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1953-03-12 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十二日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 奧村又十郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君    理事 佐藤觀次郎君       上塚  司君    大泉 寛三君       大村 清一君    小山 長規君       島村 一郎君    西村 直己君       宮幡  靖君    小川 半次君       笹山茂太郎君    中崎  敏君       吉田  正君    小川 豊明君       久保田鶴松君    坊  秀男君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    泉 美之松君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    塩崎  潤君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         大蔵事務官         (理財局総務課         長)      吉田 信邦君         国税庁長官   平田敬一郎君         大蔵事務官         (国税庁次長) 原  純夫君  委員外出席者         参議院議員   河井 彌八君         参議院議員   三浦 辰雄君         検     事         (民事局第三課         長)      川島 一郎君         大 蔵 技 官         (主税局税関部         鑑査課長)   木谷 忠義君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 三月十一日  税制改正に関する陳情書(第一九五一号)  金利引下げに関する陳情書(第一九五二号)  プロマイドの物品税撤廃陳情書(第一九五三号)  富士山頂地払下げ反対に関する陳情書(第一九五四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第四〇号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第四一号)  富裕税法を廃止する法律案内閣提出第四二号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第四三号)  登録税法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出第四八号)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出第九〇号)  納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣提出第九四号)  関税定率法等の一部を改正する等の法律案内閣提出第一〇一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇二号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇三号)  有価証券取引税法案内閣提出第一〇四号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇五号)  特別減税国債法案内閣提出第一〇〇号)  資産再評価法の一部を改正する法律案内閣提出第一二六号)  保険業法の一部を改正する法律案内閣提出第一一九号)(参議院送付)  印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案内閣提出第一五五号)  社寺等無償で貸し付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一二一号)(予)  金管理法案内閣提出第一五九号)(予)  小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案内閣提出第一六〇号)(予)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出第一六五号)(予)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣提出第一六八号)(予)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出第一二八号)  国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案参議院提出参法第八号)     ―――――――――――――
  2. 淺香忠雄

    淺香委員長代理 これより会議を開きます。  議案の審査に入ります前に、ちよつとお諮りいたします。昨十一日の委員会におきまして審査を終了いたしました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、都合によりこれを再議に付したいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 淺香忠雄

    淺香委員長代理 御異議ないようでありますから、右案はこれを再議に付することに決しました。     —————————————
  4. 淺香忠雄

    淺香委員長代理 次に、印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案及び予備審査のため付託されました社寺等無償で貸し付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案金管理法案小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案の六法案一括議題といたしまして、政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。愛知大蔵政務次官。     —————————————
  5. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました社寺等無償で貸し付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  政府は、昭和二十二年以来、神社寺院等無償で貸し付けてあつた国有財産を、当該神社寺院等に対し、無償譲渡または半額売払いの処分行つて参つたのでありました。社寺境内地処分審査会は、この処分にあたりまして、大蔵大臣諮問機関として、大きな役目を果して参つたのでありますが、現在の段階におきましては、その設置の目的を達成したと認められるに至りましたので、この際社寺境内地処分審査会等に関する規定を削除しようとするものであります。  第二の印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  造幣局、印刷局国有林野事業アルコール専売事業及び郵政事業の各特別会計に属する公共企業体等労働関係法の適用を受ける職員に支給される給与は、その総額が予算で定められておるのでありますが、この給与総額につきまして弾力性を与え、能率の向上により、収入が予定より増加した場合、または経費を節減いたした場合におきましては、その増加額または節減額の一部を特別の給与として支給することができることとしようとするものであります。  第三に金管理法案につきまして、提案理由説明いたします。  従来政府は、金につきましては全面的に価格及び配給の統制を行い、新産金等はすべて強制的に買い上げるとともに、国内の産業、工芸、歯科用等に必要な加工用金は、政府保有金のうちから割当売却することとし、また、政府の買入れ価格払下げ価格及び業者販売価格は、すべて政府が公定していたのであります。  しかしながら最近金の生産量が漸次上昇し、加工用金に対する実需増加する傾向にあることにかんがみ、対外決済準備金に必要な金以外の金につきましては、従来のような厳格な統制を続ける必要はなく、自由な価格で自由に取引できるようにし、もつて金鉱業の育成に資するとともに、金実需増加に応ずることが適当であると考えられるのであります。  この法律案におきましては、以上の趣旨によりまして、政府強制買上げをする金は、新産金のうち政令で定める割合のもののみとし、これに伴い割当制度加工用金売りさばき業者等監督制度を廃止し、金の取引を自由といたしたのであります。ただ自由取引実施に伴い、国内及び国際の事情を考慮いたしまして、金の取引実態把握に必要な報告を徴することができることといたしたいのであります。     〔淺香委員長代理退席委員長着席〕  第四は、小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案であります。最近における取引実情にかんがみますに、一円未満補助貨幣小額紙幣及び日本銀行券は、取引上ほとんど利用されていない状態でありますので、これらの小額通貨整理するとともに、今後一円未満通貨発行を停止することとし、さらにこれに伴いまして、現金支払いの場合における端数金額計算の基準を定めて取引円滑化をはかる必要があると考えられるのであります。  右の理由によりまして、この法律案を提出いたしたのでありますが、その内容について申し述べますならば、その一つは、一円以下の臨時補助貨幣一円未満貨幣小額紙幣及び日本銀行券は、昭和三十八年七月三十一日限り通用を禁止いたしまして、翌日以後昭和二十九年一月三十日までの間に、日本銀行及び郵政官署において他の通貨と引きかえることといたしたのであります。引きかえに当りまして、小額通貨合計額一円未満端数がありますときは、五十銭未満は切捨て、五十銭以上一円未満は、一円と引きかえることといたしました。この措置に伴いまして、債務の弁済を現金支払いにより行う場合に、円位未満端数額支払い上紛争を生ずるおそれがありますので、当事者間の特約がない限り、五十銭未満端数は切捨て、五十銭以上一円未満端数額一円として計算することといたしたのであります。また国または公社等が収納しまたは支払う場合におきましても、国庫出納金等端数計算法に同様の趣旨改正を加え、その他補助貨幣損傷等取締法臨時特例等関係法令の改廃を行うことといたしたのであります。  第五は、証券取引法の一部を改正する法律案であります。その提案理由説明申し上げます。  現行証券取引法は、施行以来、既に五年近くを経過いたし、その闇経済の進展に応じ数回にわたつて改正が行われて来たのでありますが、独立後のわが国経済、特に最近の証券市場実情にかんがみまして、有価証券募集または売出しに関する届出制度を簡素化するとともに、証券業者に対する監督規定を整備し、あわせて証券取引所機能公共性に顧み、その設立免許を要するものとする等の必要があると考えられますので、この法律案を提出した次第であります。  その内容について申し上げますと、一つは、投資者保護に支障のない限りにおきまして有価証券発行者負担を軽減するため、有価証券募集または売出しに関する届出制度を簡素化したことでございます。すなわち担保付社債券等は、当分の間募集または売出し届出を要しないものといたしますほか、大蔵省令届出を免除することができる有価証券が現在その額面または発行価額総額において千万円までのものに限られておりましたのを、その額を引上げ、五千万円といたしたのであります。  その二は、弱体業者の濫立を防ぎ、もつて投資者保護に資しまするため、証券業者登録拒否原因となるべき事項として、新たに登録申請者が株式会社でない場合及び登録申請者の純財産額政令で定める資本の額の九割に満たない場合を追加いたし、また証券業者に対する監督を強化し、資力薄弱な証券業者顧客から過当な数量の有価証券を借入れ、または預託を受けておりまする場合には、これらの有価証券顧客に返還することを命ずる等の措置をとり得ることとしたのであります。なお、現行証券業者信用の供与に関する規定につきましても、これをわが国実情に即せしめ、弾力性のある運用をはかる余地を開いたのであります。  第三に、証券取引所機能公共性に顧みまして、証券取引所設立登録制度から免許制度に改め、また証券取引所定款等を変更いたしまするときば、大蔵大臣認可を受けなければならないこととし、取引所監督規定を整備いたしております。  次は証券投資信託法の一部を改正する法律案であります。この提案理由説明申し上げます。  証券投資信託につきまして、一昨年実施以来相当の好成績を収めて来ておるのでありますが、その間の実施状況にかんがみまして、今後は一段と公益及び投資保護のため積極的な措置を講ずることが必要であると存ぜられますので、証券投資信託委託会社監督を強化する等のため、この法律案を提出した次第でございます。  その内容は、まず委託会社免許制を採用したことであります。従来の登録制度におきましては、実質的に委託者として適格かどうかを審査し得ないうらみがありますので、免許制度を採用し、真に委託者として適格と考えらおる者に限つて免許をすることとしたのであります。なお現在登録済み委託会社につきましては、いずれも委託会社として適格と考えられますので、自動的に免許を受けたものとみなすことにしております。  次に、委託会社免許制度を採用しましたことに伴い、委託会社監督を整備強化し、委託会社の取締役が他の会社の常務に従事し、または事業を営もうとする場合には、大蔵大臣の承認を受けなければならないものとするほか、委託会社業務廃止等は、大蔵大臣認可を受けなければならないことといたしたのであります。さらに、委託会社信託財産に重大な損失を生じせしめた場合等におきましては、大蔵大臣は、新たな信託契約の締結または元本の追加信託をしてはならない旨を命じ、または免許の取消しをすることができることとしております。  なお、委託会社または受託会社免許を取消されました場合に、既存の信託契約をただちに解約することが受益者に不利となるときは、当該信託契約に関する業務を他の委託会社等に引継ぐことを命じ、または当該委託会社が暫定的に当該信託契約を存続することを承認することができることとしたのであります。  以上が六つの法律案提案理由並びに内容の概略であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。     —————————————
  6. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 次に、国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案議題として、まず提出者より提案趣旨説明を聴取いたします。提出者参議院議員河井彌八君。     —————————————
  7. 河井彌八

