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1952-12-02 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二日(火曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 中村 梅吉君 理事 本間 俊一君    理事 松前 重義君 理事 原   茂君       岩川 與助君    砂原  格君       貫井 清憲君    松村 光三君      山口喜久一郎君    中山 榮一君       楢橋  渡君    松井 政吉君       三輪 壽壯君    阿部 五郎君       山田 長司君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  平井 義一君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君  委員外出席者         郵政事務次官  大野 勝三君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 十一月二十六日  委員椎熊三郎君辞任につき、その補欠として楢  橋渡君が議長の指名で委員に選任された。 十二月二日  理事西川貞一君の補欠として中村梅吉君が理事  に当選した。     ――――――――――――― 十一月二十八日  江郵便局電信電話事務開始請願山崎巖  君紹介)(第二七六号) 十二月一日  戦災並びに動員電話復旧に関する請願(床次  徳二君紹介)(第三七一号〕 の審査を本委員会に付託された。 十一月二十七日  公共テレビジヨン放送実現に関する陳情書  (第四六九号)  同(第  四七〇号)  北海道下電気通信施設整備拡充に関する陳  情書  (第四七一号)  同外二件  (第四七二号)  同(第四七三  号)  同外一件  (第四七四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事互選  電気通信事業説明聴取に関する件     ―――――――――――――
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。去る十一月二十五日、理事西川貞一君が委員を辞任され、理事が一名欠員となつておりますので、委員長より理事を指名いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 橋本登美三郎

