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1953-02-26 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十六日(木曜日)     午後一時四十六分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 小金 義照君 理事 高木吉之助君    理事 今澄  勇君 理事 永井勝次郎君       辻  寛一君    中峠 國夫君       福井  勇君    福井 順一君       南  好雄君   生悦住貞太郎君       長谷川四郎君    山口シヅエ君       木下 重範君  出席政府委員         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (重工業局長) 葦沢 大義君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         専  門  員 谷崎  明君     ――――――――――――― 二月二十五日  計量法の一部改正等の請願(石坂繁君紹介)(  第二九一九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  武器等製造法案内閣提出第三一号)  連合審査会開会に関する件     ―――――――――――――
  2. 坪川信三

    坪川委員長 ただいまより会議を開きます。  本日は、昨日に引続き武器等製造法案を議題といたします。質疑の通告がありますから、順次これを許します。今澄勇君。
  3. 今澄勇

    今澄委員 武器等製造法案について畳譲歩進行しまして、いろいろこの法案問題点の解明をいたしましたが、私はなお二、三点の質疑をいたしてみたいと思います。  まず第一番に、出血価格をあえてして落札をしておるという武器製造業者現状というものは、本格的な武器発注があるという予想のために、現在は地盤確保ということが一番大きな目的ではないか、かように考えられます。そこで私は、今後の武器発注についての政府の大体のお見通しをひとつ承りたい。これは同僚議員からも質問がありますが、私は少くも今後アメリカから武器発注が出る際においては、できれば日本側で、調達庁のごときものが一括してそれを引受けてやるということになれば、その見通しもつくと思うが、これらの武器製造のよい悪いにかかわらず、日本経済現状から、どうしても武器受注業者が待望しておるとすれば、何らかの生産に関する見通しを持たなければならぬと思う。こういうふうな将来の発注に対する実績をつくるべくこれらの赤字受注をなしておるということについて、政府として何らかの見通しなり、これに対する対策がなければならぬと思うので、これについてひとつお答え願いたいと思います。
  4. 小平久雄

    小平政府委員 御質問の第一点は、今後の駐留軍発注見通しということであります。これにつきましては、最近までにすでに発注を見ましたもの大体二千万ドル、今後アメリカ会計年度内において大体三千万ドル程度と見込まれておつたのでありますが、ごく最近におきましても、すでに一千万ドルほどの発注もありましたので、今日の状況をもつていたしますならば、大体旧発注額、当方から申せば受注額が約三千万ドル、今後の受注見込高が三千万ドルないし四千万ドル程度、若干ふえて参つておりますが、その程度ではなかろうかと一応推定をいたしておるわけであります。  それから第二の御質問の点でありますが、出血受注をしたものに対して何らかの処置をとる考えがないかという御趣意と拝聴いたしました。このいわゆる出血受注につきましては、先般来再三御質問を受けているのでありますが、実は出血の内容と申しますか実態が、必ずしも当局におきましてもはつきり把握できておらないのであります。当局の想像いたしますところでは、いわゆる出血ということが米軍の予定いたしておりまする最低価格よりも下まわつておるという意味出血という声が相当強いのじやないか。少くともそういつた面から出血という言葉が相当出ておるのじやないか。はたして原価計算に基いて出血かどうかという点につきましては、個々の工場、会社によりまして事情も区々でありましようし、なかなか正確にはとらえ得ない現状にあるわけであります。そこでかりに原価計算出血であるといたしましても、ただいまのところ直接的にこれを補填するとか、その他の方途は現に行われておりませんし、またただいまただちに行おうという考えはないのであります。ただ、しかしただいま御提案申し上げておりまするこの法案等におきましても、いわゆる出血ということは企業の濫立、それから起る無用に近いほどのはげしい競争、そういうことが高い原因であるからして、生産分野を確定いたして、そういつた弊害を除去して行こうということが一つの大きな本法のねらいになつておるわけでありますが、しかしさしあたつて処置としましては、ビッドにあたりまして、適格者を推薦するとか、それによつて無用競争を避けて行く、あるいはまた再入札等のことにつきましても、なるべくそういつた再入札のようなことはやらぬでほしいというような申入れもいたしておるわけであります。政府が一括して受注をして、これを国内の業者に流すというようなところまでは、現在のところ考えておりません。大体以上の通りであります。
  5. 今澄勇

