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1953-02-25 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十五日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 小金 義照君 理事 高木吉之助君    理事 河野 金昇君 理事 永井勝次郎君       大倉 三郎君    首藤 新八君       辻  寛一君    中峠 國夫君       福井  勇君    福井 順一君       南  好雄君   生悦住貞太郎君       日野 吉夫君    山口シヅエ君       加藤 清二君    田中織之進君       木下 重範君  出席国務大臣         通商産業大臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         保安政務次官  岡田 五郎君         保安庁装備局長 中村  卓君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 葦沢 大義君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君     ――――――――――――― 二月二十五日  委員伊藤卯四郎君辞任につき、その補欠として  日野吉夫君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十四日  亜炭採掘地帯における落盤災害復旧の請願(平  野三郎君紹介)(第二六四一号)  の審査を本委員会に付託された。 同月二十三日  アジア貿易促進に関する陳情書  (第一四七〇号)  中小企業等協同組合育成助長等に関する陳情  書  (第一四七一号)  中小企業金融公庫設置反対に関する陳情書  (第一四七二号)  宇部石炭事務所の昇格に関する陳情書  (第一四七四号)  三段峡の電源開発反対陳情書  (第一五〇〇  号) 同月二十四日  日中貿易促進に関する陳情書  (第一五五三号)  中小企業金融公庫設置反対に関する陳情書  (第一  五五四号)  国庫余裕金中小企業専門金融機関への預託に  関する陳情書(  第一五五五号)  久保田村の鉱害復旧に関する陳情書  (第一五五六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  武器等製造法案内閣提出第三一号)  輸出信用保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第六六号)  化学肥料に関する件     ―――――――――――――
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議開きます。  本日はまず化学肥料に関する件について調査を進めます。質疑通告がありますからこれを許します。生悦住貞太郎君。
  3. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 私は大臣に来てもらいたかつたのですが……。私はまだ新米でありまして、今までの質問と重複するところがあるかもしれませんが、この間今澄君の質問に対してはつきりしない点がありましたので、それをさらに聞かしてもらいたいと思います。  肥料出血輸出といわれておりますが、その輸出がどういう値段でどれだけ出ておるか、まず価格数量等についておつしやつていただきたいと思います。
  4. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問に対して御答弁申し上げます。第一点の輸出数量は、昨年の八月に始まります本肥料年度におきまして、今日まで輸出契約のできておりますものは四十三万トン程度でございます。そのうち正式の輸出許可を得ないものが七、八万トンございますが、これは順次具体的な輸出契約の内容がはつきりし次第政府輸出許可をする方針でございます。  なお輸出価格につきましては、昨年の十一月十三日に行われましたインド向けの二万トンの口でありますが、これはFOB四十六ドルでございます。その後大口で韓国に対する輸出が五十一ドル三十セント程度でございます。そのほか小口で六十ドル前後、あるいは六十ドルを越えるものもございますが、いわゆる下値輸出されたといわれるものはこの二つが主たるものでございます。
  5. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 そうしますと今内地における価格との開きはどのくらいになつておりますか。
  6. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 当時の国内硫安安定帯価格と申しまするものは、中心価格が一かます九百円で、上下三十円開きというのが昨年の十一月に決定した安定帯価格でございます。その後先般来安定帯価格検討をいたしておりまして、肥料対策委員会コストの面、その他全般的な検討をいたしておるのでございますが、最終的の結論が出ませんので、春肥を迎えて安定帯価格につきましての再検討をやつたらどうかということの勧告が肥料対策委員会からもなされまして、それに基きまして下値八百二十五円、上限が八百九十五円、こういう安定帯価格決定いたしたわけでございます。
  7. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 今私のお尋ねしておりますのは、その輸出されたものと今度きまりました上限八百九十五円と下限の八百二十五円と、こういう値段でありますが、それが輸出価格との間にどれだけの差額があるかということをお尋ねしておる。
  8. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 大体ただいま申し上げました安定帯価格のどの辺の程度をとるかという問題がありますが、一応実勢をもとにして判断いたしますと、国内が大体六十六ドル、輸出価格が六十一ドル程度に見て比較いたしたらどうかと思います。なお輸出につきましては、船積みの費用と、それから安定帯価格の中には消費地倉庫渡しまでの運賃諸掛を含めておりますので、その差が、場所によつて多少違いますが、二、三ドル開きがございますからこの差額からさらに二、三ドル引下げたところが適当かと思います。
  9. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 そうしますと、ここに昨年の契約であります四十六ドルとか、五十一ドル三十セントとかいうものを中心としまして、内地で販売するものが六十六ドルないし六十一ドルだ、こういうことになりますと、ここに非常に値の開きがあると思います。この間から農林省と通産省、日銀の一万田さんも入つて非常に御苦心はなさつたようでありますが、この安定帯価格なるものの基礎というものはどこから出ているか、そしてこれだけ輸出との間に値開きがあるということは、出血受注であるとか、ないとかいう、実際において出血受注でないというなら、もつと内地価格を引下げるべきだと私は思います。この点についての意見を聞かせていただきたいと思います。
  10. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 肥料価格の、特にコスト面におきまする詳細なる検討は、実は目下肥料対策委員会におきまして小委員会を設定いたしまして、特にコスト関係につきます専門家を三名ほど委嘱いたしまして具体的に検討中でございまして、まだこの結論が出ておりませんので、これに対します最終的な見通しというものは申し上げられる段階にございません。ただ春肥その他の客観的情勢もございますので、輸出に関しましては、先ほど申し上げました輸出は、これは出血というぐあいにたち考えております。ただその程度がどの程度になるかという点につきましては、肥料対策委員会におきまして特に専門家を委嘱して小委員会検討いたしておりますので、その結論をもちまして、出血程度、あるいは出血に対しまする具体的な方針を立てて参りたいと考えております。
  11. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 ただいまのお話を承つておりますと、その輸出したものは出血だろうと思う、こういうふうなことでございます。この前の小平政務次官お話では、出血になつているか、なつていないかわからない、大臣もやはり同じようなことを言われたそうでありますが、今の中村局長お話がやや正直なところだろうと私は思います。そこで今ごろこういう論議をこういうところでしているのははなはだおかしいので、この価格がどんなところが、原価計算面における妥当な値段であるかどうか、こういうことをもつと早く見きわめなくちやならないので、今ごろ小委員会をつくつて政府が論議しておるということは怠慢であるといわなければならぬと私は思います。そこでさしあたり今きまつた八百二十五円の下限上限、この問題もきまつたのではなくて、これは仮定の問題じやないか、かように考えますが、あなたはどうお考えになりますか。
  12. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 先般来政府のあつせんによりまして安定帯価格改訂をみたのでありますが、これは仮定ではありませんで、決定でございます。
  13. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 これがもし決定であるとするならば、非常にずさんなものでないか。この点につきまして、私は政府はこれが出血であるか出血でないかを完全に調べることもできるであろうと思います。原価計算提出せしめることも、物価統制令は今日まだ生きているはずですから、当然原価計算提出せしめて、これが妥当であるか、妥当でないかということの研究をなぜなさらないのでしようか。そこでもしこういう出血が続くとしましたら、日本肥料工業は麻癒してしまうのではないか。さらにまたそれが出血でなくて、こういうような輸出が次から次へなされるということになりますと、日本の農業が犠牲になつて肥料輸出重点を置くというような傾向になることは、はなはだ遺憾な状態であると思います。この点について局長意見を伺いたい。
  14. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 肥料輸出基本方針についての御、質問につきましては、第一点としてお答え申し上げたいことは、肥料の、特に硫安でございますが、東南アに対します輸出の将来の見通しでございますが、これにつきましては、エカフエ等需要調査等に基きますと、一年間大体百七十万トンから二百万トン程度の、需要があるようでございます。同時にこの地方は非常に未開拓な地域でございまして、順次化学肥料を使うのになれると申しますか、需要は増加すると考えてさしつかえないのではなかろうかと考えます。同時に、これに対しまする日本側肥料操業度の安定をはかる意味合いから申しまして、硫安工業操業度を大体二百万トン程度に想定いたしまして、内需は百五十万トン程度でございます。従いまして、五十万トン程度、あるいは確実につかめば四十万トン程度になると思いますが、この程度輸出を常時出せる態勢に持つて行きますことは、国内肥料価格を引下げるという結論になるのでございます。と申しますのは、かりに二百万トンの生産ベース内需だけに局限するというようなことにいたしますと、約二五%程度操業短縮が一割強のコストの引上げを来すような結果に相なりますので、私たちといたしましては、輸出をある程度維持いたしまして、二百万トン——電力その他の事情がかわりますれば、もちろんそれ以上の操業度を維持するということに相なると思いますが、そう行つた行き方において国内肥料価格をも低目に安定させるということが輸出における一つの効果でございますし、またわれわれが輸出をやります一つ目的でもございます。同時に、昨年出血といつて、非常にやかましく論ぜられましたインドその他への輸出の問題に関連いたしまして、当時の事情等は非常に特異の事情にあつたということを一言申し上げたいのでございます。と申しますのは、昨年の十一月から十二月にかけまして、船運賃、特に欧州から東亜に参ります船運賃が異常な値下りをいたしているのでございます。その道の専門家に言わせれば、普通の場合の半額以下にもなつたと言われている状況でございます。そのために、日本と西独とを例にとりますと、インドがこの運賃ちようど境目でございまして、日本側からいたしますと、競争の一番激甚だと考えられる地域でございます。従いまして、立地条件、それから船運賃の異常な値下りということから考えまして、あのような輸出というものは異例に属するものじやないかというぐあいに私は考えているのでございます。そういたしますと、日本市場として一番手近かなところとして考えますと、韓国あるいは台湾、フイリピンというところを主たる輸出地として考えます場合には、運賃関係から行きますと、三ドルから四ドル程度はさらに日本側に有利に相なるのでございます。そういう状況からいたしまして、日本側主要輸出地域といたしましては、韓国フリピン台湾、こういうところを主たる輸出地域といたしまして、さらにいわゆる市場確保というような観点からいたしまして、インドあるいは。パキスタンというところに、余力と申しますか、輸出一つの足跡を順次積み上げて参りたいというのが、輸出における方針でございます。  それならば、当時の輸出価格現状においてどの程度に動いているかと申しますと、昨今の輸出引合いを見ますと、韓国台湾等、特に近いところでございますが、六十五ドルから六十七ドルという程度価格が上昇いたして来ております。これはもちろん欧州の方のいろいろの原因もありましようが、大体におきまして、この程度、あるいはこれを少し上まわるような傾向になるのではないかと私は想定いたしておりますので、化学肥料工業合理化という基本の問題、特に石炭縦坑開発計画でありますとか、あるいは電源開発——もちろん化学肥料工業自体合理化ということを逐次行うことによりまして、国際競争力は培養できるのではなかろうか。たとえば電源開発の増強ということによつて受けます化学肥料工業の利益について一言申し上げますと、現在の化学肥料工業電力関係からいたしまして非常にきゆうくつでございますので、石炭関係を主といたします石炭コークス法あるいは一般的にガス法と申しておりますが、これに七七%くらいの重点を置きまして操業をいたしております。その余が電解法でございますが、電解法の方が、技術的に申しまして、一般にコストが低いと考えられるのでございます。従いまして、今後の電源開発見通し等からいたしまして、日本肥料工業が国際的に成り立つであろうということは、これは確実に申し上げてよろしいのじやなかろうかと思うのでございます。
  15. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 私は、この肥料価格輸出に対する出血出血じやないという問題等につきまして、一応この委員会原価計算提出をしていただいて、そうしてそれを中心に、さらに一応ごの価格が妥当なのであるか、どういうふうになつているかということをわれわれも知りたいと思い事ので、委員長においてさようおとりはからいを願います。  それから農林省の方にお尋ねしますが……。
  16. 坪川信三

