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1952-12-19 第15回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 船田  中君    理事 熊谷 憲一君 理事 富田 健治君  理事 早稻田抑右エ門君 理事 大矢 省三君    理事 武藤運十郎君       大西 禎夫君    岡田 忠彦君       橋本 龍伍君    山本 正一君       笹森 順造君    吉田 憲一君       辻  政信君  出席国務大臣         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         法制局次長   林  修三君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房賞勲部長) 村田八千穗君         保安庁次長   檜原 恵吉君         保安庁長官官房         法規課長    麻生  茂君         保安庁人事局長 加藤 陽三君  委員外出席者         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ————————————— 十二月十八日  軍人恩給復活に関する請願岡田忠彦紹介)  (第一一六四号)  同外一件(受田新吉紹介)(第二六五号)  同(北れい吉紹介)(第二六六号)  同(青柳一郎紹介)(第一二〇九号)  同(川野芳滿紹介)(第一二八九号)  同外二十七件(松野頼三君紹介)(第一二九〇  号)  同外五件(受田新吉紹介)(第一四〇九号)  戦没者遺族扶助料支給に関する請願(逢澤寛  君紹介)(第一二〇八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  保安庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四号)  保安庁法の一部を改正する法律案栗山長次郎  君外十一名提出衆法第一五号)  栄典法案内閣提出第三三号)     —————————————
  2. 船田中

    船田委員長 これより会議を開きます。  本日はまず保安庁職員給与法の一部を改正する法律案及び保安庁法の一部を改正する法律案一括議題といたし、御質疑を行います。御質疑はございませんですか。
  3. 大矢省三

    大矢委員 保安庁職員給与法の今度の改正の二十三條の規定の中に、従来「休職期間中、これに俸給等の百分の七十以内を支給することができる。」と書いてありましたが、今度の改正では「百分の百以内を支給することができる。」こういう改正になつたのは何か特別の理由があるのですか、この点をお聞きしておきたい。
  4. 加藤陽三

    加藤政府委員 これは昨日御説明申し上げましたが、第二十三條の第五項の改正は、一般職国家公務員給与に関する法律改正案のうちの第二十三條の改正に対応したものであります。一般職職員給与法の第二十三條の第五項によりますと、「その休職期間中、これに俸給扶養手当及び勤務地手当のそれぞれ百分の七十以内を支給することができる。」とありましたものを、特に「人事院規則の定めるところに従い、」「百分の百以内」ということに一般職の方で改めたのであります。これは第二十三條の各項にそれぞれ休職の場合について規定しておりまして、あるいは刑事事件に関し起訴された場合は幾らにする、病気で休職をさした場合は幾らにするということがありまして、第五項の場合はそれ以外の場合でありまして、私どもの承知しておりますところでは外国留学をするために休職をするというふうな場合が一般職職員給与法の第五項に該当するのであります。そういうような場合には今度人事院規則の定めるところによりまして百分の百以内の休職給を支給するように一般職の方の法律改正せられる次第でありまして、私どもも同様の場合があることを考えまして二十三條の同趣旨改正をいたさんとするものであります。
  5. 大矢省三

    大矢委員 今具体的に例をあげられました外国留学する、それ以外に全額を支給しなければならないような休職が実際上あるのかどうか、それをもしあつたらひとつ御説明願いたい。
  6. 加藤陽三

    加藤政府委員 これは具体的には人事院規則に規定されろところによつて詳細明瞭になるのでありますが、ただいま私どもの聞いておりまする範囲では外国留学の場合を1つ聞いております。そのほかのことについては存じておりません。
  7. 大矢省三

    大矢委員 それからこの年末、期末手当の問題ですが、これは各省ともそれぞれ予算費というか超過勤務その他の名目によつて法律的には〇・五となつておりますが、実質上には一箇月に近いあるいはそれ以上のものを各省で支給するというようなことを聞いておるのです。そこで保安庁関係におきましても、こういう一般職と同様に実際上処置がなされるのかどうか、こうしてきまつたように、特別職と同じように半箇月分だけで終るのかどうか、そういうことの操作がほかの一般職と同様にできるかどうかということをこの機会にお聞きしたい。
  8. 加藤陽三

    加藤政府委員 一般職の方の職員につきましてはどういうふうな方策をとりれまするのか、まだ具体的に私聞いおらないのでございます。もとより私ども法律範囲内で法律従つて期末手当を支給するということになるのでありまして、一般職の方がどういうふうなきめ方になりますか、私どもとしては今のところわかりませんけれども実質的には同じような待遇ができるようにぜひしたいものだと思つております。
  9. 大矢省三

