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1952-12-10 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十日(水曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 横路 節雄君       阿部 千一君    加藤 精三君       河原田稼吉君    黒金 泰美君       佐藤善一郎君    中井 一夫君       牧野 良三君    石坂  繁君       森田重次郎君    大石ヨシエ君       平岡忠次郎君    西村 力弥君       川村 継義君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君  委員外出席者         参  考  人         (全国町村会         長)      白鳥義三郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 十月九日  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例  に関する法律案栗山長次郎君外三十四名提出、  衆法第七号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例  に関する法律案栗山長次郎君外三十四名提出、  衆法第七号)  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 それではこれより会議を開きます。  まず地方財政に関して調査を進めることといたします。  本日は前会に引続き、参考人より地方財政実情について説明を聴取することといたします。本日御出席を願いました参考人は、全国町村会長白鳥義三郎氏であります。  この際白鳥参考人に申し上げますが、本日は御多忙中にもかかわりませず、本委員会のため御出席くださいましたことを、委員会を代表し、厚く御礼を申し上げますとともに、忌憚なく御説明くださいますことをお願いいたします。  それではこれより白鳥参考人より説明を聴取することといたします。
  3. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 当委員会におきましては、常日ごろ弱小町村のために格段の御配慮をいただいておりますことを、厚く御礼を申し上げます。  今年度の補正予算をめぐりまして、政府側見解自治団体側見解とに食い違いの点がございますので、お手元にすでに配付してあると思いますが、私の方で算定いたしました昭和二十七年度新規財政需要に基く財源不足額調、この算定を調製いたしました趣旨を御説明申し上げ、御参考に供したいと存ずる次第でございます。  私の方の調べによりますと、給与単価調整額及び給与引上げによる給与関係費の増が七億七千万あるわけでございます。その点について、あるいは自治庁側の御算定になりましたものと多少の食い違いがあるかもしれないのでありまして、町村吏員給与がかねて国家公務員よりも高いのだという、大蔵省その他政府関係筋から流布されておりますことにつきまして、私ども見解を申し述べさせていただきたいと存じます。政府の御算定によりますと、町村吏員国家公務員に比べまして百九十八円高いという資料が集まつておるそうでございます。おそらく相当大規模に御調査なすつたことであり、そつはないものと考えるのでございますが、ただ国家公務員町村吏員とを同一の基準に置いて給与を比較するということにつきまして、私どもにはどうも解せない点があるわけでございます。と申しますのは、国家公務員は大多数が学校を出ますと、すぐに官庁に入り、五年なり十年なりお勤めになり、その都度昇給をして行くわけでございます。ところが町村吏員は、学校を出てすぐに役場に入るというのはまず少いのでありまして、大部分の者は民間の会社なり、あるいは事業所なりに働いておりまして、そのうちに役場の方に入つて来るというのが大部分なのでございます。そういうことになりますと、国家公務員の方の給与算定の仕方は、どこどこの学校を卒業して、官庁に何年勤めたから幾らということで基準がきめられるそうでございますが、民間に勤めておりました者については、民間に勤めておつた勤続年数の六割を加算されるのだそうでございます。そういうことになりますと、同じ年齢になりましても、民間に勤めておつた者のたくさんある町村吏員は、非常に不利になつて来るわけであります。もともと町村吏員俸給相当たつぷりして潤沢であり、生活が楽であれば、どのような算定方法をおとりになり、国家公務員と御比較になられましても、一向さしつかえないわけでございますが、まことに遺憾なことには、町村財政がゆたかでないために、給与平均額は非常に少いのでございます。私どもの方で一千の町村に照会をいたしまして、そのうち六百八十五の町村から回答が参りましたその調査の結果によりますと、吏員平均給与はわずかに七千二百四十円にすぎないのでございます。この現在の物価高におきまして、平均給与が七千二百四十円にすぎないという場合に、お前は民間に何年勧めておつたのだから、それを六割だけしか昇給する基準として認められないというようなことでは、まことに町村吏員にとつてゆゆしき問題だと考えるわけでございます。そのような算定基準をおとりになりますれば、あるいは国家公務員よりも高いというような結果が出て来るかもしれない。しかしそれは尺度の問題でございまして、実情と合わない尺度をもつて計算になりますれば、その結果が結局また実情に沿わない結果となつてしまうということになると考えておる次第でございます。従つてたちといたしましては、この際国家公務員よりも百九十八円引いて、二割なら二割を上げるのだという自治庁の方の御見解は、そのままたくさんの吏員を雇つております私たち任命権者といたしますれば、情においてとうていそういつたことはできないのでございます。町村吏員がすでに相当高額の平均給与生活給を十分に満し得るだけの給与をすでに支払われておるという場合ならばいざ知らず、先ほど申しましたように七千二百四十円の平均ベースのところに、それから百九十八円を引いて、そして二割を上げるという自治庁の御見解に対しましては、とうていこれに賛意を表するわけに参らぬと思うのであります。その点特に御勘考いただきたいと考える次第でございます。そのような事情がございまして、あるいはまたそのほかの事情からか、給与の増によりますものが、政府の方と私の方とで、多少食い違いがおることはやむを得ないと考える次第でございます。  それから二の勤務地手当支給区分改訂等による増、実は一億と私どもの方では見ておりますが、これは自治庁の方からちようだいいたしました資料を――市と町村分とをわける基準が私たちにございませんでしたので、市の方と町村分の方とを半々と見て、一億分を計算いたした次第でございます。本来であれば、しさいに町村分だけを集計して、お手許に配付し、御参考に伏さなければならなかつたのでございますが、それだけのことができませんでしたことを残念に存ずる次第でございます。  次の物価騰貴による一般物件費の増が三億五千万円でございますが、さらに町村教育委員会設置に要する費用が、私どもの方では二十億四千万円と推定をしているわけでございます。その内訳等つきましては、お手元にすでに資料を御配付申し上げておりますので、これをごらんいただきたいと思いますが、このうちで自治庁側見解と違つている一番おもな点は指導主事の問題でございます。御案内通り地方教育委員会設置されまして、市町村教育委員会人事権を掌握することに相なつたのでございますが、指導権人事権とは、密接不離のものであるべきでございまして、従つて町村のみに設けられました教育委員会が、その機能を十分に発揮いたしますためには、ぜひとも指導主事設置しなければならない。もちろん個々の町村指導主事を置くということは、とうていできないことでございますが、せめて各郡に五名くらいの指導主事を配置いたしたいという考えで、その費用を私どもの方では見込んである次第でございます。なお事務局員につきましても、多少の見解相違があるわけでございまして、たとえば事務局吏員は、今まで町村役場学事主任等をやつてつた者をそのまま横すべりをさせればいいというような御見解のようでございますが、現実地方教育委員会が発足いたしてみますと、いろいろな調査もございますし、なかなか今まで通り吏員地方教育委員会運営ができないのでございます。かつて加えて文部省の方では、標準の教育委員会に所要の吏員といたしまして、五名ないし六名が適当であろうというような指示さえもいたしておるようなわけでございます。従つて教育委員会の方からは、事務局員を増員してもらいたいという要望が、すでに各所に見受けられる次第でございまて、従つてそれらに要する費用等相当見込まなければならないと考えておる次第であります。  なおもう一つ自治庁側の方と私たちの方との見解相違いたしますものは、学校組合関係経費であります。市町村立学校を経営しているところでは、今までであれば、その管理者が全権を持つて運営の衝に当つてつたのでございますが、教育委員会法が公布されますとともに、組合立学校にも教育委員会に類似する何らかの機関を設ける必要ができて参りまして、従つて組合立学校運営管理については、教育委員会設置して当つておるところもございますし、従来の管理者が、その管理者のもとに諮問委員会等を新たに設置いたしまして、運営の衝に当つているところもあるようなわけでございます。従つてその諮問機関なりあるいは新たに設置されました教育委員会なりに、相当経費がいることは言うまでもないのでありまして、その費用を私たちの方では大体三億と推算している次第でございます。以上のような見解相違のもとに、私たちの方では町村に設けられました教育委員会費用といたしまして、二十億三千八百万円を必要とするものと集計をいたした次第でございます。その点自治庁側の方とは見解が異なつておるようでございます。  なお法令の改正等による増が五千万円、地方税の減収が私たちの方では三億二千万円と推算をしているわけでございますが、これにつきましては、自治庁側とはまつた見解が異なつておるようでございます。自治庁側の見るところによりますと、補正において相当多額の増徴が見込まれているようでございますが、それの一つ一つについて申し上げる煩を省きましても、一つ二つ特に私たちの方の見解と異なるところを申し上げてみたいと考えております。  そのうち一つ電気ガス税でございます。電気ガス税は二十六年度の実績が約百三億でございます。本年度の当初予算に十二億見たわけでございますが、さらに補正予算におきまして十一億ばかりの増を見越してあるわけでございます。もちろん二十七年度の当初予算をお組みになりますときには、二十六年度の実績によるということはとうていできないことでございまして、従つて自治庁側において算定いたしました基準が、今回の補正予算の追加十一億を算出いたしましたときの基準とは違つていることと推察いたすわけでございます。また漏れ承るところによりますれば、補正予算におきましては二十六年度の実績を加味して算定をしたのだという御説明を聞いておるわけでございます、電気料金が増になりましたことは事実でございます。これは多分今年の五月から電気料金引上げがあつたと思います。電気料金は大体二割八分ばかりの増に相なつておるわけでございます。ところが、ちようどこの十一億というのがその二割八分の増を見越して御算定なつたようで、その点計算にいささかも狂いはないものと考えておるわけでございますが、ただ遺憾なことには、町村におきましては、電気料金引上げがそのまま電気消費量引上げにはならないという実情を、とくと御勘考いただきたいのでございます。御案内通りに、農家等が大部分を占めております町村におきましては、電気料金値上げになりますと、今までの消費量を節減いたしまして、消費量が減つてしまうのでございます。従つてこの電気料金の二割八分の値上げが、そのまま税の実収高には響いて来ないという実情をとくと御勘考いただきたいと存ずる次第でございます。  それから第二の点は旧法による税金でございます。旧法による税金を今回二十四億プラスに御算定になつているようでございますが、一体この旧法による税金というのはどういう税金かといえば、御承知通りに、昭和二十四年度まで町村がすでにかけた税金でございます。そうして税法の改正によりましてすでに現在ではかけることのできない税金でございます。事業税附加税だとか、遊興飲食税入場税、地租、家屋税、元の市町村民税、そういうものの滞納相当多額にあつたわけでございます。実はそれを年々整理をしているわけでございますが、今年度は二十四億はとれるだろうというお見込みで財政収入の方に二十四億をプラスしてあるわけでございます。一体こういつたことが、地方の全体の財政計画をお立てになります場合にとるべき態度であるかどうか、私は非常にこれについて疑問を感じている次第でございます。大蔵省がそういうような査定をしたというのであれば、これは地方自治団体実情にとかく疎遠な大蔵当局が御算定なつたということで、私たちもうなずけないわけではないのでありますが、自治庁がそれに御同意なすつたということは、実はまことに遺憾なことだと考えておる次第でございます。と申しますのは、二十四年度までの滞納分は、これは二十四年度までの地方財政計画総額におきましては、赤字になつて残つた数でございます。従つて当時百何十億かの赤字が出たはずなのでございます。その赤字をその後滞納整理に努力してだんだん縮めて行かなければならない金なのでございまして、それを今年度中に二十四億とれるだろうから、算定基礎は今までの滞納総額の約三割程度を見越したものだそうでございますが、滞納整理をして上るべき金を今年度の財政収入額にプラスなさるということは、そうなりますと前提として、二十四年度分までの滞納があつた場合には、自治庁でそれだけのめんどうを見てくれたかどうか、それが問題だと考える次第でございます。こういう方針を御決定になられますならば、滞納はいつでも自治庁平衡交付金算定の場合にめんどうを見るという前提に立たなければ、こういう滞納による収入基準財政収入額に御算定になるということは、地方団体としてはまことに痛いのでございます。その点もぜひ御勘考をいただきたいと存ずる次第でございます。  以上るる申し上げましたが、見解相違相当ございまして、ここに私たちの方では総額百五億ばかりの不足数字が出たわけでございまして、なお御疑念の点がございますれば、御質問に応じてお答え申し上げたいと考える次第でございます。  なおこれは直接平衡交付金算定には関係のないことでございますが、ぜひ御考慮いただかなければなりませんことは、現在御承知通り地方財政が非常に逼迫しておりまして、従つてたち町村といたしますれば、自治体が当然なすべき住民の福利増進のための施設がなかなか思うようにできません。学校にいたしましても、腐朽校舎の改築の問題にいたしましても、当然これは私たちができれば一時も早く解決しなければならない問題であるにかかわらず、義務的な行政費に追われまして手元が不如意なものでございますから、思うにまかせないのでございまして、こういう事態が年々加算されて参りますと、町村という自治体が、何のことはない、自治体としての名のみ存して、その実が伴わないということに相なつて来るのではないかと心配する次第でございます。現在まででもすでに町村、ことに人口の小さい村におきましては、非常に財政難にあえいでおりますのに、また今年度におきましても、私たち推算いたしますよりはるかに下まわつた平衡交付金の額しかちようだいできないということでは、町村自治を担当いたします私たちといたしますと、まことに前途を心配でならないのでございます。その点とくと御勘考いただきたいと存じます。  まことに意を尽しませんが、資料の御説明を以上をもつて終りたいと考えます。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長 ただいまの御説明に対し御質問ありませんか。
  5. 森田重次郎

