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1953-02-23 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十三日(月曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 小金 義照君 理事 高木吉之助君    理事 永井勝次郎君       中峠 國夫君    福井  勇君       福井 順一君    南  好雄君      生悦住貞太郎君    高橋 長治君       長谷川四郎君    山口シヅエ君       木下 重範君  出席国務大臣         通商産業大臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (重工業局長) 葦沢 大義君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         特許庁長官   長村 貞一君  委員外出席者         通商産業技官         (重工業局電気         通信機械課長) 森 雄次郎君         専  門  員 谷崎  明君     ————————————— 二月二十一日  委員田子一民君辞任につき、その補欠として有  田二郎君が議長の指名で委員に選任された。 二月二十日  沖の島村に海底ケーブル線による送電実施の請  願(林讓治君紹介)(第二三〇〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  武器等製造法案内閣提出第三一号)  不正競争防止法の一部を改正する法律案内閣  提出第六九号)  鉱業法の一部を改正する法律案内閣提出第七  一号)  国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第七四号)  電気事業に関する件     —————————————
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず不正競争防止法の一部を改正する法律案鉱業法の一部を改正する法律案及び国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案一括議題といたし、順次政府より提案理由説明を求めます。小平通産政務次官
  3. 小平久雄

    小平政府委員 まず不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  先般発効いたしましたるわが国連合国との間の平和条約に付属しておりまする宣言に従いまして、わが国は、近く国会の御承認を得ましたる上、いわゆる貨物の原産地虚偽表示防止に関するマドリツド協定に加入することになつております。そもそも自由競争に立脚した経済の健全かつ公正な運営は、国際信用を高め、貿易を振興し、わが国経済再建の原動力となるものでありまして、政府といたしましても、すでに去る昭和二十五年、当時の不正競争防止法を大幅に改正強化いたしておるのでありまして、現在協定趣旨はおおむね織り込まれておるのでありまするが、さらに協定の線に従いまして、虚偽原産地表示等を付する行為につきましては’その範囲を拡張いたしまするとともに、ぶどう生産物原産地地方的名称でありまして普通名称となつておりまするものに関する特例を設ける必要がありますので、ここにこの法律案を上程いたした次第であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。  次に鉱業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  現行鉱業法は終戦後のわが国法制民主化の線に沿いまして、在来鉱業法に全面的な検討を加え、広汎な修正を見て昭和二十五年十二月二十日に成立したものであります。この意味におきまして、現鉱業法は時代の要請に即した民主的な法律で、鉱業に関する指標を打立てたものと申せるのでありますが、他面現鉱業法の二年有余の運営の結果、実際上不合理かつ不十分な点があり、これについて若干の修正と補完をすることが必要となつて来ましたし、また昨年四月平和条約の発効によりまして、朝鮮人台湾人等在来外地臣民と呼ばれておりました人々が日本国籍を喪失いたしたわけでありますが、これら国籍喪失者が従来所有いたしておりました鉱業権に関しまして、臨時特例を設ける必要が生じて来たわけであります。以上のような事情から、今回ここに鉱業法の一部改正提案いたすことになつたのであります。  今回の改正案は、これを大別いたしますと、次の四つの事項になるのであります。すなわち  第一は、鉱業と他の公益との関係について、社会の実情により適応した調整方法を採用すること。第二は、公益のためにする鉱業権取消処分により、鉱業権者損失を与えたとき、損失の補償をすること。第三は、現鉱業法のままでは行政処分に著しい支障を生じ、または行政処分相手方等に不利益を与えるおそれのある条項の修正を行うこと。第四は、国籍喪失者鉱業権享有に関する特例を設けること。  以上であります。よろしく御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。  次に国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について提案理由を御説明申し上げます。  国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律有効期限は、本年三月末日までとなつておりますので、このままでは何らの立法措置をまたないで自動的に失効することになります。そこで政府といたしましては、さらに期限を延長する必要があるかいなかにつきまして、現行統制物資の来年の需給状況国内的並びに国際的に検討いたしました結果、現下の国際需給事情のもとにおきましては、依然として国際的供給不足物資等需給調整することにより、国民経済の健全な発展をはかるとともに、国際経済の円滑な運行に寄与する必要があると考えましたので、有効期間をさらに一箇年延長するための本法律案提出いたしたいと考えた次第であります。  現行統制物資わが国内における需給事情は、輸入ニツケルを除きましては、特に需給逼迫していると思われる物資はないと考えられます。しかしこれらの物資はすべて原料鉱石、または製品の大半を外国からの輸入に仰いでいる現状であります上に、国際的に割当が行われておりますので、わが国が必要とする割当量を確保し、輸入を行うためには、これらの物資について使用制限または割当統制を継続して、国際協力の実を上げる必要があると考えられます。  上述の理由に基きまして本法律案提出する次第でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願い申し上げます。
  4. 坪川信三

    坪川委員長 以上をもつて政府提案理由説明は終了いたしました。     —————————————
  5. 坪川信三

    坪川委員長 次に武器等製造法案議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、順次これを許します。長谷川四郎君。
  6. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 去年からさらされている法案で、さぞ政府もお急ぎだろうと思いますので、そろく結論的なものに入らなければなりませんが、そうなつて来ると、一応もう一通りよく納得の行くような御説明をさらにお願いして解決をつけてみたいと思うのであります。  まずこの法案の第一条の、事業活動調整なる字句はどういう意義を持つているか、その意義をひとつはつきりとお答えが願いたいのであります。
  7. 葦沢大義

    葦沢政府委員 第一条の目的二つございますが、御指摘の、「事業活動調整することによつて国民経済の健全な運行に寄与する」という点のお尋ねでございますが、この中心は、第五条の許可制のところに具体的に表現をしておるわけでありまして、武器製造事業等が現在の段階において設備が過剰になるというようなことでありますと、国民経済に非常な影響を与えることになりますので、そういう面からこの第五条のような条件を備えた場合において許可をして参りまして、国民経済の健全な運行との調整を保ちたいというのが、その趣旨の骨子になつておるわけでございます。
  8. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そういたしますると、業者濫立とか出血受注というようなことを防止する意味に解釈してよろしゆうございましようか。
  9. 葦沢大義

    葦沢政府委員 御説のような点をやはりその主眼としておるわけでございます。
  10. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 さらに「武器及び猟銃等製造、販売その他の取扱規制する」とあるが、「その他の取扱」というのはどういうものを意味するのか、お答えを願いたいのであります。
  11. 葦沢大義

    葦沢政府委員 この条文の中に保管に関する規程を設けまして、保管設備につきまして一定規定をいたしておりまするが、そういつたものを意味しておるわけでございます。
  12. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 第二条、本条定義中には意味不明のもの及び一般通念上または火薬類取締法というものとの関連上妥当でないと思われるものが、たとえば先般も私ちよつとお伺いしたのでございますけれども、第三の爆発物とは材料または物質の名称であつて兵器ないし武器というような名称のものではないのじやないか。現行火薬類取締法との関係からいつても、これらは当然火工物というような名称をつけるべきではないか。なぜならば、前法律においてもこの種のものは火工品と銘打つてあるのでありまして、こういうような点から考えましても、私はこれは妥当でないのじやないかと考えるのでございますが、局長のお考えはいかがでございましようか。
  13. 葦沢大義

    葦沢政府委員 御説のような点はわれわれといたしましても議論いたしたのでございます。具体的には魚型水雷というようなものに該当すると思いますが、これらはやはり爆発物であるというふうな考え方から、一応こういう字句を用いたわけでございます。
  14. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 爆発物というようなことになると、非常に範囲が広過ぎて、そういうふうな名称がたくさんあると思う。特にこの種のものに対しての考え方は、火工、つまりこういう面の考え方から出て行かなければならぬのじやないかと私は考えます。「信管により作用する物」とあるのは、信管により作用する構造の物でなければならないのじやないか。しからば簡単な爆発物やダイナマイトのごときものも、これに包含されることになる。しかしながらこれらにつきましては、先般配付されました政府資料武器等製造法案第二条の武器とその定義についての説明があつて本条はおおむね支障がないと思うのでございますけれども、この資料は二の銃砲弾には全然触れておらない。しかしながらこれは銃砲弾丸だけではなくして、薬筒及び弾薬筒をも包含する関係上、銃砲弾丸薬筒及び弾薬筒を言うものであると、訂正したらどうかというふうに私は考えます。たとえば薬筒弾薬筒をも弾丸によつて包括されるべきではない、こう私は考えるのですけれども、これらについて局長のお考えはいかがですか。
  15. 葦沢大義

    葦沢政府委員 御説のように区別して使用する考え方もありまして、ごもつともな御意見であろうがと思いますが、本法案のように、弾丸薬筒と一体となつたものという考え方もあり得ますので、単に表現の相違にすぎないと思われますが、規制せんとしますところはまつたく同一でございますから一本法案表現で特に不都合はないかと存ずるのであります。
  16. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうなつて来ると、またこれが火薬類取締法との関連があると思うのでございます。弾丸薬筒というものはおのずから区分されて来るべきものであるけれども、火薬類取締法から行くと、またどうしてもここに納得ができないようになるのじやないか。ということは、ここで法律目的というものが、とにもかくにも同一業者同一目的のために、二つ法律規制を受けなければならないという問題が起きて来ると思うのです。火薬類取締法というものと、今度提案されておる法律というものとで、どうしても同一業者二つ取締法の適用を受けなければならないというのは矛盾があるのではないか。従つて取締る方はいずれにしても、取締られる方は二つの面から取締られて行くということになり、ここにどうしても納得の行かないものができて来る。そこで二重の規制を受けなければならないということが非常に不都合ではないか。法律目的は全然同一でなくても、共通の部分というものがある。そういうようなことでなく、このダブつて取締りをしなければならないことを、どつちか一つにこれを持つて行く方法はないかと私は考えるのですが、局長のお考えはどうですか。
  17. 葦沢大義

