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1952-12-03 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月三日(水曜日)     午後二時六分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 横路 節雄君       阿部 千一君    加藤 精三君       河原田稼吉君    黒金 泰美君       中井 一夫君    前尾繁三郎君       石坂  繁君    大石ヨシエ君       平岡忠次郎君    西村 力弥君       川村 継義君  出席国務大臣         文 部 大 臣 岡野 清豪君         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁次長) 鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      後藤  博君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 十二月二日  改正地方自治法の再検討に関する陳情書  (第五一二号)  平衡交付金増額並びに地方債わく拡大に関  する陳情書(第五  一三号)  同(第五一四  号)  同(第五一五号)  地方財政対策平衡交付金制度検討に関する  陳情書(第五一六号)  地方財政赤字補てんについて強力なる施策実  施の陳情書(第五  一七号)  地方公務員給与改訂に対する財源措置陳情  書(第五一八  号)  同(第五一九号)  公職選挙法第八十九条の改正に関する陳情書  (第五二〇号)  知事公選廃止反対等に関する陳情書  (第五二一号)  警察制度の改革に関する陳情書  (第五二二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 これより会議開きます。  昨日に引続き地方財政に関して調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを順次許します。床次君。
  3. 床次徳二

    床次委員 ただいま手許に配付いただきましたところの全国知事会市長会及び町村長会地方財源増加要望額と、政府測定地方財源不足額との比較、この表につきましてあと事務当局から御説明をいただきたいと思いまするが、その前に大臣すでに御承知と思いますが、今回政府で提案せられました補正予算計上額、これは実際の県市町村当局希望額とは非常に大きな隔たりがあるのでありまして、合計におきましては、府県に関しまして三百六十億、市町村に関しましては五百五十八億の開きがあるのであります。なお起債等におきましても、大きな相違があるわけでありまするが、かかる大きな相違というものが、市町村の将来の財政の窮乏に対しまして拍車をかけるものと思うのでありまするが、大臣はいかように考えておられまするか、この対策に対しましてお伺いいたしたいのであります。
  4. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまお話通り府県市町村不足額の見積りと、今回補填いたします三百二十億との間には、御指摘のような違いがあるのでありますが、この三百二十億の算定の基礎といたしましては、先般来説明も申し上げましたが、さらに御審議を煩わしておりますように、平衡交付金算定基準従つて、必要不可欠な経費につきましては、網羅して計上してあるのでありまして、これによつて、潤沢ということはできませんけれども、収支の均衡は得られるという金額を計上しております。これがすなわち平衡交付金制度に基く金額でありまして、一方の地方不足額として示しておりますものの中には、この平衡交付金として補填すべき金額のみでなく、自主的な運営いかんによつて生ずる不足額も多く生ずるわけでありますから、政府責任において補填しなければならないものは、政府責任として補填しなければなりませんけれども、まつたく運営いかんによつて生ずる分だけは、何とかして地方においてくふうをこらしまして、財政健全化をはかつてもらいたいと存じます。それについてはもちろん指導監査等方法によりまして、そうした不足赤字を解消する方向指導することはもちろんでございますが、これには地方の一般の努力を期待いたしておる次第でございます。
  5. 床次徳二

    床次委員 ただいまのお言葉によりますと、政府がお認めになつ数字以外の支出がありました場合におきましては、これは地方市町村責任において支出したものであるというふうに判断しておられたようでありますが、しからば市町村がかかる数字を超過いたしまして、政府の見解以上の支出をいたしました場合には、これは地方が必要上の金を使つているんだというふうにお考えになつて、さように数字を制限されるのであるかどうか、私はこれは単に地方のいわゆる無責任経費とはいえないと思う。地方におきましては必要やむを得ざる立場において支出しているんではないか、決して浪費とは私はいえないんだと思いますが、しかしどうも政府当局立場によりますと、地方がかかる政府の予想しました数字以上の支出をいたしましたものは地方責任である、地方がかつてによけいな金を使つて、その結果赤字を来すというかのような口吻に聞えることは、はなはだ遺憾に思うのでありますが、はたして大臣地方が無責任浪費をしておるものであるというふうにお考えになるかどうか、その点を承りたいと思います。
  6. 本多市郎

    本多国務大臣 地方団体財政運営はまつたく自主的なものでございますので、その自主的な運営によりまして浪費等があるかないかを批判しようとは、全然考えておらないのでございます。今日府県市町村、いずれも戦争のために荒廃している際でございますから、相当積極的に施設も充実したいという気に満ちている際でございますので、自然自主的に運営するとなりますと、予算膨脹化ということになつて来ると思います。これは決して浪費とかむだであるとか考えないのでありますけれども、それにはやはり政府責任に属する平衡交付金には限度があることでございますから、それを前提として自主的に結末のつくような運営をしていただくということが、地方財政健全化であると存じますので、そうしたことに御努力を願いたいと申し上げたのであります。
  7. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁によりますと、政府平衡交付金を交付した範囲内におきましては政府責任を持つけれども、交付金において予想しました数字以外の支出は、政府は国の財政責任は持てないというような御答弁のように思います。結局もしも市町村赤字を出しました場合は、当該市町村自治団体責任であるということを裏書しておられると思いますが、現在の地方財政状況から見まして、ただいまの政府のお考えのような、政府が与えました財源以外に生じました赤字というものは、地方団体責任であるということをお考えになることは、私は著しく行き過ぎじやないか、現在の地方財政の実状を無視しての御議論じやないかと思うのでありますが、いかがでありましようか。これは政府もかかる困難な状態に陥つているということに対しましては、やはり責任をお感じになつてよろしい。財源上できないとおつしやるなら、これまた確かに一つの理由になると思うのでありますが、政府責任がないかのようにお考えになることは非常な誤りじやないかと思いますが、いかがでしよう。
  8. 本多市郎

    本多国務大臣 お話通り地方行政全般にわたりましてどこに欠陥が生じましても、これは国家的な問題でございますので、そうした広い意味におきまして決して責任がないとは考えておらないのございますが、この地方財政平衡交付金制度には、おのずから限界がございますので、その制度に基く責任は直接的なものであり、さらに自主的運営の面から生じた地方財政の困難ということは、第一には地方団体努力して解決していただきたい、第二には政府の総合施策によつてやはりこれを解決せられるように努力をして行かなければならぬ、こう考えております。
  9. 床次徳二

    床次委員 大臣答弁平衡交付金制度に基く責任を負うんだということでありますが、平衡交付金法精神をそのまま遵法しているとは私ども考えられないのであります。平衡交付金法において定められた通りの運用をやるならば、もつと平衡交付金増額をなすべきであるという結論になるのではないか、また財源がないために政府平衡交付金法精神をゆがめて、あえて切り詰めたところの交付金を交付しているのではなかと私は考えております、がはたして大臣は現在の交付金数字をもちまして、平衡交付金法が完全に運用せられているというふうにお考えになつておりますかどうか、承りたいのであります。
  10. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまのお話にありました通り平衡交付金は十分であるとは考えておりません、まつたく平衡交付金が十分ならざるために、絶対量の予算において不足を生ずる点もあると考えるのであります。しかし御承知通り平衡交付金制度は、結局国と地方との財政的困難をわけ合うという建前になつておりますので、私はその国と地方財政的困難というものが大体わかち合われておるということで、平衡交付金というものはそれでがまんをしていただくほかないものと考えております。結局国家的にもう少し財源がございましたならば、その困難をわかち合う度合いというものもこれが軽くなりまして、地方財政というものも、もう少しく平衡交付金その他によりまして財政の強化ということができるのではなかろうかと思います。お話のごとく、まつたく財政難のために平衡交付金制度がありましても、地方財源不足を十分に解消し得ないというお考えには同感でございます。
  11. 床次徳二

    床次委員 ただいまの大臣の御答弁によりますと、平衡交付金法は国と地方との財源調整役割を果すというふうに考えておられるようでありますが、本年の平衡交付金法は国と地方財源の困難をわかち合うというよりも、地方財源不足に対しまして、国から不足分補填するという役割が多かつたように思います。むしろ法律趣旨はそれに近いのじやないか。しかしそれがただいま大臣の御答弁のような趣旨において運用せられるとすれば、現在の財政状況においては平衡交付金法というものは、本来の目的からだんだん離れつつある、むしろ平衡交付金というものは本来の精神から言うと、邪道に陥りつつあるのではないかと私ども考えるのでありますが、この点は大臣はいかにお考えになりますか。やはり当初の制定せられた当時の平衡交付金法と同じような意味において運用せられておるかどうかということに対しまして、疑念感じておられないかどうかということを伺いたいのであります。ただいまの御答弁によりますと、やはりその点についても十分にお考えになつておられ、平衡交付金法というものの作用に対しましても、疑念を持つておられることが明らかだと私は思つておりますが、重ねてその点伺いたいのであります。
  12. 本多市郎

    本多国務大臣 平衡交付金制度を創設しました当時、私もその責任者として考えておりました平衡交付金制度よりも、今日はさらに複雑なものになつているという感がいたします。これはいろいろな理論解決のためには、すべてそうした制度というものは複雑化して行くのが当然だと思います。その複雑化しているために一層いろいろな点において、また派生的な理論が生れて来るのではないか、さらに複雑化して行くという感じがいたしております。この制度そのものについてもどうしても今日まで三年間の実績に徴して、再検討の必要があると考えております。  それから平衡交付金制度確立いたしましたのも、何とかして地方財政確立したいということから出発いたしておるのでありますから、この制度によつて地方財政が少しでもよくなるということが目標であつたのでございますけれども、しかしその制度の根本にはやはり困難性をわかち合う、地方財政不足額が幾らになつても、それを国家が責任をもつて不足額補填するのであるという建前になつておらないのでありまして、やはり中央と地方財政事情を十分勘案いたしまして決定するということになつております。その点においてはこの平衡交付金制度によつても、地方のほんとうの財政確立するということは、国の財政確立ができない間は困難であるという建前に立つておるものと考えております。
  13. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁の中に、平衡交付金法を制定したときよりも大分複雑化して来たということを言われたのでありますが、複雑化と言われますが、そのおもな原因は、財政の困難が増加したのではないかと思いますが、さようお考えになりましようか。
  14. 本多市郎

    本多国務大臣 地方と国の財政が、財政の困難がだんだん加わるにつきまして、いろいろなくふうを凝らして行かなければならぬというところから来ていると思います。
  15. 床次徳二

    床次委員 なお、地方財政確立目標であつたわけでありまするが、国の財政が苦しくなつたために、地方財政確立がだんだん困難になりつつあるというふうにお考えになつており、私もその通りだと思いまするが、この場合におきまして、平衡交付金法にかわるべき地方財源の確保に対して、政府対策をお持ちにならないだろうか。われわれはやはり地方に新しい財源を加えることに対しましてかねがね要望しておるのでありまするが、政府は、この機会において新しい財源を与えまして、国の財政と同時に地方財源を確保するということに対するお考えはないか、地方制度調査会等でいろいろお考え応つておるようでありますが、今日政府は大体の方針としてどういうふうにしたいということを考えておられるかどうかということを、この際承りたいと思います。
  16. 本多市郎