    坪川委員長 今農林省経済局長を呼んでおります。         ————— 肥料に関連して永井君何か……。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 局長に一、二お尋ねいたしますが、春肥は、改訂価格では最高八百八十五円ですか、それを最高として安定帯価格改訂されておるようでありますが、大体輸出すべきものは輸出して品不足になつておる。春肥需要は、ここに旺盛に起つて来ておる。こういう需給関係からいたしまして、生産者の方では、この安定帯価格最高の基準でご九を売りさばごう、こういうような動きが相当強いのでありますが、これに対して当局はどのように考え、これに対してどのように対処しようとしておるのであるか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  18. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 肥料の現在の需給見通しということに第一点はなると思いますが、今年の一月までの生産実績に関して、特に硫安について申し上げますと、昨年の八月から今年の一月まで九十九万二千トンに相なつております。この傾向計画通り二月以降実現いたしますると、今年の七月末までに百九十八万五千トンという生産を見込むことができるのでございます。ただいまのお話のように、輸出制約せられたものが逐次輸出されまして、春肥需要に対しまして、むしろ品不足になるのじやなかろうかというような御意見でございまするが、現在までの輸出の、四十万トン程度のものの月別の輸出状況というものは、逐次調べてございますが、今日までのところ、十八万トン程度輸出をいたしております。この後の輸出というものにつきましては、船を特別に考慮しなければならない。たとえば韓国につきましては、韓国の船で運ぶというようなことになつておりますので、これらの輸出というものを実際から考えますと、最盛期におきましても、供給不足というようなことは考え得られないのではなかろうかと考えております。なお先ほどの生産見通しが確実であると考えておりますので、七月末の在庫は、ただいまの輸出制約が逐次出ましたといたしましても、さらに四十万トン程度在庫が実現いたしますような情勢でございますので、需給上は心配ないものと考えておるのでございます。なお安定帯価格のどの辺で国内契約が成り立つかという点に関しましては、これは肥料業者と全購連との個々の商行為で逐次きまつて参るのではなかろうかと考えます。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 これからの生産の運び、それから在軍の状況、こういうことは、将来の問題でありますから、見通しによつていろいろ考えがかわつて来ると思いますが、大体例年の例から見まして、在庫が底をつくのは三月でございます。その在庫が底をついた三月には、もう業者の方では輸出準備態勢に入る時期である。大体輸出は五月、六月が最盛期でございます。そうすると、三月からこれを準備しなければならぬ。そういたしますと、国内需要最盛期在庫の底である。そうしてその底がちようど輸出へのスタートである。こういうようなことで、時間的にそういう問題を単に生産状況在庫状況という数字だけではなく、三月は輸出国内需要とがダブつて出て来る、そういう状況でありますから、そういうことに刺激されて、国内価格が値上げになつて行く態勢が強いのであります。安定帯価格がかりに一応最低最高価格の幅を持たしましても、その最高の線で全部動くということになれば、意味がないのでありまして、そういう点、生産国内手持ち数量と、そういう価格関係とを、政府はどういうふうに調整して行く心組みであるか、業者の側に立つて、これを最高の線に維持させるように努力するのか、消費者の農民の側に立つて、それぞれの月の段階における状況をにらみ合わせて、適正な価格に持つて行くように努力なされるか、この点を伺いたいのと、もう一つは、春肥準備に入りまして、全購連の方ではすでに硫安を手持ちしておる分が相当あると思います。この手持分に対する改訂安定帯価格の適用がなされるのであるかどうか、その点をひとつ伺つておきたいと思います。
  20. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 現在輸出引合いが相当活発にございますが、もちろんこれを幾ら出すというようなことを今回きめておりません。今後肥料対策委員会あるいは農林省との間に緊密な連絡をとりまして、決定いたす問題であります。ただいままで新しく来ております輸出引合いと申しますものは、大体五月末から六月以降というものが主でございまして、なお価格数量等の時期的な関連につきましては、農林事務当局と緊密な連絡をいたしてやるのでございます。なお現に全購連が持つております在庫につきましての価格という問題につきましては、これは全購連メーカーとが協議してきめるものと考えております。
  21. 永井勝次郎

    永井委員 協議してきめるといたしましてもそれをどういうふうに当局は勧奨するのであるか。普通の商取引関係からいえばもう取引が終つております。取引が終つておるが、しかしその取引過程においてはこれは出血輸出国内転嫁である。あるいは不当な高い価格であるから値下げをしようというようなことが政治問題となり、非常に手間取つて解決が遅れたというだけであつて、もともとその取引を正常に承認してやつたものではないのであります。すでに春肥を農家の需要に適応させなければならないわけでありますから、その取引価格の問題はあとに残しまして、一応取引をした、こういう関係にあるのであるから、普通の場合の取引とは違うのであります。その場合、すでに全購連が手持ちしておる硫安に対する価格というものは、政府がそういう政治的な取引の背景というものを考慮に入れるならば、勧奨されて、最低価格でこれを取引させるようにしなければならないと考えるのでありますが、この点について重ねて伺いたい。
  22. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 その点につきましては先ほど一応の御答弁を申し上げました通り安定帯価格によりまする価格を、さらにメーカーと全購連との間で協議してきめるというのが、商取引の筋道と考えられるのでございます。  最後の問題に関連しましても考え方は同様でございまして、私はそういう筋合いで進むべきものと考えます。ただ肥料生産価格その他の問題に関連しましては、ただいまの御質問の中にもございましたように、通産、農林は常に緊密なる連絡をいたしまして、齟齬の起らざるよう全力を尽して今日まで来ておるのであります。今後もその線に沿うて、農林省とも十分連絡いたして調整なりあるいは必要なる措置を考えるのが、適当かと考えます。
  23. 坪川信三