    今澄委員 わが国における武器生産規模をどのくらいに置いたならば、国民経済の健全な運行を妨げないという本法第一条に、一体具体的に合うのか、その第一条に関する生産規模の具体的なことがもし数字でお示し願えればお答えを願いたいと思います。
  6. 小平久雄

    小平政府委員 この点についてはどうもなかなかむずかしい問題でありまして、具体的にどの程度規模のものがわが国国民経済の健全なる運行を阻害しないかということは、はつきりと申し上げにくいというより、むしろいたしかねる問題なのでありますが、要は先方の発注の量にもよります。またわが国経済自体の発展の規模にもこれは照応すべきものでありますので、これら両者の点をかね合いつつ、何と申しましてもいわゆる生産的な武器製造業でありますからして、そのときの経済情勢とにらみ合せつつやつて参らなければならぬ問題だと考えております。一面現在のところでは武器製造受注、俗に申せばズルをかせぐという、いわゆる特需という関係でもありまするし、そういつた点をもかみ合せまして、これは両面から考えて、そのときに応じて判断いたすよりいたし方がないと考えます。
  7. 今澄勇

    今澄委員 まことにどうも奇々怪々なる御答弁で、私は一条に国民経済の健全な運行を妨げないという規定があるからには、この武器生産規模については、少くも現在の経済状態においては大体年間どの程度、あるいは数量にすればどの程度というような見通し政府としてはつけらるべきではないか、それがまたこの法案を出した、第一条をつくつた前提にもなるのではないか。前提のない第一条というものはあり得ないと思いますが、一応そのうちまた質問の間にひとつ御答弁でも願うといたしまして、先般の委員会速記録を読んでみると、政府委員が、年間兵器生産受注額は約五千万ドル程度と言われておりますが、事実五千万ドルということであれば、第五条に書いてあります許可基準限度も当然年間五千万ドルの範囲内でやるということになります。一度許可したものを、需給関係アンバランス理由にして取消すことはできないと思うが、濫立を防ぐために第五条がつくつてあるが、この第五条のみでは運用面で必ず混乱した事態に立ち至る、かように考えられます。私はこの第五条と、その問題に関連してひとつ政府構想処置をただしてみたいと思います。
  8. 小平久雄

    小平政府委員 先ほど申し上げました通り駐留軍からの発注の量につきましては、今日現在におきましてはその速記録に載つておる程度よりも若干ふえておる、こういう事態になつておるわけであります。  それから第五条におきまして、一箇年間受注高を五千万ドルなら五千万ドル、あるいは七千万ドルなら七千万ドル、そういうところでひとつ数的に、はつきり押えたらよろしいじやないかという御質問と解しましたが、この面は先ほど申しました通り発注量というものがはたして今後どうかわつて行くかということにつきましては、当局でもあらゆる情報を収集いたしまして、業界へそれを流すということは通産省としても当然やらなければならぬ心得えまするが、なかなか的確なことがわからぬというのが率直な実情であります。そこで今後の情勢が即断いたしかねるのでありますからして、法律としてこれを金額的に押えておくということはいかがかと考えておるわけであります。また一旦許可したものを取消すというような事態も起るのじやないかという御懸念のようでありまするが、これは先のことはわかりませんが、しかしただいまの情勢からいたしますならば、一旦許可したものを本法規定するような理由がない際にこれを取消すというようなことは、まずさしあたつてはと申しますか、当分予想はしておりません。第五条に規定いたしますところは、新たに許可する要件でありまして、従いましてこれらの要件を具備する限り今後も引続き許可をいたして、また需要と見合いつつ、また第一条に掲げる目的に沿う限りにおいては許可をいたして行く、こういたしたいと考えております。
  9. 今澄勇

    今澄委員 第五条の問題も第一条の問題と同じように、まことにこれは漠然たることになりますが、私はアメリカの最近の動向からして、あるいは日本注文は三億ドルにもなるような場合があり得るというような情報をあちこちで調べたのでありますが、政府はこれが二億ないし三億というような大きな具体的数字になつても、この武器等製造法案によつてそのまま黙認して行かれるつもりか、それとも漠然とではあるが、これは一億円くらいになれば日本経済影響を及ぼすのであるから、第一条に触れるのかというところででも御答弁がもし願えるならばと思いますが……。
  10. 小平久雄

