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1952-12-13 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十三日(土曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 小金 義照君 理事 高木吉之助君    理事 河野 金昇君 理事 今澄  勇君    理事 永井勝次郎君    大倉 三郎君       中峠 國夫君    福井 順一君       宇田 耕一君    山手 滿男君       伊藤卯四郎君    加藤 清二君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         通商産業大臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  黄田多喜夫君         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      石原 武夫君         建設省技官         (河川局長)  米田 正文君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十二月十三日  委員福田一君辞任につき、その補欠として福井  勇君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案  (内閣提出第三号)  貿易に関する件     —————————————
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議を開きます。  本日は先日に引続き、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案の審査並びに貿易に関する件の調査を進めます。質疑の通告がありますから順次これを許します。伊藤卯四郎君。
  3. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 質問に入る前に委員長にお願いしておきたいのですが、一昨日私が小笠原通産大臣質問をいたし、その他同僚政府委員との質疑応答の全体を見まして、大臣初め政府委員答弁ははなはだ不親切であるように存じます。従つてそういう不親切な答弁をされておるということであれば、十分理解が行き、納得するまでこの審議をしなければなりませんので、今提案され審議しておりますところの法案も、私は相当時間がかかることになると思います。そうすれば委員長の早く能率を上げたいという御希望に反する状態が起りますから、以後大臣初め政府委員答弁に対しては、やはり信念を持つて親切に答弁されるよう委員長から特に政府側に要望しておいていただきたいということを申し上げておきます。  なお一昨日通産大臣公益事業の意義と使命あるいはそのあり方というような点に対して何点か質問をいたしたのでありますが、大臣答弁は私の聞こうとすることに少しもお答えになつておりません。従つてなお引続き本日二、三点質問をしなければならぬのをはなはだ遺憾に思つておるのでございます。  大臣にお伺いいたしたいと思いますことは、政府も今上程されておりますこの法案に対しては不十分であるということを説明の中で申しております。従つて不十分であるということであるならば、今後の公益事業あり方というものに対して、これは根本的なものでないということを明らかにされておると思うのであります。この法案の第一の目的とされておるのは、公共事業令には電気及びガス使用者利益を確保すること、公共福祉を増進することを目的とするということが明確にされておるのであります。従つてこういう目的を達成するために出されておる法律案でありますから、私が一昨日から質問をしております本法案目的であります公益事業に対する使用者利益公共福祉を増進するということが、今後の政府の根本的な施策の上に明らかにされなければならぬと思うのでありますが、その点が少しも明らかにされておりません。この公共事業令目的を達成するために、政府公益事業に対してどのような方針を持つておられるのか、この点を大臣から明確にお答え願いたいと思うのであります。
  4. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいま不十分というお言葉がございましたが、だれかそう申したのかもしれませんが、多分それはこういう意味ではなかつたかと思います。今お願いしておる法案は一時的なものでありまして、ポツダム政令が現在廃止されておりますので、臨時にこれを出しておるのでありまして、今後審議会等へ諮りまして、恒久的なりつぱなものをつくりたいということで臨時という意味でそういうことを申し上げたのじやないかと思います。ただいま伊藤さんのお話の点につきましては、公共事業令最初にありますように、公共福祉を増進することが目的になつていることはもちろんでございます。私が最初に申し上げた通り電気事業国家経済の振興及び国民生活の安定上非常に重要なる事業であり、従つて公益事業といたしまして公共利益に奉仕すべき使命を持つておりますことは申すまでもございません。しかし伊藤さんも御承知のように、今の電気事業は純粋な民間事業として営まれているのでありますから、従つて電気事業公益性民間事業である私益性との調和をはかりまして、私企業としての経営の自由は尊重して行くが、しかしその運営が、公共利益に適合するような規制を加えて参る、こういう必要を考えてこの法案が提出されておる次第でございます。
  5. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 今の御答弁で、次に根本的なものをつくろうとされている点は明らかになりました。そこで私益性公益性調和の問題を言われているのでありますが、私は今の電気会社一般需用家に臨んでいる態度、あるいはそれに対する政府方針というものは非常に片手落ちのように思います。というのは一例をあげますならば、度量衡のようなものは、政府のきわめて厳重な監督のもとに置かれております独占的な事業でございますが、これらのものはある目方を少しでもごまかせば非常な罰を受けることになつております。しかるに公益事業であり、しかも産業経済国民生活に重大な影響を持つところのこの電気事業に対しては、あまりにも電力会社のみが一方的に保護されておるように思います。たとえば国民の犠牲の上に、国家保護、助成はされてありますが、さて一たび電気会社が電圧を下げる、あるいは今日行われているストライキなどを見ましても、中小企業などはほとんど仕事がやれなくなつております。しかも来るべき年末は実に不安なる深刻なる状態で新しい年を迎えようとしております。なおまた家庭などにおいては、ラジオも聞けない、電気は一時間おきに消えて、新聞も読めないというこの深刻な状態大臣は御承知であるか。そういう深刻な状態になつておりますけれども、これらの迷惑、損害を受けておる一般需用家というものを保護し、あるいは補償する何ものでもありません。ところが事業家の方は、消費者の方がたまを少し大きいのをつけておつたとか、あるいは何かかつてなことをしておつたとなると、ただちに六箇月さかのぼつて追加金をとるとか、罰金をとるとか、いろいろなことをやつております。この片手落ちの点に対してどのようにお考えになつておるか。つまり大臣が言われるように、半分々々、その中間を行くつもりであるとされるならば、少くとも電気使用者に対しての補償保護というものがされなければならぬが、それを少しもいたしていない。今後この法律を払われる上において、一体どのようにして片手落ちにならないようなことをされようとするのか。そういう点を明らかにされないと、私は消費者が納得できないと思うのであります。
  6. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 電気事業者電気使用者との間に結ばれておる供給規定につきましても、これは認可制になつておりまして、需用者利益は考慮されておるのであります。たとえて申しますると、電気使用を制限した場合、料金割引をする旨が規定をされております。また電気使用者の受けた損害に対しましても、その原因が不可抗力によるほかは損害賠償規定されておりまして、必ずしも電気事業者の一方的な供給を認めておる次第でないことは、これでも明らかであると存じます。しかし具体的な事項につきまして、今後さらに検討いたしまして、改善すべきものはすみやかに改善する措置をとりたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 大臣の御答弁を伺つておると、需用家の方も保護されておるような意味のことを言われておりますが、ここに局長もおられるが、たとえば今日のごとき迷惑損害を受けておつても、これらはほとんど泣寝入りになつておる。そういう点に対して、需用家電力会社の与えた損害迷惑に対して補償を受けたという具体的なことがあつた政府委員からお伺いをしたい。
  8. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねでございまするが、たとえば今回のように一般停電をいたしております際に、ただいま大臣からお話がありましたように、供給規定の定るところによりまして、一定率割引をするということは自動的に行われる。今回のような場合には、かような規定から行きますので、その範囲におきましては補償ということはあると思います。当然ある幾分かの料率の割引を行います。これはたとえば定額の場合におきましても同様でございます。  さらにそれ以外に、いろいろ電気事業者需用者に迷惑をかけた場合、現実補償したことがあるかというお尋ねでございますが、これはちよつと私調べてありませんので、調べましてお答えいたしたいと思います。
  9. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 なお局長にお伺いしますが、今局長の御答弁を伺つておると、たとえば今度のようなことで相当迷惑をかけた者に対しては、当然電力会社はその補償をすべきであるというような意味のことを言つておられますが、そうすれば、定額需用家などは全消費家の半数以上になつておるのでございまして、おのずから時間的にも日数的にも計算が明らかになりますから、そういうものに対しては、当然需用家電力会社損害を請求するということを政府の方でもお認めになつておられると解釈してよろしゆうございますか。
  10. 石原武夫

