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1952-12-06 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月六日(土曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 横路 節雄君       阿部 千一君    加藤 精三君       牧野 良三君    石坂  繁君       中野 四郎君    森田重次郎君       大石ヨシエ君    平岡忠次郎君       西村 力弥君    川村 継義君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      後藤  博君  委員外出席者         参  考  人         (茨城県知事) 友末 洋治君         参  考  人         (全国市長会         長)      中井 光次君         参  考  人         (全国自治労働         組合協議会中央         執行委員)   萬屋 良作君         参  考  人         (日本自治労働         組合連合会書記         長)      竹内  欣君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 十二月四日  地方税法の一部改正に関する請願竹山祐太郎  君紹介)(第三九七号)  同(川野芳滿紹介)(第四七五号)  与板町自治体警察国家地方警察移管請願  (大野市郎紹介)(第三九八号)  今尾町自治体警察国家地方警察移管請願  (木村公平紹介)(第三九九号)  甚目寺町自治体警察国家地方警察移管の請  願(江崎真澄紹介)(第四〇〇号)  高石町自治体警察国家地方警察移管請願  (有田二郎紹介)(第四〇一号)  美濃町自治体警察国家地方警察移管請願  (木村公平紹介)(第四〇二号)  四条畷町外三箇自治体警察国家地方警察に  移管請願淺香忠雄紹介)(第四〇三号)  高等学校定時制分校校舎建築費起債認可に関  する請願吉武惠市君紹介)(第四一八号)  増穂町自治体警察国家地方警察移管請願  (吉江勝保紹介)(第四七六号)  平穏村自治体警察国家地方警察移管請願  (倉石忠雄紹介)(第四七七号)  小笠原町自治体警察国家地方警察移管の請  願(吉江勝保紹介)(第四七八号)  長井町自治体警察国家地方警察移管請願  (木村武雄紹介)(第四七九号)  七戸町自治体警察国家地方警察移管請願  (森田重次郎紹介)(第四八〇号)  大畑町自治体警察国家地方警察移管請願  (森田重次郎紹介)(第四八一号)  大湊町自治体警察国家地方警察移管請願  (森田重次郎紹介)(第四八二号)  琴似町自治体警察国家地方警察移管請願  (町村金五君紹介)(第四八三号)  藤崎町自治体警察国家地方警察移管請願  (森田重次郎紹介)(第四八四号)  弁護士に対する特別所得税撤廃に関する請願(  明禮輝三郎君外十五名紹介)(第四九〇号) の審査を本委員会に付託された。 同日  府県制廃止並びに特別市制反対に関する陳情書  (第六一一  号)  平衡交付金増額並びに地方債わく拡大に関  する陳情書(第六  一二号)  地方税法改正に関する陳情書  (第六一三号)  医師歯科医師に対する地方税改正に関する陳情  書(第六  一四号)  歯科医業に対する特別所得税に関する陳情書  (第六  一五号)  消防財源確立に関する陳情書  (第六一六号)  地方債わく拡大に関する陳情書  (第六九一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 これより会議開きます。前会に引続き、地方財政に関して調号を進めます。本日は前会の決定に基き、地方財政実情ついて参考人方方より説明を聴取することといたします。御出席くださいました参考人方方全国知事会より友末茨城県知事出国市長会より中井大阪市長全国自治労働組合協議会より萬屋中央執行委員日本自治労働組合連合会より竹内書記長の四氏でございます。なお全国町村長会側は、本日都合により出席できないとのことでありますので、次会に譲ることといたします。  この際参考人の方々に申し上げますが、本日は御多忙中にもかかわりませず本委員会に御出席くだされ、地方財以実情について説明くださることは、われわれ調査にあたり多大の参考となるのでありまして、委員会を代表して厚くお礼申し上げますとともに、忌憚なく御説明くださいますことをお願いする次第であります。  それでは順次説明を聴取することといたします。友末参考人よりお願いいたします。
  3. 友末洋治

    友末参考人 今回国会に提案されておりまする補正予算案のうち、地方財政に関するものにつき県側所見を申し述べまして、御参考に供したいと存じます。  今年度におきまする府県財政につきましては、政府が当初予算において決定されました地方財政計画に、はなはだしい不合理がありまするばかりでなく、その後におきまする新法令の施行、国の新たなる施策実施相当多数に上つておりまする関係から、大幅な赤字が予想されましたので、全国知事会におきましては、各府県別に厳密な調査行つたのでございます。その結果約六百億円の赤字が推定せられ、これを地方財政平衡交付金及び起債増額することによつて補填されるよう、政府に対しましてしばしば強い要望を続けまするとともに、特に地方実情政府の不合理な見解とを具体的に指摘いたしまして、あくまでも適正なる措置が講ぜられまするよう、懸命な努力をいたして参つたのでございます。しかるにもかかわらず、今回政府決定されました地方財政補正案におきましては、市町村の分を含めましてわずかに三百二十億円の財源措置がなされたにすぎず、府県分といたしましてはこれを二百五十三億に圧縮されているのでございます。この額をもつていたしましては、とうてい予定されておりまする公共事業実施給与部ベース改訂も、また国の新たな施策施行等も、財源不足によりまして不可能に陥りますることは明らかでございます。これをこのままに放置するにおきましては、政府義務不履行によつて地方財政は破壊されるおそれがありますので、私ども府県財政の実相と合理的な見解とに基いて、政府が今後すみやかに今回の補正案を修正せられ、もつて地方財政運営に支障なからしめるよう、引続き努力を払つておる次第でございます。  次に地方財政補正に関連いたしまして、政府と私どもがその所見を異にいたしておりまする要点を御説明申し上げたいと存じます。  まず第一は、府県税収入見積りに関し、はなはだしい見解相違があるということでございます。すなわち政府府県税自然減収を、一月から実施されまする入場税及び遊興飲食税税率半減を除きまして、わずかに八億円程度見積られておるのでございます。私どもは次の理由によりまして、相当大幅な、私どもの推定といたしましては約百七十億円程度自然減収が生ずるものと考てえおるのでございます。すなわち政府決定の当初財政計画に基きまする府県税収額は、千三百五億円でございまするが、昨年度決算千二百四億円の実績から考えてみまして、はなはだしくその見積りが過大である、かように考えておるのでございます。これにつきましては、当初財政計画が樹立されました当時からの府県側のやかましい問題になつておるのでございます。  次に経済界不況は、御承知通り通産省の最近の発表によりましても、全産業におきまして二六%の利益率が下つているという状況でございます。  そこでこの入場税遊興飲食税につきまして、昨年度決算と比較して、今回政府補正案措置されました遊興飲食税入場税におきましては相当大幅な増収を見込まれておるのでございます。すなわち入場税におきましては、昨年度決算に比して二割二分の増、遊興飲食税におきましては、五割八分という非常に大幅な増収を見込まれておりますが、かかる増収地方実態から考えますと、とうてい不可能であると考えざるを得ません。さらに個人事業税及び特別所得税におきまする基礎控除制度が採用され、すでに税法収正実施が行われておるのでございますが、これらに基きますところの減収だけ考えましても、十億円以上を越えることが明らかでございます。  さらに繊維工業、製紙、パルプ工業、窯業、海運業等事業不振に伴つて法人事業税におきましても相当減収を見込まざるを得ない状態でございます。かかる悪条件が事実として存在いたしておりますのにもかかわらず、府県税自然減収を故意に過小見積りされた政府不当処置は、今後の地方の実際の事実が、明らかに立証すると考えておるのでございます。  第二に税外収入につきましても、約三十四億円、市町村分を含めますると、約五十億円という大幅な増収を見込まれておるのでございます。しかもこれは使用料及び手数料において、当初計画よりす約三割程度増収するということを期待されているのでございます。しかるに、法の規定によつて徴収できまするところの使用料手数料等につきましては、ことごとくその最高額が明示されておりまするがために、その改正が行われない限り増収を見込むことは不可能であります。また高等学校授業料のごときは、国立大学授業料と比較して、現在額以上に引上げますことは不合理と考えます。おそらく国立大学授業料引上げは、政府として見込んでおられないだろうと考えておるのでございます。その他の使用料手数料はその額も少く、たとい今後府県条例改正行つて、単価を引上げるといたしましても、すでに年度半ばを過ぎました今日、幾ばくの増収も期待できないと考えております。かかる実情より考え、今回政府の見込まれました使用料手数料増収、三十四億円は、何を根拠としたか、はなはだ了解に苦しむものでございます。使用料手数料の問題は、終戦後の経済統制が漸次自由経済になりまするに従いまして、その総体の額がだんだんと減少をいたしておりまするのが、地方実情でございます。以上のごとく、府県財政歳入の面におきまして、実情を無視いたしました極端な水ぶくれを押しつけられますることは、毎年々々繰返されておりまする政府常套手段でありまして、常に地方財政をして不安と混乱は陥れておりまする根本原因一つでございます。  第三は、府県公務員給与について、根本的な見解相違があることでございます。昨年度におきまする補正予算案編成の際、政府は突如として、府県公務員給与が、国家公務員に比し、一般職員におきまして四百六十二円、教職員におきまして三百七十五円高いということを示されたのでありまするが、これが調査方法等も明確を欠くばかりでなく、国家公務員実態給与については、いまだ調査が行われておらないために、今後両者実態給与共同組織によつて厳密に調査し、相互にはつきり確認する必要を要請申し上げておつたのでございまするが、その要請は、今日なお政府のいれるところとならず、相互調査未了のまま、今日まで未解決に相なつておりまするところの重要案件事項なのでございます。しかるにもかかわらず、政府決定の本年度当初地方財政計画におきましては、給与費におきまして、右四百六十二円と三百七十五円をそれぞれ引下げられまして措置されておるのでございまするが、これは明らかに政府の一方的な不当措置考えざるを得ないところでございます。従つて、今回の補正におきましては、これを正当に引きもどし、六十七億円を追加補正すべきものであつたのでございまするが、政府におきましては、その後府県職員給与について再調査行つた結果、一般職員におきましては三百四十八円、教職員においては三百四十九円高いことに、さきの決定を変更されまして、これを基として、当初計画との差額約九億円をもつて措置し、あくまでも不合理な引下げを強行せんとしておられるのであります。さらに、今回行わんとされておりまするところの二割増のベース改訂につきましても、この不当な引下げ基準として、財源措置がとられておるのでございます。いまだ国家公務員実態給与が明示されず、かつまた地方公務員給与国家公務員に準ずるという現行制度の建前上、今回の二割増のベース改訂地方公務員に限り、これを引下げて行うことを政府が期待されますることは、実行不可能なことを地方に期待されるものでございまして、かかる不合理な財源措置府県費支弁公務員約九十万人をしてとうてい納得せしめることができないと考えておるのでございます。よつて今回のベース改訂は、従来通り現実基礎とし、国家公務員に準じてこれを実施せざるを得ないものと考えます。私どもは、政府がこの重要な問題解決のため、虚心坦懐に国家公務員給与実態調査し、これを公表せられますることを強く要望いたしまするとともに、不当切下げ分五十八億円を追加補正されますることを要望いたしておる次第でございます。なお、補正案確定後において政府に対し、人事院より勧告されました地方公務員勤務地手当に関しまする格上げ、及び新規地域指定に基く給与費増額が、今回の補正案に包含されておるかどうか、はすはだ不明確でございます。私どもは、数字及び時期的な関係から考慮されておらないものと考えざるを得ません。これだけでも地方全体で約二十億ということに相なるかと考えます。おそらく来年一箇年を通じて考えますれば、四十億近くのものになろうかと思います。この勤務地手当は、補正案政府決定されました後に、人事院から勧告されたのでございます。しかも千四百の市町村に適用されますものでございます。一面から考えますれば、地域的な給与ベース引上げでございます。なお、給与ベース二割につきまして、国家公務員の号俸を地方公務員に適用して、目下調査をいたしておりまするが、教職員につきましては、おそらく二割を越えまして、二割三分、あるいは二割四、五分という程度に相なるのではなかろうか、かように考えます。二割を基準といたしましたベース・アツプの財源そのものに、結果におきましては、相当赤字が出るわけでございまするから、とうていこの勤務地手当格上げ及び新規規定に伴いまするところの財源の増は、この中に見込まれると申されましても、現実が、はつきり認めておらぬという結果が明らかに出ることと考えます。  第四に、昨年度府県財政補正後におきまする赤字につきましては、年度末に、やむを得ずつなぎ融資として四十億円、市町村を含めますると八十億円でございまするが、これをもつて、どうにかこうにか、跡始末をされたのでございます。その対象となつておりました財政需要は、依然として二十七年度にあるわけでございます。従つて、今回の補正案に当然、その需要額は織り込まれる性質のものでございまするが、これはすべて抹殺いたしまして、何ら考慮されておりませんことに不当の措置考えておるのでございます。  第五に今回のベース改訂に関連いたしまして、今後地方財政におきましてその混乱を未然に防止する上から急速に措置を要すべき問題は、義務教育職員給与費をいかに取扱うかということでございます。現行制度によりますると、義務教育職員給与に関しまする権限は、御承知通り市町村教育委員会に属し、県といたしましてはその支払いの責めに任ずることに相なつておるのでございまするが、行政財政とがその主体を異にいたしますることは、かつて見ない奇現象でございまして、義務教育実施の上からも、また府県財政運営の上からも憂慮すべき事態が発生するおそれがあり、両者の調整は単に行政措置のみをもつて、その万全を期することはとうてい困難でございまするので、すみやかに財政上少くとも混乱を生ぜしめないための法的な特例を設定する必要があるものと考えておるのでございます。  以上申し上げましたごとく、本年度におきまする府県財政は、かつて見ない大幅の赤字が推定せられるにもかかわらず、今回政府決定されました地方財政補正案は、歳入の面におきまして一方的に過大な見積りをなし、歳出の面におきましては給与費に関する不当な引下げ行政整理の不当な強要、行政整理につきましては当初計画におきまして五%行うという前提の上に立つて財政措置が講じられたのでございます。教育職員につきましては、これを引きもとして、一般職員につきましてはなお強要されんといたしておるのでございます。さらに旅費物件費等の極端な節約、市町村を含めますと約六十億円、一般職員は別といたしまして、今日教職員ベースは御承知通り一人当り四千円ということに大体府県措置いたしております。文部省といたしましては五千円をひとつ計上してもらいたいというのが従来からの要請でございます。この一人当り四千円の、今日の状態ではわずかばかりの教員の旅費を削減するということは、とうていできることではございません。従つて地方にとつては、すべて歳入の面におきまするところの不合理な措置ばかりでございまするがゆえに、実行性の乏しい不健全なものと考えておるのでございます。かかる事態は年々歳々に繰返されておるのでございますが、その根本的な原因は、現行地方税財政制度、すなわち府県の税制が全国的に非常にアンバランスな不均衡税であり、なおまたそのアンバランスを矯正いたしまする平衡交付金制度が円滑に運営されないという制度そのものに、根本的な欠陥がございますほか、国の委任事務事業というものは年々増加するばかりでございます。その増大に必要な財源措置がこれにまつた伴つて参らない結果でございます。ここに地方自治確立の上から考えすみやかに抜本的な改革を要すべきものと考えます。国会におかれましては、当面の地方財政危機打開につきましてはもとより、そのよつて参りまする原因についてもともとと御賢察を賜わりまして、これが応急の措置並びに根本的な解決に関し、格段の御高配を賜わりまするようお願い申し上げまして、意見開陳を終る次第でございます。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長 友末参考人は他に用務がありまして、できるだけ早く退席したいという御希望を持つております。従いまして友末参考人に対する御質問を願います。
  5. 床次徳二

