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1953-02-26 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十六日(木曜日)     午後三時五十一分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 中村 梅吉君 理事 有田 喜一君    理事 松前 重義君 理事 原   茂君       岩川 與助君    松村 光三君       水田三喜男君    中曽根康弘君       中山 榮一君    楢橋  渡君       淺沼稻次郎君    松井 政吉君       三輪 壽壯君    山田 長司君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君  委員外出席者         郵政事務官         (電波監理局次         長)      荘   宏君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     古垣 鉄郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     岡部 重信君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 二月二十四日  練馬区の電話交換方式改善等請願中村梅吉  君紹介)(第二五二〇号)  荒尾電報電話局局舎新築等請願松前重義君  紹介)(第二五九三号)  大和高田電報電話局舎返還等請願前田正  男君紹介)(第二六三九号)  の審査を本委員会に付託された。 同日  彦根放送局存続に関する陳情書  (第一五五九号)  同  (第一五六〇号)  同  (第一五六一号)  同  (第一五六二号)  同  (第一五六三号)  京都放送局出免許に関する陳情書外二件  (第  一五六四号)  同外五件  (第一五六五号)  同外一件  (第一五六六号)  同(第  一五六七号)  同外一件  (第一五六八号)  同外八件  (第一五六九号)  同外一件  (第一五七〇号)  同(第  一五七一号)  同(第  一五七二号)  同(第  一五七三号)  同外一件  (第一五七四号)  同  (第一五七五号)  同(第  一五七六号)  同(第一  五七七号)  同(第一五  七八号)  同(第一五七  九号)  同外四件  (第一五八〇号)  同外七件  (第一五八一号)  同  (第一五八二  号)  同外二十件  (第一五八三号)  同外九件  (第一五八四号)  同外五件  (第一五八五号)  同外十二件  (第  一五八六号)  同外六件  (第一五八七号)  姫路放送局存続に関する陳情書  (第一五八八号)  同(第一五  八九号)  同  (第一五九〇号)  岡山放送局存置に関する陳情書  (第一五九一号)  同(第一五九二号)  同(第一  五九三号)  同  (第一五九四号)  佐賀放送局存置に関する陳情書  (第一五九五  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第二号)     ―――――――――――――
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  さきに決定いたしました日本放送協会会長垣鉄郎君並びに理事岡部重信君が参考人として出席されております。先般本件について政府委員より趣旨説明を聴取したのでありますが、本日はまず日本放送協会より説明を聴取することにいたします。古墳参考人
  3. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 本委員会におきまして、昭和二十八年度における日本放送協会事業計画予算等について御審議をいただいておりますことを厚く御礼申し上げます。お許しをいただきまして、昭和二十八年度の事業計画等の大綱につきまして、御説明を申し上げたいと思います。  昭和二十八年度におきましては、事業運営につきまして、まずラジオにおきましては、受信困難なる地区改善府県別放送強化放送番組全般充実に主眼を置きまして、テレビジョンにつきましては、本年度中に大阪及び名古屋テレビジョン局を開始いたしますとともに、今後の建設計画の実行に必要な調査を行うことを、おもなる計画内容といたしております。その他技術研究充実国際放送強化等重点を置いて、この計画を進めることに予定いたしておるのでございます。  これから主要なる各項目にわたりまして御説明を申し上げたいと思います。  まず番組の面におきましては、公共放送使命にかんがみまして、国民要望にこたえ、わが国文化水準向上に寄与することを念願といたしまして、第一、第二の両放送網性格を明確化しつつ、第一、第二放送の両者を合せて一体として、車の両輪のごとく、人間の両腕のごとくに調和ある番組といたして編成して参りたいと存じます。また教育放送につきましては、NHKが多年最も力を尽して参つたところでありますが、二十八年度におきましては、この教育放送の面に一段と力を加えて参りたいと存じます。一日一時間放送時間も増加いたしますが、そのほかに青少年向け講座番組の大幅な拡充考えております。またこれとともに高度の芸術や教養番組拡充にも十分意を注いで参りたいと存じております。  次に地域別放送の確立ということに、一層努力して参りたいと思うのであります。NHK全国各地聴取者から圧倒的な要望にこたえますために、地域社会生活に奉仕するいわゆる自県放送強化して参りたいのであります。二十八年度からはこの見地に立ちまして、技術の面と番組の面の両方から大いに自県放送に奉仕したい考えを持つております。すなわち技術面では中継放送局新設既設局増力、第二放送新設を行いまして、自分の県の放送局電波で十分カバーするように努めますとともに、他方番組面におきまして、地方行政地方自治地方文化向上に合致し、これを推進するように努力し、地方産業の振興にも役立ちますような番組を送りたいと考えております。これはまた地方受信者の方々、国民大衆の一致した強い要望でもあるのであります。  これに関連いたしまして、大電力周辺放送局の問題があります。これは県別ローカル番組を豊富に編成して、将来地域別放送を確立する上からも、あくまでも存置いたしたいと考えております。特にこの問題につきましては、地元の聴取者を初め、地方関係当局各位からも、強い要望が寄せられているところでございます。また放送協会経営委員会におきましても、NHK性格に照しまして、これはきわめて重大な問題として、委員会が開催されるごとに繰返しこの問題を検討し、大電力周辺地方放送局は廃止すべきではない、ぜひとも存置すべきであるという方針を繰返し決議いたしている次第でございます。なお大電力放送につきましては、強力な外国電波に対抗いたしまして、国内報道放送網を確立し、国家有事の際に、国の治安の安全、ひいては国防上の必要を満たす性格もあるのでありまして、国策的な立場に立つた大きい使命を有しているものと考えます。従いましてこの大電力放送は、自県放送とは別に独立した見地に立つて実施され、かつ考量さるべきものであると考えております。  なおNHK全国あまねく受信できるようにいたしますために、放送施設建設改良によりまして、百パーセント良聴区域を目ざして施設拡充をはかり、昭和二十八年度末にはこの良聴区域が、第一放送におきましては、従来の九八%から九八・六%に、また第二放送におきましては、九三・六%から九四・五%となることを予定いたしております。また受信困難な地区に対しましては、中継所既設施設増力改善によりまして、その聴取状態改善に努めて行きたいと考えております。  テレビジョン放送につきましては、昭和三十一年度に全国世帯の六五%をカバーする全国網の第一期計画を達成する考えのもとに、その一環といたしまして、二十八年度は大阪名古屋放送局の開始と同時に、東京テレビジョン局放送施設改善を行い、さらに以上三局のほかの局の建設に伴います電波状態その他の調査を行う計画であります。このようにいたしまして、ただいま予定いたしております建設五箇年計画を、できるだけすみやかに完成して行きたいと考えておる次第でございます。またテレビジョン番組につきましては、テレビジョンの目と耳と同時に働きかけるという、その独特の性格から来ます大きな影響にかんがみまして、あくまでも教育のための奉仕、また一般家庭を対象といたしまして、健全明朗な娯楽、教養番組、特に教育番組重点を置きながら、多彩豊富な番組を編成したいと思いますが、テレビジョンにおきまして精神の健康ばかりではなくて、肉体的な健康、特に目の衛生という点にも、特別の慎重な検討を加えて参る所存でございます。  次にテレビ受信機普及の問題でありますが、国策に応じました受信機普及がきわめて要望されるところでありますので、国産受信機出まわりを促進いたしますために、メーカー各社NHKは提携協力いたしまして、このテレビ受信機普及に当りますとともに、その保守、維持につきましても、雑音防止技術者養成等全力をあげて、サービスに当る用意をいたしております。なおテレビジョンに対する一般国民の認識を深め、これが普及わが国文化社会等に及ぼす大きい影響につきましても、十二分にその力を生かしますように、周知の面に力を注ぎ、全国普及への促進をはかりたいと考えております。  最後テレビジョンの将来の発展に備えましてNHK考えておりますの五、技術研究強化ということであります。NHKではテレビジョンを初めとするラジオ全体について、基礎的並びに実用的な研究を極力進めますことはもちろんでありますが、二十八年度におきましては、マイクロウエーブの研究音響電子管等研究も、その実用化に即応いたしますところの研究を進めて参りたい考えでございます。またカラー・テレビジョンにつきましては、実用化を目ざしまして、本年は一段と研究を進めて参る所存でございます。  次に国際放送についてでございますが、御承知通り昨年の二月より国際放送を開始いたしましたが、本年四月よりは従来の五方向にさらに南米を初めとする新しい五方向を加え、また従来の一日五時間の放送を一日十時間に延長いたします。使用の国語も、相手国国語を極力使用することにいたしたいと存じます。国際放送予算その他の制約はありますが、次々と拡充をはかり、英米ソその他の諸国が、近来国際放送の面において格段の力を注いでおるのにもかんがみまして、大いに努力して参り、全世界にわが国実情を伝え、さらに固有文化紹介いたしまして、各国の理解を深め、また文化の交流をはかつて国際社会の親善に大きな寄与をいたします一方、祖国の経済復興の面におきましても寄与したいと存ずる次第であります。  次に業務管理の面におきましては、できるだけ事務簡素化業務の合理的な運営を行いまして、能率の向上と刷新をはかりたいと考えております。また人件費につきましては、これも同様に極力むだを排し、職員の待遇につきましては、物価の高騰その他の生活条件協会予算とを勘案いたしまして、最善を期する方針でございます。  以上が二十八年度計画の大要でございますが、最後NHK公共性の発揮という点について、一言申し添えたいと存じます。NHKといたしましては、テレビを含めました電波を使用いたしますに際し、単に国内放送一般としてのみならず、ただいま申し述べました通り、大電力放送技術研究国際放送等を初めといたしまして、私どもの携わつております仕事は直接、間接に国の治安安全、ひいては国防の問題にも密接に関連しておりまして、ここに強い公共性を発揮しなければならない性格を持つておりますので、私どもは深くその大ぎな責任を感じて、使命の達成のために全力をあげておる次第でございます。この意味におきまして、NHK使命はきわめて重く大きいという点につきまして、委員皆様格別の御理解をいただきたいと存じます。かような考えのもとに、二十八年度の計画を進めて参る予定にいたしておりますので、当委員会委員皆様格別の御理解と御同情のもとに御審議をいただきまして、御承認くださいますように切にお願い申し上げます。
  4. 橋本登美三郎

