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1953-02-12 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十二日(木曜日)     午後二時三十九分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 本間 俊一君 理事 有田 喜一君    理事 松前 重義君 理事 原   茂君       岩川 與助君    砂原  格君       貫井 清憲君    中曽根康弘君       淺沼稻次郎君    松井 政吉君       阿部 五郎君    山田 長司君  出席政府委員         郵政政務次官  平井 義一君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 二月十二日  有線電気通信法案内閣提出第四九号)  公衆電気通信法案内閣提出第五〇号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第五一号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  名古屋市の電話施設整備拡充に関する陳情書  (第一〇八七号)  川口市の電信電話施設整備に関する陳情書外  一件  (第一〇八八号)  山田電話局機械設備整備に関する陳情書  (第一〇八九号)  川越市の電話施設拡充に関する陳情書  (第一〇九〇号)  加須町の電話施設拡充に関する陳情書  (第一〇  九一号)  松山町の電話施設拡充に関する陳情書  (第一〇九二  号)  高松放送局存続に関する陳情書  (第一〇九三号) 同月十一日  高松放送局存続に関する陳情書  (第一一八四号)  徳島放送局存続に関する陳情書外二件  (第一一八五号)  同外二件  (第一一八六号)  佐賀放送局存置に関する陳情書  (第一八七号)  伊那電報電話局電話交換自動改式に関する陳  情書(  第一一八八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  有線電気通信法案内閣提出第四九号)  公衆電気通信法案内閣提出第五〇号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第五一号)  日本電信電話公社事業運営状況に関する件     ―――――――――――――
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより開会いたします。  有線電気通信法案公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案、右三案が先ほど本委員会に付託されましたので、本日の日程に追加し、審査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 橋本登美三郎

