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1952-12-17 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十七日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 小金 義照君 理事 高木吉之助君    理事 河野 金昇君 理事 今澄  勇君    理事 永井勝次郎君       大倉 三郎君    河合 良成君       辻  寛一君    中峠 國夫君       福井  勇君    福井 順一君       南  好雄君    宇田 耕一君       高橋 長治君    長谷川四郎君       山手 滿男君    伊藤卯四郎君       加藤 清二君    田中織之進君       木下 重範君  出席国務大臣         通商産業大臣 小笠原九郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      石原 武夫君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 十二月十六日  中小企業対策に関する陳情書  (第八八九号)  御母衣発電所開発計画反対に関する陳情書  (第八九〇  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案  (内閣提出第三号)  武器等製造法案内閣提出第三一号)  貿易に関する件     ―――――――――――――
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議を開きます。  本日はまず昨日本委員会に付託になりました武器等製造法案議題といたし、政府より提案理由説明を求めます。通商産業大臣小笠原九郎君。
  3. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 武器等製造法案提出理由を御説明申し上げます。武器製造につきましては、終戦直後の昭和二十年十月十日より、ポツダム共同省令「兵器、航空機等生産制限に関する件」によりまして、全面的に禁止されておりましたところ、このポツダム共同省令の改正により本年四月九日から武器製造は例外的に許可されるようになりました。特に本年五月ごろから駐留軍武器発注額相当額に上りましたため、いわゆる特需としての武器製造はようやく活発となつて参りました。しかるにさきに述べましたポツダム共同省令は、本年十月二十四日をもつて失効したため、その後の武器製造については法的規制がなくなり、公共の安全を維持するために何らかの措置をとる必要を生じて参りました。しかもこの間にあつて関係業界の受注に対する熱望は、ややもすると事業濫立弊害を示す傾向さえ見受けられる事態に立ち至つております。  このような情勢にかんがみまして、すみやかにこの法の空白状態をなくしまするとともに、武器生産の混乱から来る国民経済への悪影響を避けるため、武器製造事業について規制を加える必要があると考え、ここに武器等製造法案を提案いたしました次第であります。以下この法律案のおもな点につきまして大略を申し述べます。  第一にこの法律案は、公共の安全を確保するため、武器及び猟銃等製造販売その他の規制を行うだけではなく、武器製造事業について、国民経済との均衡を失わしめず、この事業濫立による弊害を排除し、あるいはまた海外に対する政治的配慮などの理由から、あまりに製造能力が過大となることは厳に押えなければなりませんので、武器製造事業許可を要するこことし、その製造能力必要限度にとどめることにしました。  第二にこの法律案の適用を受るものは、武器については銃砲銃砲弾爆発物等公共の安全を確保しまするとともに、事業調整を行う必要が特に大きいものに限定し、また猟銃等については公共の安全の確保という観点から選定いたしました。  第三に武器製造事業許可制と並行して、武器製造販売等を行う者の契約内容を届けさせ、契約が不当なものであるときには、戒告することができることにして、不公正競争が生ずるのを防ぐことといたしました。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  4. 坪川信三

    坪川委員長 以上をもつて政府説明は終了いたしました。本案に対する質疑次会にこれを行います。  この際お諮りいたします。来る十九日、経済安定委員会において電源開発に関する件について、参考人より意見を聴取することになつておりますので、経済安定委員会連合審査会を開きたい旨申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 坪川信三

    坪川委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。     —————————————
  6. 坪川信三

    坪川委員長 次に電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。今澄君。
  7. 今澄勇

    今澄委員 私はこの電気ガスに関する臨時措置法審議するにあたつて一言公益事業局長に聞いておきたいことは、電源開発調整審議会なるものは、少くとも日本の新しい電源開発に関するいろいろな問題を審議するところの重要な任務を持つておるわけであります。しかして電源開発会社は、この審議会がきめたことをただ実行するという、ほんとう実行機関であつて電源開発会社の総裁、責任者には大した権限が持たされておらないというのが大体の建前であります。しかるにその後私どもがこの調整審議会をながめてみると、調整審議会委員は、その出席率が常に過半数に足らない。そこで電源開発調整審議会は、ほんとうの形式的なもので、事務当局が立てた原案がこの審議会にかかると、それはたいてい満場一致でもつて、ほとんど形式的な審議に終つておるということは、この審議会にかける原案をつくる事務当局が、現実にはこれらの電源開発を牛耳つておるという結論を招来するものであるが、何がゆえにこれらの審議会委員の委嘱にあたつて、かような出席率の悪い形式的な者を任命したのか。もう一つは、こういう審議会で重大な日本電源開発調整が一体なし得るものかどうか、これらの点についてひとつ御見解を承つておきたいと思います。
  8. 石原武夫

    石原(武)政府委員 今お話電源開発調整審議会は、経済審議庁にございますので、私の方からお答えするのはいかがかと思いますが、せつかくの御質問でありますから私の承知している限りでお答えいたします。ただいま御指摘ございましたように、電源開発会社開発いたします地点につきましては、すべて調整審議会を経て決定するごとになつておりますので、これがほとんど計画を立案すると同じ結果になるわけでございます。そこで調整審議会が非常に委員出席も悪く、活発でないじやないかというお話でございますが、われわれも調整審議会幹事をしておりますので、ときどき参りまするが、今までの委員会では、委員の方方は非常にお忙しい方が多数おいでになりますので、常に全員というふうには参りませんが、ことに民間の方々の委員の御出席は割合に良好でございます。むしろ相当関係閣僚委員になつていらつしやいますが、関係閣僚の御出席の方が少いという状況で、その他の委員会と比較いたしましても、民間委員の御出席はむしろいい方ではないかというふうにも感じます。なお委員会におきましても、それぞれ特に専門の方からは非常に活発な御意見がございます。経済審議庁としても十分これを尊重して運営される御意思のように思つております。ただ、ただいま御注意のように、今までのところで必ずしも十分でない点はありましたが、政府としては十分同委員会を活用して行きたいという考えでございます。
  9. 今澄勇