    森田委員 二、三点お尋ねいたしたいと思います。まずこの教育委員会給与の問題でございますが、これは二十数億を要求するのが適当だというお考えですが、その根拠をお伺いいたしたい。というのは、これは何か一定のモデルのような組織を考えられて、それを基準にして幾らずつ金をやるのだということが大体定まつて、それを総計したものが二十数億になるのだ、こういう計算の仕方だろうと思うのでございますが、もしそうだとすれば、具体的に一体教育委員長給与は大体どれくらいに見るか、あと委員手当、それから教育主事の数、その手当、そういつたものを御説明願いたいと思います。
  6. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 私の方で用意いたしました資料がまことに不備でございまして、御疑念をいただきましたことを恐縮に存ずる次第でございます。私たちの方で教育委員会費用としてここに推算をいたしましたのは、大体におきまして自治庁でお考えになつていらつしやつたところを実は大部分踏襲しているのでございまて、従つてかねて私たちの方で承知しておりました通りに、委員長さんのお手当は議長さんと同じくらい、委員さんのお手当町村会の議員さんと同じくらい、また今後設けらるべき教育長は助役さんの俸給に匹敵するもの、あと教育委員会事務局主事等でございますが、主事は、かねて私たちの方で使つておりました学事主任等が横すべりいたしたのでございますから、その俸給をそのまま存続する。その下に一名、あるいはところによりましては二名の補助員をつけるというようなことで積算をいたしているのでございます。なおそのほか、先ほども申しました通りに、指導主事を各部に五名くらい置くという仮定のもとに積算をしたのでございます。
  7. 森田重次郎

    森田委員 大体今の給料がどれくらいになるかということは、数字ではつきりいたしませんか。
  8. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 公選の委員月額平均八百円と私たちの方では見ている次第でございます。それから議会選出委員はその半額の四百円と見ております。それから教育長さんは月額一万四千円の報酬を払う、それから指導主事月額八千九百円、そういうふうに考えている次第でございます。
  9. 森田重次郎

    森田委員 そこでお伺いいたしたいのですが、今町村では六・三・三問題、腐朽校舎の復旧の問題、その他校舎増築問題等相当財政的に悩みがあると思うのですが、今特にこういう教育委員会制度というものが設けられて、相当予算――今補正予算で二十億というのですから、一年では相当額に上ると思うのですが、一体こういう教育委員会を設けて教育の振興をはかるのが、今の町村実情に合するのか。こういうようなものはむしろなくても、それらの額を今の義務教育費に充当した方が、町村現実にかんがみていいのか。この点はおそらく各町村長の方々の会議で、何か一定の方向というものがきまつておるのではないか、こう思うのです。そこでこれらに対しては、全国町村長会では、教育委員会が新たに設けられることに対して妥当であるという見解をおとりになつておるのか、あるいはこういうものはなければなくてもいいものだ、あるいはむしろ積極的に反対した方がいいのだというような点について、どういうような話合いになつているのか、その点について御意見をお伺いしたい。
  10. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 教育委員会の、何と申しますか、存在理由とでも申しますか、全国町村会意見はどうかという御質問でございましたので、今まで私たち考えておりましたこと、また全国町村会決議になつておりましたことを申し上げたいと考えます。私たちはかねて、全国市町村教育委員会設置するということは、現行法のままでは不備であるというふうに考えておつたわけでございます。もちろん、市町村立学校運営管理権限がまつた市町村になしに、せつかく私たち財政をいびつにして六・三制の校舎を建て、一切の運営費維持費等町村財政から支出しておりながら、町村立学校運営管理権限がまつたく府県の段階にあるということにつきましては、かねて強い反省を行つておりました。今回の教育委員会法の施行によりまして、町村立学校運営管理権限町村段階に下りて来た、ここに教育民主化教育地方分権化が行われたものとして、私たちはその点に対しましてはもろ手をあげて賛成している次第でございます。今地方自治確立の一番基本的な問題として事務の再配分が唱えられ、責任明確化が唱えられておりながら、この教育行政に関する部分において従来のごとき不合理が残されておるとすれば、何をもつてたち地方事務の再配分を行うか、まつたくその糸口がなかつたのでございます。ここに自治確立一つの大きな糸口を発見し得たということは、私たちの喜びとしているところでございます。しかしながら小さな町村行政の中で、一般行政教育行政とを二分し、しかも教育行政に関しては財政権を伴つていないということに対しましては、ちようど町村という貧弱な財政の駄馬に二本のたずなをつけ、別々にひつぱりまわすというかつこうになつてしまいますので、この点につきましては私たちはまつたく反対をしているわけでございます。一刻も早く法を御改正になられて、町村行政を二分しないように、財政の破綻を未然に防ぎ得るような体制にぜひ御勘考いただきたいと、かねて要望し続けて参つて来ている次第でございます。行政委員会としての教育委員会を廃止し、諮問機関としての教育委員会に切りかえてもらいたいということは、かねて私たちが声を高らかにして叫んでいるところでございまして、この点をとくと御勘考いただきたいと考える次第でございます。
  11. 森田重次郎

    森田委員 そこでもう一つそれに関連してお尋ねいたしたいのですが、今教育委員会なるものが、妙な姿で妙な機会から生まれた。ところで今金がいるものですから、すぐ予算を強く要求しなければならぬ、こういうことになつている。しかし今のあなたの御意見ですと、大体こういうものは廃止に賛成だ、こういう御意見ですね。そこで一旦生まれたものを、ここで半年なり一年なり育てて行く、そのあとになつてこれをまた廃止する、そこに国家的に考えて非常なむだがあると考えられるわけです。だめなものなら、一刻も早くだめにした方がいい。もしまたこれを改正して助長できるものならば、制度を改めて伸ばして行く、こうしなければならないものだと考えます。そこで私は、これが生まれたあと、あなたの御意見のように、これはすみやかに廃止してもらいたいという町村長会での意思決定があつたかどうか、この点を確かめておきたい。
  12. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 先般の全国町村会代表者大会におきまして、市町村における教育委員会をすみやかに諮問機関に切りかえてもらいたいという決議がはつきりでき上つております。なお言葉を返すようでまことに恐縮でございますが、私たち考えといたしますと、教育市町村立学校運営管理をいたして参りますのには、今までの町村役場機構だけではとうていできないことだと考えます。一名あるいは二名の学事主事学事係等でこれが運営ができる問題じやない。どうしてもここに相当数事務局も置かなければなりませんし、また指導主事等共同設置、その他の方法によつて設けて行かなければならぬというふうに考えるのでございます。私たちの遺憾といたしますのは、この貧弱な財政二つの独立した行政機関が奪い合いをするという危険性のある現在の機構に対してでございます。従つて御指摘になられましたように、かえるべきものなら何も予算相当つぎ込まなくても、早いうちにかえてしまつたらどうかという御意見に対しましては、すでに生れたもので十分に機能を発揮し得ない状況にございますので、ここに最小限度の費用を私たちはぜひ必要だ、こう考えておる次第でございます。今後諮問委員会等に切りかえられることがありましようとも、この事務局機構は大部分そのまま残るのではないかというふうに考えておる次第でございます。  以上、まことに僭越ではありますが、所見を申し上げます。
  13. 森田重次郎

    森田委員 今のあと諮問機関として事務局等がそのまま残るというのは、財政上の問題も含めてのことをおつしやるのですか、それが一つ。もう一つはそれは全国町村長会での御意見ですか。それとも今のあの方は、局の組織はそのまま残るものと思います。とこうおつしやいましたね、これはあなた個人の御意見でございますか。
  14. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 先般の町村長大会におきましては、諮問機関にされた場合の事務局機構をどするかということには、全然触れませんでした。しかしながら私たちが私たちの部局にございます政務調査会あるいはその他の役員会において諮問機関等に切りかえるという方針を定めましたときには、その諮問機関に切りかえた後の機構についても、十分検討を続けて参つたのでございまして、決して私一人の意見ということではないことを御承知おきを願いたいと思います。  それからそのあとのことは、財政のことも考えての発言かという御意見でございましたが、私たちの方で考えましたのは、まず第一に教育市町村立学校運営管理をするのには、どのような機構でなければならないかということに主眼を置いて検討を続けて参つたのでございまして、当然必要である機構に対して国家がその財政めんどうを見るということは、これまた当然の事柄ではないかと考えている次第でございます。  以上、簡単に御答弁申し上げます。
  15. 森田重次郎

    森田委員 大体教育委員会についての質疑は打切りますが、それでもう一点お伺いいたしたいのです。それはこの間から自治庁での御説明とあなた方の方の説明と、双方とも聞いておるのですが、給与調査方法でございます。どうも地方の方が一般のより高いのだという御説明もあり、要するにこの調査方法が問題になると実は思うのです。どうも私らには――少くも私には今の説明で一体合理的かどうかということを――自治庁の方の調べと、それからあなたの方の調べ方について、どうももう少し何か調査方法が科学的、総合的であつていいように思うのですが、めいめいの利益になる立場といいますか、その立場を有利になるような方法調査しているのではないか。それでそういう食い違いが出て来るのではないかと実は思うのでございます。そこで私先ほどのあなたの御説明ではちよつとはつきりいたしませんので、もう一ぺん調査方法をひとつ御説明願いたいと思います。なおあなたの御説明をお伺いしたあとで、ひとつ自治庁の方の調査方法、これはでこまで一体科学的な根拠があるのか、あるいは合理的な根拠があるのか、この点を二つ並べてひとつ御説明を煩わしたいと思います。
  16. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 まことにごもつとな御質問でございまして、その点私たちの方の調査も非常に大まかなものであり、御期待に沿いかねる点もあるかと思いまして、恐縮に存じ上げる次第でございます。私どもの方で調べましたのは、現在町村議員が平均幾らくらいの給与をもらつているか、その点だけを調査したのでございます。約一千の町村に――しかもこれは片寄つてはいけませんので、北海道から東北、関東各ブロツクにわたりまして、それぞれ調査票を送付いたしまして、なおその町村の人口別にいたしましても、一万以上の町村で三千四百三十人、それから一万から五千の間で三千六百十三人、五千から三千の間で三千八百七十人、三千以の村で二千五百五十三人というような回答があつたわけでございまして、従つてあらゆる町村の態様を網羅しているものと考えている次第でございます。しかしながら私の方で調べましたのは、給与額の平均額調査いたしたのでございまして、従つてこの額をただちに一万何千円のベースと比べて高いとか安いとかいうことは、これは私いちの方として申し上げることはできないのでございます。当然出身学校の学歴とかあるいに勤続年限とか、その他の条件によりまして、それぞれ厳正に算定をしなければならないものと考えておる次第でございますが、ただ先ほど申し上げましたのは、よしんば国家公務員並に基準をとつて算定して百九十八円給与費が高いと言われましても、現実にこういうふうに平均給与が低い場合に、自治庁がお考えになつていられるような、そういう方法は私たちはとり得ないのだ。その実情をお訴え申し上げた次第でございます。従つて公家公務員と同じような基準であるいは算定なされれば、私たちの信用しておる自治庁が参加して調査なされた結果だそうでございますから、当然そういう数字があるいは出て来たのかもしれません。まだその自治庁側調査方法について詳細なことは存じておりませんので、はたしてどういうことになつておるかは申し上げかねますが、かねて町村めんどうを見ていただいている自治庁が参加してこれを調査なすつたというのであれば、私たちもそのまま受取るにやぶさかではないのでございますが、その結果がそうであつても、私たちとしてはそれを現実に百九十八円をさつ引いて増額するという、そういうようなことは私たちとしてはできないのだという実情だけをひとつ御勘考いただきたいと考える次第でございます。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方公務員の給与調査方法でございますが、これにつきましては先般お手元に御配付申し上げました地方公務員の給与に関する調査並びに調査結果の調べのものがございますが、それの要点を簡単に申し上げますと、ただいま全国町村会長のお述べになりましたことでもおわかりいただけると思いますが、実態を比較いたしまして、絶対額が国家公務員の場合と比較して高いか低いか、こういう調査が、町村会の方でおやりになつ調査のように今承つてつたわけでございますが、自治庁の今回大蔵省、文部省等々と一緒に行いました調査におきましては、調査方法昭和二十一年のいわゆる凹凸調整と申しますか、給与が非常に任免権者まちまちにやることになりまして、でこぼこが出て参りましたので、その調整をいたしたわけでありますが、その調整をいたしたその基礎のところから押えて、その後ベース・アツプその他によつて法令の変更がありました場合におきましてはそれを基礎にいたし、また法令のありませんところにつきましては、実情を加味いたしまして、基準一つの級号表というものをつくつたわけであります。一定の学歴、一定の勤続年数の者が幾らであるかという一つ基準級号表といいますか、俸給の号俸表をつくつたわけであります。それと個々の地方団体の職員の一定学歴、一定勤続年数のものがどうであるかという比較をしたわけでありまして、しからば地方公務員のどういう範囲の対象のものを調査いたしたかと申しますれば、大体二割前後の抽出をいたしたのでございますが、これはいわゆるアツト・ランダムといいますか、そういう形で抽出をいたしたのであります。ただ抽出をいたします際に、対象をいわゆる事務を主とする者と、技術を行います者と、労務を提供する者とこの三通りの種類にわけまして、それぞれにつきまして一定の種類のものを抽出いたして、それと先申し上げましたものさしとを比較して、はたして高いか低いか、こういう調査をいたしたわけであります。従いまして絶対額自体を比較いたしますると、これは必ずしも国家公務員の絶対額の平均よりも高いとはいえないのであります。町村の場合などはことに学歴が低かつたりいたしますので、絶対額から考えれば、これは国家公務員より、ずつと低いのであります。ただもしもさような学歴の低い者が国家公務員なつたならば、どういう給与を受けるかというその給与と比較いたしますると、それよりは百九十八円高い、こういう数字が出て来ておるわけであります。
  18. 門司亮