    河井参議院議員 国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案に至りました経過を簡単に申し上げます。  本案は両院議員から組織されております林業議員懇話会で十分に検討いたしまして、成案を得たものであります。そうしてそれは参議院におきまして各派一致共同提案と申してよろしいと思いますが、さような提案になつておるのでありまして、過日参議院を通過いたしまして衆議院に送付せられた案でございます。  この提案理由を申し上げますと、国有林野のいわゆる立木の売払いにおきましては、それが大量である場合、または搬出設備のない奥地林のものである場合には、立木買受人搬出設備を設け、伐採し、搬出し、売り払いまして、その代金回収いたしますまでには、相当長期間を必要とする実情にあるのでございます。そのために以前には北海道の国有林においては二年以内、その他の国有林においては一年以内の延納特約ができることになつておりました。ところが現行の国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律施行後は、他の一般の物品と同列に最長半年の延納特約を認められるにすぎないことになつたものでありまして、前述いたしましたような実情から申しましてその不便が強く感ぜられるのであります。今般これを改正いたしまして、実情に即した取扱いができるようにいたしますために、この法律の一部を改正しまして、国有林野のいわゆる立木売払い代金については、延納期間の長期を一年に修正いたしたいと存ずるのであります。  なおこの施行期日を公布の日とする考えでございます。  これが本法案提案理由の大要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。     —————————————
  8. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 次に、本日の日程に掲げました二十三法案中、ただいま提案理由説明を聴取いたしました七法案を除いた残りの十六法案一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。大泉寛三君。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 物品税の問題についてちよつと伺つておきたい。これは政府所信を聞きたいのでありますが、物品税の問題については、ずいぶん国会内でいろいろの陳情が行われて、私どもはどうもこの判定に困つておるくらいであります。そこで一番の問題として陳情を受けておるのは、貴金属いわゆる貴石等小売課税、あるいは製造課税に対し、われわれは政府案に対して相当信頼を持つているのでありますけれども、やはり陳情を受けているとどうもこちらももつともだ、こちらももつともだという立場に立つて、それで政府所信を聞きたいのですが、製造課税というものは、本来はでき上つた製品価格にかけると思うのであります。そこで原料には課税しない、たとえば白金や金というようなものは今度自由に使えることになりますと、この原料課税はしないけれども、加工されてでき上つた製品に対して課税するというならば、やはり何といつてもこれは消費者に転嫁する負担であるとしてみると、購買者負担するのが適当であるならば、店頭課税が適当である。製造課税であるならばあくまでも製造に加わつた価格、いわゆる加工賃とかその他だけのものに限られるべきじやないか。いわゆる製造課税というものを消費者課税というような立場からいつたならば、おのずと課税の対象の量が違つて来はしないか、かように私ども思うのであります。そこで税をとる方の立場からは、やはり何といつて店頭課税が適当である、またこれは間違いなく捕税できる。こういうふうに見られる。政府においては、あらゆる角度からこれを最善なりとして出された案でありましようけれども、なおやはり所信を承つておく必要がある、かように思いますのでお伺いいたします。
  10. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 現在政府の方で提案しています貴金属製品、あるいは貴石、半貴石等を用いた製品につきまして、製造課税がいいか小売課税がいいか、この点につきましては政府といたしましても非常に慎重に考慮し、あらゆる角度から検討してみたつもりでございます。結局物品税のようなものは一つ消費税でございますから、これは一面のりくつでございますが、理論的にいえば、できるだけ消費段階に近いところで課税するのがいいのではないか、ただ課税便宜の上からいたしまして、消費に近い、たとえば小売業者の方で課税しますとあまりに数が多い、しかし製造業者であればそれが非常に少いといつたような場合におきましては、これは製造課税の方の便宜措置が推奨さるべきでございますが、やはり製造課税になりますと、どうしても製造業者の方が税金を納める。ところが代金回収につきましては、政府の方で予想しまして相当猶予期間を置いておりますが、商況の動きによりましては、それでもなおかつ回収できない場合がある。この場合には納税者の方に相当の御負担が行くわけでございます。逆に商況が非常によくなつて、むしろ政府の認めている猶予期間よりも前に代金回収ができてしまうということになりますと、今度は逆に税金製造業者の方の自由に使われる、そうした税の上からは予想できないいろいろな問題がそこに出て来るわけでございますので、その点からしまして、りくつからいいますとできるだけ消費者に近いところで課税する、しかし、そう申しましても、今までは少くとも全部について製造課税を行つておりましたゆえんのものは、結局製造業者の数が少い、従つて製造業者課税すればわずかな手数でもつて徴税ができる、そういう便利な点があるからこそ、製造課税が許されるのじやないかと思つております。     〔委員長退席淺香委員長代理着席〕  ところで今一番問題になつております金製品あるいは貴石、半貴石を用いたる製品というものにつきましては、製造課税を経験して参りましたが、結論そういう製品につきましては、製造者と申しますのはいわゆる飾り屋さんであります。結局飾り屋さんが製造者でありまして、問屋がその間に入りますが、問屋さんが飾り屋さんに委託して品物をつくらせますと、その場合には問屋さんが製造者とみなされまして、飾り屋さんは単に加工をしたというだけで、課税をされるのは問屋さんなんであります。ところがどうも問屋さんは、自分の方で納税の義務を負うのをおきらいになる性格があるようでございます。従つて飾り屋さんに原材料を売り渡すという仕切りをしまして、また現に飾り屋さんの中にもある程度力のある方は、自分原材料を買う場合もあります。また問屋さんの方でめんどうを見まして、飾り屋さんに一応信用で掛売りをする。そのかわり品物ができた場合におきましては、加工賃を加算した代金でもつて飾り屋さんから問屋さんが買う。こういう姿を大体とつております。飾り屋さんの数も、小売業者の数ほどには行かないと思つておりますが、実はかなり数も多いわけでありまして、東京におきましては、私の耳に入つておりますところでは、東京の国税局である程度指導しまして、中心地域中心にしました飾り屋さんの人たち組合ができております。その組合関係におきましても、終戦直後においては、三百五十ぐらいの数字つたらしいのですが、六百ぐらいの数字にふえておるという話も聞いております。この組合に入つておりますと、一応製造申請が出るというわけで、税務署に目をつけられる。ごく平たく言えば、そういう関係になると思います。そのためになかなか組合にも入らない方が相当いらつしやる。結局税率も、品物の性質から見ましてやはり高からざるを得ない。こういつた関係からしまして、飾り屋さんにその税金を転嫁するということが非常に困難な情勢にあるようでございます。それで問屋の方としましては、税金飾り屋さんが負担するといいますか、そういう姿でもつて安く品物問屋の方へ渡す飾り屋さんの方には注文が行きますが、まともに税金を納める、従つておのずから代金も上るという飾り屋さんには注文がなかなか行かない。こんな姿が相当あるようでございます。従いまして飾り屋さんは、やむを得ず税金をごまかすといつた方向へかなり追い詰められるという傾向も強いように見受けられるわけでございます。そういうふうに見て参りますると、結局飾り屋さんに課税するか、小売屋さんに課税するかという二者択一の問題に追い込まれるわけでございまして、小売屋さんにおきましても、確かに店舗の数も多うございますが、何と申しましても相当の店を持つていらつしやる。飾り屋さんは、どつちかといえば、それこそアパートの一室でも仕事ができる。こんな関係からしまして、結局公正な課税を行う上におきましては、小売課税の方が適正ではないか、結局飾り屋さんにしましても、小売屋さんにしましても、そこで課税するということになりますと、いろいろ税務署との関係ができますから、御迷惑であることは重々お察しいたしますが、どうも現状からしますと、やはり小売課税するのが一番適正な姿であり、自然な姿ではないだろうか。なお小売屋さんの方では、どうも戦争中あるいはそれ以前におきまして、税務署の取締りが相当やかましかつたものですから、課税について非常に手数がかかるということを御心配になつておるようでございますが、これらの点につきましては国税庁とよく打合せまして、必要以上やかましくしないようとくと心がけるつもりでやつております。全体として考えてみますと、とかく大きな問屋さんのようなところで課税できるのだから、何も小売屋さんで課税しなくてもいいのではないかというお言葉のようでありますが、小売屋さんから伺いますと、実際はなかなか課税ができませんで、結局は飾り屋さんの方でやる。そういうことで、製造課税で普通やつております場合とはかなり要素が違う。たとえば金側の時計でありますれば、これは飾り屋さんでなさる仕事ではございませんで、どうしても時計会社でやらなければならぬ。こういうものにつきましては確かに小売屋さんでもつて課税するよりは、時計会社の方で課税する方が、課税も簡単に行きますし、また的確につかめる。要するに時計会社でつかめるものは、小売業者の方に御迷惑をかける必要はない。ただどうしても飾り屋さんの方へ御迷惑をかけねばならぬものは、これは小売屋さんの課税の方がよかろう、いろいろと検討いたしましてかような結論を出した次第であります。
  11. 大泉寛三

