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1952-12-20 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十日(土曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 小金 義照君 理事 今澄  勇君    理事 永井勝次郎君       大倉 三郎君    河合 良成君       小西 寅松君    首藤 新八君       辻  寛一君    中峠 國夫君       福井  勇君    福井 順一君       南  好雄君    宇田 耕一君       高橋 長治君    長谷川四郎君       山手 滿男君    加藤 清二君       松原喜之次君    木下 重範君  出席国務大臣         通商産業大臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君         通商産業事務官         (繊維局長)  徳永 久次君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      石原 武夫君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局資金課         長)      渡辺  誠君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十二月十八日  委員木下重範辞任につき、その補欠として風  見章君が議長の指名委員に選任された。 同月十九日  委員田中織之進君及び風見章辞任につき、そ  の補欠として松原喜之次君及び木下重範君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 十二月十八日  信濃川水力発電所第四期工事促進に関する請願  (田中角榮紹介)(第一二二〇号)  北松強結炭保護対策確立に関する請願(綱  島正興紹介)(第一二六一号)  特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部  改正に関する請願三宅正一紹介)(第一二  六二号)  綿スフ織物生産設備返還に関する請願中村幸  八君紹介)(第一三八二号)  旧軍施設における火薬等爆発物製造並びに取扱  反対に関する請願井上良二君外三名紹介)(  第一四三二号)  特定中小企業安定に関する臨時措置法指定業種  に輸出真田を追加の請願南好雄紹介)(第  一四五四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案  (内閣提出第三号)  貿易に関する件  繊維に関する件     —————————————
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議を開きます。本日はまず電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案議題といたします。本案に対して御質疑はありませんか。——質疑がなければ、本案に対する質疑はこれをもつて終局いたしました。  これより討論に入ります。討論の通告がありますから、順次これを許します。小金君。
  3. 小金義照

    小金委員 私は自由党を代表して、ただいま議題となりました電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案について、賛意を表するものであります。  公共事業令電気事業編成令とは、ともにポツダム政令でありましたため、去る十月二十四日限りで効力失つたのであります。その結果、現在のところ電気及びガスに関しましては規制する法規がなくなりまして、これら事業を取締る法的根拠が消滅いたしまして、まつたくの無秩序の状態に置かれておると言うこともできるのであります。かくては電気及びガス国民生活及び全産業交通等に及ぼす影響重大性にかんがみまして、不安と憂慮にたえないところであります。従つてこの際、とりあえず公共事業令の全部と電気事業編成令中の必要部分を復活して法律となすことは、今後の応急立法準備態勢を整えるまでは、まことにやむを得ない措置と考えるものであります。ただ公共事業令と再編成令とは、公益事業委員会という特別委員会制度を母体として生れ出たポツダム政令でありまして、もちろん国会審議を経たものではなく、その公益事業委員会なるものはすでに廃止せられて、電気及びガス主務官庁は通商産業省に移り、さらに独立回復後のわが国諸情勢の変化等の新事態にかんがみましたときは、両政令とも大幅改正段階に到達していることは、察するにかたくないのであります。また電気及びガスの、ごとき国民生活に欠くことのできない基礎事業、また産業上最も重大な事業を不安定の臨時的法律で規制することは、極力短期間といたすべきものと信ずるのであります。よつて私は、政府ができ得る限りすみやかに電文及びガスに関する恒久法立案の上国会に提出することを希望するものであります。でき得べくんば一年と言わず、ただちに立案に着手して、これを国会に提出されんことを切に望むものであります。  以上本法律案に対する賛成意見を開陳いたしました。
  4. 坪川信三

  5. 山手滿男

    山手委員 私は改進党を代表いたしまして、強い希望意見を付して、本案賛成の意を表明いたします。  公共事業令及びこの再編成令は、独立と同時に当然改変さるべきものであり、失効の時期が来ることはあらかじめ明らかにされておつたところでありまするし、政府公益事業委員会との従来の行きがかりからいたしましても、法の空白期間をつくることなしに、政府国会審議を通じて電気ガス等公益事業に対してしつかりした恒久的な立法を早くすることが当然であつたのでありますが、今日まで放置をされて、今日の段階になつてポツダム政令を単に焼き直して法律にして、暫定的にその効果を復活さすというふうなことは、きわめてまずいことであろうと思うのであります。これらを再編成令及び公共事業令内容をつぶさに検討をいたしてみますと、不十分、不満足な点がたくさんあるのであります。昨日も問題になりました只見川の問題にいたしましても、これらの例題はみな再編成令のまずい点から起きおるいろいろな派生問題なのであります。またこの電気あるいはガス等につきましても、消費者立場消費者保護という面がきわめて等閑視されておるというふうに、われわれは考えておるのであります。先般の電気スト等影響を受けまして、中小企業者やあるいは一般家庭の主婦は、電気産業の持つておる根本的な欠陥から幾多の苦痛をなめておるのでありまして、改進党といたしましては、この臨時立法をする際に、当然その内容につつ込んで入つて行つて一部改正をして、消費者立場をもう少ししつかり保護して行く規定を打出したいと思つてつたのでありますが、諸般の事情からこれらは一応この際見送つて政府恒久立法をするときに、あらためてわが党の態度を表明することにしたいと思うのであります。政府は約一年間研究をして、審議会審議を経て恒久的なものをつくると言つておるのでありますが、事態はそんなにのんべんだらりとしてよい事態ではないのでありまして、一年などと言わず、すみやかに本格的な立法をしていただきたい。ことに審議会運営あるいは構成等につきましても、できるだけ広く消費者立場、そのほかの立場を表明し得るような人々を審議会の中に入れて、十分慎重な立法をしていただきたい、こういうことを強く希望する次第であります。  以上のことを一応強く希望いたしまして、改進党は本案賛成の意を表します。
  6. 坪川信三

  7. 今澄勇

    今澄委員 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となりました電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案に対し、賛成いたすものであります。しかしながら、附帯条件を付して強くこれが実現を要望するものであります。  政府並びに自由党の怠慢によつて公共事業令電気事業編成令の二令が効力を失い、われわれ国民生活に欠くことのできない電気ガス事業が、よるべき法律を失うに至りましたことは、法治国として前代未聞の不祥事といわなければなりません。もともと両令は公益事業委員会の設置と表裏一体をなしてでき上つた法令でありますから、同委員会廃止と同時に、根本的に改正さるべきものでありまして、その改正準備の万全であるべきことは、けだし当然であります。しかるに政府は、両令の根本的改正につき何らの準備を持たずに同委員会のみを廃止したために、今日の無法律時代を招来したのでありまして、吉田政府一大失態と申さねばなりません。  電気及びガス事業は、慢性の電力不足に加うるに、今回の長期にわたる電産、炭労ストによりましてはなはだしく混乱し、国民生活の安定を脅かし、生産麻痺状態に陥れておりましたことは御承知通りであります。このときにあたり、規律する法令がないことは、その混乱を一層助長するものでありまして冬の最需用期を控え、真に憂慮にたえざるものがあります。よつて、一日も早くこれら事業根拠規定を設ける必要がある関係上、不満の多い両令でありますが、他に準備法案を持たない今日、これを復活有効とすることは、万やむを得ない措置として、これを認めるものであります。しかしながら、私は今回の法案に対し、次の三条件を付して強くこれが実現を望むものであります。その第一は、電気及びガス関係法令改正審議会メンバー中に、労働者代表を加え、同会を一層強力にして民主的のものとすること。その第二は、本法案の運用にあたりましては、健全なる労働運動悪影響なきよう、万全の留意をなすこと、その第三は、新立法にあたつては、現在の分割された企業形態は、公益事業あり方として好ましからざるにつき、これを全国単一特別公社のごとき構想を持つか、あるいは公共事業令の中に、消費者を守り得べき態度を持ち、十分政府において責任を持ち得るような構想をとられることを要望いたします。なお地域差料金、その他今日の九分割された電気事業あり方においては、消費者日本産業再建の上に大きな悪影響を及ぼす面が多々ありまするが、これらの点についても今後十分留意されるべきことを、強い附帯条件として本法律案賛成をいたします。
  8. 坪川信三

  9. 永井勝次郎

    永井委員 私は日本社会党を代表いたしましてやむを得ず本案賛成の意を表する次第であります。  本案が十月二十四日以降無法律状態に陥りましたことは、これはまつたく吉田内閣責任でありまして、法治国家における一つの恥辱といわなければならないと考えるわけであります。今後恒久立法を行うわけでありますが、恒久立法は一年間というような悠長なことではなしに、急速に事を運んで、本委員会にかけるべきことを強く要請する次第であります。電気及びガス関係法令審議会の設立にあたりましては、その構成メンバー電気生産者代表としての電産労働組合代表を当然入れるべきことを強く要求いたす次第であります。今後立法さるべきものにつ暫ましては、電気料金統一料金原則の上に立つて、各社間の価格差を縮減するような施策を織り込むべきであり、事業公益性にかんがみまして、政府監督権をさらに強化すべきことを要求する次第であります。これを要するに、現在のような私企業の上に立ちまして公益性をその上にぼやしてかけて行くというような運営の基盤におきましては、電気事業公益性国民の期待するような線に実施することは困難であると考えます。われわれの基本的な態度として、基礎産業国有であり、国営でなければならぬと考えます。現在起つてるところのいろいろな矛盾は、こういう国有国営という基礎が確立されないところから起つておる矛盾でありまして、今回設けられます審議会においては、これらの点を深く掘り下げて、そういう原則にできるだけ沿うように措置せられんことを希望を付しまして本案賛成の意を表する次第であります。
  10. 坪川信三

  11. 木下重範

    木下(重)委員 電気及びガスに関する臨時措置法に対しまして、私は賛意を表するのであります。但しただいま各党方々意見も聞いておりましたが、私は無所属倶楽部でありますが、無所属倶楽部といたしまして意見を附加しておきたいと思います。御承知通り講和条約発効と同時に、すでに公共事業令並びに電気事業編成令廃止になることは明らかになつてつたのであります。この間相当期間もあつたのでありますから、なぜにかような臨時措置令によらずして、根本的な法律をつくらなかつたかということにつきまして、いささかわれわれは遺憾のうらみを持つておるのであります。しかしながらもうすでに十月二十四日から失効しておりまして国民生活並びに国民経済に重大な関係を持ちますかような重要な法令失効のままに置くということは重大なことであります。従つていまだ十分に今日審議を尽されておらないということでありますから、やむを得ず一応措置令をこの際通過させておきまして、一年の間に審議会において十分検討して云々という御意見であつたようでありますが、他の各党と同様に、一日も早くかような国民生活に重要な関係を持つ恒久法立案せられんことを希望いたしまして、賛成いたす次第であります。
  12. 坪川信三

