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1953-03-09 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月九日(月曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 岩川 與助君 理事 中村 梅吉君    理事 有田 喜一君 理事 松前 重義君    理事 原   茂君       荒舩清十郎君    今松 治郎君       大倉 三郎君    小坂善太郎君       砂原  格君    貫井 清憲君       羽田武嗣郎君    本間 俊一君       松村 光三君   山口喜久一郎君       中曽根康弘君    楢橋  渡君       松井 政吉君    三輪 壽壯君       阿部 五郎君    山田 長司君  出席政府委員         郵政政務次官  平井 義一君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社理事     田邊  正君         日本電信電話公         社営業局次長  吉澤 武雄君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 三月九日  委員池田勇人君、石田博英君、廣川弘禪君及び  水田三喜男君辞任につき、その補欠として荒舩  清十郎君、今松治郎君、小坂善太郎君及び大倉  三郎君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事久野忠治君の補欠として岩川與助君が理事  に当選した。     ――――――――――――― 三月七日  口永良部島に超短波無線電話架設請願岩川  與助紹介)(第三六七三号)  宮之浦、尾之間間に市外電話回数線増設請願  (岩川與助紹介)(第三六七四号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同日  京都放送局の再免許に関する陳情書  (第一八  七二号)  同外一件  (第一八七三号)  同外五件  (第一八七四号)  同外六十九件  (第一八七五号)  同(第  一八七六号)  同(第一  八七七号)  同(第一  八七八号)  同  (第一八七九号)  同外一件  (第一八八〇号)  同  (第一八八一号)  同外二件  (第一八八二号)  同外五件  (第一八八三号)  同外十四件  (第一八八四号)  同外二件  (第一八八五号)  同  (第一八八六号)  同外一件  (第一八八七号)  同外七件  (第一八八八号)  同外二件  (第一八八九号)  同外五件  (第一八九〇号)  同外二件  (第一八九一号)  同(第  一八九二号)  同  (第一八九三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  有線電気通信法案内閣提出第四九号)  公衆電気通信法案内閣提出第五〇号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第五一号)     ―――――――――――――
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより開会いたします。  有線電気通信法案公衆電気通信法案及び有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案一括議題とし、審査を進めます。質疑の通告があります。松井政吉君。
  3. 松井政吉

    松井委員 まず最初に、これはいやみじやありませんが、お断り申し上げておきます。ただいま不規則発言をいたしましたように、私の従来からの質疑はまだ三分の一しか済んでおりません。従つて法律案に対するまじめな審議を続け、質疑を続けて、党の態度並びに委員としての個人の態度をきめる段階には、実は至つておらないのであります。ところが委員長は、本日午後一時から討論、採決をやるということでありますが、まだ私のほかに同僚委員の中で質疑をしなければならない方々も多くあるようでありますから、勢い私の質問は、従来計画をした質問内容をはるかに省いて、きわめて上すべりの質問しかできないことになつたことは非常に遺憾であります。従いましてこまかな審議をしないで法律を上げるというようなことにつきましては、国会議員としての責任を私は非常に痛感をいたします。この点を明らかにしておきまして、質問を続けたいと思います。この前PBXの問題のところまで質疑をいたしましたが、さらに若干これに付随した問題についてお伺いをいたしたいと思います。  最初にお伺いいたしますのは、公衆電気通信法案の中の二十六條の二に規定をいたしておりまする加入回線、それから二項以外のところにも二十六條全体に触れておりまするが、加入回線の本電話機設備取扱いに関してであります。「構内交換電話にあつては、その交換設備電話取扱局交換設備との間の電話回線の数をもつて加入電話の数とする。」こういうことに法案内容はなつておりまするが、こうなりますると、われわれ技術的な知識はないのでありますけれども、勢い乙種電話増設となつて構内電話に対する料金が附加されるのではないかと思うのでありまするが、この点を明らかにしていただきたいと思います。法案内容には料金のことは触れておりませんが、これで行きますると、結論においてやはり料金がふえるのではないか、つけ加えられるのではないかと考えられるが、その内容についての説明をお願いします。
  4. 金光昭

    金光政府委員 ただいまのお尋ねは、構内交換電話については、普通の単独電話あるいは共同電話とは別に料金が附加されるのではないかというお尋ねつたと存じまするが、それにつきましては、料金別表の中で規定いたしておりますように、基本料につきまして、度数料金制の局及び定額料金制の局の双方につきまして、単独電話と異なつた扱いをしておるわけであります。たとえば単独電話で申し上げますと、基本料においては、単独電話の五割増しを構内交換電話については頂戴するということにいたしておるわけであります。
  5. 松井政吉

    松井委員 そうすると、設備取扱い料金との三つ関係は、単独電話交換電話の場合、これでさしつかえないという考え方で、この法律案はつくられているのでありますかどうか、お伺いいたします。
  6. 金光昭

    金光政府委員 加入電話のうちで種類三つにわけまして、単独電話共同電話構内交換電話三つにいたしておるわけでありますが、これの料金につきましては、第六十八條料金については別表に定めるところによると規定をしておりまして、この二十六條と六十八條双方関連におきまして、別表単独共同構内交換電話と別々の料金を定めておるわけであります。
  7. 松井政吉

    松井委員 そういうことになりますと、今度はそれに関連をする完全なPBX利用者に関する規定の第七章の雑則の中にうたつておる、主として利用者による設置のところのPBXの問題と共同電話樹内交換機並びに料金、これが全部関連をして参ります。そうすると法律案体系として一貫を欠くことが出て来て、非常に問題が複雑になつております。法律案取扱いについて、立法技術について私は最初の日から質問をしておるのですけれども、あらゆる部面にこういうことが出て参りますが、そういう立法技術体系をいまさら議論をいたしましても、撤回をして提出し直すということが考えられない限り、われわれの方で修正案を出す以外に方法がないのでありますから、やむを得ないことであります。  そこでお伺いをしておきたいのは、私の方は御承知のように、共同提案による修正案を用意をいたしておりますが、その修正案を上程する場合において、参考までにお伺いをいたしておきますが、百五條PBXのところであります。一番問題になるのは要するに利用者によつて設置することができ、保守することができる、ところが公社においても設置することができ、保守することができる、こういうことになつております。そうすると電気通信設備設置した場合の技術上の検査並びに事後検査事前検査あるいは部分品検査等が問題になつて参ります。こういうことを考えると百五條の第四項についてお伺いをしなければならないことに相なります。というのは第四項の規定は御承知のように、「専用者は、第一項の規定により公衆電気通信設備設置したときは、公社検査を受け、その設置が前項の技術基準に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。これを変更したときも、同様とする。」こういうことになつております。そうすればたとえば部分品あるいは設備設置する場合の器具等に対する検査をしないで加入者設置をした。ところが部分品にたとえば基準外のものがあり、あるいは技術基準に該当しない設置の仕方をしたということで、それを認めないというような事態が起きた場合には、これは全額加入者負担になるのか、それとも加入者負担にならないのか、その場合の加入者負担は泣寝入りをしなければならないのか、これが公社だけが設備ができて、公社だけが設置ができて、公社だけが部分品その他一切の検査ができるということになれば、間違つた場合でも一切公社負担になる。ところが設置した後において検査をしていかぬということになれば、これが公社負担でなくて、加入者負担になるようでありますが、この点の見解を明らかにしていただきたい。
  8. 庄司新治

    庄司政府委員 今の御質問にお答え申し上げます。法律の形では明らかに今松井委員のおつしやつたように、設備をしてしまつてから検査を受けて、その検査合格すればいいけれども、適合しないときには使えないというふうに書いております。それで実際問題としては、今おつしやつたような事態が起り得る場合があるわけなのでございまして、そういうときにどうなるかということになりますと、やはり適合していない部分を適合するようなものととりかえるということが、事実上必要になつて来るわけなのであります。それでそういうことのないように技術基準をつくりまして、それがみなにわかりますと、全然頭から技術基準に合わないようなものは使わないということに、建前としてならざるを得ないと思います。それから自分技術基準合つたつもり工事をした、ところが実際公社検査を受けてみると、技術基準に合わなかつたという問題がまだ残るわけであります。そういう問題の起きないように、法律では強制はしてないわけでありますが、事実工事の竣工する以前にある程度公社検査を受ける——と言うと語弊がありますが、事実検査を受けるような方法をとらざるを得ないというふうに解釈しております。
  9. 松井政吉

    松井委員 法律で言えば私の質問通りだということになりまするが、われわれは法律で言う以外に方法はございません。法律ではこうきめているけれども、まず設置した後において検査をするという法文だが、設置する前の部分品等については、何か事前検査があるようなほのめかし方の御答弁でありますけれども、そういうことやら、私の質問したことが起り得ることを想定しながら、なぜPBXをかくのごとくややこしいことにしなければならないかという理由を明らかにしていただきたい。
  10. 庄司新治

    庄司政府委員 法律では、最終的な押えるべきポイントだけを押えるという意味で、こういう書き方をしてあるのでございますが、結論的に申し上げますと、以上に尽きるのでございます。
  11. 松井政吉

    松井委員 法律は押えることのみを考えているということは間違いです。この前、PBXをなぜ民間にも設備ができるようにするかという私の質問に対して、これは民間からの希望であり、さらにサービス、こう言つた。ところが、サービスをよくするために、加入者に対するPBX設備等を、ただ技術基準を押えて自由にやれるようにする、こういうことの建前法律建前であつて取締り法律ではございません。だから最終的に押える意味法律ではございませんから、いかに加入者に便利を与え、いかに加入者サービスをよくするかという立場法律が貫かれておらなければいけないのです。公共事業です。従つてその建前からするならば、もし技術基準に反するものを使つているということになれば、これは当然第百五條第四項は加入者負担になる。ところがこれが公社側でやつておれば、それはそういう間違いが起きないのです。民間にやらせるから起る。起きたものは民間負担になる。公社がやつておればそういう間違いは起きないし、公社自身はやはり技術認定の上に立つてやるのですから起きないし、さらに公社が損をしたり、加入者負担したりすることがなく済むのです。にもかかわらずなぜやるか、こういうことを質問しているのです。
  12. 庄司新治

    庄司政府委員 お答え申し上げます。私が押えるという言葉を使いましたのは、上から押えるという意味でなくて、ポイントを押えるという意味の押えでございまして、そういう言葉の使い方が悪かつたことをおわび申し上げます。  それから検査をした結果、不合格品が出た場合にどうするかという問題でありますが、これは加入者から見ますと、検査合格するような設備をするように、加入者としては業者契約するわけでありまして、もしそういうことになれば、加入者負担ではなくて、業者負担ということに一応なるわけであります。こういうことはそれでは全然ほかにないかといいますと、たとえば公社メーカーから交換機を購入する場合でも、いよいよ品物が公社納まつた場合に検査をいたしまして、その検査で不合格になれば、やはり、これもメーカー負担に相なるわけであります。特にこの場合のみ、非常に不合理といいますか、非常に酷だというふうなことにはならないと存じます。
  13. 松井政吉

    松井委員 そうすれば、加入者が頼んだ工事屋といいますか、それが負担するのでございますか。
  14. 庄司新治

    庄司政府委員 そういうふうな契約をおそらく加入者はするでしようから、そういう契約をすれば、業者負担になるわけであります。
  15. 松井政吉

    松井委員 そうすればこう解釈してよろしゆうございますか。公社の方では、加入者負担するか、加入者が頼んだ工事者負担するか、そういうことはどつちでもよいのだ、要するにいけないものはいけないと公社がやればいいのだ、こういう考え方條文でございますか。
  16. 庄司新治

    庄司政府委員 一応そういうふうに了解いたしております。
  17. 松井政吉

    松井委員 われわれは気に入らないのだけれども、そう考えているとなれば、これはやむを得ない。  それに関連をして第百五條第七項の、構内交換設備内線電話機等附属設備設置に従事する場合の工事担任者規定した項目と、それからこれに関連する技術認定を行う第五十四條の規定とに関係をする説明を願いたいと思いますが、御承知のように、第五十四條と第百五條の第七項と第八項、こういうことは全部PBX設備設置する場合に関する工事担任者あるいは技術者認定に関する條項だと思いますが、ここで第百五條の七項と第五十四條の規定が一致しているかどうか、さらにこれで不合理は起らないかどうか。それから七項と五十四條についての矛盾はないかどうか。この点について矛盾がないとおつしやるならば、その理由を明らかにしていただきたい。
  18. 金光昭