    大泉委員 製造業者が大規模にやつてつて課税しやすいというときは非常にけつこうですが、今おつしやる通り飾り屋のような、いわゆる零細な、一つの細工場的なものでやつているところは、なかなか課税が困難ある。ましてや問屋の下請的な存在に対してはなおさら問題があつて困難である。それはよくわかりますが、私の聞かんとするところは製造課税の方は、なるほど大規模な時計のようなものはそれでよろしい。貴金属の材料をもつてするきわめて加工賃の多くかかるものはよろしいが、加工賃がきわめて少くて、売価が相当になる。たとえば加工賃は全体の価格から見ますと二割くらいで、あるいはまたその逆に加工賃が八割もかかつて原料代が二割しかかからないようなものを製造課税とするならば、原料課税しないという建前から言えば、ちよつと不合理な点があるのではないか。これを単一に店頭課税にすれば、何でもかでも売価にかけるというところに不合理がそのまま店先に現われて来るのではないかと思います。製造課税の場合はなるほど原料代を控除するわけではないでしようけれども、そこは課税に対する一つの標準もありましようけれども、ともかくあまり原料に重くかけないことになりまして、その点は金、白金、あるいは銀というようなものに対して——銀ならば安いから大したことはないが、今後は多分にこういう傾向が出て来るのではないか。今までとにかく通貨に対する一つの不安があつたけれども、金のかたまりを持つていてはあまり加工がきかない。それよりはつぶしても相当価値のあるもの、そうすると原料代が八割もかかつて加工賃がきわめて安いような飾り物、指輪とかその他腕輪とかいうものが入つて来るのではないか。それがただ売価にのみかけられるとすると、自然原料に多く課税される結果になる。それをそのまま店頭に持つて来られたのでは、その不合理がはなはだしくなる、こう思うのであります。時計のようなまつたく大規模な工場で生産されるものは、これはきわめて当局の考え方はけつこうですけれども、今の飾り屋さんに対する課税、あるいは店頭課税との比較論において、私は原料加工賃との開きがあまり差がある場合には、非常に不合理じやないかと思うが、その点お伺いしたい。
  12. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 金、白金のような貴金属には、地金課税するのがいいか悪いか、もし地金課税する気がないなら、むしろ地金分を除いてしまつて加工賃だけ課税したらよいじやないか、こういうような御質問のように承りますが……。
  13. 大泉寛三

    大泉委員 そうじやない。多分にそういうきらいがあるというのです。
  14. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 まあ地金そのものについて課税するという問題になりますと、確かに金のようなものは一つの貯蔵の対象になるわけでございますけれども、金を持つ限りにおきまして、一応それに課税していいじやないかというような御議論もないとも限りませんが、しかし物品税の性格といいますものは、結局奢侈品を中心にした課税でございます。そうすると、金そのものの地金というものを見ますと、これはたとえば歯医者さんが使う場合もございます。あるいは工業的に使う場合もございますが、結局最後に残りますものは、いわゆるインプレなどのことを考えまして、地金のままで貯蔵されるという場合も考えられます。その意味におきまして、たとえばほかの方の製品の材料である鉄でありますとか、材木でありますとかいうものと、ちよつと性格が違うようなことは一応わかりますが、といつて地金そのものに奢侈税があるというのもいかがかと思います。しかしそれが指輪になり、首飾りになる。それは指輪をお買いになり、首飾りをお買いになる方の中には、多分に金の製品で持つていればつぶしても値打がある、こういうふうな気持でお買いになる方もあろうと思いますが、しかしやはりでき上つた品物として見れば、指輪であり首飾りでありますから、指輪であり首飾りであるところの一つの商品としての値打がある。こういうことを考えて参りますと、地金に課税しなければ、とたんに加工賃だけに課税すればいいじやないかという御議論には、ちよつとわれわれとしては賛成いたしかねるといいますか、やはり指輪は指輪、時計時計といつた姿において、一つのぜいたく品と言つては語弊があるかもしれませんが、それだけの値打があるという意味におきまして、やはりその場合におきましては、そういう品物の全体の値段を対象にして課税すべきではなかろうか。これがほかの品物、たとえば応接間の大きなセツトのようなものでありましても、材木だけに値打があるとは言いかねるのでありまして、とにかく応接間のセツトのかつこうをとることによつて初めてそこに値打があるわけであります。従つてこの場合には、応接間のセツト全体に課税することが、そう大泉先生のお話から見ましても不自然でない。加工賃だけに課税したらいいじやないかという御議論もないとも限りませんが、といつて材木だけ考えましてもおかしなもので、応接間のぜいたくなセツトになつて初めてそこに全体の値打がある。金につきましては、金の特殊性からいいまして、多少材木と性質が違うことを私も認めないわけではありませんが、やはり金製品課税するとなれば、加工賃だけに課税するというよりも、でき上つた値段に課税する。買う人も、多分につぶしのことも考えましようが、やはり指輪は指輪、首飾りは首飾りとしてお買いになるのじやないだろうか。従いまして、総額をもつて課税標準として考えるということが、そう不自然な姿ではあるまい、かように考えております。
  15. 大泉寛三

    大泉委員 物品税の方は大体そのくらいにしておきますが、今のお話と逆に行つた場合、いわゆる書画のようなものは、ほんとうに買う人によつて非常に高価になり、あるいはまた安くなるというような、これは技術そのものに課税するようなものでありますから、私はどうもその点は調和をとる必要があるのじやないか、こう思うのです。  それから、これは前からお伺いしておきたいと思つてつたことですが、二、三年前に協議団というものを設置せられてから、協議団のさばきを国民が非常に了解せられて、そして徴税過程において非常に円満に進んでおつたようでありますが、この協議団の審議員といいますか、その構成についてちよつとお聞きしておきたいと思います。どうも同じ人が協議団員になつて、同じ決定をされるというようなことをちよちよい聞きまが、そういうことでは協議団の意義がないと思いますので、この際承つておきたいのです。
  16. 原純夫

    ○原政府委員 お答えいたします。お話の通り協議官というものは、最初に決定いたしました担当官と納税者、この双方の意見をよく聞きまして、そして公平な立場で判定をして、国税局長なりあるいは国税庁長官なりにその結果を報告するというものでありますので、その人事についても、十分公平な態度でやつているつもりであります。従いまして当初決定いたしました者が協議官といたしましてその事案について協議するということは、まず全然ないだろうと思つておりますが、万一ありました場合、それは非常に不用意なわけでありますが、それも税務署員なり国税局員なりから協議官にかわらなければなりませんので、非常に例外の場合しかあり得ないし、また同一事案について、そういうことはないようにやらせるつもりでおります。
  17. 大泉寛三