    小平政府委員 御質問のようにはつきりした線がここに数字的に出ますならば、一番本法運用上もやりやすい点もあるいはあるかもしれませんが、また逆に申しますと、わが国経済自体が今後どう発展いたして行くかということが一つの大きな問題でありますし、これとの相対的な関係におきまして、武器生産というのものがどの程度規模のものがはたして妥当か、申すまでもなく武器生産のために、鉄鋼その他の資材が非常に厖大な受注のためにいるということになりますれば、どうしても民需を圧迫するという関係も出て参ります。そういう点から見ましても、武器生産規模というものと時の国民経済全体のバランスというものを常に考えてやらなければならないものと考えますので、これを数字的に明確にいたすということは、法律という建前からいたしましても、適当ではないのじやないかというふうに考えておるわけであります。
  11. 今澄勇

    今澄委員 その程度にしておきまして、次は砲弾製造などをやるということは、できた品物が生産経済へもとよりまわらないのでありまするから、これが日本の非常な物資の欠乏をあとでもたらすというようなことでは、非常に民間の生活水準影響を及ぼすというふうに考えられますが、この砲弾等武器製造というものが、日本産業構造の中において占めるものの考え方でありますが、われわれはこれはまことに不健全な日本産業構造へのスタートであるとかように思いますが、現下収支計算貿易その他から、政府はやむなくこの砲弾等製造をも黙認をするということになつたのであろうと思いますが、第一これらの武器製造事業というものに対する、政府考えておる、日本経済再建の中においてはこれは健全なものである、将来どういうふうにこれを持つて行くかというふうな、もしお考えがあるならばその構想をお聞かせ願いたい。  第二点には、私は武器などを注文することは個人が武器注文するというはずはないと思います。やはり武器注文する相手は、相手の国の国家的な要請によつて、これらのものを注文するのであろう、かように考えられるのであるから、この武器製造にあたつては、わが国はもしこれを政府が、ほかにどうしても日本経済のやり場がないということで、武器製造に入るということになれば、強力な国家管理でもしいて、国家的な統制のもとに、これらの武器製造をやらして、万一こういう武器受注というものがなくなつても、それは国家の責任において、日本経済への影響を食いとめるというようなあり方が当然私は考えられると思うが、これらの点についての所見をひとつ伺いたいと思います。
  12. 小平久雄

    小平政府委員 第一点は武器製造という事業がはたして健全なる産業考えるかという御質問ですが、言うまでもなく、本法の通過後におきまして認めようとする武器生産は、わが国自体のものというよりも、その九九%あるいはそれ以上が駐留軍発注にかかるものであります。わが国全体のただいまの経済あり方、特に貿易あり方等から考えましても、御承知の通り、ようやくこの特需関係をもつて一般輸出入アンバランスを補つておるといつたような状況下でございますので、こういう面からいたしましても、ただいまの日本経済にとりましては、これは相当一つの役目を持つた事業だと考えておるわけであります。ただ繰返して申しておりまするように、この武器生産というものが国民経済全体とのバランスにおきまして、あまり大きくなるどいうことは、自然不健全なるところまで拡大するということになりますので、特に本法におきましては、そういう点を大いに考慮しつつ、この武器生産事業というものを規制いたして参ろう、こういう建前でできておるわけであります。  さらにまた第二の点といたしまして、たといこの武器製造等を認めるにいたしましても、こういつた事業はその性質上、国家的な統制のもとに置くべきじやないかという御趣旨でありますが、今回のこの法律によりましても、決してこれを野放しにいたして行くということではございませんで、この初めに申しました健全なる姿においてこの事業を認めて行くという一面、また公共の安全という面からいたしましても、これをひとつ規制いたして行く、これら二つの大きなねらいからいたしまして、国家統制といいましても、これは程度の問題でありましようが、本法によつて規制をいたして行く、さしあたつてはこの程度のことがよろしいのじやないかと考えるわけでありまして、全面的なる、本法規定する以上の強度の規制と申しますか、統制をやつて行こうとは今のところ考えておらないわけであります。
  13. 今澄勇