    坪川委員長 化学肥料に関する生悦住君の質疑は、政府委員出席があるまで暫時保留いたします。
  24. 坪川信三

    坪川委員長 次に輸出信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑に入ります。質疑通告がありますからこれを許します。高木吉之助君。
  25. 高木吉之助

    高木(吉)委員 輸出信用保険法の一部を改正する法律案につきましてお尋ねいたします。  申し上げるまでもなく、輸出信用保険も観念的には損害保険の一種でありまして、海上保険火災保険と同様、営業保険としての形式を欠くものではございませんが、ただその担保危険が、同時にまた一斉に発生する等、民間企業の負担とするには過重であるために、各国とも営利としての発達を見てないのであります。ところが最近における輸出市場獲得競争の激化に備え、輸出業者は拡大する新市場に対する信用供与について大きな危険に直面することとなつたのであります。この危険に対する不安を救済し、輸出を促進する方策として、各国政府競つて輸出信用保険制度を採用いたしまして、その国家資金をバツクとして実施したのがこの保険の発達した原因であろうと考えられるのであります。このように輸出信用保険は、主として政策的要請によりまして行われているものでありますから、国際情勢の変化に伴いまして、より熾烈となる政策目的を満足せしめるためには、制度的にもまた観念的にも拡大変形されて来るのは当然のことであります。輸出振興に依存する度合いの高い国ほど、この制度を発達せしめる必要があるのであります。わが国におきましても、この制度を発達させるべきであり、また必要性が大いにあるわけでございますが、この意味におきまして、まずこの制度が実施せられましてからの実績と申しますか、あるいは利用程度と申しますか、その概要につきまして簡単に御説明を願いたいと存じます。
  26. 松尾泰一郎

    松尾説明員 お答え申し上げます。御存じのように輸出信用保険制度、甲、乙、丙、丁それから今度新しく通過をお願いをいたします輸出手形保険、各種ありますので、一応種類別に申し上げてみます。  まず第一が、現行の甲種保険でございますが、この実績は二十七年の四月から十二月までの引受件数が五百九十一件、保険金額にいたしまして八億二千万円強になつております。若干これについて御説明を加えますと、この保険は二十五年から実施をされたのでありますが、大体月平均保険加入件数六十八件程度になつております。まず第一年度でありました二十五年度は千三百件、二十六年度が三百六十件に比較いたしますと、二十七年度になりましてやや減つてつておるような傾向もうかがわれるのであります。そこでこの原因でありますが、輸出自体が昨年の下半期以後やや不振でありますことと、それからこの甲種保険が非常危険を担保する保険であります関係上、その非常危険でありますところの海外の輸入管理体制が大体どこも整備し尽されたような現状であります関係上、若干加入率が減つてつておるのではないかというふうに考えます。なおこの保険料が若干割高ではないかという意見も業界からかなりありまして、最近幾らか引下げましたが、なお現状からいいますと、若干割高であるということはいなめない事実であります。そういうふうなことから若干この加入率が低下して参つておるのじやないかと思われるのであります。予算等の関係もございますが、ひとつ保険料率の引下げなりあるいは保険の引受方式の改善によりまして、なお一段と努力して参りたいというふうに考えて、おります。  第二に乙種保険でありますが、これは二十六年の十二月実施以来昨年の末までにおきまして、引受件数六件でありまして、金額は十一億八千三百万円程度になつております。しかしこれも最近九件ばかり、金額にしまして千二百万ドル程度の引受が近くできる見込みであります。この乙種保険はただいま申しますように引受件数が非常に少いのでありますが、これはまだ現在のところプラント輸出の実態が、外銀の決済の方法といたしまして、船積み後に延期されるものが比較的少いのではないか。従つて実績がこういう程度なのでありますが、今後はプラント輸出が非常に増加して参るにつれまして、乙種保険の加入もふえて参るだろうというふうに見ております。  第三に丙種保険でありますが、昨年の五月十五日に実施いたしましてから昨年末までに、保険引受件数二百十四件、金額にしまして三億九千八百万円になつております。これも現在おきめをいただいております保険の引受金額の予算額から見ますと、利用度はかなり低いのでありますが、先ほど甲種保険について申し述べましたように、その原因は最近の輸出の不振、それから主としてこの保険輸出金融を目的にいたした関係上、最近輸出金融が一般的に緩和しているというふうな原因が、この保険が若干振わない理由ではなかろうかと思つておりますが、なおいま一つ原因としまして、保険料負担の仕方が、輸出業者と銀行とで現在折半に相なつておるのであります。これが若干保険に加入しにくい原因ではないかと言われておるのであります。この四月からはこれを改正いたしまして、三分の二業者負担にするというふうな方向で関係省とも話を進めておるような状況であります。  なおこの丙種保険は現在ドル地域輸出だけに適用いたしておるのでありますが、最近の貿易状況にかんがみましていま少しく適用地域の範囲を拡大したいというふうに考えております。  第四に工種の保険でありますが、昨年の六月に実施いたしまして以来昨年末までの引受件数がわずか二件でありました。金額は四十六万円程度であります。この保険はドル地域向けの輸出広告にだけ限つて適用するという性格のものでありますが、今般の法律改正をお願いいたしておりますそれによりまして、地域の制限を緩和しまして、全地域に拡大いたしたいというふうに考えております。これによつてこの保険加入率はもつとふえて参るというように考えております。
  27. 高木吉之助

    高木(吉)委員 そういたしますと、今日まで相当契約数ができておりまするが、その契約数に対しまして事故の発生いたしました件数はどれだけでございますか。またその金額の概要をひとつお示しを願いたいと思います。
  28. 松尾泰一郎

    松尾説明員 今申し上げました四種類の保険を総括いたしまして申し上げますと、二十五年の甲種保険の開始以来、各種保険も含めまして昨年末までの保険金の支払いが三億六千五百万円になつております。それに対しまして収入の方は二億一千二百万円程度に相なつております。
  29. 高木吉之助

    高木(吉)委員 この保険契約の効力発生時と効力失効の時期——とういうふうな時期に効力が発生しまして、どういうふうな時期に失効になるのか、この法案を見ますと非常にわかりにくいのでありますが、具体的にわかりやすく御説明願いたいと思います。
  30. 松尾泰一郎

    松尾説明員 今の甲、乙それから丁の三種は、要するに契約の締結によりまして保険関係が発生いたしますし、丙につきましては政府と銀行との間に包括的な保険契約を締結いたしております。従いまして現実に為替銀行が業者にその保険をつけることを承認せしめた、個々の契約が成立したときに保険契約が成立する、こういうわけであります。
  31. 高木吉之助

    高木(吉)委員 失効のときは……。
  32. 松尾泰一郎

    松尾説明員 保険金支払いの時期であります。
  33. 高木吉之助

    高木(吉)委員 この輸出保険につきましては、甲、乙、丙、丁によりましてそれぞれ保険料が異なつておると思いますが、それはどうなつておりますか。また地域別につきましても、これの差を生じて参りますので、またこの保険料の料率というものに対する算定がいかなる基準によつて定められておるのでございますか、この点を御説明願いたいと思います。
  34. 松尾泰一郎

    松尾説明員 まず甲種保険から申し上げますと、現在基本の料率は三箇月の期間につきまして百円につき五十銭、こういうことになつております。なお朝鮮あるいはマカオ等の非常危険の発生の比較的多い地域に対しましては若干割増料をとつておるという状況に相なつておりますが、この料率算宗の基礎は、この甲種保険を実施いたします前の中代すなわち昭和二十年の九月、貿易がスキヤツプの指示によつて始あられましてからこの保険の開始いたします前の二十四年の六月までの統計を基礎にしまして、非常危険によつて輸出契約が履行できなかつたものが全輸出契約額の約一%を占めておるのでありますが、その一%の中で司令部のいろいろなメモよつて輸出ができなかつたものとか、あるいは二十三年でありましたか、インドがOGLを全般的に撤廃をいたしたことがありますが、このときには非常危険が集中的に大幅に起つたのであります。そういう例外的な場合、すなわち司令部のメモによつて起つた危険とか、あるいはインドのOGLの撤・廃によつて起つたとか、そういう例外的な危険を除外してみますと、非常危険の発生率が大体〇・五%に相なつておるのであります。従つてそれを基礎としまして甲種保険の最も通常な保険期間である三箇月のものにつきまして〇・五%ということになりますと、百円について五十銭ということを基本の料率にいたしたのであります。  なお乙種保険につきましては、これも基本料率は現在三箇月ものにつきまして百円につき八十銭ということで、先ほども申しました危険地域につきましては甲種保険と同様な割増保険料を付加しておるのでありますが、またこれも料率の算定の方法といたしましては戦前の輸出補償制度の中にBA手形の乙種保険料制度というものがあつたのでありますが、この戦前の保険が現在の乙、種保険とほぼ同様の保険でございますので、その戦前の保険料率が三箇月につきまして約〇・八%の料率になつておつたのであります。従つてそれを基準といたしまして三箇月のものにつきまして〇・八、すなわち百円について八十銭というふうな算定をいたしているのであります。  なお丙種保険につきましては、現在二箇月ものにつきまして、百円につき二十四銭という保険料になつております。これの算定の仕方は、今乙種保険について申しましたと同様に、昭和二十年から二十四年までの輸出実績をとりまして、丙種保険の担保は、非常危険なり、あるいは売手側の責に帰すべきものを除いた信用保険の危険の発生率が約五%に相なつておりますので、この危険の発生率五%の中に金融上最終的に貸倒れとなるものがさらに五彩と考えられるということで、最終の損失発生率五%と五%とをかけまして、〇・二五%にし、それと貿易金融の通常期間を普通の二箇月ととりまして、百円について二十四銭という保険料率をきめたのであります。  次に下種保険は現在三彩という料率に相なつておりますが、これは実は算定の基礎が、現段階においては非常にとりにくいので、イギリスがこれとほぼ同様の保険を実施いたしておりますが、それを参考にいたして三%を料率としてとつたわけであります。
  35. 高木吉之助

