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1953-03-12 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十二日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 小金 義照君 理事 高木吉之助君    理事 河野 金昇君 理事 今澄  勇君    理事 永井勝次郎君       中峠 國夫君    福井  勇君       牧野 良三君    南  好雄君      生悦住貞太郎君    長谷川四郎君       山手 滿男君    加藤 清二君       田中織之進君    木下 重範君  出席国務大臣         通商産業大臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         文化財保護委員         会事務局長   森田  孝君         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (大臣官房長) 石原 武夫君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君         特許庁長官   長村 貞一君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君     ――――――――――――― 三月十日  委員峠國夫辞任につき、その補欠として麻  生太賀吉君が議長指名委員に選任された。 三月十一日  委員麻生太賀吉辞任につき、その補欠として  中峠國夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十一日  自転車競技法等廃止に関する陳情書  (第一  九七二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  輸出信用保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第六六号)  不正競争防止法の一部を改正する法律案内閣  提出第六九号)  鉱業法の一部を改正する法律案内閣提出第七  一号)  国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第七四号)  火薬類取締法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三七号)     ―――――――――――――
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議を開きます。  本日はまず鉱業法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありますからこれを許します。南好雄君。
  3. 南好雄

    南委員 私は鉱業法の一部を改正する法律案につきまして、一点か二点、ごく簡単に御質問申し上げたいと思うのであります。きようは文部省から文化財保護委員会のどなたがおいでになつていらつしやいますか。
  4. 坪川信三

  5. 南好雄

    南委員 それじや事務局長大臣と見なして御質問申し上げます。文化財保護法という法律がただいまあるのでありますが、これは参議院議員議員提出法であつたので、私たちも非常にうかつであつたのでありますが、この法律鉱業法とのいわゆる法益調整目的として、今回の一部改正が一番大事な点になつているものと私法律案を拝見して考えたのであります。現行法三十五条を改正するその主要点は、現行鉱業法の、文化財もしくは温泉資源保護支障を生ずる場合は、鉱区の出願の許可をしてはならない、こういうふうにして調整をはかろうとしておる点が、今提案されたこの一部改正の最も大事な点でなかろうかと考えておるのであります。しかしどんなに通産当局がこういうような温泉資源とかあるいは文化財あるいは公園と、いう一般的の公益と、鉱業権という私益との調整をはかろうといたしましても、現行文化財保護法のように、一方的に鉱業権を取消すというような規定を設けてあつたり、またその規定通産当局と何ら連絡なくして発動するようでは、この法案改正趣旨を達しないものと私は考えますので、第三十五条を改正するにつきまして、今後法律運用において、ひとしく政府部内にありながら、一方は十分に協調する意思があり、鉱業権を尊重し、かつその尊重する精神のもとにおいて、なおかつ一般公益上の文化財とか、公園もしくは温泉資源というようなものを保護して、その間における利益の調整をはかろうというような場合におきまして、政府一つ機関がこれをよろしいといい、政府一つ機関がこれをいかぬというような、行政措置にちぐはぐのないように、特に通産当局あるいは文化財保護委員会当局にお願いしておきたいのであります。なぜ私がそういうことを申し上げるかと申しますと、最近こういう実例があつたのであります。これはすでに皆様方承知通りかもしれませんが、福岡の小倉市に平尾台というところがありまして、そこには大きな石灰石の鉱床があるのであります。しかしこの石灰石鉱区につきまして、小倉市から昨年の八月に土地調整委員会へ、文化財保護という見地から鉱業権許可を取消してほしいという申請がありました。そこで土地調整委員会は、現地調査はもちろんのこと、関係者に対する尋問とか、公聴会その他あらゆる手段を尽して、そうして慎重審議調査の結果、昨年の十二月二十六日に、小倉市の申立ては少し理由が妥当でないというので、申立てを棄却いたしまして、鉱業権の再確認をしたのであります。しかしながらまことに驚くなかれ、翌二十七日に突然文化財保護委員会によつて、この鉱区の全地域文化財として指定せられたのであります。ここで先ほど私が申しましたように、鉱業権というものと文化財というものを保護する立場利害調整を、通産当局が、土地調整委員会のような一種の利害調整機関によつて、十分に慎重審議現地調査をやり、あるいは公聴会もやり、あらゆる手段を尽して調査の結果、鉱業権は取消すべきものにあらずという結論を出しているのに、その結論の出た翌日、一方的に文化財保護法によつて、これは文化財であるといつて地域指定して、その結果無警告に鉱業権が抹消されるというような事態を発生しては、まことに政府部内の行政運用における不一致であり、遺憾千万であると私は思うのであります。私はまだ現地調査をしておりませんので、いろいろ書類によつてどちらの調査も拝見したのでありますが、要するに文化財保護委員会決定、すなわちこの鉱区の全地域文化財保護見地から指定しなくても、この鉱区だけでなく、その他の区域にも保護すべき文化財があるにもかかわらず、わざわざこの地域限つて文化財保護見地鉱業権を取消すというようなことをやることは、まことに遺憾千万であり、また文化財保護見地からその他の地域指定しても、保護せらるべき文化財保護目的は十分達せられるのでありますから、私は文化財保護委員会決定は少し行き過ぎではないかというふうに考えるのであります。鉱区内においても、天然記念物保護のために、採掘制限その他万全の考慮を払うような用意がある。従つて文化財保護と同時に、石灰石鉱業重要性をもあわせ考慮の上、少くとも鉱区全般にわたつて指定するがごときことは避けるように、当該鉱業権者はもとより、関係官庁、業界からも、あらかじめ文化財保護委員会に十分申入れておつた事実も拝見いたしますると、この措置はまことに遺憾千万であると私は思う。こういうようなことが今後はないように、少くとも現在鉱業権設定の際における、公園などに対する文化財保護の場合における、厚生当局通産当局との利害調整についての円満な行政運用の状態を拝見しております私は、今回の文化財保護委員会措置は非常に穏当を欠くものだと思う。文化財保護も、公園一般風致保護とやはり同じ見地に立つべきだと思う。これが厚生当局通産当局とは非常にうまく行つていて、こういうでたらめな結果を生むことは今まで絶無であるにかかわらず、今日は文部当局が御出席でないので、文部大臣の御所見を聞けないことははなはだ遺憾でありまするけれども、少くとも監督の責任の地位にある文部当局にも私はこの点をよく申し上げたい。なぜこういうような問題について厚生当局と同じような見地に立つて通産当局との協調を保つていただけないか。通産省は単に鉱業権というものだけを保護する見地に立つておらずに、わざわざ手をさしのべて協調するように、政府行政措置一貫性を持つように努力をしているにもかかわらず、なぜ別個の見地に立つて鉱業権を抹消するような結論を出されたか。その間における文化財保護委員会のこの決定のいきさつと、こういうことをなさつたことについて、政府行政一貫性に対する御所見を特に承りたいのであります。私はこういうようなことが今後絶対にないように、少くとも厚生当局が現在やつている程度まで、文化財保護委員会の方も、行政運用の際においては万全の措置をとるように願いたい。さらに進んで、こんな一方的に取消して、しかも補償も何もやらぬ、その決定については公聴会も何も開かぬというような行き過ぎた法律は、現段階においては少し一方的、独善的な法律ではないかと思う。しかしこれはわれわれ同僚議員提出法案でありますので、まことに申訳ないと思つておるのでありますが、文化財保護委員会におきましても、鉱業法と同一の歩調をとり、鉱業権管理当局と、文化財保護見地に立つて立場とを協調するように、法律改正意思があるかないか、この点もあわせてこの際御所見を承つておきたいと思うのであります。
  6. 森田孝