    今澄委員 この武器産業が、国家的な見地から見て、どのような事業形態であり、どういうふうな監視のもとに行わなければならないかということについては、私はもつといろいろの角度から論じなければならぬと思いますが、時間の関係上、後にお伺いすることにして次に移りましよう。  そこで第十一条の規定をながめてみると、これは保管規定でありますが、本条第三項の規定は「武器製造事業者及びその従業者は、保管規程を守らなければならない」という。これは別に罰則を受けないようであるが、完全な保管をしないことによつて発生する災害は、最近頻発しておるいろいろな事故によつて明らかであるが、何ゆえこの重大な保管に関して罰則規定を設けなかつたのか。私は少くともこの保管ということに対する政府のものの考え方、あるいはこれが取締り等が非常にルーズではないかと思うが、この点についての御見解を承ります。
  14. 葦沢大義

    葦沢政府委員 爆発物等の取扱いを厳重にしまして、保安の完全を守らなければならぬということは御指摘通りでございまして、火薬類取締法におきましては、厳重にその点は規制してあるわけでありますが、本法におきましても、御指摘のように、十一条にその規定を置きまして、趣旨の達成を目的といたしておりますとともに、第三十二条第一項第四号において、この保管規程の認可を受けないで武器製造事業をやつた者については罰則規定規定いたしておるのでございます。
  15. 今澄勇

    今澄委員 私は最近頻発しておるこういつた火薬類爆発並びに兵器類爆発については、少くともこの第十一条の保管規程に抵触し、あるいはこれを聞かなかつたというような者についての罰則は、御説の第三十幾条では足らないと思います。私は少くとも第十一条の中において、以上のこれらの点についてこれが履行を怠つた者についてはこれこれこういう罰則を与うべきものであるというふうな規定を、これにはつけべき必要がありはしないか、かように思いますが、御検討を願いたいと思います。  次に私は、本法第十五条、契約届出規定について、すなわち第二項に、通商産業大臣は、戒告することができる云々という条項がございます。この十五条第二項の規定は、武器製造を請負うなどの契約を締結しようとする者が、通商産業大臣にこれらの契約届出をした場合、届出の事項が著しく不当であつて国民経済の健全な運行を害すると認めたときは、戒告することができると規定されておるものと思う。具体的には契約が不当に安値で結ばれようとしておる場合を、この運用によつて防ごうとするものではないかと私は思いますが、たとえば業者が不当に安い価格契約をしたことにより、健全な国民経済運行に支障を生ずるような場合に戒告をした。戒告をしたけれども、業者がこの戒告を守らなかつた。よつて国民経済の健全な運行が阻害されたという場合においては、政府は一体どういうふうな態度をとるのか。私は業者戒告を守らないときは、もつと強い制限規定を設けなければならないのではないかと思うが、この点も非常にゆるいように思いますが、御見解を承りたいと思います。
  16. 小平久雄

    小平政府委員 御指摘のように、第十五条第二項によりまする戒告につきましては、これに従わなかつたという場合におきましても、別段罰則規定はないわけであります。そこで、それでは戒告効果がないのではないかという御疑念が起ることも、まことにごもつともだと思うのでありますが、そういう場合におきましては、やはり一般業界に対しましても、ある会社なら会社が、適当ならざる、不当なる価格をもつて受注をいたしたのだということが明らかにされるわけでありますから、そういう点から申しましても、これはその会社の信用にもかかわつて来る問題と考えますので、そういつたいわば間接的な効果といいますか、そういうことになるかもしれませんが、そういう面からして、この当該会社等はやはり以後自粛をして行く、こういうことを期待いたしておるわけであります。
  17. 今澄勇

    今澄委員 私はこの第十五条の規定は、第五条の許可基準とともに、運用上まことに重要な規定であつて、この規定が何ら制限その他の措置をとつておらないということは、了解に苦しむ次第であります。武器は他の製品と異なり、その目的が人を殺すためのものでありまするから、私は現下日本経済から、これらの武器をつくるに際してへその条件国民経済影響を及ぼすような条件である場合においては、政府はそれを検討の結果、戒告を聞かなければこれを不許可にするとか、あるいはその契約を取消させるとか、いろいろとるべき措置があると思うが、その程度のこともこれではできないと思うが、具体的にはどうでございますか。
  18. 小平久雄

    小平政府委員 今澄委員の御説のような点も、実は立案にあたりましては十分検討をいたしたのであります。しかしながら一面から申しますと、憲法に規定いたしておりまする営業の自由というような建前も、十分これまた尊重しなければならない。そういう関係からいたしまして、むしろ業者自粛ということに信頼して行く方が、法的に考えましても、また行政運営の上から考えましても、妥当ではなかろうかというので、ここに御提案申し上げたようなところにおちついたわけなのであります。
  19. 今澄勇