    葦沢政府委員 取締られる方が二重に取締りを受ける点について、御指摘な点まことにごもつともと思いますが、火薬類取締法武器等製造法とはその趣旨を異にいたしておりますことは、先ほど長谷川さんからお尋ねがありました目的の点におきましても異なつておるわけでございまして、火薬類取締法は、災害の防止ということをその主眼といたしまして法律体系ができておるのでありますが、本法案におきましては、国民経済運行支障を来さない、円滑な運営をいたすという目的と、公共の安全という二つ目的を持つておりますので、おのずから法案趣旨といたしておるところが異なつておるわけでありますので、二重のような感になるのでありますが、ただ御指摘になりますように、二重の感があるについての二重の手続、その他煩瑣な取扱い規定では困るじやないか、そういう点につきましては、十分に調整をいたしまして、そういうことのないように、同じ省内取扱いでございますので、留意をいたして参る考えでおります。
  18. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 局長のおつしやる通り、たとえば保安法だとか治安法だとか、こういうふうに区分されるわけです。けれどもこれの取締りを受ける人たちは、なるべく二重の監督を避けるようにしておかなければならないのではないか。ということは、私が業者という立場に立つたときに、お役人の二重の監督を受けるということは非常な苦痛だと私は思うのであります。その点同じ省内でございますから、この辺は十分考慮に入れてその監督に当つていただきたい。しかし監督に当るといつても、先般来のようなこともありますので、この点については追究を申し上げるわけではないのだけれども、この間のようなことがないように、たとえば二つ監督しようとも、三つで監督しようとも、先日来のような大失敗を再び繰返すことがないとも限らないので、その点十分注意して、この法の精神にのつとつて監督をしていただきたいということを望むものであります。  そこで製造許可に関しまして、従来の実績を尊重して、優秀なる実績を有するものは優先的に考慮をすべきだと私は思うし、また濫立防止のために、設備能力だとか資本金等の最小限の定めだとか、あまり小規模なものは――中小企業ということから考えて、どんなものでもということになると、非常に煩瑣なものになるという考えを私は持つております。武器のごとき急速な進歩をなすべきものは、企業の内部においても大いに研究をしてもらわなければならない。現在の日本において使つておるこの種のものは、大体戦前よりもずば抜けた火器ではないというような話も聞いておるのでございます。たとえば受注を受けたというような会社、また将来国内使用にも供さなければならないというようなこの種の会社が、その受注を受ける場合に、一つ研究をする機関がその会社内に設けられるというようにして行かなければならないのではないか、その研究機関が私は必要であると思う。このような考え方を私は持つておりますけれども、局長はどういうようなお考えを持つているか、ひとつ伺つてみたいのであります。
  19. 葦沢大義

    葦沢政府委員 お説のように、武器技術的な進歩は非常に目ざましいものがありますので、先般も技術関係についてのお尋ねが再三ありましたが、通産省といたしましても、これが技術改善向上につきましては、大いに留意をいたしたいと思うわけであります。従いまして、御指摘のように、研究機関会社に設けて行かれるというようなことにつきましては、できるだけの援助をいたしたいというふうに考える次第であります。
  20. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 次官にもう一度伺つておかなければならないのは、十八日の本委員会における次官答弁によると、米軍今後の発注に関しては全然わからないのだ、また日本は再軍備をしない、従つて日本軍としての注文はない、保安隊関係のものも全然ないのだ、現在は主として米軍兵器を借用している実情だ、要するに将来の注文に対してはわからないのだ。こういうことで次官は逃げているので、私はその答弁は非常に不満だと当時申し上げておつたのですけれども、これについて第一にお聞きしたいことは、さような状況において本法案の円滑なる運用が期待されるであろうか。たとえば本法案の第五条の「その許可をすることによつて当該武器製造能力が著しく過大にならないこと」というようなことを先日もお聞きしたのですが、こういうような、注文とは無関係に、まず設備の要件だとかあるいは大小の判定というようなことだけがこれに載つておる。従つてこれらに対しての次官のお考えは、前会のお答えと今日お答え願うことも同じ答えであるかないか。次官もしばらく考えたから、前の答弁とは少し考え方が違つておるかと思うのだが、次官のような答弁をしておると、われわれはこの法案通す必要がないのだということになる。だからわれわれが考えているように、どうしても必要なんだというその必要の上に立つて次官はつきりした信念のある答弁をお願いしたいのであります。
  21. 小平久雄

    小平政府委員 長谷川委員せつかくお尋ねでありますが、私は前回答弁したことを別に変更しようとは考えません。先ほど来御質問もありましたが、本法を制定しようという趣旨は、この第一条にうたつてある通りでありましてただ何回も申し上げておりますように、現状をもつていたしましては、むしろ濫立の傾向すらある、それではどうも経済運行がうまく行かぬから、これを規制いたして行こう。一口に言えば、そういう点が一つの大きな眼目になつておるわけです。将来の発注につきましては、遠き将来のことはもちろんわかりません。わかりませんが、現在の状況におきましては、受注ということは、もうその九分九厘までが米軍発注でありまして、ただ今後保安隊関係であるとか、あるいは国警関係であるとか、こういうものが若干期待はできましようが、少くとも現状としましては九分九厘までは駐留軍発注で、これが将来明年度幾らになるか、明後年度幾らになるかということまでは、はつきりいたしておらないということを申し上げたのであります。
  22. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 別に次官がこう言つたからというわけではないのだけれども、しかし見通しのつかない事業を開始するような法律ならば、つくつたつてしかたがないじやないですか。幾分見通しがあつて、あとたとえばアメリカからでも受注がもうちよつとふえて行くのではないかとか、また国内受注幾分かあるだろうとか、こういうことが前提になくて、事業を開始するに全然何の企画もないということになると、企業合理化の逆を行くようなものではないかと私は考えます。そこで次官答弁が前とちつともかわつておらないのだということになると、どうも私は納得が行かない。現在これらの業種の人が将来を考えているとまでは私は言わないけれども、一年、二年先ぐらいはおそらく次官でも幾ら見通しがつくから、この法案提出しておいた方が行政上いいという考え方で出したのだろうと私は思つていたのですが、第一条にあるように、濫立されては困るから、ただつくつておくのだ、そういう情ないものだということになると、これは当分急がなくともいいから、これらの業がたくさん注文かあるときまでほつて置かなければならぬというような法律じやないですか。そういうことでなく、私はほんとうのお気持を聞かしてもらいたいのだけれども、いずれにしてもお宅は、とにかく総裁が、日本は再軍備しないのだと言つている、それにのつとつての御答弁で、さぞ苦しいだろうから、その程度でいいでしよう。  しかしどうしても私は納得行かないので、もう一つここで聞いておきますが、第十国会で本委員会審議したニツケル製錬事業助成臨時措置法というようなものが通過しておる。これらに対して設備費償却が不可能だという場合を考えて、特別の助成措置を講じてある。政府ニツケルの場合と同一のようにこれらをお考えにはなれないかということを私は質問いたします。
  23. 葦沢大義

    葦沢政府委員 御指摘ニツケル特別助成につきましては、当時非常に国内ニツケルが欠乏いたしまして、稀少物資として海外からの輸入ということも一定制限があり、国内で早急にニツケル製造することが必要でありますにつきましては、償却相当程度に見込んで行かないと、事業として危険が特に著しいというような判断のもとで行われました特別な法律なのでございまして、武器につきましては当時のようなそういうニツケル状況とは状況を異にいたしていると思うわけであります。ただ武器のいろいろな設備機械等につきまして、まだ償却年限のきまつていない、耐用年数のきまつていないようなものが占めるのであります。こういうようなものを至急きめて参ることは現在急いでおりますが、御指摘のような程度において武器製造設備償却考えるということは、今日は考えていないような次第でございます。
  24. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 なぜ私がこのような考えはないかと言うのかといえば、十五年で償却できるものがことし一ぱいで終りになるのだ、来年はいいのだということになると、一年間で償却しなければならぬ、二年あるとすれば二年間で償却しなければならぬというような考え方で、次官の御答弁から考えると、どうも目先だけだということになつて、十五年持つものを一年間で償却して行かなければならない。であるからこれらと同じような政府処置が必要ではないか。もつ次官はつきりした腹の中を言えば、これはどうやら必要ではなくなるのだけれども、どうも次官の腹がはつきり出されないから、どうしてもこういうものをやつたらどうかということになつて行くのであつて次官のような御答弁をいただくことになりますと、ニツケルの場合につくつたこのような処置法がどうしても必要じやないかというふうに考えます。ひとつ次官から御答弁願いたい。
  25. 小平久雄