    石原(武)政府委員 お答えをいたします。ただいま申しましたのは、最近のように一般家庭にまで停電が及ぶ場合において、たとえて申しますと、定額では月幾らときまつておりますが、一月のうち夜間電気供給すべき点燈時において、一日について通算して一時間以上もし電気供給をとめますと、一日につき定額料金の百分の二を差引くことになつております。ただ通常の日においても、いろいろ工事をするというようなことで、初めの二日間分については、免責規定がありますが、それを越して停電が一日につき通算して一時間以上行われますと、月ぎめできまつておる額に対して、一日について百分の二を割引くという規定になつております。今私が申しましたのは、供給規定に基いてさような措置が当然従来からきまつているということでありまして、それが損害賠償に当るかどうかということは、これは供給規定による当然の割引なのでございますので、趣旨からいえばさような趣旨になるかと思いますが、損害賠償ということではないのであります。
  11. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 そういたしますと、今非常に国民が迷惑を受けていることは、局長も御承知通りであります。そうすればこれはきわめて時間的にも明らかでございますから、政府の方から、電力会社に対して従来はお前たちはそういうことをやつておらないようであるが、今度はこの迷惑に対して送電しなかつた分に対しては、必ず料金を差引いてやるべきであるというこの通知をされる必要があると思いますが、そういう点に対してはどうであるか。さらに需用家はこれを知らないために、電力会社に一方的に泣寝入りさせられておるから、国民に対しても、今後こいう場合にはこのようにさせることが妥当であるという点をお知らせになるという、両方面に対するそういう扱いを政府はされるお考えであるかどうか。この点をひとつ明らかにしておいていただきたい。
  12. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま私が申しましたのは、例を定額電燈にとりましたが、従量の場合におきましても同じような趣旨規定がございます。ただ従量におきましては、当然電気料金使用料が減りますから、その分は自動的に電気を使いませんから料金は少くなりますが、定額の分については基礎的な部分がありますので、その部分についてはやはりある一定割引をすることが供給規定で定まつております。供給規定に定まつております範囲内につきましては、電力会社料金を徴収する場合に、その規定によらずに不当に料金をとることはないと考えております。ただ今お話もございましたので、もしさような御心配もあるということでございますれば、われわれの方として、電力会社に対して、特にかようなストライキ関係もありますので、さような供給規定に基いて割引は必ず励行するように十分注意をすることにいたしたい。なお今需用家にということでございましたが、これはどういう方法でいたしますか、いろいろ需用家も多いことと思いますが、その方法については適正な方法があればそれでやりたいと思いますが、よく研究をさせていただきたいと思います。
  13. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 政府委員に対する質問は後日に譲ります。なお他の同僚等質問がございまするし、大臣の時間等の関係もあると思いますから、大臣に対する質問をもう一点ばかりいたしたいと思います。今後この公益事業運営に対しては、需用家に絶対にこの迷惑をかけない、損害を与えないというような点を、私は公益事業の立て方の上において政府考える必要があると思うのでございます。この点をどういうようにお考えになつておるか。  さらに公益事業である場合に、大臣はその私益公益中間どころを調和して行くつもりであるという意味の御答弁をされておるようでありますが、公益である以上私は公益が優先すると思うのでありますが、政府はそのウエートを一体どつちに置いて公益事業の今後のあり方をきめて行かれようとするのか、この点をひとつお伺いしたい。
  14. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私が前に申し上げましたように、この公益性私益性との調整される点は伊藤さん必ずありますよ。やはりその調整ということを基本原則として行くべきであつて、これにどれだけのウエートをつけるというのでは最初からかえつて調整がむずかしくなるのではないかと思いますので、今申し上げたように漠然たる言葉でありますが、やはり両者の調整基本原則とするというふうに申し上げることが実情に合うのではないかと考えるのであります。  さらに、ただいまいろいろお話しがございまして、公共事業令でずつと使いました結果、実情に即さないと認められる点等もあろうと存じまするので——私正直に申しますと実はまだ詳しく調べておるいとまもないのですが、これらにも十分検討を加えます。いずれにいたしましても、この法案で設置されまする法令改正審議会には、各方面の有識者の御意見を十分に取入れて御期待に沿うような結論を得たい、かように考えておる次第でございます。
  15. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 最初の点に対して御答弁がなかつたのでございますが、最後の一点に質問を限りたいと思いまするので、この際大臣信念として御答弁を願いたいと思うのでございますが、公益事業電気などは、特に産業国民生活の血液とも言うべき重大な使命を持つておるのでございますから、これらの事業に対して今後需用家である国民に絶対に損害と迷惑をかけない、その運営方法をこうしてやらすというお考えがあれば、その点を後日のために私は明確に伺つておきたいと思います。  さらに先般、一週間ほど前になりますが、私が本会議で電産、炭労ストに対して早期解決をせなければ日本産業国民生活の上に重大なる影響を与えるということを深刻な気持で質問をいたしました。ところが大臣は、私どもが深刻なほどには深刻にお考えになつておらないように私は思つておりますが、一たびあなたが工場街であるとか、あるいは年末のこの差迫る国民生活の中に深く入られたならば、おそらく私はこれがいかに深刻であり、責任大臣としてこれでは相済まぬというお考えを持たれると思います。そこでその際、中労委会長の方でこの争議解決されると自分は思つておるというような意味の御答弁を、相当確信を持つてされた。一週間前に、この争議は近く解決するから安心せよというような意味の御答弁であつたのであります。ところが一週間たちましたけれども、安心どころではなくてだんだん深刻であります。御承知通り炭労スト解決せずして、この十七日が過ぎれば保安要員引揚げをするということでありますならば、炭鉱はいよいよつぶれてしまいましよう。おそらくあと復旧して石炭を出すのには、三箇月も六箇月もかかるということになつてしまいましよう。さらに電気もこの二十日から八〇%——ほとんどと言つてもよろしいくらいの電気停電してしまうということを宣言いたしております。このまま放任しておきますならば、私はこの年末にあたつていよいよもつて独立日本は暗黒なる状態に陥らざるを得ないと思うのでありますが、一週間前の大臣の御答弁、それに反して今日はさらに深刻さを加えておるが、産業経済責任大臣として、これらの深刻なる問題をどのように解決しようということを内閣の間でお話合いをされて、その方針をきめられようとしておるかを、この際不安なる国民に答える意味で私は御答弁を願いたいと思います。
  16. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 最初お話のございました将来の電気事業者に対する監督と申しますか、いわゆる公益性私益性との調和について、なお電力会社に対する監督等に不十分な点があると認められますれば、またこういう事柄につきましては今の法令改正審議会等十分検討を加えていただきまして、十分なる監督をして、公益性を強く反映させたいと考えておる次第でございます。現在もいろいろな監督規定がありますことは、これは伊藤さんよく御承知通りでありますが、しかしさらに実情に基きまして十分な監督規定等を加える必要がございますれば、さようにぜひとりはからいたいと考えております。  なお先般の電産ストあるいは炭労ストの問題についての御質問に対して私がお答えいたしましたのは、当時中労委側においては自信を持つてこれに当つておられるということは申し上げましたが、これでもう近く解決するから国民は安心しろとは少しも申し上げたことがないことは、伊藤さんよく御承知通りであります。しかしながら、いかにも電産ストなり炭労ストなりの影響は深刻でありますので、お説の通り私は産業行政所管行政責任者としてまことに憂慮いたしておるところでございまして、中労委を初めとして関係各省とも緊密な連絡をとりまして、すでに一方、経営者側では承知している点もあるのでありますから、労使互譲による現状の紛争の打開に誠意を持つてつているつもりでございます。またこれの一日も早からんことを心から念願いたしております。しかし、なるべく早くということですから、スト側においても、国民及び国民経済に及ぼす大きな影響をよくお考えになつて、一日も早く良識ある結論に到達せられんことを心から念願いたしております。
  17. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 念願されているということはよくわかりますが、事案はその念願がなかなか届かない現実でございます。  そこで私は、これは希望意見になろうかと思いますが、このままに放任しておかれてはなかなか解決の見通しはございません。従つて経済関係責任大臣として、これでは日本産業経済はつぶれてしまうから、このまま放任することはできない。そこで内閣として、政府としてお働きかけになることはもちろんであるが、矢面に立てないとすれば、中山中労委会長を煩わしていま一度労使双方の中にさらに立ち入つて、この二つの問題をすみやかに解決するように努力する、政府として中山会長を再度このあつせんに立たしめるようにおやりになる以外には適当な道はなかろうというふうにも私は考えるのであるが、そういう点に対しても一言お答えを願いたい。  さらに憂慮する問題でございますから、お伺いしておきたいのは、この経営者労働組合関係を従来と同じような対立状態のままでいつでもストライキのやれる、また経営者私的事業として対立するようなままに今後も労使関係を置かれるつもりであるか、あるいは公益事業であるからして、国民に対する過度の迷惑、損害を与えておるこの深刻なる状態にかんがみて、今後の電気事業における労使関係共同責任をもつて公益事業使命を全うするような労使関係状態をつくろうというようにお考えになられるかどうか。この二つの点は非常に今後の面に重大であると思いますから、産業経済をつかさどられる大臣として、この点に対する今後の方針なり信念なりを承つておきたいのであります。
  18. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 伊藤さんが最初お断りになりましたように、これは自分希望だというお話でございまして、御意見の点はよく承つておきます。よく御意見の点を承つておきますが、私ども産業所管行政責任者としては、政府の一員として十分この問題に手を尽してはおりまするけれども、直接担当者ではございませんので、労使紛争の問題に私自身として立ち入る権限を持つておりません。従いましてさつき申し上げましたように、これらの関係各省と緊密な連絡をとつて紛争解決の一日もすみやかならんことに努めておる次第であります。  なお次の問題につきましては、御意見をよく私ども承りましたから、さつき申しました法令改正審議会等の場合によくこれらの点を加えまして、将来に善処して参りたいと考えます。
  19. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 他の同僚議員質問の時間等もございますので、私の質問は後日に留保するといたしまして、本日はこの程度にいたしておきたいと思います。
  20. 坪川信三

  21. 永井勝次郎

    永井委員 大臣に対してお尋ねいたします。政府が先般電力会社の分割にあたりまして、良質、豊富、低廉に電力供給するためにこのことを行うんだという言明をしておるのであります。その後料金の状況はどうかといえば、各会社間における違いというものが漸次大きくなつて来て、低廉、豊富どころではなくて、非常にそれと逆の方向に動いております。この過去の具体的な実績の上に立つて、今後改正審議会を持たれる場合にどのような方向で過去の実績を生かして行こうとされておるのであるか、過去の実績に対して、政府最初の声明に対してどのような責任をお感じになつておるのであるか。この点を明らかにしていただきたい。
  22. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私ども電気事業編成令趣旨に基きまして、やはり独立事業会社を確立して公共利益のためにということを考えておる次第でございます。
  23. 永井勝次郎

    永井委員 公共利益のためにはわかるのでありますが、公共利益のために、具体的に言えば、電力良質、豊富、低廉ということが約束されておるわけであります。それがどのような状態になつておるか、具体的な事実に対して政府はどのようにお考えになり、それと背反しておる面に対して政府はどのような責任をお感じになつておられるのであるか。こういうことであります。
  24. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私はそういう約束があるかどうか、実はまだ率直に申し上げますと、存じません。電力会社が再編成されて出発したばかりでございますので、多少遺憾の点があるかとも存じます。
  25. 永井勝次郎

    永井委員 これは新しい発足でありますから、その過程において出発から百パーセント完全な状態というものができないことは認めるのでありますが、少くともその目標としておるところに近づきつつあるのか、それと反対の方向に動いておるのか。われわれはこのことが重要な問題であると考えるのであります。たとえば電気料金の場合、水火力調整は暫定的な措置として日限を限つてこれを行い、漸次価格差をなくして行くということを言明されておりながら、各会社間における価格差というものは漸次ますます大きくなつて来ておる、こういう具体的な相違に対してどのようにお考えになつておるか。
  26. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 当時の事情をよく知つておる公益事業局長に説明させます。
  27. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま大臣からお話がありました再編成当時の事情は私は詳しくは存じませんが、その後の実績といたしまして、お示しのように、地域差が拡大をいたしております。それは公益事業委員会当時でございまするが、料金改訂をされましたときに、地域差調整金を漸減して行くという方針をとつておられます。大体五年くらいで地域差調整金はやめよう、従つて料金改訂がある際には水火力調整金の絶対額を順次減らして行く、大体二割くらい減らして行くという方針水火力調整金が減額されました結果、本年五月の料金改訂におきまして、地域差が従来よりも開いたわけであります。これはお話通り、事実だと思います。  なお再編成令当時に順次地域差調整金をなくして行く、各地の地域差も減少して行くという御説明があつたことは、私もあつたやに聞いております。ただその当時の御趣旨は、私が承知している範囲におきましては、順次電源開発をいたして参りまして、火力地帯における水力が開発され、従つて火力地帯の料金は総体的には下つて行く、従つて水力地帯との差は順次縮まつて行くだろう、こういう見通しであつたやに伺つているのであります。ところが現状におきましては、それほどまだ新しい水力が火力地帯にできてもおりません実情でございますし、それに加えて、それと相反したと申しまするか、水火力調整金の方はどんどん減らして行くという方式でありました結果、今のようになつているのが実情であります。  しからば通産省として今後どう考えるかという問題でございますが、これは上司ともよく相談いたして決定しなければならぬのでありますが、ここで私見として申し上げますれば、私たち通産省といたしまして、電力事業の仕事を引継いで以来、その問題を研究しておりまするが、当初の趣旨のように漸次水力資源が開発されまして、水火力調整金が漸減して参りましても、地域差が縮まつて行くということであれば、水火力調整金を漸次撤廃する方向に向けることはけつこうかと思いまするが、水火力調整金を減額するに急のあまりに、さらに地域差が広がるということは、産業上適切でないのではないかというふうに考えております。
  28. 永井勝次郎

