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1952-12-11 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十一日(木曜日)     午後二時三十五分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 中村 梅吉君 理事 有田 喜一君    理事 松前 重義君 理事 原   茂君       岩川 與助君    貫井 清憲君       羽田武嗣郎君    松村 光三君      山口喜久一郎君    楢橋  渡君       淺沼稻次郎君    松井 政吉君       三輪 壽壯君    阿部 五郎君       山田 長司君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  平井 義一君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 愼一君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     古垣 鐵郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     岡部 重信君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 十二月十一日  委員西村茂生君、福井勇君及び鈴木義男君辞任  につき、その補欠として池田勇人君、山口喜久  一郎君及び淺沼稻次郎君が議長の指名で委員に  選任された。     ————————————— 十二月十日  釧路市にテレビジヨン放送設置に関する請願外  二件(伊藤郷一君紹介)(第五五二号)  府中電話局電話交換方式改善等に関する請願  (栗山長次郎紹介)(第六〇六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     —————————————
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件、これを議題とし、質疑を続行いたします。本日は参考人として日本放送協会長垣鐵郎君、同理事岡部重信君が出席されておりますが、従前と同様政府当局参考人に対し、並行して質疑せられるようお願いいたします。松村光三君。
  3. 松村光三

    松村(光)委員 ただいま参考にいただきました放送協会の二十七年度の外貨割当二十七万ドル、二十七年はあるが、二十八年も既定計画——二十七年にようやく頭を出して、二十八年度以降引続き既定計画を出しておられまするので、確定しておられなくてもいいから、二十八年度以降三十二年まで、この計画に基いて大体どのくらい外国から原料、資材機械を買わなければならぬ予定でありますか。
  4. 長谷愼一

    長谷政府委員 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。政府といたしまして日本放送協会計画を妥当と認めたのは、二十七年度の追加予算だけでございます。もちろんこれを審査いたしますときには、一応放送協会考えております五箇年計画一端として考えたのでございますが、放送協会の五箇年計画をそのまま今後認めて行くかどうかは今後のことでございますし、二十八年度の予算審議等につきましてあらためて御審査を願うことになると思うので、確定はいたしておりません。ただ大体の見当として、御質問がございましたから申し上げますと、初めは相当額輸入を期待しなければいけませんが、逐次国産で間に合つて行くような計画になつておりますので、最初の一、二年はある程度輸入を期待しなければいけませんが、その後は急激に減少し、あるいは外国品に期待せずに行えるようになるものと考えられます。
  5. 松村光三

    松村(光)委員 繰返して申しまするが、五箇年の予定計画を出しておらぬのならば、今の御答弁で承服いたします。五箇年計画を出しておつて、わずかに頭を出しただけなのです。これはよく政府がやる悪いくせで、頭だけ出しおいて、あとはずるずる引きずつて予算をとろう。これは政府が二十七年度に使うのだと言つておいて、あとは二十八年度の計画はまだできません、予定でありますということであつて——二十八年度というとすく三箇月先です。今から大体二十八年度、三月以降にどのくらいのものを外国に注文するということは、その金額に多少の違いがあつてもどうでもいいが、問題は外貨見通しで、さなきだに外貨のない日本としては、大体の見通しがつかなくてはすぐ事業計画に蹉跌を来すのではないか。いわんや来年は九月までに大阪名古屋を完成すると言つておるのに、外国機械は今のように二、三年後にはいらなくなると言うが、その二、三年間のことを聞いておるのです。二、三年間で全然外国機械を用いなくてもいいという考えであるか。もし外国機械を買うというなら、大体の大づかみでいい、外貨獲得の点からいつてどんなものであるか。但し大づかみといつて——これは委員長局長がただむやみに代弁されても、これは計画をしている人に聞かないとわからない。長谷君の局長としての意見よりも、計画者意見を聞こうと思つてきようは質疑をしているのでありますから、計画をしている人の方からしつかりした答弁を聞きたいと思うが、局長が大体その通りでありますと言うならそれでいい。順序上長谷君がいいならいいというふうに御答弁を願いたいと思います。
  6. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。テレビジヨン放送事業計画要綱というものをお手元に差上げてございますのは、過般委員会におきまして、二十七年度の追加予算計画だけでなしに、協会が現在考えている計画があつたならば、参考資料として提出するようにという御要求がございましたので、政府としても、これはNHK考えている長期計画一端でございますから、二十七年度の追加計画及び収支予算審査する場合に、参考にした放送協会計画要綱でございます。しかしこれは今後の日本聴取者普及見込みあるいは協会資金計画その他の関連がございますから、放送協会計画通り政府が妥当と認めるかどうかは別問題なのでございます。なお二十八年度でどのくらいの外貨が予想されているかということでありますが、これは二十七年度の追加予算で見込まれている二十六万ドル余、邦貨に直して九千三百万円ばかりであります。これよりは少くなると思いますが、大体この限度のものは来年度は必要のようでございます。それ以後はずつと少くなる、あるいは全然いらなくなる予定になつております。
  7. 松村光三