    橋本委員長 それでは中村梅吉君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 橋本登美三郎

    橋本委員長 電気通信事業について、日本電信電話公社総裁梶井剛君より発言を求められておりますので、これを許します。梶井剛君。
  5. 梶井剛

    梶井説明員 電気通信委員会におきまして、日本電信電話公社経営を直接担当する者といたしまして、日本電信電話公社発足に伴う措置事業概況及び当面の諸問題について、概略説明申し上げたいと思います。  まず日本電信電話公社発足に伴う措置について申し上げます。日本電信電話公社は、去る八月一日政府全額出資特殊法人として発足したのでありますが、経営委員会委員及び総裁、副総裁は七月三十一日事前に指名され、公社発足と同時にその任についたのであります。経営委員会は八月一日第一回の会議を開いて、委員会運営に関する規程を定めましたが、爾来定例的に毎月二回会議を開催し、予算給与機構等公社業務運営に関する重要事項につき、協議決定して参つております。理事法律には五名以上十名以下を置くことになつていますが、ただいまのところ六名を任命いたしております。  公社設立登記及び従たる事務所の所在地における登記は、それぞれ所定の期間内に完了いたしました。公社発足の際には事務手続上詳細な計算が不可能でありましたので、概算登記を行い、その後資本金の額は決算の結果、百八十二億三千七百五十八万一千七百七十五円五十七銭であることが明らかとなりましたので、これにより登記の更正を完了いたしました。  次に公社予算につきましては、昭和二十七年度分の電気通信事業特別会計予算のうち、昭和二十七年七月三十一日までに執行されなかつた部分に準ずる予算を作成して内閣に提出し、その承認を経ることになつているのでありますが、公社発足の際は、事務手続上その額の算定が不可能でありますので、とりあえず八月一日より十月三十一日に至る三箇月間の暫定予算を作成して、八月一日に内閣承認を得て暫定的な予算執行を行うとともに、決算の結果、これに基いて、前に申しました暫定予算を含めた日本電信電話公社予算を作成し、十月三十日内閣承認を得て、現在執行中であります。従つてこの予算昭和二十七年八月一日から昭和二十八年三月三十一日に至る八箇月間の予算でありまして、収入予定額は六百二十億一千六百五十一万九千円、支出予定額は七百二億九千四百四十一万五千円であります。この収支差額約八十三億円につきましては、電気通信事業特別会計より引継いだ現金及び作業資産等によつてまかなうものであります。この差額のうち約六十一億円は前年度の繰越しであり、残余の約二十二億円は年度の当初においては支出が少いのが例年の例であるのに、七月末で決算したため、収入支出を上まわつたことによるものであります。  機構に関しましては、公社移行の際の混乱を避け、かつ慎重に検討する必要から、公社発足の際は、おおむね電気通信省機構を踏襲し、必要最小限度の改正を行うにとどめたのでありますが、機構を簡素化して能率向上をはかり、管理要員を減少して現場を充実するため機構改革を行うことが必要と認められましたので、鋭意その準備を進め、十一月一日よりこれを断行いたしました。その方針といたしましたことは、第一には、管理段階を極力少くした事務重複を省き、権限責任を一致せしめて経営能率化をはかることであります。第二には、本社及び通信局経営成果の測定に関する機能を強化して、総営の合理化をはかることであります。第三には、現場機関における通信サービスに統一を与えて、利用者の利便をはかることであります。機構改革の結果、従来本社から現場までは五段階になつていましたのが、四段階大都市及び特殊の機関については三段階になり、部課等のポストは、従来約九千あつたのが、三分の二の約六千に減少いたしました。特に地方機関権限を大幅に委譲して、自主的活動を可能ならしめるよう措置したのであります。これとともに管理要員の縮減、事務簡素化等についても着々取運び中であります。また公社職員関係につきましては、従来の国家公務員法人事院規則等覇絆を脱しまして、労働基準法公共企業体等労働関係法等の適用を受けることとなつたのでありますが、労働条件基準につきましては、労働関係法令の規定に抵触するものを除き、おおむね従前労働条件をそのまま内容といたしました就業規則を制定いたしたのであります。これは逐次団体交渉等により異なつたとりきめができますれば、これに応じて改変を見るわけであります。また給与準則会計規程等につきましても、公共企業体として特異なものを除き、おおむね従前の例によることといたしておる次第であります。  次に郵政省に対する公衆電気通信業務委託につきましては、従来電通省時代における二重監督を避けるため、公社発足を機にこの協定を改訂いたすこととしたのであります。すなわち郵政省委託業務運営について直接責任を負うこととし、二重監督の弊を省き、自主積極的な運営を期することとするとともに、運営経費は出来高払い的な手数料主義によることにして取扱費算定を簡素化し、企業意欲の高揚をはかることにより、委託業務能率的かつ経費的な運営をはかることといたしたいのであります。  以上をもつて公社発足状況に関する概略の御説明とし、次に事業の概要について申上げます。  まず電報について申上げます。国際電報は依然として順調な推移を見せておりますのに反し、国内電報は本年度上半期通数は約四千三百万通でありまして、前年同期に比し約七%の減少を見せております。電信につきましては、需要に応ずる程度設備は充足されておりますので、これは経済界の情勢の変化が反映したものと考えられます。一方電報の速さ及び正確度は逐年向上しておりまして、戦前に比して遜色のない程度になつております。  次に電話について申し上げます。電話加入数は本年九月末現在で百四十二万八千でありまして、四月以来の増加は五万八千であり、昨年同期の約三万八千に比し相当増加を示しております。また電話機数におきましては、九月末現在二百六万四千で、四月以来九万六千の増加になつております。これは限られた資金設備を最も効果的に使用し、極力需要を消化するため、従来の加入割当数といつた制約を廃止したこと、資金または資材の寄付受理を認めたこと、また二共同または多数共同といつた共同加入制度や、乙種増設電話横内電話内線電話機共同使用及び辺鄙な地の飛び地加入制度を、積極的に勧奨したことによるものであります。これによつて本年度上半期共同加入架設数一万六千、乙種増設電話架設数二方の増加を見ております。しがしながら電話加入申込みの積滞数は九月末現在で三十九万六千あり、今年度内にさらに十三万二千の増加が予想されます。このほか電話に対する潜在需要数は約八十万と見込まれますので、これらを合すれば約百三十万といつた厖大な数に上るのであります。これが解決のためには局舎局内設備地下ケーブル等基礎設備の大拡充を行うのほかないのでありまして、私どもとして最大努力を傾注する必要があると考えております。市内電話完率につきましてはやや向上しておりますが、いまだとうてい満足すべきものでなく、これがまた市外通話が早くつながらない原因ともなつておりますので、基礎設備整備拡充により、これが改善をはかることが急務であると考えています。市外通話につきましては、その度数は増加の一途をたどつておりまして、本年八月までの合計は約一億九千万度数で、前年同期に比し二〇%の増となつています。市外通話の待合時間はやや短縮されて来ているのでありますか、それでも東京発信特別至急通話だけを例にとつても、その約二〇%が一時間以上を要している状態でありまして、今後の市外通話増加傾向にかんがみまして、市外通話設備の大幅な増加が必要と考えられます。また近郊通話サービスについても、改善の余地が相当大きいことを痛感いたしております。この点につきましても今後さらに努力を続けるつもりであります。なお電話事業といたしまして重要な事項は、電話加入権の取扱い及び電話譲渡禁止等に関する政令が去る十月二十四日限り失効したことであります。これにより従前譲渡を認められなかつた電話、すなわち昭和二十四年二月十五日以降に生じた電話加入権が、自由に売買されることになつたのであります。  公社発足以来ようやく四箇月を経過したにすぎませんので、いまだ事業として十分な成果を上げていないのでありますが、私といたしましては、従前のような予算偏重官庁的弊風を一日も早く一掃し、企業らしい成果中心に切りかえ、合理的、能率的な経営体制のもとに、サービス改善能率向上をはかり、建設資金を確保して設備整備拡充を行いたいと考えております。その他窓口等サービス改善経費の有効適切な使用について種々の方策を講じつつあります。  以上事業概況を申し上げましたが、最後に当面の主要問題について申し上げたいと思います。  まず電話整備拡充であります。申すまでもなくわが国電話世界文明諸国に比し、その発達が著しく低位にあるのみならず、他の産業施設に対してもはなはだしい立遅れを示し、現に電話不足経済活動の大きな降路となり、市外通話待合せ時間の制約の理由からする商社の大都市集中傾向も見られ、電話拡充整備は国民の切実な声となつております。  御承知の通り終戦後約八十万の電話復旧または新設されて来たのでありますが、従来の制約された予算のわく内におきましては、電話局新設は困難であり、既設の電話局最大限度に利用することに重点を置かざるを得なかつたのでありまして、このためすでに電話局舎が行き詰まつて、一箇の電話増設できない電話局が、すでに本年度初頭において大都市十五局、中都市八局、小都市十九局に上つておりますし、今後五箇年間には大都市五十局、中都市五十三局、小都市百二十六局、その他局舎の新築、移転を要する局が約二百九十局に上る見込みであります。これらの行き詰まりの局は、最近の産業発展のため、または地方中心として特に電話需要の大きいものでありまして、電話行き詰まりに対して非常な関心を持ち、市町村をあげて電話局新設努力しているところが大部分であります。  また大都市電話局が例外なしに行き詰まつていることは、市外通話の悪いサービス改善することを困難ならしめている一つの原因となつているのであります。同一市町村内でありましても、加入区域が二以上にわかれ、相互に市外通話となつているものも多数ありまして、その待合せ時間が三十分以上のものが百一区間もあり、また地域的に見ましても、通話発着状況より見ましても、当然市内サービス地域として合併を必要とするものは、全国に約二百七十件を算する多数に上つているのであります。また近接市町村でありましても、交通機関によるよりも待合せ時間を多く要する区間は枚挙にいとまがなく、特に京浜聞及び阪神間では、申し込んで接続し得るものが約一五%程度といつたきわめて低い率で、一日中何回かけてもとうとうつながらなかつたという場合に出あうことも少くなくない状態であります。市外通話待合せ時間につきましては、終戦後徐々にサービス改善されたのでありますが、これは設備増設によるよりも、むし交換手能率向上設備保守改善によるものでありまして、昭和二十三年度に一回線あたり一日百通話時数を疏通していたのが、現在百五十六通話時数になつて戦前よりはるかに能率を上げており、すでにその限度に達しているものと認められるのでありまして、今後設備の大幅な増設なくしては、サービス改善を期し難いのであります。  この点にかんがみ、政府はさきに決定されました基本政策のうちに、経済基盤発展の一環として、電話債券発行等による電信電話施設整備拡充を掲げられたのであります。これに対応し、公社といたしましては、電信電話拡充五箇年計画を準備いたしておる次第であります。この計画は、電信電話に対する需要をようやく充足せしめる程度必要最小限度のものでありますが、これでも毎年七百億ないし八百億、五箇年間に三千七百億という莫大な資金を要するのでありまして、これが獲得は一公社のみの力のよくするところではなく、国家的な重要施策として、国家の強力な支援を期待している次第であります。  次に給与の問題について申し上げます。かねて全国電気通信労働組合から現在の給与ベースを不満として、一万六千八百四十七円ベース中心とする給与改訂の要求を提出しており、これに対し十一月八日公共企業体等中央調停委員会から、職員本俸を八月以降平均月額万一千七十四円、各種手当を含め合計一万四千七十五円の調停案を提示されました経緯につきましては、前回委員会において郵政大臣から御説明があつた通りであります。公社といたしましては、この調停案内容を慎重に検討した結果、十一月二十日に次の趣旨回答行つたのであります。すなわち「民間給与国家公務員給与その他の事情を考慮して勧告された同案の趣旨は、十分尊重すべきものと思料します。特に同一労働関係にある日本国有鉄道及び日本専売公社職員のそれと比較し、ほぼ均衡を保つべき本俸の是正を行うことを勧告せられた趣旨は、公社職員勤労意欲を発揮せしめ、事業運営改善に資する点よりしても妥当なものと認められます。しかしながら、この案の内容をそのまま実現するためには、経費として平年度において約百十億円程度増加を見るごとになり、当公社現在の財政事情においては、いかに経営合理化をはかり、収入増加に努めても、これに充当し得べき財源は本年度内約三十億円程度と見込まれるにすぎないので、料金の一部改訂を含む新たな財源確保の方途が講ぜられない限り、独立採算制をとる公社としてこれを実現することは困難な状況であります。もちろん公社としてこれが財源確保措置をとるため必要な努力を傾注した次第でありますが、公共企業体として法律上、予算上諸種の制約を受けております関係上、現段階においては、これが実現の確たる見通しを立て得ない状況にあり、従つて公社現在の財政状況のもとにおいては、今ただちに同調停案実現することは困難であります。しかしながら、前述のごとく同調停案趣旨は尊重すべきものと思料いたしておりますので、今後ともできるだけすみやかなる機会において、その趣旨実現できるよう、公社として全幅の努力を払う所存であることを申添える次第であります。」以上が回答の要旨でありますが、さらに十一月二十五日には、郵政大臣及び大蔵大臣に対し、公社は本調停案趣旨を尊重すべきものと思料し、その内容をぜひとも実現することを期し、今後とも予算上その他政府の特別の措置を要請することとなると思いますが、公社発足公社職員が、新たなる勤労意欲のもとに電信電話サービス向上努力しつつある事情と、紛争を平和的、友好裡に解決し、もつて事業の合理的、能率的運営の責務にこたえんとする点を了察され、政府が本調停案実現に特段の御配慮あらんことを切望する旨上申いたした次第であります。  最後に本年度補正予算につきましては、前回委員会において郵政大臣より御説明いたされましたので、重複を避けてこの際省略いたします。
  6. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ただいまの説明に対し質疑を許します。本日は郵政大臣並びに政府委員も御出席になつておりますので、大臣その他に対する御質疑を同時にお願いいたします。質疑の順序は通告順に従います。中村梅吉君。
  7. 中村梅吉

    中村(梅)委員 簡単に電電公社総裁に御意見を承り、かつ将来資料の配付をお願いしておきたいと思います。ただいまの総裁の御説明によりましても、電話設備拡充改善は、大いに努力をされる模様であり、かつ五箇年計画も進められておるようであります。しかし何といいましても、現状は非常に電話のために一般大衆ごと中小企業者などは困難をいたしておる現状であります。とりわけ戦災大都市復興の途上にあつて電話の問題は最も大きな悩みとなつておると思うのであります。どうしても電話が当然入れられなければならない地区であつても、戦災のためにまだ復興が整つておりませんので、ケーブルその他の関係で、この地域には電話は一本も入らないというような場所が、東京あたりでも非常に多いのであります。そのために電話の値段は何十万、あるいは郊外の電話でも十数万というような奪い合いをしておる現状でありまして、先般郵政大臣の御説明を承りますと、一本の電話架設総費は十何万かかかる。加入者から徴収するものは三万円ぐらいであるというお話でございましたが、ただ考えますのに、電話鉄道や何かと同じように、計画的に一度に相当の大資本を投入すれば、通話料をとつておるのでありますから、その通話料収入によつてりつぱに利潤採算が立つのではないかということが考えられるのであります。ことに電話の場合でありますと、事業拡充したからといつて、それだけ人件費がそれに伴つて、ほかの事業のようにふえて行くわけではありません。一度に思い切つた投下資本を入れまして施設を充実すれば、それだけ電話利用度向上され、事業をやり、商売をやり、仕事をしておる人たちのどこにも電話があるということになれば、自然、電話利用度はそれだけ高まつて行くと思うのであります。高まれば自然料金収入は増収されて行く、こういう点にかんがみまして、思い切つた計画を立てて、一度に十分の施設をする、資本を投ずるということが大切ではないだろうかと思うのであります。そこで私ども当局に要望いたし、御意見を伺いたいと思いますのは、そういうような採算点等はわれわれには容易に算出することができませんので、ぜひそういう算出した、たとい試み的のものであつてけつこうですから、作成をしていただきまして、われわれの研究資料をぜひ提供していただきたい。同時に今進められておる五箇年計画より以上思い切つた電話施設拡充を、さらに御研究になつてくださる御意思が持てないかどうか。この点もこの機会に簡潔でけつこうでありますから伺つておきたいと思うのであります。その他いろいろ公社関係のことで御意見を確かめておきたい点もありますが、他の諸君の御発言もあると思いますので、本日はこの問題だけにとどめておきます。
  8. 梶井剛

