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1952-11-12 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月八日       鈴木 直人君    雪澤千代治君       床次 徳二君    門司  亮君       横路 節雄君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十七年十一月十二日(水曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 横路 節雄君       阿部 千一君    生田 和平君       加藤 精三君    黒金 泰美君       佐藤善一郎君    中井 一夫君       前尾繁三郎君    牧野 良三君       石坂  繁君    中野 四郎君       平岡忠次郎君    西村 力弥君       川村 継義君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁次長) 鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  地方自治及び地方財政に関する件     —————————————
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 これより会議を開きます。  まず国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。すなわち本委員会の重要なる使命にかんがみ、本委員会の所管に属する事項につきまして国政に関する調査を行いたいと存じます。つきましては衆議院規則第九十四条によりまして、議長承認を得ることになつておりますので、まず調査する事項としては地方自治地方財政警察、消防及び選挙に関する事項とし、調査の目的としては地方行政実情調査し、その健全なる発展に資するための対策樹立とし、調査方法としては関係当局より説明聴取並びに参考資料要求及び小委員会設置等とし、調査期間は本会期中とし、国政調査承認要求書議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青柳一郎

    青柳委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。それでは委員長より諸般の手続をとることといたします。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長 それではこれより本年度補正予算に関する地方財政問題につきまして政府より説明を聴取し、その後で委員より質疑をお願いしたいと存じます。まず自治庁当局より説明を聴取いたします。鈴木次長
  5. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回のただいま編成中でございます政府補正予算関係をいたしまして、地方財政に関しましても新たに財政の需要を見込まなければならないものがございますので、その関係経費をただいま自治庁といたしましては大蔵当局に要つ求中でございます。その主要なるものは地方公務員ベース・アツプに要しまする財源でございます。その関係で二百数十億の財源を必要といたす点がございます。その点が第一点でございます。ベース・アツプ内容につきましては、大体ただいまのところ二千円のベース・アツプということが国家公務員について考えられておりますので、それに準じたベース・アツプを、地方公務員につきましても考えたいということでございます。実施の時期は十一月一日から、こういうことで考えておる次第でございます。  第二の問題は、入場税及び遊興飲食税減税の問題でございまして、これは前々国会におきまして、地方税法が改正せられまして、その関係政府は明年の四月一日までの間におきまして、政令で定める日から減税をする規定を施行するということに相なつております。政府といたしましては、できるだけ早い機会にこの修正の趣旨に従いまして減税をいたす予定でおりました。今回の補正予算減税によつて落ちて参ります地方の税収の補填をいたす財源を計上するわけでございます。これは目下のところ大体明年一月からこれを実施するということで、ただいま案を調製中でございます。  次は起債の問題でございますが、昨年の一般会計地方起債につきまして、二十七年度分から五十億だけ繰上げて、いわば早食いと言いますか、先食いいたしまして、そのために二十七年度の地方起債わくが五十億だけは明いておる、穴が明いておるというような状況でございまして、この点をぜひ補填をしなければならない。これは補正予算に直接関連をいたした問題ではございませんが、全体の地方財政計画の問題として、この点を考慮いたしたいと考えておるのであります。  その他若干の項目につきまして出入りがございます。たとえば自治体警察の廃止によつて不要になりました経費でございますとか、あるいは教育委員会を新しく設置いたしますための経費でございますとか、さようなものをやはり財政計画上見て参らなければならぬわけでありまして、これらのものを勘案いたしまして、全体として地方に必要なる財源をただいま大蔵当局折衝中であります。いずれ近いうちにこの問題は政府としての最終の解決策を見出すことができるというふうに考えておる次第でございます。
  6. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ただいま補正予算編成中であつて自治庁側説明によりますると、まだ大蔵省折衝中であるということでありますが、新聞等によりますと、何か一応の折衝見通しがついたように、金額等についても出ておるわけなんですが、その点は第一次査定は一応折衝がついたけれども、さらに折衝を続けつつあると聞いたのでありますが、その点をもつと具体的にお伺いしたいと思います。
  7. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの鈴木委員お尋ねでございますが、今の予算折衝過程という意味は、第一次査定終つてその後の折衝を続けておるという意味であるかということでございますが、これは第一次の査定終つたと申しますよりも、なお全体につきまして必要なる経費、減ずべき収入等につきましての見込みをつき合せ中でございまして、なお数日を要する見込みでございます。
  8. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは通告順によつて床次君。
  9. 床次徳二