    永井委員 そういたします。と、地域差をなくして行くということは、新たに水力発電所の機構を起して、格差をなくして行くという計画がその内容になつていた。そうすれば、水力発電の新たなる出力が追加されない限り、水火力調整金は昭和三十一年でありますか、それに限つてこれを行うと言つていたのを、さらにそれらの水力発電の機構と相まつて、これを延長して行く。そうして漸次格差をなくして行くというのが政府の基本態度である。あるいは価格差ができて来るのは当然やむを得ないものだから、一定の昭和三十一年の期限が来たら、水火力調整金をとらないで、自由に投げつばなしにしてやるのだというお考えなのか、その基本的な料金に対する態度を明らかにしていただきたいと思います。
  29. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま申しましたように、再編成趣旨から申しますと、水火力調整金は五箇年なら五箇年、できるだけ早い期間になくして行くというのが少くとも当時の趣旨であつたように私は伺つております。従つてその趣旨から申しますと、たとえば今お話のような時期にそれを撤廃する、なくしてしまうということが当時の趣旨かと思いますが、一方それによる影響産業面におきましても非常に大きいのでございます。先ほど私見として申し上げたわけでございますが、水火力調整金の問題は、やはりそれによつて地域差がどの程度になるかということを見合つて、順次さような方向に持つて行くべきであるというふうに私は考えているわけであります。  なおこれは今回の法律を改正いたします審議会等におきましても、当然今後の水火力調整金は規定にも入つておりますので、これをどうすべきかということは十分御審議を願つて、その上で最終的にはきまるものかと思うのでありますが、一応今お尋ねがありましたので、私見としては当然予想されている、三十一年になくすということは困難ではないかというふうに考えております。
  30. 永井勝次郎

    永井委員 そうしますと、各会社間における電気料金価格差をなくするのだ、均一料金の実行ということを原則として考えているのだ、かように了承してよろしうございますか。
  31. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま私が申しましたのは、今後さらに地域差を広めるような措置は適当でないということを申し上げたのでありまして、現在ある程度相当の地域差がありまして、従つて価格差があるわけでございますが、これを統一の料金にするということを申し上げたわけではありません。私も今逆にもとの統一料金にするということを考えているわけではありません。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 私は電気の方はあまり専門でないからよくわかりませんが、専門家の話によると、新たなる水力発電が出力しても、工費の関係、償却の関係、その他で電気料金はそう安くなり得ないということが言われているのであります。ただいまの話であると、水力発電が新たにできれば、この電気料金の地域的価格差はなくなるのだ。こういうことが内容になつております。そして料金価格差をなくすることが大体基本的な態度のようである。ところが政府の期待している唯一の水力発電ができても、その価格差を埋めることにはならないのだ、過去の実績からいつて価格差は漸次大きくなつて来ている。これをはずせばさらに大きくなつて来る、こういうことでありますが、その間をもつと明確に基本的な態度は各会社間の料金価格差をなくすることが基本的な態度なのか、これは五箇年なら五箇年という期限を切つて水火力調整金をとつているのだ。その期限が来ればそういう価格差をなくすという考えはあるけれども、出て来た現実に対しては投げつぱなしでもさしつかえないというのか、その点をもつと明確にしていただきたい。基本的な態度と現われて来た事実に対してどういうように対処して行こうとするのか、その点をもつと明確にしていただきたいと思います。
  33. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまお話がありましたように、新たに水力を開発いたしましても、既存の水力に比べればもとより相当高いものになることは当然でございます。私が先ほど申しました公益事業委員会当時、あるいは再編成当時に火力調整金をなくして行くというのだが、やはり地域差も縮まつて行くのだというお考えであつたように伺つてつた理由は、火力地帯に水力が開発されまして火力発電にかわつて新規の水力ができました場合においては、新規の水力といえども火力よりは安い。こういうことで総体的に火力地帯に相当規模の水力ができましたあかつきにおいては、水力地帯との開きが縮まるのではないかというお考えであつたろうということを申し上げたのであります。ただこれはなお相当数年先のことでございますので、今の開発計画によりまして、どの程度の年次のときに、今申しましたような形になるかどうかということは、十分今度検討してみなければならぬと思います。はたして火力地帯の水力が相当開発されて、従つて現在の水力及び火力両地帯間の価格差がどの程度縮まるかということは、今後の計画の実現、その他コスト等計算しなければならぬのであります。そこで今基本的な態度はどうかというお尋ねでありますが、これは水火力調整金制度自身を今後の恒久立法でどう扱うかというときに、さらに十分各方面の御意見を伺つて検討しなければならぬ問題だということは、先ほど申し上げた通りでありますが、私はただいまお尋ねのように、当初のように五年たてば水火力調整金は全廃するのだ、その結果地域差がいかに広まろうと、その結果はどうなろうと関係なしに、五年なら五年の期間に水火力調整金は全廃するというだけではいけないので、その影響も十分考慮いたしまして、その上でいつ水火力調整金をやめるか、あるいはさらに存続すべきかは決定しなければならぬであろう、こういうふうに考えておるのであります。
  34. 永井勝次郎

    永井委員 私がこの料金の問題をお尋ねいたしますのは、料金そのものの中に一つの矛盾を持つておる。その矛盾を押し切ろうとしておるところにいろいろなさらに拡大された矛盾が具体的に出て来ておる。これに対処する方針というものが、この問題に対する基本的な態度を左右するところのキー・ポイントだと考えるのであります。価格差ができて行く各事業会社は、企業の自主性というものを強調する。そうすれば利益をあげておる会社は、四国なり、北海道なり、利潤の悪いところの会社にマイナスされてプールして来ることには反対して来るでありましよう。従つて会社間における調整という問題が、相当今後はむずかしい問題になつて来る。その場合には政府電気事業に対する公益性の問題の態度の持ち方によつて、これらの問題の処理の仕方が根本的にかわつて来ると考えるのであります。従つて会社としては政府の統制に対しましてはレギユレートの限界においては、これは受けなければならぬけれども、大体企業というものは自主性を持つて利潤を追求するものなのだ、それに対して政府の統制を受けるということは反対であるという今度の改正審議会に対する業者の態度も、そういう態度をもつて臨もうとせられておる。そこで政府がいかに公益性を強調いたしましても、これらの問題と衝突いたしますときに、一体国民の側に立つて国民公益の立場に立つて政府はこれらの問題を強く調整して行くのか、会社の企業の自主性を尊び、利潤追求という立場より支援して行くのか、ここにおいて伊藤委員に先ほどお答えになりましたけれども、それをいくら調整するといつても、具体的に調整できない面に衝突して来る。従つてこの料金の問題に対して政府の基本的な態度がきまらなければ、公益性の強調というものはわれわれは具体的に了承できない、こういうことになるのであります。従つてこの料金の現在持つておる矛盾を基本的に調整していくのかあるいは各企業者間の自主性をより強調して、この価格差を放任するというような方向へ持つて行くのか、この点を私はお聞きしたい。
  35. 石原武夫

    石原(武)政府委員 先ほど来お尋ねがありましたので、価格差につきましての考え方は一応申し上げたわけであります。それと料金との関係について今お尋ねがございましたが、料金は御承知のように各社別につくつておりまして現在では水火力調整金を水力から火力に出して補うという形になつておりますが、その計画を料金に織り込んで認めておるわけでございます。従いましてただいまのお話のように、電力事業方面から言えば、まつた独立採算という趣旨からいたしまして、そういうものは早くやめてくれというような希望があるということは、一応私もさような希望もあるかとも思いまするが、ただ今の料金制度をとつております以上、会社利益と申しますか、利潤につきましては、そういう調整金制度をとれば、当然これは原価に織り込んでおりますので、会社の直接利益の方には、水火力調整金の制度をとろうととるまいと、影響はないと思います。ただ当該地方の需用家の方々から、お考えになりますると、水力地帯で元来自分のところは安い電力供給を受けられるにもかかわらず、他地区の料金をカバーするために、水力地帯の料金が割高になるという結果になるのであります。従つて料金調整という問題については、電力会社よりもむしろ当該地方の需用家の方に御意見があると私は考えております。そこでなかなか困難な問題と思いまするが、政府なりあるいは法律といたしまして、さような水火力料金調整をやることが適当であるという結論になりますれば、電力会社といたしましては、別にそれによつて利益が左右されるということはないと考えております。
  36. 永井勝次郎

    永井委員 たとえば電気料金の地域差がここに強く出て来るとすれば、産業構造がかわつて来なくちやいけない。電力を使う企業というものは、電力の安いところに集中され、電力の高いところには企業というものは起り得ない、こういう条件が、漸次出て来るわけであります。従つて今後の企業についても、政府料金政策に対する態度というもので、いろいろ考えて行かなければならない問題があると思うのであります。従つて料金制度における基本的な態度というものの原則は、一応政府から打出されて、それを調整して行く方向と、あるいはそれを地域差を承認する方向、こういうことがわれわれはこの問題を審議するにあたりまして、基本的な態度として考えて行かなければならない問題であります。たとえば内部の問題におきましても、電気料金の中の現行の取扱いの面におきましても、たとえば日本電気料金は、アメリカ等に比べまして割合に安いのでありますが、それにいたしましても、たとえば二十キロあるいは四十キロというものの東京電力と、アメリカの電力料金とを比較いたしますと、アメリカの方がずつと高い。しかし大口の方になつて来ると、その価格差がだんだん縮まつて来ておる、こういう状況であります。従つて大口と一般電燈、小口消費者との負担分においても、非常にこれは問題があると思うのであります。それらの点について政府は一体電気料金価格差を——しつこいようでありますが、そういう産業構造の将来に対しても大きな影響のある問題でありますから、大臣からこれらの問題に対して、どういうふうにこれを受取つて行くのであるかを伺いたいと思います。
  37. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 価格差の問題は今の実情から出ておる問題でございますけれども、しかしでき得るだけ、この価格差が少くなることは、私ども希望しておる点であり、そう持つて行くべきであるが、なお電気料金によつて産業構造に大きな影響があることはお話通りであると存じますが、これらの点につきましては、そのほかにも何と申しますか、あるいは海に面したところとか、山についたところとか、あるいは気候の暑いところ、寒いところというようなことによつていろいろ産業構造が違いまするので、それと同じような意味合いにおきまして、どこもかしこも産業構造を同じようにするということは、これは実際むずかしい問題ではないかと思います。これはよくおわかりのことだと思います。
  38. 永井勝次郎

