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1952-12-18 第15回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十八日(木曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 船田  中君    理事 熊谷 憲一君 理事 富田 健治君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 大矢 省三君    理事 武藤運十郎君    大西 禎夫君       岡田 忠彦君    田中 萬逸君       森 幸太郎君    笹森 順造君       粟山  博君    吉田 賢一君                 辻  政信君         国 務 大 臣 緒方 竹虎君  出席政府委員         法制局次長   林  修三君         保安庁次長   増原 恵吉君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         保安庁人事局長 加藤 陽三君         海上保安庁長官 柳沢 米吉君         海上保安庁次長 山口  傳君  委員外出席者         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ――――――――――――― 十二月十七日  栄典法案内閣提出第三三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  保安庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四号)  保安庁法の一部を改正する法律案栗山長次郎  君外十一名提出衆法第一五号)  栄典法案内閣提出第三三号)
  2. 船田中

    船田委員長 これより会議を開きます。  先日付託になりました栄典法案内閣提出第三三号)を議題といたし、政府より提案理由説明を聴取いたします。緒方内閣官房長官
  3. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 ただいま議題となりました栄典法案提案理由説明いたします。  栄典の授与につきましては、日本国憲法において、その根本が規定せられておりまして、これに基いて時勢に即応した制度を整備いたすべきことは申すまでもないところであります。しかしながら占領下いまだ完全独立の態勢の整わない間は、栄典制度を全面的に活用することは適当でないと考えられましたので、栄典制度検討し整備することも、自然延期していたのでありますが、さきごろろ待望独立も回復いたしましたので、栄典制度を整備し、国家の再建に寄与している国民功労に報い、その志気を高揚するのは、きわめて必要と考えまして政府は、あるいは世論調査を施行し、あるいは民間識者の意向をただしへこれらを参酌して慎重に考究いたしました結果、その基本的事項法律案としてとりまとめ、提出いたしました次第であります。  次に本案の要旨を申し上げますと。今回の栄典制度は、勲章を根幹とし、これに位、功労章褒章等を配しました。  勲章につきましては、これを授与する対象である功労種類を限定しないものとしては菊花勲章旭日勲章の二種とし、また特定種類功労に限り授与するものとしては文化勲章産業勲章の二極といたすことにいたしました。菊花勲章は従来場の菊花章を受継ぐものとし、旭日勲章は従来の旭日章宝冠章及び瑞宝章の三種にかわるものとする考えであります。しかしながらすでに授与されました旭日章宝冠章及び瑞宝章につきましては、今になりまして一々詮議することも適切と存じられませんので、全部有効とする考えであります。  文化勲章は、従来の制度を継承するもので、今までの実績により、当然の処置と考えます。新たに産業勲章を設けましたのは、産業の発達に関し特にすぐれた功労者表彰のためには、単一級特別勲章を設ける方が、実際上適当と考えたからであります。  位の制度は、これを存置し、今後は勲章と並んで、功労者表彰の一方法とし、表彰の方途に潤いを持たせたく考えるのであります。新たに功労章制度を設けましたのは、前述のように普通勲章制度を簡素化したのを補いまして、あらゆる方面について功労のある国民を広く表彰することを目途としたものであります。従来の褒章制度は主として国民のいわゆる奇特な行為を表彰することを目的とするもので、従つて今後一層その活用をはかるべきものと考えております。  以上申し述べましたように栄典制度を整備しようとするのでありますが、さらにその運用の実際において、本制度趣旨を十分に発揮し功労ある国民表彰に遺洩のないことを期するため総理府に各方面の公正な方々にお願いしまして審議会を設け、その公正、かつ、民主的な審議を経て運用するようにいたしたい考えであります。  以上本案趣旨の概略を申し上げたのでありますが、何とぞ、慎重御審議の上すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
  4. 船田中

    船田委員長 これにて提案理由説明は終了いたしました。本案についての質疑次会に譲ります。     ―――――――――――――
  5. 船田中

    船田委員長 次に保安庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)及び保安庁法の一部を改正する法律案栗山長次郎君外十一名提出衆法第一五号)を一括して議題といたし、質疑を行いますが、その前に保安庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)について補足説明を求めます。保安庁加藤人事局長
  6. 加藤陽三