    大矢委員 一般職と同じように超過勤務その他の方法で、そういうあんばいが法律範囲内で事実上一箇月近いものが出し得ると思うが、実際に扱つておる人事の方からよくお聞きしたいと思いますが、その点について見込みはどうですか。
  10. 加藤陽三

    加藤政府委員 超過勤務給与法によりまして、職員超過勤務に対して超過勤務手当が支給されることになつております。私どもの方の職員について申しますと、前回申し上げましたが、俸給表が三通りになつておりまして、制服を着ておりまする保安官警備官につきましては、超過勤務手当を本俸の計算の中に合算をしておるのであります。また保安庁官房各局に勤務しておりまする次長官房長局長課長、部員というものの俸給表におきましても超過勤務手当を合算しております。ただ別表第二にありまする事務官等については、別に超過勤務手当を出すことになつております。その限りにおりましては、もし超過勤務手当を増額するということになれば、別表第二の職員については、同様のことかできるのであります。
  11. 大矢省三

    大矢委員 それからこれは法律改正しなければできぬ問題でありましようが、今度の別表について給与改正が非常に下に薄く上に厚いということになつて、これは号俸その他をかえるということの一つ方法しかないと思いまするけれども、一体こういう別表形式の定め方というものがはたして妥当であろかどうかと思います。それについて実際取扱つておる人事の方で、これは多少かえる必要があると考んられるか、それともこれでいいと考んられるか、その点をこの機会にお聞きしたいと思います。
  12. 加藤陽三

    加藤政府委員 前回お話申し上げましたが、保安官警備官俸給表につきましては、それぞれ一般職職員俸給表の中に対応するものを基礎といたしまして、これに動務地手当相当分超過勤務手当相当分を加えた額、それから本給の衣料費関係分を控除いたしましたもの、三等保安士以上にはそれだけのものを基礎にして俸給額計算しております。一等保安士補以下の方々に対しましては、これは大多数の九割以上に上るものですが、この方々に対してはさらに営内に居住しておりますので、食料費光熱費とを控除して俸給基礎計算をしておるわけであります。私ども考えといたしましては、実質的に一般職職員と均衡をとるということは、これは必要であろうと思うのであります。また俸給表のきめ方は今申し上げましたようなことで、一般職職員とは形式的には違つておりますけれども、これも前回申L上げましたように、この職員は教育その他のために非常に異動いたしますことが多い、それから夜間演習などいたしましたときに一々超過勤務手当を支給するというような考え方も妥当ではないというふうなことからいたしまして、一応今のところでは基礎計算の中に入れました。なるべく会計事務を簡素にして、会計職員の数を減らし、第一線の方で働く人をたくさん保有したいというふうな考え方から、給与支払い計算及び支払い簡素化という点を考慮して今のようにきめておるのでございます。ただこれにつきましては前回次長から御答弁がありましたように、将来なお研究をしたいと思つております。
  13. 大矢省三

    大矢委員 それからこれは政府委員にこういうことを聞くことはどうかと思いますが、今度の人事院勧告がそのまま実施されることなく、政府案が通つたことは御存じの通りですが、特にこうい与保安庁関係職員に対しては、普通職員以上のいろいろな制約を受けておる、そういう制約を受け、特殊な任務をしているところのこういう人に対して、人事院勧告が絶えず無視されるということは、実際の衝に当られる特に人事関係の人、それから責任のある人が、今後いろいろ苦慮されるところと思いますが、今度の裁定についてどういうことを考えておられるか、これはやむを得ぬと考えておるのか、人事院勧告が正しい、やはりやつてもらわなければ困ると思うのか。これは政府委員にそういうことを尋ねるのはどうかと思いますが、これは人事の係の個人として、あるいは長官としてでもけつこうですが、どういうことを考えておられるか。
  14. 檜原恵吉

    檜原政府委員 これは給与体系、年末の措置について、全般の問題でありまして、私どものところでは御意見を申し上げるのは適当ではないと考える次第であります。
  15. 船田中

