○中崎委員 この業態については千差万別でありまして、たとえば
製造業というものを
一つのテーマにと
つておられる。そして
製造するためにはどういうものが交際費に出されるか。まず
原料の手当のために
一つの交渉等がある。あるいはまた、それを今度は売るという場合になると、売るということについて、相手との競争のはげしい
事業はことにそうですが、非常に苦労して、あらゆるはげしい生存競争の中に
自分のものを売り込もうとするのでありますから、
相当の交際費もかか
つて来る。そういうような意味で、
製造は
製造に伴う一応の費用がかかるわけです。さてそれを一手販売という形ならばきわめて簡単で費用はかからないが、ただ初めの一手販売の交渉をする過程においてあるわけです。年がら年中、一手販売というものでかわ
つて来ないというわけじやないのです。どれだけ経費を押えられてもいい、そういうようなはげしい競争の中においては、売るということで血眼であり、それからまた
原料を買い込んで一定のものに仕上げるという過程というものが必要なんです。少くとも
製造と販売というものが単純でない場合、卸なり
小売というものが
一つの形態を持
つている場合には、別個のものとして考えなければならない。これを両方合計したものと考えて当然いいのだと思うのでありますが、この点についてもう少し研究してもらいたい。実際においては、たとえば私たちもいろいろ
製造し卸も
小売もやる、あるいは卸だけやる、
小売だけや
つている、そういう業態をたくさん知
つておりますけれども、そういうようなものについても費用なども十分に出す用意がありますが、いずれにしても
製造なら
製造オンリーの場合の交際費と、販売を兼ねて
相当広汎な競争の中にやるというような
事業の場合は、むしろ販売の方によけいかかるという面もあるのであります。それをただ単に卸、
小売というように考えられると非常に片手落ちだと考えるわけであります。そしてまたたとえば
製造業とい
つても千差万別で、非常に雑多なものです。たとえばきわめて独占的な、
原料でも買
つてくれ買
つてくれというように来る場合は、ほとんど交際費が出ない。ただ重役がもうかり過ぎるからそれでいいかげんに金を使おうというような程度でありますが、ほんとうに第一線のはげしい競争の中に立
つて、たとえば今
原料でも非常に得にくいものがある、たとえば社長から常務から部長から
課長から係の者からかわるかわる次から次に招待して、そうしてやらなければなかなか
原料の買えないものがたくさんある。そういうような業態にあ
つたら、これを押えられてしま
つたらば実際に
事業が根からとま
つてしまうというようなかつこうになる場合もある。あるいは販売の場合でも、競争がはげしいから一軒一軒食い込んで行
つて、三回も四回も首をつつ込んで行
つて、ときには贈りものを持
つて行
つて平身低頭してようやくや
つている。
ちよつととまるとまたよその方から食い込まれるから、またそれをやらなければならない。そういうはげしい生存競争の中にあるものを、ただ単なる卸とか
小売とかいう一片の言葉で片づけられる、そういう単純なものではないと私は思います。だからもう少し各業態というものをよく調査にな
つて、もう少し
実情に即するような扱いをされぬと、私はこれはほんとうに無理な
制度になりはしないかと考える。またたとえばわれわれの常識で見て、不動産業というものはどういうものか知らないが、土地とかあるいは建物のあつせん売買をやる程度だと思
つておる。これはあまり交際はやらぬだろうと思う。ただ看板を立てていると、これを売
つてくれと言
つて来る、そして買い手があれば買わぬかということで、ほとんど交際費はいらない。それが交際費が非常に高い率において認められておる。それから倉庫業においてもそうなんです、必要なものはどんどん倉庫に持
つて行
つて頼んで入れてもらう。どこに交際費がいるか、われわれにはわからぬ。
製造勢い
つても、今のように非常に
原料の得にくい、非常に苦労して、あらゆる過程を通して、そして千変万化の中を通
つてや
つておるのがた
つた千分の五、そして倉庫業とか不動産業とかいうものが千分の二十、こういうような率を出されるということは、われわれはどうも納得が行かぬ。これは全般についても言えると思う。たとえば映画の場合もそうだ。映画、演劇興行ということでありますが、たとえば五大メーカーといいますか、そういうふうな映画
業者というものはちやんと人間をかかえて、そうして一定の系統館を持
つているのです。あるいは系統館でないものに競争で出すという面もありますが、それよりむしろ群小の何十というプロがあるのです。こういうものは
自分のところでつく
つた映画をそういうところに頼んでかけてもらわなければならぬ。そうすると莫大な費用をかけなければならぬ。こういうふうに一律に映画、演劇とい
つても著しく業態が
違つておるのですから、そういうふうな意味合いにおいて、こういうふうなものを出されるということについては、実に著しく実態に沿わないものであると思う。そこでこういう交際費等を制限するならば、今までにこういう例はあるのです。三%程度以上越えたものについては、末端の税務当局でこれを否認されるとか、
相当に厳重な検討をされておるということを聞いておる。その程度ならば一応私は行けると思うのでありますが、千分の五だなんということになると、こういうものはもうや
つて行けぬと思う。それだからこれはもう少し検討してもら
つて、
実情に即したような——もし交際費を押えるとしても、たとえば土建
業者が
政府なりあるいは官庁の請負をするのに莫大な金を出す、こういうふうなものを徹底的に押えてもらいたい。むしろこれは
税務署も警察官も検察庁も一緒に行
つて、徹底にや
つてもらいたいと思うのだけれども、そうでない正しい費用というものを否認して
税金をかけるということは、そうでなくても困るのだから、そこのところはもう少し
実情に即するような扱いをしてもらいたいということを私は希望しておきます。