    床次委員 ただいま次長からの御答弁によりますと、数字については折衝中で、数日の間でこれが明瞭になるということになつておりますが、従来の経過からかんがみて参りますと、実は自治庁要求される数字自体は、県、市町村の希望される数字よりも、大分下まわつておるのが事実なのでございます。ところがさらに大蔵省との折衝によつてそれが圧縮される慣例になつておりますが、そのために地方財政が非常に大きな欠陥を来しておるのでございます。この点は単なる普通の予算査定と違いまして、大蔵省査定いかんということがただちに地方財政赤字に通ずるという特別な現象を持つておりますために、私どもといたしましても、いかなる限度において補正予算を計上するかということは非常に重要な問題だ。できる限り自治庁要求を私どもは支持いたしたいと思つておる。従つてそういう立場から見ましても、各県、市町村自治団体要求額並びにこれに対する自治庁査定額、こういうものがはつきりわかると、今後の補正予算に対して非常に役に立つと思うのですが、自治庁の手元において各市町村希望額並びに自治庁の信ずる適正所要額というものをお示し願えれば非常にいいと思います。なおこれに対する大蔵省の態度というものをあわせて今日報告願えればけつこうだと思います。ひとつ御説明願いたい。なお大体の数字をただいままでのところほとんどお述べになつておりませんが、新聞紙上におきましては、第一次査定ということで、ほぼ出ておるようでありますが、地方財政の概要を知るためから申しましても、さしつかえない程度において御説明いただいた方がいいと思います。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 全国知事会からは、今回の補正予算編成に関しまして数字が出ておりますことは、御指摘の通りでございます。自治庁といたしましては、この全国知事会要求しております数字は、全都道府県申出を集計をいたしてつくられたものと考えておりますが、その内容については、やはり若干検討を要する点があるのではないかというふうに考えております。自治庁といたしましては、もちろん各都道府県市町村事務当局から直接各種資料を徴し、また中央において入手し得ます各種資料によりまして、一応の推定見込みというものを出して研究をいたし、これと大蔵省当局との間の数字のつき合せを今いたしておるわけでございまして、これらの数字につきましては、ただいまここで申し上げ得る段階に至つておらないことは、はなはだ遺憾でございますが、先ほど来申し上げますように、政府として最後の責任ある数字を確定をいたしました上で、御説明申し上げたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁はなはだ不満でありまするが、一つ伺つてみたいのですが、ベース・アツプに伴いますものにつきましても、かねがね前回問題になりますのは、自治団体地方公務員大蔵省の見ておりますところの公務員給与というものに対して、相当差額があつた。ただいまの御説明によりますと、中央に準じまして、国家公務員に準じまして、二千円程度のべース・アツプをやれるようにお答えがありましたが、やはり同じように二千円をそのまま上げておられるかどうか。地方によりましてはそれに対しまして多少手心を加えてやつておるかどうかということを承りたいのが第一点であります。  それから第二点といたしまして、従来地方財政の充実という意味におきまして、本年度の当初予算におきましては、ずいぶん議論があつた。自治庁の長官におきましては、大体ことしの当初予算において地方自治体赤字はなくし得るように方針を立てて、それを実行するというように言明されておつたのでありますが、しかし今度の補正予算いかんによりましては赤字が出て来ることが懸念されるのであります。むしろ政府はこの機会に、できるだけ地方実情を御説明になることがいいだろうと思うのであります。数字というものが新聞紙上を見ますと、やはり数百億に上るように私どもは予想されるのであります。自治庁としてはかかる地方財政欠陥をできるだけ出さないように、予算をとつていただくことが望ましい。これは地方財政並びに国家財政見地から見ましても必要だと思いますが、まだ出し得ないのでありましようか、どうですか。この点重ねて伺いたい。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方公務員給与のべース・アツプの問題でございますが、これは御指摘のように昨年の補正予算の際におきまして、地方公務員給与が若干高いという数字を、当時の大蔵省の方面において出しておりました。これにつきましては、まだ政府として最終的に意見の一致を見ていない数字が出まして、それが基礎になつて財源計算をいたしたものでございますから、その後政府関係機関の間で意見が一致したところの数字によつて、もしも当初の財源計算が誤つておるということであるならば、これを是正する措置を講じなければならないということを、政府としては考えたわけでございまして、その後自治庁地方財政委員会大蔵省、文部省というようなところで、地方公務員給与調査のための調査協議会を設けまして、相当の時日をかけて調査をいたしました結果出て参つた数字によりますと、地方公務員給与水準国家公務員給与基準を若干上まわつておるけれども、当初見込みました数字ほど高くはない。従つてその部分だけは、今回の補正予算の際において調査措置を講じてもらいたいということをわれわれ要望いたしておりました。この点については大蔵当局も同様な考え方で、その財源補填もいたすような考え方に立つておる次第でございます。  その他赤字の点についてのお尋ねでございますが、地方財政赤字というものも内容を分析いたしませんと、一概にこれは申し上げかねるわけでありますが、形式上の赤字と実質的の赤字と両様あると思いますし、実質上の赤字におきましても、政府のいわば施策に基く赤字というような種類のものと、地方自治運営の適切を欠いた結果生じた赤字というものと両方あると思うのであります。二十六年度におきましては、さような種類赤字につきまして若干補填調整措置を講じましたが、本年におきましては、今後の見通し最後にならなければわかりませんが、今回の補正予算におきましては、さような赤字補填という考え方には立たない、やはり地方財政運営自主性という見地から、今回政府ベース・アツプ国家公務員についていたします関係で、地方公務員もそれに伴つてース・アツプをするための財源でありますとか、先ほど申し上げましたような繰上げ使用をいたしましたために生じた起債欠陥でございますとか、あるいは今回の補正予算において若干加わるであろうところの公共事業費地方負担分でございますとか、こういうような種類のものについては、今回この際において、補正予算に計上いたしまして処置を講じなければならぬと思うのですが、赤字の点については、今回はなおよくその原因を探究いたし、その実際によつて考えるべきものがあるならば考えよう、こういうような考え方に立つております。今回としては、特にその点は考慮をいたしていない次第であります。
  13. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、給与の点でありますが、若干地方公務員の方が国家公務員より高いのでありますが、今度のベース・アツプのときにこれと同じくしようとなさるのですか、あるいは従来調査なさいました差額をそのまま認めて、同じ割合でベース・アツプされるのですか、どちらに調整されるのか、その点をちよつと明瞭にしておきたい。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは財源計算の上でよけい高いと思われました額を実際高い程度にだけ縮めるわけです。従つて具体的に申し上げますと、たとえば教育公務員につきましては、三百七十五円高いという計算を去年いたしたのですが、調査の結果は三百四十九円高いということになつたわけでございます。その差額は、今年度はやはりそれを見ていただかなければならぬ。そのほかに二千円のベース・アツプに必要なる財源、こういうことになつております。
  15. 床次徳二

    床次委員 地方財政赤字に対しては別途考慮したいと言われるのでありますが、地方財政を円滑に運用するためにも、相当補正が必要であるわけです。これに対してはある程度まで数字が出ておるだろうと思いますが、たとえばベース・アツプに要する数字も大体ただいまの基礎によつておわかりだと思います。また減税所要額というものも大体見当がついておりますか。大体どのくらいになつておりますか。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 大体べース・アツプに要します経費は、なお若干数字調整を必要といたしておりますが、二百五、六十億ではないかと考えております。それから減税の額は一月から実施するといたしまして、大体二十五、六億というふうに考えております。
  17. 床次徳二

    床次委員 もう一言お尋ねしておきたいのですが、地方におけるところの教育委員会の問題につきましては、財源的にはどういうふうに処置されておりますか。文部関係政府委員はお考えはあるかと思いますが、自治庁のお考えを承りたい。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 大体十一億程度考えております。
  19. 床次徳二

    床次委員 その内容はどうなつておりますか。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは今なおここではつきりしたことは申し上げかねますが、大体のところ教育委員会委員報酬等につきましては、大体市町村の議会の議員なみということで計算をいたしております。そのほかにいわゆる初度調弁といいますか、そういう類のもの、その他庁費があるわけでありますが、なお人員といたしましては、市の方は事務職員二人、町村につきましては大体半数につきまして教育長を置く、その他は助役その他の併任ということでやりたいというふうに考えております。
  21. 青柳一郎

    青柳委員長 次に門司君。
  22. 門司亮

    門司委員 私は、さつき鈴木さんのお話ですが、自治庁大蔵省に大体交渉された数字というものは、これを明らかにしておいていただきたいのであります。すでに折衝してコンクリートされたものをここに持つて来られて、そうしてそれを審議せよというようなことが、一応政府当局者としては言るかもしれませんが、われわれの調査過程においては、やはり自治庁がどういうものを考えているのか、あるいは知事会がどういうものを要求しているのか、市町村がどういう財政状態になつているかということ、これらの意見というものがいずれが正しいかということが、予算審議の上には非常に重要な問題である。従つて私はこの機会さつき鈴木さんのお話の中にありましたこの給与ベースの問題にしても、今行われておりまする給与に対して二千円を国家公務員と同じように、一体これはベースアップされるつもりかどうか。この点をひとつはつきりしておいていただきたいのですが……。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国家公務員の二千円べース・アップに準じて、地方ベースアップが行えるようにいたしたいと考えております。
  24. 門司亮

    門司委員 その内容ですが、その内容はさきのお話のように、大体今小学校の先生で三百七十五円くらい高い。それから一般公務員が四百円くらい高いというようなことを差引いて、それに二千円のベースアップをされるのか、あるいは表面上は二千円になつておるが、これらのものを差引くと実際は千五百円のベースアップしかならない——これはどちらになるか、ひとつ明確にしておいていただきたい。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは二千円のベースアップをするに必要な経費考えております。また今の高いという問題は、これは昨年の際の問題でございまして、昨年実際以上に高く見過ぎた点は、先ほど申し上げましたように、さらにこの額にプラスして措置するというように考えております。
  26. 門司亮

    門司委員 それではこう解釈してよろしゆうございますか。自治庁意見としては、大体これは去年の十月でしたかに問題になつて、すでに高い分だけは調整をしてある。従つて今年の要求額は、現行の給与額に対して二千円ベースアップをするのだということに、はつきりこう解釈しておいてよろしゆうございますか。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そういうことで財源措置をいたしたいと考えております。
  28. 門司亮