    松村(光)委員 明確にはならぬけれども、一応の答弁として聞いておきます。私は政府の悪いくせのように、頭だけ出してはいかぬということを言つているのです。どうせ腰だめだから間違う数字があつてもいい。そのくらいのものは二十八年度にいる。それではおそらく足りないだろう。しかしそれを押問答する必要はない。二十六万ドルでそれよりも少くなつても多くならぬということをはつきり言つているのだから、大体聞いておけばいい。二十八年度の予算を出して、間違えば事情がわかつたと答弁するだろうが、一応伺つておいて参考にしたい。これでNHKに対する資料的な質疑は終ります。  他の同僚委員からもいろいろ同じ意見があると思うが、あわせて大臣質疑をいたしたいと思いますので、大臣出席を待ちます。
  8. 橋本登美三郎

    橋本委員長 大臣は目下評価委員会郵政省本省で開いておりますので、多少遅れて出席するという連絡がありましたので、そのときにお願いします。
  9. 松村光三

    松村(光)委員 もはや最後の基本的の質問でありますから、大臣出席を待つて進めたいと思います。  私は最後の一点を総括的に伺いたいと思います。民主主義の弊に堕して、日本の国策、経済政策民主主義の仮面のもとに散漫に流れる傾向があると私は見ておる。そこでテレビの問題も、こういう観点からテレビ統制を中心として一本化の問題を伺いたい。一本化という言葉が悪ければ統制化について伺いたい。それはなぜ伺うかというと、これがだんだん新聞その他社会輿論になりつつある。もし衆議院でわれわれがこの問題に触れずに通して、万一参議院でこれが重大問題になつたときには、われわれ衆議院は怠慢のそしりを受けるおそれがあるので、この点において衆議院の権威のためにこの問題を伺つておきたい。  大体テレビ官民合同一つの形でなければいけないということが当初の方針であつた。そればかりではない。電波監理委員の五名のうち四名は——名前をあげますが、委員長の網島君、副委員長岡咲君、瀬川君、坂本君の四人の決定機関委員は、私に向つて、どうも日本現状ではテレビというものはなかなか容易でない、これはやはり官民合同の一体化で最初出発するということでなければ、いずれもペイしないおそれがあるから、松村民間各方面に知己が多いので、ぜひ一本化の努力をやつてほしいということで、四君から私に懇請があり、依頼があつたのであります。これは責任ある四人の電波監理委員の私に対する懇請依頼でありました。時移り最後の五分間に間に合わなくて、ああいう決議になりましたが、そういう事実がある。  もう一つは、吉田総理の言明についても申し上げたいのであるが、それはここに吉田総理出席を求めなければなりませんので、そのことは差控えておきますが、吉田総理もこの一本化の問題については相当意見を持つておられる。たまたま一昨日の朝日新聞がこういう論説を掲げておる。これは皆さん御承知と思うが、第一に、今の日本事情ではまだまだテレビは容易でない、その理由として、政治的、教育的効果も大きいのでプラスの面もあるが、国民教育上、政治上マイナスの面も相当にあるから、これについては重大な結果を考慮をしなければならぬと言つておる。第二はテレビジヨン企業には巨額なる資金を要するから、この資金の不足に悩み抜いている今日の日本で、非常に金のかかるテレビを競争してやることは、考慮に値するのみならず、文化的にも経済的にもテスト時代である、だから小さく生んで大きく育てなければテレビはものにならぬ。こういう意味において最初に立ちもどつて虚心坦懐に、官民合同の一本化の線で進めることが賢明である。今からでもおそくない、識者はもう一ぺん考慮すべき問題であるということを、朝日新聞社説をもつて論じている。社会輿論、代表的な新聞社説の議論がこうなつて来ましたときに、私は政府に対して警告の意味をもつて質問をいたします。頂門の一針というか、そういう意見——これは私ばかりではありません。こういう考え方を基本として二、三点伺います。  質疑の第一は、企業として経済的の理由から、NHK昭和三十二年度までは赤字であることがはつきりここにうたつてある。三十一年までの借入れ合計二十二億であるということもうたつておる。ラジオだけでも相当赤字経営をやつておるNHKが、今後さらに五箇年間二十二億の負担を受ける、こういう問題が——これは私の意見ばかりでなく、監理委員会意見を引証して申し上げているのであります。これは大臣事務当局も過渡的の参考だと繰返して言われますが、それは大きな間違いで、全体に対する方針並びに措置ですぞ。決議機関が決定した方針並びに措置が過渡的の参考に供せられるという、そういう無理な御答弁をなさるに及びません。政府決議機関がきめた方針並びに措置は尊重せずにあらずんば、今後各種委員会各種諮問機関各種決議機関というものは無意味になることになりますので、そういう意味委員諸君は繰返して言うておる。しかしこういう赤字は、単に赤字だけでなく、おそらくこれは一千万の聴取者を持つておるラジオの経費に食い込むおそれがあるということを、はつきりうたつておると思う。従つて五十円の聴取料がどうなるかという問題も将来起り得るのであります。こういうことが第一の論点であります。朝日もすべての委員も、資本面から収支の面から、これはよほど考慮を要するということを言つておるのであります。NHKでさえそうなんだ、いわんや民間テレビはおそらく長い間赤字を繰返すであろうということですが、おそらくそうでありましよう。NHKその他がラジオと併立して東京は三本、さらに駐留軍を許すならば四本、大阪は三本、こういうように独占はいかぬ、自由競争がいいという漫然たる自由思想のもとにこの放送を許すことを、あなたは経理経済面から一体どう見ておられるか。まずこの一点を伺います。
  10. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 テレビジヨン放送につきまして、経営財政的に当分なかなか困難であろう、これは私もまつたく同感であります。従つて今度承認を求めておるNHK予算でも、お話がありました通り三年間は確かに赤字になつております。しかしNHKの出した財政計画によつて、漸次赤字が解消して黒字になつて行くわけで、三年間の赤字を適当に処理して行けば健全な経営ができる、こうNHKの資料によつて私は現在判断をしておるわけであります。従つてそういう意味意見書予算を提出して御承認を求めておるのであります。そのほか民間に許可されたテレビ経営については、むろん非常な財政的困難が当分の間あることも予想されるわけであります。しかしこれは計画者相当見通しをもつて計画を立て、私の就任する前に監理委員会申請をして、監理委員会がこれを許可するものについては、その見通しを妥当と考えて多分許可したものと思つております。従つて将来許可されたテレビ放送会社が、財政的に非常に困るようなことがあつても、これは企画者創立者企画の問題でありまして、郵政省としては直接関与のできない問題で、その場合に民間会社としてどういう処理をして行くかということは、当事者でもつて考えなければならない問題であると私は考えております。
  11. 松村光三