    森田政府委員 ただいま南委員の仰せになりました、関係各省協力をして一致意見、態度でやるべきだという御趣旨は、まことにごもつともと思つております。事実上、従来とかく文化財保護委員会の方からも、連絡が十分ではなかつた点もないでもありませんし、またすでに指定してある地域に対しまして、何らの連絡もなく鉱区が設定せられた例もあるそうでありますから、この点につきましては双方から協力をして行くように努力して参りたいと思つておるわけであります。今の平尾台の件につきましては、若干誤解のある点もありますので、その点も申し上げたいと思いますが、土地調整委員会において審議をせられておるそのずつと二月も前に、実は私の方で設けられております専門審議会におきましては、平尾台天然記念物名勝指定すべきであるという意見が出たのでありまして、すでに鉱区が設定せられておる関係で、名勝指定ということになりますと、さらにこれは範囲が非常に広汎になる関係上、われわれといたしましては、名勝指定すべきような絶対的な国家的必要ありやいなや、事実上必要ではあるけれども鉱業権の尊重の意味でこれは取消されないかということを勧告いたしまして、名勝指定の点につきましては、専門審議会の方で取消していただいたのであります。しかし天然記念物という点におきましては、カルストの地形といたしましては、日本におきましてこの種の発達段階が一目でわかるのはここだけだそうでありまして、学術上から行きまして、天然記念物としての指定はどうしても引下がるわけに行かぬということになつたのであります。しかしながら土地調整委員会において審議中でありましたので、われわれの方といたしましては、土地調整委員会連絡をとりまして、その決定をまつて自分たちの方で善処しようというので連絡をしておりましたが、土地調整委員会としては、その権限上、文化財について考慮する権限を持たない。従つてただいまお話がありました小倉市の方から、文化財立場から土地調整委員会に請願があつたと聞いておりますけれども、その点について考慮する権限を持たないから、その点については考慮しない。これはあそこの我妻委員長がわざわざ私の方の委員長のところに来られまして、その点も十分に話合いをいたしたのであります。そういう意味で、土地調整委員会の裁定は、文化財については考慮しないということになつたので、われわれの方としては、やむを得ず二月前に決定しておりました決定を公示いたしまして、これが効力を発生させたような次第であります。しかしながら文化財保護委員会におきまして、それでは資源開発については全然考えないかといいますと、現在までに文化財保護委員会において史跡名勝天然記念物指定してありますのは約千六百件ありますが、そこで問題が起りましたのは三件あります。その三件のうちで不許可にいたしましたのは秋田北投石だけであります。この秋田北投石につきましては、これは御承知かとも思いますが、これは世界において唯一資源でありまして、世界地質学会が去年もありましたが、その席におきましても、世界唯一研究材料であるから、日本責任においてこれを保存してもらいたいという決議がなされておりまして、現在東北大学、東大及び弘前大学でこれは研究せられつつあります。そういう非常に重要な資源につきましては、文化財保護委員会といたしましては、万やむを得ずこの硫黄の採掘を不許可にいたしましてこれを守ることにいたしておりますが、その他の点につきましては、でき得る限りこれを尊重いたしまして、許可を与えて行くようにいたしております。指定の基本がこわされない限りにおいては、万難を排して許可をして行きたいと考えております。平尾台におきましても、現在の鉱区のところ——あれは全部ではなく、大部分のところでありますが、何ゆえに指定したかと申しますと、その中にも保存すべき部分があるのでありまして、これが採掘を無条件でせられる場合におきましては、その部分までこわされるおそれがあるので、一応指定をいたしまして、原状変更申請を出してもらうように、私の方から業者には勧告をいたしております。それによつて、その必要最小限度部分を確保する条件によつてわれわれの方としては原状変更許可して採掘できるようにいたしたいという考えを持つておるわけであります。そういう意味におきまして、連絡の上につきましては、今後とも御趣旨に沿うように処して参りたいと思いますし、またわれわれの立場といたしましても、資源開発には必要最小限度の点を除いては、でき得る限り協力して参りたいと考えております。  なお法改正の問題についてでございますが、実はこれらの史跡名勝、天無記念物関係につきましては、そのほかに水力発電関係、あるいはまた都市計画関係港湾計画関係その他いろいろの関係がありまして、そういうような点をも関係各省あるいはまたわれわれの部内においても十分協議をいたした結果によつて善処して参りたいと考えているわけであります。
  7. 南好雄