    今澄委員 あなたの今の御答弁では、大体事務当局案がほとんど通つてつて、その事務当局幹事会に牛耳られておるわけであるが、この幹事会はほとんど開発会社の人間の意思がそのまま通つておるのであるから、開発会社案調整審議会案というようなことになつて来ると、これは非常に問題をかもすおそれがあるので、この点についてはひとつ今後十分留意をされたい。それからもう一つは、聞くところによると、根本的な公益事業に関する法律下案が、事務当局においては、各省関連をするところ折衝が終えて大体できておるということを私どもは聞いておるが、この臨時措置法にかわるべき基本的なそういうものがあらかた事務当局において打合せが終つておるならば、大体の骨子と大綱をひとつこの際局長から御説明を願いたい。特にその中において、通産省関係でどうしてもその監督権限の上から主張しなければならない権限その他の問題において軽視せられておるということを床かに聞くのであるが、もしこれらの点について御意見があるならば、これまたあわせて当委員会に御報告を願つておきたいと思う。
  10. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまお話のございました第一点の、開発会社の案がそのまま通るというような御趣意のお話があつたようでございますが、実は開発会社経営につきましては、現在開発会社設立早々でもございますし、陣容がまだ整つていないような状況もございまして、開発会社開発地点のいろいろな問題の費用等は、むしろ政府部内から出るというような状況で、開発会社意思がそのまま委員会を動かして開発会社が牛耳つておるというような点は、少くとも現在のところないと考えております。  第二点の臨時措置法にかわるべき法案につきましては、公益事業局の内部で検討いたしておりまするが、もちろん局といたしましてもまだ成案を得るに至つておりませんので、ほかの関係各省にもまだ全然示すような段階になつておりません。今お尋ねのように、権限の問題で今後はいろいろ折衝の際に議論があると存じますが、今までのところは何もございません。もう少し固まりますれば御報告させていただきます。
  11. 坪川信三

  12. 宇田耕一

    宇田(耕)委員 増加電力開発五箇年計画発表になつておりますが、それに必要な火力は百四十八万キロワツトとなつておりますが、そういう事務当局発表ほんとうでしようか。総出力五百四十六万キロワツトですが、その中で火力百四十八万、水力三百九十八万となつておりますが、そうでしようか。
  13. 石原武夫

    石原(武)政府委員 今お話通りでございます。
  14. 宇田耕一

    宇田(耕)委員 水力は、山の木材濫伐等によつて、戦前に比べて渇水期出力が落ちる率が多くなつて来ておる。従つて水力発電所に対する火力発電所バランスがとかくこわれやすくなつて来ておる。でありますから、水力に対する火力バランスをどういうふうに平衡をとろうとするのか、その根本政府考え方を聞かしていただきたい。
  15. 石原武夫

    石原(武)政府委員 御承知のように、わが国の発電設備は、水が主で火力が従になつておりますが、この計画をつくります際におきましても、一つ日本石炭資源の面から申しまして、石炭火力発電に無制限供給することは、その他の産業等との関係考えまして困難でございますので、大体この計画でも最高一千万トンくらいを限度考えております。これはそれ以上に火力用石炭を使うということ、は、その他の一般の石炭需要を非常に圧迫するという一つ考え方でございます。それで水力につきましては、御承知のように日本としては資源相当ございますので、でき得るだけ水力資源によつて電力開発して行きたいということを考えておりますが、ただいまのお話のように、渇水期等調整につきましては、出力として大体二割五分というところを一応の目途に考えておるようなわけであります。
  16. 宇田耕一

    宇田(耕)委員 増加開発電力がヴオリユームを約四百万キロワツトと見まして、それに対する火力比率を百五十万キロというふうに私は大づかみに見ておりますが、現在の水源地帯木材濫伐の結果等によつて水力に対する火力設備比率が低過ぎると思います。また火力設備を増加できない原因が、石炭一千万トンしか使わないというわくの中で考えるから、それで特に火力設備を増強できない。そこにブレーキがかかつておる、こう言われます。しかし私は、火力設備燃料源石炭のみに求めるのは日本だけであると思います。文明国において火力発電燃料源石炭のみに求めるという考え方根本的な誤謬があるので、むしろ重油バーナー等使つて別熱源を求めるべきであろうと考えます。それに対して政府の御答弁を願いたいと思います。
  17. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまお話がございましたが、一つは、日本現状あるいは将来を見ましても、火力発電コストはどうしても水力よりも高くなるのではないかという点が一点。従いまして、コストが安い水力開発できるならば、できるだけ水力考えてみたいという点が一つと、同じ水力でありましても、大規模な貯水池ができますると、いわゆる渇水期出力を出すというようなことで、従来の水力と必ずしも同じような考え方でなくて、渇水期出力増に役立たせるということも可能でありますので、さような関係で、必ずしも従来通りの率を火力が維持しないと渇水期が乗り切れないということではないのであつて渇水期必要量はできるだけ火力考えておりまするが、そういうことで一応計画をしておるわけであります。  なお重油の点についてお話がございまして、これは確かに輸入はいたしまするが、石炭と違いまして輸送は非常に便でございますので、これは考える必要があると思います。現に今後新規火力で運営しようとして四日市に予定しておりますようなものは、石炭でも、重油でもどちらでも使えるというようなことを考えております。お話の点は今後十分検討いたしまして、必ずしも石炭だけでないようにいたしたいと考えております。
  18. 宇田耕一

    宇田(耕)委員 重油バーナーを、石炭動力以外に、うまく活用しようというのは、ほかの重工業その他においては全部やつている。熱源として石炭のみに頼るという考え方を持つているのは鉄鋼業界等においてはないのであつて石炭も使うが、そのカバーに重油を使うというのは常識でありますが、電力界のみが、比較的経営が楽であるからと称してそういう着意を捨てて、その結果停電あるいは電圧低下を来して、全産業に対するところの非常に重要な送電義務に齟齬を来すことのないようにすべきであると考えておりますが、通産省としては、そういう根本的な火力発電設備の持つ重要さに対する反省を求める必要があろうと考えますが、御注意を願いたいと存じます。  それから渇水の時期というものは、大体年に二回必ず起るものであつて、最近におきましても、もはや今月の十六日に関西電力は、スト送電停止のあとに、渇水送電停止をするということを公表いたしております。ストによるところの莫大な損失のほかに、もうただちに渇水によるところ操業停止に人らなくてはならないというのが、現在の生産業界の実情であります。そういうことは、日本の復興の根本に対して非常に大きな悪影響を与えるものでありますからして、それは単に公益事業という立場のみでなく、これに対する送電義務を遂行するという点について、役所がもう少し積極的に働きかける必要があると考えております。それに対する政府の具体的な考え方をお聞きしたいと思います。
  19. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまの点はまことにごもつともでありまして、公益事業でありますところ電気は、たとい渇水期になりましても、できるだけの努力をいたしまして、需用家に迷惑をかけることのないようにしなければならないということはお示しの通りで、われわれもできるだけ電力会社にさような趣旨で運営するように注意をいたしております。実は昨年は非常に異例な、秋に渇水がございまして、石炭等の面で手当が十分できず、非常に需用家に御迷惑をかけた実例もございますので、今年はそういう点がないように——今年上期が非常に豊水であつたという理由もございますが、石炭ストに入る前におきましては、相当大きな貯炭を持つてつて石炭不足により需用家に御迷惑をかけるというようなことがないように、経営者も努力しておつたと思います。幸い今までのところ石炭のために電力供給を落すというようなことなしに過して来たわけでありますが、なお今後いよいよ本格的な渇水期を控えまして、ことに長期のストがございましたので、一月あるいは二月等、一番石炭を要します際の石炭下足が起りはしないかということを心配いたしまして、主要な、東京でございますとか関西というような地帯石炭については、今輸入手当をしておりまして、さような際にも、そういう石炭の面から電力供給不足が起るということのないように、手配会社にもお話をいたしておりますし、政府部内でも手配をいたしておるような状況であります。
  20. 宇田耕一