    坪川委員長 討論はこれにて終局いたしました。本案賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立
  13. 坪川信三

    坪川委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。本案に関する委員会報告書作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 坪川信三

    坪川委員長 御異議がなければさようとりはからいます。     —————————————
  15. 坪川信三

    坪川委員長 次に繊維に関する件及び貿易に関する件について調査を進めます。さらにそれが終了いたしまして武器等製造法案議題として質疑に入ります。  まず先般来繊維並びに貿易に関して調査を進めて参りましたが、私から一点重要な点を、大臣御退席になりましたから、岡田中小企業庁長官に対しまして御質疑申し上げたいと存じます。  中小企業安定法指定業種の方は、きわめて急迫した、金融状態にあります。これがため同法の施行にもかかわらず、依然として市況は混乱いたし、調整目的は容易に達成しがたき状態であります。政府はこの際これら中小企業安定のために、金融状況を改善し、安定の方途を講ずるための具体的措置を考えておられるかについて御質問いたしたいと思います。
  16. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 お答えいたします。中小企業等の安定に関しまする法律施行になりまして、その後同法に基きますところの調整組合繊維を中心といたしまして、すでに数十の調整組合ができておるのであります。ところが、この調整組合が真にその本来の目的でありますところの操短あるいは出荷統制等事業をやつて行く上におきまして、絶えず要望されておりますことは資金不足の点でございます。そしてそれらの点を、必要の理由その他いろいろとお尋ねしてみますと、大体におきまして、過去において設備等をいたします場合に、その設備をするのに応さわしい資金でこれをおやりにならずに、短期資金設備をなさつておる等その他運転資金のこげつきが非常に多い。それが特に現在の経済界不況と相まちまして、各業者運転資金需要が非常にふえて来ておる。それらの関係がうまく行きませんために、あるいは自転車操業といわれますような状態を呈しておる、そういう関係からして、各調整組合において調整規程をつくりましても、なかなか実行に移り得ないという段階にありますことは、まことに遺憾なことと存ずるのであります。そこで私どもといたしましては、いろいろとくふういたしました結果、まず信用保険制度拡充いたしまして、一定の限度はつくりますが、その範囲内におきまして、短期債務長期債務に切りかえるということを保険にとることにいたしたい、かように考えまして、大蔵省と種々折衝を重ねて参つたのでございます。ようやく大蔵省と話合いがつきまして、来年から政府中小企業信用保険特別会計と各金融機関との信用保険約款改正を行いまして次のようなものを保険にとるようにいたしたいと考えておるのであります。それは、特定中小企業安定法施行に伴いまして、調整組合が行いますところの調整を効果的に実施せしめることが主眼でございます。金融機関が、現実調整を行つております調整組合組合員でありますところの中小企業者に対しまして、政府関係ある事業についてすでに貸し付けております短期債権長期債権に切りかえます場合には、これを中小企業信用保険対象にとる、しかし信用保険対象にして保険に付し得る債権は次の条件を備えるものといたしたいのであります。まず第一は企業者償還計画を樹立いたしまして、貸付金内において元利の償還をする計画を具体的に立てていただくことであります。第二は今度切りかえます長期債権は、一箇年以上の貸付期間を持つものでなければいけない。それから貸付金額につきましては、最近の決算期における固定資産額を越えないことといたしたいのであります。そしてその最高額は五百万円とする。そして当該中小企業者に対しましてすでに保険につけた、貸付けがあります場合には、合計で五百万円以内といたしたいのであります。それから担保関係でございますが、その債権といたしましては、当該中小企業または第三者の提供いたします土地、建物、または償却資産等貸付金額相当担保価値のあります資産について抵当権を設定していただきたい。なおその資産につきましては固定資産税評価方法によつて評価する、固定資産税評価方法はおおむね時価の八〇%ないし九〇%で、大体時価の程度に相なつておると承知いたしております。なお会社でありますときには社長または役員の個人保証をしていただく、そして本件によります貸付利息は一割三分以上のものであつてはいけないということにいたしまして、貸付を受ける方があまりに高利によつて苦労なさることのないようにいたしたい、かように考えておるのであります。これは法律改正を要しませんで、先ほども申しましたように、特別会計金融機関との間におきます保険約款改正でやれますから、明年早々至急にこれを運用するようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
  17. 坪川信三

    坪川委員長 他に御質疑ありませんか。
  18. 加藤清二

    加藤(清)委員 中小企業の問題につきましてただいま長官からありがたいお言葉をちようだいしたわけでございますが、その前に中小企業に限らず、糸へん全体について現在の政府政策がこれでよいのか悪いのか。もし悪いとすれば、改革をする意思があるかないか。改革するとすれば、一体いつそれをやる計画かという点についてお尋ねしたいと思います。先般、まず貿易の問題、為替の問題から改革をしなければならないという観点に立つて、主として為替の問題についてお尋ねしたわけでございますが、きようは国内市況の問題についてお尋ねしたいと思います。他の産業もそうで、ございましようけれども、今日糸へんが一番ひどくやられております。これを改革するにあたつては、まず市況安定による取引の伸張ということが考えられるわけでございますが、繊維相場は現在国際価格を下まわつているような状況でございます。それにもかかわらず、輸出好転のきざしは見えておらないのでございまして、これは世界的な供給過剰とか、あるいは有効需要の減退ということにも起因すると考えられますけれども、わが国市況の不安定と、それから先安見込みによる買控えということも大きな原因になつておると存じますが、これについて一体政府としては対策があるのかないのか、まずそれについてお尋ねしたいと思います。——それでは専門の責任者がいらつしやらないので、もつと具体的にわかりやすく申し上げます。池田さんが首つつて死ねと言つたのは、糸へんの、特に中小企業に与えられた言葉だ、こう解釈しても間違いないと思うのです。そのゆえんのものは一体どこにあるかというと、終戦直後糸へん不足の折にやれふやせ、やれふやせと言うて設備拡張をさせられた。ところが今日はどうかというと、操短というおみやげになつておる。これが政府中小企業に与えたお歳暮なんです。そこでほかの産業と比較してみました場合に、先般来伺つてみますと、肥料の方でも輸出不振だ。しかしながら、操短はさせていないということです。資金で例をとつてみますと、糸へんの方は、設備拡張資金はある程度貸す。ところがこれも信用状態によつて日銀の再割が許される範囲が非常に少い。このために不況が来た場合に、つつかえ棒をやつてもらえる、いわゆる銀行管理保護してもらえる業者はほとんど少い。ところが話に聞くと、石炭の方だけは資金がどんどんまわつておる。設備拡張どころか材料費にまでまわつておる。いやそれよりも住宅にまでまわつておる。しかもその住宅にまわつた金利までがただになつておる。こういう状況です。しかるに糸へん、ことにただいま中小企業庁長官からお話のありました中小企業の方では、思惑をやつて間違つた連中は死んだつてやむを得ないという考え方が、もし行われておるとするならば、これは政府政策が少しおかしいと思う。なぜならば、統制をはずして三品市場の開設を許したのは政府なんだ。三品市場というのは思惑なんです。思惑以外の何ものでもないのです。にもかかわらず、そこから生じて来るところの倒産はやむを得ない、こういう施策が施されておるという点については、これは中小企業、ことに糸へん中小企業は、孫末代までも政府を恨むだろうと思う。この点について大企業に限らず、中小企業に限らず、他の産業と比較した場合に、政府終戦直後奨励しておきながら、その後これに与えた方策というものは、あまりにも他の産業より劣つておるではないか。これについてせめてほかの産業並にするだけの意思ありやいなや。もしあるとするならば、一体いつの時期にするのか。これならば次官からもお答えできるだろうと思います。
  19. 小平久雄

    小平政府委員 だんだんの御意見ないいし御質疑でありますが、ただいまのお話によりますと、繊維関係企業につきまして、中でも中小企業につきまして、終戦直後何か政府が特に奨励でもして拡充をやらしたというようなお話のようでありますが、そういつた特に拡充を勧めたとか思惑を勧めたというような点はないと思います。しかしながら、ただいまお話通り、特に繊維界、中でも中小業者の方が非常にお苦しみであるという現実につきましては、われわれもよく承知をいたしておりますので、これにつきましては、政府としましてもできるだけの対策を立てたい、こういうことで及ばずながら努めておるわけであります。先ほど中小企業庁長官から御説明申し上げました金融措置等におきましても、これはもちろん現実繊維業者のお困りの点を多少なりとも打開して参りたいというつもりで、すでにそういつた施策現実に行い始めておるところであります。なお今後とも各方面の御意見等も徴しまして、できるだけの力を繊維業界のためにいたして参りたいと思つておるわけであります。
  20. 木下重範

