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1953-02-20 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十日(金曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 小金 義照君 理事 高木吉之助君    理事 今澄  勇君 理事 永井勝次郎君       河合 良成君    辻  寛一君       中峠 國夫君    福井  勇君       福井 順一君    南  好雄君      生悦住貞太郎君    高橋 長治君       山手 滿男君    伊藤卯四郎君       加藤 清二君    木下 重範君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君     ————————————— 二月十九日  委員有田二郎君及び宇田耕一君辞任につき、そ  のの補欠として田子一民君及び生悦住貞太郎君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月十九日  不正競争防止法の一部を改正する法律案内閣  提出第六九号)  鉱業法の一部を改正する法律案内閣提出第七  一号)  国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第七四号) 同月十八日  計量法の一部改正に関する請願(石坂繁君紹  介)(第二一九九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  輸出品取締法の一部を改正する法律案内閣提  出第四五号)  輸出信用保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第六六号)  化学肥料に関する件     —————————————
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議を開きます。  本日はまず輸出信用保険法の一部を改正する法律案議題といたし、政府より提案理由説明を求めます。小平通産政務次官
  3. 小平久雄

    小平政府委員 輸出信用保険法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  輸出信用保険は、制定以後数次の改正を経まして、現在四種類保険を包含する制度に発展しているのでありますが、最近の輸出取引実情にかんがみ、輸出振興の本旨を達成いたしますために、なお制度改善、追加を要する点を生じておるのでありまして、本法律案は右の立場から新たに外国為替銀行荷為替手形の買取りについて生ずる危険を担保する輸出手形保険を創設いたしますとともに、既設保険につきまして若干の改正を加え、もつて保険制度利用度を高め、普及をはかることにより、輸出振興に資せんとするものであります。  今回の改正のうち新設の輸出手形保険制度は、最近の各国における輸出取引実情にかんがみ、決済条件緩和をはかる必要に基くものであります。戦後におけるわが国輸出取引決済条件は、各種の事由によりきわめて厳格にいたしておりまして、すべての輸出取引は原則として信用状に基く決済方法によることといたしております。  しかるに戦前におきましては、信用状を用いない輸出もかなりあつたわけでありますが、最近、貿易正常化に伴い、かつまた海外との競争関係もあり、信用状なしの取引に対する要請が逐次生じて参り、このためわが国貿易市場の拡大のためには決済条件のある程度緩和もやむを得ないと考えられるに至つておるのでありまして、政府といたしましても、標準外決済許可基準を徐々に緩和いたし、特に輸出振興上必要があり、かつ弊害を伴わないと思われるものにつきましては、個々に審査した上、なるべく許可する方針をとつて参つているのであります。  しかしながら、このような信用状なしの輸出取引におきましては、代金回収のため振り出された為替手形不渡りとなつて銀行損失をこうむる危険が存在しますために、銀行がかかる手形の買取りを拒否することも考えられ、ひいては輸出不能をも来すことになりますので、今回外国為替銀行輸出手形を買取つたことによつて受ける損失をカバーするための輸出手形保険を創世いたしますとともに、手形不渡り輸出者の責めに帰さない場合は、銀行政府から支払いを受けた保険金の限度において振出人に遡求しないこととして、輸出者の保護も行うこととしたのであります。  なお右のほか今回の改正によつて輸出貨物代金の回収不能によつて生じた損失を填補する現行乙種保険填補範囲を拡大して、設備輸出に伴つて提供される技術の対価についても保険し得ることとし、また海外広告のために費用を支出したことによつて生ずる損失を填補する丁種保険適用範囲現行ドル地域から全世界へ拡大いたしたのであります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 坪川信三

    坪川委員長 次に輸出品取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑は先日で終了いたしておりますので、これより討論に入ります。討論通告がありますから、順次これを許します。高木吉之助君。
  5. 高木吉之助

    高木(吉)委員 ただいま議題となりました輸出品取締法の一部を改正する法律案について、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。  この法律昭和二十三年に設定せられ、昭和二十四年及び昭和二十六年の二度の改正を経て、さらに今回三回目の改正を行わんとするものでありまして、本邦輸出貿易の健全なる発展を期するため、輸出品声価向上及び品質改善をはかることを目的とするものでありますが、現行法わが国貿易実情に必ずしも適合したものとは言いがたいのであります。特に最近における本邦輸出品に対する海外の批判、すなわち輸出クレームの半分は品質不良に関するものであります。これを顧みますれば、すみやかに現行法の一部に所要改正を加えることが当然であります。  今回改正のおもなる点を検討しますと、第一点は、品質に関する最低標準を定め、輸出品範囲を拡売すること。第二は、仕向地別に異なる最低標準及び包装条件を定めることができるようにいたした点であります。第三は、本邦にある外国公館が送付する貨物、その他省令で定める貨物、及び主務大臣輸出品声価を害するおそれがないと認めた貨物を本法の適用除外としたことであり、第四は、被登録者登録基準を引上げ、必要な設備と十分なる検査へ及び事務所を有し、公正なる表示の業務を行うことができるものについて、民間検査機関登録を行うことにしたこと。第五は、被登録者業務規定主務大臣の認可を要することとし、その業務を真に規制するとともに、被登録者に対する監督を強化したこと。第六には、被登録者のする処分に対し不服のある者にも聴聞会開催の請求を認める等、不服申立て規定を改める等、まことに時宜に適したる所要改正を加え、検査制度を確立したものでりまして、今後ますます競争熾烈化を予想せられます国際市場において、輸出貿易飛躍的振興をはかるに最も適した改正であつて、これによつて現在の輸出不振を救う一助となることを信じて疑わないのであります。この意味において、本法案賛意を表する次第であります。ただ最後に品質に関する最低標準を設けるにあたり、適正なる標準を定めることが重大なる点でありますので、あまりにも厳格に過ぎ、かえつて輸出を阻害し、または煩瑣なる検査規定のため、かえつて業界の営業に支障を来すがごときは厳に留意すべきであることを強く要望いたしまして、私の討論を終ります。
  6. 坪川信三

  7. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 われわれの方も賛成します。
  8. 坪川信三

  9. 今澄勇

    今澄委員  私は社会党を代表しまして、本法案賛意を表し、あわせて輸出貿易に対する政府の格段の努力を要望するものであります。そもそも我が国の輸出が今日非常な停滞を見せたことは、その主要な原因が輸出主産物コスト高、あるいは海外における市場の未開拓並びに経済外交条約等の未締結、さらには政府の熱意の不足、その他生産技術向上に対する国家的処置遅延等々数々の理由がございます。だが私ども日本自立経済中心が、わが日本貿易振興にあることを考えるならば、この際この法律に見られるごとき種々なる改正はもとより必要であるけれども、基本的なわが国内の輸出態勢の確立と、日本計画的な管理輸出態勢が十分検討されなければならないものと思います。  以上政府は本輸出品取締法の運用にあたりましては、これらのいろいろな方面に対する留意をいたしながら、今後の輸出増大のために努力せられんことを要望いたしまして、本法律案賛意を表します。
  10. 坪川信三