    ○門司委員 今の白鳥さんのお話の中で、少しふに落ちないところがありますので、それだけ聞いておきたいと思います。その前に、今日は今までずいぶん議論しましたので、これ以上鈴木さんと議論することは避けたいと思いますが、今の自治庁の次長さんの答弁、まつたく架空のもので、実態から離れているということだけはつきり指摘しておきます。国家公務員の方も大体帳面の上でやられ、さらに地方自治体に勤めております諸君が、学歴その他の点から考えればこうなるということは、まつた実情を無視したものであつて地方自治体は御存じのように勤務年限が比較的長いとか、あるいは何度も言われておるように、初任給はやはり従来中央よりは高かつたということは事実である。そういうものを一切否定して、そうしてただ国家公務員であつた場合は、これくらいしか支給できないということになると、これは地方実情をまつたく無視した、過去今までの自治体のあり方というものを、全部無視した一つのしやくし定規的な考え方であつて従つてわれわれの意見とまつたく食い違つた意見が出て来ることは当然だと思います。これ以上今日は追究することは避けたいと思いますが、そういう間違つた考え方で推定された給与に対する今度の補正予算平衡交付金の増額とものは、まつたく根拠のないものだと申し上げても、私はさしつかえないと考える。そうい根拠のまつたくないようなもので、ほとんど架空の数字にひとしいようなもので推定されて、そうしてこれで押しつけられたのでは、地方はとうていやつて行けないと思います。このことについての意見は、今日は長くなりますから差控えておきますが、この場合に、町村会の会長さんにお伺いしておきたいと思いますことは、少しこの予算から離れるようでありますが、教育行政の一元化の問題であります。教育行政の一元化の問題について、町村長意見としては、今の教育委員会制度を改めて、諮問機関にするということが一つ考え方、それからもう一つは、行財政を一致するということになつて参りますと、今ちようど知事会で決定いたしておりますように、財政権地方にやつてしまう、こういうことになる。そうなつた場合に、はたして地方自治体、ことに町村が、現行の給与そのものが行われるような一体財政的な処置ができるかどうかということであります。これは私はきわめて重要な問題だと思います。この点についてのお考えがありましたら、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  19. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 先生方の俸給を現在県で持つておるのだが、やがて行政を一本にするからには、お前たちの方でそれを支払うという考えがあるかという御質疑だと思います。私たちの方では一刻も早く任免権者が給与を負担しないという不合理は是正いたしたいものだと考えております。しかしながら府県の段階において教職員の俸給を支弁するという前提のもとに、現在の地方税制が立てられておるのでございますから、私たち考えを実現する前提としては、地方税制を根本的に改めなければならぬ、相当多額経費市町村の上にかかつて来るのでございますから、従つて地方税制を根本的に立て直さなければならぬ、それを前提として私たちの方でお引受けいたしたい、行政の一元化をはかりたいと考えておる次第でございます。最近地方制度調査会が設けられまして、地方制度についての再検討する機会が与えられるそうでございますので、その調査会等において十分御検討いただき、教職員の方々が――かつてたち俸給を支払つておりました場合に、給与の不払い等が起りまして、今までの制度に切りかえられて参つたのでございますが、先生方が安んじて町村立学校に教鞭をとつていただくように、私たちの子弟を安んじて教育をしていただきますように、はつきりした税制を打立てていただきたいものだと考えておる次第でございます。
  20. 門司亮

    ○門司委員 非常に大きな問題になつて来ますが、税制の改革の問題につきましても、今の都道府県税と町村税との調整の仕方だけでは、これは私よりもよくおわかりだと思いますが、今の白鳥さんのお考えは、なかなか私は実現は困難だと考える。この点だけはもう一度聞いておきたいと思う。御承知のように都道府県税の主たるものは遊興飲食税入場税が大体これの骨幹になつている。あと事業税であります。ところが農村に対する事業税は廃止されております。入場税遊興飲食税は都市に限つております。そうすると都道府県税の大きなものは、ほとんど全部が都市に偏在していると、現行では見なければならない。従つてこれをどういじくりまわしてみましても、これはなかなか町村財政にこれから委譲するということは、非常に困難だと考える。それなら市町村税による面をふやすということになれば、これは非常な大きな問題になつてしまう。もう固定資産税のごときは、いつまでもこれに税金をかけるということは、私はこれ以上困難だと思う。そうすると、税制改革の面では、市町村税制と府県税制の関連性を考えて行きますと、私はこれ以上改革してみたところで、なかなか今のお話のように、貧弱な町村が、現行の教育委員会法に基づくような、あるいは教育法に基く子弟の教育に必要な財源をここから生み出せないと考える。どうしてもこれをやろうとすれば、他に大きな方法を講じなければ、とうていこれは困難である。こういうことを考えてみますと、そう簡単に、財源措置ができればということは、今浮ばないのでありますが、今のお話では、これについては地方制度調査会ですか、政府機関でできるもので、ある程度考えられるのじやないかとのお考えでありまするが、私の考え方としては、そういうことについては今の税制制度のもとでは非常に困難である。従つて勢い頼るとすれば平衡交付金による以外に方法はない。それと教育委員会あるいは教育の国庫負担の関係しておりまする法案に書いてありまする通り、実際支出した額の半分以上を持つということでも、私は現行では行われないと思う。それで結論は教育費に対しては全額を国庫が負担するということにしなければ、今のお話のようなことはとうてい私は困難だと考える。従つてむしろ税制改革よりも町村長さんのお考えとしては、私は教育費に対しては教職員に何らの迷惑をかけない。そこまで行くなら全額国庫負担にした方がまだいいのではないかというふうに考えられるが、もしこの点についてのお考え等がございましたならば、ひとつお聞かせを願つておきたいと思います。
  21. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 今まで門司先生には私たち常にいろいろ御指導にあずかつております。またただいまの教職員の給与の支払いをどこでするかという問題につきまして、まことに行き届いた御考察を拝聴いたしまして、敬服に存じ上げる次第でございます。これが義務教育の全額国庫負担という建物をとりますと、これはそういう建前をとることは、決して自治の確立に資するゆえんでないと考える次第でございます。従つてそういう建前でなしに、何とか地方税制を改正いたしまして、解決をはかつて行くようにしたいものだと考えておる次第でございます。今までいろいろと私たちの方では門司先生を頼りにしているのでございますので、そう簡単になかなか税制改革では行けないという結論をお出しになられて、私たちを失望させないように、ぜひひとつ今後とも御援助をお願いしたいと存じます。
  22. 門司亮

    ○門司委員 そうだとしますと、もしそういう意見が一応立てられる、立てられてもこれがだめだということになりますと、必然的に税制改革の方に大きく響いて来るわけであります。税制改革の問題をいかに今の日本の立場でやろうといたしましても、この問題は単に税制改革だけでは納まらないのであつて町村の今日の規模のもとに、こういうことを行うということになると非常に大きな問題であります。たとえば現在行つております日本の僻陬教育のごときは、大体一つの村で一人の教職員に対する生徒の数が、少いところは八人から九人、十人になつていないところがある。多いところは一つの学級を八十何人も受持つておるところもある。これも同じ教員であります。ところがそういうところへ財政負担の均衡を一体どういうふうにはかつて行くかということになると、これは財政に直接響いて来るのでありますから、これは非常に大きな問題であります。従つて小さな町村ほど教育費の加重される率は大きいわけです。従つてこれを解決して行くには、いかなる方法があるかということを私は今お聞きしたのですが、国庫の全額負担は困るということになると、最後にはそういう問題に触れて来る、触れて来るということになりますと、これをどう解決して行くかということを考えなければならない。いずれこれは調査会その他で出て来ると思いますが、何とかしてというだけではなかなか私どもとしてはうまく行かないと思う。そこで問題になつて参りますのは、現在のところ知事会もこれを委譲したい、村町会もこれを委譲したいというその点の意見だけは大体一致している。ところが財政的にこれの裏づけが非常に困難であるということであります。その財政の裏づけが全額国庫負担では困るということになる。そうすると現行の半額国庫負担をかりにすえ置くといたしましても、半額だけをどんな貧弱な町村でも、その町村でまかなうだけの財政力を立てて行かなければならない。そういたして参りますると、今の平衡交付金法の算定の基礎になつておりまする児童一人当りに対する幾らという一つの行き方、それから児童一人当りに対する校舎の坪数を幾らにするというような一つの行き方、これらに対しましても、私どもといたしましては根本的にこれの考え方を自治庁あたりでかえてもらつて、そうしてやはり何らか他に基準を設けて、そういう僻陬の地、非常に子供の少いところで負担区分の多い町村に対しては、特別の平衡交付金か何か処置をしなければならぬと考える。その点については一体自治庁はどうお考えになつておるのか、そういうことを将来の平衡交付金の中に加味されてやられておるのか、今の自治庁のお考えは、ただ単に児童の数、教員の数について簡単にこれが片づけられて行くと、町村はまつたくどうにもならぬことになるのであるが、自治庁は将来この財政平衡交付金算定の基礎の上に、そういうものを十分お考えになつて、どこかに線を引いて、そうして平衡交付金算定をされるような御意思があるかどうか、この点を鈴木君の方から伺つておきたいと思います。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 平衡交付金基準財政需要算定の方式につきましては、過去三年間の経験と申しますか、研究をだんだん積み重ねて参りまして、まだもちろん完全というわけには行きませんけれども、だんだん当初よりは進歩して参つたと私ども考えているわけでありますが、今の教育費につきましての財政需要の算定に関しましても、普通交付金の中に要するに一般的な教育財政需要の中に盛り込めるだけは、できるだけ適切な尺度考えて、一般の普通の交付金の中にこれを盛り込んで行つて、それによつてどうしても処置できないような特殊の問題につきましては、これはやはり特別平衡交付金制度があるわけでございますから、それの運用によつて調節をしてもらいたいというふうに考えている次第であります。
  24. 門司亮