    橋本委員長 御異議なしと認めます。三案を一括議題とし、審査に入ります。平井政府委員
  4. 平井義一

    平井(義)政府委員 ただいま議題となりました有線電気通信法案公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案提案理由を御説明いたします。  この三法案につきましては、去る第十三回国会提出、第十四回国会継続審議となり、審議未了なつたものでありまして、その後の事情の変化、特に国際電信電話株式会社法施行電話加入権取扱及び電話譲渡禁止等に関するポツダム政令失効に伴い、必要最小限度の修正を加えるとともに、減価償却費不足及び設備拡充資金の一部を捕うため必要な料金改訂を行うこととしたことであります。  現在電気通信に関する法律としましては、有線私設電信電話を監督規律するとともに公衆電気通信業務を規律するものとしての電信法があり、無線に関する電信電話設備並びに運用を監督規律するものとして電波法があり、日本電信電話公社による電気通信設備建設及び保存のための土地使用については電信線電話線建設条例があり、電信電話料金については電信電話料金法があるのでありますが、これらの法律につきましては、電波法電信電話料金法を除きましては、明治中期に制定せられて以来、長年月の間ほとんどすえ置かれているのでありまして、これを現在の実情に沿うよう改正することとし、有線電気通信設備設置に対する監督法規として有線電気通信法を、公社国際電信電話株式会社が提供する電信電話サービスに関する基本的事項規定するとともに、公社がその電気通信設備建設保全するため必要とする土地使用に関する事項をあわせて規定するため公衆電気通信法を、またこれらの二つ法律施行するため必要な経過規定その他関係法律改正を行うため、これら二つ法律施行法を制定しようとするものであります。  次に法案規定してありますおもな内容について申し上げます。  まず有線電気通信法案につきましては、第一は、電気通信利便を広くするため、有線電気通信設備設置及び使用については、でき得る限り自由にすることを建前とし、ただ公社または会社が行う公衆電気通信業務独占を侵されることのないようにするため、公社または会社以外の者が有線電気通信設備設置し、または使用するについて次のような制限を設けております。  まず有線電気通信設備設置については、一人の専用に供するものは自由でありますが、二人以上の者が共同して設置することは、公社または会社業務独占の侵害となるおそれのない特定の場合に限りこれを認めることとし、また他人設置した有線電気通信設備との接続につきましても、共同設置と同様の取扱いをすることとしております。  また、公社または会社以外の者の設置した有線電気通信設備については、その設備を用いて他人通信を媒介し、その他、他人通信の用に供することを業とすることを制限しておりますが、社会経済生活実情に即応させるようにするため、前に申し上げました他人設備接続を認める場合において相互接続するとき、その他他の法律において別段の規定がある場合等において認めることといたしております。  第二としては、行政簡素化並びに有線電気通信設備設置者の手数を簡略化する趣旨から、届出、報告等手続必要最小限度といたしますとともに、有線電気通信設備設置及び使用に関する規律の保持についてもできる限り設置者の自律にまつ建前をとり、許可事項は極力少くしたのでありますが、技術基準について指導する必要があるものについては原則として工事の開始前に届出を要するこことしております。  第三に、他人設置した有線電気通信設備に漏話、雑音等妨害を与えないようにするため、また人体または物件損傷を与えないようにするため、設備設置及び保存上必要な技術的条件として必要最小限度基準を定め、もしこの基準に適合しないために、他人設備妨害を与え、または人体もしくは物件損傷を与えると認める場合においては、郵政大臣はその設備使用の停止または改修を命ずることができることとしております。  次に公衆電気通信法案について申し上げます。  法案は第一章から第八章までにわかれておりまして、第一章は総則でありまして、このうち、現行制度と異なるおもなる改正事項といたしましては、第一点として、従来日本国有鉄道船舶等私設電気通信設備設置者に対し、主務大臣供用命令により電報事務の一部を取扱わせていたのを改め、郵政省取扱う場合と同様、事務委託によることとし、その他必要と認める場合においては、他の者にも広く電報電話事務の一部を委託することができることといたしております。  第二点といたしましては、四月一日から発足する予定国際電信電話株式会社が行う国際電気通信業務範囲政令で明定することとし、公社は右の政令で定める業務以外の国際通信業務を行い、両者業務範囲が重複しないようにしておるのであります。これら末端の業務につきましては、両者はその重要なる事項について、郵政大臣認可を受けて相互事務委託ができるようにしております。   第二章は電報に関する規定でありまして、電報種類、伝送及び配達の順序等規定しておりまして、官報、局報、私報の区別をなくしたほかは、現在の取扱いとほとんど相違はありません。   第三章は電話に関する規定でありまして、現行制度と異なる重要な改正事項としましては、まず普通加入区域外加入電話設置するときは、新設に要する費用について現在は設備料として実費の料金を徴収しているのを改めまして、その負担合理化をはかることとしたこと、次に加入電話種類として、現在の単独電話及び共同電話のほかに甲種増設電話機、いわゆるPBXを加えたこと、加入電話利用関係を私法上の契約関係であることを明定したこと、また電話加入権取扱及び電話譲渡禁止等に関する政令失効に伴い電話加入権譲渡は自由となりましたが、投機的な加入申込みを抑制するため、電話加入権譲渡した者がその加入電話同一加入区域内において、一年以内に加入申込みをしたときは、その加入申込みについては事実上承諾できないこととすることであります。  第四章は公衆電気通信設備専用についての規定であります。  第五章は料金に関する規定であります。現在各種サービスに対する料金は、すべて法律をもつて定められているのでありますが、これを改め、主要な料金法律で定め、その他の料金公社または会社郵政大臣認可を受けて定めることといたしております。  なお現在料金滞納の場合は、国税滞納処分の例によつて徴収することができることとなつているのでありますが、今後はすべて一般の民事上の手続によつて取立てることに改めました。なお料金改訂につき)ましては、後ほど御説明申し上げます。  第六章は土地使用に関する規定でありまして公社において、公衆電気通信業務の用に供する線路、空中線及びこれらの附属設備設置するため、他人土地等使用する必要があり、かつ適当であるときは、土地収用法によらないで、この章に規定する手続に従い使用権を設定できることとし、別に政令で定めるところにより対価を支払うことといたしております。また他人土地の一時使用立入り、植物の伐採等をなし得る旨を規定しておりますが、これによつて生じた損失に対しては、適正な方法で適正な補償をすることといたしております。  第七章は雑則でありまして現行制度と異なる主要な事項としましては、構内交換電話交換設備内線電話機または専用設備端末機器設置保存については、現在原則として公社独占とし、特別の場合に限り、加入者または専用者の自営を認めているのでありますが、利用者要望等にかんがみ、今後は公社が行うほか、加入者または専用者が自由に建設保存を行うことを認めることといたしました。  但しこの場合において、これらの設置について公社郵政大臣認可を受けて定める技術基準に適合することを要し、かつ郵政省令で定めるところにより交換設備種類に応じた資格を有する工事担任者によつて建設保存を行わせることとしております。  また現在においては、電信電話サービスを提供すべき場合において提供しなかつたため利用者損害を与えたときには、一切その損害を賠償しないことになつておりますが、これを改めまして、その損害が不可抗力及び利用者故意過失によつて生じた場合を除いて、一定の場合に一定額限定賠償をすることといたしております。  第八章罰則に関する事項規定しておりますが、公社または会社業務法規である建前上極力罰則は少くし、この法律実施を確保するため必要なもののみを規定しております。  次に料金改訂について申し上げます。わが国電信電話事業の当面している最大問題は、投下資本維持が不十分であるためそのサービスが低下していることと、拡張資金不足のため厖大な電話需要を充足することができないことにあります。このためには資産の健全なる維持をはかるため必要な償却費を計上するとともに、老朽施設の徹底的とりかえを行い、かつ設備拡張に要する資金を確保することが肝要であります。この要請を満たすため、一面公社をして必要経費を極力節約し、経営合理化を推進せしめることはもちろんでありますが、他面上記所要資金の一部をまかなうため、やむを得ず昭和二十八年度より平均約一〇%の電信電話料金値上げを行うことといたしたのであります。  その概要を申し上げますと、まず内国電報については、現在多額赤字を生じており、給与ベース改訂に伴い、ますます事業赤字増加いもまするので、相当大幅の値上げを行う必要があるのでありますが、今回は最小限度値上げにとどめることとし、市外電報基本料現行十字まで五十円を六十円に改正し、累加料その他の電報料はすえ置くことといたしております。  次に市内電話料金につきましては、度数制局基本料のみについて平均三五%の値上げを行い、度数料はすえ置くこととし、均一制局については度数制局料金との均衡を考慮し、平均約六%の値上げを行うことといたしました。なお度数制局における度数料を含めた値上率は、東京単独事務用加入当り平均約一四%、大阪で約八・六%と相成ります。  次に市外通話料については、現在近距離区間における料金が相当原価を割つておりますので、これを経費に対応する合理的な料金に是正するという見地から、この際この区間料金値上げを行うこととし、現行の待時区間最低料金七円を十円とし、八百三十キロまでの区間についてそれぞれ五円ずつの値上げを行い、これを越える区間についてはすえ置くことといたします。また即時、準即時区間料金は、現行待区間普通通話料の主ないし六割増となつていますが、これを五ないし八割増とすることといたしております。  また市外専用電話料については、市外通話料値上げに伴う値上げのみとし、市外通話料に対する倍率は変更いたしません。また電信専用料及び市内専用電話料については、それぞれ五〇%の値上げをすることといたしております。  最後に、有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法について申し上げます。  前に申し上げました有線電気通信法及び公衆電気通信法施行期日を四月一日と定め、またこれらの法律施行に伴い、これらの法律に吸収せられる電信線電話線建設条例電信法及び電信電話料金法の三法を廃止し、これらの法律の廃止に伴い必要な経過規定規定しております。  このうちおもな事項といたしましては、明治三十九年から大正八年までの間に五円ないし十五円を納付して今日に至るまで電話設置を見ないものが原簿上約十二万あるのでありますが、この際これらの権利の帰属を確定整理して、なるべくすみやかに架設して行くこととしたことであります。  なお有線電気通信法及び公衆電気通信法施行に伴い、電話設備費負担臨時措置法電波法海底線保護万国連合条約罰則等関係法令改正することといたしております。  以上まことに簡単でありますが、有線電気通信法案等の三法案提案理由及びその内容の概略を説明申し上げた次第でありますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  5. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ただいま平井政府委員から説明のありました右三法案に関する質疑は、次会に行うことといたします。     —————————————
  6. 橋本登美三郎