    今澄委員 どうもこの第五条、第十五条等の規定を見ると、この法案はつきり固まつたものではないという印象が非常に強くいたしますが、まずこれもこの程度にいたしましよう。  次に、附則第二項の規定は、本法施行の際、現に武器もしくは猟銃等製造または販売事業を行つておる者は、自動的に本法許可基準等による許可を受けなくても、業者としての資格を取得するということになつております。そこでお伺いしたいことは、第一になぜにこのような規定を設けたのか。すなわち第二項の規定の裏を返せば、現在武器製造は自由である。いわば法の空白期間である。政府許可なくして武器製造事業を経営しておるものである。しかるにかかわらず、これらの業者を自動的に本法施行の際業者として許可するということは、法の空白期間において暗黙のうちにいち早く着手したものだけがいいということになるわけで、これでは日本が非法治国となるばかりか、立法府を無視した非民主的な措置であると考えなければなりません。私はこれは行政権の濫用であると言うべきであると思います。何ゆえ、現在武器製造販売を行つておる者も、本法施行のあかつきにおいてあらためて本法によつてやる者も、あわせてこれに対する厳重な許可規定なり取締り等をおやりにならないのか、この点についての政府の御見解を承りたいと思います。
  20. 葦沢大義

    葦沢政府委員 今澄さんの御指摘の点ごもつともの点もございますが、現状武器生産駐留軍発注にかかるものがそのほとんど全部でございますので、その発注に応じて生産をした者は、すでに一定の事実を構成しておるわけであります。ただ遺憾ながら現在は無法律状態になつておりますが、注文がないのに製造をするという者は、現在のところわれわれには認められませんので、注文に応じて生産をしたという、その既存の事実というものをある程度尊重することが、また御指摘になりました法治国の秩序の混乱を防止するという意味において、一面の理由が出て参るというように思われますので、既存のそういう者については、一応この経過規定によつて救うという考え方をいたしておる次第でありまして、これは本法においてだけこういう経過規定を設けてやるのではございませんで、こういうような事業法等においては、こういつた趣旨経過規定は、つきものと言つては誤弊があるかもしれませんが、大体法治国法律構成上の観念としては一般的なものであろうと考えるわけであります。
  21. 今澄勇

    今澄委員 本法律案について五条、十五条あるいは附則等をながめてみると、私はこの法律全体に非常に多くの矛盾を感じます。こういう規定があるから、現在業者が既成事実をつくるべくどうしても無理な出血受注をやるようになるのであつて、やはり計画的な兵器生産立案をするならば、今後は各社に対して政府一定規制を行い、みずからめちやくちやに基礎的事実をつくり上げたからといつて、これが認められるわけではないという状態になつてこそ、初めて工作機械その他の計画的運用によつて、向うの発注に対するある程度抵抗力というものができるのであつて、この規定は断然削除した方がいいと私は考えます。これは審議者としての私どもの見解であります。これを通じて、先般小金委員から詳細質問があつたので、私はこの根本的な問題に対する重複を避けますが、私の聞かんとするところは、この法案を一瞥しただけでも、本日の質疑応答の中に見られるようないろいろの矛盾と非常にあいまいなところが多いのであるが、今の日本経済は、少くとも十七億と予定した貿易がわずかに十億ドルにとどまり、外資の導入についても、当初政府はどれだけ計画したか知りませんが、見るべきものがほとんどない。そこで日本経済が大体において行き詰まりまして、わが国国民生活必需ドル高ともいうべき、せめて二十億ドル程度バランスを合せなければならぬということの一環として、政府はこの兵器製造ということを心の中に描いておると思いますが、こういうように必然的に追い込まれて兵器生産に入らなければ、日本経済がやつて行けないというような経済的な構造の中心は、何といつて政府が計画的な日本経済再建を全然やつておらない結果から生じたものである。だから、兵器製造が五億円にもなるならば、これは食いとめるとか、いやいや一億円ならば食いとめるとか、八千万円程度ならばというような、具体的な数字も全然答えられない。そこで私は、政府日本産業経済を将来運営して行く上において、通産大臣にお願いなり、質問をいたしておきますが、日本経済は平常どの程度貿易がなければならぬか、そうしてアメリカの援助がどの程度で、さらに特需を中心とした兵器の生産がどの程度あれば、日本経済としてはバランスが合うかということについて、昭和二十八年度を概略のモデル・ケースとして、政府考えておるこれらの数字をひとつお答えを願いたいと思います。
  22. 小平久雄