    梶井説明員 ただいま電話は拡張すれば相当利潤が上るだろうというお話でありますが。電話そのものにつきましては、ところによつて相当利潤が上る。しかし一方、電信事業相当赤字であります。また地方町地電話につきましては、もちろん収支がつぐないません。従つてこの赤字をカバーしまして、二十六年度においてわずか十四億円の黒字となつたのであります、従つて現在の料金をもつて参りまして、しかも今後の拡充を借入金でやつて参りますれば、支払い利息がだんだんふえ募りまして、しまいには全体としてこの黒字赤字にならざるを得ないという状態になつておるのであります。  また今の御希望の料金とその収支関係ということにつきましては、目下個々の問題として研究いたしておりますので、できました場合においては御参考に差上げたいと思います。
  9. 橋本登美三郎

  10. 松前重義

    松前委員 郵政大臣に御質問を申し上げたいと思います。この前の委員会電波関係の問題についていろいろ御説明を承つたのでございますが、今日問題になつておりますテレビジヨンは、単にいろいろな映画に類するものを、瞬間的に遠いところに起つた現象を見られるというような、いわゆる娯楽のような意味において考えておるようであります。けれども、このテレビジヨンの問題は、実に科学、文化の発達に対しまして非常に大きな影響を持つものであり、これに対する政策は非常に重要な意味を含むものであると思うのであります。かつて英国が戦争の前でありましたか、テレビジヨン研究にほとんど国の科学研究重点を注いでおりましたが、むべなきにあらずでありまして、当時わが国のごときは、まつたくこういうものを没却しておつたというところに、この問題の重要性があると思うのであります。このテレビジヨンの今後の事業許可その他を通じまして、少しばか政府の御見解伺つてみたいと思うのであります。  今日、テレビジヨン許可されたるところは、日本放送網株式会社でありますが、あそこにこの前の電波監理委員会会で御許可になつたのであります。ところがその後における御方針についても、この前の委員会における松井委員の御質疑によつて一応了承はいたしたのでございますが、少くともテレビジヨン許可し得るところの波長範囲その他の問題について政府としての御見解を承ると同時に、今後におけるテレビジヨンを通じてのいわゆる政策的な面について少しばかりお伺いをしたいと思うのでありますが、この点については郵政大臣——きようは電波の方がお見えにならぬようでありますから、電波専門家をこの次ぐらいにお連れを願いまして、技術的な、あるいは専門的な面はお伺いいたしますが、少くとも波長割当その他を通じまして、今後わが国に許し得る範囲というものは限定されると思うのであります。また許されたる方式、型式というものに対しまして、どういうふうな規格をもつて臨むか、すなわち従来わが国が今日まで長い間工業発達しなかつた、またその支障となつておる理由は、規格の問題が非常に大きいのであります。あるいはドイツのものを入れ、あるいは英国のものを入れ、あるいはフランスのもの、米国のものを入れておつた、それからの規格が錯綜いたしまして、日本の工業は実は複雑多岐にわたつて多量生産ができないで、輸出の問題にもさしつかえるというようなことに相なつておるのでございまするが、今日テレビジヨン事業をいよいよ具体化しようといたしまするときにおきまして、この問題を決定しておかないならば、濫立の形で、そして何らの政策も持たないで、いたずらに方々に許可をして、これらの根本的な製造工業を中心としたる問題を誤つたといたしますならば、将来大きな禍根を残す。ことにテレビジヨンという小さな問題ばかりでありませんで、日本の電子工業の全般にわたり、新しい化学工業の基礎的な要素であるこの問題につきまして、大きな禍根を残すものであると思うのでございます。この意味におきまして、政策的な立場における大臣の今後における事業運営許可方式、そうしてまたできるなら御許可になりまする形態、あるいは現在許されておる放送網株式会社以外に、どういう条件を持つておるものに御許可になるつもりでおるか。これらの問題につき少しばかり承つておきたいと思います。
  11. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 技術的の点は、電波局長を今度連れて参りまして、よくお答え申し上げたいと思います。ただいまの、将来の電波行政の立場から、電波に関連するスタンダーダイゼーシヨンの必要というようなことについては、私もまつたく同感でありますので、できるだけその線に沿つて私はやつて行きたいと考えております。ただ電波の技術上の問題になるますと、私はよくわかりませんので、局長とも相談いたしまして、局長から申し上げるということにいたしたいと思います。  なお許可の問題でありますが、この前申し上げましたように、私の方針としては、やはり独占ではない方がいいという方針を持つておりまして、電波割当の許せる範囲においては、できるだけ多く許した方が、将来日本でテレビジヨン発達普及をはかるには適当だと考えております。それならば、それを許可する場合に、今お話がありましたような点についてどういう考慮をするかということでありますが、今お話のような点は最も重要な点で、よく私としても考えなければならぬと思つております。ただいままでの方針といたしましては、電波割当範囲において、しかもその申請者の計画を見まして、これは確実にやれるというようなことであれば、大体許可することになつておると思います。放送の内容等につきましては、民間放送と公共放送とまた違つた点が出て参りましようし、公共放送においては、特にお話のような公共的な意味のある放送を重要視しなければならぬということは考えておりますが、具体的な内容等については、別にまだ腹案を持つておらないわけであります。
  12. 松前重義

    松前委員 今のお答えにつきましては、電波監理局長の御出席によりましてもう少し伺いたいと思うのでありますが、それに関連いたしまして、先ほどから申し上げましたように、今後これらの技術は日本の科学、文化の進歩に非常に重大な影響を持つものでありまして、日本放送網株式会社のような、アメリカより技術を輸入されて、それでもつておやりになるところに御許可が出たのでありまするが、そのような外国よりの技術のみにたよるようなことでは、日本自体の独立、あるいは将来の自主的な科学発達を妨げる、しかも一番先端を行かなければならないこの事業に対して、そのような態度をもつてするときには、非常に大きな日本の工業の独立の上から災いを起すと思うのであります。こういう点につきまして、ドイツあるいは米国あるいは英国は戦争前に、テレビジヨンと表面は言つてつたけれども、電子工学の、最近におけるいわゆる原子物理学の一部であるこれらの研究機関を、非常に大きな力を入れて拡充をしておつたとい具体的な姿をわれわれも見ておつたのでありますが、郵政御当局においては、これらの具体的な御計画なり政策なりを持ち合せておいでになりましようか、ちよつとお伺いいたします。
  13. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 技術的の問題はいずれお答え申し上げることといたしまして、私の一般的な方針といたしましては、テレビジヨンその他一般の電波技術等につきましては、日本としてはできるだけ研究を奨励して行きたいという考えを持つておりまして、今までのところはNHKがある程度研究をいたしておりますが、これだけではとうてい不十分でありますから、郵政省の持つております電波研究所等も、できるだけこれを充実して研究を進めるということを考えて参りたいと思いますし、そのほか大学等でもむろんテレビジヨンなり電波関係研究をやつておるわけでありますから、そういう方面の研究もできるだけ進めてもらいたい、それについて私もできるだけの努力はたしたい、こういう考えを持つております。
  14. 松前重義