    木下(重)委員 あるいはごの質問は大臣にお聞き願わなければ、根本的な問題だから、わからないかもしれませんが、特に十分に御検討を願いたいと思います。  先般来出血輸出、特に肥料に関しての出血輸出をどうするかということが相当盛んに論議されたのですが、実は早急にこの対策を講じなければならないという事態に遭遇しておると考えております。御承知通り肥料につきましては、農林通産委員方々まで入られておるようですが、いろいろ業者あたり意見を聞いて検討しました結果、どうして国際価格に近づけないのかと考えたのです。この原因はいろいろ探究してみますと、何だか政府の方で、業者の方が輸出希望しておるのにかかわらず、二月から六月まで全然輸出を許さなかつた。それでやつと七月に許されまして、御承知通り、台湾の肥料入札があつたらしいのですが、突然入札に当つたというようなことで、結局盲貿易関係上、国際情勢が全然わからないために、ああいうふうな失敗を喫したように大体聞いたのです。おそらくそのようなことは政府の方ではあるまいと思うのですが、いろいろ業者あたり意見を聞いてみますと、結局今は肥料関係農林と通産と担当が二つになつております関係上、農林関係では農家になるたけ安い肥料を与えるようにしなければならぬという意見があります。通産関係におきましては、大所高所から、要するにこの基幹産業をどうして育成するかという立場にあるので、販売部門に特に留意をしなければならない関係上、価格面においてもどうしてもいわゆる国内需要に対しましては、ある程度押えて行かなければならない。しかしながらこの押えた価格ではとうてい国際価格に対抗できない。いろいろ業者意見を聞いてみますと、いわゆる統制が撤廃されました当時から、原料でありますところの石炭、コークスも六割は上つておるし、労働賃金も倍額あたり上昇しておるのだから、自然価格の面においてもつり上げてもらわなければ、採算がとれない状態であろうということは看取できると思う。しかしながら農家の立場を考えれば、何とかして安い価格で農家に渡してやらなければならぬという関係上、輸出の面についても、どうしても片ちんばの関係になつてしまう。そうすると諸外国の例を見ますと、西欧の、特に西ドイツ及び英国あたりでは、基幹産業でありますところの肥料に対しましては、現にドイツでは原料に対して助成金を出しておる、英国においては消費者に対して助成金を出しておるという状態です。これはどうでしようか。この前検討されました原料の生産量、それから国内の需要量、これらを勘案してみますと、結局生産過剰になる分量が五十万トンから六十万トンであります。これに対しまして、いわゆる出血輸出ということになつておりますが、この分に対しまして日本でも輸出に関する限り助成金を与える。根本的にこれをどうするかという問題は、いわゆる電源開発あるいは企業の合理化によつて国際価格に対抗できるようになるまでは、このくらい程度の補助を政府で与えても、これは育成保護しなければならぬ性質のものであると私は考えておる。これに対して政府はどういう所信を持つておるか。それまで勇敢にやられる御決心がありますか。それとも他に救う道でもあられるような成案でもあれば、伺いたいと思います。
  21. 小平久雄

    小平政府委員 肥料の問題につきましては、お説の通り、いろいろ問題を含んでおるのでありまして、特に出血輸出という関係も、ございましてこれが内地の消費者価格にぶつかぶされるのではないかということを御懸念されているのでありますが、当局の考えとしましては、いわゆる出血輸出の負担というものを内地の消費者に転嫁するというようなことはいたさないという考えで進んでおるのであります。しかしながらまたただいまお話のありました通り、一面におきましてどうしても国際競争の関係から相当の出血もやむを得ないというのが現実であります以上、今後肥料工業をどうして育成させるかということは非常に大きな問題であると思うのであります。  そこでただいま当局で考えておりますことは、メーカーの間におきまして適当なる話合いの上に、それらの犠牲を各メーカーの力に応じて分担し合うという方向に行くこと、あるいは要すれば特に輸出関係のものを買取るところの買取貸しと申しますか、そういうことでも考えてみたらどうかということも話の一つには出ておるのであります。しかしながらただいまお話のありましたように、ただちに補給金をやるかどうかということは、他の産業との関連もありますので、慎重に検討を要するものと考えておるのでありますが、ただいまの御議論もございますので、私どもとしましては十分これらもしんしやくいたしまして、今後善処いたしたいと考えておるわけであります。
  22. 木下重範

    木下(重)委員 ただいま申し上げましたことに、特に考慮になるべき私の所信をつけ加えておきたいと思うのであります。先般来から、国際価格から見れば、肥料を輸入すれば、安く日本の農家の手に入るのではないか、なぜ輸入を許さないかというような御意見もあつたと思いますが、いろいろ私の方が採算関係検討してみますと、運賃、諸掛りその他から考えますと、かりに外国から輸入して来ましても、日本の価格ととんとんくらいになる。必ずしも外国から輸入した場合に安く手に入るというりくつには相ならぬように考えております。そこで結局国内で生産されたものは国内で消費し、一面、御承知通り、前のような自治統制をやつて生産を抑制するということは、かえつてコストを高くする関係になるので、現在の生産量を維持した方が、かえつて採算面からして安くなるという関係になつて来る。そうなれば、先ほどの次官の御意見では、こういう話もある、ああいう話もあると言つておりますが、手取り早い話がこれがただいろいろ議論を重ねる時期ではありません。一日も早くこれは何とか根本的な方針を立てなければならぬ重要段階に達しておるのではないかと私は思う。ただここで考えますことは、御承知通りこれからがちようど肥料需要期でありまして、春肥と申しますか、これに相当量が出ます関係上、あるいはこの一月から五月までは輸出はむずかしいかもしれぬ。その間はまあまあ出血輸出というものは考えられないというような状態にあるのでありまして、おそくともこの間に何とか、私の方の考え方といたしましては、あらゆる面から検討してみますと、どうしてもやはり西欧の西ドイツあるいは英国みたいに助成金を出してやらなければ、とうていこれは解決できないと思う。と申しますのは、先ほどから申しますように、国内の価格を押えて行くということになれば、一般の物価指数から見まして、硫安に関する限り、肥料に関する限り、全然原料その他工賃の値上りに比例して上げられておらない。しかも政府では御承知通り終戦直後、食糧増産のために肥料をしつかり生産しなければならぬということで、どんどん生産を奨励し、しかも相当の助成金を出しておるのであります。ところがこれが相当過剰な状態になつて来たら、統制を撤廃してしまつて、あとは知らぬということでは、業者がとうてい立ち行かぬことはだれが考えてもわかることであります。お互い業者が損失を負担し合つて云々と言いますけれども、これが電源開発その他によつて、いわゆる国際価格に十分対抗できるまでは、相当期間があると思います。業者としてはこれはとうてい耐え得ることではない。他の国でもそうしたことによつて、いわゆる安い価格で              ー国際市場に対抗しておるのでありますから、この際思い切つて、年に五、六十万トンの生産過剰分を輸出するといたしまして、トンに三、四千円助成金を出して、この損失を補つても、まあ二十億程度であります。これがために他の産業の予算関係面で云々ということでなく、これを奨励、育成して行かなければならぬ国家の事業であるとすれば、これくらいのことはあつてもさしつかえないのではないかという積極的な意見を持つております。政府はその点に対しましてどういう御意見を持つておられるか。さらにさつきこの肥料のかわりに今度は向うにある安い物資をこちらへ持つてつてそのさやによつてカバーをして云々ということを考えておるということでありますが、昨日の東京新聞を見ますと、硫安、鯨油の出血輸出に対して粗糖の輸入権でこれを補償するというようなことが出ております。これはおそらく台湾地区に限つておると思う。朝鮮あたりは特殊な地区になると思いますが、インド等東南アジアにつきましてはすべてこういうわけには行かないだろうと考えております。ともあれ、とりあえず政府の方でそれだけの処置をとつておいて、しかる後にこれを何とかカバーする方面を考えたらいいのじやないか。問題は現在何とかこの見通しを至急につけなければならぬ状態にあることではないかと考えますが、政府の御所見はいかがでしようか。
  23. 小平久雄

    小平政府委員 肥料工業に対しまして補給金のようなものを出す、あるいはその他の補助政策をとるという点についての御質問でありますが、ただいま通産当局におきましても、諸外国におきましているく輸出の面について助成策を行つておるということにつきましては、ある程度の資料もあるのでありますが、さらにこれが実情につきまして一層正確なる資料を得たいというので、ただいま企業局の次長が西欧の方に参つております。これも近く帰る見込みでありますので、それらの調査の結果に基きまして貿易の助長策につきましては、養いろいろ手を打つて参りたいと考えておるのであります。ただ先ほど申しました通り肥料工業、特に硫安工業でありますが、これに対して今ただちに補給金のようなものを出すかどうかということにつきましては、慎重に検討して参りたいと思つておるのであります。なおまた硫安の輸出の伸張の一つの方法としまして、バーター方式をとるという点でありますが、これにつきましては、当局といたしましてもいろいろ考えおるのであります。たとえばキューバ糖などにつきまして、ハーター式に硫安の輸出をはかつて行く、こういうことも一つの方法であろうと存じまして、ただいま検討を加えておるところであります。
  24. 山手滿男

    山手委員 私は今日繊維についてやるのでありますが、繊維局長がお見えになるまで、ちよつと貿易関係のことについて通商局長に二、三お尋ねしたいと思います。最近国際的な経済会議方々で開かれておりますが、また日本もいろいろな協定覆んかを結んでおるのであります。先般日本とインドネシアとの間の貿易協定を推進されたのですが、これは非常な成功であると言われ、あるいはそうでないと言われ、いろいろな説があるのでありますが、ああいう片貿易のところでいわゆるスイツチ貿易というか、ああいうものを採用して行くということでいろいろ議論されおりますが、日イ協定について、今後あの程度のことで済まして行くのか、あるいはどういう方法で打開をして行かれるつもりか、所見をまず承りたいと思います。
  25. 牛場信彦

    牛場政府委員 インドネシアとの協定は、御承知通り輸入が四千万ドル、輸出が五千五百万ドルという片ちんばの貿易計画をつくりまして、その差額はいわゆるスイツチ、つまりインドネシアの勘定を通じてドルの物資を買うということで決済するという建前でできておるわけであります。その後の状況を見てみますと、一時この協定のできます前には、日本からの輸出はほとんどとまつてしまつてつたような状況つたのですが、協定成立後は先方で毎月五百万ドル程度の輸入許可を出しておりまして、大体貿易計画程度の輸出は今のところ順調にできつつある状況でございます。一方輸入の方でございますが、四千万ドル買うということは初めから相当無理な計画でございまして、急速に実現できないのではないかということを非常に心配しておつたのでありますが、そのために最近コプラの買付のミツシヨンでありますとか、そのほかインドネシア通商産業協会から親善使節団などを出しまして、現地の状況をよく調査し、かつ現地とよく連絡をとりましてだんだん状況が改善されて来ております。ごく近ごろの数字をとつてみますと、四千万ドルは大体行けるのじやないかという状況になつて来ております。これはまだいろいろ問題がございましてさらに一層の努力を要することはもちろんであります。それからスイツチ・トレードにつきましては、従来まで協定成立後砂糖、皮革などについてこれを行つて参りました。最近石炭の緊急輸入に対しましても行いたいという希望を持つてつたのでございますが、手数料の点でインドネシア側とちよつと意見が合いませんで、一応見送りといたしましたが、今後さらに必要に応じてこれを行つて行きたいと思つております。なお六千万ドルという非常に大きな焦げつきができておりまして、これは今後五年くらいのうちに償還される。但しその一割、六百万ドルは向う側の銀行に一応凍結しておきまして全部の償還の済んだあとで、その処分について協議することになつております。この金の使い方につきましては、向う側にもいろいろ考えがございまして、たとえば現地でもつてインドネシアの物資を集荷するような機関を日本とインドネシアと共同出資でやつてはどうか、その目的のためにこの金を使つてはどうか、あるいは港湾設備ないしは埠頭の設備が現在日本への輸出入に対して非常に不利にできておりますので、そういうものをつくるためにこの金を使つてはどうかというような話もぼつぼつございまして、私どもこれは非常にけつこうなことと思いましてできるだけ推進したいと思つております。何分にもインドネシアは必ずしも政情が安定しておらないということで、向う側の政府の腹をよくつかんでから具体的に話に入りたいと思つております。
  26. 山手滿男