    大泉委員 ところが同じ調査官が協議団から委嘱をされて、また調査するというような事例を聞いております。全然かわつた税務署の官吏が協議団の委嘱を受けるならば、それはいいけれども、調査した者がまた委嘱を受けるというようなことでは、これは意味をなさないじやないかと私は考えますけれども、今次長からそういう御答弁があつたので、一応それを了承いたしますが、やはり協議団は、全然第三者的な立場においてこれを構成なさるということでなければ意味をなさないと思いますので、この点希望申し上げておきます。  それから税が決定されてから、その税の決定に対して不服がある。いわゆる自分の申告と違つた一つの決定を見た場合には、やはり税務署の決定通りに一応納税しておかなければ、手続上いけない。自分の申告した通りの決定ならいいのでありますけれども、とにかく税務署の方で、納税者立場を考えずに——考えずにと言つては語弊がありますが、意思をいれずに決定しておる、その税額を一応納めておかなければ、異議の申立て、あるいは最終決定にまで取運ぶことができない、これは相当不合理じやないか、やはり納税者の意思を尊重して、納税者の申告通りに税金納税さしておくというならば話はわかるけれども、不服を申立てているものを税務署なり国税局なりが決定通りに納めておかなければならぬ。とにかくその方法をかえ切るまでに至らないというのではどうも一方的ではないか、かように思うのですが、これに対する当局のお考えを伺つておきたいと思います。
  18. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 不服がある場合に税金の徴収を待つたらいいじやないか、これは確かに一つのお考えのように思います。各国の事例を見ましても、いろいろな考え方があるわけでございますが、ただ悪く逆に考えますと、税金を延ばすために特に不服を申立てるという場合もないとも限られませんものですから、それやこれやをにらみ合せまして、少くとも立法的にどういう建前をとつて行くべきかということについては、相当慎重に考えてみなければならないじやないかというふうに考えております。ただ国税庁におきまして、実際に事務を執行しております場合におきましては、そういう不服がある場合におきましての徴収につきましては、そう無理なことはしておりませんで、まずもつて不服の方を解決するという措置をとつておりまして、実行問題としては、それほど私は大きな摩擦がそこに出ているとは思いませんが、立法的にどう考えるかという問題につきましては、二つの考え方があるわけでございまして、日本の税法は、昔から不服がありましても一応納めておいてください、それからもし返すときは、最近ですと加算金までつけて返すということにしておるのでございますが、将来の問題としましては、われわれもよく考えて行きたいと思います。ただおそれますのは、逆にこの規定が悪用されまして、とにかく税金を待つてもらうために何でもいいから不服を申立てておけばいいというような慣習がもしつきでもしますと、徴税が非常にむずかしくなつて来るという点を実はおそれまして、なかなか昔の規定をかえ切れない実情にあるわけでありまして、それよりもできるだけ早くそうした争いがある場合にはその争いを解決する、これも訴訟まで行きますと相当長くかかりますものですから、その間ずつと税金を待つ方がいいかどうかといつたような問題があります。建前としては一応今のようになつておりますが、実施の上におきましては相当慎重を期しておりまして、争いをまず解決することによつて税金を納めてもらう、こういうことで国税庁税務署を指導してやつておりますので、建前の問題といたしましてはさらに慎重に考慮して行きたいと考えております。     〔淺香委員長代理退席、川野委員長代理着席〕
  19. 原純夫

    ○原政府委員 大泉委員の最初の御質問の点につきまして、われわれの態度が誤解されますといけませんので、もう一言申し上げさしていただきたいと思います。  審査の請求が出ました場合に、実際は今申しましたように税務署の調査官吏が調べるという問題でございますけれども、大体われわれの気持は、先ほど申しましたように両当事者の間に立つて公平な判断をつけさす、その場合に一番大事なことは、やはり両当事者の主張がはつきりしておらないと判断がしにくいのでございます。よくその場合に、納税者の方は三十万円と更正決定を受けたが、とにかくそんなにありません、帳面はつけておりません、実は二十万円しかない、こういうことで訴え出られる、当初調査いたしました税務官吏の側も、勉強が足りないために非常に不十分なことをやつている場合もございます。そういう場合には、やはり双方に伺いまして主張する結論はわかるけれども、その理由づけをしつかりやつてほしいということを申すわけであります。     〔川野委員長代理退席、委員長着席〕 従いまして納税者も仕切書なり何なりは出していただくし、その他記憶をたどつて話を伺う。それから調べました税務官吏の方も調べをしつかりまとめて持つて来る。そうして争点がはつきりいたしますと、これはほんとうにそういう公正なる判断ができるわけであります。いよいよどうにも両方の言うことでピントが合わないというときに、協議官は実地調査をしますが、むしろ協議官は両者の言うことをよく聞いて、そうしてその間に公正な判断をつけるというつもりにしておりますので、そういう見地で当初の調査担当官がまた調べるということはあるのであります。その場合に意地悪い調べということになりますれば、これは非常にいけないことでありますが、こういう点は十分慎んで参りたいと思つております。
  20. 大泉寛三

    大泉委員 そこでさつきの局長のお答えに対しては、しごくもつともだと思いますが、税金をすらすらと出せる力があればいいけれども、たいていどうも税金の文句を言うやつは、金額が多いから納められないというのが一つの附帯条件になる。それだからどうしても差押えもされる、あるいは借金できないために、それにどうもとにかく一応決定通りに出しておいてもらわないことには困るというのでは、みすみす最悪の場合はつぶれなければならないということになつてしまう。一定の、自分の申告通りだつたならば、これは自分が申告したのだからこれだけはどうにもやむを得ない、無理しても納めましようが、そういうふうに調べの悪い場合には非常に問題が起る。その問題がもうどうにもならないために、結局は、以前には加算税、重加算税とかいろいろな付随する税の金額が多くなつて、どうしてもつぶれざるを得ないはめになつている。そこでどうも私はこれではやはり納税者の人格を信頼して——局長の言われておるような例外な人もありましよう、悪質の人もありましようが、一応はやはり納税者立場を参酌して、とにかく待つてやるのが至当じやないかとこう思うのでありますが、この点はまあ私は局長の答弁でけつこうです。  それからいわゆる滞納のために差押えをされる、あるいはまた競売されるというようなことは、これは私はどうもそのためにかえつて税源を失つてしまう結果が往々にあるのじやないか、私の知つている範囲内では相当あります。相当職人なり従業員を使つているものが、結局税のために閉鎖せざるを得なくなり、その従業員というものは結局失業してしまう。いわゆる各従業員の源泉徴収というものは絶えてしまう。これだけでも失業者を出す以外に税収は減ぜられるじやないか、こう思うあまり、やはり納税のために強硬手段をとるということは、一面これは大蔵省のお立場からやむを得ないとしても、やはり情状を十分酌量して、また実態を調査をしてもらわなければならない。いわゆる強硬手段をとつて一罰百戒主義の考え方はいい場合もありましようけれども、往々にして産業を萎縮せしめたり、あるいはその事業をつぶしてしまい、かえつて納税の税源を絶つてしまうというようなことがある。これに対してやはり徴税成績さえ上げればいいんだというようながむしやらな措置ははなはだよろしくないのではないか。これに対する局長の御所見を承りたい。
  21. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 国税滞納処分によるそうした強制徴収はできるだけ慎重にやつて行くべきだということにつきましては、私も同じような考え方を持つております。ことにもう少し何とか時間的な猶予が与えられれば、その事業が更生できるのに、なおかつ税金のために無理にその事業をつぶしてしまうといつたようなことは、当然政府としても慎まなければならぬことである。そこで現在におきましては、これは前々国会でしたか、国税徴収法改正がありまして、徴収猶予、執行猶予、あるいは執行停止といつたような措置がございまして、納税者の方でもつて、とにかくこういう状態になつているので、もう半年待て、あるいは一年待て、二年待つていただけば何とか会社が生き返つて来るから、従つてそうした場合におきましては、毎月月賦的にでも、あるいは一年に二回とか三回にわけてでも、とにかく税金が納められるからといつたような場合のお話がございますれば、徴収猶予——これは担保が必要であります。執行猶予の場合には、必ずしも担保は必要でない。そういつた措置を講じまして、納税者とよく話合いました上で、納税者事業も殺さないで、同時にやはり納めていただく限りの税金は何とか御都合願つて納めていただく、こういつたような措置が行い得る状況になつておりますし、また現在でもそれが相当活用されている状態にございます。従いまして、どちらへころんでも、事業としてはとても立つて行く見込みがないんだというような姿になる場合はやむを得ないと思いますが、しかし税の方で少しその辺のところを時間的に猶予すれば、事業としては何とか再起する可能性もあるんだ、こういつたような場合におきましては、徴収猶予、執行猶予というような手段がございますので、よく納税者の方と話し合いました上で、計画を立てて納税していただく。私もこの間まで国税局長をやつておりましたが、私がずつと指導して参りました方針は、そういう場合におきましては、新規の滞納はしていただかない、新規の滞納はできるだけやめてもらいたい。そのかわり古い滞納は、相当の期間を置きまして、順次になしくずしに滞納を片づけて行つていただきたい。そういうようにすれば、全体の滞納額も減つて行く。同時に事業も耐えながらやつて行けるんじやないか、そういうような指導でやつて参りまして、担当の成績を上げ得たと思つておりますが、全国的にもそういう方向で仕事をしておりますので、そうむちやな、一時にただ税金を徴収すればいい、そういつたような考え方とは多少違つた考え方で現在やつていると思います。
  22. 淺香忠雄