    門司委員 そうなりますと、それに要する費用の捻出の関係から来るベースアップにからんだ問題で、平衡交付金増額でありますが、その増額が大体今のお話では二百五十億ないし二百六十億ということになつております。それからそのほかの入場税からあるいは遊興飲食税減収分の二十五億ないし二十六億それから教育委員会費の十一億くらいのものを大体総合計算されたものくらいが、今度の補正予算として平衡交付金の総額であるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今いろいろ申し上げましたようなのは、いわゆる歳出に立つところの経費あるいは歳入減になるような経費でございますが、それらのものに見合うところの財源措置を、起債なり平衡交付金増額なり、あるいはその他の措置によつて講ずるようにいたしたいということに考えておる次第であります。
  30. 門司亮

    門司委員 今のお話の中ですが、今度要求されておりますものの中に、今のお話の中にありました平衡交付金なり、大体こういうお話でありますが、今あげられておりますこの三つの要素というものは、大体起債でこれをまかなうべき筋合いのものではないと私は思う。当然これはいわゆる平衡交付金の中に織り込まれるものでなければならないと私は考えるが、もしこの中に起債が入つておるとするならば、政府一体起債わくはどのくらい広げようとされておるのか、その点をひとつ数字を教えていただきたい。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今申し上げましたいわば財源の不足の補填方法は、一般的な問題として交付金増額なり、起債わくの拡大なり、あるいはその他の方法なりということを申し上げたのであります。起債につきましても、今の予算折衝に並行いたしまして目下検討中でありまして、これもただいまここで数字を申し上げるまでに至つていない次第であります。
  32. 門司亮

    門司委員 その点おかしいのです。数字を申し上げる点に至つていないということでありますが、それは大蔵省折衝されてコンクリートされたものが言えないということなんですか。あなた方の腹案があつて折衝されておると思う。あなた方の腹案をこの際腹蔵なく言つていただきたいと思うが、それが言えないというのですか。その点をはつきり言つていただきたい。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府といたしまして、地方財政の全体の計画、見積りというものを、補正予算の作成と同時に並行して行いまして、その上で御説明を申し上げることにいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  34. 門司亮

    門司委員 私はそういう説明を聞きたくない。きまつた予算をここに持つて来て説明されるのなら、何もきようわざわざあなた方に出て来てもらつて参考資料をわれわれが集める必要は毛頭ない。そういうことなら何も自治庁なんかいりはしない。大蔵省地方課行つて大蔵省でこしらえてもらつて、それをそのまま持つて来ればいい。今日少くとも自治庁地方公共団体一つのよりどころとしての政府機関である。そのよりどころである自治庁が、知事会意見はつきりいれておるのか、いれておらないのかわからない。あるいは市町村要求も今度要求したものの中に織り込んでおるのかどうかわからない。とにかくおれたちのきめたものをお前たちはあとで審議をすればいいのだということになれば、地方自治体というものは自治庁に頼れないと私は思う。少くとも自治庁は、やはり地方自治体のやりどころとしての官庁である以上は知事会要求しておるものがあるいは不当であるかもしれない。その他の自治体要求しておるものがあるいは不当であるかもしれない。しかし、その不当であるかどうかということが、やはり審議一つ段階になるのであつて、もし自治庁の方で何も言えぬというなら、われわれは知事会、あるいは市長会、あるいは町村会等要求いたしました数字を持ち合せないわけではありませんので、そのくらいのことを言うことは何でもないと思う。しかしそれらのものを自治庁としての見方から取捨選択されて、自治庁自治庁独自の立場として、大蔵省折衝されていると考える。その折衝された結果だけを自治庁説明されるのなら、大蔵省言い分がここに強く主張されるということであつて自治庁言い分が一体どれだけ通つているか。もしわれわれに説明なさらないというなら、われわれが審議をいたします過程における参考資料として、自治庁のお考えになつておる資料をひとつここに出してもらいたい。そんなわからぬことを言つているのは自治庁だけだと思います。昨日われわれの方ではおのおの研究会を開いて、各省に出て来てもらいまして、農林省にも出て来てもらつて査定がどうなるかわからぬが、農林省考えている二十七年度の補正予算には、これこれこういうことをやつてみてたいと考えている、費用はどれくらいいるかというと、これくらいの費用がいるということは明らかに言えるはずだ。またこういうことはどんどん新聞に書いてある。新聞には書かれるが、議員のこうした会議に対して、政府が発表されないというのは一体どういうわけであるか。そういうきわめて一方的の考え方では困ると思う。従つて自治庁大蔵省要求して、大蔵省折衝過程にある自治庁の案を、この際はつきりしたものを示してもらいたい。われわれとしてもまたそれを一つ参考として、自治庁言い分が正しいのであるか、大蔵省が無理を言つているのである——きようは大蔵省の諸君がここに来ておりませんから、大蔵省に対してはとやかく言いませんが、こういうことがやはりわれわれの審議をする一つの権利として、国民の一つの声として、あるいは地方自治体の声として反映することでなければ、私は正しい民主主義の政治は行えないと思う。私はこの機会委員長を通じて要求いたしますが、自治庁大蔵省折衝されておるその数字をひとつ明らかにしていただきたい。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま門司委員からのお考え資料につきましての御要求でございますが、補正予算編成につきましては、政府といたしまして、地方自治関係につきましては、われわれ自治と大蔵省当局と、先ほど来申し上げましたように鋭意折衝中でございます。これらの折衝中の数字につきましては、政府といたしまして責任を持つた数字としての発表はできないわけであります。政府といたしましては、補正予算編成いたしまして、それの基礎になつております数字を国会において御審議願う意味において申し上げるのでありまして、地方自治庁の数字が消えてしまつて大蔵省数字だけが出るのだということは毛頭ないのであります。大蔵省事務当局数字自治庁事務当局数字と事務的にもいろいろ折衝を重ね、さらに閣議において十分論議をせられた上において出ました結論に基いて、政府としての最終の数字が出るわけでありまして、それに基いて説明を申し上げるということを先ほど来申し上げている次第であります。この点につきましては、さような過程にありますものでございますので、遺憾ながらここで申し上げられないということを申した次第であります。
  36. 門司亮

    門司委員 きようは鈴木さんは政府委員としてという一応の立場はあるでしようけれども、私は自治庁次長としてお聞きしている。従つて自治庁がどういうことを考えているかということを率直に言えるはずだと思う。それの数字に責任を持てとは私どもは申し上げません。それは自治庁考え方であつて、国家全体の予算の上からにらみ合せて、これがさらに大蔵省の省議にかかり、あるいは閣議にかかり、そうしてコンクリートされてこれが政府案として出されるということについては、これは別の問題である。自治庁次長としての立場から、自治庁要求額というものはこういうことを考えている。こういうことがしたいのであるというくらいのことはわかるはずだと思う。このくらいのことがわからなければ、新聞に発表しているあの数字は何のために出て来ているか、こういうことでは私は将来の審議はできないと思う。われわれは自治庁要求しなくても、以前は地方財政委員会という、政府並びに国会に勧告することのできる独自の機関があつて、この機関を通じてわれわれはこういうことを大体知ることができたのでありますが、その機関がなくなつておりましよう。いやが応でもわれわれが知ろうとすれば、自治庁要求する以外にない。だから前の地方財政委員会のような機関がなくなつた今日の現状においては、少くとも自治庁は責任を持つて自治庁考え方だけくらいは御発表になつても、ちつともさしつかえないと私は思う。自治庁考えたものと大蔵省考えたものと両方つき合せて、そうしてコンクリートになつたものが政府原案として出て来る。従つて、自分は政府委員であるから、それが出て来なければ説明ができないということであつては、われわれの審議過程の上においては非常に不都合である。私は自治庁次長としてのお考えをこの際伺いたいと思う。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自治庁次長として話をせよということでございますが、私の資格は政府委員として参つている次第でありまして、ことに補正予算の問題に関しましてはまだ折衝中でございますので、ただいま申し上げることはできないのでございます。
  38. 門司亮