    松前委員 研究機関の問題の御答弁は、具体的な御案をお持ちにならないのではないかと思われる御答弁のように承りますが、いずれ予算の場合に御質問を申し上げたいと思います。  次に電信電話料金の問題でありますが、電信電話料金の値上り、これと郵便料金の値上りは、終戦後インフレがだんだん進んで参りましたときに、どうしても値上げしなければならなかつた事態に当面いたした時代があるのでありますが、あのかつての郵便料金、かつて電信電話料金、あるいは鉄道料金、これらに対しまして、現在の電信電話料金と郵便料金との値上りの割合は、どういうものになつておりましようか。資料がございましたら参考のために御説明願いたいと思います。
  15. 靱勉

    ○靱説明員 昭和九年から十一年の間を基準年度といたしまして、私どもの調査したところをお答えいたしますと、郵便は書状において現在三百三十三倍ということに相なつております。はがきも同じ様でございます。電報につきましては現在二百倍ということに相なつております。それから電話料金でございますが、基本料につきましては百四十四倍、度数料におきましては百六十六倍、それから地域制局の使用料につきましては百七十五倍、公衆電話は百倍、市外通話につきましては百四十六倍、こういうことに相なつております。
  16. 松前重義

    松前委員 電報と郵便料金とは大体国内のいろいろな距離に関係なく均一料金をとつておるのでありますが、この両者は郵便が三百三十三倍になり、電報が二百倍というこの現象に対しまして、何か郵政大臣は差がありますことについて、何ゆえにこういう差を生じたかという問題につきまして理由を御説明願いたいと思います。
  17. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 値上げした当時の事情を十分承知しておりませんのでお答えが十分できないと思いますが、多分値上げを必要とした事情の起るたびに、あまりそう計画的でなく、赤字を出さないようにしようというようなことから考えられた値上げで、自然不ぞろいになつたのではないかと想像いたしますが、値上げした当時の事情を私よく存じておりませんので、詳しいお答えは実はできません。
  18. 靱勉

    ○靱説明員 先ほど松前委員の御質問に少し申し落しがありましたので、なお追加して申し上げますと、国鉄は旅客が百四十五倍、貨物が車扱いが百七十一倍、小口扱いが二百三十四倍、都電が二百三十七倍、電力は小口電力が八十六倍、電燈が百六十四倍、ガスが二百二十七倍、水道が百四十八倍、こういうことになつております。そこでさらに郵政大臣に御質問でございましたが、電話電報料金の値上げにつきましては、先年ベース・アップ等の問題がありまして、事業としまして独立採算制がとれる限度に圧縮し認められました。料金値上げは先ほど申し上げたものでございまして、二十六年の十一月から実施されたのでございます。当時郵政の方におきましても書状とはがきの値上げ率につきましては、原案としましてはかわつた原案が出ていたように承知いたしておりましたが、国会の御承認は結局両者五円、十円ということになりまして、いずれも三百三十三倍、これも郵政事業における独立採算制の立場から、その限度において行われたものと了承いたしております。
  19. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ちよつと申し上げます。参議院の郵政委員会がすでに開かれておつて郵政大臣出席を求めております。もし郵政大臣に対する質疑がありますれば先にお願いいたします。
  20. 松前重義

    松前委員 私は郵政大臣に対する質疑はございません。
  21. 橋本登美三郎

    橋本委員長 それでは松井委員
  22. 松井政吉

    松井委員 それではちよつと公社側の方の数字は、御答弁並びに質問はあとまわしにしまして、大臣に対する問題だけを先にお伺いいたします。他の問題につきましては同僚議員の方から質問があることと思いますので、きわめて要点だけの問題について、今度の補正予算をめぐる給与ベースについて質問を申し上げたいと思います。  これは大臣に質問する前に、一言だけ公社側から御答弁願いたいことは、能率上昇による予定収入を上まわつた額は幾らであるか、これはひとつ公社側からお答えを願いたい。  それから大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、この前こまかいことは省いておりましたので、きよう数字にわたることをちよつとお伺い申し上げたいのであります。御承知のように現在の給与が国鉄、専売、電電公社の主たる公社組織の中で、現在本俸は国鉄が九千百三十六円、専売が八千八百円、電電公社は七千九百六十円と相なつております。これを調停委員会ではやはり本俸の不合理を是正しなければならないということで、一万一千七十四円の調停案が示されたのであります。これによりますと国鉄の裁定は政府が十一月から実施をのんだのでありますから、国鉄の裁定に基けば国鉄の本俸は一万一千四百五十円、電電公社調停案はなお一万一千七十四円、こういう形に相なつておる。さらに専売の調停案は一万一千七百円、裁定案は一万九百十四円、公社の比較をとつてみるとこういう数字が示されておりますが、主管大臣とじてこの七千九百六十円と極端に陥没しておる電電公社給与体系というものが妥当と見て、補正予算に二割の本俸上昇だけしか含まなかつたものだろうか、この予算の組み方と賃金体系に対する考え方をお伺いいたします。
  23. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 賃金形態の問題でありますが、電電公社の基本給が国鉄の基本給とは違つておりまして、かなりの開きがあり、低かつたということは今まであつた事実でありまして、これは私も同じ公社形態として現業をやる場合においては、不合理な点があるとはつきり認めております。ただそのこまかい点を申しますと、年末手当の点では基本給の低いことをある程度カバーするということにはなつておりますから、基本結の違いだけではありません。しかしこれを加味して考えましても、確かにそこに不合理があるということは私も認めておるわけであります。ですからこれは何とかその不合理を是正する必要があるということは私も考えております。
  24. 松井政吉

    松井委員 その先をお伺いしたいのです。考えていらつしやることについては敬意を払いますが、国鉄裁定はすでに政府がのんだのであります。従つて十一月からは国鉄は一万一千四百五十円の給与ベースになつたのであります。これは八月から実施せよというのが裁定でありますが、政府は裁定の一部をのんで十一月からは一万一千四百五十円に相なるのであります。同じ政府の立場にありながら、電電公社予算に現われておるものは九千六百円であります。不合理をお認めになつたならば、補正予算のときになぜ不合理是正の予算が出せなかつたかということをお伺いしておるのです。
  25. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 確かに不合理がそのままに残さたというわけであります。ただしかし今度の結果として不合理が非常に大きくなつということではないかと思つております。しかしできるならばむろん今度の機会にこの不合理を是正する方がいいということは私も考えているのでありますが、それをやるにつきましては、電電公社の財政問題、料金の問題等が、ありまして、料金の問題になとこれは公社だけの問題として考えるわけには行きませんし、公社の従業員だけの問題でありませんし、一般公衆の問題でありますし、日本国民経済全体の問題になりますので、それを考慮しなければならない。そこでそれらの事情を考慮いたしますと、今すぐこれを是正することは困難であるこう考えた結果であります。
  26. 松井政吉

    松井委員 これはこだわるわけではございませんけれども、ちよつと考え方がわれわれとの間に違いがありますからさらにお伺いいたしますが、国全体の経済事情と国全体の財政の関係とを考慮しなければならないということはわれわれもその通り考えております。しかし国鉄、専売、電電公社、その中でこれは昭和二十一年度からわれわれの間に議論せられたのでありますが、国鉄電電公社の作業というものは完全に現場であります。従つて現場作業の者は公務員であつた時代におきましても、公務員とのベースの開きが必要だということを主張したときに、国鉄は幸いにして今のような形で従来でも九千百三十六円、これに対する電電公社七千九百六十円という開きができたんです。現場を認めてです。ところがその当時いろいろな事情から今の電電公社は七千九百六十円のまますえ置かれている。従つてこの陥没を救うということは——電電公社独立採算制になつたのでありますから、そこで一番先に公社側にお伺いしたのでありますが、能率を上昇することと財務経理の自由な立場で運営できるというのが、コーポレーシヨンの本質であります。従つて電電公社になつて補正予算を組む機会に、この陥没を救わなければならない。この陥没を救うことが天下の経済事情に影響を及ぼすという理由でのがれることのできない、いわゆる操作上の問題だと思う。従つて操作ができ得ることをなぜ郵政省はこの陥没を救うことにお考えをいたさなかつたか。こういうことを聞いているわけであります。この陥没を救つたことが日本の経済上に影響があるということで答弁をお逃げになることは少しどうかと思いますので、その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  27. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 私が御答弁申し上げましたのは、いろいろな事情を考慮して、また公社財政状況を考えてみまして、どうしても料金の問題にすぐ触れるか、あるいは来年度は必ず料金の問題に触れなければならないか、こういうふうな事情があると考えたので、今のような結果にした、こういうことであります。
  28. 松井政吉

