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1953-03-09 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月九日(月曜日)     午後二時十三分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 門司  亮君 理事 横路 節雄君       阿部 千一君    生田 和平君       加藤 精三君    河原田稼吉君       黒金 泰美君    谷川  昇君       中井 一夫君    辻  寛一君       古井 喜實君    山本 粂吉君       大石ヨシエ君    平岡忠次郎君       西村 力弥君    川村 継義君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         国家消防本部長 瀧野 好曉君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      後藤  博君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 三月九日  理事床次徳二君の補欠として森田重次郎君が理  事に当選した。     ――――――――――――― 三月七日  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願(  尾崎末吉紹介)(第三六五二号)  同外一件(冨吉榮二紹介)(第三六五三号)  同外一件(前田正男紹介)(第三六五四号)  同外一件(木暮武太夫紹介)(第三六九一  号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第三六九二号)  同(古井喜實紹介)(第三六九三号)  同(平澤長吉紹介)(第三六九四号)  同(高岡大輔紹介)(第三六九五号)  公営住宅事業資金起債増額に関する請願(門  司亮紹介)(第三六五五号)  地方自治体警察維持存続に関する請願武部英  治君紹介)(第三六五六号)  同(成田知巳紹介)(第三六五七号)  同外二件(安東義良紹介)(第三六五八号)  同外二件(早稻田柳右エ門紹介)(第三六九  六号)  同(成田知巳紹介)(第三六九七号)  同(後藤義隆紹介)(第三六九八号) の審査を本委員会に付託された。 同日  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第一八三七号)  地方制度改正に関する陳情書  (第一八三八号)  市町村合併促進に関する陳情書  (第一八三九号)  地方財政の確立に関する陳情書  (第一八四〇号)  昭和二十七年度地方財政赤字補てんに関する陳  情書(第一八四一  号)  地方税法及び所得税法改正並びに国と地方自  治体徴税方法等に関する陳情書  (第一八四二号)  市町村職員の国費による税務研修養成機関設置  に関する陳情書(  第一八四三号)  官報及び政府刊行物の送付に関する陳情書  (第一八四四号)  警察法改正反対陳情書  (第一八四五号)  同(第一  八四六号)  同(第一八四七  号)  同(第一八四八  号)  同(第一八四九  号)  同  (第一八五〇号)  同(第一八五一  号)  自治体警察及び消防職員に対する賞じゆつ金制  度等に関する陳情書  (第一八五二号)  公職選挙法及び同施行令の一部改正に関する陳  情書(第一八五三  号)  最高裁判所裁判官国民審査に関する陳情書  (第一八五四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  公聴会開会に関する件  消防施設強化促進法案内閣提出第七〇号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九八号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二四号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三三号)  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一五二  号)     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 これより会議を開きます。  議案の審査に入る前に、まず理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち委員異動に伴い、理事が一名欠員となつておりますので、その補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略し、委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青柳一郎

    青柳委員長 御異議なしと認め、森田重次郎君を理事に指名いたします。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長 次に公聴会開会に関する件についてお諮りいたします。すなわち警察法案についての公聴会開会承認議長に求めておりましたが、一昨七日その承認がありましたので、これよりその日時等について決定いたしたいと思います。公聴会は三月十八日午前十時より開会し、警察法案について意見を聞くことといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 青柳一郎

    青柳委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。委員長より、ただちに議長にこの旨を報告いたします。     —————————————
  6. 青柳一郎

    青柳委員長 次に義務教育学校職員法案外一件について、文部委員会との連合審査会日時については、文部委員長との協議の結果、十二日に行うことに決定いたしましたので、報告いたします。     —————————————
  7. 青柳一郎

    青柳委員長 これより、去る四日本委員会に付託された国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。本多国務大臣
  8. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいま議題となりました国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに改正内容概略を御説明申上げます。  国会議員選挙等執行経費基準に関する法律は、国がその経費負担することになつております衆議院議員及び参議院議員選挙最高裁判所裁判官国民審査並びに日本国憲法第九十五条の規定による一の地方公共団体のみに適用される特別法の制定に関する住民投票につきまして、適正かつ円滑な執行を確保するために、都道府県及び市区町村に交付いたします選挙執行経費基準を定める目的をもつて昭和二十五年五月に制定されたものであります。  この法律は、昭和二十五年六月に執行されました参議院議員通常選挙を初め国会議員補欠選挙等につき適用されたのでありますが、その後、公務員給与基準改訂等に伴いまして昨年八月改正され、同年十月執行されました衆議院議員の総選挙及びこれと同時に行われました最高裁判所裁判官国民審査について適用されて参りました。しかし、昨年末に公務員給与基準が再び改訂されましたために、このたび、本改正を企図するに至つた次第であります。  改正内容について申し上げますと、公務員給与基準が従来一万六十一円でありましたものが、昨年末に一万二千八百二十円に改訂されましたことに伴いまして、選挙事務に携わる都道府県及び市区町村吏員に支給される超過勤務手当額改訂いたすものであります。すなわち今回の改正により一人一時間当り、大都市のある都府県及び区につきましては四十四円十三銭を五十二円八十三銭に、その他の道県及び市につきましては三十八円四十六銭を四十六円四銭に、町村につきましては三十二円二十三銭を三十八円五十九銭に引上げるものでありまして、この改訂による所要増加額は五千七百六十二万九千円と相なるわけであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容概略でありまして、近く執行予定されております参議院議員通常選挙執行経費は、この改正法律案に基き算定いたしまして、別に昭和二十八会計年度に計上いたしておりますが、その総額十六億七千八十三万一千円のうち、地方公共団体に交付いたします基準経費の額は、十五億百三十四万九千円となつております。  以上の通りでありますので、何とぞ愼重御審議の上御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  9. 青柳一郎

    青柳委員長 本案に対する質疑は後日これを行うことといたします。     —————————————
  10. 青柳一郎

    青柳委員長 地方税法の一部を改正する法律案地方財政法の一部を改正する法律案地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。横路君。
  11. 横路節雄

    横路委員 私は本多国務大臣お尋ねをいたしたいと思うのですが、去る四日に年末手当に関する教職員を含む地方公務員に対する〇・二五の取扱いに関して私から質問し、大臣から御答弁があり、さらに引続き五日には大蔵大臣から、これに対する財政措置といたしまして、資金運用部資金から二十億、交付公債三十億という御説明がございましたが、当日の模様は大臣も御承知のように、政府部内の意見が統一しているとは私たち思えないのでございます。大蔵省当局といたしましても、一応の案である、なおこの点については自治庁とも話合いする余地がある、こういうのであつたわけでございまして、われわれといたしましても、このことは昨年末以来引続いての問題でもありますので、早急に解決をしていただきたい、こういうことであつた。去る五日の大蔵大臣答弁以来今日まで、自治庁としてもおそらく大蔵当局折衝されておると思いますので、この点についてはどういうようになつたのか、この点は私のほかに門司委員からも、公募公債の三十億については、昭和二十八年度における公募公債わく等から考えて、しかも三月に押し迫つた今日では二十八年度地方財政計画をくずすじやないか、こういう点も指摘されておりますので、その後どういうようになつておりますか、できますならば最終的な結論——もうきようは三月も九日でございますから、最終的な結論をぜひお聞かせいただきたい。なおこの件に関しましては、全国各都道府県におきましても、大体二月末から各都道府県議会を開いておりまして、政府方針の決定次第、いまだ支給されてない都道府県では、それぞれ支給するようにもなつておりますので、ぜひその点についてお聞かせをいただきたい、こういうように考える次第でございます。
  12. 本多市郎

    本多国務大臣 昨年年末の措置における国の地方に対する財政措置につきましては、事柄の性質上急速を要することでございますので、爾来御質問をいただきましてお答えいたしましたあのときから、引続き部内において折衝検討を続けておるわけでございます。その財政措置といたしましては、ほぼ御質問でおわかりのように思うのでありますが、年末手当措置その他を含めて、一般会計において五十億程度、さらにこれと関連いたしまして、実は公営事業に対する公募についても、同時に勘案して決定いたしたいという考えを持ちまして、さらに折衝検討を続けておるわけでございます。急を要する事柄について結論が遅れておりますことはまことに申訳なく存じまするが、本日もさらに引続き急速に結論を出してお答えいたしたい考えでございますので御了承願いたいと存じます。
  13. 横路節雄

    横路委員 ただいまの件につきましては、私は、本多国務大臣の非常な御苦労は察するに余りあると思うのですが、大体において、この点につきましては大蔵当局が不誠意だと思う。従つてどもは、ぜひこの場所に向井大蔵大臣出席を求めて、その上で——やはり私たちは、とにかく地方財政をこの際どうしても正しい方向に運営するという建前からいつても、今日大蔵当局のやり方は、明らかに地方財政を圧迫していると思うので、委員長は、即時にこの席に向井大蔵大臣に来てもらつて、再度この問題について本委員会において明確にしてもらわなければならぬと思う。すでにこの間五日の日にやつているわけですから、もうすでに五日間を経過しているので、ただ単に大蔵大臣責任ばかりとは言えないにしても、最終の責任大蔵大臣ですから、ぜひここに来ていただきたいと思います。よしんば大臣参議院予算委員会出席する予定にしておつても、当然時間をさいてここに来てもらわなければならぬ。昭和二十八年度地方財政計画つて、この間の答弁のように、公募公債が三十億であれば当然圧迫をされることは明らかですから、その点ひとつ委員長からただちに大蔵大臣出席の要求をしていただきたい。  それから私は本多国務大臣に重ねてお尋ねをいたしたいのですが、たしか二十六年度末に、二十六年度赤字債として、都道府県へ四十億、市町村へ四十億、合計八十億の赤字債を認めてやつているわけです。この点については、当然私ども昭和二十七年度の中で解決をしなければならぬと思つているわけです。もしもそれが昭和二十七年度の中で解決ができなかつたとすれば、当然二十八年度地方財政計画の中で、この二十六年度末の都道府県並びに市町村赤字八十億については解消しなければならないと、私は考えておるのでございまするが、この点については一体どうなつていますか。ひとつ財政部長からでも明らかにしていただきたいと思います。
  14. 武岡憲一

    武岡政府委員 昭和二十六年度に、年度末の地方団体赤字状況等を勘案いたしまして、八十億のいわゆる特別融資を行つたわけでありまするが、そのうち三十億円は、二十六年度起債わくを拡張するという方法によつて措置をいたし、それからあとの五十億円は、当時二十七年度の当初計画予定をいたしておりました二十七年度分の資金運用部資金の方から繰上げてとりあえず配分をいたしたのであります。その分につきましては、二十七年度補正予算におきまして、その前年度に繰上げ配分をいたしました五十億円の補填をする、こういう措置をとりまして、昨年御承知のように全体で三百二十億円の財源措置をいたしたわけであります。
  15. 横路節雄

    横路委員 そうすると、ただいまのお話の三十億はどうなつたのですか。今のお話で、八十億のうち五十億については二十七年度のうちで三百二十億の中に見たというわけですが、三十億はどうなつておりますか。その点がどうもはつきりしない。
  16. 武岡憲一

    武岡政府委員 三十億は、二十六年度起債公募債わくを拡張いたしまして、二十六年度一般市場の借入金によつて、各団体が始末をいたしたわけであります。
  17. 横路節雄

    横路委員 私は本多国務大臣に、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案について質問したいと思うのです。本多国務大臣からの説明要旨として出された中のものについてまずお尋ねしたいと思うのでありますが、「以下改正しようとする内容の概要について申し上げます。」として、「その第一は、義務教育に従事する教職員給与関係経費を、国庫において負担しようとすることに伴うものであります。新制度が実施になれば、この種の経費財源は、地方財政平衡交付金制度をもつて保障する必要がなくなりますので、道府県分基準財政需要額から、小学校費及び中学校費の項目を削除するほか、その他教育費に含まれている盲聾唖学校費のうち義務制児童生徒にかかる教職員給与関係経費を削減する方針のもとに当該単位費用改訂することといたしました。」というので、なおこの法律案の中には、ただいまの御説明の中にございましたように、この義務教育関係については、平衡交付金単位費用の中にないわけです。これは当然なんです。このことは本多国務大臣説明通り正しいと思つております。そうするならば、この委員会で前々から問題になつているところの、いわゆる都道府県義務教育に関する教職員俸給費に関しては、当然文部省予算に組み入れられた義務教育費国庫負担の九百二十億の中に入つているわけであります。当然この八百億の中に入つておらない。だからこの中には単位費用がないわけです。それならば、この委員会あるいは予算委員会等において私たち質問をした際の、義務教育費についてはやはり都道府県財政において負担するものであるという、その理論的根拠法的根拠は一体どこにあるのですか、その点についてお尋ねをしたいわけです。従つて、前前から問題になつておりますように、昭和二十七年度の十一月以降のいまだべース・アツプを伴わない前におけるところの一人平均三百四十九円を差引いて渡した平衡交付金、それが今年は七百九十四円になつているわけでありまして、当然その分は文部省が組んだ九百二十億のうちの九百一億の中にも入つていないわけです。そういう点等でもどうしても矛盾を来すと私は思う。従つて、この義務教育関係については、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案が出て来なければ明確でない。私は、たしか二月の十四日に質問したきりで、今日までこの問題は地方行政委員会で取上げませんでしたが、この平衡交付金法の一部を改正する法律案大臣提案説明の中には、明確に、国庫において負担するのだから平衡交付金の中には入つていないのだとなつているが、入つていないものを一体どういうような法的な根拠で、どういう理論的な根拠で足りない部分都道府県負担させようとなさるのか。私は、大臣自身もこの提案理由から行けば、私の質問に対して、おそらく法的な根拠については御説明できないのではないかと思う。この点だけはやはりこの際、文部大臣ではなく、自治庁長官なのですから、その建前に立つて、この提案説明の趣旨に沿うて、ひとつ私どもを納得させる説明をしていただきたい。非常に重大な問題ですから、ぜひこの点についてお願いいたします。
  18. 本多市郎

    本多国務大臣 従来平衡交付金一本で交付しておりましたものが、義務教育関係教職員給与国庫負担となりまして、文部省から負担金として交付されるようになりましたので、これを分離するために、今回平衡交付金法改正するわけでございます。それでは平衡交付金にはまつた関係のない義務教育費府県負担で、しかも文部省から交付される金をもつて満たすことのできない不足分、そうしたものがある場合に、それをいかなる根拠に基いて、府県負担せしむるかという御質問だと思いますが、財政措置といたしましては、この義務教育教職員給与費を含めて一千七百二十億という平衡交付金をもつて現状通りのまかないを府県につけていただくことに計画いたしております。従つて同じ負担をする府県といたしましては、文部省から交付される負担金と、八百億の中から交付される平衡交付金とによつて、大体同じ状態になるということを考えておりますので、財政措置としては、平衡交付金一本でやつた場合と同じでございますので、これでよろしいと考えております、それでは、平衡交付金算定基準である基準財政需要額の中から、教育費というものを抜いてしまつて、しかも文部省から来る金で足りない部分負担するという根拠がなくなるではないかという御質問のようでございますが、財政措置としてはただいま申し上げました通りでございます。その法律的な根拠は、今度の二十八年度暫定措置として府県負担とするという法律に基いて、負担していただくのでございます。
  19. 横路節雄

    横路委員 私はその千七百二十億の内訳について大臣にひとつ御質問いたしますが、これは明らかに八百億が平衡交付金で、九百二十億は義務教育国庫負担という名前で二つに別れております。この点千七百二十億が、平衡交付金として自治庁関係の方に入つておらないはずだと私は思う。九百二十億については、明確に文部省予算の中に、義務教育費国庫負担金という形で入つておるから、この点は私は間違いがないと思います。そこで、大臣お話では、義務教育学校職員法案の中における経過措置として、昭和二十八年度都道府県負担であるときめたから、払う義務があるのであるというふうに、大臣はおつしやつておる。それならば私はお尋ねをするのですが、都道府県負担であるときめたものであるならば、当然それに伴うところの財源措置をしなければならぬはずである。そこで不交付団体の東京、大阪その他六府県、いわゆる今回の九百二十億の中に入らない八府県を除いた他の道府県は、明らかに九百一億の中でやるように操作されておるのでありまして、もしも大臣お話のように、経過措置として都道府県負担をするのであるというならば、一体どうして地方財政平衡交付金の一部を改正する法律案の中にないのか。教育費としては、高等学校費生徒一人につき七千八百九十二円、その他の教育費に九十九円十銭、あとどう見ても、この平衡交付金の中の単位費用にはないのです。もしも都道府県にそれをやる義務を負わせたものであるならば、当然国がそれに対する財源措置をしなければならぬ。そうすると、大臣のおつしやるのは、一銭も財源措置をしないが、法律でお前の方は経過措置で持つんだぞときめたら、与党の圧倒的多数で国会を通しておけば、地方なんぼ金がなくとも、払う義務責任が当然出て来るのであるというのは、これは少くともこの地方行政委員会において、地方財政その他についてお互いに努力しておるわれわれ委員会としては、納得ができないわけです。そこで大臣は、なるほど経過措置としては、国の法律都道府県負担ときめた。そうであるならば、当然国としてはそれに伴うところの財源措置をしなければならぬはずで、その財源措置は一体どこにあるのですか、こういうわけです。九百一億の財源措置をしたことはわかりますが、九百一億の財源措置では、明らかに今日一人当り七百九十四円足りない。人によつては七十億とも言い、人によつては百三十七億が足りないと言う。一体この金はどこで出すのですか、こういうのです。さらにその出す法的根拠はどこですか。ただ経過措置都道府県負担と書ておいたから、法律通りさえすれば、都道府県が払うのだというのでは、これはあまりにどうもわれわれに、あるいは国民全体に法的根拠を示すということにならないので、この点ひとつ重ねて明らかにしていただきたい。なお大臣もこの際文部大臣にそろそろ御遠慮なさる必要もないから、この辺で明らかにしていただきたいと思います。
  20. 本多市郎

    本多国務大臣 これは法的根拠ということについては申し上げた通りですが、二十八年度暫定措置である関係から、非常におのみ込みにくいのではないかとお察しいたしますけれども、大体これを担当いたしてくれまする府県財政としては、現状通り負担であると考えられます。従つて現状通り負担でありますれば、一千七百二十億を交付することによつて現状通り負担はしていただかなければならない財政措置になつております。これを負担金平衡交付金の方へわけましても、ちようど一本で交付されたと同じように、二つの道から府県にその経費が入つて参りますので、府県としてはそれで困難ではありましようけれども、同じだけの財政措置が講ぜられたものである、かように考えます。さらにまた平衡交付金一本でやつた場合には、これは府県が自主的な負担として、足らない分を担当いたしておつたものであるのに、今度は府県負担とする、しかも現員現給であるという法則に基いて負担するということになれば、法律に基く義務負担になるではないかという意味であろうかと思いますが、新たなる法律に基く義務負担の場合、それに伴う財政措置は新たに講ずべきではないか、こういう観点からの御質問ではないかと存じます。これにつきまして、すでに一千七百二十億に合計してなる財政措置を講ぜられておることになつておりますので、その他の府県の収入全体としてまかない得る措置が伴つておりますので、特に負担を増額するわけではありませんから、これで財政措置も講ぜられておると考えます。
  21. 横路節雄