    橋本委員長 質疑の通告があります。中村梅吉君。
  5. 中村梅吉

    中村(梅)委員 まず第一に古垣会長に伺いたいと思うのですが、大阪及び福岡放送局を大電力の五十キロにかえました結果、ローカル局のうちで、設置期限が到来した場合に、存廃の危機に直面しておる局が数箇所あるようでありますが、結局期限が到来した場合に、このローカル局は、ごくわずかの時間だけの放送のみに切りかえるか、もしくは中継を非常に削減して、自己放送放送局開設根本基準に適合するように改めるかしない限りにおいては、今の開設基準によれば、存続不可能の現状になつておると思うのでありますが、半面このローカル局放送は、地方問題としては非常に大きな問題だと思うのであります。ことに農漁村におきましては、農村、漁村気象放送、あるいは県のいろいろな政治地方民に徹底をする地方的ニュース報道、あるいは選挙放送にいたしましても、また地方演芸一般放送するような場合に、ローカル局があれば、そのスタジオでそこの特殊の地方演芸放送して、それを中継によつて全国放送することもできる、こういうような特殊の使命を持つておるわけでありますが、これが今日こういう危急の場合に直面をしておることについて、何とかその打開策を今から十分に講じておかなければならないと思うのであります。ただいまの御説明によりましても、十分努力をされておるようでありますが、この点に対する古垣会長の御所見をまず承りたいと思うのであります。
  6. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 お答え申し上げます。ただいま御報告の中に申し上げました通り地方聴取者から圧倒的な存置要望がございます。また関係地方当局代表者からも、圧倒的な陳情をいただいております。他方NHKといたしましても、民主主義向上発展に資する建前から、地方地域社会生活に奉仕するという方針は堅持しておりまして、年々その方向に向つて、その実現のために努力しなければならないと考えてやつて参つております。そういうような関係でございますから、根本基準の点でございますが、これがどうもわれわれの見るところでは、現在の実情に沿わない事態を生じておると思いまして、できるならばこの根本基準改正をしていただきたい。そうしてますます質が向上して参りまして、自局放送地方聴取者要望、また私ども希望通りにやつて行けますようにして参りたい、そういう考えでございます。
  7. 中村梅吉

    中村(梅)委員 次に郵政大臣もしくは電波監理局長からお答えを願いたいと存じますが、放送協会として、こういうローカル局存続することが、経費の面その他においてできない、むしろ協会の方でこれを廃止したいというような意向であるならばいざ知らず、現在各地方地方庁及び地方民から非常にたくさんな存置方の熱烈な要望がございますことは、御承知通りであります。そこで放送協会といたしましても、協会公共性にかんがみて、現存する施設でもありますし、採算等のいかんを問わず、これはぜひ存続をいたしまして、一般地方民ラジオ聴取の上における、また地方行政の上における便益に供したい、こういう熱意を持つておられますことは、ただいま拝聴いたした通りであります。そこですでに期限の迫つておるものもあるようでありますので、放送局開設根本基準というものについて、何らかの処置をもはや考えておらなければならないと思うのであります。当局はこのままで進めて行こうという考えなのか、あるいはただいま古垣会長の言われましたように、協会要望、ことに今盛んに行われております各関係府県及び地方民の熱烈な要望にこたえる方法を進めようという腹組みでおられますか、その点をまず伺いたいと思います。
  8. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまの御質問の点で、こまかいことは係の局長から御説明申し上げることといたしまして、大体の方針だけを申し上げます。御質問にありましたように、関係の各地方からは盛んに陳情要望が私どものところにも参つてつて、私もよく承知いたしております。それで関係地方要望、御希望には、まことにごもつともな点が非常に多いと私も考えておりまして、係の方面に対しまして、現在の基準のもとでもつて何とかやる方法はないか、御希望に沿うような処置をする方法はないかということで、今までずつと検討をさせて来ておつたわけであります。ですから、そういう御希望や御要求に対しては、何とか応じたいという考えで進んでおるわけであります。ただしかし現在の基準のもとでは、十分に関係地方要求を満たすことはなかなかむずかしいように、今までの検討では考えられます。そこで、それでは基準改正するという方向へ行くかどうかということにつきまして、今検討をしておるところであります。
  9. 中村梅吉

    中村(梅)委員 この開設根本基準のできます当時は、私は議員でありませんでしたので、直接は関与いたしておりませんが、聞くところによりますと、当時は占領下にありまして、司令部方面から一種の要求といいますか、圧迫といいますか、そういう力も加わつて、この開設基準ができたようにも聞いておるのであります。現在、日本国情に適するように占領政治の是正をはかるということは、現内閣方針としてしばしば明らかにされておるところでありまして、こういう点につきましては、日本国情に適し、かつ地方民の福利に寄与するような方策を、この際思い切つて講じた方がいいのではないか。従つて姑息な方法もあるいは考えられるかもしれません。この根本基準を置いたままで、徳島、岡山、京都、佐賀というようなローカル局を、どういう形でか存置せしめるというくふうの余地が絶無ではないかもしれませんが、もしそうだといたしますと、このローカル局は非常な制約を受けるわけで、たとえばごく二時間か三時間の地方放送をする、あとは大阪もしくは福岡から大電力による放送を聞くということになりますと、聴取者は一々ダイヤルをまわし、切りかえをつけなければ、両方放送を聞くことができない。かけきりでは聞くことができないという結果になりまして、大阪福岡放送を聞いておれば、つい思わず知らず大事な、聞かなければならない地方放送であるとか、あるいは地方政治に関する報道ニュースなどを聞きはぐつてしまうというように、聴取者にとつて多大の不便を生ずる結果になると思うのでありまして、この場合は姑息な手段をとるよりは、開設根本基準改正に向つて一挙に努力を願うことが、私はむしろ適切な処置ではないかと考えるのであります。この点は強く当局要望いたしまして、目下大臣の御説明では、趣旨に沿うように研究を進めておるというお話でありますから、われわれはこの点を強く要望しておく次第でございます。むろんこれを実行いたしまするのには、公聴会等を開かなければならないようでありますが、それはもちろんその手続をふまれてしかるべきである。その場合には、現在あの熱烈な存置運動を続けております各県の関係者、あるいは直接利害関係のある地方民意見を十分に聞かれて、そしてあるいは場合によつては、何らかの理由でこれに反対の意見を述べる方も公聴会で出て来るかもしれませんが、そこは公正妥当な見解、態度をもつてそれに臨みますならば、必ず私どもは現在地方関係者要望しておるような結論が得られる、こういうように予測されるのでありまして、この点は姑息な手段でなく、われわれは思い切つた改正方法を講じられることを切望してやまない次第であります。
  10. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまの御希望の点はよく了解をいたしておりますので、これから検討いたしまして、どうしても規則改正を要することになれば、聴聞会その他を開きまして、順序を経て御希望の線に沿つて努力をいたして行きたいという考えであります。  なおつけ加えて申し上げておきますが、先ほどお話のありました中で、ただいまの開設基準決定が、占領政策あるいは占領軍政策と関連してきめられたのではないか、こういうお考えもございましたけれども、今までの経過から申しましてそういうことはございませんので、念のために申し上げておきます。
  11. 中曽根康弘