    ○淺香委員 関税の問題につきまして昨日も質問いたしましたが、まだ少し私の首肯できぬ点がありますので、こんにやくの輸入税の一割五分を四割五分にせられた理由につきまして一応承りたいと思うのでありますが、こんにやくの国内における使用量に対するインドネシアその他の外国から入つて来ます量は、何パーセントくらいに当りますか。
  23. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕
  24. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 速記を始めて。
  25. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私ただ一つお尋ねしたいのでありますが、前回渡邊さんにお尋ねいたしまして、実は保留になつている問題があるのであります。これは不正な印紙を使いまして登記をいたしましたものの有効、無効の問題であります。前回の渡邊さんのお話では、善意でやつたものは有効だ、悪意なものは無効だ、こういう御見解をお述べになられたのでありますが、幸い課長さんお見えでありますので、やはりそうなのかどうなのか、それを一つお尋ねしておきたいと思うのであります。
  26. 川島一郎

    ○川島説明員 ただいまの御質問にお答えを申し上げます。不正の印紙を登記の申請書に貼付いたしまして登記の申請をいたしました場合には、登記官吏は当然その申請を却下すべきものでございますが、もし誤つてその登記を受理いたしまして登記を実行いたしました場合には、その登記の効力は有効であり、登記所がその後みずから職権でその登記を抹消することはできない、かように考えます。その場合登記官吏が不正の印紙であることを知つていたかどうかということによつてその登記の効力がかわつて来るということは、法務省といたしましては、ないという考えで従来取扱いをいたしております。
  27. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それじやもう少しはつきりしておきたいと思いますが、その不正印紙を使つたものが、善意であろうが悪意であろうが、一度登記すれば有効、こういうことになりますか。
  28. 川島一郎

    ○川島説明員 さようでございます。
  29. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 わかりました。けつこうです。
  30. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 それでは先ほどの淺香委員の質疑に対して御答弁を願います。
  31. 北島武雄

    ○北島政府委員 ちよつと数学的に御説明申し上げますと、昨昭和二十七年中におきます国産こんにやくの荒粉で換算いたしました数量は、九千二百六十六トンでございます。これに対しまして輸入いたしました数量は、同じく荒粉で換算いたしまして千四百七十八トンでございます。国産量に対しましては約一六%の数量に相なつております。
  32. 淺香忠雄

    ○淺香委員 こんにやくの原料は、食料原料とその他工業品等に使われておる。その内訳について昨日伺いますと、工業製品等に使われる数量は一割以内という答弁がありました。そうするとあと九割までほとんどが食料に供される。この食料の先は、税関部長は、こんにやくにしまして労働者が主体にこれを食べて行くか、中産階級が食つておるか、それともブルジヨアが食べるものなのか、あなたのお考えを聞きたい。
  33. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいまお話がございましたように、こんにやくはきわめて大衆的な食べものでありまして、私どもサラリーマンなどの平生用いるものであります。ただこんにやくの関税を上げましたときに、どの程度こんにやくに響くであろうかということを計算いたしてみたのであります。これはインドネシア産に対して、そのまま一割五分を四割五分に上げた場合の計算であります。こんにやく一個七十匁で小売値段が十円ということに相なつております。これを四割五分に引上げますと、大体十銭見当響く計算になるわけであります。大体今度こんにやくの関税を上げましたが、一割五分が四割五分になつた程度では、実はほんとうを申しますと、こんにやく栽培農家の保護は完全ではないのであります。この程度ではまだまだインドネシア産のものは国内において栽培されるこんにくに対してきわめて有利であります。おそらくは関税を引上げなかつたならばもつと値が下つたであろうものが、値下りが食いとめられている程度であるというふうに考えております。私もこんにやくを食べておりますので、台所にどのくらい響くかということを計算したわけであります。この程度の響きでありますが、一方また酒の値段も下つたことでありますし、われわれ消費者にそう大した影響はないのではないか、こう考えた次第であります。
  34. 淺香忠雄

    ○淺香委員 御説の点はわかつております。生産農家の保護というその建前は、私も決して反対するものではありません。しかしながらこんにやくの原料の生産農家だけを保護するために、いわゆる禁止課税とまでいわれるような一挙に三割を上げられたということは、——消費者に転嫁するその数字は、あなたがおつしやつたようにきわめてわずかのものであるにいたしましても、やはりこれは一般消費者大衆の立場も考えなければならぬと思います。そういつた意味におきまして、この問題を非常に軽く扱つておられるように思うのでありますが、それはそれといたしまして、もう一点伺いたいことは、ガツトに関連いたしまして、これはどういう影響があるかということを承りたい。
  35. 北島武雄

    ○北島政府委員 今回の関税率の改正に際しましては、単に対内的の影響だけでなく、目下日本が加入申請をいたしておりますガツトにどういうふうに響くかという点につきましても、慎重に考慮した次第でございます。実は大蔵省で原案を作成いたします前に、各省から例年によりましていろいろ御希望を伺つたのであります。今回はたしか四十数品目につきまして関税の改正をしてもらいたいという御要求がございました。その大部分は関税の引上げであつたわけであります。中には無税にしてもらいたいという御要求もありました。しかし私どもの立場といたしましては、関税を上げますればすぐ財政収入に影響いたして参るのであります。単に国庫の収入だけから考えますと、国内的に異論がなければいいようではありますが、これが対外的に説明がつかない場合は困りますから、その点一々の品目につきましていろいろ当つて、初めてこの程度ならば対外的影響としてもまあまあ十分説明できるのではなかろうかと確信いたしまして提案いたしたわけであります。  こんにやくにつきましては、当面の相手国はインドネシアが大部分でございます。インドネシアと日本との貿易の状況を調べてみますと、昭和二十六年中におきまして、わが国がインドネシアから輸入いたしました金額は六十四億千八百万円でございまして、そのうち主要なものは、生ゴムの四十四億四千五百万円、次に牛皮の五億九千六百万円、次にカポツクの三億六百万円という数字になつております。こんにやくは第十一番目に位しておりまして、四千三百万円となつております。インドネシアといたしましても、こんにやくの輸出ということはそう大きな影響を持つ問題ではございません。この程度のものでありますれば、たといインドネシアとの関係を考慮いたしましても、十分に説明ができるのではなかろうか、こう考えまして提案いたした次第であります。
  36. 淺香忠雄

    ○淺香委員 一挙に一割五分から四割五分に上げられるときに、どういう方面の御意見を聞かれてその腹をきめられたか、その点をちよつとお聞きしたい。
  37. 北島武雄

    ○北島政府委員 まずこんにやくの関税の引上げにつきましては、農林省から御案がございまして、いろいろ計算いたしますと、そつくりそのまま国内産の保護をする場合には四割五分でも足りないような計算になるのでありますが、なお消費者方面の影響も考え、現行の関税率の高さという点も頭に入れまして、四割五分程度で妥当ではなかろうかと思つたのであります。これを決定いたします前には、関税定率法に規定しております関税率審議会に諮問いたしまして、その可否について御意見を承つて、一割五分を四割五分に引上げることは妥当であるという御答申をいただきまして提案いたしたわけであります。なおこの関税率審議会の意見は、単に各省の関係だけでなく、広く商工会議所の会頭さん、あるいは学識経験者も入つておる審議会でございます。
  38. 淺香忠雄

    ○淺香委員 今の答弁では農林省の意見を聞いた、審議会の意見を聞いたと言われますけれども、農林省としては農家の保護を第一番に考えますがために、対外的な問題とか、あるいは国内消費者大衆に及ぼす影響等はあまり考慮しておらぬと思う。また審議会等においても、それぞれのメンバーの方がお入りになつておると思うのですが、純然たるしろうとである。はつきり言えば、いわばあなた方が事後承諾を求めるような審議会である。だからそのほかに貿易業者とか、これを製品にして販売している業者などをなぜそのときにお呼びになつて意見を聞かなかつたかということが、今後の質問の非常に大きな中心をなしておる問題であります。あなたの方で貿易業者とか製造業者をお呼びにならなかつたという点については、私は手落ちがあつたと思うのですが、その点はどうでしよう。
  39. 北島武雄