    松井委員 それはわかりました。それでは不合理は是正しなければならぬということはお認めになつたのであります。それから年末手当その他の点の考慮のことも大臣から説明をされました。そこで私はお伺いをするのでありますが、国会へただいま出されている予算中心にものを考えることを一たびやめて、公社法に基く四十条の弾力条項、さらに四十三条の五の給与総額のところ、さらに五十三条に基く同法の扱い方、さらに五十四条及び七十二条、予算総則五条等の問題を緊密に御研究なさつて操作をすれば、大臣がお考えになつているようにただちに本法の陥没を救うことはできないが、大体他の公社程度のことが季末手当あるいはいろいろな手当においてできる操作があるようにわれわれは考えられますが、この条項一条づつに基く大臣の考え方を明らかにしていただきたい。
  29. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 ただいまおあげになりましたような条文の適用によりまして、能率向上についての手当等を十分考慮して満足の行くような方法を講じられないか、こういう御質問だと思います。それについては第一に、ただいますぐそれができるというような資料がかりにありましても、まだ来年度の問題も考えなければならないということを私は考えております。それからまたこれは大蔵大臣郵政大臣と協議して両方の承認を要するということに相なりますので、むしろ私だけできめられない問題にもなります。しかしそういう問題が具体的に資料としてあるとすれば検討すべきであると考えております。
  30. 松井政吉

    松井委員 そういうことがあればいろいろ努力したいという御意思でありまするが、当然これは法律に基いて、いろいろな措置をはかるときには当該行政監督の立場にある郵政大臣の認可、さらに大蔵大臣との協議等が条文に載つておりまするから、その方法をとらなければなりませんけれども、たとえば公社側の方が今一番困つているのは、本年度予算昭和二十七年度国営のまま組まれている予算である。途中で公社側にこの予算がそのまま引継がれたのである。そこで公社側が補正予算を組むときに、公社としての立場から公社独立採算制予算を組むが、補正予算の性格は二十七年度予算に対してやはり補正するのが補正予算であるので、いろいろな事情があろうと思うのであります。そこで私は公社法に基く条文の適用と操作ということが、実質上の賃金上昇の場合に考えられて来る。その場合には郵政大臣の認可、さらに大蔵大臣との協力ということがあり、あるいは大蔵大臣の認可ということがあるので、当該郵政大臣にはだも二はだも一生懸命はだをぬいでもらわなければならない問題が起つてつているのであります。従つて法律上認可の立場にある郵政大臣が、ただいまの条文適用と扱い方の操作の上で、公社側が来年度能率を根拠にして可能だという場合には扱いをしていただけますかどうか。この点を明らかにしていただきたい。
  31. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 公社側の方として十分検討をされて資料を出され、私に相談があると思いますので、その相談のある場合にはむろん私としては検討はいたしたいと思つております。
  32. 松井政吉

    松井委員 そういたしますると、あまり長くとると参議院の方から怒られると思いますからやめますが、ただいま申し上げたように、要はわれわれは基本的な賃金形態から行けばただちに陥没を——やはり国鉄及び電電公社は同一現場作業と認めたのでありますから、これは従来から認めたのであるけれども、いろいろの関係と国有国営が国鉄が一足先に公社システムになつたということから、陥没を救うことができない。そこで今度は弾力条項やいろいろな問題があるのでありますから、来年度は私はこんなことはないと思いますけれども、ただちに陥没を救う建前から、陥没を救うと同じような形における実質賃金をふやしてやるくらいのことは考えていただかなければならない。さらにこれは予算委員会において修正が行われれば八月にさかのぼるかもしれませんけれども政府みずからが国鉄裁定は十一月から裁定通りのむという態度をとつているのでありまするから、従つて国鉄の方は政府が裁定を十一月から実施、のむということになつておる。電電公社の方は調停案にあらざる二割アップの補正予算しかあげていない、こういうことでありますから、これはむろん政府の中において考え方の統一が、公社組織に対する給与体系について出ていないということになるのではないかと思われますが、その点をカバーをするのが、ただいま補正予算に上つて来ておりまする、あるいは補正予算以外の形において操作をしなければならない問題だと思います。私がなぜこのように言うかと申し上げまするならば、御承知のようにただいま電電公社全国の従業員諸君は、調停案より以上の要求を掲げて、その要求額の完徹を願つているのであります。ところが調停案が出ましたので、これは第三者としての調停並びに裁定等は労働組合としても尊重すべきだということで、要求額を下げて、調停案をのんだのであります。その調停案をのんだが、補正予算に現われて来ているものはやはり九千六百円、二割のアツプだというところで、必死に調停案実施のために嘆願をいたしておるのが今日の実情であります。これはあとで公社側からお伺いするのでありますが、この嘆願運動なるものが、年末を控えてやはりいろいろな、国内通信、国際通信を問わず、作業の能率に影響があり、その結果、公社自体の収入減になつた場合は、ベース・アップより以上の打撃が公社には起つて来るのです。これを早く解いて安心感を与えるということが政治でありまするから、その立場から考えれば、やはり公社側と大臣は打合せをして、安心して調停案に近い、のんだ線までのひねり出しを考えていただかなければなりません。私が申し上げた条項以外にも、法律を調べればひねり出す方法はあろうと思います。従つてこの点は真剣に努力をしていただきたいということを希望申し上げておきます。さらに公社並びに大臣との間の折衝の過程にわれわれが入るべき問題でございませんから、ただされわれとしては要望する以外には方法がないのでございますが、そういう方法をとつていただきたいと思います。  それからもう一つ大臣のいる間にお伺いしておきたい点は、これは予算の問題ではございません。この前もお伺いしたのでありまするが、公社側の方方の答弁を得られなかつたので途中で打切つたのでありまするが、本日は公社側の答弁もお伺することができるのでありますからお伺いしますが、かりに国際通信関係は国際電気通信株式会社に移行しなければならない。その場合における国際通信全体を通じて、公社が国際通信までやつていた場合と、国際通信が民間の株式会社に移つた場合の経営上の問題はどういう形になつて来るか、これが第一点。  第二点は、この前もお伺いしたのでありまするが、きようは公社側から大臣の答弁のあとで答弁を求めたいのでありますが、繰返します。国際関係が民間に払い下げられる場合の評価額というものは——これは郵政省ということをこの前御答弁願つた。その場合における評価額というものの計算が公社側の方とすでに打合せ済みで評価されているのかどうか。評価の問題については評価委員会ができて進められておるが、こまかい打合せが公社側との間にできているのかどうか、この点をお伺い申し上げます。  第三点は、これはあとで予定収入以上の収入がどのくらいあつたかということを公社側から御答弁願いまするが、おそらく従業員諸君の能率上昇による予定収入を上まわる収入ができていることは明らかであります。従つて比較的利益の多い国際通信を含めて、公社がほんとうのコーポレーシヨン組織の上に立つて、従事員が協力した場合の収入増というものはかなり多いものになろうと思います。さらに、ただいま五箇年計画なるものを公社側からお伺いいたしましたが、電話の五箇年計画と普及とともに、料金の問題が議論になつておりまするが、料金を考えなくとも予定収入以上の自然増になることは明らかであります。そういうことになりまするならば、日本の電信電話事業は非常な発達を遂げるのであるが、法律が通つたから民間に移すんだという大臣の答弁がこの前もあつた。これは法律が通つた以上、法律に基いて執行するのが行政府の立場でありまするわけれども、われわれは法律が通る通らないにかかわらず、電信電話中心とした通信の中でそれたど大きな役割を果し、さらに国家にしても、何らかの形で民間へ移しても、国際通信等はいろいろの問題から国家が目を離すことのできない通信であるものを、法律ができたから株式会社に移さなければならないという考え方を堅持されるのか、それとも大臣としては、電信電話公社のあり方と国際通信、国内通信を通じての立場から、法律ができたからやむを得ないという考え方か、法律ができなくとも、やはり民間に移す方がよろしいという主管大臣としてのお考え方か、これをはつきりしていただきたいと思います。あとは公社側からお伺いします。
  33. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 最初の第一点でありますが、経営上の問題はどうなるかという御質問でありますが、その意味が実ははつきりわかりませんので、もう少し御説明いただくとたいへんけつこうだと思います。  それから第二の評価決定の問題でありますが、これは公社にとりましてもむろん非常に深い利害関係のある問題でありますから、公社からも評価委員を出してもらいまして、参加してもらつておりますし、資料は何といつても今まで公社がやつてつたわけですから、公社から十分に出してもらわなければ資料がありませんので、それをもとにしまして十分に調査をしてやる、こういうことになつております。  それから第三の点、国際電信電話株式会社設立の問題でありますが、あの法律ができまする時分私は参議院緑風会におりまして賛成をしておるわけでありますから、むろんこれには賛成しております。そうしてあの法律ができて、あの法律によりまして評価をして株を処理して、設立するということに法律がなつておるわけでおりますから、私としてはあの法律に基きまして、民間会社として国際電信電話株式会社を設立して、四月一日から発足をさせよう、こういう方針で進んでおるわけでおります。
  34. 阿部五郎