    中曽根委員 ちよつとお伺いいたしますが、私あまりテレビジョン放送のことは知りませんので、もしへんな質問をしたらお許し願いたいと思います。  今の開設基準というのは、私どもの選出の方にも関係しているので、実は前橋放送局というのがございましたが、これがやめられておるのです。地元民としてはその再開を非常に希望しておりまして、郵政大臣がお出しになりました意見書を読んでみますと、府県別放送地域別放送、これについて積極的にやるような御方針が書いてある。そこで今放送法を見てみたのでありますが、この放送法ができたのは昭和二十五年五月二日というふうになつています。この開設基準というのは一体いつできたのか。昭和何年にできたいかなる性格規則でございますか、お知らせ願いたいと思います。
  12. 長谷慎一

    長谷政府委員 放送局開設根本基準は、電波法の第七条に基きまして制定されたものでございますが、電波法の第七条は郵政大臣——当時電波法が制定されましたときは電波監理委員会でございましたが、その後の行政機構の改革に伴いまして、現在は郵政大臣になつております。郵政大臣無線局——これは放送局も含めまして、無線局開設したいという申請書が提出されましたならば、これこれの事項審査して、その審査に合致しておつたならば許可を与えなければならない。こういうことになつております。その事項は、一つは技術基準、第二は電波割当ができるかどうか、第三はその計画を維持するだけの財政的基礎があるかということと、最後にこれらのものの以外に郵政省令で定める無線局開設根本的基準に合致することでございます。こういうわけであります。この条項に基きまして開設根本基準が制定されておるのでありますが、一般無線局放送局とはきわめて性格が違いますので、便宜上一般無線局開設根本基準放送局開設根本基準と別個に、二つにわけて制定されております。放送局開設根本的基準につきましては、昭和二十五年十二月五日に公布になつております。これは桁長当い期間前に公表いたしまして、その公表の後に関係者の間で公聴会を開きまして、公聴会の結果、法的にきめられております審理官という制度がございまして、審理官がその公聴会の結果に基きまして、公聴会についての調書並びに審理官意見書を同時に電波監理委員会に提出いたしまして、その調書意見書に基いて最後的に決定制定公布なつたのが、ただいま現行の根本的基準でございます。
  13. 中曽根康弘

    中曽根委員 基準の問題で、私は放送法と非常に矛盾したところがあるように思います。それは法制的に矛盾しておるという意味でなくして、事実上矛盾した内容がある。というのは、あの基準によりますと、たしか三分の二以上ローカル放送をやる時間がないと基準に合致しない。そういうことがあつたやに聞いておりますが、この放送法を読んでみますと、たとえばNHKの場合は、NHK使命として日本全国において受信できるように放送を行う、あるいは全国的及び地方的放送を行うために放送局を設置し、維持し、及び運用する等々と書いてあつて日本全国にあまねく放送の恩恵に浴さしめるというのが、この放送法精神であるように思います。それで単に中央からの放送だけでなく、地域的な社会生活というものとの直結において、放送というものを考えられておると思うのであります。従つて当然ローカル放送の時間が多いのは最もよいと思うのでありますが、現実問題として、そういうような多くの時間をさくことができるかどうかは、大きに問題点があると思うのであります。そこでこの放送法を現実に適用して、中央放送地方ローカル放送とをうまくコンバインしながら、しかも放送法精神を現実的に実現して行くという点から見ると、今の基準は非常に無理なところがある。これは法制的というよりも、むしろ事実上無理があるのではないか。中村理事の言われた反面を言うようでありますが、どう見ても放送法の文面や精神から見て、現実的に無理があるように思う。そういう点は別に郵政省は変にお感じになりませんか。
  14. 長谷慎一

    長谷政府委員 御承知のように電波は無限の数があるわけではございませんのと、これは御承知のことを申し上げて恐縮でございますが、特に放送につきましてはある範囲に限られた電波だけを、お互いに放送に使うということに国際間できめられております。ところが日本ではただいま参照されましたように放送法におきまして、NHK全国あまねく聞えるように放送局をつくつて行く一方、自県放送にも相当力を入れて参りましたし、またちようど放送法の制定になりましたときから、民間放送開設も許されることになり、現実には日本で使える放送電波を、ほとんど使い尽しておる状態でございます。しかもただいま御指摘になりましたように、放送協会としては放送法に基きまして、法に定められた目的に向つて放送設備の拡充をして行かなければならないのでございますが、それには先ほど申し上げましたように、電波に限度がございますので、電波をできるだけ経済的に使つて行くということが電波法にうたつてございます。公平にしてかつ能率的な電波の利用を確保しましてへ公共の福祉を増進ずるという電波法精神からいたしまして、電波の能率的な経済的な使用を考えなければならぬ、こういう点が実は出て来るわけでございます。先ほど申し上げましたように、放送局施設を許可する場合の基準でございますが、この際にはもしもほかの電波放送が聞える地域で、第二、第三の電波によつてラジオが聞える場合には、総合的に電波の効用が能率的であるためには、同じ電波が聞えるところはほとんどどれもこれもプログラムが同じでは意味がない。一つだけ聞えるところならば別でありますが、二つも三つも電波が聞えるところでは、その番組が少くとも三分の二くらいは相互に違つてつて、相互のラジオ番組の選択によつて、せつかくの電波があるのですから、放送による文化の恩恵を十二分に受入れられるようにすべきではないか、しかも先ほど申し上げましたように、電波に限度がありますために、今もラジオの恩恵に浴していない地方がございますから、二重に聞えるようなところの電波は、現在聞えないところ、あるいは第一放送だけしか聞えないようなところ、あるいは地方に非常に強い熱望がありますならば、民間放送にも有効に使えるようにすべきではないかということから、公聴会でもいろいろ議論の末出た条項でございまして、御指摘のような点もわれわれとして十分考慮しなければならぬと存じておりますが、真正面からぶつかつているような問題ではないように存じております。
  15. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は電波のことはよくわかりませんが、必ずしもそう高級なラジオ受信機を持つておる人ばかりではないと思う。たいてい四球以下の受信機で、受信困難な点もありはしないかと思いますが、そういう点からして、郵政大臣意見書の中に、地域別放送充実については、府県別放送充実して行こうとしておるが、これは公衆の地域的社会生活に資しようとするものであつて方針としては適当と認めると言われておる。これは民間放送についての意見ではなくて、NHK予算に対する意見でありますから、これが当局の厳然たる方針であるとも思います。そういう点からしても、地方ローカル局で現在動いておるものを廃止するという方向へ向けることは、この意見書の筋とやや違うような感じがいたしますが、この点はいかがでございましようか、大臣にお尋ねいたします。
  16. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、むろん高級受信機でなくても聞けるようにして普及することが、方針でなければならないと考えております。しかしただいま問題になつておりますローカルの放送局の問題は、一方で電力が大きなものが使われるようになりましたために、そこを使わなくても聞えるようなことをしたというところから問題が来ておると思います。しかしそれで今までのローカル局を廃止して、同じような聴取が希望されるのかということになると、おのずからそこに問題が起きて来るというところから、現在問題があるのだと私は考えておるわけであります。
  17. 中曽根康弘