    永井委員 会社の方では、大口電力公益事業公益性のわく内ではない。従つて公益性からはずして適正価格を定めたいという意向のように聞いているのでありますが、この大口電力消費を公益のわく外にはずすお考えがあるかどうか伺いたい。
  39. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 そういう話は私も聞いております。これはいわば純粋な営業上の問題だから、これはわくをはずしてもいいではないかということは聞いております。しかし私どもはまだ十分それに対する検討ができておりませんし、やはり現在のところでは公益事業であるという建前からこれをはずすという考えは持つていない次第でありますが、後日本案による審議会等ができまして、これははずした方がいいではないかというような結論が得られました場合には、その結論は尊重したいというふうに考えております。
  40. 永井勝次郎

    永井委員 大臣お尋ねいたしますが、電力行政の監督権を強めて行くか、弱めて行くか、将来改正審議会においていろいろ論議になるでありましようが、事業公益性を確立するためには、政府監督権がさらに強化されなければならないと考えているのでありますが一地域独占を認める以上は、それに付随するところの会社に対する義務履行についての監督権というものが、どこかに確立されなければならない。公益性事業である限りにおいては、政府がその監督権を強化して行くということは当然であると考えます。その点についての大臣の態度を伺いたいと思います。
  41. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 先ほどもお答え申し上げました通り、今の電気事業民間事業でありますので、つまり私企業としての経営の自由は尊重いたしますけれども、しかし御指摘のごとく大きな公益事業でありますから、公益性の点から現在でもいろいろ多岐にわたつて監督規定ができておりましたし、また聴聞制度などを通じて電力会社公共利益に奉仕するようにいたしているのでございますが、さらに公共事業会に基きましての過去のいわゆる実績と申しますか、そういうものをよく取調べましてまた将来審議会等にお諮りをいたしまして、協議する必要がありますれば、そうして参りたいと考えております。
  42. 永井勝次郎

    永井委員 四国における住友の問題をどういうふうにお取上げになるか、これをどういうふうに今度取扱つて行くか、この点をひとつ伺いたい。
  43. 石原武夫

    石原(武)政府委員 住友の共同火力と申しますか、あの会社のことだろうとおもいますが、われわれといたしましては、現在は別にあの会社をどうこうという考えはございませんので、四国電力とともにあの地域における電力供給事業として認めていいのではないかと思います。従つて四国電力で新たに一地点の開発をするとともに、住友におきましても適当な地点があれば開発をさらにあの会社にやらせるのもさしつかえないというふうに考えます。
  44. 永井勝次郎

    永井委員 次に公共事業令の罰則の点でありますが、第八十五条、第八十六条というものは、正しい労働運動に対する弾圧の条項ではないと考えるのでありますが、従来労働組合の正規な運動に対してこれが適用されて、検察当局、裁判所においてこれが免訴になり、あるいは、会社側が敗訴になるといつた事例がたくさんあります。これらの立法の趣旨が正規な労働運動に対する適用の範囲外であるにもかかわらず、拡大解釈をして、この条文の取扱いにおいて、あるいは今後の改正においても、このような取扱いをされるとするならば、これらについても相当明確な規定を加えなければならないと考えております。従つてこれらに対する過去の取扱いについての反省と、この条文に対する当局の取扱いの態度がどこにあるのか、それを明確にしていただきたい。
  45. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今の御質問の第八十五条の条文につきまして、私ども承知しておるところでは、これは一般的な規定でありましてスト目的としたものではございませんが、しかしストにいたしましても、いわゆるケース・バイ・ケースで、それに当てはまるものも出て来る場合があろうかと考えておる次第であります。
  46. 今澄勇

    今澄委員 ちようど河川局長がお見えになりましたので、私は永井議員の質問に関連して、電気事業について、当通産委員会がこの臨時措置法を審議するにあたつて、建設、通産両部面に関連のあることについて二、三簡単にお伺いをしておきたいと思います。私は現在建設大臣の傘下にある水利権の問題、並びに経済安定委員会で追究いたしております只見川の電源に関する問題等については、時をあらためて詳細な御質問を申し上げたいのでありますが、とりあえず通産大臣並びに河川局長に伺いたい。旧公共事業令五十九条によると、発電水力の申請のあつた場合は、建設大臣公益事業委員会と協議の後許可することになつておりますが、問題になつております只見川については、公益事業委員会への照会月日がいつで、公益事業委員会から返答がどのようにあつたか。通産大臣への引継ぎなどはどういうふうな経過をたどつておるかということを、通産大臣河川局長、並びに公益事業局長からこの際明確に御答弁を願いたいと思います。
  47. 石原武夫

    石原(武)政府委員 公共事業令五十九条の関係の今のお尋ねは、本名、上田の件と思いますが、本名、上田につきましては、当時公益事業委員会に福島県から稟伺が出ておりまして公益事業委員会は本年七月末まででありますが、その間には何らの処分もしておらなかつたのであります。それで八月一日に電力行政が通産省に移管になりまして、その稟伺の書類も通産省に引継がれております。通産省といたしましては、その前七月二十五日に行われました水利権に関する閣議決定に基きまして、八月になりましてから福島県知事に、八月四日建設省から福島県に出しておられる回答と同様の回答を出しております。
  48. 今澄勇

    今澄委員 そこで私は関連質問でありますから、いろいろの追究はあとまわしにいたしまして、もう一点だけお聞きしておきますが、只見川の開発は当通産委員会としてはまことに重大な関心を持つべき、この法案審議のためにも大きな材料でありますが、再編成当時只見川の水利権を電力会社に処分するにあたり、只見川水利権の所有権は東京電力、その資料と調査費が東北電力に分割帰属としたのは、公益事業委員会が共同開発をねらつていたものと思うが、これを引継がれた公益事業局としては一体どういうふうなお考えを持たれておるか。この只見川の本名、上田の問題の紛争は、今後公益事業局としてはどういうふうに解決しようとされておるか、これらの問題について水利権の関係もありますから、河川局長並びにできれば通産大臣の御答弁を要求いたします。
  49. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま只見川の開発についてお話がありました。公益事業委員会の当時のお考えは、私は正確に存じませんが、今今澄委員お話のように公益事業委員会は、少くとも再編成当時におきましては、将来只見川の開発は東京と東北と共同でやるというお考えであつたように私も存じます。そこで通産省になつてから、只見川の開発をいかに考えるかというお話でございますが、只見川の中流、上流地点につきましては、先般国会を通りました電源開発促進法によりまして、電源開発株式会社が開発することになつておりますので、原則としては、開発会社にあの地点は今後政府として開発せしむべき地点だというふうに考えております。ただ本名、上田の地点につきましては、七月二十五日に、水利権の処置に伴いまして早急に東北電力会社に開発させるというふうな趣旨の閣議決定がございましたので、通産省といたしましては、その閣議決定の趣旨に基きまして、以後公共事業令による手続を進めまして、九月二十六日に東北電力に両地点の公共事業令の許可をいたしております。従つて現在といたしましては、本名、上田地点は東北電力に開発させる。それ以上の地点については一応開発株式会社が適当ではないかと通産省としては考えております。ただこの点につきましては、御承知のように、経済審議庁にございます電源開発調整審議会で開発会社の開発地点を決定することになつておりますので、最終的にはそこで決定するものと考えております。
  50. 米田正文

    ○米田政府委員 建設省といたしましては、ただいまお尋ねの水利権に関しましては、今年二月十三日に福島県から建設大臣にあてて新水利権の稟伺がございまして、すでに出ておりましたのを、七月二十五日に閣議の了解事項が決定いたしましたので、その閣議了解事項に基きまして、新水利権の認可を福島県知事にあてて八月四日に指令を出したのでございます。これは上田、本名の問題でございますが、それより上流の関係につきましては、ただいまお話がありましたように、電源開発調整審議会において決定をせられると思います。建設省といたしましてはその方針に基いて水利権の処置をいたしたいと考えております。
  51. 今澄勇

    今澄委員 外務大臣に対する同僚議員質問があるので、私は一点だけで打切りますけれども、この只見川の本名、上田の問題は、経済安定委員会においても大きく取上げられておるが、わが通産委員会としても重大な問題であると思います。そこでこれらの問題をめぐる審議会への四億という調査費の交付、並びに十二億の金の行方、さらにはまた公益事業委員会の廃止と新しい公益事業局との関連、さらにまた電源開発会社設立、当時の法案審議の過程においては、本名は開発会社の開発予定地となつていたものを、明治二十九年河川法制定以来初めての強権による水利権の強奪をやつたことなど、私はどうも公益事業委員会を廃止し公益事業局に転換するというような過渡期においては、国民の疑惑の種となるものが電気事業には数々あるのであるから、私は本日は通産大臣にひとつこれらの問題を御検討願つて、関連ある通産省の電力行政の過去におけるこれらの事実を御調査願うことを通産大臣に申し上げ、私どもの方の資料に基いて経済安定委員会なり、当通産委員会なりにおいて大臣から責任ある御答弁をお願いしたいと思います。要するに私は、通産委員会としてはこれらの紛争をなくするためには、この際本名、上田の上流を開発会社がやるというようなことではなくて、東京電力並びに東北電力等の対立する両社の紛争解決のために、これをこの際開発会社の帰属とするというような、抜本塞源的な対策を通産省はとられないものかどうか。この点について一言だけお伺いして爾余の点はまた時をあらためて御質問申し上げますから、通産大臣初め関係皆さん方は、ひとつ十分御調査をなさつて答弁の用意をしていただきたいと思います。
  52. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 いろいろ私の方で準備をいたしますが、但し通産省といたしましては、すでに水利権が東北電力に行つておるのでございまして、水利権の行つておるものについてこの許可を与える、こういうことであります。そのことについては、申し上げますが、調べておるのであります。従つてこのように二つの条件等もつけてあるのでありますから、いずれあとのことは、詳しいことは調べました上で御返事申し上げることにいたします。
  53. 坪川信三