    金光政府委員 ただいまお尋ねの百五條の第七項は、工事担任者についての規定でございまして、第八項で、五十二條と五十一條のPBX交換手についての規定準用しているわけでございます。五十二條につきましてはPBXオペレーター資格試験を受け得られない場合のこと、それから試験を行う場合の試験内容についての規定、それから試験の場合には手数料を支払うといつたようなこと、それから五十三條につきましては、構内交換取扱者認定取消しと従事の停止を規定しておるわけであります。五十四條におきまして、構内交換取扱者資格種類だとか試験科目等について規定を置いたわけでございますが、工事担任者の方につきましては、第七項で郵政省令でこれを定めまして、五十四條の規定準用を特にしなかつたわけでございますが、別にこれについては特別に異なつ取扱いをするというわけではないのでございまして、大体オペレーターの場合と同じような趣旨をもつて、第七項で工事担任者の方も行いたいというふうに存じております。
  19. 松井政吉

    松井委員 そうすると五十四條の準用はしないという形になりますが、それで不合理はないのですか。
  20. 金光昭

    金光政府委員 五十四條の準用はいたさないで第七項で、郵政省令で、そういつた五十四條の内容のおもなるものを規定いたしたいと存じておるわけであります。
  21. 松井政吉

    松井委員 この法律は、ずつとながめてみると、技術認定の場合でも、それから設備技術認定の場合、それから人に対する資格の場合、料金の場合、加入者負担をさせる設備費用の問題、全部郵政大臣認可政令が多過ぎる。むずかしい、こまかいところになると、一貫して郵政大臣認可政令で逃げておる。それで公社側にお伺いしたいのですが、このような法律通つて政令大臣認可が多過ぎて、一体公社の運用にさしつかえないかどうか、お伺いしたい。
  22. 梶井剛

    梶井説明員 昨年の八月公社が発足しましてからまだ日も浅いのでありますが、現状においてかくのごとく認可事項が多いから、どれほどの不便を感ずるかということは、正確には申し上げかねますが、私ども公社立場としましては、できるだけ認可事項などが少くて、自主的に事業が経営できることを望んでおりますから、将来におきまして不自由を感じました場合においては、なるべくさような措置をしていただくように郵政省にお願いしたいと考えております。
  23. 松井政吉

    松井委員 百五條の第七項は、PBX工事担任者については、要するに従事させてはならないということですね。させてはならないというのは法律できめて、前の五十四條のものは郵政大臣認可でよろしい。させてならないと法律できめた以上は、やはりさせるべきものの條項法律にはなくてはならない。そうすれば第七項、第八項については、当然五十四條は準用するという文字が法律では必要だと思いますが、これでさしつかえないかどうか。
  24. 金光昭

    金光政府委員 工事担任者につきましては、ただいま申し上げましたように第七項で郵政省令で定めまして、その資格あるいは試験等についての問題を郵政省令で定める。それによりまして公社認定を受けた工事担任者が、PBXあるいは内線電話機設置に従事するということになるわけでありまして、五十四條を準用しないから、第七項によつては、そういうことができないということはないと存じております。
  25. 松井政吉

    松井委員 われわれは政令並びに省令あるいは郵政大臣認可がおもしろくないと言うし、郵政省の方はそれでさしつかえないと言うのでありますから、これは意見の相違であります。従つて賛成するわけに参りませんが、そう考えておると言われれば、水かけ論でありますから、その次の問題についてお伺いします。  そういう形でPBXが扱われて来て、今度は施行法の二十條と百五條ののPBX施備並びに附属設備保存、ここのところは、この前私が質問をいたしました民法上の所有権はいずれに属するかという問題にもからんで来ると思いますが、この場合にお伺いしたいのは、民間側設備設置した場合の法律上の処置と、現在公社保守だけをしておるものとの適用の区別があれば説明していただきたい。区別がなくて同じだというならば同じにしていただきたい。さらに民間でやつた場合と公社がやつたものと同じように取扱つて法律矛盾がないかどうか。矛盾があるならば、その内容について御説明願いたい。
  26. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御質問は、今後ごの法律施行になりました後の措置と、現在すでに行つております措置との経過的な措置と申しますか、それの二つにわけて考える必要があるかと存じますが、公衆電気通信法施行になりました後におきましては、加入者設置いたすものにつきましては、当然その設備に対する所有権は、加入者が持つわけでございます。それから百五條の第二項におきましては、加入者設置いたしましても、その保存だけを公社に頼むということも認めておるわけでございますが、その場合には所有権の所属はもちろん加入者にございまして、ただ保守自分でやるか公社に依頼するかという差だけの問題になるわけでございます。それから現在までのものについてどうなるかというお尋ねでございますが、電話設備会社を統合いたしまして後におきましては、ほとんどごく例外的のものを除きまして、当時の電気通信省、現在の公社が、加入者の申込みに応じてPBX設置して参つたわけでございます。特にこの設備負担法施行になりました後においては、PBXに要する実費を加入者から徴収いたしましても、しかし所有権自体公社に帰属しておつわけでございます。この二十條の一項に書いてありますのは、電設統合措置をいたしました場合に、一部例外的に加入者設置しておりましたものを公社の方に提供させないで、依然として加入者所有に帰属させることを認めたものがあるのでございます。そういうものにつきましては所有権加入者が持つておるが、保存だけは公社がやつて行くという、現在まで変態的な措置をいたして参つたわけでございますので、今回のこの公衆法案移管施行に伴いまして、これらにつきまして百五條の原則に照しまして、加入者自由選択を認めまして、従来通り所有権加入者側が持つが、保存公社にやつてもらいたいというものについては、この施行法の二十條で公社がやる。しかしそうでなしに、この際もう所有権加入者が持つておるのだから、保存も今度は自分でやりたいという場合を、この二十條の但書で規定したわけでございます。要するに加入者自身自分設備を持つという場合には当然所有権を持ちますし、公社が今後最初からPBX設置するものについては、公社がその所有権を持つということに相なるわけでございます。
  27. 松井政吉

    松井委員 そうしますと従来公社設備をしたものであつて、この法律通つてから今度は公社設備をした一部分なりあるいは大半なり、とにかく全体でないことは明らかであるが、全体でない部分に対する保守民間でやつたあるいは加入者がやつたという場合に対しては、どのように扱うお考えでありますか。この條文でさしつかえないのでありますか。その場合、たとえば従来公社がやつて来たものを、今度はこの法律通つてから加入者保守をした、あるいは修繕をした、そういう場合に半分なら半分以上、あるいは六割、七割を加入者がやつたという場合に対する保存責任と、それから所有権の存在というものはどのようにお考えになりますか。その場合でも加入者希望公社所有権を持つてよろしい、あるいは加入者所有権を持つていいという解釈でこれをお考えなつたのか。この点はややこしい問題でありますが、ひとつ詳しく説明していただきたい。
  28. 金光昭

    金光政府委員 現在まで公社の方が設置いたしまして、この法律施行とともに、今度は加入者自分でその設備を持ちたいというものにつきましては、別途この施行法の三十二條規定をしてあるわけでございます。三十二條によりまして従来公社設置して参りました設備につきましては、この法律施行の場合におきましては従来同様、公社にそのPBX保存維持をしてもらいたい、所有権ももちろんそのまま公社にしておいてもらいたいという人につきましては、設備負担金を納めた人につきましては債券を交付する。しかしそうでなしに、今後自分がその設備を持ちたいという人については、無償でこれを譲渡するということになるわけでございますので、いわゆる公社が従来設備をしておりましたものについて、その間にいろいろと保守をしたりしたものについては、当然それは公社負担においてやつたものでございまして、この譲渡の場合にどうこうという問題はないのでございます。  それからただいまのあとの問題について、従来加入者所有権を持つてつて、その保存公社でやつていたものについてのお話であつたと思いますが、これについては一定の維持料を従来加入者からもらつてつたわけでございまして、その間における保守に要した費用は、維持料公社がそれを徴収していたわけでございますから、この所有権の譲渡の場合に、その保守にかかつた費用いかんによつて何らその差異はないのでございます。
  29. 松井政吉

    松井委員 そういたしますと、全体を通じて大体百五條とそれに関連する條文については、私は今までのところで聞く点は聞いたのです。ところが一貫して流れておるものは、先ほど来質問をしておる部分についても、それから前回の委員会質問をした部分についても、公社一本が従来通りつて、従来サービスが足らなくて加入者から文句が来たり、おいらに設備保守設置をやらしてくれという、加入者の不評を買つておる部分は、国有国営でなくなつて、企業的機能を発揮できる公社なつたのであるから、公社がその分を満たすために補うことが一番大切であつて、そういう加入者の声があるからといつて公社民間との間に不合理山積しておるPBXを、なぜこういう形をとらなければならなかつたかということについては、あくまでもわれわれはわからない。ややこしい規定を設けて、所有権の問題、保存の権利義務の問題、さらに加入者負担をさせる問題、技術認定の問題、取扱う人の担任者の認定の問題、すべて従来通り公社がやればいいのであるが、なぜこういうことにしたかという、この理論がはつきりわかりません。この前お伺いしたときは、サービスを向上させるために、加入者等の希望があつたからということが、一貫した政府の説明つたのでありますが、ほんとうに加入者のために行つておるのであるか、サービスを向上させるために行つておるのであるか、それともただいま私の質問内容で明らかになつたように、政府も認めるがごとき不合理きわまる條文の中においてこのPBXをなぜ離すのやら、私がただいま申し上げた以外の理由がおありになるならば、その理由PBXの問題についての最後にお伺いしておきたい。
  30. 金光昭

    金光政府委員 この問題につきましては、先般の委員会からたびたびお話申し上げましたように、加入者、一般利用者の便利という面から見て、公社の及びがたい点がある程度認められるということで、今回の措置をとつたわけでございまして、別にそれ以外の理由はないわけでございます。
  31. 松井政吉

    松井委員 他の同僚委員の方の質問がかなりつかえておるようでありますから、先に私の質問を運びます。  これは直接公社法に関係がないようにも考えられますが、念のためにお伺いしておきます。今度新しく加入を申し込んでおりました場合に、その加入の順位といいますか、優先権といいますか、そういう定めに基いて扱つておると思いますが、その順位等について、あるいは職業別の順位があるならば、それも聞かしていただきたい。あるいは業種別順位があるならば、それも聞かしていただきたい。順位についてこまかい御説明を願いたい。
  32. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 公社側としてお答え申し上げます。現在でも加入電話の申込みにつきましては、施設に対しまして需要が非常に多いのであります。従いましてそれにつきまして優先順位基準というものを定めまして、業種あるいは業態にりまして、優先に当るものをきめておる次第であります。今回の法律におきましても、その基準を法律にきめまして、この内容につきましては郵政大臣認可を受けて定める、こういうことになつております。ただいま手元にこまかい内容につきまして持つておりませんが、いずれ現在行つておりますどういう種類のものであるかということは、御説明いたしてもよろしゆうございますが、大体の考え方は、業種が国家的のもの、あるいは公共的のもの、さらに経済的に非常に大事なもの、こういうものにつきましては優先をしております。それから住宅に設置するもの、あるいは事業場、事務所というようなものにつきましては、事業場、事務所につけるものを住宅に優先する、こういううな考え方でございまして、その順位が大体ただいまは第一順位から第九順位まで定めております。その同じ順位の中におきましては、受付順につてやる、こういう方法がただいまの基本的な考え方であります。
  33. 松井政吉

    松井委員 これは直接法律関係はございませんが、まことに恐縮ですが、次回の委員会にひとつ加入に関する扱い順位等のこまかい参考資料をいただきたいと思いますが、よろしゆうございますか。——これはぜひいただきたいと思います。  それから今度は法律に直接関係のある問題について、政府側にお伺いいたします。この法律案の中で、この前の質問について御答弁なさつたのは、国際電電会社から公社に委託する業務がたくさんあるわけでありますが、逆に公社から会社に委託するのではなくて民間に移されて、電電会社から業務を電電公社に委託しなければやれないような業務があるわけであります。その場合の実例をあげて説明していただきたい。
  34. 金光昭

    金光政府委員 国際電電会社が公社に委託します事務の一例について申し上げますと、さしむき国際電電会社で持ちます営業所と申しますか、それは国際電報及び国際電話双方につきまして、大体東京、大阪、国際電報についてはさらに長崎という営業所を考えておりますが、大体そういうようなところでございまして、さらに東京、大阪のうちでも現在国際電報局のあります丸の内のところにさしむき会社の営業所を持つ、そういたしますと、たとえば東京以外の横濱なら横濱にアメリカから参りました電報は、会社の国際電報局から公社の東京中央電報局に電報が渡されまして、そこからは公社のルートによりまして横濱の電報局に電報が参りまして、そこで配達される。そこで、その東京中央電報局からあとの仕事は、会社から公社にまかされるということになるわけでございます。一例を申し上げますとそういうことになるわけでございます。
  35. 松井政吉

    松井委員 そうすると、公社業務と会社業務の分離は、非常に困難だというように解釈してよろしゆうございますか。完全なる分離はできる性質のものではない。こう解釈してよろしゆうございますか。
  36. 金光昭