    山手委員 日本とインドネシアとの貿易協定は、私はきわめて日本の貿易の面においては重要な地位を占めるのであろうと思いますが、今お話の六千万ドルの焦げつきの問題がいつも論議の中心になつておるようでありますが、今お話のような方法で私は少し政府が積極的にお出になることが好ましいことではないかというふうに考えております。ところで、インドネシア貿易で非常に重要な問題は、それとからんで輸入の問題です。私は輸入さえどんどんやれば輸出は比較的問題ないと思うのですが、輸入の問題が非常に大切なので、今のお話のように、どういうものを輸入して来るかということが非常に重要な問題であろうと思うのです。日本側にとつても重要なんです。そこで今お話には出なかつたのでありますが、インドネシア地区において非常に豊富な資源を持つものはいろいろあるのですが、その中で、特に地下資源であるところの石油の輸入をするということは、日本にとつては非常に重要な意味を持つておることでありますし、インドネシアにとつても重要なことであろうと思うのです。先般の日本、インドネシア協定においては、約二百万ドルの石油の輸入をするということが協定の中に織り込まれておるようでありますが、この石油のインドネシアからの輸入については今どういうふうに運ばれておるか、御説明を願います。
  27. 牛場信彦

    牛場政府委員 御説の通り、石油がもしインドネシアの勘定を通じて買えるようになりますと、貿易協定は一変してよくなるわけでありますが、現在インドネシアの石油資源はほとんど全部イギリスとアメリカ関係のコンセツシヨンになつておりまして、従いまして現在のインドネシアの石油はドルかポンドでなければ買えないというような原則になつております。ただそのうちでインドネシアの方に返したものもございますし、また新しく開発するようなものもございます。それらのものについては、今後はインドネシアの勘定を通じて買える、さしあたり二百万ドル計上いたしたのでありますが、これについては、話の途中においてまだはつきりした見通しは実は得られなかつたので、その後引続いて交渉しておるところでございます。御承知通り今石油は相当日本の石油会社も英米資本と提携しておりまして、新しくその以外から買うということになりますと、方法についてよほど研究しなければならないので、目下向う側と交渉すると同時に、国内的にも研究を進めておるような状況であります。
  28. 山手滿男

    山手委員 インドネシア協定ができたのは、もう大分になるのですが、その中で私が一番成功したと思うのは、石油の輸入ということをこの協定の中に取込んで、インドネシア側にも一つの方向を与えたということで、これは私は非常に重要な項目であつたと思うのですが、今の局長のお話では、まだ研究中であるとか、いろいろそういう話で、これは非常に遺憾に思う次第であります。日本でも石油の問題はいろいろ議論が出ておるのですが、インドネシアは地下資源として非常に豊富な石油資源を持つてつて、しかもそれが外国資本によつてほとんど壟断されておる。しかし最近各地であがつております民族意識に影響されまして、これらの外国資本によつて押えられておる地下資源を、インドネシアがイランなんかと同じように、自分の国のものにしようという動きが非常に大きく動いておるところでありますし、六千万ドルとか、ああいういろいろなものがありますから、積極的にインドネシア政府を信頼をして、インドネシアの地下資源の開発にも協力をしつつ、そこから出た原油を日本側に持つて来るという手を打つことは大きな政治の課題であろうと私は思うのでありましてインドネシア貿易において特にこの石油資源の輸入ということをもつと明らかにしてもらつて、その推進を要望しておきたいと思います。  繊維局長がお見えになつたようですから、繊維局長にお尋ねをしたいと思います。さつきここで加藤君から糸価の安定という話がありましたが、私も同感であつて、糸価の安定ということが輸出を促進する上においても、また国内の業界を救済する上からも非常に重要なことであろうと思うのです。最近のように非常に糸価が高騰したり暴落したりするような状態では、私はとうてい健全な事業の発展は望まれないと思うのであります。繊維といいましても、化学繊維あるいは毛、そのほかの問題がいろいろあるのでありますが、何といつても綿の価格の移動によつてほかの繊維はほとんど影響を受けて、共連れになつてつたり下つたりするということが実情だろうと思うのでありますが、私は綿の政策をどういうふうに決定するかということでまず繊維局長にお尋ねをしたいと思うのです。先般三箇月を区切つて大体十五万梱くらいに生産を制限するように通産大臣から勧告しようという内定をされたというお話でありますが、私は十六万五千梱に決定をした池田前通産大臣の暴挙を先般指摘をしておいたのでありますが、はたして十五万梱に来年一月から生産を制限されるのかどうか、勧告をされるのかどうか、この際まず御説明を願います。
  29. 坪川信三

    坪川委員長 この際一言徳永君に申し上げておきますが、本日の委員会におきまして繊維を中心として調査を進めるという点につきましては、三日前よじ正式に通告要求をいたしておつたにかかわりませず、徳永君の御出席が非常に遅れましたことにつきまして、国政審議にも支障を来しますから、今後さようなことのないよう御注意を願いたいと思います。
  30. 徳永久次

    ○徳永政府委員 私からちよつとおわびを申し上げたいと思います。ただいま委員長からお叱りを受けたのでありますが、実は私の方が貿易中心のというふうな連絡を受けましたのが、私の考え違いのもとでありました。けさほど来業界の方が十四、五名押し寄せて来られましたような事情でございますので——私は少くも繊維局長限りで済むならばというような感じで、電話連絡しておらなかつたような事情で遅れましたことをおわび申し上げます。  ただいまのお尋ねの一月以降の生産指示量をどうするかということでございますが、一昨日の夕方大臣にも御了解を得まして、発表いたしたのでございます。生産指示量を、十二月は十六万五千梱でございましたが、一月分として十五万梱ということに決定いたしたのでございます。一月分だけでなしに一月、三月とまとめてやつたらどうだろうというような意見もあつたわけでございますし、また業界にもそういう希望もあり、私どもも事務的にもそういうことを考えないわけではございませんが、ただ何さま先般来の暴落の直後の事態でございますし、それから輸出の伸びのぐあいも、価格の大きな変化もございましたので、いま少しく詳細に見たいというような感じもありましてとりあえず一月分だけをきめるということになりまして、十五万梱というふうにきめた次第でございます。
  31. 山手滿男

    山手委員 十五万梱説は前から出ておつたのであつて、今おやりになることがよいとか悪いとかいうようなことは別でありますが、十五万梱という決定をされたことについては、通産省の方では輸出は何万梱で国内消費は何万梱というふうに踏んで十五万梱に決定をされたのでありますか。
  32. 徳永久次

    ○徳永政府委員 実は役所が計算して出します統計的数字というものは、たとえば過去の数字をつかみます場合、一月分で申し上げますと、十一月までの数字が統計的に生産輸出、在庫というふうに出て参るわけであります。十二月の状況なり一月の状況につきましては、統計的には輸出の先物契約がございますので、その状況がつかみ得るということでございまして、そういう過去の数字及び輸出の契約状況等を見ながら類推をして行くということよりできないわけでございますが、十二月分につきましては、実績見込みといたしましては、輸出は五万梱は大体確実であろうというような観測を持つておるわけであります。先般の綿花相場の下落に伴う価格の下落に関連しまして、日本品が比較的に安値であるということで、契約がたくさんできたわけでありまして、その分からいたしまして、十月の分くらいは間違いないというようなことは想像できるわけであります。その調子が一月にも同じ状況で続きますかどうか若干の疑問もあろうかと思いますが、まあほぼその見当で行けるのではなかろうかというような推定できめておる次第であります。
  33. 山手滿男

    山手委員 これは非常に重大な問題で、全繊維業界を左右している問題だと思うので、もう少し聞いておきたいと思うのであります。そうすると国内消費は大体十万梱ということになるわけでありますが、政府は一体国民消費を年間一人当り何ポンドぐらいに押えて生産計画やいろいろなこと推進しておいでになるのか。私は国内消費を一応しつかり押えて、その上に立つて輸出の伸び縮みを計算して、こういう勧告や何かをされなければいけないと思います。日本の国民一人当りの綿の消費量の推計というものと、通産省の推計はちよつと違つておるようでありますが、通産省の方は一人当り何ポンドを計算の基礎にしておやりになつておるのか、この際明らかにしていただきたい。
  34. 徳永久次

    ○徳永政府委員 この年間消費の計画を立てます場合、いろいろな為替資金計画を組むときにどれくらいになるだろうかという際には、年間全体としての推定資料というもので計画いたしておるわけでありますが、事実は現実の推移とともにいろいろ違つたような状態をたどつている傾向が強いのでございます。私ども目先の操短数字を考えます際には、統計に現われます過去の数字をずつと月別に検討して比較考慮してやつた方がいいのではないかと考えておるわけであります。今一人当りの数字を正確に記憶いたしておりませんが、当初考えておりましたのは、内需は大体月九万二千梱くらいの数字になつてつたはずでございます。ところが生産の実績及び輸出の実績と在庫の推移などから、差引計算で内需の数字を見て参りますと、一月ごろは九万六千梱くらいであつたのでございますが、六、七、八の辺でふくれて参りまして、十二万三千梱あるいは十二万六千梱というような数字も出て参つておるのでございます。この十二万梱というのは、内需として年間計画を作成しました消費の数量これは国民所得の推移なり、消費統計のうちから繊維に投ぜられている金額なり、それから繊維のうちの金額が価格の変化によつてどの程度ふえるであろうかというような補正も行いました数字でございまして、それも相当の科学的根拠を持つていると思われるのであります。それと現実に各月別に内需として現われている数字の誤差をどう判断していいかということはむずかしい問題でございまして需要がふえたという面もございましようし、あるいは販売系統の中における堆積と申しますか、機屋が商社に売り、商社が小売商に売る関係で手形の期間等もだんだん延びているようでありますし、そういう形で、いわば売り込まれた数字であつて消費された数字でないという面もあろうかと思うのでありますが、年間消費計画を月別に直せば九万二千梱くらいと見ておりましたのが、統計的に出て参りましたのが十二万梱以上になつたりしておる。これが現実の推移の姿でございます。
  35. 山手滿男