    本多国務大臣 お話の点が最も今後の地方財政確立のために検討しなければならぬ点でございまして、そのためにはどうしても国と地方との税源の再配分というようなところまで研究を進めるべきであるとは考えておりますが、その中には、酒、タバコの税等の一部地方に対する移管とか、あるいは還元とかいうようなことも研究中ではございます。また一面、入場税地方税等についての府県市町村との配分というような点についても研究はいたしておりますが、政府がどの方向で進むかということは今日まだ決定いたしておりませんので、問題点研究中でございますけれども、方向を決定するまでにまだ至つておらないのでございまして、お話通り、近く発表いたしまする地方制度調査会等で、ぜひ結論を出してもらいたいと考えております。
  17. 床次徳二

    床次委員 なおこの問題に関しましては、やはり行政事務の再配分並びに簡素化が必要だと思うのであります。この点に関しましては、政府もすでに相当前から結論を得ておられると思うのでありますが、その実施のためには、もう一回地方制度調査会結論を待つてからされるお考えでありまするか、あるいはある程度まで過去の研究の結果をそのまま実行なさるお考えでありますか、この点も承りたい。
  18. 本多市郎

    本多国務大臣 お話のごとく、地方財政地方財政というものは、これは不可分のものでございます。先の地方行政調査委員会議におきまして、事務配分については貴重な答申をいただいておるのでございますが、これも今回の地方制度全般の再検討をしていただくことになつておりますので、その際これは有力な基調として、実施すべきもの、あるいは財源との調整の関係で、さらに修正すべきものというふうにして答申いただけるものと考えております。
  19. 床次徳二

    床次委員 さらに関連してお尋ねしますが、行政事務簡素化ということ自体は、これは特に制度調査いたさなくても、比較的実行しやすいのではないかと思うのでありまするが、この簡素化に関しまして政府としては地方を通じ、どういうふうにお考えでありますか承りたい。
  20. 本多市郎

    本多国務大臣 たとえば簡素化について、許可認可事項整理あるいはいろいろ関連する法令整理というようなものを目標に、政府の方でも調査中でございますが、一方、行政審議会というものによつて、そうしたものの簡素化合理化ということを調査を進めつつあります。また自治庁といたしましても、地方に種々の規格標準を示すような方法あるいは指導的な監査等によつて行政事務能率化簡素化ということの指導をいたしております。しかし問題は何と言いましても許可認可等に関する法律改正によらなければ、大きな事務簡素化は困難だと思いますので、法令の改廃という方面から、さらに研究を進めて行きたいと考えております。これもやはり地方制度に関することになつて参りますので、そうした面においては今度の調査会に大きく期待してよろしいのではないかと考えております。
  21. 床次徳二

    床次委員 先ほどお尋ねいたしました平衡交付金地方財源不足の問題でありまするが、この表によりましても相当の差がありまするが、大臣は、現在の補正予算交付金の程度でもつてやむを得ないというふうにお考えになつておりまするが、現状において推移いたしましたならば、必ずや今年度におきましては、その責任政府にある、あるいは市町村にあるを問わず、いずれにいたしましても相当額赤字ができるものと考えておるのでありまするが、この赤字対策に対しまして政府はいかように考えておられるか、今日承つておきたい。
  22. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいま平衡交付金を離れて、実際運営の面から赤字がかさんで、そうして自治運営に非常な困難を感ずる場合どうするかというお話でございまするが、これは一面、自治運営赤字を大きくし、それを政府がただ補填してやるというようなことをやることは、決して地方財政健全化する道ではなかろうと思うのでありますから、そうしたことはできないと思いますけれども、やはりあらゆる面において指導あるいはそのまつたく放任できないという重大な事態というような場合がありましたならば、具体的にその場合に応じて考えて行かなければならぬことと思います。今ここでどういうぐあいにどうするということを申し上げることは、非常にその場合を困難にするものと思いますし、また健全化方向努力してもらうという考えを持つておりますので、今の段階においてはそうしたことは自主的に解決するようにぜひ努力していただきたい。新しい、まつたく重大事態というような場合については、具体的問題について考えたいと思います。
  23. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁、お気持はわかりますが、現実地方団体立場でありますると、今回のような補正予算措置におきましては、相当大きな赤字が出るということを、各責任者考えておるのであります。もちろん大臣お話にありまするごとく、自主的な立場におきまして十分節約努むべきである、また政府からの指導監督によりまして、その赤字を縮小すべきことは当然であろうと思いまするが、今日の財政状況から見ますると、相当多額の赤字が出て来るのではないか。あるいは反面におきましては、自治運営の困難が出て来るのではないかということが予想されますので、この点大臣は比較的楽観的に解しておられますが、私の方はまつたく逆に考えておるのであります。この点は十分ひとつ慎重にお考えをいただきたいということを、この機会にお願いしておきたい。なおあと個々の項目についてお尋ねすることにいたしますから、大臣に対しましてはこれで私の質問を終ります。
  24. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは次に横路君。
  25. 横路節雄

    横路委員 大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、今度きまりました地方財政平衡交付金二百億と、それから地方債百二十億で、昭和二十七年度年度内は、都道府県並びに市町村財政はこれで十分やれるかどうか、すなわち赤字が出ないという見通しになつているかどうか。この点非常にいろいろ御努力なさつたのでしようが、最終的には決定して今度の補正予算に組んだわけですから、そういうことでおやりになつているとは思うのでございますが、その点をまず第一番にお尋ねいたします。
  26. 本多市郎

    本多国務大臣 資料にもお示しいたしました不足額見積額が非常な開きのあるところから考えますと、その実際の運営の面におきましては、赤字相当出るところもできるのではないかと思います。しかし政府といたしましては、この平衡交付金制度に基く金額補填ということが直接の責任でございますので、この平衡交付金起債の三百二十億の補填によりまして、大体不可欠なことは満たされ、支障を生じないように努力してもらえばやつて行けるのだと考えております。
  27. 横路節雄

    横路委員 ただいまのお話で、一生懸命努力すれば支障なくやれるというお話でございますが、一つの例といたしまして、たとえばここには鉱産税を、当初予算修正計画と同じにしてあるわけでございますが、これはあと鈴木次長お尋ねしたいと思いますが、御承知のように、五十日なんなんとする炭鉱労働者のストライキで、現実に何百万トンかの石炭が減産されている。そうすると鉱産税というものがそれに応じて当然減少して来る。しかしこの案によりますと、全然増減なしということになつておる。しかしながら実際には現に大炭鉱を有しいる市町村においては、困つている。そういうことがもう現実に出て来ているわけでございまして、そういう点から考えますと、私ども当然年度末には赤字になると思うのでございます。そこで今のお話では、まつたく赤字にならないとも必ずしもお答えになつていないようですが、もしも赤字になるとすれば、どうようにしてこの都道府県並びに市町村財政について年度末の赤字補填なさるお考えがあるのでございますか。その点についてお尋ねをいたしいたしたいと思います。
  28. 本多市郎

    本多国務大臣 一例におあげになりました鉱産税のごとき、まつたく予測せざる罷業等のために、地元の町村では、非常な収入減を来たしておるでろうと思います。これにつきましては特別平衡交付金で、できる範囲で最後に調整いたしたいと思いますが、しかしそういうことで間に合わないという非常な新事態でありましたならば、また新事態に応じて対処しなければならぬと思います。
  29. 横路節雄

    横路委員 そうするとただいまのお話で、予測せざる新事態が発生をして、そのために市町村あるいは都道府県財政赤字なつた場合には、当然埋める。そうするとその赤字なつたものの埋め方は、一体どういう方法でおやりになるのか。赤字なつた場合埋めると、こうおつしやいましたが、その埋め方について、ひとつお尋ねいたします。
  30. 本多市郎

    本多国務大臣 これは基準財政需要額算定してありますから、それにはたして収入額が足りたか足りないかという点から、その差額を計算するのであります。
  31. 横路節雄

    横路委員 私のお聞きいたしておりますのは、実際今の三百二十億のわくの中で足りなくなつて来る。その場合にどうするかというお尋ねをしているわけです。そうしますと二十八年度のうちから一応繰上げてやるのか。二十六年度末においても、何かそういう例があつたように聞いておりますが、何かそういう特別な操作をやるのか。それとも特別な操作というのは三百二十億のわくを動かさないでやるのか。赤字という以上は、私の考えでは三百二十億からはみ出したのが赤字だと思うのでありまして、そうなれば当然はみ出した赤字については、何らかの方法でやる。そうすると、三百二十億から当然増加して来る。その場合にはどうなさるかということを私はお尋ねしているわけです。
  32. 本多市郎

    本多国務大臣 今回の補正について御説明申し上げております通り、この財政計画は全体の総わくであり、また個々府県市町村にいたしましても、収入のふえるものもあり、また減収するものもあるのでありまして、それを調整いたしまして、基準財政需要額不足という場合に、補填の問題が生ずるわけでございます。でありますから、全体的な計画といたしまして、これならば大体満たされている。ただいま御指摘のような鉱産税等が減収になるという面は、予測せざる事柄ではありますけれども、地方財政全体、またその府県市町村全体の財政調整の面からいたしますと、かりに多少の不足額が特定の税目についてありましても、基準財政需要額が満たされれば、それでがまんしてもらわなければならない、かように考えております。
  33. 横路節雄

    横路委員 先のお話と今のお話と、私ちよつと聞いておりまして、何だか違いがあるように思うのですが、ただいまのお話では自然増になるところも片一方ではあり、また一方では思いがけない不測の事態に達したので減になる場合がある。そういうものが当然相殺されて、大臣としては年度末に至つても絶対に三百二十億を越さない、このわくの中でやれるというふうに——今何かそういう御答弁のようでしたが、先には、年度末に至つて赤字になれば、何らか別途に考慮してもよろしいというお話のようにお聞きいたしておつたのですが、その点どうも前のお話と今のお話と関連がちよつとはつきりしませんので、もう一ぺんお聞かせ願いたい。
  34. 本多市郎

    本多国務大臣 お説の通り、ただいまのところではこれだけの平衡交付金増額によつて、収支の均衡が得られると考えております。しかしさらに重大なる新事態が生じますと、これは現在の特別平衡交付金として保留しておるようなものでもどうにも調整ができないということがないとも限りませんので、その際は別問題であるということを申し上げたのであります。
  35. 横路節雄

    横路委員 そうすると、ただいまのお話で、不測の事態が発生した場合においては、三百二十億のわくからはみ出しても、年度末ではひとつ赤字を何らかの形で補填をいたしたい、こういうような今の大臣答弁であるように私たちお聞きしておいてよろしいわけでございますか。
  36. 本多市郎

    本多国務大臣 大体お話通りでございまして、ただいまでは収支の均衡が得られると思いますけれども、重大な新事態が生じました場合、均衡が得られない場合が起り得るか、均衡が得られない場合が起り得るという予測は今からできませんけれども、そうした場合は、そうした場合について考えなければならないと思います。御指摘のような平衡交付金全体としても、まつたくこれに重大な変化を生ずるような事態が起きた場合は別問題でありますから、お話通りであります。
  37. 横路節雄