    床次委員 ちよつと審議の方法についての御相談でありますが、ただいま参考人よりお話がありましたが、この意見書に対して、自治庁意見をこの御意見開陳の順序に従つて一応述べていただきましたならば、あと参考人に対する質疑に非常に便宜ではないかと思いますが、さようおはからいくださつてはいかがでしようか。
  6. 青柳一郎

    青柳委員長 自治庁から財務部長さんが見えておりますが、途中で入つて来られたので、すぐに御答弁をする準備がないと言つておられます。いずれ次長が見えますので、その際に質問の形式でお尋ねいただいたらどうかと思います。友末参考人に対する御質問を願います。
  7. 門司亮

    門司委員 私も中途から入つて聞いておりまして、ただ今書類で一応見ただけでありますが、問題になりますのは、給与ベースの問題と、それから税収見積りが一番大きな問題の開きになると思うのでありますが、税収見積りについて今のお話を伺いますと、遊興飲食税増収を五割に認められておる。従つて一月からこれがやめられても、そう大きな数字が出ないということが一つ税収見積りの大きな相違になつておるように考えられるのであります。これは後ほど自治庁にも聞かなければならないと思いますが、当初の予算見積りは、大体千三百五十億を見積つてつて、そのうち五五%の捕捉率で、それに税率をかけて百七十七億という数字を出しておるわけであります。ところがそれが五割もよけいの増収があるということになると、当初の自治庁予算見積りに非常に大きな問題があつたんじやないかと思います。われわれから考え参りましても大体五割くらいの増収はあると思います。遊飲税の総額は、昭和二十五年の統計を見て参りましても、大体千五百五十九億ですが、約千六百億の数字が出ておりますので、おそらく二十七年度は二千億を越えるはずである。それに現行税率を掛けて行けば、非常に大きな数字が出て来ると思います。これは大体われわれにはその当時から想像はついておつたのであります。従つてその当時の速記録にもそういうことが書いてあると思います。従つてども見積りと、今の知事お話を伺つてみますと、大体自治庁は最初からそのくらいの増収見積つてつたが、当初予算ではそういうことはないとして隠しておる。今日になつてそれを明らかに出して来て、これだけの収入があるんだということで、知事会見積つた遊興飲食税中央見積つた遊興飲食税との開きが強く出て来たと思いますが、これは一体どつちがほんとうですか、今知事さんのお話のように、遊興飲食税政府見積つたように五割以上ふえておるというようなことはないというのがほんとうでございますか、その点もう少し具体的にお話願えるならばお話をしていただきたいと思いますが、これは今までの徴収実績等から考えてみますと大体わかるのであります。それからもう一つ政府の言つております原因の中には、遊興飲食税は減額しても、一月の月は非常に遊興飲食税のふえる月であるから、決算で今までの月と同じように平均されては困るというのが大体自治庁意見なのであります。だから税率は下げても税収はそう減らないということが自治庁見積りらしいのであります。この辺にもこの税金の見積りの上で多少開きがあるということはわかるのでありますが、今までの実績の上で自治庁のように五割という増収が出るというように見積りができているのかどうか、実績をここでひとつお聞かせ願いたいと思います。
  8. 友末洋治

    友末参考人 一月から遊興飲食税入場税税率半減、これはわれわれの見積つておりまする数字は大体三十億程度じやないかというふうに見ております。自治庁におきましてはこれを二十四、五億に押えておられたかと思います。これはまず別といたしまして、それ以外の遊興飲食税入場税というものがどれだけ本年度内に入るかという問題であろうかと思います。ただ今後の情勢というものをある程度見込んでの議論になりまするので、とれるとれぬという、実は多少水かけ論にもなるものなんです。そこでお聞き及びの通り、従来の実績及び現状から考えて、どういう判断をすることが、現段階では正しいのかという問題になろうかと思います。先ほど遊興飲食税につきまして五割八分、入場税につきまして二割二分と申しましたのは二十六年度決算であります。実際入りました決算から見てどうなつておるか、かようなことを知事会としては押えてみたわけです。そこで経済界も私は御承知通り全般的に不況でございます。東京大阪等におきまする問題は別といたしまして、大多数の農村県におきましては、実際入場者も比較的少くなり、また料理店飲食店等状況を見てみましても、現実にそう昨年度から比べて大幅にふえるということはとうてい考えられない、かように判断をいたしまして、われわれといたしましては相当大幅な減収を予定をいたしておるということでございます。ただ自治庁としてお考えになります場合におきまして、規定上これだけ地方でできるから、これだけは努力すれば入るだろうというふうにお考えになると、東京大阪を別にして考えました場合におきましては、さような形式的な理論は地方に実際に当てはまらないというのが私ども判断でございます。
  9. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、この給与ベース関係でありますが、この給与ベース関係は大体市町村見積りでは、現行にさらに二〇%の増額をして、それを八月から算定せられたのでありますか、それとも十一月から算定せられたものでございますか。
  10. 友末洋治

    友末参考人 十一月から算定したものであります。
  11. 門司亮

    門司委員 そうすると、人事院の勧告は八月になされておりますので、当然十一月までの間、三箇月ですか、かりに勧告通りにこれを実施するとすると、これにもう三箇月分を加算しなければならない、こう解釈してよろしいのでございますか。
  12. 友末洋治

    友末参考人 そうであります。
  13. 床次徳二

    床次委員 参考人にお尋ねいたしたいのでありまするが、現在政府が予想いたしておりますような補正予算によりまして、地方財政を処理した場合におきまして、府県財政はどうなるかということが非常に懸念にたえないのでありまするが、しかしこのまま処理いたしましたならば、どんなふうになるということを予想されるか、その点お伺いいたしたいと思います。非常に危胎に瀕すると思いまするが、事実知事はこれに対していかように対処せられる考えがあるか。
  14. 友末洋治

    友末参考人 現在のまま放任されまする場合におきましては、結局給与費その他の経営費に大幅な赤字が出るそれを何で補うかということになるのでございまするが、本年度内におきまして施行をいたさんといたしておりまする、あるいは施行中の単独事業等のものは、すべてこれを切捨てて、それから出まするところの財源を経営費にまわすというくらいな手しか打てないわけであります。従つて全般的に見ますればこれは大したことではございませんので、どうしても今回の補正案というものをできるだけすみやかに再修正していただく、これに向つて知事会としては努力する以外に道はない、かように考えております。来る十一日に全国知事会を開会いたしまして、先般自治庁におきまして総務部長会議を招集され、今後の平衡交付金の配分の方針並びに起債の承認の方針等を概略お示しになりましたので、各府県といたしましては、今後増額交付されまする平衡交付金及び起債、これらに推定を行つております。そうしてその上でなお府県に出まするやむを得ない赤字というものを持ち寄りまして、これを再検討して今回の三百六十億の措置で、なお今後生じますところの具体的な赤字をはつきり出しまして、政府その他にもお考え直しをお願いいたしたい、かような方向で進んでいるわけであります。
  15. 床次徳二

    床次委員 なお一つお尋ねいたしたいのでありますが、現在地方におきましても、経費の節約ということについては相当努力しておられると思うのであります。しかし地方実情を見ますと、次第々々に部局も増加しておるのでありまして、ある程度までそういう方面の整理によりまして、行政費を少くする、軽くすることができるかどうか。もちろん今までやつておられるでありますが、この点について将来どの程度の節約が期待できるかどうかということを問いたいのであります。なおある程度の事務につきましては、これを廃止、中止するのもやむを得ないものが出て参ると思いますが、こういう手段によりましてある程度地方財政をとりあえず切抜けることができるかどうか、この点も伺つてみたい。
  16. 友末洋治

    友末参考人 府県財政の非常に窮迫いたしておりまする問題は、相当長期にわたつて続いてるのでございます。従いまして各府県とも節約緊縮でき得まするだけあらゆる努力を払つております。すなわち人件費の問題につきましても、極力新規増員をしない。配置転換によりましてこれを処置する。中には一定の資格を要するものもあるのでございますが、それらも現在員を教養いたしまして、資格をとつてまで配置転換に苦慮をいたしている状況でございます。にもかかわらず、中央から新しい法令が出、そうして新しい施策が行われますたびごとに、人員の増加要請があるのでございます。その点に私ども非常な苦慮を払つておるのでございます。なお人件費以外の物件費、旅費等におきましても、従来からあるいは一割節約、二割節約をしばしば繰返して来ておるのでございますが、なおこれらの点につきましては、さらに今後努力をいたすつもりでございます。なお今日におきましては、いろいろな仕事をもつと能率的に経済的に地方行政において行わなければならぬというので、各種の事業につきましてその合理化、経済化、能率化という面につきまして慎重な検討を続け、できるだけの節約はいたして参る考えで、各県とも進んでおるのでございまするが、かような実情から考えますれば、いくら節約に多く期待されましても、現実にその財源を見出すことは相当困難な実情に相なつておるというふうに判断をいたしておるのでございます。
  17. 床次徳二

    床次委員 なお重ねてお尋ねいたしたいのでありますが、地方の必要なる財源に対して、国から今回の補正におきましてきわめて少額なものしか交付を受けないという場合におきましては、先ほどお話のように事業を繰延べる、あるいは中止という問題になるのでありまするが、他の反面におきまして増税という形におきまして、さらにやむを得ず財源を調達せざるを得ないという形になるかとも思いまするが、現在の地方状態におきまして増税する余地が若干あるかどうか、なお無理にでも増税せざるを得ない状態、増税をしてこれを切り抜けざるを得ない立場に追い込まれているかどうかということをお尋ねしたいと思う。そのお尋ねいたしまする理由は、今回補正予算におきましては、国税におきまして相当の減税をしておるのであります。国税において減税を考えるために、反面において必要なる府県に対する助成を縮少するという操作にもなつて来ておるかとも思います。はたして国税における減税というものが、十分民生のために減税の役割を果しておるかどうかということに対しては、私ども疑問に思つておるのでありますが、その結果府県における増税という形において現われるのではないかということもおそれておるわけでありまして、この点府県においてはたして増税という形式においてある程度まで窮余の策をやらざるを得ないというところに追い込まれるのではないかとも思いまするがこの点に関して府県の見通しを伺いたい。
  18. 青柳一郎

    青柳委員長 参考人に申し上げますが、御発言の際には委員長と呼んでいただきます。
  19. 友末洋治

    友末参考人 苦しい地方財政打開のために、私どもも税の面で何とかできないかということで常々苦慮いたしておりまするが、現行制度のもとにおきまするところの税制の建前から申しますると、さらに増税の余地ははいと考えます。従いまして、何かないかというので苦慮をいたしておりまするが、一千万円あるいは二千万円程度の独立税を設けるくらいな程度しか実は考えられないのでございまして、これ以上の独立税の新設もほとんど不可能のだと考えます。要するに現在きめられておりまするところの事業税、遊興飲食税入場税等の徴税を強化いたしまして、極力その税収の増大をはかつて行くより道がないという実情でございます。
  20. 床次徳二