    門司委員 それならよろしゆうございます。そうものがわからなければ、私の方で聞きますからひとつ答えてください。公務員ベースアップについての二百五十億ないし二百六十億の補正予算というような数字があげられておりますが、これの算定の基礎をお示し願いたい。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 このこまかい点につきましては、先ほど来申し上げておりますようになお折衝中でございまして、それらの個々の数字の最終のつき合せが済みませんければ、ここで申し上げるだけの基礎がないわけであります。
  40. 門司亮

    門司委員 おかしいじやないですか。自治庁としての算定の基礎なんですよ。私は大蔵省とつき合せたものを要求しているんじやない。大蔵省がどうしてそういう数字を出したかということは大蔵省に聞きたい。だから、今日二百五十億ないし二百六十億というものが、地方公務員ベースアップのために必要だという算定の基礎自治庁数字をここに出してもらいたい。その次には、さつきつておりますように、二十五億ないし二十六億になるだろうと考えられる入場税あるいは遊興飲食税等の不足を補填するための経費、あるいは教育委員会の十一億でありますか、こういうものの算定の基礎を、ぜひあなたの方で出してもらいたい。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これらの点は先ほど来申し上げておりまするように、政府として最終の資料をおつくりいたしました上におきまして、詳しく御説明申し上げたいと思います。
  42. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきます。教育委員会の設置に伴う地方の歳出の増というものは、大体十一月の一日からこれが発足するとして、来年の四月までの間に、今の鈴木さんのお話では大体十一億くらいということでありますが、これは十一億くらいの金で一体足りるようにお考えになつているかどうか。この前議会でわれわれが算定いたしました数字、あるいは地方自治体から出て参つておりまする数字等をずつと調べて見ますと、少くとも三十億ないし四十億くらいの金がかかるはずであります。これは非常に今の御説明では少い。同時にその説明内容の中には——床次委員に対するお答えの中には、市においては大体助役その他というものが教育長に当るはずであるということになつております。一体そういうことが自治庁にはどこからわかつておるかということであります。まだこの間できたばかりの教育委員会であつて自治庁のお考えになつているような数字は私は出て来ないはずだと考える。自治庁として、これらの地方における教育委員会費用というものは、そういう助役が兼任するはずであるからその給料はいらないとか、あるいはこれはこうなるはずであるとかいうような、そういう仮定したものに基いて費用計算されて来るということになると、地方は非常に迷惑である。これらに対しても十一億という数字は一体どこから出て来ておるのか、これらのはつきりした、やはり同じような算定の基礎なつたものをここに出してもらいたい。
  43. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教育委員会経費につきましては、もちろんこれはまだ見込みでございますから、教育長町村においてどの程度置きますか、これは推測を出でないのでございますけれども、しかしさような推測を前提といたしまして、地方財政計画においては、先ほど申し上げましたように、一応町村の半数について教育長を置くであろうということを予想いたしまして、それに必要な財源考えるということに、関係機関の意見の一致を見たわけであります。さらに市の方につきましても同様に、事務職員についての意見の一致を見たわけでございまして、そういうものを前提といたして先ほど申し上げました十一億という数字を申し上げたわけでございます。しかしこれも補正予算において最終的には決定されることになるわけでありますが、この内容につきましても、いずれ補正予算の方と同時に資料を差上げるようにいたしたいと思つております。
  44. 青柳一郎

    青柳委員長 ちよつとお諮りしたいのですが、このままではなかなか議事が進行いたしませんから、ここで休憩しまして懇談したらどうかと思いますが……。
  45. 横路節雄

    横路委員 このまま継続して一通りやつていただいて、そのあとでひとつ懇談したいと思います。そういうことにしていただきたいと思います。
  46. 牧野良三

    ○牧野委員 議事進行について。ただいま床次委員並びに門司委員の質問を承つておりまして、本委員会審議の方針に関する中心に触れている重大な問題だと思いますが、政府当局にはその点に関する御理解が行つていないのではないかと思います。大体旧憲法時代における議会ですと、総理大臣の施政方針の演説があつて、それから本会議に議案が出てからこういう委員会が開かれているから、この程度の進行でけつこうだと思います。しかしながら新憲法のもとにおける国会は、本会議が中心でなくて委員会が中心であるから、委員会の構成ができればそれで国会の成立ができた。しこうしてこの委員会は前の国会の委員会とは別個のものだ。従つてここで委員会の議を進められるとするならば、自治庁の当局者は、この国会において自治庁の政策をどうして進めようとしているのか、その根本に関する説明がこの委員会でなされた後において、質問応答が進められなければならないと思います。補正予算と言われるが、前の国会において成立した予算補正予算であることは明らかであるけれども、この国会は別の国会でありまするから、初めて出て来た議員もおるのであります。そうして新しい吉田内閣であります。同じ自然人が総理大臣でありますけれども、これは前の第三次吉田内閣とは別個の内閣であり、かつ自治庁長官も別であります。従つて自治庁の施政の方針をここで述べて、それに基いて補正予算をかようにして要求いたしておるという説明があるにあらざる限り、床次委員並びに門司委員の満足は得られないと思うのであります。この点に関しては、委員長において、議事進行並びにこの内容審査に関する行き方について、根本的に考え直してくださらなければならないと思うのであります。今の質問応答の内容を承つていて感ずるところがあつて、このままではこの委員会審議は進まないと思いますから、どうぞ御考慮を願いたいと思います。
  47. 青柳一郎

    青柳委員長 いろいろ御意見を承りました。先ほど来申し上げておりますように、この際しばらく懇談をするために休憩してはいかがかと思いますが、どうでございましようか。
  48. 横路節雄

    横路委員 懇談をするということですが、ただいま議事進行について御発言がありましたように、懇談の結果、二十七年度のいわゆる地方財政についての財政計画を、自治庁が責任を持つてここで発表していただける、こういうことを委員長が骨折つてつていただくならばいいです。そういうことで懇談をするというならば私は賛成であります。
  49. 青柳一郎

    青柳委員長 私の気持は、すべてこれに関連する問題をひつくるめて、今後どういうふうに審議をして行こうかということについて懇談をいたしたいと思うのであります。いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは休憩いたします。     午後二時四十八分休憩      ————◇—————     午後三時五分開議
  51. 青柳一郎

    青柳委員長 休憩前に引続いて再開いたします。  ただいまの問題につきましては、明日午後二時から、自治庁長官並びに文部大臣の出席を求めまして、審議を続行いたしたいと思います。本日はここに文部省から見えておりまするから、文部省の田中初等中等局長に対する質問をいたしたい、こう存じます。横路君。
  52. 横路節雄

    横路委員 ただいまの委員長お話ですが、そうすると、あしたもう一ぺん、地方公務員給与ペース、その他については質問していいわけですか。——それでは、私文部省関係の、市町村教育委員会関係の問題について聞きたいと思います。初め、市町村教育委員会が設置される場合の文部省の予算要求は、私たち聞いているときには、三十九億の平衡交付金要求しているはずなんです。まずこの点がその通りであつたかどうか。そうすると三十九億の平衡交付金要求した場合における市町村教育委員会設置の場合の内容はどうなつておるのか。先ほど自治庁関係者からお話ございましたが、たとえば教育委員費用の負担の問題、それから教育長、指導主事の問題、それが三十九億の場合にはどういうように考えておるか。それから今度、ただいまお話によりますと、市町村教育委員会設置の方が平衡交付金が十一億と見ておるそうですが、十一億ときまつた場合におけるその内容はどうか。この点をひとつ詳細にお話をしていただきまして、そのお答えによつてもう一ぺん質問いたしたいと思います。
  53. 田中義男