    船田委員長 他に御質疑はありませんか——法案についての質疑を一時留保いたします。     —————————————
  16. 船田中

    船田委員長 次に栄典法案について質疑を行いますが、その前に補足説明政府委員村田賞勲部長にお願いすることにします。村田政府委員
  17. 村田八千穗

    村田政府委員 御審議をお願いしております栄典法案の内容につきまして、説明を補足させていただきたいと思います。法案の中に盛られておりますいろいろな項目項目別に順次御説明申し上げたいと思います。  第一に現行勲章旭日瑞宝宝冠、この三種類勲章がございますのに対しまして、将来これは旭日勲章というもので行きたいということにしております点について申し上げます。今申し上げました旭日瑞宝宝冠、この三種の勲章を現に持つておられる方は私の方で大体推定をいたしまして約二百五十万人程度ではないかと考えております。私の方では授与した勲章の方は台帳に整理してございますが、現に授与された方でその後なくなられた方がわかりませんので、今のようなおよその推定しかできないわけでございます。その方のうちで約九割は軍人、これはもちろん兵を含むのでございますが、軍人としての功労に対し授与されたものと考えられます。その残りの大部分は官公吏等でございまして、純民間人としての功労に対し授与されたものはほんの少しであるというような状態でございます。このような従前勲章授与方針は、今後一大改革を加えなければならない、こういうふうに考えますので、従いまして授与方針を改めるといたしますと、従前勲章と直接対比されることがないように新しい勲章にする方が望ましい、こういうふうに考えられるのであります。この点につきましてはさきに世論調査をいたしましても、大体同様の結論でございますし、また非公式ではありますが、民間の五人の方にお願いしまして御意見を伺いましたが、これもまた同様の御意見のようであります。そこでこの勲章を新しくするとして、それは元のように何種類かにするかどうかという問題でございますが、これにつきましては恩賞が簡明直截に行われる、小さな功労の差を一々詮索いたしまして区分を複雑にしない方が時勢に適合する、こういうふうに患われまして、まず種類は一種類にする、こういうふうに考えたのであります。  次に等級をわけるか、わけるとすれば何等級かという問題につきましては、これはそもそも等級というものが勲章に設けてあります理由功労大小の等差がある、また同一人が勲章を授与されますような功労を重ねることが予想される、この二つの問題に応ずるために勲章功労大小に応じ数等級区分する、功労あるごとにこれに相当する勲章を授与して、これをあわせて着用させるというのも一つの案でございますが、しかし同じ体裁勲章を功を重ねたということでたくさんにするということは体裁上いかがかというふうに考えるわけでありまして、功を重ねた場合には進級させるという考え方を取入れ、これに功労大小に応ずる区分という考え方をあわせまして、勲章等級を設けるということが現在の各国の勲章制度の通例になつております。そこで今度一種類勲章もやはり等級を設けた方がよいと思います。その等級の数でございますが、これも諸外国晋通の例に従つて等級にするのがまず適当ではないか、こういうふうに考えたのであります。世論調査につきましては、この点についてあまりはつきりした結論は出ておりません。若干の等級はあつた方炉よいというふうなきわめて常識的な意見のようでありました。それから先ほど申し上げました内閣に非公式に設けました会議の方では、三等級から五等叛くらいはやむを得ないのじやないか、こういうふうな結論でございます。  次にこの案の勲章意匠と名称の問題でございます。これにつきましては従前勲章とまつたく異なるもので、わが国勲章としてふさわしいというような意匠がございますれば最も理想的ではないかというふうに思つたのであります。しかしこれは現実の問題としてなかなかいい意匠を求めがたかつたのであります。なお外国でも、たとえば昨年西ドイツ政府勲章を復活しておるのでありますが、その勲章の図を見ますと、やはり従前ドイツ十字章の形を用いまして、同国に特有のわしの形を中央に配して、一見してドイツ勲章考えられるようなものであります。それからまた翻つて勲章を新しくするという趣旨考えますると、これも要するに従前勲章と区別するということが眼目のように考えられるのであります。以上のような点を考えまして、今後の勲章は、わが国で最初に制定されました旭日章意匠を大体残しまして、リボンの色などで区別する、こういうことにして、名前旭日勲章と称することが適当ではないかという結論なつた次第であります。  次に、今までに授与した旭日瑞宝宝冠、この三章の取扱いでございますが、元来国家が過去において、功を認め、労を多として授与した勲章恩賞を、あとになりまして情勢の変化で取消すということは穏がでないというふうに、原則的には考えられます。しかしながら勲章と申しますものは、杯とかあるいはお金とかいうものと違いまして、将来にわたつてこれを着用することを認め、その栄誉を長く顕彰しようというものでありますから、必ずしもさつき申し上げました原則通りには行きかねる、こういうふうに思います。しかし今現実旭日瑞宝宝冠の問題として、今まで授与した勲章につきまして一応問題になるようなものを考えてみますると、満州事変とか日華事変における功労によつて授与された勲章——これは余談になるかもしれませんが、太平洋戦争につきましては、生存者勲章を授与しておりませんから、太平洋戦争功労によつて授与された勲章を持つておる方はないのでございます。それから先ほど申しました事変功労によつて授与した勲章を元にして進級した勲章事変中は、戦地で勤務したことによりまして加算された勤続年数に基いて授与されたいわゆる定例叙勲勲章事変や戦争に関与した文武官勲章、こういうような問題の取扱い現実の問題としてどうしたらよいかということになるのであります。これらの勲章を授与された功労というものは、敗戦によつて水泡に帰したというふうにも考えられるのでありますが、当時のその労苦は多としなければならないというものもありまして、一様に全部無効にするということは非常に酷であると思います。しからばそのうち無効とするものとしないものとを取捨選択ということになりますると、これまた現実の問題としては非常にむずかしい問題であります。その上に、問題の勲章を無効としたという場合に、その勲章関係功労を除いて、残り功労でその下級勲章に該当するようなときは、あらためて下級勲章を授与しなければ公平を失するというような関係もございます。