  11. 永井勝次郎

    永井委員 私は日本社会党を代表いたしまして、二、三の希望条件を付しまして本案賛成の意を表明しようとするものであります。  現内閣貿易政策というものは、外交行き詰まりあるいは経済政策行き詰まりというようなものがしわ寄せされて来て、政府として当然貿易振興の面に果さなければならぬ役割を果さないで、そのしわ寄せを国内業者に持ち込んで、いろいろな無理な条件をしわ寄せしておるということが言われると思うのであります。そういうものの一つがこういう法案の形になつて現われて来ておると考えます。従つてもろもろ貿易関係の具体的な施策は、日本貿易を大きく振興させるという基盤の上に立つ外交政策によつて、いろいろ国際間に出て来ておる問題を処理しながら、そのうちの国内において果さなければならない部分だけを国内に持ち込んで、その態勢を整備するという基本的な態度をもつて行かなければならないと思うのであります。  そういう意味において、今の内閣政策を見ますと、貿易振興経済外交ということを言いながら、予算の上に現われておるものは問題にならないほどの少額であります。これをもつて貿易振興する人だ、経済外交であるというようなことを言われることは、おこがましいことであるとわれわれは考えます。従つてほんとうに、日本自立経済貿易によつて確立しようとするならば、もう少し大きな予算を獲得すべきであり、通産行政重点貿易振興に置いて、もつと活発にやらなければならない。こういうことを怠つて国内のいろいろ自分の手がけておおる部分の修正だけをちよこちよこつて、そうしてこれが輸出振興である、あるいは貿易振興するところの一つ方法であるというようにごまかしておることは、われわれは断じて許せないと考えるのであります。この意味におきまして、貿易振興にもう少し本格的な力を入れ、経済外交によつて、生起されておる貿易上の諸条件打破つて、当然国内産業として国内業者が負担しなければならない部分だけを国内に持ち込む、こういう態勢を整備せられんことを要望いたしまして、本案賛成の意を表するものであります。
  12. 坪川信三

    坪川委員長 討論はこれにて終了いたしました。  これより採決に入ります。本案賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立
  13. 坪川信三

    坪川委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なおこの際お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なければさようにいたします。     —————————————
  15. 坪川信三

    坪川委員長 次に化学肥料に関する件について調査を進めます。質疑通告がありますから、これを許します。今澄勇君。
  16. 今澄勇

    今澄委員 私は日本輸出工業についてこの際全般的に考えなければならぬと思いますが、重化学工業重点主義産業構造をとつておる政府が、重化学工業輸出市場の開拓とこれが振興策について何ら見るべきものがないことは、まことに遺憾千万であります。われわれが重化学工業といえば、アンモニア系肥料工業その他、これに連なるもの、あるいはソーダ工業等の二大宗の中でる化学肥料はこれらの重化学工業重点的な主産物であることは、すでに論をまちません、しかるにこの肥料工業が重大な問題になつておるときに、当通産委員会としては肥料に関する政府所管行政審議する委員会として、私は肥料工業国内における農村への供給だけに一体とどめようとしておるのか、それとも肥料工業重化学工業輸出工業として保護育成しようとしておるのかどうかという根本的な問題を、本日は通産大臣にお答えを得たいと考えておりましたが、大臣は他の委員会へ御出席だそうでありますので、まず通産次官から政府肥料工業に対する原則的な認識をこの際お伺いをしておきたいと思います。
  17. 小平久雄

    小平政府委員 重化学工業、特に肥料工業重要性につきましては、今澄委員のとくと御承知通りであります。これが将来につきましては、もちろん当局におきましても、ただ単に国内、の需要を満たすというばかりでなく、輸出工業として、しかも重化学工業のいわば中心的な大宗的な存在として、どこまでもこれを指導育成をいたして参りたい、かような考えでおるわけであります。御承知通り肥料工業、特に硫安につきましては、その原材料等はすべて国内産で間に合う、こういつた種類産業でございますので、その面からもわれわれは輸出工業として重視いたしておりますし、また特に東南アジア方面後進諸国におきましては、言うまでなかなかまだまだ農業が産業中心である以上は、わが国におきまして肥料工業を大いに興しまして、東南アジア方面にもこれが輸出をはかるということは、これは広い意味での国際協力といつた面からいたしましてもきわめて望ましいことであります。かような見地からいたしまして、われわれは肥料工業を、冒頭申しましたことく、ただ単に国内需要を満たすばかりでなく、輸出産業としてこれをどこまでも発展させて参りたい、かような基本的な考えのもとに進んでおるわけであります。
  18. 今澄勇

    今澄委員 政府肥料工業に対する基本的な考え方については、さらに将来日本輸出工業産業別に大別いたしますると、肥料を四百万トンくらい生産をして、日本の大きな輸出収支中心に持つて行くくらいの抜本的な考え方をしなければならない時期が来るかもしれないほど日本の軽工業鉄工業その他の工業世界輸出市場における力というものはまことに微弱なものがあります。私はあとで通産大臣にも聞かなければならぬのであるが、先般予算委員会において、通産大臣は、硫安輸出価格コストを割つた出血輸出かどうかわからないということを答弁せられておる。私は一国の通産行政を預かる責任者としては、かような重要な、今小平次官がお述べのような輸出工業大宗にもしようというべき肥料工業輸出が、今出血原価を割つておるのか、それとも黒字であるのかわからないというような答弁は、まことに不謹慎きわまるものであると思います。そこで次官にお伺いしますが、日本の現在の輸出価格というものは、大臣答弁をもつてしては何ら明確でないが、事務当局なり、その他正確な基礎の上に立つ方として、現在の輸出価格についての御見解をお伺いしておきたいと思います。
  19. 小平久雄

    小平政府委員 いわゆる出血輸出の問題でありますが、これがはたして出血であるかどうかという点につきましては、先般大臣からも御答弁があつたのですが、はたして出血かどうかわからないという意味は、今澄委員のよく御承知通り硫安製造工場個々につきまして考えますときに、コスト相当上下があるようであります。従いまして、その個々工場の場合によつて、非常に事情が異なると思うのであります。特に現在におきましては、各工場のロストといいものを、率直に申して必ずしも正確に当局においてとらえていない、そういう点からいたしまして、出血だといたしましても、どの程度出血なのか、そういう点が必ずしも明らかになつておらない。こういう意味大臣からも申し上げたものと了承いたしておりますし、また現実にさような事情に相なつておるわけであります。
  20. 今澄勇