    橋本委員長 次いで電気通信事業経営に関して調査を進めます。  まず日本電信電話公社当局より説明を求めます。日本電信電話公社総裁梶井説明員
  7. 梶井剛

    梶井説明員 日本電信電話公社関係事項につきましては、郵政大臣より相当詳細な御説明があつたのでありますが、直接公社事業運営を担当している者といたしまして、私から二、三の点について御説明申し上げたいと思います。  日本電信電話公社職員給与の問題につきましては、旧年末の本委員会において、多大の関心をもつて御指示ごあつせんを賜わつたのでありますが、その後昭和二十八年度予算において給与総額として三百三十五億円を計上することとなり、この総額範囲内で、昨年十一月八日公共企業体等中央調停委員会の示された調停案趣旨を尊重し、国鉄及び専売との均衡をも考慮した給与改訂を行い得る見通しを得ましたので、全電通組合との間に本年一月二十日賃金改訂に関する協定を締結いたしまして、昨年の十一月一日にさかのぼつて実施することとし、ここに給与改訂に関する問題は解決いたした次第であります。  この機会に、本委員会において給与改訂について多大の御支持をいただきまして、従業員一同が厚く御礼を申していることを申し添えておきます。  次に二十八年度の予算について申し上げます。二十八年度の公社予算は、公社法が全面的に適用されることになります意味におきまして、公社初年度予算であり、従つて公社将来の礎石をここに定めることに相なるわけであります。当公社といたしましては、二十八年度予算重要性にかんがみ、当面する最大の問題である事業経営基礎確立建設資金の確保、職員給与改善及び事業の合理的、能率的運営予算編成上の基本方針と定めたのであります。以下公社予算案内容について御説明申し上げます。  損益勘定収入支出はともに総額で八百九十五億円となつておりまして、前年度に比較して百四十億円の増加であります。収入の中には本年四月から実施予定いたしております料金改訂による増収分八十億円を含んでおります。また支出におきましては、減価償却引当金のほかに二十二億円程度の金額を建設勘定に繰入れることになつております。支出内容職員給与利子減価償却費、その他の四項目にわけて説明いたしますと、職員給与は二百八十五億円で総経費の三三%を占めており、前年度支出予算において職員給与が占めていた割合の二九%に比較しますと四%の増加なつております。しかしながらこの人件費増加は、当公社職員給与べースを国鉄及び専売とほぼ均衡のとれたベースにいたしたためでありまして給与総額算定基礎なつております予算定員におきましては、設備拡張取扱量増加にかかわらず、新規増員については、現在要員の合理化をはかることにより、思い切つた圧縮を加え、高賃金高能率趣旨実現する方向に一歩進めた次第であります。  次に利子は四十三億円で総経費の五%を占めており、前年度の支出割合に比し一%の増となつております。また減価償却費は百九十一億円で総経費の二二%を占め、前年度の支出割合に比較して四%の増となつております。  しかしながら以上の経費を除くその他の経費は三百五十三億円で、総経費の四〇%に当るのでありますが、前年度の支出割合と比較しますと九%の減になつておるのであります。  以上のごとく二十八年度予算におきましては、事業設備拡張に伴い当然増加すべき減価償却費及び利子のごときもののほかは、事業経営費については相当思い切つた合理化効率化を期することとし、従業員の待遇についてはできるだけ改善いたすことといたしたものであります。  次に建設勘定について御説明申し上げます。建設勘定収入支出はともに総額で四百六十一億円となつておりまして、前年度に比較いたしますと百一億円の増加であります。前年度に比べまして特異な点は、運用部資金の借入れが九十五億円減少したこと、電信電話債券発行が逆に百二十八億円に増加したこと、損益勘定からの繰入れが七十五億円増加したことの三点であります。  電信電話拡充整備につきましては、世界文明諸国に比し電話普及度ははるかに劣位にあり、わが国産業経済発展の上からも、政治、治安、文化等の面からも電信電話設備拡充整備に対する熾烈な要望があるのにこたえまして、年々二十一万の加入電話増設するとともに、市外通話の疏通を改善することを目途とした電信電話拡充五箇年計画を策定し、その第一年度に当る昭和二十八年度においては約七百二十億円の経費予定いたしたのでありますが、諸般の事情により四百六十一億円に圧縮するのやむなきに至りましたので、加入電話増設二十一万の計画を十四万に、専用線を含む市外電話回線三十一万二千キロの計画を十九万五千キロにそれぞれ計画を圧縮いたしたのであります。本計画におきましては、その重点を最も改善を急務とされております大都市電話拡張及びその相互間の通話の速達並びに将来の電話増設基礎となる電話局舎及び市外ケーブル施設建設に置いております。  市内電話につきましては、需要の大部分を占めております東京に四万、大阪に一万八千八百の加入電話増設予定するとともに、昭和二十九年度以降における電話増設に備えて必要な電話局都心部建設することといたしておりますが、その他の都市においてもできる限り電話増設電話局建設をはかる予定であります。なお農村に対しましても、郵便局はあつて電話のない村に対し通話機関設置いたしますほか、できるだけ公衆電話設置して農村に対する電話普及をはかる予定であります。  次に市外通話につきましては、東京大阪間、東京名古屋間、大阪名古屋間の通話をほぼ待合せなく接続できるようにし、また京浜間、阪神間等大都市周辺通話改善をはかりますとともに、四国、山陰、東北、北海道方面に対して幹線ケーブルまたは超短波無線設備整備し、市外通話改善をはかることといたしたのであります。  以上のごとく、電話増設通話迅速化サービス改善の眼目といたしたのでありまして、公社といたしましては本計画の完遂に最善の努力を払う所存でございますが、国民の要望からするならば、決して十分とは言えないのであります。これらの要望に応じ、わが国発展に寄与するためには、最低限先に申し上げました五箇年計画実現にまつほかはないのでありまして、遺憾ながらこの計画に相当のずれはできましたが、今後においてもさらにこの計画実現のために努力いたしたい所存であります。  なお二十八年度予算案におきましては、電信電話債券によりまして百四十八億円の資金を調達することとなつておりますが、そのうち一般公募によります百億円につきましては、当公社といたしましては、完全消化可能の範囲内でできるだけ低利かつ長期のものが望ましいのでありますが、その発行条件については関係方面と打合せ中であります。  最後に本年四月から実施予定料金改正について御説明申し上げます。  公社は現在多額借入金を持つておりまして、本年の三月には六百五十二億に上る見込みであります。  また今後設備拡張に伴いまして借入金がますます増大することは必至であります。従いまして借入金利子負担借入金の償還は公社事業運営にとりまして、今後ますます大きな負担なつて来るわけであります。また現有設備維持を完全にし、老朽施設のとりかえを行つてサービス改善をはかることも、事業当面の重要課題であります。このような点を考慮いたしまして、公社の企業的、経済的基礎確立し、他人資本調達上の信用基礎を打立てることは、独立企業体としては当然必要なことでありますが、これがためには若干の料金値上げを必要とするのであります。しかしながら料金値上げ社会に及ぼす影響が大きいことを考慮いたしまして、料金値上げ必要最小限度にとどめ、事業経営的運営費については極力合理化能率化を促進することとし、料金値上げによる収入は主として企業的基礎確立建設改良のための財源に充当することといたした次第であります。  すなわち料金値上げは大体平均一割程度予定いたしておりますが、これによる増収分八十億円は、大部分減価償却老朽施設のとりかえに充当して、サービス改善をはかるとともに、一部分建設改良に充当して設備拡張をはかり、利用者利便を一層促進する考えであります。簡単でございますが以上をもつて私の御説明を終ります。
  8. 橋本登美三郎