    ○北島政府委員 関税率審議会にかけます前には、あらかじめ議案を送付いたしまして、商工会議所等で御検討を願う。今回のやり方といたしましても同様にいたしましたし、またこんにやくの輸入業者並びに販売業者の方々からも陳情を受けまして、お話は伺つております。
  40. 淺香忠雄

    ○淺香委員 その陳情というのは、あなた方が党の政調会やあるいは総務会の方におかけになつた後ですか、先ですか。
  41. 北島武雄

    ○北島政府委員 政調会に御説明する前でございます。
  42. 川野芳滿

    ○川野委員 ちよつと関連質問——ただいま御説明を聞いておりますと、内地品の保護のために関税を引上げる、こういうお話を伺つたのであります。しかし私の調べたところによりますと、現在のこんにやくというものは、内地の原料だけでつくりましたならば非常にやわいこんにやくができる。反面、輸入品だけでつくりますとかたいこんにやくができる。そこで内地品と外国品とまぜましてつくりますと、現在のごとくりつぱなこんにやくができる。外国品はなるほど品物は粗悪でございますが、こんにやくを固めなければならないという意味合いにおいてある程度外国品をまぜる、こういうことが現在の実情であります。そこで外国品をある程度入れますということは、内地品を盛んにいたします一つの有力なる材料でなかろうかと私は考えます。こういうふうに外国品を三倍も上げまして、高率関税をかけますと、外国からの輸入がとまる。そうして内地品だけでこんにやくをつくりますと、やわいどろどろしたこんにやくになる、こういうことになろうかと考えます。ある程度外国品の輸入をまつという点から考えましても、高率関税は不当ではなかろうか、こういうふうに考えますが、御見解を伺いたい。
  43. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいま川野先生からいろいろ技術的にお話がございましたが、私どもの研究では、輸入品のこんにやくは、日本品に比べましてマンガンの含有率が少いので、粘着力はむしろ少いのでございます。逆に輸入品だけではかたいこんにやくができないようなふうに聞いております。
  44. 川野芳滿

    ○川野委員 実はただいま私の考えと反対な御答弁をされたようでございますが、しかしこれは私の発言の方が実際的であると考えますので、どうかひとつその点はさらに御調査を願いたいと存じます。
  45. 淺香忠雄

    ○淺香委員 最後に一点だけ。国内生産者の保護ということは、これは私もよくわかつております。そのために消費者大衆の生活に影響を与えてもいいというような理論は成り立たぬのではないかと思う。あなたの御研究の足らぬのは、この消費先は主として労働者です。しかも炭鉱とか、あるいは大阪等におきましては今宮という貧民窟、ここでは御飯とかパンを食べずに、安いこんにやくだけをくじらの皮を入れてたいて、雑炊にして労働者が食つているのです。そういうふうに消費先は非常に下層階級でありますがために、ただ国内の生産者だけの保護によつて——それもよろしいけれども、一挙に四割五分にするということは、どうしても私はこれは妥当でないと考えるのですが、最後にあなたのお気持をもう一点だけお聞きして、これで私の質問は終りといたします。
  46. 北島武雄

    ○北島政府委員 もちろん私どもの関税をいじる場合の考え方といたしましては、生産者の立場消費者立場、両方よく十分に考えまして、その上で総合判断してきめるわけでございます。こんにやくは私も大すきな食品でございまして、ほんとうを申しますと、こんにやくというものは栄養学的価値はないわけでございます。消費弾力性は十二分にある品物でございます。こんにやくの値段につきましては、先ほども御説明いたしましたように、一割五分を四割五分に上げましても、それによつて値が上るというよりも、むしろ現在急激な値下りカーブを示しておりますものを、その値下りを若干食いとめる程度である、こういうふうに考えたのでございます。
  47. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 先ほどの大泉委員の御質疑に対して、渡邊主税局長から補足答弁があるようですから、お願いいたします。
  48. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 先ほどの政府の決定に対しまして異議があつた場合に、徴税を猶予するかいなかという問題につきまして、現在におきましても、青色申告の場合におきましては、再調査審査の請求がありましたときは、最終の審査の決定がありますまでは督促とか、滞納処分はしない、こういうことに法制上なつておりますので、私が先ほど申しましたのは白色といいますか、普通の場合だけについて申しましたので、青色申告の場合におきましては、大泉先生のお話になりましたような措置が法制的にもとれておりますので、その点を念のためはつきりさしておきたいと思います。ちよつと私答弁で落しましたから、つけ加えさしていただきたいと思います。
  49. 中崎敏

    ○中崎委員 法人税法の一部を改正する法律案の第九条の十の規定に基く交際費等の限度額に関する問題についてお聞きしたいのでありますが、大体におきまして政府は、この案に基いて昭和三十八年度に幾らの増税を見込んでおられるか。
  50. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 十八億円程度の増収を見込んでおります。
  51. 中崎敏

    ○中崎委員 これに基きますと、交際費等というふうなきわめて不明瞭な文句が使われておるのでありますが、これは一体どういうふうな範疇のものになつているのか、これを明確にひとつお示しを願いたい。
  52. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 交際費等の改正によつて増収を三十四億九千五百万円、これは租税及び印紙収入予算の説明にございますが、その内訳についての御質問でいらつしやいましようか。
  53. 中崎敏

    ○中崎委員 交際費等という等というものの意義は、たとえば交際費なら交際費のほかにどういうふうな概念的なものを含んで、これがそういうふうな扱いを受けるのかということであります。
  54. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 その点につきましては、一応改正法案にある程度規定するということに書いてございますが、「前項の交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業関係のある者等の接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(もつぱら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他命令で定める費用を除く。)をいう。」これだけでもまだはつきりいたしませんので、少し補足的に説明さしていただきたいと思いますが、大体考えておりますのは、交際費とか、接待費といつたような概念で通常考えられます飲み食いの費用、それからそれに付随した経費、それから年末、年始あるいは中元等の贈答関係というものを中心に概念をきめて行きたいと思つております。幾つかの概念と境目のなかなかはつきりしにくい点がありまして、それも検討してみておりますが、まず第一に考えられますのは、広告宣伝費といつたようなものと交際費とが割合に似たような形態で出て来る場合がございます。もちろん新聞広告とか、そういうふうなはつきりした姿になるものは議論がございませんが、たとえば新年に手帳を配るとか、手ぬぐいを配る、あるいはもう少し広告宣伝的な色彩の強い方では、カレンダーを配るとか——カレンダーなどになりますとそれほどでもありませんが、こういつた手帳とか、手ぬぐいとかいつたものは、あるいは交際費じやないかというような疑問が出て参りますが、ここに規定にございますように、命令で定める費用を除くとありますので、そういうふうな雑概念ははつきり除いて行こうと思いますが、そういうものは一応疑問はありますが、何といたしましても金額が少うございますので、こういうものは除いてしまおうと考えております。それからその次の問題といたしましては、たとえば酒屋さんの例を引くのがいいかどうか知りませんが、酒を何本買つてくださいますとどこそこへ御招待いたしますとか、こういつたような場合が考えられるわけでございます。これは考え方によりますと、交際費といいますよりも、むしろ値引きの費用じやないか、従つてこういうものも交際費と別に考えて行くべきじやないかと考えております。ただそのかわり、平素ごやつかいになつている間屋さん方を酒屋さんが一席御招待申し上げるということになると、これは普通の交際費、接待費に入るのじやないか、こういうふうに考えております。それから社内の飲み食いの問題も、これもそのままほうつておきますと、いろいろ悪用されるおそれもございますので、これもある程度考えて行かなければならない。しかしこれも一般的な福利施設費に当るものが相当考えられるわけでありまして、これは法律の表にも頭を出しておりますが、運動会とか演芸会とか旅行、たとえば工員の方を一年に一回とか二回とか旅行に連れて行く、こういつたようなものは、むしろ福利施設であつて、交際費、接待費という種類に入るべきものではあるまい。ただ本社から社長が来た、それで工場のおもな工場長あるいはそれ以下の部長連中が一席やるというようなことが、もしたとえば料理屋のようなところで行われるとすれば、これはやはり交際費、接待費として考えて行くべきではなかろうか、かように考えております。  それからもう一つ境目のはつきりしにくいのは会議費、これが相当むずかしい概念だと思つておりますが、これも会議をやつて会社等でお弁当を出すというようなことは、これは会議費に入るべきではなかろうか。それが慰労でもつてどこか料理屋に行くとすれば、これは交際費、接待費に入るべきでなかろうか。こういうふうに境目の切りにくい概念が幾つかありますので、これらはそれぞれきわめて常識的な判断に基きまして、この分は入る、この分は入らぬということをはつきり政令に定めて行きたい、かように考えております。
  55. 中崎敏