    金光政府委員 大きく国際電信電話のサービスについては、全部会社がやる。国内については公社がやるといつたように、業務的にはつきりわけるということは困難かと思いますが、個別的にそれぞれの業務の分界点をつくりまして、それぞれの業務をわけるということはできるわけでございまして、諸外国におきましても、国内会社と国際会社との間に業務の受渡し、相互委託の関係で仕事をやつておるところがあるわけでございますが、これらの点につきましても、国際部門と国内部門とある分界点によつて、はつきりとわけ得る次第でございます。
  37. 松井政吉

    松井委員 諸外国の例といいますが、諸外国の例によりますと、アメリカの場合、私たちの浅薄な知識で考えてみても、民間で国際電信を引受けていて、しかも民間に引受けさせることによつて海外へ出張所等の設置が可能であつて、便利をもたらしているわけであります。さらにスイスの場合は、逆に国内の電電関係の業務は民間で行つて、国際関係については公社でやつている。イギリスの場合は国際関係民間でやつてつたものを、今度は国営に移しております。従つて諸外国の例と言われるが、一体どこの国の例をおとりになつておつしやるのか。同時に日本の終戦後七年の現在の立場において、いわゆる秘密を保持しなければならなかつた、あるいは貿易振興上どうしても伸ばさなければ、日本の経済が立たないという貿易目標の地域というものがある。従つて貿易上考えてみても、あるいは機密を保持する立場における国家的通信の立場考えてみても、諸外国の例ということは、一体日本の現状をどのように考え、また業務の公社と会社の分離が困難であるものを、国際民間会社をつくろうという考えをどうして政府は持つたかということについて、お伺いしなければならないことになります。従つてこの点について諸外国の例を引く際には、日本の立場考えないで諸外国の例を引けないわけですが、日本の立場をどう考えているか、説明を願いたい。
  38. 金光昭

    金光政府委員 ただいま私が諸外国の例と申しましたのは、国内の通信事業と国際の通信事業につきまして、たとえばアメリカにおきましては、外国通信につきましてはRCA、マツケーという会社が行つておりますし、国内の電信電報につきましてはウエスターン・ユニオンという会社がやつているわけで、この二つの会社の関係について今申し上げた次第でございます。日本の立場ということについてのお尋ねでございましたが、今回この国際会社をつくるということにつきましては、先般来委員会においても大臣からもお話があつた次第でございまして、日本の国際通信事業を急速に進展させ、貿易振興等に寄与させるという意味から、これを別の形態に切り離すということが現段階においては適当であるということから、今回国際電電会社ができ上つたわけでございまして、先ほど私が諸外国の例と申し上げましたのは、国内通信と国際通信の分界点といいますか、受渡しをどういうふうにしているかということの例として申し上げた次第でございます。
  39. 松井政吉

    松井委員 この問題についてもう一点明らかにしておきたいのは、そうすると、実際は公社の方から業務を委託しなければならない場合が多い、また会社の方から公社に業務を委託しなければならない場合が多い。その委託業務だけでは解決のつかない、分離の困難な場合も多いにかかわらず、分離して円滑に行くという具体的な自信のある考え方がおありになるならば、御説明願いたい。
  40. 金光昭

    金光政府委員 ただいま国際通信についての日本の問題といたしましては、諸外国と貿易その他において太刀打ちする場合におきまして、たとえばインドからロンドンにあてた電報と、ロンドンから大阪にあてた電報と、その電報の配達がもし五分日本の方がおそくとも、それによつて商機を逸するというような事態でございますので、これらの通信につきまして、現在の国際通信の現状をさらに改善するといつた面が必要なわけでございまして、これにつきましては諸外国との間の通信それ自体と、それから国内におきます配達その他の面と双方があるわけでございますが、それにつきましてはさしむき会社の方といたしましては、東京、大阪のみ自分の営業所を持つわけでありますが、できるだけすみやかに適当な場所に営業所が見つかりますれば、横濱、神戸、名古屋等の海外通信の最も多い場所に自分の営業所を置きまして、それによつて通信及び配達双方の速達をはかるということを考えておる次第であります。
  41. 松井政吉

    松井委員 そうするとまたお伺いしたくなりましたが、ただいまの御説明は、公衆電気通信法第十二條のいわゆる政令内容と解釈してよろしいかどうか。
  42. 金光昭

    金光政府委員 政令といたしましては先般もちよつと申し上げたかと存じますが、公社の行います国際通信業務につきましては、西南諸島向きの通信というものを公社の業務として考えておるわけでございまして、その他の国際通信業務はあげて会社が行う、そういうふうに一応政令としては考えておるわけでございます。
  43. 松井政吉

    松井委員 第十二條は「会社が行うことができる国際電気通信業務は、政令で定める。」ということで、公社でなくて会社となつております。会社の行う業務は政令で定める、それからさらにその第二項においては、「公社が行うことができる国際電気通信業務は、前項の政令で定めるもの以外のものとする。」とうたつてある。あなたの今の答弁と逆のように考えるのですが、ここでお伺いしたいのは、会社が行うことのできる国際電気通信業務は政令で定める、その説明は先ほど来あなたの説明した内容であるかどうかということが第一点。それから第二項「公社が行うことができる国際電気通信業務は、前項の政令で定めるもの以外のものとする。」ということなんですが、一体どんなものであるか、この二点について明瞭に御説明願いたい。
  44. 金光昭

    金光政府委員 第十二條で言つておりますのは、会社の行うことのできる国際電気通信業務を政令で定めるというのが第十二條建前でございまして、ただ会社の行います国際電気通信業務を正面から規定するということが非常に困難なので、ただいま非常にわかりやすく公社の方から申し上げたのでございますが、政令といたしましては西南諸島の通信以外の国際電気通信業務ということで、会社の国際電気通信業務の範囲を定めるということにいたしておるわけでございまして、そこで公社の行いますものはその政令に定められた以外のもので、要するに西南諸島との間の通信ということに相なるわけでございます。
  45. 松井政吉

    松井委員 それではもう一点。第十一條の「国際電気通信業務に関し條約に別段の定めがあるときは、その規定による。」こううたつておりまするが、これは現在條約に別段の定めのあるときはという條約があるかどうか、別段の條約があるかどうか。あるとするならば、その條約はどのような條約であるか、これについての御説明を願います。
  46. 金光昭

    金光政府委員 第十一條で定めております條約と申しますのは、国際電気通信條約という條約があるわけでございまして、これにつきましては戦前からこの條約が定められておりまして、特に一九四七年にアメリカのアトランテイツク・シテイというところで行われました会議によりまして、全面的な改正が施されております。この條約及びこの條約に基きます附属電信規則あるいは附属電話規則というようなものが、この十一條で言つております「条約に別段の定」ということになるわけでございます。
  47. 松井政吉

    松井委員 そうすれば海底電信線保護万国連合條約の罰則規定、あるいはそういうものをこの中に含まれているのかどうかということが第一点。それからそうした種類も、ただいま私が申し上げたものだけではなくて、全体の條約が現存しておる、こういう意味であるかどうかということが第二。もう一つは、要するに日米安全保障條約に基く行政協定に関する問題はこれに含まれていないのか、この点について明らかにしていただきたい。
  48. 金光昭

    金光政府委員 第十一條で申します條約というのは先ほど申し上げましたが、念のためもう一回申し上げますと、一九四七年のアトランテイツク・シテイで定められました国際電気通信條約、それからそれに付属いたしました規則がございますが、第一條が條約の付属の電信規則、これは一九四九年パリで改正されております。それから同條約の付属の電話規則、これもやはり一九四九年にパリで改正されておりますが、これにつきましての適用は、現在のところはヨーロツパのみでございます。それから同じく條約の付属の有線通信規則、これは先ほど條約で申し上げましたと同様、一九四七年のアトランテイツク・シテイで定められたものでございます。また同じく條約の付属の追加無線通信規則、これも同様にアトランテイツク・シテイで規定されております。それ以外にただいま御指摘のありました海底電信線法保護万国連合條約も当然この條約に入るわけでございます。それから先ほどの行政協定のお話がございましたが、これにつきましては、別途、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電信電話料金法等の特例に関する法律というものが昭和二十七年に定められたわけでございまして、今回のこの三法案施行に伴いましてこれをそれぞれ公衆通信法なり、あるいは有線通信法についての例外的な規定として定めておりますので、この條約にただちには該当いたさないと存じております。
  49. 松井政吉

    松井委員 わかりました。そうすれば日米安全保障條約に基く行政協定等に基く国際関係は十一條ではない、こう解釈してよろしいですね。
  50. 金光昭

    金光政府委員 別途行政協定に伴います特例についての法律がございますので、この方を受けるというふうに考えております。
  51. 松井政吉

    松井委員 これは大臣も次官もおらないのではなはだ遺憾でありますが、この前海底電線の韓国との間の問題についての資料をお願いしておつたのでありますが、外交上の問題であつて、当委員会の主管でないので、調査をして資料を渡すということになつておりました。これは行政協定のどの條項に基いて、安全保障條約の何條に基いて韓国との間の交渉をするのか。韓国がまた相手国でないという立場をとるならば、連合国との関係であるのか、米軍との関係であるのか、その点についての條文解釈を要求してあるのですが、まだいただいておりません。従つてこの問題と——これは通信業務ではなくて、この問題は海底電線の問題でありますから、十一條ではないのでありますけれども、業務を行う場合に非常な関連性がありますので、資料を急いでいただきたい。行政協定、安保條約、連合国軍との協定並びに米軍との協定であるか、それを早く提出を願いたい。  それから質問を続けますが、今度は方向をかえて第六十四條でありますが、第六十四條の第三号に、「警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)」こうなつてつて、警察法をうたつております。そしてやはり「自治体警察が使用するとき。」という結語で結ばれておるのでありますが、御承知のようにただいま国会には新しい警察法が提出されておりまして、二十二年に法律なつた警察法とは根本的に違うものができておりますので、「自治体警察」とうたつておる條項は、今の警察法が改正されたとき、あるいは警察法が新しくなつたときには、いかなることに相なるかお伺いしたい。
  52. 金光昭

    金光政府委員 第六十四條の第三号にあります「警察法」とは、ただいまお話の通り現行の警察法をさしておるわけでありまして、今回警察法が改正されるといたしますならば、その新しい警察法の趣旨に基いて、この條項も改正されることになると存じます。
  53. 松井政吉

    松井委員 念のためにお伺いしておきますが、新警察法が今国会を通過して新しい警察法になつた場合に、当然この條文は改正をするということでありますね。
  54. 金光昭

    金光政府委員 新しい警察法が通過するといたしますれば、当然その趣旨に基いての改正が必要かと存じます。
  55. 松井政吉

    松井委員 新警察法が今国会を通過した場合、本法律案の第六十四條も、今国会においてただちに改正しなければ、支障を来すと思うが、その通り扱う意思であるかどうか。
  56. 金光昭

    金光政府委員 それにつきましては、この法案の問題といたしませんで、警察法の改正法律案の経過的措置といたしまして、そちらの方の法律で扱うのが妥当ではないかと存じます。
  57. 松井政吉

    松井委員 今度は料金の問題についてお伺いをいたしたいのでありますが、公衆電気通信法によつて料金をきめるという立法措置は、不合理であるという点はすでに質問しておりますから、そういう立法技術の問題は省きまして、今回の料金値上げについて質問をいたします。  御承知のように電話料金の値上げによる増収は八十億と押えられております。これも一回質問したように記憶をいたしておりますが、あらためて本日お伺いいたしますと、料金値上げによる八十億の増収の中から、建設勘定へまわす分が二十億というふうにお伺いをいたしておるのでありますが、本年度の政府関係機関予算として出ております電電公社の予算の中には、昨年は百三十五億円の政府の融資があつたのが、本年度は政府からは、見返り資金の投資といいますか、そういう種類に該当するものは四十億に減らされた。そうした関係から、公社債によつて建設資金を集めるために、電話債券等が出されて来た。それがさらに不足のために、料金を値上げして二十億円を建設勘定にまあそうということに相なつております。さらにもう一つ、われわれの方は国際電電会社を廃止する法律案を提案いたしておりますから、その立場から考えますると、年間二十億に当る純利益をあげておる国際を離したという関係から、全体のはね返りが加入者料金負担にかけられて来ておる。経費の面だけではなくて、建設資金にまわす分まで料金値上げにまたなければならない、こういうような形になつていると解釈をいたしたいのであります。そこで政府の融資の四十億が六十億にふえれば、料金の値上は八十億でなくて六十億で済むはずである。さらに国際関係の二十億円は、公社一本でやつておれば、それがそのまま公社の利益となる。従つてその分がまた減るのであるから、結論において四十億の値上げで済んだのではないかと考えられる。ところがそういうことがうまく行かないので、八十億の値上げとなつて来た、加入者に対する使用料の負担増加となつて来たということでありまして、政府の四十億の出資金が減つた点についてもこの前質問しましたが、どうしても八十億円の料金値上げによる増収が必要であるとお考えになるか、念のためにもう一ぺんお伺いをいたしておきます。
  58. 金光昭