    今澄委員 出血輸出か、どうかわからぬという御発言があつたが、国内価格については、今度農林大臣は五十円の引下げを、通産大臣は四十円の引下げを勧告されております。私は根本的な問題については一ぺん会を改めて、関係大臣にみな出てもらつて質問申し上げたいが、そうすると、どうもはつきりしない諸条件の中に立つて、一体春肥応急対策として四十円方下げたらどうだという勧告をした一つ基礎というものは、通産事務当局として一体何を基礎にして四十円の引下げが妥当であるときめたのか、お伺いしたいと思います。
  21. 小平久雄

    小平政府委員 先ほども申しましたように、はたして出血であるか、どうかということは、個々工場条件が違いますので、必ずしも明確にわからないということが実情でありますが、しかし硫安工業全般として考えますならば、大体この程度にできておるだろうという推定はもちろんできるのであります。また御承知のように、ただいま開かれております肥料対策委員会におきましても、硫安メーカーから、総括的な原価計算も提示されておるわけであります。その他電力事情であるとかあるいは石炭事情であるとか、各般の情勢考慮いたしますときに、少くとも若干の引下げということは、この際可能なのではないか。特に政治的な考慮がはたして適当であるかどうかということもありますが、出血輸出ということが非常に大きな問題となり、政治問題と化しておる際におきまして、肥料の最も大きな需要家である国内農民心理等も、この際は若干考慮いたさなければならないであろうという客観情勢にあることは御承知通りであります。これら企業自体事情、あるいは一般客観情勢等考慮いたしますときに、この際、相当程度国内安定帯価格引下げも可能である。また当局においてもなすべきであろうと考えておるわけであります。
  22. 今澄勇

    今澄委員 私は日本産業構造の将来の考え方輸出重点主義的な政府中心的施策ということになると、そういうような自信のないものの扱い方は、まじめに物事を考えておる人に大きな失望を与えると思います。私どもは、農民が要望するように、安い肥料の提供と、国際的な価格に打ちかつだけの肥料コスト引下げを実現して、なおかつ政府が許しておる私企業の肥料工業が成り立つという姿が、最も根本的な理想的な姿であつてそういう方向へ向つて行くことを心から望んでいるが、それにはやはり一つ一つの問題を取上げて、基礎的な政策と、通産省としての産業的なあらゆる配慮の裏づけがなければならぬのであつて、政治的な考慮その他から漠然と、この際この程度引下げが妥当であろうというような理論は、通産当局考え方としては、まことに失望を禁じ得ない。特に硫安会社コストを見てみると、もとより各会社ごとコストが違つております。現在電力も相当割当てられ、資材的な面、電力割当等の面を見ても、これ以上コストの下らぬ会社もあろうし、あるいは石炭に一大量の補給金をつけてコスト引下げれば、うんとコストの引下がる会社もあろう。会社によつて大体四千円ぐらいの差は概算しただけでもすぐ感じられるのでありますが、いろいろコストの開きのある現在の硫安会社現状を、ただそのまま放任しておいて、肥料価格だけを漸次切り落して行くということになれば、だんだん弱小会社が壊滅して行く方向へ向わざるを得ない。そういう方向へ大体向つて行く現状をながめて、政府として一体、どういう対策を立てようとしておるのか、肥料工業に対して、具体的に申せば、コスト引下げは、第一設備近代化合理化をやらなければならぬが、これらの設備合理化については、西欧諸国硫安工業現状から見ると、やや遅れたものもある。これらに対しては、どうしても国家財政投資あるいはその他の資金的なめんどうを見なければならぬ。炭価引下げは、先般のこの委員会においてお話がありましたように、言うがごと炭価が引下らないとすれば、硫安関係の将来の大きな基本的の構想としては、石炭輸入石炭に対する補給金の二つが出て来るが、これらの問題を一体政府はどうするのか、なおコストの開いている各工場を、集中的な大工場中心主義にして、弱小メーカーに対する助成をしようというのか、具体的には、当委員会において、これまで政府肥料工業に対する輸出工業としての育成について、何ら見解を表明したことはない。そこで今度の応急的な春肥に対する当衆議院の決議あるいは肥料審議会の意見等々の問題は、一応現在進行中であるから、もう少し事態がきまつてから私は質問をするとしても、少くともその根本的な、四十円なら四十円を引下げるについての、政府がとるべき態度というものが、具体的には一つもないということでは、私は、産業政策は打立てられないと思う。数字と具体的な方途をあげて説明をされたい。
  23. 小平久雄