    加藤政府委員 保安庁職員給与法の一部を改正する法律案提案理由並びにその大要につきましては、前回木村保安庁長官より御説明になつたのでございますが、以下私から改正法案について順序を追つて説明を申し上げたいと思うのでございます。  説明の便宜上まず今回の給与法改正の中心である職員給与額改正について申し上げます。これは付表の改正として規定してあります。保安庁職員給与額改正につきましては、実質的に一般職職員給与均衡をとりましたが俸給表建前は、おおむね現在の通りといたしました。すなわち俸給表は、別表第一の次長及び官房長等俸給表別表第一の事務官俸給表別表第三の保安官及び警備官俸給表の三本建としております。このうち別表第二は、従前と同じく改正後の一般職一般俸給表と同じといたしましたが、別表第一は従前別表第一と同じ方式で、官房長局長課長、部員のそれぞれにつき一般職に対応する号俸基礎にして作成してもります。別長第三もこれと同様の方式で作成してありますが、ただこのうち保査長警査長以下の保安官警備官についての部分は、新たにこれに扶養手当石炭手当寒冷地手当支給するものとしてこれを作成いたしました。別表第四の昇給期間表は、今回の一般職給与法第八条の改正に対応して実質上これと均衡をとつて改正してあります。  以下改正の順を追つて説明いたします。  第十条の改正は、前述保査長以下保安官及び警査長以下の警備官扶養手当等支給することとするため第十二条及び第十三条を改正したことにより必要となつたものであります。同条中の「職員」なる字句には保安学校学生及び非常勤の者を除くものでありますが、この職員という字句の用法が第十条から第十三条までの条文について用いられることにしたものであります。  第十一条第一項及び第二項の改正は、一般職職員給与法改正案の第九条に対応するものであります。ただ本条では、従前保安庁部隊等勤務する事務官等は、保安官警備官と同じく本条第二項の規定によつて給与期間が月の十六日から翌月の十五日までとなつていて毎月一回に給与の支払いを受けておりましたのを改めて、これは保安庁官房長等と同じく一般職職員の例にならつて毎月二回払いを原則とすることにいたしております。  第十一条の二は、管理または監督の地位にある職員についての俸給特別調整額で、これは一般職職員給与法に今回第十条の二として新設することにせられておりますのを参考として規定したものであります。  第十二条及び第十三条の改正は、前述いたしました警査長以下の保安官及び警査長以下の警備官にも、他の国家公務員と同様に扶養手当支給することとせんがためのものであります。  第十三条は、事務官等に対する勤務地手当超過勤務手当、休日給等支給に関する規定でありますが、今回これを改正せんとするのは、一般職職員給与法に第十九条の二として新設される宿日直手当をこれらの者にも支給し得ることとし、また同法第十九条の三として新設される超過勤務手当等に関する規定適用除外規定をもこの場合に準用せんとするためであります。  第十八条の二は、一般職職員給与法改正案に第十九条の四として規定されている期末手当及び第十九条の五として規定されている勤勉手当を同様の趣旨によつて保安庁職員にも支給せんとするものであります。もつとも保安学校学生にはその性格上から考え勤勉手当支給しないことにしております。本条の第二項は、一般職職員給与法中の関係条文保安庁職員準用するについての必要な規定であります。  第十九条は、扶養手当等支給方法についての規定であります。今回これを改正せんとするのは、前述の、ことく今回新たに宿日直手当期末手当勤勉手当俸給特別調整額という給与を設けますのでこの支給方法について定める必要があるからであります。  次に第二十二条の改正でありますが、同条は、療養等に関する規定でありまして保安官、警、吉備官及び保安学校学生が公務によらないで負傷しまたは疾病にかかつた場合には国が国家公務員共済組合法第三十条及び第三十一条の例によつて療養給付または療養費支給を行うものと定めております。今回これを、このような場合には、国が国家公務員共済組合法組合員に対する療養給付または療養費支給に関する規定の例により。療養給付または療養費支給を行うものと改めんとするのは、これらの者が退職後においても国家公務員共済組合法の例によつて国が所定の期間必要な療養給付し、または療養費支給を行うことを明らかにするためであります。  第二十三条の改正は、一般職職員給与法中第二十三条の改正に対応するもので特定の場合に休職者俸給等の百分の百以内を支給することができるものとせんとするものであります。  第二十四条は、停職中特に勤務することを命ぜられた考の給与に関する規定でありますが、今回の改正は、このような場合において期末手当勤勉手当支給され得るものとせんがためであります。  第二十五条の改正は、保安学校学生手当月額二千五百円を三千円に改めんとするものであります。  第二十七条は、保安庁職員についての国家公務員災害補償法準用に関する規定であります。今回の改正は同法の準用にあたつて同法第四条第一項に規定する平均給与額算定に用いられる給与の中に新たに俸給特別調整額宿日直手当乗船手当を加えんとするものであります。  第二十九条 は、国家公務員共済組合法適用についての規定であります。同法第五十五条第五項において同法第三十四条第二項を準用する結果退職者に対する傷病手当金支給については、組合員たる資格喪失の際において傷病手当金を受けていることが必要となります。しかしたがら保安官には二年という任用期間のある者がありまして、これらの者は任期満了当時傷痍疾病を受けておりましても有給休職期間になるなどの理由によつて傷病手当金を受けない状況にあることがあります。今回の改正の前段はこの点についてこのような場合も退職傷病手当金支給し得るものとせんがためであります。後段の規定は、国家公務員共済組合法第五十五条第六項によりますと、退職後の傷病手当金支給期間中に療養給付または療養費支給期間が経過したときは、その日の前日で傷病手当支給をやめることになりますが、この場合について国が行う療養給付または療養費支給をこの法律が本来考えている療養給付または療養費支給とみなさんとするものであります。  次に附則に参りまして、附則第一項は、一般職職員給与法改正案附則第一項、第二項の規定にならつてこの改正条文の各条についての施行期日を定めたものであります。  附則第二項から附則第八項までは一般職職員給与法改正案附則第三項から第七項までに対応して改正法実施に察しての職員の職務の級、号俸の切りかえ俸給額等について規定したものであります。  附則第九項は、保査長以下扶養手当支給することにして本文の第十二条の改正により必要とたつた経過的規定附則第十項は、官房長等俸給の切りかえに伴う昇給期間計算特例に関する規定附則第十一項は、第十一条の改正に伴つて必要となつ事務官等昭和二十七年十二月下半期分俸給支給についての規定であります。  附則第十二項及び第十三項は一般職職員給与法改正案附則第九項及び第十項に対応する規定であり、附則第十四項は、前述のように保査長警査長以下の保安官警備官石炭芽当、寒冷地手当支給することに関連して国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律に所要の改正を加えんとするものであります。  以上をもちまして説明を終ります。
  7. 船田中

    船田委員長 これより両法案についての質疑を行います。辻政信君。
  8. 辻政信

    ○辻(政)委員 ただいまの御説明はあまりにかけ足が早いので、私どもこの条文を対照しながらどこを改正されたかということを納得しかねるのでありますが、ちよつと二、三お尋ねしたいと思います。  それは第十四条の3のところで「事務官等には、超過勤務手当、休日給及び夜勤手当支給する。」ということになつております。「事務官等」には保安官警備官を含むのですか含まないのですか。
  9. 増原恵吉

    増原政府委員 「事務官等」には保安官警備官等は含んでおりません。そうして今のように超過勤務事務官等にのみやるように書いてございまするのは、保安官警備官等俸給算定基礎超過勤務額を入れて、俸給基本額計算してある建前をとつてあるわけでございます。
  10. 辻政信

    ○辻(政)委員 今の説明によりますと、保安官とか警備官というものは、それじや超過勤務をやるということを建前にして、一般事務官等よりも俸給をよくしてあるのですか。
  11. 増原恵吉

    増原政府委員 その通りであります。それで保安官警備官等は、その勤務性質上一人々々についてこの者は一月十時間やつた、これは八時間やつたというふうな建前をとることを不適当と認めまして、いずれも大体同じ率で超過勤務を入れてある。
  12. 辻政信