以上のような点から考えまして、従前勲章効力は引続き認めることにしたい、こういうふうな結論になりました。この点につきましてもやはり世論調査は大体賛成しております。前の軍関係功労で授与された勲章でも、やはり効力は認めた方がいいという方が、否認するよりも数が多かつたようであります。先ほどの非公式に内閣に設けました委員会も同様でございました。  次に、今申し上げました旭日瑞宝宝冠という勲章に関連しまして、現行制度では勲位勲等という制度がございます。現在の旭日瑞宝宝冠の三章は、勲位勲等に叙し、そのしるしとして章をつけさせる、こういう建前になつておるのであります。この勲位勲等制度といいますものは、わが国の位というものと照応さした独特の制度ではありますが、外国でもこれにやや似たようなものがないわけではないのであります。たとえばイギリスで、ある勲章を授与しますと、その授与された人に、勲章種類に応じまして、頭文字をとつた、大体三字ぐらいの、M・R・Vとかいうような字を名前の上につけるということを認めておるのであります。勲位勲等制度と似たところはあります。要するに、勲章受領者にこのような称号を認めまして、勲章受領者待遇を厚くするという考えなのであります。この点について必ずしも排斥する理由はないのでありますが、これを存続いたしますると、従前勲章を新しい勲章に切りかえたという意義が没却されるのではないかと考えるのであります。またそれでは従来の勲位勲等を改めまして、これに類似の名前のものを新しく設けるとしましても、やはり従前勲位勲等との関係を明確にするという必要性が生じまして、新勲章と旧勲章を一応別種類のものとし、その間の関係を端的に示すことを避けようとする方針に反することになつて参ります。なおあとで申し上げることになりまするが、位の制度を存続するということになりますと、これとの重喜複ということにもなりまするし、また従来文化勲章受領者には特別の称号を与えていないというようなことから考えまして、勲位勲等制度は将来廃止するという結論になつたのであります。将来これを授与することを廃止するとすれば、今現に持つておるものも栄典としての効力は失うことにしたい、こういうふうに考えました。この点につきましても、非公式の内閣委員会では大体御賛成のようでありました。  次に、文化勲章は従来通り存置するという問題でございます。文化勲章は従来主として学術、芸術上きわめて高い価値を創造したというような功労に授与しておるのでありますが、それを設けました理由は、今申しましたような功労については、功労大小を社会、公共に直接及ぼした影響という方から測定することができませんので、従つて普通勲章を授与するときには——普通勲章と申しますのは、旭日瑞宝宝冠のような、等級のある勲章でございまして、将来としては旭日勲章になるわけでありますが、これを授与すると何等級にするか、実際上きわめて困難であるために、単一級勲章をつくつて授与した方がいいということでできたものでありまして、この点は将来もかわりがないというふうに考えておるわけであります。  次に産業勲章を新しくつくることをお願いしようという問題でございますが、これは産業経済方面の特にすぐれた功労者に授与するものとしましても、ちようど文化勲章に匹敵するような単一級特別勲章というふうに考えられておるのであります。元来こういうような特別勲章ば、普通の勲章がありますと、ほかにつくるという理由は理論的にはないのであります。しかしこれは現実の問題として、普通勲章等級区分があるために、むしろ等級区分のない特別勲章の方が寅際運用上便宜である、こういう実際面から来たものであります。この点につきましては、世論調査の方では必ずしも特別の勲章文化勲章のほかに必要としていない意見のようでございます。しかし内閣に設けられました非公式の委員会の方では、つくつた方がいいという意見がほとんど全員の御意見でございました。但し産業勲章というものにした方がいいかどうかということについては、委員の御意見必ずしも一致しておらなかつたのであります。  それから次に位を存置するという問題でございます。これは現行制度では国家功労がある者と、在官、在職者、すなわち官公職にある者に授与するということになつております。これは御承知の通り古い沿革を持つたものでありますが、現在として考えますると、その本質はやはり一つ称号制度であつて、被表彰者称号を与えるというふうなものと考えられるのであります。ただその表現が非常に古い表現であるということが一つの難点ではありまするが、勲章制度が、先ほども申し上げましたように旭日勲章種類が五階級というふうに簡素化されておりまするので、将来これと並べてその副的なものとして運用の余地があるのではないか、こういうふうに考えまして、存置しようというふうに考えたのでございます。世論調査についてはこの点をはつきり一つ項目として調査しませんでしたので、結論が出ておりませんが、内閣の先ほど申し上げました非公式の委員会では、反対論の方がむしろ多かつたように思います。次は功労章というものを新設した問題であります。これは勲章を授与される程度に達しない功労者に広く授与することを目的として制定したものでありまして、実質上は勲章下級に属するものであります。形式上は勲章別種のものにした方が適当ではないか。普通勲章等級のさらに下に六等級、七等級というような形のものとするよりも別種のものとした方が適当でないか、こういうふうに考えてつくられたものであります。なお功労章のうち普通の功労に対して授与するもののほかに特別功労章というものを設けましたのは、これは主として火災、風水害、工場、鉱山等における災害、治安の維持などに際しまして、自己の危険を顧みずに勇敢な行動をして功労を立てた者に授与するものとして考えたのでありますが、このような功労は実際上同一人が再度以上重ねるような場合もあるというふうに考えまして、功を重ねた人には飾版を授与するというふうにして累功者に応ずるようなものにしたい。そのために別種のものにしよう、こういうふうになつたわけであります。  次に褒章制度でございますが、これは大体現行法通り存置するのが適当であると考えております。二、三こまかいことで改正はいたしておりまするが、大筋ではそのままで引継いでおります。功労章褒章につきましても内閣の非公式の委員会では、提案申し上げましたような御趣旨に皆さん御賛成のようでございました。  以上重要な点につきまして御説明申し上げた次第であります。
  18. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 ごの勲章の御説明を願えませんか。
  19. 船田中