    小平政府委員 ただいまお話通り当局におきましても、もちろんただ単に値を安くさせるだけに重点を置いて、肥料工業というものを考えておるのではないのでありまして、長い目から見ますならば、肥料工業が健全に発達をするということが、結局は国内需要家のためでもある。かような見地からいたしまして、肥料工業がどこまでも健全に発達をいたして行くという方向において、今後とも指導いたして参る考えでおるのであります。また、いかなる具体策をもつて価格の低下に臨むかという御質問でありますが、これにつきましては、御承知通り肥料対策委員会からも、あるいは電力割当の増加であるとか、あるいは輸入炭を認めるとか、あるいは財政資金金利引下げるとか、運賃の問題、これらにつきまして、すでに答申もございましたし、また両院におきまする決議あるいは申入れ等関係もございますので、当局におきましても、具体的に、これらの問題につきまして、ただいま取急いで検討をいたしておるわけであります。電力につきましても、われわれは、もちろんでき得るだけの配慮をいたしたいと考えておりますし、また原料炭の問題に対しましても、これは広く一般に御承知のごとく、目下炭価引下げという問題ととつ組みまして、いろいろ研究をいたしておる際でありますが、特に輸入炭を入れるという問題につきましては、昨年も相当入れておるわけでありますが、今後、硫安価格の問題ともからみまして、さらに検討いたしたいと存じておる次第であります。また、金利等の問題につきましても、従来各硫安会社が借りておりまする残高が、大体五十億程度に相なつておるようでありますが、これの金利が、現在一割になつておる。これを造船並の七分五厘程度にまで、ぜひとも引下げたい。これらの問題につきまして、通産省としてできますことは、もちろん積極的に進めておりまするし、他省との関係のあるものにつきましては、それぞれの主管大臣に対しまして、目下交渉中であります。なお、詳細の点につきましては、局長から御答弁いたさせます。
  24. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいま政務次官から御答弁を申し上げ、私が補足して詳しく申し上げるほどの点もございませんが、肥料工業に対する通産省の助成問題はどうかということでございます。電力の問題が非常に論議されておりますので、従来の、肥料工業に対します電力配慮の概略を申し上げたいと思います。  肥料工業を、輸出工業として育成するという方針が、一昨年の秋と記憶いたしますが、当時非常に渇水期でございましたが、政府は、閣議決定をもちまして、当時の暫定計画に対する一割の電力増配を行いました。そうして東南アに対する輸出の第一歩を踏み出したのでありまして、本肥料年度並びに昨肥料年度の後半におきましては、非・常に豊水に恵まれまして、計画に対します増産が、著しく高度に達しておる状況であります。このような状況で、肥料工業輸出工業化いたすという、現在はちようど過渡的な、きわめて大切な段階でございまして、この際に、輸出工業化ということをさらに一歩を進めたいという心境にございまして、その際、特に考慮いたします二、三点、電力問題に対し通産省が努力いたしておる点を、数学的に申し上げますと、化学肥料は、昭和二十七年度の計画で、全国大口工場の総割当量百二十億キロワツト・アワーのうち、約二七・五%に相当する三十三億キロワツト・アワーの電力供給いたして、最大の部門を占めております。この電力は、もちろん化学肥料工業コストを低くするという建前から、標準料金を原則として供給する建前にいたしておるのでございます。昭和二十七年の一月から十二月の実績を見ますと、化学肥料部門全体として、その生産のほとんど全部を安価な標準料金のみで行つておる状況でございまして、特に化学肥料のうち、電解硫安は、火力料金を全然使つておりません。ガス法硫安は一・二%、石灰窒素につきましては一・一%、このような火力料金の少い部門は、他に類を見ない状況でございます。こういうような電力料金における優遇措置ということが、今日の化学肥料工業を培養した、著しい政府施策の現われであろと思うのであります。この点につきまして、もし硫安工業界その他において、政府電力配当に対する態度が不十分だとお感じにたりますれば、私は、この電力配給の状況から判断いたしまして、政府電力に対します努力は、非常な努力であろということを、ぜひ理解していただきたいと考えるのでございます。今後、電力量の増加ということが、もちろん考えられておりますが、一般産業需要からいたしますと、電力の自然増、開発計画の進捗に伴います自然増を上まわる状況であることは、御承知通りでございます。かりに大口産業の約二分の一を占めます化学肥料に、さらに標準料金分を五%追加いたしますならば、他産業に対しまして二・五%の追加電力料金を強制するような結果になると思うのであります。標準料金、追加料金、特に火力料金との平均の数を申し上げますと、安価な標準料金は、地区により違いますが、最低〇・八八円、最高二・七五円で。ございますが、これを追加料金で考えますと、最低七円四十銭から最高十円五十銭になるのであります。追加料金の二・五%の他産業べの影響ということは、全産業の観点からいたしましても、相当慎重に考慮いたさなければならぬ点かと思うのであります。もとより、今日の肥料工業を推進いたします関係で、通産省は、これらの状況をも考慮に入れて、できるだけ電力の配当をふやそうという努力をいたしておることは、従来とかわらないのでございます。ただいま政務次官から申し上げた点も、これらの諸般の情勢考慮いたしまして、化学肥料工業電力の増強あるいは割当の増加ということを、さらに検討中でございます。  第二の点といたしまして、肥料工業合理化、特に設備近代化でございます。終戦後のわが国一般産業界も同様でございますが、化学肥料工業が特に農村の経済と密接不可分であり、日本の経済の基盤をなします農業の回復という観点から、終戦後肥料工業の再興ということに第一目標を置きまして、逐次財政資金の放出をいたしまして、設備の拡充、近代化ということを推進して参つておるのでございます、今日財政資金の貸出高は五十億になつております。もちろん今後におきます財政資金の放出も、特に化学肥料工業の割高と考えられる部分に対し、集中的にやつて参りたい。特に当委員会においても先般申し上げましたように、わが国の化学肥料工業、特に硫安におきまして、電解法並びにガス法の両法が併用されておりますが、割高でありますコークス法のコスト引下げのために、西独で最近実施に移りましたコツパース法による粉炭ガス化、これは相当大幅の投下資本を要するのでございますが、これを推進するというようなこと、そのほか先ほどもございましたが、脆弱なる企業に対するコスト引下げ個々会社の名前を申し上げることははばかりまするが、かつて物価庁の価格統制時代がございましたが、当時三グループ制と申しまして、コストの基準によりましてA、B、Cクラスをわけまして、それに対する価格補給金制度でこれらの企業の育成をはかつたことは顕著な事実でございまして、その三グループ制におきまして、Cのクラスに属するものの操業度の上昇と合理化、特に、単独なる硫安工業が、化学工業として総合企業としての欠点がありまするので、これらの企業に対しては他の有磯合成企業をもあわせて行い得るよう指導して、これに対して開発銀行の融資をいたしておる状況でございます。これらの企業の上から申しまして、弱体であると考えられる企業に対する特殊の考慮と、これの指導については、従来も行つておるところであり、現在も行つておるところであります。肥料工業に対する国家助成としては、私はこの方法は間違つておらぬと思うのでございます。またこの方法をさらに推進いたしたい考えでございます、  次に第三点として、硫安コスト国際競争力の培養の問題でございます。これは先般当委員会においても、通産省の最終の目標ということ、長期にわたるいわゆる総合経済の合理化を含めまして、これを推進する、その必要のあることはもちろんでございまして、その線で日本の、安工業の割高であると考えられるコークス石炭法のコスト引下げのためには、特にこの基礎をなしております石炭鉱業の合理化、縦坑開発計画による冬季ロスト高の引下げ計画、並びに石炭鉱業に対する金利引下げ等、そういつた意味におきましての基本的な線を進めております。これは肥料工業自体の合理化というものと相まちまして、逐次効果を現わす部面と考えるのであります。石炭法、ガス法と電解法とのコストの差は、豊水あるいは渇水期において操業度の異なることから、当然この間に異動がございますが、純技術的に申し上げまして、電解法とガス法との差は、おそらく一トンについて二千円あるいは三千円の開きを持つというのが、一つの型でごいます。今日では電力不足状況にかんがみまして、重点をガス法に置いておりまするが、電源開発の推進に伴いまして、これを電解法に重点を漸次移行するという方向に至りまするならば、この点におきます国際競争上の利益というものは、ただいま申し上げました数字から想像いたしていただきたいと思うのであります。  さらに、これらの合理化と伴いまして、肥料工業国際上どういう立場に置かれる結果に相なるであろうかという問題に相なりますが、もちろん今日の肥料工業の操業度は、硫安工業において大体二百万トンと考えられるのでございます。この二百万トンのうち、同内の需要、これはもちろん価格その他の異動から、多少の異動は起ると思いますが、おおむねこれを百五十万トンと想定するのが現在の常識でございまして、しかる場合におきまして、さらに輸出でき得るものは四、五十万トンでございます。もしこのような輸出が着実に行われますならば、日本東南アに対します、特に日本に近い韓国、フイリピンあるいは台湾、そういうものに対する需要の、全部とは考えられませんが、相当大きな部分供給し得るのでございます。  この地域に対します欧州硫安との競争関係を数字的に申し上げますと、昨年の秋の終りごろでございます。最も日本が船運賃の上において非常な不利に陥つたときでございます。このときの状況を前提といたしまして、数学的にこれをはじきますと、欧州特に西独から東南アジアに参りますドイツのF ○B硫安価格ガ、四十五ドル見当でございます。これが当時船運賃は八ドルないし十ドルでありました。従いまして、東南アに対しますCIFの価格は五十三ドルから五十五ドル程度わが国の当時のFOB価格が六十五ドルと想定いたしております。安定帯価格の九百円に船積みの費用と国内運賃プールとの差を加減いたしまして、FOB六十五ドルというものを想定いたしまして、東南アに対する船運賃は、当時三ドル程度で、CIF六十八ドル、これらの想定をいたしますと、その差は相当大きいのでございます。十三ドルから十五ドルに相なるのでございます。当時の欧州からの船運賃の八ドルから十ドルというものは、異常に低額でありまして、普通に考えるときの約半額とも称せられたのであります。もちろん日本からその地域に対する船運賃は、ほとんど当時それ以前と異動ございません。今日も異動ありません状況であります。このような状況でありますが、特に韓国、台湾、フイリピン、こういう地域に対するものは、欧州からの船運賃はインド、パキスタンに比べてさらに高くなりますので、十ドルの価格上の引下げができるならば、これらの日本ときわめて経済的に緊密であります地域に対する輸出は敢行し得る、こういう見通しが立つのでございます。先ほど申しました通り石炭鉱業、あるいは電源開発、化学肥料工業自体の合理化によりまして、十ドルの価格低下を期待することは、これは明瞭なことでございまして、こういう意味合いにおいて、化学肥料工業、特に硫安国際競争力の培養ということは実現し得ると考えるのであります。     〔委員長退席、高木委員長代理着席〕  昨年十一月、インドに対しまする輸出価格が非常に割安であつた、こう考えられたのでございますが、当時私たちが一番懸念いたしたことは、この輸出をやめるか、あるいは硫安の操業度を落して操短するかという岐路に立つたのであります。私はこのときに、輸出工業として硫安工業を伸ばすという見地から、操短の道を選ぶのは不適当でないかという結論をいたしまして、インドに対する輸出を敢行いたしたのであります。それから、その後韓国向けの輸出その他につきましては、もちろん国内価格に対する関係で、いろいろな論議を生んでおりますが、経済の歩みとして、当時の価格の推移が今日どのようになつておるかということを数字的に考えますると、その後、現在わが国硫安輸出引合いをいたしておる国の引合い価格を一、二申し上げますと、韓国はCIF六十七ドル引合いをいたしております。台湾は一六十五ドルに引合いをいたしております。フイリピンはやや下まわつておりますが、これらの大口と考えられます地域についての輸出引合いはすでに上昇の道をたどつております。これらの輸出引合いの状況を捕捉いたしまして、適正価格による輸出ということを遂行することが硫安工業の生きる道と考えるのであります。私は今日の生産状況からいたしまして、こういつた適時適宜、適正輸出ということを今後特に考慮して参りたいと考えるのであります。  さらにごの事態を明らかにいたしますために、肥料生産状況を申し添えますと、硫安工業の今日のいわゆる価格引下げという問題もございますが、むしろこのような問題を業界としてはできるだけ国際価格に調整して行くという気持を表わしまして、このような適正輸出の機会をとらえるといつたような経済全体としての円滑な運営を期待するのがむしろよいのではないかと思うのであります。そういつた点を特に明らかにいたすために硫安生産状況の数字を申し上げます。  本肥料年度、すなわち昨年八月から本年の一月まではすでに実績は明らかになつておりまして、九十八万八千トンでございます。一月の渇水期といわれた時期におきましても、政府電力の特配について非常な努力をいたしまして、十四万一千トンの計画に対して二万トンの上まわりを示した状況でございます。二月におきましては十二万三千トン、特に質問者の御指摘にございました脆弱な企業に対しては電力を増配いたしております。二月の生産実績もおそらく一万トンを上まわるであろうと考えられておる状況でございます。かりに二月以降本年七月までの最初の計画がそのまま実現いたしたと考えますと、百九十八万一千トンになると考えられますので、これを現在までの輸出の四十数万トンを輸出いたしましても、本年七月末の在庫は四十万トン程度になりますので、私はこの際こういつた趣旨で肥料工業の安定をはかりたいと考えます。
  25. 今澄勇

