口問題調査の機関を置いてあるようでありますが、人口問題の解決は厚生省だけでできるというお考えで厚生省に置いてあるのか、その点について伺いたい。
  129. 越智茂

    ○越智政府委員 ただいまの辻委員のお尋ねでございますが、入口問題は非常に重大な問題でありまして、国会等でもしばしばそういう話が出ております。そこで厚生省のみでこの解決はできるかということにつきましては私どうも疑問を持つております。なおこういう問題につきましてはいろいろ各省とも折衝いたし、御意見も承りまして善処したいと考えておりまするが、人口問題はただいまのところ厚生省が所管いたしておりまするので、一応厚生省におきまして審議会なども皆さんの御協賛を経ましてでき上りましたあかつきは、皆さんの御意思に沿いたいと考えると同時に、今回の審議会の構成などにつきましても、いろいろな方面から人材を求めますし、また厚生大臣の諮問機関でなくして、各省大臣意見をも聴取すると明記されておりますので、御了承願います。
  130. 辻政信

    ○辻(政)委員 私は、端的に申しますと、日本の人口問題は国策の根本であると考える。従つてこの重要問題を一厚生省が自分のなわ張りのような気持で取扱われますと、これに並行して進むべきほかの官庁というものが、えてしてそつぽを向けるということになりやすい。国内開発の問題、完全雇用の問題あるいは産児制限もしくは移民の問題、二、三男対策の問題、こういう点を考えますと、日本国内における人口問題は、全部の政治の部門にわたつておるということを見なければならぬので、従いましてこの機関をおつくりになることは全然同感ですけれども、その所属は総理大臣の直轄というふうにして、各省関係からエキスパートと責任者を集めて、目玉的な有力なものをおつくりにならぬと何にもならないという感じで、私は趣旨には同意しますが、厚生省につくるということについては、とんでもない見当違いだという感じでありますが、御意見を伺いたい。
  131. 越智茂

    ○越智政府委員 まつたく御趣旨は同感であります。しかしながら先ほど申しましたように、現段階におきましては人口問題を厚生省が所管いたしておりますので、現在のところさようにいたしておりますので、御了承願います。
  132. 辻政信

    ○辻(政)委員 現在とおつしやいますが、これは自由党としても国会としても重大問題でありますから、改正するならばそういう将来の見通しのもとに御改正になつた方がいい、今改正しようというのに不十分な改正をしておくと、それをまた改正しなければならない。この案はもう一ぺん御検討し直していただきたい、こういうふうに考えるのです。
  133. 小山進次郎

    ○小山説明員 ただいま政務次官からお答え申し上げましたように、いわば形式上厚生省に人口問題の審議会を設置する理由でございますが、必ずしも実質的に見て辻委員のおつしやるようにはなはだしい見当違いだというふうなことでもないのであります。事情を多少申し上げますと、厚生省には人口問題研究所という研究機関がございまして、これはすでに三十年ほどの歴史を持つております。ずつと人口の動き、各国の人口政策、そういうようなものについて研究しておるのであります。またただいま辻委員の仰せられましたように、人口問題の当面とりかかるべき問題は、すぐに施策として右から左にどうするかといつたような、いわばこまかいことではなくして、むしろ日本の経済の方向をきめるとかいつたような大局論をやつていただくという段階なのであります。そういう意味合いにおきまして調査機関を持ち、そういうことについて年来研究をしており、もちろん研究には安本時代には安本、それから現在は経済審議庁、それから農林省、通産省、こういつたところの専門家が絶えず関係をしております。そういつた人々と連絡をとつて研究をしております厚生省が、また形式上から申しましても人口問題に関する事務の法律上責任を持たされております厚生省が手をつける、そうしていわば若干お育てをしておいて、しかる後時期が来て大きくやつていただく、まだそういつた準備が十分できておらないということであります。単に厚生省だけではなく、この問題についてはもちろん厚生省は内閣、行管、あるいは関係省と十分相談をいたしまして、とかく総理府に設けられました審議機関というものは、形の上では非常に強力のように見えますけれども、これは特にそのために強力な事務局をおつくりになる用意があるならばまた別でありますが、その用意が整わないでやりますと、形だけは強力のように見えまして実際は育たない。それよりはしばらくの間そういう事務的スタッフを持ち、調査機構を持つておるところが引受けるというのが実際上効果的である、こういつた事情を実は関係各省と十分相談し合いました結果、さしあたりはこれはひとつ厚生省でやつてくれ、こういうことでこういつた提案をすることになつたわけでございます。この点は御了承をいただきたいと思います。
  134. 辻政信

    ○辻(政)委員 それではごく軽易の暫定的機関であると心得てよろしゆうございますか、将来の根本問題ではなくて……。
  135. 小山進次郎

    ○小山説明員 遠い先のことについて私が申し上げることは差控えるべきだと思いますが、問題の性質から見まして、これは厚生省で終局的にいわばおもりをし続けるという性質の機関ではないということは、まず事の筋から見て十分考えられることだと思つております。そういつた気持で厚生省は手をつけますし、また関係省もそういう含みのもとに了解しておるわけでございます。
  136. 辻政信

    ○辻(政)委員 将来はさらに責任のある強力なるものに発展拡充されるようにという希望条件を付しまして、私の質問を打切ります。
  137. 船田中

    船田委員長 他に御質疑はありませんか。―なければこれにて本日は散会いたします。  次会は明三日午前十時より開会いたします。     午前十一時五十八分散会