    船田委員長 これは委員会散会後に懇談会で詳しく御説明申し上げるようにいたしたいと思いますから、後にお願いいたします。  栄典法案についての御質疑をお願いいたします。
  20. 大西禎夫

    大西委員 ちよつとお尋ねいたしますが、栄典制度そのものについて世論調査をされたとおやつしるのですが、これはどういう方法世論調査をされたのでありましようか。私ども一般に聞いておりますところでは、夜店で売つておるような状況でありまして、外国では続けてやつておるからあるのだ、一旦なくなつたらない方がよいのじやないかというのが国民一般意見のように聞いておるのであります。それで内閣で審議されたとか、あるいは委員会でやられたとかいうのは、そういうものに関心のあり、またもらうような人たちだけでやつておるのだ、一般の者には何も関係がないのだというような意見が非常に多いのでありますが、この世論調査の根拠ということはどういうふうになつておりますか、聞かせていただきたい。
  21. 村田八千穗

    村田政府委員 これは内閣にございます御承知の世論調査所でありますか、そちらの方でやつていただきました結論で、初めに私の方では何ら特別な予定といいますか、前提としてやつたものではございません。向うの方におきましては、私も実は詳しく申し上げるほどの知識を持つておりませんが全国の人口をいろいろの種類で、たとえば農村と都市、あるいは職業も農業、商業というように、全人口をわけましてそれに按分して、調査した対象は非常に少くて、私どもは三千人と聞いておりますが、その三千人を日本全国の農村、都市の比率にわけさらに職業別にわけまして、そして対象をまずきめまして、それをたしか米の配給台帳か何か、そういうところを元にしまして、たとえばある農村の村一つ選ぶ。その村のうちで農業関係の人を三人なら三人選ぶというときには、三百人おれば、百番目と三百番目とか、二百番目と三百番目とをとるとか、こういうふうにして調査したということを聞いております。特殊の興味を持つている人だけに限つたものではありませんし、それからまた勲章をもらつた人というようなふうに特に選んだわけでも全然ないのでございます。
  22. 船田中

    船田委員長 ちよつとお待ちください。議事進行につきまして申し上げます。保安庁法案についての質疑は、一応これで打切りまして、明日討論採決をいたしたいと存じます。大西君。
  23. 大西禎夫