    今澄委員 いろいろ詳細な数字をげての御説明がございましたが、私は今の肥料工業対策は、どうも根幹に触れておらぬのではねいかと思う。言うならば、電力がそれほど今最大の優遇がしてあつて、これ以上なかなかむずかしいのに、今後電力割当てをうんとふやしてコストの引下けをするということは実行が不可能である。もう一つ石炭について総合的な対策をやると言われておるけれども通産省が行つておる縦坑の財政投資についても、昭和二十八年度の予算に付随する財政計画から見るならば、まことに微々たるものである。外炭の輸入についても、先般の赤坂会談の結果見るべき外炭の輸入がないか、たとい外炭を輸入しても、それでは具体的には幾ら運賃を込めて、日本のカロリーに比べて、下るのだという比較対照の引下げもない。さらば金利引下げについてこれこれこうやるのだという方法もない。しからば石炭に対する助成金をやろうかというならば、それもない。ただ漫然たる努力をしておるという数字だけで、一体硫安価格が下り、国際競争力が増すのかどうかということを私は聞いておるのであります。私はかつて日本肥料工業政府の大きな保護と助成で今日発展して参つたということを認めるにやぶさかなものではございません。確かに三クラスにわけて、おのおの原価計算をいたしまして、戦後の荒廃せる産業の中からす早く肥料工業が立ち上つたということは、国民食糧の緊要なるとき、農村方面の要望もバツクとして、政府が努力して来た過去の実績というものに対しては、少くとも片山、芦田の両内閣を通じて肥料工業基礎が大体確立したのであるということは私言えると思います。しかるにそれらの肥料工業が持つておる矛盾の解決もやらないで、これをただ自由経済という一つのイデオロギーのもとに放任して、そうして現在これらの弱小メーカーの問題、そのおのおののコストの問題、電力の問題等の大きな壁にぶつかつておる感じのある今日において、肥料の値段の引下げ国際競争力の維持等が問題となつておるのであるから、それに対する政府の具体的な対策を示されたいというのが私の質問の要旨でございまして、過去の肥料工業に関する実績は、今日に至るまで七年間、私も通産委員の一人として詳細勉強して来て、御指摘の通りつておるのであります。電力は今が最大の割当で、今後電力の面においてめんどうを見るとするならば、一体何キロワツトいるのか。石炭については、西ドイツの硫安日本硫安を比べてみるときに、石炭価格の面においては日本硫安が使つておる石炭コストは、少くとも私は五、六千円高いと思います。これらの西ドイツの石炭価格、あるいはアメリカの石炭価格、イギリスの石炭価格と比べて高いこの石炭価格が、政府計画では年内にせめて一割五分下る、それもわが党の伊藤委員質問に対してはむずかしいという話であつたが、予算委員会では一割五分ということであるが、この数字から割出してみると、肥料価格の面に及ぼすガス工業における石炭価格引下げはとてもできないのであるから、これについてはプラント輸出において二十六億ドルを通産省が要求したような、一つの助成的な、あるいは国家補助的な計画が一体あるのかないのか。これらの問題について、なければ、今のところ検討して次の委員会に報告をするなり、これからどういう方向でやるのか、それらの点について政務次官からもう一度明確に率直なお答えを願いたいと思います。
  26. 小平久雄