    ○門司委員 それもきわめて抽象的なお答えですが、私の聞いておりますのは今の平衡交付金は、府県が単位で教育費を支払つているから大体つじつまを合せていると思いますが、今の町村長さんの御意見のように、下にこれを全部おろしてもらいたいということになると、必然的に非常に大きなでこぼこが出て来るわけです。そのときには私は平衡交付金というものは、当然今のような姿ではとてもこれはやつて行けない、従つて自治庁としては、これは将来の問題と思いますが、しかしいずれにいたしましても、教育委員会の問題をめぐつてそういうことがなされておりますので、自治庁平衡交付金をきめられる場合に、今のような形でなくして、現実に小さな町村に対しては算定基準額の基礎を変更される御意思があるかどうかということをひとつ伺つておきたい。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと御質問の趣旨がはつきりいたしませんでしたので、あるいは最初の答弁が御趣旨に沿わなかつたかも存じませんが、義務教育費国庫負担制度が来年度から実施になりますれば、その関係地方の負担額というものは減つて参るわけであります。これは今かりにお話のごとく教員の給与費その他の負担をすべて市町村におろすというような前提になりますれば、これはもちろんただいま教員の給与関係経費は府県の財政需要の中に入つているわけでございますから、それをおろして、各市町村ごとにこの教育費の基準財政需要の中には給与費を含めて算定する。そういうような方式に当然切りかえなければならぬわけであります。
  26. 横路節雄

    ○横路委員 私は白鳥参考人にお聞きしたいと思いますが、自治庁の方では町村長会で要求している百五億という数字については絶対に承服できない。大体町村は放漫財政政策をやつておる、そういうものについて一々自治庁手当してたまるものかというのが自治庁考え方なんです。私のお聞きいたしたいのは、何こういう金をやらなくとも、これはいわゆるはつたりの財政計画で、金をやらないでおけば、町村は適当に緊縮圧縮をして、ちやんと年度末にはつじつまを合せるのだ。どうもこういうように考えられているような気がするのです。だから何ぼあなたの方で大蔵省なり自治庁に要求しても通らぬ。私がここでぜひお聞きいたしたい点は、この要求されているものは、もうぎりぎり一ぱいの数字なのか。従つてぎりぎり一ぱいの数字であれば、当然二十七年度の末には赤字になる。そういうことが明確になつて来ないと、どうも私たちが聞いていても、またこれを官庁に何割か水増しした要求をここでやつて、年度末に行つてつじつまを合せて、やはりこの委員会でいろいろお話を聞いたけれども自治庁から、町村財政は最後にうまく行つたということになりますので、きようはそこのところを、お隣りにあなたの方で陳情なさる次長がおられて、たいへん都合が悪いかもしれませんが、それに遠慮なしに、そういうとことんのところをお話していただきたい。きのう実は予算委員会でお尋ねいたしましたところが、本多国務大臣から、町村のそういう放漫財政について、一々手当してたまるものかとは言いまんが、そういうものに対しては、一々手当はできない、こういうように言われておりますので、放漫財政かどか、もう一ぺんしつかりお話をしていただきたいと思います。
  27. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 ただいま実は私たちとしては、まことに意外なことをお聞きしたわけであります。町村財政が放漫であるという点につきましては、これはまつたくそのような事実はございません。これは従来私たちが何回も主張して参りました通りに、町村では経費をできるだけ節約しておりながら、政府の方で考えているような、基準財政需要額の算定方式によりますと、とうていあの中に盛られました行政費では、まかない切れないのであります。ことに人口の小さな村に参りますと、とてもそういうわけには参らぬのでございます。従つてその経費をどこから捻出するかと申しますと、一面におきましては、税収の確保をはかり、また他の一面におきましては、当然私たち自治体としてなすべき仕事を犠牲にして、行政費をまかなつているのでございまして、そのしわ寄せがどこに行つておるかと申しますと、町村において、どこの町村でもやつておりますような土木費にいたしましても、消防費にいたしましても、あるいは教育費にいたしましても、部落負担になつて来るわけでございます。町村財政では、とうてい住民の希望の一部もかなえることができませんので、従つて道路の補修をやりますのには、地元負担を仰せつけております。こういうところにしわ寄せが行つてしまつているわけでございまして、その額が、大体私が今年の初めでございましたか、調査いたしました資料によりますと、町村で計上している土木費、教育費、消防費の予算総額の三分の一に達する次第でございます。従つてこれはどこから来ているかといえば、行政費算定が不当に少い。そしてまた従つて地方財政平衡交付金町村の見積りが少いので、私たちはそのしわ寄せを住民の負担においてやつている。これは都市にも府県にもない実情でございます。その点放漫財政というようなことは、まつたく反対の現象を呈しておることを御承知おき願いたいと考えております。
  28. 横路節雄

    ○横路委員 参考人に重ねてお尋ねいたしますが、私昨日文部大臣に、町村教育委員会設置について、二十億四千万円を全国町村会から要求があるという点についてただしました。ところがこれまた文部大臣は、今回補正予算に組んだ市町村教育委員会設置に関する十億八千万円のうち、町村教育委員会には約九億九千万円組んである。そうするとここだけですでに十億以上違うわけです。私はこれは不当ではないか、こういうように問いただしましたところが、文部大臣はこう言うのです。文部省としては、九億九千万円でやるように、ちやんと指示をしてあるんだ。文部省で指示してある通りやれば、自分の方で組んだ九億九千万円でちやんとまかなえるのだ。それを二十億四千万円というのは、文部省の指示以外のことをやるからこういうことになるのだ、こう言うのです。自治庁の方で組みました今度の十億八千万円の内容につきましては、御承知のように専任の教育長を置く町村、専任の教育長を置かない町村、それからあなたが今おつしやつたことで、各郡ごとに五名程度の指導主事を置く、などということについては、全然見ていないわけです。私も指導主事を置かない教育委員会などというものはないものだと思うのですが、文部省ではこれでやれ、こう言つているのに、町村長会の方で、そのわくを越えてやるからはみ出すのだ、こう言うのです。そうすると今の放漫財政にだんだん線を合せて行くようなことになりますが、あなたの方では文部省の指示以外のことをやつているのか。それとも文部省から指示はないのだけれども町村長として、町村教育委員会設置されて、最低限これがなければ町村教育ができないと考えてやられたのか。その点やはり十億何ぼ違いますので、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  29. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 ただいままたまことに意外なことを聞き、まことに残念に考えておるものであります。と申しますのは、文部大臣が自治体に指令を発するごとき、かりに発言をいたしたとすれば、これはゆゆしき事柄だと考えております。私たち自治体運営につきましては、文部大臣の指令を一々仰いでやらなければならない立場にはないことを、はつきりこの民主議会の席上におきまして表明いたしたいと考えておる次第でございます。  なお指導主事の問題につきましては、文部大臣は、今年度においては町村には指導主事を置かないという方針で予算を御折衝なさつたそうでございますが、ただいまお説の中にありました通りに、私たちといたしますと、地方教育委員会の活動を十全ならしめるためには、また任務を遂行するためには、ぜひともこれだけのものは必要だろうと考えている次第でございます。以上私の見解を率直に申し上げます。
  30. 横路節雄

    ○横路委員 次に先ほどお話にございました、地方税の中の増収か減収かというのが、皆さんの方でも非常に大きい問題だと思うのであります。この点につきまして、ただいまお話にございました旧法による税、二十四年度までに制定された税で、いわゆる取立てのできなかつたものについて、あなたのお話の通り二十四億自治庁で見込んでいるわけでございます。この二十四億については、一体どの程度徴収になれるお見通しなのか。地方税において非常に増収になるといわれている町村分においては、これは非常な大きなウエートを持つておると思つておりますので、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  31. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 これは私個人的な見解でございまして、全国的な資料を持合ないで、まことに恐縮でございますが、私は今まで五箇年間、町村財政をお預りいたしまして、徴税等に当つていたその成績を申し上げますと、特に私の方では滞納整理には力を注いでおるのでございますが、大体私の町でい、普通の税金はその年度の八割くらいが従来徴収ができたわけであります。滞納分は、前年度のものは、約五割程度徴収ができております。それより以前のものにつきましては、三割をやや割るのではないかと考えているのでありまして、もしも自治庁の方で旧法による税金滞納額の三〇%をお見越しになつたとすれば、私の町においては、大体そのくらいの計算で進んでおり、まつたく一致している数字でございます。しかしこれが特に滞納整理員等を設置して、毎日々々滞納整理に尽力しております津田沼町の現状が、全国一万の町村に適合するかどうか、これは私として何とも申し上げ得ないのであります。なおこの滞納整理の可能の問題ばかりでなしに、先ほど申しました通りに、これはかつてたちの方に滞納が起つて生じた赤字を補填すべき財源なので、これが今年度の財政計画中に入るべき財源とは、どうも納得ができないということだけを御承知おき願いたいと思います。
  32. 横路節雄

    ○横路委員 もう一つだけ参考人にお尋ねしたいのですが、それは給与費の増のところで、今回の給与引上分が二十二億、昭和二十六六度十月給与改訂にあたりまして、二十七年度修正地方財政計画によつて増額すべき給与関係費が三十一億、非常に大きいわけです。これがあなたの方から要求されている百五億のうちの半分以上を占めているわけございます。そこで私はあなたにお尋ねをいたしたいのですが、町村については、百九十八円ですか、実際に高いという数字が出ているわけです。ところが今あなたのお話で、実際に全国町村吏員平均給与をとつてみたら、七千二百四十円になつた、こういうわけでございます。そうすると私が考えてみますのに、やはりどの町村においても、あるいは中央官庁においても、人員構成のうちで年齢、家族、そういうものについては私はそう大差がないじやないか。逆に町村吏員については相当年の多い者が多く、家族をかかえている者が多いのに、あなたの調査では平均七千二百四十円で、国家公務員については、御承知のように約一万四十円ないし一万六十円、そうすると二千八百円も違つて来る。そうすると、それを構成している個々の人員について、自治庁調査なさつたことについては、参考人は御存じだろうと思いますが、個人別カードをとつて、そして給与別に調べてみたその結果、町村は百九十八円高いということと、今あなたが参考人として出られて、平均七千二百四十円で、約二千八百円国家公務員よりも低いということとは、どうも著しく矛盾があるようでございまして、もしもその点を参考人がもう少し詳細に、さらに自信をもつてお話していただければ、この五十三億六千万円というのは、何とかもう少し掘り下げて検討できるのではないのかと思います。私聞いていて、まことにこの点は疑問にたえませんので、もうちよつとお知らせをしていただきたいと思います。
  33. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 ただいまの御質疑のうちの第一点は、私の方の調べのうちのロに該当するものが三十一億六千万円あるということでございますが、これは自治庁の方の財政需要の中には、御算定にならなかつた部分だろうと考えております。実は昨年ベース・アップをいたしますときにも、市町村吏員につきましては五百八十円高いんだ、それだけをさつ引いて増額をすればいいんだということで、財政措置をおとりになられたわけであります。従つて昨年の半年分、今年の一箇年分は、この前のベース・アップのときに、すでにこれだけの格差をつけられ、とうてい平均給与額の低い町村では、そういう無謀なことができませんので、他の事業等を打切りましても、国家公務員と同じような歩調を、大部分町村がとつた考えている次第であります。そういたしますと、町村財政総額に三十一億ばかりの不足がすでに出ておるということで、ここに掲げたような次第であります。  なお私の方の調べの平均給与額と、自治庁の御発表になられましたものとが、非常に開きがはげしい。従つてこの点について御追究があつたと存じておりますが、この違いのおもな点は、一つには私の方で調べましたのは本俸でございます。従つてこのほかに家族手当、勤務地手当のつく幾らかの町村では、勤務地手当が加算されることと相なるわけでございます。私の方で調べましたのは、本俸のみでございます。  それから、おそらく自治庁調査と食い違つているだろうと思いますことは、自治庁の方では一人々々について国家公務員と同じように取扱えば、かくかくの俸給になるのだということで御算定になられた額、それが国家公務員に比べて百九十八円高いという御結論が出たと思いますが、私どもの方ではそういうことでなしに、現在の吏員生活状況が一体どのくらいであるかということを調べますために、本俸だけを集計いたしまして、その平均額算定したのでございます。従つて国家公務員の方よりも、町村吏員の方が、あるいは出身学校等が違いますので、多少の相違が出て来るかとも思うのでございますが、なお先ほど私が指摘いたしました通りに、民間の会社にいたり、あるいは事業場に勤めておつた者は、その勤続年限を六〇%程度に切つて算定するのが、国家公務員の方の給与算定の仕方だそうでございます。そういうことを町村吏員にそのまま当てはめるということは、とうていできないのだということをぜひひとつ御勘考をいただきたい。平均給与額が一万円とか二万円とかになればこれはいざ知らず、平均給与額がとにかく七千二百四十円にしかすぎないような場合に、国家公務員と同じ基準地方公務員にとるということ自体が、困難じやないかということを先ほど申し上げましたが、なおこの点について、特に御勘考をいただきたいと存ずる次第でございます。
  34. 横路節雄

