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1953-02-19 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十九日(木曜日)     午後二時二十分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 久野 忠治君 理事 中村 梅吉君    理事 有田 喜一君 理事 松前 重義君    理事 原   茂君       岩川 與助君    貫井 清憲君       羽田武嗣郎君    松村 光三君       中曽根康弘君    中山 榮一君       三輪 壽壯君    山田 長司君  委員外出席者         参  考  人         (日本新聞協会         編集部長)   江尻  進君         参  考  人         (東京私設電話         連合会会長読         売新聞社総務部         次長)     太田 秀雄君         参  考  人         (全国電気通信         労働組合中央執         行委員長)   久保  等君         参  考  人 河野美保子君         参  考  人         (東京商工会議         所副会頭丸善株         式会社取締役社         長)      司   忠君         参  考  人         (電気工事協会         会長徳田電気工         務所社長)   徳田榮太郎君         参  考  人         (電気通信協会         会長逓信省電         務局長)    中山 次郎君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 二月十七日  放送法第三十七條第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第二号) 同月十八日  浦和市内電話施設拡充に関する請願福永健司  君紹介)(第二二一一号)  御坊電報電話局局舎新築等に関する請願(田中  織之進君紹介)(第二二一二号)  三島村に無線電話連絡所設置に関する請願(迫  水久常紹介)(第二二一三号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  京都放送局の再免許に関する陳情書  (第一三七七号)  同(第一  三七八号)  同(第一  三七九号)  同(第一三八  〇号)  同  (第一三八一号)  同(第一三八  二号)  同(第一三  八三号)  同  (第一三八四号)  同  (第一三八五号)  徳島、高松両放送局存置に関する陳情書  (  第一三八六号)  徳島放送局存続に関する陳情書  (第一三八七号)  佐賀放送局存置に関する陳情書  (第一三八八号)  同  (第一三八九号)  同  (第一三九〇号)  同(第一三  九一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  有線電気通信法案内閣提出第四九号)  公衆電気通信法案内閣提出第五〇号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第五一号)     ―――――――――――――
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより開会いたします。  本日は有線電気通信法案公衆電気通信法案有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の三法案について、参考人の方より御意見を伺います。  参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず御出席くださいましたことを厚く御礼申し上げます。申すまでもなく、本日御意見を伺うことになつております各法案は、わが国有線電気通信設備設置に対する監督規定であり、電気通信サービスに関する基本的事項規定する法規であり、一般的関心を有する重要法案であります。本委員会は各法案重要性にかんがみ、慎重に審査いたしておりますが、この際広く国民の輿論を反映せしめるため、皆様方の御出席をお願いいたしたわけであります。参考人各位におかれましては、あらゆる角度から忌憚のない御意見を御発表くださるようお願い申し上げます。御発言は自席からお願いいたし、その時間は御一八十五分以内といたし、御発言の順序はかつてながら委員長におまかせ願いたいと存じます。なお御意見の発表の後、委員から質疑があると存じますから、お答え願いたいと存じます。  それでは東京商工会議所会頭司忠君にお願いいたします。
  3. 司忠

    司参考人 本案については全面的に賛成であります。ことにPBX開放して、従来は公社のみが工事に当ることができたのを、民間においても一定の技術さえあれば自由に工事が行えるようになつたことは、従来のわれわれの主張が認められたものであります。また損害賠償や譲渡の自由が認められたことも妥当であると思います。しかし本案施行にあたつては、次の事項十分留意をされたいと考えます。  PBX開放に並行して、公社建設資金を十分確保することであります。大都市におけるPBX潜在需要はきわめて大きいから、一たび開放により自由にとりつけられるようになれば、相当利用がふえます。しかし現状では局舎路線等設備の不足により、その増設にはおのずから限度があるように思います。従つて今後PBXの増加をはかられない限り、本法の目的を達成することができないと思います。  二に、PBXは今後公社及び民間の二本建となるのであります。局線に接続する最終の権限は公社にあるのでありますから、取扱いにおいては不当な差別扱いをしないよう、公正妥当なとりはからいを希望いたします。  三に、公衆電気通信法第百五條第四項によれば「加入者又は専用者は、第一項の規定により公衆電気通信設備設置したときは、公社検査を受け、その設置が前項の技術基準に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。これを変更したときも、同様とする。」とあるが、PBXの機械を一回の工事検査によつて、不良品の混入を防止するということは困難であり、一工事検査の場合、利用者の受ける損害はきわめて大であるし、また不良であることが発見されずに、設置されてから故障が起つた場合、他人に迷惑を及ぼす結果となるのでありますから、かかる事態の起きないように、十分の予防措置を講ずる必要がありましよう。かかる見地より事業検査制度実施を要望いたします。  四に、今般の改正に伴い料金の引上げが行われますが、公社独立採算基礎に立つ以上、企業経営合理化し、ことに人件費その他の負担関係適正化をはかり、経営を安定することが必要であります。現在輸出の全面的不況により、今日企業合理化を促進して、原価の引下げに努めつつあるわれわれ業界においては、漫然たる経営をして赤字が出るたびに料金改訂では、国民が納得しませんでしよう。従つて経営の根本方針なり、料金政策を確立して、これを国民に周知徹底せしむごとが必要でありましよう。  五に、自動設備改善、補修、新規工事等、今後相当資金を要することが想像されます。この資金源として、外資の導入計画を実現するごとに努力していただきたいと思います。  以上をもちまして私の意見を終ります。
  4. 橋本登美三郎

    橋本委員長 司参考人に対し質疑を許します。——特に質疑がなければ次の参考人に移りますが、質疑はございませんか。松前君。
  5. 松前重義

    松前委員 ただいまのお話に対しまして、ちよつと不審の点をお尋ねしたいと思います。公社以外のいわゆる何と申しますか、私設PBX業者工事その他をやりますときには、非常にこれが発展をするだろう。ということは、その裏の考えを申しますれば、公社にそのままやらせておくならば、発展しないというような結論のように伺うのでありますが、そのような御意見でございますか。
  6. 司忠

    司参考人 さようでございます。
  7. 松前重義

    松前委員 それはどういうような基礎の上にお立ちでございますか。
  8. 司忠

    司参考人 いわゆる独占的なことがあつた、露骨に申し上げれば、独善的なことがあつたというふうに考えます。
  9. 松前重義

    松前委員 しからば電気事業その他におきましても、独占事業はいけないとおつしやるのですか。
  10. 司忠

    司参考人 そういう意味ではありませんが、工事においては少くとも大いに競争者があつて、いいものをますます広くすることが必要だと思います。
  11. 橋本登美三郎

    橋本委員長 参考人の方にお願いを申し上げます。発言する場合は御起立を願います。
  12. 松前重義

    松前委員 ただいまの公社独占事業であるがゆえに、サービスが悪いという理論的根拠に基いて、その原則の上に立つて一般民営業者に渡さなければならないという御議論のように拝承するのでありますが、それならばガス事業にしても、電気事業にしても、すべてが独占事業であるがために、すべてサービスが悪い、こういうふうにお考えであり、これをしかるべく分断をいたしまして、ガスガス事業電気においては電気事業に、それぞれゆだねるような競争状態をつくることがいいという結論のもとに御発言なつたのでございましようか。
  13. 司忠

    司参考人 これまで独占事業というものが往々にして非難の的になつていたのですが、ことに今日のこういう公社のあり方を考えますと、現在のようならば、おそらく資金的にも大きな悩みがあるのではないか、それがために工事が遅々として進まない面が多々あるように思いますので、この際はこういうことについては、広く民間の力を借りるということも、一つの非常にいい方法ではないかというふうに私は考えます。
  14. 松前重義

    松前委員 私のお尋ねしておりますのは、ガス電気あるいは水道等独占企業になつておるものに対しても、同じような形態を将来とるべきであるという御意見であるかどうかということです。
  15. 司忠

    司参考人 われわれの考えから申しますと、できるだけ広くそういう方法をとつた方がいいように思います。
  16. 松前重義

    松前委員 私どもは一元化された組織のもとでなければ、通信とかガスとか電気というようなものの円滑なる運営ができないために、一元的な経営が行われておると考えておる。技術的の立場からも、あるいはまたその他の立場から見ましても、当然そうなければ、運営の円滑を期することができない。この電気通信事業等は、ガス電気以上になおさらそうであると考えておるわけであります。これに対しましてただいまの御発言は、独占と申しまするか、事業の性質上、技術的な面で、あるいは公共性を維持して行く上に、総合的な円滑な運営をすることが必要なものに対しても、これを分断して競争形態に持つて行かなければならないというような御主張であると承つてよろしいのでございます。
  17. 橋本登美三郎

    橋本委員長 特に意見はないそうです。  他に御質疑はありませんか。——なければ次の参考人に移ります。全国電気通信労働組合中央執行委員長久保等君にお願いいたします。
  18. 久保等

