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1952-11-13 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月十三日(木曜日)     午後二時四十八分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 横路 節雄君       阿部 千一君    加藤 精三君       黒金 泰美君    佐藤善一郎君       中井 一夫君    前尾繁三郎君       石坂  繁君    森田重次郎君       平岡忠次郎君    西村 力弥君       川村 継義君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁次長) 鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政         部長)     武岡 憲一君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 十一月十二日  地方議会における懲罰権行政事件訴訟特例法  との調整に関する立法措置陳情書  (第一九号)  地方自治法の一部改正等に関する陳情書  (第二〇号)  地方税法改正に伴う地方財政確立に関する陳情  書(第二二号)  非常勤公務消防団員その他の災害補償に対する  国庫負担陳情書  (第二三号)  消防施設費に対する国庫及び県費補助金に関  する陳情書  (第二四号)  農業協同組合に対する固定資産税免除陳情書  (第二五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 それではこれより会議開きます。  昨日に引続き昭和二十七年度補正予算に関連する地方財政問題について調査を進めることといたします。本多国務大臣が出席されておりますので、まずその説明を聴取した後、質疑を行いたいと思います。本多国務大臣
  3. 本多市郎

    本多国務大臣 新任のごあいさつを申し上げたいと存じます。今回私が自治庁を担当することになりましたにつきましては、当地方行政委員会皆様方には特別の御援助と御鞭撻お願いする次第でございます。  地方自治の問題といたしましては、地方財政確保の問題、また中央地方財政調整の問題、さらにまた地方制度全般についての改革の問題等が横たわつておるのでございます。私がさきに自治庁を担当いたしましたときに、地方税の配分、さらにまた平衡交付金制度というものがきまつたのでございましたが、その後約三年間の経過を見ますと、さらに再検討を要するものもたくさんあるように感じられるのでございます。さらにまた自治庁といたしましては、選挙制度も担当いたしております関係で、地方行政調査会選挙制度調査会等の構成を早くいたしまして、これらの機関にも諮りつつ、皆さんの御協力を得て、誤りなきを期したいと思つております。まことに微力でございますが、どうか皆様方の御援助を切にお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。  さらに二十七年度の補正予算について御質問等もあつたということでございますが、実は一日も早く私も親しくお目にかかつてあいさつも申し上げ、その経緯も御説明申し上ぐべきでございましたけれどもちようど数日来当面の補正予算について地方財源の獲得ということに閣議が連続しておりましたために、その閣議においてその目的のために努力いたしておりましたので、お呼び出しの時間に間に合うことができず、まことに申訳なく存じておる次第でございます。この補正予算につきましては、平衡交付金の算定の基礎になつておりまする項目につきまして、それぞれ政府責任において減ずべきもの、増額すべきもの等をつき合しておるのでありますが、いかんせん、年度の途中でございますので、第一に地方税自然増収あるいは自然減収というもののはつきりしたものをつかむことが非常に困難でございます。しかしでき得る限りの調査をいたしまして、この見通し調整し、これを土台として平衡交付金補正をして行かなければならないと考えております。さらにまた入場税遊興飲食税等の一月からの減税ということも予定されておりますので、これに伴う財源の補填、さらにまたこの金額を申し上げますと、一月から入場税遊興飲食税、その他地方税減税に伴う額で、二十六億ばかりになるのでございます。さらにまた今度は積極的増の面におきましては、賃金ベース二割引上げということを予定して推算いたしますと、二百七、八十億の財源増ということになつて来るのでございます。これらの項目と、地方税増収幾ばくなりや、はたして増収ありや、減収ならば、減収幾ばくなりやという、地方税自然増減収と申しましようか、これとがからみ合つて、まだ調整閣議で行われておらないという段階でございます。おもに税の面にかかつていると見てよいのでございます。どうか皆様方におかれましても十分御審議いただきまして、御鞭撻のほどをお願いいたしたいと存じます。さらに御質問がありますならば、私のお話できます範囲内においてお答え申し上げたいと存じます。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長 これより質疑を行います。大臣に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。中井君。
  5. 中井一夫

    中井委員 この機会大臣にお尋ねをいたしたいと存じます。地方行政に関する問題につきましては、その一般的かつ根本的な問題はあらためてお伺いをいたしたい。この委員会は、実は補正予算が提出せられるのを前にして、急いで地方財源等の問題のためにできるだけ多くの予算地方のために要求いたしたいというがために、特に開かれているという実情もありますから、その点につき特に御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。従いまして、本来ならば地方行政の根本的な一般的の問題をまず伺つて後、この問題に入るのでありますけれども、それはあらためての機会にいたしたいと思うのであります。  ただいま大臣から一応切迫した問題についての御説明があつたのでございますが、その大蔵省との御交渉等についての経過は、内々承つてはおりまして、大臣がこの補正予算の問題についていろいろ御尽力をくださつておるということもはなはだ多といたしております。しかしこれを地方要求、その事実に考えますと、きわめて不満な程度にあるのではないかという心配をいたすのであります。ついてはこの際打割つた従来の交渉経過お話くださることができますまいか。各委員大臣をよその人ととも思わず、われわれのほんとうの友人として、かつ委員一般は、どうかしてこの地方財政の安固を期する上において大臣の奮闘を大いに激励しようという気持で一ぱいなんでありますから、歯に衣を着せず、かぶとやよろいを脱いで今までの経過お話願いたい、かように思うのであります。
  6. 本多市郎

    本多国務大臣 まことに御協力的な御質問でございまして感謝いたしております。実は交渉経過を率直に申し上げまして今御説明いたしました通り、かんじんの地方税につきまして増収という意見あり、しかも相当額増収という意見あり、さらに増収どころではない、減収である、少くとも増収見通しは立たぬという意見、こういうことで、これが今日一番大きな検討の題目になつておるわけであります。それでは政府部内において幾ら増収ということをどこが主張するか、また減収はどこが幾ら減収主張しているかということについては、これはどうしても調整した上でなければ発表申し上げることのできない責任もございますので申し上げかねますが、その差引は百億以上にも及ぶような数字が現われて争つているわけであります。しかしこれを連日検討いたしまして、真実に近いものに両方研究が到達さえしたならば一致すべきものであると思つておりますので、今検討いたしておるところでございます。
  7. 中井一夫

    中井委員 結局それではやはり要領を得ぬ御答弁になるのでありますが、もう少しそれを打明けてお話ができぬでしようか。
  8. 本多市郎

    本多国務大臣 打明けてお話申し上げるとしますと、両方数字主張合つて、その数字がだんだん歩み寄りつつあるということでありましたならば、その数字を申し上げることができますけれども、まだそこまで行つておらないのでございまして、増収なりや、減収なりやという根本問題について、まだ一致を見ていないような状況でございますので、だんだん調整されつつあるという数字等は出ておらないのでございます。
  9. 中井一夫

    中井委員 それでは事柄を具体的にいたしますために、便宜、全国知事会議から大臣あてで出ておりまする「昭和二十七年度地方財政計画補正に関する申入」というものに基いて一応御意見を承つておきたいのであります。  それは大臣もすでによくお聞きになつたことと思うのでありますが、その第一にありますものは、「税法改正及び全産業不況により、相当減収が予想せらるるにもかかわらず、地方税自然増収までをも見込まれようとしているが、その根拠如何。」ということに相なつております。私の承知するところによりますと、地方人たち府県人たち計算と、自治庁計算と、さらにまた大蔵省計算とは、それぞれ多くの開きがある。ただいま大臣仰せによりましても、すでに百億の開きがあるということも言つておられますが、各部門についてその差異があることは事実であります。つきましては、ただいま申しました全国知事会議がここに質問書の形をもつて提出いたしておりますものの第一、「税法改正及び全産業不況により、相当減収が予想せらるるにもかかわらず、地方税自然増収までをも見込まれようとしているが、その根拠如何。」これについての一応の御説明をいただきたいと思います。
  10. 本多市郎

    本多国務大臣 増収幾ばくということが政府として決定いたしましたならば、その増収根拠お話申し上げることもできるし、私としてもまた説明ができるわけでございますが、その増収あるいは減収という、そこが決定しないものですから、今のところは検討中でありまして、それまではその根拠お話申し上げるということができない段階にあるのでございます。この増収減収、またその金額については、双方がさらに検討を加えまして、真実味をつかんで一致させなければならぬということで努力をするほかはない段階でございます。
  11. 中井一夫

    中井委員 この質問条項知事会議から出たという理由は、申し上げるまでもなく、自治庁における事務当局計算増収ありという形に出ておるからなのであります。それに対して、ただいまの大臣のお説のごとく、減収になるかもしれぬ、また増収になるかもしれぬので、今まだわからぬとおつしやるならば、従つてこういうことによつて承ることはできますか。現在のところ大臣としては地方の税金の上で増収ありとは主張をしない、主張をし得ないということが言い切れますか。
  12. 本多市郎

    本多国務大臣 結論が出た上でありませんと、これは申し上げられません。また閣内で私の発言することは、調整のために発言することでございますから、どういうふうにということをここで御約束申し上げることは非常に困難でございます。
  13. 中井一夫