    ○中崎委員 お説の通り、これはきわめて境目のはつきりしないようなものがあるわけで、それだけまた実際に、今度は会社と末端の税務当局との接触面において相当に困難な無理が出て来はしないかということをひとつ概念的に考えておりますが、さて今度は、ここに示されましたいわゆる政令案の内容としてあるものでありますが、これはもうかえることのできないようなものであるのか。あるいは一つの試案的な考え方の上に立つてここに一応諮問するというか、いろいろ意見を聞かれるという程度のものであるのか。言いかえれば決定的なものとしてやるのか、あるいはもう少し慎重に、ほかの意見も聞いて考えて行かれようとするのか、その点をひとつ……。
  56. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 牽直に申しまして、それはまだ一つの試案的なものだと考えております。われわれの方といたしましてもずいぶん苦労して考えてみましたが、まだまだもつと検討して行かないと最終的な考え方は出ない。しかし大体今お手元に差上げてあります案を中心にしまして、そうしてある程度でこぼこを直して行けば実行可能な案ができるのじやないだろうか。この程度には考えておりますが、まだそれが決定版であるというふうには思つておりませんし、従いまして私どもの方でも多少考えまして、政令案要綱という中からは一応それをはずしまして、別途交際費の政令に関する参考資料として、お手元に提出した次第でございます。
  57. 中崎敏

    ○中崎委員 実はこの案が一応出されます際において、どの程度の検討がされているのか。そこらの点もお聞きしたいのでありますが、たとえば卸売業及び小売業が、これは資本金によつて違うのでありますが、その資本金の刻み方、また各業態のわけ方、そしてまたそれに対する率、千分の何ぼというような、こういうものについても一体どの程度の調査がされて、こういうふうに出されているのか、お聞きしてみたいのであります。たとえばこの卸売、小売をやる反面に製造をやるような場合、製造をやつていてそれをすぐ卸売なり小売をやるという業態が相当多いわけで、そういうものは一体どういうものに入れられるのか、そこらの点をひとつお聞きしたいのであります。
  58. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 現在一応の考え方としましては、主たる事業を大体とりまして、その主たる事業によつて率を適用して行つたらどうであろうか、かように考えております。
  59. 中崎敏

    ○中崎委員 主たる事業と申しましても、たとえば物を製造する、それを全部卸と小売にやる。だからこれら製造業というものは、ここに千分の何ぼとかいうふうに出ておりますが、そういうつくつたもの全部を卸と小売にやる、あるいは卸なら卸だけにやる、小売なら小売だけにやるというような業態がたくさんあるわけでありまして、そういうものに対して一体どういう率をどういうふうに適用されるのか。これを伺いたいのであります。
  60. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 通常考えられます姿は、つくりましてそれを卸なり小売に売るわけでございまして、そういう場合におきましては、大体製造業と考えて行くべきではなかろうか。製造したものを卸屋に売れば、これはもちろん製造の普通の形態だと思つております。それから製造した方が小売屋に売られるといつた場合におきましても、これもまあ製造の姿じやないか。自分でもつて小売をなさるという場合も考えられないではございませんが、その場合も、小売をなさる方が中心なのか、あるいは製品の一部を小売なさるのか、こういつたような問題から考えて参りまして、大体その会社小売中心で、自分の店でもつてある程度品物をつくるが、なおかつ他から仕入れて小売もやつている、たとえば百貨店などには多少そういう形態が考えられると思いますが、この場合におきましては小売中心である。それから自分のつくつた製品をそこで一部小売はするけれども、しかし相当多くの部分はむしろ卸なり何なりの問屋あるいはそういう筋に売られる、ただ一部直売、そういう場合は製造が主である。従つて製造中心として見る。かように考えております。
  61. 中崎敏

    ○中崎委員 この業態については千差万別でありまして、たとえば製造業というものを一つのテーマにとつておられる。そして製造するためにはどういうものが交際費に出されるか。まず原料の手当のために一つの交渉等がある。あるいはまた、それを今度は売るという場合になると、売るということについて、相手との競争のはげしい事業はことにそうですが、非常に苦労して、あらゆるはげしい生存競争の中に自分のものを売り込もうとするのでありますから、相当の交際費もかかつて来る。そういうような意味で、製造製造に伴う一応の費用がかかるわけです。さてそれを一手販売という形ならばきわめて簡単で費用はかからないが、ただ初めの一手販売の交渉をする過程においてあるわけです。年がら年中、一手販売というものでかわつて来ないというわけじやないのです。どれだけ経費を押えられてもいい、そういうようなはげしい競争の中においては、売るということで血眼であり、それからまた原料を買い込んで一定のものに仕上げるという過程というものが必要なんです。少くとも製造と販売というものが単純でない場合、卸なり小売というものが一つの形態を持つている場合には、別個のものとして考えなければならない。これを両方合計したものと考えて当然いいのだと思うのでありますが、この点についてもう少し研究してもらいたい。実際においては、たとえば私たちもいろいろ製造し卸も小売もやる、あるいは卸だけやる、小売だけやつている、そういう業態をたくさん知つておりますけれども、そういうようなものについても費用なども十分に出す用意がありますが、いずれにしても製造なら製造オンリーの場合の交際費と、販売を兼ねて相当広汎な競争の中にやるというような事業の場合は、むしろ販売の方によけいかかるという面もあるのであります。それをただ単に卸、小売というように考えられると非常に片手落ちだと考えるわけであります。そしてまたたとえば製造業といつても千差万別で、非常に雑多なものです。たとえばきわめて独占的な、原料でも買つてくれ買つてくれというように来る場合は、ほとんど交際費が出ない。ただ重役がもうかり過ぎるからそれでいいかげんに金を使おうというような程度でありますが、ほんとうに第一線のはげしい競争の中に立つて、たとえば今原料でも非常に得にくいものがある、たとえば社長から常務から部長から課長から係の者からかわるかわる次から次に招待して、そうしてやらなければなかなか原料の買えないものがたくさんある。そういうような業態にあつたら、これを押えられてしまつたらば実際に事業が根からとまつてしまうというようなかつこうになる場合もある。あるいは販売の場合でも、競争がはげしいから一軒一軒食い込んで行つて、三回も四回も首をつつ込んで行つて、ときには贈りものを持つてつて平身低頭してようやくやつている。ちよつととまるとまたよその方から食い込まれるから、またそれをやらなければならない。そういうはげしい生存競争の中にあるものを、ただ単なる卸とか小売とかいう一片の言葉で片づけられる、そういう単純なものではないと私は思います。だからもう少し各業態というものをよく調査になつて、もう少し実情に即するような扱いをされぬと、私はこれはほんとうに無理な制度になりはしないかと考える。またたとえばわれわれの常識で見て、不動産業というものはどういうものか知らないが、土地とかあるいは建物のあつせん売買をやる程度だと思つておる。これはあまり交際はやらぬだろうと思う。ただ看板を立てていると、これを売つてくれと言つて来る、そして買い手があれば買わぬかということで、ほとんど交際費はいらない。それが交際費が非常に高い率において認められておる。それから倉庫業においてもそうなんです、必要なものはどんどん倉庫に持つてつて頼んで入れてもらう。どこに交際費がいるか、われわれにはわからぬ。製造勢いつても、今のように非常に原料の得にくい、非常に苦労して、あらゆる過程を通して、そして千変万化の中を通つてつておるのがたつた千分の五、そして倉庫業とか不動産業とかいうものが千分の二十、こういうような率を出されるということは、われわれはどうも納得が行かぬ。これは全般についても言えると思う。たとえば映画の場合もそうだ。映画、演劇興行ということでありますが、たとえば五大メーカーといいますか、そういうふうな映画業者というものはちやんと人間をかかえて、そうして一定の系統館を持つているのです。あるいは系統館でないものに競争で出すという面もありますが、それよりむしろ群小の何十というプロがあるのです。こういうものは自分のところでつくつた映画をそういうところに頼んでかけてもらわなければならぬ。そうすると莫大な費用をかけなければならぬ。こういうふうに一律に映画、演劇といつても著しく業態が違つておるのですから、そういうふうな意味合いにおいて、こういうふうなものを出されるということについては、実に著しく実態に沿わないものであると思う。そこでこういう交際費等を制限するならば、今までにこういう例はあるのです。三%程度以上越えたものについては、末端の税務当局でこれを否認されるとか、相当に厳重な検討をされておるということを聞いておる。その程度ならば一応私は行けると思うのでありますが、千分の五だなんということになると、こういうものはもうやつて行けぬと思う。それだからこれはもう少し検討してもらつて実情に即したような——もし交際費を押えるとしても、たとえば土建業者政府なりあるいは官庁の請負をするのに莫大な金を出す、こういうふうなものを徹底的に押えてもらいたい。むしろこれは税務署も警察官も検察庁も一緒に行つて、徹底にやつてもらいたいと思うのだけれども、そうでない正しい費用というものを否認して税金をかけるということは、そうでなくても困るのだから、そこのところはもう少し実情に即するような扱いをしてもらいたいということを私は希望しておきます。
  62. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 製造関係におきましては、確かにこれは大体こういう姿になるのではないかと思います。売手市場になるような場合におきましては、大体製造業におきましても原材料の仕入れの方に苦労されまして、そしてその場合におきましては、販売の方の苦労は割合に少いんじやないかと思います。品物が割合に少い場合はどちらかと申しますと、売る方には割合に苦労しない、そのかわりに原材料を仕入れる方面に主として交際費がいる。それから今度は逆にその品物が割合にたくさんつくり得る状態にある場合は、これは原材料の仕入れの方にはあまり苦労がいりませんで、むしろ売込みの方に苦労がいる。確かに原材料の仕入れと売込みと両方に苦労がいる場合がありますが、大体大きく考えて参りますと、そういうことです。戦争中あるいは戦争後において特にそうでありましたが、そういう時代は、どつちかというとつくれば割合に売れる、こういう時代におきましては、むしろ原材料をいかにして仕入れるかということに苦労がありまして、売る方は苦労はしなかつた。それよりむしろ下の段階にある人が、その製品をいかにして買うかということに苦労された。それから今度は逆に品物がたくさんできる時代になりますと、売る方については苦労がいるが、原材料の仕入れの方には割合に苦労がいらない。両方に苦労がいるという場合は、私は割合に少いのではないかと思つております。同じ製造業の中でも、いろいろ苦労をされる面はありますが、やはりある程度の限度というものはおのずから出て来るのではないかと考えております。  もう一つ御指摘になりました倉庫業であるとか、不動産賃貸業であるとかいうものは、あまり交際費はいらぬのではないかということでありますが、これは業態として見ればそうかもしれませんが、われわれとしては、取引高に対しての率ということで考えております。そういたしますと、倉庫業におきましては、結局倉庫の保管料だけが取引高でございまして、物品販売業のように売り上げた金額の何分、五分とか一割とか、二割なら二割が利益になるというふうな性格と違いまして、むしろ収入金額全体が荒利益になるわけでありまして、その収入金額全体からいろいろな経費が引かれて行くわけでありますが、物品販売の場合には利益率が悪いが、倉庫業は利益率が多いという性格を持つております。従つて同じ率をもつてしては、物品販売の場合が大きくなり、倉庫業の場合においてはそれがそんなに大きくならない。こういう性格がございますので、交際費を取引金額というものに結びつけて割合をきめて参りますと、収入金額即荒利益という業態につきましては、ある程度率が高くなるのが普通の姿ではないだろうか、かように考えております。全体といたしまして、最近におけるデータをサンプル的に調べまして、一応の平均的な数字などを参酌しまして、大体この辺の線ではないかという線を引いてみたわけでありますが、中崎先生のおつしやるように、千差万別の事業がございまして、非常にむずかしい点はわれわれもよくわかつております。従いましてこれを実施する場合におきましても、さらにこの検討を続けて行く。一応政令できめましても、その後においてもいろいろな事情があれば、さらに検討を続けて行くということになりまして、初めて一応の線が引けるのではないか、なお、それともう一つ、実際に前年使いました交際費の七掛以下であれば、その率を越えましても一応否認の規定は使えないという一項を加えておけば、そう無理なことはないのではないか、これが一つの大きな補完的な役割をしてくれるのではないか、率をどう見るかというわけでは全然ございませんが、そういうことも考えております。
  63. 中崎敏