    南委員 事務局長の御答弁を私大体了承いたすものでありますが、御承知のように、文化財保護法という法律は、その指定においていろいろ行政措置をなさつて資源保護を十分に注意されるという御答弁ではありますが、鉱業権の抹消まで進む法律であります。しかもそのことにつきましては、鉱業権者保護についての公聴会もなければ、補償もせぬという建前の法律であつて、いわばこういうことが現行憲法ではたして許されるかどうかというような大きな問題も持つておる法律でありますから、われわれは尊重いたしますけれども、少くともこういう法律運用する当局としては、国立公園とかいう見地において風致を保存するということも、文化財保護することも大体似たり寄つたりのものだと私は思う。今の通産当局の説明を聞きましても、一方の方は非常にうまく行つている、ただ文化財だけに、今私が申し上げましたような事例を引起したということでは、私はどうもどつちかがその措置に十分の配慮が足らなかつたものと断ぜざるを得ないのであります。今後法規を改正されるまでは通産当局と十分御連絡になつて、それも資源開発というような点について、単に個人の権利を主張するというのではなくて、大きな意味——この四つの島に八千万の人口をかかえて行くという見地から考えると、何といつて資源開発が第一順位と私は思う。その見地と、そしていわゆる一般風致保護とか、あるいは民族の持つております史跡天然記念物というようなものを保護するということとは、協調しようと思えば協調できると私は思う。おれはこつちの道を行く、お前はそつちの道を行け、お前の方で発生したことについてはおれは責任を持たぬというようなことは、政府の処置としてはまことに遺憾だと思います。これ以上申し上げることは、私も与党の議員でありますから御遠慮申し上げますが、こういうようなことにつきまして、どうか十分に配慮をめぐらされて、法律改正あるいは行政措置によつて円満な結果を出すように、文部当局にも通産当局にも十分お願いをいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  8. 坪川信三

  9. 今澄勇

    今澄委員 私は鉱業法の一部改正法律案について詳細な質疑をいたしたいと思いましたが、時間もありませんので、鉱業法そのものについての考え方を一、二お伺いいたしておきたいと思います。  そもそもわが国の鉱業法金銭賠償主義鉱業法で、先般の国会で成立いたしておるのでありますが、鉱害問題その他その後の鉱業法並びに鉱業法に伴うあらゆる現象の解決については、常にこの金銭賠償という鉱業法を貫く大きな考え方が問題になつておる。この鉱業法の一部改正趣旨はよくわかりますが、こういう個々の改正に伴い、基本的な鉱業法金銭賠償について、政府としてはこれが欠陥をお認めになつておるかどうか。もしお認めになつておるとすれば、鉱業法の運営の上においてどのようなお考えをお持ちになつておるのか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  10. 川上為治

    川上政府委員 今回の鉱業法改正は、先般御説明申し上げました通り、きわめて一部の問題に限られておりまして、たとえば朝鮮人鉱業権の問題でありますとか、あるいは損失補償の問題でありますとか、そういうきわめて一部の問題に限られておりまして、全般的にいろいろな基本的な問題について、実施しまして以来なお考えなければならぬ点がありますけれども、これらの問題につきましてはさらに慎重に研究いたしまして、成案を得ますればさらに法律改正をいたしたいというような考えを持つております。従いまして、今お話のありました金銭賠償問題等につきましては、なお私どもの方としまして今後十分研究いたしまして、この問題について欠陥がありますれば、改正いたしたいというふうに考えております。
  11. 今澄勇

    今澄委員 今の政府委員答弁を私は了承しますが、この際通産大臣に一言申し上げておかなければなりません。大体資源少き国が、その国の鉱業開発、並びに開発した鉱業のために、一般国民が受ける大きな被害というものについての基本的な考え方がないことには、鉱業はなかなか興らないのではないか。西ドイツの持つております鉱業法も、金銭賠償主義ではなくて、原状回復主義であります。今、九州その他鉱害の問題が非常に起きておりまするが、これらの鉱害単独立法によるいろいろな救済が遅々として進まないことは、やはり鉱業法の基本的な姿が金銭賠償であるということであつて日本鉱業法についても、被害を受けた人々の立場に立つならば、やはり原状回復主義であり、しかしてただいま南委員質問しましたように、いろいろ風致その他記念物等の問題もありまするけれども、何といつて国民の生存が第一であるから、日本鉱業法がこれらのいわゆる風致、文教その他の問題に優先して、資源開発を第一となすがごとき基本的な考え方と、これが国民に与えた鉱害については、少くとも原状回復と、しかも大きな国家的な裏づけがあるという方向へ進めるべきことが、通産大臣としての鉱業行政に関する大きなポイントでなければならぬと思うのでありまして、今後これらの点について御善処願えるかどうか、ひとつ御答弁を煩わしたいと思います。
  12. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今澄議員の言われることはまことにごもつともと存じます。よく私の方も検討いたしまして、大体御趣意に沿いたいと考えております。なお鉱害復旧の問題につきましては、二億数千万円の予算でございましたか、少し遅れておりましたけれども、十一月、九州の分と中国の分とがそれぞれ出発いたすことに相なりました。これは来年度以降もう少し十分の予算をとつて、早くその方面に成績を上げさしたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 今澄勇