    ○横路委員 鈴木次長にちよつとお尋ねをいたしたいのですが、この委員会には配付になりませんでしたが、十二月八日付で大蔵省から衆議院の予算委員会提出された資料として、昭和二十年度以降公務員給与ベースの推移というのを出されたわけです。この点につきましては、一番最初に委員会に出ましたとき、私から鈴木次長に対して、この地方公務員の差を調べる際の基準は、昭和二十三年一月一日から施行された二千九百二十円ベースの切りかえ措置が基礎にならなければならぬ。それは現在の級並びに号については、二千九百二十円ベースを採用したときに、新たに職階制を採用したものであるから、従つてそれ以前の千二百円ベースから千八百円ベースに至るものについて、これを一々適用することについてはおかしいではないか。この点については、あなたは後刻返答するということでありまして、この間私たち手元地方公務員の給与調査方法についてという資料を出されたのですが、どうもこれを読んでみましても、やはり昭和二十一年七月、それから昭和二十二年の九月、ことに昭和二十二年九月三十日の凹凸調整の特別支給というものが、基礎になつているようですが、大蔵省から配付になりましたものによりますと、その俸給月額及びその級号への当てはめにあたつては、二千九百二十円ベースの切りかえ措置を基礎として、それ以前における各べースヘの切りかえ措置から逆算するという方法、二千九百二十円ベースを基礎にして、その前のものについては、それを逆に持つて行く、こういうやり方をとつているように私は大蔵省から配付された資料では受取る。ところがあなたの方で地方公務員法に当てはめたものについては、二十一年七月、二十二年九月というように、順に持つて来ている。この点についてはどうも私は、国家公務員について算定した尺度と、地方公務員について算定した尺度において著しく違いがあると考えるのでございます。あなたの手元に配付をされた資料がなければあとでもよろしゆうございますが、もしも知つていらつしやるなら、今の町村吏員との関連もありますので、お聞かせいただきたいと思います。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、お手元に配付いたしました資料のうちには、御指摘のように昭和二十一年の七月の官庁職員給与制度改正実施要綱に定められたものをひつぱつておりますが、これはたとえば学歴、資格というものをどういうふうに見るか、あるいは経験年数というものをどういうふうに見るかという場合に用い、それからさらに凹凸調整によりまして調整されたものを土台にして二千九百二十円ベースの切りかえというものを積み重ねて行つたわけでございまして、二千九百二十円べースの基礎になりまする場合は、要するに千二百分の二千九百二十というものを凹凸調整によつてとられましたベースにかけて出して行く、こういうような基礎になつておると思うのであります。なおしかしこの点につきましては、非常に技術的な問題でございますので、あるいはそれだけの説明では不十分かと存じまするが、また後刻申し上げたいと思います。
  36. 横路節雄

    ○横路委員 今のことに関連して本多国務大臣に私お尋ねしたい点があるのであります。それはきのう緒方官房長官が、地方公務員関係の職員をもつて組織している労働組合のうちの自治労連という団体と、予算委員会が終りましてからお話合いがあつたのでございます。そのときに緒方官房長官からこういう話が自治労連の諸君にありましたので、この点についてはぜひ確かめておかなければならぬと思うのです。それは先般の全国知事会において、地方公務員の三百四十八円、教員の三百四十九円について、ぜひ増額修正してもらいたいという意見の開陳があつたが、しかしもうすでに補正予算を組んだので、今回はこれについては増額修正はできないが、しかし昭和二十八年度の当初予算において今回切下げられた分については増額修正するということで、全国知事会と政府との間に了解の一致点を見出したのである。従つて今回については増額修正はできないけれども、君たちの要求の分については、二十八年度の当初予算においてやる、全国知事会においてさように政府との間に了解しておるから、ひとつ心配しないように、こういうお話があつたわけです。もしこれが事実とすれば、三百四十八円、三百四十九円、今白鳥参考人の申された百九十八円についても同様に政府は不当であるということを、みずからお認めになつたのではないかと思うのであります。緒方官房長官が間違つたことを言われたのか、それとも官房長官がほんとうのことを言われて国務大臣あるいは次長の方からこの委員会にそういう話を今まで伏せられておつたのか、この点非常に大事でありますので、ぜひお聞きかせいただきたいと思います。
  37. 本多市郎

    ○本多国務大臣 政府の方針といたしましては、地方財政計画の中に、地方公務員の給与予算の確保の基準といたしましては、やはり国家公務員給与に準ずる、それによつて財源の確保をして行くということが、根本方針と心得ております。
  38. 横路節雄

    ○横路委員 私のお聞きいたしておりますのは、緒方官房長官がそういうようにお話をなすつたのは、やはり今のところは直接地方財政との関連もございますから、私は本多国務大臣がお話をなすつたのではないかと考えているわけでございますが、緒方官房長官のお話をなすつたことは、官房長官の間違いであるのか、全国知事会と自治庁の間にそういうお話は全然なすつていないものか、もしもなすつていないものならば、私はあらためて緒方官房長官にぜひお話をしなければならぬと思つておるのであります。今の御答弁でははつきりしませんので、もつと率直に明らかにしていただきたい。
  39. 本多市郎

    ○本多国務大臣 政府部内におきまして、来年度からは今回調整いたしております控除額を控除しないで、そうして地方公務員は地方公務員の実態給与に準じて予算を編成するというような話合いはまだしたことはございません。
  40. 横路節雄

    ○横路委員 そういたしますと、緒方官房長官のお話は何かの間違いであるというように解釈してよろしゆうございますか。
  41. 本多市郎

    ○本多国務大臣 緒方官房長官がどういうふうな表現をしたのか、私も聞いておりませんでしたのでわかりませんが、それはもう一度本人に聞いていただいた方が、はつきりするのじやないかと思います。
  42. 横路節雄

    ○横路委員 そうしますと、自治庁の方としてはそういう話をしていない、こういうわけでございますね。
  43. 本多市郎

    ○本多国務大臣 そうです。
  44. 横路節雄

    ○横路委員 それからもう一つ今の点に関連して、きのう大蔵省政府委員から教職員あるいは地方公務員の三百四十八円、三百四十九円について、その地方財政が自主的にやることについては、私は別に妨げない、だから地方財政でやれるならおやりなさいという答弁をしておるわけです。これは国務大臣もお聞きになつたと思うのです。これは平衡交付金は減らないけれども地方財政のわくの中で、自主的にどこかを節約してそつちへまわせるものならばやつてもよろしい、こういうふうに大蔵当局は答弁しておるのでございますが、それが政府の一致した見解でございましようか。
  45. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方財政の自主的運営という意味において、さよう申し上げたとすればその通りでございます。たとえば市町村財政を人件費に幾ばく使うか、その他事業費等に幾ばく使うかということは、まつたく自主的に運営されておるのでございますから、平衡交付金算定の基礎といたしましては、ただいまお話のような金額を控除して、算定いたしておるのでありますけれども、自主的運営の面において控除しない給与を続けて行くことも、何らさしつかえないことと存じます。
  46. 横路節雄

    ○横路委員 私は大臣にもう一度お聞きしたいのですが、そうしますと、地方公務員に対する給与平衡交付金算定基準上、三百四十八円、三百四十九円、町村の百九十八円という問題が起きたのであつて、実際に支給する額は町村、都道府県の自主的なやり方でよろしい、ただ平衡交付金算定する基礎をそういうふうに置いた、こういうふうに今御答弁なすつたようですが、それでよろしゆうございますか。
  47. 本多市郎

    ○本多国務大臣 その通りでございます。
  48. 青柳一郎

    青柳委員長 次に床次君。
  49. 床次徳二

    ○床次委員 白鳥参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、今回の補正予算に関しましては、町村長側と政府側の要望額が非常に違うのでありまして、もしも政府の案のごとくでありましたならば、年度末におきましては町村財政は非常な危機に陥るということを参考人は言つておられるが、かりに政府の原案通り予算ができました場合におきましては、市町村の実態はいかようになるか、またいかように対処せられるか、お考えがありましたならばそれを伺いたい。
  50. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 平衡交付金総額がこのように決定された場合に、町村がどういう結果になるか、その予測についての御質問考えるのでございますが、私ども町村財政をお預かりしております者といたしますと、もちろんこれは私個人の考えでございますが、どのような財政事情にあろうとも、赤字決算にしてしまうということは、できるだけ避けたいと努力しておる次第でございます。ただ昨年度のベース改訂にあたりましても、先ほど申しました通りに十分町村財政事情をおくみとりいただけなかつた。そのために、町村といたしますと赤字決算をいたしたところも少しはございますが、大部分町村ではそのような処置をとらずに、事業費を打切りまして運営をまかなつて来ている次第でございます。そのために、町村という自治体でありながら、吏員を雇うとかあるいは議会を設置するとかいうような、そういう義務的な費用にだけ財政の主力が奪われてしまいまして、かんじんかなめの住民の福祉増進のための仕事が、だんだん困難になつて来ているという実情にあることを御勘考いただきたいと考える次第でございます。従つて、今回もかりにベース・アップ等につてこのような差等がつけられ、総額が御決定になられますならば、またまたそういう町村の自殺行為の度合いを進めるにすぎないのじやないかと考えている次第でございます。その点を私また憂慮しておる次第でございます。
  51. 床次徳二

    ○床次委員 さらに教育委員会につきまして先ほどからいろいろ御答弁があつたのでありますが、政府の案に予定いたしましたごとく教育委員会並びにその事務局運営するお考でありますか、あるいは必要なものであるからやむを得ず町村費を足しまして、その運営をなさるお考えであるか、町村長側の御意向を伺いたいと思います。
  52. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 地方教育委員会設置されました以上は、できる限りの努力を払いまして、地方教育委員会機能を十分に発揮するように、私たちとしては努力するつもりでおります。
  53. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまは財源を相当無理してでもやろうと言われるのでありますか、あるいは指示の範囲内において運営せざるを得ないというお考えでありますか。先ほどからのお話によりますと、相当財源は苦しいのでありますが、さらに苦しい中におきまして、教育委員会の方に使いますと一層他を圧迫することになりますが、仕事の順序から申しまして、はたしてさようになりますかどうか伺いたいと思います。
  54. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 ただいま私の個人的な見解を申し上げたのですが、私の町ではそういたすつもりですでに予算を追加計上いたしている次第でございますが、しかし全国一万の町村におきましては、それぞれ財政の困難に伴いまして、先ほど申しました私などの考えとは違つた方向に動きつつあるように見受けられるのでございます。従つて地方教育委員会設置されても、人事権等を府県に委託してしまうというな動きも見受けられるのでございまして、こういうことに相なりますれば、せつかく地方教育委員会設置されましても、まつたくその趣旨が骨抜きになつてしまうと心配しておる次第でございます。
  55. 床次徳二

    ○床次委員 もう一つ伺います。毎回地方団体大蔵省の査定案とは大きな食い違いが出ておるのであります。今日まで数回見ておりますが、そういう経過をたどつておるのであります。今回におきまして多少前回と違つておりますことは、今回までは地方財政委員会というものがあつて、ある程度までは地方自治団体実情政府側に伝える機会があつた。国会にも意見を述べる機会が与えられておつたのでありますが、今回の官制の改正によりまし地方財政委員会というものはなくなつた。この点と関連いたしますかいたしませんかは別でありますが、今回の予算におきましては、地方団体側の意向と政府の意向とに従来よりも一そう差が出て参つておることは事実であります。この点参考人といたしましては、地方財政委員会のごとき機関がなくなつたために、実際の実情政府に反映する機会が少なくなつて来たとお考えになりますかどうか伺いたいのであります。なお地方財政委員会のごとき地方の実際の実情を公平に判断し得る、反映する機関を望まれるかどうかということを伺いたいのであります。
  56. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 かねて地方財政委員会制度が廃止されまして自治庁に吸収され、自治庁大臣の諮問機関として残りましたことを、私たち遺憾に存じておる次第であります。なお町村財政実情が、現在の機構では反映するのはむずかしいじやないかということを心配しております。と申しますのは、町村財政実情等を政府が聴取なさいましたのは、府県の総務課長あるいは府県を通じてでございます。しかしながら、現在財政的に府県と市町村との間は、相当相反する立場にある場合が多いのでございます。従つて町村財政実情を府県を通じて聴取するという方法は当を得たものでないというふうに反省している次第であります。しかしそういうような制度の根本的改正につきましては、いずれ地方制度調査会等において十分論議御研究いただきたいとお願い申し上げる次第であります。
  57. 西村力弥

    ○西村(力)委員 白鳥参考人にお聞きしたいのですが、私の県の調査によりますと、昨年に比較しましてことしの税収のパーセンテージが非常に落ちている町村が多いのであります。こういうあなたの御調査はございませんですか。
  58. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 ただいまの御質問、私うつかりいたしましてはつきり承知できなかつたのでありますが、もしも徴収率が落ちたということでございますれば、確かに徴税率は昨年の現在よりも落ちているように考えます。がその実際の調定額が昨年に比較して落ちているかどうかにつきましては、まだまことに遺憾でございますが、私の方では全国的な資料をとつておりません。
  59. 西村力弥