    小平政府委員 私が何か将来の武器発注について非常に悲観的というか、見込み薄というような印象のお答えをしているようでありますが、別段私は悲観しているというわけでもないのであります。ただ明確なことはわからぬということであります。特に再三長谷川委員から——何か将来は確実なんだからということを私が申せばあるいは御期待に沿うのかもしれませんが、とにかく現在の行政のあり方から申しまして、政府としては特に武器製造が将来有望だから大いに奨励するとかいつた立場にはないのであります。その点は業者の方々の将来に対する判断というものが基調をなすのでありまして、もちろん通産行政を預かつている通産省としましては、たといそれが外国発注にかかわるものでありましても、できるだけこれを正確にとらえて業者の便に供するように努力をいたすべきはもちろんでありますが、先般来も申しておりますような、いろいろな事情によりまして、はつきりと将来にわたりまして、しかも数的にこれをとらえて云々するということはできかねる状況にあるということを申しておるのであります。今御指摘償却等による助成という点につきましても、先ほど局長からも御答弁申し上げました通り、まだ耐用命数等についてきまつておらないようなもの等につきましては、現在の武器生産というものがいわゆる特需生産といつたようなきわめて不安定な状況下にありますだけに、これは当局といたしましても今後研究をいたし、なるべく短かい間に償却ができるような方向に持つて行きたいという気持は十分持つておるのであります。
  26. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 第十五条を見ますと、不公正なる競争ということをなるべく避けなければならぬ。それがために、経済界が非常な混乱を生じて来ておる。それを防止するために必要だというのが第十五条にもあるのであります。そこで譲渡、請負等の契約は届出制であつて許可制ではない。届出価格が著しく不当なりと認めたときは戒告することができるのだ、こういうふうにあるわけですが、戒告だけで、罰則がこれにない。しかも業者が戒告に応じなかつたときはどうするか、許可制でなくて届出制にとどめた理由はどういうところにあるのか、また製造に対しては許可制を、譲渡に対しては届出制をとるその理由、この二つはつきりとしておかなければならないと思うので、これを二つお伺いいたします。
  27. 葦沢大義

    葦沢政府委員 第十五条の契約の届出制につきましては、お尋ねのような趣旨におきまして、実は立法当時われわれもいろいろ研究をいたしまして、認可制にしてはどうかというような議論も相当あつたのでありますが、何分にも契約をすべて認可制にいたしますことは、趣旨は非常に達成する機会は多いかもしれませんが、それによつてかえつて契約の締結等にいろいろな悪い面の影響を与えはせぬかという点を考えまして、一応届出制によりまして戒告ということにしたのであります。罰則等がないので、これをもつてその趣旨を十分に達成しないのじやないかという御指摘でございますけれども、われわれは現在の段階においては、目的はこういつた制度によつて事態が円滑に運びまして、出血受注等というような問題がなくなることにあるのでありまして、なるべく緩和された方法によつて達成することを望むわけであります。ただ戒告に従わぬものが続出して来るというような事態をあるいは御指摘かと思いますが、そういう事態が来ましたならば、そういうときに処置をすべきだと思いますが、一応現在のような武器製造の段階におきましては、戒告という方法によつて目的が達成されるというふうに考えておるわけでございます。なおこの生産の認可と譲渡の届出制も、そういつた趣旨からなるべく役所による認可の拘束力を緩和したいと思つたからでございます。
  28. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そこで受注価格が著しく不当なりとの判定、この判定はどうして下すか。また適正だとか妥当だとか、また妥当でない、適正でないというその基準価格は、これをどういう角度から判定するかお伺いいたします。
  29. 葦沢大義

    葦沢政府委員 これはやはり各メーカーにおける原価計算を基準にいたしまして、原価計算に適正な利潤を持つておる場合においては適正のものというふうに一応基準を置いて考えるというふうに考えておる次第でございます。
  30. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 これらの請負業者の原価計算というものが、甲乙丙というようにおのずから全部違いやせぬか。たとえば三社ここにあつた場合に、工場の大小、設備云々によつて、その生産のコストというものがおのずから違つていやしないか。こういう場合に、ABCあつた場合は、どの程度のものを妥当なものとあなたは見ますか。
  31. 葦沢大義

    葦沢政府委員 この受注者が非常に多数な場合に、原価計算が各社によつてまちまちになることはむろん考えられます。そういう一定のものにつきまして、多数の製造会社の原価計算にいろいろ違いが出て来るという場合におきましては、その中庸と申しますか、あるいは平均と申しますか、中ごろのものをもつて一応基準と見るということが至当ではあるまいかと考えます。実はまだそういう具体的なところまで法律としては何ら触れておりませんので、現在はそういうような考え方をいたしておる次第でございます。
  32. 南好雄

    ○南委員 関連してお伺いしますが、長谷川さんからも御質問があつたと思うのですけれども、武器等製造法案提案理由説明を見ますと、この法案は、むしろどちらかと申しますると取締りの見地の方が強いように見受けられるのであります。現在政府のほんとうの意見が取締りにあるのか、それから武器製造メーカーのある程度の保護助成ということも考えておいでになるのか、その間における提案理由の変化がございますかどうか、お伺いします。
  33. 小平久雄

    小平政府委員 提案理由に変化があるかというお尋ねでありますが、別段この提案理由に変化はございません。先ほども申しましたが、要は国民経済の健全な運行に寄与するということも一つの大きなねらいでございます。一方におきましては、いわゆる出血受注といつたような状況を示しておりますこの業界というものを、生産分野等の確定によつて、そういう濫立状態からのがれ得るような態勢に持つて行くということであります。そのことはまた逆に考えますならば、業界の一つの大きな助成、少くもこの濫立によるはげしい競争ということが除かれるという面におきましては、大きな立場から申せば助成ということもねらつておるわけ七あります。従いまして、一面においては規制し、一面においては助成するというと、いかにも矛盾しておるやにもとれるかと存じますが、業界の現状から考えますならば、そうすることが結局国民経済全体の健全な運行に資するゆえんだと考えておりますので、別段提案理由について変化があるとは考えておりません。
  34. 南好雄

    ○南委員 そうだろうと思うのでありますが、この法案の内容を拝見いたしますると、主として許可と届出なのであります。その程度ではむしろ取締りの方が強いのであつて許可することによつて許可せざる会社との不当な競争を排除する程度のものである。やはりこの法案は、どちらかと申しますと、主として取締りの見地の方が強いのであつて、第二段がいわゆる保護助成。ただそういうふうにして考えて参りますると、兵器事業のような日進月歩の早い、非常に高度の工業力を要する事業につきましては、はたして法案趣旨のような、また長谷川さんあたりから質問なさつているような目的が達せられるかどうかという点が先ほどから問題になつているのだと思うのであります。現段階においてはこういう程度法律でやむを得ぬと私も考えますが、事業の内容、性質から見まして、将来に対する配意を十分政府として考えておかれなければならぬものじやないか、こういうふうに考えて、ちよつと関連して質問したのであります。
  35. 福井勇

    福井(勇)委員 長谷川委員の質問の中に、武器等の製造を開始するにあたつて、現在の技術などで行けるのかという心配のあるような印象を与える御質問がありましたので、これはきわめて同感のものだと私は思つておりますが、この点について私は、去る二十一日から小金委員とともに、名古屋を中心としたところの旧中島飛行機関係、新三菱重工業関係の航空機工場等をじつと詳細に調査して参りました。なお、航空機以外の銃弾、機銃関係のところも調査したのでありますが、私の質問は、私としてはすでに以前に終つておりまするが、長谷川委員の発言でいかにも妥当な質問が一項目ありまするので、関連してお尋ねするのでありますが、それらの工場を技術的に詳細に調べてみると、やはり十数年間のギヤツプがあつて、このままではなかなか心配だという結論を得て参りました。私は、先刻の航空機工場がほとんど稼働しておつたときには、ことごとく見ておりますし、工作機械工場の九〇%は日本国内においては全部見ております。そこで、通産省においてはこの武器等製造法案関係し、あるいは今後の航空機の製作並びに修理等も通産省の方面において所管をしておることでありまして、関連しておりますので、特に私はここで希望的質問をするわけでありますが、飛行機などの工場を見て思うヒとは、機体と発動機と無線関係、他にもたくさんありまするが、これが重要なものである。これらの問題について通産省は、今までのような研究過程でなくて、通産省技術者並びに関係民間の技術者を、二人とか三人とかいうような今までのおざなりの研究でなくて、少くとも二、三十人一挙に研究者を出していただきたい。もしそれができなかつたら逆に海外から呼んでいただきたい。通産省はこれほどの手を打てないならば、この方に関しては運輸省に所管を移してしまつたらいいと思うし、あるいは文部省でもこれらの研究機関が相当活発に動いて来ておりまするので、その方へ委譲してしまつて活発にやつてもらつたらいいとさえ思うゆうなこともありまするが、そういうことが起つて来てはいけないので、通産省が総括的に今まで通り活発に本日から研究にスタートしていただきたい。それには機体と発動機と無線関係等の研究者を二、三十人きようからプランを立てて出していただきませんと、武器兵器関連してもその技術が心配されると思いますので、政務次官の方においてそのように対処されるかどうか、御意見を承りたい。
  36. 小平久雄