    山手委員 私の聞いているのは、現実の姿が先般来十二万梱から十三万梱近くまで国内に流れた事態になつていることはよく知つておりますが、国内消費は大体この程度で行かなければ糸価が不安定になる、だからこの程度のところで食いとめて行くというような方針のもとに勧告などをされているのでしようか。通産省としてはどういう線で国内消費を押えて行くのか、それによつて糸価の安定をさせるのかという目安がなければいけない。先般来の十二万梱とかなんとかいうことになりますれば、これは一人当りの年間消費が平均八ポンドということになる。八ポンドということになると、赤子も入れてゆかた地を一年間に十何反も国民全部が消費するというような厖大な数量になるのであつて、こういう数量を国内市場に流すから、綿の大暴落、三品取引市場の混乱を来し、それにつながつて来るところの中小企業が全部崩壊するようなことになる。この点繊維局長責任はきわめて重大だと思います。関東は重化学工業の方が非常に力があるのでありますが、関西等の機業地帯に行きますと、中小企業問題ばほとんどこの繊維の暴落によつて惹起されておるのでありまして、繊維局長はもつとそこをはつきりさせなければいかぬ。通産省としては、国民一人当りの消費は大体この程度で押える、そうすると何万梱になる、輸出は見通しとしては四万五千梱——先般みたいに三万五千梱ぐらいのときもありますが、そう見て行くと、この程度に勧告し、この程度に押えて糸価の安定をやつて行くという見通しを立てなければいけない。それを私は聞いておる。
  36. 徳永久次

    ○徳永政府委員 山手委員の御質問も非常にごもつともなんでございますが、ただ先般この操短に入りましたのは三月以降でございますが、三月以降に毎月の勧告量というものは若干の変化が、ございまして、最初のころは十五万梱を前後しでおつたわけであります。そのころ推定いたしておりました輸出及び内需というものがあるわけでございまして、それを実績で見ますると、これはストツクの減少という形になり、国内消費の増加というような統計が現われて来ておるわけでございます。一応計画の際は内需が九万ないし十万というような見当で当初からスタートいたしたのでありまするが、その内需の九万なり十万なりという見当のもとにつくられた総生産指示量が、実績ではストつクの減少という形で、内需がふえたかのごとき観を呈して来ているわけであります。そのような事情から、ストツクがある限度以上減り過ぎるということは取引の円滑を阻害するという点もありまして、これは内需の推定が役所流の見方が間違つてつたのじやないかというような反省から、ことしの何月からでございましたか、夏ごろから生産指示量が大きくされたということで、ございまして一応の計画の数字をしぼつておりましたが、事実はそのしぼつたものと違つた経過を示しておるというところに、事務的な修正を行うことの方が妥当であろうということで、今日まで経過したというのが正直な事態の経過の姿であろうと思うのであります。
  37. 山手滿男

    山手委員 どうも私の考えているところと繊維局長の御答弁とは食い違つてつてまずいと思うのでありますが、この点は私は、繊維局の責任は非常に重大であろうと思うのです。今日中小企業自体の不況とか倒産とかいうものは、全部この糸価の不安定から来ておるのであつて、これを安定化さすためには、この操短問題あるいは通産省の勧告というものを、こういうふうな基礎の上に合せてきめて来て——なるほど滞貨の問題も私はよく知つております。しかし、滞貨の問題をよく知つているが、要は一貫した年限の生産見通しといいますか、計画が立つてつて、国内の消費についてはこの程度でこう行けばこの程度の糸価の安定はできる、輸出は伸びたり縮んだりしますが、伸び縮みの分については四半期ごとに是正するとか、きわめて妥当な結論が出て行くと思うのであります。どうも今までこうだつたというふうな御答弁では私は満足をいたしかねるのであります。  そこで政務次官にお聞きをしたいと思いますが、最近聞くところによると新聞紙にも出ておりましたが、独禁法の改正の問題これは例の化繊の勧告の独禁法違反という問題もあつたためにいろいろお考えづきなのでありましようが、一般経済活動にとつても独禁法の改正問題が財界では議論になつております。これは当然やつていただきたいと思うのであります。特定重要産業安定法というものを用意されたはずでありますが、独禁法改正で行くのか、あるいは重要産業安定法なるものを出して行くのか、こういう操短の勧告そのほかについて、政府態度をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  38. 小平久雄

    小平政府委員 ただいまお尋ねの独禁法の改正、あるいはこれと関連しての重要産業安定法提案の問題でありますが、重要産業安定法を提案しようかどうかということにつきましては、通産省としてはかねて研究を進めているわけであります。これはもちろん独禁法との関係なども生じて参るのでありまして、でき得れば独禁法自体の改正ということにつきましても、通産省側といたしましては相当これを希望しておつたわけであります。しかるところ、最近に至りまして、公正取引委員会内部におきましても、独禁法の五年余にわたる経験にかんがみまして、また現在のわが国経済の実情にもかんがみまして、ある程度の独禁法の改正をしてもよろしいのではないかというような考えになつて参りました。その大綱につきましては、大体公正取田委員会においても考え方が固まりつつあります。ことに昨日も、これが大綱につきまして、公正取引委員会委員長から、通産大臣に対してその構想について打合せがあつたような次第であります。
  39. 山手滿男

    山手委員 私は、独禁法の改正に手がつけられて行けば一番理想的だと思うのでありますが、半面独禁法の改正をやりますと、独禁法の一番のねらいに反して日本でどうしてもやつて行かなければならぬいわゆる独占的な形態を許すことになろうと思うのでありまして、独禁法の改正と並行して、特定重要産業安定法というようなものを出した方がよいのではないかと思う。これは重複するようでありますが、独禁法にはやはり独禁法としてよい点がある。この独禁法を一部分は改正しなければならぬけれども、それはやはり野放しにしてはいかぬ点があるので、重要産業安定法をこの際出した方がよいのではないか、こういう気がするのでありますが、もう少しその点についてお話を承りたいと思います。
  40. 小平久雄

    小平政府委員 お尋ねの点はまことにごもつともだと思いますが、ただいま申しました通り、独禁法の改正につきましては、公取の方においても大体今構想がまとまりつつある段階なのであります。従つて、これが具体的にいかように法律改正となつて現われるかということが今後の問題でありますが、その現われよういかんによりましては、通産当局といたしまして重要産業安定法に織り込みたいと考えておりましたことが、あるいは独禁法の改正によつてその目的を達するということになるかとも存ずるのであります。従いまして通産当局といたしましては、独禁法の改正が具体的にどの点でまとまるかということを一応見きわめました上におきまして、重要産業安定法を提出するかどうかを検討いたしたいとただいまのところ考えております。
  41. 山手滿男

    山手委員 その問題はそれくらいにして、先般通しましたところの中小企業安定法つて、各地にいろいろな調整組合ができております。綿の企業者によるいわゆる綿工連といいますか何といいますか、今度の調整組合の方では、約三割前後の操短をして、専業者は綿の操短をすることに方針を決定して、それにならつて業者の方も操短すべしという要望をして、通産大臣に勧告をしてもらうように申出ておるようでありますが、この問題は、通産省としてはどういうふうに処置をされるつもりでございますか。
  42. 徳永久次

    ○徳永政府委員 ただいまのような要望は、業界から非公式にわれわれ承つておるわけであります。非公式と申しますのは、綿工連内部におきまして、あの調整規定の総合調整計画ができましたが、単位組合における実施がまだ完了してないのが今の段階でございまして業者の方の気分も、単位組合がみなやつたならば、アウトサイダーも歩調を合せてもらいたいのだというのが希望であるわけであります。これまで非公式に御相談を受けておるのに対する私どものただいまの態度は次のように表明いたしておるわけであります。調整内容に二つございまして、一つは設備制限、もう一つは生産数量の調節という二つの内容調整規定は織り込んであるわけであります。設備の新、増設を、綿工連の加盟組合のものは自分たちでやめるのが一つの内容であります。その点につきましては、綿工連の内部のものの陣立てというか、実施の段階に入つたころを見まして、アウトサイダーにも同様な法によります勧告をいたしたいということを言つておるわけです。第二の生産数量の調節の問題につきましては、これは多少不徹底ではないかというふうな考えもあろうかと思いますけれども、組合員操短内容を約一割七分ということにいたしておりますが、一割七分の操短に入つたとしまして、すぐさまそれに相応してアウトサイダーにも同様な操短をやれということを、法によつて勧告することが妥当かどうか、いささか疑問があると考えておるわけであります。綿工連の内部は、一万あるいは一万二千というふうに業者の数も多いことでございますし、組合内部の統制実施の励行ぶりについての取締り能力というか、そういうものも、昔はともかく、戦後一たび業界の自主統制というものがすつかり乱れてしまつた環境の中に、今から建直しをやろうとしておる最初の段階のことでもありますので、定められた調整規定計画通り事態が進行することをわれわれとしても希望しますものの、現実としてその効果がどの程度各人において良心的に行われるかということに、事実判定の問題として多少の疑問を持たざるを得ないという面もあるわけであります。さような事情もございますし、また一方アウトサイダーが、皆さん御承知のように比較的大きな業者でありまするので、大きな業者がもし法によりまするような勧告を受けました場合には、ほとんど百パーセント法の命ずるところに従つて行動せざるを得ないというのが、常識的な事実判定の仕方だと思います。さような誤差がございますので、私どもが綿工連の幹部に対しまして表明いたしておりますことは、さしあたりは綿工連内部におきまする調整が発足した辺の段階を見て法によるアウトサイダーに対する強制命令といいますか、そういうものを出さないで、綿工連内部においてこれくかような事態写おいてこういう内容のものをやつておる際でもあるので、アウトサイダーとしてもこの点を十分に好意的に見守りながら、人が仕事を落したからその分を残そうというようなことをしないようにやつてもらいたい。そんな気分の行政的な通牒と申しますか、勧告、そのような法に基く形でないものを出すのが、戦後初めて自主統制が始まろうとしている最初の段階である事態に妥当なものではなかろうか、さような程度のものは手伝つてやる用意があるのだということを、綿工連の幹部には表明しておるような状況でございます。
  43. 山手滿男