    高木(吉)委員 そういたしますと、今回の輸出手形保険に対しましてはどのような料率を予定しておりますか。またこれらに対しまして再保険をせられる場合がありますか。もし再保険をせられるとすると、その料率についてお伺いしたいと思います。
  36. 松尾泰一郎

    松尾説明員 今度新しく設定いたさんとします輸出手形保険でありますが、これは先ほども申しました現行の乙種保険と危険がほぼ同様と考えられますので、三箇月ものにつきまして〇・八%としたいと考えているのでありますが、これは今後の実施であります。  それから今再保のお尋ねがありましたが、再保という観念はこの法律では考えておりません。
  37. 高木吉之助

    高木(吉)委員 保険契約の第三条に「供給契約の当事者たる政令で定める貨物」云々とありますが、この「政令で定める貨物」と申しますのはどういうものを予定しておりますか、お尋ねいたします。
  38. 松尾泰一郎

    松尾説明員 俗にいうプラント類を現在この政令できめているわけであります。
  39. 高木吉之助

    高木(吉)委員 第一条の二の第一項に「技術を提供する契約」、及び「技術を提供するもの」とございますが、これは両方とも保険の対象となるのでございますか。これがなるといたしますと、これは同じに解していいものでありましようか。同時にまたこの技術の対価に対する保険金額というものはどうしておきめになるのでございますか、この点をお伺いいたします。
  40. 松尾泰一郎

    松尾説明員 今のお尋ねの第一点でございますが、「技術を提供する契約」ということと、それから第二項の「貨物を輸出するもの」及び「技術を提供するもの」というのは、一方はその対象物をいい、一方は契約者を捉えたためにこういう表現になつているのであります。要するに、技術を提供する者が被保険者になるわけであります。またその対象物件としまして、技術の提供という具体的な金額がこの保険の対象になるわけでありますが、これは御存じのように、プラント輸出をいたしました場合に、それに関連しまして、そのプラントを向うに持つて参りまして、すえつけをして、運転するまでの金額が——これも取引の条件によりますが、貨物の中に込められている場合、あるいはそれが別の計算になつている場合等いろいろあるわけであります。もしかりにプラントそのものと、それからそれに関連する技術の提供というものが別々であつた場合におきましても、それらを合せまして保険の対象にしたわけであります。商取引におきましては、非常に抽象的な技術の提供ではありますけれども、それを金額として幾らで請合うということができるわけであります。その請合い額がこの保険契約の対象になるわけであります。
  41. 高木吉之助

    高木(吉)委員 そういたしますと、その技術者の俸給とか、あるいは特殊技能を持つておりますそれらの方々というものを一応金額をもつて表わすことになるわけでありますか。
  42. 松尾泰一郎

    松尾説明員 現実にどういうふうな契約がされるかによつて内容も若干違つては参ります。もちろん観念的にはその技術者の俸給等も入つて来るわけでありますが、契約の普通の内容としましては、技術料とか、あるいは特許の譲渡額が主たる対象になるのではないかというふうに考えているわけであります。
  43. 高木吉之助

    高木(吉)委員 輸出代金回収保険におきまして、「本邦外において生じた事由であつて輸出契約の当事者の責に帰することができないもの」とございますが、この実際的な例について御説明願いたい。
  44. 松尾泰一郎

    松尾説明員 いわゆる向うのストライキというふうなものがその実例ではなかろうかと思います。
  45. 高木吉之助

    高木(吉)委員 今日までにこういうふうな例がございましたか、その点お伺いいたします。
  46. 松尾泰一郎

    松尾説明員 乙種保険については、今のところはまだ例がないのですが、甲種保険については若干例が出て参つております。
  47. 高木吉之助

    高木(吉)委員 輸出手形保険につきまして、信用状なしの輸出取引についても保険制度を拡大するということは、従来の各種の輸出保険に比しまして最も危険の伴うことが多いと考えるのであります。これがために、限られた予算の範囲におきまして、むしろ信用状に基きます正規の輸出取引保険契約分野を著しく阻害するという結果になりはしないかと考えるのでありますが、この点につきましては、政府はどういうぐあいに考えになつておりますか。
  48. 松尾泰一郎

    松尾説明員 今回の輸出手形保険は、今の輸出為替管理の体系からいいまして、標準外の許可制度下にあるわけでありまして、貿易が正常化するに従つて、信用状を伴わない、いわゆるBB手形とか、BA手形というものが今だんだん復旧いたして参るであろう。従つてそういう場合を対象としまして今度新しく保険を設定しよう、こういうわけであります。しかしながら、全面的にBBなりBA方式をここで採用するのも、いろいろ競争関係がありまして、ケース・バイ・ケースで愼重に考慮を要するのではないかと考えておるのであります。従いまして、今考えておりますところからいいますと、既存の保険とは別段そう抵触はして参らぬというふうに考えております。今後この保険が拡大することによりまして、標準外の決済でありますBBあるいはBA方式が拡大をして参るということになれば、それは輸出貿易としては非常に望ましいかつこうでありまするので、若干輸出手形保険の方が栄えるようなことになつて、他の保険に若干の影響がもしかりにあつたとしても、さほど心配する必要もなかろうかというふうに考えております。
  49. 高木吉之助

    高木(吉)委員 通産当局にちよつとお願いしたいのでありますが、政府は盛んに輸出の振興を叫んでおりますが、その反面、海外におきましては輸入制限を非常にやつておる。そこでいかなる国がいかなる品目に対して輸入制限をやつておるかということにつきましての資料を提出していただきたいと思います。  なお大臣がお越しになつておりますのでちよつとお尋ねいたしますが、大邦丸事件に関しまして、日韓両国の貿易に相当な影響があるというようなことが新聞紙上に出ておりますが、これはどの程度のものであるか、お伺いいたしたい。  なおまた通産省におきましては、のりに対する輸入のドルの割当を禁止するというようなことを仄聞するのでありますが、これは事実でありますか。この二点につきまして大臣の御答弁を承りたいと思います。
  50. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは高木さんも御承知のごとく、外交上の問題でありまして、ただいまのところ、私の方からどういう影響があるということを申し上げるのは、ちよつとその時期でないように存じます。  なおのりの問題につきましては、実は大体朝鮮にはこちらが輸出超過になつておりまして、向うから来るものとしては、のり等の海産物が主でありましてもつともくず鉄等はございますが、あまり来るものはございませんので、そんなことが問題になつておりますが、ただいまのところまだ減すとか中止するというふうな考えにはなつておりません。
  51. 高木吉之助