    小平政府委員 武器あるいは航空機等の製造技術というものが、文字通り日進月歩のものであるということは御説の通りだと思うのです。従いましてわが国としましては、特に戦時中以来これらの面の技術も遅れておるであろう、また現に遅れておるとわれわれも考えております。従つてまたこれらの生産に携わる専門技術者の方に、広く海外の技術の発達の状況等を調査願いまして、これをわが国の生産の上に取入れるということは、御指摘通り最も喫緊を要するものだと存じております。先般福井委員から提出を求められましたので、工学部門、化学技術者の海外渡航につきまして、従来の実績の調査表をお手元に差上げてあるはずでありますが、これによりますと、全体ですでに五百六十九名の方が海外に参つております。そのうち官吏が四十名、公吏が十名、大学教授が二十四名、民間が四百九十五名、こういう数字が出ておるのでありますが、この統計から見ましても、特に官界方面、ことに官吏は民間の一割くらいにしか及んでおらぬという状況でありますので、御指摘通りこれらの事業のいわば指導にも当らなければならぬ立場といたしましては、はなはだ少きに失するとも考えられるのであります。御指摘の点はよく了解できますので、これは大臣にも進言いたしまして、なるべくすみやかに御期待に沿い得るように、及ばずながら努力いたしたいと考えております。
  37. 福井勇

    福井(勇)委員 きわめて私の意に沿う妥当な御答弁をいただいて安心しております。きようここで政府委員の方並びにその他関係者のお顔ぶれを見ると、偶然にも無線関係で森電気通信機械課長も見えておりますので、ちよつとお尋ねしたいと思いまするが、無線関係で役所において、現在の日本研究状況がこれでいいと思われるかどうか、ひとつ率直にお答えを願いたいと思う。直接森課長からその点をお聞きしておきます。
  38. 森雄次郎

    ○森説明員 お答え申し上げます。航空無線関係は非常に諸外国が進んでおるのでありまして、現在日本におきましては、航空機がつくれません関係上、また戦時中あるいは戦前といえども、特に航空用レーダー、あるいはローランあるいはILSというような航空無線関係は、まことにおはずかしいことながら、手に及ばぬという状況でございます。終戦後航空機の製造が禁止された、そういう関係からしまして、今航空無線という言葉を使うことすら非常にはずかしいほど技術が遅れておりますが、最近は航空機製造法の施行に伴いまして、有力なるメーカーの技術員が一応海外に行かれまして、ある技術の習得はされておりますけれども、私自身見たこともないような高級な、非常に高い技術を持つておる無線機があるやに聞いております。この点は何とかしてその近くまででも技術を向上しなければならぬ、こう考えております。
  39. 福井勇

    福井(勇)委員 通産省で、担当の電気通信機械課長が、何も見たことがないというようなそんな状態で、通産省の管理を行つておることはたいへん遺憾でありますから、さつそくそういうような、民間よりももつと飛躍した見聞を広めるように、先ほどの私の希望、質問に沿うように、ひとつ通産省側でも対処していただきたい。  なお技術奨励については、特許庁の長官においても担当事項で、長村さんの所管であると思いますので、工業技術院ともよく御連繋なさつて、他の省であちらでばらばら、こちらでばらばららとその研究が行われる、また生産化が行われるというような場合に、あちらこちらから役に立たぬ口ばしを入れられるというようなことがないようにしてもらいたいと思いますが、特許庁の方においてこれらの技術躍進問題について相当やつておられるということを私は聞いて、非常に意を強うしておりまするが、長村長官のそれらの点に関する現在の御見解を承りたいと存じます。
  40. 長村貞一

    ○長村政府委員 特に発明の関係から申しますと、最近の趨勢としましては、今申しました通信機械の出願がかなり出ては参りましたが、いまだ内容的に申しますと諸外国と比べまして、はなはだ劣るものがあるのでありまして、私どもの方は工業技術院と緊密な連繋をとりまして、全般的な発明関係の思想の高揚、発明の振興、これにあるいは補助金を出す、あるいは本年からは貸付金を出すというような手を打ちまして、できるだけの奨励をいたしておるのでございますけれども、なお今後ただいまお話のございましたように、技術院等とも十分連繋いたしまして、でき得るだけのことはいたしたい、かように考えております。
  41. 福井勇

    福井(勇)委員 それでは委員長の方におかれて、特に今のような研究視察者というものが、上つらだけずつとまわつて来たというような弊参害を除かれるように、実際の内容がわかるような人々を派遣して、もう仕事に移る時代に突入しておりますから、その点遺憾のないように態勢を整えてもらうように、委員長から通産省側に申入れをしていただくというように希望しておきます。私の質問を終ります。
  42. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それではまた元へもどつて、最後に一つ受注者がむやみに価格を競争をして、必然的にここに相場というものがたたかれて来て受注する、しかしそれがはたして注文をする国の精神であるかいなやという点については、大いなる疑いを持たなければならないと私は思う。そこでこの受注に関して、業者のみがかつて受注を受けるというところに、必然的にそこに競争をさせて行くのでありますが、たとえばアメリカにしても、日本、に受注をしようというその好意というものの裏が、国民経済というものが破壊されるということであつてはならない、彼らの好意を好意として受けるならば、われわれの生活が伴うだけの価格をもつて受注するはずである。こういう点についての矛盾を私は非常に見出すのであります。このような点から考えて、ぜひともこの無制限競争という点について、大いに、干渉する意味ではなくても、政府みずからが政府の助力というか、政府の力を与えて、出血のないような受注をとらしていただきたいということを私はお願いを申し上げます。  そこで今の福井君の質問に関連してお聞きいたしますが、日本の発明というものがどれくらい実用化しておるかという問題、現在長官が手にかけておる発明は、年間どのくらいのものにあなたは特許を与えておりますか、お伺いいたします。
  43. 長村貞一

    ○長村政府委員 最近の状況から申しますると、特許の出願は、大体年に二万ぐらいございます。この二方の出願につきまして審査をいたしておりまするが、現在特許の査定をしまして登録されますものが、こまかい数字は、いずれまた調査いたしまして申し上げまするけれども、年に大体半分くらい、かように御承知願つてよろしいと思います。
  44. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 今、日本は戦争のために、すべての技術が十五年も遅れておるとか、十年も遅れておるとか言われておる。これは種別によつていろいろ違います。しかし日本の伝統ある技術能力をもつて行えば、そうわれわれは劣ろうとは考えておらない。従つて長官にお聞きしたいのは、外国の特許というものがどのくらい日本に入つて来ておるか、それに対して日本の支払う特許料が何ほどであるかということを、今日でなくてもいいから、あとで資料で御提出を願いたい。さらに日本の国から外国に出ている特許料、同様なことに関しての資料ちようだいしたい。また特許を受けた日本業者が、さらに二重利益を得るために、その特許を転売するというか、おれが特許権を持つているのだから、お前にもやるから金を幾らよこせというような種類のものが、どのくらい現われておるかということを、あとでよろしゆうございますから、ひとつ出してもらいたい。  そこで日本の発明というものについて、何ゆえ私はあなたに問わなければならないかというと、日本はこれだけのものを発明しても、実用化されている面というものが非常に少い。何ゆえに日本の発明が実用化されないか。あなたのところで特許を与える場合には、経済の上から見ても、どの角度から見ても、これが最も妥当であるという観点に立つて、あなたは特許を与えるのだろうと思う。それが実用化されていないという点については、私はふしぎでならない。またこの種のものを特許をとる人たちは、いずれも金銭に恵まれていない、経済に恵まれていない方であるがために、これを実用化することができないという面がたくさんあると思う。現にあなたのところでやつておるところの陳列館に行つて聞いてみたならば、大体ことしあたりでも、これらに金融を受けるものが一千万円だ。どのくらいの数がありますかと言つたら、厖大な数字を言つておる。ただあなたのところは特許を与えればいいのだというだけではなくて、いかに実用化させるかということが、あなたの大きな使命でなければならないと思うのです。大臣もまたうつかりしておると見えて、あなたが言わないから、大臣も一千万円くらいで実用化されると思つている。こういう点について、もつと大臣にあなたの政治力をもつて金融をつけさせてやるようなお気持はありませんか。お伺いいたします。
  45. 長村貞一