    ○阿部(五)委員 関連しますから…。過日の御説明で、調停案を採用しなかつた理由は、諸般の事情を考えてというお話でありましたから、それをお伺いしたしたいと思つたのでありますが、ただいま松井委員のお尋ねに対するお答えで大体わかつたのでありますが、要するにその理由は、公社の方で財源に不足を生ずる、しかもそれを補おうとすれば料金の変更をしなければならないが、これは多数の公衆並びに国民経済にも影響するところがあるからというところに尽きるようであります。しかしこれは何も電電公社のみに限らないのでありまして、国鉄におきましてもまた専売におきましても、おそらく同じような問題が起るのでありまして、しかも国鉄におきましては、仲裁裁定案を政府の方では、施行の時期はともかくといたしまして、のんでおられるのであります。そしてそれに関連してやはり運賃の問題を解決されておる。それがよいか悪いか、賛成か反対かは別といたしましても、とにかくそれをやつておられるのでありまするが、その点について電電公社に関する限りのみ、別の態度をとられた理由がわからないのでありますが、この点をひとつもう少し詳細に、どういうお考えのもとにそういうお説をとられておるか、その点の御説明を願いたいのであります。  それといま一つは、この調停案に対する大臣としてのお考えでございまするが、これは申すまでもありませんけれども、罷業権を持つておらないところの公企業体の給与につきましては、これは調停というものは非常に重要な意義を持つておるのであります。それで政府がこの補正予算をおきめになるときにおいては、すでに調停委員会においては審議中であつて、近く調停案が提出されるということは十分明らかな時期であつたのでありまするが、それを待つことなしに、単に二〇%のベース・アップのみを御決定になつたということは、これは法律趣旨を適用なさるにあたつて、はなはだ軽く見ておられるのではないか、こういう危惧の念を抱かざるを得ぬのであります。罷業権を持たないのでありますから、この法律のみがたよりなのでありまするが、それに対してはなはだ軽く扱つておるということになりますと、関係労務者といたしましてははなはだその立場は不安なのであります。その一点について、どういうお考えで、公企業労働関係法を御観察になり、御勉強になるとお考えであるかというような点について御説明を願いたいと思います。この二点であります。
  35. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 松井さんの第一の方がまだ済んでおりませんけれども、それではあとにして、国鉄との関係でありますが、御承知のように国鉄があの裁定による基本給をのむ結果の国鉄の財政に対する影響というものと、電電公社がこの調停案をのんで、基本給を調停案通りにしてやつた場合の電電公社の財政に対する影響とは、大分違う結果になることは御承知であろうと思います。影響も相当違いますし、また国鉄の方は運輸大臣からの説明等も聞きますと、電電公社よりもなお一層財政的には非常に窮迫した状態にあつたと私は思つております。ですから国鉄の方はやむを得ず一割を値上げした、こう私は承知しておるわけであります。  それから調停案について軽視してはいないかというような御懸念でありますが、私も調停案あるいは裁定案というものは、無論尊重し、重要視しなければならぬということは承知しておるわけであります。それだのに、なぜそれを無視して二〇%値上げというように、一般公務員と同じような標準をとつたか、こういうような御質問もあるかとも思いますが、別に調停案というようなものを無視し、また公社というものの特殊な性格を無視して、一般公務員と同じにやつて行かなければならないのだという意味で、あれを私は採用したわけではございませんで、調停案通りにやれば、どうしても料金問題に触れて来るし、今すぐはできない。だからといつて全然今までのままにしておいていいかといえば、これはほかの一般公務員も二割上るわけでありますから、同じにしておくということは絶対できないわけでありますから、せめてそれくらいは何とかできないか、しれで料金の値上げをしないでやれないかということを公社意見を聞きまして、それならやれるということで実はやつたわけでありまして、決して調停案とか裁定案というものを軽視しようというような考えでやつたわけではございません。
  36. 橋本登美三郎

    橋本委員長 どうでしようか。参議院の方で再三再四郵政大臣出席を求めておりますので、郵政大臣に対する質疑は次会にお願したいと思いますが……。向うでも待つているようです。から、そういうようにお願いいたします。  続いて公社に関する質問をお願いします。
  37. 松前重義

    松前委員 公社側に御質問申し上げます。ただいま松井委員から給与べースの問題について質問がありましたが、大臣からのお話によりますると、料金改訂と関連をしているから軽々にはきめられないということで、早急にはきまらないというようなお話でございました。この関連でありまするが、すなわち料金の値上げをしないで、調停案道りに実行し得るある程度の余裕がつく財政の状態でないかと思うのであります。それらの内容につきまして、もし成案でもありましたら御披瀝願いたいと思います。
  38. 靱勉

    ○靱説明員 私からお答えを申し上げます。調停案をそのまま実施いたすということに相なりますると、年間におきまして約百十億の増額と相なるわけであります。そこで現在の収入状況から見ますれば、とうていこれは先ほど総裁から御説明申し上げました通り経費の節約あるいは増収等相当見込みましても実行できない。年度内においてどうかという問題でございまするが、年度内におきましては、十一月から二割アップということで三十四億円程度、これで調停案をそのまま十一月から実施するということに相なりますれば、さらに十八億という金がかかる。さらに調停案通り八月からということになりますれば、約四十億の増額を必要とする。そうしてこの三十四億、すなわち二割アップの財源につきましては、収入増、節約ということによつてまかなつておるのでありましてただいま申したように、かりに十一月からそのまま実施するとしましても、さらに十八億いる。八月からやるとしますれば、二割アップ以外にさらに四十億かかる、こういうような計算になりますので、私どもの計算といたしましては、とうてい他に財源を求めなければ、調停案をそのまま実施するというわけには参らない。この点は調停委員会に対しましても、調停案趣旨はまことにごもつとではあるけれども、遺憾ながら現在はその見通しができないので実行できません、こう回答をいたしましたような次第であります。
  39. 松前重義

    松前委員 事業の増収に対する三〇%だけを公社割当てる、こういうふうなことであるそうでございますが、それらの間の交渉によりまして、料金の値上げその他の問題は別問題として、とりあえずのところ、ここに何らかの方途を講じまして、今日もう十二月にも入つておりまするので、いずれにしてもこの現状を打開するために、調停案をおのみになりまして、そうして将来のより以上の能率向上事業の増収が得られるようにおやりになるのが、公社なつた大きな原因であると思うのであります。私はそれを希望いたす次第でございます。これをもつて質問を打切ります。
  40. 橋本登美三郎

    橋本委員長 今の質問は答弁の必要ありませんね。松井委員
  41. 松井政吉

    松井委員 私が先ほど申し上げました第一番、能率による予定収入増は幾らであるか、これを明らかにしていただきたい。
  42. 靱勉

    ○靱説明員 現在第二・四半期まで計算が進んでおる次第でございますが、本予算におきましては年間約六百七十二億の収入を見込んでおるわけでございます。これに対しまして公社としましては、六百九十億余りの収入目標を立てまして、これを上まわつた場合におきまして、先ほど申し上げましたいわゆる能率向上によるところの奨励金というものを算出するという形にいたしておりまして、その結果、第一期におきましては九千万円の奨励金を支出した次第であります。第二期におきましても、ただいまの三〇%の方式をもつてやりますと、やはり九千万円程度の奨励金が出せるという形に相なつておるわけでございます。今回補正予算におきましては、二割アップの財源を出すために、さらに収入見積りを立てまして、先ほど申しました本予算におきまして六百七十二億と申しましたのを、今度の補正予算におきまして七百八億というものを収入予算に立てられた次第であります。すなわちここで財源を見つけまして二割アップを実行するという形がとられたのでありまして、この七百八億と申しますのは、公社内だけの目標として立てました六百九十億より上まわつたものであります。従いまして今後さらに第三、第四半期等におきまして、さらにこの補正予算基準として増収をあげて行くということは、職員としましても非常な努力の結果によつて生れて来るものと考えざるを得ないのであります。私どもただいま松前委員からも御指摘になりました、何らかこの際方法を講じて、三〇%に対しても検討を加えたらどうかという意見、まことにごもつともと存ずる次第でありますが、このさらに収入を増すということは、これは職員の非常な努力能率向上によつてでなければ達成できませんし、ただいま御説明申し上げました通り補正予算におきまして、財源を出すために非常に収入見積もりも高く、ぎりぎりにされておるというような事態を考えますと、この点につきまして、私どもこれから非常に大きな財源が出て参りまして、実質的に調停案をのめるような態勢になるということは、とうてい困難ではないか。しかし少くともこの幅におきましては、職員の努力の結果でありますし、これをできるだけさらに実質給与の増額に振り向けるということは、公社法の精神あるいは現在の給与体制から見て、当然公社の役員としましても心がけなければならぬ点であると存じております。
  43. 松井政吉