    ○田中説明員 文部省といたしましては、市町村教育委員会を設置いたします場合の当初の予算計画におきましては、ただいまお話のように、三十九億なにがしでございました。その内容といたしましては、各それぞれ市町村等の教育委員会にも全部専任教育長を置き、なおまた指導主事等におきましても、市ないし町村にそれぞれ規模に応じて専任指導主事をあるいは数名ないし十名近くまで置きます計画を持つておりました。その他初度調弁費等につきましても、新しく事務所その他の設置等考えたり、相当経費要求いたしたのでございまして、それらが当初三十九億と相なつたわけでございます。しかしその後いろいろ折衝を重ねました結果、最終的には一応関係当局者との間にお話のように十一億、詳しくは十億八千万余でございますが、約十一億と話をきめたのでございます。その内容におきましては、さつき申しましたように、たとえば教育長におきましても、当初から年度内に各町村にことごとく専任者を設置すると申しましても、実際問題としてなかなか得がたいであろう、従いまして本年度といたしましては、とりあえずその専任については約半数くらいを見込んだわけでございまして、そのほかの半数は、あるいは兼任その他の方々で埋まることと考えられるのでございます。なお指導主事の点につきましても、各町村にまでそれぞれ指導主事を置かないで、大体教育内容の指導、あるいは人事その他の面につきましては、当初から各町村個々にこれを執行いたしますことには、相当の困難が予想されますので、それらの点につきましては、各町村教育委員会間の協議によりますとか、あるいは特に都道府県教育委員会調整あるいはあつせんによりますとか、他の方法もいろいろ考えられまするので、従つて特に教育内容の指導、指導主事というような面については、従来通り都道府県の指導に相当期待を持ちまして、各町村については、指導主事はこの際は見合せる、こういう方針でこれも削つたわけでございます。なお教育長の問題も市につきましては御承知のように特例によりまして来年の三月一ぱいは現在の教育関係の部課長が、それぞれ当然に横すべりしてこれに当る規定にもなつておりますので、市については教育長の選任は顧みられませんでございました。そういう関係から町村については指導主事を全然見ませんで、教育長を半数といたしました。しかし市につきましては指導主事の一名だけ、事務職員の一名だけはそれぞれ見ることになつていまして、大体この給与費を中心といたしまして年度内およそ十一億、こういうことでまことに不十分ではございましたけれども、話合いをいたして参つておるのでございます。
  54. 横路節雄

    横路委員 ただいまのお話によりますと、三十九億を見込んだ場合には市町村に全部教育長、それから規模に応じて各市町村に指導主事を四、五名ないし十名置く。事務所は必ず持つ。こういうかつこうで出発した教育委員会が、十一億になつたために、ただいまのお話ですと、市の教育長については部課長を来年の三月まで兼任させる。町村については助役が半分ぐらい兼任してもいいというようなことになります。それから指導主事については半分ということでなくて、何かお話によると、その指導の内容その他について、さらに人事の問題等については都道府県教育委員会にまかせるというのですかどうですか、その点はつきりしませんが、どうもお聞きいたしておりますと、市町村教育委員会の設置は、初め見込んだ三十九億の金が十一億になつた今日では、当初の教育委員会内容と、ただいまできた市町村教育委員会内容とはずいぶん違うということは認めざるを得ないわけです。それからもう一つは指導主事の育成といいますか、あるいはまた教育長の資格についても、ただいまあなたのお話ですと、市町村教育委員会を充足させる資格者がおらないというようにも聞えるわけですが、その点お答えをいただきたいと思います。
  55. 田中義男

    ○田中説明員 当初三十九億を考えました場合と十一億に相なりました場合、規模において違つて参りましたことはお話の通りでございます。指導主事の点について人事その他については県にまかせるという意味ではないのでございまして、特に指導主事のおもなる仕事は教育内容の指導面にございますので、教科内容、教育内容の指導という面については、個々の町村でまちまちにやりますよりも、むしろ府県の教育委員会が従来持つておりましたその陣容におして指導して行く、こういうことによりますことが適当と考えまして、町村の指導主事を削つたわけでございます。従いまして私ども都道府県教育委員会の需要額等については従来通りにいたしたい、かような期待を持つておるのでございます。  それから教育長あるいは指導主事の資格者でありますが、仮免許状等を持ち、教育長等になり得る資格者は、実際には数万ございます。しかし、現実に教育長としての適任者を得ることは相当困難でありまして、私どもといたしましては、ただいまのところ現実に得られるものは三千ないし四千名ではないかと考えております。そこで別途文部省として教育長等の講習を来年一月から三月にかけていたしまして、その不充分を補充いたしたい、かような考え計画を進めておるわけであります。
  56. 横路節雄

    横路委員 町村における教育委員会の担当している仕事である町村の教育内容の指導については、文部省当局としては、個々の町村にやらせるよりは、都道府県教育委員会にやらした方がいいということになつて来ますと、一体、市町村教育委員会は、何のために設けたかということになる。それからただいまのお話で、現在教育長の適格者は約三千人ぐらいしかないということでありましたが、全国の市町村に全部教育長を求めるということになれば、たしか一万四百ぐらい必要だと思います。そこであとの七千四百という教育長については、ただいまのお話では来年の一月から三月までの三箇月間の短期講習でやりたいということでありますが、そうすると文部省は市町村教育委員会を設置する場合に約七千四百名の市町村教育長に当る人が不足であるということをあらかじめ承知の上で、市町村教育委員会を設置したということになる。一体、文部省はそんな不用意で当初教育委員会をつくつたのかどうか。これらは重大な問題であると思いますので、もう一ぺんお聞きしておきたいと思います。
  57. 田中義男

    ○田中説明員 最初に教科内容の指導の問題でありますが、私は少し強く申し過ぎたかも存じませんが、指導主事を置いて指導するということは府県で、ということに期待を持つということを申し上げたのでありまして、町村教育委員会が全然管内の学校教育について指導しないというわけで申したのではございません。特に教育長等もできれば町村のことでございますから、特に専任ではなくとも、教育長その他の適任者がそれぞれの職責において、指導をされることは期待をいたしておるのでございまして、特に専任指導主事を置いて云々ということを町村考えなかつたと申し上げたのでありまして、さよう御了承いただきます。  それから第二の点でございますが、さつきも申し上げましたように、適格者は実は教育長については仮免許状を入れますと、約五万と計算をいたしておるのであります。しかしその中から現実にどの程度ほんとうに具体的に得られますかどうかについて考えてみますと、よほどかたく踏んで三千名あるいは四千名くらいではないかと考えておるのでございます。けれども、ともかく数万おることはおるのであります。従いまして、かりに数千の者が得られましても、なお不足を来すおそれがありますので、具体的に教育長としての講習をし、そうしてその者をただちにそれぞれの教育委員会に確実に当てられますよう、さしあたり来年の一月から三月までの間にまた数千名を把握しよう、こういう計画でございます。大体間に合うように私どもは実は考えているのでございます。
  58. 横路節雄