    中井委員 しからば、自治庁事務当局が言うておられる増収ありという意見も、大臣はこれを確定的に認めることはできぬと承つてよろしいか。
  14. 本多市郎

    本多国務大臣 自治庁事務当局増収ありというふうにその意見を出しているときめてかかられているのも、まだ早計ではないかと思います。必ずしもそうではなくして、さらに検討をした上で結論はきまるでありましようけれども増収ときめてかかつているものだということも申し上げかねます。
  15. 中井一夫

    中井委員 それでは大臣は、増収ありとも減収になるとも、いまだ検討中だから、どちらも今確定的な意見を言うべきときにあらず、かようにお考えになつておりますか。
  16. 本多市郎

    本多国務大臣 さようでございます。
  17. 中井一夫

    中井委員 このことを大臣が御肯定になりますならば、従来自治庁事務当局増収ありということを前提としてお進めになつておりますことは、この際おやりにならなければならぬと思うのであります。減収になるのか、増収になるのかということは先のことだ、まだ検討中なんだということであるならば、従来自治庁のいうところの増収ありということを前提として進められる。その結果、地方府県主張いたしておるところの、増収どころかむしろ減収だということの意見が押えられて来たということは無意味なことになります。同時に大蔵省が、自治庁よりもさらにもつと大きく増収ありという主張のもとに、地方言い分を押えられて来たということも、これまた無意味なことになります。大臣の御答弁の結果、かようになるということを私はここにはつきり申し上げて、従つてこれから地方庁との御交渉の上におきましても、増収があるのだということを前提として、事務当局同士が話合いを進められないように、ここにお願いをいたしておきます。  もう一つ知事会議の提案をいたしておりますのは第二でございます。「国家公務員給与実態調査が行われないにもかかわらず、地方公務員実態給与が約三百五十円高いとされているが、その両者具体的調査方法内容如何。」この問題なんであります。この機会に、すでにこれが問題になつておるのでありますから、自治庁としての具体的な意見といいますか、調査の結果といいますか、これを御発表いただきたい。
  18. 本多市郎

    本多国務大臣 こういう問題のありますことはまつたく事実でございますが、この三百五十円高いということを基礎として平衡交付金を再調整するかしなかということを今検討中でございますので、この問題も、ほんとう政府意見決定いたしますまでは、実はこの金額についてもまだはつきり申されない、こういうわけでございます。しかし事情を申し上げますと、地方公務員給与国家公務員に準ずということになつておりますから、地方給与実額が、国家公務員平均給与よりも高い場合、地方がまことに財政困難なことはわかりますけれども政府の法律上の財政計画責任としては、国家公務員に準じて計画を立てるほかはない。こういうことで、本年当初計画のときに、相当開きがあるということから、平均単価を引下げて、一旦平衡交付金決定を見たのでございましたが、その後議会等意見もありまして、これはどうしても再検討の必要があるということになりまして、できる限りの手を尽して再調査をいたしました結果、今度はさらにそれが百円ばかりは行き過ぎになつていたというようなことが発見されましたので、その差額調整は今度の補正予算によつて解決いたしたいと考えております。しかしその金額を申し上げることは、全体的な調整のできた上でないと、はつきりした数字は申し上げられないわけでございます。
  19. 中井一夫

    中井委員 私の申し上げておるのは、国家公務員給与地方公務員給与よりも三百五十円安いんだ、地方公務員の方が高いんだという前提のもとに、すべて今まで自治庁府県との間に交渉が行われ、それがゆえにまたはなはだ交渉がまとまらぬという事実なんであります。そこでほんとうに高いものならば高いということで、その根拠をお示しにならなければいかぬじやないか。事実には二つはないのでありますから、その根拠が事実であるとするならば、両者の間にそういう意見相違がわかれるはずがないのだ、そこに問題があるんだから、それをはつきりさせたらどうかと申すのであります。ただいま大臣の御意見によると、これもはつきりわからぬようなことでありますが、わからぬならわからぬでよいのであります。そうすれば従来おとりになつてつた態度、すなわち地方公務員は三百五十円高いんだということを、現在の立場においてはわからぬからこれを主張しない。取調べられた上でこれをはつきりすると仰せられるならば仰せられてそれでいい。その点をはつきりしていただきたい。やはり三百五十円高いんだと仰せになるのか、そういう説もかつてはあつたが、ただいまのところはなおこれを再検討する必要を認めたから、今日のところは高いとか低いとかいうことははつきりいたさぬ、かように仰せになるのか、それをはつきりしていただきたい。そこでもし高いと言われるのならば、その根拠いかん、これを認められたる内容いかん、これを明らかにしていただきたい。
  20. 本多市郎

    本多国務大臣 ごもつともでございまして、三百五十円高いということで今度補正予算調整がきまりましたならば、その高いという調査いたしました資料を提出いたしまして、御審議を煩したいと考えております。根拠を明らかにいたします。
  21. 中井一夫

    中井委員 今補正予算を出されるについて問題が起つておるのであります。それゆえに、それまでに事を明らかにしていただきたい。従つてどもの言うのは、もし高いと言われるならば、ただいまその資料をお出しなされと言うのです。何ゆえ高いか、高いと認められたる根拠いかんというのであります。その根拠が具体的に示されれば、そのお示しなつ資料に基いて私どもにおいてもただいまただちに検討をいたしたい、こう言うのであります。きまつたのちこれを示されるのでは遅いのであります。また三百五十円高いということを主張して参られた以上は、今までにその根拠、その資料がなくてはならぬ、その根拠をお示しなされ、こう言うのが私の言い分なのであります。それがまた知事会議言い分なのであります。将来これを示すのでは意味をなしません、ただいまお示しなさいというのであります。いかがですか。
  22. 本多市郎

    本多国務大臣 その幾ら高いかということを検討中でございますから、今その資料についても検討中でございます。政府意思一つでございますから、これが政府決定いたしましたときに、それに完備した資料として根拠をお示しするのでありまして、まだ政府意思がきまらないうちに、資料のみをお目にかけるということはできないわけであります。
  23. 中井一夫

    中井委員 そうすると、結局大臣お話はこう聞いてよろしいのですか。資料も今検討中だ、こう承つていいのですか。
  24. 本多市郎

    本多国務大臣 そうでございます。
  25. 中井一夫

    中井委員 それならば三百五十円地方公務員の方が高いのだということは御主張にならぬのですね。将来御主張になるかもしれぬが、ただいまのところは御主張にならぬのですね。検討中だから……。
  26. 本多市郎

    本多国務大臣 政府意思決定がどうなりますかわかりませんけれども、私といたしましては、この差額のあること、さらに当初予算決定のときに、地方公務員給与が高いとされて、その地方の経費を引下げて平衡交付金を算定した、それは行き過ぎであつたということは認めております。従つて調査をいたしました結果に基いて再調整をする、つまり数字はつきりとこまかいものまでは覚えておりませんが、四百円あまり地方公務員は高いというので、平均給与四百円あまりを控除して、基準給与額というのがきまつておると思います。そこでそれはそれほどの違いがあるというわけはないという観点から、再調査をいたしまして、今度は正確な、でき得る限りの手を尽した調査でございますから、これに基いて調整をしたい。それで行くと約百円ばかりの違いがあつて、四百何円多いと見ていたのは間違いで、三百何円ぐらいになるのではなかろうかということで、私もその主張をいたしております。それでただその数字については申し上げられませんし、それがきまらなければ、資料一緒にきまることでございますから、政府意見として申し上げるわけには参らぬのであります。
  27. 中井一夫

    中井委員 そうすると結局やはり三百何円は高い、こういうことを御主張になるのですか。
  28. 本多市郎

    本多国務大臣 大体そうです。
  29. 中井一夫

    中井委員 それならば三百何円は高いということを認められたその根拠内容をお示し願いたい、こういうのであります。
  30. 本多市郎

    本多国務大臣 今もお話通り、三百何円ということで検討いたしておるのでありますから、きちつと三百何円ときまらなければ、資料従つて示しすることは困難でございます。
  31. 中井一夫

    中井委員 非常に聡明な大臣だと思うておるのでありますけれども、今のお話はどうもわからぬのであります。それじや三百何円というところまでは何によつておきめなつたのですか。三百何十何円になるということはきまらぬにしても、三百何円ということを言われたから、その三百何円高いということをお認めなつ理由はどうか、それだけの程度でいいからその根拠をお示しなさいというのです。
  32. 本多市郎

    本多国務大臣 大よその話でありますから、私としてもそれだけの大よそのことは間違いないと確信して申し上げておるのであります。
  33. 中井一夫

    中井委員 大よそのことでありません。かりにも国家の多数の公務員に関する問題を、大よそできめられてはたまりません。また大よそできめらるべきものではありません。必ずやこれをおきめになるには慎重審議をせられて、そうして三百何円の程度まで高いということをお認めなつたに相違ない。私は政府の方々がこんなでたらめなことで、これを御決定になるとは思わぬ。ただいま大臣の言われた大よそできめた、こういうことはおつしやられない方がいいと私は思う。
  34. 本多市郎