    床次委員 ただいまのに関運して申し上げるのでありまするが、今回地方税におきましてある程度の減税を一月一日から実施されるわけでありまするが、もしも徴税強行が行われます場合におきまして、改正しました本来の地方税軽減の趣旨をあるいは侵すことになるのではないかということを懸念するのであります。財源がないあまり、表面的には減税になりましたものをさらに無理にこれを徴集するとほんとうの減税の趣旨を没却することを私ども恐れておるのでありまするが、この点に関しして、そういうことのないことを私とも希望するわけでありまするが、先ほどこの中にもありましたが、かなり財源見積り自治庁では大きく見ておられる。従つて反面において減税を実施すると言いながら、事実上においては徴税を強行するということにならとも限らないのでありますが、その点に関する御意見を伺いたいと思います。
  21. 友末洋治

    友末参考人 税率というものが政府の方針で決定せられました以上、その方針を忠実に実行することはもちろんございます。それ以外の面におきまして、できるだけ徴税成績を上げるというくふうをするほかはないと思うのでありまするが、実際に実行の面におきましては、その兼ね合いがむずかしい問題になろうかと思いまするが、十分注意して措置することは私どもの責任だと考えます。
  22. 横路節雄

    ○横路委員 参考人にお尋ねいたしたいのですが、先月の十四日と十五日に全国知事会がございまして、その全国知事会でいろいろ今お話のような内容について、検討されて自治庁との間にいろいろ折衝されたと思うのでございます。折衝されました際に、当然自治庁としても今参考人の方で申されました都道府県の六百十三億の要求に対して、大体自治庁が二百五十三億程度の金額しか見ていないのですから、当然自治庁としても二十七年度年度末に至れば赤字になる、その赤字について自治庁全国知事会との間では、年度赤字になつた場合には、何らかの方法で操作をするというように自治庁では全国知事会の代表者に回答しているかどうか。その際に知事会の方で自治庁との交渉の際に、自治庁はこの点について年度末にしわ寄せになつた赤字については、どうするというように言われておりましたか、この点についてもひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  23. 友末洋治

    友末参考人 この点につきましては、知事会として相当鋭く追究いたしたのでございまするが、その結果得られました回答は、今回の地方財政補正案決定いたしました基準に著しい変更が――変更せざるを得ないという明らかな事実がでた場合におきましては、考えざるを得ないだろうという程度のお答えしか得られなかつたのでございます。
  24. 横路節雄

    ○横路委員 全国知事会といたしましては、今の基準に著しい変更があれば考えざるを得ないであろうという自治庁の答弁については、どういうふうに御解釈をなすつていらつしやるのですか。
  25. 友末洋治

    友末参考人 今回の補正案の策定につきましては、それぞれ自治庁として基準を設けて決定されておるのでございまするが、その基礎に対して私ども先ほど申し上げますように根本的に見解を異にするものがございます。また今後の事実によつて明らかになるものもございます。そこで政府がとつておられますところの不当の見解というものは、できるだけすみやかに是正していただきたい。また今後具体的に今後の補正基礎をなした事実が不当であつたということが明瞭になることが明らかな場合においては、それもひとつすみやかに是正してもらいたい。従つてあくまでも地方実態というものを基礎にして、政府は再検討して、そうして誤つた見解を是正し、不当な措置を修正してもらいたい。知事会といたしましては、終始一貫その態度で今日もなお続けておるわけでございます。
  26. 横路節雄

    ○横路委員 私のお尋ねの仕方が悪かつたせいか、お答がはつきりしなかつたのですが、それは年度末に至つて赤字になつた場合に、昨年は昭和二十七年度地方債を二十七年度末で三十億繰上げ使用しておるわけですね。私のお尋ねいたしたいのは、自治庁基準に著しい変更があれば考えざるを得ないということは、それは、当然自治庁としても年度末に至れば、都道府県赤字になるだろう。そうすればまた前の例を繰返して二十八年度地方債を、二十七年度に繰上げて使用させるぞというようなことを言外に含んで、自治庁ではあなたの方にお答えになつておるかどうか、私のお聞きしたいのはこの点です。
  27. 友末洋治

    友末参考人 自治庁の言外の含みということは、私どもちよつと判定できません。昨年はつなぎ資金で措置されたのでございまするが、かようなことは知事会といたしましては繰返したくない。性質上平衡交付金措置すべきものを、つなぎ資金の起債措置することは、根本的に誤つておると考えておるのでございます。
  28. 横路節雄

    ○横路委員 次に私は地方公務員関係給与問題について、参考人にお尋ねしたいのですが、私たちの手元にただいま示されました説明書のところに、今回のベース改訂は従来通り現実基礎として国家公務員に準じてこれを実施せざるを得ないものと考えておりますとある。この意味は政府の方では地方公務員に関して三百四十八円、教職員に関して三百四十九円の減額補正をしてやつたけれども、全国の知事会としては、それぞれ地方公務員関係の職員に関しては、現実もらつている給与、それを基礎にしてやらざるを得ない、こういうふうに解釈してよろしいのでございましようか。
  29. 友末洋治

    友末参考人 その通りでございます。
  30. 横路節雄

    ○横路委員 参考人にお尋ねいたしたいのですが、自治庁では初めから全国知事会では三百四十八円、三百四十九円については減額した補正財源を付与してやつても、都道府県知事会ではやりくりして、何とかやれるだろう。減額は実際にしてやるけれども、都道府県では別途な財源措置をして、それを引かないでやれるだろう。また自治庁側では、都道府県の何か隠し財源とは言いませんが、裏をつつついて、何ぼ少くやつたつて実際には支給するのだから、何かまわない。初めから六十三億引いてやれ、こういうような気分でおやりになつておるのではないかと私たちは推察しますが、その点はどうでございましようか。
  31. 友末洋治

    友末参考人 自治庁でさようなお考えがありましくも、地方といたしましては何ともかんともベース・アツプの問題はやりくりがつかない、そこで二十六年度におきましても、年度末になつてどうもこうもならぬというので、平衡交付金措置すべきものをつなぎ資金八十億でお茶を濁した、かようなことを繰返しておりますがゆえに、地方財政というものは常に不安と混乱というものが絶えない。結局給与の問題を根本的に早く明確にいたしませんと、財政困難な府県をますます窮乏に陥れまして、地方財政全体として、不安定な状況になると、かように考えます。
  32. 横路節雄

    ○横路委員 参考人にお尋ねいたしますが、参考人側といたしましても、今回のこの三百四十八円の問題については、ただいまも御説明がございましたように、自治庁としては絶対に国家公務員については実態調査をしていない。従つて全国知事会としても、ぜひこの際国家公務員給与実態調査して公表してもらいたい、こういう点につきましては、将来ともにそういうふうにお考えでございますか、どうですか、その点お尋ねいたします。
  33. 友末洋治

    友末参考人 この国家公務員給与実態調査は、大蔵省、人事院自治庁等におきまして、真剣に取上げられまして、これをはつきり調査し、公表されませんと、この問題は解決できませんので、あくまでも引続き要請をし続けるつもりでございます。
  34. 横路節雄

    ○横路委員 先ほどお話ございました今回人事院から勧告されました勤務地手当に関するところの新しく指定されたところと格上げにつきましては、大体全国知事会としては、一体どの程度増額になるとお考えになつておるのでございますか、その点お知らせいただきたいと思います。
  35. 友末洋治

    友末参考人 先ほどちよつと御説明申し上げましたが、府県市町村を含めまして、約二十億程度のものが本年度財源措置として必要だ。来年度一箇年を引伸して考えますと、約倍以上の四十億を越えるのではなかろうか、かように推定をいたしておる程度であります。
  36. 横路節雄

    ○横路委員 それでは知事会の方で要求されました六百十三億、今回大体自治庁の方で発表されました都道府県の二百五十三億、この差の三百六十億―三百六十億の足りない分について、全国知事会として、今後年度末まで努力なすつて、この三百六十億足りないという点が、どの程度圧縮される見通しか。それとも三百六十億については、絶対にこれ以上膨脹してもこれよりは圧縮されない。たとえば旅費の一割削減とか、物件費の五%の節約であるとか、あるいは今の税外収入の約三十四億の問題であるとか、そういう問題がいろいろございますけれども全国知事会としてはこの三百六十億についてはぎりぎり一ぱい、どうしても今の状態で、年度末には三百六十億の赤字になる、こういうように確信をもつてお答えができるかどうか。なおさらにいやそうではない、政府が言うのだからもう少し努力をして、これを縮めようというのか、その点ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  37. 友末洋治

    友末参考人 六百十三億は各県及び全国知事会相当長期にわたつて慎重に推計に推計をいたしました数字でございます。従つてこれに対しましての今後の大きな変動は、私どもとしては想像できません。ただ税収の面におきまして、極力自然減収を少くして行く。また節約の面におきましても、物件費、旅費等にできるだけの節約を加えますことは当然でございますが、かくいたしましても、大きな狂いは出ないだろう。  なお先ほど申し上げました十一日に全国知事会議が開催されますので、その際には各県から、今回の三百二十億を基礎にいたしました計数を持ち寄ることになつておりますので、もつと明確なものが出るかと考えております。
  38. 横路節雄

    ○横路委員 今の点だけお聞きして、私は終りたいと思うのですが、今のところが非常に大事なんです。それはこの間自治庁の方から全国知事会自治庁との間の比較表を出されまして、ただいまお話全国知事会で三百六十億の赤字になつているという中で、非常に大きいのは、この地方税のいわゆる増であるか減であるかという問題が非常に大きいのでございまして、この点自治庁知事会との間では、百六十八億も違うというような資料が自治庁から出されておるのでございまして、従つてここの点が非常に問題でございまして、私ぜひここではつきりお尋ねしておきたいと思いますことは、三百六十億については、全国知事会として、年度末に至つた場合に――先月の十四、十五日の全国知事会で出された資料と思うのですが、この点については著しい変化があるかどうか。著しいというのは、三百六十億が圧縮されても三百五十億程度になるものか、それとも三百六十億を再計算してみたところが百億くらいで済んでしまうのか、その点は、きよう参考人としておいでいただきましたので、やはり十一日の知会といわずに、きようわれわれ委員にはつきりしていただきたい。この問題はわれわれとしても将来の重要な問題であると考えておりますので、ぜひこの点はもう一ぺん御説明いただきたい。
  39. 友末洋治

    友末参考人 六百億の総計の赤字につきましては、著しい変更はおそらく出て来ないだろうと、現段階では考えております。
  40. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 私、一点お伺いしてみたいと思います。一月一日から入場税遊興飲食税半減されるということになりまして、業界方面においてもそれについて相当の期待を持つているようでありますが、東京都のの例なんかを見ますと、現在かりに百分の百の税率でもつて課税いたしておりましても、実際に徴収しているのは百分の五十以下の徴収を認めておるというふうに聞いたこともあるのであります。かりに百分の五十以下の実際の徴収をいたしておるとするらば、今回一月一日から百分の五十に法律上の税率は下りましても、業界が現在徴収しているところの半分になるというわけには行かないと思うのです。その点を非常に憂慮しておるわけでありますが、今まで百分の百をとられておりまして、百分の百の実際の税を納めておるならば、百分の五十に法律がかわつた場合にはその半分の徴収ということになりますから、業界におきましては半分減つたという実感が出るわけでありますが、百分の五十以下の実際の収入であつた場合には、法律上は半減されましても、実際においてはどうにもならないということになると思うのであります。そういう点からいたしまして、全国全体のことを御承知でないならば、茨城県だけにおきまして、今まで入場税及び遊興飲食税について法律に規定した税率から見て、その何割程度が実際に税収入として入つていたか。その実績をお伺いしてみたいと思うのであります。
  41. 友末洋治

    友末参考人 詳しい計数を持つておりませんので、正確にお答えできませんことは遺憾でございますが調定の額は実は相当に上るのでございます。実際この調定額に比較いたしまして徴収の額というものは全国的に見て決して成績がよいとは申されますん。おそらく茨城県といたしても、調定額に対して六割五分ないし七割程度のものではなかろうか、かように実は考えます。そこで税率を下げても、徴税を強化して行けば元通り税収が上るのではないかということがよく申されるのでございますが、この遊興飲食税入場税は、もともと税の本質から申しまして、非常に苦労しても税収の上らない性質を持つておるのでございます。従いまして、極力努力はいたしておりますけれども、徴税の率というものが容易に実際上げにくい。従つて税率半減されますれば、実際の税収は半分とは申しませんけれども相当少なくなつて参るというのが過去の実例であり、やはり今回もさような実例をたどつて行かざるを得ないだろうというふうに私は考えております。
  42. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 自治庁において調査がありましたならばお聞きしたいのですが、入場税遊興飲食税について、実際の税率に比較して何パーセントぐらいの徴税実績を示しているか、調査がありましたらお知らせ願いたいと思います。
  43. 後藤博