    横路委員 今のお話で、適格者が四万名ほどいる、その四万名ほどいる適格者のうちで三千人しか希望者がない。これはきつと希望者でしよう。三千人しか希望者がないということになりますと——希望者がないというか、あなたの方で四万名の適格者のうちで、三千人しか使う人間がないということになれば、四万名の適格者というのはおかしい。四万名の適格者であればそのうち三千名使つたならば三万七千人残つている。今あなたのお話で四万名の適格者のうちで三千名しかいないということは、言いかえたら三千人しか希望者がいないということだ。そこで三千人しか希望者がいないというのは一体どういう理由か。たとえばあなたに先ほど説明を求めたが、十一億の平衡交付金内容のうちで、一体教育長には、どういうような待遇をするのか。そういう点はひとつここで明らかにしてもらわなければならぬ。  それから七千名に余る人員を一月から三月まで短期講習をやるのだが、これは四万名の適格者のうちでやるのか。四万名の適格者からはずれた中で、別途にさらに新たに学校長その他に希望者を募つてやらせるのか。その点も明らかにしてもらいたいし、先ほどの答弁の中で漏れている点が一つありますが、それは教員の人事の問題です。これは一体市町村教育委員会都道府県教育委員会とはどうなるのか。たとえば甲の村の教員が乙の村に転任するという場合に、甲の村が絶対にやめさせない、しかし乙の村には行きたいという場合に、一々退職して行くのかどうか。そういう問題とからんで、市町村教育委員会の人事権の問題と、都道府県教育委員会の人事権との関連の問題について、市町村教育委員会都道府県教育委員会が、それぞれ自主的に話合いの上でやらせるというのか。それとも文部省がある一定の基準をつくつてやらせているのか。その点もひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  59. 田中義男

    ○田中説明員 これは教育長の現実に得られます見込みでございまして、まだ一々希望者をとりましたり、あるいは具体的に当つておりません私どもとしては、ただの実は見込みでありまして、具体的にはきつと希望者でなければなりませんので、さようなことになるかも存じません。ことに任地の希望なり、あるいはそれぞれの条件等におきまして、資格者ばかりに数万おりましても、なかなか具体的にきまります者は、まず一割以内だろうというような見当から、ただ見込みを申し上げたわけなんでございます。  それでなお待遇につきましては、私どももいろいろ案を持ちまして、できるだけ人を得るために優遇すべきであるという考え方折衝しておつたのでございますが、大体町村教育長としては助役並に待遇するのが穏当だろう、こういうことになりまして、一応助役並ということを基準にとつているわけでございます。  それから次に町村教育委員会の人事権の問題でございます。これは一応何と申しましても走れそれ町村教育委員会がともかく法律に基いてできたのでございますから、それぞれの規定に基きまして人事の問題も、一応町村委員会に移るわけでございます。そこでそれぞれそれらの人事運用について他との関係考えました場合には、これは自主的に協議し、あるいは連絡調整するのが至当でございまして、文部省で特別にそれを支配するような、あるいは指示するようなことは考えておりません。ただもともと人事の問題が御承知のように一番問題でございまして、その考慮の上からも、円滑を期しますためには、町村の人事だけに範囲を限りますと行き詰まつてしまうことは明らかなことでございまして、従いまして町村間におきましてそれぞれ協議会を設けますとか、あるいはさらにそれに県を加えますとかいたしまして、そうして事実上円滑に人事が行われますようにくふうされることを期待いたしているわけなのでございます。
  60. 横路節雄

    横路委員 いろいろお聞きいたしてみますと、初め考えておつた文部省の教育委員会と現実にできました市町村教育委員会とは、ずいぶんその構成内容について違つて来たわけですね。そこで今度平衡交付金が十一億になるようですが、来年も大体似たようなことになつて来れば、一体文部省が初め考え市町村教育委員会というものは、今できた教育委員会とはずいぶん本質的に違つているということは認められますね。この点をひとつお聞きしたい。初め文部省当局が考え市町村教育委員会内容と、それから実際に平衡交付金十一億のわくで押えられた現実の市町村教育委員会の仕事の内容というものは、初め考えた文部省の考え方よりは、ずいぶん本質的にずれているということは言えるでしようね、ということを私が聞いている。その点をひとつお聞きしたい。
  61. 田中義男

    ○田中説明員 教育委員会の本質あるいはねらいといつたようなものについてかわつて来たというふうには、私ども考えないのでございまして、どこまでも法の期待しております教育委員会の本質については、これを現在といえども否定しているわけじやございません。その点は守つて行くつもりでございますし、さように考えているわけでございますが、たが規模においてあるいは運用面においてともかく従来考えました以上にいろいろふうをこらす必要があるわけでございますので、そういつたような点について私どももいろいろ関係者とも検討を加えて、そうして運用上支障のないようにこれを援助して行きたい。かように考えて進んでいるわけなのでございます。
  62. 青柳一郎

    青柳委員長 他に御質問はありませんか。鈴木君。
  63. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 私よくわからぬから聞くわけなんです。この予算でありますが——予算というよりも市町村教育委員会を設置された後における学校の先生の人事と俸給の点なんですけれども、人事は、今まで県の教育委員会が発令しておりました人事を、ただちに町村教育委員会に移しまして、そうして町村教育委員会が任命をするということに切りかえるのですか。あるいは来年の四月あたりからそれを切りかえる予定なのですか。その点をひとつお聞きしたい。  それに関連しまして、俸給は今までは府県の教育委員会が出しておりましたのを、今度は町村教育委員会にそれを移しまして、町村教育委員会から俸給を支払う。従つてそれに要するところの平衡交付金もまた県にやらずに町村に直接やる。こういうことになるのですが、その切りかえをいつやるようになるのか、その点をお聞きしてみたい。
  64. 田中義男

    ○田中説明員 人事権の問題は一応教育委員会法の規定によりますと、市町村委員会の権限になりまして、従いまして発令等は町村教育委員会でなすごとになります。
  65. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ただちにもうなつているのかどうか。
  66. 田中義男

    ○田中説明員 これは十一月一日から設置いたしまして、そういうふうになつているはずでございます。それから給与の問題でございますが、これは御承知のように依然として府県負担になつておりますので、府県で負担をいたしますと同時に、実は実際問題としての支払い業務でございますが、これには多少疑問がございますけれども、一応関係方面とも相談いたしました結果、ともかく従来通りやはり負担するという義務の中にさらに支払いをもやつて行く、こういうことに話合いをいたしまして、大体給与についてはやつて行くように措置しておるわけでございます。
  67. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 そうしますと、人事は町村が任命してこれをなす、そういう人事に対して俸給の支払いを県の教育委員会がやるという義務づけの法律がありましようか。そういうことでこれからずつとやつて行けるものであるかどうか、その点をお伺いいたします。
  68. 田中義男

    ○田中説明員 実は市町村立学校の教員、職員につきましては御承知のように国庫負担法がございまして、その負担法の規定によりまして都道府県が負担する、こういうことになつておりますので、一応現行法におきましては、その法律のままに都道府県で負担いたします。ただその負担という解釈は、さらに現実の支払い事務をも含めまして負担をし、従来通りやつて行く、こういう現状でございます。
  69. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 次に、教員組合の組織単位でありますが、今までは県一円の教員組合になつておりましたが、今度は町村単位の教員組合になつて、県はそれの連合会になる、こういうように教育委員会法はなつておるように思うのです。この切りかえはいつされるようになるでしようか。また給与を県が一本にした場合に、県との折衝部面については連合会がこれをやつて行くことになるわけですか。日教組あたりにおきましては、給与を県が持つ限りにおきましては、連合会よりも県単位の組合の方が妥当ではないかというような主張なんかもあるようです。私はそれに対して、給与町村に移されるから、町村の教員組合が至当であるというふうに考えておつたのですが、その点も一応お聞きしておきたいと思います。
  70. 田中義男