    山手委員 今の問題は、これから政治的にもいろいろな問題を投げ出すであろう重要な問題になつて来ると思うのですが、今の局長の御説明私は了承いたします。この問題は、あの法律を通すときも、輸出産業を圧迫することのないように運用の手心を加えなければならぬという附帯条件をつけて通したと私は思つておるのであります。片方は中小企業の難問題を控えており、片方は輸出の促進という至上命令を持つておるわけでありますから、繊維局長、断定を下したようなことを軽率に新聞社なんかに発表なさらないことが好ましいと私は思うのであります。今の御答弁私は同感であります。  ところで今設備制限の話が出たのでありますが、織機の方は、今設備を増設するものは特殊の機械以外はないと思つております。紡機に至つては外貨資金の割当の問題もあつて新紡、新々紡あたりで相当設備拡充をやり、登録を強要したものさえあるという話を私は最近聞いておるのであります。これは順次改善もされて行くだろうし、意味のないものになつては行くだろうと思うのでありますが、なおかつ新紡でも新々紡の方でも設備拡張しようとする空気が残つておる。この問題はやはり綿工連とアウトサイダーとの織機の関係と同じように、将来問題をいよいよ複雑化さすこと必至であります。先般来四百万錘前後、安本の策定した計画くらいになつたときに、私はもうこれ以上野放しにすると必ず操短をやらなければいかぬぞと言つたにもかかわらず、非常にうしろめたい行為さえ官僚の中にあつたそうでありますが、どんどん野放しに許可をして、とうとう七百五十万錘にもなつた紡機の新設、登録の状況をもう一度ここで御説明を願いたい。過去一箇年間どういう数字でふえて行つたか、あるいは今後の見通しを局長から御説明を願います。
  44. 徳永久次

    ○徳永政府委員 年次別にふえました数字の統計的な資料があるのでございますが、実はただいま用意いたしておりませんので、概数だけで御了承をお願いしたいと思います。御承知のように増設をあまり歓迎しないという意思表示は、役所といたしましてはことしの三月の操短勧告の際にあわせて態度を表明したのであります。今御指摘のように生産調節の段階と一部ふえることとは、いわばある意味の矛盾を含んでおるのでありますが、さりとてこれを法的な規制の仕方もございませんので、行政的なやり方によりまして押えるということを三月に考えまして新たにふえました設備につきましては、二月に、一定の時期までに具体的な計圃をお届けいただいたもの、しかしてそれができ上つたかどうかということは、役所が確認したもの、それ以外のものにはその当時統制しておりましたトル綿の割当をやりませんよという通牒を出したのであります。それによりましても、その以前の朝鮮ブームの影響もありまして紡績はもうかるなというようなことから、非常に大きな計画があつたようでありまして、結局確認の一般の打切りはことしの十月末日現在であつたのであります。十月末日現在におきまして確認いたしました設備が七百四十万錘程度であつたと記憶しております。そのうちには、実は確認の数字のほかに、約二十万錘の—— 私どもはこれを調査設備と呼んでおりますが、そういうものを含んでおります。調査設備といいますのは、三月までに計画をお届けいただかなかつたけれども、設備といたしましてはでき上つたものが含まれておるわけであります。最初の役所の側の意思表示の通り、確認のものにつきましては、ドル綿は割当をいたしますが、確認でない、事実でき上つたもの、これは役所流の感覚で言えば、政治的なものでありますが、さりとてでき上つたものに一切原料をやらぬというようなわけにも行くまいということもございますが、少くとも今われわれの統制しておりますドル綿は、最初からそういう意思表示もしておつたことでもあるので、それにはお上げいたしませんという態度をとつておるわけでございます。  将来の見通しの問題になるわけでありますが、これもいろいろと私ども側面的な資料をつかもうとしておるのでありますが、紡機メーカーのところにあります受注の数字とか、あるいは業界内部で多少の整理をしたいということとか、いろいろございますが、まだ完全に根を絶つ状況でないというのが現状ではないかと思います。ただ役所内部におきましては、御承知通り今綿花のAA制度を割当制度にかえようということを検討しておりますが、これが実現いたしました場合には、設備をやたらにふやしてみても、原料がもらえないということにもなりますので、今後さらに無理な設備がつくられることの牽制には今よりははるかに大きな効果を上げるようになるのではなかろうかと考えております。
  45. 山手滿男

    山手委員 AA制度の問題もやはりすみやかに検討をやつてもらわなければならぬと思つておりますが、事実はまだ相当増設機運が残つてつて陰に隠れて、というわけでもないでしようが、いろいろな手で増設されて行くのじやないかと思いますが、これは非常に遺憾に思うのであります。向井大蔵大臣は、昨日参議院において、まだ繊維産業の中には機械をどんどん増設したり何かするということについて非難する発言をして、やじが飛んだりして問題になつたようでありますが、実に新紡、新々紡においてそういう事態が起きるので、新紡、新々紡が今日の段階においてなおかつ利己的な立場に立つて設備の増設を促進するということはきわめて遺憾でありますけれども、現実はさようなものであります。この点については繊維局長がしつかりしなければだめなのだ。七百四十万錘、七百五十万錘になつてから、今日まだ操短を何とかいうことはまことにけしからぬ話であつて、初めはさつき私が言いました国民一人当りの衣料の消費量から推算し、安本や何かが一生懸命骨を折つて、日本の紡機は四百万錘から四百五十万錘の線で押えるという線があつた。それをぐずぐずして、歴代の繊維局長が、なしくずし的にこんなふうにして四割も五割も操短をしなければいかぬような事態に持つてつた。これは国民経済の大きな浪費をやつておるのでありまして、一つは現政府の自由放任の経済がこういうところに馬脚を現わしておるわけでありますが、繊維局長がもつとここではつきりした態度で断固この設備拡充熱を押えて行かなければいかぬ、その責任があると私は思います。それをやらなかつたら、これは独禁法の改正や何かもいろいろやつてうまく行くことになるかもしれませんが、現在の段階は、いよいよ繊維業界の混乱する状況から見て、繊維局長の勇断を望みたいと思うのであります。  それから例の商品金融会社の問題ですが、紡績協会から一つ、綿糸布輸出業者の方から一つの案が出て、通産省は持ち込まれておるようであります。これはそれぞれ特徴もあるようでありますが、先般のこの委員会で私が質問したときは、大臣は何とかしてこれを考えたい、こういうお話であつた。しかし実際に実行する段階になりますと、ちよつとかわつた意見が二本出て来たわけでありますが、それに対してどういうふうに考えておられるか、通産省の御意見を承ります。
  46. 徳永久次

    ○徳永政府委員 実はこの問題は私から答弁するのもまだいささか時期尚早の段階にあると思いますが、役所側の内部のあらかたの気持だけで御了承願いたいと思います。現に需給調節のために操短という制度をやつておるわけでありますが、しかしながら操短という制度だけでは時々刻々の需給の変化、たとえば輸出関係の変化とか、そういうものに対応できない面もございますし、また生産そのものを、需要が非常に減つたとかふえたという場合に、すぐふやしたり減らしたりするのは、労働問題等も、ございまして、なかなか簡単にいたしかねるような事情もございます。そこらの点から操短のほかに、価格調節の機能を営むようなものがあることが、より需給の調節あるいは糸価の安定に望ましいということは言い得るのではなかろうかと思いますが、私どもとしまして、そういうものが何らかの形でできることには異議なしというようなつもりでおるわけであります。ただ、今御指摘ございました輸出組合から担保金融的なものが一案として出て参りました。それから紡績協会の方からは調整組合という形で買上げ機関的なものが一案として出て参つたのであります。役所といたしましてこの問題をまとめ上げようといたしますと、どうしても大蔵省なりあるいは日銀その他の金融機関の援助も必要であるわけでございますが、ただ最初に申しましたような点から、何らかのものができることは必要だとは思いますものの、実際問題として二つある必要はない、一つあればたくさんだというのが常識的な結論だと思いますので、両業界に対しまして、少くとも綿業界としては一つあればいいのだというのが役所の気持ですから、さような意味においての調整をはかつて、いずれがより実際的であり、より効果的であるかということを検討の上まとめてもらいたいということを申し上げておるのが今の段階であります。さらに内容的に考えますと、さような機関をつくりまして、これに国家資金を出すということもなかなかむずかしいでしようし、あるいは万一損失が起りましたときに、国がめんどうを見るというようなこともなかなかむずかしい問題ですから、そういうことは最初から考えないでくれという注文を出しております。それからもう一つの注文は、その運営自身が公共の利益に反すると申しますか、業者の利益に偏重して、公共の利益に反することのないようにということ、これは当然のことでございますが、そういうことが考えられ、制度の中にはつきりすることがその案を通す要件でもある、さような注意をいたしながら、業界に一つの案がまとまつて行くことを私ども期待もし希望もしておるのが現状でございます。
  47. 山手滿男