    今澄委員 今鉱害の問題にも大臣が触れられましたので、私はこの問題について事務当局一つお伺いをしたいと思います。われわれが過ぐる十三国会において、臨時石炭鉱害復旧法という鉱害関係法律案を通過させました。これは石炭に関しての戦時特別鉱害と、全般一般鉱害とあわせて鉱害に関する修正的な見解が、この通産委員会において各党一致でまとまつて通過を見たのであります。しかしながら当時戦時特別鉱害に関しての小委員の一人としてこの委員会に残つております私は、当時戦時特別鉱害の五箇年計画、五十億の資金によつて立案しました救済法案というものが、その後の経過を見てみると、大蔵省の出す経費関係でわれわれの思つているような進捗を見せておらぬということは遺憾千万でありまして、特に国庫補助金の返還という規定によつて鉱業権者復旧事業団による復旧事業を喜ばないという、非常に支障を来す部面が残つていると思います。この臨時石炭鉱害復旧法という法律は、その運用の面において政府に何らか重大な怠慢があるのではないかというふうな見方を私どもはしておるのであります。これらの詳細な問題については、私は委員会が全関係各省代表者を集めて本格的な討議をいたし、鉱害関係被害者並びに鉱業権者等参考人の公述をも求めて、本委員会が誠意をもつてこれらの法律の実行についての熱意を示すべきであると思いますが、きようはとりあえずこれらの法律に関する事務当局としての御見解を承つておきたいと思います。
  14. 坪川信三

    坪川委員長 委員長として一言申し上げますが、ただいま今澄君の御質疑に関連いたしました事項に関しましては、すみやかなる機会に本委員会においてあらためて取上げたいと思う次第であります。
  15. 佐久洋

    佐久政府委員 お答えを申し上げます。ただいまのお話は、特別鉱害の問題と一般鉱害の問題と両方にわたつているように伺いましたが、一般鉱害の方は、先ほど大臣が申し上げましたように、昨年の十一月にようやく理事長の任命を終りまして、一月の終りに登記が完了したということで、事実上はまだ仕事に着手の段階には至つておりません。ただいまお話のありました、非常に遅れているというのは、昭和二十五年度から発足いたしております特別鉱害の問題だろうと思いますが、これは当時予定いたしました諸物価に比較いたしまして相当の値上りを来したという関係で、予算不足を来したことが大きな原因になりまして、ただいままでのところで大体計画の三十七、八パーセントまでしか進んでおりません。事務当局といたしましては、二十九年度の完成予定期間内に何とか完了したいということで、それをやるためには、炭鉱の納付金増額国庫補助金増額と二つの問題を解決しなければならぬのでありますが、今日までのところではまだ十分な解決を見ておりません。もう一つは、特別鉱害のほかに一般鉱害が始まりますと、工事能力の点についてももう少し詳細な検討をしなければなりません。こういう関係で、なるべく早く完了したいという気持は持つておりますが、まだ十分の手は打たれていない、こういう状況でございます。
  16. 今澄勇

    今澄委員 鉱業法に関する関連質問は、あとで同僚委員からも御質問があると思いますので、時間の関係上打切りまして、火薬取締法に関連してアルコールの問題をお聞きしておきたいと思います。  御承知のように、今度予算に盛られましたアルコール工場経費節減、削除によります配置転換、その他の問題がいろいろ起るわけでありますが、通産省としては、これらのアルコール工場に対して今後どのような対策をおとりになるつもりであるか。これによつて生ずる労働問題、あるいは日本アルコールに関するいろいろな問題が出て参るのであるが、通産省がこれらのアルコール工場民間工場に払下げをする理由の発見に私どもは苦しむものであるが、何がゆえに通産省所管の工場として今後もやつて行かれないのであるかという点について、政務次官でも大臣でもけつこうでございますが、御答弁を願いたい。
  17. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実はアルコール工場は、御承知のように戦時中燃料等の関係から起つたものでございまするので、二十五年八月でしたか、閣議決定で、漸次これを払い下げるということになつておるのであります。そこで二十六年、二十七年、二十八年と、それぞれ二工場ずつ払い下げておるのでございまするが、しかしいろいろの点からもう一ぺんこの辺で再検討してみたらいいんじやないかと、率直に申上げますと、考えておる次第であります。
  18. 坪川信三

    坪川委員長 田中君。
  19. 田中織之進

    ○田中(織)委員 鉱業法について二点伺いたい。改正の第三点になつておる、眠つている権利者の関係から、いわゆる公示送達の方法をとるという処置、これは資源開発の促進の上から見て、ある程度やむを得ない処置だと思うのです。今度の改正法律だと、かなりこの公示送達の方法によつて行政措置で促進して行くということが、たとえば出願地の増減命令であるとかあるいは鉱区の増減命令までやるということは、これはやはり出願者、鉱業権者の場合に相当私は重要な問題だと思うのです。これを行政措置に出られるということは実は少し行き過ぎじやないかという考え方を一面持つておるのでありますが、その点は実際の経験から見て、これまでやらなければいわゆる眠れる権利者を適当に処置して行くということにならないのかどうか。実情からどういうようにお考えになつておるかという点が一点でございます。  それから第二点としてお伺いをいたしたいのは、いわゆる朝鮮人の持つておる鉱業権についての暫定的な措置、これは現状から見て適切な処置だと思うのでありますが、さしあたりというか、一年間延ばしておるようでありますが、この間に根本的に問題を処理し得る見通しを持つておるのかどうか。もし解決ができないということになれば、また一年延ばすというようなことになるのか、この点についての見通しを第二点として伺つておきたいと思います。
  20. 川上為治

    川上政府委員 公示送達の問題につきましては、現在の非常にたまつております鉱業権の出願処理を一日も早く処理したいというような考え方でございます。現在約四万件くらい全国でたまつておりまして、大体一年に二万件足らずしか、現在の実情におきましては処理できないという状況にありますので、少しでもこれを促進したいというような考え方からこれを改正することにいたしたわけでございます。先ほどお話のありました鉱区の増減命令とか、そういう問題までも入るのは少し行き過ぎではないかというようなお話がありましたが、実際の実情としまして、そういうものまでも入らなければ、どうしても促進ができないというような状況になつておりますので、出願処理を促進するためにそれまでやらざるを得ないという状況になつております。その点御了承を願いたいと思います。  それから朝鮮人鉱業権の問題につきましては、来年の四月二十七日までですか、それまで延期する予定でございますけれども、その間に極力日本法人なりに切りかえるとか、あるいは日本人に譲渡させるというような行政的な勧奨なり措置をとつて行きたいというふうに考えておりまして、それ以降におきましては条約の関係がありますけれども、われわれの方としましては、鉱業権はなるべく認めたくないというような考えでおりまして、大体現在の状況からいいますと、それまでの間に何とか解決できるんじやないかというような考えを持つております。
  21. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点については私もまだ若干伺いたい点があるのでありますが、同時にいわゆる鉱山資源開発のための奨励金制度その他について、通産大臣に伺いたい点は、別の機会において与えられることとも思いますので、そういう点は保留いたしまして私の質問を終ります。
  22. 坪川信三

