○柳沢(米)
政府委員 まず最初の拿捕船の問題でございますが、御
承知の
通り、
独立をいたしました後におきましてはマツカー・サラインは解消しておるわけであります。拿捕船問題の大体多いのは、以前は北方においてはソ連
関係、それから東支那海における中共
関係の拿捕事件、最近に至りましては朝鮮
方面におきまする拿捕事件、この三つにわかれております。
独立いたしましてマツカーサー・ラインが撤廃され、その後今春われわれの方といたしましては閣議決定を受けまして、巡視船をその三
方面に出すことになりました。この巡視船が出動いたしました後においては、北方におきましてはその数が非常に減
つております。ほとんど現在においては平静の
状態を保
つておると
考えておる次第であります。ただここに御
承知でもございましようが、公海における領海の問題がありまして、ソ連におきましては大体十二海里を領海と
考えるというような主張をしておるようにも聞いております。われわれの方といたしましては、どこまでも領海は三海里という
考え方であります。しかしながらこれは現在におきましては、北方におきましては大なる支障なく進んでおるわけであります。
第二東支那海
関係でございます。東支那海
関係におきましては、われわれの巡視船が出ましてから以後におきましては、その拿捕の数は割合に減
つて来ております。しかしながらこれは水産庁におきますところの監視船と共同でや
つておるのであります。しかし大体におきまて、われわれの巡視船が出て行く付近においては、ほとんど拿捕問題は起きておりません。しかしわれわれの船が
通りまして
あと、遠く離れますと、そこに起る可能性があるように見受けられておる状況であります。従いましわれわれといたしましては、この
方面にも
相当の船を配置したいと
考えておるわけでございます。
なお朝鮮における問題につきましては、近来李承晩ラインということを言われておりますが、この李承晩ラインにつきましては、われわれの方としては、これは単なる一方的のものとして
考えて、
考えのうちに入れておらない。しかしながらここに連合軍による防衛ラインというものができております。このラインにつきましては、漁業その他については、このラインの中へ入
つて漁業ができ得るような処置をと
つておられる。しかしこのラインの中に入りましたときに、かえ
つて漁船が危険を感ずるような事態が起る可能性がございます。このときには退避していただくというふうな処置で、このラインの中の操業を認めていただくようなかつこうに話が進んでおります。
大体以上の
状態でございまするが、われわれといたしましては、この拿捕船問題につきましても、現在海上
保安庁の船艇といたしましては、外洋に出てほんとうに処置する船艇というものは、九十数隻でございます。そのほか小さなる船艇が二百隻以上ございます。これらは主として沿岸警備等に当てておるものでございますが、いわゆる外洋に出て警備その他に当れるものは九十数隻ということに相
なつております。従いまして、警備力全体といたしまして、約三百というものが現在の警備力で、その他海上
保安庁といたしましては、燈台業務その他をや
つておりますので、総計いたしますと、五百隻以上の船艇を持
つておりますが、実際の警備に当れるのは三百隻、そのうち九十数隻が外洋に出られる、かように相
なつております。これらの船艇で、しかも割合大型の船艇をこの外洋に使わなくてはならぬということに
なつております。たとえば十隻の船艇を外に出す場合には、少くともこれに三倍する船艇を用意しなければできない。
従つて十隻を警備に当てるには、これに常に警備をさせるためには、帰
つて来ての休養もございますし、あるいは修理等のこともございます。約三十隻の船艇を備えなければならぬという状況に相
なつております。
従つてこれらのことをやるためには、沿岸の警備がいかにしても疎漏に相なるということはいなめないという事実と相
なつて来ておるわけであります。一面これらに関して、われわれの方のや
つております
仕事につきましては、海難の発生時におきまする状況、これについて申し上げますと、たとえばつい最近のことでございまするが、外洋の沖におきまして海難が発生する。この海難についてすぐ救助に行かなければならないということでございますが、最近におきましても、約百五十トンくらいの船艇で、乗組員二十六人、これが大体千五百海里の海上でも
つて通難した。しかもそれは非常に海が荒れておる。これをわれわれの方では七百五十トンが最高の大きな船であります。この船をもちまして、ここまで出かけて行きまして、この船をひつぱ
つて帰
つて来て、二十六人の人命を助けるというようなことをやらなければならぬ。これに要する日にちといたしましても、大体十七、八日かかるという
状態であります。その間途中でも
つて相当なわが切れるとかいうようなことで、苦労を重ねて、や
つて来るわけであります。以上のような
状態がわれわれの方の
状態でございます。
そのほか沿岸におきまする密貿易状況、あるいは密出入国状況、これらについて申し上げますると、密出入国の
状態は、今年に入りましてからは、どちらかというとむしろ密出国の方が多く
なつて、密出国は大体その行動は密輸出を伴
つた密出国が多く
なつて来たという
状態でございます。しかもその相手のところは、南鮮あるいは琉球、沖縄というようなところでありましたが、最近におきましては、中共あるいは香港
方面、そういうところが多く
なつて来ておるということが見受けられる
状態であります。またその他海におきまするところの漁業の取締り、これは底びき漁業と沿岸漁業との競争ということが
相当激化されて来ておる
状態であります。これらの取締りに非常に船艇の不足をかこ
つておる
状態であります。もしわれわれといたしまして、この際ただいま申し上げましたような浩海のところにおきまして、特に大きな船の遭難ということがありました場合には、われわれの方としては、少くとも千五百トン以上あるいは二千トンくらいの船艇が
相当あれば、これらの救助はその大型の船艇で行うならば、非常に楽に行くのじやないかというような感じを持
つておるわけであります。現在における海上
保安庁の現勢力、その不足状況は以上のような次第であります。