    久保参考人 私は全国電気通信労働組合中央執行委員長をやつております久保等でございます。本日この三法案に対します御注意をこれから申し上げたいと存じます。有線電気通信法案並びに公衆電気通信法案が、去る十三通常国会におきまして上程せられました際、私も両法案に対する旦解を申し上げて御参考に供したわけですが、本日は時間の関係で要点をかいつまんで申し上げます。  特に問題があります点は、ただいまの参考人も申されました増接続電話、すなわちいわゆるPBXの問題でございまするが、PBX自営の問題については、私ども特に通信事業を直接預かる者の立場から、全面的に反対でございます。反対の趣旨は、ただ単になわ張り争いであるとか、自分の事業部門事業を他に移すごとについて反対だとかということではなくて、むしろ電気通信事業というものの本質的な問題から、さらにまた電気通信事業公共性という大局的な立場から、案は反対をいたすわけであります。その理由は、実はこのPBXも、昭和十八年の十二月から日本電話設備会社という民間経営の形で、戦時中経営せられたことがあるのでありますが、終戦後昭和二十二年の三月、例のGHQの覚書に端を発しまして、遂に昭和二十五年五月一日からPBX電通省直営という形になつたわけであります。その間いろいろ事情がありましたが、とにかく昭和二十五年の五月一日から実施をせられまして、今日までわずかに二年有半を経過したにすぎないわけでありますが、その後の経過を十分調べて参りますると、特に電気通信事業というものの使命は、やはり通信の円滑、敏速ということになつて参りまするし、電気通信事業有機的関連性技術的な有機性、あるいはまた統一性というような問題は、他の一般の物の生産をやる場合におけるように、競争にゆだねることによつて向上発展を期待することはで露ないわけであります。電気通信事業は、かりにPBX自営になり、あるいはまた直営になりましても、これは切つても切れない関連性を持つておるわけでありまして、技術的にも統一性を保持しなければ、十分なる機能を発揮することはできないわけでありますから、一つ回線が、一部が民間で、一部は公社経営いたしておるという場合における競争状態に置いて、一本の通信回線が良好なる状態をかもし出すということは不可能であります。従つて電気通信回線本質的な性格から申し上げましても、なるほど設備をするにあたりましては、あるいは若干資材の入手その他の関係から工事が早いということが考えられますけれども、つくり上げられた回線運用の面においてはたして十分にこれがその本質を発揮して需要にごたえられるかどうか、非常に疑問があるわけでありますし、特に昭和二十六年四月現在における通信回線保守状況を、具体的な資料に基いて比較いたしたものがあるわけでありますが、関東管内について調べたものでございまするが、百回線当りの障害率を申し上げますと、自営でやりました場合においては三四・四回の障害がございまするが、直営の場合におきましては一二回というような形、すなわち直営自営とを比較いたしまして約三倍の開きがあるわけであります。この数字によつても日常における通信回線運用に、いかに優劣があるかを明確にお示しできると存じます。このようなことから考えましても、昭和二十五年以降PBX直営せられたことによつて、非常に状況がよくなつておるこいうことがはつきりわかるわけであります。従いましてこうした通信実情から申しましても、これが自営化されるということによつて、この保安状況のようやく向上して参りましたPBXが、こうした面からまたぞろ再び通信回線疏通状況が非常に悪くなることは忍びがたいものを感ずるのであります。さらにまた、PBX日本電話設備会社から電通省に統合されました当時の従業員は約二千数百名に上り、いろいろ問題はございましたが、このうち大半従業員がとにかく電通省に引取られたわけであります。私ども労働組合といたしましては、これらの諸君と相ともに一体となつて電気通信事業従つておりまして、いわば融和がようやく成り立つたという現在の状況であります。ところがこれが再び自営化されるという結果になりますならば、こうした従業員の引き抜きという問題も当然起つて来るのでありましようし、また昭和二十五年接収せられました当時において、ほとんど大半従業員電気通信省に引取られてしまつて民間に残られた諸君は、電気通信省等でこのPBX関係に専門に従事されることをむしろ好まなかつたという実情であります。従つて、そういう観点からいたしましても、PBXをただ自営という形に持つて行くことによつて、十分に需要に応じられる能力と申しては問題があるかもしまませんが、力を実際兼ね備えておるかどうか。これはりくつでもないし、また観念的な問題でもなくて、現実的な問題として十分にお考えを願いたい。すなわち当時の大半従業員が、現在電通公社従業員として働いておるというこの事実も、十分にお考えを願いたいと考えるわけであります。そういつたような点から考えまして、少くともPBX自営化するということによつてもたらされる利益については、これはただ単なる希望的観測にすぎないというように考えておるわけでありますし、この法案自体政府においてつくられる過程におきましても、当初第四次案あたりまでは、実は自営という問題は法文の上には現われて蹄らなかつたのでありますが、第五次案あたりからPBX自営もなし得るというような形に、法文が変更せられて参つたわけであります。その問いかなるいきさつがあつたかは十分に存じませんけれども、少くともこの問題について業者の熾烈なる動きのあることは私ども存じております。しかしながら電気通信事業公共性という問題を考えて参りまする場合には、あくまでも冷静なる、しかも具体的な事実と資料に基いて判断することが最も重大であろうかと考えるわけでありますし、去る昨年の国会におきまして、実は電気通信事業の一部でありまする国際部門民営という形に切りかえられまして、本年の四月一日から国際電信電話株式会社として発足いたすことになつておりますが、この日本電気通信事業が、すでに国際部門についてはこれを株式会社形態経営をするという決定がなされ、さらにまた再びPBXの問題におきまして、これがまた民営形態がとられて参るというようなことを考えました場合に、国内といわず国際的な通信といわず、すべてに切つても切れない関連性のある電気通信事業でありまするだけに、はたしてそういう個々まちくな経営形態が、電気通信事業本質を十分に発揮できるかどうか、私どもきわめて憂慮いたしておるわけであります。しかもPBXは、現在年間におきまして——昭和二十六年の場合を例にとつて申し上げますると、年間約十五億の収入がございまするが、これに対する支出は約八億程度、すなわち七億程度の黒字でございます。もちろんこれが昭和二十七年度にどういう結果になりまするか、明確に申しかねまするけれども昭和二十六年度の収支状況は以上の通りであります。さらに国際の問題におきましても、ただいまちよつと申し上げましたが、これまた年間約二十億に上るところの収益を上げております。こういつた部門一つ一つ切り落されて行くという形における電気通信事業の結果が、どういう形になつて行くかということは、私がいまさら申し上げるまでもないことでありますが、このように一つ切つても切れない一貫したところの電気通信事業一つ一つ民営に持つて行かれるという形は、一体そごに何を考えておるのであろかう、私どもきわめて疑問に存ずるわけでありまして、少くとも電気通信事業公共性という問題を十分に考えて参りまするならば、非常に寒心にたえない問題でございます。従いまし、て私どもは、このPBXの問題を大きな立場から考えまして、また現在の実際の実情考え合せまして、以上の点からPBX自営の問題につきましては反対せざるを得ないのであります。以上が特にPBX自営問題に対する反対の概要でございます。  次に公衆電気通信法案の最後のところにございます料金改訂の問題に、一言簡単に触れておきたいと存じまするが、料金改訂の問題について特に私ども重要視いたしまするのは、昭和二十八年度の国家予算の組み方でございまするが、昭和二十八年度の予算の中には、実はこの料金改訂に基く増収によつて二十二億四千二百万円という数字が、実は建設資金の中に繰入れられることになつております。ところが料金改訂による本来の使途は、少くとも通信サービス改善という方向に向けられなければなら、わけでありますが、しかしながら現在の電気通信事業に対する政府理解がないといいますか、電気通信事業に対するところの一貫した政策持づておらない。すなわち先ほども申し上げましたように、きわめて重大なる公共性を持つところの電気通信事業に対して、政府が一貫した何らの対策を持つておらないということを、結論的には言わざるを得ないわけであります。それはなぜかと申しますと、かねぐ電気通信事業に対しまして、非常に多くの電話増設をしてもらいたいという需要がございまするが、これに対しては、はとんど焼石に水程度増設計画しか今日までなされておりません。現在百四十万程度に上る電話機に対しまして、おそらくは二百万程度需要があるのではないかというように考えるわけでありますが、こういつた中にありまして、政府はこれに対する増設計画をほとんど持つておりません。まつたくその年、その年の場当り的な増設計画に終始いたしておるわけでありまして、現在公社当局においては電話増設の五箇年計画というようなものを考えておるようでありますが、これが早くも本年の昭和二十八年度予算において画餅に帰しつつあるようであります。と申しますのは、五箇年計画によりまして現在の需要を一応解消しようといたしますならば、年額約七、八百億程度増設資金を必要とするわけでありますが、一応政府に提出いたしました予算はたしか七百億以上のものであつたようでありますが、結果的にはわずか四百六十億程度予算に削減されております。さらにまたその四百六十億程度の中で、政府融資にかかるものはわずかに四十億にすぎない。残るほとんどすべてが——実は特に問題がありますのは、電信電話債券に基くところの資金確保あるいは設備負担に基くところの加入者設備負担でありますが、この負担金に基く原資によりまして、その建設計画の中に震は入れておるというような問題があるわけでありまして、このように特に独立採算制を強要せられております。この電気通信事業といたしましては、やむを得ない措置であるかはしれませんが、やはりもう少しこの電気通信施設増設という問題については、少くともただ単に需要者負担にすべてを帰するという考え方ではなくて、公共性を持つ電気通信事業でありますならば、当然にこれを国家的な見地から考えて行く、増設資金については考えて行くという方途がとられなければならないというふうに考えるわけでありますが、あげて需要者にすべてを帰しておる。しかも将来における増設計画に基くところの費用までも、実は一般加入者一般利用者負担をさせておるという考え方は、私どもはまつたく公共性を持つ電気通信事業に対する政府態度としては、正しくないというふうに考えておるわけであります。従いましてまず少くともごの料金値上げの問題にいたしましても、政府は根本的に建設資金の面については大幅にこれに対する協力をなすべきであると、融資をなすべきであるというふうに考えるわけでありまして、昨年におきましても百三十五億これも現在の必要量から申し上げますとまつたく問題にならない金額でございますが、本年は昨年の百三十五億をはるかに下まわるところのわずかに四十億ということで、実はお茶を濁しておるというのが、昭和二十八年度の建設予算における内容でございます。かかる政府のきわめてまずいと申しますか、電気通信事業に対する理解のない態度につきましては、私どもといたしましても非常に遺憾に存ずるわけでありまして、そういう形で参りますと、一体いつが来たならば完全に現在の需要者に対する供給を満たし得るかということを考えますと、寒心にたえないわけであります。そういう観点から、少くとも料金値上げによつて出される一応年額八十億と見込まれておるところの増収分のうち、その一部が少くとも建設資金にまわされるという形では、私ども本来の料金値上げそのもの性格自体が、きわめて怪しくなつておるといわざるを得ないわけであります。しかしいずれにいたしましても、昨年成立いたしましたところの現在の公社法の建前から、いかなる事情があるにいたしましても、完全なる独立採算制というものが強要せられておる現状におきましては、若干の料金値上げはやむを得ないというふうに私ども考えますが、しかしながら少くともその独立採算制そのものについて、根本的に検討をする必要がある。すなわち公共性を持つ電気通信事業については、相当大幅の融資その他による資金確保について、政府自体が考慮しなければならない問題があるのではないかというように考えておるわけであります。きわめて雑駁な意見で恐縮でございましたが、以上三法案に対する私の意見のおもな点を申し上げたわけでございます。
  19. 橋本登美三郎

    橋本委員長 それでは久保参考人に対し質疑を許します。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 久保参考人電気通信労働組合の中央執行委員長立場におられるわけですが、今の御意見は全組合員の御意思が統一されたものと考えてよろしいかどうか。
  21. 久保等

    久保参考人 その通りであります。特にPBXの問題等につきましても、いろいろ研究に研究を重ねまして、全組合員の意向をとりまとめて申し上げておるわけであります。以上御了承願います。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 公社という形態に移行されたおもな理由の中に、民主的な経営というものを織り込んであつたのでありますが、公社のこういう事業運営につきましては、組合と公社側との経営協議会のようなものがあるのかどうか。あつたとすれば、この問題に関して経営協議会において過表何回か審議されたことがあるかどうか、この点を伺いたい。
  23. 久保等

    久保参考人 お答えをいたしたいと思います。実はその点では現在の公労法の建前もございますが、経営者側といたしましては、管理、経営に関する事項については組合と協議すべき性格ではないというようなことで、この問題につきましても、もちろん個々的な意見が交換せられるというようなことはあるにいたしましても、少くとも正式に、ただいま御指摘の経営協議会というような形において組合側の意見を申し上げて、さらに経営者の方面においてもこれに対する意見を出す、相互にいわゆる協議という形は何らとられておりません。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、この三法案ができ上る過程におきましては、組合の意思というものは反映されていなかつた、こういうように了解するわけでありますが、逆にそうしますと、この法案を作成したおもな者は、公社側のどの階級からこういう問題を取上げるようになつておるのか。たとえば部長、局長というのがあるならば、どの辺から一体ごの問題を取上げてきめて来たのか、こういうことを知つておりましたらお聞きしたい。
  25. 久保等