    坪川委員長 他に御質疑はありませんか。——他に御質疑なければこれより討論に入りますが、討論はこれを省略いたし、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なければ討論は省略いたし、ただちに採決に入ります。本案に賛成の方は御起立を願います。     〔総員起立〕
  24. 坪川信三

    坪川委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  25. 坪川信三

    坪川委員長 次に輸出信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありますからこれを許します。長谷川四郎君。
  26. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 わが国の輸出貿易は、昨年来減少をたどつておるのでありますが、本年に入りましてもその傾向は少しも改まつておらず、今後の成行きが憂慮されておる実情であるのであります。この輸出の不振は、昨今世界共通の現象であるがごとく大臣も申されておるようでありますが、しかしわれわれもこれを認めないわけではないが、特にわが国のごとく貿易依存度の高いところの経済状態におきましては、一般現象として片づけられるべきものではないのではないか、かく考えるものであります。しかるに戦後世界各国の輸出補助策といいますか、輸出に対するところの具体策の成果は顕著なものがあるのであります。たとえば独、仏のごとき、国際収支の逆調に悩み、輸出振興にありとあらゆる手段を尽して、優先外貨制や、また減税処置などの積極的輸出振興策に直進しておるのであります。そして海外諸国に負けないところの目ざましい回復を遂げておる。これは貿易指数によつても明らかになつておると思います。私はこの優先外貨や減税処置などいう、こういうような積極的な輸出対策を一段と強力に施行しなければならないということは言をまたないのでありますけれども、そればかりではなく、もう一歩申し上げますならば、以上のごとき対策は、今日各国が対抗処置を競うて、その結果市場戦は激化するばかりであります。よつてこの保護法にもおのずから限界があるといわなければならないと思うのであります。従つて以上の対策が一時的であり、貿易上から申し上げるならば正常なる取引ではない、邪道であるといわなければならないと思います。今日議題になつておりますところの輸出信用保険法は、輸出振興策の尤たるものと申し上げたいのであります。しかるにこの法律があまりにも利用されていない現状と思われるのでありますが、これについて通産大臣所見をお伺いいたしたいのであります。
  27. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 貿易の現状について長谷川議員が御憂慮になる点は、私もまつたく憂いをともにしておるものでありまして、何とかしてこの貿易の拡大また振興をはかりたいと、常に努力をしておる次第でございます。しかし最近の少いのは、これは長谷川さんも御承知のごとく、ポンド地域の話がまだ円滑に進みかねておつたからでありますが、最近ややその方面も見通がついて参りました。従いまして、まだ正式な返事は受取るに至りませんが、このポンド地域に対する分についての貿易の伸張によつて、この一両月みたような不振状況でなく、幾らか好転するとは考えています。しかしいずれにいたしましても貿易はきわめて大切なことでございますので、私どももあらゆる力をこれに注いでやつて参りたいと考えておる次第でございます。  それから今この保険法についてのお話がございまして、これにつきましても、従来信用状に基いておる分以外に、今度は手形に対する保険を新たに加えて、幾らかでも従来よりも範囲を広げて、効率を増すことに持つて参りたい、かようなぐあいに考えておる次第でございます。なおこの保険という問題も、信用状に基かぬ手形までやりますと、これで大体全部にわたるかと思いますが、なおまた足らぬ点がございましたら、時のよろしきを得るように、今後ともそういうふうに処置したいと考えておる次第でございます。
  28. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 すでに香港はしかりであり、台湾、この辺にまでドイツ、イタリアの製品が圧倒的に入つて来ているということは大臣も御承知通りだろうと思うのであります。そこで私は、輸出振興の対策としましては、国内産業構造は申し上げるごとく萎縮している、産業機構にどのような施策がとられておりますか、こう申し上げれば今日わが国の置かれておるところの経済事情は、すべて貿易に対する振興対策であるといわなければならない現実であろうと思います。そこでこの国内企業をいかに合理化によつてコストを引下げて、品質の改善とかあるいは物価の安定、重化学工業の産業構造の再編、またこのために電源開発など産業基盤の拡充、市場の開拓あるいは調査、情報、宣伝等の一般的な国際施策に効果のあるものがあるかどうか、これらに対してどのような効果が上つているか、国内産業の完璧の上に立つて輸出振興をはからなければならないと思うのであるが、これら内外一連の一貫した対策が、今日まことに残念であるが、歩調が合つていないというように私は考えておるのでありまして、これらの点について願わくは大臣から力強い、確信のあるところの御答弁をお願いしたいのであります。私はこれらに対して強力なる一連の抜本的な対策をとるべきである、こう思うのであります。この点についての政府当局所見をお伺いしたいのであります。
  29. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 輸出振興等についての御意見、まことにごもつともでございまして、私どもといたしましては繰返し申し上げましたように、まず経済外交を強化することによつて、各国間の通商条約あるいは支払い協定等を有利にし、次いで今御指摘になつたような国内での基幹産業あるいは電源開発であるとか、鉄鋼でございますとか——鉄鋼もちよつと御参考までに申し上げておきますと、鉄鋼三箇年計画につきましては、すでに二十六、七年の二箇年で六百二十億これに投じました。さらに本年約三百億投じますので、これで鉄鋼の方もほかの情勢に一切かわりなしとして、銑鉄でございますと約四分、それから鋼管のごときになりますと、三割五分ほど、それだけについて申せば値下りになる、合理化されるのであります。これは一例でありますが、そのほか石炭につきましても今努力をいたしておる。  さらに輸出商社の強化につきましては、各種の税制措置を今度御審議つておることは、長谷川さんが御承知通りであります。何と申しましても、国際競争力を十分持つた優良な品物が出て行くことが必要でございますので、その点に対しましては、国内産業の振興についてあらゆる努力をいたしておる次第でございますが、今度はまた法律の方面におきましても、今御審議を願つておるように、たとえば輸出入銀行法が改正になりますと、東南アジアにプラント輸出をいたしまして、あそこへ投資ができることになつております。たとえば日本とインドネシアの合弁の仕事ができるように相なつておるのでございます。そういうことで五箇年くらいの投資ができることになつておりますから、今までよりも相当活発、有利に行くのじやないか、あるいは重機械工業の相談室ができて、向うの相談相手にもなれる。また今度の法律で独占禁止法の一部緩和の趣旨から輸出入取引法をお出し申し上げて、これも近く御協賛を得ることと思つておるのでありますが、あれによりまして日本がある程度品物の価格を安定さすことができます。従いまして今までのようにお互い無用の競争をして、それがために品物を投売りする、ひいてダンピングというようなことを言われないようにチエツク・プライスをつくることを避けるようになりまして、ものが安定すると見れば、注文が継続的に来るということになりますので、そういつたことであらゆる施策を私どもは仰せの貿易関係に注いでおるわけでございますが、なお足らぬ点も多々あると存じますので、これらは今後ますます皆様の御支援により、また御教示によりまして、これを進めて参りたいと考えておる次第でございます。
  30. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 大臣通産大臣に就任されるという新聞紙上を見ると同時に、全国内の経済家はあげてこれに賛意を表しております。何ゆえかと申しますと、今までのあなたのその御手腕を振つていただきたいと大きな期待があつたと思うのであります。しかるに逆に輸出は不振の状態にあるということは、まことにこれらにこたえることができないのではないか、一面ごもつともだということは、党内の事情等も多々ありますので御心痛のことと思いますが、これらはあなたとは何ら関係なくて、国民があなたに対するその御期待を裏切らないように、ここに確信あるところの一段と飛躍した貿易を行うように努力してもらいたいと思うのであります。  次に法案の内容について二、三お伺いしたいのでありますが、第一条の七の一、二、三、四、五の一会計年度保険金額の総額はどのようになつておりますかというのが一点。次に第五条の二の二に、「政令で定める貨物」とはどんなものか、これに対してお答えが願いたいのであります。
  31. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 第一条の七につきまして、第一から第五までありますが、第一号は百八十億円に相なつております。二号は百億円に相なつております。第三号は保険金額の総額は六十億円、保険金の総額は六億円になつております。四号は保険金額の総額は三百八十億円、支払保険金の総額は三十八億、それから五号の保険金額の総額は一億円と相なつております。  それから第二点の第五条の二の「政令で定める貨物」、これは重機械類とか、プラント類を現在定めております。これは別段改正ではございませんで、従来からそういうことになつております。
  32. 山手滿男