    ○西村(力)委員 徴税率が落ちているという原因は、町村住民の生活事情が苦しくなつた。こういうところから来ているのですか、それとも町村財政が苦しいものだから標準税率を越えてぎりぎりまでかけておる、こういう事情から来ているとお考えになりますか、その点ちよつとお尋ねいたします。
  60. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 これはいろいろと原因のあることでございましようので、簡単に推察することは困難だと考えておりますが、御指摘になられましたような事情も確かにあるのじやないかと考えている次第であります。
  61. 西村力弥

    ○西村(力)委員 全国町村で標準を越えて課税しているのはどのくらいございますか。また制限一ぱい課税しているのはどのくらいございますか。御調査がございましたら……。
  62. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 私の方では、制限限度一ぱいまで徴収しているところがどのくらいあるか、標準税率を越えて課税しているところがどのくらいあるかという資料を、まことに遺憾なことでありますが集めておりません。
  63. 西村力弥

    ○西村(力)委員 計数的なものはないにしましても、大体話合いの筋から得られたところから見まして、もう苦しくて越えようとしている、あるいは越えているというようなぐあいにお考えになりますか。
  64. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 ただそのうちで市町村民税の方につきましては、御案内通り第一方式と第二方式のいずれかによりまして税の徴収総額が、相当大きく変化して来るのでございます。従つて現在過半数の町村におきましては、税額の低い第一方式をとらずに総標準所得金額から所得税額を引きました第二方式を採用していると考えている次第であります。これも町村財政の苦しさの一端を打開しようという現われでないかと考えている次第でございます。
  65. 西村力弥

    ○西村(力)委員 町村財政が非常に苦しいということは私どもよく知つております。それも中央本省あるいは府県当局と違つて、じかに住民に接せられるのですから、苦しい立場がおありと思うのです。そういうところから、参考人のいろいろお話なさつておることは、ほんとうに身を切られるような思いで話をせられているのではないか、かように思つておるのでございまするが、この要求そのものは、先ほどもありましたようにハッタリでも何でもない。山をかけているものでもない、このように私は受取つておるのでございます。そのようにじかに住民に接するためにやむを得ず支出をする、あるいはそれを解決するために、財源措置を何とかしなければならないというような、いろいろな事情がおありと思うのですが、そういう具体的なものを二、三ございましたらお知らせ願いたい。
  66. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 御質問の趣旨に沿い得るかどうか存じませんが、町村財政が今非常に苦しんでおります一つの原因は、義務を伴わない支出が相当あるということでございます。たとえば国家警察の運営等につきましても、私の方の実例を申し上げますと、人口一人について二十円の協力費を仰せつかつております。あるいは人権擁護委員の活動の費用も全然ないというので、人口一人当り一円あるいは二円の費用を仰せつかつております。更生保護委員の活動についてもしかりでございます。あるいはそのほかの各般の政府機関が建築をいたします場合に、地元にそれぞれ負担を仰せつけておりまして、こういう義務を伴わざる負担額が一府県――数府県しか調べておりませんが、熊本県のごときはその総額が三億に達しておりますし、私の方の千葉県では二億七千万円、昨年あつたわけでございます。こういつたような例を全国的に推計いたしますならば、百億を越える国家財政のしわ寄せが、苦しい町村財政の中に来ているということに相なると考えるのでございまして、この点はぜひ皆様方の格段の御支持によりまして、そういつたことがなくても済むように御配慮をいただきたいものと考えておる次第でございます。
  67. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今義務を伴わない支出とありましたが、その中に税収が悪いために、あるいは平衡交付金配分が遅れたためとか、さまざまな突発的な事情とか、そういうために銀行借入れ、そういうものをやられて、その利子が相当額になるのじやないかと思うのですが、そういうものの御調査はございませんか。
  68. 白鳥義三郎

    白鳥参考人 今事業の金繰りのために、どのくらいの利子を支払つているのかの集計ができておりません。まことに遺憾でございます。
  69. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは本日の地方財政に関する調査はこの程度で打切ります。     ―――――――――――――
  70. 青柳一郎

    青柳委員長 西村君より本多国務大臣に対して質問の要求がありますのでこれを許します。西村君。
  71. 西村力弥

    ○西村(力)委員 時間も大分たつておりますので、なるべく簡単にやりたいと思うのですが、これまで地方財政に対する調査を何回も繰返して参つたわけでありますが、その間における当局側の御答弁を拝聴しておりますと、いろいろ前後矛盾したり、あるいはどうもはつきりしない点がありましたりして、自信の程度が疑われると私は感得しておるのでございます。それで、大臣は国の責任に属するものは完全に裏づけをする、こう申されたのでございますが、自治庁としてこれだけは必要であるというぐあいに算定して要求した額、それがほんとうのものであつて、それこそが自信がある。今の財政計画で提案されているものに対しては自信がないのだというぐあいに私には思われるわけなのでございます。その点についてどうなんでございましようか、まず前提としてお聞きしたい。
  72. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方財政に対しましてまことに御同情のある御質問と思いますが、政府部内におきまして研究を持ち寄つて決定したものでございまして、今回の三百二十億の補正によりまして必要不可欠なものは網羅されておると存じます。これで地方団体は並々ならぬ努力は要することと存じますけれども、徴税の努力、経費の使い方のくふう等によりまして、収支の均衡を保つて行けるものと確信しております。
  73. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう確信を無理になさるようでございますが、先ほどもちよつと白鳥参考人にお聞きしたのでございますが、私の県の税収の状況を見ますと、十月末の税収のぐあいが市町村税において四九%から八二%、平均が六九%というように出ておりまして、昨年度に比較しましてほとんどその率が落ちている。最高は一五%も落ちているというように私は見ているのでございます。こういう点は、府県においては三十二億減収になるが、町村においては四十二億増収になるというように算定せられたことに対して、まつたく反対の現象であると思うのです。そういう点から御自信、確信を持たれるというお話でございましたが、その確信ははつきり疑われるものである。しかも閣議の席上においては差額が百億に近い額でもつて論議せられた。そういう点から見ても、地方税収に関する確信の点は、全然信用できないと申し上げるよりほかはないわけなのでございます。このような事実は私の一県だけの事実なのでございますか。先ほど確信を持たれたと言いますが、こういう事情にあつてもなおかつ市町村税は増収になる、このようにお考えになりますか。お考えになるとすれば、その根拠についてお答え願いたいと思います。
  74. 本多市郎

    ○本多国務大臣 当初の財政計画を出すときと違いまして、相当年度も経過して来ておりますので、その実績等も根拠として勘案して行くことができるのでございまして、今回補正いたしました増収見込みは、必ず確保し得るものと確信いたしております。
  75. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その確信は、もう、そのように信ぜられるとすればまことに処置ないと思うのです。先ほど白鳥参考人に聞きましたところが、調査がないと仰せられましたが、自治庁側においては、税率を標準を越えてかけておる。これは実際その通りであると思うのですが、そういうものはどの程度に全国町村にあるか、このお調べはございませんか。
  76. 本多市郎

    ○本多国務大臣 実情につきましては、資料に基いて政府委員から説明されたいと存じますが、私が概観いたしましたところでは、おおむね標準税率でございます。これに上まわつたものも若干あり、下まわつたものも若干はありますが、大体において標準税率を採用しているところが大部分でございます。
  77. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 税収の見込みでございますが、ただいま大臣から申し上げましたように、実情を基礎にいたしまして、今回の修正財政計画を策定をいたしたわけでございまして、たとえば法人の事業税でございますとか、個人の事業税でございますとか、あるいは特別所得税、あるいは市町村の方に参りましては市町村民税のうちの所得割――これなどは二十二億も減収を考えております。こういうふうに、以上申し上げましたような税目は、それぞれいずれも相当の減収を見込んでおるのであります。これはやはり実際の経済界の情勢等を反映いたしまして、法人税につきましては三月期の決算の状況、その後の事情等を考え、国税の法人税につきましての基礎になりました課税見込み所得というようなものを基礎にいたしまして、それと同じような数字を根底に持つておるわけであります。しかしながら、たとえば固定資産税等につきましては、評価の関係で、若干増になつたものもございまするし、新しく固定資産のふえたものもあるわけでございますし、なかんずく償却資産等につきましては、相当にふえておるわけであります。また市町村民税などに関しましても、均等割の納税義務者につきましては、最近ようやく実際の納税義務者の数というようなものも明らかになつて参りますし、さような関係で、均等割も相当に絶対数がふえて来ておるのであります。そういうふうにいたしまして、今回当初においては見込むことのできませんでした各種の新たな要素が出て参りましたので、さようなものによつて調整を加えた次第でございます。標準税率を越えて課税しているものがどのくらいあるかということでございますが、市町村民税につきましては、先ほどもお話がございましたが、例の第一方式、すなわち所得税額を基礎にいたしまして、その税額の百分の十八をとる方式、これを五〇%見込んでおりまして、第二方式、すなわち課税総所得金額から基礎控除その他一定の控除をいたしましたものを課税標準にいたしておりますものを五〇%見込んでおります。この点でこれは実質的に若干税額基準にございますものよりも増になるものもあると思いますが、たとえば北海道等におきましては、標準税率を相当越えてとつておるところがございます。しかし非常に特殊な固定資産がございましたり、あるいは各種の税源が豊富なところにおきましては、たとえば尼ヶ崎市その他の市におきましては、これは標準税率以下に課税をしているというようなところもあるわけであります。
  78. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私はその点については自信もありませんので、そのくらいにしておきます。  給与問題についてでありますが、調査ごとにその数字が違つている。教職員の例をとりますと、一番最初やつたときは、四百何円か高い、その次は三百七十五円、その次は三百四十九円、このように変化しておるのですが、こういうぐあいに調査のたびごとにかわるということであつたならば、そのこと自体からも、これはあまり信頼が置けないじやないかというぐあいに思つているのですが、この調査に対しましては、自治庁としては、はつきり大蔵省のそば役ということでなくて主役的な立場で参加し、責任を持つておられるかどうかということをお聞きしたい。
  79. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 給与調査につきましては、昨年の平衡交付金の基礎になります財政計画において、給与費をどう見るかという際に、非常に論議になつたわけでありまして、大蔵省があのような一つ数字を出して、それによつて結局政府としては財源措置をするということになつたのでありますが、しかしその数字については、最終的にやはり信頼を置くに至らなかつたわけでございまして、事後自治庁、文部省、大蔵省関係政府機関調査連絡協議会を設けまして、そこで調査をいたしたわけであります。その調査方法につきましては、先般来資料提出してありまして、御説明申し上げた通りでございまして、現在の地方公務員の給与の実態につきましては、私どもはあの調査がやはり現状においては一番正確なものであるというふうに考えておる次第でございます。
  80. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その調査は人数から見ますと非常に少数で、その確実の程度が疑われるばかりではなくて、ずつとお話を聞いておりましたが、私としましては、ものさしをつくつて地方公務員はそれに合せて行く。ところが国家公務員はそのものさし通りだと信ずるというようなぐあいに言われておる。こういうことは、実態と理論通りといいますか、あるいは実際存在するとかくあるべしというのと、そういうものを対比する、こういう比較の仕方は、明らかに論理的にも誤まりじやないかと私は思うのですが、その点についてはいかがでございますか。
  81. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この給与調査方法につきましては、実際の実支給額がどうであるかというような調査も、もちろん可能なわけでございますが、財源措置をいたします場合の一つの用途といたしましては、国家公務員に対して給与基準としてとつておりますその尺度に照らしてみて、同じ基礎に立つて地方公務員に対しても財源措置を講ずる、こういう前提に立つたわけでございます。従つてその国家公務員に当てはめましたものさしを地方公務員に当てはめまして、はたして現実が高いか低いか、こういう算定をいたしたわけでございます。これは財源計算の上からさような方式をとつたわけでございまして、さような目的からはかような方法をとることが、政府としては適当であるという結論に立つて、さような方法を採用した次第でございます。
  82. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私はそういうやり方は、財源措置として有利にされたのだろうと思うのですが、実際それは合わないことである。実際合せてみたら、国家公務員のその尺度に合せてみなければならぬじやないかと思うのですが、教員の場合や何かは、またその調べ方が非常におかしいじやないかと、ちよつと考えられるのです。それは教員の場合につきましても、あらゆる学歴の者を、全部国家公務員である教職員と、地方公務員である教職員と両方対比せられたのかどうか。こういうことはないと思うので、単に一部の学歴の者だけを対比せられたのではないかと思うのですが、その点はいかがでありますか。
  83. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教員につきましては、これは直接に処理をいたしましたのは文部省でございまして、私ども、その結果の報告を聞きまして、全体としてそれを了承し、協議会できめたわけでございます。従つて詳しくは文部省の方から御聴取いただきたいと思いますが、国家公務員である教育公務員につきましての基準を、地方公務員である教育公務員につきましても当てはめて、その高低を見たというこになつておるわけであります。
  84. 西村力弥