    本多国務大臣 これはさいぜんも申し上げました通り、でき得る限りの方法を尽して調査をいたしました。その資料はこの補正予算決定の上一緒にお見せいたします。決して大よそのものではありませんが、今私が検討中のものを考えまして大よそはわかるのでございます。
  35. 中井一夫

    中井委員 同じことを繰返してはなはだ恐縮なんですが、大よそのことを御決定になるに至つたその材料をお示しくださいというのは何もふしぎな要求ではないので、きめられて後、それは違うじやないかという意見は出ても、なかなかそれを貫くことはむずかしいわけでありますから、われわれも政府協力して、政府認められようとするところ、決定せられようとするところにあやまちのないように、できる限りともども研究協力をしたいというので、この質問をいたしておるのでございます。それをお隠しになるのは私にはわからない。何でもないことじやありませんか。大よそできめられた、今までの研究の結果は、三百幾らということも高いということになつているのだと言われるのだから、今度はたれに至るまでの間の材料が何に基くのだ。これは大よそでよろしい。その要求はちつとも私は無理な要求でも何でもないと思う。
  36. 本多市郎

    本多国務大臣 今の御質問の御趣旨は私の考えと逆でございまして、今のような厳格なお話になりますと、ほんとう決定して正確なものでなければお話ができぬことになりますが、私の見通しとして申し上げたのでございます。まだ検討中でございます。
  37. 中井一夫

    中井委員 大臣態度を非常に私は残念に思うのです。何も大臣の言われることをあげ足をとつて、かれこれ言おうというわけじやないのです。大臣は今ここで大よそと言われるけれども事務当局の間でははつきり幾ら幾らという金額まで出されているのです。府県との間にはいつもそれを根拠にして交渉をしている。これもお互いに大体のところをこういうことだと言われているのですから。どうも私は非常に残念に思う。
  38. 本多市郎

    本多国務大臣 ごもつともな御疑念だと思うのでございますけれども、お察し願いたいのは、もちろん閣議検討いたしますについてはそれぞれ資料を持寄らなければなりませんが、しかし政府意思決定があるまでは責任を持つて申し上げることはできないわけであります。
  39. 中井一夫

    中井委員 あまりにもおわかりにならぬので、もう私の質問はこの程度で中止しておきましよう。あらためてまたお伺いをいたす機会がありましよう。  第三の問題は、義務教育職員についても給与単価調整しようとされているが、その調整に当るべき責任の所在をその方法いかん、こういうことがお尋ねいたしたい要点であります。大臣がおわかりにならなければ、ほかの方でよろしゆうございます。
  40. 本多市郎

    本多国務大臣 私のわからないところは事務当局答弁させたいと思いますが、多分御趣旨教育委員会の権限と府県知事義務教育教員給料等負担責任の問題ではないかと思います。この点につきましては、私といたしましてもさらに検討してみたいと思つておりますが、事務当局の方から説明をさせます。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この全国知事会議であげておられます第三の点は、おそらくただいま大臣から御答弁を申し上げましたような趣旨で指摘をされているのだと思います。市町村に教育委員会が十一月一日から設置されることになりましたために、教員の人事権はあげて市町村の教育委員会が所管をすることに相なりまするので、給与等に関しまする権限も従つて当然これに所管される。一方教員給与の負担につきましては別に給与負担法がございまして、これは府県の負担とするということに相なつておりまして、さらにこれについて過般の義務教育国庫負担法によつて、国がその実支出額の半分を負担するということに相なつているわけでございます。かように教育行政の責任と、その結果として起ります教育の経費の負担という関係が分裂しているということは、これは行政の能率あるいは行政の的確なる遂行という点から申しまして、まことに考慮をしなければならない点であろうと思うのでありまして、この点を指摘しておられまするこの全国知事会議の意向は、将来地方制度調査会等におきましてしかるべき解決の結論を得た上で、急速に処置をいたすのが適当ではないかと考えている次第であります。
  42. 中井一夫

    中井委員 たとえば御答弁の最後の問題につきまして、はなはだ不都合なことが起ります。同じような問題はわが国の地方行政また国家行政の上においても多々見られるのであつて、いわゆるこれは占領行政の落し子である。至るところそういう矛盾撞着を発見する。ぜひともわれわれは力を込めて訂正をしなければならぬと考えているのでありますが、その一つがこれなんであります。それについて政府は何とか具体的な方法を急いでやるということだが、具体的なお考えはいつできるのか。
  43. 本多市郎

    本多国務大臣 まだ具体的に案はまとまりつつありませんけれども、この欠陥のあることはほぼ研究は済んでおりますので、急いで対策を講ずべきであると考えております。
  44. 中井一夫

    中井委員 一応私の質問はこれで終ります。
  45. 床次徳二

    ○床次委員 今度の大臣は前回にも自治庁に関係されておりましたので、きわめて豊富な経験とまた御意見を持つておられることについては、私ども非常に喜びにたえないのでありますが、御承知の通り現在の地方行政の状態を見ますると、財源の欠陥を補填するというところに、これからの健全なる自治の発展の基礎があるのじやないかと思う。従つて補正予算において取扱われておりますところの平衡交付金あるいは起債を、どの程度認めるかということが現実の問題としてきわめて大事であります。ただいま中井委員の御質問に対しまして御答弁があつたのでありまするが、私どもはどうも大臣の御答弁のようなお考えによつて今後処理せられて参りましたならば、正しい地方自治地方財政のあり方というものはゆがめられるのではないか、政府考え方いかんによつて実情と違う形が出て来るのではないかということを、非常におそれているのであります。かような懸念のもとにお尋ねいたすのでありますが、平衡交付金の額を決定いたします場合に、必要な所要額に対しましてその理論的所要額を必ず計上なさるつもりかどうか。政治上の理由によつて多少減らさざるを得ないこともあるのだろうと思いますが、今回の補正予算におきましては理論的所要額というものを必ず計上しようというそれを認めておられるか。あるいは政治上財政上の理由からやむを得ないという態度をとられまして、若干これを少く計上するということもあり得るかとも思いまするが、さような態度をとられるのであるかどうか。まずそれを伺つてみたいと思います。
  46. 本多市郎

    本多国務大臣 御質問の理論的所要額という意味が、もし平衡交付金決定後に政府責任において地方の経費の増を来すべき措置を講じた場合、そういう意味、あるいはまた国の責任において制度の変更あるいは給与の引上げとか減税とかいうような措置のために、地方財政に影響を及ぼした場合、一々この平衡交付金の増減というものをやることが理論的であるというお考えでありますならば、それをできる限り忠実にやりたいと考えております。
  47. 床次徳二

    ○床次委員 ぜひ御意見のように忠実にその財源を確保していただきたいと思う。特にただいま中井委員からの御質問に対しまして御答弁がありました一、二、三の問題についてそれぞれ非常に御研究のようでありますから、この点はひとつ遺憾のないようにしていただきたいと特にお願いするわけでありますが、この機会にさらにお尋ねいたしたいのは地方財政の現状であります。現状がはたしてどうなつているかということに対して、政府は御説明ができるのかどうか。補正予算において数字が確定しない以上は現状の判断ができないのかどうか、これを伺つてみたいと思います。私ども自治庁は大体平素から地方の情勢を見ておられまして、ある程度までの材料はできておると思う。また今後の趨勢がどうなるかということに対しましては、大体御意見があるはずだ。但し、多少予算の編成上平素の意見と違うことがあるのはやむを得ないというふうに見ておりますが、大臣の御答弁によりますならば、政府予算で計上いたしました数字において初めて逆に事実が認定せられるかのように思うのであります。そういう意味でなくて、現実の事態を正しく判断していただき、これに合せて予算を編成さるべきだ。しかし事実上、財政上の理由から現状に合いがたいことがあることも私どもは知つておるのでありますが、どうも大臣の御答弁によりますと、そうでもなさそうで、予算できめられました数字が、現実にそのまま地方財政に反映するかのように承れるのであります。この点はいかがでありましようか。地方自治庁といたしましては、たえず地方の情勢に対しては御意見があるはずだ、現状をお知りになつておるはずだと思う。その現状を私どもにお述べいただくことが当委員会審議にも非常に役立つと思うので、この点に関しまして御意見を承りたいのであります。
  48. 本多市郎

    本多国務大臣 地方財政の現状の詳細につきましては、いろいろ資料等によらなければ、ただいま御説明申し上げることは困難でございますが、事補正予算に関する関係でございましたならば、平衡交付金制度の本旨に沿うように、さいぜんお話のありました理論的に忠実に補正したいと努力しておる次第でございます。
  49. 床次徳二

    ○床次委員 ただいままでの御答弁でありましては、現下の地方財政の実情がどうも私どもには把握できない。知事会議あるいは市町村の方々から、いろいろと事情が訴えられておるのでありますが、これに対して自治庁がいかように考えておるかということは、結局今のところはわからないという形になつておるのですが、それでいいのでありましようか。
  50. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまの御質問の要点は、結局地方税の自然減増収の問題になるのではないかと思います。そういう面から行きまして、これはいろいろな見方がありますけれども政府として検討中ということはさいぜん申し上げた通りでございます。平衡交付金算定の方法は交付金制度できまつておりますので、それに基きまして政府責任において措置しなければならぬということについては、さいぜんお話のと通りでき得る限り忠実にやらなければならぬと思つておりますが、地方財政全般について平衡交付金制度と関連さして責任政府が背負い込むということも困難なことと存じます。しかし地方財政の状況は少くとも把握しておらなければならないところでございますから、でき得る限り調査をいたしまして、資料等がそろいましたならば、実情を御報告申し上げたいと思つております。
  51. 床次徳二