    金光政府委員 今回の二十八年度の建設資金につきましては、当初の要求といたしましては約六十億以上の要求であつたのでございます。また一年間にその程度のものを最小限度の経費といたしまして、五箇年間これらの計画を実施して、初めて日本の現在の電話の遅れておるのをある程度とりもどし得るという計画から出発したわけでございますので、今回の値上げによりまして、一方におきましては損益勘定における人件費の増高等をまかないましたために、当然やるべき償却費等もやれなくなつたということが一つと、それから一方において建設をどんどんやらなければいかぬということから、どうしてもこの八十億の増収をはかりまして、そのうちのある部分を建設資金にまわすという必要が生じましたので、現在の料金収入から見まして、約一割程度に当る八十億の料金値上げは必要であるという結論を出した次第でございます。
  59. 松井政吉

    松井委員 それから値上げの方法についてお伺いをいたしまするが、今回の値上げの中で、基本料金の値上率と使用回数に関する値上率がどのような比率になつているか、金額においてどのような形で現われているか。そのほかに特別料金にあらざる加入者負担、特別区域、普通区域等における設備資金に該当するがごとき加入者負担等については、どのような考え方でおられるか、御説明を願います。
  60. 金光昭

    金光政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、度数料金制施行局につきましては、度数料は今回すえ置きにしたわけでございまして、基本料のみが約三五%の値上げになつたわけであります。また均一の料金制の施行局につきましては、度数料も基本料もなくて一本になつておりますが、これは平均約六%の値上げとなつておる次第でございます。なおただいま御質問の区域外等における負担等については、これは実費でございまして、今回の改正によつては、別に値上げを行う意思はなく、現在同様のすえ置きにするつもりにしております。
  61. 松井政吉

    松井委員 御承知のように電話は必要だといつて加入をして電話を持つている人にありましても、やはり商売上大いに使い方が違うのであります。従つてよけい使つた者がよけい料金負担するというのは当然だと思います。ところが今度の値上げを見ると、やはり基本料のみに値上げを押えて、度数料金に対する値上げをしていないのでありますから、電話一本で一日何億の仕事をやつておる者も、必要欠くべからざる職務を持つてつて、自宅に電話がなければ不便であるという程度の者についても、一緒に扱つておるのであります。電話そのものの性質から考えて、料金の上げ方の扱いについて不合理だとはお考えにならないのかどうか、この点についてお伺いします。
  62. 金光昭

    金光政府委員 度数料金制施行局につきましては、一応基本料と度数料という二つの料金にわけておるわけでございますが、基本料の方は、たとい電話を一回もかけなくても、電話の設備を局内線路あるいは加入者の宅内というふうにいたしますれば、当然必要ないわゆる固定費的なものを一応基本料でまかなつて行く。それから度数料につきましては、それ以外に通話をすることによつて必要な経費ということを、一応観念的に考えておるわけでございます。現在の度数制施行局は、ほとんど中都市以上でございまして、特にその大半は電話局がいわゆる二つ以上の複局地になつておる。それらのところにおきましては、現在たとい電話を一回もかけなくとも、当然必要な経費というものは相当多額になつておる点から考えまして、今回基本料の値上げをいたしたわけでございます。もちろん度数料につきましても、それと相並行して考える必要があるのでございますが、度数料につきましては、一昨年の十一月の料金改正の際に、従来の二円から五円に、一躍二倍半の値上げを行つた関係もございまして、今回はこれを見送るということにいたした次第であります。
  63. 松井政吉

    松井委員 それから先ほど来聞いておるのにお答えがないのですが、この前、二円を五円に上げた度数料金のパーセントと、今度基本料金を値上げしたパーセントはどうなつておるかということです。今度の問題だけのパーセントは御説明願いましたけれども、総体に関するお答えがなかつた。  そこでどだい電話というようなものにつきましては、やはりよけい使つた者がよけい料金を納めるのは当然です。使つても使わなくても料金が同一でいいというりくつは成り立たない。国民全体の利用を対象とする企業であるから、やはりわれわれの理想とする国有国営がいいのだけれども、そういう官僚機構と官僚経営では、加入者に対してうまく行かないから、企業性を持つて、多少商売気を持たなければならない公社制度にした方がいい、こういうことで公社にしたのですから、よけい使つた者がよけい料金を納めるということは当然です。だからよけい使つた者については今回の料金値上げは考えないで、使おうと使うまいと、基本料金の値上げだけで料金値上げをしよう、こういうことが不合理ではないかと聞いておるのです。それでも合理的だとおつしやるならば、これも見解の相違でやむを得ませんが、そういう考え方は不合理ではないか、こう聞いておるのです。
  64. 金光昭

    金光政府委員 ただいまのお話にありましたように、経費の面から見ましても、あるいは利用価値の面からいたしましても、そういう多く利用する人が多く負担するということは当然であるわけでありますが、その点につきましては、今回の料金値上げの場合に、単に基本料のみでなく、度数料もあわせて上げる必要があるかどうかということになり事と、これはいろいろな料金体系の問題ともからみまして、それらの点でその間のベランスをとるということも非常に困難の面がありますので、今回は基本料のみにとどめました。度数料につきましては、もちろん利用が多ければ現在の度数料によつても当然その人が多く負担するということになるので今回はそういう度数料についての値上げは行わないということにいたした次第であります。
  65. 松井政吉

    松井委員 そうすると、今回の基本料金の値上げとこの前の度数料の値上げをしたものと、本年度一箇年の公社の収入におけるパーセントはどうなるか、これは先ほどから二回聞いておるが、お答えがないのです。
  66. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 今の御質問に対しまして的確な資料とは存じませんが、ここにある資料だけの限りでお答え申し上げます。ただいまの度数料は、値上げしないで今どのくらいの収入があるかということでございますが、これが百三億一千六百万円ということになつております。それから基本料の値上げでございますが、これは現行の収入で行きますと、三十七億八百万円でございますが、これにこの値上げの増収を加えますと、十三億一千六百万円を加えて大約五十億、こういうことになります。
  67. 松井政吉

    松井委員 そうすると、度数料百三億に対する基本料金の値上げをして五十億で、約半分であります。要するに電話の収入等を考える場合に、基本料金というものの理想的なものは、われわれの経営に関する浅薄な知識で計算をしても、大体二〇%が基本料で八〇%はやはりよけい使う者が払うというのが、企業内容から考えた合理性だと思われる。ところが半分を基本料でまかなうというのですから、ここに私が先ほどから質問しておるように、不合理があるというのです。今回の料金の上げ方についてはわれわれは賛成できないのであります。見解が違うのでありますから、これ以上はいわゆる水かけ論になりますけれども、公社側と政府側に希望しておきますが、やはり基本料金はほんとうに基本料金でありますから安くして、よけい使う者がよけい負担をする、それに伴つてサービスをよくして、やはり国民にすかれながら経営を楽にして行く、この考え方で貫かなければ、やはり公共性と企業性を一致した公社の運営等は私は常に困難だと思いますから、この点についての料金の扱い方は、今後気をつけて研究していただきたいのであります。  まだ有線電気通信法案については、私は質問を開始しておりませんけれども、これは同僚議員がずつと質問を待つておりますから譲ります。私の質問はまだあるのでありまするけれども、本日の午後にはどうしても討論、採決をやるということでありますから、他の議員の方々が質問を残して討論、採決に加わるというようなことは——私一人で時間をとることは非常に罪悪と考えますから、他の同僚議員に譲りまして、私の質疑は一応打切ります。
  68. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 まず第二十六條からお尋ねをいたします。これによりますと、加入電話種類単独電話共同電話構内交換電話三つにきめておられるようであります。ところが聞くところによると、この第三番目の構内交換電話というものは、実際に存在するものは単なる交換電話でなくて、第二番目の共同電話と結合したものと聞いておるのであります。すなわち電話局からの回線が延びて来て、それがとりあえず二つにわかれて、そして一方では単独の電話がついており、一方には交換設備がついておる、こういう形が実際に存在する交換電話のあり方である、こう聞いておるのであります。すなわち夜間など多くの人がおらない場合においては、その枝がわかれたところでスイッチを切つて、もう一つ存在する単独の電話の方へ電話が通ずるようにして、そこは多く宿直室でありますから、夜間でも人がおつて聞くことができる、こういうような施設に実際はやつておると聞いておるのであります。そうするとこの三つ種類のほかに、第二と第三との結合した一つの種類がほとんどである、こういうことになるかと思いますが、そういう電話の施設に対しては、この取扱いとしてどういうお取扱いをなさるのであるか、すなわち構内交換電話共同電話と両方の取扱いをなさるのであるか、あるいは一方だけの構内交換電話としてお取扱いになるのであるか、この点をお伺いします。
  69. 金光昭

    金光政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、現在の電話規則の建前から申しますと、ここにあります構内交換電話いわゆるPBXというものは、増設電話という観念になつておるわけでございます。そこで現在はただいまお話のように、まず単独電話加入回線がある、その単独電話にさらに増設電話をくつつけたという考えでございますので、いわゆる電話機の一個があるという今のお話の通りこれを本電話機といたしまして、それ以外にそこからPBXにつながつている、観念的にそういうような考えで来ておるわけでございます。ところが実際問題といたしましては、PBXに収容されております加入電話につきましては、特に本電話機を別にそこに置く必要がないのでございますが、もし夜間等にその必要があれば、そのPBX内の内線電話機の一個をそういう直通電話にしておけば、それで事足りるわけであります。特別にそういう本電話機を置く必要がないということでありますから、今回のこの公衆電気通信法案では、もうただちに局線がこの構内交換設備に入るというふうに考えをかえたわけでありまして、今回のこの法律建前では、ただいまのお話のように、いわゆる普通のPBX共同電話の形になるのではないかというお尋ねでございますが、そういう形をとらないように考えた次第でございます。
  70. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 共同電話の形をとらないことにするお考え、こう聞きましたが、将来についてはもちろんそうでありましようが、すでに共同電話の形をとつておる現在の構内交換電話につきましては、そのお取扱いをどうなさるおつもりですか。
  71. 金光昭

    金光政府委員 現在におきましては、先ほども申し上げましたように、増設電話の観念というものは別に共同電話ではないのでございまして、本電話機にさらにPBX増設したという考え方でございます。現在におきましても、特に加入者等に御異論がなければ、この本電話機というものはいらないわけございますので、現在でもこの本電話機を撤去いたしまして、できるだけただちに加入回線が直接このPBXの交換台に入るというふうに扱うようにいたしておるわけでございます。
  72. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 そういたしますと、現在の構内交換電話というのは、この法律が通過いたしますると、施設の改良といいますか、とにかく変更をしなければならぬということに相なるのでございますか。
  73. 金光昭

    金光政府委員 現在のPBXにつきましても、私ただいま申し上げましたように、ほとんど大半のものにつきましてはいわゆる本電話機というものは、現在加入者の御同意を得てつけておらない、あるいは前あつても撤去して行くというような方針をとつておりますので、今回の新しい公衆電気通信法案構内交換電話と大体同様のことになるかと思いますが、特にまだ本電話機というものがあるものにつきましては、その本電話機だけを取去るということになると存じます。
  74. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 その撤去に要する費用というものが、加入者負担させられるというようなことはありませんか。  それからもう一つついでに聞きますが、加入者より本電話機というものをそのまま存置するという希望があつた場合には、それはどういうお取扱いになさいますか。
  75. 金光昭

    金光政府委員 第一点のお尋ねでありますが、これの撤去につきましての費用というものはほとんどいらないわけでありますし、もちろんこれは公社負担するわけでありまして、加入者負担には相なりません。それから第二の、もしそれを存置するといつたような場合にはどうなるかということでございますが、その場合にはこれにつきましてはいわゆる付属機器といたしまして、構内交換電話としての加入電話電話機が一つぶら下る、いわゆる今までの乙種増設というようなことで、付属設備という形になるわけであります。
  76. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 そうすると、加入者希望によつて今までの形で本電話機を存置するといたしましたら、その存置に対しては毎月その電話機に対する負担が新たに加わつて来るということになるのでございますか。
  77. 金光昭

    金光政府委員 付属設備として存置されれば、当然付属設備としての料金が加わるわけであります。
  78. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 それではその点は加入者本人の希望によつて存置するが、今までいらなかつた費用がいることになる。こう承つてよろしゆうございますね。  それでは百五條についてお尋ねいたしたいのです。まず第二項によりますと、他人が施設を行つて、その施設の保存については公社責任を負わなければならぬことになつておると思いますが、その場合にその施設のやり方がよければよいが、公社のやり方とその加入者の選んだやり方との間にいろいろ違いも出て参りましようし、また使つておる資材というものにも相違がありましようし、自分の方でしたことについて責任を負うのはこれは当然でありますが、人がやつたことについて公社責任を負うということになると、公社の方には相当迷惑がかかる場合があり得るのではないかという危惧が起るのであります。その点どうでありますか。
  79. 金光昭