    ○西村(力)委員 国家公務員である教員は、助教なんという高校卒の者はほとんどいない、こういうことになるのですが、そうしますと短期大学卒業生、これだけを比較してそこに幾らかの差があつた、こういうような結論から全体の学歴についてそれだけの差があるというぐあいに、予算単価をはじいたものと思うのだが、これは明らかに私は誤まりだと思う。しかも幾らか高かつたからといいましても、地方の公務員は、教職員も含みまして、昨年度あたりから定期昇給もストップしておる県も数県あるわけなんでございまして、そういう点からいいましても、予算単価のはじき方、高いというそのことが、まず現在の実情からはおかしいばかりじやなく、一学歴だけを調査して、全体にそれをはめて行つたという行き方は、私としては正しくないんじやないか、こう思うのですが、その点についての御見解はいかがですか。
  85. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国家公務員である教育公務員は、御指摘のように数から申しまして非常に少いことは事実でございますが、さような実際の状況を、一方において見つつ、やはり基準となりますところの法例等を基礎にいたしましたものと比較いたしまして、先般来申し上げましたような三百四十九円高いという数字が出て来たわけでございまして、これは他の地方公務員の調査と同じような方式でやはり調査をいたし、それによつて共通の調査方法の結果と見合つて財政措置をする、こういうことにいたした次第でございまして、給与政策自体の観点から、どういうふうに給与に実態を把握するのがいいかということは、また別の方法があろうかと思いますけれども、財減措置に必要なる給与の見方の問題といたしましては、今回政府のとりましたようなやり方が、政府としては適当であるというふうに考えた次第でございます。
  86. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは自治庁としましては、給与の切りかえについて、地方団体に干渉しない、こういうことはこの間の萬屋君の証言にもあつて、次長は確認された、かようなお話でございますが、しかし実際地方団体において、東京付近の神奈川とか埼玉とか、こういうところはやはりそこに見合うだけの少し高めの採用をしなければならないとか、あるいは北海道の僻遠の地で、そこに来てもらうためにはそれだけの処遇をしなければならないとか、こういう実情があるわけなんでございますが、それを予算的に三百四十何円というぐあいに切つて、それでまかなえ、干渉はしないよ、こういうことになるのですが、実際一番恐しい金の問題でそれを縛つて来る、これはまつたく強烈な干渉であるではないか。さようなぐあいに私としては思われるのです。これこそ無言の抑圧といいますか、そういうようなぐあいに思われるのですが、こういう地方の特殊な事情に対して、一律にこういうぐあいにバンとやつてしまうということが、実質的な干渉という形にはならないか。これについてはいかがでございますか。
  87. 本多市郎

    ○本多国務大臣 ただいまのご指摘の点はさいぜん横路さんにお答えいたした通りでございまして、各地方団体におかれて、実情に即した運営をおやりになつて、そうしてくふうしていただくことを期待しております。従つて一般歳入としての平衡交付金算定財政措置としては、交付することはないということでございます。
  88. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういうぐあいに仰せられるだろうと思うのですが、さいふのひもをきつちり握つておられて、適当にやれ、私は知らぬよという言われ方は、私良心的に拝見しておりました本多大臣の答弁としては、あまりすげないような感じがすると思うのでございます。実際に金の問題で締めつけられたのが、一番大きい干渉になるのではないかと思うのですが、その点に関しての御心境をお漏らし願いたいと思います。
  89. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これは平衡交付金制度の性質上やむを得ないことでございまして、基準財政需要額の算定は、御承知通り測定単位を定めてずつとやつておりますが、それは一般歳入としての平衡交付金算定する基準であつて、その項目ごとの費用にとらわれるということは、必要ないものでございますから、あとはくふうをしていただくほかはないと思います。
  90. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次長にお尋ねいたしますが、この前自治労協に確認せれたあの中には、今後地方財政に新しい事態の起きた場合には、平衡交付金の増額その他適切な財源措置を講じる、こういう一項がございましたが、新事態というのは結局赤字が出たということになると思うのですが、これをはつきり予想せられてのそういう確認であるというぐあいに受取つてよろしうございますか。
  91. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府はしては先般来御説明を申し上げましたように、三百二十億という財源措置がもちろん妥当とは申しかねるかもしれませんけれども、必要不可欠なるものは、これによつて一応まかない得る、こういう前提に立つておるわけでございまして、もしも経済界の不況というようなもの、あるいはその他の深刻なる新事態が生じまして、その結果何としても償いがたい絶対的な赤字が生じたというような場合には、何らかの処置を講じなければならぬ事態が起るかもしれませんが、そうでない限りは、要するに通常の状態で推移いたします限りは、何とかこの措置でやつて行けるであろう、こういう前提に立つているわけでございまして、今のお話はさようなごく異例の事態が生じた場合には何とかせなければならぬ、こういう意味のお話に触れておる問題である、かように考え次第でございます。
  92. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先日横路委員質問に対して、次長は三百七十五円と四百六十二円ですか、ああいう切り下げた財源措置をやつたから、それだけの措置を各地方団体がやつたと思う、こういう御答弁でございましたが、そうしますとこのたび予想される赤字がもし出たといたしましても、これは結局ベース・アップによつて生じた赤字で全然なくて、その他の事情によつて生じたものである、このようになるわけなんでありまするが、そういうぐあいにもし赤字が出た場合にははつきりお考え願えるでしようか。その点をひとつお願いいたします。
  93. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 赤字の生じます原因は、各団体によつていろいろあろうと思いまするけれども、たとえば単独事業を一どきにたくさんやる、あるいは経理の方法等において必ずしも適切でない、あるいは税収の努力において不十分である、いろいろこれはそれぞれの方法か結果の集積であろうと思うのであります。従いまして赤字があつても、それは給与費の結果ではないというふうに、一概には言えないと思うのでありまするが、その赤字地方団体による努力の欠如によつて生じたものであるならば。これはやはり地方団体自体が、これを解消してもらわなければならぬと思うのでありまして、もしもその責任地方団体責任に属しない、要するに、国の措置、あるいは一般的な不可抗力で何ともいたし方ができないような原因による赤字が、地方団体財政力を越えて生じたという場合には、これは何とか考えなければならぬと思つておるのでございます。
  94. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私といたしましては、ベース・アップによつて生じた赤字ではないという確言をひとつもらいたいと思うのであります。これはこの前の答弁から引続いて当然のことであると思うのでありまするが、地方団体責任による赤字というものを予想されるということは――これはいろいろ答弁技術としてさまざま申されるのですが、あれほど真剣に知事代表にしましても市長代表にしましても町村長の代表にしましても、むきになつてつていることである。しかもこの徴税につきましても、あるいはそのほかいろいな支出につきましてもぎりぎりに締切つておる、そういうときにおいて発生する赤字というものは、全然地方団体責任において生じた赤字だというものは一つも出て来ない、こういうように思うのです。こういう事情にないときに、一般論としてはこれは国の責任について生じた赤字、あるいは市町村、県、そういうところのルーズさから来た赤字というようなことも、一般的な話は言えるのでしようけれども、現在においてはそういうことは全然言えないと私は思うのであります。そういう点からいいましてこの年度末に生ずる赤字というものは、はつきりこれは国の責任で生じた、しかもこれは現在の地方公務員に対するベース・アツプを国家公務局に準じてやつた、そのために生じたものではないと私ははつきりそう思います。その点はいかがですか。
  95. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは赤字が出て参りました当該の具体的事件のケースにつきまして一々よく確かめませんと、その赤字が何に起因しているかということは一般論としてはちよつと申し上げかねます。先ほど来いろいろ申し上げましたことは抽象的な理論的なことを申し上げたのでございますが、具体的の措置の問題ということになりますると、やはりそれぞれの団体について詳細に調査を要するのではないかと思うのであります。
  96. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう赤字が出た場合には、年度末に処理をする、こういうぐあいにお考えになりますか。
  97. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 赤字が出ました場合にこれをいかに処置するかということにつきましては、さらに年度の終了のころに参りまして、よく時の推移を見ました上で、何らか考えなければならぬ事態に立至りますれば考慮するというふうに考えておるのであります。
  98. 西村力弥

    ○西村(力)委員 大臣にお尋ねしますが、地方教育委員会についてお尋ねしたいと思うのでありますが、委員会設置する場合に、この論議が盛んなときに、この設置論者はこれを設置しても決して市町村には財政的な負担をかけない、大自由党の責任においてこれをやるのだ、こういうことをよく言われ、私もじかにそのことを聞いておるのであります。このことに対して大臣はお聞きになつたことがございますか。いかがでございますか。
  99. 本多市郎

    ○本多国務大臣 教育委員会は消極的態度であつたかもしれませんけれども、結局国会の意思によつて設置することになつたものであります。
  100. 西村力弥

    ○西村(力)委員 大臣に聞くのではちよつとぐあいが悪いのですが、自由党のおえら方のお立場でお聞きしたいと思うのです。とにかく市町村教育委員会をつくつて、その自由党のはつきりした言質によつて、各町村とも教育委員会の構想を練つておるのです。私のところでは、この間私調べて来たところが、人口十万ほどの市では百六十七万円の予算を組んでおつたわけなんです。それから一万人ほどの町では三十六万円の予算を組んでおつた。それから人口二千ほどの村では十二万円の予算を組んでおつた。その内容を見ますと、百六十七万は相当理想的でありますが、そのほかの一万の町の三十六万、あるいは二千の村の十二万というものは、ほんとうに申訳的なものであるが、それでもこれだけの予算は必要とする。こういうぐあいに予算を組んでおつたわけでありますが、大体十万くらいの都市、一万くらいの町あるいは二千くらいの村、こういうところには、どのくらいの金額が配分になる御予定でございますか。
  101. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはお手許に配付してございます資料参考の例が載つておるのでございますが、人口、都市ということで計算しておりまするので、あるいは今御指摘の十万というようなところにぴたつと当らぬかもしれませんが、大体三十六万というのが、都市一般の平均基準でございます。今年の五箇月分でございます。
  102. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと結局この計画を詰めるか、あるいは地方負担でやらざるを得ない、こういうことになるわけなんで、それははつきり先ほど言いました政府といいますか、あるいは自由党と申しますか、そういう立場の人が言われたことと全然違つた立場になるのですが、一体このような金でどうやるのか。自治庁の立場としては、とにかく金でまかなえる程度に縮小するのか、地方の財源である程度機能を発揮し得られる組織に持ちこたえる、かようなお考えでありますか。もし希望するとすればどちらの立場を希望せられるのですか。
  103. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これはまつたく自主的にやつていただくのでありまして、今度計上いたしておりまする人件費、物件費等によりまして、これで必要不可欠のものは満たされていると考えます。それ以上自主的に拡充されよう、経費をかけようというのでありましたら、まつたく自主的に運営していただくほかないと思つております。
  104. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは先ほどの赤字の問題になりますが、もし自主的に十六万来たのを三十六万というぐあいに金をかけてやつた。そこに二十万の赤字が出る。これはお前らが悪いから出た赤字だ。このように仰せられるのか。
  105. 本多市郎

    ○本多国務大臣 計画を立てまして、何人くらいのもので幾らぐらい使い、そして物件費等もどれくらいかかるということを予定して算定いたしておるのでございますから、それ以上に金をかけようというのでありましたならば、やはりおそらく自治体といたしましては、個々に重点的に金をよけいかけるのはいいが、その他の予算とのつり合いを考え運営されることだろうと思います。
  106. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それならば自治体としては自主的にどちらがいいか判断して、やはり十六万でやつたのでは名目であつて、形式だけで教育委員会としての意義がない、三十六万という当初の予算でやつて、これは最低ぎりぎりだ。こういう立場をとつて出たときの赤字をどちらの責任を見るか。私のお聞きしたいのはこういうことなんです。
  107. 本多市郎