    橋本委員長 梶井総裁説明に対して質疑の通告があります。これを許します。松前委員
  9. 松前重義

    松前委員 ちよつとお尋ねいたしますが、前年度に比較して予算が大体百四十億円を増加しておりますが、この百四十億の増加というのは非常な大きな問題だと思われます。この点は御努力の結果によつて通信拡充一般的に認められたために、増加したものであると考えられるのでありますが、しかしこれだけのものをほんとうに完全に消化いたしまするのには、相当の準備と構えが必要であると思うのであります。現在製造工業からあるいは工事に至るまで、あるいはその他の事務的な営業方面の問題、あらゆる点において従来と異なつた態勢をお持ちになつておられると思うのでありますが、それらについてお伺いをいたします。
  10. 梶井剛

    梶井説明員 ただいまの松前委員の御質問に対しましてお答えいたします。二十七年度に比較いたしまして、百四十億円の増加である。従つてそれに対する実行能力はどうであるかというお尋ねと存じます。今日まで私が経験いたしましたところによりますると、製造工業の方面におきましては、現在製造能力には十分の余裕がございます。少くとも現在生産しておる数量の約倍の製造能力を持つておると考えておりまするから、百四十億円の増加に対しては、十分間に合うように生産ができると考えております。また次に工事能力でございまするが、工事能力につきましては二十八年度におきまして、現在持つておりまするところの公社内の工事能力をもつてすれば、あるいは不足を告げるのではないかと考えております。従つてその不足な分に対しましては、民間の工事能力をできるだけ動員いたしまして、予定通り工事を竣工させたいと思います。しかし根本におけるわれわれの懸念しおりまする点は、設計の能力であります。設計能力が欠けておりまするならば、自然準備が遅れまして従つて実行する期間が非常に圧縮されて参るのであります。従来の実績に徴しますると、年度内において予定通り工事は竣工いたしませんで、往々にして翌年度に相当多額の繰越しをいたしておるのであります。このことは公社事業運営上から見ましては非常に不利益であるばかりでなく、加入者にとりましても、早く開通すべきものがおそくなるのでありまするから、一般国民にとりましても非常に失望を招く次第であります。従つて来年度における工事の幅というものを考えまして本年よりその準備に着手しなければなりません。従つてこの予算国会において可決されるものとの仮定のもとに、一月中においてすでに計画を大体立てまして、そうして二月中に工事設計を完了し、そして三月中に予算化して、四月一日から実行に移るようにいたしたいと考えております。そればかりでなく、旧年中に可決せられましたところの補正予算の実行も伴つておりまするので、どうしてもあらゆる努力を傾けて設計期間を短縮して、実行期間を十分にとるという方法によつてこの予算の実行に遺憾なからしめたいと考えておる次第であります。
  11. 松前重義

    松前委員 御計画を承りましたが、ただいまの非常に画期的な予算増加の大きな原因といたしましては、社債によつておるところが多いのであります。この社債の募集その他につきましてのお見通しを伺いたいと思います。
  12. 梶井剛

    梶井説明員 来年度の社債募集につきましては、まだ画然たる見込みが立て得ないのでありまするけれども、補正予算において可決せられました二十億の社債募集につきましては、本年になつてから新しく加入を希望せられる方々に対して照会を出しまして、現在回答を得ておりまする率が約七十数パーセントに上つておりまするが、それは大部分社債を持つという御返事であります。回答のあつたうちで、社債を持ちたくないという御返事のありましたのは、わずかに一・八%にすぎません。未回答の部分につきましては、これはイエスかノーかまだはつきりいたしませんけれども、現在までの回答によりまして、二十億の社債消化は大丈夫だという見通しが立つておるのであります。従つて受益者の負担の社債につきましては不安はございませんけれども、来年度におきましては百億の一般公募の社債がございます。これにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、発行条件によつてその公募の成績がきまるかと思うのでありまして、目下これは関係当局と協議いたしまして、消化の見込みの確実な発行条件を決定した後に発行いたしたいと考えておるのであります。
  13. 松前重義

    松前委員 相当に厖大な予算でありまするので、これの消化に対しては、ただいま承りましたいろいろな問題の解決、あるいは態勢の整備、それらのことによつて目的を達せられるであろうと期待いたしておるのでありますけれども、しかし何をおきましても、これだけの予算の消化に対して、しかも複雑多岐なこの電信電話建設に必要なる資材、これらの購入あるいは工事というような、非常に複雑な内容を持つておるものでありまするから、さらでだに過去において非常に起りましたところの、言いかえますと一種のスキヤンダル、こういうふうなものが起りやすい条件があるのではないかと思われるのであります。御就任後におけるいろいろな御努力は承つておりまするけれども、具体的に今後この予算を遂行されまするにあたりまして、具体的な綱紀の面に対する、何と申しますか、構えをお持ちでございましようか。
  14. 梶井剛