    ○田中説明員 教員の職員団体の単位の問題でございますが、これは御承知のように地方公務員法によりまして一応各市町村公共団体と折衝の相手方といたしまして、その公共団体内において単位団体を結成することができ、あるいは場合によればその地方公共団体のみにおいて、また連合体をつくつてよろしい、こういう規定になつておるのでございます。それ以上の団体は、地方公務員法におきましては、事実上の団体として規定が御承知のようにございますが、ただ教育公務員特例法によりまして、一応府県が給与の負担をしておることでもございますし、当分の間その府県と給与、勤務条件等について折衝をいたしますために、連合体をつくつてもよろしいという規定になつておるのでございまして、そういうふうな意味におきまして、個々に市町村にできました単位団体かあるいは連合体が、特に府県との折衝のための連合体をつくることができる、こう規定がございますので、十一月一日以降はその規定によるべきことになつ出ておる次第でございます。
  71. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 十一月一日以降は、もちろん県単位の法律はなくなつておりまするが、町村単位の職員組合をつくつて、県は連合会で行くというように条例をつくるということに対しての指令は、文部省から出ているでしようか。
  72. 田中義男

    ○田中説明員 特別に条例設置についての指示あるいは通牒等いたしたことは、最近はございませんのでございますけれども、これはみな非常に関心を持つているところでございまして、教員関係の方々もこのことについては、十一月一日を目標に組織を進めて参つておりますので承知されていることと存じておるのであります。
  73. 川村継義

    ○川村(継)委員 さつき横路君の質問に対して当局の説明で、当初教育委員会の問題について三十九億を要求しておつたときの内容等はわかつたのであります。次いで今度の十一億の内容についても説明してもらつたので、大体了解したわけなんですが、その中で感ぜられることは、当初文部省が考えておつたところの教育委員会内容が本質的に大きくかわつているということなんです。その中で一、二重ねてお聞きしたいのです。さつき説明によつて教育長、指導主事は大体全部の町村には置かれないであろう、教育長は半数くらいしか設置しない、あるいは指導主事もそういう形になるだろうというような説明があつたのですが、教育委員会法は、この長や指導主事は置かなくてもよいというふうに解釈してよいのですか、あるいは置かねばならないというふうに解釈すべきものなんですか、その点まずお聞きしたい。
  74. 田中義男

    ○田中説明員 本年度は設置早々でもございますし、専任者をすべてにあまねく置くということは困難であろうという意味で、実は本年度の問題として半数に話がまとまつたのでございまして、私どもとしては来年度はむろんさらにこれは拡充しなければならぬと思つているのでございます。教育長は、これは教育委員会の機関として、手足として実は最も重要な職務でございまして、教育長を欠くことはできないと思つております。法律にもちやんと規定のある職責でございます。ただ必ずしもこれを専任にしなければならぬということも実は言いかねるのでございまして、兼任等も、事情の許す場合にはやむを得ない、かように考えておるのでございます。繰返して申します。と、半数はただ本年度の実際を考えての一応の計画なのでございます。
  75. 川村継義

    ○川村(継)委員 教育長の問題で、兼任にするか専任にするかということは、大きく予算的に問題があると思うのですが、兼任にした場合にはどういう形で考えられているか。それから教育長がないと、これも御承知だと思うのですが、教職員の人事問題がさしあたり起きて来るわけです。そういう場合に任免権を持つている委員会と、選考権のある教育長と、この辺の関係をどのように考えておられるかお尋ねしたいのです。
  76. 田中義男

    ○田中説明員 兼任は実は私の方としては、教育長の性質上あまり好ましくないわけでございますけれども、やむを得ない場合にはそれもいたし方ございません。ただ実際問題として、そういう場合には、現実に町村教育委員会もあるのでございますが、あるいは学校長がいなかにおいてはこれに当つておるという例もありまして、そういう意味での兼任もまた事情によつてやむを得ないかと考えておるのでございます。人事の問題等につきましては、特に本年度の問題として、初めての設置機関でございまして、三月までの間には、これにすべて適任者を得るということも専任の意味においては困難であろう、かように考えるのでございます。この人事については、特に各教育委員の間あるいは県の教育委員等の間において、給与関係もございますし、十分連絡調整の方途を講じ、円満にやつてもらうように、それぞれ私どもも援助をいたしておるわけなのでございます。
  77. 西村力弥

    ○西村(力)委員 教育委員会町村に設置することは、いろいろな問題をはらんで生れてしまつたわけですが、これが生れて来るについて、教育の混乱とか、その低下を防ぐという責任のある文部省の処置としては三十九億必要だ、こういうふうにお考えになつて予算を組まれたのだろうと思います。それが十一億に減額されておる、こういうことになつて来まして、そこではつきりしていただきたいのは、先ほどあなたの仰せられるには、どうなろうと本質的な立場においてはかわらない、こういうことを申されたのですが、そういう言い方は文部省の当局者としてはあまり好ましい言い方ではないと思う。そんなことを言いましたら、学校なんかぼろくそでも、あるいは教具なんかどうあろうとも、教育効果において、熱意とかさまざまなことがあれば問題は解決する、こういう意見とまつたく同じではないか、かように考えられるのです。それで責任をもつて三十九億必要であると主張された文部省が、十一億に減らされて、なおかつこの教育委員会を置いておる本質的な意義と、それによつて生ずる教育の効果といいますか、そういうものを維持されるかどうかということに対する文部省の責任ある態度、そういうところを明確にしていただきたいと思うのでございます。先ほどの御答弁では、やむを得ずそうなつたからいろいろりくつをつけられて、のがれておられるような印象を受けてしようがないのであります。その点ひとつお願いいたします。
  78. 田中義男

    ○田中説明員 いろいろ御承知のことでございますから申し上げるのもどうかと思いますけれども、ともかく公選の教育委員がそれぞれできまして、そうして権限を持つて所管の教育事務を今後処理されて行くということでございますので、教育委員会のねらつておるその根本の問題については、これによつて進められるものと、私ども実は期待をいたしておるのでございます。ただお話のように当初の計画から申しますと、まことに申訳ない貧弱なものに予算の額ではなつておるのでございますが、しかしそれにいたしましても運用の面において十分私どもその手段を尽しまして、できるだけ教育の民主化、刷新のために努力しようと考えまして、そういう立場からその指導に遺憾ないようにただいま進めつつある次第なのであります。
  79. 門司亮

    門司委員 一つだけ聞いておきたい。厳密に言えば十億八千四百万円だが、この中に調弁費はどのくらい入つておりますか。
  80. 田中義男

    ○田中説明員 大体一教育委員会当り平均三万円と見ておるわけであります。
  81. 門司亮

    門司委員 三万円ではどうにもならぬ数字でありますが、ただ私が心配するのは、その数字は別にいたしまして、最初の予定としてはそういうものを除いて大体一箇月に八億くらい、一年を通じて九十何億、約百億の金がいるという予定だつたと思いますが、それが五箇月分がその調弁費を含んで十一億になつている。そこで、これはちよつと行き過ぎた話ですが、来年度の予算もこういう数字で組むおつもりでございますか。
  82. 田中義男

    ○田中説明員 来年度につきましては、先ほど申しましたように、あるいは指導主事の点において、なおまた教育長の数の点におきましても、相当これの増員を考えなければならぬと思いますし、なお単価等の問題については、いろいろ私どもの希望はあるのでございまして、それらの点についてできるだけ努力いたしまして、この教育委員会のさしさわりの少くなるようにいたしたいと思つております。
  83. 門司亮