    松村(光)委員 民間のことは御説の通りで伺つておりません。民間赤字になつてどうやるか、それはかつてにやられるから御説の通りである。今三年と言われたが、四年間はつきり赤字である。しかもこれは予定のごとく行つても四箇年である。いわんやその予定程度に行くのはむずかしいということを考えますときに、さらに赤字が出るでありましよう。そういう場合に、民間はしいて伺いません、かつてであります。しかし国家の監督のもとにある公営事業であるNHKについては、この四箇年間に赤字が二十二億も明瞭に想像される。それがラジオに絶対に影響ないということをはつきりにらんで、政府はこれを提出したかどうか。その点を重ねて伺います。
  12. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 テレビジヨンによる赤字が出て、中波放送ラジオに対して非常に悪い影響を及ぼす結果になりはしないか、こういうことでありますが、先ほどから申しますように当分赤字が出るわけでありますから、NHK財政全体に対しては確かに相当負担になるということは事実であります。しかしラジオの方は、先ほど赤字とおつしやつたように思いますが、私の了解しておるところでは赤字ではないように思います。NHK一つ企業体でありますから、全体としての成績は、ラジオテレビも結局は一緒にまとまつて出て来るわけでありまして、企業体としての維持という点から申しますと、ラジオの方での成績テレビジヨンの方のマイナスを埋めるということにはなると思います。しかし今までのNHK状態、現在の財政状態から申しますれば、三年とか四年間の赤字を処理するということは、ラジオの方に非常な打撃を与えることなくできるのではないかと私は信じております。
  13. 松村光三

    松村(光)委員 私はそんなことを押問答する必要がないから、この表を合計して申し上げたのです。二十一億九千八百万、これは全部赤字でなくても大体借入金などの合計であります。今大臣は大した危険はなかろうということですが、監理委員会はつきりと方針に書いておる。企画の面においても運用の面においても、非常に危険が多いから、成果において万全を期することは容易でない。容易でないからよほど気をつけなければならぬということをはつきりとうたつておる。大臣はすこぶる簡単に言つておられるが、ラジオの方と一体の経理であるから、その赤字ラジオの方でバランスをとつても、大したことはあるまいという御答弁のようだつたが、これはたいへんなことである。ラジオそのもの経理も必ずしもうまく行つておらぬ。NHKも非常に心配されておる。テレビジヨンが普及した後にラジオは全滅するとは言わぬが、将来十年後のラジオには相当恐怖的な問題が起つて来る、だからテレビジヨンが発展するとラジオは全滅に近くなる——私はそれほどとは思わぬが、NHK諸君はそれほどおそれておる。それを同じ企業形態であるからといつて片方はすぐバランスをとるというようなことを考える。テレビヨンが発展すれば、だんだん先に行くほどラジオは発展が鈍る。それを同じバランス片方赤字片方赤字で、それはすぐラジオ聴取者に来る。繰返し山田君が言われたように、ラジオ聴取者というものは地方の、金のたんとない、ほんとうに農村などに多いのでありますから、テレビ問題のためにそういう聴取者聴取料その他の問題が転嫁されるようなことになれば、これは非常に問題だと思う。今の大臣の、両方で多少バランスをとることはそれはやむを得ないというような御答弁は、私はラジオ聴取者のために非常に大きな問題であると思いますので、重ねてその点をお尋ねいたします。
  14. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私の答弁は先ほど申し上げた通りであります。
  15. 松村光三