    小平政府委員 わが国産業経済全般のあり方についての御質問でありますが、これは他日機会を得て大臣から御答弁を願うのが適切かと存じますが、現政府といたしましては、お説のようないわゆる計画経済ということにつきましては、少くとも現段階におきましては適切ではないという考えのもとにやつておるわけでありまして、これを数字的に、武器生産は幾ら、輸出入の関係は幾らというようにコンクリートな数字に基いて策定することはいたしておらないわけであります。ただそのときの、本年なら本年の情勢のもとにおいて大体このくらいを目当てにしてやろうということはありますが、幾らでなければならぬ、またそこまであらゆる施策をやつて行かなければならぬ――あらゆる施策と申しますか、あらかじめ予定した計画によつてつて行くという立場はとつておらないのであります。  輸出入につきましての詳細につきましては、通商局の次長がおりますから、その方から御説明いたします。
  23. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 輸出入の見通しについて簡単に御説明いたします。御存じのように、輸出の見通しほど困難なことはございませんので、確たる計画というものはもちろんつくりがたいのでありますが、一応われわれの見通しといたしましては、いわゆる正常輸出といたしまして二通り考えております。現段階としましては、輸出の見通しは割に悪いのでございますが、一応最近の二、三箇月程度情勢で推移した場合と、たとえば日英会談とか、あるいは通商協定が円滑に行つたような場合等若干の期待を入れた見通し、この二通り考えて、一方は最低ラインであり、一方は努力目標ということで考えておりますが、前者の最低ラインといたしまして、輸出は二十八年度におきまして大体十億四千八百万ドル程度を想定いたしております。そのうちドルが三億六千八百万ドル、ポンドが四億ドル、オープン・アカウントが二億八千万ドル、合計十億四千八百万ドルであります。それから先ほど申しましたように、若干の期待を持つた見通しといたしましては、合計十二億三千万ドル程度でございますが、これを地域別に申し上げますと、ドルが三億八千万ドル、ポンドが五億六千万ドル、オープン・アカウントが二億九千万ドル程度を見ております。これに対しまして、輸入すなわち支出の方は、正常輸入と貿易外の支出とを合せて、悪い場合で二十億、よい場合で大体二十二億程度予想されますので、いわゆる貨物の方の輸入だけで十七億程度が悪い方の場合、それからうまく行つた場合には十八億四千五百万ドル程度の輸入を考えております。それに若干の貿易外を予想して、国際収支といたしましては若干のプラスを考えている状況であります。
  24. 今澄勇

    今澄委員 私が聞いたのは、今の輸出と輸入との差額の貿易外収支あるいは特需その他いわゆるアメリカ駐留軍将兵の遊興収入というふうな貿易外のドル収入を全部明細に御報告願つて、その中で兵器生産で入るべき収入が何ドルぐらいあるかという見通しを聞きたいというのが質問のねらいであります。
  25. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 貿易外収入の中で兵器生産の方の関係が幾らになるかというと、これはちよつとわかりかねるのでありますが、一応従来の実績等も勘案しまして、貿易外の収入として一応予想しているところを申し上げてみますと、ポンドの関係あるいはオープン・アカウント地域の関係はさほど問題なかろうと思いますが、要するに、ドル関係といたしまして大体九億一千万ドル程度予想いたしております。その中でいわゆる特需に該当するものが三億二千万ドル程度、それから沖繩関係の工事とか、あるいはMSLの買付その他で四千万ドル程度、それから防衛分担金から来るドル収入が一億八千万ドル程度、合計して、いわゆる駐留軍関係から来るものが八億一千万ドル程度になるのではないかと思います。その他の正常な貿易外収入といたしまして約一億ドルを考えております。
  26. 今澄勇

    今澄委員 今の通商局次長の説明はまことにけしからぬと思う。あなたの言われた特需三億二千万ドル、沖繩方面からのもの四千万ドル、防衛関係の一億八千万ドルで、合せて五億四千万ドルにしかならない。駐留軍関係八億一千万ドルというようなべらぼうなことはない。これはもう少し勉強しておいてもらわなければいけない。けれども私は、貿易外収入の中で、兵器生産でどれだけドルをかせぐのかということを聞きたいので、通商局次長ともあろうものが、国際収支二十八年度の計画を承知しない。その中で概略の輸出入の計画がこれこれというように、兵器生産がその数字の予定の中にも何ら入らぬということでは、こんな法律を出す必要はさらさらないじやないか。
  27. 小平久雄