    久保参考人 御質問に的確にお答えはちよつとできかねるわけであります。案はだれがごの問題を特に中心になつて考え、だれの考え方が主としてごの結論に大きなウエートを占めておつたかというようなことについての、実は私どもとしての情勢判断は持つておりませんので、何とも申し上げられませんが、先ほど申し上げたように、少くとも私どもきわめて理解のできない、たとえば四次案までの考え方と、第五次葉に至つた経過というものについても、理解に苦しむ面があるのであります。特にどのあたりでこういう問題を主として考えたかという問題でありますが、部課長あたりで特に中心となつて考えられたものだというように推測はいたしますけれども、しかしそれがどういう経過を経てどういう契機から、特にただいま私が申し上げたような問題がこういつた形で出されるに至つたか、明確にお答えができないわけです。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 これは久保参考人に特に私の方からお願いしておくのですが、爾今組合の大きな仕事の一部としまして、こういうような問題に対する経営協議会的なものを持たせまして、完全に組合がこういう問題に対する審議権を把握してもらうように今後運動をお願いしたい。  なおもう一つお伺いしたいのは、公衆電気通信法に関連しておりますが、国際電信電話株式会社が今度四月一日から発足するわけであります。この予定されております会社へ従業員が同名か移ることになるそうでありますが、従業員がもし国際電信電話株式会社へ移りますと、現在公社施行しております従業員に対する退職金その他の條件が非常によくなる、あるいは給料の問題にしましても、現在の公社のものよりは五割以上よくなるというようなことが、経営者の側から従業員に放送されて、従業員は一部それを信じておるということを、この間現地の視察で知つたわけでありますが、そういうようなことを組合として御承知なのかどうか、事実従業員国際の方へ移ると、待遇がそれほどきわだつてよくなるものかどうか、知つておりましたらその点をお伺いしたい。
  27. 久保等

    久保参考人 前段の御意見は、今後私ども十分その点については考えて参りたい、ぜひとも実現をいたしたいということで努力をいたしておるわけですけれども、現在におきましては、いかんせん、実はこれが震現を見ておらないという実情でございます。  なお国際部門の問題で、四月一日からの移管に伴いまして、その場合の従業員の給与の問題について、あるいは五割増しとかなんとかいう形で、大幅に引上げられるというような事情を聞いておるかという御質問でございますが、的確に給料が五割あるいはまた倍額になるということの真案性については、私どももまだ実は疑問に思つておりますし、そごまで具体的に明確にきまつておるとは存じておりません。ただそういう形でいわば勧誘をしておるという事案はあるいはあるかもわかりませんが、少くとも私どもそういつた問題についても、当然現在の全電通の労働組合といたしまして、正式に取上げて解決をして行かなければならない問題だと存じております。国際問題については、先ほどもちよつと申し上げたように、いまだかつて例を見ないきわめて重大な問題でありますだけに、現在ごの国際電信電話株式会社法の廃案という問題について、国会その他にもお願いを申し上げ、私どもとしても最後まで反対の闘争を続けて参つておるような実情でございます。しかしそのことはもちろん通信事業の使命と性格考え、私ども事業に対する事業愛という気持から発しておるわけでありまして、ただ単にいやがらせないしは反対のための反対という考え方で、運動を起しておるわけでは毛頭ございません。それから国際へ行つた場合に、無條件に給料がよくなるものだというふうには、遺憾ながら私どもとしては推測できないのであります。にもかかわらず、非常に甘いことを申しまして、現在の従業員の歓心を買うというようなことは、具体的にあるかとも存じますが、かかることのないように、国際会社の経理の内容等についても、かねがね実は反対闘争を進める過程において、組合員の諸君には十分に納得をさせて参つておるわけでございます。ただ国際へ参ります場合に、若干の退職手当金が出ることは事案であるようであります。そのことが一部の従業員には何かしら一種の関心をそそつておるようでありますが、長い目で見たところの今後の国際会社における従業員の生活の安定、あるいはまた国際部門電気通信事業発展ということを、ただ現在の実情においてのみ判断することは、大きな誤りであるというふうに考えまして、その点も組合員に周知をさせて齢るわけであります。現在給料が幾割増しの形で支給されるかということについては、確定的な段階にまで来ていないのではないかというふうに判断をいたしております。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。今久保参考人反対の御意見に、私は全面的に賛成しておるものでありますが、このPBX自営の問題を予測いたしまして、すでにある種の工事ないし会社に関係する人々が、相当大きく動いておるというようなことを先ほど口を濁して申されたようですが、その間の事情をもう少しこまかく御存じでしたら、率直にぶちまけていただきたいと思うわけであります。
  29. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ちよつと原茂君に申し上げますが、三法案の審議でありますから、間接的には関係があるようですが、この種のことは別の機会にお譲り願いたいと思います。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 今の質問は取消しまして、大体参考人よりお聞きさしたいことも大要をつかんだわけですから、あとは他の質問者に譲ります。
  31. 橋本登美三郎

  32. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 久保参考人にお尋ねをいたしますが、先ほどの御説明によりますと、公社には一定の予算のわくがあつて増設、復活、移転、そういうようなことも思うにまかせないというような状況で、もつと政府なり国会なりが予算について考慮を払うべきである、こういう御説は、私まつたく同感であります。それにつきましてそういうふうに公社に一定のわくがあつて、わくを与えられた以外のものはできないのでありますので、このプライヴエート・ブランチング・エクスチエンジ、すなわちPBX、個人的な、いわゆる枝の電話交換のようなごく末端のサービスの仕事は、むしろ民間に与えるべきものではないか。このわくがあるから、せつかくビルデイングができた、ホテルができた、あるいは個人的の商社においても交換台を置いて、敏速にしかも能率的に電話運営をいたしたいと考えて、公社の方にお願いをいたしましても、その手続が非常に煩環であり、しかも予算のわくがありますから、機械を購入してどんどん需要に応ずるということができないのではないか。だからむしろ民間業者にこういうものを与える。もともとPBXというものは民間で発達をいたしたものであつて、昔の逓信省当時なんかにおいても、役所がみずからかくのごとき末端の仕事はしていなかつた。戦争中の現象としてこういうようなものが現われて、設備会社ができ、またやがて会社に統合されるというような今日の現状になつておるわけでありまして、従つてもともとこういつ条端のサービス業というものは当然に民間業者にやらせることが、わくの少い国家あるいは公社予算よりも、民間の人たちが自分の資金において金を出して、どんどんとビルや、その他の欲する諸君に交換台をつくつてやるということの方が、民間利用者の非常な便益ではないかというふうに考えるのでありますが、この点について久保君の御意見を承りたいと思います。
  33. 久保等

    久保参考人 ただいまの御質問の要旨でございますが、御承知のように電気通信事業が、先ほども申し上げましたようにきわめて有機的な関連性を持つておるものでございまして、たとえて申し上げますと、一本の大木にたとえられるような、きわめて有機性を持つているものだと考えるわけでありまして、枝葉末節と言つては語弊がありますが、枝葉をいかに大きく太らせましても一、その枝葉だけで存立できる性格のものでありますならば、そのお説もまつたく賛成できるわけでありまして、資材と人手はどんどん民間における能力においてやつてもらえばけつこうだと思うのですが、問題は、そのさらにもとになるところの局舎の問題、あるいは線路の問題、あるいは交換機の問題といつたようなものが、やはり切つても切ることのできない関連性のある設備でございますので、従つてこのPBXが大きくなりましても、それに相応したところの、そのもとになる某幹設備というものはやはり必要でございます。従つて、あまり枝葉ばかり大きくしましても、もとの木がそれに耐え得るだけの設備がない場合には、いかに枝葉が茂りましても、実は需要に応じ切れない。きわめて卑近な例で恐縮でございますけれども、少くともそういつた関連性を持つております。さらにまた技術的に申しましても、御承知のようにA会社がやつた、B会社がやつた、さらに公社がやつたという形における技術的な統一性の問題、これはもちろんこの法律案の中にも、政令に基く技術基準を設けて行くというふうにはなつておりますけれども、これも同じ規模において同じ経営主体がやる場合とはおのおの漢ますので、極端に言えばおつつけ仕事になる危険性が多分にあるわけであります。  さらにもう一つつけ加えて申し上げたいのは、現在自営に特にやるべきだと主張せられる方々が、現実にやられる場合に、全国各所に散在するPBXをはたしてまんべんなくやられるかどうかということを考えてみました場合に、おそらく大阪、東京等の特殊な、きわめて採算のとれるところだけを、いわばより食い的な形でやられ、その残余の問題は、当然公社設置し、ないしは保守をしなければならない義務があるのであるから、その方はもちろん公社でやつてもらいたいという形において、このPBX自営化されて行きますならば、これはまつたく一会社あるいは一個人の利害打算から発するところのPBX自営という形において、公共性を持つた電気通信事業の一部が非常に干犯せられるという結果にもなると思いますので、この点は特に一般の無機的な建物あるいは電気通信等に若干似通つておりますが、強電流の電気工事などの場合と電気通信の場合は非常に違う。非常にデリケートな状態で流れる電気を保持しておりませんとうまく通信が行かないという、デリケートな性格を持つ弱電流の電気通信回線の場合には、この点を特に私ども主張いたしたいと思うわけであります。
  34. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ただいまの、いわゆる基幹設備が細かつたならば、枝葉がいかに茂つてもいかぬというお説は、ごもつともでありまして、私は予算のわくが少いだけに、むしろ公社といたしては基幹設備に重点を置いて、末端の枝葉的なものはむしろ民間にまかして、公社民間一体になつて基幹を強くし、枝葉を強くするという態勢をとるのが至当であると考えるものであります。  それから第二の点で、ただいまの説明によりまして、技術的統一をはかる上において、民間公社が併立することは非常に技術的統一を害するというお話でありますが、今の説明にもありましたように、技術の基準は別に命令によつて定められるのでありまして、その命令によつて定められたものは公社が監督権を持つておるわけでありまして、そういう点は、この技術の非常な不統一の場合に対しては、十分な監督ができるわけでありますから、こういう点についても、ただいまの御意見にはさらに考慮を加えることが必要だと私は思つております。ことに民間の仕事というものは、良心的に、自分の最大の技術を、またりつぱな資材を選択してやらなかつたならば、結局その商売が繁昌いたさないわけでありますから、従いましてこの業者におきまして良心的であるか、あるいは資材をいいものを使うかどうかということは、業者が自分の仕事を経営する上における最も重大な問題でありますから、こういう点について悪いものはおのずから滅びて行く、これが自由主義の原則であります。そういう意味から考えましても、監督もあり、しかも業者技術的な競争をやつて、十分なサービス利用者に与えて行くということの方が、正しい行き方でないか、こう私は考えるものであります。  それから第三には、公社民間と二つあることが非常にいかぬようなお説でありますが、公社民間と二つあつて選択ができるわけであります。ある会社が交換台を設けようとする場合において公社にやつてもらつた方がいいか、あるいはまた民間で著名な、しかも技術優秀なる業者に依頼したがいいか、これが利用者に選択できるわけであります。現在のごとく公社一本で行くということになれば、選択を許さない独占事業であります。そうすれば結局利用者の側に非常な不利を来すのでありまして、その点も十分に考慮をいたすべき問題であると私は考えるものであります。ごとに今交換台を入れますと、結局利用者が交換台の費用を払うけれども、その所有権が公社に移つてしまうということも、私はかなり大きな疑問があると思うのです。経済界のことでありますから、有為転変があります。そういう場合に、交換台を売つて、借金の支払いに充てることもできる。そういうことの方が、利用者にとつて一つの大きな財産であります。これを公社が取上げてしまうというようなことは、一種の財産に対する侵害である。私はそう考えるのでありまして、そういう点についても、十分なる検討を要する点が多いと思います。その意味においては、公社民間と二つを置いて、利用者が選択をして行く。しかも交換台は自分の所有になる。そうしていざ換金しようというときには換金ができる。あるいはまた悪くなつたならば新しいものによつて、自分の需要に応ずるだけの大きな設備をするとか、こういうものは月日とともにどんどん発達をして行くのでありますから、古いものを新しいものにかえて行くこともできるというようなことから考えますと、利用者のためには、どうしても独占的でなく、民間公社と併立するということの方がしかるべきであると私はは考えるのであります。  それから久保君の御意見によりますと、民間にやらせるということになれば、大阪とか東京とかいうようなところしかやらないではないかという御説でありますが、そういうところは需要の多いところでありますし、またたとえばほかの貧弱なる地方におきましても、必要であるならば東京の人を頼んでもいいし、あるいは公社に頼んでもいいわけでありまして、こういう点は何も利用者をそう制限をして、また民間業者が決して東京とか大阪だけやるからいかぬとかいうものではないと思う。ことに民間業者は、松前さんもおられますが、戦争中自分の長年の職業を戦争遂行に協力するという気持で、これを奉還しております。従いまして戦争が終つて平和が来たならば、また再びなれた稼業ができるのだという気持を持つておるということを、私は確信いたします。これはどの業種に限らず、やはり戦争には全部をあげて協力するが、平和になつたならば、また自分のなれた仕事をやりたいということは、これは当然のことでありまして、国家として戦争が終つた平和の今日においては、民間業者にそのなれた仕事を返して行くということが、私は当然だと考えます。こういう点について、私はさらに、久保君の御所見を承りたいのであります。  次に、現在公社設備会社から併合されたところの従業員諸君は幾人おるか、それからその停年は幾つであるか、これをお尋ねいたします。
  35. 久保等