    松村(光)委員 そうすれば今の大臣の御答弁通りラジオの方に多少の影響はあつても、バランスをとることはやむを得ない、同じ企業形態の損失であるから、それはしかたがないということをはつきり記録にとどめておきまして、これ以上の押問答は無用でありますから、これは将来の問題にいたしたいと思います。  次は外貨の問題であります。今出た外貨は、これから二、三箇月の間に二十七万ドル、次も二十七万ドル、合せて五十何万ドルになると思う。この外貨のないときにテレビのために五、六十万ドルもの外貨を使う、しかもこれから先もつといるということを想像するときに、これは大きな問題だと思う。またこれはNHKだけに許してほかに許さないということはおそらくできないだろうから、東京大阪民間テレビ会社が、われもわれもと外貨割当を願つて来るときに、余地ありやいやという問題もあると思う。この外貨の問題に関し、日本の大きな国策的な面から見て不急とは言わないが、一日を争わないテレビのために、われもわれもと外貨獲得をするという形に対しまして、大臣は大体そのくらいはどうにでもなるというお考えであるかどうかを伺いたい。
  16. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 外貨についての御意見でありますが、確かに日本の今日の経済貿易バランス等から考えますと、これは非常に大切にしなければならない問題でありますので、軽率に外貨使つてはならないということは私も考えておるところであります。日本放送協会昭和二十七年度のテレビジヨン関係輸入品目についての外貨割当は、先ほど局長からお話したと思いますが、二十六万ドルということであります。これから放送協会が本放送を始めて、本格的にずつと計画を進めて行くということになれば、それがだんだんにふえて来るということになりましよう。それからもしも民間テレビジヨン放送会社でもつて外貨を使わなければならぬということになれば、それもまただんだんふえて来るわけでありますから、その点ではむろん外貨についても慎重に考えて行かなければならないわけでありますが、一方におきまして、やはりテレビジヨン放送というものの文化的な重要性、あるいは国民生活における重要性ということも考えなければならないと思うのでありまして、日本国民生活をよくして行くというような意味では、外貨もある程度使つてもやむを得ないということになりましよう そこで現在の私の考えといたしましては、外貨はむろん慎重に考えて行かなければなりませんが、松村委員が御心配になりますほど、NHK予算を通しての外貨の必要は大きくはならないというように考えております。
  17. 松村光三

    松村(光)委員 意見の相違は別でありますが、重要性の問題については、とにかくこの外貨の問題はきわめて大きな関係を持つと言わなければならぬ。二十七年度からさらに二十八年度とどんどん大きくなることは、これは私が繰返すまでもない。間違いなくもつとよけいにふえる。のみならず、聞くところによると民間会社に対しても、すでにテレビのために外貨割当を許可したように伺つているのですが、そういうことになるならば、NHKだけの問題ではなくて、民間からはわれもわれもとテレビの出願をして来る。これらに対して、NHKだけは許可するが、あとは認めない、日本機械でやれと言つてもできつこない。民間でやるとしても、機械外国から買わなければならぬ。この現状において、NHKだけの予算を審議しているのならば、われわれはそれを審議すると同時に、どんどん——といつても数はきまつておるが、やつてもらえばいい。しかしそれを許すほかに、外貨も認めているというのだ。つまり私の言うのは、並行してテレビを許可して、それにあれもこれもと外貨をとられる。その合計外貨というものはこちらではおわかりにならない。これは大蔵省外貨関係の係を呼んで来て聞かなければわからぬが、少くとも主管省としては、外貨についてNHKの問題だけでなく、そういうことも考えられておるのかどうか。私は当然ほかのことも考えなければならぬと思うのだが、それはまだ聞いておらない、そんなことはそのときでいい、こういうお考えであるかどうかを伺いたい。
  18. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただやりつぱなしで、そのときだけでいいのだという考えではむろんありません。今度NHKが来年から放送を開始して行くにつきまして外貨はどのくらいいるだろうということは、むろん考えなければならぬ問題でありますが、私個人としては、予想したよりは外貨が少くて済むと実は考えておるわけであります。それで民間テレビジヨン放送からの外資要求は、直接こちらへあるわけではなくて、大蔵省にあるわけでありましようから、私はどの程度まではつきりと外資割当てられたのか、それは存じておりません。
  19. 松村光三

    松村(光)委員 主管省としてはその程度だろうと思いますが、事務当局はどうですか。ほかに許可したかどうか、その外貨のことは何も知つていませんか。知つておらぬという答弁なら、私はまた証人を呼んで来て聞かなければならぬ。ほかの民間会社に許可しても、ほとんど全部外国機械によるのだから、外貨のことなんかこちらの主管省は何も知らないのだと、こう言えばそれまでですが、外貨を使うのだ、使つているのだということを、簡単でよろしい、お答え願います。
  20. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 お答え申し上げます。すでに予備免許を得ている日本テレビ放送網株式会社申請に対する外貨割当は、通産省及び大蔵省の間でいたしておるように聞いております。しかしそれは必要な全部のものではないように聞いておりますので、私どもまだ額は聞いておりません。
  21. 松村光三

    松村(光)委員 外貨の問題で今度どのくらいいるかを一応知つておくぐらいのことは、これは主管省としては当然のことだと思う。そういうこともかまわずに、大蔵省通産省にまかしておくということなら、東京を初め、あと大阪名古屋とこの三箇所に今度できるのだろうが、それがみんな外貨の点ではばらばらになつてしまう。おれの方はそれが出たときにやればいい、そのあとの話だというのでは困るのです。全部統一してやるべき国家全体の問題なんだから、今の御答弁では私はどうも納得できない。大体のことも聞いておらぬのか、何にも聞いておらぬのかということを簡単にひとつ伺います。
  22. 長谷愼一

    長谷政府委員 このテレビジヨン計画民間企業体で行われましようと、あるいは今回御審議願つておるような日本放送協会計画でありましようとも、そそが輸入資材にまつ場合には、あらかじめ通産省及び大蔵省とも私の方で連絡をとりまして、大体の御検討をした上で、予備免許というものが出ておるようなかつこうになつております。私先ほど申し上げましたように、日本テレビ放送網株式会社が現在までどれだけの額の認可を得ているかというその数字は、個々に部分的に行つておられると思いますので、現在の数字はわかつていない、こういうことを申し上げたわけであります。
  23. 松村光三