    小平政府委員 たいへん不勉強のようで申訳ありませんが、ただいま通商局次長から御回答申し上げた通り特需全体で三億二千万ドル程度ということを見込んでおるのでありまして、そのうち本法規定する武器等によります分がどの程度になる見込みか、押し進めたところそういう御質問かと思います。それにつきましても、先ほど来受注の点をいろいろ御答弁申し上げたのでありますが、大体当局において推定をしておりますところからいたしますならば、実際品物が納品となりまして、受取勘定になるものは、大よそ二十八年度におきまして六千万ドル程度ではなかろうかと、一応のこれまた目安でありますが、そういう推算をいたしておるわけであります。
  28. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 関連して。どうも答弁はつきりしないので次官に伺いますが、まず最初に次長に一つ聞いてみます。日本米軍から受けておる弾丸の金額が、あなたの見積りでどのくらいあると思われましようか。
  29. 小平久雄

    小平政府委員 長谷川委員は先ほどおいでありませんでしたが、現在日本発注を受けておるものが、本日現在をもつてしますれば、約三千万ドルとなつております。
  30. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 これは保安庁の責任ある次官の答弁に、アメリカから日本がもらつておる弾丸は、数百億円だということを言つておられる。従つて次官に先日私が質問をしたならば、本年度の受注、つまり保安庁の受注すらもほとんど見込みがないようなお話であつた。ところが注文する本元の岡田さんは、年間本年度で四億四、五千万円は保安庁で使うものを注文するのですということをはつきり答弁しておる。たいへんなここに食い違いが出ておる。それに対して次官はどういうお考えでありますか。
  31. 小平久雄

    小平政府委員 私はまだその答弁をよく承知しておりませんが、私が先般から申しておりますのは、要するに米軍からの発注についてのことを申しておるのでありまして、保安隊が、あるいは保安庁といいますか、米軍から貸与を受けておるものがどの程度になつておるかということは私は承知をいたさないのであります。おそらく保安庁の政務次官が語つたというのは、保安隊といたしまして、米軍から貸与を受けておる数量であろうと思いますので、おのずから別個のものであります。保安隊が借りておるものは、すべてこれを駐留軍日本のメーカーに発注しておるということはわれわれは承知しておりません。
  32. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そもそもこの法案を審議する前提において、何ゆえにかくのごとき法案をつくらなければならぬかという基本理念からいつて、たとえば日本の保安隊からどのくらいの受注があるであろうかということを質問したときには、ほとんどそれらの注文は全部アメリカの方から受けておるので、全然見当はつきませんというようなことであつたから、非常にそれでは不安ではないかということを申し上げた。そうしたら次官は、当時それよりしかたがないのだという話でした。なるほど注文する人とこれから注文受ける人とは立場が違うでしよう。注文を受けるのにこういうふうな規定が必要だというので、あなたの方はこの法律をつくつたんだから、日本の保安隊から来るところの注文も大体どのくらいあるであろうということをはつきり言つても、決して私はあなたのお立場が悪くなるようなことはないと思う。われわれはそれほど注文があるという前提に立つて質疑をして行かなければならない。あつてもなくてもよろしいというような法案であつてはならないということを再三注意しておる。そういう点について、日本の国で使うものに対して言うことができないようなあなたの御態度であつた。私はこれだけの法律を出す以上は、少くとも日本産業構造の一角をなすので、はつきりとした確信を持つて私は審議しなければならないから、見通し言つてくれと言つたけれども、あなたはとうく言つてくれなかつた。そのときに私は、吉田さんのもとにある次官だから、おそらく軍備を持たないのだという線にのつとつて、ほとんどアメリカから来るので国内の注文は見込みがないのだということを親心で了解はしたけれども、こういうことを他の次官がはつきり答弁していることが新聞紙上に出ると、あなたも責任のある立場におるのですから、大体国内からの注文も本年からは相当ある見込みだくらいのことは、言つてもさしつかえないじやないか。決してあなたのお立場が悪くなることはないと思う。こういうふうに一方でははつきりしているんだから、あなたの立場もはつきりしておいていただかないと、私は党に帰つてどうしましよう。党員に諮つた場合に、私が党員に話ができません。こういう法案を出す意思と精神をはつきり言つてもらわないと困ります。
  33. 小平久雄