    中曽根委員 でありますから技術的にもいろいろ御検討なつ薫るとは思うが、今の福岡大阪あるいは東京というような大きな電力の圏内にあつて、そういう点では二重になる疑いのあるところもありますが、この御方針からすると、府県別放送ということに重点を入れられており、経済的な効果という面のほかに、地域的社会生活との直結ということが相当強くうたわれておる。これはNHK方針としては当然であり、放送法精神でもあると思います。現に私は群馬県におりますが、実は前橋の放送局をぜひ再開してもらいたいと思う。東京の圏内にありますけれども非常に不便です。不便というよりは聞きづらくてしようがない。ちようど金魚のうんこみたようにうしろにくつつけられて、われわれの地方は扱われておる感じです。一般放送の間にわずかの時間の割当をもらつて地方的なことを放送してくれるだけで、県民が一番熱望しておるたとえば県会の模様であるとか、あるいは県の政治家の討論会であるとか、ほかのローカル放送でやつておるようなことは、ほとんど前橋放送局圏内にはありません。そういう点で非常に不満があります。これはおそらく高松や徳島や、その他今そういううき目にあわれようとしておる局でも同じことだと思います。こういうことは単に物理的に電波の力の範囲で区切られるものではないと思う。そういう立体的な社会生活あるいは文化生活、社会文化総合的な観点からそういうものの判断はきめるべきだと思う。高松や徳島の問題も問題であるが、それ以上に前橋放送局をぜひ復活してもらいたい、逆にそういう要望を私は持つておるのですが、この点大臣はいかにお考えになりますか。これはNHK会長からも御答弁を願いたいと思います。
  18. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 前橋放送局につきましては、私は調査をいたしておりませんからよくは知つておりませんが、今のお話のような事情でありますとすれば、ただいま問題になつでおる京都とか徳島とかと同じような事情にあるものと思います。それでこれらのローカル局の問題を必要があれば規則改正して、改正基準によつて検討して行くということになれば、やはり御希望のような点も十分調査いたし、検討する必要がある、かように考えております。
  19. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 お答え申し上げます。御趣旨はまことにごもつともで、私ども非常に力強く思います。われわれの考えておりますことが是認されたという気持で、非常に激励を感じます。具体的には天気予報とかローカル・ニュース、特に緊急事態放送選挙放送、社会番組、公示番組教育放送地方芸能放送というようなものにつきまして、地方行政地方文化に密接に結びついた自県放送が必要であるという考えのもとに、私どもNHKの将来の支局計画を立てておるのであります。前橋につきましても、もちろん検討をいたしております。そして将来はそういう方向に参りたいということで、まず周波数が与えられない場合におきましても、そこに一つの演奏所を設け、地方行政地方文化をその演奏所において、今までよりも一層強く取上げて、地方の人に奉仕したいということをほぼ決定いたしておりますが、それで決して満足しておるわけではなくして、今御指摘のような方向に向いたいという熱望であります。また先ほどお話の大電力によつて聞えるようになつたということは、相当高級な受信機によつて聞えるようになつたという程度でありまして、並四球といいますか、一般ラジオ受信機では、大阪の大電力下におきましても聞えないところが相当あるのでありまして、もしその大電力の周辺にかかるところの地方局をすぐ配置するということであれば、聞えなくなる人が現実にたくさんできるのであります。放送は、単に放送する方で、この大電力によつてこれだけのものが可聴区域に入つたというだけのものではなくて、受ける方から見てもほんとうに聞えるのかどうかということを調べて、出す方と受ける方とが一体となつたところで、初めて放送の問題を処理されるべきものだ、かように考えております。
  20. 中曽根康弘

    中曽根委員 古垣さんにお尋ねしますが、前橋の放送局はそれではいつ開設していただけますか。
  21. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 正直に申し上げまして、ただいまいつということはお答え申し上げられませんが、私ども希望としてその方向に邁進したいと思いますから、格別のお力添えをお願いいたします。
  22. 中曽根康弘

    中曽根委員 郵政大臣にお尋ねいたします。くどいようでありますが、放送局新設あるいは継続というような問題は、単に電波の上の物理学的な観点から決定せらるべきものではなくして、もつと広い社会的、経済的な観点からきめらるべきであるという基本原則を、私はここで確認したいのでありますが、この点はいかがでありますか。
  23. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 根本的な考え方といたしましては、私も同感であります。前橋に廃止されておるのを開設するようにという御希望でありますが、確かに前橋などにも府県別放送ができるということが、今お話のような意味から申しまして、理想として望ましいという点は私も同感であります。ただしかし協会の財政とか周波数とかいろいろな点もございますので、それらの事情等勘案して、将来これを開局するというようなことも考えて行かなければならない問題と思いますが、今いつからやるというようなことは、私からもすぐの御答弁はできない事情であります。
  24. 中曽根康弘

    中曽根委員 非常に御好意ある御答弁をいただきまして、感激にたえません。いずれの日かできるということを確信いたしまして、県民に伝えようと思います。  そこで次にお伺いしたいのでありますが、今の郵政大臣のお言葉の裏を考えてみますと、やつぱり開設基準というものがある程度修正されなくてはいかぬという前提があるように思うのであります。つまり電波の物理学的な決定によるべきでないという点からも来ているのであります。特に同じ五十円出して聞いている東京の人と前橋、高崎の人と、感情的に非常にむらがあります。大臣はこんなことは知らぬからここで申し上げますが、たとえば天気予報をやります。そうすると関東地方をずつと言つて行くわけです。千葉県あるいは埼玉県あるいは茨城県、曇り後晴れと言つている。いつも群馬県は一番最後に言う。埼玉県へ行つて最後に群馬県と言う。そうすると群馬県から私のところへ電話がかかつて来て、NHKはいつも最後に群馬県と言つてけしからぬ、あれを何とか直せ、代議士に出てあんなことを直せなければみつともないぞ……。これはほんとうの話です。こういう心理状態になる。私は地方官をしておつて高松におつたことも岡山におつたこともありますが、その連中が廃止されようという運命にあるときに、どのような感じを持つかということは想像にかたくない。こういう人心の動きというものを、政治家である大臣は十分お考えを願いたい。そのことはやはり根本的な措置を講ずべきである。先ほどくどく申し上げましたように、放送法というものと開設基準というものとは、事実上そぐはないものがあるのではないか。特に先ほど古垣さんが申されましたような地方的な問題、たとえば府県庁の公示関係もあるし、あるいは魚群を発見したというような報告もあるでしようし、あるいは椿事が起きた場合の警急の公告、公示事項というようなものがあります。これらは日本の治安維持上からも重大な問題を持つて来ると思う。ふだんはそれが作用していないから、そんな放送局を置いておくとむだが多いと思うかもしれない。しかし非常に大きな発見もあるわけであります。そういう点もお考えになつて、この開設基準というものはある程度改正さるべきだと思う。特に並四級程度の受信機をもつて十分に聴取できないところも非常に多いのでありますから、現在のそういう事情もお考えになつて、これは当然心がけるべきである、こう思いますので、大臣にもう一回親切なる御答弁をお願いいたしたいと思います。
  25. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 その点につきましては、先ほどお答えした通りでありまして、御趣旨のような線で措置をして参るつもりであります。先ほども申しましたように、できるならば現在の開設基準でもつて地方の事情に合うようにしたいということで、今まで検討をして参つたのであります。しかしなかなかそのままではむずかしいというようなふうに今なつて参つておりますので、やむを得なければ規則改正を必要とするという考えに現在はなつております。それでその方向でこれからは検討をして進めて参りたいつもりでおります。
  26. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいまの大臣の言葉に非常に満足いたしまして、次に進みたいと思います。  その次の問題は、NHK予算を見ましても私はよくわかりませんから、あとで古垣さんからこまかく事業計画を聞いてみたいと思いますが、世間でよくいわれておることは、NHKが持つて来る報酬というものは、なるほど薄謝である。薄謝と書いてあるということでありますが、なるほど薄謝であつて、民間放送の料金に比べると非常にけちんぽな金しか出さぬ。そういうことがいわれており、新聞にも出ている。しかしこれは大きに考えなくてはならぬことだと思います。国会へ来ているリポーターからも聞いてみると、給与の点もほかの大新聞に比べてみてよくないらしい。それで有能な記者たちが相当大新聞に引き抜かれているということも聞いておる。これはやはり今のところは新聞と同等に影響力のあるものでありますから、正確な記事を、特にニュースを送つてもらうということは、国民にとつて非常に重要なことであります。どうしてもこの有能な人材を第一線の放送記者やその他に集めなくちやならぬ。あるいはまた民間放送に負けない程度の報酬くらいは出すのが、公社たるNHKの立場でなくちやならぬと思います。そういう点で、民間放送NHK予算を実はあとで調べてみたいと思いますが、現在の五十円という単価でこの予算が編成されておりますが、はたしてこれで今後激甚になつて行く放送戦に対処して行かれるかどうか。NHKが公正にして、しかも国民に愛されるような放送を実施して行かれるかどうか。私は非常に疑問な点があるのであります。こういう点は郵政大臣はいかにお考えになりましたでしようか、お尋ねいたしたいと思います。
  27. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 現在の程度の設備と放送内容、サービス等から申しますと、御承知のように五十円で収支はつぐなうということになつておるわけであります。しかし通信料金の値上りという問題もありますし、そのほかこれから設備の改善もしなければならないし、あるいは普及方法等につきましても、もつと積極的にやる必要もあるかもしれませんし、そういうような問題を考えますと、将来としては、この問題を検討しなければならないということが起きるかもしれないと考えておるわけであります。
  28. 中曽根康弘