    横路委員 きようは予算委員会で時間を制限されたり、本会議質問のしつぱなしというわけでないのですから、私も納得すれば、あえて重ねて質問はしないのです。私は大臣に次にこういうことをお尋ねしたいのです。それは今度の義務教育学校職員法案の中に、地方公務員である教職員が、現在支給されておる級及び号俸をもつて国家公務員のそれに該当するものにかわると明らかにきめられたわけでございます。一体これの法の解釈はどうあるかということになりますと、昨年ここで補正予算をめぐる二十七年度地方財政計画の中で、三百四十九円問題をめぐつたときに、とうとう自治庁といたしましても、文部省といたしましても、地方教職員は三百四十九円高いのだからといつて、頑強にそれを押し通されて、それを引いたままの基準で、今日千百五十五億の平衡交付金の算定をして、その中から九百一億の義務教育学校職員に関する俸給を組んだわけです。ところが今度の義務教育学校職員法案では、国家公務員になる者に現在受けている俸給そのままの金額で号俸をあてはめるわけです。そのままにあてはめるということは、全国の知事会において、御承知のようにいかに政府当局が三百四十九円高いといつても、われわれは引かないといつて、一人一人に引かないで渡すわけです。だから一人々々がそれだけの権利を持つて切りかえたわけです。政府みずからが、その高いものをもつて一人々々について国家公務員に切りかえをするという以上は、明らかに政府は七百九十四円については財政措置をしなければならない責任がある。この義務教育学校職員法案の中のいわゆる給与の新たな切りかえが生じたわけです。新たな切りかえが生じた以上は、新たに政府みずからがその点について責任を負つたのだから、当然その分についての財源措置をしなければならぬ。政府がこの法案の中で、地方教職員は三百四十九円高いのだ、今日七百九十四円高いのだから、全国五十三万の義務教育学校職員については平均七百九十四円を差引いたものでもつて、それにあてはまる国家公務員にする、いわゆる級及び号俸に対する切りかえをすると法律の中で規定してあるならば、私はこの質問はしないのです。七百九十四円についての所得権は認めた。認めた以上は、昨年よりは個人に対するそれぞれの既得権がこれだけ高くなつているのですから、当然財政措置をしなければならない。この点に対する説明は一体どうなさるのか。大体自治庁としては納得していないものをかけたのですから、本多さんに私聞くのは酷なんです。しかし本多さんが非常に温厚で人柄がよくても、やつぱり政府当局なんだから、私としてはこの法律がいかに地方財政を圧迫しているか、いかにごまかしのものであるかということを明らかにするために、どうしてもこの点だけははつきりしなければならぬ。だから私の言い分は、法案の中で明確に七百九十四円については既得権を認めたものであるから、当然財政措置をしなければならぬ。しかし文部省の田中初等中等局長のように、実際は教員は五十万人しかいないのだから、五十五万人くらい組んでおいて、五万人のから定員でみなにわけてやるのだから、それで間に合うだろうということを本多さんがおつしやるならばそれでもいい。国の予算というものはみなそうやつて、やつているのだから、何も取上げて騒ぐ必要はないのだとおつしやるならばいいけれども、もしもそういうことを言つたならば、各省における定員問題は全部そうではないはずだ。従つて私は、この義務教育学校職員法案の中にうたつた現在の既得権を持つて切りかえた者に対する七百九十四円の問題はどうするのだ、この点だけはどうしてもひとつ明らかにしてもらわなければならぬ。文部省のように、から定員を五万人も三万人も組んで、実際は採用しないでみなにわけてやるのだからいいのだ、文部省予算も、大蔵省の予算も、定員はみなそう組んであるのだ、もしもそういうことを言うと、本多さんみずから何でもこのごろ新聞で行政整理をなさるとかいうことだが、とんでもないことに私はなると思う。まさか文部省のような説明はなさらないと思うが、この点だけは明らかにしてもらいたい。きようは本多さんの通り一ぺんのあいさつでは私は絶対に了承しないで、この点が国民の前で明らかになるまで、何時間でも御説明を承りたいと思います。
  22. 本多市郎

    本多国務大臣 この点についてもただいま御説明申し上げたつもりでおつたのでございますが、今度の二十八年度経過措置によりますと、府県負担は、現員現給で横すべりすることになつておりますので、従つて現員現給であります以上、現状と負担はかわらないということを前提として考えております。そうすると全部の歳入を含めて、現状通り平衡交付金を含めましてかわらないといたしますれば、府県が特に負担を増額するという点はないと考えられます。ただ御指摘の通りに、今までは府県の自主的な負担であつたものが、今度は現員現給ということで、しかも法律に基く義務負担ということに性質はかわるのでございます。けれどもその義務は現員現給の範囲内であると考えられますので、特に負担の増加はない。この点から、まことに府県においても相当お骨の折れることとは存じますけれども、とにかく現員現給、現状のままの負担、それに伴う措置が講じられておる以上、たとい法律に基く新たなる責任負担とかわりましても、金額に相違がないのでありますから、了承していただかなければならぬと思つております。
  23. 横路節雄

    横路委員 本多国務大臣に重ねてお尋ねしたいのですが、昨年同様に現員現給でやつたんだから、今年だつてかわりがないと言われるが、大臣は私の言うところをもう一ぺん聞いていただきたい。私は何を言つておるかというと、昨年通りの現員現給で今年も組むということが明らかに不当だということなんです。なぜ不当かといえば、昨年は平衡交付金の形で渡した、しかもその平衡交付金を算定するときに、都道府県の教員は三百四十九円低いからといつて渡した。しかし現実には現給は三百四十九円低くしないで、政府側の考え方からすれば三百四十九円高くして渡した。その高くして渡したものを政府は今回の法案の中に認めておる。どういうふうに認めたかというと、現在もらつておるものについてそのまま切りかえをするといつて認めておる。従つてそのまま認めた以上は昨年と性質は全然違うわけです。昨年の現員と今年の現員とは違うわけです。平衡交付金であれば私はそうは言わない。しかし平衡交付金でなしに明らかに義務教育費国庫負担として別わくでやつている。しかも現在もらつているものをそのまま既得権として切りかえたの、だから、七百九十四円については当然義務教育費の中で見なければならない性質だ。それを両方一緒にして渡すのだから去年と同じ性質だろうという説明は成り立たない。実際に去年あれだけ討議した三百四十九円は解消しないで、そのまま切りかえているのですから、その点はどうなるのかというのです。法案の中で、昨年の現給と二十八年以降の現給とは政府は明らかに違つた意味における解釈をしている。だからその点を明らかにしてもらいたいと思う。今の説明では、去年の現員現給でありますから、ことしも同じでしようというのですが、ここに与党の方もたくさんおりますけれども、だれも納得しないでしよう。この点についてひとつ明らかにしてもらいたい。
  24. 本多市郎

    本多国務大臣 どうも私の考えておることが御了解願えないで、どういうふうに答弁をしていいのか、まことに苦しむ次第ですが、結局横路さんも御指摘の通りに、従来は自主的な負担であつたのが、今度は現員現給、金額はかわらないけれども法律に基いて義務的支出になるという性格の相違でありますが、現員現給現状通り負担であれば、それに伴う財政措置がしてありますから、性格が自主負担から義務負担にかわつて財政措置にかわりございません。こういう意味でございます。
  25. 青柳一郎

    青柳委員長 この問題は一般質問や何かと区別してやつている問題でないので、順次関連質問を許します。
  26. 門司亮

    門司委員 ちよつと今の答弁本多さん少し心得違いでおられるのじやないか、感違いじやないかと思うのです。私最初に聞いておきたいと思いますことは、一応その数字を明確にしておきたいと思いますが、昨年度から考えて二十八年度地方教育費の総額は一体どのくらい見ておられますか、給与費自治庁は一体どれだけ計算しておりますか。
  27. 本多市郎

    本多国務大臣 平衡交付金算定の基準財政需要額でよろしいのですか。
  28. 門司亮

    門司委員 総額です。
  29. 本多市郎

    本多国務大臣 実額ですか。
  30. 門司亮

    門司委員 実額です。
  31. 本多市郎

    本多国務大臣 政府委員より説明いたします。
  32. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 地方の一般財源から分離いたしました義務教育費の額の基礎になりますものは千百五十五億という計算をいたしました。この千百五十五億に対応いたしますものを現員現給で計算いたして参りまする場合には大体千百五十六億円くらいでございます。現員現給でありますからこれは二十八年度において、いろいろ新陳代謝等の関係もございますのでかわつて参るだろうと思いますが、大体大同小異ではなかろうかという見方をしております。
  33. 門司亮

    門司委員 現員現給で大体千百五十六億円になつて参りますと、今度の義務教育費国庫負担になるということで、いわゆる教員の俸給として文部省が言う現員現給は、九百二十億が大体差引いてあるわけであります。しかもその中で十九億が教材費といたしますると九百一億である、この九百一億を引いてみますると大体二百五十五億だけ金が足りなくなるということになる、今議論になつているのはこの金だと思う。この二百五十五億の当然足りない分を、どこから支給するかということになつておると思う。そこで本多さんの御答弁ではそれは残りの八百億の平衡交付金の中に含まれているのだというように解釈してさしつかえございませんか。
  34. 本多市郎

    本多国務大臣 大体その通りでございます。その内容平衡交付金を交付しない不交付団体に対する分と、それから少しは交付いたします分と、その他金額について制限を受ける分とを二百五十四億だけ千百五十五億の中から差引いたものでございます。義務教育職員の全体の給与費の規模は千百五十五億となつておりますけれども、それが財政計画の中に入つて来て、しかも東京、大阪のように交付しない所、平衡交付金の金額の非常に小さい所、そうした所にやらない分だけは、その他の地方団体の調整の財源になつて初めて平衡交付金制度というものが成り立つておるのでございますから、千百五十五億の中から交付の制限を受けている所、あるいはまた不交付団体の分というものを二百五十四億円保留して、結局八百億円となつておるのでございます。
  35. 青柳一郎

    青柳委員長 今の関連質問の続きで、まだ結論を得ておらぬようですから許します。
  36. 門司亮

    門司委員 今の大臣答弁からいたしますると、この二百五十四億は不交付団体の分が、大体このくらいだというように解釈すればいいように聞えますが、そういたしますると実際不足額というものが、今までどのくらいあつたかということであります。これはいわゆる財政需要額から割り出した数字と私は考えるが、財政需要額から割り出した数字でなくて、実際の都道府県の出しておつたものは、一体どのくらいあつたのか、これはわかりますか。
  37. 本多市郎

    本多国務大臣 これは地方義務教育教職員予算の規模が千百五十五億でございまして、それに対してそれでは実際において府県が幾ら支出していたかということは、これは少しずれますけれども、資料があると思いますから財政部長より御説明申し上げます。
  38. 武岡憲一

    武岡政府委員 地方の実支出額は先ほど申し上げました千百五十六億くらいということになつております。
  39. 門司亮

    門司委員 そうするとこれは財政基準額から来る七〇%ではないのですね。一〇〇%なのですね。そう解釈してよろしゆうございますか。
  40. 武岡憲一

    武岡政府委員 そうです。もう一応補填して申し上げますが、千百五十五億と申し上げましたのは、定員定額で計算をいたしました義務教育費の全体でございます。実際に支出しておる額で計算いたしますると千百五十六億くらいになるのですが、今門司さんのおつしやつた基準財政需要額の中から、どれくらい見ておるかという数字はこれとは別でございまして、大体二十七年度で九百十二億くらいになつております。
  41. 門司亮

    門司委員 そうしますと数字がだんだん合わなくなつて来ますが、今の御答弁ではこの千百五十五億の中から九百一億を差引いた二百五十四億が大体不交付の分だ、こういうことになつて参りますと、非常に数字が違つて来るような気がするのです。これだけ差引いて参りますと、実際七〇%の現在の基準財政需要額が九百何億になつて、これに三〇%加えたものがこういう千百五十六億になると思いますが、そうするとその七〇%の中にもやはり二百五十四億の不交付団体の分が含まれておるのですか、そう解釈してよろしいのですか。それは全体の数字であつて、その数字を除外した数字でないと今の平衡交付金の数字とは数字が違つて来るように思いますが、そうではあありませんか。
  42. 武岡憲一

    武岡政府委員 御質問の趣旨がちよつとよくつかめませんので、もう一応念のために申し上げますが、千百五十五億と申し上げたのは、定員定額で計算をいたしました昭和二十八年度義務教育費の所要見込額の全体でございます。それに対して九百一億の今度の国庫負担金をきめた根拠は、先ほど大臣から申し上げましたように、つまり千百五十五億から二百五十四億を引いておるわけでございます。この二百五十四億というのは、たとえば平衡交付金の算定で申しますと不交付団体になる東京、大阪、それからそのほか六府県のように平衡交付金制度をそのまま施行するとしますと、平衡交付金配分を受けるのでありますが、義務教育国庫負担制度が実施せられますと、その分の財政需要額がいらなくなりますので、いわゆる自然不交付団体になつて来る分、その分については、その平衡交付金の計算で、かりに計算をいたしました結果出て来るところの額を、その団体に交付すべき国庫負担金の額から控除する、いわゆる制限して交付する、こういう算定措置昭和二十八年度はとろうとしておりますので、その分を控除いたしますと、それが二百五十四億に当りますので、結局九百一億を負担金としてやるようにすればよろしい、こういう計算が出たわけでございます。それから九百十二億と申し上げましたのは、これは昭和二十七年度平衡交付金配分の基礎となつ義務教育に関する、つまり該当の分の基準財政需要額の額を申し上げたわけでございます。
  43. 青柳一郎

    青柳委員長 門司君に申し上げますが、関連質問ですから、できるだけ簡単に願います。
  44. 門司亮

    門司委員 今おつしやつたのは八大府県を除いたものですか、除かないものですか。
  45. 武岡憲一

    武岡政府委員 九百十二億というのは、全体の基準財政需要額でございます。
  46. 門司亮

    門司委員 そうするとますます数字が合わなくなつて参りますが、全体で九百十二億ということになつて参りますと、それから今の答弁では八大府県の除かれる分が二百五十四億ということになつて参りますと、この九百十二億に二百五十四億を加えますと千何百億かの数字が出て来ますが、これに対して九百一億しか交付しないということになると、どうしても金が足りなくなる、もう少しはつきり数字がわかりませんか。
  47. 武岡憲一

    武岡政府委員 九百十二億というのは、昭和二十七年度基準財政需要額を、御参考までに申し上げたわけでございます。
  48. 門司亮

    門司委員 それでは二十八年度はどうなんですか。二十八年度をやつているんだ。二十七年をやつているわけではない。
  49. 武岡憲一

    武岡政府委員 昭和二十八年の基準財政需要額は、二十七年度から推定して参りますと、大体一千十二億くらいになる見込みであります。
  50. 門司亮

    門司委員 そうしますと、こう解釈してよろしゆうございますか。めんどうですから結論を先に出したいと思いますが、大体千百十二億くらいになる。それに対して九百一億くらいしか支給していない。だからそれの差額だけは、結局地方負担になるというように解釈してよろしいのですか。
  51. 本多市郎

    本多国務大臣 基準財政需要額の基礎になります数字と、財政計画の規模についての数字と混同されて考えられますと、まつたく違うことになるのでございまして、この二十八年度基準財政需要額の確定した数字はまだございませんけれども、見込みとして一千十二億くらいになるだろうと推定いたしておりますが、この数字は御承知通り収入の面におきましても七〇%減の算定でバランスをとるのでございまして、これはこれで平衡交付金を交付するための、地方財政を均衡化するための計算である、こういうふうに別に切り離して考えていただきたいと存じます。さらに地方財政計画上の数字は、その地方財政計画の中に平衡交付金が幾ら入つて来る、その他の地方税、地方債、政府の支出金等が幾ら入つて来るということで、財政計画上の数字はきまるわけでございますので、これはまつたく別な数字でございます。
  52. 門司亮

    門司委員 よくわかつておりますが、私の聞いておりますのは、基準財政需要額から来るものと、実質的に地方でいります金との差額があるわけです。この差額はどうしてもできるでしよう。片つ方は七〇%しか算定しておりませんから、三〇%の開きが出て来るのはさまつておる。きまつておるが、実際上の支払いは一〇〇%しないわけに参りません。そこで今度の義務教育費負担の中には九百一億しか見ておりませんので、地方の実際負担するであろうと大臣が言われておりまする、その金高のほんとうに正しい数字はどのくらいあるかということであります。八大府県の分を入れて、さらに三〇%の分を入れ、一体どれだけ地方が持出しをすれば、現給現額で金を払うことができるかということです。一体どのくらいいりますか。
  53. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 地方財政計画をつくりますときに、御意見のように現実に必要な額を盛り込まなければならないわけであります。その財政計画上見ております金が千百五十四、五億であります。それに対しまして切下げの問題を考慮しなかつたらどれだけかかるか、それが千百五十六億でありまして、二億くらいの差があるわけでございます。これが現実に義務教育費の従来の経緯から見るならば使われるであろう額であります。これと国から別わくで九百一億円交付されるといたしますれば、二百五十四、五億のものが地方税なり、その他の地方団体の一般財源でまかなわれなければならない金だということになるわけであります。
  54. 門司亮

    門司委員 大体わかつて来ましたが、そうすると今度の義務教育費の面で、今の奥野君の説明の中にちよつとふに落ちないところが一つあるのでありますが、現給で支払う場合には、わずか二億くらいしか違わぬだろうと思うが、これは数字はもつと違うだろうと思います。数字は別にいたしまして、結局さつき申し上げました二百五十五億というものが、地方負担であるということだけは間違いがないわけですね。
  55. 本多市郎

    本多国務大臣 これは富裕団体平衡交付金をやらないでもバランスのとれる団体に来るのでありますから、それは地方負担であることには間違いありません。
  56. 門司亮

    門司委員 もう一つ伺つておきたいのは、大臣と当局者との答弁の食い違いですが、八つの府県でいわゆる富裕といわれております団体だけが二百五十五億であるのか、あるいは日本全体の府県としてこの数字になるのか、一体どつちがほんとうなんですか。
  57. 武岡憲一

    武岡政府委員 二百五十四億と申しますのは、東京以下八都府県だけの数字であります。
  58. 門司亮

    門司委員 これだけはわかりましたが、そのほかの八大府県を除いた府県の実給与額は、一体どのくらいになつておりますか。
  59. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 今すぐ計算しましてお答え申し上げます。
  60. 門司亮

    門司委員 それがわからなければどうしようもない。九百一億というのが、それが基礎になつて出ておる数字でしよう。今からそれを計算しなければわからないというのはおかしい。
  61. 本多市郎

    本多国務大臣 この負担金の不交付、あるいは制限を受ける団体が八つ、それ以外の道府県は、全体の規模であります一千百五十五億、これに満つるだけのものが交付されるわけであります。これを基準として交付する場合と同じ率が交付されるのです。
  62. 門司亮