    金光政府委員 この点につきましては、その次の第三項、第四項等で、加入者設置しますものにつきましても、技術基準を定めまして、できるだけ公社の規格に合致させ、あるいはそれに近いものをつくるようにいたさせるわけでありますので、特に公社がこの保守を引受けて、非常な困難を来すというようなことはないかと存じます。
  80. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 加入者が施設をする場合においては、工事担当者は公社認定する者でなければならぬということになつておるし、またその施設は検査を受けることになつておることは、この條項によつて承知するのでありますが、しかし常識から考えましても事実やつてみれば不完全な場合もあり、またいろいろやり方もありまして、その点については単に一片の規則によつて、起つて来るトラブルを予防するということは、事実の上においては困難ではないかと思うのでありますが、その点公社側においてどういうお考えをとられるか。
  81. 田邊正

    ○田邊説明員 お答えいたします。お話の通りに一片の規則あるいは技術基準等によりまして、PBXの自営の設備が全部よくなるというふうには考えられないのでございます。従いまして公社といたしましても、できる限りそういう場合にPBXの自営をやりたいという人につきましては、われわれの方でいろいろなご注意と申しましようか、あるいは援助と申しましようか、そういうふうなことは御協力は申し上げて行きたい。そういたしまして、でき上りました設備はよく十分に動くようにいたしたい、そういうふうな気持でおるわけでございます。
  82. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 それから百五條の第七項において、工事担当者は公社認定を受けるということになつておりますが、その工事に使用するところのいろいろな資材があると思いますが、その種類相当多数に上つて、いろいろこまかいものもあろうかと思うのであります。それらの資材の規格につきましては、この技術基準というもので、一々の品物についてすべて基準をお定めになるのでございましようか。
  83. 庄司新治

    庄司政府委員 お答え申し上げます。技術基準は、前にも一応御説明申し上げたことがございますが、各部品を全部仕様書できめるかということになると、必ずしも全部では、ございませんで、大体主要機器——電話の電流の流れる部分につながる部分をわれわれは主要機器と申しておりますが、主要機器のものは仕様書をきめまして、その仕様書に適合しておるものを使うというふうに技術基準できめたいと思つております。
  84. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 そういたしますと、やはりまた元へ返るのでありますが、その程度に基準を定めておいて、設置は人にさしておいて、それで公社として安心して保存責任を負い得るかどうかという疑いが起つて来るのですが、心配はないものでございましようか。
  85. 庄司新治

    庄司政府委員 簡単に申し上げますと、それでさしつかえない、こう考えております。
  86. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 責任を負いなさる方が心配ないとおつしやるならば何をか言わんやでありますが、それでは百五條の第三項から第六項までにつきましてお尋ねいたします。この規定有線電気通信法においてすでに定められておることであつて、元来御説明によつてつたところによると、施設の設置については有線電気通信法によつて規定し、公社の行う公衆電気通信の運営については公衆電気通信法規定をする、こういうふうに承つてつたのでありますが、これは重複しての規定ではあるまいかと思うのでありますが、その点どうでございましようか。
  87. 金光昭

    金光政府委員 お答え申し上げます。有線電気通信法の十一條で、有線電気通信設備全部についての技術基準を定めることになつております。これは公衆電気通信設備も当然この中に包含されるのでございますが、この有線電気通信法で定めます技術基準は、その二項でそれのいわゆる方針をうたつてありますように、その設備が他人の設置する設備に妨害を与えないこと、それからもう一つは人体に危害を及ぼしたり、あるいは物件に損傷を及ぼさないということでございまして、この有線電気通信設備につきまして定めます技術基準は、設備としての最小限度の要求しかこの中には入れないわけでございます。それでこの有線電気通信設備技術基準を、ただちに公衆電気通信設備に当てはめるといたしましても、公衆電気通信設備としては、その技術基準があまりにも程度が低過ぎるといつた面もありますし、またその定め方につきましても、そういう詳細な定めをしないで、相当大ざつぱな定めをするという面もございますので、この公衆電気通信設備につきましての技術基準は、有線電気通信法でいう技術基準よりある程度、程度が高いものということになるわけでございまして、この有線法で定めれば、公衆法の方で特にそれ以外の技術基準を要求する必要がないではないかというお尋ねに対しましては、これはやはり必要があるということになるわけでございます。
  88. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 その点はわかりました。ところで第七項の工事担当者の資格でありますが、これは公社郵政省令に定めるところによつて認定する、こうなつておりますが、これは加入者が委託するのは個々の工事担当者に委託するのであるか。通常予想されるのは、この工事を担当する会社とか、あるいは営業者というものがあつて、その者が直接工事を担当するのではなくて、工事を担当するのは工員がこれに当るのではなかろうかと思うのであります。この第七項にございますところの工事担当者というのは、そのいずれをさすのであるかという疑問があるのであります。
  89. 金光昭

    金光政府委員 第七項で申します工事担任者というのは、PBXの中でも大きな設備につきましては直接その設備を持つている人が自分で、いわゆる自営をする場合が多いのでございまして、たとえば大きな新聞社であるとか、あるいは大会社等で、非常に大きなPBX設備を持つておりますものは、直接そういう工事をやる人を自分で使用しているわけでございます。それから、それ以外に、中以下の設備を持つものにつきましては、そういつたような工事業者に頼んで設備あるいは保存をやるということになるのでありますが、ここでいつております工事担当者は、実際にそういう技術を持つた人ということでございまして、いわゆる工事を行うというような者を押えているわけではございません。
  90. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 そういたしますと、電話施設に関してはこの認定を受けた者でなければ全然さわることができない、触れることができない、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。この人夫名義とかあるいは補助者名義をもつて、こういう認定を受けておらない者がこれに従事するというような場合は予想しない、こう承つてよろしゆうございますか。
  91. 金光昭

    金光政府委員 ただいま御指摘のありましたような人夫あるいは補助者というものは、当然これは使用できるというふうに考えております。
  92. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 そうするとこの規定は、はなはだどうも抜け道の多い規定になろうかと思うのでありますが、たとえばここに工事担当を業とするものがあつて、その主人だけが認定を受けている。あるいは主人は認定を受けておらないで、二十人なり三十人なりの従業員があつて、そのうちの一人だけが認定を受けている。こういうような場合に、それでも事業を経営して行くことができる、こういうことになつている。そうなりますると、この法律の趣旨、すなわち設備の不完全なものなからしめるという立法の趣旨が、没却されるというようなことが予想されるのでありますが、その点いかがでございましようか。
  93. 金光昭

    金光政府委員 現在公社で行つております工事等におきましても、技術者以外に補助者というようなものを使つて工事をやつておるわけでございまして、PBXにつきましても、PBXのあらゆる工事に従事する人すべてが、ここでいいます工事担任者ということで、一定の資格を持つているということを要求するのは酷かと存じます。要するに技術を担任しますうちで、特に責任者と目せられるような人の資格をここで規定いたしまして、それ以外のほんとうの補助者というものについては、それを押える必要はないかと存じます。
  94. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 この第百五條を制定することによつて、予想されるところの加入者側の利益というものは、どういうものがあるのでございましようか。
  95. 金光昭

    金光政府委員 この点につきましては、前々の委員会においても申し上げたのでございますが、現在PBXにつきまして利用者側からのいろいろな希望といいますものは、PBX設置する場合と、設置した後の保守の両方にわけて考える必要がございますが、設置の場合につきましては、加入者いわゆる利用者側から申しますと、一定の時期までに必ずつくつてもらいたいというような要求があるわけでございますが、これを全部公社でいたすといたしますと、もし工事のピークが重なつた場合等を考えますと、なかなか公社だけでは予定通り加入者希望するような時期までに、工事ができ上らないというような場合も考えられますし、また加入者の方といたしましては、いろいろな希望等もあるわけでございまして、それらの希望を全部いれるということもできにくい面もあるわけでございます。それからまたいよいよつくりました後につきましては、たとえばその業態によりましては夜間でなければ保守ができないというようなところもありますし、あるいはその他、特殊の業態のために非常に保守をする時間が限られるということになりますと、公社においてはそれらの要望に十分応じ得られない、あるいは公社においてこれを行いますと、たとえば内線の電話機を移転する場合にも、やはり一応書類を出してもらつて、届出なりその他の書類上の処理が必要になりますが、これらの処理というものがとかく遅れがちで、なかなか移転の工事が思うように短期間に実施できないというような面についての不平不満といいますか、希望が相当あるわけでございます。それらの点を考えまして、現在の公社の実情をもつていたしましては、それらの建設及び保存の両方面において、完全に加入者希望を満たし得ないということで、この第百五條のような——原則としては公社がこれを行いますが、例外といたしまして加入者設置することを認めるという方針をとつた次第であります。
  96. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 お答えによりますと、やや理由がある点もあるかと思いますけれども、その二つにわけられた、PBX設置する場合のこと、あるいは設置した後の保存に関すること、これはいずれも官営であつた場合にこういう欠点があるというので、公社に移つたのではなかつたかと思うのであります。こういう欠陥なからしめるために公社にしておきながら、さらにまた公社ではいけないということになる理由が了解しがたいのであります。その点いかがでございましようか。
  97. 金光昭

    金光政府委員 設置につきましては、公社が行います場合には、従来は設備負担法によりまして、設置に要します実費をとつてつたわけであります。今回の法案におきましては、これを債券を引受けていただくことにかえたわけであります。それにいたしましても、設備自体は加入者のものでなしに公社のものになるわけであります。これらの点につきましては、やはりこの設備自分が金を出した以上持ちたいのだというような希望もあるわけでありまして、これらの点は公社になりましてもなおかつ、当分の間この実情は救済し得ないのではないかと思うわけであります。また公社になりまして企業的な経営ができると申しましても、ただいまの実費を債券の形で引受けたといたしましても、公社といたしましては、いろいろな予算的の措置という面で、全然予算的の制約がないというふうに言い切れない面もやはり残るわけです。これらの点を考え合せますと、公社になれば全部の要望を満たし得ると申しましても、なかなかそういうふうに行かない面が残つている次第であります。
  98. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 設備の施設費について社債を持たせるということは、今回この第百五條ができると同時にできるのでありますから、この社債を持たすということと一緒に考えるのは誤りではないかと思うのであります。従来の通り料金をとつて公社が施設をやる場合、こういうので加入者側の満足の行くような施設をすることはできないか、こういうのが趣旨であります。そこで伺いたいのは、この第百五條が制定せられた後に、民間業者——あるいはみずからやるものもあるかもしれませんが、大体民間業者にこの施設をやらす場合と、従来の通り料金をとつて公社がやる場合と、いずれが経費がかかるものと予想しておられるか、こういう点であります。
  99. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 ただいままでの関係におきましては、予想程度を出でないのでございます。実は電話設備会社があつたのであります。それからそれを電通省が引受けた場合の料金の問題であります。当時いろいろ研究をした結果、結局電通省の料金も決して従来の電設会社より高くないとともに、保守の方については相当サービスが改善された、こういう一般の声が相当あつたような次第であります。さてしからば今後はどうなるか、こういうことでございますが、公社といたしましても、今回の料金値上げにつきましては、このPBXの附加使用料につきましてはすえ置きにしているわけです。従つてそれ以外におきましても、たびたび政府委員からお話のあつたように、二本建の趣旨をよく体しまして、公社自体においても今までのような、受付けてから工事をするまでに非常に時間がかかる、これをできるだけ少くすることは当然でありますし、なお巡回、その他障害の予防手当をするということ、さらに積極的にこちらからPBX加入者の不満なりあるいは注文を聞いて歩く、こういうようなことを心がけておりますので、料金その他の面は別といたしましても、内容的には公社として、今後十分にその点は推進して参りたいと考えております。
  100. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 ただいまのお答えによると、先ほど政府が答えられた公社がやつたのではサービスが満足に行かないという点については、公社の側におかれてはサービスは将来うまく行く、また現にだんだん改善されつつあるとおつしやつておるのでありますが、しからばこの百五條というものは制定の要なしという結論になりそうに思われるのでありますが、この点いかがでありましようか。それからまた設備を置いてから後の保存について、加入者側の要望があつて公社がそれに十分にこたえ得ないということを言われましたが、その点については、それは新たに民間設備をやらした部分については、それが当てはまるかもしれませんけれども、すでに現在はすべて公社がやつておるのであつて、それの保存は従、来通り公社保存に当つて行くのでありますから、かりにこれを制定することによつて改善の可能性ありといたしましても、従来からある施設に対しては、何ら改善の実は上るものではないということに相なると思うのでありますが、その点どうお考えになつておりますか。
  101. 金光昭