    中曽根委員 郵政大臣にお尋ねいたしますが、この事業計画によりますと、たしかことしの予算は昨年に比べて給与は一〇%上げとかで、一万四千円でありましたか、その基準で組まれておるようでありますが、ラジオ東京やその他民間放送は、しからば給与の基準は大体どれくらいになつておるか、お尋ねいたしたいと思います。局長でもけつこうです。
  29. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 正確なことは資料がありませんでわかりませんが、伝えられているところによりますと、新聞関係がベース一万六千幾らか、二万円見当といわれており、民間放送もややそれと同じではないかということは推察されるわけでございますが、正確なことは資料を持つておりませんので、お答えができません。
  30. 中曽根康弘

    中曽根委員 今御即答は無理でありましようから、それでは郵政大臣に資料として次のものを御提出願いたいと思います。民間放送、特にラジオ東京の、このNHK事業計画に匹敵する本年度の事業計画、ベースとかあるいはその他事業費、収入支出等を明細に書いたものを、これと比較できるようにぜひお願いいたします。もう一つはテレビの問題で、この間予備免許をもらいました日本放送網会社でありましたか、東京でやるもの、あれのこのNHKテレビに対応するような財政計画、これも給与ベースその他を含めて、それを対比して私は調べてみたいので、その資料をぜひお願いいたしたいと思います。  私がなぜこういうことを申し上げるかというと、ここで言うのはどうかと思いますが、放送局の労働組合というものはなかなか殊勝な労働組合だと思います。殊勝なというと怒られるかもしれませんが、政治的ストライキということをやらない。政治的中立をあくまで守つておるし、しかも公社たる自分の奉職先の地位や立場というものを十分考えて、行動を慎重にしておるようです。現に先般来の総評の問題等につきましても、放送関係の労組は勇敢なる態度をとつて来た。ああいうふうに健全なる労働組合へ前進しようとする勢力に対しては、われわれ改進党は全幅の支持を惜まないつもりであります。そういう人たちに対して、一般の新聞やラジオ等の基準に比べて悪い基準を押しつけておくということは、国家としてとるべき態度ではない。それが料金の値上げによるか、その他の方法によるか、これは大いに研究を要すると思いますが、しかしそういう合理的な問題に対しては、国民といえども国会といえども、そうくだらぬ追究などはしないだろうと思います。少くともわれわれはいたしません。そういう観点からNHK放送内容の質的向上、あるいは民間放送に対応する独自の性格の発揮等のために、少くとも下らざる給与や待遇は与うべきである、あるいは謝礼は出すべきである。特にテレビの場合はそうであろうと用います。この点については郵政省といえども相当注意して、今後見ていただかなければならぬと思います。そこで補正予算という問題が出て来ると思いますが、今日大臣が補正予算を出さぬと言つてまた出したと言つて、私は怒るようなことはいたしません。大蔵大臣の立場と郵政大臣の立場は違いますから、そこを追究する意思はあませんから、その辺は虚心坦懐に、今後の業務運営の状況によつて、もし補正が併要なら補正もする。料金の問題が出て来れば考慮する、こういう弾力性ある態度をおとりになるべきだと思いますが、この予算の問題について郵政相けどういうお考えをお持ちでございましようか、お尋ねいたしたい。今の労働問題等は十分お考えを願いたいと思います。
  31. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまの資料の御要求でありますが、御承知のようにNHKと違いまして、民間放送の方は、事業内容収支等につきまして、こまかい監督権を郵政省は持つておりませんので、資料を特に郵政大臣の権限をもつて要求することも困難な事情にございます。ただ過去の業態につきましては、株式会社でありますから、株式会社の株主総会報告等によりまして知ることはできます。ですから御要求通りに十分資料が得られるかどうかわかりませんが、努力をいたしまして、できた範囲の資料を申し上げるということにいたしたいと思います。  それからただいまの使用人の給料あるいは放送者に対する報酬その他の点から見て、聴取料の引上げ等によるNHK予算の将来の問題につきましては、むろん今お話がありましたような点は、今後慎重に考えなければならぬ点であるということは、先ほど申し上げた通りでありますから、そういう問題につきまして必要が生じたという場合は考えなければならないと思つておりますが、現在のところ具体的にそれをすぐやるかどうかということについては考えておりません。
  32. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の点は監督官庁という直接的な関係もないことですから、大臣の御答弁はもつともな御答弁だと思います。ただわれわれはそれが出て来るか出て来ないかによつて、大臣の政治力の限界を知りたいと思います。  次にテレビの問題で伺いたいと思いますが、このテレビ計画が成功するかどうかということは、一つは受像機の値段が安く行くかどうかという問題、つまり国内生産の問題にからまつて来るのです。受像機の保守とか、修理とか、生産がうまく行かなければ、テレビ普及というものはこの計画通りを必ずしも行かぬと思います。この点について郵政省としてはどういう措置をおとりになつておるか、またNHKとしてはどういうような方策をとつておられるか、御答弁を願いたいと思います。
  33. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 確かにお話通り、受像機の国内製作を推進し、刺激して、安くていいものを早くつくるようにしなければならぬということは、むろん郵政省も考えておるところでありまして、その方面への刺激、奨励につきましては、通産省と連絡をいたしまして、十分とは申しませんが、通産省から製作者に対しまして研究費等も出して、極力推進をしておるという状態であります。
  34. 中曽根康弘

    中曽根委員 研究費は通産省からどこの会社に幾ら出しておりますか。
  35. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 今年度の予算はまだ実は決定しておりませんですけれども、昨年度と今年度の予定の状態につきまして、係官から御説明申し上げます。
  36. 荘宏

    ○荘説明員 通産省の話によりますと、二十七年度には設備資金といたしまして、開発銀行から一億九千万円の融資をしたという話でございます。二十八年度につきましてはまだ決定をいたしておりませんが、通産省の担当部局であります重工業局の局限りの意見といたしましては、同じく設備資金としまして九億九千万円ばかりのものを融資したいという希望を持つておると聞いております。
  37. 中曽根康弘

    中曽根委員 郵政省としては、その点は非常に無責任な態度だろうと私は思います。それは通産省の仕事ではない。むしろ郵政省の仕事である。文化向上であります。そこで今の御答弁によると、通産省の話ではこうこうであります。昭和二十八年度はまだどうかわかりませんが、九億九千万円融資したいという程度の御答弁では、郵政省としての責任は果しているとは思いません。むしろあなた方が実はこれこれのことをやりたい、これこれのことをやりたいと思つて、今通産省をひつぱたいている、にもかかわらず通産省はこれしか出さぬ、こういうのが郵政省の態度でなければならぬ。今のような態度では、テレビ計画も成功するかどうか、きわめて不安な気持を私はいたして来ました。今のような御態度を改めて、もつと積極的に受像機の問題を解決する措置をおとりになる用意があるかどうか、承りたいと思います。
  38. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 受像機製作の問題は、テレビジョン発達には非常に重大な問題でありますから、むろん郵政省としてその製作面に対しまして重大な関心を持つて、推進に努力しなければならぬという点は、まつたお話のような考えを持つているわけであります。そして通産省と連絡いたしまして、その製作面に対する推進を通産省を通じてやるということで、決して郵政省がそれに対して不熱心であるとか、十分の努力をしないというわけではございません。ただ財政状態から申しまして、予算が十分でないことははなはだ残念でありますけれども、今後は十分そういう方面にも努力をして参りたいつもりでございます。
  39. 中曽根康弘