    ○辻(政)委員 そうしますと、その俸給表を対照するのが表の中にできておりますか。保安官とか警備官事務官よりもどういう階級で比較して、どれだけ多くなつているのか。私が最近聞いた話によりますと、あなたの役所は、文官といいますか、事務官ちよつと居残りするとすぐ居残り手当がほとんど例外なしに出る。ところが武官は居残り手当が出ない。夜八時、九時まで勉強してもそういうことを考えない、こういうことをちらつと聞いておるのですが、その実相はどうですか。
  13. 加藤陽三

    加藤政府委員 給与表の作成にあたりまして、先ほど次長がおつしやつた通り保安官警備官につきましては、超過勤務手当分を合算をして俸給表ができております。このことは法律の上では、これらの者には超過勤務手当を出さないということが給与法規定してございますので、その裏とし七、俸給表にはそういうものが含まれておると考えております。そこでその計算基礎はどうかと申しますと、御承知のごとく保安官を例にとつて申しますと、二等保査から保安監までの十四階級がございます。この一番下の階級の二等保査でありますが、一般職国家公務員俸給表の警察官の俸給表の一号に対応するものを基礎俸給にとりました。これに対しまして勤務地手当平均率をプラスし、さらに超過勤務手当といたしまして本俸の一三・八%に相当するものをプラスいたしました。この合計金額から恩給の納付金分を差引き、それから衣料費分を差引き、それからさらに食費相当する部分を差引き、それから光熱費相当する部分を差引き、そうして出ました金額を三十で割りまして一日の俸給日額をきめている。この方式で順次やりまして、御承知でありまじようが、一等保安士補以下までは営内に居住するということが建前なつておりますから、同じような方法計算する。それから三等保安士以上になりますと、これに対しては営内の居住を建前にしておりませんので、今申しました俸給から差引くものの中で、食費光熱費とは差引いておりません。そうして一番上の保安監の甲という階級を、一般職国家公務員の十五級職の一号の号俸と同じにいたしました。同様に計算をいたしまして、保安監の乙を一般職国家公務員の十四級職の一号、それから保安監補を十三級職の一号、一等保安正を十二級職の一号というように、以下順次上と下からしぼつて参りまして、俸給表をきめております。
  14. 辻政信

    ○辻(政)委員 事務官保安官を、一方は超過勤務手当を含んで俸給をきめておる。事務官はそれを含まないで区分して、別にこれを支給するという二つの系統をとらえたのは、どういうわけですか。同じ役所仕事をしているのに、なぜ一本にしないか。
  15. 増原恵吉

    増原政府委員 御承知のように、保安庁におきまする事務官等といいまするのは、次長以下私どものような者が現在で百数十名おります。あと事務官等といいます者は、実態においてはごく少数で補助的な仕事をするにとどまつております。保安庁における主力は、保安官及び警備官であります。いわゆる事務官等と申しますか、制服を着ない者でも、次長以下局長等、いわゆる補助的な仕事ではない仕事をやつております者には、やはり俸給の中へ超過勤務を加えた計算をしておりまして、われわれの方のところは、超過勤務は別に出さない。俸給計算の際にこれを入れておる。事務官等といいます者は、ごく補助的な仕事をする人々でありまして、この人たちは普通の文官がやつておりますような計算で、特に居残りをした場合には、超過勤務手当をつけるという制度をとることが適当であろう。保安庁における実体的な勤務をしております連中は、他の役所と多少趣が違うので、きよう一時間残つたから一時間やる。二時間残つたら二時間やるというような式の勤務方法は適当であるまい、全体として必要があつて居残りをすることは、月を通し、年を通してにらんでみて、それを一応俸給計算の中に入れておる。でありますから、保安官警備官にしましても、あるいはセビ口局長課長等にしましても、そういう方面主体なつ仕事をしておりまするものは、一般俸給の何号というものに対応した、たとえば一正は十二級と申しましたが、その場合にわれわれの方の三級の喜に当る者と一般職の十二級の一号に当る者とを見ますと、超過勤務が入つておりまするだけ、多少よくなつておるという計算なつております。
  16. 辻政信

    ○辻(政)委員 同じ役所仕事をしておる者が、事務官であろうが、あるいは局長であろうが、武官宅あろうが、同じじやないですか。それをなぜ二本にしなければならないか。ほかの官庁の事務官なら別ですけれども、いやしくも国家保安の任に当る者が、事務官であろうが保安官であろうが、さしつかえないのだ。同じ目的のために勤務しておるのです。これを二本にしなければならない理由がどこにあるかをお聞きしたい。
  17. 増原恵吉

    増原政府委員 それは、そうする方が適当と認めて……。
  18. 辻政信

    ○辻(政)委員 適当な理由を聞きたい。
  19. 増原恵吉

    増原政府委員 これは保安庁というものの仕事建前上、特に何時間残つたから何ぼ超過勤務をやるというふうな、毎日そういう勤務時間の計算をするとか何とかいう方法は、適当でないという結論に達したのであります。
  20. 辻政信

    ○辻(政)委員 それは事務官といえども同様だと思うのです。いやしくも保安庁というところに勤務する事務官は、事務官なるがゆえに特例を設けなければならぬ理由一つも認められない。
  21. 加藤陽三

    加藤政府委員 ただいまの俸給表の立て方をどうするかということにつきましては、当時昭和二十五年、警察予備隊創設当時において、われわれといたしましても、いろいろ考えたのであります。当時考えましたことは、保安庁保安官警備官主体でありますが、これは訓練教育等のために非常に異動が多い。それから当時は会計職員というものが各方面から入つて参りまして、十分なる訓練ができておらないということからいたしまして、なるべく給与は簡単にして、聞違いのないようにしようじやないか。しかも保安官の九割余りというのは営内に居住しておりまして、衣食を支給しておる。でありますから、そういう点から考えまして超過勤務手当勤務地手当を別別に計算いたしますと、非常に複雑になります。十万人余りを一々計算しますと非常に会計が煩瑣である。会計要員をなるべく少くして第一線に働く者を多くするというようなことから勤務地手当趨過勤務手当というものは一率に本俸計算の中に入れてやつたわけであります。ところが事務官は今次長の仰せになりましたことく、部隊訓練をやる人間ではございませんで、物の調達の関係に当るあるいは建築の設計の事務をするというふうな方でございまして、これは仕事実態保安官諸君と非常に違うのでありまして、異動ということもそう頻繁にはございません。それから数といたしましても、そうございませんので、これにつきましては他の一般職と同じようなやり方にする方がよかろうということで一般職国家公務員俸給支給の例にならつてきめております。制服部隊諸君異動が多い、それから勤務性質から申しましても、なるべく会計要員を少くしたいというようなことからいたしまして、日額にしてしかもあと払いという制度を当時考えてやつて参つたのであります。
  22. 辻政信