    門司委員 それでは大臣答弁政府委員の答弁と全然違います。そうなつて来るとますます開きが大きくなつて、話がおちつかなくなりますが、二百五十五億の今の差額は、これだけが富裕団体経費だということになりますと、富裕団体にあらざるものの負担が一体どのくらいあるかということであります。これは九百一億では支給することができない。この九百一億は明らかにベース・アップをするときに、地方が高いということでこれを差引いた残りの九百一億だといたしますと、給与額の高かつただけの差額は一体どのくらい出て来るか、これが二十億とか三十億とか言われておりますが、実際の負担はどれくらいすればいいか、その数字だけひとつはつきりさせていただきたい。
  63. 本多市郎

    本多国務大臣 分離した数字については、事務当局から御説明申し上げますが、私が今申し上げましたのは、義務教育職員給与費国庫負担金の交付を受けないもの、制限を受けるものの金額が、一千百五十五億から差引二百五十四億円でございますから、これはそれだけ減されることがはつきりしておるわけでありまして、その他の制限、不交付等の措置を受けない府県におきましては、一千百五十五億という算定の規模によつて、交付されるということを申し上げたわけであります。制限、不交付というものが八府県で大体二百五十四億となつておりますから、こういう制限、不交付等を受けない団体は、大体その規模の計算一千百五十五億、その根拠に基いて交付される、こういう意味であります。またただいま重ねて御質問の数字については、事務当局の方から御説明申し上げます。
  64. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 五分ほどお待ちになつていただければ数字を出します。
  65. 門司亮

    門司委員 そんな数字がわからないはずがない。
  66. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 要するに八府県ごとに義務教育費の額が、どのくらいになつておるかということを計算してあるわけです。それとその団体から減額できる額を別途に計算いたしまして、その減額できる分だけが二百五十四億円になります。しかし基礎額から減額可能額を差引いておるわけですが、その資料を今探しておるわけでありまして、今すぐ御返事いたします。
  67. 横路節雄

    横路委員 奥野さんにお尋ねしたいのです。あなたは先ほど一千百五十五億は現員現給で組んだということを説明されたが、この現給は明らかに昨年あなたたち平衡交付金を算定するときに、三百四十九円高いから差引け、こういうように差引いて渡したものにより算定したのが、現給で、現在支給されている金額を現給というのではないでしよう。あなたの解釈は三百四十九円を差引いて渡している金が現給であつて、現在もらつている金を現給というのではないでしようね。その点をはつきりしてもらいたい。
  68. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 私が申し上げました千百五十六億円は、財政計画上は差引いた金額で計算をしております。それを差引き計算をしない場合には、どれだけになるだろうか。そのかわり人員といたしましては、小学校は児童数は五十人で割りまして、それに一・五をかけたというふうなかりの数字じやございませんで、現実の員数を使つておるわけであります。  従いまして地方財政計画を定めますときよりも、員数は少いのでございますが、単価は高くなつておるわけであります。  それからなお門司さんの御質問になりました八府県における金額は三百六十七億円と推定しております。
  69. 横路節雄

    横路委員 課長にもう一ぺんお尋ねしますが、私は千百五十六億円を聞いておるのではない、千百五十五億を聞いておる。千百五十五億を算定した場合における現給というものは、何を言つておるのか。この現給は明らかに去年の平衡交付金でもつて渡したが、一人当り三百四十九円高いといつて差引いたその一人々々の教員の俸給、その集計が現給でしよう。この点は明らかだと思うのですが、あなたに千百五十六億を聞いておるのではない。今回九百一億はじいた千百五十五億、たつた一億違つても大事なんだ。千百五十五億と算定した場合における現給というのは、一体何を現給と言つておるのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  70. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 私は千百五十五億につきましては、現給という言葉は用いておりません。千百五十五億について御質問がございますならば、それは高過ぎるとされました額は差引いて、そのかわり員数につきましては、一応計画上の員数を使つておるわけであります。現員は使用しておりません。
  71. 横路節雄

    横路委員 いま一ぺんお尋ねしたい。あなたは先ほど千百五十五億については説明した覚えがないと言うが、説明した覚えがなければ、ここで説明してもらいたい。千百五十五億を算定した場合における現給は何を言うのか、はつきりしてもらいたい。
  72. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 千百五十四、五億……。
  73. 横路節雄

    横路委員 五十五億だ、はつきりしたまえ。
  74. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 端数がございますので……。千百五十五億が国庫負担金の基礎になつた数字といたしますならば、これは地方財政計画上の数字であります。地方財政計画につきまして、義務教育にどれだけ金がいるだろうかということを計算した数字であります。これを平たい言葉で申しますならば、定員定額で計算した数字であります。定員定額でありますから、その定額は、高過ぎるとされました額だけは差引いたものを基礎にしております。
  75. 横路節雄

    横路委員 私は大臣お尋ねしたい。それの直接の担当の財務課長が、明らかに差引いて渡してある、差引いて計算してあると言う。ところが義務教育学校職員法案では差引いては渡さないと規定してある。七百九十四円、一人当り月八百円、年を通して一万円である。五十三万人組んであれば、これだけで五十三億である。五十三億足りない金を渡しておいて、大臣は今回の地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案改正の第一に、新制度が実施になれば、この種の経費財源地方財政平衡交付金制度をもつて保障する必要はないと言つておる。あなたの方でこの平衡交付金法で算定した八百億の中で、この七百九十四円に対する五十何億かのものについては、都道府県負担する必要はないとあなたは言つている。そうすれば当然九百一億の方に、五十億にしろ九十何億にしろそれだけは上げて渡さなければならぬ。その上げて渡すことができない理由——文部省のようにから定員を五万人組んだから、それでやつてもらいたいというのか、どういうのか、その点を明らかにしてもらいたい。財務課長は、差引いて渡したと、はつきり言つている。差引いて渡したものについて、片一方は差引いて渡してはいけないと言つておる。これはどうするんですか。総体の金額は差引いて渡してある。どうやつて払うというのか。その点を明らかにしてもらいたい。重ねて私は財務課長にも聞く。
  76. 本多市郎

    本多国務大臣 昨年度計画におきましても、また来るべき二十八年度計画におきましても、公務員に準じて計算して、高く払つておる分だけは府県の自主的負担でございます。従つてそれら自主的負担分が今度は現員現給ということで法律できまります。そうなると府県義務負担にかわるではないか、こういうふうになると思います。義務負担になりましても、自主的負担の場合と金額は現状通りでございますから、ふえないのでございまして、今度の法律に基いて府県負担にしてもらわなければならぬという意味であります。
  77. 横路節雄

    横路委員 それは私は大臣の言葉にしては非常におかしいと思う。なぜならば、今度は、今大臣お話をしたように、義務教育費については義務負担になるんだ。義務負担になるんだということは、明らかにそれに要する金は国が払うということであります。そうして今回政府が出した義務教育学校職員法案の中で、現在支給されている金額について、政府が保障すると書いてなければいい。ところが現在の俸給で切りかえて、そのままの号俸について確保すると書いてある。そうなるならば、当然その分については払わなければならぬ。この点が第一点。  それからそれと引続いて第二にお尋ねしたいのですが、この八百億を算定した平衡交付金の中には、不交付団体府県を除いた各府県についてはこの平衡交付金の中には、義務教育費は一銭も入つてないはずですが、この点は間違いないでしようか。大臣からはつきりお答えしていただきたい。八府県除いた各府県については、この平衡交付金八百億の中には義務教育関係職員に対する俸給費は入つてないと、大臣予算委員会でも答弁していますが、その点もう一ぺん確認していただきたい。
  78. 本多市郎

    本多国務大臣 平衡交付金を計算いたしまする基準財政需要額の中には入つておりません。しかし地方といたしましては、平衡交付金その他一般収入をもつて自主的負担をされるはずでございますから、これは総合的に平衡交付金その他と一緒にいたしまして、自主負担の財源であると考えております。
  79. 横路節雄

    横路委員 大臣はもう少し卒直に地方財政という建前答弁をしていただきたいと私は思うのです。そうでなければ、同じ部内における大臣ですから、それはあくまでもがんばつて無理やりこじつけるということになると思う。このこじつけでは、これはただ単にわれわれ野党ばかりでなしに、与党の方でも納得できない。この点を明らかにしてもらわなければならぬ。  ただもう一ぺん私はここで大臣にはつきりさせていただきたいことは、そうすると今回の切りかえで、三百四十九円については差引いたけれども、それは認めたということですか。その既得権については前の平衡交付金制度では三百四十九円引いたけれども、今度の義務教育国庫負担の中では三百四十九円については差引いては払つてないのですから、その点については現在もらつている教員の俸給については政府は法案の中でもうたつていますが、明らかに教員一人々々について払つているものについては、政府はその既得権について侵害しないということについて確認していただけますね。一人々々もらつておる俸給については、引下げるとかそういうことはしない、そのままの俸給で支払うということについては、政府は今度責任をもつて法案の中でうたつているんですが、その点だめ押しのようなかつこうですが、明らかにしておいていただきたい。
  80. 本多市郎

    本多国務大臣 二十八年度措置といたしましては、現員現給ということを法律にうたつてありますので、お話通りだと思つております。
  81. 横路節雄

    横路委員 今の現給ですけれども大臣は現給という言葉で逃げていますから、もう一ぺん私は聞きます。現員現給とは現在もらつている金額であるという点で、不統一ですから聞くのですが、その点現給というのは、先ほどの三百四十九円を引いてないものが現給である。私たちの方は現在現実にもらつているものが現給だというように考えておるのですが、お互いの現給についての言葉上の解釈が違うと困りますから、現給については統一した解釈にしておかないと、今度は枝葉がわかれて来ますからはつきりしておきたいのですが、現給とは現在教員のもらつておる俸給、それがそのままの俸給をもつて国家公務員に切りかえてもらつている一人々々のもの、それが現給ですね。この点間違いないですかどうか、はつきりした答弁を伺いたい。
  82. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまの切りかえの場合の措置について、そうした問題については詳しく存じておりませんが、いずれにいたしましても二十八年度は現員現給でやるということになつております。それが技術的にどういう給与規程に当てはめるのかというようなことまではよく存じておりませんけれども、これは文部省の所管でございますから、その方からよくお聞きを願いたいと存じます。しかし現員現給である以上、特に地方負担はこのために増加するということはない、さいぜんからこの意味を申し上げているわけであります。
  83. 門司亮

    門司委員 関連して伺いたいと思いますが、今の答弁ですが、これは文部大臣に聞かなければわからぬかもしれぬが、地方自治庁を担当しておる大臣としては、もう少し考えていただきたいと思います。これは当然国家公務員になりますので、今われわれの心配しているのは、そのときでありまして、国家公務員になる場合に、現員現給という言葉が国家公務員並の現給であつてはならぬということでありまして、地方公務員のときの現員現給ならこれはわかるのであります。そうすると結局財政措置として八大府県を除きました分だけでも、大体五十億ばかり金が足りない。さらに八大府県の二百五十五億を入れますと、三百五億だけ地方負担を増すことになる。この措置はそういうふうに解釈してよろしいのでございましようか。
  84. 本多市郎

    本多国務大臣 五十億の差額というものについては、今はつきり記憶いたしておりませんが、大体お話通り義務教育教職員の給与について、そこにそれだけの不足分があるということはお話通りだと存じます。それは暫定措置でなく、平年度化した場合に、国庫がそれだけを直接負担金として支出するということになりますと、富裕団体に対しましては、非常に余剰財源がふえることになりますので、これには何とかして財政の調整をしなければ、富裕団体と力の弱い団体との懸隔がはなはだしくなりますので、それも考慮して一緒に解決いたしたいと考えておるのでございまして、これにはやはり地方制度調査会等によつて御研究いただきまして、できる限り財源の偏在度を少くするということで解決いたしたいと存じております。
  85. 門司亮

    門司委員 地方制度調査会は別の問題でありますが、政府地方制度調査会の言うことを聞かぬのでございます。地方制度調査会は、義局教育費の問題については、こういうばかばかしい法律を出すなということを政府に勧告しているのであります。ところが総理大臣は、それを聞かれないで、今日これが提案されておりますので、私は本多さんの言われる地方制度調査会の議をまつてということも、これは考えなければならないことであつて、必ずしもわれわれの意見が通ろうとは考えておりません。従つてそういう前提に立つて考えて参りますと、この問題は解決しておかなければならぬ。三百五億が地方負担になるということになると、ここで自治庁長官にはつきりお聞きをいたしておきたいと思いますことは、たとえば地方財政を調整することのために、二百五十五億だけは、富裕県であるから平衡交付金の中には見ない。従つて今度の教育費の問題の中にも見ないということを一応前提とするといたしまして、三百四十九円で勘定して参りますと大体二十億余、七百九十四円で計算して参りますと大体五十億くらいのものが不足するわけであります。この不足分地方公共団体に、それだけ迷惑をかけるということに実際上の問題としてはなります。そこで地方財政平衡交付金との兼ね合いがこういうことになつて参りますと、次に出て参りますのが地方財政との関係であります。地方財政法の中には、御存じのように国の一つの施策によつて地方負担をかけてはならないということに大体はなつておる。そういたしますと、平衡交付金の方ではそれだけ差引いて渡すことができるが、地方財政法建前からいいますと、当然二百五十五億も見なければならぬことになると私は思う。これは国の一つの施策でありますから、この辺の調整は大臣としては一体どういうふうにされるのか。その辺の調整がはつきりして来ないと、この問題の解決がなかなかつかぬと思うが、この辺の調整は一体どうされるつもりでありますか。
  86. 本多市郎

    本多国務大臣 国の地方に対する財源措置といたしましては、基準財政需要額基準財政収入額との差額を、平衡交付金で補填するという、この平衡交付金も重要なものでございますが、地方団体にそれぞれ税法におきまして財源を与えるということ、その他雑収入等に至るまですべてこれは財源措置でございまして、東京都、大阪府のごとき平衡交付金の行かない団体に対しても、財源措置はいたしておるわけでございます。従つてただいまお話のありましたような問題は、そうした財源措置平衡交付金と両方から財源措置を講じて行かなければならないと考えております。
  87. 門司亮

    門司委員 私はその点ではかなり大きな疑問があるのでありますが、国の施策においてやりまする場合に、たとえば例の保健所を持たなければならぬということは、国の施策で行われております。厚生省といたしましては、保健所に対しましてはやはりそれに補助金なり何なりを必ず出しております。これを私は一つの財政負担考えておる。今の大臣の御答弁から考えて参りますると、富裕県にはそういうものはやらなくてもいいのだということになるように、私は解釈できるのであります。しかし国全体の財政措置の上からいいますると、必ずしも私はそういうことは行われていないと思う。それで聞いておるのでありますが、大臣の御答弁のように解釈をいたしますと、地方財政平衡交付金地方財政法との関連は、もう一度これは修正しないと、私どもはそういう疑義が出て来ると思うのですが、地方財政法の中には、地方財政平衡交付金を受けない団体にあつては、国は保障しなくてもいいというふうに解釈してさしつかえございませんか
  88. 本多市郎

    本多国務大臣 国が新たなる財政負担地方に課しました分には、これに必要なる財政措置を講じなければならない。これが地方財政法の根本趣旨であると考えております。その必要なる財政措置とは、必ずしもその新たなる負担になりました金額を、そのまま金額で渡すという意味ではないのでございまして、地方財政全般に税収入その他を含めて措置が講じてあれば、これで地方財政法の趣旨にかなうものであると考えております。
  89. 門司亮

    門司委員 そうなつて参りますと、この地方財政法というものは、非常に怪しいものになつて参りまして、国の責任というものがだんだんなくなつて来る。国がどんな施策を講じても、地方のめんどうを見なくてもいいという結論になると私は思うのです。こういう地方財政法改正法案がここに出ておりますが、こういう地方財政法改正法案をここでいくらやつて参りましても、大臣の御答弁のようなことで、国がどういうことをやつても、地方に財源があるところには、財源の負担をしなくてもいいということになつて参りますると、地方財政は非常に大きく圧迫されて参ります。私はこの点を憂うるのであります。かりに八大府県にいたしましてもお前のところには財源があるから、教育費国庫負担はやらないという一つの見方は、それだけ地方財政を圧迫しておることであります。国の施策のもとに国が行う仕事と、地方の行う仕事とは必ずしも相一致していないと私は考える。地方自治団体地方自治団体で、おのおの自分のやるべき仕事はたくさん持つておるので、財源はあるからお前のところには国がどんな施策を講じても、それを保障しなくてもいいということになつて参りますと、地方財政をそれだけ圧迫すると思う。これは明らかに地方財政法の間違つたものの考え方ではないかと考えるのでありますが、大臣がもしそういうお考えであるとするならば、地方財政としては一応考え直さなければならない。従つて大臣に聞いておきたいと思いますことは、そういう御見解なら一体税制改正はいつごろほんとうにおやりなさるのか。国がいかなる施策を行つても、その施策に応じて立つだけの財源を地方に与えるには、やはり税制改正をやらなければなりませんが、国と地方の税制改正はいつごろおやりになるのか。議題が一括されておりますので、税制改正もあわせてこの際意見を承つておきたいと思います。
  90. 本多市郎

    本多国務大臣 地方財政法の解釈についての御意見でございましたが、私はさいざん申し上げたような解釈をして行くことが理論的にも正しいと考えておるのでございます。これまた法律の精神だと思つております。もしそうでなく、新たな負担を命じた場合には、それだけの金額は必ずいかなる団体にも公平に政府が支出しなければならぬということになりましたならば、平衡交付金制度の精神はだんだんだんずれて行くことになると考えられます。たとえば現在の行政をやるだけの財源、収入があるところ、あるいは余つているところにも、たとえば今度の義務教育学校職員法の負担金の交付が定員定額できちんとあるということになりますと、それだけ地方団体間の財源の不均衡をはなはだしくするばかりでなく、国家の負担というものも非常な大きなものになつて行くわけでありますから、これはやはり必要なる財源措置ということで行く。その必要なる財源措置平衡交付金を含む全部の収入の計画でやる、その計画が整つていなければいけないというふうに解釈いたして行くべきものであると考えております。  さらにまた地方税制の改正はいつごろやるかという御質問でございますが、これはただいま申し上げました通り、国と地方、また地方団体間におきまして、できるだけ財源の不均衡を是正するという方向へ改正いたしたいという方針をもつて地方制度調査会に御諮問申し上げておるのでございますが、地方制度調査会で結論を出していただきたいと期待いたしておりますのは、来るべき通常国会に間に合うようにしていただきたいということを趣旨としてお願いいたしておりますので、間に合うように御答申がいただけることと存じますが、その御答申を待つて政府方針を決定いたしたい考えでございますから、来るべき通常国会にお諮りする順序になることと考えております。
  91. 門司亮