    宇田(耕)委員 私は渇水原因火力設備水力設備に対するアンバランスだと考えております。火力設備に対する考え方が甘いと思います。火力設備というものを積極的に、ある程度まで水力開発に先行して行くという政策をとらなくては、ほんとう電力行政の完遂を期することはできないと思います。大体停電等のことは文明国にお書いてはもつてのほかのことであつて停電というよりもむしろ電圧低下とかあるいはサイクル変動とか、そういうことについて専門的な反省経営者に求めるというのが、文明国現状であります。それが、サイクル変動に対する反省とかあるいは電圧低下等に対する経営者の良心的な反省とかいうよりも、もつもつと進んだ、言語道断な停電をやるということについての反省を業者はしない。役所はむしろそれを傍観しておるというようなふうにさえ見られます。それでありますから私は、電力行政根本はむしろ電圧低下とかサイクル変動とかいうところ重点を置くべき段階に来ておると考えますが、それについて当局の御意見を伺いたい。
  21. 石原武夫

    石原(武)政府委員 今お話の点まことにごもつともでございまして、従来サイクル変動とか電圧低下はある程度やむを得ないじやないかというようなことで考えておられたようでございまして、現在法的にサイクルとか電圧規制する根拠がございません。これは少し前のことでございまするが、電力の需給のバランスが非常に破れておりましたので、従つて多少そういう事例が起ることはやむを得ないという考え方から公共事業令等でもその根拠規定が明確になつていないというふうに伺つております。これは先般も御質問があつて、皆さんの御指摘の点は公益事業の見地からいたしましてはなはだ灘でありますので、われわれとしてはできるだけ御趣旨のような点について、今後必要があれば法的に規制をする、あるいは行政措置等によりまして、電圧とかサイクルとかいう点でサービスが落ちるというようなことのないように十分注意いたしたいと考えております。
  22. 宇田耕一

    宇田(耕)委員 最近発表になりました増加電力の予算を見てみますと、五箇年で約八千五百億ぐらいの金を使うことになつております。それで私はこの八千五百億の資金使い方については、国民の、生産に従事する者にとつては、送電停止はもちろん問題になりませんが、送電停止よりも、電圧低下等の技術的な責任経営者が負うという建前から、火力発電設備整備拡充重点を置いて、それをまず解決して行くことによつて、現在のようなアブノーマルな送電行政を是正されるというところに、この資金が活用されるような指導をすべきではないかと考えますが、その点の御意見を伺いたい。
  23. 石原武夫

    石原(武)政府委員 今お話の点ごもつともでございまして、われわれといたしましてもさような点にも、この計画としてもある程度考えておるつもりであります。火力の方が割合早期にできるというような点もございますので、ただ今の御趣旨が、はたしてこの計画で十分であるかどうかという点は、よく検討させていただきたいと思います。それからなお電圧等が下るというような点につきましては、現在は一つは、送電線あたりが非常に悪いという点もございますので、今度の計画では送変電設備相当重点を置いてやつております。さらに御趣旨の点につきましては、これはまだ確定的な案ではありませんで、一応の案でございますので、なおそういう点についてよく検討させていただきたいと思います。
  24. 宇田耕一

    宇田(耕)委員 それで約八千五百億というと、日本経済にとつてこれは非常に大きな影響のある金であつて、はたしてこれをどういうふうに調達、動員するか、私はわかりませんけれども、いずれにしても国民経済生活影響のある莫大なボリユームの金を使うという場合に、その金の使い方の順序については、重要な動力源に対するところの金の使い方というものは、切実な目の前のわれわれが非常に困つておる面を解決するということに、行政官庁が積極的にサービスするように注意していただきたい、こう考えます。また電力会社に対するストによるところ送電停止の場合には非常に騒ぎますけれども渇水によるところ送電停止の場合は、比較的に役所民間ものんきに構えておる。この点は責任者としては非常に怠慢であると考えます。従つて電力会社等に対しては、賠償を要求し得るような法的措置を積極的にとる必要があるのではなかろうか。なおそのほか経営者に対して反省を促すところ措置を積極的に考慮すべきである、こう考えます。それについて政府の御見解をお聞きしたいと思います。
  25. 石原武夫

    石原(武)政府委員 今お話がございましたように、電力会社公益事業として、もつぱらサービス重点を置いて第一に考えなければならぬことは申すまでもないことでございます。さような点につきまして、今お話賠償規定をどう置くかというような点は、具体的によく考えてみませんと、今ちよつと御返事をいたしかねまするが、さような意味で電力会社供給義務を完全に履行するという趣旨の点につきまして、法律上の規定が必要であれば、今後新規法律をつくります際に、そういう趣旨十分観点に入れて考えてみたい、こういうふうに考えます。
  26. 宇田耕一

    宇田(耕)委員 それで、ただいまお話がありましたような新しい五箇年計画の遂行についての政府反省を、そういうふうなところ重点を置いて考えて、実行に移る過程において考慮を払つていただきたいということと、そして燃料手当が、国の全般の燃料政策上から石炭が一千万トンしかわけられないというわくに拘束されることなしに、石炭以外にも、重油のごとき燃料源を求められて、積極的な開発をすると一緒に、末端の小企業者で、変圧器等も自分で持ち得ないというような、非常に貧弱な資本に立つところの小企業者に対する保護は、電圧ないしサイクル等を、その持つておるところ電気設備に合うように、まじめに送ることを考慮すべきである、こう考えますので、私の質問はこれで終りますけれども通産当局は、それに対するもつと技術的なまじめな反省を、経営者に促すような処置を積極的にとるように、新しい法的措置考えるときには、それを盛り入れて案に載せていただきたいと考えております。
  27. 坪川信三