    中曽根委員 今のようなおざなりの答弁では私は満足いたしません。きようは大臣は御用意がないと思いますから、これ以上追究いたしませんが、次の機会に、郵政省はこれくのことをしている、金額において何ぼ通産省に要求し、通産省は何ぼ大蔵省に要求し、ことしの予算でこういうふうになつている、これでは残念だから、これだけふやすことを国会側においてぜひ運動してもらいたいという底の御答弁を承りたいことを希望いたしまして、きようはこれでやめます。しかしこの点は次の機会にお尋ねいたしますから、十分御用意を願いたいと思います。  次に承りたいと思いますのは、本年度大阪、神戸でテレビNHK計画しております。これにはマイクロウエーブの中継回線を開設したいということで、現在十月に開設したいという計画になつておりますが、本放送に今やつているのが間に合うかどうか、郵政省にお尋ねいたしたいと思います。
  40. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 局長から御説明申し上げます。
  41. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。現在NHKは東京で木放送をいたしておりますと同時に、大阪名古屋におきまして実験的な設備によりまして、テレビジョンを限られた回数でございますが、定期的に放送をやつております。これは御案内かと存じますが、やはりNHKが実験的に設備をいたしました東京、名古屋大阪を結ぶマイクロウエーブ中継施設によりまして、東京からプログラムをそのうちのある時間送つております。これは実験の時代はこういう形で行つて、一方日本電信電話公社が東京、大阪間に多重電話と同様、同時にテレビジヨンも中継することのできるマイクロウエーブ施設で、本格的のものを建設中でございます。これは大体今年の秋、あるいは今年中を目途として、現在では建設を進めているようであります。従いまして、放送協会は、電電公社のマイクロウエーブ中継設備ができ上りましたならば、それをもちまして放送協会としてのテレビジョン放送を、名古屋大阪におきまして本放送業務を開始するという計画になつております。そこに多少の日にちのずれはございますけれども、大体そう大きなずれがなしに、その間の調節ができるのではないかと考えております。
  42. 中曽根康弘

    中曽根委員 十月までにその電電公社のものは聞に合いますか。間に合うか間に合わないかということをお尋ねしたい。
  43. 長谷慎一

    長谷政府委員 電電公社の分は、間に合わないのではないかと心配いたしております。
  44. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうすると間に合わない場合は、NHKが今試験的にやつているものでも転用して、代用するということになるのですか。
  45. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいまNHKが使つておりますマイクロウエーブ中継装置によりまして、料金をとつて放送を実施する、いわゆる本業務を実施するのに十分であるという場合には、場合によつてはそういうことも考えなくちやいかぬかと考えておりますが、現在使。ております中継設備はまだ実験装置でありまして、その安定性等につきましても、料金をとつて業務にそれを使用できるかどうかという点が、はたしてどうであるかわかりませんので、はつきりしたことは申し上げかねるわけであります。
  46. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうしますと、料金をとつて本式的にやるにはまだ不適だ、しかも電電公社のものはまだできない、こういうときには一体どうなさるおつもりですか。
  47. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいま御審議を願つております予算は、放送設備が大体十月にできますが、現在電電公社の方でやつておりますものが、多少でもそれからずれるようなことがあつて、電電公社のものは間に合わないならば、ただいまの見込みとしては、NHKがみずからの手でやつておりますマイクロウエーブ中継施設にできるだけの手を加えて、それによつて業務運営ができる見込みでおります。はたしてそうなるかという御質問でございますと、いろいろ技術上の問題もございますので、必ずそうなるということは断言できない点もございますが、予算としては大体そういう計画でただいま行つておるわけであります。
  48. 中曽根康弘

    中曽根委員 それが私が申し上げたようなぐあいでうまく行かなかつたときの責任は、どこに責任があるわけですか。
  49. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいまの御質問の点よく了解しないかも存じませんが、これは予算でございますので、御承認を得ましたならば、この予算従つて事業計画を進めて行くわけであります。従いましてもし不測のこと等がございまして、十月中に本業務を開始することが遅れましたならば、決算において多少予算が残つたり、あるいはその他の現象が起つて来るかと思いますが、大体今のところは電電公社のものによるか、あるいはNHKみずからのものによつて十月中にはできる見込みを立てまして、すべての準備を進めておる次第でございます。
  50. 中曽根康弘

    中曽根委員 関係官庁の責任については、私はこの際やぼなことは言いませんが、国民のためにぜひ間に合うように御尽力を願いたいと思います。それから電電公社にこれを行わしているということでありますが、このマイクロウエーブの中継回線の完成ぐあいは、NHKその他のテレビ計画と並行して進められることになると思います。全国放送等の場合には、マイクロウエーブ中継回線の完成ぐあいとNHK計画がほんとうにマッチして進まなければならないと思いますが、その辺は電電公社とうまく連絡がとれているのかどうか、その辺の調節は郵政省として責任を持つてつておるのか、この点をお伺いすると同時に、電電公社のマイクロウエーブ中継回線の年度別の建設計画を、あとで資料でもよろしいから御提出願いたい。
  51. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 第一の点の御質問でありますが、その点はむろん関係者連絡をとつて、できるだけマッチするように進めておるわけであります。  それから第二の電電公社のマイクロウエーブについての資料の問題でありますが、これは公社の方に要求いたしまして差上げることにいたします。
  52. 中曽根康弘

    中曽根委員 電電公社以外のテレビ事業者に、専用線の建設を認める用意はないかどうか、お尋ねいたします。
  53. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいま御質問のような申請はまだ何もございませんので、考えておりません。
  54. 中曽根康弘

    中曽根委員 申請があつた場合は考慮されるという意味でありますか。
  55. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 もし将来そういう申請があつたという場合には、各種の事情を十分考慮いたしまして、検討をするという考えであります。
  56. 中曽根康弘

    中曽根委員 時間がたちましたから、これで質問を一応留保してきようはやめますが、先ほどの開設基準の問題は非常に切迫した問題だろうと思います。周波数の切りかえは五月である、時期は切迫しておる、また改正する場合には公聴会にかけなければならぬ。そういういろいろな点から、郵政省においてはすみやかに先ほどの大臣の答弁の方向にその態度をきめて、国会に対して——多分国会は開会中であると思いますから、開会中に御報告願いたいと思います。このことを強く要望いたし、大臣の御答弁を期待いたしまして、私の質問を打切ります。
  57. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 認可期限もあることでありますから、できるだけ迅速に処置いたしまして、御希望に沿うようにいたしたいと思います。
  58. 松井政吉

    ○松井委員 きようは時間が大分過ぎておりますから、詳しい点は後日に譲りまして、一問一答の形できわめて簡単なものについてお伺いをいたしておきます。三、四点でありますから、御答弁をお願いします。  最初に放送協会の古垣さんにお伺いいたしますが、ただいまも同僚議員中曽根君の質問の中で大体明らかになつたのでありますけれども、今問題になつております大電力放送を開始されるというような問題とうわさが惹起いたしております。ただいま提出をされました予算の中には、この放送局関係予算が組まれて提出をされたのであるかどうか、これをお伺いいたします。
  59. 古垣鉄郎