    梶井説明員 過去におきまして綱紀が紊乱いたしておりました事実は、仰せの通りであります。従つてその後におきましては、電通省時代におきましても、大臣以下鋭意その弊害を除虫するように努められたと聞いております。また公社になりましてから、特に綱紀粛正については厳重に申渡したばかりでなく、従来とかく仕事の運営が下部機構に行つておりまして、上部の人が十分に監督することができなかつたというような感じがいたしましたので、先般の機構改革におきまして、これらの仕事の中心をできるだけ責任者のところに持つて来るようにいたしました。そして責任と義務とを一致せしめるよう、従来本社において細大漏らさずきめておりました事柄を、範囲を定めまして地方の責任者に委任して、十分その責任をとつてもらうように取扱いを変更いたしました。また同時に、従来弊害のありました部局におきましては、人事を大幅に異動いたしまして、その弊害の除虫に努めておる次第であります。
  15. 松前重義

    松前委員 もう一点お伺いいたします。予算内容なつておりますこの計画につきましては、ことに市内電話計画はさほど特異な計画を必要としないのでありますけれども、市外電話の問題になれば、相当の技術的な条件が計画の中に織り込まれて来なければならないのでありまして、御説明にもありましたように、四国、山陰、東北、北海道方面に対しては、幹線ケーブルまたは超短波無線設備整備し、市外通話改善をはかる、こういうふうな御説明がございました。いずれにいたしましても、この日本の国土がいくら狭いといえども、通話を完全ならしめるために必要な条件としては、基本的な不動の計画がなければならないと思います。いろいろな意味におきまして、技術的条件、あるいは経済的、あるいはその他の条件に即応いたしますために、あるところは有線をもつて連絡し、あるところは無線をもつて連絡するというように、それぞれの使命をもつて連絡しなければならぬと思うのでありますが、この計画内容で、御説明の中にはありませんでしたけれども、いわゆる有線無線との配置、これらの基本計画における地位、それらの問題について、大体の概念でよろしゆうございますが、御説明いただければ幸いだと思います。
  16. 梶井剛

    梶井説明員 市外ケーブル線に対する計画につきましては、先般立てました五箇年計画によりまして、五箇年後においてどの程度サービスになるかという目標のもとに回線計画を立てました。しかしその主幹になりますものは、やはり長距離ケーブルであります。しかも最近における技術によりまして、無装荷ケーブルに搬送を二十四チヤンネルかけることができるように相なりましたので、従来の既設のケーブルをできるだけ有効に使うことによりまして、回線の増加をはかるつもりであります。しかし北海道方面、特に盛岡以北あるいは九州方面の福岡以南、それぞれにおきましては、まだこの長距離ケーブルが完成しておらない部分がございます。従つて今度の計画におきましては、その貫通しておらない長距離ケーブルを、北海道から九、州の南まで全部貫通する計画をいたして、それに先ほど申し上げました二十四チヤンネルの搬送をかけまして十分な回線を得たいと考えております。しかし一方におきまして最近のマイクロ・ウエーヴの進歩によりまして相当の回線数が無線によつて比較的経済的に得られるようになりました。従つて有線によつて市外線の大部分を解決いたしますけれども、しかし災害等の場合を考えまして、一方においていかなるときにおいても通信の杜絶しないように、幹線に関する限りは特にマイクロ・ウエーヴのチヤンネルを施設する必要を感じたのであります。従つて来年度におきましては、東京大阪間にマイクロ・ウエーヴの施設をいたします。さらに進んで九州及び北海道に対してマイクロ・ウエーヴの施設を、五箇年計画中において実行する予定であります。その他の島嶼であるとか、どうしても有線でなく無線でなければならないところは、従来とても超短波をもて連絡しておりますばかりでなく、あるいは中央山脈を横断するような風雪害のはなはだしいところにおきましては、とかく線路の障害を起しやすいので、やはり二百メガの超短波回線を現在においては施設しつつあります。大体市外線の計画といたしましてはこの程度でございます。
  17. 松前重義

    松前委員 いろいろな点でお伺いしたいこともたくさんにございますが、今日はこの程度で打切つて今後に譲りたいと思うのでありますが、もう一点ちよつとお伺いしておきたいと思います。海外より輸入しなければならないものの中に、一体どういうものが入つておりましようか。
  18. 梶井剛

    梶井説明員 ただいまのところでは、マイクロ・ウエーヴの施設を一部分輸入したいと考えております。この点は先ほど申し上げました通りに、東京大阪間において国産のマイクロ・ウエーヴでやるにもかかわらず、海外からマイクロ・ウエーヴの施設を輸入するというのはどういうわけであるかという御疑念が起ると考えますが、現在における国産のマイクロ・ウエーヴはまだ研究過程にありまして、アメリカや英国におけるマイクロ、ウエーヴのごとく十分にチヤンネルがとれません。従つて経済的にはまだ十分でないと考えるのでありまして、東京大阪間にテレビジヨンの関係もありまして来年度において施設いたしますが、それは将来においてさらに改善するつもりであります。従つてその意味において再来年度ぐらいにおきまして、九州方面におけるマイクロ・ウ・エーヴの施設を輸入したい、こう考えております。その他には将来における自動交換の発達を考えまして、欧米における自動交換が大体クロスバー・システムにだんだん転換されるという傾向になつておるのであります。従つてわが国において現在使用いたしておりますところのステツプ・バイ・ステツプ・システムがだんだんライフが来まして、老朽になつて来るのに対して、これを置きかえますとするならば、新しくクロスバー・システムに変更するのが適当ではないかと考えております。目下クロスバー・システムについてはまだ十分に調査ができておりませんので、今後研究調査をいたしまして、機会を見て輸入し、そうしてさらにこれを国産化して将来は使いたいという考えでおります。
  19. 松前重義

    松前委員 大体これで御質問の点は終ることにいたしますし、あとの問題は後日にいたしたいと思います。  ただ一言、今回の国際電信電話株式会社ができますにつきまして、従来公社におられた従業員の諸君、国際電信電話に関する業務に携わられる方々が会社の方に行かれるのでありますが、これらの方々の行かれる条件、あるいは行かれた後における待遇の問題等につきまして、現在の公社のおやりになつておられる現状を御説明願いたいと思います。
  20. 梶井剛