    坪川委員長 本案に対して他に御質疑ありませんか。
  28. 福井勇

    福井(勇)委員 今石原局長宇田代議士質問に答えて、重油バーナーにおける火力発電四日市方面考えておるということを言われましたが、どの程度に考えておられるか、はつきり伺いたいと思います。
  29. 石原武夫

    石原(武)政府委員 これは福井委員も御承知かと思いますが、中部電力があそこに新規発電所をつくろう、これは輸入機械でやろうということに計画をしております。この場合には石炭でも重油でも、いずれにでも使い得るという設備考えて、あそこに設置しようという考えで進んでおります。
  30. 福井勇

    福井(勇)委員 石原局長に技術的なこまかい点をお尋ねするつもりはありませんが、私たち電気専門家からいいますと、日本火力発電建設費用が安いならば、特にボイラー関係建設費用が安いならば、そして日本重油が多く供給される見込みがあるならば、それはよろしい、こう思いますけれども日本天然資源下足なこの立場においては、私は水力をうんと重視して、火力もつと軽い比率を持つて行かなければならぬというふうに考えております。宇田氏の説に反対であります。はつきり反対であります。特に日本水力資源は、私たちの調査では、まだおそらく二千万キロワツトくらいあるのではないか。それ以上まだ残つておると思うのですが、そういう場合に、火力は重要地点に特に持つてつて、その場で長距離送電線を比較的設置しないという特点がありますから、石炭が多くあり、あるいは港が近いという場合には、この設備を重要視した時代があつたのでございますが、今日は特に超電力連繋の唱道されておるときで、日本においてもすでに二十二万ボルトが採用され、あるいは低くても十五万四千ボルトが採用されておる。アメリカの超電力連繋は、ほとんど二十二万ボルトでずつと太平洋岸から大西洋岸まで行つておる。また朝鮮の水豊ダムのごときも、二十二万ボルトで、南方にわれわれは成功した技術者仲間の一つの誇りを持つておると思います。そういう関係から行くと、私たちはなお現段階では水力に全力を注ぐべきであつて火力にあの程度を持つて行つたのはちよつと行き過ぎではないか、こういうふうに思いますが、もう少し石原局長のはつきりした御見解を伺いたい。
  31. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま御意見がございましたが、私もしろうとで、私はあまりはつきりしたお答えをいたしかねるのでございますが、私が先ほど宇田委員の御質問にお答えいたしましたのは、政府といたしましては、この五箇年計画ではいろいろ検討いたしまして、約五百五十万近く今後開発するうち、約百五十万くらいの火力を一応開発することが、水火のバランスから適当であろう、これはいろいろ技術者が集まつて研究した結果でございます。それについてまだいろいろ御批判があると思いますので、今後十分各方面の御批判を承りたいと思います。先ほど宇田委員が御指摘になりましたように、現在需給のバランス渇水期において破れておりますので、かりに百五十万くらいの火力が将来においてどうしても必要であるということならば、それを早期につくりまして、これは水力に比べると割合に短期にできるという関係もございますので、その必要な部分を早くつくりまして、さしあたり電力需給アンバランスのひどい渇水期電力を補うということも、確かに一案ではないかというふうに考えておるのでございます。それではこの計画の百五十万の火力が多過ぎるか、少な過ぎるかという点につきましては、私もしろうとでちよつと御返事いたしかねます。その点につきましては、各方面の御議論もあろうと思いますので、今後十分研究いたしたいと考えます。
  32. 福井勇

    福井(勇)委員 なお通産委員会において、石原局長専門家でないということは十分承知しておりますから、専門関係の技術者の方をお呼びして、お尋ねをすることにいたします。  それからなお私は、先ほど大臣の武器等製造法案提案理由説明のときにおりませんでしたので、重複するかもしれませんが、その点について若干私の希望を述べておぎます。この武器等製造法案につきましては、その基礎となるべきものはやはりマシンツールであります。このマシンツールの問題の根本を掘り下げれば、相当技術的の問題を包蔵しております。それらの点について、特に次会に詳細な質問を試みたいと思いまするから、特に戦時中航空発動機あるいは機銃関係の担当をしておつた軍需省の職員の方々がまだ残つておるように承つております。それらの人々をお呼びおきを願いたいと希望しておきます。
  33. 宇田耕一

    宇田(耕)委員 私の先ほどの質問は速記録を見ていただけばわかると思いますが、私の主張するところは、渇水期における送電停止をいかにして防ぐかということに対する当局責任、あるいは経営者反省を求めるということであります。従つて水力発電の開発事業が進捗することがすみやかであつて、そして緊急なわが国の生産増強に渇水あるいは停電によつて悪影響がない時期が早く来るなら、それはそれでよろしいのであります。私はりくつはどうでもいい。送電を停止するという事実がなければいい。それを早くなくするためにはどうするか。水力発電でできるはずがない、そういう技術があるはずがないと思う。従つて火力発電によつてそれを補うべしというのが、私の主張であります。毎年々々、年に二回渇水期がある。送電停止をやつている。そういう事実を前にしておいて、水力を増せばいいなんという議論に、われわれはどうしてもついて行くことができないというのが、われわれの切なる要求であります。水力でそれがすみやかにできるというならそれでよろしい。別に火力に求める必要はありません。できないことはできないとして、早く解決するのはこうじやないかというのは、あたりまえだ。これは国民の輿論であります。そういう点は質問の要点を誤解なさらないように、当局はお考えを願いたいと思います。     —————————————
  34. 坪川信三