    ○床次委員 もう一つお尋ねいたしたいと思いますが、従来予算の編成におきましては、国会審議の慣例から申しまして、ある程度まで予算要求資料と申しますか、各省それぞれ各委員会において大体の立場において説明しておられるのであります。もちろんこれは正式のものではないと思いますが、それぞれ説明しておられるのであります。どうも今回のこの地方行政委員会の今日までの話によりますと、全然そういう資料をお出しにならないのであります。これは委員会審議上非常に困ると思います。でき得る限り委員会協力して、財源を確保することが必要ではないかと思いますが、この点に対しまして大臣はどういうお気持でもつて、今後委員会審議にお当りになるのでありますか、その点を伺いたいと思います。
  52. 本多市郎

    本多国務大臣 お話通り、ぜひ皆様方の御協力を得なければ円満なる遂行は困難でございますので、でき得る限り打明けて御相談申し上げたいと存じますけれども、たださいぜんの給与ベースの資料のごとき、今真剣に検討の最中でございまして、それをその段階において発表いたしますと、政府の最後の決定がきまらないうちにいろいろ誤解を生ずる点も起きていけませんので、この場合は発表いたしかねるのでございますけれども、今後は努めてあらかじめ、もう少し問題がこういうふうに切迫しないうちと申しましようか、常々御相談を申し上げたいと存じております。
  53. 青柳一郎

    青柳委員長 門司君。
  54. 門司亮

    ○門司委員 もう今まで、きのうから実はこの問題を持出して聞かれておりまして、私はこれ以上追究しても、おそらく効果がないことだと考えておりますが、もし当局が今のような態度でありまするならば、結局われわれは各項目別にわたつて自分の考えていること、さらに自分の集めた資料に基いて当局に質問をして、そうしてそれに対して答えてもらう以外に方法はなくなりて来る。そうなつて参りますると、委員会の運営は非常にきゆうくつなものになると考える。またそうしなければ、われわれはほんとうに今政府がどういうことを考えているかということがわからなくなつて来る。今私が大臣に対してお話を申し上げますのは、ざつくばらんに言つた方がいいと思いますが、官制がかわつたからおそらくこういうことになつているので、旧来の官制であつて地方財政委員会が健在でありました場合には御承知のように、財政委員会としては独自の立場から、はなはだしいときには第四次案あるいは第五次案というような幾多の資料を各方面から集めて出して、そうしてわれわれもそれに基いてやはりどの資料が正しいか、一体地方の財政はどういうことになつているかということを審議する上の参考資料にこれはなつたのでありますが、その地方財政委員会がなくなつて、今度自治庁にこれが併合されて来て、官制がかわつたからということで、国会の審議がこんなにごたつくとは考えておらなかつた。もし大臣の今のお考えのようなことで、旧来の財政委員会の場合と今日とこういうふうに大きな開きが出て来るということになれば、これはまつたく自由党のせいだと思う。われわれはああいう機構の改革に賛成したわけでも何でもない。行政機構の改革を行つたのは明らかに自由党の諸君だと思う。しかも官制をかえたことによつて国会の審議がこういうようにもつれ、また国会としての権威を失墜するような形が出て来ることは、明らかに行政機構改革の罪であると思う。そういたしますれば、私は明らかに自由党のせいであると思つて、はなはだ遺憾に考えております。しかしながら、そういつたことだけで物が片づくわけではございません。私はここに大臣に、こまかいことでありますが、今までのことと重複しないでひとつ聞いておきたいと思いますことは、教育委員会法がとにかく実施されて、そうして地方に財政負担を相当にかけようとしている。これはきのう鈴木次長からの御説明を聞いておりますと、わずかに十一億の予算しか見ておらないというお話であります。ところが地方の町村長会で決定されましたものを見ますと、総額四十七億七千九百万円という数字が出て来ております。これは指導主事というようなものを全部の町村に置くわけではありませんで、各府県の郡単位くらいにあります地方事務所あてに大体五人くらいのものを置いてこのくらいのことになる。教育長は各町村にこれを設置することによつて大体こういう数字が出るということになつている。ところが今度の補正予算に見積られているものは、わずかに十一億だという計算が出ております。従つてこの機会に聞いておきたいと思いますことは、町村長会の出した数字が正しいのか、政府が一応見積られた十一億という数字が正しいのかということであります。政府は十一億が正しいとしてお出しになつたと思いますが、町村から出て来ております四十七億七千九百万円という数字はどこが違つているかという具体的な説明をこの機会伺つておきたいと思います。
  55. 本多市郎

    本多国務大臣 検討中の資料お話申し上げて、教育委員会の経費が幾ら要求されているということのお話でございますが、その数字地方団体の出した数字とどちらが正しいかということについて、これは政府といたしましては最後の決定のときに断定を下すのでありますけれども委員会においてその後さらに御研究くださることはけつこうだと思つております。
  56. 門司亮

    ○門司委員 私はそういうことを聞いておるのではない。大体政府は十一億で話を進めておるということが、きのうの委員会鈴木君からはつきり言われておる。私はその十一億は大体政府数字根拠だと考えておる。従つてこの四十七億という大きな数字—私の計算によれば、昨日も申し上げたと思いまするが、大体三十九億、約四十億くらいの数字が出て参るのであります。ここには四十七億と書いておる。私どもは町村長会議で出した数字が必ずしもでたらめな数字とは考えない。やはり教育委員会を設置しようとすれば、一応このくらいのものがいるという数字だと考える。しかもその十一億を政府が見積られた中には、初度調弁費のごときは、一教育委員会当り三万円という見当で見積つたという話になつておりますが、一体一つ委員会をこしらえるのに三万円の金を当てがつて、完全な委員会の構成ができるかどうか、きわめて非常識な話である。そういうことが政府の十一億の根拠になつておるとすれば、これは非常に大きな問題だと思う。地方の財政負担がよくても悪くても、委員会ができますれば、政府はたとい三万円見積つて、三万円の金しか地方財政平衡交付金の中に織り込まないといたしましても、運営をしようとする地方の自治体はそれを幾らかカバーして仕事をしなければなりません。平衡交付金が来なかつたから教育委員会をやめてもいいというりくつは成り立たないと思いますし、またそういうものでもないと思います。従つて地方財政はますますきゆうくつになつて来る、こういうことになつてはならないと思いますので、われわれは何も当局いじめにやつておるわけではありません。われわれといたしましてもこういうことを事前に十分審議して、もし自治庁意見が正しい意見であり、かりに大蔵省がわからぬことを言つているというのなら、われわれは委員会の決議として大蔵省交渉してもちつともさしつかえない。これは政府予算の編成に対して、委員会の事前における容喙といえばいえるでありましよう。しかし容喙でも何でもない。われわれの意思政府に伝達することは当然だと考えておる。従つて私がここで質問することは、各同僚みな同じだと思いますけれども地方の自治体の問題は超党派的に考えられておつて、そうして今日の地方自治体の財政のきゆうくつをいかにして打開してやるかということが大きな問題になつておる。おそらく当委員会は派閥的に物が考えられておるとは考えないので、あげてわれわれはできる限り自治庁のやりいいようにして、自治体の円満な行政が行われるように努力したいという念願だけであります。従つて大臣もそうきゆうくつに政府の中に立てこもらないで、自治庁としての意見をお聞かせ願つてけつこうであります。これから大蔵省交渉して、それが固まつて閣議決定した後は政府意見として大臣は言われるでありましようが、まだ閣議決定しておりませんからには、大臣大臣としての立場から自治庁意見が言えるはずだと考える。従つてさつきから申し上げておりますように、この数字等についても一体どこがどれだけ間違つておるかということを検討しようとするなら、今大臣のお考えになつておることを、資料として数学的にぜひここに出していただきたい。このことができますかどうか、もう一度大臣にお伺いしておきたい。
  57. 本多市郎

    本多国務大臣 今の場合困難だと思います。一々地方から資料が出ており、それとの差額がどういう原因で生じたかということは、決定のときならば言えますけれども、各段階ごとに政府がこれを発表して行くということはなかなかむずかしいと思います。しかし私は、委員会の性格がかわつたようには思つておりませんが、そのいかんにかかわらず、今後こうした切迫しないうちにいろいろとぶちまけてご相談申し上げて行きたいという気持は、委員会の性格がどう法律上かわつたか存じませんけれども、かわりございませんので、ぜひ御協力お願い申し上げます。
  58. 門司亮