    ○古垣参考人 お答え申し上げます。この予算の中には組まれております。
  60. 松井政吉

    ○松井委員 それでは大臣に御答弁を願いたいのでありますが、予算の中には組まれて出ているのでありますから、この予算承認するにあたりましては、当然組まれているものの施行の立場に立たなければなりません。先ほど中曽根さんの質問に対して、大臣は希望に沿うように努力したいという程度の答弁でありましたが、その程度の答弁と予算に組まれておるものとは重大な関係があります。従つて希望に沿う程度の答弁ではなくて、政府は開設基準等を改正する意思、ないしは予算に組まれておるものの実行に対して、即座に対処するものの考え方がおありであるかどうか。これを明らかにしていただきたいと思います。
  61. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 規則改正をいたしませんでも、現在あります関係ローカル局を動かしまして、やつて行く道もあつたわけであります。NHK考え方としては、そういう方針予算を組んでおるわけであります。しかし徹底的に関係地方希望を実現して行くというためには、規則改正が必要である、こういうわけで現在では、そういう希望をできるだけ実現したいという考えでおりますので、先ほどから申しますように、規則改正措置の方向に進んで行きたい、こういうつもりでおるわけであります。
  62. 松井政吉

    ○松井委員 念を押して聞くようでありまするが、すでに予算には組まれて提出をされておる。その提出をされた予算は、郵政大臣が責任を持つて妥当として承認を与えて、国会に提出をしておる、こういうことでありまするから、規則改正が必要ならば、改正をしなければならない責任が郵政相に存在をし、改正をしなくてもやつて行けるとするならば、承認を与えた予算でありまするから、国会承認をすれば、その予算通り施行しなければならぬことに相なりまするが、その辺の点について、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  63. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 先ほども申しましたように、規則改正をいたしませんでも、地方局をそのままの形で動かす方法もあるという解釈を持つておるわけであります。そういうつもりで予算はつくりました。しかし地方希望されるように、十分に地方的事情を入れた局として存置して行くということにつきましては、規則改正を要するだろうという見解になつて参りましたので、その方向に進もうというつもりでありますから、予算編成の時分から、地方局を存置して何とかやろうという考えで組んであるわけでありますから、その方針で行くつもりであります。
  64. 松井政吉

    ○松井委員 それではこの問題に対する詳しいことは、次の機会に譲りまして、提案理由の説明にございますように、これは政府から先に御答弁願いたいのでありまするが、標準放送関係については七十六億四千七百万円、それからテレビジョン放送関係については六億三千四百万円と説明されているのでありまするが、これは当然のことだと思いまするが、テレビジョン関係予算と標準放送予算の区別は、こまかい款項目にわたつてまで明確に、画然としている予算であるかどうか、これの御答弁を願います。
  65. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 御質問予算の編成につきましては、両者画然とわけてあるわけであります。
  66. 松井政吉

    ○松井委員 画然とわけてあることは当然であり、その形でやることが一番正しいと思いまするが、内容についての数字等の問題は次の機会に譲りまして、もう一点、今度提出されました予算の中における従業員のベース・アップ、その内容と、それからわれわれははつきりと区別して、どの産業に所属するかということは、前回の委員会でも私質問をいたしたのでありますが、大体報道関係産業とでもいいましようか、報道関係企業とでもいいましようか、それに類する企業と解釈をしてお尋ねいたすのでありまするが、一般報道関係企業のベースと、NHKのベースとは、どの程度の開きがあるのか。それからそれに対する考え方から、現在予算に組まれておるベース・アップの平均は、どこに基準を置いて組まれたか。第三点は、その予算に基いて、年間予算でありますから、本年やるわけでありますが、経済情勢等の変動があつた場合、ベース・アップをどのような形にお考えになつて行く方針であるか、この三点について明らかにしていただきたいと思います。
  67. 岡部重信

    岡部参考人 ただいまお話の、放送事業がどういう企業体に属するかということについて、前回の委員会でもお話がございましたが、一応新聞社というものを基準として考えますと、その新聞社がどういう給与かということの資料も、実は私どもの方でできるだけのことは調べますが、正確を期して行くということになりますと、いささか問題はあるかもしれませんが、今回の予算におきましては、一〇%の給与改善をするということにいたしまして現在の一万四千四百六円のベースを一万五千八百四十七円と、議案にあります通り改訂いたしたのでありますが、代表的な新聞社に比べますと、なおそれに及ばない実情でございます。それならば、どうしてこういう一〇%の給与のベース・アップを考えたかと申しますと、御承知通り消費物価の水準の向上という点、あるいは協会の財政、それから他の企業というものを参酌いたしたわけでありますが、一応消費物価の水準から考えますと、CPIというものの方から見ますと、二三・一%アツプするという一つの見方ができるわけでございます。それから有力な産業と申しますか、全産業の定額給の毎月の勤労統計があります。それから世帯主の定期収入、これは統計局でございます、それから家計支出、それらを見ますと、物価の値上りに伴いまして、漸次給与が改善されまして、これらの平均が朝鮮動乱以後に比べますと、四五・三%ばかり上つておるわけでございます。これらを参考にいたして、協会といたしまして、なお現在の五十円の受信料をもつて、さらに昨年から通信料金その他の値上りというものを、どういうように織り込んで予算の均衡を保つかということを苦慮いたしまして、やむを得ずこれを一〇%にとどめて、議案にございますような、先ほど申し上げた一万五千八百四十七円ということにいたしました次第でございますが、他の産業に比べてまだ及ばない点がございますことは、先ほど申し上げた通りでございます。  経済情勢の変化があつたならばどうするかという問題でございますが、これは先ほどもちよつと御質問がどなたかからございましたが、給与だけの問題でもなく、一般の問題としまして、そういう必要が起りました場合には、追加予算と申しますか、補正予算と申しますか、それらを研究いたしまして十分御審議をお願いしたい、かように考えている次第であります。
  68. 松井政吉

    ○松井委員 今の問題に関連して大臣にお伺いいたしますが、大体NHK当局考え方は、経済情勢の変動によつては、あるいは補正予算をお願いするというのでありますが、やはり予算等も当然承認を与えなければならない監督官庁としての大臣も、同一の考え方でおられるかどうか、これをひとつお伺いしておきたいと思います。
  69. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいま協会の方から御答弁申し上げましたように、現在の受信料のもとにおいて財政を考えますと、これ以上のことはむずかしいという事情にあるようであります。従いまして、もし給与ベース等を相当引上げるということになれば、受信料の問題と当然関連を持つて参ります。それでは受信料引上げを認めるかどうかという問題になると思いますが、これはやはり非常に大多数の受信者影響をする問題でありまして、相当慎重に考えなければならない問題であると思つておりまするので、将来経済上の事情等からベース・アップ等もどうしてもやむを得ないという場合に、では受信料をどうするかという問題も起るかと思いますが、そのときは十分に検討しなければならぬと思つております。
  70. 松井政吉

    ○松井委員 この問題に対するこまかい質問は後日に譲りまして、第一点として、今提出をされました予算案の中には、たとえば国際放送並びに国家的目的をもつて放送をされるという場合における国家的目的ないしは準国家的目的等の放送について、国が負担をしなければならないと思われる料金の取扱いはどのような割合になつておるか。第二点は、その割合を御説明くださいまして、割合を決定した場合における基本的な考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
  71. 長谷慎一

    長谷政府委員 私からお答え申し上げます。ただいまの御質問の点について、私十分把握いたさない点がもしもございましたならば、御注意願いたいと思います。  国際放送につきましては、政府の命令によりまして日本放送協会が行つておるわけでございますが、来年度におきましては、従来一日五方面に向つて五時間の放送をやつておりましたのを、十方面、一日十時間に拡充をすることになりまして、政府といたしましては、従来三千万円の交付金を交付しておりましたのを、別途政府予算として四千八百万円の増額を要求いたしまして、国会の御審議を経ることになつておるのでございますが、本日本放送協会の二十八年度の収支予算といたしましても、ただいま申し上げました四千八百万円の政府の交付金によりまして、国際放送を実施したいということに計画を立てております。しかしながら実際に国際放送に所要とされます経費は、実は総額七千八百八十余万円になるのでございますが、政府の国際放送の交付金の算定の根拠となつておりますのは、ただいま申し上げました十方面に向つて一日十時間でございますが、大体ニュース及びニュース解説というようなものについては、政府の交付金の算定根拠にいたしております。またそれに使います機械設備の維持運用に必要なる経費、そういうものは一切含めてでございますが、いかにいたしましても国際放送を外国の、あるいは在外邦人とか、それぞれの国々の人たちに十分聞いてもらうためには、相当娯楽的な興味ある番組を組まなければならない。この算定は非常にむずかしいので、一応政府の交付金の算定根拠から除かれておるような関係上、放送協会がその番組内容をより充実するため加えられたり、あるいは番組の中に織り込まれますいわゆるニュース解説以外の番組費が相当かさむために、政府の交付金より上まわつた支出が必要になつて来る。こういうような状態であります。
  72. 松井政吉