    ○後藤政府委員 ただいまのお尋ねに対しまして、昨年度実績を全国的にならして申し上げますと、入場税は、徴収成績は、調定に対する収入が九〇%になつております。遊興飲食税は、全国でならしますと七六%になつております。
  44. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 今申された調整というのは、税率はかりに百分の百であるけれども、都道府県においてもつと少い税率に自主的に調整していたいという、その調整でありますか。もしそうであるとするならば、どの程度に実際の税率調査が行われているかをお聞きしたい。
  45. 後藤博

    ○後藤政府委員 実際の売上高のうちで実際に調定をいたしたものの歩合でありますが、これは私どものところにはつきりわからないのであります。全国の売上高を調定から逆に推測いたしますと、大体昨年は売上の五〇%ぐらいの捕捉しか調定の上に載つていないのではないかというふうに考えております。ことしはそれをもう少し上げまして、当初は五五%ぐらい捕捉できないか、こういうふうに推定いたしておつたのであります。
  46. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 そういたしますと、五〇%ないし五五%の調定をしているということになりますと、百分の百の課税率でありましても、実際においては百分の五十の課税率と同じような徴収の方法が行われたということになるわけでありますが、今回一月一日から百分の五十になりました場合にも、同じく五五%なり五〇%という調定を実施して課税するということであれば、業界に響く影響というものは、やはり税はその半分が実際において軽くなるということになるわけでありますが、そういうふうに考えてようございますか。
  47. 後藤博

    ○後藤政府委員 補正計画では、実は本年度当初におきましては、二十六年の実績がはつきりわかりませんでしたので、二十五年の調定実績基礎にいたしまして、二十六年、二十七年の伸びを見まして、遊興飲食税につきましては見込みを立てたのであります。ところが最近になりまして二十六年度実績が完全にわかつて参りました。また二十六年の所得税の遊興飲食業者の課税見込み所得もわかつて参りました。従つてそういうものを基礎にいたしまして改めたのであります。当初の現行法による場合を大体五五%捕捉するという建前でもつて、徴収率は八〇%ということにいたしておるのであります。実際において遊興飲食税の場合でも、ただいま茨城県知事からお話のありましたように、現実の問題といたしまして、なるほど税率は半分になりましても、りくつの上ではとれるではないかということが申せるかと思いますけれども現実にはやはり落ちるのではないか、三分の一程度のものは落ちばしないか。従つて捕捉の強化によるところの増は六六%程度ではないか、こういうように考えております。なおまた一月という月は、遊興飲食税にとりましては非常に増収になる月であります。従つて普通の一月分よりも〇・二くらい多くなる月でありますので、減収が多くなりはしないかというのを見まして、一月、二月分で大体十一億程度のものが落ちはしないか、こういう計算をいたしております。それから入場税でありますが、これも当初は二十五年の調定を基礎にしたのでありますが、二十六年の実積がわかりましたので、二十六年の実積を基礎にしまして、大体二割五分程度の増を見込んであります。こちらの方も徴税強化によりまして、料金がそのままでありますと大体三三%ばかり増になる。それから捕捉強化を大体一七%見まして、全体で五〇程度の捕捉強化が考えられますので、改正法による場合はそういう計算をいたしまして、大体一月、二月で十三億落ちる、こういう計算をいたしております。入場税の場合も、やはり一月は非常にたくさん入る月でありまして、普通の月の〇・八倍くらい多くなる。従つて一月、二月で十三億落ちる、こういう計算をいたしておるのであります。  それからついででございますので申し上げますが、本年度の九月までの徴収成績を見ますると、昨年の同期と比べまして、大体入場税においては二割三、四分、よいところでは二割五分以上増収になつております。それから遊興飲食税につきましても三割以上よくなつております。
  48. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 知事会の書額によりますと、「経済界不況にかんがみ昨年度決算に比し、入場税において二割二分増、遊興飲食税において五割八分増の大巾な増収は不可能である」ということになつておりますが、ただいまの説明によりますと、これに対してはどういう見解になりますか。
  49. 友末洋治

    友末参考人 遊興飲食税入場税は御承知通りに大都市税でございます。東京大阪等平衡交付金に大体関係のないところの成績が、全国の成績を左右いたすのでございます。平衡交付金関係いたします農村多数の県といたしましては、入場税において二割二分、遊興飲食税におきまして五割八分の増というふうな大幅な増収は、諸般の事情から考えまして何としても考えられないのでございます。
  50. 阿部千一

    ○阿部(千)委員 この知事会意見書によりますと、今回の地方財政補正案の中に「行政整理府県一般職員八〇〇〇人)の不当な強要」というのがありますが、これはすでに行政整理の済んだ分の補正ですか、あるいは今後予定せられているというのでしようか。
  51. 友末洋治

    友末参考人 昭和二十七年度の当初におきまする地方財政計画の樹立にあたりましては、職員費におきまして、全体として五%の行政整理をやるという前提に立つて、それだけ給与費を減らして編成してあるわけであります。その後政府として地方行政簡素化によります行政整理をどうするかということが検討されておつたようでありますが、地方に対して行政整理を二十七年度において断行するというふうな方針のお示しがなかつたというふうに私は考えております。そこで地方職員に対しての行政整理を断行しないという方針に確定をいたしたといたしますれば、当初の五%減を引きもとして五%だけ追加補正しなければ、つじつまが合わないのであります。おそらく行政整理の御方針はおとりやめになつたのではなかろうかと思うのでございますが、教職員につきましては、はつきり行政整理を断行しないから、五%引いておつたものはまたもとしてやりますというふうに措置されてあります。しかし一般職員につきましては、あくまでも当初の通り五%減でこれをそのままにしてありますので、私ども見解といたしましては、不当な行政整理をこの八千人に強要されているのではなかろうか、かように判断をいたし、それは適当でない、一般職員につきましても、五%減はもとに返し、追加補正すべきである、かように判断をいたしておるのであります。
  52. 阿部千一

    ○阿部(千)委員 それからもう一点は、そのちよつと前に書いてあります義務教育職員給与の問題について、知事会の方でここに意見書としてお出しになつてあります、財政混乱を生ぜしめないための法的特例ということについての何か知事会の方の具体的なお打合せなり、あるいは御腹案なりおありでしようか。
  53. 友末洋治

    友末参考人 具体的な案はまだ持つておりません。少くとも市町村教育委員会と県の教育委員会とが協議するか、または監督上の関係から考えまして、給与引上げ等から生じますところの財政上の混乱は、とりあえず防止することという臨時特例の法律がありませんと、給与引上げられましたものは正当の請求権が発生いたしますけれども財政がこれに伴いませんので支払いができないという非常にむずかしい問題が起つて来る、かように考えておるのであります。
  54. 青柳一郎

    青柳委員長 他に友末参考人に対して御発言ないようでありますから、これを済ませまして、次に中井参考人お願いします。
  55. 中井光次

    中井参考人 地方財政、特に都市財政の窮状については、当衆議院地方行政委員各位におかれては、つとに十分の御理解をいただき、平素格別の御配慮をこうむつておりますことについては、この機会に厚くお礼を申し上げます。  都市財政が今日の窮迫を見るに至りましたおもなる原因は、これを概説いたしますれば、第一に、都市には税源が集中して財政に余裕ありとする誤つた常識論が支配していたこと、第二には、右の結果平衡交付金その他の配分にあたつて総額の不足のしわ寄せがもつばら都市に集中していたこと、第三に、都市は府県または町村に比し交通、文化、衛生、社会施設等投資的事業のため経費が巨額に達し、戦前においてもこれがため地方債の六五%は都市の起債でありましたが、最近においては累年その半ばにも達せぬ二四%程度より許可のないことなどにあると存じます。この結果昨年度に至りましては地方財政赤字処理のため特別融資が行われましたが、それにもかかわらず都市財政は約五十億円にも及ぶ赤字を本年度に繰越すほかない状況に立ち至りました。  右のごとき昨年度都市財政のあとを受けて、本年度は生活保護費、児童福祉費の都市負担分の増加を初め、国の施案に基く増加経費、物価値上げに伴う経費の自然増のありますほか、年度の途中において地方教育委員会の設置及び職員の給与改訂等に要する新たな、しかも巨額に上る経費の増加を余儀なくせられ、現状のままでは、後に述べますように、本年度都市財政赤字は、約三百九十八億円にも達するように推算せられ、都市関係者としては深く憂慮いたしておる次第であります。  このたび全国市長会において各種の財政実態につき調査した結果によりますれば、お手元にお配りした資料の通り、昨年度の支出額が千五百二億円に対して、本年度における増加見込み額は、相当節減いたしましてもなお三百十三億円で、これを合算いたしますると、本年度の経費総額は千八百十五億円に達する見込みであります。しかしてそのおもなるものは、給与引上げその他国の政策に伴う増加経費、公共事業等の臨時事業費、一般物件費、交際費等の増加であります。これに対して収入の面では、第一に税収は、自治庁平衡交付金の計算では、昨年度に比し約百七十億円を増加して八百七十億円と計算されておりますが、実情は経済状勢の変化により昨年に比してわずかに二十四億円を見込み得るのにすぎません。また平衡交付金の仮決定の結果によりますると、主として税収の過大見積りと都市財政実態に合わない算定方法の結果、道府県は三十八億円、町村は五十四億の増加に対し、都市は逆に十八億円の減少を示し、結局都市配分額は七十二億円の僅少な額にとどまつたのであります。さらに地方債については、昨年度末の特別融資の配分が不十分であつたために、本年度において考慮されることと承知いたしていたのでありまするが、現実においては、本年度地方債の総わくの増加にもかかわらず、都市分の許可内定額は九十五億円の見込みで、昨年度に比して三十五億円の減額となつているのであります。その他の収入は合計五百七十六億円で、結局都市全体の収入見込額は合計千四百六十七億円で、これを経費見込額千八百十五億円に比して、本年度は、現在のままでは赤字は実に三百四十八億円に達し、これに前年度赤字繰越額五十億円を加えますれば三百九十八億円に及ぶ見込みであります。  以上の実情から、本会としては、都市に対する財源の補填として平衡交付金及び起債を合して三百九十億円の財源措置方を要望いたして参つた次第でありまするが、結局政府措置としては、都市のみならず府県及び町村をも合して平衡交付金二百億円、起債百二十億円、合計三百二十億円の補正にとどまることとなりました。私どもとしては、政府措置地方財政の実際と著しくかけ離れておると申すほかはないのでありまするが、この結果は、目下自治庁で推算中の平衡交付金及び起債補正額三百二十億円の府県及び市町村間の配分は、伝えられるところによりますると、府県への配分は約二百十五億円、市町村に対する配分は、平衡交付金六十億円、起債二十五億円、合計八十五億円と相なるように伺つております。前に申しましたように、都市のみで約三百九十八億円の歳入不足が予想せられますのに、都市のみならず町村を合せて八十五億円の財政措置が、いかに実情に比べて過小であるかは十分御推察願えるわけであります。例を地方教育委員会の経費にとつてみましても、都市の実際所要額七億円に対し、平衡交付金ではその約一割にすぎない八千万円を見込んでいるにすぎません。また給与改訂費にいたしましても、所要額約八十億円に対しその半額の四十億円程度見積られておることのように推算いたされます。従つてこの程度では、都市財政はかりに給与改訂をいたさないといたしましても、なお相当巨額の歳入欠陥を見ることは不可避でありまして、私どもといたしましては、かかる実情に沿わない今回の財政措置に対してはまつたく納得し得ませんので、各位の格別なる御尽力御配意によりまして、政府提案のほかさらに平衡交付金及び起債わく拡大されまするよう切にお願い申し上げる次第でございます。顧みますと、昨年度も今回と同様平衡交付金及び起債の問題について各位の御配意を煩わしたのでありまするが、本年また重ねてかくのごとき御配意を煩わしますことは、私どもといたしましてもまことに遺憾に存ずるところであります。しこうしてこの点についてさらに深く考えまするならば、地方財政が今日のごとき状態に立ち至りましたのは、結局現在の中央地方行政財政制度に大きな欠陥があると考えるほかはないと存じます。私どもとしては、事態今日のごとくなりましては、もはや彌縫的な措置では問題の解決は不可能で、現状のままでは地方自治の名のみで、財政的にはまつたく自治の実態を失つていると存ずるのであります。このような観点から、私ども全国市長会としては、この際中央地方財政制度に根本改善を加えられまするよう、強く要望いたしておる次第であります。  詳細は別に資料として御提出いたしたいと存じておりまするが、その概要を申し上げますれば、第一に、中央地方行政事務を大胆に簡素化して行政費の大幅縮減をはかつて、一は国民負担の軽減をはかるとともに、地方財源の涵養に資すること。第二に、地方制度については、特に府県の性格及び機能に根本的検討を加えて、二重行政に基く不経済、非能率を改めて地方経費の縮減をはかること。第三に、中央地方税制については、現在の国偏重の税制を改めて地方の自主財政確立するため、税源の再配分を行うこと。第四に、平衡交付金制度が現在では、当初の趣旨に反して、起債の許可制度と合して地方財政統制の具に堕しておるとも考えられまするが、これを是正して、地方財政の自主を確立するため前項の自主財源の強化に応じて、平衡交付金は特に財政力の弱い団体に対する財政補給の程度まで縮減すること。第五に、国庫負担金及び補助金制度については、現在の雑多な種別を統合して配分の合理化をはかること。第六に、地方債制度については、すみやかにその許可制度を廃止すること等であります。これについては後に資料を提出いたしたいと存じておりまするが、当面の平衡交付金及び起債増額及び配分の適正化の問題とあわせ、根本的対策についてもともとと御了察御配意をお願い申し上げる次第であります。
  56. 青柳一郎