    高木(吉)委員 これで質問を終ります。     —————————————
  52. 坪川信三

    坪川委員長 次に武器等製造法案を議題といたし、質疑を続行いたします。質疑通告がありますから、これを許します。永井勝次郎君。
  53. 永井勝次郎

    永井委員 保安庁の政務次官にお尋ねいたしますが、保安隊における現在の装備の状況、及び新聞によりますと、この二月、三月以降において保安庁から兵器の発注が相当に出るであろうと報せられておりますが、その内容等を詳しく伺いたい。
  54. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 お答えいたします。お尋ねになりました保安隊——おそらくまた警備隊のこともだろうと御推察申し上げるのでありますが、装備の内容を詳細に報告しろというお話でありますが、答弁となりますかどうか存じませんが、ごく概略的に申しますと、装備といたしましての武器と申しますか、兵器と申しますか、その部面の関係を申し上げますと、自動拳銃、機銃、短機関銃、小銃、自動小銃、軽機関銃重機関銃、二・三六インチ、三・五インチ・ロケツト弾発射筒、六十ミリ及び、八十一ミリ迫撃砲、百五ミリ榴弾砲、百五十五ミリ榴弾砲、それから昔の戦車と申すべきものだと存じますが、特車、大体兵器といたしましては、こういう種類のものを持つているわけであります。この持つております数量その他につきましては、もし委員会において御請求がございますれば、適当な機会に御報告申し上げたいと思いますが、名称を申し上げますれば、以上の状態でございます。  それから次にお尋ねになりました、三月ごろに保安庁関係から、兵器といいますか、武器といいますか、その他の装備品といいますか、そういうものを発注するようだが、その明細を報告しろ、こういうお話のようでございますが、御承知のように、保安庁で現在使用いたしております武群は、全部アメリカ軍から現実の使用を許されているといいますか、貸与してもらつているのであります。また兵器を使用するにあたりましての消耗品といいますか、演習弾その他は、アメリカ軍から実はもらつて使つているようなわけでありまして保安庁から発注をいたすと予想せられるものは、主として車両関係と通信機関係のものがある予定でございます。なお概略の数は、装備局長も来ておりますので、後ほど本日持合せの資料によりまして御答弁させていただきたいと思います。
  55. 永井勝次郎

    永井委員 いずれ現在の装備の状況、兵器の状況、二十七年度における補充分、二十八年度におけるこれらの武器の大体の補充数量、及び直接保安庁で発注する分についての車両、通信機、そういう関係のものにおきましてもどれくらいのものを発注する予定であるかということを、資料をもつてひとつこちらの方にお出しを願うよう委員長からおとりはからいを願いたいとと思います。これらの車両、通信機というようなものの発注は、どういう形で、金額はどのくらいか、これを承りたいと思います。
  56. 中村卓

    中村(卓)政府委員 車両関係は、ジープとか四分の三トンのトラツク、二トン半トラツク、そういうのが大体中心でございます。なお六トン車、四トン車、こういうものもございます。これをひつぱるトレーラーというようなものもございまいまして、最近になつて発注する予定のものが約百億近くございます。それから通信機につきましては、車載の無線機、中継用の器具、そういうものが中心でございまして、大体十数億、若干仕様書その他の関係で研究が遅れておりまして、来年度に計画が延びるものもございますが、通信機械はその程度でございます。二十八年度分は大体数量関係で、リプレースと申しまして、耐用年数が来るまでに毎年々々少しずつ溜めて行こうというものと、消耗が非常にはげしくございまして、ある程度ストツクを持つていなければならぬというものを合計いたしまして、約九十億ばかり計上いたしてございます。  保安隊の関係はその程度でありますが、警備隊の関係は船舶の関係がございます。これは約百三十億ございます。新造船舶全部の中身は、大体大型警備船手六百トン級が二はい、中型の警備船千トン級が三ばい、小型の警備船といたしまして四十トンないし六十トン級が六ぱい。それから補給工作船といたしまして千トン級が一ぱい。そのほかに掃海船の大型六百トン級が二はい、小型の三百トン級が四はい、これだけを一応計画いたしております。予算金額は百三十一億でございます。航空機関係は、大体普通の峰飛行機が保安隊に、五十機、警備隊に五十機。一機当り千五百万円で、合計七億五千万円ずつ、合計十五億となつております。それからヘリコプターの関係は、保安隊の関係が十二機で、金額は六億くらいであります。
  57. 永井勝次郎

    永井委員 これらのうち国内向け発注分と海外発注分との大体の区分がわかりましたら、大よその数字でよろしいから示していただきたい。
  58. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 お答えいたします。車両関係はほとんで国内発注できると思つておりますが、先ほど装備局長が申し上げました飛行機につきましては、目下関係省と十二分に打合せいたしておりまして、いまだに国内発注するか外注するかということは最後的な決定はいたしておりませんが、できるだけ国内航空の製造事業の発達という面をもあわせ考えまして、今慎重に関係各省と交渉をいたしておるような次第でございます。また先ほど申し上げました警備艇の建造につきましては、エンジン関係あるいは通信機その他の関係は、あるいは外注としなければならないかとも存じまするが、船体関係はもちろん国内造船所において十二分に製造能力もございますしまた技術も決してアメリカに劣つてないということも考え合せます。と、警備船関係は、主として国内製造に期待することができるのではないか、かように実は考えておる次第であります。
  59. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、現在アメリカから貸与を受けている武器についての修理加工というのは、これもアメリカから全部おしきせになるのか、こちらで自主的に修理加工をやるのか。その関係について、もしもこちらでやるとすればその金額は、どのくらいになるか、これを伺いたいと思います。
  60. 中村卓

    中村(卓)政府委員 お答え申し上げます。大体大修理は米軍にお願いしてございます。それから小修理につきましてはこちらでやることになつております。が、それも部分品は向うからただでいただいてそれを使つてとりかえをやるという形でいたしております。
  61. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、ただいまの保安庁関係説明を承りますと、外注分はまだわからないといたしましても、国内発注分も相当の金額に上るようであります。小笠原通産大臣にお尋ねいたすのでありますが、先般私が大臣にお尋ねいたしましたときに、今後の武器製造は輸出産業として平和的性格においてこれをやるのか、防衛態勢強化の一環としての軍事的性格においてこれをやるのかというお尋ねに対しまして、九九%まで外国からの注文であつて輸出産業としての平和的性格においてこれをやつて行くのである、こういう御答弁であつたわけであります。ところがただいま保安庁関係説明を聞きましても、これらの装備関係について、第一年次としても、二十七年度の残り予算といたしましても、もう何百億という発注が予定されており、さらに二十八年度の予算におきましても相当金額が予定されるとするならば、九九%が輸出産業であるというわけには参らないのではないか。やはり国内における防衛態勢強化の一環としての軍事的性格が漸次濃化される態勢においてこれが進められるのではないか。この点についての大臣の所見を伺いたいと思います。
  62. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私が申し述べておりますのは、武器等製造法でいう武器でございまして、ただいまの車両とかいろいろなものは、これは武器製造法でいう武器ではございません。従いまして武器製造法で申しまする武器は、現在のところは九九%が駐留軍の注文である。こういうことを申しておるのでありまして、今仰せになつておる船とか飛行機とか、あるいはまた車両、こういうものはこの武器製造法にいう武器ではございません。この点は誤解のないようにお願いいたします。
  63. 永井勝次郎

    永井委員 武器製造法は現在では非常に旧式な古典的なものでありましてこれが武器の全部でないことはもちろん大臣も御承知の通りであります。こんなものは武器の部類にも何にも入らない。野蛮人が持つたつて、こんなものは武器にならないという内容のものであることは御承知の通りであります。そういうものを中心にしまして、漸次これが条文を改正すれば、車両だつて飛行機だつて、何が戦略物資であるかという限界はなかなかむずかしいということは、古今の討議においてもいろいろ論議されたようでありまして、武器等製造法において取締らなければならぬ限界に入る武器の状況というものは、今後いろいろ発展すべき性質のものである。外国から注文が来ればこれらについてさらに拡大しなければならないわけであろうと思うのでありますが、大臣は武器等製造については、現在提出してある法案の限界に固定して、それ以上は発展しないい、修正しない、こういうお考えであるのか、これを承りたいと思います。
  64. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいまのところは、今武器製造法にお願いしておる分に限るのでありますが、しかし将来、先へ行きましてまたあらためて、御相談することがあれば、これから法律案を出しましてこれをお願いすることでございまして、私どもただいまはさようなことは考えておりません。
  65. 永井勝次郎

    永井委員 現在アメリカの管理工場になつている分が相当にあろうと思うのでありますが、このアメリカの軍管理工場は日本との関係においてどういう関係にあるか。
  66. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 接収されてそのままおると私は記憶いたしておりますが、もし行政協定できまつておること以外にかわつたことがありますれば、あらためて御報告申し上げます。
  67. 永井勝次郎

    永井委員 行政協定できまつておる軍管理工場が所有権はどうなつておるのか、それからその軍管理工場において製造するいろいろな、たとえば原料の関係、労働賃金の関係、そういつた価格関係、こういうものが日本の経済に相当大きな影響を持つて来ると思うのでございますが、そういう関係はどういう実情になつておるかお伺いしたい。
  68. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいまのところはこれを貸しておるだけでございまして、全部向うでやつておるのであります。日本の方でどうこうということは関係いたしておりません。ただ国有でございまして、国有のものを向うにあの協定に基いて貸しておるというだけでございます。
  69. 永井勝次郎

    永井委員 民間工場もあるのではありませんか。
  70. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 若干民間工場もあります。
  71. 永井勝次郎