    坪川委員長 宇田耕一君。
  54. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 私は日本の共産圏国に対する輸出貿易対策について、外務省関係のことについて外務大臣お尋ねいたしたい。共産圏国に対するところの輸出貿易について、アメリカその他の諸国と今までどういうふうな交渉をせられたか、その内容についてお伺いいたしたい。
  55. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは多くの部門におきましては、各国の間に厳重なる機密保持の約束がありまして、その内容を申し上げることは差控えなければなりませんけれども、大筋におきましては、われわれはかねてからどこの国が比較的緩和した方針をとり、どこの国が比較的厳重な方針をとるなどということのないように、各国の歩調を一にしなければならぬという主張をいたしております。その結果、各国が行われておりまする会議等がありますので、まずそれに加入して、そしてそこで十分なる討議をいたさなければならぬ。もとより各国歩調を一にするといつても、各国の輸出品、輸入品等はおのずから異なると思いますから、具体的に全部が同じ画一でという意味でないけれども日本側としては日本側の輸出品もあり、輸入を希望するものもある。その程度とか、いろいろの状況から見て、大体において各国の足並がそろうようにという努力をいたしておるのであります。
  56. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 最近十一月十五日のUP電によりますと、ココムに日本が加盟したということを伝えております。それについての具体的な内容の発表が全然ありません。会議そのものの性格、それの目的とか等について外務大臣からお答え願いたい。
  57. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 日本は、先ほど申しましたような趣旨で、最近欧洲におけるこの種の会議といいますか、これの会員となつて、ただいまいろいろ協議をいたしております。しかしその内容等につきましては、これも今申しました通り、各国において厳重なる機密保持の約束のもとにやつておりますので、その経緯等は、ただいまのところ発表することのできない部門が大部分であります。私自身もそうよくは知つておりませんが、その中のどこが発表してよいもので、どこが発表して悪いものかよくわからないのであります。(「そんな外務大臣はない」「おかしいじやないか」と呼ぶ者あり)とにかくこれは非常に機密的なもので、外務大臣といえども何から何まで知つているというわけには行きません。こういう問題の細目は、外務省の所管というよりは通産省の所管でありまして、その専門家の意見を聞いて行動するのが当然でありまして、外務大臣が何でもかんでも知つているというふうにお考えなつたら非常な間違いでありまして、外務省は大筋のことしか知つておりません。以上のようなことで、こまかい点はむしろ機密保持等に触れる点が多いので、ここに経済局長も来ておりますから、そういう点は経済局長等からお聞き願いたいのであります。大筋に言えば厳重なる機密保持の約束の上で行われている会議であります。
  58. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 秘密保持ということは、私もわかります。そのかわりわれわれも、国民としてわれわれの輸出ということは生命線と考えております。われわれの生命をいかに確保するかという点について、秘密というものはどの限界までが秘密を要するものであるかということの判断は、国民としてはみずからすべきものではないかと考えております。従つて国会において発表できない秘密を、だれの責任において諸外国と交渉し契約し得るかというその点について外務大臣の所見を伺いたいと思います。
  59. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 このいろいろな話合いの経緯等につきましては、機密を保持することになつております。しかしながらこの結果どういうものが輸出制限をされるとか、どういうものが禁止をされるとか、どういうものは自由であるとかいうことは、もちろん国民は当然知るべきであります。そういう点については、通産省等からその都度発表しているわけであります。
  60. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 私は、この秘密を要することについては、秘密会でもけつこうであり、必ずしも公開をしないでもよいと思います。問題を集約いたしますと、ココムだけの会議の経過あるいはココムの一番重点は貿易品目の内容と思いますが、貿易品目の内容について各国に違いがあると思います。従つてその間においてはたして日本が差別的な待遇を受けておるかおらないかという点は、非常に重要な点と思います。そういう点について、公開することができなければ秘密会を委員長において開いていただいて、われわれに内容を公表していただきたとい思いますが、その点はどうですか。
  61. 坪川信三

    坪川委員長 速記をやめて。   (速記中止〕
  62. 坪川信三

    坪川委員長 速記を始めてください。黄田政府委員
  63. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 中共の貿易に関しましての御質問が主だと存じますが……。
  64. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 ちよつと待つてください。局長は私の質問の要点がよくわからないかもしれませんから申し上げる。要するに私の要点は、中共との貿易というようなことではなく、世界的に共産圏国に対する輸出統制の委員会、すなわちココム、そのココムの中に、各国が共産圏国に対する協定品月表があるわけです。それにおいて、英米その他に許されておる協定上の品目が、日本の場合において同一に待遇されておるかどうかということが要点であります。従つて各国に許容されておる品目表われわれに提示してもらいたい。また日本の許容されておる品目の内容もここに明示されたいというのが論点であります。各国の共産圏国に対する輸出品目——中共と限定する必要はない。中共に対するお話ならば、またあらためて伺います。私の要点は、まず共産圏ブロックに対する輸出品目について、各国がどういう態度をとつておるのか。日本が差別待遇を受けておるかおらぬかということを知るために、具体的な品目を提示してもらいたいというのです。
  65. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 自由諸国間において共産圏に対する輸出品目に関して差別があるかないかという御質問でございますけれども、わが国は輸出貿易管理令の別表第一に載つておりますものに関しては、これを一応管理しております。そのリストがよその国に比べましてでこぼこがあるかないかということが御質問の中心かと存じますけれども、それは一定のリストがあつて、各国がそれをやつておるというものでは実はないのであります。従つて各国がばらばらになつて、そこにでこぼこがあるかないかということが中心になるわけであります。それがどういう状態になつておるかと申しますと、日本の方は今まで輸出貿易管理令というものでやつて参りましたが、その表が割合広いのです。それでおそらく他国に比べましては少し日本の方が厳重な統制をやつていやしないかという疑いの点はあるのであります。従いましてそのでこぼこをなくしようというのがわれわれが今やつております努力でございます。従いましてその努力の結果、ある品目に関しましては、もうそれを統制品目から落すという品目がありますことは御承知通りであります。そのでこぼこをさらに必要ならばもう少し地ならしをいたしまして、均一なものにいたしたいということで、なお努力しておるような次第であります。
  66. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 でこぼこがあるかないかということの調査をする方法はどういう方法でやるのですか。
  67. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 たとえて申しますと、イギリスがどういうものをやつておるだろうかということをイギリスの方にも聞き合せまして連絡をとるとか、あるいは先ほど大臣から御答弁がございました通り、欧洲にできました非公式な委員会とかいうものとも連絡をとりまして、比較いたしております。
  68. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 そういたしますと、先ほど大臣の言われたココムに加盟するということの意義はどうなのでしようか。
  69. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 非公式な委員会がございますので、そこで各自由諸国が寄りまして、お互いにどの程度のことをやるべきであるか、またたとえば国によつて差異をつけることが必要かどうか、あるいはでこぼこがありますならば、その調整をするという大きな目的があるわけでございます。
  70. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 今のお話によると非常に抽象的ですが、ココムへ日本が加盟をして、いつ幾日にどういう会議を開いて、だれが出席してどういう討論内容をしたかということを聞かせていただきたい。
  71. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 そういう点は先ほど来申し上げました理由によつて——私が申し上げたわけではございませんが、公表をはばかるという点がございますので、秘密会でならば申し上げることができると思います。
  72. 山手滿男

    ○山手委員 私は一点外務大臣にお伺いをしたいのですが、機密保持の約束があると言われるが、そういう機密保持の約束をして一定の国際的なとりきめに日本が参加する、吉田さんは秘密外交じやないと繰返して言つておるのでありますが、この場合やはり一種の秘密外交になると思う。国民に知らされないような内容のものを政府がかつてに締結しておいて、これは機密保持の約束をしておるのだ、これはどういう意味なのですか。私は外務大臣に率直にこの点について釈明をしていただきたい。
  73. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 秘密外交とか秘密外交でないとかいう議論は非常に大きな問題になりますが、外交交渉ばかりではありません。普通の商売の交渉でも何でもそうでございましようが、すべてのことを全部公開してやつておることは、今まででもどこでもないと思います。しかしながらそれを世界中全部の国が秘密外交をやつているのかとおつしやれば、そういうことも言えるかもしれません。大筋について国民の了解を得て、細目の点については各国との話合いもあり、これを機密にするということはどこの国でもあります。ことに今度の非公式なただいま経済局長の言いました欧洲の会合等につきましては、各国ともに非常に厳重に機密保持をいたしておるのでありまして、日本だけがいたしておるのではないのであります。また日本が加入する前から非常に厳重な取扱いをいたしておるのであります。これを秘密外交とおつしやるならばおつしやつてもしかたがありませんが、各国がみなやつていることであつて、別に日本だけがやつていることではないということを申し上げておきます。
  74. 山手滿男

