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徳永政府委員 先日の私の
答弁少し不徹底であ
つた点があると思いますが、
繊維産業の
現状ないし将来というものを
考えてみますと、統計的に見てみまして、昨年は
輸出において
繊維の占めております
比重は四三・七であ
つたと記憶いたします。
日本の
貿易の約半数近いものが
繊維品の
輸出によ
つて構成されていたということでございます。
日本の
経済力の円滑な回転という面から、
繊維がその力を
失つてはたいへんだという
事情はその
数字が端的に示しておると思います。
繊維にもよるけれ
ども、極端に表現いたしますれば、
繊維は
日本で一番国際的な
競争力を持
つておる
産業であるというふうに
考えるわけであります。その面から見まして、
競争力を強めるという点ではそう国のやつかいにならなくてもまだ
輸出を伸ばせるだけの力を持
つていると
考えるわけであります。さらに最近の
貿易の
状況を
考えてみました場合、将来性があるかどうかという点でございます。よく一部で伝えられますように、
農業国が工業化します際に、比較的低度の
技術でできるという意味で、
繊維産業あたりから入
つて行くということが言われている。従いまして、その面から
繊維の将来は暗いんではないかということも言われるわけであります。さような傾向があるということは確かでございます。確かでございますが、しかしながら昨年なり一昨年なり戦後の
国際貿易の内容を見てみました場合に、
戦前に比べまして
綿製品の
国際貿易量は約七十億ヤールから五十億ヤール単位に減少いたしております。しかしそれを内容的に見てみますと、減少いたしましたものは、
各国の綿の
需給が進んだ結果としてという
原因よりも、
農業国の
購売力不足というような面の方が大きいわけでありまして、
大勢としてまだ伸びる将来が残
つているということが言えると思うわけであります。また先ほ
どもちよつと申しましたように、
日本の
貿易が力を一ぱい出しているかどうかということを
考えますと、戦後は
商社の活動が十分でない。すなわち
市場の開拓が十分に行われていないのが
現状だと思うわけであります。昨年の
地域別構成を分析して
考えてみますと、
インドネシヤと
パキスタンが二五%というように
市場的にも非常に片寄
つているわけであります。この片寄
つているということは、逆にまだ手が伸びていないということを意味しているのでありますから、その
方面の努力次第でまだ伸びる
余地が相当あるということも言えると思うのであります。もう
一つの問題は、
西欧諸国の
輸出に対しまする
助成政策は相当徹底したものがあるように見受けられるのでありまして、この点は
政府といたしましてもその
実情を詳細に調べた上で、よそに負けないだけの
援助ということを
考えるべきではないかということで、その
実情調査に
通産省から人をドイツにや
つておるというような
事情でございます。さような点で
外国の積極的な
助成政策のために、
日本のすぐれておる長所が幾らか消されておるという点、これが
日本も
外国並にやれば、消されないで済む。済めばそれだけまた伸びる
余地があるという点が残されておると
考えるわけであります。
以上のようなことから
考えまして、すぐあすからというわけには参らないにしましても、まだまだ
繊維の
輸出は伸びる
余地が相当残されておる。しかも最初に申しましたように、国際的な
競争力というものは、裸で十分の力を持
つておるということを
考えるわけです。ただ
重工業に
日本の
輸出その他を持
つて行くということは、非常に長い将来の姿と
日本の
重化学工業の
現状ということを
考えますと、いつの日か
各国の
自給態勢が進みました場合に、
軽工業品を買
つてくれないということになるかもしれないおそれを含んでおるわけであります。しかも
日本の
重化学工業品の国際的な
競争力というものは、まだまだ弱いのだという
現状にあるわけでありまして、今からそういう
重化学工業品が国際的な
競争力を持ち得るように、あらゆる手をや
つていなければ、そういう事態が来たときに間に合わないという点は、確かにあるわけであります。さような点から、
通産省の
政策の中に、
重化学工業の国際的な
競争力を伸ばすためのいろいろな
政策を、今から一生懸命打
つて行かなければならないという点、これまた正しい
政策であるというふうに私
ども考えております。