    金光政府委員 ただいま公社側から、公社としては十分今後PBXに対するサービスについても改善したいというお話があつたわけであります。公社としてはそういうふうにお考えになるのがあたりまえでありまして、われわれといたしましても、公社サービスがさらに向上することを、当然期待しておるわけであります。さればといつて公社の方のそういうような決意はもちろん了といたしましても、それが一般から見まして、はたして一般の人の満足すべきサービスであるかどうかという点については、また違つた見方もあるわけでございす。われわれといたしましては、現在の段階といたしましては、公社のみならず、若干の面につきましては民間における自営を認めた方がよろしいという結論に達した次第であります。  なお第二の点につきまましては、従来日本電話設備会社がありまして、それを途中で接収したわけでございますので、そういう電話設備会社等のあつた場合と、電気通信省が引受けた後のサービスについての、民間からのいろいろな希望を聞きまして、従来に比べてこういう点が不便があるというようなことを申し上げたわけでございまして、電気通信省が全部やつた後のことではないのでございます。
  102. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 そうすると、保存については別に改める理由なしということになると思います。  それからこれを実施いたしまして、民間で施設をやらすことになりましても、依然として検査だけは公社がこれを負担しなければならぬことになつているようであります。すなわち百五條第三項ないし第六項によつて公社がやらなければならぬことになつておるようでありますが、公社といたしましては、他人が営利のために行つたところの施設を、何らの反対給付のない、すなわち報酬のない検査だけを負担する、こういう立法につきましては、独立の企業体としての公社にこういう責任を負わすということは、多少公平を欠いたものがあるのではないかと思われますが、その点政府当局においてはいかにお考えになつていますか。
  103. 金光昭

    金光政府委員 PBXというものについての設置加入者の方にまかせましても、公衆電気通信事業といたしましては、やはり一貫したサービスがなされるわけでございますので、これらの点について、技術基準等に合致しているかどうかということを、事前にあるいは設置した後におきましても、定期的に検査するということは、公衆電気通信全部についてのサービスの良否ということに至大な関係があるのでありまして、これらの点につきましては、やはり公衆電気通信事業の経営者たる公社が、検査を担任するということが至当であろうと思います。
  104. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 無関係のものでないことは、言うまでもないことであります。公社はいろいろ関係はあると思いますが、とにかくしかしその設備をするのは、営利目的をもつて、幾らかの利潤をとつて、それを営業として設置したものであつて、その保存責任については、公社側料金をとるのかもしれませんけれども、検査に至つては全然無料であります。それを公社が自己の費用のもとに負担するというのは、公社の企業体としての性格から言いましたならば、これは当然矛盾しておるのではないか、これが私のお尋ねの趣旨であります。こういうことはむしろ、公益のためにやるとすれば、企業体ではない政府みずからが検査するというなら筋が通りますが、一つの企業体である公社にそういう責任負担させるということは、また現に負担させておるということは、公正でないのではなかろうかと思いますが、やはりそれが適当である、至当であるとお考えでございますか。
  105. 金光昭

    金光政府委員 公衆電気通信サービスの一元化の面から見まして、公社がこれを行うことが至当だと存じております。
  106. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 それは意見の相違でありますから、それでは別の方面からお尋ねいたしますが、公社におかれては、現在こういう施設を行うという事案は、それを経理面からは建設勘定というので御処理かと思いますが、PBX設置、こういう部分を限つてその経理面を見ましたならば、これはもちろん営利目的でやつておることではありますまいけれども、その経理は収支いずれが多くなつておりますか。
  107. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 大体の結論を申しますと、ただいま自営の電話機につきまして、公社としましていただくのが、一個について月百円でございます。従つて先ほど問題にございましたその範囲内において、公社側設備の損耗の点もございますし、また検査のための巡回というものも、大体やつて行けるのではないか、こういうふうに考えております。そこで全体の収支はどうなるかということでございますが、二十七年度の収支決算はまだできておりませんが、二十六年度の収支決算によりまして大体推測いたしますと、ただいまのところは、料金がもしこのままであるということでありますれば、とんとんよりやや収益があるのでございます。しかし先般十一月から、べース・アツプいたしましたために、それを加味いたしますと、大体収支はとんとん、こういうふうに考えております。
  108. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 公社においては収支はとんとんであるというお答えがありましたが、もし民間側でこれをやるとして、公社でもうからないものを、民間でやれば、相当利潤が上るもの、こういうふうに予想される理由があるのでありますか。
  109. 金光昭

    金光政府委員 民間でやりまして利潤が上るかどうかということにつきましては、私どもそれについては関知しないところでございますが、利潤はなくても、ある程度の営業ができる範囲のものは、民間側としてはその用意があるのではないかと存じておりますが、それらの点についての確たる資料は持ち合しておりません。
  110. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 民間のもうかるかもうからぬかは、政府は知らぬというお答えでありますが、もしこれがその経営において合理性がなかつたならば、その結果として、自然に施設の質の低下ということが現われて来るべき筋合いのものでありますから、こういう法を制定する時分においては、その点を十分御研究なさつた上で行われるのが至当かと思うのでありますが、いかがでしようか。
  111. 金光昭

    金光政府委員 もちろんわれわれとしては、それらの点も一応の検討は遂げたわけでございますが、今回の場合でも、工事担任者は、特定のものに限定されるわけではないのでございまして、広く一般に門戸を開放するわけであります。それらの間におきます競争等もございますので、単に利潤追求のみを目的といたしまして、サービスの改善等をやらない業者は、当然自由競争の面においての淘汰がなされるものだと存じております。
  112. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 最後に、あまりお尋ねしたくない点でありますけれども、この問題に関連して、民間にこれをやらすということが、必ずしも加入者側の要望にあらずして、こういう工事を担当する業者の要望であつた。しかもその要望たるや、直接の工事担当者の要望にあらずして、電電公社からまとめて工事を請負い、それを工事担当者に担当させるという、一種のトンネル会社的なものが計画されておつて、しかもその会社の取締役なり、その他の幹部になる人々は、従来の逓信省あるいは郵政省、電通省の相当高い地位の官吏であつた人々であつて、それらの人が従来の関係を利用して、というと言葉が悪いかもしれませんが、そういうことによつて大口に工事を請負い、それをさらに事実上の工事担当者に渡す、こういうことによつて地位も得、利益も得るという意図のもとに計画され、それが郵政省に対して運動せられ、そしてあたかもそれが加入者側の要望であるかのごとき外見を保つて運動した結果、こういう立法が企てられておるというふうなうわさが、世間に伝わつておるのでありますが、政府側においてそれを御存じでありましようか。
  113. 金光昭

    金光政府委員 ただいま阿部委員のおつしやつたようなうわさは、私らは全然存じないわけでございまして、今回のこれらの方針を立てました際には、東京、大阪等の商工会議所におきまして、直接利用者の方の声を聞きましたところをまとめたものでございますので、それらのことを参考といたしまして、今回のような方針を決定した次第でございまして、今お話のような点については、全然存じておりません。
  114. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 私のように電気通信に関して何らのつながりもなく、何らの知識もない者の耳にすら、たまたま入るうわさでありますから、相当広がつておるうわさと見なければならぬと私は思つておるのでおります。それを当の責任の方々が全然知らぬというのは、私にとつてはふしぎなのでありまして、そういう世間の声、これは一種の輿論といつてもさしつかえない、輿論の端緒形態と申しますか、その分子というようなものでありましようから、よく御注意願いたいと思います。これはこの程度にしておきます。  それから別のことでありますが、やはり関連のあることで公社お尋ねいたしたいのであります。電信電話拡充五カ年計画という。パンフレツトを配付していただいておるのでありますが、これはこの御計画通りに、昭和二十八年より着々と御実行なさるものでありましようか。
  115. 梶井剛

    梶井説明員 従来電話拡張につきましては、年々歳々予算をつくつておりまして、継続的な性格の予算でなかつたのであります。従つて実際に事業を運営して行きます際に、目標が明らかでない。また計画の面におきましても、継続事業の性格を持つておるのでありますから、それを年々歳々の計画にいたしますと、自然不経済な施設が行われやすいという考えのもとに、公社になりました際に、一応五箇年計画を理想的にやるものとしてつくつてみたのであります。しかしその計画の元であります資金の面につきましては、公社は政府の監督下にあるわけでありますから、自由に資金を得ることは困難であります。従つて最初に立てました五箇年計画そのままは、二十八年度においては実行ができない結果になつております。それでありますから、五箇年計画の二十八年度分は、現在審議されております予算の範囲内において実行いたしますので、自然五箇年計画が、六箇年あるいは七箇年にずれるおそれがあると考えております。ただ目標が、五年間に達成するものが、たとい六年に達成せられても、これは政府の資金の関係もありますので、一応やむを得ないと考えておりますけれども、五箇年計画そのものは決して放棄しておるわけではないのでありまして、その線に沿つて実行を進めて行く考えであります。
  116. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 それではさしむき二十八年度においては、この計画の何パーセントぐらいを御実行なさり得る御予定でありますか。
  117. 梶井剛

    梶井説明員 何パーセントというお尋ねでありますけれども、そのパーセンテージを申し上げるのは非常に困難でありまして、工事金額から言えば、最初七百二十億ぐらいな計画を持つてつたのでありますから、それに対して四百六十一億でありますので、その割合でパーセンテージが出て来るわけであります。しかし加入者数であるとか、あるいは市外線の架設しますキロ程というようなものにつきましては、われわれは実行の際にあたりまして、できるだけ能率よく合理的にやることによりまして、予算面に現われておる加入者数並びにキロ程を少しでもよけいやりたいという考えでおります。一応加入者数で申しますと、五箇年計画では二十一万ということになつておりますが、今度の計画では十四万、それを十五万なり十六万なり、できるだけよけいやりたいという考えでおります。
  118. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 戦時中に、自動交換機といいますか、人がつなぐのでなくて、ダイヤルをまわせばすぐにつながる、あの施設を供出させられた都市があるのでありまして、その後大体において復活したようでありますが、それがごくわずか残つておると聞いておりますが、二十八年度にあれを御復活なさる予定がございますか。
  119. 梶井剛

    梶井説明員 戦時中のことにつきましては私は知悉しておりませんので、今すぐ調べてお答えいたします。
  120. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 もう一つ聞きたいことがあるのでありますが、政務次官が帰られたようでありますので、一応これで私の質問を終ります。
  121. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これにて三法案質疑は終了いたしました。     —————————————
  122. 橋本登美三郎

    橋本委員長 お諮りいたします。理事者久野忠治君より理事を辞任いたしたい旨の申出があります。これを許可し、その補欠選任につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 橋本登美三郎

    橋本委員長 御異議なければ岩川與助君を理事に指名いたします。  本委員会は一応休憩し、午後一時五十分より再開して、有三法案の討論、採決を行います。各党においてはそれぞれ御用意願います。     午後一時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時十四分開議
  124. 橋本登美三郎