    横路委員 どうも大臣はおからだのぐあいが悪いそうで、しようちゆう立つたりすわつたりたいへんお気の毒で申訳ないのですが、次長の方にもひとつ御答弁を願うことにしてさらに続けたいと思います。それはきのう岡野文部大臣に御出席をいただきまして、市町村教育委員会の設置に関する問題について、いろいろとお聞きいたしたのでございますが、その場合に文部当局としても市町村の教育委員会を設置したために、市町村財政にやはり負担をかけている、こういうことの御答弁がきのうあつたのでございます。この点は具体的な数字でもございますから、ひとつ次長の方に伺いますが、どの程度市町村が教育委員会を設置したために、市町村財政に負担をかけて来ているか。これはきのう次長もわきでお聞きのように、文部当局の答弁は十億八千万円の内容について非常に明確でないわけです。御承知のように私がお聞きしましたところ、委員の実費支弁の問題並びに教育長に関するところの費用、それが来年の三月三十一日まで九億かかる。そうするとあとわずかに一億八千万円で、全国約一万五百に近い教育委員会運営をやる。しかもそうなれば一月間に二千円程度の教育費用なんというべらぼうな話はないのでありまして、そうなればなるほど市町村の教育委員会の設置は、市町村財政に負担をかけていることは明らかでございます。きようはひとつ次長の方から、どの程度市町村財政上の負担をかけているか、お知らせを願いたいと思います。
  38. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 お手元に昨日御配付申し上げました「昭和二十七年度修正地方財政計画」というのがございますが、これの中に、今の市町村教育委員会設置に要する経費調というのが十一ページにございます。これを基礎にいたしまして御説明を申し上げたいと思います。  この十億八千四百万円の内訳は、ここに書いてありますごとく、イが教育委員会費、ロが事務局費という二つの種類にわけまして、同じ一に委員の報酬、旅費、需要費、初度調弁費、負担金補助金及び交付金、それから事務局費として職員給、旅費、需要費、初度調弁費とかようにございますが、これの参考資料としての裏のところに、「昭和二十七年度における一市町村当り教育委員会設置に要する経費(五ヶ月分)」というのがございます。これは十一月から五箇月分の本年度経費を、今の十億八千四百万円を各地方団体の種類ごとに、これは御参考にまとめたものであります。甲のところの昭和二十七年度における一市町村当りの経費として一、都市、(A)、委員会委員報酬十万三千五百円、これは五箇月分であります。旅費、需要費、初度調弁費、それから事務局の方で職員給というのがございますが、これは指導主事と事務職員各一人を考えておる経費であります。それから町村の方では専任教育委員長を置く比較的規模の大きい町村と、専任教育長を置かない比較的規模の小さい町村と二つの種類にわけでございますが、この町村につきましては、助役に大体教育長になつてもらう、こういう計画でございます。都市の方につきましては、現在の教育部あるいは教育課というのがありまして、その教育関係の部課長をそのまま教育長になつてもらうという考え方でございまするので、教育長の経費は特に見ませんで、今申し上げましたように指導主事なり、事務職員各一人を増すという経費を見ておるわけでございます。町村の方では教育長は大体規模の大きい町村にだけ置き、大体半数置く。その他は教育事務町村長のもとにおつて所管をしております助役が教育長になつて行く、こういう考え方で予算を見ておる次第であります。なおこの委員の報酬につきましては、いずれの場合も大体市会議員あるいは町村会議員並という考え方で計上いたしておる次第であります。大体以上の通りであります。
  39. 横路節雄

    横路委員 次長にお尋ねいたしたいのですが、文部当局の話では市並びに町村においても教育長の待遇は助役並にする。これは私当然だと思うのです。たとえば都道府県の教育長というのは都道府村の副知事と同じ待遇をするように、文部当局でも指示をいたしております。従つて自治庁としても当然市町村の教育長は助役並であるという観点に立つて、ただいまお話の職員の給与を組んであると思うのですが、その通りで間違いはないのでありましようか。
  40. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 大体さような考え方であります。
  41. 横路節雄

    横路委員 次に私はきのうの岡野文相のお話の中に、文部省と自治庁との間で、今回市町村教育委員会が設置されたので、この市町村教育委員会の人事権の問題と、それから都道府県の給与権の問題をめぐつて、ただいま自治庁と文部省では適切なる方法について研究中であるということをきのう答弁したわけです。ところがこれに聞違いがなければ、きのうの朝日新聞にこういう記事が載つておる。市町村教育委員会の新設に伴つて、今の任免権の問題と給与権の問題をめぐつて自治庁では一日の全国都道府県総務部長会議で、市町村立学校職員の給与等に関する条例案を指示した、こうなつております。そうするときのう岡野文相はまだ文部省と自治庁では相談の最中だ。ところがきのうの新聞によると、一日にすでに全国都道府県の総務部長を集めて自治庁では指示をした。一体これは文部大臣自治庁と相談をしたのだけれども、自治庁は文部大臣を相手にしないで、一方的に全国都道府県の総務部長を集めてやつたのであるか、それとも自治庁で文部大臣と相談してやつたものであるならば、これは文部大臣がきのうこの委員会においてわれわれに対して、答弁に非常に詭弁を弄した、こういうことになるわけで、これはどうせあすの委員会に私は文部大臣の出席をいただいて質問をしようと思いますが、その点どうなつておりますか、お話をしていただきたい。
  42. 本多市郎

    本多国務大臣 今御指摘の条例案というのは、やはり給与についての条例をそれぞれ持つ必要があろうと思いまして、ひな型を示しただけのものだろうと思います。やはり全国の自治体の指導というような意味からつくるとすればどういうものになるかということが、不案内のところもあろうと思いまして、ひな型を示しただけのものであると思うので、文部大臣の言われました通りに、今度町村に教育委員会ができて、そこで給与額を決定して、しかもその支払いの責任は県教育委員会にある。そこの調整ということについては、文部省とも協議して成案を得て解決したいと思つております。
  43. 横路節雄

    横路委員 大臣はその程度の答弁で、実際事務的におわかりにならないでもよいかもしれませんが、私は次長にお聞きいたしたい。これはきのう文相が明らかに相談の最中だ、しかしやはり都道府県の総務部長に案を示したということは、自治庁として一つの態度をきめて、都道府県の総務部長に大体こういうものでやつたらいいだろう、やつたらいいだろうということは、こういうことでやれば間違いないし、自治庁としてもいいという、それは一つの重大な意見だと私は思うのです。この点については、私鈴木次長お尋ねしたいのだが、文部当局との間に相談をして、この案を示されたかどうか。それとも全然示されないで、自治庁が単独にこの全国の総務部長会議に示したのかどうか。それともこの新聞記事が誤りかどうか。この点についてお聞きいたしたいと思います。
  44. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教育公務員に対しまする給与の条例でございますが、これはただいま大臣が申し上げましたように、地方公務員法並びにその特例法でありまする教育公務員特例法によりまして、都道府県が給与その他の勤務条件につきまして条例をつくることになつているわけであります。この条例案につきましては、一般都道府県の職員につきましての給与に関する条例案というものは、いわば国の場合の給与準則に相当するものでございますが、さようなもののひな型は、実は地方公務員法が施行されまする当時、すなわち昨年でありますか、地方に当時の地方自治庁からこれを示しておるわけであります。それを示します根拠は、地方公務員法に技術的な援助、助言をするという根拠がございますので、さような根拠に基きまして地方自治庁といたしましてはこれを地方に示したわけでございます。同時にその際、教育公務員の給与に関しましても条例案を自治庁といたしまして示し得るはずであつたのでございまするが、この点に関しましては、当時からずうと文部省の関係当局との間におきまして、話合いの最中でございまして、最近に至りまして、これらの問題につきましてはおおむね話合いが事務当局相互の間におきましてまとまつたのでございます。さようなまとまりました案につきまして、先般の総務部間会議におきましては、所管の部課長からこれを説明をいたし、意見を徴した次第でございまするが、教育公務員に関しまする給与の条例案でございまするので、これは正式には文部省から教育委員会に対して通知が参りまするし、また自治庁といたしましては、都道府県知事というような方面に、あるいは人事委員会というような方面に、これが連絡をはかららなければならぬのであります。さような意味で、この教育公務員に関しまする給与の条例案につきましては、いずれ文部省から正式な書面をもちまして、私どもの方に会議になるというかつこうになつておりまして、事務的には両者の間におきましてほとんど話合いが了しておるような状態でございます。
  45. 横路節雄

    横路委員 私が鈴木次長お尋ねしたい点は、今の市町村立学校職員の給与等に関する条例案の案文を示した、その原文については文部当局と意見の一致を見て、相談をしてやつたかどうか。きのうは文相はまだ相談の最中だ。きのう二日にそういうことを言つて、前日の一日には総務部長会議で、あなたの方からお示しになつている。だから私の聞いているのは、一体相談をしてやつたのかどうかとということなんです。それをまずはつきりひとつお答えを願いたいと思います。
  46. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 細目の点についてはなお二、三折衝といいますか、話合いをいたす点が残つておると思いまするが、全体の考え方、特に重要な点等につきましては話合いを十分にいたしておる次次第でございます。
  47. 横路節雄

    横路委員 そうするときのうの岡野文部大臣の話で、今適切なる方法について検討中で、いずれそのうち結論が出る、こういう話とは非常に食い違いがあるわけでありまして、この点についてはこの次の委員会で、出席をしてやつていただきまするが、この給与に関する条例案の中で、あなたの方でお示しになつたという——新聞を通して見るものによれば、これは一つの案文でなしに、明らかに都道府県教育委員会並びに市町村教育委員会についても動きのとれないような指示を与えていると私は思うのであります。その点につきましては、たとえば職員の勤務成績の特に良好であるときは前項の期限云々、前の昇級期間を短縮して、号俸二号以上一度に引上げることができるが、この場合には都道府県教育委員会の承認を得るというふうに昇給期間その他についても非常に詳細な案を新聞では出されているわけでありまして、一体こういうようなことについては現実自治庁の案文というよりは、やはり結果的には自治庁目体が都道府県教育委員会市町村の教育委員会財政的なわくでこういうようにやつてもらいたいということは、言いかえたならば、こういうようにやらなければ財政わくからはみ出してしまうという強い意思表示だと私は思うのでございます。その点は自治庁としては、この案文を総務部長会議に示された場合のあなたのお考えは、というよりは自治庁全体としてのお考えはどういうのであるか、その点もう一ぺんお聞かせ願いたいと思います。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 昨日文部大臣が仰せになりましたことと私の申しましたこととが、食い違つているというお話でございますが、これはおそらく文部大臣は、事務当局と私どもとの間の話合いでございまするので、御承知なかつたのではないかと思うのであります。もちろん正式にまだ文部大臣の決裁を得て私どもの方に書類がまわつて来ているわけではございませんで、官庁相互間の事務的な連絡の折衝の段階でございますから、話合いがおおむねついたとは申しましても、大臣としては正式にまだ決定したということを仰せにならないのは、これはやはり当然であろうと思うのでありまして、私どももさような含みをもちまして人事所管の地方の総務部長会議に対して一つの案としてこれを示し、意見を求めたにすぎないのであります。その案の内容についてのお話でございますが、これにつきましては、何と申しましても現在の教育委員会制度が、都道府県市町村両者の関係におきまして、非常に教育行政の負担と責任の分裂を来しているようなかつこうになつておるわけでございまして、さようなことは根本的にいずれ地方制度調査会あるいは中央教育審議会等の意見を徴して、政府としては何らかきめていただかねばならぬと思うのでございますが、それまでの間の暫定的な問題といたしましても、教育公務員に関する負担が、半額は府県の負担である、また半額は国の負担であるというような建前に将来なり、今日においては全面的に府県の負担であるというような場合におきまして、昇給等の措置がまつたく予算と無関係に、負担者との間の意思の連絡なしに行われるということでは、これはやはり非常に困るわけでありまして、この点は全国知事会等から、非常に強い要望が政府にもあつた次第でございまして、私どもといたしましても、かような負担と責任の分裂に伴いまする欠陥、弊害をできるだけ防ぐというような考え方で、市町村の人事権を持つておる教育委員会と、その給与費を負担する府県の教育委員会との間に、できるだけ円滑なる意思の疎通をはかり、負担と行政との齟齬を来さないようにいたしたいというようなことを考えつつ、今御指摘になりましたような条例の案文を用意いたしたのでございまして、これにつきましてはなお最終的決定の段階までに御意見がございますれば十分拝承いたしまするが、私どもといたしましてはかような案によつて調整を行うのが適当ではないかというふうに考えておる次第であります。
  49. 横路節雄