    大西委員 私ども別に栄典制度に反対であるとか何とかいう意味でなくして、結局私どもが接しまする範囲内におきましては非常に反落の空気が強いというような点を見受けます。それで国会全般が反対であるのにもかかわらず、こういうことをすべて世論調査の結果賛成であるというようなことでできて行くということになると、やはり何だか国民全体としての栄典制度ではなくて、一部分の特権階級の栄典制度だというふうに思われて参る心配があるのではないかと考えます。在来でもそういうふうな空気は多分にあつたと思う。それは運用方法その他が兵隊さんだとか、役人だとかいうようなものに偏したことから起つてつたのかもしれませんが、あらためておつくりになるということになれば、われわれは国民全体が栄誉の制度というものを尊重して行くという空気になちなければならぬと思うのです。それについては、民全般が望んでおるのか、望んでおらないのかというような点を私どもは慎重にお調べを願いたいと思うのです。そういう意味で申し上げたのであります。それからもう一つお尋ねいたしたいのは、在来のものを置かれるということなんであります。これはさつき御説明もあつたようでありますが、つまり今までのものをそのままにして行かれる場合に、さつきおつしやつた支那事変とか満州事変というもので特に日本がこうなりまするゆえすをいたした行動についての功労と申しますか、そういうものがはたして功労であり、それを国民全体が納得できるか。その辺の説明はどういうことか、もう少しはつきり聞かしていただきたい。端的に申しましたら、これは個人をさして相済まぬのですが、かりに東條さんがはたして功労であつたかどうか。それで東條さんに渡された位勲というものは国民全般が功労としてこれを認めるかどうかということなんです。それでこれは栄典制度功労で、あの人にくだされた勲章というものは生きておるのだということが納得できるかどうか、この辺の説明ちよつと聞かしていただきたいと思います。
  24. 村田八千穗

    村田政府委員 支那事変満州事変などの功労で授与した勲章効力を否認した方がいいかどうかということは、私どもの方奇いろいろ研究したのでございますが、先ほども申し上げましたように、これらの効力を否認するということになりますと、そこだけで打切つたのでは不公平だというようなふうに考えられるのであります。たとえば事変功労としていただかなかつた勲章でも、役人が定例叙勲でいただいている勲章があります。その定例叙勲にはは支那事変満州事変に大いに働いた年数も入れて授与している勲章である、そこでこれをほつておいて、事変功労によつて授与した勲章として取上げるというのは不公平じやないか、こういうふうに考えるのであります。お話の点をだんだん検討して行きますと、結局今まで授与した勲章はどこで打切つたらいいかという線を引くところがなくなつて来るのであります。そういう点を考えまして、今後授与する勲章を新しくする、こういうことで従来の勲章区分し、切りかえるということで、従来の勲章の詮索は深くしないでおくのが適当じやないかというふうに考えたのであります。  それからちよつと補足さしていただきたいと思います。それはすでになくなつた方についてその方の勲章を無効とするとかいうような問題は、法律上といいますか、できないものである、こういうふうに考えております。問題は現にに生きて、持つておられる方の勲章だけであると考えます。
  25. 大西禎夫

    大西委員 私が今申し上げたのを少しお取違えになつておるようでありますが、私が申し上げるのは、一個人の云々——故人になられたとか、あるいは生きているとかいうような問題でなくて、そういうふうな場合において国民全体として納得するであろうかどうか、こういう問題だと思うのであります。この点、私ども国民が全般的に納得しないものをかつてに上の方でやつているのだというような空気が多分にありはせぬかという点を私ども心配して申し上げるので、この点は今おつしやつたように、そんならどこでそれを一々調べるかというふうな問題が起きて、おやりになるのが非常にむずかしくなるので、これはしかたのないことのようにも思うのであります。  それでもう一つお尋ねいたしたいと思うのは、位ということであります。私ども昔から従三位勲一等とかいうようなのを明治の御代から聞きなれて来ておりますが、位の歴史的なむずかしい問題は別としまして、現代のごの栄典制度をつくりますときに、位というものをおつくりになり、そして位というのは、今の御説明では称号だというお話ですが、これはごの時代においてぴんと来ないじやないか。位というようなものがはたして今度の栄典制度で絶対にいるものかどうか。この辺も新聞、雑誌その他書きものの中でいろいろそういうことをひやかしてあるのをしばしば、見るのでありますが、こういうことでつくることは世の中からずれておりはせぬかというような点を心配するのでありますが、この位というものは何であるか、どうしているのか、どうしてこういうものを栄典制度の中に織り込まなければならぬのかというようなことがもう少し一般にわからなければならないのじやないか。ここに書いてあるのは、潤いをつけるとか、あるいは称号であるとかいうのですが、それがなぜいるかという問題が起つて来ると思いますので、この辺、その説明がもう少しはつきりつきますように御説明願いたいと思います。
  26. 村田八千穗