    小平政府委員 電力について今後どれほど増配するかという点につきましては、先ほどもお答え申し上げました通り、また局長から詳細御答弁申し上げました通り、従来から非常に肥料工業については優遇いたしておるわけであります。今後具体的にこれを何パーセント増すというようなところまではまだ結論が行つておりませんが、この点は十分地産業への影響等も考慮いたして決定いたしたいと考えておるわけであります。また石炭の問題につきましても、お話通り、なかなか速急なる効果というものはいろいろな策を行いましても出て参りませんが、しかしながらやはり石炭鉱業を根本的に建て直すと申しますか、合理化して行く、こういう建前から進んでおるのでありまして、お話補給金等によりまして値下げをいたして行く、こういう考えは現在のところ持つておりません。これはひとり石炭鉱業に対してばかりでなく、あるいは肥料工業その他の産業についても補給金政策というものは現政府としては考えておらないわけであります。なおまたそういつたもろもろの施策を行いましても、効果があまり現われぬじやないかというお話でありますが、これは今澄委員も御承知通りただいま問題になつております肥料について考えますと、肥料の統制を解除いたしました二十五年の六月を一〇〇といたしますと、昨年の十二月末は一一三・五という指数に相なつておりまして、他の一般物価指数に比べますと、最も騰貴率の低いという状況を示しております。これというのも、先ほど来申し上げましたようなもろもろの施策があずかつて大いに力があつた。また肥料工業に対しましてこれを統参制する、あるいは管理するという考え方でありまするが、われわれはそういつた方向をとるよりも、やはり自由企業のもとにおいて企業自体の努力というものがこの間にあつて政府施策とともに大いにあずかつて力があつた。また今後においてもこれが最も基本的な立場でなければならないと考えておりますので、これに対して補給金をやつて行くとか、そういつた考えは持つておらないわけであります。
  27. 今澄勇

    今澄委員 委員長から時間について、同僚委員質問もあるし、早くしてくれという話がありましたので、重大な根本問題はこれから入るところでございますが、私の言いたいのは、まず第一番に肥料審議会で出されている肥料原価計算書について、肥料審議会肥料審議会でエキスパートをあげて審議をいたしておりますが、この原価政府としてはどういうふうに認めておるのか、しかしてその各社別の原価計算に基いてこれが出血であるか、あるいは妥当であるかどうかという比較その他のことを政府はやらなければならないということから考えるならば、私はその最終の値段だけを何らの基礎もなく、下げたらどうかというような自由経済というものが一体あるのかどうかということを一言申し上げておかなければならぬと思います。少くとも自由経済市場において、政府がこれに対してこれだけ下げるべしというような自由経済的なやり方については何かそこに大きな欠陥はないかということを御注意を申し上げるとともに、もう一つ、今の政府原価計算書についてどういう権限を持つておるかということについて、もし政府の方で御答弁が願えるならば御答弁を願いたいし、願えないならばこれはまた次の機会に譲りたいと思います。ただ私が言いたいのは、おのおのの政党においても、通産関係委員と農林関係委員とが肥料の根本的な対策の研究会をつくつて、これらの肥料工業の根本的な対策を樹立しようとするときであるから、当通産委員会において、もし今後肥料の値下げを行つて行くことになれば、私はやはり事業者代表なり、消費者代表なり、あるいは学者なりに、これらの肥料工業の根本的なあり方についての見解を広く求めるような公聴会も、当委員会が行い、しかして当委員会はその生産合理化とについての委員会としての根本的な政策もつくり、法案的な処置も講ずるというようなことで当通産委員会が活動をしなければならぬのであつて政府はこの機会に肥料工業に対する具体的な立案をするように課題を申し上げておきます。それからもう一つは、今そこに出席されました農林省の方に伺いたいのであるが、要は、農民の手元に安い肥料が行くということである。しかるにこれらの硫安製造業者のコストは非常に論議せられておるが、中間仲介機関であるいわゆる配給関係に携わつておるところの利潤が、農林省の資料によつて見ると、そのマージン百円と発表になつておるが、一体農林省はこれらの中間業者の手数料というものを十分検討したことがあるのかどうか、そうして肥料メーカーの利益が一体幾らになるかということを今聞いたけれども通産省ではわからないが、その中間配給機関が一体百円も諸掛り、運賃その他が占めるのかどうか、この生産者と農民の間に立つておる肥料の配給マージンというものについての検討と、それに対する農林省当局の今後の処置その他についてお伺いしたいと思います。
  28. 小平久雄

    小平政府委員 肥料原価についてこれを正確に定めますために、何か考えていないかという御趣旨だと思いますが、この点につきましては、農林委員会等におきまして、あるいは予算委員会におきまして、農林大臣からも原価を見る方法については、ひとつ必要とあらば法的な処置も講じてしたらどうかということを農林当局において研究しておる。この点は通産省の方とも打合せた上で善処したいという趣旨の御答弁があつたようであります。まだあらたまつての御相談はないと思いますが、ただこの点につきましては、御承知のように現在まだ物価統制令も生きておりまして、その施行令の第四、第五、第六条、この三箇条によりまして原価計算をさせるなり、あるいはそれを提示させるなり等の規定もこの物価統制令にあるわけであります。従いまして両大臣の協議の出て、これは原価までも見て行こうということになれば、この法令によつてもでき得ることだとただいまのところ考えております。いずれにいたしましても、この点は両省において協議の上善処いたしたい考えでございます。また御要望のありました国会を含めての肥料対策のための審議会でありますか、そういつた会等につきましては、これは通産省といたしましても研究をいたしておきたいと思います。
  29. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいまのマージンの問題でございますが、メーカーの出し値と小売価格との差ということに相なろうと思うのでありますが、百円という数字は、これは少し大き過ぎると思います。そういう事態はおそらくないのではないかというように思います。もつとも肥料価格の動きます場合には、生産者の出し値と消費者の買値の時期的なずれがございますので、あるいは局部的な点を見ますと、そういう数字が出たことがあるかもしれませんが、一般的に見ますと、そういうことはなかろうと思います。特に硫安につきましては、配給マージンが実は非常に薄いのであります。百円という数字にはおそらくなつていないように考えます。もつとも肥料によりまして若干違いまして、過燐酸肥料といつたことになりますと、若干違つて参るのでありますが、今おそらくお尋ねになりました硫安につきましてはマージンは薄いのではないかと考えております。
  30. 今澄勇