    横路委員 これは将来の市町村教育委員会都道府県教育委員会都道府県財政との関連におきまして、非常に重大な問題なので、私は重ねてお聞きいたしたいと思いますが、ただいま鈴木次長お話では、案文を示して、さらに話細な点については文部省当局と相談の上で決定をするというお話ですが、ちよつと私はおかして点があるのではないかと思うのです。それは都道府県の教職員の定数条例については都道府県の議会に提出をせられて承認を得るわけです。ですから私は自治庁としてはこの案文で示されただけでけつこうであつて、さらに詳細な点を文部当局と相談の上、これを全国の都道府県教育委員会並びに都道府県にまで到達をするということは、この都道府県の教職員の定数条例並びに都道府県の教職員に関するところの給与条例というものの一つの準則を示し、こういうものをやつてもらいたいということについては、すでにあなたの方では前からこれを流して、それぞれの都道府県においてはすでに定数条例並びに給与条例については設定しているところがあるわけである。従つてそれ以上の問題については都道府県並びに都道府県教育委員会並びに市町村教育委員会がそれぞれ財政的な破綻を来さないようにやるべきであつて、今あなたのお話を聞けば、この案文を示すだけでいいのであつて、文部当局との間に細部にわたつて折衝して結論を得たものを流すということについては、この教育委員会運営並びに都道府県財政という問題から、いささか疑問の点があるのでございます。その点は重ねてひとつこの案文をもつと最終的に検討して、文部当局との間に細部にわたる結論をもつてあなたは通達をするというように、私は今お聞きをいたしたのでございますが、そういうように聞いておいてさしつかえないのでありますか。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私の説明が若干不適当であつたかと思いますが、細部にわたつてと申し上げたつもりは実はないので、今の条例案につきましてさらに文部省との間に最終の折衝を終えて、そうしてこれをなお修正を要する点があれば修正をいたしまするけれども、このような形のものを大体地方に流したい、かように考えておるのであります。通達という仰せでございますが、これはいわゆる指揮とか監督をするとかいうような意味で通達をするのではないのでございまして、あくまでもこれは一つの技術的な意味の助言にすぎないのであります。かような意味一つの条例案を地方に提示するという考えでございます。
  51. 横路節雄

    横路委員 ひとつ次の機会には都道府県の総務部長会議に示した条例案については、ぜひ委員会に配付してもらいたい。これはお願いをしておきます。  なお、私は大臣お尋ねいたしたいのですが、義務教育費の問題でございますが、半額を国庫負担する。しかもそれは実支出額である。そうなりますと、この実支出額という問題について非常に将来の運用上問題があるのでございまして、その実支出額というのは、一体どういうことを意味しているのか。たとえば昭和二十八年度で実際に教員の俸給その他を払つた。その払う場合には——あとで私は給与ベースの問題を重ねて聞きますが、相当わくからはみ出しても払つた。法の建前から言えば、払つた以上はその半額は来る。だからこのことが非常に大事な問題でございます。この点はひとつ実際の支出額ということを自治庁ではどういうようにお考えになられておるのか。この点明らかにしておきたいと思います。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 義務教育費国庫負担法の第二条にございますこの御指摘の実支出額の二分の一を国が負担をするという場合の実支出額とは何かということでございますが、これにつきましては関係をいたしておりますところが自治庁だけでございませんで、文部省、大蔵省、それぞれ直接関係があるわけでございまして、関係政府機関の間でさらに緊密な連絡をいたしまして、話合いが了しませんと、これをどう解釈するかということを、ここではつきりと申し上げられないことははなはだ遺憾でございますが、私どもの考え方といたしましては、できるだけ実支出額という、正常な姿における実支出額であれば、それを当然押えてそれの半額を国が負担するというふうに考えるべきものであると考えておるのであります。正常な実支出額ということの考え方といたしましても、私どもはできる、だけ現在の支出をいたしておりまするものが、やはり実支出額ではないか、文字から読みましてもさようにとる方が、一番文字の意味に近いものとも思うのでありますが、なおしかし技術的にどういうふうに実支出額を把握するかということは、非常にむずかしいと思うのでありまして、三者間の意見の一致を見ました上で、政府としてのはつきりとした見解を申し上げたいと存ずる次第であります。
  53. 横路節雄

    横路委員 そうすると、ただいまのお話で実支出額というのは文字の通り解釈して、実際に支出した額であるというのが自治庁の見解である、こういうようにお聞きしておいてよろしいのですね。
  54. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは但書で何らかの最高限度を政令で定めるということがない限りは、やはり実際に支出した額が実支出額であるというふうに私どもは解釈いたしたいと考えておる次第であります。
  55. 横路節雄

    横路委員 私たちの手元に「地方公務員の給与調査方法等について」という資料が参りましたが、これはこの間三百四十八円地方公務員が高いという点についての私どもの質問に対して出された資料だと思うのであります。この点につきまして開会前に私ちよつとくつて見たのでありますが、やはり一番大事な点は中央官庁の、いわゆる国家公務員についての調査の比較がないわけであります。これは「調査方法等について」の第四番目の「国家公務員の給与基準より有利となつている金額の算出方法」というものを見ましても、やはり私が二十九日の委員会で申し上げましたように、ただ法に準拠して出されたものであつて、そのことが国家公務員よりも高いという結論にはならないわけでありまして、その点はなお門司委員から委員長にもひとつぜひ中央官庁、国家公務員の給与についての実態調査をやつたものを出してもらいたい。その点は委員長の方からも必ず出す。こういうわけで、それを両方比較したものは今日出ておらないけれども、この点はどうもはなはだ資料としては、前段の方は一応筋は通りますが、実際の比較にはならないので、この点はどうなつておるのでありましようか。非常に大事な資料でございまして、われわれといたしましてもその出された資料に基いてお尋ねをいたしたいと思つておりましたので、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  56. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国家公務員の給与の基準につきましては——基準と申しまするか、実際の状況につきましては、先般も申し上げましたように、私どもといたしましては直接所掌のところにおりませんので、国家公務員のいわゆる法令等によつて積み上げましたととろの級号基準というものに沿つた実際の状態にあるものであると考えておる次第でありまして、このことにつきましては所管の政府委員の方から、ひとつ御聴取いただきたいと思います。
  57. 横路節雄

    横路委員 私は大臣にたいへんお体の悪いところ立つていただくのはお気の毒ですけれども、これはただいま外の地方公務員の職員から給与べースについていろいろお話をお聞きしたと思いますので、私からお尋ね申し上げたいのであります。実は大臣にお伺い申し上げたい点は、地方公務員が三百四十八円高い、この点については都道府県あるいは市町村にそれぞれ平衡交付金をそれだけ減額して出しておるわけでありまして、この点は都道府県としても財政に非常に困つておるわけであります。先般も全国知事会においてお話を承りますと、何とも政府の言うことは筋が合わない。筋が合わないものについて下げるということはできないものですから、やはりそれぞれの県の職員組合や、県の教職員組合との団体交渉では、どうも筋が合わないことをやるということは、やはり自分としてもできないので、減額をして補正するということは実際不可能だ、こう言つているのであります。筋が合わないというのは一体どういうことかといいますと、ただいま自治庁の方から相当親切な資料をいただきましたが、しかしこの資料を見ますと、昭和二十二年九月三十日のとか、あるいは一番基礎となつている昭和二十一年七月の官庁職員給与制度改正実施要綱に定められた通り順繰りに組んで参りまして、そしてそういう一つ基準をつくつて、そこで三百四十八円高いから減額して補正すると言う。そのことは言いかえたならば国家公務員よりも高いと言う。それならば国家公務員はどうなつているかと聞くと、いやそれについては実は調査をしていないと言う。それで三百四十八円国家公務員より高いというのだけれども、片一方については調査をしていない。こういうことになりますと、それは都道府県の知事にしたつて市町村長にしたつて、筋が合わないということになる。それはだれが考えても筋が合わない。この点については、一体大臣は今度百五十万になんなんとし、家族を入れると七百五十万くらいの地方公務員とその家族の生活を、実際に負われる責任者にもなりますので、都道府県の知事や市町村長が何としても筋が合わない、どう聞いても納得ができない、納得ができないから、どう言われても自治庁の言うように減額の補正はできない、こういうのでございまして、大臣としてはこの点について、どういうようにお考えになつておるでしようか。実際に国家公務員とは比較をしていないのです。比較をしていないのに、ただ法律だけでやつて、高いから引いてしまうというのは一体どういうものでしようか。ひとつきようは次長でなしに、大臣からこの点を御答弁いただきたい。
  58. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまの御疑念はしばしば聞くのでございますが、地方公務員の給与は国家公務員に準ずるという原則は、もうこれは御了承くださつていることと存じます。それではその両方の給与を比較して、国家公務員の基準給与が実際の実態給台と違つていたのではないかというところに議論が生じて来るのではないかと思います。この点につきましては、法令の定むろところに従いまして、あるべき給与額というものを算定いたしまして、そうして実際の公務員の若干にあてはめて、これが実態給与との間に懸隔があるかないかということは検討いたしたのであります。その結果結局この基準給与額がおおむね守られておるので、特に計算するだけの相違はないものである。但し国家公務員で地方事務官等になつている者に多少違いがあるということも、指摘されたことがあるのでございますが、全般的にはおおむねこの基準給与額が守られておる。あるべき額に大した開きはないということが検討の結果決せられまして、この基準給与額をもつて地方公務員の実態給与と比較して差額を算定したわけであります。しかし事非常に詳細に調査すれば、小さな違いというものは、必ず出て来るものと考えておりますので、なお研究はいたしたいと思つておりますが、今の段階では限られた時間、限られた機構で最善を尽してこの検討を遂げたものであつて、これによるほかはないと考えております。
  59. 横路節雄