    ○山手委員 今の大臣お話で私は了承しない点があるのであります。大筋だけは国民に了承していただけばいいというお話でありますか、この問題については大筋どころか小筋も何にも発表していない。これはたいへんなことなんでありまして、ことに日本貿易の消長というものは、今日通産省所管の日本産業界の消長に由来しているところなんです。それを外務省が握つてつて、通産省の方は外務省の方に何かはねかかり、外務省の方は、こまかいことは通産省だというようなことでさつぱりらちがあかない。大筋どころか小筋もわからない、もう少し大筋をお話願いたい。
  75. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 大筋はしばしばいろいろの委員会でも申しているし、本会議でも申しているのでありますが、念のためここで繰返して申せば、第一には、朝鮮事変が起つている間は、われわれ自由主義国家の一員として、ことに日本のような朝鮮事変の帰趨が日本の国内の平和と安全に重大なる関係を持つ状況においては、共産圏側に対していやしくも戦力の増強になるような措置をとつて、その結果朝鮮事変が長引くようなことのないように、あらゆる方法を講ずべきである、これが大筋であります。従つていやしくも戦力の増強になるようなものは輸出をいたさない、こういう大筋はすでに再々申しております。そしてその中の中筋くらいのところでは、その実際の方法としては、各国おのおの輸出品も違えば輸入品も違うから、多少のでこぼこはあるだろう。たとえばある種のものを輸出できても、ある国では輸入できないという場合もありましようから、実際の取扱いについては違う場合もありましようけれども、その方針としては輸出制限とかいう場合にもできるだけ各国の足並をそろえて行こう、そのために日本としても欧洲の非公式な会合にも参加すれば、また各国ともいろいろ直接話合いをいたしている。さらにその小筋である一々の品目についての討議その他の内容については、これは各国で話合いの結果機密を保持するという約束でやつているのであるから、この点は発表を差控える、こういうのが大体の筋であります。
  76. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 関連して……。秘密であるとかないとかいうことは別問題といたしまして、外務大臣はいつも独立したとおつしやいますが、独立した今日においても、輸出あるいは輸入の問題について非常に制限がありますが、これについて大臣さんはどのように考えていらつしやるか。(笑声)それをひとつぜひ承らせていただきたい。皆さんお笑いのようでございますが、実例をもつてお示ししたいと思います。占領中はたとえば糸へんにつきまして、日本経済はおろか輸出経済についても大きな地位を占める糸へんの原料輸入についてでございますが、ドレーバー・アンド・カンパニーなるものがでんと控えておつて、そのおかげをこうむつたこともありますが、そのおかげで損害をこうむつたことも多大なんです。綿についてもそうです。この間中操短ということが盛んに言われておりましたが、その原因の大きなものの一つとして、米綿が十分に輸入されないからやむを得ず操短しなければならない。従つて新紡、新々紡のごときは、制限以外の落綿を購入して余命をつないでいるという状態です。それから今中共貿易のことが問題になつてつたようで習事が、われわれがあそこと貿易をすれば、必然的にスムースに入るところの紡機に使う重慶の豚毛でございますけれども、これがどういう風の吹きまわしか、アメリカを通じないと買えない、独立しない以前ならばいざ知らず、独立した今日においてなおそういうことが行われているとすれば、これは完全独立とは言えない。ただいま大臣さんのおつしやいましたように、足並そろえてとおつしやいましたが、足並そろえるどころか、われわれの方ではよちよち歩きで、あとからくつついて行くことしか考えられない、これについてこういう状態が一体いつごろ解決できるものか、その目途なりともお示し願いたい、こう思うわけでございます。
  77. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 われわれの方では外務省にも経済局がありますけれども、実際にたとえば綿をどこから買うとか、どういう交渉で買うとか、それがどうなつておるかという点については、所管は当然通産省であります。われわれの方は先ほど申したように、できるだけ貿易を促進するような措置を講ずる、また輸出制限等をする場合には、各国で足並をそろえるという、そういう基本方針のもとに、あとは通産省から材料をもらつてそれがたとえば輸出貿易の促進にはどこに障害があるかということがはつきりわかりますと、それに基いてその障害を取除くべく交渉するのであり、また輸出制限についても各国で足並がそろつていないという事実が発見できれば、それに基いて足並をそろえるように交渉するのがわれわれの役目であります。今おつしやつたような、アメリカの綿が来ないということにかりになつておれば、その原因等は私よりも通産省の方でまず調べて、そしてそれをわれわれの方で是正するべく努力をいたすわけであります。従つて今の具体的なことは、私はただいま伺つただけで承知しませんが、そういう方針で外務省はできるだけわれわれの経済の発展に役立つようにと考えております。但し中共貿易につきましては、先ほど申したように朝鮮事変の行われておる間は、少くとも相手方の戦力増強にならない措置は、これはまじめにとらなければ、いたずらに朝鮮事変を長引かせる結果になると思います。少くとも私はそう信じておりますので、足並をそろえると同時に、各国とも約束のものは厳重に統制するように希望しておるわけであります。
  78. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 ただいまの質問に対する外務大臣の御答弁はよくわかりました。われわれの共産圏国に対する輸出の根本方針は戦略物資にあらざる、非戦略物資の輸出であるということが前提条件であります。戦略物資の輸出を討論しておるわけではございません。共産圏国に対するところの輸出統制というものの内容は、非戦略物資を前提としてここで討論しておりますから、外務大臣答弁はわれわれと同一線上で話しておるということを前提にしておかなければなりません。従つてココムのごときものの存在の理由というものは、非戦略物資の範囲がどうであるかということの討論内容だと思います。ココムの性格は非戦略物資をいかにしてわれわれが出すのに、各国とも歩調を合わす方法をうまく持ち合うかということだと思うのです。従つて私は国を代表してココムへ参加された方々はどなたであるか、それを聞きたいと思います。それはロンドンで十一月十四日に英国の当局が発表しておる。日本が言えないということはないでしよう。
  79. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 非戦略物資の輸出の問題だとおつしやつてくださいましたことは非常にありがたいことでありまして、しからばどれを非戦略とし、どれを戦略とするかということが実は議論の対象なのであります。非戦略物資に関しましては、これは非戦略物資ということがきまればどんどん輸出しているのです。現に日本で自転車でも綿糸布でもその他のものでも、どんどん出しておりますのは、これは非戦略物資ということに意見が一致しているからであります。その境目にあるものをどうするかということが議論の中心になつて来るのでありまして、それが現に問題になつて議論されているものなのでございます。  それから出席の人とかいうことは、やはり先ほど申し上げましたことと同じ理由で、私はこれを公表できないのでございまして、イギリスでだれがどこにいつ行つたということは新聞電報があつたかもしれませんけれども、それはおそらくオーソリテイックなものではございますまい。
  80. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 それではココムの性格として、その会議に出席するものは各国とも全部官吏でありますかどうですか。
  81. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 大体官吏でございます。
  82. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 私は、日本の輸出が行き詰まつて国民が生きるか死ぬかの境目にいるときでありますから、輸出の大口にまとめて行き得る所として、非戦略物資を共産圏国へ出すということが非常に重要なポイントになつて来ていると思つております。西ドイツにおいても経済省の中にココム委員会ができてどんどんやつている。従つてその中には必ずしも官吏のみでなく、民間の代表者、エキスパートが入つている。ココムに出席した日本の方方が外務省の方だけだというけれども、ドイツは必ずしもそうではないという情報をわれわれは聞いている。従つてそういう共産圏国に対する非戦略物資の輸出に関しての国際会議に対するわれわれの態度として、国民の代表をも含めてこれに参加せしむべきであるということに外務大臣は賛成をしていただけるかどうか、その点について御意見を伺つておきたいと思います。
  83. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは今申したように機密保持をいたしている会議でありまして、国民の代表ということは、日本の国内の制度からいいましても、われわれ役人もすべて国民の公僕であつて国民の意向によつてつておるのであります。従つて役人は国民の代表者でないというわけにも行かないと思いますが、事実機構の点からいいましても、また日本の国内の制度からいいましても、今のところそういうことはむずかしいような気がしますが、これはよく考えてから御返事をいたします。
  84. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 私はこういう輸出貿易に対する各国の重要な会議に誤りがないようにする方がいいと考えます。従つて官吏をもつて国を代表せしむる場合も、もちろんわれわれは国の代表としてこれを認めることは当然であります。しかしこのような経済問題の具体的処置に関しての打合会に関する限りは、私は官吏だけでその判断をし切れるものではなく、民間のそれぞれのエキスパートをそれに含めることを必要とするし、またそうすることによつて国民の真の考え方がその会議に反映し得るものと考えます。そういう意味において、官吏は国民の代表ではないというような論点をここに持ち出しているわけではありませんで、重要な経済会議に出席し得るものは、たくさんエキスパートがおるのであるから、それを考慮すべきであるというわけであります。その点は第一段といたしまして、わが国を代表してココムに出席した者はここで発表ができないのでありますか。
  85. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 実は私はその代表の氏名を発表することが約束以外であるかどうか知らないのです。経済局長の方で今知つておれば何ですが、知らなければ取調べてお答えすることにいたします。
  86. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 経済局長わかつておりますか。
  87. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 なぜ名前が必要かということが実はわからないのです。
  88. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 わからないものをここで話しをしてもしようがない。輸出というものはそう軽々しくやるべきものでなく、非常に重要な問題と私は思つております。従つて日本の共産圏国に対する輸出についても、その会議に出席する者の責任は重大であると思つております。従つてそれに対して外務省としては省としての責任を持たなければならないのに、その出席した官吏の名前すらわからないということは私にはわからないことです。そんな会議ならここで続ける必要はない。
  89. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 私が申し上げたのは人の名前を知らないと申し上げたのではないのであります。どういう人が出席したかということを、なぜにしかくお聞きにならなければならないかということがわからないのです。     〔「生意気だぞ」「それは失言だ」「取消せ」と呼びその他発言する者多し〕
  90. 坪川信三