    青柳委員長 次に萬屋参考人にお願いいたします。
  57. 萬屋良作

    萬屋参考人 ただいままでの各参考人におかれましては、主として地方財政の窮状についてるる御説明がありましたので、私はこの点に触れることを避けまして、主として給与の問題について申し述べたいと考えております。  その前にお断りしておきたいことは、その給与調査につきまして自治庁等から詳細なる資料がわれわれの手に入つておらないということであります。と申しますことは、調査方法等につきましても、具体的なることが全く知らされていないということであります。従いまして、計数的な問題につきましては若干狂いが出て来るかとも思いますが、その点あらかじめ御了解願いたいというふうに考えております。  まず最初に国家公務員地方公務員との給与を比較いたしまして、昨年度におきましては四百六十二円、その後の調査によりまして百十四円高いことが判明いたしたので、これを差引きまして三百四十八円高い、こういうふうに言われております。しかしながら、三百四十八円高いということは言われておりますが、しからばいわゆる全般の給与の平均額にいくらであるかということについては何ら言われておりません。  まず調査方法でありますが、方法といたしまして、個人別の給与実態調査表に記載されたところの各個人ごとの総勤続年数を、その種別に応じて定めた割合で換算をしたというふうになつておりまするが、まずこの個人別給与実態調査でございます。この個人別実態調査を全員について行つたのか、あるいは標準抽出法によつて行つたのか、あるいは任意抽出法によつて行つたのかということが明瞭になつておりません。統計理論的に考えてみまするならば、標準抽出法でやりまするならば、中堅あるいは階層のいいところと申しますのは、上級職員の極度な抽出過度という問題が生じて参りまして、実態からきわめた遊離した調査資料になつて来るということが明らかであります。また任意抽出法によりましても、大蔵省で昨年やりました調査を、聞くところによると、調査にあたつて提出された資料の中から、さらに任意に抽出したというふうな由でありまするが、このような任意抽出調査方法によつたものということになりますると、統計理論的には、資料はまつたく偶然の事実を基準として、取捨選択されたことであると同時に、その数字がある程度以上大なることが要求されるということになつて参りまして、任意抽出調査方法によるということにつきましても、統計理論的には若干疑義があるのではないかというふうに考えております。  その次に、総勤続年数をその種別に応じて、ある一定の換算率で換算をいたしまして、その者の勤続年数も出しているわけでありまするが、この勤続年数の換算方法として自治庁がいたしておるところのものは、まず官公庁の経歴期間は、その全期間を経験年数として、百分の百計上いたしております。これは当然のことでありますが、民間経歴期間につきましては、同種異種にかかわらず、その六割六分に相当する期間を経験年数として通算すると言われております。実際には地方におきましては、同種の民間経費の場合には八〇%ないし一〇〇%見られておりまするが、異種の場合にはわずかに二五%程度しか見られていないということであります。  次に兵役期間の換算でありますが、在職中の兵役期間は全期間これを勤続年数、いわゆる経験年数として通算することになつております。在職中以外の兵役期間につきましてはこれが通算されていないか、またはごくわずかしか通算されていないというふうな状態に相なつております。この点につきましてもまず換算基準からして問題があるのではないかというふうに考えております。  それからさらにこの勤続年数の問題でありますが、まず給与の題問をきめる場合に、学歴と勤続年数だけでやつておるわけでありますが、この学歴につきましても、国家公務員地方公務員の場合には非常に差がある。たとえて申すならば、都道府県の場合には甲種中等学校の卒業に非常に重点が置かれておる、その割合が、府県職員の場合ですと四三六・三というふうに相なつております。ところが国家公務員におきましては、この重点がさらに上に上つておるというふうなこと、さらに勤続年数につきましては、国家公務員に比較いたしまして、五年以上の勤続年数の者が国家公務員よりも一五%多い。平均年数にいたしまして約二年長い。さらに勤続年数の五年から十九年までの者をとつてみますならば、国の場合には三四・七%でありまするが、地方の場合には五〇%というふうに相なつております。  次に給与の比較をいたすにあたりまして、基準級号表というものをつくつております。この基準級号表の目的はなるほどわかるのでありますが、その作成の方法であります。まず原理といたしまして、昭和二十二年の九月三十日の凹凸調整特別昇給というところに根拠を置きまして、基準級号表を作成いたしておるのでありまするが、この昭和二十二年九月三十日の凹凸調整特別昇給というのが、理論的にはなるほど自治庁でやられておるような状態でありますが、国家公務員実態は必ずしもこうでないということであります。と申しますのは、人事院等におきましても、はるかにこの凹凸調整特別昇給というものが上まわつておるということを認めております。この誤まつた出発点から起算いたしまして、現在の給与がかくあるのだと理論的に推定いたしておる。これによつて地方公務員給与が高いあるいは安いということは、まつたく根拠がないというふうにわれわれは考えております。この基準級号表によりまして、国家公務員給与を比較いたしますならば、必ずや国家公務員も高い数字が出て来るというふうに確信いたしております。ちなみに昭和二十四年を基準といたしまして、現在の給与が理論的に幾らになるかということを算出いたしますと、具体的な計数は持つて来ておりませんが、昭和二十四年と申しますのは、現在の国家公務員の一般給与に関する法律にありますところの昇給、昇格、あるいは格付基準等によりまして算出いたしますと、現在の地方公務員給与は、はるかに下まわつておるということが言えるというふうに考えております。  次にその基準級号表の作成にあたりまして、昇格のために必要な期間を九割五分ということ、いわゆる昇格をするために必要な期間の九割五分に相当する期間を経過した者は、すべて昇格するということでこの表がこしらえられておりまするが、実際には九割五分の期間を経過したのみでは昇格ができないということであります。と申しますのは、われわれが今日、地方公務員給与は非常に頭打ちが多いということを言つておるのがこれであります。具体的に申し上げますならば、七級職から八級職に上るのには何箇年の期間を経過しなければならない。さらに八級職の定員に欠員がなければならないというふうな厳密な規定があるために、必要な期間は経過いたしましても、そういうふうな制限のために、上位の級には上れない。上れなければ当然昇給もできないということになるわけであります。従いまして、この昇給をある程度カバーするために規定の期間の二倍ないし三倍を経過した場合に、初めて一号俸昇給できるというふうなかつこうになつておりまするので、この九割五分に相当する期間ということで表がこしらえてあることにつきましても、非常に大きな問題を含んでおるのじやないかというふうに考えております。さらにこの表につきましては、一般の職員のみについてでありまするが、しからば役付職員については、どのように調査したのかということがまつたく不明瞭であります。昨年の場合で申し上げますならば、国家公務員の場合には部課長が三%である、係長が二四%である、係員が七三%であるということの基準に基きまして、地方公務員の場合もこのようなパーセントテージによつて計数が出されておるわけでありまするが、実際には地方公務員の場合には、部課長は三%でありまするが、係長はわずかに三%しかいない、あとはみんな係員である。にもかかわらず、それを全部同じパーセントで引延ばしたというふうなことで、あのような数字が出て来た、こういうところに大きな誤りがあるというふうに考えております。さらにその出て参りましたとこの結果を、単なる算術平均によつてつておるというこであります。加重算術平均というふうなことでやるか、あるいは幾何平均というようなことでやるのであれば別でありますが、小学校の算術と同様な方法によつて平均を出しておるということであります。この点にも大きな問題がある。先ほどから、るる申し上げておりますように、地方公務員国家公務員とは勤続年数が違うということ、さらに学歴も違うということ、いま一つフアクターを加えますれば、家族の構成が非常に違うというようなこと等から考えまして、地方公務員給与は決して高いものではないというふうに考えております。  理論的に考えました場合には、地方公務員給与国家公務員給与より高いとか低いとかいう問題を論ずるのには、まず最低賃金制というものが実施された後に初めて論ぜらるべきものである。現在の地方公務員給与にしろ、国家公務員給与にしろ、最低賃金制が実施されていない、いなこの最低賃金よりも下まわつているという中において、高いか安いとかいう問題が論ぜられるものではないというふうに考えております。さらに本俸のほかにいろいろ手当が出ております。これらを附加いたしますと、地方公務員はさらに低いものになつている。具体的に申しますと、まず第一に勤務地手当でありますが、国の場合には約二五%予算に編成しておるというふうに聞いております。ところが実際においては、地方公務員の場合は、予算面でもつてわずかに七%しか言上されていない、このようなところからいたしましても、他の手当を加えて参りますれば、非常にきつくなつて来る。さらに業務実態から考えますれば、大きくわけて言う場合、国家公務員は非現業である、地方公務員は現業であるというように考えております。と申しますのは、地方公務員の場合は、直接住民に接触いたしまして、いわゆる行政病人の処理であるとか、あるいは死体の処理であるとか、あるいは清掃事業というふうな業務をやつておるわけであります。従つてこういつた面から考えましても、当然給与は高くあるべきであるというふうに、われわれは考えおるのでありまするが、実際には高くないというふうに相なつております。  次には、このような調査に基きましてわれわれの給与が三百四十七円高いということで、今回のベース・アツプにしましても平衡交付金の算出にあたりまして、財政的な措置がなされておるわけであります。それによりますると、地方公務員給与改善費といたしまして二百七十五億八千二百万円、給与単価の調整に基くところの給与費の増加が九億二千四百万円、この九億二千四百万円というのは、昨年の調査と今年の調査との誤差、いわゆる百十四円分がそこに見積られております。これだけでもつてわれわれの平均給与国家公務員並に二〇%上げるというのでありまするが、その算出の根拠となりましたところの個人当りの単価というものは、依然として三百四十八円を引かれたものを基準単価としておるということであります。あらに平衡交付金は、地方に出る場合には一本の姿で出るということになつておりまするが、実際はこの内訳を見てみますと、国庫補助金の増加に伴う増加というふうな費目が計上されております。あるいは行政整理方針の修正によるところの増加というふうなものが計上されておりまするので、平衡交付金として二百億参りましても、全額を給与費にまわすということはできないのであります。従いまして算出の根拠は二百七十五億と相なつておりまするが、実際にはこれだけの金額が使えないのが実態ではないかというふうに考えております。  いま一つ考えられる面は、ほかに起債が百二十億ということになつておりまするから、従いまして、合計して三百二十億ということに相なるわけでありまするが、この起債というのは給与費には使えないのであります。使えないとすればどのような操作をするかということになりますならば、自治庁見解といたしましては、既定予算において使つてつたところの起債、これに見合うところの一般会計からの繰入分を、これを起債でまかなうことにして、それを一般会計の方に繰りかえすということによつてそれを給与費にまわす。このようなことになるわけであります。そのようなことをやつて参りますならば、この算出の根拠となつておりまするところの中に入つておる諸種の事業等は当然とりやめるか、あるいは延期しなければならないという実態になつて来るわけであります。またこの事業延期あるいは事業中止というふうなことをしないならば、給与改正をするにあたつて予算が足りないということになつて参ります。その措置をどのようにするかということにつきましては、自治庁見解といたしましては、新規採用のストツプ、あるいは老齢者のいわゆる整理、あるいは行政事務の簡素化、俗に言われておりますところの行政整理というものによつて経費を浮かして来る。さらには物件費の節約――事務費については約一〇%、物件費については五%程度の節約を見込んでいるというふうに考えておりますが、地方におきましては、自主的な節約をやつておりまして、その上にさらにこのような節約をやるということは、実際には不可能であるというふうに考えます。従いまして、地方公務員給与の改善をするにあたつて国家公務員と同様な割合で二〇%ベース改訂をするとすれば、この予算ではとうてい足りないことは、はつきりしておるわけであります。  以上最初に申し上げましたように、具体的な資料が出ておりませんので、きわめて抽象的でありまするが、御参考までに申し上げた次第であります。
  58. 青柳一郎