    横路委員 そうすると、ただいまの大臣お話では、国家公務員は給与準則によつてやる。しかも国家公務員の実態調査との比較の上でやつたものである。いささかの違いといえば五円とか十円とかいうことになろうと思う。今大臣はそういうようにお話でございましたが、実際に国家公務員の給与については、給与準則に基いてやつているかどうかという実態調査を、実は自治庁はやつたことがないのです。これはないという答弁を二十九日に得てある。ないのに一体実態調査をやつて比較したいということが、どうもわれわれにはわからないのですが、その点もう一ぺんお聞かせ願いたい。
  60. 本多市郎

    本多国務大臣 実態調査とは私も申し上げなかつたのですが、八府県にわたつて全員について実際に調査をした。これを実態調査といえば該当するのじやないかと思います。私が申し上げましたのは、給与基準額というものを、だすいま申し上げましたような諸法令従つて算定して、そのものと実際この調査に当りました者が、現実にその立場にある国家公務員と、頭の中で勘案いたしまして違いはないという断定を下したものと考えております。
  61. 横路節雄

    横路委員 実は二十九日の次長の答弁はこういうことなんです。大臣ちようど欠席なすつておりませんでしたから、私からその次長の答弁をもう一ぺん大臣にどういう答弁であつたかお話したいと思います。それはなるほど八府県について地方公務員の実態調査をやつたのですが、その地方公務員の実態調査をやつたものをどうしたかというと、次長の答弁によると、都道府県の中に職業安定所員がいるわけです。これは国費支弁のごくわずかな人数ですが、これと比較をしたわけです。中央官庁の国家公務員とは比較をやつていないのです。なぜ私がそういうことを申し上げるかといいますと、都道府県のいわゆる地方公務員は、中間にいろいろ国家公務員との比較をやつているのです。それである県においては国家公務員よりも六号も低い。そういう実態を自治庁においてもあるいは部分的に認められて、そいう形で地方公務員が二号とか三号上つた時代もあるわけです。決して地方公務員単独でやつているのではないのでございまして、従つてこの際、私が先ほど申し上げました実態調査というものを、国家公務員についておやりになつたかどうか。国家公務員については給与準則についてやつているものと信ずるでは、これは百五十万にわたる地方公務員の諸君に、国家公務員については実態調査をやらなくても給与準則の通りつているものと思う、お前たちの方は現実に調べて高いじやないか、これでは私はやはり三百四十八円高いという基礎的な数字にはならないと思うのです。実態調査というものは、私が申しましたのは、国家公務員についておやりになつて比較をされたかどうか。片一方について実態調査をやつたんだから、片一方についても実態調査をやるべきである。その点は次長の答弁ではやつたことがない。こういうのであります。その点は大臣も同様に御承認されてもしかたがないのじやないか。
  62. 本多市郎

    本多国務大臣 その点は同様に考えております。ただ私が申し上げましたのは、基準給与額というものを算定して、この検討に関係した者が、この基準給与額とはたしてその国家公務員の実態給与との間に開きがあるかないかということを検討いたしまして、さしたる開きはない、こういうことでこれをものさしとして、地方公務員との比較に当つたものである、こう申し上げたのです。
  63. 横路節雄

    横路委員 そうすると今のお話ですと、国家公務員については、給与準則についてやつたものと実態調査との比較をやつた結果大差がないということになると、国家公務員については実態調査をやつたということになるのですが、次長の方ではやつたことはないというのです。その点はどうなんですか。
  64. 本多市郎

    本多国務大臣 やつたとは申し上げておらないのでありまして、大体大差ないと考えるからやる必要がなしということで、ものさしを決定したものと思います。
  65. 横路節雄

    横路委員 私は今の大臣答弁は非常に大事だと思うのです。それは、国家公務員については給与準則の通りつているものと信ずる、これは大臣としては当然そうかもしれない。国家公務員については給与準則に従つてつているというようにお考えになるのであるならば、地方公務員についても当然所管大臣としての自治庁長官としては、給与準則に従つてつておるものと信ずるということを、この席でなしに閣議その他でやつていただくことが当然でなかつたかと思うのです。所管の地方公務員にだけは実態調査をやらして、片一方の比較する対象のものについては私は信ずるでは、これはちよつとわれわれとしても納得できないのでございます。この点は何べん繰返しても同じかもしれませんが、重ねてもう一ぺん聞きたいのは、国家公務員については調査をやつてあるかどうか、このこと、だけをひとつお聞きいたして、それに対する御答弁をいただきたいと思います。
  66. 本多市郎

    本多国務大臣 国家公務員については、地方公務員の場合の府県に対する全員についての実態調査というようなことは行つていないと聞いております。しかし全体について調べる必要があるかないかという結論を出すまでには、一部の者についてこのものさしを当てて、狂いはないということをきめたわけでございます。しかしこの問題についてはいろいろ御議論もあることでございますので、なお今後研究いたしたいと思つております。
  67. 横路節雄

    横路委員 私は最後に一つ大臣お尋ねいたしたいことは、ただいまのお話で、たとえば地方の教職員については三百四十九円高い。しかしこの問題については都道府県知事もりくつに合わないのだから、これはどうしてもやらざるを得ないというように、それぞれ考えている向きが多いのでございます。そこで問題は義務教育費の国庫負担法による先ほどのお話の実支出額の問題ですが、先ほど大臣がちよつと御欠席なさつておつたようですが、そのときに次長から、実支出額とは実際に支出した額であるという解釈が正しいというお話がありました。私どももそれはそうだと思う。実際に支出した額ということになると、昭和二十八年において三百四十九円を中に入れて減額補正しないで支給しておる。そうして二十八年度終りなつて支出額についてその半額だけをひとつもらいたい。この点は次長からは先ほど法の解釈から行けばそれより方法はないと言うのです。そうならば、これは片一方の実態調査をやらない点から行けば、自治庁としては減額補正を認めておる立場ですが、実際は昭和二十八年度になると実支出額で、それを全部その中に入れて、二分の一は負担することになるのですが、この点はさしつかえないわけですか、大臣としてはどうでございます。この点は非常に問題を将来に残すところであると思います。
  68. 本多市郎

    本多国務大臣 まことに重要な点であると思うのでありますが、この問題について十分の研究をいたしておりませんので、ここで満足な答弁はできませんけれども、私のただいまの考えといたしますと、御説を拝聴いたしましたところでは、法律では実支出額の半額と、こうきまつておるのですから、それはその通りに解釈しなければならないと思うのであります。しかし一面地方財政が自主的に運営され、給与等の条例によつて自主的にできるものであるということと、さらに一方国家の負担も、中央地方財政の均衡をとる上からも、相当基準がなければならないものじやないかという感じもいたします。私はその間において、実支出額とあつて、ただいま何らそれに法律上の制約はないようでございますけれども、調整を加える必要があるのではないかという感じを持ちます。しかしこれはまだ何にもないところでございますから検討いたしたいと存じます。
  69. 横路節雄

    横路委員 ただいまのお答弁は、当然これは文部大臣の所管にもなりますので、ちようど文部大臣が出席されておりますから、これとの関連でこの点をお聞きしたいと思いますがよろしゆうございますか——私、文部大臣お尋ねいたしたいのでありますが、ただいま問題になつております点は、義務教育費国庫負担法によります実支出額の点であります。私が仄聞するところによりますと、文部大臣としては、義務教育費国庫負担法によるところの実支出額とは、実際に支出した額の半分を国が負担するというように、基本的にお考えになつておると聞いておりますが、ひとつきようの委員会大臣としての所見をぜひお聞かせいただきたい、こういうように考えます。
  70. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答えいたします。実支出額でやつて行くつもりであります。
  71. 横路節雄

    横路委員 そうしますと、私は本多大臣にお聞きしたいのでございますが、前々から私たちもそういうように仄聞しておりましたが、きようの委員会におきましても文部大臣から実支出額というのは実際に支出した額の半分であるということである。そうすると先ほどお話申し上げましたように実際に減額補正ということは非常に困難で、筋が通らない。そうすると当然そのものを包括した実支出の半額を負担するということになるわけでございます。この点ひとつ自治庁の長官として、今の文部大臣の言で間違いないかなんと言うとたいへん言葉がよくないのでありますが、文部大臣の言葉は今みんなで聞いた通りでございますけれども、自治庁長官としての立場を、この際あらためてお聞きしたいと思います。
  72. 本多市郎

    本多国務大臣 さいぜんの答弁にあらかじめ申し上げました通り、十分研究をいたしておりませんけれども、しかし地方財政自主的運営という面から、自主的に支出されたものが何らの規格なしにそのままということでは、まことにそこに調整の必要があるような感はいたすのでございますけれども、文部大臣の御答弁もありますので、私も十分研究いたしたいと思います。
  73. 横路節雄

    横路委員 文部大臣お尋ねしたいのですが、実は市町村教育委員会の人事権と給与権の問題については、いろいろ自治庁との間で適切な方法について相談しておるという文部当局のお話があつたのでございます。ところがきのうの委員会の前の日の一日に自治庁では、全国都道府県の総務部長会議で、市町村立学校職員の給与等に関する条例案をすでに指示したのであります。この点については、きのう文部当局からは相談最中であるということであつたが、その前日の一日にすでに自治庁では各府県の総務部長の会議に条例案が出ているのですが、この点について文部当局としては、自治庁と相談の上これをおやりになつたかどうか。さらに大臣はこの点を御存じかどうか、この点を私はお尋ねいたしたい。
  74. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。相談とか協議ということにつきましては、各般の意見も聞かなければなりません。そこで自治庁事務当局と文部省の事務当局との相談をしていることはむろんでございますし、自治庁がそういうことをされたということは、結局その方面の意見を聞くために出したのだろうと想像いたしますが、少くともわれわれといたしましては、いろいろ条例をきめましたり、また新しい法律を出しましたりするときに、さしつかえない限りは、ことに利害の関係の深いところの方面については、やはり意見を求めなければなりません。それが確定案でないことはむろんであります。それによつていろいろな意見を聴取するという意味でやられたことと思います。私よく存じません。
  75. 横路節雄

    横路委員 ただいま文部大臣からよく知らないというお話でございますが、実際に自治庁都道府県の総務部長会議に示したものは、ほとんど都道府県の定数条例、都道府県の給与条例から、さらにそれをその基準従つて市町村の定数のわく、さらに市町村の級別のわく等についても、相当詳細に指示をされておるものでございまして、この点についてはただいま大臣からそれぞれあちらこちらの意見を徴するということになつていますが、すでに自治庁ではほとんど動かすことのできないくらい詳細な案を出しておるのでございますが、この点については文部当局としてはこれを存じていないということは、今後の市町村の教育委員会運営の上において、非常に重大なる支障を来すと思います。この点はどうなつておりましようか。
  76. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。事務当局としてはよく知つているそうでございます。ただ私まで来ないということで、まだ確実にそういうふうになつていないということでございます。やはりあちらこちらの意見を求めているものと考えております。
  77. 横路節雄