    ○辻(政)委員 今もそれが正しいとお考えなつておりますか、将来改正しなければならぬとお考えなつておりますか。
  23. 増原恵吉

    増原政府委員 当時つくりました事情は、辻委員相当程度承知と思いますが、非常に取急いだ状態の中で、そして今加藤局長から説明しましたように、会計要員等も非常にふなれであるというふうな要素相当大きい一つ要素なつておりました。そして現在の骨組みができておる。これはわれわれの方でもさらに再検討をする余地ありと考えましてただいま検討中でございます。改正案なり何なりをいつごろ御審議願うかというところまでまだ具体化しておりませんが、研究中であるということを申し上げます。
  24. 辻政信

    ○辻(政)委員 研究中ならば、今度は今のこの事務官の項目をかえようとするのですね。そうでしよう。われわれの手元にいただきました案は、新しく給与法をかえようとなさつておるわけですな。今次長のお話のように将来研究しようというならば、その研究を一本にしてお考えなつたらどうなんですか。
  25. 増原恵吉

    増原政府委員 このたびの改正案はただいまも御説明申し上げましたように、一般職公務員のこのたびの改正に伴うものでありまして、一般職の方でも基本的な給与法改正という趣旨で今度考えておるわけでは、ございませんが、われわれの方もこれに即答しました改正でございまして、基本的な問題については次の機会に譲るということにいたしたいと考えておるわけであります。
  26. 辻政信

    ○辻(政)委員 きようはごく短期間の大ざつぱな政府委員説明を聞いて、私がすぐ感じたことだけですから、もつと徹底的に調査して、さらにこの次の機会にお尋ねいたします。  これはこれだけにして、次は保安隊隊員で病気になつておる人がずいぶんある。保安庁衛生機構というものが実にでたらめです。私から申しますとできておちない。中央病院もないし、管区病院もまた十分でない。患者を大体地方病院ベッドを予約して、地方病院ベッドの中にすべり込ましておる。自宅治療をやつておる。はなはだ不徹底である。極端なことをいいますと、久里浜の軍医学校では、お医者さんでないところの一般武官をもつて校長にしておる。こういう例すらある。私はある系統から調査したものがありますが、こういう状態なので保安隊隊員というものは非常な不安にかられておる。けさの朝日新聞の「声」のところにこういうものが出ておる。御参考に一通り読んで皆さんに申し上げます。「傷病保安隊員」と書いて、「私達は保安隊(旧予備隊)在職中胸部疾患で倒れ、療養中のものです。今年九月満期後退職を余儀なくされ、退職後三年間の療養期間の保障と六割程度の手当を確約されたのでした。ところが現在十二月の中旬を過ぎるというのに、いまだに一銭の手当も受けず、退職金に手をつけ不安のうちにその日その日を過している次第です。政府はいま療養中の千人余の元隊員をどのような目で見ているのでしようか。書類の上だけの約束なのでしようか。国家公務員特別職として私達は当然受けるべき療養と権利は明らかに認められているはずです。  先日私達患者は医師が歩行を認めてくれた同僚数名を代表に、事務取扱いをしている管区を訪ね、直接交渉に出かけました。その結果は年内には支給されず、また家庭の裕福な者は手当支給を遠慮してもらいたい、そして市町村役場の証明を必要とする、というのでした。なぜ私達同僚が交渉に行かなければ、その事実が知らせてもらえたかつたのでしようか。職を失い生活の本拠が病院にあり、実収のない私達です。二、三男、そして引揚者の多い保安隊員であり、それぞれの自活の道を保安隊に求めて入隊してきたのではありませんか。家庭の経済と何の関係があるでしようか。病人は私達自身ではありませんか。  全国の療養所にいる元隊員は一体どんな気持でこの年を送ろうとしているのでしようか。政府当局の不満足な態度に私達はベッドの上でどんな苦しい思いでいるか当局はおわかりでしようか。傷病軍人のように街頭に立すような考えでいるのでしようか。現在の私達をこのような前例で残そうとするならば、在職中の隊員、そして世間の皆さんに、国民のための保安隊、愛国心の高揚を叫んでみても、むだなことは請合でしよう。当然の権利をも認めてくれず、はてはいたずらに苦しみの連続に病状の悪化をおそれている私達です。政府当局に確実な処置を一日も早く実行に移していただきたいと、ただそれだけが私達患者の心からの願いです。(崎玉――小野末三――保安隊療養者)」こういう投書をしておるのであります。私がある資料から調べた保安隊の衛生関係を見ると、まだかなりひどい例があります。この次の機会にその衛生主任者に対して、ひとつ質問したいと思います。人道上の見地から、これは見のがすことができない。それを保留して質問を終ります。
  27. 加藤陽三