    青柳委員長 次に竹内参考人にお願いします。
  59. 竹内欣

    竹内参考人 自治労連の竹内であります。ただいま立場を同じくいたします萬屋執行委員の方から、給与の面についていろいろ話があつたわけでございますが、ともかくこの委員会においては、やはり給与の面が相当大きな問題になるのじやないかというふうに考えております。そこでこのような政府考えております今度の地方公務員に対する給与措置を聞きましたいわゆる私たち自治体労働者が、どのような考え方を持つているかというふうな面から、少しく説明を加えて行きたいと思います。  自治体労働者が言つておりますことは、こんなべらぼうなことがあるかという形で非常に憤慨しております。それが証拠に、先週三日以後自治労働の組合員の諸君が全国からどんどんとつめかけて来ております。また私どもの自治労働連の組合の同志も、先週からどんどんとつめかけて参つております。その人たちの気持は、このようなべらぼうなことをやられてはわれわれはたまらない、何とかしておれたちのほんとうの姿を知つてくれというふうな形で、全国から参つております。しかもおえらい役人と違いまして、非常に血のにじむような組合員の組合費を集めまして参つております。そのような人たちの気持を十分に考えていただきたい、そういうふうに考えております。  そこで自治体職員が今どのような状況で、地方で仕事をしておりますかという点を、若干説明したいと思うのでございますが、今萬屋君からも言われましたように、自治体でやられております仕事は、人間社会で、人間が生れてから死ぬまでの一切の仕事をやつております。授産施設から、また死にましてから墓場の管理に至りますまで、あらゆる一切の仕事をやつております。そのような仕事が、しかもそれだけ職員がおることによつて、どんどん進められておるということを十分に御認識願いたい。ところがこのような自治体労働が、このごろどんどんと倒れて行つておるわけです。どういうことで倒れて行つているかといいますと、私は京都の出身でございますので、京都の例をとつてみたいと思いますが、民生安定所といいまして、生活保護の仕事をやつておる職場がございます。そこは毎日々々山のような仕事をやつておりまして、市民からはいろいろと要求を受けます。そうしてまた、仕事をやりますが、なかなか片づかない、そういう形で家にまで持ち帰つて仕事をやります。しかし超勤はもらえない。なぜこのようにして仕事をやらなければならないか。それからまたレントゲンをやつております保健所の技師なども、レントゲンを扱つているうちにだんだんと白血球がなくなつて、遂には倒れてしまうというふうな現実もございます。またよく街路でお見受けになるかと思いますが、清掃関係をやつております清掃人夫なんかは、いまだに原始的な、みのを着て仕事をしている。このようなちよつと拾いましても非常に悪い条件で仕事をやらされておる。そういうところから遂に肺結核になつて倒れて行くというのが現状でございます。青森、京都その他至るところで大量にこのような結核患者が出ております。なぜこのようにして彼らはがんばつているんだろうかという点は、とりもなおさず地方住民に対するサービスを何とかしたいという気持が基本になつておりますが、非常に低い給料で、しかもこの低い給料で何とかして自分たちの生活を支えながらやつて行こうとしますその気持も、時によりましてはいろいろの身体の障害で休んだりするようなこともございますが、このごろは簡単に休めなくなつている、といいますのは、そのようなことをいたしましたならば、ただちに課長はにらみつけるわけです。そうしてまた課長ににらまれると、大体給料が上らなくなつてしまいます。給料が上らなくなつた果ては、首を切られてしまう。このようにこのごろの地方自治体の職場は職制が非常にいばり返りまして、そうして低い給料で公務員をどんどんこき使つております。このような原因が、それじやどこにあるんだろうかという点を私たちは絶えず考えておりますが、問題はもしこの職場で自分が首を切られたならば、自分はあしたから死ななくちやならないというふうな切実な気持、ささやかな今の給料を何とかしてもらいたいという気持が、一つの大きな問題になつております。考えますれば、このようなささやかな給料を何とか維持しようとするその労働者の気持につけ込みまして、お前がサボつたならば首を切るぞというおどかしが、今の職員をして、どんどんこき使われ、遂には倒れてしまうというふうな現状に追い込んでおります。しかもそのように低給をもらつている職員より以外に、また今の地方自治体にはさらに多くの低給者がおります。名前は臨時職員と言います。これは京都市なんかも千五百人、大阪でも二千人ぐらいいるのじやないかと思いますが、とにかく二十四年に首切りをいたしまして、その後にどんどん人がふえております。ふえました人は全部臨時職員であります。しかもその臨時職員は、二百円、二百十五円、二百三十円というふうに非常に低額で、一日休めば完全に引かれてしまう。しかもやつております仕事は、ほんとうの職員と一緒の形で、地方自治体のサービス業務をやつておる。そのような職員が地方公務員という名前で働いております。このような地方自治体の労働者のベース賃金を、今政府の方の職員よりか地方の職員が高いなんていうことを言つておるわけでございますが、こういう実態から私たちが考えてみましたとき、おれたちの給料が高いのならば、はたしてそれよりか安いといはれるところの国家公務員は、どれだけ苦しい生活をしているのだろうかということ以外しか全然考えられない。ここで私はあえて言いたいことは、自治体の職員の給料が高いということは、これは計算機的な頭で自治庁で仕事をしていらつしやる官僚か、さもなくば高給をはんでいる高級官僚か、それだけだろう。それ以外の人は、全部今の公務員の給料は安いということを言つているのだろうというふうに考えております。結局そのように、今地方公務員の給料が高いとか、国家公務員の給料が安いとか、そういうことを言つておりますことは、萬屋君が言つたように、今の低いこの賃金を、お前のところは高い、おれのところは低いと、そのような給与差の方に目を向けさせまして、ほんとうの苦しい賃金を、あくまでも低賃金政策の筋金になつておりますベース賃金で押えつけておこう、そういう政府の意図以外には何ものもないだろう、そういうように考えます。  しかも、それならば地方自治体の職員がどれだけ安い給料か、そういう点を具体的に言つてみてはどうかという御意見もあるだろうと思いますが、そういう点を若干御説明を申し上げたいと思います。高い高いと言われております地方公務員の給料の中で、特に東北地方におきまして最も高いと言われております福島県の職員の例でございますが、現在福島県の職員は九千二百四十五円しかもらつておりません。また山梨県の職員は九千五百七十九円しかもらつておりません。こまかい理由につきましては萬屋君の方からいろいろ述べられておりますので、避けますが、このようにはつきりと、われわれの給料がいかに安いかという形が出ております。しかもこれは、ほんの安いところだけ拾つたのではないかというような御意見があるかと思いますが、問題は、先ほど申しましたように、安い高いということが論議されておる根拠にあるのだろう。そういう意味で自治庁が今度出しました二十七年の修正地方財政計画の中で、われわれ公務員の給料の算定基礎になつております資料を見たわけであります。そこでは非常に驚くべき数字が並べてある。具体的に申し上げますと、今の公務員の給料が平均一万六十二円ベースということが言われておりますが、人事院ではその後昇給を見込みまして、勧告では、今の国家公務員の給料は平均一万七百十四円だ、そういうことを申しております。そこでこの計算の基礎資料になつておりますところを見ますと、道府県一般職員では単価が一万百三十一円ということになつております。そしてまた市町村一般職員におきましては九千八百八十五円ということになつおります。高い高いと言いながら、現実に算出しておりますこの数字は、このような一万七百十四円をはるかに下る数字基礎がはかられておる。このような誤つた資料で――ぼくらははつきり言いたいと思うのですが、混乱を起すためにつくつたかのような印象を与えるこのような資料で、地方公務員の給料は高いのだ、国家公務員の給料は安いのだ、そのようなことを言うのは、まつたくもつてのほかである。しかも現実にわれわれがもらつております地方公務員給与といいますのは、給与法にも定められておりますように、また各地方自治体の条例においても明確にされておりますように、各地方の自主的な権限において、各地方議会で民主的にきめられております。そうして今日までの給料の状態になつております。このように民主的な手続で、各地方自治体の独自の性格を織り込んだ形できめられましたこの給料が、政府と一緒でなくちやならないというふうな形で、高いということで、画一的に論ずるということは論外である。口に民主主義を言いながら、このように地方自治体が民主的にきめた給与を、高いといつて減らすということは、もつてのほかである。しかもその方法平衡交付金によつてやろうとすることは、もう一つ論外である。そのように考えております。しかもこのようなわれわれの給料の状態がいろいろ問題になつておりますその根本的な原因は、何と言いましても、今の地方自治体の行政財政全般に問題があるのじやないか。特にこの前シヤウプ税制勧告を基準にいたしました地方税制ができましてから以来、地方自治体の財政はますます窮乏化をたどつております。この点は、立場は異なりますが、市長さんなり知事さんが申されました通りでございます。この原因は、何といいましても今の税制が大衆課税を基盤に置いておる。それの証拠に、私たち職員が税務吏員という形で、市民の間に税金をとりに参りますが、笑つて安心して納得して納める市民というものは一人もございません。まかり間違えば胸ぐらをつかまえて、ボタンの二つ三つもはずされるという形で、やつとこさ税金の五分か三分かが集まつて来るというふうなのが現実でございます。このように国民の担税力が底をついておりますときに、とりやすい税金は全部国庫財政の方に吸い上げ、そうしてその吸い上げてしまつたその残りで、びた一文残つていない地方住民に地方税を上げて行つたからといつて、いくら税金をとりに行きましても、それはないさいふからはとれないということで、地方税は絶対に上つて参りません。こういう点が基本的な問題としてあります。そうしてまたそのように非常にまずしい財源を基盤にいたしながら、今地方自治体でやられております仕事というものは、政府委任事務というものが非常にふえて参つております。それからまた一方的にどんどんと仕事がこのごろ重なつております。それを消化いたしますために、地方自治体の職員はどんどんと必要とする形こそできておりますが、全然そのようなことがはかられておりません。しかも今度の給与の問題を中心にいたしまして、お隣りにいらつしやいます鈴木次長さんが、この前知事の全国会議におきましておつしやつておられますことは、ともかく給与の調整をやるためには引下げないでもできるのじやないか。結局それは構成職員をかえるということ、具体的には私たちは配置転換をすること、またあつさりいえば首を切ることだ、このように理解しておりますが、そのようなことをすることと、事務の簡素化をやることだ、このようなことで可能になるだろうというふうなことを、地方自治庁が公然と言つておる。これはもつてのほかである。今の地方自治体の窓口を見たならば、人が足りないことは明らかである。しかも市民はやつてもらいたい仕事をたくさん持つておるというようなことを考えるならば、このような市民のためになる機構をどんどんふやしてこそ、地方住民のサービス・センターとしての各地方自治体の性格は出て来るわけであります。そういうものを全然ないがしろにして、今やられております仕事は、全部政府の押しつけ的な仕事ばかりである。かんじんの地方住民のサービス業務というものは全然やられていない。そういうのが実態でございます。このような地方自治体の現状を前にいたしまして、しかも私たち職員の犠牲、それからまたサービスを受けることができない市民の犠牲、そういうことで地方自治体の行政をまかなつて行こうとする政府考え方自体に、根本的な問題がある、そのように考えております。  われわれとしてはいろいろ意見を持つておりますが、御質問のときにまた意見を添えることにいたしまして、一応の説明を終らせていただきたいと思います。
  60. 青柳一郎

    青柳委員長 中井参考人から急にできるだけ早く退席をしたいというお話がございますので、まず中井参考人に対する御質問をお願いしたいと思います。
  61. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 大阪の市長さんですね。ただいまあなたがおつしやいました中で、私ちよつとお聞きしたいのですが、平衡交付金起債その他をほしいとおつしやつておられますが、その制度の根本的な方法は、われわれ代議士が考慮する必要がありますが、今回数年来から特別市制の問題に対して、あなた方は平衡交付金がない、それから非常に赤字で苦しんでいるとおつしやいますが、何億かしらぬが大阪市は使つた、京都は一億使つた、五大府県は数億を使つたとおつしやいますが、それほど平衡交付金起債、そして赤字で苦しんでおるあなたたちが、あの特市の問題にどれだけお使いになりましたか。それを詳細にここで私は聞きたい。
  62. 中井光次

    中井参考人 私は本日は全国市長会の代表ということで参つております。大阪市のことについてお答えしてよければ申し上げます。
  63. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 非常に地方が今日苦しんでおります。そのことは私はよくわかりますけれども、あなたがちようどここへいらつしやましたから、聞きたいのですが、この特別市制の問題に対してあれだけの大きな騒動をやつた。それには数億円の金がいつていると思う。そうした金をお使いになるならば、もつと有益な社会事業、そしてもつと地方公務員に利益をさしてやつたらよい。ところがああいう金をお使いになりましたが、それは一体どこから出ているかということを聞くのです。これはあなたに聞くのです。あなたにお会いすることはめつたにありません。十三国会は未曽有の大騒動があつた。あれだけの費用はどこから出たか、それもまずお伺いしたい。
  64. 中井光次