    横路委員 そうすると、私は初等中等局長に聞きたいのですが、あなたはきのう御出席になつて、私どもの方からこの点については門司委員からも相当詳細に聞き、私からもこの点については相当詳細に聞いたわけですが、そこであなたはこの点については、今そういうような話合いを進めているというお言葉でありましが、しかし全国の総務部長会議にこれを指示したということは、案文であつても指示しているということは、あなたは都道府県の実体を御承知のように、これは都道府県の県議会にこの案文をかける場合には、都道府県の、もちろん教育委員会が出すわけですが、その都道府県知事との間で、財政わくの上で両者の意見が一致して、この条例並びに給与条例が出て来るわけです。従つて総務部長はほとんど予算等については、知事の代理をなすべきものでありまして、従つて全国の都道府県の総務部長会議に、自治庁がこれを出されて、しかも昇給期間についても出してある、しかも特別の昇給の号俸等についても出してある、こういうものについてはあなたは一体折衝過程であつたのか、しかも前の日の総務部長会議にこの案が出されたことを知らなかつたのか、どちらかをひとつ明らかにしていただきたい。
  78. 田中義男

    ○田中政府委員 昨日も申し上げましたところでございましたが、先般自治庁と文部省とで人事権と給与権との間の調整について通牒を出しました際に、特に条例を定めます場合には、国の場合等もしんしやくをして、そうして負担過重になつたり、あるいはその他円滑なる運営を欠くことのないようにという意味の通牒を出しまして、しかもその条例をつくります場合には、いかなる程度の条例をつくることが実際問題として適当であろうか、こういうことについての検討をいたしておつたわけなんでございまして、大体私ども事務当局の間で、いろいろ御相談を進めておつたのでありまして、昨日お話申し上げましたのは、さような意味でお答えをいたしたのでございます。ただ具体的に総務部長会議にお示しになりましたというあの内容につきましては、私どもも条例をつくつて、そうして人事権と給与権との間の調整を確実にとりますためには、あの程度のことが必要であろう、こういうふうに実は考えておりまして、その点について自治庁とも意見は一致をいたしておつたのでございます。
  79. 横路節雄

    横路委員 私はほかの委員の方々もまだ御質問があると思いますから、これでやめたいと思うのですが、ただいまの局長のお話だと少しおかしいですよ。きのうはあなたは相談の最中であると言いながら、今になつて総務部長会議において示す案文については知つているというようなことは、きのうあなたがそういうことについて総務部長会議に示された案文について知つているのであるならば、きのうはただいま折衝過程であるというようなことは言わないで、昨日の総務部長会議においては、自治庁との間で相当意見の一致を見たので、自治庁が提出されたものについては了承しているとか、そういう言葉でなければならぬのに、あなたの今の言葉は非常におかしいと思う。  それからもう一つ、私は文部大臣に特にこの点について申し上げたいことは、実際には都道府県の教育委員会は、何で一体困つているかと言えば、それは自治庁から都道府県知事に参りました財政わくで、教育委員会があれもしたい、これもしたいと思いながら、定数条例、給与条例その他のわくで縛られて、実際には都道府県教育委員会というものは財政的な裏づけがないために、都道府県教育委員会といえども、今日まで非常な困難を示している。ところが市町村の教育委員会に至つて、さらにその都道府県の定数条例、給与条例から市町村にまでそれを落して、そうして市町村ごとに細部にわたつて動きがとれないということになると、その総体的財政わくで、市町村教育委員会は、優秀な教員がおつてもこれを採用できないとか、そういう非常につらい立場が、今日都道府県教育委員会の今までの運営でもあつたわけです。従つて私が特にこの問題について申し上げたのは、こういうことについては、文部当局はもつと自治庁との間で話合いを進めて、文部当局自体の意見というものは、それぞれの機関を通して、明確に出されるようにしなければ、あなたたちがきのうは折衝の過程であるというようなことを言つているやさき、一日前にいわゆる知事の権限、知事の仕事のうちで一番大きい給与に関する事務を担当する総務部長会議に、自治庁の案を示したということは、やはり文当局としてはもつとこの際腰をすえて、今後の市町村教育委員会運営等からいつて、もつと考えてやつていただきたいと私は思うのです。きのうは折衝の過程であるとあなたは言つたのだ、案文は前の日の総務部長会議に示されている。その点については文部当局ももつと腰をすえてしつかりやつていただきたい、私はそう思う、以上でやめます。
  80. 田中義男

    ○田中政府委員 決して弁解をいたすつもりではございませんが、昨日のお話で、あなたの示されましたというその内容についての具体的なことでございましたら、さらにお答えをしたかつたと思うのでございますが、大体近く自治庁と文部省との間で、共同通牒を出しましようというようなお話も、実はいたしておつた際でもございますし、なお昨日も大臣からのお話もございましたように、法的にさらに調整をする措置検討中でございますので、それらをあわせまして、一応きのうもお答えいたしたようなわけでございます。なおいろいろ御意もございましたが、それらの点については、十分留意してやりたいと思つておりますから、御了承願います。
  81. 青柳一郎

    青柳委員長 次に中井君。
  82. 中井一夫

    ○中井委員 私は自治庁に関する質問だけでありまして、文部省に関するものではございません。実は昨日の毎日新聞の夕刊に、「飲食税軽減などの細則決る」という表題のもとで、飲食税等の減税は明年一月一日を期して実施されるが、自治庁では一日これに関する細目を決定、今週中に地方税法施行規則の一部を改正する総理府令を公布することとなつた。しこしてこの記事の中には、特に飲食税につきまして、長年問題となつておつたところに触れて明らかにされたものがございます。そこでこの際いまだ確定を見ざるにお尋ねをし、かつ私どもの意見の存するところを申し述べ、政府の適当なる御処置を願わなければ時期を失するおそれがあります。かつ事柄はことしのものではありますけれども、長年の問題で広く取上げられた懸案の事項でもあります。広く大衆に関係をいたします。それゆえに特にこの際御質問をいたしたい、かように考える次第なのであります。  まずお伺いをいたしまするが、この夕刊に伝うるごとき事情において、自治庁の御審議が進められておるのでありましようか。
  83. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先般の第十三国会で成立いたしました地方税法の改正に基きます政令でございますが、これにつきましては政令は過般公布いたしたのでありますが、さらに細部の事項は総理府令で規定をいたすようになつておりまして、この総理府令につきましてはまだ公布いたしておりません。なお政府の関係機関相互の間におきまして若干協議中でございまして、一両日中には公布の運びにいたしたいと考えておる次第であります。
  84. 中井一夫

    ○中井委員 ただいま自治庁でお考えになつておりまする総理府令においてきめられようとする、特に飲食税につきまして免税を受ける営業の場所、その性質等はどういうところで御決定になろうという御内定なんでありましようか。私の質問は地方税法第百十四条の二、これに関連いたしております。
  85. 後藤博

    ○後藤説明員 遊興飲食税の先般国会で修正になりました百十四条の二の二項にございまする「もつぱらめん類、茶菓その他これに類するものを提供する場所又は大衆食堂で総理府令で定めるものにおける飲食で、一人一回の料金が百円以下であり、且つ、一品の価格が五十円以下のもののみに係るもの」に対する問題だろうと思うのでありますが、もつぱらめん類、茶菓その他これに類するものを提供する場所、及び大衆食堂のうちで政令でもつて一定のわくをはめましてそれを総理府令で出しまして、それを基礎にいたしまして府県の条例でこまかに定めることに相なるものと存ずるのであります。総理府令で定めまするものの範囲は、大体現在のところ女のサービスしないような飲食店であるということが一つの条件であります。一つは主として五十円以下の飲食を提供するような場所を総理府令で指定いたしたいと考えております。
  86. 青柳一郎

    青柳委員長 ちよつと申し上げたいのでありますが、文部大臣せつかく御出席になつておりますが、予算委員会の方で呼ばれておるそうです。中井さんの発言中まことに恐縮でございますが、文部大臣に対する発言をちよつと許したいと思います。
  87. 中井一夫

    ○中井委員 それでは御趣旨がよくわかりましたから、お妨げしない趣旨において、私の意見だけこの際述べておきまして、大臣の御見解をあとで承りたいと思います。新聞に伝えるところによりますると、風俗営業取締法の適用を受ける店、そういうものは除くようにしたい、こういうような考えをお持ちになつているらしいのであります。ただいまの御答弁はきわめて未熟の御答弁で、そういう御趣旨ではないだろうと思うのであります。この新聞に伝えられるところが常識であるのであり、当然そうなくてはならぬと思うのであります。そこで私はこの際これを御決定になるにつき、特に申し上げて考慮を願いたい問題があるのであります。この新聞に伝えられるごとくきめられるならば、きわめて私は適当だと思うのであります。ところが道途伝えられるところによりますと、めん類業者また純喫茶というような場所で、単にお菓子だけを食べさす、コーヒーだけを飲ますというような場所におきましても、あわせて酒類を売る場所においては、この免税を受けることができないようにする、こういうような意向が中央並びに地方にあるということが伝えられておるのであります。もしそういうことでありまするならば、これをまつたくこのたび前議会において特に大衆のためにまた小さな営業者のために免税をすることにきめられた法律趣旨に合わない、かように思うのであります。従いまして、ここに言う「もつばら」という言葉を非常にこれを寛容に解釈せられて、主としてめん類、菓子等を売る店であるならば、たまたま酒を売つてつても、やはり免税になるのだという趣旨において御決定を願いたい、そうでないと入つて来る大衆は何も知らぬのでありますから、めん類業者の店にお菓子屋のようなつもりで入つ来たのに、たまたまそこにおいて酒も売つていたということになると、免税を受けることはできない、大衆の生活に潤いを与える、また小さな金額は追わないという親心でできたこの免税の立法というものが、その精神を失うことになる。願わくばこの点を特にお考えいただきたいというのが一点なのであります。まずそれをお伺いいたします。
  88. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまの御趣旨を尊重いたしまして、十分検討いたしたいと思います。
  89. 中井一夫

    ○中井委員 次にお尋ねいたしたいことは、この新聞によりますると、なお自治庁では前記大衆食堂等での一人一回百円以下という規定の解釈について、たとい一回の総額が百円以下であつても、一品の価格が五十円を越える場合には、飲食した品の全部を課税対象とする。たとえば六十円の菓子と三十円のコーヒーとを飲食した場合には、六十円について免税をしないのみならず、その総額九十円の全部、すなわち三十円のコーヒーについても課税をする、こういうことに内定したと報道されております。この点について何かさような内定でもされたのでありますか。
  90. 後藤博

    ○後藤説明員 今のは一回の料金が百円以下であり、かつ一品の価格が五十円以下のものに対してのみ非課税になるわけであります。この修正されました法律の条文を正確に読みますと、おつしやいましたような解釈が初めから出ておるのであります。これは今度きまつたわけではないのでありまして、修正された当時から、やはりそういう解釈であつたのであります。
  91. 中井一夫