    ○松井委員 そういたしますると、ただいまの説明で両者が負担をするという形が出て来ようと思うのであります。そうすると政府が四千八百万円負担するということで、番組等の問題についてはどの程度の協議が行われてなされるものであるか。この点を明らかにしていただきたい。
  73. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。御案内のように国際放送は外国に向つて放送でありますが、きわめて国際的に微妙な関係がございます。外国では国みずからが国際放送を実施しておるところもございますし、あるいはちようど日本放送協会のような公共企業体にこれを実施させておるところもございます。いやしくも国の御用放送であるというような印象を外国が受ける場合には、せつかくの放送も十分活用されないという点もございます。そういう等もございますし、放送法等の根本精神から考えまして、番組そのものに政府があまり関与しない方がよろしい、こういう考え方から国際放送についても、その国際放送を実施するために最低限必要な機械の維持運営費、そういう点は政府が交付金の最小限度としてカバーしておりますけれども番組一切につきましては協会自供におまかせいたしまして、政府は不必要な容像はしない、こういう形になつております。
  74. 松井政吉

    ○松井委員 本日はもう一点で質問をやめて、後日に譲りたいと思いますが、先ほど中曽根君からの質問がありましたが、受像機が高いという問題は、今いろいろ議論になつおるところであります。そこでこの前の委員会にも希望を申し上げ、さらに質問をいたしておつたのでありますが、技術的な面における受像機の規格の統一が行われれば、かなり低廉になるようにわれわれは考えるが、先ほど通産省が開発銀行を通じ一億円ないしはいろいろな金を出すということについては、明らかになつたのでありますが、技術的な面における規格統一の進捗状況はどの程度運びつつあるか、しかもどのような機関において、どのような形において研究が進められつつあるか、この点を明らかにしていただきたい。
  75. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。テレビジョンの受像機の規格統一の問題は、御指摘のように廉価で、しかも優秀な設備の大量生産を期する上には不可欠な要件でございますので、前々からこの点につきましては留意いたしておつたのでありますが、実を申し上げますと、テレビジョンの受像機の生産をやりますのには、特許問題等もございますし、また日本の大衆の要望に応じた受像機の規格をどうするかということにつきましては、ある期間の日本における実績を確かめないと、見当がつかない点等もございますので、まだはつきりした結論は出ておりませんが、部品につきましては少くも一日も早く規格の制定を必要とするので、こういうことから通産省、無線通信機械工業会、それから日本放送協会、その他テレビジョン並びにラジオ関係のある向きと郵政省等が相寄りまして、しばしば協議も進め、調査も進めております。なおこの具体的な点につきましては、御案内の工業技術院が主管庁でありますので、工業技術院を中心としていろいろ調査準備を進めておる状態でございます。
  76. 松井政吉

    ○松井委員 ただいま通商当局関係者並びに郵政当局まで入つて研究をしておるというのでありますが、この研究している集まりは、名目をはつきりとした常置的な機関であるのか、それとも寄り寄り集まつて相談をする程度の段階のものであるのか、この点をひとつお聞かせを願いたい。
  77. 長谷慎一

    長谷政府委員 常置機関でございます。
  78. 松井政吉

    ○松井委員 この常置機関が研究を進め、技術を振興させるための予算措置、並びに必要なる経費、並びに研究所等の関係について御答弁をお願いします。
  79. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいま御質問の点は、先ほど申し上げましたように通産省の工業技術院が主管庁でございますので、私ども的確にお答え申し上げるような資料がございません。もしも御必要でございますならば、関係省庁と連絡の上で、お答え申し上げます。
  80. 松井政吉

    ○松井委員 それでは技術研究及び規格統一に関する資料はできる範囲でけつこうでございますから、後日いただきたいと思います。本日の私の質問は以上で終りまして、後日また質問をいたします。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 時間が遅くなりましたし、ことに前質問者と大体同じような関連質問が多いものですから、詳細は後日の委員会に譲りたいと思いますが、ただ二点だけ簡単にお答えを願いたいと思います。  第一点はNHKの従業員でございますが、これの平均年齢、それから平均扶養家族数、勤続年限、それと平均の学歴を、できれば詳細に員数別に、この四つを本日資料がありましたならばお聞かせ願いたい。  第二点は国際放送の問題ですが、現在使われております言葉、それと今後自由放送になりました場合の使用語、どんなものがどのくらいの数になるかという二点だけを、本日伺つておきたいと思います。
  82. 岡部重信

    岡部参考人 第一点の職員構成のお尋ねでございますが、平均年齢は三十三・六箇月でございます。それから扶養家族数は二人、勤続年数は八年四箇月でございます。それから学歴構成は大学、専門が三〇%、中学校程度が四五%、高等小学校程度が二五%でございます。
  83. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいま御質問国際放送の主要国語についてお答え申し上げます。現在は日本語及び英語の二箇国だけ使われておりますが、来年度におきましては、できるだけ原地語を使うようにして行きたい、こういうことでその方面予算も見込んでございます。
  84. 原茂

    ○原(茂)委員 放送法関係がございませんのではなはだ恐縮ですが、少し緊急を要する問題かと存じますので、郵政大臣に明日あるいは次回の委員会にぜひ御答弁の御用意をお願いしたいと思いまして、質問だけ申し上げておきたいと思います。御承知かと存じますが、長崎と釜山の間に海底電信線が敷設されておりますが、去る二十一日前後にこれが損傷を来したらしいのであります。そして二十三日に電電公社に対しまして、駐留軍あるいはその他の関係から、急速に復旧するようにという要求が出たのであります。電電公社におきましては、公社所有の工事船の千代田丸をただちにここに派遣することを決定したようであります。これに対して千代田丸従業員は百三十名おるのですが、軍の命令だからできるならば二十八日までに長崎へ回航しろ、こういう強い要請があつたのですけれども、千代田丸の乗組員その他はこれを拒否したわけであります。御承知通り二月四日第一、第二大邦丸のあの事件が起き、瀬戸氏が射殺されましたあと、いまだに外交的にもこれが解決を見ていないのですが、損傷箇所は、この最も危険な水域である李承晩ラインの向う側、朝鮮の海岸から申しまして約二十五海里のところにあるようであります。従つて千代田丸の乗組員としては命がけの仕事でありまして、韓国との間にがつちりとした外交交渉の道が講ぜられ、なおわが国に駐留する駐留軍なり国連軍の保証がない限りは行けないという要求は、これは当然であると思います。しかし片方では、全日本海員組合のこれに対する強硬な声明が出ておりますが、海員組合の従業員にしますと生活権の問題になりますので、やはり出て行けと言われれば出て行かざるを得ないような状態に置かれております。従つてわが国といたしましては、電電公社だけにこれをまかせるのではなくて、郵政大臣におかれても早期にこの問題解決のために、気持ちよく、しかも安全にこの作業ができるよう、外交的ながつちりした一つの措置が講ぜられるまでは、千代田丸々出航せしめないという緊急措置と決意をしてもらいたいということを要請するわけであります。もとよりこのことはいろいろなところと関連があると思いますから、次の委員会におきまして、郵政大臣におかれましては電電公社とも御相談の上、ぜひこれに対する十分の御回答の用意と、なお実施上の措置をできるだけ急速に講じていただきまして、こういう措置を講じたという御報告もでぎましたらあわせてお願いしたい。このことを最後にお願いしておきたいと思います。
  85. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまのお話は、私は初めて伺いまして事実をよく承知しておりません。ですからこれを十分調査いたしまして、御質問のような点について御報告申し上げるということにいたします。
  86. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ただいまの原茂委員質問は、重要なる案件と考えますので、郵政大臣は国務大臣でもありますから、十分に御調査の上、次回の会議の劈頭において御回答をいただきたい。  本日の質疑はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時より、日本放送協会の二十八年度収支予算並びに公衆電気通信法外二法案について審議を進めます。  なお参考人に申し添えますが、連日御苦労さまでありまするが、明日午後は参議院の方において参考人の招致があるようでありまするから、明午前十時より午前中御出席願いたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時五十二分散会