    ○中崎委員 原料が少く稀少な物資である場合には、その方に金がかかつて、売る方が楽だ、一面そういう場合もある。それは言いかえれば、原料がそのまま形をかえたというか、ただ単なる加工というか、いわゆる物理的な形において出される、そういう場合が多いと思うのでありますが、化学的な変化の場合はそうは行かない。ただ単なる一つ原材料だけで一切やれるのではない。あらゆる材料の中で、その原材料は少ししかない、そういうことでできた製品——その原材料はほんの一小部分しか占めないが、形のまるきりかわつたものに持つて行こうという場合、たとえばタール製品のごときは、一時は非常に余つてつた、ところがこのごろは非常に払底してどんどん値が上つておる、全体の要求の三割か四割程度しか供給できない、しかもその使う部分はごく一小部分だ、そうして原料としては八〇%も九〇%もほかのものをいろいろ使つて、形のかわつた、化学変化を来した製品がつくられる、ところがその一小部分がなければどうしても製品ができない、結局製造には費用がかかる、しかも今度そうしたものを売る場合においてははげしい競争の中に追い込まれる、こういうものがたくさんある。だからして勢いただ単に製造と販売とが関連して、片つ方費用がよけいいれば片つ方はいらないのだという考え方は、実態に即しない。倉庫業におきましてもそうであります。倉庫業においても千差万別なんです。大きな倉庫で、黙つてつても、毎日莫大の大きな金額のものが取引されるようなものがある、こういうものは坐つてつて高揚子で商売ができる。ただ下の仲仕みたいな者が品物の出し入れさえすればいいというような大世帯のものだ。従つてこれといえども一律にこういうふうな扱いを——片方は千分の五、片方は千分の二十、これは著しく常識の範囲を越えた一つの計数が出ておると思うのでありますが、いずれにしてもこれらの実態というものをもう少し入念に慎重に検討していただいて、なるほど無理がないのだというところのものが出たら、われわれは喜んで賛意を表したいと思うのであります。今のこの段階では、とても私どもとしてはこのままで受取るわけにはいかぬと思うのであります。
  64. 大泉寛三

    大泉委員 さつき渡邊局長は、この交際費の予算に対して大体十八億を見込んでおるという見解でありますが、私どもがこれに対してあまり感心していないのは、税面においてはなるほどそういう抑制された——いわゆる交際費の否認に対しては計算が成立つかもしれない。また局長よりは、この抑制の結果かえつて収益面に増大が現われる、この収入を望んでおるのだというお言葉がありましたが、私どもの計算では、むしろこういう抑制をされる結果、各業界に非常な減収を来す。消費において抑制されれば、生産においても抑制される結果になる。一方において、生産が抑制されれば収入において抑制される。かように両方において、潤滑油的な交際費の抑制が行われたならば、業者全体の販売なり何なりがそれだけ減少することに料理飲食店、あるいは旅館業、その他物品販売業に至るまで相当販売量が減るだろう、あるいはまた客も減るだろう。かような立場から見たならば、むしろ増収どころか減収が結果的に現われるのではないか、かように思うので、ただ税金をとる方ばかりでなく、納める方の立場も考慮して計算に入れてもらいたいと私は考えるのです。先ほどの中崎委員の質問に対する局長の答弁とは意見を異にするので、特にこの際念のために所見を聞きたい。
  65. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 私どもは、交際費が過度に使用されることについては、これを抑制して行きたいと考えておるのであります。従いまして、それと直接のうらはらにあります料理屋、待合等の分がこれによつてある程度抑制されるというようなことは考え得ると思いますが、しかし、一応これをつくります場合におきましても、平常の取引を阻害するような意味での交際費の否認ということは考えておりません。従いまして、その面から取引が阻害されるようなことはないようにしたい、またそうすべきであると考えております。     —————————————
  66. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 次に先刻再議に付するに決しました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に関しまして何か御意見がありますればこれを許します。
  67. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となりました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、すでに昨日の委員会におきまして一応議論いたした法案でありますので、この際ただちに採決に入られんことを望みます。
  68. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 御異議がないようですから、これよりただちに本案の採決をいたします。  本案を原案の通り決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  70. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお本案に関する報告書の作成及び提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  明日は午前十時から中小企業金融公庫法案について、通産委員会と連合審査会を開きたいと存じますから、御出席を願います。なお大蔵委員会も開会いたしますが、その時間は公報をもつてお知らせをいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時三十六分散会