    門司委員 私は今の大臣答弁の中に一つの矛盾があると思います。それはこの国会で昨年の暮れに地方財政平衡交付金法の一部を改正いたしております。そしてその法案の内容大臣の御承知のように、地方財政規模の中でアンバランスを加減して行くという形になつております。いわゆる八大都府県のような大きなところに対しましては——赤字のパーセンテージに応じて地方財政平衡交付金をわけて行くという法律の趣旨だと私は考えるが、平衡交付金をもらつていない東京都、大阪等に対しては、全然手がつけられないということになつておる。もし大臣が今のようなお考えといたしまするならば、この地方財政平衡交付金に対しては、何らかのはつきりした処置をおとりにならないと、大臣答弁自身にそういう矛盾が出て来はしないかと思います。今度の問題は、八大都府県だけには平衡交付金をやらなくてもいいからという御答弁でありますが、さきの法律改正のときには、パーセンテージの少いところは平衡交付金の割合を少くして、多いところにたくさん持つて行くということでやられている。そのときに、二つ府県でありますか、四つの府県でありましたか、当時は平衡交付金の割合が非常に少くなるところができて来ておる。市においてもそういう市ができたと思いますが、その反面にその当時の法律では、御存じのように、東京、大阪のような平衡交付金を全然もらつていないところには手がつけられないはずである。今度の法律ではまたさらにそのわくを広げて行つて、八大都府県にやる必要がないのだということになつて参りますと、それだけだんだん地方財政というものが圧迫されて行つて、将来国がいかなる施策を行つても、地方財政の中でゆとりのあるところといいまするか、多少でも平衡交付金を少くもらうところは、自主財源でそれをやつて行けということになる。従つてさつきから申し上げておりますような地方財政法の趣旨については、私は大臣とは考え方が違うのでありまして、全然別の角度が出て来る。地方財政平衡交付金というものは、御存じのように、地方に十分の力がある場合においては、国が定めた基準財政需要額基準財政収入額とのアンバランスのない、赤字のないところには、あるいはやらなくてもいいかもしれない。しかしながら、それは地方財政わくのうちでありまして、私は国家財政とは全然別に考えなければならないと思う。国が財政措置を講じなければならぬような施策を講じておいて、それが地方財政でまかなえるからといつて、お前の方はそれでまかなえということは、地方財政法建前から言えば、私は大臣の言うことをそのまま聞くわけには参りません。従つてもう一応御答弁を願いたいのは、大臣はどこまでも、現在の税法の限りにおいて地方財政に余裕のあるところには、国がいかなる施策を講じても、財政的な援助もしない、めんどうも見ないという方針であるかどうか。この機会にはつきりしておいていただきたいと思います。
  92. 本多市郎

    本多国務大臣 現在の制度といたしましては、平衡交付金の算定の基礎であります基準財政需要額と収入額との計算において余剰財源があります限り、やむを得ないと存じております。ただしかしお話の御趣旨であります、たとい余剰財源のある団体にしても、そういう団体ほど、たとえば都市等の施設の復興のために種々の経費がよけいにかかるのでございますから、そうした点につきましては何か特別の考慮が必要ではあるまいかということは、私も感じておるところでありますので、こうした点につきましても、財政調整の点におきまして実情に即するように行つていただきたいと考えております。これは来るべき財政調整の問題であると存じますので、御意見を十分伺つておきたいと思います。
  93. 横路節雄

    横路委員 先ほど大臣は私の質問に対して、俸給の切りかえておれの知つたことではない、それは文部大臣がやるのだと言いますから、大臣承知だと思いますが、義務教育学校職員法案の附則の第二項に「この法律施行の際」とちやんと書いて、「にある者は、現に属する職務の級及び受けている号俸に相当する職務の級及び号俸をもつて国家公務員に任用され、引き続いて現にある職に相当する官職につくものとする。」こうなつておる。これを大臣が御存じないということになると——これはどうも苦しくなつて、そういう答弁をなさつたのかもしれませんが、附則の第二項にははつきりいたしておるわけです。  そこで私は財政課長お尋ねしたい。先ほどあなたにお聞きしたのでありますが、こういうように承知してよろしゆうございますか。千百五十五億と算定した基礎数字のうち、共済組合費の三十一億を引いた千百二十四億については、定員定額で組んだわけですね。そうしてその千百五十五億のうちから、東京、大阪、京都、兵庫、愛知、福岡、神奈川、静岡というように引いて行くわけですが、定員定額で組んだのかどうか。先ほど私どもは現給問題でやりあつたのですが、あなたは大分私の言い分に納得しない点もありましたので、今回の九百一億をはじいた基礎は、現員現給なのか、定員定額なのか、その点もう一ぺん聞いておきます。
  94. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 従来から地方財政計画の算定に用いておりました定員定額方式であります。
  95. 横路節雄

    横路委員 そこでわかりました。そうすると、今日身分が国立学校の職員になるわけですから、定額というのは、当然国立学校の教職員の俸給をもつてつたわけですね。
  96. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 国立学校の定額といいましても、要するに学歴とか勤続年数ということによつてつて参りますので、地方公務員について国家公務員に準じて計算したならば、どのような金額になるであろうかというあるべき金額であります。
  97. 横路節雄

    横路委員 あなたにもう一つ重ねて伺いますが、今あなたのおつしやる通り地方公務員国家公務員に準じてやつた場合に、その学歴、勤続年数等によつて、あるべき俸給は一体何かというのが定額ですね。その通りです。ところがあなたはこの法律をごらんになつていないかもしれないが、この法案の附則の第二項に、「この法律施行の際、現に市町村及び市町村の組合の設置する小学校及び中学校並びに都道府県市町村及び市町村の組合の設置する盲学校及びろう学校の校長、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師、寮母及び政令で定める事務に従事する事務職員の職にある者は、」云々とあつて、現在地方公務員が受けておるのは去年の十一月に三百四十九円高い。今は七百九十四円高い。その七百九十四円高いものをもつて、国立学校の教職員に切りかえると、この法律にうたつてある。そこで七百九十四円を定額につける。地方公務員の学歴、勤続年数で、国家公務員にしたらどうかという仮定方法で定めたのが、あなたの言う定額なんです。そうすると、九百一億は明らかにあなたの言うように七百九十四円足りなくてはじいてある。これは間違いないのですね。この点をはつきりしてもらいたい。
  98. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 お話のように、現在府県別の定員というのは、国では定めていないわけであります。ただ全国を通じまして、義務教育給与費がどのくらいになるだろうかというような推計の仕方、これは現実の実績をとるのも一つの方法でありましようし、今まで地方財政計画でやつてつた形式をとるのも一つの方法だろうと思います。従いまして、今後現実に各府県別の定員を、財政計画を策定いたしました際に用いました方式で算定するのなら、そこに問題が起るだろうと思うのでありますけれども、別に定員というものは府県にまかされて参つたわけであります。従つて全国でどのくらい金がかかるであろうかというような計算の仕方を別途にはじいておるわけであります。それが全国を通じての定員定額方式であります。よく御承知のように、府県におきましては小学校が仮定学級におきまして、一・五を要するところもあるし、一・三くらいでも大きいところがあるだろうと思います。個々の人間につきまして、平均給与が幾らでなければならない、また府県全体を通じて定員が幾らでなければならぬというようなことは、地方財政計画を策定いたします場合においても、従来でも考えて来なかつたところであります。従いまして、総体を通じましたら、少いとか多いとかいう問題と、現実の員数につきまして、引下げて計算しておるけれども、切りかえにあたつては横すべりすべきかという問題とは、必ずしも同一に論ずべきではない。総体としての財源が保障されなければならぬという考え方であります。
  99. 横路節雄

    横路委員 私はあなたにもう一つお尋ねをしなければならぬ。私は定額を聞いたので、定員はこの次に聞きます。あなたの言う定額というのは、地方公務員国家公務員に切かえた場合に、その地方公務員のたとえば学芸大学五年出た者は何ぼか、これでちやんと参照してやつたものが、あなたの方ではじいた定額であると思うが、その点重ねてもう一ぺん聞いておきます。
  100. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 その通であります。
  101. 横路節雄

    横路委員 そこで私はあなたにお聞きしたいわけですが、この法案の附則の第二項に、そういう算定の方式を守らない、今回はどういうようにやるかというと、現在もらつておるものを、そのまま切りかえる。学芸大学五年出た者であつても、国立の八年になるかもしれぬ。そういう切りかえをした。その定額は基礎がぐらついておるのではないかと私は言いたいのだが、あなたはそれを先ほどから定員でカバーすると言つておる。定額は低いけれども、定員はうんと多くやつておるから、それで間に合うのだと言つておるが、それは間違いございませんか。私はしきりにそれを聞いておる。私の方は、あなたの言う定額と実際に切りかえた額は違うから足りないだろうというのですが、あなたはそれを認めながら、定員でうまくやつておるということは、定員がうんとあるから、その余分にある頭だけ削つて、それをみんなに配付してやればやれるというのですが、その点あなたはそういうようにお考えになつておるか、それをはつきりしていただきたい。
  102. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 私は府県別の金額を申し上げるのじやございませんで、全国を通じた計算方式によりました場合、財政計画をつくるときに計算いたします定員定額、実際必要なのは現員現給であります。その両者を比較いたしますと、定員と現員との間では定員の方が大きい。定額と現給との間では現給の方が大きいということを申し上げておるのであります。
  103. 横路節雄

    横路委員 私はもう一ぺんあなたに聞きたい。あなたはもつと端的に言つてもらいたい。定額と現給とはこんなに違いがある。定額は低くて現給は高い。その埋め合せを、現員はこれだけだから定員はこんなに高くやつて、これだけよけいにみんなに金をくれてやるから、うまく行くんだと説明しておるが、それでさしつかえないかどうか、その点はつきりしてもらいたい。
  104. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 先ほど来申し上げておりますように、府県別にきめた定員というものはないのであります。ただ国全体の財源を計算いたします一つの方式といたしまして、全国を通じて、小学校でありましたならば児童数を五十人で割つて一・五倍しておるだけであります。そういう意味で、定員とおつしやるならば、その員数は現実の教員数を合計したものよりは若干多い、こういうふうに申し上げるのであります。
  105. 横路節雄

    横路委員 あなたは政府の方できめた定員が現員よりも多いという説明をしておる。それでは何ぼ多いか具体的に言つてもらいたい。  それからもう一つ、あなたの方ではじいた定員というものは、これに間違いがないと思うんだが、小学校の児童数については、一学級当り五十人の児童数で割つたものに対して一・五をかけて、そしてそれに欠格教員を一・〇一三三をかけ、中学校の生徒に関しては、五十人の児童数で除したものに対して定員一・八をかけて一・〇一三三をかける。そこで私はあなたにお聞きしておくけれども、たとえば北海道あたりにおいては、五十人で割つたのでは学校は成り立たない。一学級複式で二十三人とか二十八人のところがあつて、当然四十二人とか四十人で割らなければ、この平均数値が出て来ない。あなたの言う定員が現員よりも何万人も多いという数字は絶対出て来ない。その点ひとつはつきり出してもらいたい。
  106. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 財政計画に用いております小学校の教員数は三十三万六千六百五十八人であります。私の聞いております小学校の実員は三十二万二十人であります。中学校では財政計画に用いております数字が十八万二千六十三人であります。実員は十七万五千二百八十八人であります。それから義務制の盲聾学校が三千六百二十三人に対して実員が三千八百二人であります。
  107. 横路節雄

    横路委員 合計で何人多いことになるか。
  108. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 今計算して……。
  109. 門司亮

    門司委員 私は問題をはつきりするために、計算していただくことはいいのですが、こういうふうに計算していただきたい。今自治庁の奥野君が言つた定員が何名で、これに国家公務員として給料を払えば幾らになるか、現在横路君が言つておるように、各都道府県にほんとうの教員は何人いるのか、これが地方公務員の給料として現在七百九十四円高いと言われておりますが、現給をかけたものが一体どれくらいになるのか、この数字を両方はつきり出していただきたい。そうすれば食い違いがどれだけあるかがはつきりするのです。各都道府県全部の数がわかりますか。これはわかるはずですが。
  110. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは数字が出るまで休憩いたします。     午後三時五十一分休憩      ————◇—————     午後四時六分開議
  111. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは再開いたします。  地方税法の一部を改正する法律案地方財政法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。横路君。
  112. 横路節雄

    横路委員 ただいままで私からお話をいたしました、千百五十五億、そのうち九百一億を算定いたしました義務教育学校職員に対するいわゆる基礎的な数字、できますならば、各都道府県ごとにこの基礎的な数字を出していただきたい。なおこの点につきましては、昭和二十七年度におきましては、すでに私は地方財政平衡交付金で、それぞれ各都道府県について、もう年度末に来ておりますから、算定が完了していると思いますので、そういう点などもあわせて、自治庁においては正確な資料を出していただきたい。この点につきましては、今すぐここで出せと言いましても、なかなか困難な点もございましようから、できますならば、御苦労でもひとつ明日地方行政委員会の開会頭にこの資料を出していただきまして、それをもとにしてこの点についての質問を続行いたしたいと思います。その点よろしゆうございますか。
  113. 本多市郎

    本多国務大臣 御承知教職員給与事務の一千百五十五億を各府県別に推計して出すことは、これは急いでできると存じます。しかし二十七年度なり二十八年度、ことに一千百五十五億と対照するものは、二十八年度でございますから、二十八年度に現実に幾ら府県は支出しなければならないかという金額は、二十七年度の決算もできていないことでございますから、どうしても推計でやる以外には、急速にはむずかしいのではないかと存ぜられますが、その一千百五十五億と現実に都道府県に出さなければならない金額との差額というものをお示しすることにできるだけ努力したいと思います。
  114. 横路節雄

    横路委員 私は本多国務大臣お尋ねしたいのですが、先ほど門司委員からもお話がございましたが、どうも私大臣説明で納得できません点は、地方財政法の第十三条に、新たな事務に伴う財源措置として、大臣も御承知のように、一国の機関が法律又は政令に基いてあらたな事務を行う義務を負う場合においては、国は、そのために要する財源について必要な措置を講じなければならない。」こういうことになつておるわけであります。ただ私のお尋ねしたいのは、地方財政法にはこうなつておる、しかしどうもあたふたのうちにこの法案をつくつたものだから、やむを得ぬので、二十八年度に限り都道府県負担としたのだ、やはり法の建前からいつて、今回の義務教育関係は、国庫負担というのだから、本来からすれば、当然これは「国の機関が法律又は政令に基いてあらたな事務を行う義務を負う場合」であるのだか。当然財源措置をしなければならぬ。そこで自治庁の方で明日までにはじいてもらう、五十億になるか八十億になるかわからない金額について、地方財政法第十三条の建前で、当然国が負担すべきだけれども、どうもできないので、しかたがないから経過措置として、二十八年度に限り都道府県としたのだ、こういうのか、それとも第十三条の建前からいつて新たなる事務を行う義務負担であるから、国があすかあさつてはじいて来た五十億か八十億の金が足りない場合においては国が見るのか。地方財政法ではそうきまつておるけれども、こんな法律はかまわないというのか、その点ひとつ大臣からお聞かせ願いたい。
  115. 本多市郎

    本多国務大臣 その点につきましてはさいぜんからお答えいたしております通り、交付を受くる団体はその平衡交付金も含めて一般財源で現状通り負担をできる財政措置が講じて、ありますので、内容が新たな義務負担と言われますけれども、自主的負担義務負担にかわつただけでありまして、特に増額がないのでございますから、措置はすでに伴つていると存じます。
  116. 横路節雄

    横路委員 私はことに今の点でお尋ねしておきたいのは、今までは別として二十八年度以降においては、義務負担であるという点については確認していただけると思うのでありますが、ただいま大臣の方からも当然それは国の義務的な負担であるとおつしやいましたが、そういうようにはつきり解釈していいかどうか。その点をお尋ねいたします。
  117. 本多市郎

    本多国務大臣 二十八年度に限り府県負担とすることになりまして、府県義務的な負担になつておるのでございます。その後は国が直接負担するのでございますから、またかわつて来ると存じます。
  118. 横路節雄

    横路委員 私が今お尋ねしておりますのは、府県が国の機関または法律に基いてやる義務的な負担である、私も今そういうように言つたわけです。府県が国の機関、法律または政令に基いてやる義務的な負担である、そういうように考えていいかどうかということです。
  119. 本多市郎

    本多国務大臣 二十八年度義務負担でございます。
  120. 横路節雄

    横路委員 私は引続いて地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたしたいと思います。出されました法律の土木費のところですが、この中の港湾費が今まで昭和二十七年度平衡交付金単位費用の場合と非常に違いますことは、提案説明の中にありますように、港湾における船舶の出入トン数一トンについて前は六円二十銭になつていたものが、今度から港湾における繋船岸の延長一メートルにつき千二百五十四円、港湾における防波堤の延長一メートルにつき二千二百五十円と改められている。私はこの点はまことにそうだと思う。この点は自治庁においても、前の案よりは非常に地方の実際の様子を考えられた案だと思うのですが、そうなれば、私は二十七年度補正予算をめぐる昭和二十七年度分の地方財政平衡交付金単位費用の特例に関する法律の中で申し上げたのですが、たとえば都道府県の場合における厚生労働費にいたしましても、それから市町村における警察消防費にいたしましても、これはどうも人口一人当りについて幾ら幾らときめてあるのはおかしい。これはそれぞれ市町村の村落の大きさによりまして違うのでございますから、当然この点は人口一人当りについて幾らと、この単位費用をきめると同時に、面積一平方キロメートル当りについて幾らと、こういうふうに法律の中で明らかにきめてもらわなければ困る。部長は去年は、二十八年度以降につきましてはひとつ法律の中で明確にいたしますというとてもいい返事をなさつたわけであります。私は今度これを見ましてなるほど港灣費については今まで、入つて来た船舶の一トン当り幾らというのを、そうでなしに、この港灣における防波堤の延長とか——そういう港灣の大きさはやはり面積に関連しておる。今までは出入したトン数であり、警察消防費は人口であります。それが出入のトン数だつたものが今度は防波堤の長さ、港灣における繋船岸の延長となつたのですから、そういう建前から行くならば、前の二十七年度平衡交付金単位費用をやる場合に、当然警察消防費あるいは社会福祉費その他については面積についても規定しなければならぬし、前にはそういうふうに言つておるのです。それを除いたわけはどういのですか。それはひとつ重ねてお聞きしておきます。どうも自治体警察などは今度は廃止してしまうのだから、面積幾らでやるのはめんどくさいからというので削つたのか。二十七年の十二月に討論したときの答弁と大分違うので、私はそれを見たときにおかしいことをやると思つたのですが、この点を明らかにしていただきたい。
  121. 武岡憲一

    武岡政府委員 消防費あるいは警察費の財政需要を測定いたしまする測定単位として、人口のほかに面積あるいはその他の測定単位をとるべきではないか、こういう御意見があつたわけであります。私その際にお答え申し上げましたのは、財政需要額は測定単位の数値とその単位費用だけで出て来るものではありませんから、その行政項目の性質によりまして、またとつておりまする測定単位の性質によりまして、たとえば人口で測定するものにつきましても、人口一人当りの実際の需要額というものが、比較的かかり増しになるものと、反対にかかり減と申しますか、安上りにできるものとこういうものがあるのでありまして、その関係は御承知のように補正係数で調整いたすようにしておるのでございます。従いまして御指摘の警察費あるいは消防費等につきましても、ことに消防は従来と昨年とでは測定単位をかえたわけでありますが、これらのものについては測定単位は人口にしておいても、面積その他の関係でもつてかかり増し、かかり減になる関係は補正係数を適当に定めることによつて、適切に財政需要を測定することができるのではないかということを申し上げたのであります。さらにその当時といたしましては、できますれば二十八、九年度、両年度あたりから補正係数あるいはまた測定単位数値の算定方法等につきましても、法律をもつてこれを規定するようにいたしたいということで、準備を進めて参つたのでありますが、いろいろの事情で二十八年度についてこれを実施するところまで、まだ準備が整つておりませんし、ことに明年度におきましては義務教育に関する財政需要等において相当変化がございますので、法律は二十九年度からこれを法定することになつております建前から、明年度まではまだもう少し延期してみたらよいのではないかということから、法律化することについては今度は提案いたさなかつたわけでございます。むしろ問題の主眼点といたしましては、警察費なりあるいは消防費等についての財政需要額の測定をただ人口という単位だけではたして適当であるのか、測定あるいはそのほかに何らかの新しい測定単位を設ける必要があるのかということであろうと思いますが、その点については先ほど申し上げましたように、測定単位はこのままにいたしておきまして、補正係数を調整することによつて適切な需要額の測定ができると考えておりますので、今回は提案いたさなかつたのであります。
  122. 横路節雄