    加藤政府委員 今の新聞の投書のことについてお答え申し上げます。私もけさ拝見いたしまして、実は驚いたのでございます。本年の八月から十月の間に約二万八千人の者が退職いたしております。これは昭和二十五年の八月から十月の間に入りました者が、二年の任期が満了いたしましたので、四割余りの方が退職いたしました。このうちで千四百名余り退職の当時傷痍疾病者がございました。これに対しましては、私ども国家公務員と同様な取扱いをするということを建前にいたして参つております。約束云々ということが新聞にございますがそれは今年の十月でありましたか、当時十月の十五日までは警察予備隊がございましたので、警察予備隊令の委任に基きまして、政令を出しまして、同じような療養をするということを、政令をもつて対処したのであります。今回提案しておりまする政正案のうちの、第二十二条の改正と第二十九条の改正がこれに該当するのであります。警察予備隊令は十月の十五日で効力を失いましたので、以後退職する方に対しましては、第二十二条の改正と第二十九条の改正によりまして、他の国家公務員と同様な扱いをしたい。すなわち傷痍疾病者に対しましては、療養を始めたときから三年間は国が療養をする。それから傷病手当金につきましても、退職の当時――ちよつと説明を申し上げましたが、二年という期間がございますので、ほかの公務員と違つた扱いをしなければならない。と申しますのは、ほかの公務員でありますと、任期がございませんので、病気になりますと、有給休職というのをやります。ところがこの有給休職の期間は十分の八の給与を受けますので、傷病手当金はもらえないのであります。二年という期間がありますために、その当時給与をもらつておるので、傷病手当金退職の当時もらえない。今の共済組合法では、退職の当時傷病手当金をもらつていないと退職金をやれないということになつておりますので、今回は二十九条を改正したい、こういうふうに考えておるのであります。そこで療養給付及び療養費支給はやつておるべきであります。私はそう信じております。療養費は、直接に病院の方から請求がありました場合に支払いをいたします。病院に入つておらない方に対しましては、本人への請求に基いてこれを出すということになつておるのでありまして、実は新聞を見て驚きまして、その点はさつそく調査をいたしたいと思つております。
  28. 辻政信

    ○辻(政)委員 やつておるはずだとおしやいますが、この新聞のほかにも私の郷里の近くの者でもやつてないのがたくさんあります。泣いておるのがあります。今のお話では、予備隊保安隊にかわつた。警察予備隊は、これからはもらえるけれども、今までのはやむを得ぬというようなお考えですね、あなたのお考えは。切捨てごめんだというのですか。
  29. 加藤陽三

    加藤政府委員 私の説明は、警察予備隊が十月の十五日まであつた。これに対しましては警察予備隊令の方で同様の措置をしておる。警察予備隊ではなくなりましたので、今度はこの法律改正しなければできなくなつたので、今後の退職者に対しましては、これで今後処して行きたい。今までの人は警察予備隊令の改正によつて療養する道を講じておる。
  30. 辻政信

    ○辻(政)委員 講じてあるのですか。
  31. 加藤陽三

    加藤政府委員 あります。
  32. 辻政信

    ○辻(政)委員 その実情はさらに調査しまして、この次の機会に徹底的に質問しますからあなたの方も準備しておいてください。
  33. 大矢省三

    ○大矢委員 今度の給与の一部を改正する法律案の実施に伴つてどのくらい費用がかさむか、大体おわかりでしたら……。
  34. 加藤陽三

    加藤政府委員 この案によりますと、本年度分といたしまして十三億四千五百万円、平年度におきまして二十四億六千七百万円というふうに推定をいたしております。
  35. 大矢省三

    ○大矢委員 これは総額ですか、改正によつた増額ですか。
  36. 加藤陽三

    加藤政府委員 改正によりまする増額でございます。
  37. 大矢省三

    ○大矢委員 これは申すまでもなく一般職員と保安庁の特別職とはおのずから違うのでありますが、今度の改正を見てみますと、ほとんど一般職員の改正によつて改正を行うことになるので、その内容とするところもいろいろな諸手当をそのまま適用しておる。ことに政令でもつてこれを定める勤勉手当というのがありますが、勤勉にあらざる者がおるかどうか。普通の一般職なり、あるいは公共企業体その他一般公務員の中にはそれがあるかもしれませんが、一体保安庁関係する職員の間で勤勉であるとか、ないとか、欠勤するとか、しないとかいうことはあるはずがない。こういうものを同じように羅列するということは、一体勤勉手当を政令で定めるというのはどういう内容をもつて定めるのか、もし腹案があつたならばこの機会にお知らせを願いたい。
  38. 加藤陽三

    加藤政府委員 勤勉手当一般職職員給与法の第十九条の五にあるものを準用しておる。第十九条の五には、「勤勉手当は、十二月十五日に在職する職員に、その日以前十二月以内の期間におけるその者の勤務成績に応じて、その日に支給する。」そうして「勤勉手当の額は、前項の職員がその支給日現在において受けるべき俸給の月額とこれに対する勤務地手当の月額との合計額に、各庁の長又はその委任を受けた者が人事院の定める基準に従つて定める割合を乗じて得た額とする。」こうなつておるのでありまして、勤務成績に応じて支給する。われわれの方におきましては人事院の方の人事院規則の適用を受けませんので、人事院の定める基準に従いまして長官が定めるということにいたしまして、実質的には一般職職員支給されます勤勉手当の実情とにらみ合せまして、適切なる勤勉手当支給するようにいたしたい、かように考えております。
  39. 大矢省三

    ○大矢委員 私は保安庁関係しておる保安隊並びに警備隊の――海上警備隊ですか、これらの人たちはおのずから一般職と違うと思う。こういう諸手当というものをそのまま適用してはどうかと思う。特にこの種の関係しておる職員といいますか、隊員といいますか、それらの人々は一つの誇りを持つておるところがある。それでこういう諸手当勤勉手当というようなものをつけるということをはたして好んでおるのかどうか。もつとほかに名称があつて、そういうものは特別何か取扱いをされて、一般職員と同じようないわゆるこういう名称をつけて支給することはいかがかと思いますが、これはこれでいいと考えるか。何か名目をつけて少くとも人事院のきめた、為るいは一般職と名目をかえて、とれるだけとつたらいいという実質的な待遇のみにとらわれてこういうことを考えておるのではないかと思うのですが、一体この制度をそのまま適用して万全だ、いいと考えておるのか。この点と、いま一つは、現在保安隊員の中に、海上警備隊と合せてかつての尉官級以上の人がどのくらいおるのか、その点今おわかりになりましたら子の説明を承りたい。階級別でもけつこうです。
  40. 増原恵吉