    永井委員 民間工場は所有権と管理権とどういう関係になつておりますか。
  72. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私の記憶しておるところでは、これは所有権ははつきりとまだ民間工場のものであります。なお貸与料は申し受けておると存じております。
  73. 永井勝次郎

    永井委員 これらの管理工場におけるところの生産方式は、承るところによると、タイム・アンド・マテリアル方式によつてつておる。そうしますと、これらの方式が日本に発注する場合の一つのケースになり、一つのデータになつて、これを基準にしていろいろな発注価格というものが予定されて来るのではないか、こういう管理工場に対するこれらの内容について、また日本経済に及ぼす影響がきわめて重要でありますから、これらの問題についての、たとえば小松の川崎工場の場合どういうふうになつておるものか、相模工場の場合どういうふうになつておるものか、具体的にひとつ内容を説明していただきたいとともに、それらの工場におけるところの原価計算方式、それから政府考えておるところの原価計算方式、それらを具体的に承りたい。
  74. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 政府委員より答弁せしめます。
  75. 葦沢大義

    葦沢政府委員 お尋ねの具体的な内容につきましてはただいま手元に持つておりませんので、いずれ取調べの上お答え申し上げたいと思いますが、ただ大臣からもお話のありましたように、工場の管理は向う側がいたしておりまするので、具体的にその原価方式というものがわれわれの方で明瞭にわかるかどうか、調べては見ますけれども、わかる範囲で申し上げたい、こういうふうに思つております。
  76. 永井勝次郎

    永井委員 これらの管理工場及び向うの発注の契約において、行政協定その他でとりきめられたそれらの内容の中において、価格改訂条項というのがある。あるいは契約再商議法が適用されておるということでありますが、この価格改訂条項及び契約再商議法、これらの問題はどういうふうに取扱い、これが実際にどういうふうに適用されておるのか承りたい。
  77. 葦沢大義

    葦沢政府委員 お尋ねの点につきましては、実は所管がわれわれのところにありませんので、具体的に現在資料を持つておりません。
  78. 永井勝次郎

    永井委員 所管はどこですか。
  79. 葦沢大義

    葦沢政府委員 外務省国際協力局かと思います。
  80. 永井勝次郎

    永井委員 調べたところによると、価格改訂条項によると、利潤は八%に押えている。そして利子はコストの計算に入れない。そうして利潤が超過利潤になると、この超過利潤は削る。非常に価格が変動した場合、下げる方は二〇%も三〇%も下げるが、上げる場合は大体三%で食いとめている。こういうような非常に一方的な価格改訂方式がとられているようであります。所管が外務省にあつて通産省にないといたしましても、少くも武器の製造というような、しかも出血受注というような、重大な国策の上における民族の犠牲が今日問題になつている場合において、これらの問題がその関連において一分に考慮されない。自分の所管だけでよしのずいから天井をのぞいているというようなことで、経済全体の一つの計画なり、あるいはその動きなりというものに対してもつとまじめにやらなかつたならば、こういう問題を考慮の内容として行かなかつたならば、問題の解決はできないのではないかと思うのでありますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  81. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもは現在のところはさような権限は持つておりませんが、お話の点はごもつとものように考えられますし、武器等製造法が通りましたら、はつきりとつかめようと思います。
  82. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して……。今わが党の永井委員から指摘した問題が、いわゆる伝えられる出血受注の本質なのであります。そ意味でわれわれの手元にあります資料から見まして、最近のいわゆる新特需というものは、平均して三割の出血、ひどいのになりますと、五割出血というようなことで、たとい大臣が言われるように、輸出産業として武器製造工業というものを全体として扱つて行くという方向をおとりのようでありますが、その観点から見ても、こういう明らかにコストを割つているような受注関係については、もし行政協定にある価格協定が災いしておるということになりますならば、この前総理大臣も近く行政協定の改訂の時期に来ているのであるということを申されているのでありますから、抜本的な対策を講じなければならないと思いますが、この点に対する通産大臣の御用品はどうか、お伺いしたいと思います
  83. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 実は出血々々とよく言われますが、実際にどの程度出血しているかということは、実情を把握できません。私どももいろいろ聞いてみましたが、各工場によつて生産費が違いますし、それでどの程度出血かということは、たとえて申しますと、私が大阪へ行つたときは、現在の注文で一割の利益しかとれぬのは非常に少な過ぎるから、もつとよけいとれるように交渉してくれないかというようなことを大阪の商工会議所ではつきりと質問された方がありますが、そのすぐそばで、私どもは出血しておるのだ、あなたの出血程度はといつたら、あまりはつきりしない。出血々々と言うが、どの程度かということは、実ははつきりわからない。ですけれども、お話のごとくわれわれ日本民族にとつてこれは重大な問題でありまするので、今後そういうことがよく把握ができましたならば、その実情に基いて、向うは何も日本出血させることが目的ではないと思います。そういう無用の競争をしておる、これは濫立しておるからそういうことになるのではないかと思いまするので、その意味からも、私どもは濫立防止の点から武器等製造法の一日も早い通過を切望いたしておる次第でございます。
  84. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大臣はその出血受注の実体はつかめないというのですが、そこに葦沢局長がおられてはなはだ恐縮でありますが、やはりわれわれが手に入れた資料というのは通産省でわれわれに見せていただいた資料なんです。従つてそれによりますると、平均して三割の出血受注。私はそういう関係は所管の通産相として持つておられないはずはないので、現にわれわれが見せていただいておる資料をもし大臣がごらんにならないとすれば、午後お見せしてもいいわけなんです。問題はやはりアメリカが日本のいわゆる兵器産業というものを育成する考え方があるか、あるいはコマーシヤル・ベースの上に乗つて、朝鮮の第一線の担当官が、たたくだけたたいて行くというような実情は、もう少し通商産業大臣は勉強していただきたいと思うのでありますが、確かにわれわれの手元に持つておる資料によりますると、これはもう明らかに平均三割の出血という数字が出ておるのです。私はもう少しこの点については、行政協定の根本の価格協定の問題に触れる問題でもあろうと思いますので、ひとつ私は関連で申し上げておるのでありまするから、実情をお取調べの上、明確な大臣の御方針を出していただきたいと思います。
  85. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今、うしろを向いて葦沢局長に確かめましたが、さような調査はないということでございまして、どこで御入手になりましたか、実はさような取調べは通産省の中にはないそうでございます。従いまして、私どももまだ報告に接しておりませんが、しかしお話のごとく出血は最も望ましくないことでございまするので、こういう点につきましては、この武器等製造法によつて濫立、無用な競争等をぜひ避けさせたい、かように考えておる次第でございます。
  86. 永井勝次郎