    ○門司委員 そういうことになりますと、いくら申し上げても一向結論は私は出ないと思いますけれども、どうでございますか、もし何でしたら公開の席上ではまずいということなら秘密会ででもいいと思う、はつきりしたものがわれわれの資料として出来るとなりますれば……。私がここで申し上げておりますのは、国の予算地方予算というものは、非常に微妙な関係を持つておりまして、われわれの立場から言わせますならば、国家予算の犠牲に地方の財政がされるということは非常にしのびないことであります。これは委員会の性格として自治庁も同じ考え方だと思う。おそらく本多さんも自治庁大臣として、国家予算の犠牲に地方の財政をしようとはお考えにならないと思う。やはりできるだけ国家財政の犠牲にならないように、国家予算でやつていただけるように考えていると思う。われわれもそう考えている。ところがこれがいよいよコンクリートされた数字として予算面に現われて来て、予算委員会にかけられて、それをさらにわれわれが審議をいたしましてこれに修正を加えるといたしましても、やはりわれわれといたしましては地方から出て参りましたこれらの資料がございます。おのおの資料を言えというならば、一項目ごとに私はここで数字を申し上げましてもさしつかえはございません。全国市長会議ではどういうことを考えているか、町村長会議ではどういうことをきめているか、あるいは知事会議ではどういうことをきめているかということは、一々数字がございますから、この数字を一一とらえて、この数字は正しいか正しくないか、この点を自治庁に聞けばあるいは全貌が明らかになつて来るかもしれません。しかしそういうことをすることは長い時間を要するし、むだな労力だと考える。従つてこの資料資料として、自治庁でお考えになつている資料と、さらに今折衝されている財務当局の資料と、この三つの資料が明らかになつて来なければ、われわれとしては裁断を下しにくい。従つて三つの資料の中で、町村長あるいは自治体の側から出て来るものは、われわれがかつてに集めようとすれば集まりますし、文句はありません。しかし少くとも自治庁資料だけくらいは従来と同じようにここに出していただきたい。そうして自治庁考えておる財政規模ではこの程度なければ地方の財政はやつて行けないということくらいは、大体自治庁長官がお考えになつて、そうして大蔵省と折衝されておると考えておる。自治庁も盲めつぽうに大蔵省に折衝されておるわけじやないと思う。自治庁自治庁としての数字をやはりお持ちになつて折衝されておると思う。その自治庁のお持ちになつている数字をわれわれに一応参考としてここに出していただきたい。私はこういうことをくどく申し上げるようでございますけれども、たとえば知事会議から出ておる参考書の中には、きのう鈴木さんが大体説明された数字と同じような数字が書いてございます。この数字はどこから出たかということです。知事会議がこういうものを知つて、そしていろいろなことをしておるが、国会は知らぬということが言えるかどうか。新聞にもしばしば書かれております。こういうことで一体国会の権威というものがあるかどうか。私はもう少し自治庁はこの際考えてもらいたいと思う。例を言うならば、私はここに資料を持つておりますが、農林省にいたしましても、あるいは警察関係にいたしましても、どの省にいたしましても、補正予算に対して考えておること、このくらいのことはやりたいという大体のアウト・ラインくらいのものは示しております。われわれは必ずしもその資料が正しいとして、それだけでつつぱろうとは毛頭考えておらない。しかしわれわれが審議する過程における参考の資料くらいは、ここにあしたでもお出しになることはできると考えておる。自治庁にはこれがあると考えておる。なければならないはずである。従つてその点をぜひひとつ出してもらいたいと考える。  それからもう一つ念のためにこの際聞いておきたいと思いますことは、例の公務員のベース・アップの問題でありますが、これは今度の補正予算の中で最も大きな財政処置を要する問題と考えております。これについて、三百円高いとか安いとかいつて議論されておりますが、自治庁お願いしておきますことは、三百円高いという国家公務員給与のベースを一体どこでどういう調査をしたのか、その調査資料をひとつ出してもらいたいと思います。地方自治体の五つか六つの県だけを調べて、それで高いと言われたところで、それと比較いたしました国家公務員の給料の算定の基礎になる資料を私どもいまだ聞いておりません。  それからもう一つ大臣にお伺いしておきたいと思いますことは、かりにこの地方公務員の給料が三百五十円くらい平均して高いということになつておりましても、政府意思としては、労務者の給料というものを低い方に右へならえするというようなお考えであるかどうかということです。今の社会に一体そういう観念が通ずるかどうかということです。この点は政府として一体どういうようにお考えになつておりますか。
  59. 本多市郎

    本多国務大臣 いろいろお話をいただいておりまするお気持は、あらゆる段階において地方財政確保のために御協力をしてくださるというお心持からの御発言でございまして、まことにそのお心持は感謝にたえないのでございますけれども、今の段階において、同じ政府から発表する数字が食い違つて発表されるということになりましたのでは、あとの政府意見調整して決定することに、なかなか支障を来すということが考えられますので、不断に各種の資料をお出しをして御協力を願うということには努めるつもりでございますが、今日の場合は困難であるということを御了承願いたいと存じます。  さらにまた今の地方公務員のべースの問題について、低きにならうという傾向があるがというお話でございますが、これは国家公務員に準ずるというその方針によつて算定をしなければならないものだと考えております。きようさいぜんから質問のありました通り、その差額は三百円を適当とするかいなかということについて、その資料に基き検討中でございますので、それが決定いたしました上は、国家公務員平均給与幾らになつているという根拠、並びに地方公務員幾らに算定したという根拠は明らかにして御相談申し上げたいと存じております。
  60. 門司亮

    ○門司委員 給与のきめ方でありますが、大臣のお考えがどうあるかということを、この際はつきり承つておきたいと思います。地方公務員が高いというようなお話が出ておるのでありますが、これには今までの日本の地方の自治体の経緯というものを大体御存じであるかどうかということであります。官庁の性格であります。それから官庁の所在地であります。こういうものが給与には非常に大きな影響を持つておるということであります。そういうことか大体考えられておるのかどうか、単に給料を査定いたします場合には、そういう一つの立地条件というものが、かなり大きな役目をしておると私は思う。権力官庁であります中央官庁に勤める者と、従来の官庁、いわゆる行政官庁であるというか、あるいは現業官庁であるというような地方の自治体に勤める者とが同じような給料で、実際問題として人を雇い入れることができたかどうかということ。それからもう一つは、中央の官庁では割合に異動が多いのと、役人にいたしましても、大体四十五か五十くらいになつて、停年までその職にとどまつてつた人は少いのでありまして、比較的退職の時期も早いのでありますが、地方の自治体の公務員というものは、いわゆるその地方々々におのおの住みついておりますので、割合勤務年限が長い。従つて平均給与というものが高くなつているのは当然だ、そういうように従来から長い間来ておるので、今急にこれをりくつだけで給料をきめようとすることに無理な問題が私は必ずなければならぬと思う。こういうものが一体考えられておるかどうか。ただ算定だけして、そういう立地条件というものを無視して、給料だけ考えられておるということになると、これは将来人を採用する場合、あるいは従来の勤務の年限等に対しても、地方の自治体として非常に考えなければならぬ状態が出て来る。こういうことが一体その中に考えられておりますか。
  61. 本多市郎

    本多国務大臣 地方財政の実際から参りますと、国家公務員よりも高い町村、また安い町村もあるかもしれません。これは国家公務員については大体停年制に近いようなことで給料が頭打ちになるようになつておりますが、地方公務員については、有能な士が非常な長年月勤める場合、その勤続年数に応じて無制限に上つて行くというような事情もありまして、勤続年数の長い人が多い。従つて平均給与地方公務員が高いというような実情は私も了承しております。しかし、それではこれを平衡交付金算定についてどう考えるかということになりますと、平衡交付金は実際にそこの財政の運営というものに必ずしも一致させることはできないのでありまして、やはり国家公務員に準ずというひとつの原則に基いて算定をするほかはない。従つて、平均高い給与を払つているという町村等がありました場合には、そこではほかの経費とのバランスが給与によけいに食われる、従つて他の部面に幾分困難を感ずるというような場合や、やりくりにきゆうくつを感ずるという場合もあろうかと思いますけれども、これは実質的な給与幾らにしろということを平衡交付金できめるものでもなく、また政府として指図するものでもないことでありますから、できる限りいろいろな面で調整に努力していただくほかなかろうと思つております。
  62. 門司亮

    ○門司委員 私はこれ以上押問答はいたしません。さつき申し上げておりまするように、いろいろな資料が出せないということになれば、私どもまたこれから先の自治庁から出されて参りまするいろいろな問題を審議する上に非常に不便があるということは——私はきようは不便であるという言葉だけにとどめておきますが、一応当局もお考えを願つておいていただきたいと思う。  それからもう一つこの際答弁を願いたいのは、平衡交付金でなくて、起債のわくを一体どのくらい広げようとなさるのか。同時に、起債のわくを広げようとなさるその起債の種類はどういうものであるか、その点をこの際明らかにしておいていただきたい。
  63. 本多市郎