    増原政府委員 保安庁におきまする給与制度は、一般職給与制度と同様であることは適当でないと認めまして、基本的には相当違いました制度をとつておりますことは御承知通りでありますが、このたび一般職の方において、従来勤勉手当というような名前で呼んでおりましたものを、期末手当勤勉手当というふうにわけまして、多少の給与改善といいますか、そうした意味を現わしたものと解釈をいたしますが、そういう措置をとられますので、その際に保安庁におきましてもこの例にならうことが適当であろうというふうに考えまして、このたび改正案を御審議を願うことにいたした次第であります。  次の御質問の旧尉官以上という意味でございますが、これは他の政府委員からお答えをいたさせます。
  41. 加藤陽三

    加藤政府委員 御質問は、保安隊の方におきまして三等保安士以上の保安官、警備隊の方におきまして三等警備士以上の警備官の数のお尋ねのように解します。現在三等保安士以上の保安官が八千二百四十一名、三等警備士以上の警備官が九百三十七名おります。
  42. 大矢省三

    ○大矢委員 旧尉官以上を別に言つてください。そのトータルでなしに――。
  43. 上村健太郎

    ○上村政府委員 いわゆる三等保安士以上の幹部保安官のうちで、旧陸軍または海軍の将校でありました者が二二・四%、もと応召将校、予備将校でありますが、これが三九・一六%でございます。
  44. 船田中

    船田委員長 他に御質疑ございませんか。――委員長からちよつと希望を申し上げますが、この両法案はなるべく本日中に質疑を終りまして、明日討論採決まで行きたいと考えておりますので、もし御質疑がありましたら、この際ぜひお願いいたしたいと思います。  なお海上保安庁長官柳沢米吉君が御出席になつておりますから、昨日御希望のありましたような点について御質疑ございましたら、この際お願いいたしたいと思います。
  45. 辻政信

    ○辻(政)委員 この次に私も保安隊関係の衛生機関について聞きたいと思います。これは非常に重要な問題でありますから、あなたの方の主任者、どなたですか。衛生の最高責任者を……。
  46. 加藤陽三

    加藤政府委員 本部におきましては人事局が主管しておりまして、衛生課であります。
  47. 辻政信

    ○辻(政)委員 衛生の中将がおりますが……。
  48. 加藤陽三

    加藤政府委員 制服の方に、第一幕僚幹部に衛生監というのがあります。
  49. 辻政信

    ○辻(政)委員 その衛生監に私はあした質問しますから……。これは人道上の問題なのです。
  50. 増原恵吉

    増原政府委員 その点辻委員にお願い申し上げたいのであります。できますならば国会におきまして質疑にお答え申し上げることがわれわれ保安庁におけるセビロ部員、本部員の重要な役目の仕事でございます。特別の必要がある場合を除きまして制服部員が国会に出まして質疑応答に答えることをなるべく避けたいという組織上の考えを持つておりますので、できまするならば、質問事項を走り書きにでもしていただいて、十分にわれわれの方で用意をしてお答えするようにできればまことにけつこうであります。
  51. 辻政信

    ○辻(政)委員 あなたが責任を持つて答えるならけつこうですが、あすは相当鋭く行きますから、あなたを補佐する主任者を持つて来ていただきたい。私の質問に対してお答えくださるのはどなたでもよいのです。木村長官ならなおよいのですが、お気の毒だから、特に主任者を連れていらつしやいと言つておるのです。お答えになるなら木村長官に聞くのが一番よいのです。
  52. 大矢省三

    ○大矢委員 柳沢長官にちよつとお尋ねいたします。最近しきりに漁船が拿捕されておりますが、これは何というか、マッカーサー・ラインというか、そういうものをほんとに越えてやつて拿捕されておるのかどうか。その拿捕された原因について調査をされたことがありますか。それが一つ。それから今度六十八隻、いわゆる向うでは巡洋艦といつておるそうですが、フリゲート艦を借り入れて、あの六十八隻で一体沿岸警備が完全に行われるかどうか。それから最近こういうものを借り入れなければならぬような実情というか、最近の沿岸の警備の状況、内容についてもしさしつかえなかつたならばお答えいただきたいと思います。その二点を……。
  53. 柳沢米吉