    久保参考人 簡単に申し上げますと、従業員の数は、私も明確なこまかい数字を持つておりませんが、約二千名近い程度というふうに承知しております。  それから停年の問題でありますが、これは一般従業員と同じように扱われておりまして、現在厳密に何年になると停年だという形の制度そのものは確立しておりません。しかし常識的に、ある年齢になれば一般従業員と同じように扱われておりまして、五十五歳ないし特殊な技術者の場合には六十歳というようなものもまれにはございますが、別に制度として確立をしておるという状況ではございません。  それから一言申し上げたいのですが、特に私ども考えておるのは、事業公共性という問題と、ただいま御指摘になつておられるような需要という問題を、どう調節をして行くかという問題、これをひとつ十分にお考えを願いたいと思つております。すなわちただ単に利用者の自由の選択ということのみによつて電気通信事業の真の使命が達せられるかどうか。利用者に自由の選択を大幅に許すことがいいのだという考え方だけでは、電気通信事業公共性という問題から、私は利用者電話なら電話増設ずる場合に、それに便宜を与えるという問題だけでは、その利用者の欲しておる需要には応じられないというふうに考えるのでございます。すなわちこれが設置せられた後における運用が、いかに円滑に迅速に運用されるかという問題を、電気通信事業設置をなす場合には一番考えなければならないと思うのでありまして、ただ設置需要に対する問題だけとして考えることは、私どもとしてもちよつと考慮を要するのではないかというふうに考えております。
  36. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ただいま承りますと、設備の方面のPBX関係従業員は二千名、停年は大体常識的に五十五歳というお話でありますが、これらの二千名の諸君も、一年ごとに停年に近づくのでありまして、やがて停年になつた場合におきまして、なれた自分の仕事にまた従事したい、自分の技術を生かして行きたい、ごとに低額の恩給に対して、何か自分の商売を持ちたいというような場合に、この民間の道が開けておつたならば、停年後商売ができるのでありまして、そういう意味においても、私は真に愛情をもつて従業員のことを考えて行つたならば、やはり停年に達した諸君のことを、今から立法の場合に考慮しておく必要がある。そうしてこれらの退職者に、またなれた仕事で、民間人としてその技術をもつて、大いにサービスをしてもらうことが必要であると考えるのであります。一言申し上げておきます。
  37. 松前重義

    松前委員 久保参考人にお尋ねいたします。ただいま御意見がありました中で、国際電信電話株式会社並びにPBX民営なつた場合において、そちらに行かれる従業員の方々との給料の相違、すなわち先ほどお話がありましたように、民間に行けば相当高くなつて、残る者は安い給料で働かなくてはならぬ、こういうような状態がもしも現出したときに、あなたは委員長立場において、それらのアンバランスに対してお困りになるようなことがあるかどうか、また国全体の問題としてはこれは別個でございますが、いずれにしても今後の電気通信の円滑な運営において、どういうような状態になるか、この辺のところをちよつと御意見を承りたいと思います。
  38. 久保等

    久保参考人 これはそういつた形で、現在十五万前後の従業員がおりまする電気通信事業従業員の給与が、民間の同じ類似産業に従事する従業員の給与よりも下まわるというような問題になりますと、当然生活的な逼迫ないしは精神的な不安定、そういつたような問題が電気通信事業の少くとも能率という問題に非常に大きく影響して来るわけでありますし、直接的に私どもの労働組合としては、きわめて看過し得ない重大な問題でございます。特にこれは具体的に申し上げますと、電話交換手等の場合においては、明らかに電気通信の現在の公社に従事しておりまする従業員の給料が、はるかに下まわつておる。そばからまた一般的な問題として申し上げるならば、現在の公社従業員の給与というものは、まだまだ差があるということだけは申し上げられます。ただ今後発足するところの国際電信電話株式会社あるいはPBXの問題等について、具体的にどういう程度の給与になる見通しであるかという問題については、私つまびらかに存じておりません。
  39. 松前重義

    松前委員 給料の問題は大体の動向はわかりましたが、もう一点お尋ねいたしたいのは、PBXの問題を中心といたしまして、先ほど羽田さんから非常に政府の説明のような御意見を承つたのでございますが、私どもはもちろんそれには反対をいたし、そしてまたわれわれの立場におきまして、技術的な立場においても反対せざるを得ないのでありまするが、ただ問題は電気事業の場合、戦争中その他において統合されたる電気事業が復元されるごとに対して、現在の政府反対をいたしております。ところが電気通信事業のこれの問題に対して、このPBXの問題に対しましては、少くともこれをただいまのお説によれば復元すべきものであるとおつしやる。これらの点についてひとつあなたの御意見を承りたい。すなわち独占企業の資本主義的態勢に対しましては、これは復元してはいかぬとおつしやるのか。公社体系の公共事業に対してはこれは復元すべしとおつしやるのか。これらの問題について少しばかりあなたの立場における御説明を承りたいと思います。  もう一つは、外国においてはこういう奇妙きてれつな二本建の案のようなものは、通信の一元性の立場から、大体どこの国にもないと私は記憶しておる。日本の国が三等国家、五等国家になるならば別として、少しでも日本の国を文明国にしようというならば、こういう非文明的なやり方はないと私は思つておる。これらについての詳しい内容がおわかりであれば少し御説明願いたい。
  40. 久保等

    久保参考人 電気通信事業の復元と申される点が、私ちよつと明確に理解できませんが、いずれにいたしましても電気通信事業の万的な運営ということは、ただいま委員の方からの御発言もございましたけれども、少くとも独占性というのは、特に事業の持つ本質そのものが独占的ならざるを得ない。すなわち自然的独占性というものは、電気通信事業一つ本質であろうというふうに私は考えておるわけです。従つてこれはただ単に経営上から、利益が上る、上らないというような問題から来る独占という問題とは、電気通信事業独占性は本質的に違うというふうに私は考えておるわけであります。かかる観点に立ちまして考えました場合には、当然私は企業経営が二つも三つも四つもになるというそのことは、本質そのものをかえつて歪曲する、ゆがめるという結果になるわけでありまして、そのことがあらゆる形における弊害をかもすだろうというふうに考えますので、当然そういう意味においてこれが二つ、三つの経営主体で経営せられるというような形は、私としては反対であるしまた当然であろうというふうに考えております。  さらにただいま申される四等国どころではございませんで、特にはなはだ私ども残念に存じますのは、日本電気通信事業設備の数から申しますならば二十四等国でございまして、決して二等国、三等国ではないわけでございます。この状態をいかにして、真に世界の水準程度に私どもが持つて行くかという問題は、ただ単にこれを自由競争の形に放任しておくという問題ではよく解決しないわけでありまして、少くとも国家的な立場から、私は電気通信事業というものの全面的な拡張あるいは発展ということを、お考え願いたいというふうに考えるわけであります。
  41. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これで久保参考人に対する質疑は打切ります。  次の参考人の公述について、はなはだ恐縮でありますが、公述の終了していない参考人の方々に御了承をお願いいたします。越路吹雪さんは映画撮影のあいまを見て出席されましたので、ぎりぎりの時間をさいての出席である都合上、次の参考人の公述を越路吹雪さんにお願いしたいと存じます。なお越路吹雪さんに申し添えますが、気軽に自由な気持で忌憚のない御意見をお願いいたします。越路吹雪さん。
  42. 河野美保子

    ○河野参考人 朝撮影をして参りまして、今ラジオに出て参りましてごの部屋へ入つて来ましたが、何だか知らない国へ来たみたいな気がしまして、帰りたくなつて来ましたんですけれど、気軽にとおつしやいましたのでひとつ気軽に……。きようは衆議院の電気通信委員会から、何か新しい電信電話の法律に関しての意見を述べてくださいとのことですが、私こういう席に出たことがありませんし、たいへんふなれでございますから、先ほど三十分ほどあいまを見て書きとめたことを申し上げます。専門的知識がございませんから、どうぞあしからずお許しください。この機会に電信電話の一利用者としての感謝と、それから多少の不満を述べさしていただきます。私の感じたままを述べさしていただきますから、どうぞそのおつもりで……。私の昨年国鉄の一日駅長をやりましたが、今まで私の知らない皆様の御苦労を知りまして、私もこういうところへ出て来まして大いにいろいろのことをお聞きして、知らない面を知りたいと思つております。かつてなことを言いますけれども、どうぞお許しください。  まず最初に感謝から申します。私のように多忙で、毎日、東へ行つたり西へ行つたり、年中うろうろきよろきよろしている者で、一分一秒という時間の中であくせく仕事をする者にとつては、電話並びに電報はほんとうに必需品でございます。毎日何十ぺんとなくお世話になつておりますので、ほんとうに感謝しております。  次にそれだけお世話になつておりますだけにいろいろと、もつとどうにかならないかなという私のあれにもございます。と申しますのは、私も経験いたしましたのですけれども、つまり電話を引くためにたいへん時間がかかるということ、それから手間取るということですね。幸い私のところは運よく割合に早く通じましたので、その点感謝しておりますけれども。それからまずたいへん電話を引くのに高くかかるということなんです。何でも引くだけで十万円、それから電話を買うのには二十万円かかりますとかということも聞いておりますが、これではほんとうに特殊な人だけしか引けないと思います。大体最近では電話はどこの家庭でも、ラジオ、ガス、水道と同様に必要なものだと思います。引きたくても引けなくて困つている人のために、何とかしていただきたいと思います。何でも聞くところによりますと、日本電話の数は人口に比較して世界の二十四番目とか、こんなことでは文化国家としておはずかしいものでございます。  公衆電話のことなんでございますけれど、雨の日などかさをさしてたくさんの人があそこに立つているのを見ますと、たいへん暗い気持になります。それからたいへん公衆電話の故障が多いということ、それから電話線の組織など私よく知りませんが、そこにいろいろな問題があるのではないかと思つております。  それから私は忙しいので自分ではかけませんけれど、たとえば都内でありながら電話だけが都外扱いになつている。これは急ぎの用件などのときに待たされ、ほんとうに困つております。ことに私ども撮影所の仕事をしておりますと、どこの撮影所でも不便なところにありますので、この点の不便を特に感じております。電話がかかるまで時間がかかるという点につきましては、アメリカなどではニユーヨークからサンフランシスコまで、わずか二、三分で通ずるという話を聞いて、たいへんうらやましがつておりました。私の経験では、電話がたいへん故障しやすいということと、修繕を頼んでも直すのに時間がかかり過割るということと一この間も私のうちの電話が故障をいたしましたけれど、夜でしたかしら、朝まで何回も連絡をとつたのですけれど、なかなか通じませんでした。それで私もたいへん困つたので、そのときいろいろ痛感したことをちよつと述べさしていただきました。  少し話が混線して、ちよつとピントが狂つたかもしれませんが、要するに私の申し上げたいのは、日本の電信電話事業の水準を幾らかでも高めていただきたい。その恩恵をできるだけたくさんの人に与えていただきたいということであります。簡単でございますが、私の意見でございます。
  43. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ただいまの越路参考人に対して御質疑がありますれば……。
  44. 山田長司