    ○長村政府委員 御指摘のように、特許になりましても、これが実用化されませんければ、これは実はむだな話でありまして、結局特許されました優秀な発明が、産業界、工業界に実用化されて来るというところまで参りませんと、私は生きて来ないと思います。お話のございましたように、相当数の特許権というものが現にございますけれども、これが事業化されるものはきわめて少いのであります。それが大きな組織でやつておるものでありますれば、これは比較的実用化される、あるいは企業化されることも多いのでありますが、さようでない場合には、それがそのまま実用化されずに死んでしまうというのがずいぶんあるのであります。これは発明に対する企業界、産業界の理解がいま一つ徹底せぬところがあるという点が、根本ではないかと思いますが、具体的の問題としましては、まつ先に必要な問題としての金融措置企業化するための金融が、なかなか発明に対してはつきにくいという点があるのであります。特許庁では二千万円の貸付金制度を本年から始めておりますけれども、私は金額では決して二千万円が十分だとは思つておらない。ますく多くのこの方面の必要な金額が、許される限りにおいてほしいと思つておるのであります。今後ともでき得る限りこれらの面を含めた発明の振興奨励全般につきまして、私も努力をしますし、また十分に当局の御支援も得て、できるだけのことをいたしたい、かように存じております。
  46. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 発明ということは、何のために行われるか。人類の生活をより以上向上するために行われるものでなければならない。これが実用化されなければ何の価値があるか。日本が現在数年間も他国に遅れておるという技術、これは先ほど申し上げた通り、決して私は遅れておるとは思わない。これを活用する、生かす、この点に大なる欠陥があるといわなければなりません。こういうような点について、企業化されている面が少い。こういうことであつてはあなたのお役目が勤まりますまい。たとえば外貨獲得という言葉がある。この言葉の逆に、彼らの特許権の権利金というものがどのくらい日本から出て行つておるか。この発明を実用化して、いかにしてよその国から外貨を獲得するか、これこそ日本人の名誉でなければならぬし、これは日本人の持つておるところの知能であると私は信じておる。ぜひともこのような点にもつと力を入れてもらつて、そうしてあなたのもつと政治力をもつて——われわれ委員会に対しても、このようなものがこれほど腐つておるのだ、何とかこれを生かしたいという念願がなければならないと思う。われわれがあなたにぜひ来てくれ、お聞きしたいことがあるからと言われてからでなくとも、もつと積極的に出て来る熱意があつていいのじやないかと私は考えます。大臣も日本の発明を死物化そうというようなお考えはないだろうと思います。大臣も今お聞きの通りでありますので、大いにこれらの点について力を入れていただきたい。日本の産業の大本であるこの発明に、もつと一段と力を入れてもらわなければならぬ、こう信じてやまないのであります。大臣のこれらに対するお考えがあるならば、ぜひとも私は御答弁をいただきたいと思うのであります。
  47. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 長谷川さんの御意見まことにごもつともでありまして、これはぜひとも日本の発明をもつと盛んにし、同時にこれを事業化することがきわめて必要であると存じます。二十七年度にようやく二千万円だけの試験費といいますか、そういうものの貸付をでき得るような措置をとつたのでありますが、これをもつと増額いたしまして、できるだけひとつ御期待に沿うように努めたいと存じます。
  48. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それではこの問題はこの程度にしておきます。
  49. 坪川信三

    坪川委員長 永井君。
  50. 永井勝次郎

    ○永井委員 大臣にお尋ねいたします。が、兵器生産は、輸出産業としての平和的性格においてこれを発展させるのか、あるいはわが国の防衛力強化の一環としての、軍事的性格をもつてこれを発展させる考えであるか、この点を大臣に伺いたいと思います。
  51. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 武器生産につきましては、過日も申し上げました通り、現在ほとんど九割九分までは外国注文でありまして、従つて私どもはこれを輸出産業の一つとして扱つておる次第でございまして、また現在の日本の国情におきましては、あくまでそういう建前でなければならぬと存じておる次第でございます。永井さんの仰せになつた、いわゆる平和産業として、しかし輸出の問題を満たす一つの産業としてこれを育成して行くというよりは、むしろ間違いのないように守つて行くということが必要であろうと考えておる次第でございます。
  52. 永井勝次郎

    ○永井委員 輸出産業として平和的性格でこの産業を発展させるとするならば、そういう客観的な諸条件というものが現在の世界経済の中であるのかないのか。一方的にこつちはそういうふうにしたいと思いましても、相手方があることであり、世界経済の中における産業としての立ち向いでありますから、そういう条件がなければ発展は困難であります。今重化学工業を輸出産業、貿易産業として発展させて行けるのだ、これから大いに伸びるのだというような諸条件というものを、国際経済の中においてどういうふうに大臣は把握されておるか。
  53. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 現在は御承知のごとく大体は駐留軍注文が主たるものであります。けれどもそのほかにも、たとえばタイであるとかパキスタンであるとか、あるいは仏印などで、迫撃砲とかあるいは七十七ミリの重砲弾のようなものを注文しておるのがあります。これはまだ正式に受けておりませんが、そんなものがありますので、かりに今のような国際情勢でありますると、あるいは外国のものも注文を受けるようなときがあるかと思います。いずれにいたしましても、要するに輸出品として扱うという考えでございます。
  54. 永井勝次郎

    ○永井委員 いろいろな統計によつて見ますと、第二次世界大戦後における世界の経済の動向というものは、重化学工業に重点を置いて、それの輸出によつて自国の経済を確立するという方向に動いております。従つてイギリスにいたしましても、ドイツにいたしましても、あるいはフランス、イタリアにいたしましても、そういう方面の発展というものが非常な力で伸びて、おります。その半面、ソ連国と自由国家群との二つの市場が並存している形でありますから、世界の貿易市場が非常に狭くなつて来ている。この狭くなつている市場の中において、軽工業はもう伸びる条件はない、どうしても重化学工業に重点を置かなければならぬとして、先進各国は非常な発展の仕方です。ことに東南アジア方面に対する力の入れ方というものは、大臣御承知のような状況である。こういう状況の中で、日本が重化学工業をもつてこれらの先進国と競争して、貿易市場でこれらをしのいでどんどん進出し発展して行けるというような諸条件というものは、どういうところにあるか。あるいは鉄の価格、石炭の価格、機械施設、技術の段階はどうなつているのか。これらの点について具体的に大臣から伺いたいと思います。
  55. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 お答えする前に、さつきのことで誤解があつてはいけませんからちよつと申し上げておきますか、タイとかあるいはパキスタンその他から注文があつたということがありましたが、かりにこれに応じまするような場合には、よく国際環境等もにらみ合せまして、そういつた誤解がないようにして初めて輸出産業として扱うのであつて、まだ現在扱つておりません。ただそんな注文があつたということだけをちよつと私知つておつたものですからお耳に入れたという程度に御了承願いたいと存じます。  次にお尋ねの点でございますが、東南アジア及び中南米には、昨年相当出ましたが、日本の重化学工業品が相当出て行く余地が多いと私は考えております。御承知のごとくに、後進国におきましてもだんだん軽工業が盛んになり、特に繊維工業等は盛んになつてつております。しかしまだきわめて優良な品物はどこもできておりませんので、繊維品の優良な品物が外地に売られ行く余地は相当多量にございますし、また日本から染色その他の技術者を向うに送つておりますが、そういうことによつて日本の綿製品、繊維製品を取扱うことに向うがなれているという点もございましよう。これはまだ相当余地があると思いますが、大体においてお話のごとく重化学工業にかわつて行かなければならぬと思うのであります。この場合民度の点からいいますと、欧米のような優秀品よりも日本くらいのがちようど向いておりますので、昨年であつたか一昨年でありましたか、それが一億七千万ドルも出ておるのであります。従つて、私どもは絶えず優秀品を出すように努めなければなりませんが、向うの民度に合うのは日本品が一番向いているのではないか、この点相当今後進出の余地があると考えまして、今度重機械等の相談室も向うに設け、さらに技術交換のためにも、わずかではありますが予算を計上いたしましてやつておる次第でありまして、今後は技術者等も多量に向うに出して、日本の機械その他の引受けについてはかりたいと考えておる次第であります。中南米の方におきましては、このごろはちよつととまつて注文はあまり多くないのでありますが、しかし鉄鋼類が相当アルゼンチンその他に出たことは永井さん御承知の通りでありまして、今なおときどき引合いがあります。そういうことでありまして、これらの市場はやり方によつては十分行けると思いますが、いい品物を安くするということが根本でありまして、そこでいかにすれば優良にして廉価な物ができるかという点から、いわゆる基幹産業の電源とか、あるいは鉄鋼とか、あるいは石炭といつた方面に対する値段の引下げ、コストの引下げ方をあらゆる努力をもつて今やりつつある次第であります。
  56. 永井勝次郎