    松村(光)委員 どうもこれ以上こんなばかばかしい答弁に対して質疑はむだだと思います。予備免許を与えて、外貨機械を注文しておるということは知つておるが、ばらばらでやつておるのだから、合計はわからぬ。それでよく予備免許を私は与えたと思う。これは問答無用だ。きようのうちにも聞かれて、統一した外貨を使うのだから、今後の申請に対しても、外貨割当というものは願いが出てからでも間に合うのだから、あらかじめ検討しなければならぬ。さらに外資導入の話も私は聞いておるのだが、外資導入は、こつちではわかるまいが、機械外貨割当ができない。そこで外資導入を進めておるという。これはここで聞いてもわかるまいが、これはなかなかどうして郵政省考えておるようなものでない。もつと大きな計画で、機械をどんどん外国に求めるのだから、外貨割当がつかなくて、確かに外資導入の交渉をしているわけだ。そのくらいなことはどうか研究しておいてもらわないと、あとになつてにつちもさつちも行かないようになる。これはただ御注意だけ申し上げて、あと調べておいて御答弁願います。  そこで第三に、賠償の問題、これは相当関係がある。この監理委員の報告には、さなきだに賠償の問題がやかましいときに、世界でテレビをやつておるのは大体アメリカと英国、フランス、そのほかカナダなどですが、そういうやさきに戦敗国たる日本がわれもわれもと競うてテレビをやる。それを政府は、独占はいかぬというので、自由主義のもとに許可しておる。そういうことは、今賠償の交渉の過程にあつてめんどうな問題になつている。そうでなくてさえフイリピンあたりからは、日本は、ことに東京はぜいたくだという非難をああいうふうに具体的に受けておる。そのために調査にも来ておる。テレビを文化的に使うといえばそれまでだが、戦勝国たる南洋の諸国などは、テレビなんかいつのことか思いもつかぬ。そのテレビ日本はじやんじやんやるが、あれは賠償問題に少からず影響がある。この監理委員会が一番心配して、はつきりこの問題は賠償問題にも考慮を払つて考えなければいかぬということを言つておる。しかし主務省はそんなことはあまり大したことじやないというお考えであるか、一応簡単に伺います。
  24. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまお話のような意見監理委員会にあり、またそういう問題についてはむろん考慮をしなければならぬと思います。しかしテレビというものはやはり文化の発展、国民生活の向上という点から言いますと、非常に大きな役割を果すものでありますから、そういう問題は考慮しながらも、やはりできるならばこれを早く普及発展させるということが必要である、こう考えて今回のような処置をとつたわけであります。
  25. 松村光三

    松村(光)委員 考慮を払いつつと言うが、払つた形跡は一つも認められないことを遺憾といたします。ことに郵政省においてこれを認可する場合に、これほど幾多の警告があるにもかかわらず、少しも考慮を払つておらない。大臣は文化的々々々と言われるが、文化的であることに間違いはございません。しかし朝日の言われるがごとく、文化的であると同時に、マイナスの部面も非常にあるということを考えなければならぬ。いわんやまだテスト時代日本テレビが、ものになるまでには相当な年月を要するのであるから、あわてて幾つも競争的に許すことはどうかというところに、私の質問の重点がある。文化的にテレビを許可するのが悪いというのではなく、許可するのはよろしいが、幾つもあわてて東京大阪、各方面に競争的に出ているものを並立して認可することほどさように一体日本財政は、日本経済は、日本の賠償問題は、すべての観点から見て、そういうことを考慮に払わなければならぬと思うが、払つてもなおかつ一日もすみやかに並立にできるだけ許す、そういう既定の方針でありますかを、簡単に重ねて伺います。
  26. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 郵政省方針といたしまして、そうむやみにたくさん許して行こうという考えは持つておりません。理想としては、非常にりつぱなテレビ放送会社が電波の割当の許す範囲においてできまして、競つて優秀なプログラムをつくつてやるというのが最も望ましいことだと考えているのであります。しかしたとい申請がありましても、その規格、財政計画、技術、いろいろな点を考えて初めて許可をいたすのでありまして、そうむやみにどしどし許す、こういう考えは持つておりません。
  27. 松村光三