    梶井説明員 国際電信電話株式会社は四月一日から設立されるのでありますから、今日においてただいまお尋ねの点を決定しなければならないのであります。しかしまだ国際電信電話株式会社の幹部も公に決定されておりません。従つてその間の打合せもいたしかねておりますけれども、大体われわれが考えますのに、新たにできます国際電信電話株式会社の収支予算という立場から見ますならば、現在の待遇が急激な変化をすることは、収支予算の上において非常なむずかしい問題が起るのではないかと考えますので、一応現在の待遇のままにおいて国際電信電話株式会社の方に移るものと考えております。将来の会社の収支状況を見て、会社がその待遇を改善されるという場合がないとは限りませんけれども、その点につきましては将来にまたなければわかりませんので、ただいま申し上げました通り一応現在の待遇によつて移ると考えております。
  21. 松前重義

    松前委員 退職の関係はどうでしようか。
  22. 梶井剛

    梶井説明員 退職金につきましては、従来の行政整理のときに準じてやりたいという考えを持つておるのですが、郵政大臣並びに大蔵大臣の認可を得なければなりませんので、目下その手続を進めつつある程度でございます。
  23. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの総裁の御説明を伺いまして本年度の事業のかくあるべきという方向の御指示を大体伺つたのでありますが、実は電信電話公社の下請会社と称して、本社が東京都品川区中延四丁目にある大興電機製作所という会社があるのですが、その会社の下請工場が栃木県塩谷郡の矢板町というところにありまして、一月二十四日から今日ストライキに入つているわけです。そこでつくつている製品は、電信電話公社の下請会社だというのでありますから、継電器及び継電器群装置、二号B、ダイヤル、それからダイヤル受口、ダイヤル試験管その他通信機関係の器材をたくさんつくつているというわけです。それで電信電話公社からの注文が半減してしまつた。それは電信電話公社事業を縮減したのだということを、電信電話公社のどなたかわかりませんが、その会社に申されたことによつて、首切りを発表して現在二百数十人の人たちがストライキに入つているわけであります。そこで私の方で伺いたいことは、下請会社であるのかどうか、それからもし下請会社であるとするならば、それについてどういう形で受注を半減してしまつたのか。ここでおわかりになりましたならば、ちよつと伺いたいと思います。
  24. 梶井剛

    梶井説明員 大興電機製作所というのは、今お話がありました通りにリレー、ダイヤル等、電話部分品をつくつている会社であります。従つてそこで生産しますものの大部分は、大きな製造会社に納入されております。その一部分公社の保守用の部品として納入されております。その部品のダイヤルは自動電話機に付属しているものです。リレーは多くは手動交換機の部品として製造されているものでありまして、自動交換機の部品もリレーにはありますけれども、自動交換機に付属しているリレーはほとんど大会社がみずからつくつておりますので、大興電機に下請にはいたしておらないと思います。さような次第でありまして、手動交換機の受注の数量によつて、相当大きな影響を受けるという結果を招いているわけです。これは私ども公社の倉庫の内容を見ましたところが、在庫数量は相当多いのでありまして、従つて過当に物を買い過ぎておりますと、それだけの資金が寝てしまつて、有効に使われないのでありますから、できるだけ合理的に在庫数量を制限する必要があるのであります。過去においてこれらの計画があつたのだろうと思うのですが、現状から見まして、どうしても在庫が過当に多いものでありますから、従来のごとく新たに購入することを差控えまして、その資金によつて加入者並びに市外線の開通に向けたいというふうにやつているわけであります。また保守の部品にいたしましても、やはり在庫数量を調べますと、相当の数量に上つておりまして、少くも現状においては新たに購入する必要を認められないのであります。さように過去における集積、あるいは過当なる購入数量が、今日においてしわが寄つて参りまして、ただいまお尋ねのような結果を招いたのだろうと思います。特に私どもの方で、小さな会社から購入を避けるような方針をとつたわけでは絶対にないのであります。従つて従来公社といたしまして、将来どういうふうに品物が必要であるかということを検討いたしまして、各会社に対してあらかじめ自分らの生産計画が立てられるようにいたすことが往々にしてございますのですが、その状況にかんがみまして、ただいまお尋ねの会社は、将来における生産計画を立てて、現在の従業員では多過ぎる、従つて会社の生産規模を縮小しようという意図のもとに整理をやつたのではないかと思います。それ以上会社の詳しい事情については知りませんですが、ストライキが始まつておるということは聞いております。
  25. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの総裁の御説明で要領を得たのでありますが、ここに働いておる二百数十人の人たちは給料をもらわない。しかも集めるときには電信電話公社の下請会社であるということを訴えて人を集めておるというような関係で、集まつている周辺の人たちとしましては、こうした事態は全然御存じないという点もあるかと思いますけれども、そういう形でお集めになられ、しかも納入しておる製品が公社に入つておるというようなことから、公社の下請会社であることは間違いなく、そういうふうに信じておつたものと思うのです。これに関して私の方からの要望でございますが、大興電機製作所に対して、そういう訴え方で人を集めたのでありますから、公社として何らかの迅速な解決方を要請するというようなことはできないものかどうか、これをちよつと伺いたいと思います。
  26. 梶井剛

    梶井説明員 ただいまのようなことは、ちよつと公社としてはいたしかねるのではないかと思います。むしろ公社の下請会社と言いふらしておつたとすれば、それは非常な間違いでありまして、単に製造されておる部品を直接に購入しておるのでありますから、公社に納入しておる会社というにすぎないのであります。公社が特に特別な縁故をもつて、下請会社としてとりはからつておるわけでは毛頭ございません。従つて公社がその会社の争議に対して口を出すべき権利も何もないと存じます。
  27. 橋本登美三郎

    橋本委員長 前回の委員会で原委員から政府に対して、進駐軍関係の質問がありましたが、それに対して政府側の答弁がそろいましたそうですから、政府の説明をお聞きいたします。平井政務次官。
  28. 平井義一