    中井参考人 ただいまのお尋ねについて、委員長のお許しがありましたから、お答え申し上げます。大阪市が特別市制を要望しておるといいますことにつきましては、これは多年の問題であります。大阪市ばかりではございません。他の五大市も同様であります。これは地方自治法が改正になり、新しい憲法になり、そうして五十万以上の都市については、国会の議決を経ますれば、法律によつて定められますれば、特別市制がしかれるという法律的の道が開けておるのでございます。従来はそういう法定の道はなかつたのであります。新しい憲法と自治法によつてできたわけであります。その線に沿いまして、私ども国会に対してこの実情を訴えて、市民の希望を五大市ともどもに相携えてお願いを申し上げた次第であります。しかるにこの運動に対しましては、五大府県のいわゆる残存郡部と申しまするか、あるいは府県市、これが反対の立場に立つたのであります。私どもはただ与えられたる道を正しく進んでおつたのでありますが、これを阻止せんとする別の運動が起つてつたのであります。そこで市民の間におきましては、多年の要望を実現せんとする熱意から、国会に対して陳情請願をいたしたというような実情であります。ただいま特別市制の運動に市費を多額に使つた、数億円の金を使つたということは、これはどういうところからお聞きになつたのか、またつくのデマであります。さようなことはありません。もとより行政調査費というのがございまして、そのうちから若干の費用は、印刷費でありますとか、その他のものについて使つたのでありますが、その他の市民運動につきまして、われわれは使つたのではありません。また平衡交付金なり起債の問題、私の市の財政の問題をお尋ねでございますが、大阪市は先ほどからお話のありましたように、税制の改正のために非常な困難なる状態に立至つておりまするこれは他の大都市と同様であります。またジエーン台風によつて多大の打撃を受けた、かような次第でありまして、昨年私が市長に就任いたしましたときには、約二十数億の赤字がありました。また公共事業その他の、その年度政府の支出するところによつて行いますれば、四十五億の赤字になるという見込みであつたのであります。よつてこれを阻止すべく昨年は非常なる努力を払いまして、二十六年度決算においては、六億八千万円まで縮めました。しかしながら、先ほどから全国市長会長として申し述べましたと同様なる事情が発生いたしまして、このまま行けば、今後におきまして約二十億の赤字になるという状態であるのであります。しかしそれにつきましては、もとより政府の御援助あるいは国会の御理解をいただくことに努力をいたしますと同時に、またみずからこの市の経営を赤字のないように、しこうしておつしやるように、市民に対するサービスを十分にいたすような方途を講じて参つておる次第であります。元来私の方は、起債が従来は非常に多かつたのでありまするが、政府の方針により、起債は先ほど申し上げましたように、非常に押えられてしまう。(「中井さん勘どころで行こうじやないか。」と呼ぶ者あり)それで私の方の財政は、さような自力による財政緊縮をやつておりまして、ただいまにおいては、だんだんとその効果現われております。同時に本年度公共事業を全部行おうというようなことになつておりますが、数億円の金を使つたというようなことは、まつたく無根のことであります。
  65. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それでは市長さんにお尋ねしますが、特市としたいとおつしやいますが、それはそれでけつこうですけれど、もう少し合法的な運動をしてほしい。金がないない、そして金くれくれとおつしやいますけれども、あのようならんちき騒ぎをあなたの方がせられるから、今度は府県側もする。私たちは先だつてたいへんな迷惑をした。もつと合法的な手段で、金を使わないような方法はないものでしようか、どうでしよう。あんな方法をしてもらつては困りますよ。そうしてらんちき騒ぎをして、大阪が一番使つている。一億は使つている。あれだけの大きな騒動はいまだ国会が始まつてからなかつた。なぜそういうことをなさいますか。そうして金くれくれと言うが、矛盾しておるじやありませんか。そういう金があつたらなぜ厚生施設や給与改善に使わないか。赤字に苦しんでおるのならば、なぜあのような運動をなさいましたか。そしてその運動の資金はどこから出ておるかということを聞いておるのです。参考にそれだけ言うてください。いらぬことを言わないでもよい。それ言うてちようだい。(笑声)
  66. 中井光次

    中井参考人 運動と申されますが、私たちのやつたことは、合法的なこと以外にはやつておりません。また運動の問題につきましては、ただいまお話になりましたように、反対側の運動が強かつたと私は存じております。
  67. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私は公平なところを申し上げるのですが、あなたのところが一番金をよけい使つている。どうですか、あれだけ大勢の村長や町長が来て、一人一ぺん東京に来てどれほどいりますか。もうこれからそういうような不合理な運動をしませんかしますか。もしするんだつたら、みんなと相談してこの問題はおじやんにするがどうですか。(笑声)大勢であのような運動をしてもらつたら私たちが困りますよ。はつきり言うてください。あなたのところが一番大きな騒動をした。あんな運動をしたらまつたく私たち困りますよ。
  68. 中井光次

    中井参考人 私どもは合法的な正しい道以外には歩みません。いろいろ町村長など参つたのは、逆の運動です。それから私はきようは、先ほど申し上げましたように、全国市長会二百八十の都市の代表として参つてお願いをいたしておる次第でありまするから、大阪市独自に関する問題につきましては、どうぞその辺で御容赦を願います。
  69. 青柳一郎

    青柳委員長 大石君、時間も大分たつておりますから、ひとつその点を御了承の上、御発言願います。
  70. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私は簡単です。それから平衡交付金の問題で、それに一町村から一人来るならよろしいけれども、どうですか、五人も六人も十人もの大勢の者がくつついて来る。赤字々々と言うのだつたら、手紙をよこしたらどうですか。一つの町から十人も二十人も町会議員らいろいろ大勢の人が何べんでも運動に来る。われわれは迷惑する。これから一切人をよこさずに手紙でしますかどうですか。赤字々々と言うたつて、大勢の者がどんどん運動に来るようなばかなことをやつたら、われわれは一切聞かぬ。もつと良心的な運動をしてください。これをはつきり言います。あなたがみんなを代表しておつしやるのなら、私もみんなを代表して言う。あんな運動をせられたら困りますよ。これからは手紙をください。これからは手紙でするか、人が来るか、これをはつきり言うてください。
  71. 中井光次

    中井参考人 運動は、おつしやる通り、私どもは手紙で済むことは手紙で済ましたいと思います。しかしまたお話をしなければならぬ場合においては、私も出て参つてお話ししたいと思つております。それが私の真意であります。ただ、ただいま誤解があるようでありますが、つまり賛否両論の人々が出て来て、たいへん御迷惑であろうと思いますが、これはやはり賛否両論の両方にそういうことがあつたのであります。私どもは、大石さんのおつしやる通り、手紙で済むことは済ませますが、法律にちやんときまつていることです。だから国会としては、どうぞ深き御理解を願いまして、やつていただきたいと思います。
  72. 横路節雄

    ○横路委員 私は三点ほどお聞きしたいのですが、それは今回の市長会で、政府決定された、一応予定されたものとしての赤字は、ここに三百九十六億円に及ぶというように書いてありますが、この点については御説明がございましたが、やはり昭和二十七年度末に至つて、大点この程度赤字が出る見込みであるかどうかということが第一点でございます。  次に、三百九十八億の赤字に及ぶ、その中の大きい内容といたしましては、政府の方は、昨年度に比して約百七十億の税の方で自然増収を見込んでいるが、全国市長会としては二十四億しか見ていないのでございますが、その違いの大きいものはどういう点でございますか、それをお伺いいたしたいと思います。  それから市町村教育委員会の設置に伴いまして、全国の市長会の方では七億も要求をなさつたようでありますが、自治庁の方では約九千万円を見込んでおるのでございまして、この点につきましては、きよう資料で配付になつておりますが、たとえば自治庁の方では、市におけるところの教育長については、まつたくこれは市の負担であるというふうに見ておりまして、教育長の費用については全然見ていないわけでございます。その点が、市長会の方では月平均人件費約四十万円というのが、自治庁側の平均は約十四万いくらかになつておる。大きな違いであると思いますが、その点どうしてこういうように、七億と約その十分の一のこういう大きな違いが出て来たのか。実際の運営上、一体十分の一の平衡交付金の支給であるならば、市の教育委員会は半身不随どころじやなしに、それこそ足の一本くらいしか動かないことになるのではないかと思うのでありまして、その点設置されました市における教育委員会が、今日十分の一の約九千万円しか見込んでいない教育委員会はどうなるのですか。その点についてお聞かせいただきたいと思うのであります。  それからもう一つは、給与改訂費でございますが、ここに全国市長会の方としては約八十億円の増加の見通しを立てているのですが、自治庁の方としては、約四十億円程度しか見ていないというのでございます。何でも調査によりますと、市町村の自治体職員は国家公務員に比べて五百七十六円高いといいますけれども、そのうち特に市の方は、何か話によりますと、八百九十九円高いというのでありますが、この点私どもはやはり自治体職員が、国家公務員の官庁におけるところの年齢の構成、あるいは勤続年数、そういうものの構成の割合が違うのではないかと思うのでございまして、従つて八百九十九円、約九百円高いということが、全国市長会の八十億の増加要求が、自治庁の方では四十億の増加しか見ていないと思うのでありまして、こういう点についても、少し御説明していただきたいと思うのであります。以上でございます。
  73. 中井光次

    中井参考人 まず第一の合計不足額三百九十八億円というものは、この不足はこのまま参りますれば、やはり出るものという計算であります。実はお手元にこちらでお調べになつた比較表が出ておると思ひますが、市長会の調査として、これは二百七十六億円となつておるのであります。その間数字がいささか違つてつておりますが、その点は前回の調査以後におきまして、起債の増加と新規需要のみを今までは計上しておつたのに、その後事態調査をした結果、七十二億がさらに必要となつたということが一つと、それから前年の赤字五十億がその後明確になつた、これを百二十二億加えたものが先ほどの私の陳述となつたわけでありますから、その点を御了承願いたいと思いますが、その合計三百九十八億円は、赤字になる計算であります。  それから第二には、税収見積りの違いでありますが、第四の法人税割及び所得税割の過大見積がその原因をなしていおると思うのでありますが、自治庁見積りにおきましては、法人税割が百六億円、本会の調査によりますと調定見込額でありますが七十億円、それから所得割では、自治庁見積りは百八十二億円、市長会の見積りは百七十五億円で、法人税割におきましては三十六億円、所得税割においては七億円、合計四十三億円の差引超過の見積りになつておるのであります。  それから教育委員会の費用についてのお尋ねでありますが、これは九千万円では、まつたくどうにもならないという状態であると思うのであります。七億と出した基礎は、文部省の計算によつて出しておるのであります。  それから給与改訂の問題でありますが、これは先ほどのお話にもありましたように、自治体の職員というものは、長く勤めておる者が多いのであります。従つて相当額の高い者もあります。政府調査は全体をならしまして、五百七十六円、市の側が上まわるものというように計算をいたしておるように聞いておるのであります。市の調査によりますと、大体三百六十五円程度の上まわりではないか、こういう調査になつておるのであります。やはり長年月の勤務その他の事情によりまして、平均いたしますと、市におけの職員の給与は多少高いのではないかと思います。
  74. 横路節雄

    ○横路委員 今のお話で二点だけお聞きしたいのですが、それは全国市長会で教育委員会の費用を七億組んだことは、文部省のさしずによつてその通り組んだものだ、文部省が市町村教育委員会設置法によるところの、市町村教育委員会の設置に伴うところの、当然いる費用を見込んだということでありますが、この点は非常に大事でございますので、もう一ぺんお聞かせ願いたと思いますが、文部省の計算でやつたということは、法の示す通り、文部省がこれこれの基準で市の教育委員会をつくれ、そこでつくつている金が七億だ、こういうのかどうか。その点非常に重大な問題でございますから、お聞かせいただきたい。  それから、今の給与改訂費については、私ども承知しているところでは、八百九十九円高いというのに自治庁は組んであつたが、全国市長会の方のお考えでは、高いことは高いだろうが、それは三百六十五円程度高いということである。ということになると、一人当り五百幾らの違いが出て参りますので、このことも、後における平衡交付金の他いろいろの問題との関連もございますので、この二つだけお聞かせいただきたい。
  75. 中井光次

    中井参考人 第一の教育委員会の費用の問題は、文部省の示したる基準によつて計算いたしたのであります。第二の給与の点でありますが、市の調査によりますと、三百六十五円と相なつております。
  76. 青柳一郎

    青柳委員長 他に中井参考人に対し御質問はありませんか。
  77. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 直接関係ないことですが、この際お聞きしておきたいと思うのです。  住民税のうちで、所得割の分について、源泉課税の方針をとつて大阪実施しておると思うのですが、大阪市以外の附近の町村に住んでいる者で、源泉課税をしている分についての実際の運行がうまく行つているでしようか、その点参考のために聞いておきたいと思うのです。
  78. 中井光次

    中井参考人 私その点についてはお答えをいたしかねますが、後ほど書面でお答えいたします。
  79. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは次に竹内萬屋参考人に対する御質問を願います。
  80. 門司亮

    門司委員 私は竹内君には、あとからでもよろしゆうございますが、さつきの山梨と何か給与の安いところがありましたが、あの問題、具体的の何かありましたら届けていただきたいと思います。大蔵省と自治庁が調べたものは御承知のように各ブロツク別に、宮城、群馬、愛知、滋賀、石川、広島、香川、熊本というふうに調べておりますが、あなた方の方で、それ以外のところで調査をいたしたものがありましたら、あとでお知らせ願いたいと思います。
  81. 萬屋良作