    ○中井委員 私はその解釈が無理ではないかと思うのです。第百十四条の二によりますると、「一人一回の料金が百円以下であり、且つ、一品の価格が五十円以下のもののみに係るものに対しては、遊興飲食税を課することができない。」と、こうあるのでありまして、この法文の解釈から、どうしてただいま言われるような結論が出るのでありましようか。私にはわからぬのであります。この新聞の伝えるがごとき例をもつてすれば、五十円以上のものについては、百円以下のものではあるけれども、この法律によつて課税をする。これはやむを得ないけれども、他の三十円の分につきましては、これは五十円以下のものである、かつ一緒に食つた六十円のものと合せて九十円にしかならぬのであるから、そうすればこの三十円について税金がかけられるという理由はちつともないと思うのであります。そこでこの際議論をやかましくしようとは思わぬのであります。また前議会においていろいろとこの点について触れられたと思うのでありますが、かけなくてもよろしいという解釈は私はでき得ると思うのである。かけるという解釈もできるかもしれぬが、かけなくてもよいという解釈もできると思う。その点は五分五分である。何となれば、かけねばならぬと法律は規定していないからであります。かけてはならぬとも規定していない。しかしかけねばならぬとも規定しておらぬ。まつたく解釈の問題である。その点を思うと、これは五分五分の問題である。それでなぜかけねばならぬと御解釈になるのか、その点を伺いたい。
  92. 後藤博

    ○後藤説明員 この「一人一回の料金が百円以下であり、且つ、」というのは、二つの条件があるわけであります。二つの条件があります場合に、この二つの条件を一つでもはずれました場合には、やはりかかるという解釈になるわけであります。「または」と書いてありますと、おつしやるようなことになるかもしれませんが、「且つ」で結んでありますので、両方の条件を満たさなければならぬということに相なるわけであります。ただこれを非常にやかましく申しますと、いろいろな問題が出て来るだろうと思います。現実の場合に、たとえば一品五十円以下の品物を大部分売つており、六十円以上のものを多少出しておるというような店があるといたしますと、そういう場合に両方やつておるからといつて指定するのはちよつとかわいそうじやないかというふうな問題もございます。従いましてそういう場合には、多少税がかかるようなものを出しておりましても、何とか運用によつて非課税の対象にするようなことを考えたらどうか、課税しないようにしたらどうか、その辺は府県の運用にまかして行きたいと思つております。またそういう指導を私どもいたしております。
  93. 中井一夫

    ○中井委員 ただいま言われた「且つ」という言葉を特に注意しましても、あなたの解釈になるようにはちつともならぬではありませんか。「一人一回の料金が百円以下であり、且つ、一品の価格が五十円以下」だということにきめてある。その場合、問題の説明一つは六十円であつて一つは三十円だ、従つて六十円というのは百円以下ではあるが免税はされない、一品五十円以上だから。すなわちただいま言われる「且つ」という言葉がここで生きて来るのであります。しからば三十円の問題につきましては、何らこの問題に関係はないじやありませんか。その場合には五十円以下のものといえどもこれに課税するのだ、そんなことは法律のどこにそういう趣旨が現われておりますか。私はあなたの言うように「且つ」という言葉に重点を置いて解釈されても、ちつともそういう結論は出ないと思うのであります。  そこで私は大臣お尋ねし、かつ申し上げます。大体この法律がずいぶん世間の問題になつて、ようやく昨年の議会において減免をされることになつたということは、大蔵省なり自治庁の関係においても、一つの英断であつたと思うのであります。今日税収入はたといわずかでもとりたいというその時期において、これを減免したということは非常な一つの英断であつたと思うのであります。その趣旨は、これはきわめて少額なのだ、しかもこれの担税者は世間の大衆なのだ、決してぜいたくな食いものでもなければ、ぜいたくな飲食でもないんだ、そういう人に対しては潤いを与えねばならぬ。またこういうような小さいものをこせこせやかましく取上げるということについては、営業者としても手続がきわめて煩瑣であつて、きわめてめんどうである、そういう意味からいつて、思い切つてこの免税を決定せられたことと思うのであります。ここに私は政治の大きな親心があつたと思うのであります。従つてこの法文を解釈するにしても、またこの減免税の法律を実施するにあたりましても、この親心を忘れたのでは、何のためにこの英断をやられたかわからぬと私は思う。政府の気持、立法府の気持を、事務当局の小さな考えで曲解——あえて曲解と申しますが、曲解されて、その親心を殺されたのでは、まことに残念だと思うのであります。それゆえに、この際どうぞもう一度よく法律をお読みになつて、私の申すことが真実か真実でないか、法理論上どうお考えになるか、私の不得心か。その問題については、この法律は触れていないのです。従つて解釈はどつちにでもつくだけではなくして、むしろこの法律建前からいうと、とつてはならぬというのが、法律精神だと私は得心をいたすのであります。それゆえに今度これを実施せらるるにあたりましては、ひとつ思い切つて大臣、これはとらないのだということにしてもらいたい。せつかく大臣がこの議会で大切な時局を担当しておやりになつて、このくらいのことは大衆のためにひとつおやりにならなければ、大臣におなりになつたかいがないと思うので、特に私は深く申し上げます。これは何でもない。これをとつたつて、大した税金はとれはせぬ。こんなめんどくさい税金をどうしてとれますか。営業者も大衆も困りますよ。だからひとつ思い切つておやり願いたい。ここでそれをやりますと御明言を願いたい。
  94. 本多市郎

    本多国務大臣 だんだんお伺いしておりますと、まことにその点は研究を要すべき点と存じますので、御意見を尊重いたしまして再検討いたしたいと存じます。
  95. 中井一夫

    ○中井委員 まことに明快な御答弁を感謝いたしまして、私の質問を終ります。
  96. 青柳一郎

    青柳委員長 門司君。
  97. 門司亮

    ○門司委員 非常におそくなつておりますし、前に重複されたことがあると思いますので、私はきわめて簡単に要点だけ聞いておきたいと思います。今までずつと問題になつております実態調査の問題ですが、この調査の表を読んでみますと、あまり実態調査になつていないように書いてあります。大体みなで百九十万、約二百万の地方公務員がおるのに、一万一千くらいしか抽出してないということが数字にはつきり書いてある。そうすると、この実態調査というものは一向私どもにはわからぬのですが、ほんとうに実態調査というものをされたかどうかということ、同時に私がこの機会にはつきり聞いておきたいことは、この実態調査は大蔵省がやつたのか、あるいは自治庁自身がおやりになつたのか、その点をはつきりしておいてください。
  98. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは地方公務員の給与の実態を調査いたしますために、地方公務員の給与連絡協議会というものを設けまして、そこで調査の方針をきめまして、それに基きまして関係の——東京と大阪は除きましたが、それ以外の地方団体に対しまして、カードを配りまして、それに記入を求め、それを今の自治庁、大蔵省一緒になつて、相互にそれぞれ単独で調査いたしましたものを、重ねてまた別の方で調査するという二重の調査をいたしたのであります。
  99. 門司亮

    ○門司委員 今のお話ですが、私の感じでは、どうもふに落ちないのです。要するに各ブロックごとに八県をやつたということは承知をいたしております。しかしその人員はさつきも言つたように、きわめてわずかである。しかも八県ずつやつたのは、今のお話では自治庁と大蔵省と十分話合いの上でやられたということなのですが、それに間違いございませんか、私は念を押しておきますが……。そうするとこの調査自治庁責任をもつて調査したということに解釈してよろしゆうございますか。
  100. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは自治庁ももちろん責任をもつて調査いたしたものであります。
  101. 門司亮

    ○門司委員 そうだといたしますと、自治庁調査のしかたは、この内容をずつと、時間もごございませんからごく概略的に見たのでありますが、その調査方法も、ずつと読んでみますと、きわめて事務的にやつてある。しばしば問題になつております実質給与に関しては、実態調査をしようとするのには、ここに書いてあります調査の内容だけでは、実際の給与の実態というものが出て来ないと思う。あまりにもしやくし定規的であつて、ただ学校を卒業した者が年限的にどうなつておるとか、こうなつておるということだけ書いてある。これは実態調査ではないと思う。人の給与をきめようとするなら、ほんとうの実態調査をしてもらいたい。ことにいろいろ申し上げておりますように、地方公共団体と中央の官庁とは、その資格あるいはやつておる仕事の範囲が非常に違つておる。おのずからその性質も異なつておる。その性質の異なつておるものが、ただ法律で国家公務員に準ずるということが書いてありますことは、一応法的にはそうせざるを得ないものであると思う。いわゆる地方はどんなにでも野放しにしておいてもいいという規定は設けられないと思う。従つて一応そういう規定は持つておりますが、その規定によつてこれが縛られるということになりますと、官庁の性格的の相違というものがちつとも出て来ない。これでは行政の上での妙味もなければ、うま味もないのであります。およそ行政を行おうとするなら、やはりその所属しております官庁その他の性格が、非常に給与の面にも大きな影響を及ぼしておりますので、この実態調査では私どもは承服するわけには参りません。同時に約一%くらいのものしか調査されておらない。これをもつて全体を調査したということは、とんでもないことであつて、約二百万に対して一万一千くらいしかやつていないという数字が書いてある。これはきわめてずさんなものである。同時に私は、八県を抽出してやつたというから、ほんとうに正確なものが出ておると考えておつたのでありますが、八つ県で一万幾らということになると、一つ県で幾らもしやしない。ことに市町村のところを見ますと、市町村などはごくわずかしかやつておらぬ。従つてあまりこの数字にこだわつてやるということは、いかにも事務的にものを片づけすぎた感じがいたしますので、どうしてもこの数字には私ども承服するわけには行かない。私ははつきり申し上げますと、実態調査がもし行われるとするなら、いわゆる実質給与というものを見てもらいたい。こういう号俸であるとかなんとかいうことでなくて、およそ公務員の給与の中には、平たくいえば、地方公務員などの言いたいところは、やはり出張であるとか、あるいは旅費の関係であるとかいうものも、実質の賃金の中に入らなければならないはずである。こういうものが忘れられて、そうして基本賃金だけがこういう形になつておるというふうに、きわめて上つらだけやつておいて、そうして号俸を下げ、給与を下げるということについては、私といたしましては承服するわけには行かない。  もう一つ聞いておきたいことは、この前問題が起つて参りましたときに、五大市におきましては、大体一号俸切り下げてベース・アップをいたしております。これは政府の意向が非常に強くて、この前は地方は八百円とか五百円とか高いということで、なかなか文句が多かつたものですから、そのまま上げるわけには行かないということで、これは一号俸だけ切り下げてベース・アップをしておる。実質上の切り下げであつたことに間違いないのだが、そういうことが現在まである。従つてここに書いてありますように、私は大きな市は除いたのではないかと考えております。だからこういう問題も、もうすこしやはり自治庁としては明確にしてもらいたいということと、それからさつきからしばしば言つておりますように、それなら国家公務員はどの程度の実態調査をされたか。ここに実態調査の出ていないということは、との表を見てはつきりわかつたのであります。ただ人事院の規則に基く国家公務員の方はちやんとわかつておりますので、それとこれを比較されたものではないか、従つて国家公務員の方は、何も調査をする必要はなかつたのではないか、事実そうでありますかどうか。ほんとうに国家公務員の方を調査されたものがあるのかないのかということを、もう一度聞いておきたいと思います。
  102. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国家公務員につきましては、先般来いろいろ大臣との間に御質疑がございましたように、この基準級号表に基いて、国家公務員の給与が実際行われておる、また関係の国の財政当局といたしましては、この基準級号表が適正であるかどうかということについては、随時抽出的な実際の調査を行つておるという話でありまして、それによつて各任命権者も適法に給与の実施を行つておるというふうに考えておるわけであります。
  103. 門司亮