    ○山手委員 長谷川委員が今質問しておりましたことに関連して一、二大臣に、これは緊急問題でありますから御質問申し上げます。  ポンド圏に対する外貨予算の問題で、通産省と大蔵省が意見が対立をしておるように承つておりますが、ポンド圏貿易については先般——先般といいますのは、池田大蔵大臣当時通産省の意向を踏みにじつて、あたかもポンド貨幣は紙くずであるがごとき態度で臨んで、今日貿易不振は大蔵省あるいは外為のああいう行動が今日日本貿易の不振の一つの大きな原因になつておると私は思う。あの当時この通産委員会でも私どもみんなで大蔵大臣を呼んで来て、あるいは外為の木内委員長を呼んで来て議論をしたのでありますが、何でも自分たちが得意になつてああいう主張をいたし、遂に今日の悲運に導き入れた次第であります。これを私は想起しておる。それで今日通産省と大蔵省との間に意見の相違が出ておるようでありますが、どういうふうに相違をしておるのですか、またその調整はどういうふうにされるつもりか、大臣からお答えを願いたい。
  33. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 きのう実は向井君に私が会いまして、何かきよう新聞を見ると、君のところとぼくのところが意見が違つておるようだがと言つたら、どこが違つておるだろうかということを向井君は言うておるくらいで、実は私ども二人の間ではこの問題について何ら話をするところまで行つておりません。ところが、そのあとで事務的にずつと調べてみましたところが、御承知のごとく、今山手さんが言われたように、元のポンドの関係等は、あの時分の行き方が私ども今日から見て少し行き過ぎておつたと思う。現在ドル貨の方はだんだんふえまして、六億七千万ドルくらいございましよう。ポンド貨の方は、昨年は一億三千万ポンドほど輸入超過というようなかつこうになりまして、今は七千万ポンドくらい、あるいはもうちよつと最近減つておるかと思います。今のままで行くと、さもに減る見込みであります。そうすると、将来の日本にとつてお話なつたようなぐあいに、ポンド地域というものは輸出入等できわめて大切なところでありますので、そうねこの目のかわるような政策は私どものとらざるところであります。従いまして、今事務でいろいろ話をしておりますが、その結果、もし双方に円満なまとまりがつかぬ場合は——私はつくと思つておりますが、私どもの意向も言つてありますから、これは二人で会つて話し合えば済むことだと思います。しかしその済むときには、今申し上げましたような、いわゆるポンド地域に対する輸出政策、貿易政策が、今までのごとくねこの目のようにかわつて行くような政策はとらないでやつて行きたい。あそこの重要性認めてこれに処して参りたいという考え方でございます。
  34. 山手滿男