    松井委員 今御答弁の中に三〇%、九千万円とお答えになりましたが、総額の数字のお答えがなかつたので、そこでそれをつけ加えてもらうことと、それからもう一つそれに関連をして、たとえば能率向上によつて収入増になつたものを、来年度の四月からは二十八年度予算の編成によつて年度事業が予定せられ、行われるのでありますから、本年度予定され、もうすでに収入増になつている分、さらに今後三月一ぱいまでに収入増になると思われる分は、今度のペース改訂とともに、従業員に全額還元してもいいような考え方をいたしますが、その総額とこの考え方についてお伺いいたしたい。
  44. 靱勉

    ○靱説明員 総額を申し上げませんでしたが、経過実績、しかしながらこれはただいま申したように、本予算に対しまして私どもさらに目標額を定めて、その目標額を越えた実績を申し上げるのでありまして、第一期におきまして三億円でございます。第二期におきまして三億二千万円余りでございます。第三、第四はその実績というものがまだついていない次第でございます。今後先ほど申したような補正予算の目標額がさらに上つて参るという点から考えますと、公社法におきましては、あくまで予算に対しまして収入が上つた場合、こういうことに規定されておりまして、その点は補正予算におきまして収入見込みが上げられたということは、要するに他に使い得る、奨励手当として、奨励金として使用できる幅というものが、縮められたという結果に相なるのであります。
  45. 松井政吉

    松井委員 そうすると、こう解釈してよろしゆうございましようか、第一期に三億円、第二期に三億二千万円、それから第三期、第四期はわからない。ところが今補正予算で、ベース・アップのために第三期以降の分は収入増に見積られるので、第一期、第二期の三億円並びに三億二千万円というような能率による収入増は困難だというような解釈をしてよろしゆうございますか。
  46. 靱勉

    ○靱説明員 見込みとしてはさようでございます。
  47. 松井政吉

    松井委員 そうすれば、かりに第三期、第四期の見通しがつかなくとも、少くとも先ほど来私が質問をいたしておりまする第一期、第二期でも六億二千万円になりまするから、これは簡単に公社が出せる法律にはなつておりませんけれども、これはやはり法律に基く手続方法をふめば、全部給与として還元することも不可能ではないと考えられますが、これは不可能でございますか。
  48. 靱勉

    ○靱説明員 ちよつとその前に誤解があるといけませんので申し上げますが、第一期、第二期の三億というものは私ども公社内におきまして電気通信省のときから職員との間に一つの約束をいたしまして、こういう実績を上げた場合には、三割程度を厚生施設として用いる、しかしながら公社になりまして奨励金という制度が認められますれば、それはあらためて現金をもつて支出する、そういうことで第一期分を先ほど申したように九千万円支出しております。これは三〇%程度のものでございますが、もちろん収入を上げるためには、それに伴つてやはり業務量も多いわけでありますし、いろいろな経費もかかつて来るということで、先ほど申しあげました補正されました収入見込総額は、第一期から全部を通じての見込でございます。ことに大蔵省におきまして収入見込みを査定する場合におきましては、特に第一期、第二期の実績を見まして、それによつてつくられるものでございますから、この六億が余つて、今そこいらにあるというものでは絶対にない。六億のうち現実に出しておりますのは、先ほど申したように第一回分として九千万円支出した、こういうことになつておりますので、その点はひとつ御了解願いたいと思います。  そこでただいまの御質問でございますが、これにつきましては、先ほど御説明しました二十七年度公社予算総則に載つているのでありまして、その第五条に「日本電信電話公社において予定に比し業務量が増加収入予算に比し増加する場合に予備費を使用してなおその経費を支弁することができないときは、郵政大臣大蔵大臣と協議して定めるところにより、事業のため直接必要とする経費支出にその収入を充てることができる。」この直接必要とする経費のなかには給与も入つておるのでございまして、今国会に提案されておりまする政府関係機関補正予算総則の第十三条におきまして、昭和二十七年八月一日から二十八年三月末日までにおきまするところの電電公社給与総額は、全部でこれこれをこれこれに改めるというように書いておりまして、「但し、日本電信電話公社法第七十二条の規定により定めた給与準則を実施するため必要を生じた場合、又は昭和二十七年度日本電信電話公社予算総則第五条の規定により給与総額の変更につき郵政大臣承認を経たときはこの限りでない。」といつて給与総額を増額することができるように、今回の補正予算の総則に規定されておる次第であります。
  49. 松井政吉

    松井委員 今答弁の中に予備費の問題が出ましたからお伺いたしますが、昭和二十七年度予算の中に、これは国営のときの予算でありまするが、予備費が十億円ちよつと組まれております。これは現在までにおいて、この予備費はそのままになつているのか、あるいは使つてしまつたものか、お伺いいたします。
  50. 靱勉

    ○靱説明員 これにつきましては、予備費は補正予算におきまして約六億ちよつと欠けるところに現在なつております。そこで公社法第七十二条但書の規定、要するに経済事情の変動、その他予測することができない事態に応ずるため臨時に支給することができる給与限度を定めることになつておりますが、その規定によつてその五億九千万円程度の予備費のうちから、今回の補正予算総則の第十四条におきまして一億五千万円と定められております。
  51. 松井政吉

    松井委員 そういたしますと、これは答弁はいりませんが、希望を申し上げます。  先ほど郵政大臣は、主管大臣でありますから、私が申し上げましたもろもろの公社法に基いて操作でき得ると思う話が公社側から来れば最大努力をしたいと、明瞭に答弁いたして帰つております。従つて公社側においては、たとえば調停案完全実施八月からということになれば、ただいまもお伺いした通りやはり四十億円以上が追加されますから、合計三十億円になり、それから十一月から十八億円になる。いろいろ御説明されたので全貌は明らかになりましたが、その内容につきましてはわれわれが触れるべき性質のものではありませんから、数字等については触れませんが、そういう郵政大臣が御答弁された中には努力するということが明らかになつておりすので、公社側の方では、ただいま申し上げた予備金ないしは能率向上による増収、あるいはまた法律に基いての郵政大臣大蔵大臣との協議並びに認可等の方法によつて調停案に近い数字出ればけつこうだし、出ない場合でも最大努力をすべきであり、してほしいということを郵政大臣に直接いろいろな面から相談してほしい。そしてこれはきようからでも積極的に協議をしていただいて、郵政大臣の認可によつて行う処置を至急にやつてほしいと希望を申し上げておきます。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 私少し遅れて参りましたので、予算のこまかい数字等につきましては、その後の御説明やら御討議によりましてある程度了解いたしましたが、次会を早期に開いていただきまして、数字の問題についてはあとで御説明をいただきたい、かような前提のもとに、さかのぼつてベース・アップの問題に対しての基本的な考え方と、今日までとられて参りました御処置を一、二点お伺いしたいと考えます。  まず第一点は、およそいかなる経営にいたしましても、特に公社のごとき厖大な企業になりますと、まず改善ということが大事な問題になると思います。それはごとくの三つの足のように、一点としまして施設改善は常に心がけておられることと存じます。その次は能率改善をしてサービス向上をしよう、こういうことが当然考えられるのであります。もう一つ三つ目の足として、職員に対する待遇の改善を常に考える。この三つが企業なり経営なりを向上せしめる根本だろうと考えるわけであります。ところで、今回の電通におけるベース・アップの問題は、すでにこの一月から問題が提起されておつたわけでありまして、爾来十一箇月たつわけでありますが、この間にはたして今の経営にタッチする当然の考え方の一つであるところの従業員、職員の待遇改善に対して、どのような考え方と努力を今までされて来たのか。物価指数が変動し、経済界がいろいろな変動を来すに従いまして、当然経営責任者は常に待遇の改善ということを四六時中考え、研究をし、いかにして気持よく働かせるかを考えなければ、その資格がないと私は考えるのであります。従いまして、長期にわたるこの問題が、今職員の熾烈な要求と陳情あるいは闘争に盛り上りところまで来たわけでありますが、このときにお伺いしたい第二点がここにあるわけであります。いきなり他の公務員と同じように二〇%ということをぽこつとこの問題に当てはめて参つた。しかも先ほど郵政大臣のお答えを聞いておりますと、郵政大臣は二〇%出せないか、こういう公社側へのサゼスチョンがあつた。そこで公社側がそう二〇%を基準にしてこれに理由なく追随して、どうしたら二〇%出せるかといつた考えで、この補正予算が組み立てられて来たように何か聞き取れたわけであります。もしそうならば、これは経営というものを知らないもはなはだしいものでありまして、いやしくもこの職員の待遇に対する関係は、今日の経営内容からいつて、どのくらい出せるかということを真剣に公社側でお出しになつて、その上で所管大臣である郵政大臣に、このくらいは出せるんだがという方針を言うのが常識であると考えます。そういうことをしたのかどうか、したとすれば、二〇%が偶然他の公務員と一緒になつたように見受けられますが、もしそうでない、私が申し上げたような愛情のこもつた研究の結果、この二〇%が出たのだ、こういうふうにお考えでございましたら、はたしてこの予算上に二〇%を出せるまでの過程において、どんなふうなところに苦心をされ、あるいは変更をされたのか、こういう重要な点二つないし三つをお聞かせ願いたいと存じます。  第三点としましては、固定資産が二千六百億計上されておることは、御承知の通りでありますが、これの償却が五・七%になつておるのであります。他の国鉄あるいは専売と比較しまして高率でございますが、これは今後とも五・七%という償却率を続けて行こうとするお考えであるのか、あるいはこの五・七%というものは、他の公社と比較して高率であるのは妥当な理由があるならば、お聞かせ願いたい。
  53. 靱勉