    小平政府委員 長谷川委員のお話を承つておると、若干私の申し上げたことが誤解を受けておるのじやないかと思います。先ほど申しました通り、保安庁の政務次官が申したことは、保安庁が米軍から武器の貸与を受ける見込みの額なんです。それと米軍日本発注する武器の額は、これは違うのが当然でありまして、おのずから異なるカテゴリーの問題でありますから比較になりません。従つて私の答弁が別段隠しておるとかなんとかいうことはないのであります。できるだけ率直にお答えしておるつもりであります。  それから第二に、先般来お尋ねになりましたことは、武器受注現状、それから将来の見通しというような点であつたと思いますが、その点は従来保安庁からの直接の発注というものはないのであります。それからわずかにあるものは、国警の関係の微々たるものが若干あるだけで、すべてと申しますか、九九%以上のものがとにかく駐留軍から出ている。そういう現状からしまして、将来の受注額というものはなかなか推測がむずかしいということを繰返し申しておるわけであります。ただ保安庁関係武器というものが、しからば今後引続いてすべて米軍の方からの貸与によるものが、あるいは直接発注の形式になつて行くものかということにつきましては、通産省として関心を持つて見守つておるところでありますが、最近の情報からいたしますと、保安庁で使う武器のうち、演習用のものについて金額にして約四億円程度のものが、明年度は直接発注をされるのではないかという情報を得ておるにすぎないのであります。以上のような事情なのでありまして、長谷川さんの御指摘の点につきましては、われわれもできるだけ率直にお答えいたすつもりでおりますから、御了承願いたいと思います。
  34. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 あなたのおつしやる直接という言葉は、きのう岡田さんがはつきりと言つておる。保安庁が直接四億五、六千万円発注するんだ、これはおつしやる通り演習用だということを言つておる。このくらいのことはあなたもはつきりと答弁してもらいたい。通産省は何の考えもなくて、こんな法律をつくつておいていいだろうというような考えでなかろうか。大体これだけの規定を設けて、しかも認可、許可制をもつてやろうというのに、このくらいの目安がなくて通産省がこれをつくつたとしたら、たいへんなことだ。いかにわれわれを愚弄しておるか。そんなことでわれわれが愚弄されたままで、さようでございますかといつてひつ込んでいるわけにいかない。われわれが少くともこれを審議する段階に入るためには――われわれはもとよりこれに賛成する、賛成するのには再三申し上げる通り、賛成するだけの自信と確信を持つてこの審議に当らなければならない。こういう点からいつて、何も岡田さんが言わなくても、これくらいの目安がついているのだから、このくらいの想像だくらいのことは言うのが当然じやないか。われわれ委員たるものが、何のためにここへ来てしやべつているのか、あいつはばかだから、かつてなことを言つているというわけでもありますまいから、そうでなく、はつきりとした目安をもつてやる以上は、自信をもつてあなた方もお語りなさい、われわれもできるだけの協力をして、より以上のよい法案にして行きたい、そうして所期の目的をして全からしめたいというのがわれわれの念願です。ぜひとも今後はそういうふうにはつきりとした自信の上に立つてお答えを願いたいと思います。
  35. 小平久雄

    小平政府委員 先ほども申しましたが、われわれといたしましては、できるだけ率直に御答弁申し上げておるつもりであります。岡田君がいつそういうことを言つたのかよく存じませんが、通産省といたしましては保安庁から直接の発注が明年度はあるであろうということも、この前長谷川さんから御質問を受けたときはわれわれもまだ承知をいたしておらなかつたことなんでありまして、本日は承知をいたしましたから、さつそく御答弁を申し上、げたようなわけであります。
  36. 坪川信三

    坪川委員長 この際連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。すなわち本委員会におきまして化学肥料に関する件について明日午前十時より開会し、参考人より意見を聴取することに決定いたしておりますが、その際農林委員会より連合審査会を開きたいとの申入れがありました。ついては農林委員会と連合審査会を開会するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  本日はこの程度といたし、散会いたします。  明日は午前十時より連合審査会を開会いたします。     午後二時四十五分散会