    坪川委員長 次に貿易に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。今澄君。
  35. 今澄勇

    今澄委員 それでは私は簡単にお聞きをいたしますが、最近の東南アジアに対する日本の貿易の現状を見ると、非常に東南アジアの各国がそれぞれ産業計画を樹立しておりまして、インドにおける千二百万錘の紡績設備等のごとき、あるいは台湾における硫安会社の設立など、まことに東洋における日本の貿易市場としてのこれらの後進の各国が、目ざましい発達をしております。これらの国と日本との貿易の将来を見渡して、通商局なりあるいは通産省において、何か恒久的な対策がこの際必要であると私は思つておるが、そういうふうな研究の一つの結論なりあるいは構想というものがありましたならば、ひとつこの際お答えを願つておきたいと思います。
  36. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいま御指摘がありました通り、東南アジア各国におきまして、工業化がだんだん進んで参りました。特に直接の消費物資はなるべく自分の国でつくるということになつて参りました。これはやむを得ない趨勢であると思うのでございます。これは日本だけではありませんで、たとえばイギリス本国のごときも、やはりこの趨勢のために非常に貿易がきゆうくつになつて来ておる。今度の英連邦会議においても、この問題がおそらく取上げられただろうということは、コミユニケを見ても察せられるのであります。これについての恒久的な対策はどうかというお話でございまして、私どもといたしまして考えますと、この趨勢に対してやはり日本も適応したような政策をとつて行かなければならぬということは、やはり考えざるを得ない次第でございます。たとえば昨年パキスタンに対して綿布が二億六千万平方ヤードも出た。あるいはインドネシアにそれ以上の輸出があつたという状況、これはもちろん通商協定の締結その他によりまして、できるだけ輸出を確保して行く方向に努力はいたす次第でございますけれども、さらに一歩進んで先のことを考えますと、やはり日本としましては、そういう消費財を生産するような機械をこの方面に提供する、そういう方面にだんだん重点を置いて行かなければならないと考える次第であります。それにはある程度日本からの投資ということも考えられておるのでございます。これにつきまして、ただいまインド、パキスタン、ないしは最近インドネシア、あるいは台湾方面におきましても、そういうような日本の資本——と申しましても、主としてプラント輸出のかつこうになるわけでありますが、現地の資本と結合して事業をやつて行くというような話がだんだん起つて来ております。そういう方面に力を入れて、だんだん推進して行きたいというふうに考えております。
  37. 今澄勇

    今澄委員 そこで私はこういう東南アジア各国の新しい姿、これに対する貿易の停滞、そこでイギリスあるいは西ドイツのごときは、日本経済状態が大体似ておりますが、輸出産業に対する特別な保護が加えられ、あるいは助成金が出され、あるいは税金の免除等、いろいろの助成政策がとられております。わが国においては、これらの輸出工業に対する財政投資、あるいは輸出の品物に対しての免税というような措置が、いろいろ研究をされおるけれども、これらの問題については体政府としてはどういう考えを持つて進まれるつもりであるか、これらの見通しと対策についてひとつお答えを願いたいと思います。
  38. 牛場信彦

    牛場政府委員 西欧諸国におきまして、いろいろ直接的な輸出の奨励策がとられているということは、私どももいろいろ資料で承知しております。さらにこれを精細に調べますために、ただいま通産省から通商局の次長がドイツに参つて調査しておる状況でございます。そこで今国会へ間に合わなかつたのでありますが、来期国会にはぜひそういうような趣旨の、たとえば免税、減税の処置でございますとか、あるいは積立金、これは結局やはり減税ということになるのでございますが、そういうような制度を考えまして、御審議願うようにいたしたいと考えております。
  39. 今澄勇

    今澄委員 私ども日本の貿易がやはりわが国の経済の最も重点であるという建前からして、本日は通産大臣は見えませんが、先般外務大臣がこの委員会で報告したような、ああいう答弁では、なかなか日本の通商は進展しない。特に私は東南アジアの各国との経済会議や、あるいはこれらの諸国の産業計画に見合うところ日本の貿易政策や、あるいはそういう外国貿易に対する国家の助成、保護といつたようなあらゆる政策が、この際通産省としてます。そこで私は、通商局長の今のような簡単な御答弁で、欧州諸国に使をやつておる、これらが帰つて来たならば善処するというようなことではどうにもなるまいと思います。そこでこれらの輸出工業については、減税の処置をもつて行くのがいいか、あるいはこれを一応政府が買上げて、今日為替は管理されておりますが、それとまたかわつた計画的な管理貿易の形を日本の貿易がとつて行く方がいいのか、さらにはもう一つ、この際賠償の問題がありまして、この賠償が現在東南アジア諸国との間にいろいろもめておるが、この賠償を商品買上げの形において日本の貿易進展の上においてうまく利用して行くような構想はないか。これらの点についてもう少し明確な御答弁を願いたいと思います。
  40. 小平久雄

    ○小平政府委員 今澄委員の御意見につきましては、われわれも大いに啓発されるところがあるのであります。今後の貿易の進展をはかりますためにどいう手段をとつたらよろしいかということにつきましては、先ほど局長からも当局においていろいろ考えておるところを申し上げたのでありますが、さらに当局としましては、これが具体的な施策を講じまするために各方面の知識を集めてやりたい、こういうことで貿易審議会とも称すべきようなものをつくりまして、今後ただいまお話のありましたような点につきましても、これを十分しんしやくをいたし、万全の策を立てたいと考えておるわけであります。なお貿易は、管理貿易にした方がいいか、あるいは自由貿易にした方がよろしいかというような根本的な問題につきましても、当然これはそれぞれ一利一害があると思いますが、ただいま申しました審議会等の活用によりまして、今後十分その策を練つて参りたいと思うのであります。
  41. 今澄勇

    今澄委員 同僚議員の質問もありますからこれでやめますが、賠償の問題を政府はもう少し研究したらどうか。賠償については役務賠償その他いろいろ今外交折衝されておりますが、これらの東南アジア各国の中で、日本が輸出超過で向うのものをあまり買わない、こういつたふうな国々に対しては、日本としてはこの賠償の形をうまく研究をして、商品買上げのような形にするか何かして、日本の輸出が進展して行けるような構想もこの際必要ではないか、かように私ども考えておるが、これに対して何らかの構想なり御見解なりがあれば、この際承つておきたいと思います。
  42. 小平久雄

    ○小平政府委員 賠償の問題の解決にあたりまして、貿易の進展ということをあわせ考えてみたらどうかという御意見と思います。御承知のように、この賠償につきましては、平和条約の規定によりまして、原則として役務賠償ということにもなつております。これを現実にどういう形で行うかということにつきましては、外務当局において、ただいまそれぞれの関係国と折衝をいたしておるところと思いますが、ただちに政府において商品の買上げをやるといつた形に行くというところまで参ることは、対外的な関係から申しましても、はたしてどうかとただいまのところ考えておるわけであります。
  43. 今澄勇

    今澄委員 この問題は、政府はもう少し研究して、日本の通商貿易の上に大きく、災いを転じて福となすような対策を樹立されることを私は希望して、今日はこれ以上追究しません。  もう一点私がお伺いをしたいのは、円とドルとの為替の実レートは、現在非常に円が下落をして、大体五百円を上まわる相場になつておる。そこでアメリカから三百六十円で綿花を買つて、この綿花に日本が労務を提供して、日本でできる綿糸布がインフレ傾向にあるスターリング・ブロツクへ出るということになれば、この工業はこの為替で成り立ちますが、現実の実勢が五百円にもなつておれば、日本の国内的な物資は、この現実の為替の上に立つと——大体石炭にしても何にしても、みなアメリカに比べれば高いが、この国内でできるもの、あるいは化学肥料のようなものを、今度三百六十円で輸出をするということになれば、こういつた純国産の原料から輸出製品をつくるという産業に与える打撃はまことに大きいということは、三歳の童児もわかることだが、こういうような産業と貿易について、為替レートから来るところの大きな不均衡に対しては、何らかこれを具体的に調整するような処置はないものかどうか。特に軽工業と重化学工業と比べてみて、重化学工業が将来大切であるという見通しの上に立つならば、こういう為替上の問題を、優先外貨あるいはその他いろいろの操作の上において解決するような道はないものかどうか、大綱について政務次官から、具体的にもし方策があるならば通商局長から御答弁願いたい。
  44. 小平久雄