    村田政府委員 お尋ねの最初の点でありますが、世間が従来の勲章効力を認めることに対してどう思つておるかという点について、先ほどお話の世論調査のことでありますが、それは一応認めていいじやないかという方がはるかに多いという結論になつておるので、この世論調査が正しければ——もちろん反対の方々もあるでしようが、国民の多数の方々賛成していただけるのじやないか、こういうふうに思つたのであります。  それから次の位の問題でございますが、これにつきまして、いろいろ議論の余地がございまして、私どもの方も十分研究したのでございますが、特に廃止しなくてはならないという理由もないのではないか、こういうことで制度として残すごとになつたのでございます。廃止すべき特段の理由もないということであります。
  27. 大西禎夫

    大西委員 今のお話ちよつと私わかりかねるのでありますが、この栄典制度を新しく法律的につくつて行くということならば、別に廃止しなければならぬという理由もないのではないかということが、ちよつとわかりかねるのです。もう一つは、廃止する必要はないのじやないかということですと、反面置く必要もないのじやないかということが出て来ると思うのです。私が申し上げたのは、位なるものの実体がわからないということで、ただ称号だこか賞勲制度に対する潤いをつけるのだという御説明でありますと、現代の生活とマッチした意味の位というものが何であるか、これが一般にわかつて来ないと思うのです。むずかしい議論をればいろいろあるでありましようけれども、これを新しくやられるということであれば、もうちよつとぴんと来るように、よくわかるものでなければ、国民全体が納得できないのではないか。これもまた世論調査の問題になつて来ると思うのですが、今あなたは、世論調査の結果国民大多数に賛成していただける、それの方が多いのだというお話ですが、しかし私どもの周囲で聞きますと、こういう制度に対して、こんなばかなことはあろかというのが一番多いのであります。これは農村とかあるいはインテリ層とか、いろいろなところで違うと思いますけれども、私どもの周囲では、この栄典制度というものに関して、そんなものはいらぬではないかというのが非常に多いのです。世論調査の結果は、あなたのおつしやるところでは国民全体としてやれというのが多いのだということですが、これは世論調査というもののやり方にもよりましようし、その辺がどういう合理的な方法でやられておるかわかりませんが、私は特に位の問題については、この点がなおさらひどいのではないかと思う。これはもう少し慎重に考えていただかなければならぬ問題ではないだろうか、こういうふうに私ども考えておるのですが、その辺御意見を承りたいと思います。
  28. 村田八千穗

    村田政府委員 この世論調査の方から先に申し上げますと、私の言い方に間違いがあつたかもしれませんが、位の方については、実は世論調査項目に入れておりませんので、結論が出ていないのでございます。あるいは言い違えているかもしれませんが、御了承を願います。  それから位を廃止する必要はないと申しましたのは少し言葉が足りませんで、たとえば旭日瑞宝章のように、今までと授与方針を根本的にかえるためには、新しくした方がいいというような、特別の理由が位にはないということでありまして、従来も戦争の功労によつて位を授与したということはそれほどありませんので、その点勲章ほど不都合の点が少い、こういうふうに考えまして、位の方は廃止の理由が薄いと申し上げたのであります。今後の栄典として位をぜひ取入れなければならいという点については、先ほども申し上げましたように位というものを一つ称号と見ますれば、別に今後の栄典制度の中にあつて不都合なものではない。諸外国でも称号というものを栄典の一種に入れておるところもありますから、称号考えれば別に不都合ではないのじやないか。そうすると次に勲章のほかにそういうものがなぜ必要かということになるわけでございますが、これは具体的に申しますと、たとえば今後の制度で行きますと、旭日大綬勲章、もとの言葉でいいますと一等章というようなものでございますが、これを持つておる方が、さらにその上に何か功労をお立てになつたというときに授与するものとしては、適当なものが今の制度ではないのでございます。非常に高い場合には菊花勲章というものを授与することも考えられますけれども、それ、はどでない場合には授与するものがない。そういうときに位というものがありますれば、たとえば従三位とか、正三位とか、従二位とかいう称号を与えるということで位を運用する方がうまく行くのではないか。何も授与するものがなくて、規定で行きますれば、杯を授与するというようなことにするよりも位の方がいいのではないか、こういうふうに考え運用の余地がありますので、位を残すことにしたい、かように考えたわけでございます。
  29. 大西禎夫