    ○柳沢(米)政府委員 まず最初の拿捕船の問題でございますが、御承知通り独立をいたしました後におきましてはマツカー・サラインは解消しておるわけであります。拿捕船問題の大体多いのは、以前は北方においてはソ連関係、それから東支那海における中共関係の拿捕事件、最近に至りましては朝鮮方面におきまする拿捕事件、この三つにわかれております。独立いたしましてマツカーサー・ラインが撤廃され、その後今春われわれの方といたしましては閣議決定を受けまして、巡視船をその三方面に出すことになりました。この巡視船が出動いたしました後においては、北方におきましてはその数が非常に減つております。ほとんど現在においては平静の状態を保つておると考えておる次第であります。ただここに御承知でもございましようが、公海における領海の問題がありまして、ソ連におきましては大体十二海里を領海と考えるというような主張をしておるようにも聞いております。われわれの方といたしましては、どこまでも領海は三海里という考え方であります。しかしながらこれは現在におきましては、北方におきましては大なる支障なく進んでおるわけであります。  第二東支那海関係でございます。東支那海関係におきましては、われわれの巡視船が出ましてから以後におきましては、その拿捕の数は割合に減つて来ております。しかしながらこれは水産庁におきますところの監視船と共同でやつておるのであります。しかし大体におきまて、われわれの巡視船が出て行く付近においては、ほとんど拿捕問題は起きておりません。しかしわれわれの船が通りましてあと、遠く離れますと、そこに起る可能性があるように見受けられておる状況であります。従いましわれわれといたしましては、この方面にも相当の船を配置したいと考えておるわけでございます。  なお朝鮮における問題につきましては、近来李承晩ラインということを言われておりますが、この李承晩ラインにつきましては、われわれの方としては、これは単なる一方的のものとして考えて、考えのうちに入れておらない。しかしながらここに連合軍による防衛ラインというものができております。このラインにつきましては、漁業その他については、このラインの中へ入つて漁業ができ得るような処置をとつておられる。しかしこのラインの中に入りましたときに、かえつて漁船が危険を感ずるような事態が起る可能性がございます。このときには退避していただくというふうな処置で、このラインの中の操業を認めていただくようなかつこうに話が進んでおります。  大体以上の状態でございまするが、われわれといたしましては、この拿捕船問題につきましても、現在海上保安庁の船艇といたしましては、外洋に出てほんとうに処置する船艇というものは、九十数隻でございます。そのほか小さなる船艇が二百隻以上ございます。これらは主として沿岸警備等に当てておるものでございますが、いわゆる外洋に出て警備その他に当れるものは九十数隻ということに相なつております。従いまして、警備力全体といたしまして、約三百というものが現在の警備力で、その他海上保安庁といたしましては、燈台業務その他をやつておりますので、総計いたしますと、五百隻以上の船艇を持つておりますが、実際の警備に当れるのは三百隻、そのうち九十数隻が外洋に出られる、かように相なつております。これらの船艇で、しかも割合大型の船艇をこの外洋に使わなくてはならぬということになつております。たとえば十隻の船艇を外に出す場合には、少くともこれに三倍する船艇を用意しなければできない。従つて十隻を警備に当てるには、これに常に警備をさせるためには、帰つて来ての休養もございますし、あるいは修理等のこともございます。約三十隻の船艇を備えなければならぬという状況に相なつております。従つてこれらのことをやるためには、沿岸の警備がいかにしても疎漏に相なるということはいなめないという事実と相なつて来ておるわけであります。一面これらに関して、われわれの方のやつております仕事につきましては、海難の発生時におきまする状況、これについて申し上げますと、たとえばつい最近のことでございまするが、外洋の沖におきまして海難が発生する。この海難についてすぐ救助に行かなければならないということでございますが、最近におきましても、約百五十トンくらいの船艇で、乗組員二十六人、これが大体千五百海里の海上でもつて通難した。しかもそれは非常に海が荒れておる。これをわれわれの方では七百五十トンが最高の大きな船であります。この船をもちまして、ここまで出かけて行きまして、この船をひつぱつてつて来て、二十六人の人命を助けるというようなことをやらなければならぬ。これに要する日にちといたしましても、大体十七、八日かかるという状態であります。その間途中でもつて相当なわが切れるとかいうようなことで、苦労を重ねて、やつて来るわけであります。以上のような状態がわれわれの方の状態でございます。  そのほか沿岸におきまする密貿易状況、あるいは密出入国状況、これらについて申し上げますると、密出入国の状態は、今年に入りましてからは、どちらかというとむしろ密出国の方が多くなつて、密出国は大体その行動は密輸出を伴つた密出国が多くなつて来たという状態でございます。しかもその相手のところは、南鮮あるいは琉球、沖縄というようなところでありましたが、最近におきましては、中共あるいは香港方面、そういうところが多くなつて来ておるということが見受けられる状態であります。またその他海におきまするところの漁業の取締り、これは底びき漁業と沿岸漁業との競争ということが相当激化されて来ておる状態であります。これらの取締りに非常に船艇の不足をかこつておる状態であります。もしわれわれといたしまして、この際ただいま申し上げましたような浩海のところにおきまして、特に大きな船の遭難ということがありました場合には、われわれの方としては、少くとも千五百トン以上あるいは二千トンくらいの船艇が相当あれば、これらの救助はその大型の船艇で行うならば、非常に楽に行くのじやないかというような感じを持つておるわけであります。現在における海上保安庁の現勢力、その不足状況は以上のような次第であります。
  54. 大矢省三

    ○大矢委員 その、今お話のあつた李承晩ラインと、それから防衛ラインというものとは相当つているのですか。大体一致しておるのですか、その点を伺います。
  55. 柳沢米吉

    ○柳沢(米)政府委員 李承晩ラインの方が、防衛ラインよりも大分日本に近寄つて来ておるわけであります。
  56. 大矢省三

    ○大矢委員 それから、今度この六十八隻を貸借するのですが、そのうち沿岸じやなしに、いわゆる海上警備といいますか、相当遠くまで出られる船が何そうあるのですか。これはほとんどそれに使われるのでしようか。またこの六十八隻を借りた後における乗組員その他を増員する必要があるのかないのか。現状のままで行けるか。それからもう一つは、まだこれ以上借りる意思があるのかどうか。向うの都合によつて幾らでも借りるのかどうか。ひとつこの三点だけをお聞きしておきます。
  57. 増原恵吉

    増原政府委員 六十八隻のうち十八隻がいわゆるフリゲートでありまして、五十隻は上陸支援艇になつておりまして、二百五十トンの小型でございます。フリゲートの方は千四、五百トンのもので、外へ出て行くという能力はフリゲートの方に多いわけであります。この乗組員は、現在予算で認められておりまするものは、フリゲート十、上陸支援艇五十、合計六十隻分でありまして、フリゲートの八隻分はまだ予算措置をしておらないわけであります。これは来年度予算におきまして増員をするようにお願いをいたしたいという心づもりでおります。なおこのほかに借りるかどうかということでございまするが、現在、このほかに借りるということについては、具体的な話合いをしておりません。
  58. 大矢省三

    ○大矢委員 今の柳沢さんの説明によりますと、密入国よりか、むしろ密出国の方が香港経由その他で非常に多くなつている。密出入国の問題につきましては、特に朝鮮の間にしばしば起きておりますが、今後警備によつて相当減ずるか、あるいは現状においてはこれはとうてい防止できないのか。われわれの見るところでは相当数に上つておるようでありますが、これの見込み、また今の警備において十分なのかどうか、皆さんの自信のほどをこの機会にお聞きしておきたい。
  59. 柳沢米吉