    平井(義)政府委員 先般の御質問に対してお答え申し上げます。公社の二十八年度予算に駐留軍及び保安隊、警備隊関係の経費はどの程度計上されておるのか、こういうお尋ねであつたと思うのであります。駐留軍及び国連軍に提供する電信電話サービスに対する収入といたしましては、約七十五億円を計上しております。このサービス提供に要する経費は別わくになつておらないで、公社のそれぞれの経費に溶け込んでいますので、判然といたしかねるのでありますが、おおむね収入に似た金額と予想されるのであります。また駐留軍関係の工事につきましては、予算編成のときまでには要求がありませんので、本予算中には計上されておらないのであります。今後要求がもしもあつた場合の予算措置につきましては、予算総則第二十一条によりまして工事実施ができるように御審議を仰ぎたいと思つておる次第でございます。  次に保安庁関係につきましては、収入支出一般のものと区別をされておりませんので、その金額は判明しておりません。一般の官庁同様になつておる次第でございます。また保安庁の通信施設の要求については、現在のところは不明でございます。  以上先般の御質問に対するお答えを申し上げます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 今の御説明がちよつと聞き取れなかつたものですから、あとで記録を見た上で追加の質問を保留しておきます。
  30. 橋本登美三郎

    橋本委員長 松井委員。
  31. 松井政吉

    ○松井委員 政府から提案になりました三法律の問題は次会ということでありますから、次会に質問をいたすことにいたしますが、電通公社の当局にただいまの説明に関連をして三つだけお伺いをいたしたいと思います。  この前もちよつと説明があつたように記憶いたしておりますけれども、建設資金の主たる内訳はどのような内訳によつて確保しようとしておるか、これをお伺いいたします。
  32. 靱勉

    ○靱説明員 松井委員の御質問に対してお答え申し上げます。建設勘定予算につきましては、郵政大臣から説明があつた通りでございますが、繰返して申し上げますと、資金運用部資金からの借入金が四十億ということになります。それから電信電話債券が百四十八億、そのうち百億は一般公募でございまして、あとの債券は先般国会を通過しまして施行なつております設備関係以外に社債を持つていただくというようなもの、あるいはまた地元等におきまして支社の建設等について御協力願つて社債を引受けていただくもの、あるいは本日提案になりました公衆電気通信法等によりましてPBXの問題で社債にかえるもの等が含まれておるのでありますが、電信電話債券が百四十八億、それから設備負担法によりまして加入者負担を願いますものとして三十六億余り、それから損益勘定の方におきまして減価償却引当金としまして、建設勘定へまわされるものが百九十一億余りであります。そのほか目下御審議をいただいております予算案におきましては、二十二億余りが損益勘定から入つて参ります。さらに国際会社が発足いたしまして現物出資しました株を売却するというような予定のもとに、約二十億というものが含められておるのでございます。その他若干ございますが、総計四百六十一億余りということに、建設勘定の財源としては予定されておる次第でございます。
  33. 松井政吉

    ○松井委員 建設勘定内容はわかりました。そこで公社建設をしてサービスの万全を期そう、こういうことになるわけでございますが、基本的な経営の面に対する考え方をお伺いいたします。御承知のように支出総額は八百九十五億円でありまして、昨年度より百四十億の増加である。さらに今度は料金改訂をしてその改訂による増収分が八十億円ということに相なつておるのであります。そこで私のお伺いいたしたいことは、公社料金にしても運営にしても法律に基いて運営する形になるので、民間の会社とは違うのであります。いたずらに利益を追求して経営のゆとりをつくつたり、建設勘定に利益を上げてまわすということは困難であります。その点から考えますと、従来国有国営のときにでも相当の利益を上げておつた国際を今度は離して、さらにまた直接やれば多少の利益と、さらに事業の面において拡張でき得ると思われるPBXは、本日提案の法律案によると民間に開放する、こういう形で一体公社そのものが立つて行くのかどうか。主として建設勘定においても利用者に対する再建政策であります。これで健全なる公社運営ができるのであるかどうか、この考え方の基本的なものを一つ。もう一つは、公社そのものとしては政府の考え方も多少入つておりましたでしようから、その点については政府当局に法案審議のときにお伺いいたしますが、一体公社当局としては率直にいつて利益を得ることのできる国際、さらに事業の面で拡張の材料にもなり得るPBX等を離した方が経営がやりいいということで、この考え方をとつたのかどうか、持つている方が経営上利益も上るし、公社経営としては楽であつたがやむを得ないという考え方であるか、この考え方をもう一ぺん詳しく御説明を願いたい。
  34. 靱勉

    ○靱説明員 在来の関係がありますので私から御答弁申し上げます。国際通信におきましては、確かに今年度におきましても純益は相当上つております。そういう意味合いにおきましては、私ども公社予算を編成いたします場合におきまして、その減収は一つの問題であつたのでございますが、国際会社を分離する理由につきましては、先般政府からも御説明があつた通りでございまして、国際通信整備拡充——現在の施設はかなり古い施設を使つておる、またサービスもこれを利用されておる方々から見ますれば決してよくない、むしろその金を他の方にまわされておるというような御批判もあつたような次第でございます。従いまして、ただ財源がよけいあればいいという観点から申し上げますれば、国際が収入支出のバランスにおきましては、かなり収入はよいのでありますから、その点は御説の通りでありますが、国際会社を分離するという点につきましては、別途の理由から出ております。この点は松井委員も前の国会等において十分その点についておただしになつておられましたので、それを重ねて御説明する必要はないかと存じます。  次にPBXの問題でございますが、これもまた御承知のように一般加入電話、市外設備等につきまして、なかなか拡張資金が得られないということで、私どもといたしましては非常に情ない方法でございますが、電通省のときから、政府経営の当時から、あるいは設備負担金を頂戴する、さらに今度は社債をお引受け願う、こういうような方法をとつておるのでございます。その場合におきまして、PBXにつきましても御承知のように実費をほとんど全額を頂戴して建設するというような形に相なつておるわけであります。そこで所有権ももちろん公社なり、当時政府の方に移してしまうということでございまして、PBXの求められる方といたしましては、これにはやはりいろいろと御批判もあつた次第でございます。そこで公社自体の運営から考えますと、PBXのものは大体実費以内で、設備に要する経費を御負担願うという法律の態勢になつておりますので、この建設面におきまして設けるということはほとんどできない形に相なつております。そこで松井委員の御指摘のそれが他の拡張の財源にでもなるのではないかとおつしやつた点は、拡張面から申しますれば、これを他に転用するというわけには参りませんので、とんとんに頂戴いたしますと、まつたく通り抜け勘定に相なります。さてPBXが非常にふえて参りました場合におきましては、公社といたしましては、これに対する維持料等を頂戴いたしておりますので、それの収入増というものはあるのでありまして、これをPBXの自営を認めるということにおきましてはあまり大きな関係はない、公社といたしましては、基本的な設備拡充加入電話増設等、さらに来年度の予算として御審議をいただいおるような予算でも、なかなか国民の要望に沿い得ないという現状にありますので、この方面にさらに重点を置いて行くというような考えをいたしておる次第であります。
  35. 松井政吉