    門司委員 結論として私は聞いておきたいと思いますが、この補正予算にとられております予算、さらに来年度の心構えを今お話のようでありますが、結論としてわれわれが解釈していいのは、文部省としては、大体三十九億くらい補正予算として必要だ、年間を通じて百億くらいの金が必要だ。私が申し上げているのは、今年の補正予算で大体調弁費は支弁して、残りのほんとうの費用だけが大体一年に百億内外のものがいるということに私はなると思うのだが、これが今お話のようなことで非常に縮められて行く。これは文部省の意見としてははなはだ遺憾であるということに大体結論づけていいかどうか。
  84. 田中義男

    ○田中説明員 私どもとしてはもう少く多くを希望いたして参つたのでございますけれども、いろいろ財政の都合でできるだけ金をかけないでやりたいというようなことも、他面では私ども考えなければならぬ立場でございますので、不十分でございますれども、年度内はこの程度で折り合つたわけであります。
  85. 門司亮

    門司委員 その先をもう一つ聞きたい。文部省としてはきわめて遺憾であると考えられるのでありますが、しかしながら教育の問題はおろそかにするわけには参りませんので、地方の公共団体がこのことのために、大体どのくらいのよけいな負担をしなければならないであろうかというようなことの推測がつきますか。
  86. 田中義男

    ○田中説明員 その点について私どもは十分調べたわけではございませんが、私ども当初考えましたのは、大体新しく設置する場合に組んでみたいという考え方で、当初の予算を組んだわけでございますから、従つて現状においては相当市町村にも負担の余儀なき御迷惑をかけることになるだろうということを、私ども案じておるわけであります。
  87. 中井一夫

    ○中井委員 ちよつとこの機会に、時間おそうありますから、簡単にお尋ねしたいと思います。問題は、義務教育費の国庫負担問題について、従来の経過をきわめて簡明に御説明いただきたい。
  88. 田中義男

    ○田中説明員 義務教育費の国庫負担の問題につきましては、当初文部省自体におきましても一つの案を持ちまして、そうして関係官庁ともいろいろ折衝を重ねておりましたが、なかなか重大な問題でございますので、結論を得るに至りません。結局先に国会におきまして、当時自由党におかれまして、われわれ役所方面の意向をしんしやくされまして、一応一つの案をお立てになりました。それをさらにいろいろ検討を加えました結果、先々国会の終りにおきまして、ただいまできておりますような現行国庫負担法が成立をいたしたのであります。その内容の概要は、義務教育の関係学校の教職員の給与につきましては、その実支出額の半額を国で負担をする、こういうことが第一でございます。さらに加えまするに、教材費につきましても、これを国において政令の定むるところによつて一部負担することができる、こういうふうになつておりまして、この給与の国庫半額負担と、そうして一部教材費の国庫負担、こういうことが国庫負担法の骨子に相なつております。その金額から申しますと、大よそ給与費が九百億くらいに相なりますので、その半額を国で負担するとなりますと、約四百五十億に相なるわけでございます。なお教材費につきましては、年間大よそ市町村その他で支出いたしておりますものを約百億と私ども見ておるのでございまして、従来義務教育費について、国が負担するその比率が、長い間二分の一という一応の基準ができておりますので、その二分の一を認められますならば、約五十億近くと相なります。あるいはもし他の場合と同様に、それが三分の一ということになれば、もつと減ることになります。なおまた教材費が幾らかかつておるかということについても、私ども計算は、一応そんな計算をいたしておりますけれども、これもいろいろ論議のあるところだと考えております。ただいまさような大よその範囲において、来年度1の予算を一応私どもとして組んで折衝いたしておる次第であります。
  89. 中井一夫

    ○中井委員 この問題につきましては、全額負担という要望のあることは申し上げるまでもありません。結局ただいま文部省が省議をもつて大蔵当局との間に折衝されておる範囲は、どの程度を目途としてやつておられるのですか。
  90. 田中義男

    ○田中説明員 ただいま御説明申し上げましたように、現行法律に基いて半額国庫負担、こういうことで進めておるわけでございます。
  91. 中井一夫

    ○中井委員 そうすると、ただいまのところ、それ以上にこれは負担すべきものだというような考えを持つて大蔵当局要求はしておられないのですね。つまり全額負担の要求に対して、文部省はどの程度に御同感であろうか、共鳴をしてその要求にどれだけの協力をしておられるか、こういうことなのです。
  92. 田中義男

    ○田中説明員 文部省といたしましては、実はこの半額国庫負担法の審議の際にも、いろいろ述べて参つ薫るところでございますが、現在の段階におきましては、地方の義務教育についてはそれぞれみずからの教育として関心を持つておるわけでございます。従つてその意味におきましても、これをある程度といいますか、あるいは半額の程度において地方が持つことが適当じやないか。しかし同時に、国も義務教育については最終責任を負う意味においてこれを半額持つ、こういうことが適当であろうということで、今まで進んで参りました。しかし全額国庫負担についていろいろ要望のあることも存じておりますし、なおそれらの点については文部省としても検討を加えたいと思つておるのでございます。
  93. 横路節雄

    横路委員 関連して。今の義務教育の半額国庫負担なんですが、その負担について二様に解釈されるわけです。一つは国がこれだけ持つたからあとの半分は都道府県が持てというのと、都道府県の力のあるところで半分持つたから、自動的に国で半分持つのだというのと、二通り解釈が行われているのですが、文部としては半額国庫負担法はどちらの建前をとつておりますか。これは都道府県によつては、都道府県知事は国できめてやるんだから、非常に楽だという見方をする人もあるし、都道府県財政の許す限りやるんだから、国はそれに自動的について来るんだというように考えておる人と、二つありますので、その点文部省はどちらをとつておるのか、伺いたい。
  94. 田中義男

    ○田中説明員 これはいろいろ予算折衝上むずかしい問題になつておる点なんでございますが、お話のように、たとえば東京、大阪等よほど富裕なところでは、従来は他の府県の基準以上にうんと出ておるのでございますし、また府県によりますと、一般よりもよほど低いところもあるわけなんでございます。そこでそれらのアンバランスを調整するということが、国の立場においては必要なわけでございまして、それらの場合において、もし国の負担を平等に半額とすることが不適当であるというようなことがあつたときは、政令において最高限を定めることができる、こういう一項が実は法律に設けられております。従つておそらく財務当局といたしましては、よほど富裕なところについては、半額もしたくないという意見も出るかもしれません。と同時にまた貧弱な県については、これはもうできるだけ国として多く負担をしてあげたいわけでございますけれども、それらの点については、これは御承知のように、実支出額の二分の一ということになつておりますので、それを活用いたしまして、そしてできるだけ実際にやりましたものを割ることのないようにいたしたい、かように考えておるのであります。
  95. 横路節雄

    横路委員 そうすると原則としては、都道府県で半額持つたものに対して、国が自動的に半額を持つ、あまり飛び出したものについては政令で押える。だから原則は都道府県で半額持つたものに対して国が自動的に半額持つ、こういうわけですね。
  96. 田中義男

    ○田中説明員 それが規定の建前になつております。
  97. 青柳一郎

    青柳委員長 本日の文部当局に対する質問は、この程度で打切りたいと存じます。  この際今後の委員会の開会について申し上げますが、定例日を大体きめておいた方がよいと思いますので、原則としては毎週火曜日、木曜日とし、緊急必要ある場合は随時開会いたしたいと思いますので、この点御了承を願います。  本日はこの程度で散会いたしまして、次会は明日午後二時から開会いたします。     午後四時二分散会