    横路委員 補正係数で見るというのはこれはいつもおやりになつておるのではありませんか。二十七年度単位費用についてやつた場合に、これはあなたの方では、二十八年度からは面積について幾らということについて明らかに規定したい、しかし今日でもなお面積等については補正係数でいろいろ見ておるのだ、こういうお話があつたのですが、その点は私の聞違いじやないと思います。なお今のお話で、いろいろの事情で二十八年度はできなかつた、二十九年度からやるというのであるけれども、何がいろいろの事情か、ちよとその辺のことをお聞かせ願いたい。
  123. 武岡憲一

    武岡政府委員 先ほど申し上げましたように、私は測定単位として明年度から面積その他を入れるというふうに申し上げたのではないのであります。そういうような関係は補正係数の中で調整ができるのではないか、むしろ測定単位としては平衡交付金制度全体の問題になりましようが、なるべく簡素化すると申しますか、非常に複雑にならないように、測定単位はできれば少い単位でもつて計算して行くやり方の方が、より適当であろうと思います。今の面積等の関係につきましては、私申し上げたのは、補正係数の関係で申し上げ、かつ二十七年度までは総理府令をもつて規定することになつてつたのでありますが、こういうものも将来これを法定化する予定である。ことに先ほど申し上げたのとダブりますけれども、二十八年度からは法定化する予定でございましたけれども、今回は間に合いませんので、また先ほど申し上げましたように明年度における交付金制度の運用から申しましても、義務教育費というような非常に大きなものが負担金制度になるというような前提からいたしましても、この際こういつたことをいきなり法定化するのはむしろ適当でない。もう少し研究の余地があるだろう。こういう事情で今回は控えたのであります。
  124. 横路節雄

    横路委員 今のお話ですが、私はこういうように前にあなたに質問したはずです。それはたとえば教育費の場合、児童数一人について幾ら、学級数一学級について幾ら、学校数一校について幾らこうなつておる。これがもしもあなたの方で人口割一本建ならば、児童数一人について幾らでいいわけです。ところが実際に一学級について幾ら、一校について幾らと規定したことは、これはある学校は五十人一学級である。しかし、ある学校の一学級は、山奥に行けば十七人で一学級編成しておる。一学級編成している以上は当然そこに要するところの経費は同じなんです。まさか十七人だから一学級の中で使うところの経費が少くなるというわけのものではない。やはりどうしても必要なのです。だからそういう意味で教育費については児童数のほかに学級数、しかもあなたはその学級数は理論学級でなくして実学級だと言つておる。この考え方は明らかに人口並びに面積というものを考えているのではないか。だから警察、消防についてもやはりこれは面積というものについても考えてもらわなければ困る、こういう話をしたときに、実際には、補正係数の中でそれを見てやつている。できれば二十八年度からやりたい。こういう話で、私は、そういうふうに聞いておつた従つて当然二十八年度平衡交付金都道府県市町村にわけるときには、補正係数の中で面積を見ているのではないでしようか、ある程度考慮なさつているのではないでしようか、この点をはつきりしていただきたい。
  125. 武岡憲一

    武岡政府委員 補正係数の関係につきましては御指摘の通り、従来その通りつておるわけであります。そういう警察費あるいは消防費なりについての需要額の算定について、新しい測定単位を設ける必要があるかないかということについては、御意見もあるわけでございますが、これは行政項目の種類と申しましようか、その性質あるいはまたそれによつて測定される需要額全体の行政費に対するウエート、そういうような関係でもつて今のところ警察、消防については、人口をもつて測定単位としても、実際に必要な額の調整等が各団体について起つて来る需要額のニユアンスと申しましようか、これは補正係数を適当に考えて行くことによつて出すことができる、こういうように考えておるわけであります。教育費については今お話もございましたけれども、これは全体の行政費の中で占めますウエートも非常に高うございますので、できるだけ実際に即して内容等におきましても、児童数によつて測定する需要額と、それから学級数あるいは学校数によつて測定する需要額というものは、それぞれ対象が違うわけでありまして、正確を期する意味でもつて従来はこういう三通りの単位を用いておつたわけでありまするが、警察費、消防費についてはむしろ人口一本で行つて、それを補正係数等によつて調整した方がより適当ではないか。昨年交付金法の改正をいたしました際にも、交付金制度の当初におきましては、御承知通り、たとえば厚生労働費、社会福祉費あるいは衛生費等におきましては人口のほか保健所数でありますとか、児童保護収容施設の数でありますとか、生活保護者の数でありますとかいうような非常に複雑な測定単位をもちまして測定いたして参つたのでございまするが、だんだん制度全体も軌道に乗つて参りまして、それらの単位も簡単なもので測定をいたしましても、大体適切な測定ができるというように考えられまして、それらのものをむしろ整理して、なるべく簡素化しよう、こういう方向に動いておるわけでありますので、昨年のお尋ねの際にもそういうつもりでお答え申し上げたのであります。
  126. 横路節雄

    横路委員 今の説明によると、教育費については非常に実態に即しておやりいただいておる。ですから教育費について実態に即しておやりになつておるような気持で、警察、消防の方も実態に即しておやりになつたらどうか。これはこの前もあなたに御質問したのですが、同じ人口が一万といつても、密集して形成しておる村落と、面積が五倍にも六倍にも、極端にいえば十倍にも二十倍にもなつておる村落とは違う。実態に即するということになるならば、この町の人口に稀薄であるから、向うの家くらいは焼けてもかまわないとはまさかお考えになつてはおられないでしよう。あなたは複雑で困ると言われるけれども教育費については実態に即して児童数、学級数、学校数というようにおやりになつておる以上は、警察、消防についても当然人口と面積は併用してやるべきではないか。どうもその点は警察消防の方はちよつと不親切ではないかと思うのであります。もつとも自治警はもう廃止するのだからというのならまた別です。その点どうも了解ができないので、もう一度お伺いいたしたい。
  127. 本多市郎

    本多国務大臣 測定単位の問題につきましては、法定するまでになお研究を続けなければならないと考えております。たとえば消防費、警察費につきまして、面積と人口との関係が、広い面積に建物が非常に分散しておる場合には、警察にしても消防にいたしましても火事や警察事故がかえつて減少するという場合も考えられます。警察治安の問題にいたしましても、人口の密集するところによけい事件が起り、消防にいたしましても密集地にかえつて人口の割合以上に火災が起るというような関係もありまして、そういうところを考えまして、まずこれは大体人口でいいのではあるまいか。しかし特別の場合には補正係数で調節をはかつて行く。たとえば密集部落が広い地域に分散しておるという場合には、消防自動車の機動力を発揮するということもあるでありましようから、そういうものはまた補正係数等で考慮して行かなければならぬということで、一応かようにいたしたわけであります。
  128. 横路節雄

    横路委員 今の大臣のお言葉ですが、消防などの場合には、面積が十倍にもなつておれば、一台の消防自動車で走つて行く間に焼けてしまうこともあり得る。密集しておる場合には類焼するというおそれもあるでしようが、すぐに見つけて早く消せるということもある。面積が十倍になつておれば、たつた一台の消防自動車で走つておる間に焼けてしまうということもあり得るので、これはひとつ大臣御考慮をしていただきたい。  次に、ここには警察消防費のうち警察費、人口一人について二百九十九円十二銭となつておる。これは二十七年度の場合には、警察費、人口一人について二百六十三円七十二銭となつておる。この点は、警察官一人当り大体どれくらいに見積ることになるのか、それから今日国家地方警察の警察官一人当り国費でどれくらいになつておるものか、その点も当然この警察費二百九十九円十二銭を、人口一人について算定した場合に、国家地方警察の警察官に対する国家の費用と合せてお考えになつていらつしやると思いますので、その点の説明を詳細に承りたいと思います。
  129. 本多市郎

    本多国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
  130. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 大ざつぱな計算でありますが、二十六、七万円になつております。正確には人口十万の団体で二千九百九十万円余りかかると考えておりますが、その団体について警察吏員が百四十人というふうに想定いたしております。国警の分につきましては、なかなか計算がむずかしくて、これに対応するものだけを拾い上げるのは困難なわけです。ただ現実に出た数字だけをとればわかるのですが、それはこの次の機会に申し上げさせていただきたいと思います。ただ国警には鑑識とか通信とか特殊な経費がいろいろありますので、単純には比較できないと思いますが、この次に申し上げます。
  131. 横路節雄

    横路委員 今の点につきましては、昨年の十一月末から十二月にかけまして、自治体警察の国警転移に関する特例法案の審議の際、ここに犬養法務大臣その他国警関係の人々に来てもらつて説明を聞いたわけです。そのときの説明ははつきりしているのです。二十七年度において、今あなたの言う通信とか鑑識というものを除いた場合における自治警約二十二万二千円に対応する国家警察一人当りの金は二十四万五千円と見るのが至当であろうと思います。こういう答弁をしておるわけです。あなたの方で人口一人当りについて二百九十九円十二銭を算定した場合に、国警の方は幾らになつておるのかということを全然知らないで、もしも算定したとするならば、いよいよ警察法案が通つて、十月一日からいわゆる自治体警察都道府県にかわつた場合に、一体市町村に何ぼ払えというのか。そういうことがおわかりにならないで一人当り二百九十九円十二銭という算定をしたということは、非常にずさんだと思う。当然あなたは、国家警察費一人当りが幾らであるかということを承知の上で算定したと思う。その点を御存じなくてこの算定をしたということは私どもには了解できないが、全然知らなければしかたがない、国警の人に来てもらうよりしかたがない。自治庁の方で、今一番問題になつておる警察法案が通つて十月一日から自治体警察都道府県に移るという場合に、しかも二十八年度に限つて市町村に払えというときに、何ぼ国警の方でやつておるかわからぬ。今あなたの方では国警は一人当り二十六万と言つておるが、三十五万くらいやつておるかもしれない、あるいは四十万、五十万やつておるかもしれない。それを、何ぼやろうとおれたちの知つたことではないという算定の仕方はないと思うのです。
  132. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 私はこの次に答えさせていただきたいと申し上げただけであります。比較します場合に、単純な比較はできないと申しておるのでありまして、犬養大臣も申されたそうでありますが、そこを振り合いをしなければなりませんので、そういう振り合いをしてみたいと思つております。自治庁で必要な経費を計算いたします場合には、たとえば警視では幾らぐらいになるか、巡査部長では幾らぐらいになるかというように、百四十人のうちそれぞれ階級別に員数を見なければなりませんので、それらに関しては国警の単価ともちろんにらみ合せまして想定いたして参つておるわけであります。
  133. 横路節雄

    横路委員 私はあなたにそういうふうに言われることは心外にたえない。二百九十九円を算定した場合にはよりどころがあつただろうというのです。国警の方で自治体警察に対応できる費用は一体何ぼなのか、そういうことを知らないで、ただ総体の八百億の中ではじいたとすれば——これは警察法を審議する過程で私たちは当然ただしますけれども自治庁として、国警との費用の比較を全然しないで、ただこの八百億の総額のわくの中でやつたということであれば、それでもよい。しかし私は、おそらく大臣自治庁が知らないでこまかい数字をはじいたとは思わぬので、その点を聞いている。私は当該責任者としてちよつとふに落ちません。しかしどうしても答弁ができないというのであれば、また課長が言うように、次にしてくれというのであれば次にやりますが、概算くらいはここで答えられないものかと思うのです。
  134. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 御承知のように、単位費用昭和二十五年来算定いたして参つております。単位費用の算定にあたりましては、この前のときにも資料として出しましたが、標準的な団体におきまして、警察吏員がどれくらい、どんな階級で必要であるか、また警察署は何署くらい置いているか、消耗費がどれだけかかるか、印刷費がどれくらいかかるかという計算をそれぞれにつきましていたして参りまして、それらの単価につきましては、大体国警に準じた計算の仕方をして来ております。給与改訂等がございましたので、従来の標準団体の施設に要しまする経費を給与改訂等に応じ横すべりさして計算し直すというようなやり方をしておりますが、毎年々々予算内容には専門があるというようなことが、取締費を計上するとかいろいろかわつて参りますので、必ずしもそれをそのまま参考にとらなくてもよいではないかというような考え方をしておりますが、御意見もありますので、この次に国警の一人当りの経費につきましてお答えするようにいたしたいと思います。
  135. 横路節雄

    横路委員 そこの考え方が私と当局と違うのです。国警で一人これくらいいるから自治体警察ではこれくらいである、こういうように私はきめたと思うのです。今のお話だとどうもわからぬ。他の財政との比較がなくて、八百億のうちで人口一人当り幾らときめたというのであれば、十月一日から市町村自治体警察都道府県にかわりながら、費用だけ市町村が受持つというときに、自治庁としてそれでは無責任だ、と言うと言葉がきついのですが、その点どう思うか。われわれとしては了解できないのです。しかしあなたの方で詳細説明してくれる分にはさしつかえないが、ただ算定する場合に、そういうことについて考えておられなかつたということは、はなはだ遺憾にたえないというのです。その点どうもおかしいのです。大臣、その点どうですか。
  136. 本多市郎

    本多国務大臣 モデル・ケースをつかまえまして、そうしてそこに配置せらるべき職員の警視、警部、その他を算定いたします場合に、国警の職員と比較して算定いたしたということでございますので、ここに明白な一人当り幾らの警察費になるかという国警の計算による資料は持ち合しておりませんけれども、大体それで御了承願えるのじやないかと思つております。
  137. 横路節雄

    横路委員 平衡交付金法の一部改正法律案の中で私の方で要求しました資料、それからただいま警察費等につきましても、できますならばやはり警察法案その他を審議して行く場合に非常に大事でございますので、その点あすの開会劈頭詳細な説明を得られるようにしていただきたいと思います。なお大臣に、その点とからんでちよつとお聞きしたい点があるのであります。  それは、これも地方財政法の件なんです。今度の法案の中に地方財政法の一部改正もありますが、二十四条にこういうのがあるのです。「(国が使用する地方公共団体の財産等に関する使用料)、国が地方公共団体の財産又は営造物を使用するときは、当該地方公共団体の定めるところにより、国においてその使用料を負担しなければならない。但し、当該地方公共団体の議会の同意があつたときは、その限りでない。」こうなつている。従つて地方公共団体の財産、それは都道府県市町村負担する場合だつて私は同じだと思うのです。そこで今度警察法の中でやはり非常に大事な一つの点は、いわゆる昭和二十八年度に限つては今日まで使用していた市町村自治体警察のもので、それを国が使用する場合においても、都道府県が使用する場合においても無償だというのは、地方財政法第二十四条にどうも私からすれば抵触するのですがね。だから地方財政法でこういうようにうたいながら、しかも地方財政法の第二条第二項に明らかに「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」と規定してあるのです。だから政府としては、地方財政法はあるけれども、こんなものはもういらないのだ、次々に新しい法律で何でもやつてしまえばかまわぬのだということになると、一体政府みずからが地方財政というものについて、第二条における第一項では、地方公共団体責任、第二項においては国の責任を明確にしているのに、第二十四条等においてはこうはつきりうたつてあるのに、この点についてもどうもはつきりしないのですが、地方財政法というのは、もう廃案になるものかどうか、この点もこの際聞いておきたいと思うのです。こんなものはやめてしまうのか、あるいは一部改正でなしに、地方財政法というのは廃案にするのかどうか、廃案にしないというのであるならば、この地方財政法の第二条、第二十四条というのはどうするのか、そこらへんをはつきりしていただきたい。
  138. 本多市郎

    本多国務大臣 今度の改正警察法によりまして、従来自治体警察に公用していた財産を府県警察が使用することになりますので、府県にその公用財産を無償で譲渡する場合、あるいは土地等につきましては無償で使用させる場合があるのでございますが、いずれも府県議会の同意を得てやることになつておりますので、さしつかえないと存じます。
  139. 横路節雄

    横路委員 私が聞いたのと大臣答弁とちよつと違うのですが、それは市町村自治体警察の庁舎が、今度の警察法案の中では十月一日から政令で定めて実施期日がきまれば、それ以降においては、国あるいは都道府県が無償で使用し得るようになつておる。このことは地方財政法の第二十四条と違いませんかと聞いておる。だからそうなれば、地方財政法第二十四条は削除されて出されたらどうかというのです。この一部改正法案の中に、地方財政法の第二十四条は削除するか、変更するかしてお出しになつたらどうですか、こう私は聞いておる。一緒に合わせて削除して出されたらどうか。
  140. 本多市郎

    本多国務大臣 今お答えいたした通りでございますが、従来警察用に公用をしておりました自治体の庁舎なら庁舎を、自治体自体が不必要と認めた場合に、これを府県に無償譲渡をする、あるいは土地等につきまして無償使用をさせる、ということが今度の改正警察法に規定してありますが、その場合は自治体自体が不必要であることを認め、無償であるということを議会にかけて決定して行うのでございますから、その地方財政法には抵触しないと思います。
  141. 横路節雄

    横路委員 本多国務大臣、それで間違いございませんか。今度、自治体警察のもので、それを都道府県並びに国が無償で使用する場合においては、議会の同意を得てやるようになつておる。それは間違いございませんかね。そうすると議会の同意を得られない場合においては、これは使用できないわけですね。その点間違いございませんか。その点はつきりして……。ただうなずかれても記録に載りませんから、ひとつはつきりしていただきたい。
  142. 本多市郎

    本多国務大臣 従来の警察用の公用の財産が不必要である場合、これを国に無償譲渡するということになつておりますが、これには議会の承認を得てということになつておりますので、間違いないと思います。
  143. 横路節雄

    横路委員 そこで私はもう一つお聞きしたいわけです。議会の同意をしない場合には、無償では譲渡できないことになるわけですが、そう解釈してさしつかえございませんか。
  144. 本多市郎

    本多国務大臣 議会の議決を経て譲渡されることになつておりますから、議会の議決が得られない場合には、それは譲渡困難になると思います。
  145. 横路節雄

    横路委員 では私はそういうように承つておきます。  次に、私はこの際やはり地方財政法の一部改正が出ておりますから大臣お尋ねしたいのですが、この地方財政法の第二条の第二項ですが、ただいま私が申し上げました第一項では、「地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。」第二項では、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」と、こうあるわけです。先ほど質問を保留したわけですが、義務教育職員に関して、大臣も先ほど都道府県が新たなる義務を負うものである、こういうことは答弁された。それに対してその全額は国で見るのが当然なんだ。地方財政法の第二条から行けば……。しかしそれを今年に限つて都道府県でさらに何十億か負担してもらいたいということをお考えになつていることは、この点も地方財政法第二条第二項の違反でございませんでしようかね。私はどうもこの地方財政法第二条第二項を見ると、そういうことなんですが、この第二条の第二項については、今の義務教育関係等から行けば、大臣はどうこの条文を解釈されるか。これも今回の点にあわせて一緒に改正なさつたらどうかと、こう思うわけですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  146. 本多市郎