    本多国務大臣 平衡交付金補正額を算定いたしまして、その幾らの額を起債財源で充当するかという問題は、お話通りあるのでございます。その補填すべき総額がまだ決定しておりませんので、これもまだ正確には申し上げかねるのでございます。  それから起債の種類につきましては、一般会計については預金部資金流用の一般起債、また地方の公営事業につきましては、預金部資金等の融通が困難な面も考えられますので、そういう面については公募公債のわく等について考慮するように今検討中でございます。
  64. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つは、平衡交付金の算定の基礎になつている問題でありますが、今も議案として平衡交付金法の改正案がちよつと出ております。今年度の補正予算についてこれは相当重要な問題だと考えておりますが、補正係数に対して、従来の補正係数をそのまま今度の補正予算にお使いになるのか。あのままの補正係数では、今度の平衡交付金政府考えている以上の差額を生ずるのだ、こういうことは一面私どもには実際上の問題として非常に危惧されるのであります。今までの補正係数だけで行つてつたのでは、実際に考えている地方の自治体の物の考え方と政府の物の考え方との間に、やはり相当開きができやしないかと思う。これが数字になつて大きな食い違いができて来る問題になりはしないかと考えるがどうか、補正係数等については、やはり従来通り考え方で今度の補正予算を組まれているのかどうか、この点をひとつ確かめておきたい。
  65. 本多市郎

    本多国務大臣 従来政令で定まつていたものを法律化するという趣旨の法案だと思いますが、内容については次長から御説明申し上げます。
  66. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの門司委員のお尋ねの点でございますが、これはいずれあらためて提案理由説明で、詳しくお話を申し上げたいと存じますが、従来寄留法を行政の測定単位に用いておりまして、その関係の寄留制度が今度廃止になりまして、かわつて住民登録法が施行になつたわけでございますから、戸籍、寄留という関係の測定の単位が、戸籍及び住民登録ということにかわるわけであります。その関係で、今年度につきましては特に住民登録のための一斉調査の経費等がございます。ところが来年度以降の平年度になりますると、この辺は必要がなくなりまして、経営的な住民登録法施行の経費だけに相なるわけであります。そこで今回の提案をいたしました地方財政平衡交付金法の一部改正法律案におきましては、平年度の測定単位の費用を改正をいたしておりまするとともに、附則におきましては特に本年度限り適用いたすべき測定単位の経費を別個に書いておるわけでありまして、この関係はそれぞれ予算等において見ておるわけでございます。
  67. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いておりますのは、そういうことより、もう一つ違う方面から、実際的に運用する場合のことを聞いておるのでありまして、今定めておりまする測定単位できめられたのでは、かなりいろいろな面で私は無理が生じはしないか。たとえば人口の面におきましても、あるいは港湾における出入船舶のトン数の問題にいたしましても—その計数を私ここで詳しく申し上げればいいのですが、煩雑になりますので申し上げません。自治庁の方がよく御存じだと思います。人口計数にいたしましても、人口がずつとふえて行くに従つてその経費はだんだん減らされる形になつておる。港湾におきましても、同じような形になつておりまして、入つて参りまする船舶のトン数がふえて来ればふえて来るだけ、一定率というものはだんだん下げられて勘定されておる。ところが現実の姿といたしましては、港湾などにおきましては、船舶が入つて来れば入つて来るだけ港湾の施設の利用率というものはだんだん多くなつて来ておる。そうしてそれに対します市の経費というものはだんだんふえて来るわけであります。これが今までの補正係数をそのまま実行いたして参りますると、私は実際との相当大きな食い違いが出て来ると思う。理論的には一応成り立つかもしれないのでありますが、人口がふえて来たからといつて、少い所の単位と同じような計数でこれを補給して行くということはこれはりくつにならない。やはりふえて来ればふえて来ただけ—事務の簡素化といいまするか、事務が同じ一人の人間の能力の範囲でやれるからということで、減つて来るのが、一応当然のように聞えますが、しかし実際問題として、住民登録の問題もそうでありますが、そういう事務がふえて来ておる。同時に港湾の費用などにおきましては、出入船舶のトン数がふえて来ればふえて来るほど実際問題としては港湾を維持しておる都市では費用がよけいかかつておるわけである。従つてこの実際と交付されまする交付金の算定の基礎というものには、そこに一つの食い違いができておるということは認めなければならぬと思う。一体こういう点は今度の平衡交付金補正の中には考えられないで、従来通りにこれがやられておるのかどうかということを伺いたい。
  68. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回の補正予算がもし確定するということになりますれば、その補正予算に従いました地方財政平衡交付金法の改正の法律案を提案をいたしまして、今の御指摘のような単位費用、補正係数等につきましては、補正予算に応ずるようにこれを改正いたしたいと考えております。
  69. 横路節雄

    ○横路委員 先ほど大臣から、二十七年度補正予算平衡交付金算定の基礎についてお話がございましたが、その第一番目に、地方税自然増収とそれから自然減との二つの対立で、自然増と自然減の場合との差額を見ると約百億あるというお話でございましたが、一体大臣としては、先ほど中井委員からもお話がございましたが、地方財政の確保ということに努力しておるはずでありますから、そうすると、自然増というものを見た場合においては、当然平衡交付金の増額ということには努力する必要はない。地方税の自然減ということがある場合において初めて平衡交付金をよけいよこせという折衝が開始されるので、従つて大臣としては当然、地方税自然減収であるという建前に立つて、大蔵当局に平衡交付金の増額を要求しているというように、私どもは先ほど大臣説明を聞いておりましたが、その点はどうか、まずお聞きしたいと思います。  それから第二番目に、一月から実施する入場税遊興飲食税減税の問題で、これが二十六億減らされるので、この分については平衡交付金で見て行きたいというお話がございました。ところが第三番目の賃金ベースの二割増、すなわち賃金ベースが二割増になれば、それの伴つていろいろ給与関係諸費が増額になつて来るので、その総額は一体幾らであるかということについては、先ほど御説明がなかつたわけですが、その総額が幾らになるかという点についてお尋ねをしたいということ。それから先ほどからのお話の中で賃金ベースの二割増ということになつているが、その賃金ベースの二割増というのは一体何を基礎にして二割増加するということにきめたのか、その点についてもお尋ねしたいと思います。なおその賃金べースの二割増に伴つて、年末手当の問題あるいはその他いろいろ給与関係諸費があると思います。それらがひつからんで今回の平衡交付金の増額の中に入つて来ると思うのでありまして、従つて賃金べース二割増の算定の基礎、それからそれにからんで来るところの給与関係諸費の内容、それらの総額が一体幾らになるかという点についてまずお聞きいたします。
  70. 本多市郎

    本多国務大臣 第一は御想像願いたいと思います。ただしかし御質問の中に、もし自然増があれば、平衡交付金の増額はないのだと言われました点は、必ずしもそうではないと思います。自然増が多少あつたからというて、補正すべき金額が超過する分だけは当然補填しなければなりませんから、必ずしもそうではありません。増収があるという建前で話をしておるか、減収という建前で調整に努力をしつつあるかという点については御想像におまかせするよりほかはありません。それから賃金ベースの問題については、どういう意味でしようか、賃金ベース二割見当の引上げということを目標に検討しつつあるのは事実でありますが、それを引上げれば、そのほかに所要経費の増額があるはずだと言われますのは、この賃金引上げに要する経費として二百七、八十億に達するものと思つておるのですが、それ以外のことはもう一度ひとつ御説明を願いたいと思います。  それから二割増の場合の根拠につきましては、所管大臣である大蔵大臣に、これが決定いたしました上、ひとつ十分御質問を願いたいと存じます。それについては私もいろいろ意見は述べつつあるのでありますけれども、まだ結論には達しておらないことでございますから、その根拠までは、私の手元に御説明申し上げる資料がございませんので、お許し願いたいと存じます。
  71. 横路節雄

    ○横路委員 ただいまの中の賃金べースの二割増にからんでの給与問題というのは、当初に見込んでありました年末手当の問題等が、当然賃金ベースの改訂にからんで増加して来るわけであります。そういう内容についてお聞きしているわけです。
  72. 本多市郎

    本多国務大臣 賃金ベースが二割増になつておりますと、たとえば年末に一箇月分の支給ということになりますれば、上つた賃金べースに従つて賞与が支給されますから、それだけ財源も増額されなければならぬということになります。
  73. 横路節雄

    ○横路委員 きのう鈴木次長は床次委員質問に答えて、給与べース二割増に伴うところの所要経費額は二百五十億ないし二百六十億であると言明している。しかもこの点については、私がぜひひとつ大臣に出て答弁してもらわなければ困る、こう言うと、鈴木次長は、いや給与べース二割増に関するこの給与額については数字がきまつたものであるから、あえて大臣の出席は得なくてもよろしいのである、こういうことを言つてきのう頑強に大臣の出席を拒んだ。従つて二百五十億ないし二百六十億という数字は、きまつておる数字だ。先ほど門司委員からも言われたように、きのうこの質問のあと、全国知事会議の事務局ではどういう関係で資料を得たか知らないが、二百五十六億という数字を明らかに発表している。これは明らかに鈴木次長の説明と符牒を一にしている。従つて先ほどから中井委員その他に対する大臣答弁の中にありましたように、いわゆる三百四十何円何がしかの金については明確でないので、調整している段階であるという点は、きのうの次長の答弁とははなはだ食い違いがある。従つてこの点はきのうの鈴木次長の答弁が間違つているのか、それともきようの大臣答弁が違つているのか、その点私は非常に遺憾であると思いますので、大臣並びに次長からこもごもひとつ答弁していただきたいと思います。
  74. 本多市郎