    永井委員 今大臣は、出血であるか出血でないかということで問題になつたようでありますが、こういうことは、肥料の問題でもあらゆる場合に、何が適正かという基準が現在はつきりしていないというのが問題になるのです。たとえば武器の製造の場合でも、現実に現在三割の出血であつても、それが今出血であつても、この次の注文のときにこれを取返すというプラス・アルフアーを見込んで、実はずつと遠い目で見るならば、プールして考えるならば、これは出血にならないのだというものの価値判断もありましようし、あるいは料金が安ければそれだけ賃金を切り下げて、賃金で価格を調整して行くという、奴隷的な労働賃金によつてこれに対応する、その限度において出血ではない、こういうような価値判断の仕方もありましようし、問題は何が適正で何が適正でないかという基準をどこに置くかという、この基準が正当であるかどうかという問題であろうと考えるわけであります。そういう意味において、この武器等製造法においても、どのくらいの価格契約をしたのか、それを届け出させる。届け出して、不当なるものに対してはこれを戒告するというような規定があるのでありますが、ただいまお話のように、何が出血であるか出血でないかという基準がはつきりしない。漫然と、その内容にわたつて経理の内容も調べない、また当局においてもその何が適正であるかという基準も持たない、そうしておいて戒告をするとかあるいはどうとかというような第二次行動というものは、どこの基準によつて、何の価値判断においてそういうことをやるのであるか。ただいま大臣は、出血輸出か何かほんとうはわからないのだという、わからないままに一つの目見当で、腰だめでこういう法律を現在こしらえて、これで運用して行くというお考えなのか、ちようど問題になりましたから、その点をひとつ伺つておきます。
  87. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 現在のところは、今申し上げたようにわかりませんが、しかし私どもが法的根拠を持つて届出制をとらせますれば、すぐわかることになります。従いましてそのときに、はたしてこれが公正か適正かということは、すぐわかることになるのでありまして、この法に基いて初めて私どもが法的根拠を持つて、実情を届け出させ、取調べることができるのであります。従いまして、そのときに適正でなければ、こういう出血受注をしてはいかんではないかといつて戒告し得るのでありまして、現在のところはまつたく自由なんで、何もないのです。法的根拠がないからそういうことになつておる。
  88. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 ちよつと関連して……。通産大臣お話を聞いておりますと、まるつきり出血受注であるかないかわからない。およそ時代離れをした、ほんとうにこの武器製造だけでなくて、輸出全体をながめましても、先ほども肥料の問題でもやはり同じことが取扱われて、ほとんど出血受注であるということは、どんなしろうとがながめてもわかるはずであるのに、所管の通産大臣がこれを、それはほんとうか、この間も大阪へ行つたら、大阪の人たちが一割もうけさしてもらう——私はそんなはかげた話は信ずることができない。およそいやしくも所管大臣が、それを聞いて率直にそうだと考えるようなことはあり得ないことじやないか。私は原価計算提出せしめることのできる、所管である通産省が、なぜこうしたような問題がやかましく喧伝されるのに、挟手傍観しているか。これは何としてでも出血受注であるかどうかということの本体を見きわめること、そういうことをすることが通産省の仕事じやないか。国民経済に及ぼす影響等について十分これを考慮する。そうしてそうでないように持つて行くためにはどうするか、ここに一つの例として、武器等製造法のようなもので、あらゆることをこういうものによつて把握するというような方向に進まなくちやならない、その一歩であるとこうおつしやる。まことにこれはけつこうなことではありますが、かりに鉄鋼の問題にしましても、その他の問題にしましても、全般にやはり出血受注をやつている。それを全然ほおかむりで、知らない知らない、そんなことはあるかないか知らない。そんな無責任な話は私は断じてないと思います。もう少し原価計算提出させて、そうしてこれが妥当か妥当でないか、鋭い批判をし、鋭いメスを入れることが、通産省としてのほんとうの行き方であろうと私は思います。
  89. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 御指摘のような点も、まことに御同感の点がありますが、但し今のところは、私どもは原価計算を出せという法的根拠が何もない。またかりにそれがうそであつても、事実でなくても、これをどうこうする——これは事実じやないじやないかという何はありません。そこで現在のところは、私が見ると、いわゆる出血というのは実際の注文したのと予定価格との間に開きがあるということが出血といわれているのじやないか。もし現実に出血であるならば、それはどうもよくわからぬ。この点をあなた方の方でどういうふうにしてお確かめになつているか私はわかりませんが、私どもの方では、法的根拠をもつて原価計算が出せないのですから、実はわかりかねておる。しかしこのことは日本民族にとつて決して喜ぶべきことでないから、将来は武器等製造法を出して、これを早く届出をさせて、私どもの方が原価計算の認定ができて、それではこういう注文は出血受注になるから避けたらよかろうというふうにいたしたい、こういう点から、この法律案をお願いしておる次第であります。
  90. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 同じことを何べんも聞くわけですが、これは非常に変な話だと思います。実際においてわれわれが見ておりますのは出血なんです。これが出血であるか出血でないか見きわめる尺度がないとおつしやいますが、それは実際において物価統制令等が生きておる。出さそうと思えば出させられる。これは政府としての権限においてやらせる。それを親切に見守つてやるのが、通産省、通産大臣としての当然の行き方でないか、それを右顧左べんするということは、私は責任のがれだと思う。もう少しはつきりしてもらいたい。
  91. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私はさように考えておりません。
  92. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 関連して。ただいま出血であるとかないとかいうことが論議の対象になつておるようでございますが、実は私はこういう問題が出来するといけないというので、将来こういう注文が外国の立場において行われるのか、ないしは日本が自主的にこれを発注することがありやいなやということを先般質問いたしました場合に、それはわからない、言えないということでございました。そこでわからない、言えないということは、はたして業者に対しても同じことかと思つて、私は郷里へ帰りました。小笠原大臣も商工会会議所の方々とお会いになるという予定を承りましたが、私もその前に行きまして、その方々に聞いてみました。そうすると、やつぱり同じことで、将来の発注はわからぬ、こう言う。設備資金について私がお尋ねいたしました折に、これは政府の援助ではなくして融資の援助をするだけであつて、自己調達であるというお話でありました。自己調達で設備をして、将来の発注がどれだけ行われるかわからぬということになりますと、工場設備の減価償却というものを原価の中にどの程度算入することができるか、できない結果になつて来る。そこで業者の方々は設備の減価償却は考えない。とにかくもう糸へんには困つておる、食えないから、こういう注文が来たら何でもいいから飛びつくんだ、これが業者の声であることを大臣さん御自身御承知だと思う。糸へんでは何ともならぬ。そこでわらをもつかまんとしてこつちにつかまろうとしたら、そつちも何だかわからぬので、減価償却は考えずに、自分のところの株価が下らずばいいわ、銀行から次の融資がもらえればいいわという気持でやられたら、これは商売が成り立たないじやないか、そろばんがはじけないじやないか。だからこそ出血ということが心配され、こういう結果が生じて来るわけです。その点を出血というのでございまして、大臣さんにごの将来性をぜひ承りたいと思うわけです。
  93. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今実情のお話がありましたが、私もさようなところもあろうかと実は存じます。しかし私どもはできるだけそういうことを避けたい。武器だけで現在二千万ドルくらいは年々受注がありますので、この武器等製造法により、これを少しでも日本の産業の利益になるようにしたい。今のような出血受注は、お互いの無用な競争と設備の濫立から来ておるんだから、この設備の濫立を取締り、実情をよく把握して、そうして届出をしてもらつて、あなたの方はこうじやないかということを申し上げ、こういうことを防止したいということが今度この法案を出しておる根本趣旨です。それで私どもは実は向うが継続的に何ぼ注文して来るか知りたいのでありますが、来年も引続いて注文するという計画的な注文はございません。ありませんが、今おります兵隊の数から見て、これが引続くものとすれば、大よそこれくらいの注文が出るものという推定はできます。実は昨年よりも本年は注文がちよつとふえております。そういう点から見まして、また私どもは過日から申し上げておるのですが、向うといろいろ話合つたところから見ますと、来年もそう減りはしない。しかしこれがいつまでも続いて行くとは考えておりません。これは少し私の言葉が悪いかもしれませんが、こちらの誠意が向うによくわかりますれば、ますます注文がよけい来るじやないか、私はこういうふうに考えております。従つてできるだけよい品物を納期に間違いないように納めて、そうしてだんだんと向こうの注文をふやして行くようにしたい。しかし受注が出血ではますますお互いに迷惑な話ですから、出血にならぬようにぜひ持つて行きたい。それで実は武器等製造法を一日も早く御可決願いたい、かように考えておる次第であります。
  94. 坪川信三

    坪川委員長 田中君。
  95. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちようど保安庁の政務次官が見えておるので、一、二点伺いたいのですが、二十七年度の保安庁関係の予算の残りの中から年度末までに、多分これは装備の関係で発注が出るだろうと思うが、二百数十億の発注が出るということがこの委員会で一般的な説明の中であつたと思うのですが、大体その数字はどういう種類のものに発注をされる予定でありますか。  それからその二百数十億というのは、従来の警察予備隊関係の予算の残でありますか、それとも安全保障諸費関係の予算の中から保安庁関係の装備の方に向けられるのでありますか。目下審議中の予算ともきわめて関連性がありますので、一応伺つておきたいと思います。
  96. 中村卓

    中村(卓)政府委員 私から政務次官にかわつて簡単に御説明申し上げます。御質問の点は安全保障諸費の関係はございません。本来年度当初に警察予備隊経費として計上した関係だけでございます。器材費等の関係を申し上げますと、去年からの繰越しと合計いたしまして、物件費の関係で大体三百九十億、そのうち約四十五億くらいは年度内に契約ができないだろうと考えられるのであります。最近になつて、この二月、三月に二百億前後のものが一応契約をするようになつておりますが、これの中身は、大体車両関係、通信関係、施設資材の関係、そういうものが中心でございます。
  97. 田中織之進

    ○田中(織)委員 保安庁関係の固有の予算の三百九十億ばかりの中で、約五十億ばかりのものは発注はできないだろうが、それ以外のものは出るということになりますと、三百数十億になるので、私が申し上げた数字よりも多くなるわけであります。われわれが今日まで聞いておる関係から見ますと、保安庁の関係でそんなに金が余つておるように聞いておらないのでありますが、もう少し数字の点を明確にしていただきたいと思うのです。  それから同時に、この発注関係において、年度末にこういう関係のものをどんどんと、通産関係事情とも関連なしに計画して、この金を使つてしまうというやり方は、これはやはり国民全体の立場から見て、考えてもらわなければならぬ点があると思う。この発注の問題については通産省と保安庁との間において当然連絡があると思うのですが、そういう連絡をとつておるかどうかということを、これは通産省の方からお答えを願いたい。
  98. 中村卓