    本多国務大臣 必要なる財政措置なしに新たなる負担をかけてはならないと存ずるのでございますが、必要なる財政措置が講じてあるのでございますから、義務負担に性格がかわりましても、支障はないと思つております。
  147. 横路節雄

    横路委員 私実はあす警察法のときにこの問題をやつてもいいのですけれども、今まで一緒に長いことやつて来た担当大臣本多さんに対して、あす警察法をやるときに、他の国警の方その他の前で、そういうことを言うのは、どうも私はあまりすきでないので、今の財産の面に関しては、大臣何か感違いなさつていませんかね。感違いなさつていませんか。それはほんとうは私あすやつてもいいのですよ。だけれどもどうもあまり意地悪に本多国務大臣にそういうことを言うのもぐあいが悪いので、あすまで保留しておこうかと思いましたけれども大臣何か感違いなさつていませんかね。この警察法案にはそうなつていないので、地方財政法第二十四条から私は質問したわけです。しかし大臣はそう言うから、しかも議会の同意を得なければ譲渡できないのだとはつきりおつしやるから、まああす警察法案の中でやつてもいいと思つたのですが、大臣もしもそれが何か感違いであれば、ここで釈明されておいていただきたい。そのままでさしつかえなければ、あす私警察法の審議の中で質問します。その点ちよつとあすに延ばしてもいいのですけれども、まあ一緒にやつて来られた担当大臣を、あすほかの所管で、ほかの大臣が出て来られたときにあまりやるのも何ですから……。どうも感違いなさつていらつしやるじやないかと思うのですが……。
  148. 本多市郎

    本多国務大臣 いや、そんなことはありません。感遠いはしていないのです。
  149. 横路節雄

    横路委員 そうですか。では今の点は大臣市町村自治体警察が国並びに都道府県に行く場合に、議会の同意を得、議会の同意がなければならないという従来の大臣の解釈で、それでは私そういうように承つておきます。
  150. 本多市郎

    本多国務大臣 実は警察法につきましては、犬養大臣の担当でございまして、私の折衝中に考慮していたことが、思い違いで答弁に出るようなこともありまして、かえつて間違いを生ずるといけませんので、ぜひひとつ担当大臣からお聞き願いたいと存じます。ただ思い違いをしているじやないかと言われましたのは、何か感情的に思い違いをしているじやないかと御注意があつたことと存じましたので、決してそういうふうに、何か故意にきよう私に質問があるというふうな思い違いはいたしておりませんという意味でございます。たださいぜん私が議会の議決を経なければならぬと言いましたことについても、あるいは私が法文をここで記憶いたしておりません点もありますので、犬養大臣折衝中のことを続いて思い違いをして御答弁したかと存じますので、この点も訂正をいたしておきますので、担当大臣からぜひお確かめを願いたいと思います。
  151. 横路節雄

    横路委員 私は今の大臣お話で、かえつて大臣がどういうふうに言われたのか、ちよつと了解に苦しむのですが、この点私は警察法案の中ではつきりします。この地方財政法第二十四条の関連において私が質問いたしました点について、本多国務大臣答弁されました内容については、明日もう一ぺん私から犬養国務大臣にもお話をし、なおこれは青柳委員長にもお話申し上げました通り警察法案地方自治との関連が非常に深いので、本多国務大臣に明日以降の警察法案の審議の中で当然出て来ていただくということに、これは一昨日の理事会においても決定しているのでありますから、その点は、あとになつて本多国務大臣から、いや、警察法案についてはおれの担当でないから出ないというようなことを言われますと、非常に困りますので、その点明らかにしておいていただきたいと思います。従つて、私は地方財政法二十四条について本多国務大臣の解釈通りと思う。警察法案の中で財産の処分並びにそれの一時使用等については、地方財政法第二十四条について私どもが解釈している通りで、さすがは自治庁長官であると思つて、非常に感服しているわけです。このことについては、明日の警察法案の中でやりたいと思います。  次に、地方税法の一部を改正する法律案の中で私お聞きいたしたい点は、大臣提案理由説明改正の第五番目の点でございます。それは市町村民税の課税方法に関することなのでございますが、この点につきまして、説明の最後に、「しかるに市町村の実情によつては、第二方式による場合は課税技術上の困難を倍加し、徴収費の増高を招くことになりますため、第一式をとりつつ、第二方式と同様の目的を達成し得る方途を開くことが要望せられていたのであります。今回の改正はこの要望にこたえ、第一方式によつて課税した場合においても、その税額が第二方式によつた場合の制限を越えない限り、税率決定の自由を認めようとするものであります。」こうあるわけでございまして、この点は、私はこの二十八年度地方税額の一部改正の中で、相当大きい点だと思うのであります。結局この点につきましては、その税額が第二方式によつた場合の制限を越えない限り税率決定の自由を認めようとするものであるということは、運用の面においてよほど注意をしないと、市町村においては、現在地方財政の苦しい折から、ただ運用だけできめておきますと、非常に精神をはき違えてやる場合も出て来るのではないかと思います。この点四月一日以降の地方財政において非常に大きな比重を占めますので、担当の方からもう一度詳細に説明していただきたいと思います。その上に立つて私も重ねて質問いたしたいと思います。
  152. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。この前申し上げたと存じますが、市町村民税の所得割の課税方法に三つの方法がございます。所得税を課税標準にするものと、それからその元でありますところの課税総所得金額を標準にするものと、もう一つは税引き所得を標準にするものの三つの方法がございます。従つて、この三つの方法は二十六年度以降におきましてはどの方法を選択することも市町村の自由であります。現実の状況を見てみますと、第一方式が漸次減つてつております。市町村の数で申しますと、二十六年度は、第一方式が一七%幾らくらいかと思いますが、二十七年度になりますと一二%くらいに落ちております。第二方式は、二十七年度では大体八四%くらいになつております。第三方式が約三パーセント幾ら、これが実情でございます。市町村の実情を見てみますと、所得税が漸次軽減されるとともに、負担の均衡がとれなくなつて来ている。つまり市町村民税の課税標準に所得税をとることが、かえつて負担の分任の精神に反するような結果になつて来るということで、漸次第二方式に移つているのであります。市町村全体の空気といたしましては、第二方式を原則にして、第一方式を廃止してもらいたいという要求かあります。これは町村ばかりではありませんで、中都市以下のものが大体そういう要求をしております。最近は農民組合あたりの要求もそれに近い要求が出て来ております。私どもは第一方式はぜひ残しておきたい。これは徴税費が非常に少いという利点がありますし、また制限税率制度でありますので、非常に簡単なのであります。こういう方式を残しておいて、ある種の町村においては第一方式をとつてもさしつかえないじやないか。第二方式を継続することによつて、むしろ財政のいい町村とか、また中都市等においてはかえつて煩雑になつて、徴税費がかかるというふうな結果に相なりますので、第一方式を残すという方針をとつたわけであります。しかし残す場合に、第一方式をそのまま現状に置いておきますことは、第三方式に移つて参ります町村の多い実情におきましては、これはいろいろ困難な問題があります。  具体的な例を申し上げますと、東京の近所の市において見られますように、二〇%の制限税率をとつているものが相当ございます。これは全国の市で大体二十ばかりあつたと思います。これは町村にはたくさんありますけれども、市で二十ばかりあります。こういう市は、財政が困つて参りますと、どういう方法をとるかと申しますと、第二方式に移つて行くのであります。第二方式に移つて参りますと、大体二十二、三パーセントくらいのところに標準をつくりまして、それを超過累進の形式でもつて、所得税の各段階別の税率にかけて参ります。そういう方式でもつて第二方式をとつて行くというのが従来の傾向でありますので、そういうむずかしいことをやらないで、第一方式でもつて税率を上げて行く方式をとつたらどうか、こういうふうにわれわれ考えてこの改正をしたのであります。ただその場合にも、われわれの方の財政計画の面におきましては、現在の標準税率でありますところの第一方式の一八%を財政計画の上の数字としては見る、こういうことであります。あるいは二〇%まで行つている町村が二一%になる場合があるかもしれませんが、しかしその財源はもちろんわれわれの財政計画の上では全部見るわけではありません。一八%しかわれわれの財政計画上の数字としては見ないというふうにいたしたい。この点がいろいろ誤解があるようでありまして、課税所得の一〇%まで全部行くのではないかという懸念があるようでありますが、私どもはそういう懸念はないのでありまして、一%だけ税率を上げるということにおいても市町村には相当問題があるのでありまして、そんなにむやみに上げるようなことは絶対にないのでございます。各市町村財政の実情によつて多少の増減は認めてもいいのではないか、こういう意味で、制限税率制度を第二方式に合わせたわけであります。大体以上であります。
  153. 横路節雄

    横路委員 今課長からお話のように、実際市町村においては一%上げても非常に市町村民の負担になるわけで、その点は、今回の改正で第一方式によつて課税した場合においても、その税額が第二方式によつた場合の制限を越えない限り、税率決定の自由を認めようという点が、実際市町村の運用の場合にはどういうようになるか、われわれとしては非常に懸念にたえないわけです。結局一応運用の妙においては、制限などをしないということになるのでしようから、その点が実際の運用で懸念をしております。今お話のように自治庁としては大丈夫やれると思つても、町村においては苦しくなると、結局わくをはつきりこしらえておかないと、それを自由に越えるのではないかという懸念があるわけであります。その点もう一度説明していただきたいと思います。
  154. 後藤博

    後藤政府委員 私どものところに市町村が参りましていろいろ相談します場合に、第一方式の場合は二〇%でとまつてしまう、大宮とか千葉とかいう市町村におきましては、二〇%でとまつておるのであります。これをほうつておきますと第二方式に移つて行きます。第二方式に移ると非常に徴収費がかかる。その場合に第一方式をとつて税率を一%延ばした方がいいか、それとも第二方式をとつて非常に徴収費をかけてやつた方がいいか、この辺をよく考えておやりなさい、こういうことをわれわれは言うのであります。従つてそういう場合には、徴収費がどのくらいかかるかをこまかく計画をして、どちらかきめるわけでありますが、こういう改正をいたしますと、第一方式にとどまつておるのではないか、第一方式にとどまつておることになりますと、所得税のかからない人はかからない。下の方の負担の上からいいましても非常にいいのではないか。第二方式をとりますと、所得税のかからない者までもかけて行く、しかも所得税のかからない者の下の方の所得というのは、従来所得の計算においていろいろ問題があるようでありますので、できるだけそういうものをとらない方がいいのではないか、小さい市町村においては個人別の所得がよくわかるから非常にいいのでありますが、中都市以上になりますと、個人別の所得が不明確であります所得税でとつて行かなければならない、そうしますと、そこにいろいろな問題がありますので、第一方式をとつた方が明確であり、徴収費が安くなるのではないかと思つておりますし、そういう指導をやつて行きたいと思つております。
  155. 横路節雄

    横路委員 大分おそくなりましたから、私もここで終りたいと思いますが、本多国務大臣お尋ねしたいことは、大臣説明されました地方税法の一部を改正する法律案提案理由の中に現行法上は本年の一月一日から実施になるものについて、これを二十八年度はやらない、すなわち附加価値税を含む現行の地方税の改正は、地方制度調査会の答申を待つてからやる、こういうようになつて大臣も何べんも地方制度調査会を尊重される向きについてお話があつて、これは私たちも非常にいいことだと思つておるのですが、地方制度調査会の答申を待つておやりになるなら、当然義務教育費国庫負担についても、地方税に関する全面的な改正をやる、あるいは市町村自治体警察都道府県にするにしても、同様に地方税制について根本的な改正をおやりになつてやるべきであつたのに、そういうことを抜きにしてやられた、しかも地方制度調査会の答申を待つてやるといつて、附加価値税について延期されたわけですが、そういうものについては延期した、事業税の改正についても、一応新聞に発表になつたところでは延期した、しかし義務教育その他についてはどんどんやる。何かちぐはぐなものが非常に感じられるのですが、大臣地方税の一部改正でなしに、抜本的な改正をなぜこの際おやりにならなかつたか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  156. 本多市郎

    本多国務大臣 税制の改正地方財政全般に影響することであり、財政は行政の全般に密接不可分の関係にございます。ことに附加価値税を現行の法律のまま実行するということは、負担に激変を生ずる等の関係がございまして、ただちにそのまま実行することは困難であると思います。それでは、どういうふうに附加価値税の問題を抜本的に解決すべきであつたかという点でございますが、これについては地方税の性質上、外形標準を加味するということが適当ではあるまいかと考えまして、事業税の中に改正をして外形課税標準を加味することをもつて考慮いたしたのでございますが、部内において検討いたしました結果、結局一般行財政に非常な関係を及ぼすのであるから、地方制度調査会の御答申を得て、来年度の問題として解決する方がよかろうということに決定いたした次第でございます。義務教育費についても、でき得れば私といたしましては、地方制度調査会の御答申を待つてやりたい考えでございましたが、文部当局等におかれまして、このことは緊急を要する義務教育に対する国家の責任を明確化するという御方針であるということで、その緊急性のために地方制度調査会の答申を待つことができず、政府部内の意見が決定いたした次第であります。
  157. 門司亮

    門司委員 私はおそいからこれ以上聞きませんが、さつきの横路君の質問に対して資料を出してもらいたい。今部長は例の市町村民税は一項でやろう、二項までの制限を加えてとつてもよい、こういうことなんですが、そうすると現行法でどのくらい増税になるのか、これは増税を目的とした改正でありますから、その辺を数字ではつきり出してもらいたい。はつきり出してもらうことはむずかしいだろうが、私の注文するのは、現行の実際行つております市町村制度を見てみますと、大体八二%ないし八五%が第二項を使つておると思う。残りの一二、三パーセント程度のものが大体第一項で行つておると思う、主としてこれは中都市並びに大都市であります。従つてこれらの都市が全部今まで自治庁説明されたようなことで、この改正法案で徴収をするということになると、大体どのくらいの増税になるのか、その点を数字ではつきり示してもらいたい。
  158. 後藤博

    後藤政府委員 私どもは増税を別に期待しておるわけではないのでありまして、先ほど申しましたように、財政計画上は増税を来してないのであります。ただ現状におきまして個々の市町村の場合を見ますと、財政が非常に逼迫して参りますと、第一方式から第二方式に移つて行くのでございます。そうして増収をしよう、こういうことを企てるわけであります。それを第二方式に移らないように、第一方式でも第二方式でも同じ程度のものがとれるようにしたい、こういうのでありまして、増税は別に私ども考えておるわけではありません。  それからもう一つは、第一方式と第二方式との問題でありますが、これは現在私ども承知いたしております数字では、大体市は二十七年度五一%が第一方式であります、町村の方は一〇%が第一方式であります。
  159. 門司亮

    門司委員 今増税ではないのだと言われますけれども、増税ではないと言われるなら第二方式をやめた方がよい、そうすれば徴税の方が便利になるし、ずつとやりやすくなると思う。結局第二方式をとることができるということはよけいとつてもよいということであつて、よけいとれるように考えておつて、技術的にはいろいろな問題があるでしよう。今のお話のように、課税総所得金額を標準としてやれば、所得税を実際納めてない諸君もかかる危険性が多少出て来ると思うが、税法の改正建前から行けば結局増税を目的とした改正案に間違いがないということであります。従つて大体どのくらいの増税になるかというくらいのことはあなた方の方でわかつておるはずだ。増税をすることのために市町村は要求しておる、その要求にこたえているということであるから、一体どのくらい増税になるか、数字が出ないはずはない、今第一方式でやつておるところを全部この改正法案でとればどのくらいの増税になるのか、その数字をはつきり示していただきたい、これは私は資料として要求しておきます。
  160. 後藤博

    後藤政府委員 先ほど申しましたように、私どもは別に財政計画上は増税を期待していないのであります。ただ個々の町村におきましては多少増収を見越してオプシヨン・ワンの制限をはずして、今の二〇%以上にとるところはあるかもしれません。しかしそれはその市町村財政上から、その税収の増加を期待しておるのでありまして、われわれの方の財政計画上はそれ見ていないということであります。  それからもう一つは、オプシヨン・ツー、つまり第二方式をなくしたらいいのじやないかという御意見でございますが、第二方式をなくしますと、農村地帯におきましては所得税を払うものが大体二割以下、一割ぐらいのところが相当多いと思います。こういう人たちだけで市町村民税をとらなければならないことになりまして、かえつて市町村負担分任の制度から申しましてもおかしなことになりはしないか、こういうふうに考えて第二方式はどうしても残しておきたい、それを補完する方法として第一方式も私どもは残しておきたい、こういう意味であります。
  161. 門司亮

    門司委員 だからそれをはつきり、増税を考えているとか考えていないとかいうことでなくて、増税になることは間違いないのであるから、これを増税にならぬというなら何も税法を改正しなくてもいいのだ、第一と第二がそのままあつてもそういうものは別にして、どのくらい増額になるかという数字だけをはつきりしておいてもらいたい。そうしないと地方財政の中で——なぜそういうことを私が言うかといいますと、これがかなり平衡交付金に影響を持つて来るのであります。ところが平衡交付金に影響を持つているから税率はオプシヨン・ツーでとつてつて、そうして税金をできるだけよけいとることがいいのだが、しかし中都市、大都市にそれが行えないということは、輿論が非常にやかましゆうございます。そう簡単に、町村のように村会でこうきめたからお前たちこれで納得しておけというわけには行かない。輿論に押されて理事者としては余分にとれるオプシヨン・ツーでやるわけにはいかぬ。従つてこれの制限額まで、そこに大体相当する額までを現行法でとつて行く方が楽だ、こういう考え方なのです。私はそれに間違いないと思う。従つてそれにこたえた自治庁の今度の改正なのであります以上は、これが減税になるとは毛頭考えられない。必ずこれは増税になると考える。その増税の分が一体どのくらいあるかということぐらいは、大体今年の財政計画の中に入つていると私は思う。一体どのくらいになるのか、それをはつきりしてもらいたい。もしそれがわからぬというなら何のためにこういう改正をするのか、一体どつちなんです。
  162. 本多市郎