    ○靱説明員 私からお答え申し上げます。職員の給与に対しましては、経営者としては常に心がけねばならぬという点は、まことにごもつともな御意見でありまして、私どもつたくそのつもりでやつておる次第でございます。ことに電信電話公社は御承知のように、八月一日に発足いたしたのでありまして、その後まだ四箇月程度を経過いたしておるにすぎないのであります。すでに職員からベース・アップの問題は、電気通信省当時より時の大臣に強く要望されておつた次第であります。それが電気通信省当時におきまして、遂に解決を見ず、公社にそのまま引継がれた次第でありますが、私どもとしましては公労法に従いまして、組合との間に団体交渉をこれについて数回重ねたのであります。組合の一万六千何円ベースというものにつきましてては、私どもどうしても承諾できない点もありまして、その争いの点も双方明らかにいたしました結果、遂に団体交渉では妥結を見るに至らないということに、組合におきましても判断いたしまして、これを中央調停委員会の調停に持込んだ、こういう経過になつておるのでありまして、私どもとしましては、できるだけ待遇の改善をしなければならぬという考えのもとに、いろいろ経営の面につきましても考慮いたしたのでありますが、何分にも本年度につきましては、政府機関としての予算はそのまま踏襲をしたという状態にございますし、また公社法の財務会計の規定につきましても、二十七年度につきましては、かなり在来のままのものでやらなければならぬような法律の規定になつてつたわけであります。そこで私どもなおそれでも何かできることはないかということで、先ほど申し上げました政府機関当時におきましては、どうしても現金で支給を認められない、増収対策によつて収入が上つたものの一部を、職員に還元するのを大蔵省と折衝しまして、ようやく現金の支給ができるように実現されましたが、給与の根本的改革につきましては、もちろん予算制約があるのでありまして、予算の改定される時期を待たなければ、どうにも実施できないという状態にあつた次第であります。ことに私ども、当時人事院から三割程度のアップの勧告が公務員に対してなされておりましたので、調停案が示されない時期におきましても、補正予算の作成にあたりましては、私ど最小の線を三割に置きまして、料金値上げもこの際含めまして補正予算事務的折衝に移つた、こういう経過をたどつておるのでありまして、当時人事院の勧告を公務員がのんだ場合におきまして、なお料金値上げも公社としてしなければならぬ。そこでやはり第三者の調停によることが最も妥当ではないかというふうに考えまして、公社としましても調停案の提示というものを待望いたしたという形でありまして、調停案提示後の措置につきましては、先ほど総裁から御説明申し上げたような次第に相なつておるのであります。  次に第二の問題といたしまして、郵政大臣が二割程度なら公社はのめるかと言つたから、それでやつたのだと言われたというような点についての、公社の態度いかんという御質問でございますが、私どもただいま申し上げました通り調停案が示される前におきまして、人事院の三割アップを基準とした公社予算を一応作成し、これは経営委員会の決議を経まして、大蔵省に提出しておつたのでございますが、調停案が示されると同時に、これをすりかえまして、調停案全面実施の案によりまして、大蔵省と折衝を進めた次第であります。しかしながら政府方針としまして、料金値上げは極力避けるというような線も示されましたし、また国鉄裁定が大体二割のアップである。その他民間給与の上昇率も大体二割である。あるいは給与関係する物価値の上り等も二割であるという点から、全面的に二割という線がつくられておつたのでありまして、大蔵省の事務当局との折衝におきましては、料金を値上げするかどうか、またはベース・アップをどの程度に持つて行くかということは、一に政府の決定によるというようなことに相なりまして、予算折衝ではその点は結局お預けになつたような形にも相なつたわけでありますが、私どもとしましてはやはり国鉄の裁定の線、それらと比較しまして、どうしても電電公社の職員の給与というものは、他のものに比しまして悪いという点を強調して、事務的にかなり折衝については努力をいたしたつもりでございます。ただ遺憾ながら現在の公社の能力といたしましては、予算というものは今回におきましては大蔵大臣が調節しまして、閣議で決定して政府原案として出され、国会がこれを議決すれば政府はそれを公社に通知して、公社予算となるという形に法律的にはつきり定められておるのでありまして、その決定の線に従うのは当然の法律の命ずるところであるというふうに考える次第であります。ただ先ほど郵政大臣が御発言なつた点については、次の委員会においてなおお答え申し上げたいと思いますので、その点については私保留さしていただきたいと思います。  第三の減価償却率が非常に高いじやないかという点でございますが、これは率直に申しまして、電信電話事業におきましては再詳価をし、それに対して五・七%程度の減価償却をやつておりまして、他にそういう事業があるかないかという問題もございますし、また減価償却を削つて給与に持つてつたらいいじやないかというような議論も間々起るのでございますが、一方私どもととしましては、やはり電信電話施設状況というものは、戦前からこれに対しては償却もされておりません。ことに戦争によりまして半数以上壊滅いたしました。従いまして戦後においてできるだけ早く個数の増加をはからなければならぬというので、むしろ保全につきましては、十分な力もできず、あるいは取替もしないでやつて来たので、利用者に対するサービスをよくするという点からみますれば、私はこの五・七%程度の減価償却というものは、なおここ数年は継続してやらなければならぬではないか。これは一に電気通信機関を利用される方々に対するサービス改善という点から見ますれば、これが非常によくやられておるというような判断にならぬかと、こういうふうに私どもとしては考えておる次第であります。
  54. 松井政吉

    松井委員 ちよつとお伺いしますが、電話債券を発行するということになつておりますが、その発行の構想と、それから引受ける側の方はどのようなものが対象になるか、この構想をひとつ説明願いたいと思います。
  55. 靱勉

    ○靱説明員 電話債券については、今回の補正予算が国会の議決を経ますれば、二十億発行できる形に相なつておるのでございます。これにつきましては大体利用者その他を対象とするということになつておりまして、これをどの方面に出して、どれだけの利率で、またどういう条件でやるかという点につきましては、大蔵省と目下事務的折衝をいたしておりますので、またこの次の機会にでも御説明できるかと存じますが、現在のところは、大体政府で二十億認めます場合におきましては、利用者その他を対象として、結局関係受益者を中心としてというような話合いに相なつております。
  56. 橋本登美三郎

    橋本委員長 本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時四十二分散会