    中村(卓)政府委員 それでは詳しく申し上げます。器材費等物件費が二百八十七億、昨年度からの繰越百七億、合計いたしまして三百九十四億というのが予算の計画でございます。これに対しまして一月三十一日現在で契約が終りましたのが百五十億ございます。従つて支出負担行為が同じく一月三十一日現在で未済になつておりますものが、二百四十億ということになります。この二百四十億のうち、年度内に契約ができないものが四十六億くらいという数字に相なつております。
  99. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 それから御質問の第二点の、年度末に差迫つて約二百億近くの大量発注をするということは、生産計画の面からいつて、また予算消化の面からいつて、その他の面において不都合ではないか、大体こういうような御質問ではないか、かように考えるのでありますが、御承知のように、保安庁関係の車両にいたしましても、通信機の関係にいたしましても、初め使用いたしておりましたものは、大体アメリカ式の車両及び通信機を使用いたしておつたのであります。これをできるだけ内地製品に切りかえまして、そしてどんどんこの車両関係も補充して行きたい、こういうことで、新たにメーカーをして設計させるというような、物品の調達上のいろいろな手続関係が渋滞したといいますか、製造技術上遅れていた、こういうような大きな原因があるのでありまして、たまたまそういう事務上の客観的理由に基きまして、ずつと年末にしわ寄せされた、こういうことでありまして、決して、故意と言つては言葉が強いのでありますが、作為的にここへ行つた、こういうことではございません。ことに承認いただきました予算を器材関係で四十数億支出未済で済ませるということ自体も、実は私たちはなはだ不満足に思うのでありますが、これも仕様書の関係、規格の関係でいかんともしがたい、こういうような事情で、物品調達上万やむを得ず四十数億の金を翌年度へ繰越して、継続使用の御承認を経なければ、いわゆる私たちが期待いたしております近代式の装備といいますか、車両ができない、こういう実情でありますことを御了察をお願いいたしたいのでございます。
  100. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私の方では二百三十八億という数字を持つておるのであります。それと先ほどの装備局長の数字とはほぼ一致いたすのでありますが、警察予備隊ができてからの予算の使い方等をだんだんと見ておりますると、年度を継続して行く関係が、昔の臨時軍事費を思わせる。私はそういう形の——これはたまたま保安庁の関係の予算が、前年度よりも三百億近くふえておるところに問題点があるわけでありますけれども、そういたしますると、契約するというと、前渡金か何かの形で金を支出するのですか、それとも契約さえしていれば、いわゆる年度内の使用という形で、次年度に実際に支出をされても、二十七年度の関係のものとして処理される方針でありますかどうか。また私がお伺いをした生産設備等の点から見て、通産省との間には何らか話合いが行われておるのでありますかどうか、その点を重ねて伺つておきたいと思います。
  101. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 この発注にあたつての通産省との打合せの関係でございますが、車両関係につきましては、十二分に通産省と打合せをいたしまして、一応計画を立てておるのでございます。  それから今田中委員から、臨時軍事費的性格を持つておるのではないか、こういうお話のようでございますが、この予算を国会において御承認をいただきまする場合にも、またこの予算を編成する場合におきましても、二十八年度において、二トン・トラツクを何両、ハーフ・トラツクを何両、ジープを何両ということを明細に書きまして、御承認を経て、この予算内訳の実行を年度別にやつておるようなわけでございます。さように品名をあげましたが、実際これを製造発注いたしますにあたつての仕様、規格というものが、日本にございません。また日本メーカーをしてこれを新たにつくらせる、こういうような関係で、実は調達事務が遅れておる、こういうことでございます。  それから前渡金の問題でございますが、これは目下関係者と打合せをいたしておりまして、一般官庁調達物品と同じように、一定の金額の契約以上のものは、契約の何分の一でございますか、前渡金を渡すような手続を関係省において御承認していただくようにいたしておるわけであります。なお繰越しの問題につきましては、予算総則に大体認められておるようなわけであります。
  102. 坪川信三

    坪川委員長 本案に関する質疑は、明日これを続行いたし、農林省の小倉経済局長が見えられましたので、先ほど留保いたしました、化学肥料に関する生性住君の質疑を続行いたします。
  103. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 農林省にお尋ねしますが、農林省が一箇年に必要とされる硫安の量をまずお聞きしたいと思います。
  104. 小倉武一

    ○小倉政府委員 硫安の消費量でございますか——これにつきましては、私ども大体窒素質肥料全体といたしまして二百万トン程度、そのうち硫安は百五十万程度、こういうふうに考えております。
  105. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 百五十万程度硫安でもつて日本の農業が必要とする硫安需要を完全に充足することができるかどうか、私は百五十万トンをもつてしては足りないんじやないか、かように思いますので、重ねてお聞きします。
  106. 小倉武一

    ○小倉政府委員 硫安だけで申しますと、なかなかむずかしいのでありますけれども、実績で見ますというと、一昨肥料年度におきましては、出荷の関係から見ますと、二百二十万トン程度、昨肥料年度は百九十六万程度だつたのでありますが、そういう点から見まして本年度は二百万程度で押えていいのではないか、もちろんこれは価格の問題、あるいは農産物の価格の問題もございますが、いろいろ経済情勢の変動ということももちろんございますので、需給の推算を立てます場合には、そういうことは十分考慮しなければならないと思います。従いまして、百五十万トンというのは、文字通り推算でございまして、そこで消費を押える意味合いでももちろんございませんし、あるいはまた残つたものは全部輸出できるかどうかということになりますと、また若干問題があるのであります。かように考えております。
  107. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 私がお尋ねしようと思いますことは、日本の農業政策が現在の状態で足踏みするなら、これでもけつこうだろうと思います。しかし多肥料多収穫でなければならない日本現状、さらにまた相当開拓もしなければならないような現状から考えて、二百万トン以上は当然必要じやないか。今日出血受注をあえてしておる。これが日本の農業に及ぼす影響は非常に大きなものじやなかろうかと思います。それで私ども日本の農業の正しいあり方について再認識しなければならないと思います。それでイギリスの例をとりますと、イギリスは終戦この方七年になりますが、ちようど日本と同じように、イギリス本土は土地が狭隘である。五千万もの人間が、ほんとうにひしめき合つて暮しておる。戦勝国であつたイギリスが耐乏生活を続けて、そうして輸出々々、飢餓輸出と、今日本考えておりますように、輸出優先でもつて、何でもかんでも輸出を敢行した。そして夜を日についでイギリスは七年この方輸出産業に重点を置いて、ほんとうに昼夜兼行で働いた。ところが最近に至つて遂にこの根本的な方策に誤りがあるかないかというようなことから、農業に重点を置かない限り、イギリスはどうしても自立することができないというようなことになりまして、本年からははつきりと農業重点にかえたのでございます。これは日本の実情とイギリスの実情とちよつともかわつておりません。こういうふうな観点に立つときに、肥料出血受注をやつて外貨の獲得もなるほど必要でありましようが、しかし日本農業の正しい姿としては、あくまでも増産態勢をとり、さらに穀物農業でなくて、もつと酪農に移行する、酪農にどんどん進んで行かなければならぬ。スイスの例を見ましても、これはやはり多肥料多収穫でもつて日本よりもつとやせ地であるあのスイスが、道路ばたから山の上までずつと縁化されております。これはみな硫安の力である。化学肥料と適当に堆肥を用いてやつております。この姿はほんとうに真剣な態度でやつておりますが、日本の農業におきましても、こうした出血をするような価格で平均単価をここに出してみたとしたら、日本の農業はもつとコストが安くて、しかも増産ができるであろう、こういう根本的な問題がありますので、農林省が見た出血受注に対する御意見を、日本の農業の育成といつたような観点に立つてつてみたいと思います。
  108. 小倉武一

    ○小倉政府委員 国内の窒素質肥料につきましての需要の見方でございますが、この点は私どもも二百万トンというのがマキシマムであるというふうには必ずしも考えていません。お話のように農業の進歩なりあるいは農家経済の向上といつたようなことによりまして、なお若干需要は増大するということは、これは当然考えておくべきだと思うのであります。従いまして硫安日本国内需要というような点から見ましても、二百万トン程度生産があればいいというふうにも私ども考えておりません。ただ本年の肥料需給考えます場合には、最近二、三年の情勢、あるいは本肥料年度になりましてからの出荷の状況といつたようなものを考えまして、一応二百万トンで押えて推算を立てて大過がないのではないか、かように考えておるのであります。お話のようにいろいろ農業上の施策が進歩いたしますし、他方また特に現在零細農家におきましては、反当施肥量も富農農家に及ばない状況になつておりますが、そういう点も改善されまして、これは二百万トン以上に近い将来なるということも当然予想されることだと思います。
  109. 坪川信三

    坪川委員長 本日はこの程度といたし、次会は明日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四分散会