    松村(光)委員 私は率直に申し上げるが、大体テレビに関する研究は、郵政省は大したものをやつていなかつた。実はある私の友人の書類を電波庁に貸してそれを三箇月も借りて行つて翻訳して、また貸してくれ、貸してくれと何回も持つて行つて翻訳して、ある程度のものができた。そのせいではないでしようが、それからにわかにアメリカに電波監理委員や事務員が行つた程度の初歩の研究なんだ。これは率直に申し上げておきますよ。但し民間も大同小異だと思う。NHKだけが長い間研究している。確かにNHKの長い間の検討は尊敬に値すると思う。それにしても、率直に言えば、いまだしと言わなければならぬ。日本テレビに関してはこういう程度である。また昨日申しましたように、技術者がおらない。こわれたら修繕も容易でない。そういう程度日本全体の準備機構において、朝日の言うがごとく、準備も不十分なのに、あわてて並立を急ぐというのは、どういうところに重点があるのでありますか。これは答弁を聞いてもむだでありますが、御注意だけ申し上げておきます。この程度の技術陣では、人まねをして、繰返して言うが、人まねをして、ちよつとアメリカを見て来た程度テレビの研究では、文化とかなんとかいろいろ言うが、しかし日本人はテンポが早いから、必ず数年の後にはものになる、もつと早くなるかもしれぬ。その間はやはり朝日の言うように、小さく生んで大きく育てるというこの平凡な原則によらないと、むだな金が使われるということを申し上げて、政府の注意を喚起いたしておきます。御答弁はいりません。むだであります。  最後企業の本質から申し上げておきます。大体世界の大勢を見るときに、英国は、前の労働党内閣のときであつたと思うが、社会主義の基本に基いて国営のテレビだけを許した。アメリカは民主主義、自由主義の資本主義機構に基づいて民営だけ許した。また社会主義のフランスは公営だけ許しておる。それが世界の大きな二つの筋である。社会主義の国は大体において公営を基本とする、資本主義のアメリカは民営を基本とする。但し最近保守主義になつたアメリカは、公営のテレビを許そうじやないかという考え方があるというが、まだ許すということに方針は確立していないようだ。それから英国の政府は保守主義になつたから、公営ばかりでなく民営のものを許したらどうかという研究をしておる。これは大きな思想的な国策的な流れから来た一つの当然の道行きであります。但しカナダは、私の考え方を間違えないように……。カナダはでたらめな国であるから、社会主義とか、しつかりした考え方もないから、カナダは何か両方あるというふうに聞いておる。そこでそういう観点から見るならば、民営と公営を並立させるという国は、カナダのほかオーストラリアとかどこかあるかもしらぬが、大体大きな流れははつきりしておる。そういうことを見ますと、公営と民営を並立させて自由競争にさせようという考え方は、企業の本質からいうても、国策の本質からいうても、考慮しなければならぬ問題であるか。一体そんなめんどくさいことは考えずに、独占はいかぬ、自由競争がよかろう、それには一本で公営も民営もやつて行こう、それが普及発達になろうという考え方でありますかを簡単に伺います。
  28. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 一本建で行くべきか、二本建にすべきかということは、むろんいろいろ御意見の違いがある思います。しかしその問題はすでに前国会等においていいろいろ論議もされたことと思います。そしてすでに二本建ということに法律的には修正ができている問題であります。私はそれでけつこうだろうと思います。こういう方針のもとに今回は公共放送としてNHKからの申請がありました。そしてそれに意見をつけて皆さんの御承認を求めておる、こういうことであります。競争ということも、実は競争といえば競争に違いありませんが、しかし公共放送の方は広告をとるわけではございません。民間放送の方は広告をとるのだというところで、そこでは少しも競争はない。それから一般の商品販売のように、ある品物を一方で買えば一方で買わない、こういうような競争はテレビについてはないわけでありまして、一つの受像機を持つておれば、公共放送民間放送もみんな聞けるわけでありますから、競争の意味がかなりに違つておると私は思つております。
  29. 松村光三