    橋本委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  先ほど委員長の手元に、公衆電気通信法案に対する修正案が改進党より、公衆電気通信法及び施行法案に対する修正案が社会党より、それぞれ提出されております。その趣旨の説明を求めます。有田喜一君。
  125. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 ただいま議題となりました公衆電気通信法案に対する修正案に関しまして、提案の趣旨並びに内容を御説明申上げます。  去る二月十二日、有線電気通信法案公衆電気通信法案及び有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の提案をされまして以来、わが改進党といたしましては、これら三法案が、わが国電気通信行政並びに電気通信事業運行の根幹をなす基本法規たる重要性にかんがみまして、つぶさに検討を重ねて参つたのでありますが、特に二月十九日に本委員会に招致して聴取いたしました参考人の意見、並びに約一箇月にわたる本委員会における審議の結果などを総合して、改進党は右三法案のうち、公衆電気通信法案の一部に修正を加える必要を認め、ここに本修正案を提出いたしたような次第であります。以下修正案内容につきまして、概略を御説明申し上げたいと存じます。  修正案内容は大別して三つにわけられるのでありまして、その一は「新聞電報」及び「新聞無線電報」の名称を「報道電報」、「報道無線電報」に改め、その内容中に電波法の規定によつて放送局の免許を受けた放送事業者が放送するためのニユースまたは情報を加え、その料金は新聞などと同じく、他の電報料金より低く定めることができることとしたことであります。御承知通り今日日本放送協会においては、みずから放送番組編集のためニユース及び情報を収集しており、一般放送事業者も将来同様の方法をとる場合もあるかと思われるのでありますが、これらニユースまたは情報は、新聞社、通信社のニユース、情報とひとしく、高度の公共性を帯びるものでありますから、公衆電気通信法上においても同様に取扱うことが適当と思われますので、この見地から第十三條第一項第二号イ及び口並びに第七十一條第一項中に所、要の修正を加えたのであります。なお、ニユースまたは放送事項を内容とする予約通話については、原案第七十一條第二項において、放送事業者の機関相互間のものも、新聞社、通信社の機関相互間のものと同様に取扱われておるのでありますが、原案の「放送事項」の意義がいささか明確を欠くので、これに「放送事業者の」という字句を加えることにいたしました。  第二は、原案第三十七條第一項におきましては、加入電話設備に障害を生じ、またはその設備が滅失したときは、公社は予算の範囲内において、すみやかに修理復旧しなければならない旨の規定となつているのでありますが、電気通信事業の性質並びに公社の使命からいつて設備の障害または滅失の場合、公社は無制限に修理復旧義務を負うべきであつて、これに予算による制約の條件を付することは、この規定公社の修理復旧義務に関する原則的規定であることにかんがみて、不当であると思われますので、原案から「公社の予算の範囲内において、」の字句を削除することが適当と認められるのであります。またこれを削除いたしましても、「すみやかに」という字句は時間的弾力性を持つた言葉でありますから、実際上は支障がないのみならず、公社の業務に対する予算制約は、日本電信電話公社法の規定並びに本條第二項の規定に照らして、明らかであると思われるのであります。  修正の第三点は、原案第七十三條は、公社または会社は、その総収入に著しい影響を与えない範囲内で、サービス料金に軽微な変更を加えることができるという規定でありますが、公社または会社が、たとい軽微なものであつても、増額を含めた料金の変更権を持つことは、第六十八條建前上不当でありますので、これを臨時かつ料金減免の場合に限定するとともに、本條と第六十八條との関係を明らかにするため、「第六十八條規定にかかわらず、」という字句を挿入する修正を加えたのであります。また本修正に伴つて、第七十二條と本條との順序を入れかえ、第七十四條についても條文の整理を行つた次第であります。  以上をもつて修正案説明を終ります。何とぞ全会一致御賛成あらんことをお願いいたします。(拍手)
  126. 橋本登美三郎

    橋本委員長 原茂君。
  127. 原茂

    ○原(茂)委員 ただいま議題となりました公衆電気通信法案及び有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対する修正案に関しまして、提案の趣旨並びに内容について概略を御説明いたしたいと存じます。  公衆電気通信法案外二法案は、わが国電信電話のあり方を規律する根本法規として、日本社会党としても重大なる関心を寄せ、本委員会における審議過程を通じて、あらゆる角度から検討を遂げたのでありますが、その結果として公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の二つについては、その一部に修正を加える必要を認め、日本社会党両派共同提案として、ここに本修正案を提出いたした次第であります。  修正案のうち、公衆電気通信法案に対するものは、第百五條に関するものであります。すなわち、原案第百五條第一項の規定によれば、構内交換設備及び内線電話機等、いわゆるPBXと称せられるもの、及び船舶に設置する加入電話設備、専用設備の端末機器等の設置は、加入者または専用者がみずからこれを行うことを妨げないことになつているのでありますが、PBXは、加入電話の延長であり、加入電話系と一体をなして、公衆電気通信を構成するものでありますから、これの設置保存加入者にゆだねることは、その方法のいかんによつてはただちに公衆電信電話事業に悪影響を及ぼし、事業の健全なる発達を阻害し、サービスの低下を来すおそれがきわめて大きいのであります。また船舶に設置する加入電話設備、専用設備の端末機器等にあつても、同様のことが予測せられるのであります。よつて修正案におきましては、大体現行の電信法付属の省令の規定に準拠し、公社による設置が困難であるもの、または加入者または専用者の業務の性質上もしくは設備の構造上、特殊の保存を要するもので公社が定める基準に適合する等、例外的な場合に限り加入者または専用者による設置を認めることとし、かつ第二項を追加し、これらの基準を定めるには、あらかじめ郵政大臣認可を受けなければならないことといたしたのであります。  次に有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対する修正案は、第三十二條債券の交付等に関するものでありまして、ただいま申し述べました公衆電気通信法第百五條の修正に関連して、原案に規定のあるような設備の無償譲渡を必要とする場合を生じないこととなりますので、これに関する規定を削除し、かつこれに伴う所要の修正を加えた次第であります。  これをもつて修正案説明を終ります。何とぞ全会一致をもつて御賛成あらんことを望みます。
  128. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ただいまの修正案に対する質疑はございませんか。——なければ、これにて修正案に対する質疑を終了いたします。  次に有線電気通信法案公衆電気通信法案有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案並びに各修正案を一括して討論に付します。討論の通告があります。羽田武嗣郎君。
  129. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ただいま一括議題となりました有線電気通信法案公衆電気通信法案有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案及びこれらの修正案につきまして、私は自由党を代表して、改進党有田委員の提出にかかる公衆電気通信法案に対する修正案、同修正部分を除く原案並びに他の二法案に賛成の意を、日本社会党原委員の提出にかかる修正案に対しましては反対の意を表するものであります。  申すまでもなく、有線電気通信法案は、電波法と並んで電気通信行政の根本法規として、また公衆電気通信法案は電信電話事業運行の基礎的法規として、ともにきわめて重要な法律でありまして、将来わが国の電気通信が健全な伸張発展を遂げるかいなかは、これら両法の規律内容の適否にかかつておるといつても過言ではないのであります。本委員会におきましては事案の重要性にかんがみ、去る二月十二日法案の付託を受けまして以来、十数回に上る会議を開き、また学識経験者、利害関係者等の参考人を招致してその意見を聞く等、愼重審議を進め、各党委員もあらゆる角度から政府並びに公社当局に質疑を行つて、きわめて熱心に検討を重ねられたのであります。これらの結果を総合勘案いたしまするに、有線電気通信法案におきましては、の電信法のもとではきわめて例外的な場合しか認めていなかつた有線電気通信設備設置及び使用を、公衆電気通信業務の独占侵害に対する保障と、他の設備に対する妨害及び人体、物件に対する損傷を与えないための技術基準の遵守という二つの制約を除いて、自由に開放したのでありまして、きわめて進歩的な立法と思います。ただその結果として、公衆電信電話事業と並んで幾多の私設有線設備の続出を見ることとなり、ために政府が逓信省時代から多年にわたつてとり来つた政策、すなわち各種の通信施設を統合して堅牢安固な線路をつくり、資材及び土地の節約、通信線路の強化をはかろうとしたいわゆる弱電施設統合の理想と背馳することになりはしないかと危惧されるのでありまして、この点につきましては、今後の法律運用の問題として政府において考究善処せられんことを希望いたします。また法律の面では禁止しておるものの、私設有線設備による公衆電気通信業務の独占侵害は、実際上これを取締ることがきわめて困難と考えられるのでありまして、これまた政府において十分配意せられたいのであります。以上二点の希望を付して、私は有線電気通信法案に対しては、内閣提出原案に賛意を表するものであります。  次に公衆電気通信法案におきましては、在来省令の規定にゆだねられていた事項を、大幅に法律事項に改めた点、料金について法定料金認可料金との区別を設けた点、損害賠償の規定を設けた点等は、いずれも適切な立法と認めるのであります。ただ原案においては新聞電報、新聞無線電報中に放送事業者の利用を加えなかつたこと、公社加入電話設備の修理復旧義務に予算による制約を設けたこと等、若干の不備が見受けられるのでありますが、これからの点は改進党の提案にかかる修正案によつて、いずれも適当なる訂正が加えられておるのであります。また本法律案には、料金の一〇%程度の引上げが含まれておりますが、建設予算の状況、従業員給与の引上げ等、公社収支の現状にかんがみて、この程度の料金値上げはやむを得ざるものと認めるのであります。なおPBX等の加入者または専用者による設備を自由に認めるかどうかの問題については、本委員会審議中にも論議の焦点になつたところでありますが、私は第一にこの問題について最も発言権を有すべき加入者側が、熱心に自営を希望していること、第二に営業自由の原則から、戦時中業者が泣きの涙で国家に奉還したものを、民間に再びこれを許し、PBX工事民間業者に開放すべきであること一第三に予測される弊害に対しては、法律に防止措置規定していること、第四に民間との競争によつて公社が独占的でなく、初めてここにほんとうのサービスの向上をはかり得ること等の理由により、原案に賛意を表するものであります。以上を要するに、公衆電気通信法案に関しては、改進党の修正案、同修正部分を除く原案に賛成し、日本社会党提出にかかる修正案には反対の意を表するものであります。  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対しても同様の理由により、原案に賛成、日本社会党の修正案に反対いたします。  本来これら三法は、日本電信電話公社法と時期を同じくして制定され、昨年八月の公社発足と同時に施行せらるべきものであり、事実去る第十三国会に提出せられたのでありますが、当時の政治情勢のため、本国会に再提出を見たものであります。今回これの制定公布によつて、わが電気通信の法制はほぼ整備を見たと言つていいのであります。私は政府並びに公社、会社当局が、法律の運用にあたつて細心の注意を払い、国民の神経の強化に万全を期せられんことを希望して、私の討論を終ります。
  130. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私は改進党を代表して、ただいま一括議題となりました有線電気通信法案公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案並びにこれらの修正案に関しまして、改進党提出の公衆電気通信法案に対する修正案、修正部分を除く原案及び他の二法案に賛成し、日本社会党提出の公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対する修正案に反対の意を表するものであります。  御承知通りこれらの三法案は、現行の電気通信に関する法令が電波法、電信電話料金法を除いて、大部分のものが明治中期の制度の制定以来、長年月の間すえ置きのままとなつていて、はなはだしく今日の実情とかけ離れて来ているため、これを現状に沿うように改変しようとするものであります。その制定の方針としては、現行の電信法が監督規定と業務に関する規定とが混然雑居しておりますのを改め、監督法規として有線電気通信法、また公衆電気通信業務に関する基本法として公衆電気通信法を、全然別個の法体系として整備することにいたしております。公衆電気通信事業が国の手を離れて日本電信電話公社の経営となり、またその一部が会社経営にゆだねられようとしている今日においては、まことに当を得たものと考えます。  各個の法案について検討いたしますと、まず有線電気通信法案におきましては、現行の電信法では政府専掌の方針のもとに、私設有線電気通信設備設置範囲を極度に制限いたしておりますが、これを改めまして、私設設備設置を原則として自由とし、公社または会社の公衆電気通信業務の独占の侵害を防止するために、所要の制限を設けるにとどめております。また設備設置及び維持についても、必要最小限度の技術基準が設けられているのみであり、許可、届出等の規定もできるだけ少くする方針をとつているものと見受けられ、適切なものと認められるのであります。  次いで公衆電気通信法案におきましては、事業保護のため必要として設けられている各種の特権的規定や罰則を極力廃止することとし、事業の性格に基き真に必要なもののみを存続することとし、また一方賠償に関する規定を設けるなど、大体において事業民主化の色彩を濃厚にいたしております。現在命令によつて定められている事項のうち、基本的サービスに関するものを法律規定した点、逆にすべて法律で定められていた料金を主要料金のほか、郵政大臣認可事項とした点、PBXの自営の道を開いた点なども、当を得ているものと思われます。また本法によつて行われる料金の平均一〇%値上げは、決して好ましいことではありませんが、事業の実情を見るときは、やむを得ない措置であると思われるのであります。  右の二つの法律施行するため必要な経過規定、その他関係法律を改正するため制定される施行法も妥当なものでありまして、三法案ともおおむね適切妥当なものでありますが、ただ公衆電気通信法案につきましては、若干の点につきまして修正を加えることにより、より完璧なものとなると思われますので、改進党としては六箇條にわたる修正案を提出いたした次第であります。  日本社会党におかれてもこれら三法案検討の結果として、公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対する修正案を提出されましたが、その内容PBXを現行のまま公社直営とするものでありますが、この点についてはPBX自営は利用者側に強い希望があることでもあり、電信電話の一元的運営に関することはけつこうでありますが、PBXのごとき末端設備までかくのごとく観念的に一元化の要もないかと思われます。戦前においてもPBXの自営は認めて来たのであります。また原案によつて公社直営の道がまつたくとざされるのではなく、直営、自営の二本建で、そのいずれを選ぶかは利用者自由選択にまかせられているのでありまして、両者その長をもつて競争することが利用者の便益を増進するものと思われ、監督の適正を期するならば、自営による弊害も防遏できるのであつて、自営の道を開いた本條の規定はむしろ一進歩と認められますので、わが党としては原案を支持するものであります。  最後に希望條件を付しておきたいのであります。その第一は、公衆電気通信法案第百九條、すなわち損害賠償に関する規定中、加入者がその加入電話により通話することができない場合、その旨を電話局に通知してから五日間は賠償の責には任じないことになつておりますが、この五日の免責期間は、スピードを旨とする電気通信事業としてはあまりに悠長に過ぎるのではないかという点であります。また同條中の専用設備についての四十八時間ということも、専用設備利用者立場から言うならば、あまりにも悠長であると思われるのであります。現行法の無賠償に比較すれば、賠償規定が設けられただけでも格段の進歩でありましようが、電話の不通期間が、いかに加入者またはその専用者に不利、不便を与えておるか、そのことは決して少くないのでありまして、またこの五日間の猶予が公社の復旧工事を遅延される一因になるとも考えられないことはないのであります。戦争による施設の荒廃が完全に復旧していない現状では、今日ただちにこの期間を短縮することは無理かとも思われますが、事業の使命に照して、努めてこの期間が縮小するように、今後大いに努力を重ねていただきたいのであります。  第二の希望條件は、今日行われておる市外通話は、普通、至急、特別至急の区別がございまするが、普通電話ではなかなか用が達せられない。だから至急にする。至急でもなかなか電話がかからないから特急にするというように、大体なつておるのであります。ことにわが国の最も重要な大動脈であるところの東京、大阪間の通話のごときは、特別至急通話の利用度が、全通話の五二%を占めておる現状であります。かかることは大いに恥ずべきことでありまして、ことに迅速をとうとぶ電話の運営としては、まことに遺憾でございます。すみやかにこれが改善をはかられ、普通電話でもすぐかかる、また特に急ぐものは至急で事足りるというようにして、特別至急通話のごとき制度は、これがなくてもさしつかえないように、回線の疏通をはかられて、大いに電話事業の使命達成に努力せられんことを切望するのであります。  第三の希望條件は、PBXの自営の道がせつかく開かれまして、利用者の便益をはかることになつたのでありますが、その運用いかんによつては、社会党諸君の指摘されるような弊害なきにしもあらずであります。よろしく政府の適切なる監督をなされて、弊害の防遏に万全を期せられ、大いにその長所を発揮されるように希望する次第であります。  第四の希望條件は、今回の料金値上げは、やむを得ざる措置としてこれを認めますが、それだけに利用者に迷惑をかけることもいなむことができないのであります。公社は一段と企業の合理化に努力せられまして、今後料金の値上げは軽々に行わざるようにお願いいたしたいのであります。そうして常にサービスの改善に努力されて、料金は上つたが、電話は早くつくようになつた、電報も電話も間違いがなくなつたと利用者に満足してもらうようにされまして、今回の料金値上げをサービスの改善で補うように、一段と努力されたいのであります。政府並びに公社当局におかれては、電気通信事業の重要性をいやが上にも認識されまして、今回の三法律の運用の適正を期せられ、この法律がその目的としてうたつておりますように、公共の福祉を増進し、あるいは増進に寄与するように、一層の努力と精進あらんことを特に切望いたしまして、私の討論を終る次第であります。
  131. 橋本登美三郎