    本多国務大臣 結局まだ政府として決定していない数字を見込みで申し上げたりいたしますと、今のようなおしかりを受ける結果に陥るおそれがございまして、私の地方公務員賃金ベース引上げのための財源は二百七、八十億くらいになるだろうと申し上げましたのも、これは見込みでございます。どうかひとつそういうものも確保するという建前で努力しているところでございますから、見込み数字が私と次長との間に違いがありましても、御寛大にひとつ御検討を願いたいと思います。
  75. 横路節雄

    ○横路委員 ただいまの二百七、八十億で努力をしている、努力中であるという言葉は、こういうように解釈してよろしいのでしようか。それはきのう私ども鈴木次長から聞いた二百五十億とでは、二十億ないし三十億違うわけです。そうすると二十億ないし三十億違うということは、やはり先ほどから問題になつている、いわゆる国家公務員地方公務員との差については、大臣としては一般国家公務員給与べースの二割増なのだから、既得権を認めて、その二割増に努力しているのである、そのために二百七、八十億かかるというように解釈してよろしいのでしようか。その点がどうもきのうの次長の答弁とは、やはり二十億ないし三十億といつても、大分数字が違いますから、その点お尋ねします。
  76. 本多市郎

    本多国務大臣 国家公務員地方公務員との給与差額につきましては、地方の不利益にならないように調整に努力いたしております。しかし地方公務員が現実の支給額が高いのであるから、その高い額に持つてつて、高い額に相応する財源を与えるようにという趣旨では実は考えておりません。
  77. 横路節雄

    ○横路委員 きようの委員会で非常に大事な点は、ただいまの給与ベースの問題の中の一般国家公務員地方公務員との関係なんです。しかも先ほどから各委員からも言われておりますように、実際においては地方にそれぞれ国家公務員地方公務員として転任されるについては、各都道府県においては非常に苦労して各地方に来てもらつておる。そういう意味において過去の実績があるわけである。これが私は地方自治の確立ということになると思うのです。もしもこの点を大臣が忘れて、ただ一般的に出た数字だけを並べて、地方公務員の方が国家公務員より高いのだ。だからみなならしてしまえ、こういうことになると、今まで五、六年かかつて努力して地方公務員に優秀な方を採用したことが、これで地ならしをされて、地方自治の確立ではなしに、だんだん破壊されて行く、こういう点について大臣はどういうお考えを持つておりますか。
  78. 本多市郎

    本多国務大臣 その事情はよくわかりますが、ただ平衡交付金算定の基礎としては、やはり法律上国家公務員に準ずるということになつておりますので、この原則ははずせないのでありますけれども地方財政運営の面におきまして、くふうをしていただきたいと思つております。
  79. 横路節雄

    ○横路委員 先ほど門司委員からもお話がございましたが、この地方公務員国家公務員との差の問題ですが、これに対する資料を出してもらいたいのです。先ほど都道府県知事会議から正式の委員会の前に陳情があつたのですが、その陳情内容等を聞くと、どこかピツク・アツプして八つほど調べて、その平均をとつてつてみたということであります。もし事実だとすれば、これは非常に重大な問題だと思う。全国を全部とつてみたのでなしに、わずか八つの府県についてとつてみて、国家公務員との間の差額を三百四十何円と決定したのであるという趣旨に私は聞いたのでありますが、そういうことになれば非常に重大な問題であると思いますので、この点については、ほんとうはここで資料を出してもらいたいのですが、先ほどから各委員から言われても出されないようですが、一体ここで三百四十何円とか、三百五十円とか言われておるのは、どういう基礎調査でやられたのか、できればここで答弁していただきたい。
  80. 本多市郎

    本多国務大臣 その差額決定するための資料を今検討中でございますので、今はここで答弁することができないのであります。
  81. 横路節雄

    ○横路委員 私は鈴木次長にお尋ねしたいのですが、先ほど義務教育費の問題について、次長は実際の支出額によつて算定してあるというお話であります。きのうの文部省の方の答弁によると、その都道府県において給与して、それに伴つて平衡交付金を出す。そうすると地方でどんどん実績に伴つて高くやるわけですが、それに伴つてやる、こういうふうにきのうは文部省側で述べられているのですが、次長の実際の支出額というのは—たとえば昭和二十八年度の算定の基礎になる実際の支出額というのは、一体何をさしているのか、その点を一つ次長から御答弁願います、
  82. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほど御答弁申し上げました中で、教育費の国庫負担につきまして実支出額の二分の一ということを申し上げましたが、これは法律の言葉をとつて申したわけでございまして、法律にはたしかそのほかに一定のわくがあつたと思いますが、そのわく内であるならば、実支出額の二分の一、こういうことであつたように記憶しております。しかしこれの具体的内容はいずれ政令をもつて政府においてはつきりときめることになるわけでありまして、まだその政令も確定いたしておりませんので、これ以上の説明は申し上げかねる次第でございます。
  83. 横路節雄

    ○横路委員 それじや文部省の方に質問いたします。今の次長のお話ですと、実際の支出額の二分の一ということになつて、これについては政令で定めるということでございます。あなたのきのうの答弁は、実際に地方でもつてつた分について、二分の一ですか、自動的に国が負担するというのも、そういうように解釈されるようにきのうは答弁しておられましたが、今の次長は政令でこれを定めると言つておりますが、この点は文部省の考え方はどうなんですか。
  84. 田中義男

    ○田中説明員 昨日も国庫負担法の問題について御説明申し上げましたように、本則として実支出額の二分の一国庫負担となつておるのでございます。ただ政令によつて最高限を必要に応じて定めることができる、こういう規定になつておるのでございまして、それをいかなる場合に当てはめるかということについては、ただいまわれわれも検討中でございまして、いずれ将来の問題になると存じます。
  85. 横路節雄

    ○横路委員 最後に大臣にひとつお聞きして終りたいと思います。先ほどの大臣の御答弁で、地方自治の確立のために、地方公務員ついてはそれぞれ地方の実情に即して給与をやつて、そして俗な言葉でいえば、優秀な公務員に来てもらつて地方自治の振興をはかりたい。そこでそういう建前から行けば、大臣としてはやはりこの際、地方公務員については、一般公務員と比較して、今日まで実績の上において高いものについては、これをならすというのではなしに、大臣としてはそのまま認めて行きたいのである、そのことが地方自治の確立になる、こういうことだけはひとつこの際、大臣からはつきり言つてもらいたい。そういう点で閣議でも努力するし、大臣としても今後やる、この点をひとつここで明確にしておいていただきたいと思います。
  86. 本多市郎

    本多国務大臣 お気持はよくわかるのでございますが、実は考えとしてはそう申し上げるわけに行かないわけでございます。地方が人材を迎えるために奮発して給料を出す、それはやはり自主的にやつていただくのでありますから、よけいに給料を払えば、それに平衡交付金の算定基準がついて行くというようなことは、どうしても申し上げられないわけでございます。どうしてもこれは、その現地の自治体が、財政運営の妙を得てやつていただく以外にはないと考えております。
  87. 横路節雄

    ○横路委員 今の大臣の御答弁は非常に重大なんですが、それは平衡交付金の増額はさせることはできないが、地方財政でまかなえる点はどんどんまかなつて高くしてやつていいというわけですか。
  88. 本多市郎

    本多国務大臣 いろいろ給与についての政令、条例、規則等があれば、それは尊重しなくてはならぬものがあると思いますが、自主的にやつてもらうものについて、政府がその具体的な数字にとらわれて行くことは困難であるということでございます。
  89. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと一つだけですが、今度の中に十一億の教育委員会の設置に伴う予算としての数字が織り込んである、こういう話ですが、その中には選挙費が入つておりますか。教育委員会の選挙費は当初予算で十七億しかとれなかつたと私は思つておりますが、そうするとこの予算は、大体政府は一年延ばすということを考えておつた関係から、現在ある都道府県、五大都市を含めた大体六、七十の地域に教育委員会の選挙が行われるということを予定した十七億であつたと私は考えておる。そこで今回全国で教育委員会の選挙が行われました以上は、少くとも大体十億内外あるいは十億以上の金を地方で使つておると考えておる。これはこの中に入つておりますか。十七億しか教育委員会のために出していないということになると、選挙費用というものを忘れてはいないかと思う。忘れているということになると、地方はそれだけ負担しなければならぬことになると思いますが、これは一体どうなつておりますか。
  90. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の十一億という数字は、補正予算で最終的にきまるものでございますから、確定的な数字ではございませんが、その計算の中にはお尋ねの選挙費用は一切入つておりません。経営的な経費だけでございます。
  91. 門司亮