    今澄委員 私もこれで質問を終りますが、今の農林省の説明は農林省が出されている統計を一ぺん自分でお読みになつて、その数字をひとつ御検討を願うと、いかにあなたの答弁がずさんであるかおわかりになると思います。農林省の統計ではマージンの欄に百円となつている。今日は時間がないが、この次にはどこのメーカーがどういうところに売つてどういう中間機間がどの程度でやつたということをあなたに御質問申し上げますから、農林省としても十分御検討を願いたい。これらの中間機関の肥料配給のマージンというものに対する今の農林省の態度はまことにずさんであると思う。もう一つ私は、この肥料の配給には輸送の貨車繰りが必要であると思う、現在肥料は国鉄の輸送の状況とにらみ合して、大体連日貨車繰りをとつて輸送が行われておるのであるが、私はこれらの肥料の輸送について現在の状況を見ますと、どうも今肥料の中間業者が手控えて、これらの肥料問題の成り行きを見守つてつて、貨車はあいておるけれども肥料を積まないのであるから、これらの貨車は利用されておらない。そして需要期が一ぺんに来て、その際一気に積もうと思つても、駐留軍その他によつて、輸送の割当というものがそう急に肥料の方にとれるものではないのであるから、たといどのように申合せがされても、これらの中間マージンをとる連中の思惑による輸送の関係から、自由競争であるから逆に農民の手に渡る肥料価格がつり上ることなしとしないことを恐れるのである。肥料の問題はただ単なる価格の問題のみではなくて、これらの中間マージン並びに輸送等の問題とも関連して、適期に安い肥料農民の手に渡るための万般な態度が一体農林省で講ぜられておるか。もし中間機関の売り惜しみや、工場にはストツクがあるけれども、輸送機関の不足等から来る値上り等に対して、農林省はどういう見解を持つておるかという点について答弁を求めて私の質問を終りますが最後に委員長に私から申し上げたいことは、私はちようど旅行中でありましたが、この肥料問題に関して当通産委員会は、こういう日本産業の根幹をゆるがすべき重大な問題を、農林委員会だけの一方的な決定にまかして、そうして日本の経済全般から来る影響、その他化学肥料輸出産業についての態度について、通産委員会がその委員会の立場から十分審議しなかつたことを私はまことに遺憾といたします。よつて委員会肥料に関する根本的な対策も立て、あるいはまた政府、特に農林省に対してこれらの具体的な数字を求め、われわれはこの際将来の輸出産業育成意味において、肥料工業の根本的な対策を立てるべくこの委員会が十分活動することを要望いたしまして私の質問を終ります。
  31. 小倉武一

    ○小倉政府委員 御質問の点まことにごもつともでございまして、私どももその点非常に心配いたしまして、実は慎重に処置を講じておるのであります。今春肥価格がいろいろ問題になつておりますので、関係の配給業者あるいは消費者が手当を手控えるということになりますと、最盛期になりまして一時に需要が集中するということになりまして、いろいろご指摘のような心配の点が生じて参ります、そこでこの間の肥料対策委員会におきましても、さような事態がないように、お役所の方にも措置をするようにという忠告、御勧告もございましたので、さような趣旨によりまして今のような心配がないようにいたしたい、かように思つております。系統の協同組合の関係等におきましても、仮の価格で契約をいたしておりまして、また業界の方も十分に御協力をいただきまして、月約七万トンくらいのものが契約をいたしております。また卸売関係の全肥商運の関係ではそのような趣旨で御協力願うように、またその他の貨車繰りにつきましては、国鉄とも十分連絡いたしまして齟齬のないようにいたしたい、かよう思つております。  なお輸出関係でございまするが、これは硫安輸出について、貿易振興あるいは化学工業振興からも非常に重要であることもわれわれ重々承知いたしております。またさようにいたしまして、硫安工業としては、農民に対しまして安い価格供給していただくということが当然出て参りまするので、国内需要だけでよろしいというふうに私ども考えておりません。さような趣旨で、事業の発展のための通産省の諸施策に万全の信頼を寄せておる次第であります。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 硫安の場合、国内産業的な性格の面と、輸出産業としての性格の面と、二つ異なつた性格を持ちながら、一つの業態の中でこの矛庫を調整して行かなければならぬというのが、硫安工業における一つの課題であろうとわれわれは考えておるわけであります。しかし現在の段階においては生産二百万トン、そのうち百五十トン国内消費、せいぜい五十万トンが輸出である。こういう状況になつていて、二割内外が輸出であつて、大部分国内消費であるということと、その輸出については農林省と通産省とが協議の上でこれを決定するというような事情でもあり、これらのことを考えて、今の段階においては国内産業的な性格で運営されておるのではないか、経営がそこに向けられておるのではないかと考えるのでありますが、この点について通産と農林両省の考え方、どういうふうに現在の段階においてこれを見ておるのか、これを伺いたいと思います。
  33. 小平久雄

    小平政府委員 御指摘のように現在の生産量のうち、国内向け及び輸出向けというものを量的に考えますと、これは国内向けが主だということになるのでありますが、先ほども申しました通り、この硫安工業につきましては、われわれは国内需要を満たすことはもちろんのこと、また輸出産業といたしましてこれをどこまでも伸ばして参りたい、こういう考えでおるのでありまして、ただいまちようどこの国内価格輸出価格とがたまたま非常な懸隔ができた。しかも輸出価格国内価格に比べまして非常に安かつた、こういう事態がありますので、この国内価格、国外価格ということが非常に大きく取上げられるのでありますが、ごく最近の情勢といたしますならば、国外の値段というものも逐次上つて参つておるようでありまして、こういつた両者が非常に差があるという事態がいつまでも続くものとも考えません。もちろんこれは経済一般状況の推移によりまして、今後におきましても、ときには国内価格と国外価格のアンバランスといつた事態が起きないとはもちろん限りませんが、そういたしましても現在の事態がむしろ常のものだ、恒常的にこういう事態なんだということはわれわれには考えられませんので、そういう意味から申しましても、どちらを重くするかといつたような考えではなくて、要するに国内需要家に対しましてもなるべく安い価格供給ができるし、またそのことによつて対外輸出競争力も養われて輸出振興する。東南アジア等に対しましても大体百万トンくらいの輸出はできるであろうということも考えられますので、今後ともむしろ大いに増産の方向に持つてつて、それだけまた価格も安くして内外ともにこの需要に対する、こういう態勢に一日も早く持つて行きたいものと考えておるわけでございます。
  34. 小倉武一

    ○小倉政府委員 通産政務次官からお答えがあつた通りに私も考えておりまして、別段つけ加える点もないのでありますが、国内産業として考えるか輸出産業として考えるか、あるいは両面から考えますと現在は矛盾しているというお指摘でございましたが、これを矛盾していると見るのは過渡的な現象でありまして、硫安工業生産力が増大するということによりましてこの矛盾は解決されて行くのだ、かように考えます。
  35. 永井勝次郎