    山手委員 今の局長の答弁はなかなか軍要なことだと私は思うのです。公共の利益を害しないようにしてくれ、これは消費者立場を守れということで、あまり価格を高くつり上げるなということであろうと思うのでありますが、今日の繊維の価格が常時変動するという実態は、そういうものではないのでありまして、繊維業界としても価格が暴騰することを望んでおらない。あるいは下ることも望んでおらない。低ければ低くてもいい。高ければ高くてもいい。あるいは妥当な中間の線であれば中間の線でいいが、安定さすということがねらいである。その安定をさす線をどこに置くか、公共の利益を害しないような線はどこか、そのくらいは政治力をもつて通産省の方で指導して行けるはずである。しかるにあなたのお考えはきわめて消極的であつて、今日の中小企業者のきわめて大きな部分、あるいは国民経済の非常に大きな部分がこの繊維業にかかつておるのでありまして、価格の変動そのほかによつて日本の最重要産業が倒壊に瀕するような不安定な状態にあるということこそ私は公共の利益を阻害するものである、こう考えておる。あなたは繊維局長でありながら、繊維の面について非常に卑屈にお考えになつておられる。国家資金を出すことは、そういう考えならやめてくれというようなお話でありますが、何億いるかしれませんが、大した金でありませんから国家資金も出して調節し、政府で安定する線を求めさしたら日本の産業界はすつきり行くと思う。  この際承つておきたいのですが、最近日本の産業を重化学工業に再編成をするという説がいろいろ出ております。繊維局長あたりはそういう説に比較的弱腰になつておるから、繊維業を育成する位置にあるにもかかわらず、今のような、国家資金は頭から出さないのだ、そういう考えならやめてくれというような考身が出て来るのだと思います。これは私は暴論だと思う。日本の重化学工業を育成して行くのについて当然そういう方向であることには間違いないと思うのですが、しかし重化学工業を育成するのには十年や二十年かかるのです。その間日本を支えて行くのは繊維産業のような輸出産業が支えて行くのであつて、そうして資本を蓄積する大きな役割も果すのです。重化学工業を中心に産業界を再編成するということは、繊維産業を切つてしまつて重化学工業に置きかえるということでは断じてありません。私は非常に弱腰でそういう言をされることに反発したいのは、繊維産業はこれ以上は無制限に設備拡張などは許さない、しかし現在の規模程度で繁栄さして行くことだけはあくまでもやらなければいかぬ。しかし今のような話で行くと、国家資金も導入しない、もういいかげんにお前ら自力でやれというような考え方というものは、重工業を繊維産業にとつてかわらさす考え方である。重化学工業を現在よりはるかに高い水準まで引上げることは、国家の大方針として私は全然異論はない。しかしそのために繊維関係の業界をつぶしていいという議論ではない。繊維局長はそういうお考えで頭から臨んでおいでになるのならば、これは繊維業界のために私はきわめて不幸であると思う。今のような商品金融会社のようなものは——炭住あたり利子をまけるだげでも二十三億円というようなものをまける。鉄鋼だつているくなものをやるのです。しかしそういう産業を支えて行くものは、今日の段階においては輸出産業の大宗である繊維産業です。これを全然無視したような、どうなつても自力でやつて行けというような考えでは、繊維業界は滅びてしまうのです。私は繊維局長の格段の奮起をお願いしなければならぬと思うのです。今の局長の御答弁はどうも満足できませんので、もう一ぺんお答えを願います。
  48. 徳永久次

    ○徳永政府委員 たいへん御激励やらおしかりをいただいたわけですが、率直に申しまして私ども繊維産業国民経済的な意義についての考え方につきましては、今山手委員から仰せの通りに考えもし、また行動いたしておるつもりでございます。ただ、今具体的な問題としての商品金融、買上げ機関につきまして、私どもが出しておりますわくのはめ方というものは卑屈過ぎるではないかという御意見でございますけれども、私は問題がまだ研究の段階にありますので、詳細に申し上げ得ない点もあるわけでございますが、何とか疏通の道はあるというある見当は、感じはいたしております。見方によつては非常にきゆうくつなわくのようにお考えになるかもしれませんが、何とかなるという希望は十分に持つておるわけでございます。  それからもう一つ、公共の利益に反しないようにという非常に抽象的な言葉でございますけれども、繊維について言えますことは、繊維自体が持つておる国際的な競争力、特に綿業の競争力というものを考えてみますと、世界と同じ価格の原料を使いながら世界で一番安い製品をつくり得るだけの実力を持つておるわけでありまして、かりに買上げ機関的なものができたとして、その操作によつて価格が国際価格より上らなくてもやつて行ける、そういう力がございますので、その限度において業界も十分に安定し、また消費者の利益も十分に守られるという妥協点が、繊維の場合には発見できるということを考えておるわけであります。さような意味で、平たく言えば、繊維業者はある程度もうかるかもしれませんが、しかしそれはよその国よりすでに安い値段だ、そういうところが探し得ようと思います。そういう限界を越して価格操作が行われるということになると、消費者の利益を害するというような問題がとかく起りがちでございますが、さような点を注意するように、これを抽象的に言えば公共の利益を害しないように、さようなつもりで申しておるわけであります。今山手委員からおしかりを受けた面もございますが、このようなところで御了承いただけるのじやないかと思います。
  49. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ちよつと関連して。七百四十万錘のうち、実際稼動しているのはどの程度ですか。
  50. 徳永久次

    ○徳永政府委員 ちよつと正確ではありませんが、七百三十八万錘くらいが調査で確認した数字であります。しかし動いておる数字というものは実は私ども正確につかんでいないのであります。と申しますのは、ある工場では設備を休ませておるものもありましようし、またある工場ではスピードを落すというようなやり方でやつておるものもありましよう。ただこれを全体的に能力計算をいたしてみますと——能力の見方もなかなかむずかしい問題でございますが、七百四十万近い数字というものは、梱数で換算いたしますれば、ほぼ月間二十五万梱の生産力を持つていると考えております。
  51. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 今の御答弁の中にもやはり設備制限というようなお話がありましたが、綿糸ばかりでなくて、絹、人絹というようなものに対しても何らか手を打たなければならぬ段階に入つて来ていると思います。従つて日本の現在の繊維輸出というものが、昔のままの考え方で将来性があるかどうかという点については大いなる疑いを持たなければならない。綿糸においても私はその通りだと思う。そういう点において、絹、人絹に対して同様な設備制限をするお考えがあるのでありましようか。それとも、どのような方針をとつて設備制限をなさるかという具体案がありましたならばお聞かせ願いたいと思うのであります。
  52. 徳永久次

    ○徳永政府委員 私ども繊維関係設備の現況と生産の現況というものをいろいろながめておりますと、繊維で毛関係、そのうちでも梳毛関係、これはまだ設備をふやす余地も残つておるというような感じがいたすわけでありますが、そのほかのほとんどすべての繊維設備、紡績を初めとして、綿繊、絹、人絹織等の設備につきましては、著しく設備的に過剰であるというのが現状であろうかと思います。染色につきましても同様でございます。従つて私どもとしては、一部を除きまして繊維一般については設備制限を十分に考えていい段階にあるのではなかろうかと考えておるわけであります。これを実行するとなりますと、立法事項にもなつて参るわけであります。私ども事務的には一部は重要産業安定法の中にそういうことを織り込んでもらいたいというようなことも考えておりますし、あるいは一部は先般当委員会でおつくりいただきました中小企業安定法の中に、設備制限というような事項をお入れ願うことが適当ではなかろうかという気持を実は持つておるわけでございまして、関連業界と今そういう問題のディスカツションをいたしておるというのが現状でございます。
  53. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 今申し上げた通り設備制限ということは、一つの安定策として行わなければならない問題ですから、これは十分考えて早急に対策を確立してもらいたいというのが私たちの考え方であります。  従つてもう一つ伺つてみたいのは、先日来ここで一応お話を承つたのでございますけれども、優先外貨の問題につきまして、一割であつたものを一割五分にして大体きまりをつけたいというような大臣の御答弁でございましたが、しかしその後よその国々の様子などもいろいろ聞いてみますと、イタリアとかあるいはドイツあたりでは四割ないし五割くらいのものを出して、そして宣伝に当つており、また国内産業の奨励に当つておるというようなことも伺つております。まだ一割五分とおきめになつたわけでなくて、大体その程度で行きたいというお考えのようでありますが、少くとも日本の今の綿糸などの方から考えると、よその国から原料を持つて来るのと違いまして、これから将来にかけて日本の国内で奨励の方法によつては、この輸出はたくさん出て行くというような生糸に対して、もう少し考え直してもらつて将来の安定を見た方がいいのではないかと。ということは、今のうちはなるほどひつぱりだこで売れておるかもしれないけれども、先ほどのお話のように、政府が奨励しているうちにだんだんでき過ぎてしまつて今度は売れなくなつてしまうことにもなる。生糸においても同じような段階があることは予想しなければならない。従つて今ひつぱりだこのうちにこの優先外貨の割もどしをいただいて、海外の宣伝に当らなければならないのではないか、こういうふうに私は考えますので、まだ一割五分とおきめになつていないようなお話ですが、少くとも三割くらいのものを日本にも今見てやつたらいいのではないかと思うのです。これに対して大蔵省の方のお考えはどうでございましようか。
  54. 渡辺誠

    ○渡辺説明員 政府委員ではありませんが、私から御答弁申し上げたいと思います。優先外貨のパーセンテージを何パーセントにするかという問題は、大体通産御当局の方の問題でございまして大蔵省も御協議を受けた際に考えてみたいと思います。なお生糸の宣伝費につきましては、大蔵省といたしましても生糸の輸出面に占める比重、それから今後輸出が伸びて行つた場合に占める重要性というものにつきましては十分に認識しておるつもりでございまして、生糸の宣伝費につきましては、実は国際絹業協会に対する宣伝費その他の出資金として、ことしの七月から来年の六月までのものとして三十万ドルの外貨資金を割当ててあるのであります。なお今後優先外貨以外のそういうふうな政府資金の割当てに関しまして、さらに宣伝費を追加したいということで、ございましたら通産、農林当局の方と御相談したいと思つております。
  55. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 御承知通り生糸は輸出の第一位を今でさえも占めておるのでありまして、これは特にお考えを願わなければならない問題だと思うのでございます。従つてただこれをおきめになるのに、他の鉄鋼が幾ら、何が幾らという簡単なことからおきめにならないで、資材というようなものをよその国から持つて来ないで、国内で生産されて、そうして今輸出でも第一位を占めておるというようなことも考えなければならぬ。将来の日本の農業の副産物としての安定は、この一つにあるのみであります。こういうような点から、私はこれらについて優先外貨の問題を特に考えなければならぬのではないだろうかと思うのであります。従つて現在の優先外貨で将来を考えたところの宣伝あるいは国内の生産の奨励が、今の割当てられた額で十分であるかないかという点について、蚕糸局長さんにひとつお伺いをいたしたいのであります。
  56. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま生糸の輸出の増進対策につきまして、長谷川さんから御意見があつたのまつたく同感でございます。御承知通り生糸の増産は繭の増産でありますが、これは桑の面積に制約されて急にふえるというわけに参りませんので、昨年からことしは大体一割の予定でありましたが、八%の増産になつたのであります。大体一割程度の増産を続けて参りますので、われわれとしては、優先外貨をできれば四〇%か二〇%くらいにふやしていただきたいと思いますけれども、これは大蔵省なり関係当局のいろいろな他との振り合いもございましようから、さしあたつて一五%にしていただくことを至急実現していただければ、われわれとしてはこれでがまんするという気持であります。
  57. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 お言葉通り、桑はことし植えたものがすぐ来年から利用できるか、これはまあできない。しかし私の申し上げたいことは、そのときになつて急にやつても間に合わない。であるから今ひつぱりだこで売れておるこのときに、宣伝を十分しておきたい。そして増産されたものがどんどんはけて行けるような地位にして行きたい。戦前は七割が輸出だと称しております。三割が国内消費だ。今日は逆に輸出が三割で、国内消費が七割だと言つておりますが、これらに対しましても、今何で国内の消費が七割かという点についてのお考えを持つていただけると思うのであります。国内の消費の七割というのはどういうところから来ておるか。この数字が日本国内でことしも来年もというように永続性があるかないかということに対しては、大いなる疑問を持たなければならないと思うのであります。そこで今私の方がこれらに対してたとえば百ドル出したものが、国際絹業同盟とか申しますが、そういうようなところとマツチして宣伝すれば、百ドルの宣伝が二百ドルに倍加して宣伝をされて行く。御承知通り日本の国の蚕糸は、非常に将来も考えて行かなければならない。であるから私が言うのは、今よその国の資本、資金までもともに利用して、大いに宣伝するときではないであろうかというような観点にあるからであります。従つて願わくはぜひともこれを実現させて、そうして今の桑園の手入れでも気持よく、より以上の効果を上げていただきたい。決して私は、先日申し上げた通り現在の生糸の価格が安いと言うのではない。りつぱに引合つて行く価格である。りつぱに引合つて行く価格だけれども、このりつばに引合つて行く価格をもつと永続させなければならぬ。それには輸出をより以上やつてもらわなければならぬ、こういう点から私は申し上げるのでございます。国際絹業同盟というようなものがあつて、それがどのような宣伝方法をやつておるか、これは繊維局長さんにひとつお伺いしたいのでございます。
  58. 徳永久次