    ○永井委員 実は大臣の希望と期待に反しまして、日本の製品コスト、品質等は国際市場において先進国にけ落されております。たとえば車両の競争入札において、ドイツ、ベルギーその他は日本の製品の半分の値段で落札しております。一割、二割の幅であればこれから追いつくという希望も持てるわけでありますが、船舶においてもその通り、とうてい現在の状態におきましては競争にならないのでありまして、これから縦坑方式によつて石炭の値段を下げる、あるいは電源開発によつて電力を豊富にしてこれらに立ち向うというようなことでは、その期間に先進国が東南アその他新しい後進国、開発に対して手をこまねいているわけではないのでありますから、当然にその市場は相手方にとられてしまう。     〔委員長退席、高木委員長代理着席〕 あるいは資金の面においてどんどん投資を行つて、それらの市場が日本の市場から消えてしまう、こういうことを恐れるわけであります。大臣の期待と希望に反して現実はそのようになつております。そして現在日本国内においてこのような武器等製造法案を出して出血受注を押えなければならぬという現実はなぜ起るか、こういう条件はどこに起つて来たか、武器製造業にはミシン業者の転業者もあります。あるいは織物業者が転業して来た者もあります。平和産業、軽工業からの転換というものが非常に武器製造の方に向つて来ておる。これは世界の貿易市場獲得戦においてけ落された連中が、みんな国内に立ち返つて来て、出口がないからこちらの方に向いておる現状ではないかと思うのであります。こういう世界情勢、経済界の情勢と、国内一つのものが出れば、それにみんなが飛びつかなければならないほど、日本の貿易産業というものが行き詰まつておる現実とを大臣はどういうふうに見ておられるか。これをもつ現状分析の上に立つて経済の診断の上に立つたはつきりとした話を承りたいと思うのであります。
  57. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 お話のような点が多々あると思います。但し東南アジアの市場でも、中南米市場でも、日本の品物が全的に負けておるわけではございません。相当出ておることは今なお続いておりまして、これらにつきましては、御承知のように、たとえば支払い条件をどうするとかいうことも非常に大きく影響しておるのでありまして、今度日本の方におきましても、今まではできなかつたことでありますが、今御提案申し上げておる輸出入銀行法によりまして、向うへ数箇年にわたつて投資ができるというようなことにも法を改めておりますので、こういつた面からも、今後は輸出の面が相当活発になつて行くのじやないか、かように期待しておるわけです。けれども現状としてよくないことは、私どもも認めざるを得ませんし、認めればこそいろいろ努力を傾注しておる次第であります。なお国内のものにつきまして、今お示しのように、中には非常な出血受注をしなければならない情勢に追い込まれておることを何と見るか、出血という言葉がよく言われておりますが、しかし真にどの程度の出血かということは通産省の方で調べておりますが、まだはつきりした結果を得ておりません。しかしいわゆる出血という言葉で言われておるくらい相当きつい注文に応じておることは間違いないことでございまして、それらの事柄等もやはり日本の国としては大いに考えさせられる点が多々あると思うのでございます。しかし右左にそれならこうやるという即効薬がないことは、実は私どもたびたび申し上げ薫る通りでございます。従つてやはり急がばまわれで、もう五年先に行つておると言われますが、たとえば私どもが石炭の縦坑開発をはかり、あるいは各種の措置をとることによりまして、炭価の引下げをはかつておりますと、現にもうすでに相当下りつつあります。おそらく四月、五月になりましたならば、よほど下つて行くであろうというふうに私は期待をいたしておるのであります。昨日の新聞でしたか、もうこういうふうに下つて来たのでは、中小の炭鉱にそろばんがとれぬものがあるからどうこうということが記事にも見えておりまするし、石炭はすでにバイヤーズ・マーケツトにかわつておることは、どなたも御承知の通りであります。そういうわけで、私どもはできるだけ早いことを希望しますが、そうく右左に、ぎようこういう政策を出したから、翌日こうなつたというものではございませんが、この政策を根気よく続けて参りますと、たとえば電源開発も、一挙にして何百万キロワツトというものを開発はできません。しかし天龍川も今年着手します。あそこでも三十五万キロワツトのものができ上る。それが二年でできますれば二年でこういう効力を生じて来ます。少し言葉は悪いかもしれませんが、時間をかしてやらないと、やはり右左にそう言つたのにすぐそうならぬじやないかとおしかりを受けても、もう少しお待ちくださいと申すほかはない次第でありますが、方策といたしましては、ずつとそういうくあいに世界のどことも競争ができ得るようなところに持つて参りたい、こういう考えのもとに、政府としてなし得る最善の方策をとりつつある次第でございます。
  58. 永井勝次郎

    ○永井委員 繊維は行き詰まつた、軽工業は行き詰まつた、そして重工業の面においても、国際市場で競争力か非常に乏しいという非常な経済の恐慌的な状態が国内に生れておることに対して、大臣が何とかしなければならないというお気持、それが電源開発となり、縦抗方式となり、コスト引下げをして立ち向つて行こうとする気持はよくわかるのでありますが、そういう方式によつてはたしてそれが打開できるかという科学的な判断というものはこれは別であると思う。大臣の気持と実際それが可能であるかどうかという条件というものは違うと思う。そこで大臣も御承知の通り西欧諸国は、たとえばイギリスの場合、一九三七年の生産指数を一〇〇といたしますと、一九五〇年は一二七に重工業関係は伸びております。そしてその中における輸出数量の指数は一九三七年が一〇〇で一九五〇年が一六二になつておる。フランス生産指数は一一三になつております。輸出が一三五の指数になつておる。イタリアが生産指数が一一九で輸出数量の指数が一四〇、こういうふうになつておるのでありまして、いかに第二次世界大戦後各国が生産施設を重工業に切りかえて、生産をどんどん上げて、そして輸出によつて市場獲得に全力をあげておるかということがこれらの数字で明らかである。こういうような状況の中で日本が重化学工業で立ち向つて行かなければならない、繊維はだんだん縮小されて来た、重工業以外には伸びる道がないのだ、重工業の生産態勢やそれの原料という関係技術という関係がはたしてこれらの先進国に立ち向つて行けるような条件であるかどうか。これが兵器産業における今後の性格——これは輸出産業として平和的な性格においてやつて行きたいのだという大臣の願いと、これがやつて行くうちには、外国には全然競争にならないのだ、国内でこれを処置して行く以外にはないのだということになつて国内的にこの性格が変質されて、平和的な性格ではなしに、国内の防衛力を強化するという性格転換がいつなされるかもわからないというような条件に追い込まれつつあるのだ、その判断を明確に大臣がつかまないで、あるいはわかつていてもとぼけているのかもしれませんが、そういうような考え方でこの問題を扱つて行くということになると、これは国民に対する大きな不信を招く原因である。少くとも現段階における一国の国民の経済を預かつておる大きな役割を持つて通産大臣が、そのような見当違いな希望を持つて現実に処置されるということは、助かる命も殺してしまうのではないか、こういう心配が多分にあるのでありますが、はたしてこの重化学工業の発展ということについて、輸出産業として平和産業的な性格をもつて貫くことができるというお見通しを持つておられるのかどうか、ここの点をはつきりとひとつ伺いたい。
  59. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもは現在すぐそれだけの各国に対抗する力があるとは決して申しておりませんが、しかしたとえば昨年について見ましても、今最も不利な鉄鋼すらもが輸出が百万トン以上出ておりましよう。おそらく価格にして六百億円以上のものが出ておりましよう。そういうようなぐあいに相当大きな数字にもなつておりまして、今後のことは私どもが今の最善の力を尽してやつて参りますれば、相当競争力を加えて参ることと思います。ものは見方です。ちよつと妙なことを申し上げて相済まぬのでありますが、ワールド・バンクの頭取に随行して来た人が書いておる意見によると、日本が世界で最も鉄鋼生産に適しておる。なぜかならば、日本は近くに石炭がある。自分のところにも石炭があるが、近くに開灘炭とかホンゲー炭とか、各種のものが近くにある。また鉄鉱石も非常に近くにある。そういう点から見ると、日本はやりようによつては世界で最も鉄鋼業に適したところであるということを書いたものを私は読みました。一つのそういつた見方もあるのでありまして、私どもとしましては、着実に一歩々々堅実に進め得るだけの政府の政策を進めて行くならば、決して前途はそう悲観したものではないと私は思います。むやみに楽観して野放図に仕事をしたなら、これは危いのでありますが、できるだけ政府が努めるべきことは努めて参りまして、また永井さんがこういうことをやれ、それが非常によいのだという仰せがありますならば、いつでも仰せを願いたい。これは一通産省の問題ではなく、日本の将来の国家の問題でありますから、総知を傾けてやらなければならぬと思います。何としてもそれ以外に立国の道はないのです。貿易をやらぬでも国が立ち行くのだということがあれば、これは非常にけつこうですが、だれが考えてもそういうものがないとすれば、これに対してどういうことをするか、そのときに最善を尽して行く以外に道はないと私は思う。しかしどうもそちらでやつておることは足らぬではないか、こういうこともやればよいという方法がありましたらまことに国家のためにけつこうなことでありますから、ぜひそういう方向に進みたいと思います。私どももはなはだ微力でありますが、今全力を尽してやつておる次第であります。
  60. 永井勝次郎

    ○永井委員 大臣にお伺いをいたします。大臣はどこの委員会においても非常に誠実な答弁をされて、委員の方には非常に好感が持たれておるのであります。しかしその誠実な答弁であるということと、大臣の答弁の内容及び考え方、対策というものとはこれはおのずから違うのでありまして、大臣の今考えておる平和産業としての兵器をつくつて、そうしてそれを安定した日本国内体制を確立する基盤にして行こうという、そういう考え方に対しては、われわれは所見を異にするのお伺いをいたすのでありますが、各国の兵器生産において、輸出産業としての兵器生産を安定させて、国の経済を安定させたという実例がありましようか。あればひとつ伺いたい。
  61. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 それは私ちよつと御返事を誤つておりました。それはこういうことです。私はよく申し上げておるので、永井さんも御記憶でしようが、兵器産業というような特需のものはそう長く続くとは私は考えておりませんが、しかし現在の国際情勢から見ますれば、ここ当分は続くであろう。その当分が三年であるか、五年であるか、七年であるかは、これは予断を許しませんが、ここ当分は続いて行くであろう。その続いて行く間にあらゆる政策を立てて、こういう特需がなくとも日本の産業が立ち行くように、日本の貿易が黒字になるように持つて行かなければならぬという意味を常に強く申し上げておるのであります。従つて現在も国際貸借から言えば黒字になつております。また昭和二十八年も、国際貸借の面だけから見ますれば黒字になりましよう。しかしこれでは健全ではないのでありますから、正常な貿易によつて国の貸借がとれるように施策を進めて参らなければならぬ。それにはこういうものがあるときこそ急いでやるべきであるという考え方でありまして、いわゆる兵器産業のみをあてにしてやるというのではありません。その間にすべての政策を進めて行かなければならぬということを申しておる次第であります。その点ひとつ誤解のないようにお願いいたします。  なお御参考までにプラント輸出の数字がここにありますので申し上げますと、二十五年二千三百二十七万ドル、二十六年六千四百五十八万七千ドル、二十七年はまだ月がありますのではつきりいたしませんが、六千万ドルないし七千万ドルの見込みでございます。そういうふうに相当出ておりまして、努力の仕方によつては相当道があるということは、これでおわかりが願えるかと思うのであります。     〔高木委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 永井勝次郎