    松村(光)委員 前の国会できめたかもしれないが、われわれは前の国会できめたことは何でもそのままうのみに承服しなければならぬ何らの義務を持ちません。それあるがゆえにここに審議しております。ただいまのお言葉はお断りいたします。あらためて審議をいたしておるのであります。どういう形でこれがもどるかは、委員諸君考えいかんであります。そこで大体前の国会できめたというのでありますが、二本建でいいということまで前の国会できめたかどうか、私は疑義を持つております。これは速記録を読まなければ、私も知識がありませんからお答えもお尋ねもできませんが、簡単にそうではないように記憶をいたしております。  それから今広告と料金で違うと言うが、これは違うと言えば違うが、基本的の考え方は同じ基盤のもとに置かなければ競争にならない。片方国家が極端な保護をして料金までとらして、片方は保護せずに、もうかろうともうかるまいとかつてに広告でやれというつつぱなし方の考え、一体国家経済政策としてこういう基盤の違つた、基本的な考えの違つたものを並べて、競争するならせいという考え方は間違いではないか。これはテレビだからこの程度だが、テレビでないほかのものに対して、たとえば電話がアメリカのように民営がいいということで普及されることは明瞭なのだ。だから国家が公営でやるならば、大臣がしきりに言う普及という点からいうならば、民営の電話をやつてこれを競争させればいい、こういう点も考えられる。但し国営の鉄道ははつきりしておるが、地方鉄道というものはローカルしか許されないという大きな原則によつておる。だから公営、民営を並べてやらせるということは、大臣の専門である経済政策の基本的原理、原論から考えましても、公営でも民営でもない中間経営企業体、ゲミツシユト・ゲレリーブというものがあるが、公営でも民営でもかつてに並立させるということは、いい悪いという問題でなく、国策の上からはもう一度再検討を要する大きな問題だと思う。これはテレビの問題じやないのです。今後国家が国策をやる場合に、民営でもいい、公営でもいいのだということでなく、やはり企業については基本的な大きな考えをもつて進まないと、日本のこれからの各種企業各種の問題がめちやくちやになるおそれがあると思いますので、この点もし答弁があるならば伺いたい。  かような観点によりすれば、朝日の論ずるがごとく、日本輿論が大衆のことを考えて冗費を省け、国民経済負担考えて、現在においてはできるだけ小さく試験的にやつてみて、だんだん育てるようにして行く。もしそれ参議院でこの問題が起きたときに、われわれは繰返して言う、衆議院は何らの研究、考慮も払わなかつたという非難をされるおそれがありますので、ここにこの意味を附帯いたします。しかしこれをもつと言うならば、吉田総理大臣をここに参考に連れて来るならば、めんどうな問題が起り得ると思う。そういう問題もありますので、どうか政府当局内部に混乱を起さないように御警告を申し上げまして、私の質疑を終ります。
  30. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 ちよつと関連して伺いますが、さつきの、質問を聞いている中に、ラジオ聴取料収入五十円のものをとりながら、テレビ赤字をそれによつて調整する、これは非常に重大な問題であろうと思うのです。貧乏人の金で金持ちの世帯をまかなうという形になつて、こういうような考え大臣がこれを運用されるとすれば、非常な誤まりを将来冐しはしないかと思う。やはり事業を始める場合においては、金がなくて借財するのでありますから、赤字であることは間違いありません。この一部の犠牲なくして赤字を埋めるということが、大臣としての務めでなければならぬと思う。今の大臣のお話を伺つていますと、貧乏人から聴取料をとつて金持ちのテレビの穴埋めをする、こういうようなことは私は大臣として考えるべからざることだと思うのです。しかしそれに対して念を押したところ、先の答弁通り、こう言われたのでありますが、その通りであるかどうか、私はもう一度伺つておきたいと思います。
  31. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私の申し上げたことがそういうふうにはつきり理解されたとすれば、はなはだ残念に思います。が、ラジオの方の経理テレビの方の経理というものは、はつきりするということになつておりますので、そういう混乱は起きないと思います。ただしかし企業体であるNHKの会計報告というものでは、それが一緒になるようなことになるのだ、こういうことを申しただけであります。
  32. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 それで明白になりましたけれども、さつき私が聞いておりましたところでは、速記録を調べてみなければわかりませんけれども、確かに私の聞きましたのは、両方の関係はラヂオとテレビ関係で調整するということを言われたことには間違いないと思います。これは速記録を調べてみなければわかりませんが、しかしまあ今の答弁で了承しました。  それからもう一つ外貨の点について、これは大臣民間会社に投資したものについて幾らであるかということは知らない。郵政大臣としてはその通りであろうと思うのでありますが、国務大臣として国政一般のことを考える場合において、郵政省関係において外貨がどう動いておるかということを知らずして、郵政大臣であるということは、私はいかがかと思うのであります。少くとも私は外貨という問題は、国家の貿易関係あるいは日本の金融、これらに及ぼす影響甚大なるものがあるのでありますから、テレビジヨン関係する外貨というものが、一体自分の所管内において幾らあるかということぐらいのことが了解行かないで、これを論議するというのは、私は郵政大臣としてはあたりまえかもしれぬけれども、国務大臣としてはそうは参らぬと思うのであります。これについてもう一ぺん伺つておきたいと思うのであります。
  33. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 今問題になつておりますのは、NHK予算の問題でありますから、それについてははつきりしたことを申し上げたわけであります。しかし日本テレビ網株式会社の分も、むろん郵政省として全然関係のないというものではありませんから、むろん考えなければならぬ問題でありますが、これにつきましては実は私は就任早々であるものですから、はつきりしたことを存じておらなかつたのであります。しかし係の局長の万では大体は知つておつたようでありまして、正確な幾らという数字は申し上げられないようでありますが、大体NHKと同じような金額になるというふうに考えておるようであります。
  34. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 議題になつているのは、確かにNHK経理に関する問題でありますけれども、少くとわれわれがこの国会においてNHK経理について議論をする場合においては、これはテレビジヨン全体について関係あるものについての所見を伺わなければできないのであつて、これもあまりにわれわれの考えといいますか、議論を圧縮するような形で一方的に言われるというのでは、それでは私はほんとうの議論にはならぬと思う。先ほど松村委員に対する大臣答弁の中で、やはりわれわれとしてはここへ出て真剣込めてやつているのですから、議員の言論、議員の質問に対しては相当尊重するつもりで答弁を願うことが、私は当然だろうと思うのであります。  そこで私はもう一点、これとは違いますが、これと関連して郵政省全体の問題で一言私は聞いておきたいのですが、これはこの間次官には伺つたのですが、大臣には伺つておりません。というのは、最近官公庁の労働者諸君国会に来まして、われわれに対してかくすべきで、あるという要請をやつておるわけであります。しかし私は大臣を含めて郵政省に働いておりまする人たちは、一歩門を出れば日本の主権者となると思うのであります。たまたまその官庁に働いておるゆえをもつて、これは従業員であるという姿になろうかと思うのでありまするが、その場合、主権者であるという立場と、いま一つは官庁の従業員であるという立場とをどこで調整されるか、これは非常に大きな課題でなければならぬと思うのであります。むろん大臣の下で働いておる間は一つの線がございまして、内閣できめたものに対しては、下の者からそういうことをやられてはこまるのは当然であると思います。そういうような要請が出ないような局内における行政態勢といいまするか、それをつくり上げて行くことが当然私は大臣の任務でなければならぬと思うのであります。同時に内閣といたしましては自分の下で働いている部下が、内閣を目当にして運動をするというような行動の起らないような態勢をつくることが、私は内閣全体及び大臣の務めでなければならぬと思うのでありますが、あえて大臣及び内閣が決定したことに対して、部下が反対の運動をして、われわれ人民の府である議会の方に来なければならぬというようなことについては、どういうふうなお考えを持つておるか、この点についてよくお伺いしておきたいと思います。
