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後藤政府委員 お答えいたします。この前申し上げたと存じますが、
市町村民税の所得割の課税
方法に三つの
方法がございます。所得税を課税標準にするものと、それからその元でありますところの課税総所得金額を標準にするものと、もう一つは税引き所得を標準にするものの三つの
方法がございます。
従つて、この三つの
方法は二十六
年度以降におきましてはどの
方法を選択することも
市町村の自由であります。現実の状況を見てみますと、第一方式が漸次減
つて参
つております。
市町村の数で申しますと、二十六
年度は、第一方式が一七%幾らくらいかと思いますが、二十七
年度になりますと一二%くらいに落ちております。第二方式は、二十七
年度では大体八四%くらいにな
つております。第三方式が約三パーセント幾ら、これが実情でございます。
市町村の実情を見てみますと、所得税が漸次軽減されるとともに、
負担の均衡がとれなくな
つて来ている。つまり
市町村民税の課税標準に所得税をとることが、かえ
つて負担の分任の精神に反するような結果にな
つて来るということで、漸次第二方式に移
つているのであります。
市町村全体の空気といたしましては、第二方式を原則にして、第一方式を廃止してもらいたいという要求かあります。これは
町村ばかりではありませんで、中都市以下のものが大体そういう要求をしております。最近は農民組合あたりの要求もそれに近い要求が出て来ております。私
どもは第一方式はぜひ残しておきたい。これは徴税費が非常に少いという利点がありますし、また制限税率
制度でありますので、非常に簡単なのであります。こういう方式を残しておいて、ある種の
町村においては第一方式をと
つてもさしつかえないじやないか。第二方式を継続することによ
つて、むしろ
財政のいい
町村とか、また中都市等においてはかえ
つて煩雑にな
つて、徴税費がかかるというふうな結果に相なりますので、第一方式を残すという
方針をと
つたわけであります。しかし残す場合に、第一方式をそのまま現状に置いておきますことは、第三方式に移
つて参ります
町村の多い実情におきましては、これはいろいろ困難な問題があります。
具体的な例を申し上げますと、東京の近所の市において見られますように、二〇%の制限税率をと
つているものが相当ございます。これは全国の市で大体二十ばかりあ
つたと思います。これは
町村にはたくさんありますけれ
ども、市で二十ばかりあります。こういう市は、
財政が困
つて参りますと、どういう
方法をとるかと申しますと、第二方式に移
つて行くのであります。第二方式に移
つて参りますと、大体二十二、三パーセントくらいのところに標準をつくりまして、それを超過累進の形式でも
つて、所得税の各段階別の税率にかけて参ります。そういう方式でも
つて第二方式をと
つて行くというのが従来の傾向でありますので、そういうむずかしいことをやらないで、第一方式でも
つて税率を上げて行く方式をと
つたらどうか、こういうふうにわれわれ
考えてこの
改正をしたのであります。ただその場合にも、われわれの方の
財政計画の面におきましては、現在の標準税率でありますところの第一方式の一八%を
財政計画の上の数字としては見る、こういうことであります。あるいは二〇%まで行
つている
町村が二一%になる場合があるかもしれませんが、しかしその財源はもちろんわれわれの
財政計画の上では全部見るわけではありません。一八%しかわれわれの
財政計画上の数字としては見ないというふうにいたしたい。この点がいろいろ誤解があるようでありまして、課税所得の一〇%まで全部行くのではないかという懸念があるようでありますが、私
どもはそういう懸念はないのでありまして、一%だけ税率を上げるということにおいても
市町村には相当問題があるのでありまして、そんなにむやみに上げるようなことは絶対にないのでございます。各
市町村の
財政の実情によ
つて多少の増減は認めてもいいのではないか、こういう意味で、制限税率
制度を第二方式に合わせたわけであります。大体以上であります。