    ○山田(長)委員 あなたはたいへん高い料金電話をお引きになつたようなことをおつしやられましたが、あなたの電話は高い料金をお払いになりましたかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
  45. 河野美保子

    ○河野参考人 私のうちの場合を申し上げたのではございません。ただ、私が電話を引く場合に、電話を引くのはたいへん高いということを伺つていたので。それから私は、うちの掛りの方は全部父や母にまかしております。きよう電信電話のことについてお話を、いろいろな方に伺つて、それでその意見を述べたのであります。
  46. 山田長司

    ○山田(長)委員 電話料金がたまりますと、今までは強制的にとめられたのであります。今度は、たまつた料金百円について日歩四銭の利息がつくのですが、この点についてあなたはどういうようにお考えですか、伺いたいと思います。あなたはおそらくそういうとまるようなことのない裕福な御生活をなさつているので……。
  47. 河野美保子

    ○河野参考人 いいえ、とんでもございません。(笑声)
  48. 山田長司

    ○山田(長)委員 そんなことはないかもしれませんが、電話料金が支払えない場合、今までとめられたのですが、今度の法案によりますと、一日百円について四銭ずつの利息がつくのです。それについてあなたはどういうふうにお考えですか、ちよつと伺いたいと思います。
  49. 河野美保子

    ○河野参考人 少し詳しくそういう話を伺わないとわからないのですけれど、先ほど申し上げたようにたいへん申訳ないのですけれど、ごまかいことを存じ上げておりません。
  50. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 越路さんにお尋ねいたします。あなたは電話が故障した場合、直してくれと頼んだことしばしばおありだろうと思いますが、その日に直してくれたか、あるいはこ日も三日もたつて直してくれたか、こういうような案情についてのあなたの経験をお話いただきたいと思います。
  51. 河野美保子

    ○河野参考人 一日半と、それから二日はございませんでしたけれど……。私なんかのような生活をしておりますと、たいへん私がせつかちなのか、電話がスローなのかわかりませんけれど、たとい一日でも長く感ずるのです。いろいろ連絡なんかいたしまして、その故障のために仕事のスタツフの方をたいへん待たせたことがございますので、ついそういうことを感じております。
  52. 橋本登美三郎

    橋本委員長 他に御質問はありませんか。——なければ次の参考人に移ります。  電気通信協会会長中山次郎参考人に公述をお願いいたします。
  53. 中山次郎

    中山参考人 私電気通信協会会長中山でございます。本日電気通信に関する三法案の御審議に際し、私の意見を徴されましてまことに光栄に存ずる次第であります。私の意見を申し述べさせていただきますが、この三法案の立法に関連いたします電気通信事業の五箇年計画とか、電気通信事業経営形態の問題につきましては、今日意見を述べさせていただくのを御遠慮いたしたいと存じます。ただ三法案の立法内容につきまして、私以前雇やはり逓信省の役人をやつておりました経験から、全般にわたりまして意見を述べさゼていただきたいと存じます。電気通信事業のいろいろの根本をなしておりました電信法が、このたびいろいろな社会状態その他のために、監督的規定電気通信事業経営に関する事項とを分離して立法されましたことは、まことに適当な処置と、私は賛成申し上げる次第であります。今日の状態におきまして、いまだに古い電信法に拘束されておりますことは、経営者にとりましてまことに迷惑であります。また利用者にとりましてもまことに迷惑であります。この法案は大分長らく議会に提出されておりまして、今日に至つております。どうかひとつ一日も早くこれが実施されますようにお願いいたしたいと思うのであります。  法律の内容につきまして申し上げますが、まず有線法案につきまして申し上げまするならば、制定方針につきましては、内容はまことに妥当と思いまして、特に申し上げる点は少いのであります。ことに私設有線電気通信設備の従来の制限を大幅に緩和されまして、一般国民私設通信の利便を増大されましたことは、非常に適切と考えております。公衆通信の範囲を害しない程度におきまして、構内設備とかまたは有線放送設備等、共同にこれを設備することを認められましたこともけつこうと思います。それに従いまして、それらの施設を運用するについて、の技術基準とか、または取扱い者の認定とかいう方面におきまして、これらの設備が他人を害せず、また施設者に有効に利用されるように、ある程度の基準を置かれましたこともけつこうと存じます。  ただ私がこの有線法案の中で多少気になりましたのは、罰則の点でありまして、第二十一條によりますと、有線電気通信設備の損壊、または妨害者を罰しております。これは現在の電信法にもございますが、公衆通信私設通信、両方にこれが適用されております。公衆通信設備にこれが適用されますことは当然でありますが、私設通信につきましてはどうかと思う点があるのであります。私設通信と申しましてもいろいろ範囲が広うございますので、電気事業とか、鉄道とか、また鉱山用とか、公共的な事業関係しておりますものは、やはり公衆通信と同じように保護しなければならぬと思います。これらの公共的な事業につきましては、それに関係する法律で保護規定がありますので、特に通信施設だけにつきまして立法されますこともまた必要かと思うのでありますが、これに関連しまして、ごく小規模な私設設備、ごく家庭的な、また小事業の同一構内にある施設につきましてまでも、こういう罰則規定がありますことは、これはその設備を保護するる点については完全かと思いますが、損壊その他つきまして、この罰則にあるような刑に処しますことは、均衡がとれないのではないかと思うのであります。ことに未遂罪まで罰しております。私の申し上げたいと思いますのは、その小規模の点につきまして例外を認めるなり、または親告罪程度でいいのではないかと思うのであります。  その次にやはり罰則の第二十三條でありますが、これによりますと、第十六條の規定に違反して有線電気通信の秘密を侵した者の処罰が規定されております。これもやはり未遂罪まで罰しておりますが、現在の電信法によりましては、公衆通信のみこれを罰しておりまして、私設通信には及んでないと私は考えております。またそれも親告罪になつております。今回の立法によりまして、私設通信設備が非常に緩和されまして、従来のように、これをある程度禁止的の意味を含んだ制限下に置かれてないので、自由に設備されておりますだけに、これの秘密につきましても、ごく小規模の私設通信にまで、この秘密は、対話者間の通信とか、その他この電気通信以外の通信につきましても、憲法では通信の秘密を保護しておるのでありますが、多分に道義的禁止の意味もあるのではないかと思います。私はその道義的の意味の程度で禁止していただけばいいのではな、いかというふうに考えておる次第であります。  大体有線法につきましてはその程度にいたしまして、次に公衆法に移りま一芸、制定の方針につきましては、今回の立法内容は従来に比べますと、非常に特権的の規定を廃止されております。また従来立法事項でありましたようなことも、ごく範囲を狭めまして、郵政大臣の認可事項の方に移して、非常に合理化されておると認めまして、こういう点非常にけつこうと存ずるのであります。ただ郵政大臣の認可事項になつております項目が、私が気がついただけでも三十項目近くございます。これはこの際もう少し縮小できる余地があるのではないかというふうに考えておる次第であります。これらの認可事項が多いために、また監督官庁の郵政省の中に監督官の配置、増員を要するのではないかと考えられる次第であります。ただこの郵政省の監督官の増員をされるならば、むしろこういう認可事項のことでなしに、もつとほかの方面におきまして監督する余地が多々あるのではないかと思うのでありまして、現在の監督官を充実されることにつきましては私は賛成でございます。  それから各省にわかれております内容につきまして気のついたところを申し上げますと、第二十六條に、加入電話として構内交換電話規定を新設されました。従来の単独電話、共同電話のほかに、こういう接続電話規定を置かれましたこともけつこうだと思います。  それから第三十八條と第三十九條に、加入権の譲渡及びその承認につきまして、この制度を確認されておられます。この加入権の問題につきましては多年の問題でありまして、加入権の存在が理論の士、また理想の上からいいまして、望ましくないことは当然でございますが、実際の問題といたしましては、加入権を存続しなければならぬ現在の情勢下においては、私はやむを得ない措置であつたと考えるわけでありまして、加入権の問題は、電話が普及いたしますれば、自然に消滅する問題と思うのでありまして、次善策として賛成いたしておりまして、自然の需要に適応するためにはやむを得ないと考えております。  次に第四十七條の市外通話の種類についてでありますが、従来通り特別至急通話が存置されております。これはやはり日本電話が、先ほど来のお話にありましたように、非常に社会情勢に立ち遅れておる結果でありまして需要の上からいつてはやむを得ないかと思うのでありますが、料金の値上げも再三輿現しました今日におきまして、特別至急通話というような三段階的なものは、もうそろく廃止されてもいいのではないかと考える次第でありまして、むしろこういう金持の特権的なような制度は廃止されまして、夜間通話というようなものをおつくりになりまして、ひまなときに安くかけられる制度をつくられた方が望ましいのではないかと思うのであります。この点につきましては、電報では翌日配達、例文電報というようなものがございますので、その方向に向つていただきたいと思うのであります。  次に第六十八條の料金の決定についてでありますが、法定料金と認可料金をお定めになりまして、まことにけつこうと思うのでありますが、その認可料金中におきましても、郵政大臣の認可を受けなくてもいいような料金の決定があるのではないかと思うのでありまして、これらにつきましては、公社または会社に委任されてしかるべきではないかと思つております。ただその反対に多少公共性の強い料金、たとえていいますならば、新聞電報とか放送無線電報というようなものにつきましては、むしろ法定されて料金基礎を確定されたのがいいのではないかとも考えております。  なお料金関係につきましては、七十八條に、役務料金の返還を規定されましたし、また百九條では賠償も規定されまして、まことに民主的になつたことと御賛成申し上げます。  次に第百五條の規定でございますが、構内交換電話設置及びその保守を自営する道を開かれております。これは先ほど来いろいろ御意見がござました終戦後の直営方針の転換でありまして、これも私としましては、先ほどの加入権の譲渡の問題と同様に、現在の段階におきましては、次善策としてやむを得ない措置ではないかと思うのであります。予算関係もございましようし、またその他民間の希望もございましようし、またそれらに要する設備の生産の上から考えましても、直覚と自営を併立させて、その設備者に任意に選ばせるということは、現在の段階において私はけつこうだと御賛成申し上げる次第でございます。  次に第百六條に、私設有線設備の公衆通信設備への接続をある程度制限して認可されておりますのも、これも私設有線設備が公衆通信を害しない程度で、この程度規定も私といたしましては賛成申し上げる次第でございます。  次に料金の問題でございますが、値上げの御方針を伺いますと、老朽施設の取替のための償却費とか、また再評価価格に基く償却費の不足を補うとか、また設備拡張資金に充当するとかいうような御方針で、これもけつこうと思います。これによりまして今回の改訂の増収額の見込み額は八十億と伺いました。現在の収入の約一割増になつております。料金の値上げは望ましくはございませんが、現在の設備を根本的に改正する上からは、この程度はやむを得ないと思つております。なお各種料金の改訂方針につきましては、各種料金の不権衡を是正する、また原価を割つているものを救済ずる、負担力のあるところをある程度増額するという御方針でございまして、非常にけつこうと思うのでありますが、もしごの方針を完遂していただきますならば、一割値上げを越えてもつと増収があるべきと思うのでありまして、もし理論的に、また社会状態が是認する程度ならば、もう少し一割以上上つても、結果的にそれが各加入者の生計費その他生産費に悪影響を及ぼさなければ、その程度まで値上げされてもやむを得ないのではないかというふうに私は考えております。具体的に申しますと、電報の料金でありますが、今回基礎料金を五十円から大十円に値上げされました。累加料金はそのまますえ置きになつておりますが、私はこの基本料金は七十円なり八十円程度に上げられてもいいのではないかというふうに考えております。ただ最低の字数を今の十字のを十五字にされたらどうかと思うのであります。現在電信は非常に赤字の経営をしておる、収入の倍以上の支出をしておるその原因の一つには、配達費が非常に割高である。といいますことは、結局一通片々の配達に費用を要するのでありますから、その基本料金をもう少し値上げされてもいいのではないか。それで字数増加その他につきましては、だんだん通信の疏通について機械化をされておりますので、その方面であまり値上げせずとも、原価に近いような支出で経営できるようになつて行くのではないかと思うのであります。基本料金を上げたために、一般の方で迷惑されるところは、現在やつておられる例文電報とか、翌日配達電報というものをもつと周知して、安く利用されろことを勧誘されればいいのではないかと思つております。  次に電話のことでありますが、市内電話につきましては、基本料金のうち、住宅用と事務用との料金の差を今度非常に狭められましたことは、基礎的の料金にあまり差別をつけず、現在の電話事業の普及の上から行きましても、利用度が少い面におきましても、負担をある程度均等にされまして、私はけつこうと思つております。ただ度数料をそのままにすえ置いて五円というのは、現在のほかの物価または他の電話料金から比べて、あまりにも安過ぎるのではないかというふうに考えている次第でありまして、できればこれを七円なり八円なりに、またもし端数が非常に煩雑ならば、十円にされてもいいのではないかと思います。ただそのためにこれは加入者負担増を非常にかける向きが多くなると思いますが、しかしこれは多数通話をされる方には、外国の例に従いまして、逓減的に安くするという方式をとれば、ある程度がまんしていただけるのではないかと思うのであります。大体現在の施設の老朽なり、その他不足なりは、現在日本電話が少いためにもよりますが、使う度数が非常に多いことに原因しておりますので、その度数をある程度抑制する意味におきましても、効果があるのではないかと思うのであります。話中の回数を減らすとか、また中継線の少いのを緩和するとか、また損耗率を薄くするという点について、利益があるのではないかと私は思うのであります。ただ電話を非常に頻繁に使われる金融界その他においては、非常に御不興があると思うのであります。また今回発行せらるる電話公債の公募につきましても、悪影響があるものとも感ぜられます。しかしこの点は、ある程度の度数料金の値上げならば、がまんしていただけるのではないかと思います。  それから市外通話の料金も、今度の改訂料金程度の値上げは、大体けつこうと思うのであります。ただ現在電話に要する費用が、市内よりも市外の方が少くて済んでおります。ところが今回の料金の値上げによりまして、従来と同じように、市内の収入よりも市外の収入の方が多いということは、負担の権衡から行つてむしろ従来に通行するような点でありまして、今度の改訂方針に矛盾するのではないかと思うのであります。     〔委員長退席、中村(梅)委員長代理着席〕 この点やはり度数料金のある程度の是正が是認されるのではないかと考えている次第であります。  その他、施行法の関係におきましても御意見を申し上げるべきでありますが、大体法令の改廃に伴う経過的措置としては、私はこれで満足ではないかと思つております。先ほどもはかの参考人から御意見のありましたように、最近電話加入者利用者について、いろいろな点から非常に負担が加重されて来ております。いろいろな負担金につきましても、三十一年三月三十一日までは課せられておりますが、特に今回はまた第十條、第十一條で、一定の制限区域以上に線路を長引かすような加入につきましては、特別の負担金までおかけになるようになりました。これもやむを得ないとは思いますが、三十一年を待たずに、公社経営が軌道に棄つて参りまするならば、すみやかにこれらの負担軽減の方に御努力いただくことを望む次第であります。  以上簡単でございますが、私が気のつきましたことを申し上げた次第であります。
  54. 中村梅吉