    本多国務大臣 平衡交付金に影響があるようなお話がありましたが、平衡交付金には影響ないのでございます。それは標準税率は当然やはり十八で第一方式の基準をとらえておりますから、平衡交付金の計算には影響がない。しかしただお話のように第二方式による方が増収になるのであるが、手続が非常に複雑なために第一方式で収入の少い方法をとつているというようなところが、今度は第一方式で第二方式の制限までとれる、今まで増収を期待しておりながら手続の複雑なためにやれなかつたのを、今度はやるということになりますと、第二方式の制限税率までとれますから、それだけ地方団体としては財源が広がつたということができると思います。しかし今日大体の市町村の情勢が、手続の煩瑣にもかかわらず第二方式を採用するところが多くなりつつある現状でございますので、第二方式の制限税率までとるのならば、簡単な税額を基礎とする第一方式でとらしてやることが便宜であろう、事務の簡素化であろうということを考え提案いたしておるのでありまして、特に平衡交付金の算定の基礎あるいは財政計画等でこのために増収を見積つておりません。今まで手続のために第二方式の制限まで行けなかつたところが、第一方式によれるからそこまで行けることになるので、そのために税金が幾らになるかというようなことは計算はいたしておりませんが、調べてみたいと思います。
  163. 門司亮

    門司委員 今の大臣答弁ですが、財政平衡交付金関係がないというお話でありますが、それでは財政平衡交付金はあくまでも所得税額の百分の十八で組まれるのかどうか。今度は税法の中に制限がなくなりますが、制限はなくなつてもそういう計算で行こうということになつて参りますと、地方では非常に複雑になつて参りますが、一体そういうことになつて参りましようか。
  164. 本多市郎

    本多国務大臣 お話通り基、準財政収入額の計算の税率は百分の十八で現状通りでございますから、平衡交付金の計算と直接の関係はないのでございます。ただ地方財政もまことに財源難でございますので、幾分でも弾力を与えることと、地方の徴税事務の簡素化というものを考慮いたしまして、こうした制度改正いたしたいと考えております。
  165. 門司亮

    門司委員 これは法律の技術上の問題でありますが、私は大臣にお聞きしたいと思うことは、百分の十八というのは、現行法がありますから、これを基礎にして平衡交付金の算定基礎が私は出て来ると思うのですが、この基礎数字がなくなつても百分の十八で行けるということにこれはなるのですか。平衡交付金の方だけ百分の十八を残すのでございますか。そういうやり方はやれるのでございますか。
  166. 後藤博

    後藤政府委員 私の方の税法の関係におきましては一八%除きますが、平衝交付金法の十四条の改正の中に一八%というのが出ておるのであります。現在は御承知通り第一方式だけ一八%、第二方式、第三方式は標準税率はありません。もしも第二方式を標準にするならば、第二、第三にそれぞれ標準税率を置かなければならぬ、これが非常にむずかしいのでありまして、むしろ第一方式だけあるというのが現在へんちくりんなかつこうになつたわけであります。従つてこれを全部まとめまして、平衡交付金法の中で標準税率をはつきり書いてもらう、こういうようにしたわけであります。
  167. 門司亮

    門司委員 私はその点に少し疑問がある。百分の十八を平衡交付金の方に残すということです。そういたしますと、片方のオプシヨン・ワンの方は、地方税法から行きますと、実際はこれの方が基準であります。これを基準にしてツーとスリーが二つ設けられておるのであります。従つて基準の税額であります百分の十八でありますか、これを基礎として平衡交付金をきめることは当然だと思います。片方に基準法律がありますから……。ところがその基準になるべき法律がなくなつた以上は、私は算定の基礎というものもこれをなくするということは非常に困難ではないかと思う。これは今あなた方はそういうことを言われておりますが、平衡交付金法を実施いたしましたときと、それから税法を実施いたしましたときは、大体百分の十八いわゆるオプション・ワンをほとんど全部が使つてつたのであります。それがだんだんその財政が苦しくなるに従つてツーの方に多少めんどうであつても移行して行つておる。その間において地方財政平衡交付金法の算定の基礎が直らないで、やはり百分の十八を基準として行つてつた。ところがこの基礎になる百分の十八という数字が全然なくなつてしまつて、なおかつ平衡交付金の方だけでこれを残して行こうという考え方をしているが、その基礎数字がなくなつた以上はやはり考えるべきではないか。従つて先ほど大臣に聞きましたようにこれは平衡交付金関係しはしませんかと聞いたら、さきの答弁では残してあるからいいと言うのですが、これは法律建前からいつてどうか。税法の方ではそんな基準はなくなつているが、平衡交付金だけそれを基準にして行こうというのは、これでいいのですか。
  168. 本多市郎

    本多国務大臣 制限税率を第一方式、第二方式そろえるという考え方でございます。そうしてやはり平衡交付金算定の基準収入額を算定するときには、税額を基礎としてその一八%を標準として計算して行きたいということになつておりますから、実質的に支障はないと考えております。
  169. 門司亮

    門司委員 私の聞いていますのは、実質的というよりは法律建前からいつてこういうことができるかどうかということですが、いいのですか、それでいいというならばそれでもいいが……。
  170. 後藤博

    後藤政府委員 先ほどちよつと申し落しましたが、三つの標準がありまして、標準税率は一つしかないのであります。二十五年の改正のときに二十五年は第一方式だけしか認められなかつたのであります。二十六年以降に第二方式、第三方式を認めたわけであります。二十六年の場合にやはり標準税率というのを第二方式、第三方式につくらなければいけなかつたわけであります。それをそのまま今まで延ばしておつたわけであります。第一方式の標準税率を平衡交付金に使つたわけであります。全部に標準税率をつくるか、一箇所にまとめて税法の中へつくるか、平衡交付金法の中へつくるかという問題であります。平衡交付金法の中の改正で一八%という税率を置いてもらえば、それで大体財政計画上の標準税率でありますから、私はそれでいいのじやないかというふうに考えておるのであります。
  171. 横路節雄

    横路委員 私大臣にお伺いしたいのですが、それは〇・二五はいつきまりますか。これは実際おかしい話だと思うのです。これは与党の方だつてそうお思いになると思います。この間からきようで大体四、五日おいておるのですが、まだ返事がない。そのうちに三月三十一日が終つてしまいますよ。それで私は大蔵大臣出席を求めたのだが来ないという。このままで一体どうなるのです。その点私ども見ていて、——私だんだん声は大きくなるし、本多さんにはほんとうにお気の毒なんです。だからここで大蔵大臣に来てもらつて、ここできめなければ、ほんとうからいつても、実際こういう問題すらきめられないのに、警察法をやれとかなんとかいうのは無理ですよ。与党の方だつてそこらへんのことは少し考えてやつてもらわなければならぬ。この間中井さんからも大蔵当局に厳重に言つておるのですが、これは委員長責任においてやつてもらわなければならぬ。大臣にこれ以上言つてもしようがないですが、大蔵大臣が来るのなら何時まででも来るまで待ちますよ。そこらへんのことをどういうふうになさつているのですか。大臣から答弁ができなければ、委員長から答弁してください。そうでなかつた大蔵大臣にあす開会頭に出て来てもらうようにしてください。そういうことになれば私もきようはやりませんが、その点ひとつはつきりしておいてもらいたい。
  172. 青柳一郎

    青柳委員長 ただいま出席を要求しておりますから、ちよつとお待ちを願います。     —————————————
  173. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは次に消防施設強化促進法案議題として質疑に入ります。御質疑はありませんか。門司亮君。
  174. 門司亮

    門司委員 消防の関係で強化するとかなんとかいつていますが、大体今度の二十八年度予算にどのくらい出ておりますか。
  175. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 二億五千万円でございます。
  176. 門司亮

    門司委員 これはその二億五千万円を出すことのための法律なんですか、どうなんですか。
  177. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 さようでございます。なおつけ加えますけれども、普通の補助は特別に法律がなくてもできるのが普通でございますけれども、特に消防組織法の第二十五条におきまして、消防の施設に対して補助をするときには法律をもつてこれをするとはつきりございますので、予算を裏づけるための法律でございます。
  178. 門司亮

    門司委員 それで地方財政法その他から行きますと、消防施設に対しては、大体先に起債を許すようになつておるのだが、その消防の起債額は地方からからり要求があつたと思いますが、その要求額はどのくらいありますか。
  179. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 二十七年度におきましては、地方の申請額は概算七十五億円であります。それに対しまして許可額は六大都市を除きまして、三億二千三百三十万でございます。六大都市は起債が許可されておりません。
  180. 門司亮

    門司委員 問題はこれなんです。二億幾らの補助金を出すことはいいですが、地方から七十五億要求があつて、これに起債を三億幾らしか許可しなかつたということになると、これはあまりにつじつまが合わぬことになりはしませんか。この問題は一体どこで査定してこういうことになつているのでございますか。地方自治庁で査定したものですか、大蔵省が査定したものですか、どつちですか。
  181. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 当然許可の権限のある自治庁が査定いたしたのでありますが、査定する前には、もちろん大蔵省と十分御折衝があつたと思います。消防の起債要求額は年々ふえて参つておりますが、必ずしも七十五億というふうな要求額が、現在の市町村財政にマツチしたものかどうか、それはよほど検討を要しますけれども、かくのごとく地方の消防施設の強化のために、特定財源をほしがつていることは事実でございます。
  182. 門司亮

    門司委員 これはやはり財源といいましても、具体的にいいますと、かなり大きな影響を持つていると思います。どこに影響を持つているかといいますと、消防法の中に義務づけられた費用が出て来ております。いわゆる出動の手当であるとか、あるいは死亡その他傷害に対する補償であるとか、こういう数字が非常に出て参つておりますので、実際地方の消防というものは、どうしても機械化して人を少くするという以外に、なかなかうまく行かないのであります。多くの人を動員いたしまして、今までのように、一つ火事があれば何百人という人が出て来て、いわゆる腕用ポンプのようなものでやつておるというところに、割合けが人も多く出る原因があると思います。こういうものまで国家が消防法の改正によつて補償しなければならないということになつて参りますと、地方では必然的にこれを機械化せざるを得なくなつて来るのであります。そこで私は起債の要求がふえて来たものであると考えておるのですが、これにこたえないで、ただ地方財政がどうだからということになりますと、地方財政は、これはますます消防行政というものがやりにくくなると思います。この点消防本部は非常によく知つていなければならぬはずだと思います。しかしこれはただ単に地方財政だけで、こういうふうにせられて来るということになると、これは消防行政の上から言えば、喜ぶべき現象ではないと考える。従いまして、自治庁もそこにおられますが、こういうものは自治庁はどうお考えになりますか。こういうものを許してやらないと地方町村では困つております。これは事実上の問題です。この点についてのお考えを伺つておきたい。
  183. 本多市郎

    本多国務大臣 起債わくのために、重点的配分ということは考慮いたしておるのでございますけれども、まことに不十分であると存じております。来年度起債の許可につきましては、でき得る限りの考慮をいたしたいと思います。
  184. 門司亮

    門司委員 できるだけの考慮をされればそれでいいかと思いますが、その次にもう一回聞いておきたいと思うことは、今度警察法の改正で、消防が警察の下に行くというわけではございますまいが、とにかく警察と一体化されるということになつておる。それで警察法の説明によりますと、別に何もかわりはないのだ、ただこれをそのまま持つて行くだけだ、こういうことなのです。ところがわれわれが見のがすことのできないのは、消防組織法及び消防法の中に、消防も国の非常時その他の場合にはこれを動員することができるというようになつております。場合によつては警察官と同じような職務につくことができるようになつておる。従つてやはり警察権をここにまとめる方がいいのじやないかという考え方で、私は出ておると思うが、その点に対する消防当局としてのお考えはどうなんですか。
  185. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 ただいま御質問になりました警察法の改正に伴いまして消防がどうなるかという点、その点は警察法の改正法案につきましての御審議のときの通りでございまして、ただいま一本にするというようなお言葉がありましたけれども、決して警察行政と消防行政とを一本にするというふうな性質のものでなくて、ただ消防の国家機関である国家消防本部の所属を、はつきりと、今度できまする予定の警察庁長官のもとに置きまして、いわゆる責任大臣を明らかにするということで、はつきりと消防と警察の二つの行政の線は相侵さないということになつております。ただ引続いての御質問であつたろうと思うのでありますが、消防を国の機関が動員できるというふうには当然にはなつていないのでございますけれども、そのゆえをもつて、今度、警察庁長官である消防の責任大臣がとやかく市町村の消防を動かすというふうな権能は、当然には生れて来ないのであります。消防組織法の上からは出て来ないのでございます。ただ消防組織法第二十四条の規定によりまして、警察と消防との応援関係の面におきまして、国家消防機関があらかじめ協定に参加することができるというのでございまして、当然にそれを動員する権能はありません。
  186. 門司亮

    門司委員 問題はそこのことなのですが、非常災害の場合に消防は出動することができるようになつております。その場合、それに指揮命令を与えるのはやはり警察でありますね。
  187. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 そうです。
  188. 門司亮

    門司委員 そうなつておりますから、それがもし一本になつて参りまする場合には、私は過去の警察と同じようになりはしないかという心配があるのであります。  それからもう一つは、消防官も消防の職員も、常設消防の職員でありまする限りにおきましては多少の司法警察権を持つております。これは密接不可分な関係があつて、従来それが一緒になつておりまするときには、なかなか消防と警察というものがうまく行かなかつた。と同時に、また現在でも捜査権の問題について非常に議論があるのであります。捜査権を警察によこしてしまえ、消防は火消しだけやつていればいいのだという議論もたくさんあるのでありまして、これはいなめない事実であります。従つて、それらの問題を包蔵いたしておりますものを、上だけでも相侵さないのだといつておりますが、私たちから言いますれば、これは相侵すことになりはしないかという杞憂が多分にあるのであります。そういう問題について、たとえば消防組織法あるいは消防法の改正によつて、今持つております消防の独立が傷つけられるようなことがないとは限らぬと私思うが、その点の見通しは一体どうなつておるかということを、もう一度消防当局より聞いておきたいと思います。
  189. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 地方的な大きな災害その他の国民生活を脅威するような情勢の場合に、警察に対して消防が応援するという協定は、国の消防機関が警察機関との協定をきめまして、それを市町村に勧告いたしまして、枢要なところにおきましては協定はできておるのでございますが、この場合におきましても、非常事態であるかいなかの判定は、まつた市町村長の判断するところにゆだねてあるのでございます。国がその場合当然しかじかというふうな判定を下す権能はございません。  それからたただいまの国の機関をはつきりと二つの線にわけておるけれども、一本の線で大臣がまかなつて行くと、そういうおそれがあるじやないかという点につきましては、ただ便宜上一人の国務大臣が国の消防機関と国の警察機関とを兼ねておられるという意味において運用すればいいのであつて、その間に警察行政と消防行政とは明らかに別に運用して行くべきだと思つております。そういう態度で運用して行くのがしかるべきだというような考えを持つております。
  190. 西村力弥