    ○永井委員 国際貸借が黒字であることは、貿易外収入を見込み、パンパンその他のそういう費用を相当額見込んでの話であり、あるいは今プラント輸出がこれこれあるということでありますが、これはやはり低開発地帯におけるところのいろいろな工業化の促進、民族主義による工業化の促進によるところの需要が起つて来るのであつて、これがやがて日本の製品の輸出を阻止する力にはね返つて来ることは、大臣御承知の通りであろうと思うのであります。従つてこのプラント輸出が現在この数字を示しておるからといつて、将来に対して非常に安心であるという見方は成り立たないと思うのであります。現在武器製造その他において心配されておりますことは、こちらの生産をしたいという希望者が非常に多い。そしてまたそれに立ち向うところの向うから注文が来るであろうという期待のもとに、施設の切りかえをやる。そこに資金を相当固定する。そうしていて向うからの注文は、それに適応したほどの量が流れて来ないという、そしてまた今年はそうであつても来年の見通しはまたつかない。毎年どのくらいの発注があるかという安定した見通しが立たない中で、期待だけを大きくかけてみんながその施設の切りかえをやつておる。こういうところに問題があるだろうと思うのであります。ことに注文先はどうかというと、日本よりも重化学工業のずつと進んでおるアメリカである。こういうような場合において、いつどういう条件でこれが打切りになるかもしれない。またこの注文にはどういうひもつきがやつて来るかもしれない。これだけの武器注文するからそのかわり日本は本格的な再軍備をやるのかやらないのか、やらないならば注文しない、やるならば注文するというようなひもつきでやつて来るかもしれない。こういういろいろな諸条件のもとにおいては、正常な貿易関係でこの問題は考えられない、軍事的な関係、政治的な関係、諸般の関係がその中に含まれておるから、この問題は少くとも武器の生産というようなものが海外に依存して成り立つという条件はないのではないかとわれわれは考えるのであります。それが大臣は、九十九パーセントまでは外国注文であるから、これは輸出産業として十分期待が持てるのだ、こうお考えになられるならば武器の生産がまつたく純経済的な立場においてそういうことが可能であるとお考えになつておるかどうか、またこういう国際情勢の中で軍事的、政治的いろいろな諸条件がこれの内容として付随して来ることも考慮に入れなければならぬが、その点はどういうふうに考えておられるか。
  63. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これはただいま申し上げました通り大体輸出品の一種として扱つておる、駐留軍注文がおもなものでありますので、輸出といつてもほんとうのエキスポートではありません。ただドル関係から見るとエキスポートの一種でありますからそう申し上げたのでありますが、この情勢が何年続くかということはわかりません。またどういうふうにふえて行くかということもわかりませんが、ここ当分は続いて行くであろう。繰返すようですが、それが三年であるか五年であるかは私はつきりいたしませんが、そう思われます。しかしみんなが思惑を立ててそれがためにたとえば工場の施設をしたり濫立をしたりして出血受注をするようなことがあると、日本経済に与える悪影響が忍びがたいものがあるから、この武器等製造法によつてその濫立防止して、実態に合うように持つて行かせたい、こういうのが主眼でありまして、仰せになるようにどんどんつくらせるのが困るからこの法案等を出した次第であります。近く大体これくらいの注文があるだろうということは向うとの話合いで見当がついておりますから、火薬についてはどれくらいあるだろう、こういう玉についてはどれくらいあるだろう、こういうことがわかるので、それで実は許可制、認可制等にしたいということはそこから来ているのです。主たる点は今御心配になつておる濫立防止するということが武器等製造法の一番大きなねらいになつておるのであります。どうかその辺よく御了承願いたいと思います。
  64. 永井勝次郎

    ○永井委員 軽工業の貿易は行き詰まる、重化学工業も正常な貿易面においては行き詰まる、そうするとアメリカならアメリカの武器発注に依存する貿易を、平和産業として発展させると大臣は言われましたけれども、発展させるのではない。発展させるときにはこちらに主導権があつて、みずからがこれに対応して行くのでありますが、ただいまのような話でありますと、アメリカに依存する形が出て来る。そうして依存する形に対応するためには、これを合理的に発展させるという形ではなくて、カルテル的な措置を講ずるという形になつて行く。この武器製造には統制をとつて発注をなして行くというカルテル的な措置になつて行く。これは経済の原則でそういう形になつて行く。そして外国発注がなくなつた場合に、いつでも国内の防衛態勢の強化の一環しての国内武器の生産というものにこれが変質して行くことは、明らかなる筋道であると思うのです。従つて、くどいようでありますが、これは重要な問題でありますから、これらの諸問題について具体的にもつと掘り下げて大臣の話を聞きたいし、私も大臣にいろいろお伺いをしたい。私どもの考えが間違つているならば、世界経済の展望の土に立つて、それに対応する国内経済の上に立つて、十分に私はいろいろなお話を聞きたいと思いますが、今日は時間がありませんから、この程度にいたしますが、こういう武器製造統制の法案はカルテル的な措置とお考えにならないかどうか。
  65. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今のお話の点は、私が輸出産業、平和産業であるから、その発展をはかると言つたという意味のお話でありましたが、私は実は発展をはかるということは少しも申し上げておりませんので、この点はひとつ誤解のないようにお願いいたします。私どもはむしろ濫立防止するということを主眼にしておるので、見守るということをさつき申し上げましたが、平和産業としてこれを見守つて行くという意味は、濫立防止するという意味でありまして、発展をはかるという意味ではございませんから、その点ひとつ誤解がないようにお願いいたしたいと存じます。  それから今お一話の点でございますが、今のところはできませんが、私どもも、ものによつてはあるいはカルテルのようなものがつくられるかもわからないと思います。これは将来のことでよくわかりませんわと申しますのは、独禁法も改正になりませんし、今度改正になりましても、はたしてそういうことを認めるかどうかということもわかりません。これは法律上残されておつて、公取委員会がこれを認定し、それを通産大臣が認可するという建前になつておりますので、はたしてそういうことになるかどうかわかりませんが、しかし今のように多大な出血受注をやつておるという状態は、日本のためにぜひともやむべきことであるということは深く考えておる次第であります。
  66. 永井勝次郎

    ○永井委員 本会議も始まるようですから、私は今日はこの程度にとどめておきます。いずれ別の機会に大臣の時間を十分とつていただいて、武器等製造法案に関する質疑をさらに継続したいと存ずる次第であります。  本日はこの程度で私は打切つておきます。
  67. 坪川信三

    坪川委員長 暫時休憩いたします。     午後三時二十四分休憩      ————◇—————     午後三時二十五分開議
  68. 坪川信三

    坪川委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  次に電気事業に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。長谷川四郎君。
  69. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 最近の渇水状況に対する資料をいただきましたが、火力発電の状況と緊急停電、渇水とともに火力発電所は十分に稼働しているかいないかという点について私は質問をいたすべく参つたのでございますけれども、本日この資料を見ますると、幾分かわかつたような感じもいたしますので、ごく簡単に二、三この際伺つてみたいと思います。  昨年の上半期は豊水で、事業者が多大の石炭の消費残を持つておつた。ところが下期は逆に渇水が著しくて、年間を通じて石炭は消費予定数量に達する見込みか、それとも予定より以上に本年度の下半期は使つているような様相か、その状況を承りたいのであります。  さらに伺いたいと思うことは、現在のように緊急停電等が行われ、また輪番停電と称するものが行われており、需用者としても相当な犠牲を払つておる。これに対して補償料というかへ払いもどしというような声も、ただいまあちらこちらから出て来ておるのでありますが、これらに対しまして当局は何らかお考えを持つているかどうか。この二点についてお伺いをいたします。
  70. 中島征帆