    ○小平政府委員 公定の為替レートと実際とのかけ離れておることが、国内産業、特に輸入及び輸出に関しまして非常に異なつ影響を与えておるということにつきましては、お説の通りだと思います。しからばこれをどうするかという問題でありますが、レートそのものにつきましては、三百六十円レートを堅持して行くということがただいま政府根本的な考え方でもありますので、そういつた為替の関係から来る影響が各種商品によつて異なるということにつきましては、それぞれの産業の性質に従いまして、むしろ国内的なと申しますか、具体的なそれぞれの産業への助成策等によりまして、できるだけその影響を少くいたして行くという方向に進むべきではないかと考えるのであります。
  45. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 関連して。貿易の問題は私らの国にとつて最も重大な問題でありますので、これを短時間に解決するということはできない。また局長としての抱負も政府の抱負もあるであろうと思いますから、これを簡単に承るわけに参らないと思うので、時をあらためてゆつくりこの問題に関連して一日つぶしてもらわなければならぬ。しかし先ほどの局長のお答えの中に、ドイツに調査に行つているお方もあるということでありますが、調査をするということは当然必要なことであります。しかし日本の政治の上に立つて、出先機関をどのくらいに利用しているか。それがほんとう日本の貿易のために必ずあつせんの労をとつているやいなや。また日本の貿易をしようという方をどんどん現地に送り出して、そして将来おれはこれで行けるのだという確信の持てるような方向をとつているやいなや。この点についてお答えを願いたいのですが、私が見た目においては、体験した結果においては、さらに政治の上にこれが行われていないように考えるのであるが、その点について局長のお考えをお述べ願いたいのであります。
  46. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいまの御趣旨はまことに私ども痛感しているところでございまして、もつと在外機関を貿易のために活用すべきでないか。従つてそういう意味合いにおいて在外機関というものを充実すべきではないか。これは主として外務省の管轄になりますが、これは私どももまことにその通りだと考えるのでありまして、現在外務省と通産省との間では相当頻繁な人事の交流を行つておりまして、重要な公館には通産省からことに貿易方面に経験の深いような人間を出しておりますが、何分にもまだ開館の日の浅い公館も多いことでありまして、なかなか活動が思うにまかせないということが確かにあるようでございます。そこでそれを補充する意味におきまして、たとえばアメリカなどには商品展示室を兼ねた貿易あつせん所みたいなものを置いてみたらどうかという考えもございまして、これは主として民間の方に御協力を願つて運営して行きたいという考えで、近く御審議を願うことになるかと思うのでございます。  それからまた東南アジア、それから南米というような、日本のプラント輸出の輸出先につきましては、これはやはり技術的なサービス・センターというようなものがぜひ必要じやないか。これもやはり政府がやるというよりも、民間の団体を結成していただいて、それを補助をするというかつこうがいいのであると思います。現在財界の相当有力者の間でそういうような動きも認められる次第でございまして、これもやはり予算の面におきまして御審議を願うようなことになるのじやないかと考えております。
  47. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 貿易に関しては、東南アジアは申し上げるまでもなく英国の属領地であつたということは御承知通りでありまして、英国が日本からの進出を恐れて、あらゆる手段をとつてこの駆逐策を講じておる。ただその中に漫然として日本政府が役人にまかせておいただけで、いかにあなたが一人どんな構想を持つても与野党を通じて結束した、一丸となつた貿易という点について、外交の問題が決定されて出発して行かない限りは、とうていこれを打開して、安定した日本産業を振興させることは私はでき得ないと思う。しかし今の日本の貿易の姿は、これが独立した国の姿であるか、日本という国はそれほど貿易というものが重要性があるのにもかかわらず、なぜ政府は役人だけにまかせておくかと申し上げたい。私はただ税金を無税にしたから、この輸出の振興ができ得るのではないかと思う。両者ともりつばに、目的を完遂するためには、もつと大きな政治的なバツクがなければならないのではないかと思う。あなたのお考えでそういう点にお気づきになつているのかいないのか、必要とするかいなやをお伺いしたいと思います。
  48. 牛場信彦

    牛場政府委員 民間の創意くふうをもつと大幅に活用しろという御趣旨一つあると思いますが、これは私どももまことにその通り考えまして、先ほど政務次官から御説明申しました通り審議会のようなものも至急に設けて、すでにやつておる面もございまするが、さらに大幅にそういうものを活用して民間の方の御意見を十分取入れて行きたいと考えております。それからなおもう一つの御趣旨は、おそらく東南アジアは貿易において先方が半ば国家管理的な貿易を行つているのに対して、日本がちりぢりばらばらで行つたら、これでは商売にはならぬのじやないかという御趣旨と思いますが、私どもはこれについてはやはり政府貿易という形はできるだけ避けて行きたいと思います。もちろんその貿易に携わる人たちをバツクする意味において政府として十分の手当をしなければならないのでありますが、やはり実務は民間の手によつてつて行くのが本筋だろうと考えております。ただ貿易商社が非常に弱小であつて、しかも濫立しておつて、これが日本の貿易条件を非常に悪くしておるということは確かにあります。貿易商社の強化ということは、これは来年度の第一の課題として現在もすでにやつておるわけでありますが、これに大いに力を注いで行きたいと考えております。
  49. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 局長はお聞違いになつていると思うので、私は政府貿易をしろというのではない。政府みずからがもつ民間貿易に満身を込めた方途を授けなければならないのではないか。それには与党であるからというのでなく、与野党を通じて結集しなければならない、こういうことを私は申し上げているのでありまして、政府貿易を今私どもはやらんとするような考え方は毛頭持つておりません。従つて局長も、あなたはなるほど政府委員であるかもしれないけれども、この行き詰まつた貿易というものに関連して、あなたは通産委員会に来て通産委員会がこの程度でよろしいのかというくらいのお言葉はあなたから承らなければならない。そのくらいの熱意があつてこそ初めて日本の貿易に貢献することができ得るのではないか、従つて指導することができるのではないかと思うのであります。ただ政府の一員であるからあまり刺激のないようにきげんをとつておこうというような態度でなく、ともに研究し、そうして目的を達したいというのがわれわれの念願である、こういうことだけはお間違いのないように今後も御答弁を願いたい。大臣がいるから政務次官がいるからといつても、あなたは政府の別の方の方かもしれないが、あなたは大臣じやないからうまいことを言つてごまかそうという——政務次官というようなお方はあるいは三日すればかわつてしまう、かわつたあと担当するのはあなた方だから、もつと真剣にわれわれにもこうやらなければならないのだということを伝えてもらわなければ、われわれにはわからないのだからそうお願いしたいということを申し上げたのでありまして、従つて申し上げた通りあなた方のお力でいかにやろうとしても、政治というものが表に立つて行かなければこれはやり得ないものである。またバツクになければやり得ないものであるということを私は申し上げておるのであります。今後におきましても、冒頭に申し上げた通り、貿易の問題は簡単に片づかないからまたゆつくりお話を承りたいのでありますが、きようは私はかつてなことを申し上げたようでありますけれども、決してかつてな話じやないので、もつと責剣にわれわれは通産委員として責任考えなければならないときであると信ずるからであります。私の質問はきようはこのくらいにしてゆつくりあとで承ることにいたします。
  50. 山手滿男