    大西委員 もうくどくど申しませんけれども、要は、この栄典制度というものは一部の者がかつてにでつち上げてこしらえて、国民とは何らの関係がないのだという結果になりはせぬか、このことだけを心配いたすので、私が見聞きするところではそういう雰囲気が多いのであります。従つて私はこれに何も反対でございませんけれども、おやりになる場合には、この点を十分国民が納得するように御説明願いたい。ただとつてつけたようなりくつでなくて、だれもが納得でき得るような御説明がいるのじやないか。特に若い青年層と申しますかインテリ層と申しますか、そういう連中の意見を聞きますと、ことにひどいのでありまして、これはわれわれでも若いときはそういう点があつたと思いますけれども、そういう点が非常に強いので、この点もう少し合理的に納得ができるような説明をつけて、この制度をやつていただきたいということを私は希望いたしておるわけであります。どうぞ世論調査の点につきましても、その方法は納得の行く世論調査をするとか、あるいは説明そのものももつと合理的に、現在の生活環境にぴんと合うような御説明を願いたい。そして何だか昔と今の世の中がかけ離れたようなことにならないようにということを心配して申し上げたのです。これはお願いになりますけれども、どうぞそうやつていただきたいと思うのですが……。
  30. 村田八千穗

    村田政府委員 お話の御趣旨はよくわかりましてございます。私どもの方でも、この法案にも載せてありますように、栄典審議会というものを内閣に置きまして、勲章の授与についてはその都度それにかけるということになつておりますが、その他栄典に関しての重要事項を調査審議するという項目もありまして、栄典運用につきましては、また制度の将来の改正とか、そういう重要問題はすべて栄典審議会にかけて、その意見を聞いて行きたい。その栄典審議会の構成は、私ども政府で考えておりますのは、原則として現官者を入れないで、民間の方にお願いしたい、こういうふうに思つておりますので、将来の栄典運用につきましては、御趣旨に沿えるのではないかと思つておるわけでございます。
  31. 山本正一

    ○山本(正)委員 栄典法案の中の勲章のことについては、提案者側の説明は一応了解したのですが、その位の問題につきましては、今大西委員と提案者側との質疑の内容を伺いまして、どうもまだ釈然といたさない点があるのです。伺つておりますると、位というものの本質は称号であるということが一つ。それから第二は、勲章の方の運用の上に不十分なところがある場合に、これを補足的に位によつて運用して行くというふうな趣旨がかなり強くその説明の中に出ておるのでありますが、もしそういう御趣旨が主体であるとすると、勲章と並んで位の制度を設けるという理由が、はなはだ薄弱になるのではないかと思うのです。政府委員のお言葉として、これは位の制度をやめなければならぬという強い理由もないということが前提になつておるようでありますが、これは率直に申しますると、官尊民卑の風潮を、この種類制度によつて助長、裏づけをするような作用があつては困るというふうなことが、今日国民の識者の中には、相当強く考慮されておるのであります。政府もそのことを十分了承しておることとは思うのでありますが、むしろこれを存置せない方がよかろうという議論がもしあるとするならば、そのよつて生ずるところは、そこにあると思うのであります。その官尊民埠の風潮を、助長、裏づけするようなおそれなきやいなやというところに重大なる関心がある。国民に、この位の制度をなお将来に存置する必要を十分に理解させるというためには、ただいまの政府委員の御説明では、委員たる私といたしましても釈然とするのにはなはだ困難を感ずる。ただいまの御説明のみをもつてしては、この制度を存置するという必要を釈然と了解するのには著しく困難であるということを私は申し上げねばならぬ。この存置が必要であるということを納得せしめるためには、もう少し積極的に、そうしてもう少しく御親切なる説明を煩わさなければならないと思う。私は技術的に事務的に、たとえばこうこうという例をもつて申し上げることは、この際差控えたいと思うのでありますが、ただ結論といたしまして、あるいはこういう制度を存置することが、民主主義のもとにおいても、今後の日本の国民性を導、いて行く上にも必要であろうかというような気分は私もするのでありますが、遺憾ながら今も繰返して申す通り、ただいま伺つた説明のみをもつてしては、釈然とこれを了解するにはなはだ困難である、こういうふうに私申し上げておきたい。
  32. 村田八千穗

    村田政府委員 お話の御趣旨はよく了承をいたしましたのでございますが、また今になつて申し上げるのに少しく適当でないかもしれませんが、先ほどの御説明に落しましたのは、こういう点もございます。実は御承知のように、贈位という制度がございまして、古くなくなられた方にあとから位を贈る。そうして道義の高揚をはかるというような制度が今までございました。この点からも、位という制度があればあつた方がいいのではないかという一つ理由につけ加えさしていただきたいと思います。
  33. 船田中

    船田委員長 では本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時から理事会、十時半から本委員会を開きまして、先ほど申し上げましたように、保安庁関係法案を討論採決いたしたいと思いますから、どうぞよろしくお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時六分散会