    ○中島政府委員 本年度の石炭の消費状況だけを見ますと、配付資料にもございます通りに、必ずしも百パーセント行つておりません。但し石炭の消費が百パーセント行つていないときにおきましては、あわせて石油をたいておりますので、火力の発電状況としては、常に計画を上まわつておる状況であります。従つて石油は予定以上にたいておりますから、これを石炭に換算して消費状況を見ますと、当然本年度の下期の石炭の消費というものは、計画を上まわるということは必然だと思います。なおそれらを総合いたしたものが火力の発電実績という表に一括されておりますので、それをごらん願いますと、実際の火力発電の状況は計画以上であるということになるのであります。  次に補償の問題でございますが、緊急停電が起るという——これは現状でも大体起つておりますが、これは予想される火力の電力の供給に対しまして、制限が比較的にゆるかつたという場合には、実際の面がそれだけ供給が少くなりますから、その結果緊急停電という形で現われるわけであります。従つて、現在関東地区でもときどき起つておりますが、これは現在実施しております制限そのものが、実際の予想された水の出方に対しまして少しゆるすぎたということを物語るわけであります。従つてもしこの緊急停電を解消しようとするならば、現在の制限をさらに一段と強化しなければならぬわけでありますが、ただいま実施しております制限は各需用家に対しては非常に大きな制限でありますので、できるだけこれを強化することは避けたい。希望といたしまして、実際の水の出方が少しよくなるだろうという見通しのもとに、今こういうような制限を続けておるわけであります。ただ現実のような緊急停電の模様でありましたならば、実際に比較的一般に迷惑のかけ方が少いような状況で行われておりますので、まず一般の制限を強化するよりも、この程度の緊急停電的な処置で行つた方が需用家としてもむしろ望むところではないかというふうに判断されるわけであります。なおその制限が、緊急停電が非常にひどかつた場合に対しまして、補償するかしないかという問題でありますが、これは昨年の電産ストのときにもことにそういう声が強かつたのでありますが、特別に電力会社あるいは電力事業の供給に携わる者の行為等に基きまして、送電が断ち切られたというような場合におきましては、補償の問題も起き得ますが、今日のような自然状況のもとに行われますような制限ないし緊急停電に対しましては、補償ということはちよつと問題になり得ないのではないかと考えております。なお初めに申し上げましたような場合につきましても、そういうような場合にはたして補償すべきかどうか、またするとすればどういう場合にやるべきかということにつきましては、いまだ全然その可否等につきましても、私どもの方で固まつた考えを持つておらないのであります。
  71. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私がただいま申し上げたのは、労働立法というようなものを行うときにあたりましても、非常にそういう声が高い。これは一方的ではないか。会社というようなものが輪番制にしろ、いずれにしても緊急停電をするというような場合には、何らかこれに対とての補償を当然するべきであるという声が非常に高まつておるという関係から私は伺つたのでありまして、あなたのおつしやるような事情というものはよく私にもわかる。よくわかるのでそうしたくないけれども、そういうような声が非常に高まつておるということだけは、当局として頭のどこかに入れておかなければならないのではないか、こういうように考えております。現在の電力事情というものが、豊水期は需用の供給に支障を来さないが、渇水期ははなはだ支障を来しておる。これは天候に左右されるのだから年間一定の供給は困難で、生産計画というものが非常に不安定にある。たとえば今水力発電をやつておるけれども、水力だけをこれだけ大わらわでやつてつても、これの需用を全からしめるという点についてはまだ二、三年先でなければならないということも考えられる。しかしそれに対しての火力発電というものがこのごろではいろいろな面で現われて来ておるようでありますけれども、その火力発電もなかなか今の需用をまかなうだけの火力発電は出て来ておらない。そこでお聞きしたいのは、火力発電というものの中にも、重油を使うのと石炭を使うのとある。それに水力と、この三つを出して見たときに、設備費、運転費、これらに対してどのくらいの相違があるか、伺つてみたいと思うのであります。
  72. 中島征帆

    ○中島政府委員 重油をたく発電設備というものは、重油専門のものはほんの一、二例があるだけでありまして、大部分のものは一般の石炭をたく火力設備に対しまして若干の改修を加えまして、重油と混焼するというのが大部分であります。しかし単に発電コストというものだけを抜き出して考えますならば、現在の重油の値段と石炭の価格というものとの関係からいたしますと、むろん重油の方が安くつくわけでありまして、かりに火力の発電コストが八円といたしますと、重油はおそらく六、七円、それから水力は三円以下というような関係になつております。つまり水力が一番安くて重油がその次で、石炭をたく場合にはそれより高くなりますが一重油と石炭との開きはそう大幅なものではない、こういうことであります。
  73. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 今この停電に関連して自家発電——デイーゼルの発電設備というものが非常に多く使われております。一ぱい飲み屋あたりに行つてもこれらがたくさん使われておる。こういうようなものが、大小を問わず大体どのくらい普及されておるものでございましよう。その数量等がおわかりになつたらひとつ……。
  74. 中島征帆

    ○中島政府委員 重油の動力をもつて発電いたしておりますものは、たとえば一般の供給用つまり電力事業用として使つておりますものと、それから非常に大きな自家用のものは、これははつきりいたしております。これは初めのものが三十箇所で、キロワツトにいたしまして四千七百キロワツト、自家用では千キロワツト以上のものが十二箇所で約二万キロワツトということになつております。これらはいずれも相当大きなものでありまして、事業用の三十箇所は主として離島であります。ところがそれ以外にただいま御指摘になりましたように、こまかい需用家が停電事故に対処するために方々で自家設備を持つというのは、これは一昨年の暮れの大渇水以来非常に盛んになりまして、各地で起つておりますが、これは各通産局の許可ぐらいのととろで簡単に実施されますので、その数字も実ははつきりしたところはつかまれておらないのであります。ただ大ざつぱの見当といたしまして、千キロワツト未満の自家用の重油発電機が約一千百箇所というふうな数字になつております。キロワツトにいたしまして、推定で八方五千キロワツト、この一千百箇所のうちでおそらく半分以上は昨年中につくられたのではないか、実際一つ一つ調べますと、おそらくこの数字よりはもう少し上まわるのではないか、こういう状況でございます。
  75. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私は小さいものを見ると、あなたの一千百箇所は東京都内だけでももつとあるのではないかというように考えられます。こういうように需用者が最近デイーゼルの発電設備を持つということは、あなたのおつしやる通り停電が頻繁に行われるということで営業の経営上こういうことが行われて来ている。しかしわれわれが見ると、非常に無益な二重設備がされている。これも余儀ないことであろうと思うのであります。しかし今のような電力の需給の状態で行くと、将来こういうものがもつとたくさん現われて来ると思う。あなたの方でこれらの設備に対する制限ということはできますまいけれども、何かあなたはこれを処理しなければならぬというようなお考えを持つておりますか。
  76. 中島征帆

    ○中島政府委員 以前は電力関係の当局といたしまして、かような自家発設備に対しましてもある程度のというよりも、むしろ相当な制限を加えておりました。その理由は、第一には電力の供給は一般の電気事業者から供給させるのが原則であるという原則論的な建前と、もう一つは重油の供給自体が非常に限られておつたという関係から、自家発の許可を非常に厳格にいたしておりました。ところが最近ではその点を多少緩和いたしておりますが、その理由といたしましては、かなり電力の開発も進んでおりますけれども、なおかつ現状といたしましては時期による渇水等に対しまして、一般の供給力をもつてしては十分まかない得ない、こういうことと、一面におきましては重油の供給が比較的に楽になつておる。この二点からいたしまして、少くとも緊急停電を自主的に解消するために設ける設備であれば、電力の面から必ずしもこれを押える必要はないのではないか、こういう考え方から、現在ではこれを緩和いたしております。将来につきましてはやはり同じような考え方をもつて、むしろ今後はさらに一層発電設備の拡充も行われますし、一般には電力事情が好転するということを念頭に置きますならば、むしろこういうものを押えること自体が必ずしも適当ではないのではないか。ある程度指摘のような二重施設という面もありますけれども、設備自体が小さなものでありますし、そういうふうな自家発でもつて一般の供給を少しで巻緩和してもらえれば、全体が多少でも潤うという面もございますので、しいてこれを制限する必要もないのではないかと考えております。
  77. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 水力と火力発電の料金の二重制をとられておるようでありますけれども、これらの料金の統一制を望む声が非常に大きくなつて来ている。これらに対して当局はどういうようなお考えを持つておられるか。
  78. 中島征帆

    ○中島政府委員 これは理想的に申しますと、むろん一本価格で供給するのがいいのでありますが、現在のように需用と供給のバランスが、まだかなりとれておらないという状況のもとにおきまして、こういうふうな制度がとられたことは、その経緯は御了解されておるだろうと思いますが、現在かなり一般の需給は緩和されたとは申しながら、すぐさまこれを撤廃いたすということは、水力と火力の配分比率が、必ずしも需用部門あるいは需用段階別によつて一定でないのでありまして、従つて、これをかりに一本化いたしますというと、従来は、この区別があるために、非常に利益を受けておつた部門、ないしはそういうふうな需用段階——段階というのは大口、小口といつたような需用の大きさと御了解になつてもけつこうでありますが、そういうものがあるわけでございます。これを一挙に撤廃すると、その辺の関係から非常に不利になるところと、それから一面非常によくなるところと出て来るわけであります。これを非常に大きな幅でもつて調整されるということは、これはどうしても、現実使つておる需用家に対しては、よくなるところは別でありますけれども、不利になるところにつきましては、非常につらいわけでありますので、そういう方向に向つて進むということにつきましては、われわれもそうやらなければならぬと思つておりますけれども、今ただちにそういうふうに調整することにだんたん近づけて行くことが可能であるかどうかということは、数字的に供給状況等とにらみ合せて考えなければならぬことだと思います。
  79. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私も早急にこれを統一せよという考えではないけれども、これらが非常な輿論として現われて来ているようだから、当局として大いに考えて行かなければならぬ問題だというふうに考えております。時間の関係上、あとは次に送ることにして本日はこの程度で……。
  80. 坪川信三

    坪川委員長 本日はこの程度といたし、次会は明後二十五日午前十時より開会いたします。本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時四十三分散会