    中村(梅)委員長代理 中山参考人に御質疑の方はございませんか——。ございませんでしたら、次の参考人に移りたいと思います。  それでは次に日本新聞協会編集部長江尻進さん。
  55. 江尻進

    ○江尻参考人 提案の三法案に対しましては、新聞、通信、ラジオ関係各社の意見を総合いたしまして、條件付で賛成いたします。旧法では私設有線電気通信設備設置し、利用できる範囲は極度に制限されていましたが、新法案ではこれを大幅に緩和いたしましたことは、電気通信の効率的使用を促すという意味で喜ばしいことと考えまして、立案者に対して敬意を表する次第でございます。  次に法案に対する修正意見を若干申し述べます。公衆電気通信法案第十三條に規定されております新聞電報は、新聞通信社だけに限定されておりますが、大衆通報の手段といたしましては、以上の二つに並んでラジオ、テレビジヨンなどの放送事業者が重要な役割を果していることは、説明を要しないところでございます。従つてここに規定します新聞電報という中に、放送事業者の発する電報を加えていただきたいと思います。すなわち第十三條第一項第二号のイの新聞電報の方にその都度「その発行部数が公社が定める数以上であるものに掲載するため」という次に「もしくは公社によつて直接受信されることを目的とする放送を行う放送事業者の放送のためのニユースまたは憎報を内容とする電報であつて」というふうに修正願いたいと存じます。また今のイ、ロ両項の「新聞社又は通信社の機関相互間のもの」とあるのを「新聞社、通信社及び放送事業者の機関相互間のもの」と修正願いたいのであります。従つて、この新聞電報あるいは新聞無線電報という言葉はさらに一般化しまして、報道電報または報道無線電報あるいはニユース電報またはニユース無線電報というふうに改称するのが適当だと考えられるのであります。  次に新聞電報をなし得る新聞社の資格條件の一つに「その発行部数が公社定める数以上であるもの」という條項がございますが、公社が発行部数を定めるにあたりましては、発行部数を過度に引上げないようにお願いしたいのであります。日本新聞協会に加盟しております。新聞は、社会的に信用のある新聞でございますが、その中で発行部数の最も少いものは八千部というものがある実情でございます。  第十四條によりますると、電報は至急、普通、翌日配達という三種で、伝送及び配達につきましては、その受付または受信の先後によるということになつております。またあとの四十八條によりますと、電話においても同様でございます。その例外なるものは非常または緊急の電報あるいは通話というものに限定されておるのであります。ところが新聞通信放送事業者がニユースまたは槽報を伝えるために電報や電話を使うのは、多くの公衆に迅速に正確な情報を供給するという、社会的にきわめて重要な役割を果しているのでありますから、これを個人的な通報と同列に扱うことは適当でないと考えるのであります。料金におきましては、新聞電報あるいは新聞専用電話線についての特別の低い料率を定めておいて公共性を認めているのでありますから、さらにこれに一歩を進めまして、新聞電報の伝送、配達にも、優先的取扱いを認め得るように修正を希望したいのでございます。外国におきましては、新聞電報には一般の電報以上の優先的取扱いをやつております。普通のプレス電報でも一般の急報並に取扱つておるということは、外国特派員の間では常識になつておるのであります。また電話につきましても新聞通話というものが設定されまして、同様の取扱いを受けるようになると幸いだと思うのであります。また国際通話におきましては、受信人が料金を支払う制度が認められておりますが、国内の電話においても、受信人払い制度を設けられるよう希望する次第であります。  次に第五十八條の端末機器に関する規定は、具体的にどういうことをいうのであるか、明確を欠いておると思うのでありますが、これの意義を一層明確にされるよう書きかえられんことを希望いたします。  第七十一條には、新聞電報または新聞無線電報の料金、新聞予約通話、新聞専用電話などは、一般料金よりも低く定めることができるという一般規定をやつておりますが、これは先ほど中山さんもおつしやられました通りに、旧法と同じように新聞電報は他の電報の二分の一というように、その割引率を法律上明定されることが好ましいと存じます。また同法の最後にあります附則別表の第六、専用電話線につきましても、その料率は六千倍以内というだけ規定されておりまして、新聞の専用については具体的に倍率を示されておりません。これも従来と同様に特別の扱いをお願いしたいのであります。  さらに第七十三條「公衆電気通信役務の料金について、その総収入に著しい影響を及ぼさない範囲内において、軽微な変更を加えることができる。」となつておりますが、規定全体がきわめてあいまいと存ずるのであります。著しき影響とか、軽微な変更というような事実は、基準がなければ非常に主観的なものとなるわけであります。かりに軽微と認められれば、変更を繰返し行つても終局的には重大な変更となり得る可能性は、この法文上からだけでは許されるように考えられるのであります。全條削除されるよう要望いたします。  次に有線電気通信法案について意見を述べます。その第十一條及び第十三條には、有線電気通信設備は、政令で定める技術基準に適合するものでなければならないとあり、またはこれに適合したものでなければ種々の措置を命ぜられることがあるというふうに規定されております。この技術基準をあまり厳格に規定いたしますと、かえつて進歩を阻害するという震情もございますので、一定の基準以上の優秀なものについては、かえつてこれを奨励するような措置をはかられたいと思うのであります。たとえば現在の基準によりますと、専用有線電信は三局以上をつなげないということに規定されておりますが、専用者技術改善を加えますと、他の利用者に何の迷惑もかけずに四局、五局をつなぐということも可能であります。またこうしたことは通信施設や方式の改善として、むしろ奨励されるべきことでありますから、技術基準の決定には、低い技術基準にく撃づけされぬよう、特別の考慮を払われたいと存ずるのであります。またその技術基準の適用にあたつても、現在の施設のある状況を十分に考慮願いたいのであります。たとえば北海道の山の中とか、あるいは長崎の離れ島というようなところで、電気施設のないようなところに、現在放送を聞くための共同施設の有線ラジオがあるのでありますが、これが全国で十三万ばかりの加入者がございます。これらの現に施設があるものに対しては、技術基準を厳重に適用して改修を命ずるというようなことになりますれば、その維持は困難になるのであります。電話に始害を与えるというような事実がありますれば、改修は当然でございますが、現在何の迷惑も与えていないというものに対しては、そのような必要はないわけであります。要するに妨害の事実を規正するのであつて、単に基準の機械的適用にならないように要望したいのであります。  次に同法十二條には「郵政大臣は、この法律の施行に必要な限度において」「その設備若しくは帳簿書類を検査させることができる。」という規定がございますが、帳簿書類の種類を、設備に直接関連する帳簿書類というふうに限定いたしませんと、これが不当に濫用されるおそれがあると存ずるのであります。  最後に施行法の第三十二條に関連いたしまして述べたいことがございます。これはこの法律の中には明覆しておりませんが、公社の内部的規定によりますと、新聞の電信電話専用者電信電話債券を引受けなければならないということになつておるそうでありますが、これを引受けると、きわめて厖大な経費になるのでございます。しかるに一般の営利事業者とほとんど差のないところの専売公社などが、免除になつておるという事実がありますから、新聞通信放送事業者に対しても、この債券の引受免除をされるのが当然でないかと存ずるのでありまして、この点特に希望を申し上げておきたいと存ずる次第であります。     〔中村(梅)委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 橋本登美三郎