    ○門司委員 それでは国家公務員の方の調査は、大体法律できまつておるというようなことで、調査する必要はなかつたのだというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  104. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 さように考えております。
  105. 門司亮

    ○門司委員 それで問題がはつきりしました。要するに実質の給与というものが割出されていない。ただ机の上のことだけしかやつていない。そういたしますと、地方公務員と国家公務員の性格上の相違、それからこの法律は、最近できた法律でありまして、何も昔からあつた法律ではなかつたのでありますから、この人事院できめた給与とは、当初から開きがあつたということである。当初から開きがあつたということは、開きのあつた大きな原因があつたということである。従つて私はこの際もしそういうものが必要であり、またこれを合せなければならないとするならば、何もこの際これを下げる必要は毛頭ない。いわゆる年限がたつて来れば、この間隔はだんだん縮まつて来るはずである。私はここで無理にこの号俸だけを切り下げるということは、非常に大きな実質的の矛盾があると思う。今までの経歴と、さらに勤務年限、あるいは今までもしばしば申し上げております通り地方に公務員をとろうとすれば、やはり経済面で優遇しなければ、権力官庁であつて、ことに中央集権であつたときには、いい人はなかなか地方には来なかつた。だからどうしても地方が経済的に優遇することは当然であつたと思う。それがずつと引続いて来ているのであつて、私は必ずしもここで下げる必要はないと思う。この問題は時がたてば自然に解決されるはずである。こういうように私は考えておりますが、自治庁は一体ここでこれだけのものを落さなければならないというようなお考えをお持ちになつておるのかどうか。私の考え方と自治庁考え方はどのくらいの相違があるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  106. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の給与の問題は、実は昨年度の問題でございまして、本年度は、昨年の際におきまして、何らかの方法によつて地方団体の実際の給与というものが調整されたであろうことを期待はいたしておりますけれども、財源計算の上におきましては、昨年調整されましたその基礎の給与に対して二〇%のベース・アップを考えておるわけでございまして、今年さらにさような問題について、この際ただちに処置すべきであるというふうに考えておるわけではないのであります。ただ地方財政全体として、今回の財源措置においては、もちろん余裕があるというわけには行かぬ、相当きゆうくつであることは、私ども認めるわけでございますが、しかしこれは国も地方も相ともにかような状態であるのでありますから、均衡財政趣旨従つて経費全体について節約をはかつてもらい、また収入し得るものにつきましては、できるだけ増収をはかつてもらいたいという根本の考え方は持つておるわけであります。
  107. 門司亮

    ○門司委員 どうも私には一向その辺がわからないのですがね。そうするとこう解釈してよろしいですか。この問題はいいかげんでけりをつけたいと思いますが、今度の平衡交付金算定基礎には、地方公務員がこれだけ高いということは加味しておらないというように解釈してよろしゆうございますか。
  108. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回二〇%ベース・アップになつておりますその基礎の改訂前のベースというものは、昨年度調整をせられたそのベースでありまして、今年度はただそれに対する二〇%増ということを考えておるわけであります。
  109. 門司亮

    ○門司委員 その次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、今日出された資料でありますが、この資料も私どもは非常に不満足であります。自治庁と知事会との比較の表でありますが、もう少し詳しい表が実は私は欲しかつたのでありますが、今日はこれだけして出て来ておりませんから、こまい数字を申し上げまんで、概念的のことだけをお聞きいたしたいと思います。問題は、知事会から出ておりますものが六百十三億、自治庁は二百五十三億を出しておる。そしてその差額の三百六十億は削つてある。市町村会の方は合せて六百二十五億を要求しておるにもかかわらず、自治庁の査定は六十七億しか認めておらない。従つて五百五十八億を削つておる。この問題は、こう考えて参りますと、ただ単に何にもないように見えるのでありますが、私の聞きたいことは、この数字からいうと、知事会の方はある程度認めるが、市町村会の方はほとんど認められていないという結果になるのでありますが、この理由は一体どこにありますか。知事会から出て参りました分の方が正確であつて市町村会から出て来たものは不正確であるという、はつきりしたことがもし言えるならば、この機会に発表しておいてもらいたいと思います。
  110. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回の財源不足額の算定にあたりまして、政府責任において処置いたさなければならないという事項は、実は都道府県の方に圧倒的に多いのであります。と申しますのは、今回の三百二十億の財源不足の中で一番主体をなしますものは、約二百九十億の給与費でございます。その給与費につきましては、地方公務員約百四十万のうちで六十万は教育公務員でございまして、教育公務員の給与費は全部都道府県の負担になつておるわでございます。この点において、都道府県市町村との間の今回の財源不足額の絶対額が、圧倒的に都道府県に重いのであります。この地方公務員のバランスを申しますと、都道府県が二といたしますと、市町村は一というような状態でございまして、さような関係から、都道府県に対します財源補填が多いということになりますのは、やむを得ない結果でございます。
  111. 門司亮

    ○門司委員 もう一つその次に聞いておきたいと思いますことは、起債の問題であります。こういう比較表が出て参りますと、地方町村都道府県との間の問題が必然的に出て来る。その問題はどこに出て来るかといいますと、今度の補正予算の大部分というものは、都道府県に行われておるはずであります。従つて市町村の方にはきわめてわずかしか行かない。このことは起債その他の関係にも非常に影響を持つて来ておりまして、ある府県のある課長のごときは、明かに今度のこの補正予算都道府県に出されたものであるから、都道府県起債その他に対しても優先的の権利を持つているのだということを言つているということであります。これは私は市町村に対しては困る問題だと思う。従つてもしできまするならば、そのうちで起債の面等につきましては、市町村等にどれだけの起債を許すのだ、府県起債はどうだということを、やはり明確にしておいていただきませんと、地方にいたずらな摩擦を起して、自治庁が疑われる大きな原因ができて来る。従つてこの資料はもう少し詳しいはつきりした、ただ単につじつまを合せるだけの数字ではなく——今までの数字を見ておりますと、どれとどれを起債に仰ぐということがちよつとも書いてない。みんな書いてあつて、足らないところを起債に仰ぐということになつておりますので、そういうことだと、市町村都道府県の間に問題が起ると思いますから、それを明確にする資料を出していただきたいと考えております。  それからその次に聞いておきますことは、きのう実は文部大臣にお聞きいたしましたのは、地方財政の上で、最も大きながんになつておりまする老朽校舎をいかにするかということでありますが、これが起債が非常に少い。さつき言いましたように、今年度補正予算起債の百二十億にいたしましても、大体府県にもらうのだというようなことを言つておるものですから、地方では非常に困つておる。起債が今までも思うように行つておらない。これは実質上の問題としては、六三制の実施もしなければならぬし、これが急であつて、老朽校舎の方にはまわつておらない。それで市町村方では非常に困つておりますが、それに対しては、文部大臣は昨日の質問に対しては、国の責任においても多少めんどうを見るべきであるから補助金を出すというはつきりした発言をされたのでありますが、自治庁の長官とされましては、この補正予算についても、あるいは来年度予算につきましても、この老朽校舎の起債の面については、文部省と同じような考えで、ぜひこれをなくしたいという方針のもとに起債わく相当広げられるか、あるいは老朽校舎に対しましては、特別の起債わくでもお設けになるようなお考えがありましたら、この際お伺いしておたいと思います。
  112. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 起債の関係でございますが、今回市町村に対しましての政府財源不足額の算定でございますが、これは約六十七億が市町村不足額ということに出ておるわけでございます。今回三百二十億という不足財源補填方法として百二十億起債を充てておるわけでございますが、もちろん起債平衡交付金配分につきましては、それぞれ配分法律の命ずる一つの方式がありまするから、それに従つてやるわけでございまするけれども、財源不足補填というような見地から、起債配分につきましても、できるだけ財政需要というものと見合つて配分をいたしたいと考えておるのであります。ことに今回は補正予算における補正でございますので、公共事業費等と、すなわち国の補助金等と見合つて当然地方が負担いたさなければならぬという経費につきましては、今までの一般の税その他の財源で処理をいたしておりましたものを、起債等へ振りかえるというようなことになるものが多かろうかと思うのであります。要するに大体前年度すなわち二十六年度起債の充当率と同じ程度の線まで、起債の充当率を持つて行くというふうに考えてもらいたいのであります。市町村の方につきましてはさような見地から、大体前年度程度に持つて行くということにいたしますと、二十数億程度の起債になるような見当になると今考えておりまするが、しかし平衡交付金法改正いたして単位費用等が法律上はつきり規定されまして、それに基いて平衡交付金の全体の算定をし、個々地方団体に対する配分等が明らかになりますのと見合つて起債配分等についても考えて参りたいと思つておりますので、今的確に幾らになるということを、ここで申上げることは困難でございまするが、大体さような考え方をしている次第であります。
  113. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いておりますのは、昨日文部大臣から老朽校舎の復旧のためには、国にも多少責任があるので、ぜひ補助金を出したいというような答弁がありましたが、その補助金が出て来るということになつて参りますと、当然国の責任においてやはり事業が行われて来る。そういたしますと、地方の老朽校舎を持つております市町村は、私は大体頭をそろえて出て来ると思います。これは今日の私の推定でありまして、明日にならなければ私のところにはつきりした数字はまだ参りませんが、今日までの大体の概念から言いますと、老朽校舎を全部改築するに約二百六十億近い金がいる。あるいはもつといるかもしれません。従つて国が多少でもめんどうを見るということになつて参りますと、やはり地方ではできるだけ早くやりたいというのは当然でありまして、従つて市町村はおそらく一斉に起債申請がなされると考える。そこでそのわくを一体どうするかということが次の大きな問題になつて参りますから、主管の大臣に対しましてはこの老朽校舎の復旧のためには、そういうわくを特別に設けるか、あるいは起債わくを広げて老朽校舎の復旧のために尽力されるようにお考えになつているのか。文部大臣との兼ね合いの話をはつきりしておきたい。
  114. 本多市郎

    本多国務大臣 先日文部大臣からも老朽校舎の問題につきまして、特に政府から補助金を出しても、この改築を促進したいという御意見があつたのでございますが、同感でございまして、これに対応いたして来年度においては、老朽校舎に対する起債わく相当確保するように努力いたしたいと考えております。
  115. 青柳一郎

    青柳委員長 この際昨日の平岡委員の私に対する質疑に対してお答え申し上げます。平岡君のおつしやる意見書につきましては、昭和二十六年二月十六日及び同年三月二十日に地方財政法第十三条第二項及び同条第三項の規定に基く意見書として、それぞれ提出せられ、地方行政委員会に参考送付せられた例がございます。これは議案等が審査のため委員会に付託せられるものと異なり、提出された意見書を委員会に参考送付するものであり、意見書それ自体はもちろん議決の対象にはなりませんが、委員会における国政の調査にあたり、貴重な参考となるわけであります。以上お答えいたしておきます。  本日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時より委員会開き地方財政等に関する調査を続行いたします。     午後四時二十五分散会