    ○西村(力)委員 警察と消防の協定の限界なのでございますが、これははつきりと、天災地変とかそういう災害に限界が置かれているのか、これを伺いたい。
  191. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 御承知のように、消防組織法の第二十四条及び第二十四条の二において、地震、台風、水火災等の非常事態の場合において、警察と消防とは相互に応援ができるというようになつており、まさしく今仰せのように、災害の場合につきものの騒擾とか、一般の国民の不安を醸成するような情勢が起りがちなのでございまして、その間におきましては、警察行政、消防行政の区別は理論上明らかでございまするけれども、同じく国民の生命、身体、財産の保護に当る責任がありますので、その場合の協定をいたしまして、それぞれの行政部門に入つて協力するという場合におきましては、その協定に基きまして応援するのでございます。たとえば消防が警察に協力する場合におきましても、それは警察の指揮下に入るのであり、警察の責任において行われるのでありまして、その場合においては消防としての活動ではないのであります。逆の場合もそうであります。——今の御質問は、非常事態の具体的な事例をお聞きになつたのでございましようか。ちよつとその辺をお伺いいたします。
  192. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の御答弁非常に自信がないように私はお聞きしたのでございますが、今全国のある箇所において、この範囲を逸脱した協定の事例が起きている。それはどういうことかといいますと、ある町の劇場において町民大会が行われて、これが暴動化する危険性がある、よつて協定に基いて、警察の要請に呼応して消防が出動する、こういう標擬演習が行われたのであります。このことはこの協定の範囲を明らかに逸脱するというように断定されるかどうか。このことは、消防のことと同時に警察の問題についても十分に吟味しなければならない重大な事例であると思うのであります。そういう暴動化するような不安な情勢があるという際に、消防まで動員するということが許されるならば、これは消防イコール保安隊というような危険性を持つものでございまして、まことに危険な情勢がぼちぼちと起きていると考えられる。その点を、消防を主管せられるあなたからはつきりお聞きしたいと思う。
  193. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して……。私たち消防組織法の二十四条をすなおに読みますと、非常災害の協定の場合におきましては、消防が警察を応援する場合は警察の指揮下に入るし、それから警察が消防に応援する場合は警察は消防の指揮下に入つて、相互にその相手の指揮下に入ることのように読めるのでございまして、大体そういう精神でないかと思いますけれども、先ほどの本部長の御説明では、何か、いかにも警察の方にだけ消防が入り込む、警察の指揮を受ける場合だけのようにお聞きしましたが、その点をお伺いしたいと思います。
  194. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 御設例の事例につきましては具体的な事実を承知しないのでございますが、おそらく消防組織法第二十四条によつて、消防と警察との協力関係を、それぞれの機関が協定いたしました上で、その場合を想定しての具体的な協力の態勢を訓練するために、そのようなことが行われたと思うのでありますが、事実を明らかに確認いたしませんので、それが至当であるか、あるいは間違つておるかということの確答はできないのでございます。一応協定ができるという線は法律で明らかなのでございます。それから加藤委員の御質問でございますが、これは私の説明が足りなかつたと思いますが、逆の場合も——法律におきまして、消防に警察が協力してくれる場合も当然考えられるのでございまして、それぞれその業務の陣容の不足とか、その力の情勢によつて、またその必要度に応じまして、応援協定がそれぞれ相互になされるということを、法律は明らかにしておるのでございます。
  195. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の御答弁は、そうすると、この協定は、範囲は全然ない、無制限である、こういうふうにあなたはおつしやるのでございますか。協定は、ここまでに限るという限界は一切ないのかどうか、こういうことなんです。具体的な事例がなければ判断ができないと言いますけれども、消防組織法の二十四条の条文をつくるときには、具体的事例はなかつたわけなんで、はつきりそこは一つの限界を予測して、この法律はつくつてあると思うのです。それが具体的な事例がなければわからないというが、私の申したことは具体的な事例そのままの判断の素材といいますか、それははつきりしているわけでございます。それをそう申し上げても、具体的な事例がなければ判断ができないというのは、これは先ほどから申しておりますように、自信がないというか、あるいは答弁をぼやかしているというように私には思えてならない。その点をはつきり御答弁を願いたい。
  196. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 消防組織法第二十四条に基く警察と消防との協力関係につきましては、今後いかような協定が新しく生れるかは予測できませんけれども、一応たしか昭和二十五年八月だと存じておりますが、国家機関である、国家消防庁と国家地方警察本部との協定に基きまして、一応応援関係の案を決定いたしまして、それに基きまして地方警察機関と消防機関に、それぞれ勧告をいたしたものがあるのでございます。その協定案の内容によりますると、基本的な線は地方的な非常事態が起つた場合に、警察が非常に手不足という場合に、消防が市町村長の判断に基きまして決定した場合におきましては、消防機関が警察機関の要請に基きまして、主として後方勤務とかあるいは交通整理というような激闘のない場面におきまして、警察力の不足を補うことができるというような協定をつくることができるという協定の案を示しまして、地方に勧告されておるわけであります。でありますから、具体的にその地方におきまして、消防機関と警察機関とがさような協定を結んでおるかどうか、また非常事態として市長がはつきりとそれを判断して決定したのであるかどうかということが問題になるのでありまして、当然に応援したから正しいというわけではございませんので、あなたの今御説明がありました事案が、そういう条件にかなつておるかどうか、具体的に存じませんので、それが正しかつたかどうか、具体的にただいまお答えができないと申し上げたわけであります。
  197. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと地震、火災、台風等の非常事態というものの発生する原因が、こういう天災地変とかそういうところにだけ限定されるようになつておるのだが、今の御答弁によりますと、そういうことによるのじやなくて、人為的なそういう治安の不安、こういうような場合においても、具体的事例に基いて協定さえあれば出動される、そういう協定は許されるんだという御答弁のように私はお聞きしておるわけなんです。それは法の制定した趣旨とか、法の限界とかをはつきり逸脱しておるものではないか、今そこまで解釈は進められておるのか、この点をはつきりしたい。すなわち地震とか台風とか水害とかいう以外の非常事態でも、この協定は可能であるかどうか、はつきり伺いたい。
  198. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 消防組織法二十四条の解釈といたしましては、さような国民の生命、身体、財産をきわめて不安な状態に陥れ、警察及び消防が任務といたしまする生命、身体、財産の保護を任務といたすべく、これが行動をとらねばならぬという情勢をも含んでいるというふうに解釈いたしております。
  199. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 私はこの消防施設強化促進法の内容について一、二点質問をしてみたいと思います。この法律によりますと、補助を受ける対象が第二条によりまして市町村になつているわけであります。  そこで第一点としてお聞きしたいと思いますのは、最近消防ポンプ等を購入する場合に、市町村自体が購入せずして、町村消防団というふうなものが購入している。そうして市町村から補助をもらい、他から寄付をもらつて、消防団が消防ポンプを購入しているというような事情もあるようであります。その際にこの第二条が適用されるかどうかという点を一つお聞きしておきたいと思います。  第二点は、最近農村等において事情を見ますと、一つの町がある。ところがその町の附近に数箇村の村がある。ところが火事が起きますと、いつの場合においてもその町にあるところの常設の消防がまつ先に行く。どこの村であつても、その村の消防ポンプは遅いというような実情にあるわけです。そういう実情からしまして、一町数箇村のものが共同して、いわゆる一部事務組合をつくつて、町設消防にしたい。そうしてその交通の中心にある町にそれを常置しておきたい。そうして一部事務組合において優秀なところのポンプを購入し、常設して費用を分担いたしてやつたならば、いかなる場合においても急速に出動することができるというような実情から、二箇町村以上のものが一部事務組合をつくつて町設消防を置くというような空気にあるようであります。この際にこの一部事務組合が、この第二条によるところの市町村ということになるかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。  次に、一定の補助をもらいましたならば、地元負担があるわけでありますが、その地元が負担すべき部分については、起債が認められるようになつておるかどうか。すなわち補助をもらつて、地元がさらに負担すべき部分があるわけでありますが、それについては起債というものが認められるようになつておるか。起債が認められるとするならば、全額の起債になつておるか。地元が負担すべきものの何分の一くらいが、起債として見られておるかという点についてお伺いいたします。
  200. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 お答え申し上げます。消防団あるいは消防ポンプというようなものは、市町村の一つの機関でございまして、消防団自体に対しまして補助をするのではございませんので、ここにはつきりいたしておりますように、この法律市町村自体に補助をするのでございます。実際の物を購入したりする具体的な行為は、市町村が消防団に命じてやらせることになつておるだろうと思いますが、財政上の措置といたしましてはもちろん市町村予算を通し、市町村の決定によつて市町村が買うという形をとるのでございまして、その点は消防団ではございません。  第二の点でございますが、仰せのように消防というものは一つの町を中心に数個の村等が協力してやることがふさわしいところがずいぶんございますので、一部事務組合で消防を運営するというようなことを慫慂して、また事実やつておるところもございます。消防組織法第二十六条の二におきましてこれを町村とみなしており、同じく組織法二十五条のこの補助金に関して法律を必要とするというその法律に基きましてつくるところの今回の促進法におきましては、あらためて断つてはございませんけれども、解釈上当然に一部事務組合も市町村とみなすというふうな解釈で、補助の対象としようと存じております。  第三番目の御質問でございますが、今回の促進法による補助は、遺憾ながら地方財政法の第十六条の後段によります補助でありまして、これは地方公共団体の固有事務の強化をはかるために、国家が必要と認めて交付する補助金でございます。ただ公共事業費のように、残りの部分につきまして当然に起債を認めるということには相なりません。一応地方の補助財源の負担になるというのでございますが、ただ地方財政法第三十三条、これは附則でありますが、三十三条によりまして従来から消防に対します起債を認めて来ておりますので、これは単独起債でございますが、この方との運用のやりぐあいでは残りの負担分につきましても、若干救済はできると思うのでありますが、ただ何分にもこの起債額が少い。単独起債わくと申しますか許可額が先ほど申しましたように非常に少うございまして、この補助を認め、また残りの部分につきましても単独起債を認めて行くということになりますれば、数個の町村に非常に分厚くなつて、残りの非常に消防許可を急とする町村に十分まわりかねると存じますので、この補助金と単独起債との振合いにつきましては、十分自治庁当局とも連絡いたしまして、全体の消防のバランスがとれるよう運用して参りたい、かように考えております。
  201. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 次に第三条でありますが、この補助になります対象ですが、消防の用に供する機械器具及び設備ということになつておりますが、これは具体的にどういうものを指すのであるか、この点もお聞きしておきたいと思います。
  202. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 考えておりますものは、消防ポンプ等の機会でございます。告示いたしますもので、たとえばはしご自動車、救急車、あるいは消火艇いろいろございますが、二十八年度におきましてはただいまのところ消防ポンプすなわちポンプ自動車、その他手引ガソリン・ポンプあるいは小型搬用ポンプ等を考えております。それから設備の方といたしましては、火災確知に最も必要でありますところの火災報知器、これは主として相当の都市に考えております。
  203. 西村力弥

    ○西村(力)委員 消防に対する起債要望の声は七十五億もあるというところへ、ここにせつかくとられた二億五千万円という金額はあまりに少くて、一斉に補助申請に来るだろうと思うのですが、そういう際の査定の基準というようなものは、どういうぐあいにお考えでございますか。こういう小さい補助金が計上せられて、ただいたずらに府県の陳情に動かされる。このことがまつたく日本の政治を毒する今の状況であると私は思うので、その点をはつきりしておきたいのです。そういう二億五千万円ぼつちの金で、国民がいたずらな騒ぎをしなくてもいいようにはつきりしておくために、あなたはどういう査定の基準をお持ちですか、それをお聞きしたいと思います。
  204. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 御説ごもつともでございまして、地方の陳情をいたずらに激増させることはよほど慎まねばならぬと思います。その点から考えまして、この基本的な線といたしましては、都道府県知事が意見を具して出して来ることになつておりますので、大体都道府県の消防を担当いたしております行政担当課に十分検討していただきまして、おそらく相当の要求があると思うのでございますが、これに対しては、抽象的になりますけれども、一応私どもの方で当該市町村の地理的条件あるいは人口その他によつてきめておりますところの消防力の基準というふうなものと比べて、はなはだしく劣勢であるというようなものとか、あるいは消防力というものを大きくわけますと消防機械力、これはもちろん人を要しますけれども、そういつた機械、それから消防にとつては弾丸のようなものでございますが水利施設、さらに火災を確知いたします通信といつたような総合的な消防力を考えまして、そういうものがはなはだしく不均衡にならないようにいたしたいのでありまして、水利は非常に充実しているが、それに即応する消防ポンプが非常に劣勢であるというようなところがございますればそういうところ、そのほか隣接町村との協力関係、あるいは市町村財政負担措置の有無というふうな問題、そういつたいろいろな要素を勘案いたしまして、この補助金交付にあたつて、最も効率的な成績の上ると認められるものを考えていただく。そのためには必ずしも中央におきまして数字的な判断で結論は出ませんので、できるだけ陳情をなさないように地方的に十分調査をしていただきまして、その上で全体の判断をいたしたい。極力無用の陳情で地方の御迷惑にならないような方法をとりたい、かように存じております。
  205. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そこで今申されたような観念的なといいますかそういう基準は、府県知事が意見を付する場合の基準として府県に通達をして、個々の申請者が直接東京まで来るということは一切受付けないというぐあいに、はつきりしたらいいと思うのであります。今このためにさまざまな陳情があるわけで、小さいのもあれば、また寒冷地手当とか地域給の問題までもある。これは何もわれわれやるのがいやだというのではないけれども、そういうことで国会議員がお役所に動員されて、ぺこぺこ頭を下げなければならぬということは、これはまつた国会の権威を失墜するものである。ところがそういうふうに仕組まれておるものはやむを得ずやらざるを得ない。これはあなたの関係である二億五千万円だけについて、そういうことを言つてはお気の毒でありますけれども、やはりこういう大事な経費は厳然たる態度をとらなければならない。私としましては府県知事の意見を、最も判断しやすいような下情に基いてやるようにして、あと地方の直接の陳情は、一切受付ないという方向に厳然とやつてもらいたいという希望を持つておるものです。これは答弁はいりません。それだけ申し上げておきたいと思います。
  206. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 おそらく私の質問が最後になるだろうと思うのでありますが、先ほどから門司委員や西村委員から非常に消防のことを心配しての御発言がありました。ことに固有事務というような形になつておりますので、国庫補助よりもむしろ起債に重点がある、この御意見もごもつともなのであります。先ほど瀧野本部長からのお話によりますと、七十五億の起債申請に対して、二億五千万円ということである。これは水道とか病院とかその他に比べて見まして、申請額の五分の一とかあるいは六分の一とかいう割合のものはあるにしても、何十分の一というのは、おそらく他の起債申請にはないと思います。しかも年々希望が満たされなくても申請しているところを見ますと、消防に対してはある程度の施設をしなければ、市町村当局としても、また常備消防なり消防団当局としても、どうしても社会に対して済まない、責任を全うし得ないということからの申請だろう。こう考えておるのでございます。先ほど瀧野本部長が、七十五億という申請は、市町村財政規模等から見てはたして穏当であるかどうかとも思うけれども、現に七十五億の申請があるというお言葉がありました。またこれは地方財政法の固有事務になつておるので、公共事業費の起債のようにはどうも起債の線に入りにくいというような、これは私の聞き違いかもしれませんが、そういうお言葉がありました。消防本部当局といたされましては、今度国庫補助を、非常な努力で初めて国の予算に計上していただいたことは、感謝にたえないのでございますけれども起債の面につきまして、もう少し御努力をいただきたい。また従来消防署等の建築等には、全然起債が許可にならなかつたのでありますけれども、今度は公用施設の建設に対しては、地方財政法の一部改正法律案が今回通りますれば起債許可ができるわけでございます。二十八年度起債計画につきまして、相当なわけ前をもらうように特に努力していただきたいということは、おそらく全国消防の要望であろうと思いますので、強くお願い申し上げる次第でございます。ことに首都消防並びに大都市消防につきましては、私は非常に心配なのでございます。六階以上の部分に対しては消防の手が及ばない現状だそうでありまして、六階以上の高いところに消防の力を及ぼすはしご自動車等は一台とか二台しかないというような現状だそうです。こういうような場合、ひとつ国家消防本部といたされましては、こうした大都市の場合におきましては公募債等によつても、起債の詮議を得ることも可能なわけでありますし、小さな府県等よりもむしろ起債の銘柄がいいわけでございますから、特に国家的な大きな欠陥が横たわつていることを考えられまして、二十八年度起債計画の中の資金運用部資金からの起債と、また公募債起債について大きく割込んでいただくように、特別の努力を払つていただきたい。こういうことについての本部長さんのお心構えと、なお二十八年度起債計画に対して、どういう申出を自治庁にやつておられるかという点についてお尋ねいたしたいと思います。
  207. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 消防施設に伴います起債計画につきましては、すでに地方の御要望を十分とつておりまして、今積算中でございますが、相当額に上ると思います。御承知のように消防の要望が非常に大きいのに、許可額はきわめて少いという点にかんがみまして、来年度におきましては、そういつた従来のやり方について、さらにいろいろ説明をかえたり、具体的なやり方につきましても公募債という方法もございますので、大都市等につきましては、さような方法考えてみたいと思います。そうして大幅にこれを獲得するよう、ただいまから準備を進めております。これは許可権のある地方自治庁及び起債のソースを持つておるところの大蔵省を十分理解させることが根本だと思いますので、ただいま御鞭撻いただきましたような線に沿いまして、せいぜい努力いたす覚悟でございます。
  208. 門司亮

    門司委員 今の加藤さんのお尋ねについて私ちよつと聞いておきますが、消防は建築に対する許可権を持つておりますね。大体最後の許可権は消防が持つておるといつてもいいと思うのですが、そういうときに、消防能力の及ばざる建物についても許可をしなければならないという規定があるのですか。
  209. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 ただいまとつております方法は、建築当局がありまするので、その許可等に対して同意を与えるわけでございます。その同意権の行使について、その点を判定させるために意見を聞いておるわけでございます。消防的見地からいけないと判断した場合、同意しない、あるいは条件付で同意するということになつておりまして、実際の場合には地方のいろいろな情勢によつて、必ずしも同意を全部がしておるとは断言いたしかねるのであります。
  210. 門司亮

    門司委員 そこで今の御質問のようなことが出て来ると思うのですが、実際四階までしか機械はしごが上らないのに、六階の家を建てられる、あるいは八階の家を建てられる、それ以上の建物に対しては、消防として手をつけられないということになる。そういうことになつて参りますと、非常に大きな問題になつて来ると思うのです。今の加藤さんのお話通りに、消防能力を越えた建築が行われる場合には、その都市におきましては、当然それに追いつくだけの消防設備が必要になつて来ると思います。その場合に、建築を許しておる以上は、当然それに応じた起債も許さなければ消防が死んでしまうと思うのであります。そういうものに対する消防庁の指導方針自治庁並びに大蔵省とのあなた方の交渉の経過は一体どうなつておりますか、消防能力がなくて、家が焼けてもいいということは、まさか大蔵省でも言わぬと思います。その指導方法並びに会議された今日までの経過はどうなつておりますか。
  211. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 お話二つになつておると思いますが、一つは加藤委員がおつしやいましたように、大都市でも非常に優秀なはしご自動車等が不足している、これはまさしくそうでございます。万全の構えはまだできておりませんが、その方法以外には、実際消防の活動すべき余地がないのかと申すとそうではございませんので、高層ビルの建築に同意する場合に、すぐにこれの同意を拒否する、不燃性の建物なら建築基準法は一応認めておるのでございますから、そういう具体的な場合におきましては、消防上の見地から一応は同意しておると思うのでございますが、そういう線に沿つて自治庁とも折衝いたしておるのでございます。私よりかあなたの方が詳しいのでございまして、単独起債わくは非常に少いのであります。その少いわくの中からまた市町村の要望が、順位はぐんと消防が低いのが通例なのでございます。それで下水道とか、衛生施設とか、病院というものが優先しがちなので、そういう自主性を織り込むと、消防はややもするとあとまわしになりがちだ。私どもの方は、極力市町村の具体的な要望のあと押しをいたしますけれども、何しろ私の方で起債許可の同意権を持つておるわけではございませんので、この市町村の具体的な御要望のあと押しをして、その起債獲得にお手伝いをしておるのでございまして、そういう苦衷をお察しいただけば……。
  212. 門司亮

    門司委員 国家消防本部の本部長が、そういう無責任なことでは……。一体消防法の基幹となる七条はあれは何ですか。消防法の七条は、これは消防法の使命であります。その消防法の七条が抹殺されるようなことになつては、消防法自体は何もならぬじやないですか。消防法に七条を入れたということは、非常にいろいろ問題がありましたが、しかし消防の手の及ばないところに建築が許可できるのだということになつて、具体的に言えば、ポンプ二台も三台もつながなければ水が行かない、とんでもないところに建てられる。それで火災があつても消防の力が及ばないということがあつてはならないので、そういうことがやはり一つの原因であつたと思うのです。消防の能力というものを、十分活動することができるようにするには、やはり消防が建築に対して、自分の自己能力というものを十分判断して、一面防火予防を完璧にすると同時に、消防能力の範囲内において、やはり建築を許可するということが、火災から免がれる一つの大きな原因であろうということで、あの七条ははつきり入れたと思うのです。ところが自分の能力の及ばないところへ家を建てられようと、そういう高層建築を建てられようと、これは建築法で許可したのだから、これは会議制だからやむを得ぬのだということになりますと、消防法の七条の精神が死んで来ると思うのです。消防法をこしらえたというゆえんは、あの七条があるから実際生きて来るのであつて、この点はもう少し、そういうたよりのないことを言わぬで、はつきりしておかなければ困ると思うのですが、これはどうなんですか。
  213. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 私がただいま御説明いたしましたのは、七条の問題は七条の問題としてお答えいたし、それを強化するための財政措置につきましては、財政措置の点で申し上げたのでありまして、別に弱気を出したわけでございません。これは御承知でもありましようが、消防法の七条というのは、消防の一つの筋金でございまして、これがあればこそ消防が新しい都市等の建築に対しまして、有力な発言権を持つておるわけでございます。しかしながら国民に対しまして同意権を発動する以上は、ただ消防上の見地から困るのだという抽象的なことでは困るのでありまして、やはり建築基準法とか、消防法とかいう明らかな法律、またそれに基く政令等の、法令の根拠のあるものを示さぬと、ただ消防活動上困るから同意しないのだ、許可しないのだということでは、一般国民は了承しないのでありまして、その点は法律あるいはそれに基く法令に準拠いたしました線で、各市町村の消防機関が判断するように、はつきりと指示してございます。それによらずに同意されるとは思いませんが、私どもの方に毎日報告がございますけれども、いろいろな条件つきで、いろいろ許可したことがございます。その点は建築当局と消防当局とが話し合つて、具体的な行政措置を行つております。ただいまの話は、私がおしまいごろ申し上げましたのは、財政措置につきまして、非常に苦労しておるということ、ごつちやになつたのでございましよう。私その点を訂正いたします。
  214. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これで終りにしてもらいたいと思うのですが、私は〇・二五の資料の提出を二月二日に委員長に求めておつた。ところが一向出て来ない。そのあと督促を一回やつたのですが、なしのつぶてというか、これは全然ございません。しかしこれは結局よく解決されればその資料は必要がないので、私も隠忍しておりましたが、きよう大蔵大臣出席の要求をいたしましても、一向顔が見えない。ここをひとつ委員長、早急に解決するように御努力願いたい。明日はどうしても来ていただいて、最後的な解決に行けるように委員長の御努力を要請しまして、本日はこれでやめていただきたいということを申し上げます。
  215. 青柳一郎

    青柳委員長 ただいまのお話でありますが、私といたしましても、大蔵省方面に努力をいたしたいと思います。明日この問題で委員会を開くかどうかということは、私は先般の理事会の決定に一応従つて行きたいと存じます。明日は午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十六分散会