    永井委員 理論的、観念的にそういうふうにものを割切つて考えているところに大きな誤りがあるのではないか。現在の段階において、二百万トンのうち二割内外より輸出しないというがこれを同じ割合で輸出産業国内産業との振り割りを考え価格の面におい、いろいろな肥料政策の面においても、そういう考え方でやつて行くところに誤謬ができて来ておるのではないかと考えるのであります。たとえば国内需要を百五十万トンと固定して考えるところに大きな誤りがあるのではないか。価格の問題いかんによつては、国内需要は二百万トンにもふえましよう。あるいは二百五十万トンにもふえましよう。あるいは今後の農業改良の発展の方向といたしましては、食糧輸入補給金として失つておるものが二百数十億あるのであるから、こういうものの補填として、どうしても自給食糧を増産して行かなければならぬという過程における肥料の使命は大きい。国内需要をうんと増して行かなければならぬ。そのためには現在のような輸出による犠牲を国内消費者に転嫁されるというような経営の形においては、とうてい食糧の国内自給量を増して行くことはできないというところに問題があるのではないかと思うのであります。農林省は国内需要を百五十万トンで大体よろしいのだというふうに固定して考えておるのかどうか。これをひとつ聞いておきたい。
  36. 小倉武一

    ○小倉政府委員 硫安需要量をどの程度に見るかということになりますと、硫安ばかりでなく、その他の窒素質肥料をあわせて見ますと、実はなかなかむずかしいのであります。百五十万トン程度と私ども考えておりますのは、この前の肥料年度が百九十五、六万トン、その前が二百万トンを相当オーバーしておるという実績がございますけれども、そういう過去の事情でありますとか、あるいは今肥料年度になりましてからの出荷の状況、あるいは価格状況というものを考えまして、ほぼその辺に見当を置いたら間違いがないのではないか、かように考えております。今御指摘のように、肥料価格状況、あるいは農産物価格状況というふうなことによりまして、この数字が動かないものでは決してない。場合によりましては、これよりは減ろいもしれませんし、場合によつてはこれよりも相当ふえるかもしれません。ことに石灰窒素との関係になりますと、これは何と申しましても一種の代替関係になりますので、その辺の関係においてもこれはむずかしい問題があると思います。従いまして御指摘のように、この数字は将来も不動のものとして考えておるのではありません。これは農家を階層別に見ましても、階層の上の方の農家は反当の施肥が多い。下層の農家は反当の施肥も少いという状況もあり、肥料需要は農家の経済事情に影響されますので、決して固定的には考えておらないのでございますが、なお、他方輸出ということは相当重要なことでございますので、国内需要をある程度押えませんと、どの程度輸出カがあるかという見当もできませんが、われわれとしてもこれは無理々々に浮かしておる数字ではございません。その点を御了承願いたいと思います。
  37. 永井勝次郎

    永井委員 われわれは、国内産業だけが確保されれば、輸出はどうでもいいという考え方に立つておるのではなくて、肥料は一面重要な輸出産業である。しかしながら輸出産業のために国内産業が犠牲になつてはいけない。そういうことのために、農林省が輸出について抗議するというようなこともあるだろうとし思います。それを農林省みずからが、二割内外の輸出が満足に行くために国内農民は相当の犠牲をしよい込んでもいいのだというお考えなら、これは別でありますし、また数量的にも、百五十万トン内外でよろしいのだ、その分は余剰として、百五十万トンの固定の基盤の上に輸出産業としてずんずん伸ばしてもらえばよろしいのだというならば、またそれでもよろしいのであります。少くとも今の段階では、国内産業的な性格を強く経営の内容の中に持たせて、そうしてその上に輸出産業というものの重要性考えて発展させて行かなければならぬと考えるのであります。たとえば消費の面においても、農業の面においても、二百万トンあるいは二百五十万トンという限界点が来たならば、そうして国内において肥料価格が安ければ、今国内の湖水の魚の棲息量がうんと少いのでありますから、国内の湖水に持つてつて硫安をぐんぐんまいて、プランクトンを発生させて、これを魚の飼料として魚をふやすという総合的食糧自給体制の強化の上に役立てるという発展の方向考えられると思うのであります。そういう意味において、硫安というものはやはり輸出産業的な面と国内産業的な面と二つの性格を持つているが、主として国内産業的な性格をまず第一に確保して、その上に輸出産業というものの発展を考えて行かなければならぬ、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。  第二に局長にお尋ねするのでありますが、昭和電工で今労働争議が起つてストライキに入つておるが、これがこの春肥の需給の面に影響がないかどうか。この罷業状況をどういうふうに当局は見ているのか、これをひとつ伺いたい。
  38. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 御質問昭和電工の問題でございますが、先般需給の問題に関連いたしまして硫安生産の数字を申し上げたように、一月もまた二月も生産は全体として計画を上まわつておる状況でございます。そういつた関係からいたしまして、この影響はないように考えております。
  39. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど今澄委員からもいろいろ申されたのでありますが、今のような自由経済の機構の中において、輸出産業国内産業との調整をはかりながら、価格の面においても、数量の面においても、あるいは合理化促進の面においても、自由経済という基盤の上に立つて、どういうふうな具体的な形で進めて行けば、そういう要請が達成できるのであるか、その具体的なプロセスをはつきり示してもらいたい。
  40. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの自由主義的だ経済操作によつて経済の方向をどういうぐあいに持つて行くかという御質問につきましては、生産の面からいたしますと、先ほど申し上げましたように、できるだけ資材特に電力といつた面における増強をして、生産を拡大して行くという方向をとることが第一かと考えます。第二に価格の点におきまして、いわゆる安定帯価格の問題関しましては、先般いろいろ問題がございますので、自由主義経済の前提のもとに、肥料対策委員会というものを設定いたしまして、これによつてこれらの合理的な調整をいたすということが一つの行き方と考えられるのでございまして、大体そういう線で今日まで参つておると思います。またこの方向は基本的な大問題でございまして、私のごとき一政府委員答弁をもつて十分だとは考えられないかと考えますが、私はさように考えております。
  41. 永井勝次郎

    永井委員 政策の面について局長質問するのは無理かと思いますし、時間もたつているので、私は次回に質問を継続することにいたします。
  42. 高木吉之助

    高木委員長代理 この際お諮りいたします。化学肥料に関する件につきまして、参考人より意見を聴取いたすことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 高木吉之助

    高木委員長代理 御異議がありませんので、さよう決定いたします。  なお時日及び人選に関しましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 高木吉之助

    高木委員長代理 御異議がなければ、さようとりはからいます。  本日はこの程度にいたし、次会は来る二十二日月曜日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十一分散会