    橋本委員長 江尻参考人質疑はありませんか。——質疑がないようでありますから、次の参考人に公述をお願いします。  電気工事協会会長徳田榮太郎君。
  57. 徳田榮太郎

    ○徳田参考人 私は電話工事協会の徳田でございます。本国会に上程されましたところの有線電気通信法公衆電気通信法並びにその関係法案につきましては、私どもは全幅の信頼と賛意を表するものでございます。ところで私の所信の一端を述べさしていただきまして、ことにわれわれにおきまして一番関係のあるところの有線電気通信法並びに公衆電気通信法に盛られましたところの構内交換電話に関しまして、関心を持つものであります。つきましては、いささか構内交換電話の達の沿革を申し上げたいと存じま発す。  電信法の第二條によるところの、私設電話として設置せられましたところの構内交換電話は、明治三十九年六月、省令第二十九号をもつて加入電話回線に接続せられたのが初めてでありまして、それから幾多の変化発達を経まして、大正八年には全国の至るところに普及するに至つたのであります。そこにおきまして、工事担当者を規制する必要が生じまして、同年四月、逓信省令第九号をもちまして、私設電話交換設備の保守維持を行うところの、私設電話工事担当者の制度が確立いたしました。これによりまして、大正十二年の関東大震災に至るまでには、非常な発展と増加を見たのであります。しかるにこの関東の大震災によりまして、東京、横浜等各地の電話局が破壊、焼失いたしまして、その復旧は容易に進まなかつたのであります。このときにおきまして、電話利用者の強い要求と、われわれの計画によりまして、臨時特設電話という制度が時の逓信省の御理解によつて定められたのであります。電話加入者の要望を電話事業者がにないまして、幾多の困難を排しまして、昼夜兼行の努力の結果、幾旬も経ずして、臨時特設電話の通話が開始されたのであります。これが都市の復興の促進に役立ちました功績は大なるものと信じます。関東大震災は地方的災害であつたのと、逓信当局の熱意ある復旧工事によりまして、この制度は幾ばくもなく廃止せられましたが、この間国民の受けた福祉は申すまでもないと存じます。  震災後電話局の装置は自動化され、それに従いまして加入者の構内交換設備の自動化も促進せられました。しかし構内交換設備の対局線回路等は、省令第二千六号をもつてその基準を示したにすぎないのであります。電話回路につきましては、すべて電話事業者によりまして考案発明せられ、実用に供せられまして、円滑に運用されたのであります。また転換器によりますところの増設電話は、加入者が進んで電話事業者にその設備と保守をゆだねたのであります。何ゆえか、すなわち一言にして言いますならば、行き届くからであるということを一言する次第であります。  かような次第で、大東亜戦の半ばの昭和十八年四月には、全国のPBXが一万五千台、これにつながるところの内線電話が約二十六万個、また転換器によるところの乙種増設電話が、約十六万個ということになつたのであります。このすばらしい発展を見ましたのは、これは加入者が自由に設置することができたことと、私ども電話事業者のたゆまざる努力の結晶でありまして、電話設備と相まつて電話通信の重大なる使命を達成することができたのであります。常に逓信省の局装置とわれわれのやつているところ構内電話は、車の両輪のごとき関係にあつたのであります。しかるに戦争がいよいよ苛烈となるに従いまして、資材にも人的にも枯渇を覚えました全国の三百有余の電話事業者は、涙をのんで統合したのであります。すなわち先年までありましたところの日本電話設備会社であります。  終戦後、東京、大阪、名古屋、信越、東北、九州の同志が相集まりまして電話工事協会を設立いたしまして、一路構内交換電話増設電話設置利用者への復元の運動として来たのであります。今に至るまで八箇年、たゆまざる努力をいたしました。その間GHQまたは逓信省、または国会へと案情を訴え、陳情し、請願し続けて来たのであります。幸い昨年衆議院並びに参議院両院におかれましても、請願の意のあるところをお認めになりまして、われわれの請願を採択されたのであります。それによりまして加入者の希望し、私どもの目的に光明を与える段階に至つたのであります。それにつきましては今国会に出ましたところの公衆通信法並びに有線通信法のすみやかなる御審議と御採択を賜わりまして、多数国民の渇望してやまないところの電話行政を期待するものであります。一応今までの沿革を申し上げまして、公衆通信法並びに有線通信法につきまして一言意見を述べさしていただきたいと存じます。  公衆法の第三十六條に、附属機器の設置は、加入者は、公社が定める條件に従つて公社がつけるということになつておりますが、これを百五條の中に入れていただきまして、加入者も自由に設備ができるというようにしていただきたいと思います。それによりまして加入者の得るところは非常に多大であると存じます。また三十七條の公社予算において故障の修理をするという條項がございますが、これは加入電話はもとより、構内交換機といえども予算があるから直す、予算がないから直さないとかいうものでなく、これは当然全面的に直すべきであると存じます。そこにおきまして国家なり、公社の限られたる経済においては、加入者がみずからの費用において構内交換機その他を設備したいという場合には、これは進んで公社加入者にやらせる。それによりまして公社の方の経費がない場合には直さないとか、ある場合には直してやるとかいうめんどうがなくなると存じます。それでこの経費があるとか、予算の範囲内ということは、削除していただいた方がよろしいのではないかと存じます。それから、われわれに一番関係ありますところの第七章の雑則の第百五條、利用者による設置でございますが、この本文に対しましては賛成いたしますが、この第一項の三のあとに、先ほど申し上げましたところの乙種増設の字句をこの辺にお入れ願いたいと存じます。これは前に述べましたように、乙種電話機の発達しました歴史からいいまして、当然かくあるべきであろうと存じます。  それから第百五條の第三項の技術基準でございますが、これは必要なる限度とございますが、電気通信の発達普及のために、運用にあたつて、法の精神を無視した必要以上の苛酷な取扱いの規定をつくらないようにお願いいたしたいと存じます。  またずつと下りまして第八項には、「第五十二條及び第五十三條の規定は、工事担任者の認定について準用する。」とございまして、従つてこれは施行法の第十六條の、現在認可を受けている交換手その他に当然準ずるものでありますから、工事担当者は現在のまま認可せられるものと解釈させていただきたいと存じます。  なおこの工事担任者につきましては一つお願いがございますが、工事担任者は電話工事主任技術者と電話技術員と二つにわけていただきたい。それから電話工事主任技術者には段階をつけるべきではないと存じます。なぜかといいますと、弁護士にしろ、医師にしろ、会計士その他いろいろな免許関係がございますが、これらには級別とか種別とかいつたものはございません。なおまたこういう資格者につきましては、弁護士には刑事弁護士と民事弁護士、また医者にしましても外科医学士とか外科医学博士、また内科の医学博士というものはございませんから、これも一本にすべきであると存じます。但し電話技術員に対しましては、一本にすることも考えられると思いますが、これは甲乙とかいうふうにしまして、先年までありましたところの電気工事人に類するようにおきめ願いたいと存じ事。それからわれわれが一番関係ある点は工事事業者、これもまた戦前は一級から四級までございましたが、これは加入者の注文者によつて初めてその資格を云々される問題でありまして、この業者の認定につきましてはこれを郵政省なり公社が、それに一級、二級という段階をつくるべきではないと存じます。これは職業の自由を非常に妨げるものと考えます。電話事業者の認定にあたりましては、諮問機関をつくりまして、郵政省または公社の一方的な認定によらないようにひとつおとりはからい願いたいと存じます。  それからついでに申し上げますが、これはどこの法案にもございませんが、特に大都市におきましては鉄筋コンクリートの建物が非常にありまして、その内線の工事は今まで加入者、つまり利用者がみずからやつておつたのでありますが、電通省の制度がかわりましてから、これも全部郵政省の経費によつてやるということになりまして、これは当然ビルを建てる人がやるものであつて、何も郵政省がないそでを振つてまで、その仕事をやる必要はないのではないか。むしろそれは加入者の自由にまかせておいた方がよい設備ができると存じます。  それからずつと飛びまして、百九條について一言申し上げたい。百九條の三に、加入者電話の通話ができなくなつたときには、五日以上たつたときは損害賠償するといつておりますが私どもがずつと以前にやつておりましたときには宵越しの故障は置かないということが建前であつたはずであります。それが五日までは責任がないというような書き方をしておりますが、これは少くともこ十四時間ないしは四十八時間以内に必ず直すという建前でやつていただきたい。加入者損害賠償をとるのが目的でないと思いますから、五日間というのは長過ぎはしないかと思います。  それからずつとまたあとに行きまして、百九條の六になりますが、専用者が四十八時間以上専用設備を使用することができなかつたときとありますがこれは専用者というものは普通の加入者より以上にこれは必要性があるのでありまして——これは必要と申し上げてはちよつと変ですが、新聞社とか特殊なところでは高い金を出して専用線を使つておられるのでありますから、これは即時切りかえで故障が絶対ないとするのが建前であると存じますが、その点をひとつ御留意願いたいと存じます。  次に有線法につきまして、大体公衆通信法に盛られておりますから、これはあまりございませんが、第三條三項の三であります。これは警察事務、消防事務、水防事務、航空保安事務、海上保安事務、気象業務、鉄道事業、軌道事業電気事業、鉱業その他政令で定める業務を行う者が設置するものは、この規定を適用しないということになつております。ところが電気事業者自体が発電所なり変電所その他の機関と直通電話を引く場合には、この第三條三項の三が適用されておりますが、この電気事業者の変電所から需要者たる会社、工場の変電所には、大てい保安用の通信設備がありますが、その通信設備はとりもなおさずこれは電気事業同様として取扱うべきものでありまして、第九條の一般他人とは違うと思いますから、取扱いにあたりましてはこういうものはやはり電気事業法の一部分と見まして、需要家であるといえども電気事業電気供給のために使う保安通信でありますから、この第三條三項の三を適用するように規定をおつくり願いたいと存じます。  施行法につきましては、以上公衆通信法と有線法について申し上げましたところを重複すると思いますが、この施行法の十六條には、交換取扱者の従来やつているものはそのまま認可するということになりますが、工事担任者につきましても、この條項を適用するようにおとりはからい願いたいと存じます。  それからはなはだ申訳ありませんが、公衆通信法で一つ落しましたが、公衆通信法第百六條の第二号でございますが、字句が、この法律が発布された以上はどなたもごらんになるのでありますから、もう少しわかりやすく簡明に書き直していただきたいと存じます。これは「内線電話機のみと通話することができるように、構内交換設備にその構内交換電話加入者設置する私設有線設備電話回線を接続するとき。」これはわれわれ読んもなかなかかわからないのであります。これはもう少し簡単に、私たち考えるところでは、昔から言つているところの一部接続の電話であると解釈してよろしいかと存じますが、ひとつもう少し簡明にお書き直しを願いたいと存じます。  以上で私のこの法案についての申し述べることは大体済みましたが、これらの法案の通過によりまして、工事関係の中小企業者全国で推定約五百社かと思い達す。またこれに参加するところの従業員は約数万人といつては多いかもしれませんが、何万人かの人があります。これらは勤労階級でありまして、やはり公社の勤労者と同一の立場にあるのでありますから、このPBX加入者への設備規定されることによりまして、本来の経験が生き、たま停年で公社をよした方々の生きる道ができるだろうと存じます。また公社電話工事会社が二本建になることによりまして、加入者等は非常な便宜を得ることになります。しかし心配になることは、設備が悪くなるだろう、そのために公社に非常に迷惑がかかるということでありますが、それは工事担当者の資格とか、それから技術基準もありますし、またのみならずわれわれ団体におきましても、いろいろな方法をもちまして責任のある業務を行う確信があるのでございます。以上をもつて終ります。
  58. 橋本登美三郎