    ○本多国務大臣 必要不可欠な規模において運営していただきますならば、赤字は出ないと考えます。
  108. 西村力弥

    ○西村(力)委員 こういうぐあいにいろいろ狭めてお話合いをしてみますると、地方団体財政の苦悩というものはますます加重されて来る。こういうぐあいに思われて、そうしてとどのつまりはぎりぎりのときには公共事業やそのほかのものは捨ててしまう、こういうことが言われておるが、これは重大なことだろうと思うのです。戦後日本の国があらゆる苦難を越えて、そうして復興に乗り出して来たわけですが、この復興の度合いが現在どの程度に進んでおるか。戦後のところを百とした場合に、現在どの程度に進んでおるか。こういうことは建設省あたりの仕事になるかもしれませんが、自治庁としてもこれは関連があるのでありまして、十分に頭に置かれておることではないかと思うのです。その点はいかがでございますか。
  109. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 単独事業の問題でございますが、これは今年度の当初計画におきましては九十億と見ておるわけでございますが、今回の補正予算におきましては、特にその点の増額の修正はしてないのであります。単独事業が地方自治の建前から申して非常に望ましい事業であることには違いないのでありまするけれども、公共事業に属する、たとえば道路にいたしましても、あるいは中小学校の問題にいたしましても、いずれもこれまた住民の福祉に直接関係のある問題でありまして、まずさようなものについてできるだけのことを措置いたしまして、単独事業につきましては、やはり当初組んだ程度のことに、今年のような財政の状態では、いたしたいという考え方には立つておるわけでございます。
  110. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私のお聞きするのは、年々災害のあつたのを埋めて来たわけですが、しかしまた年々災害が起るわけなんで、それを相殺して何ぼかずつ埋めて、災害復旧の坂を上り切る、こういうコースをたどつて来たわけだと思うのです。それを、現在どの程度まで坂を上つたか。そうして今お話のようなそういう仕事を完全にやつたとして、一体年々発する災害をどの程度に埋められて、そうしてプラス、マイナス――相殺してプラスの方にどれだけなつておるか。すなわち坂を毎年どれだけ前進しているか。頂点に向つてどれだけ前進しているか、こういうことなんです。ところがこのような交付金その他起債の状況で、公共事業を投げざるを得ない、こういうような事態になつたら、せつかく上り切つた坂の途中で、また逆行して、国土は荒廃する方向へ向つてしまわなければならぬじやないか、こういうことは一つの重大な問題であると思うので、そういうことに対する自治庁一つ調査といいますか、お考えといいますか、それをお聞きしたいと申し上げておるわけであります。
  111. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 災害につきましては、御心配のように、私どももこれは非常に頭を痛めておる問題でございまして、年々約一千億の災害が発生しておるわけでございますが、本年は例外的にその辺の措置が比較的少くて済み得たのでありまするけれども、それでも大体当初の計画でやつと一ぱいだというような状況でございまして、従来戦前におきましては、大体災害は三、五、二というような比率で、おおむね三年間をもつて処置がつけられるというのが実情であつたわけであります。しかも災害の査定につきましても、相当厳正公正に行われたということもあろうと思いまするけれども、とにかく大体三年で片がついたというのが実情であつたのでありますが、最近は遺憾ながらそれが五年間に延びておりまして、大体今までの実情では、第一年次においては一七・%五くらい、二、三、四年次が二二%くらい、最後の年次が一七・五%くらいというのが、今の大体の災害復旧のテンポであります。これはやはり一つには災害の絶対額が多いということもあろうと思いまするけれども、災害の査定を厳正にするということも、やはり一つさらに考えなければならぬことだと考えておりまするが、さようにして厳密に査定されました災害は、やはり三年間でことを片づけるというふうに持つて行かなければならぬのではないかということで、私ども自治庁におきましても、いろいろと案練つて研究をいたしておるのでございまするが、逐次さような方向に進めて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  112. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういうお気持とは全然逆に、こういう三年でなるところが、五年に延びたというのを、なお一層ゼロにするような方向を、知事会もあるいは今の町村長代表の方も言われておるわけなんです。そうしますと、この予算でも、ああいうことを言うても、そういうことは決してないのだ。これでやれるのだ、こういうぐあいに思つていらつしやらないならば、この災害の問題を考えますると、これは決してこの財政計画でやれるというぐあいには押しつけるわけにはいかぬと思う。何ぼああいうことを各代表が言われましても、それは口先だけであつて、実際はやらないのだ、こういうはつきりした考えを持つておるから、そういうことを言われるのだろうと思うのです。そうでなく、ほんとうにやつてしまつたら困つたことであつて、災害復旧どころか、逆に行くなどということは、何としてでもこの地方財政を建て直すために、こんな予算をけ飛ばしてやつて行かなければならないと思うのです。やはり知事会その他が言われておることは、あれは一つのゼスチュアである、このようなぐあいにどこまでもお考えになつていらつしやるか、その点について聞きたいわけなんです。
  113. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 全国知事会に災害復旧金融と申しますか、復旧金庫というような案がありますることは、私ども承知いたしておりまするが、何分これも国家財政とのにらみ合せの問題でございまして、それをそのまま実施いたすにいたしましても、たしか千億を越えるような資金が必要であるように思うのであります。私ども自治庁におきましても、いろいろこのような形のものも研究をいたしておりまするけれども、要は少くとも三年ぐらいにして災害を全部片つける、そうして再災害というようなことによる被害の増大というようなものをできるだけ少くして行く、こういうことがねらいであるわけでございまして、国が当該年度の予算に、災害を復旧するに必要なる経費を計上いたしさえすれば、それで済むわけでございまして、やはり国全体の予算の許す限り、今後これを一つ三、五、二の原則に近づけるようにしてもらいたいということを、私どもも大いに希望しておるわけでございまして、本年のような災害負担が若干でも軽減されておりまする際におきましては、さような理想に逐次近づきつつあると申し上げる次第でございます。
  114. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これで終りいたと思うのですが、私はいろいろお聞きしましたけれども、どうもはつきりしないようでございます。この財政計画というものは、結局平衡交付金が二百億になつた、それから起債が百二十億になつた、こういうぐあいになつてしまつたので、それに合せるために、その後つくられた計画ではないか。これは全部確信があると申されたが、そういうぐあいにつじつまを合せるためにつくられたのであつて、決してほんとうに研究調査して、これが正しいのだとおちついた計画ではないのだ、このように思うのですが、やはり大臣としては、これで正しいのだ、これで十分確信があるのだ、このようなぐあいにやはりどこまでも仰せられるのでございましようか。
  115. 本多市郎

    ○本多国務大臣 今回の地方財政計画補正についてでございますが、これは最後的な決定に至りますまでの段階におきましては、地方財政確保の立場から、いろいろと数字も検討いたしたのでございますけれども政府部内の調査を持ち寄りました結果、ここに決定を見たのでありまして、ここの決定がもし地方財政計画のほんとうの不足額を補うに足らないものでありましたならば私たちといたしましても、絶対にこれに賛成することはできないのでございまして、今回の補填によりまして、一応不可決なものだけは補填し得たと考えております。
  116. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、国の責任にかかるものは、これは責任を持つて補填すると言われた大臣のお考えが、この予算で十分に果し得られる、このようなぐあいに責任をここにとられる、かように折衝の結果おちついたわけでございますか。
  117. 本多市郎

    ○本多国務大臣 今日の地方財政実情を見ますると、十分にということは申し上げかねるのでざごいますけれども、これには地方団体の徴税の面に、また節約の面に、効率的な予算の使用というようなことに、それぞれ非常なくふうと努力をしていただかなければならないことになるのでありまして、そのくふう、努力と相まつて、それで収支の均衡が保つて行けるという確信を持つておるわけでございます。
  118. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは、私の県は非常に米の単作地帯でありまするが、今年は供米を第一番にやつておるのですが、これには非常に供米意欲というのはそういう純朴な立場があると言つたが、実態は生活が苦しいから早く出せということになつているわけなんであります。ところが税金の徴収などにつきましては、供米をやつたときにごつそり入つて来るので、それまでは村なんかはほとんど金の入ることが少い、こういうことになるのです。そういうために、あるいは財政が非常に苦しいために、しよつちゆう銀行から借入れをしておる。その利子が相当莫大になつておるのです。これはあまり信用をおけるかどうかちよつとわかりませんけれども、府県町村を通じて昨年度は七億円に近いという報告を受けておるのです。この信頼性はちよつと今私は言えないのですが、まあ相当の額になつておる、こういう銀行利子でそんな金がふつ飛んでしまう、こういうものを平衡交付金ではどこで算定してみてくださるのかということなんですが、それはどうなんですか。
  119. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今のいわゆる年度内の一時借入金の利子をどの程度見込むかということでございますが、これは今ここに資料がございませんので、的確に申し上げかねまするけれども、それぞれの行政経費算定の費目があるわけでございますが、その他の行政費という項目が、交付金法の中に法定をされておりまするが、そこで今の標準団体におきまして、たとえば市町村におきましては十万くらいの団体、あるいは道府県につきましては百七十万くらいの一つの標準的な規模の団体を想定いたしまして、そこの団体において年にどの程度の借入金の利子を必要とするかという一つの標準予算というものを考えまして、それを基礎にして平衡交付金の各費目ごとの単位の費用をはじき出しておるわけでございまするから、従いまして標準的な団体において見込まれておりまするような一時借入金の利子というものも、当然に財政需要の中に算定されておるわけでございます。
  120. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私の県のような単作地帯には、特別なそういう面の寒冷積雪度の補正というものはあるでしようけれども、単作地帯のために、そういう準備の、利子を払わなければならないというものの補正考えてあるのでございますか。
  121. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 寒冷度及び積雪度による補正考えているわけでございます。
  122. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この単作地帯という立場から、それと寒冷地は大体一致するという立場かもしれませんが、それとこれとはちよつと違うじやないかと思います。それはどうでありますか。
  123. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 寒冷度、積雪度というものと、今の単作地帯というものとは、やはり産物の関係におきまして単作ということになるでしようが、これは地域的には表裏一体をなすものであります。今の寒冷度と申しますのはやはり天気図ともしますか、気象台で出しておりますその図表によりまして、寒冷地帯の段階を設けて、それに応じて一定の区分をいたしておるのでございます。現在四段階確かあるわけでありまして、上が八割、下が二割でございますか、そういうようなわけで段階をわけて財政需要のわくの算定をいたしておる次第であります。
  124. 西村力弥

    ○西村(力)委員 以上で終りたいと思います。
  125. 青柳一郎

    青柳委員長 本日の地方財政に関する質疑はこの程度で終ります。     ―――――――――――――
  126. 青柳一郎

    青柳委員長 昨九日本委員会に付託されました町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案を議題といたします。まず提出者よりその提案理由の説明を聴取いたします。鈴木直人君。
  127. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 私は提案者一同を代表いたしまして、ただいま議題となりました法律案の提案理由の御説明をいたします。  今般提案いたしました町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案の提案の理由並びに法案の概要を申し上げます。  御承知通り、昨年の警察法の一部改正に伴いまして、警察を維持する町村は、住民投票によつて警察を維持しないことができることになつたのであります。  しこうして、警察法第四十条の三第八項の規定によりますと、十月三十一日までに警察を維持しないことに決定した旨の報告が内閣総理大臣に対してなされたときは、翌年四月一日に警察維持責任の転移が行われることとなるのであります。しかるところ、本年十月三十一日までに警察を維持しないことと決定しその報告のありました町村は、全国で五十七に達し、その後も住民投票を行うことの議決または直接請求のありました町村も出て来ております。一方、これらの町村のうち多数のものから国会あてに請願または陳情がなされ、警察を維持しないことに決定した以上は、四月一月まで待つことなく、繰上げて早期に責任の転移をはかり得るよう要望して来ているのであります。そこでこれらの町村が希望します場合においては、責任転移の時期を繰上げることのできる道を設けることが適当と存じ提案いたしたわけであります。  次に法律案の内容について申し上げます。本文の内容は、第十三回国会において成立しましたこの法案と同じ題名の法律と同様のものでありまして、昭和二十七年五月二十一日から十二月二十日までの間に警察法第四十条の三第六項の規定により、住民投票の結果警察を維持しないことに決定し、その旨内閣総理大臣に報告のあつた町村のうちで、当該町村長がその議会の同意を得て、警察維持に関する責任の転移の時期を繰上げたい旨を、本年十二月二十日までに国家公安委員会を経て内閣総理大臣に申請し、十二月三十一日までにその承認を得たものについては、昭和二十八年一月一日に自治体警察を国家警察に責任の転移が行われることとしたのであります。  次に附則でありますが、第一項においてこの法律の施行の日を公布の日からといたし、第二項において、すでに不要となりました昭和二十七年法律第百四十三号を廃止することといたしました。  以上がこの法律案の提案の理由及び説明であります。何とぞ御審議のほどをお願いいたします。
  128. 青柳一郎

    青柳委員長 本日はこの程度で散会いたします。  次会は追つて公報をもつてお知らせいたします。     午後四時四十九分散会