    ○山手委員 通産省と大蔵省が交渉される場合に、今までの例から行きますと、いつも通産省がへこまされてしまつておるというのが通例である。しかもポンド圏に対する貿易の問題では、明らかにこれは失政であつた。通産省が折れたことが明らかに重大な失敗であつたということは、財界人と言わず、あらゆる人が認めておることであります。今度の外貨予算についても、私は今の大臣の御説明でまだ十分でないのでありまして大蔵大臣以下ここへ出て来てもらつて、ごく近い機会に対決してもらつて——すでに大蔵省がああいう態度をとつて、外為やなんかと話をしてやつたことが、今日日本の貿易不振の大きな原因なんでありますから、これはこの委員会が十分納得するように処置されんことを、委員長にも大臣にもひとつお願いをしておきます。
  35. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 山手さんから御鞭撻をいただきまして、まことにありがとうございました。今ちよつと私の言葉が足らなかつたもしれませんが、実は外貨予算は、大体のところは話合いがついておるのです。ただその収支の見込みについて多少違う点があります。そこで見込みに対する点だけが——予算面でちよつと違う点が、今食い違いを生じておるのでございまして、私どもは今御懸念になつたようなことのないよう、言いかえれば通産行政に阻害なきよう、さらに貿易振興に妨げなきよう十分の措置をとる考えでございますから、どうぞこの上とも御鞭撻のほどをお願いいたします。
  36. 今澄勇

    今澄委員 輸出信用保険については、私どもも大分質問があつたのでありますけれども、もう時間がないので、輸出に関する総括的な考え方通産大臣にお伺いをしておきたいと思います。  第一点は、当通産委員会においては、日米通商航海条約に関する通産省としてのこれが成立の見通し、並びに伝えられております通産事務当局見解が外務省によつて大きく押えられておるような問題等々がそのままでありながら、岡崎外相は近く日米通商航海条約の締結を見るであろうということを発表しておるのでありますが、通産大臣から、日米通商航海条約は概略どのような形において——いろいろ伝えられた三、四の問題があつたが、それらの問題はどのような形で締結される見込みであるのか、この機会に明らかにされたい。  第二点は、アメリカを除いたイギリス、フランスその他の国ともこれらの通商航海条約が進行中であるということでありますが、通産大臣としては、これらの諸国との通商航海条約等については現在どのような進行状況であつて、大体どういうふうな方針でお行きになつておるのかということを伺いたい。  第三点としては、岡崎外相は、近くガツトの加入を認められるであろうということを予算委員会で述べておりますが、われわれはガツトの加入については、おそらく日本に何らかの制限を加え、あるいは日本の主張についておそらく大きなブレーキをかけない限りにおいては、無条件加入ということはあり得ぬと思つておりますが、ガツトの加入についてはどのような制限が課せられる模様であるか。以上三点について大臣から承つておきたいと思います。
  37. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 日米通商航海条約の問題は、締結前には外務省以外まだ発表しにくいのではないかと思いますが、大体の点は一致しまして、まだ旧株の問題であるとか、あるいは公企業、私企業の問題、それからもう一つ既得権の問題等の三点で少し調整を要する点がありますが、大体はいわゆる相互的なということで解決して行くじやないかというような見通しであります。そういたしますれば、国会の協賛等の問題もありますが、これは内々での話では、そう遠くないうちに、少くともこの四月くらいまでにはそう、いう話がつくのではないかと思います。それからそのほかの国との問題では、まだいろいろ話を進めておるのでありますが、大体アメリカとの日米通商航海条約がいわゆるモデル・トリーテイとなつてだんだんよそへもやつて行かれるじやないかと思います。  それからガツトの問題は、日本が従来ダンピングをやつたとか、いろいろなことによつて日本に対して相当反対のあつたことは事実であります。しかしながら日本一国に対してのみ不利な条件を出すというようなことはガツトの精神にそむくというような点も言われまして、一般的な問題として、どこの国でもダンピングをやるようなところはその適用を受けるのでありますが、そういうようなことで解決の話合いがついているのでございまして、そのほかには支障となつている点はございません。この間うちは、今の会期間委員会でやつておりましたが、六、七月ごろ総会が開かれますから、もう話合いがついておりますので、その総会の席ではガット加入ができ得ることと私ども存じます。御懸念になつたような日本一国を対象としてやるようなことはないことになつております。一口に言うと、日本を対象にしたのではないかと思われるような点もあるかもしれませんが、これは一般的なこととして出て来るのでありまして、日本のみを対象にしたのではありませんから御了承願いたいと思います。
  38. 今澄勇

    今澄委員 今の大臣答弁で一応よくわかりました。  通商局次長に伺つておきたいのですが、日米通商航海条約の中で、いろいろ言われました既得権の問題、その他問題点がありましたが、国内における交通、鉄道の敷設等について、日本の国鉄に対すると同じように、これに対して協力を求めるというような、いろいろ国内問題にも関連した部面があつたかどうか。それらの点はどういうふうな交渉の内幕になつたか。もしあなたの方でおわかりになるならば簡単に報告していただいて、私の質問を終りたいと思います。
  39. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実は制限している業種がございます。たとえばガス、水道、電気、それから鉄道あるいは航空といつたものはすべて制限業種の中に入つておりますので、向うがたとえば株をよけい持つとか、各種のことはできぬことに相なつております。その制限業種の名前は忘れましたが、大体俗に申しますと、公益的もしくは公益に近いものは全部それに入つております。また地下資源に関するものなどもみなこれに入つております。そんなようなぐあいになつておりますから、これらの点は各国とも同様でありますので、あまり異論がなかつた。たださつきちよつと申しましたが、公企業、私企業で、アルコールなどは、私企業でもやつているし、公企業でもやつているので、この問題についてちよつと問題がございまして、これは今調整中でありますが、ほかには制限業種というような一箇条がございますから、御懸念の点はないように存じております。
  40. 坪川信三