    ○徳永政府委員 今お話のございましたように、生糸、絹の宣伝につきましては、国際的に国際絹業協会というものが設けられておりましてそれには生産国から何がしかの金を出し、消費国が自分の国の消費の数量に応じまして、生産国から出した額だけは出そうというような仕組みになつてつておるようであります。ただいまのところ三十万ドル日本側から出しまして、それをアメリカとか、フランスとか、消費各国に配つておるわけであります。各国では、協会の基金としてそのほかに同額ぐらいなものを集めておる。さらにそのプラスのものとして絹業の関係者がいろいろな金を出しておるというふうに承知いたしておるわけであります。宣伝の内容としましては、普通の商品の宣伝と同じようなことを申しますか、パンフレツトをつくりましたり、一流の新聞雑誌等に広告をいたしましたり、あるいはフアツション・ショーをいたしましたり。ポスターをつくりましたりというようなことのようでございますが、最近先方からは、戦争中中断しておつたけれどもその後の状況でだんだん伸びそうなので、日本からもつと宣伝費を出さぬかというような話が来ておるわけでございます。これは先ほど来お話がございましたように、金を出すとしましてもいろいろな情勢も苦しゆうございますので、これが出しやすいような形として、優先外貨の率でも引上げてもらうということになるかとも思います。あるいは生糸の輸出、ことにドルになる割合が非常に大きな、また長谷川委員から御指摘がございましたように、受取つた外貨が一全部ネツトの日本のプラスになるというような点から考えまして、予算で補助する、宣伝費を幾らか出してやるということも考えていいのではなかろうか、それだけの値打ちがあるのではなかろうかというふうなことを考えまして、今、明年度の予算要求に、通産省としましてそういう要求もいたしておるのが現状であります。
  59. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 戦前の複数レートというものは廃止されまして単一レートの現在では、レートの相違が非常に出て来ておる。こういう点からら見て、実際の経済の自主性というものを無視しておるような感も大いにあるのであります。それがために、これらの問題に対して非常にむずかしい問題が起きているのじやないかと考えますので、私は大蔵省にもう一度お伺いしたいのでありますけれども、申し上げたような関係もよくわかつていただけると思うのであります。国内の産業、つまり日本の農業ということを中心にして考えてみるときに、これはどうしても申し上げたように、優先外貨というものをもう一段と御考慮願わなければならぬ。従つて何とか御考慮を願うことができるかできないかをお伺いしたいのであります。
  60. 渡辺誠

    ○渡辺説明員 ただいま御質問ございました対外送金は必ずしも優先外貨でやらなくてもいいわけでございまして優先外貨でやれば、比較的に業者が自由にそのわくの範囲内で使える。それからさらにもう一つの方法といたしましては、政府の方で外貨予算面の措置を講じまして、必要な送金を許可して認める、すなわち政府の割当といいますか、許可といいますか、そういうふうな二つの方法がございますので、必ずしも優先外貨のみが宣伝費を使う道ではないのであります。そこでこの優先外貨の率を何パーセントにするかという問題は、御指摘ございましたように、ほかの商品との振合いもございまするし、かつ大幅に広げるということは、IMFの関係もございまして、日本としましてはどの程度やつた方がいいか、悪いかという判断の問題もあると思います。そこで優先外貨の率を何ほどにするかという点につきましては、通産、農林御当局の方で十分やつていただくと存じますが、大蔵省としましては、そのほかにただいま申し上げました外貨予算の一般の貿易外送金のわくがございますので、もし御要望がございますならば、そちらの方でも十分に御考慮ができるのではないかと思います。
  61. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 日本の輸出産業がよその国々と申しましようか、われわれとかつては一緒にやつたり、敗戦も一緒にしたドイツ、イタリアなどに比較しまして非常に劣勢であるということは言をまたない事実といわなければならない。こういうふうな点に対して、政府がもう少しこれらの面を考えていただきたいことは常に申し上げておるのでありますが、ただ一つのデータをつくつてみて、それで片つぱしから、これはこの程度でいいだろう、この程度でいいだろうということでなく、日本の将来というものにがつちり地に足をつけた方針で行かなければならない。こういうような点から考えて、私が申し上げたのは、なるべくよけいにこれを認めて、その方向に進ませてもらいたいという考えからであつたのであります。従つて予算面というようなお話もございましたけれども、大蔵省のあなたが御承知通り、なかなか現在はこれらに対しての予算というものがそう簡単にお認めをくださつてはいないのじやないでしようか。といつて、これらを要求してみましても、どうもあなた方予算をおつくりになる方で一番よくおわかりだけれども、どの面にも、こういう点は非常に関心を持つて、なるほどりつぱな予算で、これは産業の奨励になるというようにわれわれが双手をあげて喜ぶような予算というものは一つも出ておらないのであります。出ておらないがゆえに、私はあえて優先外貨を渡してもらいたい、こう申し上げるのであります。でありまするからこれらに対してただいまちよつとわかりにくかつたのですけれども、何とかほかの方面で考えられる道があるというふうなお言葉つたのですが、それはどういうような面であつたか、いま一度、簡単でよろしゆうございますから、聞かしていただきたいのであります。
  62. 渡辺誠

    ○渡辺説明員 貿易外外貨予算にいろいろのわくがございますが、そのうち生糸の関係について申し上げますと、生糸の業界から三十万ドルを一年分の出資分としてお出ししてくれというお票、ございましたので、いろいろお話いたしまして、そつくりそのまま外貨の割当をいたしたわけでございます。なお今後まだ予備費もございまするし、御要望があれば、これは通産及び農林御当局と相談いたしまして、外貨割当の余裕がただいまああということを申し上げたいと存じます。別にたいへんむずかしいことではありませんで、生糸につきましては大蔵当局といたしましても、特に輸出拡充については協力いたしたいと存じている次第であります。
  63. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 外貨の借入れはなかなか許可しないし、手続はないようでもなかなかうるさいので、これは手取り早くやるのにはこれが一番いいだろう、こうしてもらつて、そうして一応農村においても安定をして、増産の意欲を燃やして行きたい。さらに国外には大いにそれに向つて宣伝してもらいたい。これが私たちの考えで、本日お願いをしているわけなのでございます。お聞きの通り繊維局長さんも、蚕糸局長さんも、まだそのような融通面は十分に考え得られる余地もあるというようなお話でございますので、ぜひとも繊維局長さんには、お忙しくとも、大蔵省と御懇談を願つていただかなければならぬ問題だと思うのです。従つて蚕糸局長さんにおかれましても、ただいま大蔵省のお言葉もありまして、非常に私は喜んでおりますので、ぜひとももう一段三者相寄つて御懇談、御努力くださつて実現させていただきたいということをお願い申し上げまして、私の本日の質問を終らしていただきます。
  64. 加藤清二

    加藤(清)委員 たいへんおそうなりまして、皆さんに相済まぬと思うのですが、小数党の悲しさで、私の質問はいつも冷飯なんです。それで私は繊維の問題について系統的な質問をしようと思つて、用意してから、この会が数回開かれて、きよう与えられて、やれうれしやと思つたら、当の御本人がおられなくて、遂にこうなつた、こういうわけなんです。そこで私は野党的な立場で徹底的に二の繊維の問題について食い下つてみたいという気もあるんです。ところが目下はそんな状態のときじやない。これは皆さん山の上にいらつしやつておわかりにならないかもしれませんが、東海から近畿にかけて里へおりてごらんなさい、聞くも涙、語るも涙という繊維業界の問題が山積しているんです。そこで私はこの際与党とか野党というようなことを言わずに、全部協力して、これを何とかして早急に救う手を講じなければならないじやないかという立場に立つてお尋ねしたいと思う点があつたわけでございます。  そこで委員長にお尋ねしますが、あと何分くらいよろしいんですか。
  65. 坪川信三

    坪川委員長 お答えいたします。明後二十二日に武器等製造法案並びに残余の貿易並びに繊維等についても調査をいたしたいと思いますし、本日はもう本会議の時間も切迫いたしておりますから、要点だけにして、あとは月曜日にしていただけませんか。
  66. 加藤清二

    加藤(清)委員 ごもつともでございます。それではあまり皆さんに御迷惑をかけても相済みませんからこの辺でやめておきますが、ただこの際こういうことだけを申し上げておきます。私が質問したいと思つている要旨は、山手さんがおつしやつたことと同じなんです。ただ自分がその畑におる関係上、地についた質問をしたいと思つたのです。決して野党的立場に立つて政府をやつつけようというわけではないから、あまりからに入らないように、肩をたたいてという調子でお答え願いたい。
  67. 坪川信三

    坪川委員長 本日はこの程度といたし、次会は明後二十二日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十一分散会