    ○山手委員 きようはやめておこうと思つたのですが、一言お伺いいたします。貿易の振興問題についていつも非常に強調される問題は、通商航海条約の問題をうまく処理して行く、推進をするということが一つの主眼点になつていると思うのであります。この点についてはほとんど国会にも報告されないままにいつも政府の方で何がしかの代表を派遣して、通商航海条約はこそこそときめられているというようなことが実態でありますが、この際通商航海条約を締結すべく各国と交渉をしている、あるいは折衝している、そういうことに対する政府の態度なり経過を一応御報告を願いたいと思います。
  51. 牛場信彦

    牛場政府委員 これはただいま具体的に交渉いたしておりますのは、日米の通商航海条約でございまして、外務省が主としてやつておりまして、私どもは常時連絡を受けているわけでございますが、内容につきましてもちろん私ども存じておりますけれども、公式の御報告はひとつ外務省の方から御聴取願つた方がけつこうだと思います。
  52. 山手滿男

    ○山手委員 そういう御答弁が出るだろうと思つておつたのですが、今またほかにも通商航海条約についてはいろいろやつているはずです。ところが日米通商航海条約のことについては、日本国内におけるアメリカの外国商社の経済活動を大幅に容認をして行くという態度についてであります。そういう日米通商航海条約の上に立つて、さらに東南アジア諸国との通商航海条約もそういう一つのベースの上に乗せて推し進めて行こうという方針があるようにも伝えられておる。ところがアメリカ人ならアメリカ人の日本の国内における経済活動をどの程度に、どういう方法で許して行くかという問題、そのほか通商航海条約にからんでの問題は、その実態をつくり上げて行くものは外務省ではなしに、通産省でなければいかぬのじやないかと考えるのであります。ところが今の局長お話によると、通産省じやなくて外務省がやつておるので、いかにも通産省はつんぼさじきに押し込められておる、ときどき話を聞いておる程度だというふうな御答弁であるようであります。従いまして、今長谷川君が言つておつたことも、そういうことを通産省としてどうやるんだということであろうと私は思うのであります。その点について、もう一ぺん御答弁を願います。
  53. 牛場信彦

    牛場政府委員 外国人の経済活動について御質問がありましたが、これは確かに実態的には通産省として一番関心を持たなければならない点でございまして、この点は特に外務省とよく連絡しております。そして大体の考え方といたしましては、ただいま外国の資本の導入に関しましては、外資法というものがございまして規制をしておるわけでございますが、あの法律考え方を見ましても、結局外国人の資本の入つて来る場合には入口でこれをチエツクして、はたしてこれが日本のために好ましいものであるかどうかを審査する。さらにまた条件をつける必要があれば条件をつける。入つて来たあとは、やはり平等に内国民待遇で活動を認めて行くということでなければならぬと考えまして、そういう方針で外務省とも十分に折衝しております。
  54. 山手滿男

    ○山手委員 きようは外務省の人がおられませんから、こまかい話はやめますが、できればこの際政府が意図しておる通商航海条約の締結をしようとする相手方、あるいはそれに対する政府の態度、そういうものについて次回のこの委員会で詳しく御説明を願いたい。この通商航海条約の問題をほんとうに掘り下げておかないと、貿易の振興の問題は解決しないと思いますので、その点をこの際要求しておきます。
  55. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただいま通商航海条約の問題が出ましたが、国際関税会議加入の問題がこの前取上げられておつたようであります。これについてガツトの会議に大蔵省からも通産省からも出席されたやに承つておりますが、これがどのような状況になつておるか簡単に御説明願いたいと思います。
  56. 牛場信彦

    牛場政府委員 この問題はいろいろ経緯もございますが、簡単にただいまの状況だけを申し上げます。ことしの九月にジユネーヴで総会がございまして、それに外務省、大蔵省、通産省からオブザーヴアーが出ました。その総会の一つの大きな議題は、日本の加入問題であつたわけでありますが、これは一応たな上げにしてもらいたいという希望が強かつたために、日本側もそれに大体同意いたしました。しかしその問題は総会後にすぐ委員会をつくつて、そこで審議することになりまして、その委員会が来年の二月に開かれることになつております。そうしてその間にいわゆる関税交渉というものを各国でやるわけですが、それは相手国が応ずれば、今すぐにでも始めていいということになつておりまして、ただいまそういうような準備をしておるところでございます。結局これはいつごろ実現できるかという見通しの問題でありますが、おそらく来年一ぱいか再来年にかかるのではないかと思います。というのは、アメリカの互恵通商協定法というものが、たしか明年の六月ごろに切れまして、これが延長されるかどうかということでガツトの運命もきまると思いますので、それを見定めた上で本格的な関税交渉が始まるものと思つております。
  57. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その際、これは漏れ承つたことで間違つているかもしれませんが、主として反対したのはイギリスであるといわれております。そしてその反対の理由は、日本という国は重要な国であるから、あらゆる方面から検討を要するという理由のもとに拒否したと聞いております。これについては何らかの手を打たれたことは存じますが、その点はいかがでございますか。
  58. 牛場信彦