    萬屋参考人 了承いたしました。
  82. 横路節雄

    ○横路委員 私は竹内参考人にお尋ねいたしたいのですが、ただいまの全国市長会の代表として大阪市長さんが全国市長会の調べでは、市関係の職員については三百六十五円高い。しかしこれは自治庁ではたしか八百九十九円高いというふうに認めておられる。そういたしますとそこで約五百幾らというものが違つて来るのでございまして、これは非常に大きい問題でございますので、この点につきましてもただいま門司委員からお話がございましたようにあとでひとつ資料をいただきたいということをお願しておきます。  それからもう一つ萬屋参考人にお尋ねをいたしたいのでありますが、先ほどお話したたとえば個人別実態調査のうちで任意抽出でやつた場合における勤続年数の問題、それから勤続年数の問題で、民間経歴についてどうも換算の基礎がおかしいじやないか、そのほかに基準級号数の策定にあたつて自治庁の方では期間を越えた者のうちの九割五分については昇格ということになるが、実際にはその級付けの職員が満度になつていれば、そういうことはないのだということで、いろいろ自治庁の方で地方公務員調査するにあたりまして、おつくりになられた基準の級号表というものについて誤りがあるといいますか、勤続年数その他についても、どうも自分たちとしては納得行かない点等もあるというお話でございますが、こういう点につきましてもできますならば、自治庁の方で出されました、今回地方公務員法をはかられたものさしと、実際に地方公務員がそれぞれの給与法のさしずに従つて――ことに先ほど参考人からお話がございましたように、都道府県給与条例に基いて、今日自治体職員は支給されているものと思いますので、そういう点につきましても、できますならば、ひとつこれも資料を出していただければ非常にけつこうだと思います。今ここで御説明いただくのには、大分時間もかかるのではないかと思いますので、その点については特に私の方からお願いいたしたいと思います。
  83. 西村力弥

    ○西村(力)委員 萬屋参考人にお尋ねしたいのですが、三日ほど前の新聞に、皆さんが自治庁から確認書を得られたということが書いてありましたが、その内容をちよつとお話願いたいと思います。
  84. 萬屋良作

    萬屋参考人 お答えいたします。簡単に申し上げます。第一項は、給与の切りかえにあたつて干渉しないということであります。第二項は、給与切りかえに際しては国家公務員に準じてベース改訂ができるだけの財源措置がしてあるということであります。従いまして給与切下げの指示はしない、こういうことであります。第三項は、給与改訂行つた際に、国家公務員に準じてベース改訂ができる具体的な事例が起つた場合には、極力するということであります。それから四番目につきましては、給与改訂のみならず、新たな事態が発生して地方赤字が出た場合には、この解決のために努力する、こういうことであります。第五項は、行政整理についての法案は作成しない。第六項は、職階制は国家公務員の職階制実施状況より見て、しばらくの間延期することが望ましい、こういうことであります。なお確認ということでございますが。そういう質問に対して回答があつたということでございます。
  85. 西村力弥

    ○西村(力)委員 回答ですか。
  86. 萬屋良作

    萬屋参考人 はい。
  87. 青柳一郎

    青柳委員長 参考人に対する御質問はすでに終つたようでありますから、参考人対する質問はこれで打切ります。  参考人にお礼申し上げます。本日は長時間にわたりまして、貴重なる御意見の御開陳をいただきまして、ありがたく厚く御礼を申し上げます。  なお自治庁次長も見えておられますから、他に御発言がありましたら……。
  88. 門司亮

    門司委員 一点だけ聞いておきますが、今も参考人の方からお話がありました。このことはきわめて重要でありまして、地方に及ぼす影響が多いから、この場前に私は確認しておきたいと思いますが、それは十一月の十三日、十四日に行われた知事会議の席上において、富山県知事質問に対する鈴木次長の答弁でありますが、会議録を読んでみますと、こう書いてあります。「本年初めて引下げたのではなくて、すでに昨年調整した国家公務員並みの給与の土台に立つて、二〇%引上げ財源措置を講じた、また、これが調整には給与を切下げないでも職員構成を変えることと事務の簡素化によつて可能であるから、この点強力に実施されたい。」こういうように書いてあります。これは非常に大きな自治庁次長として、給与改訂の面に関する知事会議のお話としては、あまり穏当でない言葉だと私は考える。従つてこの内容に含まれておりまするものは、一体どういうものが含まれておるかといえば、結局給与の問題については、いわゆる職員構成の変更または能率の向上ということになつて参りますると、勢い配置転換並びに行政の整理が当然行われなければならぬ。それでなければこういう仕事はできないのでありまして、こうなつて参りますと、事務の簡素化というようなことも、さらに加えないと配置転換あるいは事務の簡素化をして、減員をしているような形で、それを補つて行くというような政府施策というものは、地方の町村に対しては、かなり大きな影響を持つものと私は思いますが、一体鈴木次長はこういうことをほんとうに言われたことがあるかどうか。もし言われたとすれば、その意思は一体奈辺にあつたかということ、ただわれわれが想像するように、能率の向上が簡単に職制の変更でありますとか、職員構成の変更であるとか、あるいは配置転換によつて行う、あるいはこれを減員するというようなこと、それから事務の簡素化も減員に必然的になつて来るのであります。こういうことを現実に申し述べておつて、そうしてこの申し述べられた意図は一体どこにあつたか、これをもう一つわかりやすく言いますならば、地方の自治体が冗員を持つておるということ、それから非能率的な事務の形態があるということを次長としては認められて、こういう発言をされたのかどうか、この点をこの際はつきりさせておいていただきたいと思います。
  89. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま先般の知事会議におきます私の発言についてのお尋ねでございますが、今回の政府の三百二十億という財源措置は、もちろん相当きゆうくつであり、これで十分ということは言えないと思うのでございますが、今の国家財政全体の状況から申して、かようなことによつてつてもらう努力をすれば、切り抜けてやつてもらえるであろう、こういうところで三百二十億という財源措置が総体的に行われたわけでありまして、各都道府県財政運営につきましても、国が均衡財政という原則を堅持しておるのと同じように、歳入につきましてもあらゆる努力を尽して、増収をはかつてもらい、また歳出につきましても、あらゆるくふう創意をこらして節約をし、経費の節減をしてもらう、そして今回の財源措置によつて、全体として赤字を出さないで、バランスが合うように努力してもらいたい、こういうことを強く要望いたしたのでございますが、ただその際給与に関連をいたしまして、たとえば昨年度におきましては、給与それ自体について高いと言われるところを差引をして、切りかえが行われであろうことを期待して、財源措置をしたというような、昨年は閣議決定どもございまして、そういうような趣旨のことを地方にも申し上げたわけでございますが、本年におきましては、さような給与費なら給与費だけをつかまえて、それを節約せよというようなことは申さない。全体の経費についてあとう限りの節減をしてもらいたい。それからまた平衡交付金給与費算定に関しましては、一定の単位費用に基いて、給与費というものを計算いたしますから、その給与費の標準の経費の中で、もし事をまかなつて行こうとするのであるならば、必ずしも給与の切下げということを行わないで、あるいはその年は苦しいかもしれませんけれども、老齢高給者の人たちの勇退をしてもらうとか、不補充主義ということを堅持することにいたしまして、この給与の切りかえの際に、一挙に事を片づけようとすると無理が行くが、長期にわたつて相当計画的にやつていただけば、何とか切り抜けられるのではないか、この給与の問題は、昨年からも非常にやかましい問題でありましたから、県によつては苦干そのような心組みで調整し、ことに不補充主義ということは、ほとんどの地方団体がそのような方針をとつておられると思うのであります。そういうあらゆる努力をしてもらつて、歳出の節減をはかつてもらいたいということを強く要望いたした次第でございます。
  90. 門司亮

    門司委員 率直に答えてもらいたいと思いますが、今鈴木さんのお話になつたことは、大体富山県知事がそういうことを言つております。富山県知事は、現行法としてはなかなか下げるわけには行かないから、現給は現給で認めてもらつて昇給して、号俸の切下げであるとか、あるいは昇給を遅らすということで調整をして行きたいから、この際はひとつ出していただきたいということを富山県知事が言つておる。速記録にもそう書いてある。大体これは間違いがないと思う。この前の号俸調整のときにおきましても、かりに横浜市の例をとつてみるならば、横浜市は号俸を一号俸切り下げ、その上でベース・アツプをいたしております。事実上の賃下げではありますが、ベース・アツプをやつて、号俸を一号切り下げた。こういうことが現実に行われたのにかかわらず、なおその上に私が聞きたいことは、鈴木さんの言われた行政の簡素化であるとか、あるいは配置転換を要求するような、はつきり言えば賃下げ、首切りを暗に要求しているかのごときことが言われておつたとすれば、事実上そういうむだがあるというふうにお考えになつておるのか、あるいはほんとうにそういうことを考えないで、言葉のはずみでこういう言葉が出たのか、私は政府の真意を聞きたいと思うのです。
  91. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 とにかく地方財政はきゆうくつであるということは、もう事実でございまして、そういう意味で歳入増収をはかり、歳出の節減をはかつてもらうという基本的な考え方は、私どもは強く持つておりますけれども、さような地方財政の負担というものを、給与費が非常に大きな割合いを占めるからといつて給与費にすべてかけてしまえ、こういう言い方は適当でない。それはやはり地方自治でありますから、それぞれの地方団体において、いかにして収支のバランスを合せるかということを研究し、くふうを凝らしてやつてもらいたい、こういうことを申したのであります。そのことは何も知事会議だけで申しておるわけではございませんので、その他のいろいろな機会において、私は申し上げておるつもりでございます。当委員会におきましても、同様趣旨のことは申し上げたつもりでおります。
  92. 門司亮

    門司委員 どうもその点はおかしいのです。それならさつき言うた通りなんです。給与に関してこういうことが言われておる。この前に給与に関しないで、今の鈴木さんのようなお話があつたら、そう私は知事会も刺激しなかつたと思う。しかし問題は、すべて国家公務員並の給与の土台に立つて二〇%引上げ財源措置を講じた、またこれが調整には給与引下げないでも、職員の構成をかえることと、事務の簡素化によつて可能であるから、とこういうように書いてある。もしこの会議録が正しいとするならば、今の鈴木さんのお話は少し違うのでありまして、給与に限つてこういうことが言われておる。財源の処置全体でなくて、給与についてはこういうお考えをお持ちになつているということが、次長のお考えがこうであるならこうであるということを、はつきりもう一ぺん言つてください。
  93. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政整理の問題でございますが、これは本年度当初の財政計画において、門司委員も御承知のごとく、四十七億余りのものを計上いたしておつたのでございますけれども、それがその後国の立法措置の変更等によりまして、事実たとえば教員とか警察等につきまして整理することは困難であるというような状態に立ち至りましたので、当初の四十七億減というのをわずか五億くらいしか減ぜられないであろうということで、四十二億は整理ができないということで、さらにその財源はいるのだ、こういう計算をいたしておるわけでございます。従いまして行政の節約、簡素化ということについては、自治体としては当然に考えていただかなければなりませんけれども政府の全体の財政計画としては、当初よりもこの点のわくを強めたということはないのであります。もちろんそのほかに物件費とか旅費の節減というようなこともうたつておりますが、とにかく全体として考えてもらいたいということでありまして、給与費についても考えてもらわなければなりませんけれども給与費にだけ地方財政のいわゆるしわ寄せをするというようなことを、私たちとしては申しておらぬのであります。
  94. 横路節雄

    ○横路委員 関連して……。私は次長にお尋ねしたいのですが、次長は今回の給与改訂にからんで、私たちは現実には都道府県知事会なり、市町村長会においては、当初きめた給与ベースから、いわゆる当初の高いと見積もられた三百七十五円、四百六十二円、五百七十六円については、実際には差引いてない。平衡交付金は差引いてそういうように算定をしたけれども、実際には個々の職員については差引いてない。従つて今回三百四十八円、三百四十九円、五百七十六円ときまつたので、現実には今の給与ベースからそれだけを引いて、それに二〇%を増加する、従つて私たちは、これは今の給与ベースから引かれて二〇%やるものであるというふうに解釈をしておるわけですが、今門司委員質問に対してお答えなすつたり、全国知事会議等、あるいは先ほど自治労協との間で確認をされておる内容は、あなたの方の解釈では、すでに現在の給与ベースというものは三百七十五円あるいは四百六十二円が差引かれているのであつて従つて今回は現在の給与ベースに二〇%増加するものである、そういう内容で、あなたは全国知事会でされたあるいは自治庁労協に話をされているのではないかと私は思いますけれども、その点は、あなたは私たちの考えのように、実際にこれから三百四十八円を引いて、二〇%増をやるということになつているのか。あなたがいろいろあちらこちらで話をされたというのと、われわれの解釈の仕方に食い違いがあるようですから、その点だけお聞きしておきます。
  95. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方公務員給与が高過ぎるという見方をいたしましたのは、昨年のことであります。従つて昨年の財源措置の際には、当時の大蔵省の一方的な調査に基く数字を高過ぎるというわけで引いたわけであります。それを引き過ぎておるというので、今度再調査の結果、足らぬ部分をつぎ足しをしたわけであります。今年はさよう基礎の上に立つて二〇%増をしておるわけでありまして、私どもといたしましてはこれは昨年の問題である、昨年の問題で間違つて計算をしたところは、今年これを手直しをしたいというふうに考えておるわけであります。
  96. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると自治庁考え方は、逆に今度の補正で教育の場合は三百七十五円引いてあつたけれども、三百四十九円にしたので、その分は二十六円だけ高くしてやつたのだ、それから地方公務員については、四百六十二円すでに引いてあるのを三百四十八円にしたのだから、従つて国家公務員の二〇%に比べて、さらに百十四円ほど引いてあつたのを、今度は増してやつたのだ、そういうようにあなたは考えて、自治労協や知事会に話をされている、こういうように承つていいわけですね。
  97. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 さように説明いたしております。
  98. 青柳一郎

    青柳委員長 本日はこの程度で散会いたします。次会は追つて公報をもつてお知らせいたします。     午後一時四十二分散会