    坪川委員長 この際委員長から黄田局長に申し上げますが、ただいま黄田局長が御発言になりました点については、国政調査をいたします当然の国会の問題に対しましてやや不穏当と思われますので、取消しを命じます。
  91. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 ただいまのところは取消します。
  92. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 この問題はさらによく取調べましてお答えをいたします。
  93. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 質問に対して答えてくれればいいので、私の質問の仕方がどうということはいらぬことだ。国会に対する侮辱だと思う。われわれは何も個人として言つているのじやない。その点はよく考えていただかないといけない。ココムに対する出席者についてはこの会で発表することはできないという外務大臣のただいまのお話でありますから、この問題に関する限りはこの程度で打切つて次会に譲りたいと思います。  もう一つ外務大臣にお聞きしたいのですが一貿易政策上中共の商況その他を知りたいために、中共向けのパスポートを発行していただきたいという意見が多いのですが、これに対する外務省の見解を承りたいた。
  94. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 正直に申しますと、私は原則としてはパスポートを発行したくないのであります。なぜないかと申しますと、もう御承知だと思いますが、中共からは北京放送等で、日本に対し暴力革命を扇動するような放送が始終行われておるのであります。また大体の様子は、あらゆるものの統制のもとにありまして、現に査証なくして行つた人の帰つ来てからのいろいろの言動は、非常に国民をまどわすようなものがあつたことは事実であります。従いまして行く人がどなたであるということでなくして、こういつた日本に対して非常に暴力革命を扇動するような放送を行つておる国に対して、政府が旅券を出す。旅券を出すということは、各関係の国の官憲に対して、日本国民保護と便宜供与を与えてもらうものであつて、つまり日本政府から正式にこれらの者に対して特に十分なとりはからいをしてくれということを依頼するものが旅券であります。中共政府がそういうような放送を行つたり、あるいはまたもつとむずかしく言えば、中ソ同盟条約等で、少くとも日本をある意味の仮想敵国のように取扱つておる国に対して、政府が正式に旅券を出して、それの便宜供与その他を依頼して行くということは、形からいつてもはなはだおもしろくないし、また実際に査証なくして行つた人が、国内において発表しましたいろいろの言動等は、新聞にも出ておりますが、今中共地区に抑留されておる人たちからも、たちまち反駁を受けて決してわれわれは喜んで中共地区にいるんじやないというようなことも伝えられて来ておりまして、結果において、日本の国の利益を増進するものとは考えられないのであります。従つて単に通商上——通商ということは、今おつしやつたように、日本経済からいえば重要なことでありますから、もちろんわれわれも非常な関心を持つて、特に経済外交などという言葉さえ使つておるくらいでありますけれども日本全体の利益から考えてみれば、旅券を出して通商上の交渉をするということも、これは中共との間の貿易促進にはもちろん非常に役に立つことであることは万々承知しておりますが、全体の利益から考えると、私は正直に申しまして、旅券を出したくないのであります。しかしながらこれも朝鮮の事変が片づくということになりますれば、また中共側の態度もかわつて参るかもしれないのであります。ことに最近引揚者の問題が出て来ておりまして、これにつきましては、旅券を出すということが前例になるという心配もありまするし、また行つた人が必ず引揚問題だけで、ほかの問題には何にも関係せずに帰つて来られるかどうか、これもわかりません。しかしこの場合は、抑留されておる人たちが何万か何千かわかりませんけれども、とにかくその人たちが帰つて来られるということであるならば、国内の家族のことも考えなければならぬししますから、引揚げ問題については、旅券を出して人をやらなければどうしても引揚げができないというならば、この出したくないという気持も押え、原則も曲げて、旅券を出そうかと考えているわけでありまして、事と次第によつては、絶対に旅券を出さぬというわけではもちろんありませんけれども、ただいまのところ、こういう朝鮮の事変もある現在であるししますから、原則的に旅券を出すか出さぬかということを御質問になれば、私は旅券は出したくない、出さない気持である、こう申し上げざるを得ないのであります。
  95. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 私は、今の外務大臣の御所見はよくわかりました。ただ香港あるいはインドその他を通じて、日本人が最近相当、いわゆるやみといいますか、正式のパス・ポートを持つて、クッションをとつて向うへ入国しておるのが非常に多い現状であります。外務省でパス・ポートを発行されないと申しましても、実際は商用その他で向うへずいぶん行つて、どんどん帰つて来て、その連中がいろいろの意見を発表いたします。すべて商売に差迫られると、現実としてはいろいろのくふうをして向うへ参つております。法治国としてああいうような現実の動きがあるのに対して、その現実に合うような臨機の措置をとる方針があるものでしようかないものでしようか、伺いたい。
  96. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 法治国としてというお話、まことにごもつともでありまして、開き直つて申せば、だから旅券法を改正しなければならぬじやないか、こういう議論にもなるのであります。しかしながら旅券法を改正して、必ずピルがなければ行けないということに非常に厳重にいたしますると、この場合はともかくとして、一般に、たとえば南アフリカのある国へ行つて、ちよつとその隣の国へ行つてみたいというときに、旅行者が商売上の必要その他で行くのに、一々非常に煩瑣な手続をして、本国政府まで電報を打つたりして何日か待つて、ようやくピルを取付けて行くというようなことでは、旅行者に対して非常に不便である。従つてこれはもろ刃のやいばみたいなもので、片方を押えれば、ほかの無罪の人も非常に苦労をするということもありまするから、なかなかこれは考慮を要すると思います。また実際上行くということは、われわれとしてははなはだ遺憾なことでありまするけれども、しかし日本政府が中共の官憲に対して、中共政府がいかなる放送をやり、いかなる気持でいるかもかまわずに、その人たちの保護や便宜供与等を正式に依頼することと、そうでなくして、政府は知らないけれども、行つた者がある。しかし旅券法の建前からいえば、それを処罰することも今のところはできないのだ。事実上のそういう行為をそれまで厳重にみな牢屋に入れてしまうように取締るかということになると、これはいろいろ考えさせられる点があるのでありまして、遺憾は遺憾であるけれども、またこれは別な意味もありますから、今のところはしばらく様子を見てみよう、こう考えておるわけであります。
  97. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 ただいまのパス・ポートの発行については、外務省の方針というものはわかりましたが、たとえば西ドイツにおきましては、中共との取引について、ベルリンに代表を招致して、ベルリンにおいて中共の代表と商取引契約その他を締結いたしております。そうしてドイツの共産圏国に対する輸出貿易を具体的に軌道に乗せておる。従つて私は、向うにパス・ポートを持つて行かせることは、今のような非常な御懸念があるとすれば、向うの代表を東京その他に呼んで、商行為のみについての契約を軌道に乗せるような方法を外務省はとることができるかどうか、それについての根本方針をお聞きしておきたいと思います。
  98. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 日本の国内に中共の代表者を正式に置くということは、中共との間に条約のない現在におきましては、私はやるべきことでないと思つております。また中共との間の取引につきましても、各国おのおのやり方がありまして、各国またおのおの考え方も違います。遠い国と近い国でも違います。たとえば日本も非常に厳重にやつておるというのでいろいろ非難もありまするけれども、戦前におきましては、アメリカも中共との間の貿易はずいぶんやつておりました。しかし今は日本よりもさらに厳重に取締つております。もつともこれは貿易量全体から言えば、中共との貿易は少いかもしれませんが、しかしそれは各国おのおのそのやり方があるのでありまして、私は非常に追従外交と言われておりますが、やはり日本には日本のやり方がある。ほかの国でやつたら必ずその通りやらなければならぬということでもないと思います。もつとも今お話の点は、私は間違つておるかもしれませんが、私の了解しておるところでは、西独にあるのではなくて、東独にあるのだと思います。ただ東独との間の交通がドイツ人の間ではかなり自由にできる点がありますものですから、それで東独の方へ行つて話をしておる。こういうふうに今までは了解しておつたのですが、あるいは今お話のように、西独にもできたかもわかりませんが、それはまだ私自身は知らないのであります。
  99. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 西独には経済省の中に東方委員会ができておるはずであります。東方委員会というのは、共産圏国に対するところの貿易のみを取扱う政府の省の中の委員会であります。従つて西独の中におけるところの共産圏に対する輸出、特にウクライナの小麦等を食糧対策として輸入する、あるいはドイツを通してイギリスへ持つて行くという政策は、ドイツの貿易政策の非常に大きな点であると発表されております。従つて経済省の中に東方委員会、オスタグというものがあると発表されております。従つて私は西独の共産圏国に対するところの地理的な、運命的な経済交流関係に対する処置というものは、われわれとしては大いに研究しなければならぬと思います。日本貿易が行さ詰まらなければいいのですが、これだけ行き詰まつて来たときに、西独ですらあれだけの努力を払つておる現在を見て、私は外務大臣に何らかのうまい手がないだろうか。われわれがパス・ポートを持つて行くことができなければ、向うが来るという道がもしあれば、それを何とかうまくやつてやる手は打てないであろうか。商取引をうまく軌道に乗せて、少しでも日本経済界をうまくする方法もあるのだつたら、外務大臣にお考えを願いたい、こういうことです。別にあなたに詰め寄つて、どうこうというようなことは絶対に考えておりません。それよりも敗けた国の西ドイツにおいてすら、そういう政策があるのだから、そういう点についてはわれわれはすなおに話をして外務大臣としては、それを調査をして、これは当然米英との交渉があつた結果と私は思いますが自由国家群との交渉の結果できておるところの機関については、われわれも同等の機関を持ち得る権限を主張すべきではないかと考えますので、その点についての所見をお伺いしたいと考えます。
  100. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは私も多少研究はいたしておりまして、従いまして今申したように、今まで知つているところでは中共に対する機関は東独にあつたと了解しておるというようなことも申し上げたのでありますが、ドイツの中の機関のことについては、また西独等が今まで食糧につきましては、ほとんど欧洲の共産圏から依頼して輸入しておつたような関係もありまするし、いろいろやり方はあろうと思います。私は自分でもよくこれからも研究もいたしますが、また当委員会等の各位の御意見につきましては、どうぞ腹蔵なくいろいろ御意見を聞かしていただきたい。私どもも決して自分のやることが必ず全部正しくてりつぱだとは思つておりません。御意見があれば喜んで聞きまして、一番最善な方法、それは国際的に見ても一番いい方法であり、日本あり方から見ても一番いい方法である。かつ国民の一番重要な通商の促進ということにつきましてもいい方法を、できるだけ考えて行きたい。この点については虚心坦懐に御意見を伺いまして十分研究をいたしてみたいと思いますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  101. 今澄勇