    ○松井委員 そこでもう一つ、公社運営の基本的な考え方というものについてお伺いしたい。御承知のように国有鉄道の場合は、要するに鉄道だけではなくて、自動車部というものが非常に活動いたしておりまして、不便なところにおける貨物の輸送から今度はバスの運転まで拡張をしてそれでやつておりましても、戦争に困憊をした国鉄の復興というものはなかなかできないのが今日の状態であります。赤字を続けております。ところが電電公社の場合は逆に利益のある仕事でも、従来国有国営でやつておつた時代の仕事を、ただいまの説明の通り減らしてやつて行こうというのでありますから、その逃げ道——と言つては語弊がありますけれども、その逃げ道として本日説明のところで明瞭に御説明なされました従業員に対する一種の行政整理の方針というものが出ております。その結果は結局高能率高賃金という理想を御説明なさつておりますけれども、思い切つた圧縮を加えるということでありますから、そのはね返りというものは時間的にかあるいは定員数の上にか、いずれかの形で従業員にはね返つて来る考え方が強くなつて参ります。しかも高能率高賃金の内容についても答弁のときに触れていただきたいのでありますが、御承知のようにベース予算できまつております。高能率高賃金を出すといいましても、民間会社と違います。従つて国会審議をした予算ベースはきまつておりますから、高能率高賃金政策をとるために思い切つた圧縮を加える、こういう考え方が新しい——昨年設立されたのでありますから、新しいといつては語弊があるかもしれませんけれども、公社経営運営全部を貫いているとなると、われわれは非常に心配せざるを得ない問題が出て参ります。従つて従来国有国営のときにやつておつた仕事を離しながら、さらに都会を中心とする事業拡張をもくろみ、事業拡張に伴うはね返りは従業員にかぶさつて来る、こう解釈するのでありますが、これについて私の考え方が間違いならば間違つたという明瞭なる御説明を願いたい。
  36. 靱勉

    ○靱説明員 関連いたしまして私から御答弁申し上げます。先ほど総裁から御説明申し上げました点でございますが、大体予算の策定の経過を申し上げますれば、当初できるだけ収入を的確につかむと申しますか、率直な言葉を用いますれば、できるだけ収入を見込み、それから職員の給与改善もできるだけそれに入れて行くというような方針で、料金値上げをする理由をベース・アツプというようなことにかけない方針で、いろいろ損益勘定経費合理化をはかつた次第であります。そこで先ほど御説明申し上げました通り、当然どうしても増加せなければならぬもの、あるいは非常に増加した方がサービスその他についていいものにつきましては、今年度に比して上つております。しかしながらその他の一般的な経費、これは物件費がおもでございますが、それらにつきましては九%の減になつております。このことは物をできるだけ節約して行くというような点にあるのでありまして、給与総額としましては、もちろんベース改訂もございますし、また人員の増加も——予算説明書等においてあるいは、ごらんになつたかもしれませんが、電電公社としましては、予算関係を見ますと、各官庁あるいは他の公社に比しまして一番増員というような形に相なつておりまして、六千人余りの増員というようなことに相なつておる次第であります。そこで、先ほど総裁の御説明申し上げましたのは、できるだけ仕事を合理化するということによつて従業員負担を増して行こうという考えではないのでありまして今松井委員の御指摘の、賃金を上げるが、うんと労働強化をするということでなくて、私どもはやはり能率的な限度をきめましてそれに訓練をして能率のいい人を充てるという方途は講じますが、労働強化というような観点で思い切つた圧縮をやつておるわけではございません。ことに機構改革をいたしますと同時に、今後におきましては事務の整理等をやりまして、できるだけ現場に充員をする、他の段階はできるだけ人を少くやつて行く、こういうような形で考えておるのであります。従いまして非常に商業生産的に、あるいは搾取的な方針を公社がとつたということでは絶対にないのでありまして、公社法の御審議を願いましたときに申し上げました通りに、能率的合理的にやろう、経営努力をその点においてやつて参ろうというようなところに一歩進んで行つた、こういうふうにお考え願つてよろしいと存じます。
  37. 松井政吉

    ○松井委員 御説明を伺いましたが、本日これをいただいたばかりでありますから、また後ほどお伺いすることといたしますが、どうも話を聞いておりますと、高能率にはなるが、低賃金になる傾向が強いのであります。  それからもう一つお伺いしておきますが、電信電話拡充五箇年計画に基いて、昭和二十八年度においては約七百二十億円の経費予定いたしましたが、諸般の事情により四百六十一億円に圧縮された、その諸般の事情内容を御説明願いたい。
  38. 靱勉

    ○靱説明員 諸般の事情と申しますのは、なかなか財源を得られないという言葉でございまして、一般に社債を公募いたすといたしましても、すでに御承知かと存じますが、国鉄が百二十億、電電公社が百億ということで、初めて公社一般公募の方法に入つて参つたのであります。政府資金の方におきましても、来年度予算内容にありますような次第でございまして私どもといたしましては、電信電話の方にぜひ政府資金を二百五十億ないし三百億くらい頂戴いたしたいと、ずいぶんの努力を少くとも公社経営者といたしましてはやりました。また郵政省にも非常に御努力を願つた次第でありますけれども、結局わが国の財政経済の諸般の事情から、四十億になつたというような次第でございます。
  39. 松井政吉

    ○松井委員 委員長に申し上げますが、与党は十何名の委員がおつて、一人も出ていない。出ていない委員は賛否を決する資格がないということをはつきり申し上げておきます。それからもう一つは、与党の諸君は何のために欠席したか、この次の委員会に明らかにしていただきたい。それから定数のない場合には、提出された法律案の審議はいたしません。明瞭にお考えを願つて善処してもらいたい。
  40. 橋本登美三郎

    橋本委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は十六日午後一時より委員会を開会します。三法案質疑並びに電気通信事業に関して審議を進めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時七分散会