    橋本委員長 徳田参考人に対する御質疑はございませんか。松前君。
  59. 松前重義

    松前委員 徳田さんは大分長いこと施設の民営について、ことに最近におきましてはこのことに努力されたらしいのですが、いつごろからごの法案が通るように御尽力をなさつたのでありますか。
  60. 徳田榮太郎

    ○徳田参考人 われわれの運動は昭和二十年の終戦の年から、先ほど申し上げました通りに運動を開始いたしまして昨年この法案ができまして十三国会ですか、上程されましてから、われ需はいろいろな研究をいたしまして、ことにわれわれへに関係いたしますところの元の百三條、今の百五條、百六條の問題につきましては、前の許される範囲というものは、今手元にありませんから、ちよつと違うところもあるかもしれませんが、伺険なるところとか、電通省でできかねるところというようなところは、加入者に自由にやらせる。これは間違つているのではないか、むしろ公共的性質を帯びるならば、盾険な場所こそ公共的な性質のある電通省でやるべきであつて、これはいつそ全部PBXの発達の歴史から申しまして加入者の自由にさせるのであつて、むしろ公社はやめてもらいたい。しかしわれわれだけでやるということもできませんから、どちらもできるようにお願いしたいということで、一昨年の夏ごろから運動をいたしました。
  61. 松前重義

    松前委員 あなたに特に今日厳粛に責任を持つて答弁していただかなければなならないことが一つあります。それはいつのことか知りませんが、あなたが公聴会か何かで、衆議院か参議院の席上において、このPBX民営化に対しては、松前が工務局長の時代にその統合をやつたのであるが、その後意見を聞いてみたら、賛成のようなふうに聞いたから、それで自分たちはやつたというような前書きのもとにあなたは発言している。これに対して私といたしましては、全然これらの覚えがない。いつであつたか、どこであつたか、そうしてまたそういう証拠がどこにあるか、このような無責任な発言に対しては、実にわれわれとして政治的な場所においてしかも発言され、まことに迷惑千万であります。これについて徳田参考人に対して特に今日発言をしていただきたい。
  62. 徳田榮太郎

    ○徳田参考人 それでは私申し上げますが、松前先生に対しましては、この設備会社ができる当時いろいろお骨折りを願つており、この場で言うのではありませんが、私が常に尊敬していることは、昨年、一昨年お目にかかつたことがありますから、先生もすでに御承知だろうと思います。昨年参考人として六月十九日にこの席に出ましたときに、その記録も持つて来ておりますが、松前先生がこの開放に対して御賛成のようなことを言いました。それは昭和二十年の十一月二日に、私が先生にあてまして、三ページばかりの便箋に書きました。控えが便箋になつておりますから多分便箋だと思いますが、便箋、に書きまして、先生のおやりになつたことに対して、今度戦争も済んだごとだから開放してもらいたいということを、手紙ではなく使いをもつて先生のところへ差出しましたから、お手元へ届いたと思います。その返事が、先生も御賛成だから、何か折があつたならば会おうじやないかというお話を使いの者から聞いておりましたので、それを信じてそのことを申し上げたのであります。ほかに他意はございません。
  63. 松前重義

    松前委員 その問題が事案であつたかどうかは私は記憶がない。記憶はないが、そういう問題をこういう政治的な責任のある場所において——私がどういうあいさつをあなたの使いの人にしたかほんとうに記憶がない。責任のあることを言つたのならば、こういう重要なことであるから私は記憶しております。それに対してあなたはどういうお考えですか。
  64. 徳田榮太郎

    ○徳田参考人 私が使いにやつた者は約三十年来使つておりますし、私は信頼しておりまして、その人のことずけでそういうことを伺つたのであります。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 議事進行について。ただいま松前委員と徳田参考人との間に何か個人的なお話、また政治的な過去における問答の話がありますが、これは本案の内容とあまり関係がないことだと思いますので、この辺で打切られんごとを希望します。
  66. 橋本登美三郎

    橋本委員長 松前委員、大体速記に残つておりましようから御了承願います。
  67. 松前重義

    松前委員 ただいま徳田さんの御答弁のことについては、私としては全然記憶に残つていないことであります。そうしてこれらのことをこういう公衆の席上で堂々と発言される。そうしてこのPBX開放の案現のための運動にこれを使われるというようなことは、まことに迷惑千万であり、ごとに電通の委員として今日ここに立つておる以上、特にこの点は明らかにしておきたいと思うのです。これでこの問題は手切ります。
  68. 橋本登美三郎

    橋本委員長 他に徳田参考人に対する御質問はありませんか。——なければ次の参考人の公述に移ります。  東京私設電話連合会会長、読売新聞社総務部次長太田秀雄君、公述をお願いいたします。
  69. 太田秀雄

    ○太田参考人 私読売の太田でございます。東京私設電話連合会と申しますのは、PBX加入者が結束しました元の管理所の管内にあります管理者の会が統合しまして、昨年の十一月にできました連合会でございます。これはすでに昭和二十五年ごろを中心としまして、その後間もなく全東京に、各旧管理所管内ごとに成立したものでありますが、その結成の目的は、PBX直営の問題、公社引受のサービスの問題、これが中心になりまして、その改善を当局に要望し、苦情を申し述べ、サービスを向上してもらうということが、唯一の目的であつたのでございます。このたび本日審議されております三法案ができまして、われわれの欲しますところの問題はことごとくここに解決されておりますので、はなはだ満足に思つておる次第であります。私ここにちよつとお断り申したいのですが、案は発言のできない病気になつておりまして、けさほどまで発熱をしております。ただいまも発熱をしております。それでごく簡単に申し上げます。  PBX開放は、あらゆる面におきましてけつこうなことだと思います。第一に利用者が使いよい設備を持ち、これの保守ができる。それによつて通信の利便を十分にすることができることは、私ども自営をやつて参りました経験者としましては、よく存じておる次第であります。なお現在の公社経営状態からいいましても、かような末端設備はむしろ民間にゆだねられて、根幹となる設備に重点を置かれた方が、むしろ合理的であろうかと思います。なお従事します工事者の方にしましても、戦時中電通省あるいは逓信省に吸収せられました方々のことを考えますと、おそらくその後数年間水に油をさしたような状態であられるのではないかとも考えられます。これはわれわれ民間におきましても、会社の統合その他の場合におきまして、そういう種類の人事の交流というものは、なかなか人情を通じないものであります。今回この法案が成立しまして、再び元の古巣へ帰ることができるならば、これは非常に幸福なことだと思います。なおこの二本建の制度によりまして、将来公社で退職されました方も、再び民間に職を求められる道も開かれます。将来については非常によい法律であると私は考えます。  そのほか二、三気づきました点を申し上げますと、これは條文にとらわれずに簡単に申し上げます。乙種増設電話でございますが、これはあくまでも直営でおやりになるようになつておりますが、かような簡単な、しかもしろうとでもできるような設備でもございますから、これはどうか民間開放していただきたい。警察にしましても、ちまたの警備をいたしますけれども、屋内の警備はやりません。それと少し筋が違いますけれども、電燈にしろ、ガスにしろ、屋内の設備はほとんど自由にまかせております。  次に三十七條、これは公衆法でございますが、三十七條の復旧の問題ですが、「予算の範囲内」ということがうたわれておりますが、これは取扱い上の問題でございますから、一般に示される法律としましてはいささか国民に不安を与えますから、この字句を除かれたいと思います。  次に私どもPBXの会といたしましては、会に属します技術者が多数おります。彼らは各会社に所属しまして自営設備を保守しておりますが、社会的な地位の面におきまして必ずしも恵まれておるとは申されません。かように法律で特殊の技能を認められておる者でございますから、彼らをこの法文上に表現される場合、どうか工事担当者等の字句を多少お考えになつて、衛生管理者というように、電話管理者ないしは電話工事主任とか、そういつた適当な名称をお考え願いたいと思います。  それから公衆電気通信法百九條の損害の賠償の専用電話損害の、「四十八時間以上その専用設備を使用することができなかつたときは、」とありますが、これは非常に時間が長過ぎるように思いますから、最大限二十四時間ぐらいにとどめていただきたいと思います。専用電話を使用しますものは、先ほどもお話のありましたように、非常に重要かつ迅速を目的として使用しておるのでございますから、公社の責任を特に強く感じて、いただく上におきましても、時間を短縮していただきたい、かように思います。  なお前後いたしますけれども公衆電気通信法の四十七條に、市外通話の種類がございます。そこに普通通話、至急通話とかいろいろ設けておりますが、普通ではとうてい通じないというので、みんな至急通話に申し込んでしまう。そうしますと、至急通話が並報以下に下つてしまう、こういう状態でありますが、極力市外回線増設、拡充をはかられて、至急通和の利用度がもし並報程度のものに下つておるならば、一応断つていただくとか、そういうふうな取扱い方法をしていただきたいと思います。  なお現在のわが国の電話が、世界の非常に下位に置かれている。これについて今回五箇年計画が樹立されておりますが、民間においても債券あるいは設備負担金等、十分負担に甘んずるのでございますから、政府におかれてもさらに責任を痛感されて、むしろ重要国策の一つに、電話の復興ということを第一にあげられるように切望してやみません。  はなはだ粗雑でございますが、先ほど来諸先生が十分に私の申し述べたいことも御説明になつておりますし、根本的にこの三法に賛成でございますから、本日は健康の都合もありますし、これにて御勘弁を願います。
  70. 橋本登美三郎

    橋本委員長 委員各位に申し、上げます。ただいまお聞きの通りに、太田参考人は御病気の由でありますから、御質疑のあります方は簡単にお願いいたします。
  71. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 御病気中のところを恐れ入りますが、簡単にお伺いいたしますから……、  今電話は新聞社にとつては生命線の一つとも申すべき重要なる道具でございますが、現在読売新聞や何かで交換台の故障が起つたというような場合に、どんなふうに故障を直しておられますか、実情を簡単にお話いただきたい。
  72. 太田秀雄

    ○太田参考人 私の方は自営でやつております。四名ないし六名の専従の保守者がおりまして、夜間も二十四時間勤務で保守いたしております。夜間閑散時を利用しまして、全部の施設を点検しまして、毎日厳格に検査をします。一つ障害も置かないという状態に置いております。
  73. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 けつこうです。
  74. 橋本登美三郎

    橋本委員長 他に御質疑はございませんか。——質疑がないようでございますから、この程度にとどめます。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。本日は御多忙中にもかかわらず、長時間にわたりそれぞれ多年の御経験と御賢察に基く御意見を拝聴いたしまして、法案審査の上に多大の参考となりましたことにつきましては、心から厚く御礼申し上げます。  次会は明後日二十一日午後一時より開会することにいたします。  これにて散会いたします。     午後四時五十七分散会