  132. 松井政吉

    松井委員 私は社会党両派を代表いたしまして、ただいま議題になつております公衆電気通信法案有線電気通信法案並びに両案の施行法案について、原案並びに改進党修正案に反対をし、両派社会党提出にかかる修正部分について賛成の理由を明らかにしたいと思います。  まず審議方法内容について一言、直接法律内容には関係ございませんが、申し上げておきます。先ほど来自由党を代表して羽田君は、十数回にわたつて会議を開いて、愼重審議各党が質疑を行つたと言うております。ところが十数回会議を開いたことは認めるのでありますが、御承知のように本法律案審議委員会は、国会法上構成された場所で審議を行つたのは、本日が初めてであります。これは法律案審議に国民の代表として真剣であるかないかの度合いをきめるものでありまして、十数回開いたということによつて、これが葬り去られる内容ではないのであります。しかもこの法律案について毎日出席をして、まじめに質疑をかわした方が反対であつて質疑に参画しない方が賛成だという結果についても考えてもらいたい。なお与党の諸君はすべて賛成でありますが、与党内部に有るもろもろの事情については同情いたします。しかしながら党は違つても、国民の代表としての審議権の行使だけはしていただきたいと思います。かような立場において審議をされました本法律案であります。この百数十箇條にわたる公衆電気通信法の一條一條について、公共性を保持しながら企業性を発揮しなければならない日本の電気通信事業について、まじめに審議をしたということについては、われわれ異議があります。こういう審議方法と扱い方によつて本日討論に付されることについて、まず第一に反対をいたします。  第二について申し上げますが、第二は公衆電気通信法に対する、法律案内容に対する構成と扱い方の問題であります。御承知のように本法律案は第十三国会に提出されまして、長期にわたつて審議をいたしたのであります。ところがその内容において、一つは国有国営から電電公社法案となつて公社組織によつて業務の運営をするための業務運用に関する規律を規制するについては、公衆電気通信法が必要である。しかしながらややもすれば、従来国有国営の場合に直営をしておりましたいわゆるPBXのごときものが、民法上の所有権の移転から始まつて保存権混同の問題あるいは技術者認定保守規格基準の認定等、むずかしい問題を業務運用の規律と同一法律案によつて規制することは困難である。  第三点は、料金の値上げを中心として、電話を利用する国民大衆が負担すべき料金にあらざる公社債の引受、さらにまた普通区域、特別区域に対する設備をするための費用の負担、こういうものは料金を中核とした単独法案によつてまとめ上げることが妥当である。これが一年近くにわたつて国会の中に持たれた小委員会の期せずして出た結論だつたのであります。そういう事柄がこの法律案の構成と内容と扱い方にあるために、十三国会においてはいわゆる継続審査となつている。十四国会においては二日にして解散になつたために、この法律案は廃案と相なつたのであります。ところがそれほど長期にわたつて、扱い方と構成について指弾を受けたにもかかわらず、本国会には同様の趣旨で提出をして、料金もあるいはPBXの問題も、あるいは業務運用の規制についても、一つの法律でまとめようというところに大いに無理があるのでありまして、われわれが十分審議を尽すためにはまだ数日を要するのであります。私の質問だけでも三分の二残つておると言うたのでありますが、午前中一時間程度で質疑を打切るということになりますと、そういう内容を備える法案審議が尽されるとは考えておりません。政府みずからが一たび国会に提出をしてそういう指弾を受けて、さらに同一の考え方、同一の方式で法律案を提出したということについては賛成できません。特に経済上の変動等があつて料金を上げたり下げたりする状態が生れて来た場合に、料金関係中心の一本の法律ならば、その法律の改正で済みます。ところが料金並びに加入者負担をさせる——たとい一銭の問題でも、本法律案にいわゆる不測の事態が起つた場合においては、公衆電気通信法の一部改正となつて出なければならないのでありまして、今後取扱いの点についてわれわれが困るのではなくて、監督行政を担当する政府が法律の扱いに困ることは必然であります。さらに業務運用の面について政府が因るとともに、公衆が困るのであります。われわれは党利党略の立場からものを言つておるのではございません。国有国営から公社に移して、公共性を保持しながらいわゆる企業性を発揮して、サービスを上昇させるとともに、国内、国外を通ずる国家的通信業務の遂行をしたいから申し上げているのであります。しかるにもかかわらず旧態依然とした立場で、本法律案の構成をして国会に臨んだというところに、多大の不安を持つのであります。  第三にはPBXの問題で、法律案内容の問題でありますが、われわれはPBXを中心として、百五條を中心とした修正案を提出いたしております。その理由は先ほど同僚原君が提案理由説明した通りでありますが、本法律で扱つている問題だけを拾つてみましても、御承知のように今度は設備設置保守等が加入者自身でもできる、民間工事屋でもできる、こういう構成になつたために、設備もし、さらに保守、規格基準の認定技術者認定所有権保存権の問題、こういう問題については将来幾多の問題が残されるでありましよう。この不合理性を改進党の有田君も認めておられるのでありますが、この不合理性をはたして政府が有田君の希望通り処理して行くかどうかということについて、われわれは多大の危惧を持つものであります。従来のように公社が一本で、一切の設備保守、規格、技術、すべての責任を持つという立場においてなされますならば、この危惧は取除かれるのであります。そういう意味を含めた修正案を出しておるのであります。しかもこの質疑の過程においてわれわれはPBXの問題について多少の従業員に対する配置転換が行われることは伺いましたけれども、配置転換の内容と配置転換の実情については御答弁がなかつたのであります。従つてまだその準備がないことだろうと思いますが、かような状態において、本法律案の中の一番重要だと思われるPBXの問題を承認するわけには参らないのであります。  第四点として申し上げたい点は、料金値上げが本法律案に含まれておりますが、これは先ほど法律の扱い方については申し上げたのでありますが、その扱い方について反対であるばかりではなくて、今度の料金値上げの扱い方であります。御承知のように質疑の過程で明らかにされたのは、前回度数料の値上げをしたから、今回は基本料金の値上げだけである、こういうことであります。そういたしますと、要するに加入者負担するものは、基本料金だけ上げられるのでありますから、よけい使つても、よけい使わない人であつても、今度の値上げは全部平等になるわけであります。ところが電話等についてわれわれは数よけい度数をかけて使う者が、料金負担をよけいするということが建前でなければなりません。ところが度数料の値上げはしないで、基本料金の値上げだけをいたすということになりますならば、よけい使う者も使わない者も同じ料金負担するということになりまして、これは企業性から見まして最も不合理なるものの考え方であります。しかも度数料と基本料金とを比較いたしますと、基本料金が五十億を占めて、度数料金の約半分を占めるということであります。恐るべきものの考え方だと思います。基本料金は電話を持つておるということに対する料金でありますから、平等であつてよろしいのでありますが、大体料金の収入二〇%が妥当であります。八〇%は、一日五回使う人よりも十回使う人がよけい料金を納めるという建前で組むべきが、企業性を保持する根本でなければなりません。この考え方に対する反対の料金値上げの扱いをしておるということについてまず反対であります。  第二は総額八十億にわたる値上げをいたして、八十億の収入を増そうということでありますが、これは予算にも関係がありまするが、昨年度の電通企業に関する予算は、政府の出資金と申しますか、運用部資金から百三十五億円が出されておる。本年度の予算においては四十億に減らされておる。三分の一以下に減らされております。そうして政府が当然共公性を保持するために負担すべき投資金等は減らされて、さらに年間二十億からの純利益があると思われる国際電電会社に移してしまつて、利益のある分を切り離して、利益がなくなつて、国が負担をしないで一切かかつて加入者料金にその負担を求めようとするものの考え方に、われわれは反対なのであります。公共性を保持するためには、電電会社はコーポレーシヨンでありますから、これは民間会社ではないのであります。国が投資をし、公債、社債に対する援助をしながら、独立採算の理想を達成するためにものを考え、建設資金を考え、さらに利益のある部分については、公社が利益のない建設関係について埋め合せを行いつつ企業の合理性をはかりながら、その上に料金値上げの構想というものが考えられて来なければならないのでありますが、われわれの考えとは反対の立場において料金値上げをされておるということについて反対であります。  さらに進めて、有線電気通信法案について反対理由を簡単に申し上げますならば、有線電気通信法案につきましては、われわれ従来の有線電気通信企業体系から見て妥当だと思われる條項はございますが、国際電電会社法に対してわれわれは反対でありまして、ただいま同会社法を廃止するの法律案を本委員会に提出いたしております。この有線電気通信法案の中の八條、九條等は、国際電気通信に最も関連性を持つものでありまして、しかもこの関連性は数度にわたつて質問をいたしましたけれども、公社と国際電電会社とが扱う国際関係の通信については、業務上切離せない箇條が多いのであります。従いまして国際電電会社設立について反対であり、国際電電会社法に対する反対の立場から、有線電気通信法案についてはわれわれは反対をいたします。  さらに両法案に対する施行法案についても質疑を行つたのでありますが、両法案関連性に基く施行法案についても反対をいたします。  簡単でありますけれども、ただいま申し上げたような理由につきまして、社会党両派は本三法案の原案並びに改進党の修正に反対をし、公衆電気通信法案につきましては、両派の社会党提出の修正案に賛成をいたす次第であります。
  133. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。有線電気通信法案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 橋本登美三郎

    橋本委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  次に、公衆電気通律法案について採決いたします。社会党提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  135. 橋本登美三郎

    橋本委員長 起立少数。よつて修正案は否決されました。  次に、改進党提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 橋本登美三郎

    橋本委員長 起立多数。よつて修正案は可決されました。  次にただいま可決されました修正部分を除く政府原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  137. 橋本登美三郎

    橋本委員長 起立多数。よつて本案は改進党提出の修正案のごとく修正すべきものと決しました。  次に有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案について採決いたします。社会党提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 橋本登美三郎

    橋本委員長 起立少数。よつて修正案は否決されました。  次に政府原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  139. 橋本登美三郎

    橋本委員長 起立多数。よつて原案のごとく可決するに決しました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました三法案委員会報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 橋本登美三郎

    橋本委員長 御異議なければさよう決します。  これにて本日は散会いたします。     午後三時三分散会