    ○門司委員 すると、選挙費用に使つたものはどうなるのですか。地方の負担で選挙をまかなえという趣旨ですか。
  92. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教育委員会の選挙に必要な経費といたしましては、当初の地方財政計画の中に十七億ばかりを見込んでおります。御承知のように教育委員の選挙は、市町村につきましては約半数が選挙を実際に行いまして、あとは選挙を行わなかつたわけであります。また行いましたところでも、比較的候補者数も少かつたわけでありまして、当初の計画数字よりは若干余力を生ずるというような状況に相なつております。
  93. 門司亮

    ○門司委員 それは違う。そんなばかな話があるか。教育委員の選挙というものは、半数ずつやるというようなことはない。都道府県では選挙をやつただろう、五大都市においては選挙をやつただろう、その費用として十七億当初予算で見積つてあることは、われわれも承知しておる。その他の日本の一万有余の全部の市町村まで教育委員会の選挙をやつておるはずである。これは当初予算に見積つてなかつたはずである。政府は大体この選挙を来年に延ばす腹だつたから、予算はありはしない。それをこの間のようなへんなことで、いや応なく無理をしてやつてしまつたから、地方ではどうしてもこの金を使つておる。この金は一体どこから出るようになつておるのか。もし今度の補正予算の中に入つていないということになると、地方自治体が全部これを背負つて行くということになる。それを一体どこから出すか。鈴木さんのようないい加減な答弁では納得できない。
  94. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 半数と申し上げた意味は、あるいは説明が不徹底であつたと思いますが、一万有余の市町村の中で今回実際選挙を行いましたのは、たしか九千若干であつたと思いますが、そのうちの五千は無投票になつたのでございまして、選挙を行わなかつたのであります。しかし当初計画いたしました数字におきましては、全市町村に選挙が行われる、但しこの場合において、組合等の形で行われるものも相当あるように計算をいたしておりましたが、しかしさようなものを、実際要したであろう数字と差引計算をいたしましても、当初の十七億をさらに下まわるというふうに考えております。
  95. 門司亮

    ○門司委員 私はその答弁はどうしても承認できない。それなら十七億というものを組んだ算定の基礎はどこにあるのか。それは全国四十六の都道府県と五大市で五十一しかない。その他日本で教育委員会を持つてつて、選挙をしなければならない市は、二十幾つしがなかつたはずである。八十の数字は私は出ていなかつたと思う。それだけの選挙はどうしてもこれを行わなければならないということのための費用が、十七億見積つてつたということは予算はつきりしておる。それ以外の五千か四千か知らないが、町村で行う選挙は、当初予算で見てなかつたはずである。従つて十七億が下まわるというようなことにはならぬと思う。もしそういうことになるならば、はつきりした資料をひとつ出してもらいたい。
  96. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教育委員会法は十月の五日に教育委員の選挙を行うということになつてつたわけでありまして、政府はそれに基いて今の地方財政計画をちやんと策定いたしたのであります。ただその場合に大体計上いたしました基礎は、各地方事務所並びに郡単位に一つ教育委員会を置くようにできるであろうということで計上いたしたのであります。ところが御指摘の通り教育委員会は各市町村にこれを置くという法律通りの結果に相なりましたものでございますから、そこでその関係の経費としては約五億余り選挙費用を要するであろうということで、これは大蔵省なり文部省なりと協議をいたしました末、大体財政計画の上では、これを十七億プラス五億で二十二億程度見る必要があるということで、選挙の当時算定いたしておつたのでございますが、その後先ほど申し上げましたように、実際選挙を行いましたものは約半数でございます。そういう関係で、この二十二億という数字よりははるかに下まわる、今の十七億という数字をもつてして、さらに若干余力が出るであろうという計算に相なつておるのでございます。
  97. 門司亮

    ○門司委員 私はこれ以上くどく申し上げませんが、大体今の答弁ははなはだ解せないです。先ほどから何度も申し上げておりますように、政府の意向は選挙をしないというのが腹であつて従つて政府から出た原案は、選挙しないという原案を出したのじやありませんか。野党はそれに賛成したが、与党が反対して選挙をとうとうやることになつてしまつた従つて予算面にはおそらく、先ほど私が申し上げた数字だけに要する費用として十七億見積られてあつたはずである。それがたとい郡であろうが、何であろうが、それ以上の選挙を行つた以上は、私は費用がよけいかかつておると考えざるを得ない。同時にまた、それらの地方の公共団体というものは、最初計画された以上の金がどうしてもいることはわかりきつておる。このことは非常に重大な問題でありまして、この前の国会議員の選挙のときにもこの問題が出て来ておる。国会議員の選挙のときに国が予算した費用で地方はやれなくなつて来ておる。そこで中央の全国選挙管理委員会に上申をして、費用が足らないからどうしてくれるというときに、費用はあとで補正予算でやるから、お前の方で選挙はやつてもらいたいという通牒を出しておる、その通牒に基いて地方で選挙をやつた、その結果赤字が二百八十億か三百億近いものが出ておる、その赤字を大蔵省へよこせといつても、池田大蔵大臣はなかなかそれを出さない。そんなことがあるとすれば、地方の実情を調べて、ほんとうにあつたら出すけれども、ただそう言うだけでは出せないといつてつつぱねた。ことに今度の教育委員の選挙の費用は予算には見積つてないのだから、当然それらの費用というものが、補正予算の中にはつきりとした数字が出ていなければならぬ。これは今の鈴木さんのように、十七億を下まわつておるとすれば、その数字はつきり出してもらいたい。それでなければわれわれは納得行かない。
  98. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 何回申し上げましても今申し上げた通りでありまして、当初の計画におきまして、今年は都道府県につきましては半数の選挙が行われる、市町村については、それ以外の市町村についての教育委員会の設置ということは、当然予想されておつたわけであります。ただその際に各市町村に置くということでなく、でき得れば郡単位あるいは地方事務所単位にしたい、こういう考え方を持つてつたわけでありますが、いずれにいたしましても、当初計画数字の中にはさようなことを予想して定めておつたわけであります。その後の状況は先ほど申し上げた通りであります。
  99. 横路節雄

    ○横路委員 鈴木次長にお尋ねしますが、あなたはきのう、給与ベースについては、二百五十億についてはとにかく本ぎまりであるということを明らかに言つておる。言つておるからには、やはり先ほど来各委員から言われておる国家公務員地方公務員の関係については、この際やはりあなたは明確にされた方がいいと思う。これから努力します、これから資料を出しますなんとかいうことよりは、こういうかつこうで、どれだけの国家公務員地方公務員の差でこういうふうにきめた、総額幾らなつた、そういうふうにきまつているならきまつていると、きようの常任委員会で明らかにしてもらいたい、いかにもきまつてないようなことを言う。たとえば先ほどの市町村の教育委員会設置に伴う十一億の件だつてきまつておる。今の二百五十億の件についても、明確にきまつておる。また一方的にそれぞれの情報で流れている点もあるし、あなたもそう言つているのだから、やはり一応この際あなたはいろいろなこまかい数字をはじいた責任者として、ここに明確にしてもらいたいと思う。そういうふうになつていないならはなつていない——しかしあなたはきのうなつていると言つたのだから、ここではつきりしてもらいたい。
  100. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 昨日私が申し上げましたのは、二百五、六十億—五十億か六十億ということで五、六十億ということを申しておりまして、これも本ぎまりになつていると今言われましたが、さような意味合いで申し上げたのではなくて、最終的には閣議できまらないうちにははつきりしたことは申し上げられない。ただ大体のところ二百五、六十億というような見当になるのではないかということを申しただけでございます。この点は先ほど来大臣から何回も申し上げております通りでございまして、これ以上のことは私から遺憾ながらお答えいたしかねる次第であります。
  101. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると今の次長の二百五十億ないし二百六十億というそろばんをはじいた中には、次長の考えとしては、地方公務員国家公務員との現実に今あなたの方で調べた三百幾らとかいう点については、ちやんとそれを計算して出してあるかどうかという点だけをお聞きしておきます。
  102. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 給与のベースが高いか低いかという問題につきましても、先ほど大臣がここで申し上げた通りでございまして、ただ調査の結果につきましては、昨日ここで申し上げました通り、大体三百四十八、九円高い、こういうふうに前回の昨年の補正予算の際の数字を修正するような調査の結果が出た、それを前提としてさらにその資料については先ほど大臣が申し上げますように検討いたしておりまするが、そういうような結果最終的に補正予算で、どのような決定をいたしますか、政府決定に基きましてさらに御説明を申し上げたいと思つております。
  103. 横路節雄

    ○横路委員 今の三百幾らという数字については、二百五十億の場合にはそれをやはり考慮してやつているということは、その分だけをいわゆるならして行くという点でやつているのか、現実に地方公務員が過去の実績で、それだけとつているという点を念頭に置きながら、しかし今回の二割増という基本的な立場に立つて、やはり過去の実績の二割でやるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  104. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点は先ほど大臣からも、お尋ねに対していわゆる実績と申しますか、そういう意味では必ずしもないということを申し上げたと思いますが、そういうような意味の計算であります。
  105. 青柳一郎

    青柳委員長 他に御質疑はございませんか。——御質疑がないようでありますので、本日はこの程度で散会いたします。次会は追つて公報をもつてお知らせいたすことといたします。     午後四時三十七分散会