  35. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 郵政省の職員については、郵政省内部において何とか適正な調整をするということが本来でありますから、それができることがぜひ望ましいと私も考えております。郵政省といたしましては、そういう人事管理につきましては人事部というのがありまして、これが面接には当つておる仕事であります。従つていろいろな要求あるいは交渉等のあります場合に、直接には人事部がこれに当るということになつておりますが、大臣に会いたいというときはむろん会つて話をするというようなことで処理をしておるわけであります。
  36. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 事務的に処理するのはそうでありましようけれども、私の聞いているのは、主権者と、それからもう一つは主権者たる者が国家の従業員である。一つのからだでもつて一面においては主権者であり、一面では従業員であるものを持つているのが、官庁で働いている大臣初めすべての人であろうと思います。そこを一体どこで調整するかということを聞いているわけであります。現在の段階では上層部というものは、行政府の下で働いている人たちから弾劾を受けている立場です。議会でわれわれの弾劾を受けるばかりでなく、政府全体が弾劾を受けて、これではやつて行けないではないかという行為を現わしているわけです。こういう行為に対してどういう調整をして行くかというお考えを聞いているわけです。
  37. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 その問題はやはり人事部、それから次官、大臣と一緒になつて話合いもしますし、交渉があるのでありますから、交渉もするというようなことでもつて処理するよりほかはないと考えております。
  38. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 私はそうは考えないのです。やはり問題がありますならば、従業員全体の要望、あるいは郵政省全体の問題が、大臣を通じて閣議に集約されるものだと思うのであります。従いまして閣議でこれが通るということになつて政府方針になつて初めていいのであつて、今私の質問に対するあなたの答弁は、大体事務官僚としてはそれでいいかもしれませんけれども、少くとも国政を論じ、また国政担当者である大臣が、それは人事課でやればいいんだ、大臣と会えばいいのだというわけには参らぬと思います。その点について郵政省にある問題というものは、集約されて閣議にかけられて、閣議で意見が述べられて、それで閣議でどうも通らなかつたということになれば、おのずから別だけれども、それに全幅的な努力をして、しかも閣議で議決が行われるというか、一体になつて行われて来るはずだと思うのであります。その点についてもう少し事務的な答弁でなく、やはり大臣として国政を燮理するという立場に立つて、従業員の問題をどう考えて行かれる気かということをもう一ぺん聞きたい。
  39. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私が申し上げましたのは、郵政省限りの問題について申し上げたのでありますが、むろん内閣全体としてきめるべき問題である。そうしておのずから内閣に対して相談すべき問題であるということにつきましては、お説の通りやるべきであると考えております。
  40. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 それでその間に矛盾ができたものは、どうやつて調整して行くつもりですか。現に矛盾が起きて、大臣はある意味において従業員に弾劾された形であります。これはわれわれが議会で弾劾するのならば別でありますけれども、そうでなく、あなたの下で働いております従業員が、超過勤務の拒否をやつたり、あるいはデモをやつたり、あるいは大臣の前に行つてすわり込みをやる。これは明らかに大臣が行政下部組織から弾劾された姿であると思うのであります。この弾劾の姿に対してあなたは何をもつて報い、何をもつて解決せんかということを聞いているのです。
  41. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私としては誠意をもつて努力しなければならない問題でありますが、内閣に相談してきめるというような問題は、むろん私の意見も出しますし、努力もしますが、しかし決定された問題については、これは私が責任をもつてきめた問題でありますから、これをもつて折衝すべきであろうと思います。
  42. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 これ以上議論をしませんけれども、どうも納得が行きません。もう少し自分の官庁で働いております部下という言葉を使つては悪いのでありますけれども、同じ行政官庁で働いている下部組織の人たちがほんとうに大臣になじんで、大臣とともに行動をすべきものが、大臣の前に行つてすわり込みをやつたり、あるいはデモをやつたり、あるいはことに超過勤務に対して拒否をする、これは明らかに官庁上層部に対する反抗的なものであろうと私は思います。今は当然の権利としてやつております。これは当然の権利であるとしても、こういうような状態を維持することは、行政の能率を上げるゆえんでもございませんし、さらにまた行政が円満に行くわけでもございませんので、こういう点については、おのずから大臣として最大の努力をなさなければならぬと私は思います。そういう意味において、きようは時間がございませんから、私は今までの答弁は非常に納得が参りませんけれども、これ以上申し上げることはいたしませんが、他の官庁は別として、私がこの委員会であなたに申し上げたいことは、あなたの官庁で働いておる者、あるいはあなたの監督のもとに働いておるこれらの者との対立関係が、一日も早く解決するためのあらゆる努力がもつと払われて、ないしはごこに来ないうちに、よその省には対立があるが、うちの省だけは対立がなくて予算が組まれる、こういうようにまで努力されることが大臣の務めであろうと思うのであります。どう聞いておつても、事務官僚としては受取れますけれども、大臣答弁としてはいささか不満であるということを申し上げておきたいと思うのであります。
  43. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ただいまの淺沼委員質疑につきましては、この問題は次会においても続行する予定になつておりますから、十分御審議を願います。  本日議題になりました本件に関し他に質疑はありませんか。——質疑はないと認めますので、本件に関する質疑は終了いたしました。  本件に関する討論、採決は、十三日午前十時委員会を開き、行うことにいたしたい予定であります。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十三分散会