    牛場政府委員 イギリスが反対いたしましたのは、総会を開く前に、簡易手続で日本の加入を認めてくれないかと申請しましたのに対して、それは困ると申したのでありまして、総会ではすぐ日本を加入させるかどうかということまでは、表決は行われなかつたのであります。そうしてあの総会は非常にこまかい資料を要求いたしまして、たとえば日本の労働賃金は低過ぎはしないかとか、そのほかいろいろ非常にこまかいところまで調べますので、その意味で慎重にやりたいという意味の反対であつたと思います。
  59. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 いつも社会党から質問すると、野党攻撃だというような感じを持たれるようですが、私は日本の貿易を振興させるという立場からあと二、三お尋ねしたいと思います。貿易を振興させるにあたつて、今日、日本は独立したとはいうものの、不利な点が非常に多いのであります。特に不利な点の一つとして、決済面でございますが、戦前におきましては、六十日から九十日以内におけるDAによつて円滑な決済が行われておつたと思います。ところが今日ではそれができないで、アウトサイドのLCの発行による決済制度になつておるようであります。これを一日も早く戦前のように回復する必要があると存じますが、この点についてどのようなお考えを持つていらつしやいますか、お尋ねいたします。
  60. 牛場信彦

    牛場政府委員 DAによる決済は、ただいまドル地域のアメリカであるとか、中南米に対しては、一件ごとに審査をいたしまして、原則として危くないと認めれば許しております。ただこれがどうしてアウトサイドの信用状付となつたかと申しますと、終戦後非常に日本の商社の力が弱かつたために、もしDA払いの条件を認めるということになると、全部そつちの方へ行つてしまう。つまりバイヤーの力が強いために日本の商社が圧迫を受けるという事情もありましたので、むしろ業界からの強い希望がありまして、アウトサイドの信用状ということになつて来たのであります。しかし、そういう情勢もだんだんと緩和されて参りましたし、ただいま輸出信用保険の関係ども、まだDA輸出には及んでおりませんので、これもぜひ近い機会に直しまして、なるべく普通の決済方法を採用して行きたいと考えております。
  61. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 もしDAの決済方式が急速に改善することができないとするならば、ユーザンスの期間を有効適切にするための措置をとるべきではないかと存じまするが、これについてはいかがでございますか。
  62. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいま日本銀行で期限付外貨手形ということを考えておりますが、これはそういう御趣旨に合う制度になると思います。
  63. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その期間をもう少し長期化する考えはないかというのです。
  64. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいま日本銀行では三箇月ということを考えておるようですが、私どもとしてはもう少し長期化したいと思つて、今後折衝したいと思つております。
  65. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 外国貿易の上においては百五十日くらいが大体日本の貿易にとつて妥当な点じやないか、こう考えてお尋ねしたわけなんですけれども、その点についてはいかがでございましようか。やはり九十日でけつこうだとお考えでございますか。
  66. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいま申しました通り、私どもはもう少し長い方がいいと考えておりますが、しかしそういう長い信用を出しますと、日銀の信用だけでやるということは、はなはだ常道にはずれるわけでございまして、やはり日本の為替銀行なり、商社なりというものが強くなつて、自分の信用でやつて行けるようになつたら、期間の延長も楽に行われるようになると考えております。
  67. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 次に考えられますことは、先ほど今澄さんの方からもちよつとお尋ねがあつたようでございますが、為替相場の合理的な運用ということが考えられるわけですが、これについてはいかがでございますか。具体的に申し上げますと、戦前では為替相場の合理的な運用によつて、国際物価の騰落をカバーすることができたと存じておりますが、ただいまでは為替管理委員会とかなんとかいうものがはつきり独占してしまつてつて、その運用の妙によつてさやかせぎをして、そうして買付をした物価あるいは売つた物価の下落のカバーができないような状況になつておる。この点についてただいま早急にそれを改革することができぬとするならば、将来一体通産省としてはどのような考えを持つていらつしやるかということを承りたい。
  68. 牛場信彦

    牛場政府委員 ただいまのお話は、結局為替関係を緩和しろということになるわけでございますが、終戦後はずつと厳重な全面集中ということでやつて参りましたが、最近だんだん為替銀行の育成も進んで参りまして、大蔵省では外貨を為替銀行に預託するという制度も最近始まつたわけでございます。そこでこれがだんだん進展して参りますれば、銀行自体としても、あるいは商社としても、お話のようなことがだんだんできるようになると思いますが、何分それを急激にやりますと、また別な面において国際収支上に非常に悪い結果が出て来るおそれもございますので、方向としては御説の通りと私ども考えておりますが、進め方は慎重にやつて行きたいと思つております。
  69. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 もう一つ考えられる問題は、金利の引下げということでございます。特に為替予約手数料の引下げによつて取引条件を有利にするということが、ぜひ必要なことと考えられるわけです。ただいまの手数料を調べてみますと、現在一旬について、ポンドですと二十八銭、それからドルでございますと、一旬で十銭という手数料をとられておるようでございますが、貿易金融の観点から考えまして、これはちよつとえら過ぎる、高水準に過ぎると考えておりますが、この点はいかがでございますか。また将来これを改革されるとするならば、その見通しを承りたいと思います。
  70. 牛場信彦

    牛場政府委員 為替の予約は一種の為替変動に対する保証みたいなものでありまして、ただいま政府が全部為替のリスクを背負つているわけでございますので、全然ただにするということはちよつとできないかと思いますが、引下げることには私まことに御同感でございます。それからポンドの方が高くなつておりますのは、本年三月の輸出調整措置をとりましたときの残りがまだあるのですが、これは大蔵省と折衝いたしまして、ぜひ少くともドル並には下げたいと考えております。
  71. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 通産省は業者の指導、育成、強化ということが目的であるとするならば、以上述べたような問題は、大体漏れ承るところによりますと、外国為替処理委員会とか何とかいう大蔵省関係にあるように存じております。こういうものが国家的に管理されているということは、いわゆる自由貿易の立場、自由経済の立場からいつて、正しいあり方ではないと考えます。そこでこれを戦前のように、商社の力あるいは国内の大きい工業部面の力を増強させて、これにだんだん移行するという考えがあるのか、それとも今のような状態を続けて行こうとお考えになつておるのか、この点を特に承りたい。
  72. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは経済が常態に返つて参りますれば、為替管理もなるべく緩和して行きたいということは、為替管理の法律にも書いてございますし、そういう方針で行きたいと思つております。
  73. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 実は次に国内産業の合理化ないしは輸出振興にあたつての方策をお尋ねしたいのでございますが、あまり時間が延びるといけませんので、いずれこの次の機会にぜひその点を保留さしてもらいたいと思います。
  74. 坪川信三

    坪川委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にいたし、次会は来る二十日土曜日午前十時より開会いたします。なお十九日午前十時より電源開発に関する件につき、経済安定委員会連合審査会を開く予定でありますから、さよう御了承願います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時十六分散会