    ○柳沢(米)政府委員 密出入国等につきましては、その一番大きなルートはやはり南鮮にございます。この南鮮の人々がどういうふうな径路をとつて来るかと申しますと、密出入国のうちのほとんど九〇%に近いものがやはり朝鮮関係ということに相なつております。この朝鮮関係のうちが北鮮関係のもの及び南鮮関係のものという二つにわかれるのであります。その密出入国の様相から申しますと、南鮮関係の方は、どちらかというと便船その他のものを利用して入るというものが多い。北鮮関係のものは、非常に計画的な密出入国をやるという傾向が強いように思われます。その径路は、主として山口県及び北九州各県の沿岸に上つております。しかもその一番多いものは対馬を経て入るものであります。     〔委員長退席、富田委員長代理着席〕  従つてわれわれといたしましては対馬を非常に重視いたしまして、対馬に大体十数隻の船を配備いたして警備しておる状態であります。しかしながらその他の沿岸にも相当上るという状態なつております。これらの上り方が今後どういう見込みであるというお話でございますが、大体密出入国の船は、朝鮮沿岸におきましては、すでに連合国の艦艇及び韓国船によりまして監視されておるわけであります。それをもぐつて出て参りまして、またこちらで監視しましてこれをあげるという状態なつております。趨勢を申し上げますと、たとえば朝鮮において何らかの事態が起きますとふえて来るということは言えるわけであります。治まつて参りますと少くなつて来るというふうに考えられる。従いまして、これらの予測というものは、朝鮮の内部情況のいかんによつて相当かわつて来るのではないかというふうに考えられます。  お前は自信があるかというお話でございますが、これらにつきましてはなはだ申しにくいことでございますが、現在の密貿易その他を考えましても、約半数以上はもぐつて来ておりはせぬかとわれわれ心配している状態であります。忌憚のないところを申し上げますと、われわれとしては十分努力はしておりますが、あるいは半数くらいはのがれて来ておりはせぬかという心配をしている状態であります。
  60. 岡田忠彦

    ○岡田(忠)委員 今委員長はおるすになりましたが、だんだん私は勉強しているのですが、次会に譲るというのがずいぶん多くなりました。ただ傍聴しているわけでないが、こう延びられては、聞いている者はどうもたまらぬ。それもかまわぬのでありますが、委員長の方で、急ぐものは先にやるというふうにでもひとつまとめてやつてくれませんか。急ぐのがあるのですか、ないのですか、聞きたい。急ぐのがあれば、それは委員長のはからいで先にずんずんきめてもらいたい。
  61. 富田健治

    ○富田委員長代理 ただいまお話もございましたが、先ほど委員長からちよつとお話があつたのでありますが、保安庁職員給与の問題、これは一般職職員給与とも関連いたしますので、非常に急いで可決を願いたいという希望もあり、そうした方がいいんじやないかという意見が委員の中でも今朝来あつたわけであります。それから保安庁法の一部改正の問題も、これは外務委員会で大分問題になりまして、こちらの方で保安庁法改正をするならばというやうな話合いも実はあつたようでありまして、先日来いろいろ御質疑もあつたようでありますが、大体御質疑も終つたように先般理事会でもお話があつたのであります。何とか本日あるいは明日午前中あたりにでも大体御質疑を終つていただきまして、討論採決というような順序にしたいというふうに委員長も皆さんと御相談しておつたようでございます。だんだんそういう方向に行くんじやないかと思いますが、ただいまの御発言は、さらに委員長にもまた理事の皆さんにも後ほど御相談をいたしまして、さようにとりはからうようにいたしたいと思います。
  62. 熊谷憲一

    ○熊谷委員 海上保安庁の方に水難救済会のことについてお尋ねいたしたいのであります。沿岸の海難の場合におきまして――実は私も多少その仕事関係を持つているのでありますが、終戦前の水難救済会は相当盛んでありましたが、最近非常にさびれております。まだ都道府県におきましてもその支部ができていないようなところもあるようであります。それらに対してどういうお考えを持つておりますか。これが第一点。第二点は、陸上の官設消防につきましては、消防組織法があつて、非常に徹底したいろいろな規定ができております。民間の消防団につきましても、その業務上の負傷あるいは死亡の場合には消防組織法の規定準用して手厚い補償を受ける。ところが海難の場合には、御承知のように海難は、あらしとか、暗夜とかいう場合に起りまして、人目につかぬ場合に、漁業組合等が中心になつて、あるいは漁業組合自身、あるいは漁業組合が水難救済会を使つて相当な経済的負担をし、力を尽してやつているような状況でありますが、これらに対しては何ら法的の援助がありません。また財政的な援助もないようであります。それらにつきましてどういう考えを持つておられるか、これはぜひ何とかしてすみやかにこれらに対して適切な施策を講じていただきたい。質問かたがたお願いする次第であります。
  63. 柳沢米吉

    ○柳沢(米)政府委員 お説の通り、水難救済につきましての働きというものは、われわれとして非常に認めておるわけであります。今後におきましてもこの組織は強化して行きたいと考えております。なおお説の通り、海難がありましたときに、その海難を救いに行つた船がそのために失われたというときに、これに対して何ら補償がないために、非常な苦境に陥る方々があることは、われわれとして非常に遺憾に感じておる次第であります。なおそういうことに関しまして、法律その他の形をもちまして何らかの補助その他の手段を講じなければならないと考えておりまして、終戦後におきましてもいろいろと努力して参つたのでございます。しかしながら、この考え方につきましては、占領下におきましては非常な意見の食い違いがございまして、なかなか進まなかつたのであります。独立後の今日におきましては、日本の内部だけの話で済むことに相なつておりますので、現在そのことに関しまして立法方を考慮している次第であります。なおこれに関しましてはいろいろまたお骨折りを願う機会があると思います。ただ申し上げたいことは、現在私の方は水難救済会その他のことにつきましては実施に努力しておるのでありますが、これが立法の実際のあれは運輸本省ということになつております。現在運輸本省と私の方とで十分連終して、運輸本省におきましてもこれはぜひ実行しなければならないということになつておりますことを申し上げておきます。
  64. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 念のため尋ねておきますが、給与法改正については予算的措置は済んでおるのですか。
  65. 加藤陽三

    加藤政府委員 済んでおります。
  66. 富田健治

    ○富田委員長代理 そのほかに御質疑はございませんでしようか。それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は明十九日午前十時から理事会、十時半から委員会を開きたいと思います。なおただいま岡田委員からも御発言がございましたが、大分長い時日にわたつておるようなことで、一面非常に他との振合いからも早く審議を終つていただきたいというような状況にもあるようでありますから、どうぞこの辺よろしく御了承の上で、御審議について一段の御尽力を願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十二分散会