    今澄委員 関連して伺いますが、私外務大臣お話をずつと聞いておりましたが、ちよつと不審なのは、通産大臣の立場がそういう外務大臣の御答弁ではたしてやつて行けるかどうかということをお尋ねしたい。  その第一点は、御承知のようにインドの紡績が千二百万錘、パキスタンが四十万錘と日本の綿工業、紡績工業も、これらの諸国にだんだん出せなくなつて、東南アジヤの各国が植民地的消費経済から漸次機械工業的な立ち直りを見せておる現状から推移すると、日本の輸出市場がまことに少くなる。だから外務大臣にそれらの東南アジア並びにスターリング・ブロックの各国と日本産業経済的な計画とがマッチするように、どこどこにはこういう紡績機械を出すかわりに、今後は紡績は輸出できないというような、業者に自主的なパス・ポートを与えて折衝させるか、それができなければ政府経済会議を開いて各国の業者を招いて、おのおのの国の経済事情と、日本の輸出貿易をどう調整するかというような方針をとらざる限りは、いかに通産大臣が国内産業経済をやろうとしても不可能であるという結論になるわけです。だから私はこの際、通産大臣はそういう貿易についての計画的なお考えがあるかどうか、そういう連絡を外務省は受けて、外務大臣としてはそういう国際会議的な貿易会議を開くとか、あるいは招請を受けているとかというような動きはないかどうか、外務、通産両大臣にちよつとお尋ねしておきたいのであります。
  102. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私ども通産省といたしましては、外交交渉によりまして国際経済関係の円滑化をはかりたいという趣旨から、たえず外務省とお話をし、その力によつて展開をはかつているのは、まず第一が通商航海条約締結でありまして、そのことをまず第一にやつていただきたい。その次はいわゆるガット加入問題でありまして、ガット加入をいたしましても、これはあまり差別待遇を受けないガット加入をお願いしているのであります。またスターリング地域につきましては、いろいろ輸入制限を受けておりますので、この輸入制限の緩和方についてお話をしているのであります。さらにオープン・アカウント地域との通商協定はこれを促進いたしますように、また協定を円滑に実施いたしますように、それぞれこういつた地域について話をしてもらつているのであります。特に東南アジア、中南米等に対しましては、すでに経済使節も出ておりますが、今後も経済使節を出しますほか、事情調査の実情に応じまして人を派遣しましたり、また向うから要求があれば、技術指導に関しての人を送つているのでありまして、これももつと強化して参りたいと考えておるのであります。それからこの地域に対しまして経済開発の協力をいたしますとか、あるいはプラント輸出をいたしますこと等について、いろいろ過日来御答弁申し上げたような、輸出入銀行等にいろいろのことを今やらしていることは御承知通りであります。ドル地域につきましては、今のところは何と申しますか、少しサービスをする、トレード・サービス・ステーションといつたものも少しふやして参るとか、あるいは日本の方から、たとえば生糸であるとかいうものは、そういつた宣伝等に努力する。そういうことについて外務省の協力を得てやつているのであります。私ども経済外交を強力に展開して行くということを申しているのは、その点でございます。実際の問題は漸次よく進みつつあるように思いますが、まだ遺憾な点もありますので、この点外務大臣にいつもお願いをしている次第であります。
  103. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 大体今の御答弁で尽きておりますが、一、二私どもの立場から申しますと、たとえば中共貿易などについて、おそらく委員諸君も通産省と外務省では意見が違うじやないか、こうお考えになるだろうと思います。その点はいわゆるチエツク・アンド・バランスで各省ともにおのおの自分の主張を相当持ち出します。外務省としては、むしろ朝鮮事変のある限りは戦力増強にならないようにしなければならぬ。ところが総力戦になると、いかなるものが軍需物資かということはずいぶん議論があります。食糧がどうかということになるとなかなか限界がつかないのでありますが、われわれの方ではできるだけ戦力増強にならないように、通産省の方ではできるだけ日本の輸出、輸入の貿易を盛んにしたいという気持から来る。それをうまくといいますか、それの意見がだんだん調整されて、政府の一つの方針が出て来るので、初めから外務省も通産省も経済審議庁も一方に偏していたのではうまく行かない。いわゆるチェック・アンド・バランスで行くのが政府あり方だと思うでのあります。従つてども希望として述べることと、通産大臣がお述べになることが気持の上で違うことがしばしばあるのでありますが、それが政府方針としてまとまるときは、お互いに納得して話し合おう、これで行こうということになるわけであります。その意味で多少の違いがあることは御承認願いたいと思います。  なお経済会議等というお話がありました。私もそれができれば非常にけつこうと思いますが、いかんせん、いまだ東南アジア諸国の間にはまた日本経済侵略をするのではないかとか、日本がリーダ・シップをして、ほかの国を植民地的な原料供給国にして、日本が生産品を送るというようなやり方をするのではないかという疑いを往々にして持ちやすいものでありますので、日本側から提唱してそういうようなことをするということは、この際ちよつと考えものだと思つております。そのかわり、今通産大臣がおつしやつたような経済使節等は、費用はかかりますけれども、できるだけ出す。しかもこれは役人が行かないで、なるべく民間の事業家が行くということにしたいし、また役人の方からいいますと、外務省の大使館とか総領事館——たとえばインドネシアにしても、インドにしても、パキスタンにしても、あるいはタイにしても、通産省の職員を外務省で任命してこういうところに出しております。それで通産省との間の関係を円滑にして、双方の言い分が十分政策の方に現われるような努力をいたしております。
  104. 宇田耕一

    ○宇田(耕)委員 私は通産大臣にお聞きしたいのですが、日本の官庁において、戦略物資であるのか、非戦略物資であるのかという考え方が、省内でも必ずしも意見の一至しない点があるのではないかと思います。従つて許可等を与える場合に、特に通産省内の事務の渋滞が起りがちであります。そういう点について、少くとも貿易許可を敏速に与えるためには、戦略物資であるかないかということと、戦略物資でない場合において許可をすみやかにするという方針を推進していただきたいと思う。これが一点。  もう一つは、共産圏に対する貿易をおつくうがらないように、通産省は特に注意していただきたい。それからこつちから向うへ出かけることができない場合には向うの連中がこつちに来る、あるいは共産主義者でない中国人で、中国貿易の媒介となるような力を持つておる者が相当おる。そういう者を通産省の責任においてうまくまとめて、いわゆる上手に商売をするように通産省のサービスをお願いしたい、とう考えます。この点について大臣意見を承りたい。
  105. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 宇田さんも御承知通り、戦略物資、非戦略物資の非常にはつきりしておるものは非常に明瞭ですが、あるものになりますと、そのときの情勢によつては戦略物資等に加えられることもありますので、今の非戦略物資について中共その他へ出すことになつておりましても、いろいろ各国にでこぼこがあるというさつきの話は、そういうところから来ておるのであります。従いまして、私どもといたしましては、以前はむしろ戦略物資の扱いを受けたもので、染料のようなものは、その後だんだん話をしまして了解を得て、非戦略物資として輸出ができることになつたことはよく御承知通りでありまして、だんだんこういう点の緩和方に極力努めたい、このように考えております。  それから共産圏との取引をおつくうがるなというお話につきましては、これは別に私どもはおつくうがつておるわけではありません。ただ、いわゆる国連協力という一線はどうしても守らなければなりませんので、その線に沿つてできるだけのことをいたしたい、かように考えておる次第であります。  さらに両方の貿易の媒介となるような中国人その他を上手に使つたらどうか。これは相手方をひとつよく調べまして、使い得る場合は今仰せの通りつて参りたいとも考えておりますが、これはいわゆるケース・バイ・ケースで行くよりほかはないと考えております。
  106. 坪川信三

    坪川委員長 山手滿男君。
  107. 山手滿男

    ○山手委員 大分時間がたちましたので私はいろいろと申し上げませんが、さつきの外務大臣お話に関連して、通産委員会としては一言どうしても言つておかなければいかぬことがありますので私は申し上げておきたいと思うのです。今、国際経済会議日本が提唱すると、また経済侵略をするというふう議案受けるとか、いろいろ国際的な経済外交を推し進めると吉田内閣言つておりながら、きわめて弱腰なお話がございました。私はこの点についてはどうしても理解が行かない。きようは外務大臣に大分言葉を荒げたような話になつて恐縮であつたのでありますが、実際をよく承知しておつていただきたいと私は思う。と申しますのは、私はいつも数字を見て涙が出るのでありますが、国連の統計を見ましても、一九三七年を一〇〇といたしますると、日本の鉱工業生産は一体一三一の指数になつておる。これはイタリアの一四二、西独の一二五、そのほか米、英各国の経済復興、鉱工生産の復興の割合を見てみますると、日本も生産力の拡充という面については、大体軌道に乗せて来ておつた。ところが今日、せつかくそういう設備をつくつたものを、四割、五割の操短をしなければいかぬということは何によつて起きておるかというと、これは国連統計によつて外務大臣はよく御承知のはずでありますが、日本貿易の復興の割合を見れば一番よくわかる。日本の一九三七年を一〇〇といたしまして日本貿易が今何ぼになつておるかというと、輸出が三六、輸入が四九であります。ところがイタリアは何ぼになつておるかというと、輸出は一四一、輸入は一二四である。西ドイツは何ぼかというと、輸出が一三六で、輸入が一三一である。フランスは輸出が二〇六で、輸入が一〇五であります。英国は輸出一六〇、輸入は九八に押えておる。米国は実に輸出が二三〇で、輸入を一二六に押えておる。この表は何を物語つておるか。日本は戦前のわずか三十六、七から四〇というところで輸出入がバランスをとらせてある。ところがドイツにしてもイタリアにしても一四〇とか一五〇、アメリカは二三〇というような状態になつておる。片一方日本の鉱工生産は、二三一というふうなところまで一応順調な歩みを示して来た。ところが輸出も貿易も何もきかないから、日本は三十何ぼというようなところで操短なんかをやつて、せつかく国民の財をつぎ込んだものをみな遊ばせておる。そこに失業が起きており、国内不安が起きておる。宇田さんが今言つたところの、何ぼあなたが旅券を出すまいと思つても、中共やソビエトやいろいろな所でも、死ぬるかわりにどうもしようがないというようなことで出て行く非常手段をとる人がおる。だからココムの会議についても、政府がどれだけの努力をしておるかということが、われわれ通産委員会としてはもつと究明して、推進して行かなければならぬ大なき命題になつておる。外務大臣は国連協定やら行政協定でいろいろ頭が一ぱいになつておられるので、貿易行政や産業行政のことにまでは、おそらく頭がおまわりにならないと思うのですが、しかし行政協定のことも大切でありましようが、このままの状態で放置しておいたならば、これはたいへんな状態で、日本の国内から崩壊して行きます。私はこの数字をよく検討してもらいたいと思う。イタリアやドイツが一三〇や一四○にも回復しておるのに、日本が今日なぜ三五や四〇そこそこで輸出入がバランスされておるのか。私はこのことを解いていただきたい。これを解くことが経済外交を強力に推進するということである。私ども改進党の方でもこの間からいろいろこの問題を検討しておるのでありますが、どうも外務大臣があまりこの委員会にお出かけにならぬものですから、大臣経済外交にうとくなつておられて、極東経済会議でも提唱するならば、経済侵略のそしりを受けはしないかなどと考えられるのは、私はとんでもないことだと思う。さつきからのお話もありますから、私はこの委員会のあと理事会を開いて、この問題について委員長にさらにどうするかをはつきりしておいていただきたい。これを希望意見として一言申し上げておきます。
  108. 坪川信三

    坪川委員長 本日はこの程度といたし、次会は明後日十五日午後一時より開会いたし、ただいま審議中の法案並びに先日理事会において申合せいたしました化学肥料に関する件につき調査を進めたいと存じます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時二分散会