    坪川委員長 他に御質問がなければ、委員長の手許に高木委員より修正案が提出されておりますので、この際修正案の趣旨説明を求めます。高木君。
  41. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 私は輸出信用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたしたいと思います。修正案の案文はお手元に差出してある通りでございます。  その趣旨の説明を申し上げます。修正案の要点は二点でありまして、その第一は改正法案第五条の八第一項に修正を加えたことと、その第二は同条第二項を追加して規定したことであります。  初めに修正の第一点を御説明いたします。本改正案第五条の九は、輸出手形保険の保険金の支払いを受けた外国為替銀行が、その後において損失を回収した場合、その回収金を政府に納付すべきことを規定したものであります。しかしながら第五条の八第二項の規定によりまして損失額の七五%に相当いたしますところの保険金の支払いを受けた外国為替銀行は、原則として支払いを受けた保険金の限度で手形の振出人に対する遡求権の行使を禁ぜられておりまして、保険金の支払いを受けない残余の損失額についてのみ、遡求によりこれを回収し得ることとなつています。従いまして、当該遡求による回収額は、政府の支払つた保険金とは重複しないものでありますから、これを政府に返還せしめる必要がまつたくないのみならず、これに対して政府への納付義務を規定することは、外国為替銀行の損失を永久に回収し得ないものとする不合理を生じますので、第五条の九中「回収した金額」の下に、遡求による回収額を除く趣旨規定を挿入いたしたのであります。  次に、修正の第二点を御説明いたします。第五条の九に上述のような修正を行いました結果、外国為替銀行は、政府から支払いを受けた保険金によつて回収し得ない残余の損失について遡求権を行使し、自己の損失を埋めた場合におきまして、手形の支払人から支払い義務を履行して来たとき等、遡求によらない損失の回収がありましたときは、外国為替銀行が不当利得を生ずる結果となるのであります。従いまして、かかる不当利得を遡求権を行使した相手方に返還せしめるために、本条に第二項を追加規定いたしたのであります。  何とぞ御賛同のほどお願いいたします。
  42. 坪川信三

    坪川委員長 以上をもつて修正案の趣旨説明は終了いたしました。  これより討論に入りますが、討論はこれを省略いたし、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なければ討論はこれを省略いたし、これより採決に入ります。  まず修正案についてお諮りいたします。高木君提案の修正案に賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  44. 坪川信三

    坪川委員長 起立総員。よつて本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案に賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  45. 坪川信三

    坪川委員長 起立総員。よつてただいまの修正案の通り修正議決いたしました。     —————————————
  46. 坪川信三

    坪川委員長 次に、火薬類取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑がなければ、これより討論を省略いたし、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なければ討論はこれを省略いたしこれより採決に入ります。  本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  48. 坪川信三

    坪川委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  49. 坪川信三

    坪川委員長 次に、国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますから、これを許します。今澄君。
  50. 今澄勇

    今澄委員 私はこの法案そのものに質疑をするのではありませんが、これで取上げられておるニツケルについては、先般当通産委員会において、政府提案のニツケル製錬事業助成臨時措置法が通過いたしまして、住友一社に大きくニツケル製錬に関する助成を与えるということになつております。当時日本冶金その他のニツケル製錬工場からは、反対の意見もいろいろ出ておりましたが、このニッケル製錬事業助成臨時措置法によりまして、その後ニツケルはどういうふうになり、その法律規定したところのあれはたしか赤字が出た場合は助成することになつておつたと思いますが、通産省としてはどういう処置をとつたか、しかもそれらの処置が今後のニツケルの生産の上に、どういう慣例になるかという点について当委員会に説明せられんことを希望いたします。
  51. 川上為治

    川上政府委員 ニツケル製錬事業助成臨時措置法が通過いたしましてからもうすでに二年近くになりますが、現在それによりまして助成を受けております住友金属鉱山のニツケルの生産状況は、大体生産プランとしましては月産百トンであつたのでありますが、現在八十トンないし八十五トンくらいの生産をいたしておりましてほぼ正常に近い生産をいたしております。従いましてこれ以外の志村化工とか日本鉱業とかそういうものを全部入れますと、わが国の需要に対しまして、ほぼあるいはそれ以上に上まわる程度に現在は生産ができております。従いましてこの法律をつくりましてニツケルの生産を増強しようという趣旨は、大体その目的を達しておるというような状況になつております。  それからこの法律によりまして助成措置を構ずることになつておりますが、その助成の措置一つといたしまして、別子に対しまして積立てを行わせることになつておりますが、その助成に見合います、一旦事が起りました場合の補償措置、これが金額にしまして約四億ということになつておりますが、そのうち現在までの積立額は大体一億一千万円程度、残りが二億九千万円程度というような状況になつております。  それから価格につきましては、現在まで三べん改訂が行われました。最初トン当り三百二十万円であつたのでありますが、その後二百八十万円、現在におきましては二百五十万円ということになつておりますけれども、実際の販売価格については二百二十万円程度で販売されております。特に価格の問題につきましては、いろいろ問題がありまして、非常に高いのじやないか、もう少し下げなければ関係産業が非常に困るというようないろいろな問題がありますので、どの程度切下げられ得るかということを現在いろいろ検討しておりまして、なるべくこれを切り下げるように持つて行きたいというふうに考えております。
  52. 坪川信三

    坪川委員長 他に御質疑はあませんか。——質疑がなければこれより討論に入りますが、討論はこれを省略いたしまして、これより採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なければ討論はこれを省略いたし、これより採決に入ります。  本案に賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  54. 坪川信三

    坪川委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  55. 坪川信三

    坪川委員長 次に不正競争防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑はありませんか。——質疑がなければこれより討論に入りますが、討論はこれを省略いたし、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なければ討論はこれを省略いたし、ただちに採決に入ります。  本案に賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  57. 坪川信三

    坪川委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。本日議決いたしました五案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。  本日はこの程度といたし、明日は午前十時より、中小企業金融公庫法案に関し、大蔵委員会と連合審査会を開会いたしますから、さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時一分散会