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1953-03-07 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月七日(土曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 奧村又十郎君    理事 川野 芳滿君 理事 内藤 友明君    理事 松尾トシ子君 理事 佐藤觀次郎君       上塚  司君    大泉 寛三君       小山 長規君    島村 一郎君       塚田十一郎君    中田 政美君       西村 直己君    小川 半次君       加藤 高藏君    笹山茂太郎君       中崎  敏君    久保田鶴松君       坊  秀男君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    泉 美之松君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    塩崎  潤君         国税庁長官   平田敬一郎君         大蔵事務官         (国税庁次長) 原  純夫君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 三月六日  石油関税減免措置延期に関する請願武藤運  十郎紹介)(第三五〇二号)  物品税中、貴石、貴金属の製造課税小売課税  に変更反対に関する請願内藤友明紹介)(  第三五〇三号)  同(坊秀男紹介)(第三五〇四号)  ラケツト等に対する物品税撤廃請願福田赳  夫君紹介)(第三五〇六号)  しよう油用塩価引下げに関する請願周東英雄  君外六名紹介)(第三五〇七号)  こんにやく原料輸入関税引上げ反対請願(有  田二郎紹介)(第三五〇八号)  共同募金に対する寄附金算入取扱に関する請願  (足鹿覺紹介)(第三五二八号)  保険協同組合法制定反対に関する請願足鹿覺  君紹介)(第三五一七号)  台湾における外地資産補償に関する請願(徳  安實藏紹介)(第三五七一号)  国民金融公庫釧路支所設置請願伊藤郷一君  紹介)(第三五七二号) の審査を本委員会に付託された。  所得税法案並びに法人税法改正案の撤回に関す  る陳情書  (第一七二九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三九号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四〇号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)  富裕税法を廃止する法律案内閣提出第四二  号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四三号)  登録税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四七号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第四八号)  米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する  法律案内閣提出第六二号)  設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七八号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第八一号)  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八三号)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第九〇号)  納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第九四号)  関税定率法等の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一〇一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇二号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇三号)  有価証券取引税法案内閣提出第一〇四号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇五号)  地方公共団体負担金納付特例に関する法  律案内閣提出第一一六号)  昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会  計及び通信事業特別会計借入金償還期限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一七号)  旧外貨債処理法による借換済外貨債証券の一  部の有効化等に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出第一一八号)(参議院送付)  保険業法の一部を改正する法律案内閣提出第  一一九号)(参議院送付)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置にす  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第一  二二号)  日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二三号)  資産評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二六号)  昭和二十八年度における特定道路整備事業特別  会計歳出財源特例に関する法律案内閣  提出第二一七号)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一二八号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一二九号)  昭和二十八年度における国債整理基金に充てる  べき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提  出第一三一号)  国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決  を求めるの件(内閣提出議決第三号)     ―――――――――――――
  2. 奧村又十郎

    奥村委員長 これより会議を開きます。本日は地方公共団体負担金納付特例に関する法律案昭和二十一生度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案、旧外貨債処理法による借換済外貨債証券の一部の有効化等に関する法律の一部を改正する法律案保険業法の一部を改正する法律案国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案日本専売公社法の一部を改正する法律案資産評価法の一部を改正する法律案昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案及び昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案右十一法案一括議題といたしまして、政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。大蔵政務次官愛知揆一君。     —————————————
  3. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました地方公共団体負担金納付特例に関する法律案外十法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  まず地方公共団体負担金納付特例に関する法律案について申し上げます。最近の地方財政状況に顧みまして、今回、政府は国の行う直轄事業について地方公共団体法律に基いて負担する負担金については、これを地方債納付する特例措置を設けることが適当と考えまして、この法律案提出した次第でございます。  すなわち国の行う直轄事業について地方公共団体道路法河川法土地改良法及び港湾法等法律に基いて負担する負担金については、政府は、当分の間、当該地方公共団体の発行する地方債証券をもつて納付させることができることとし、利率、償還方法収納価格等については、政令で定めることとしようとするものであります。しこうして、本措置は、昭和二十八年度以降の国の行う事業についての地方公共団体負担金納付から適用することといたしております。  なお、昭和二十七年度以前の負担金でその納付期日までに納付されなかつた負担金につきましては、その納付計画を立てさせまして、その納付促進をはかることといたすのでございますが、しかもなお未納となるものにつきましては、延滞利子を付することができるごととして、その滞納の防止をはかろうとした次第でございます。  次に、昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  政府昭和二十一年度において昭和二十一年法律第五十五号及び昭和二十二年法律第十号に基き借り入れました借入金の現在高は、一般会計において百五十一億七千八十六万円、郵政事業特別会計において五億六千三百七十四万円でありまして、その償還期限昭和二十五年法律第六号により昭和二十七年度末まで延期せられておるのでありますが、同期限までに償還いたしますことは、困難でありますので、償還期限をさらに三箇年延長することとし、その間において必要な場合には、公債に借りかえることができることとしようとするものであります。  第三に、旧外貨債処理法による借換済外貨債証券の一部の有効化等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  旧外貨債処理法により、邦貨債に借りかえられ無効なものとされましたわが国外貨債の一部を有効化することにつきましては、一昨年末現行法制定を見たところでありますが、現行法のもとにおいていまだ有効化されていない外貨債証券または証券から切り離された利札の中には、海外の証券市場において取引され、現在においては借りかえ当時の所有者以外の者によつて善意で所有されているものもある状況であります。これらの善意取得者に対しましてこのような証券または利札が無効であると主張いたしますことは、一般証券取引の慣習から考えましてきわめて困難であり、またわが国対外信用保持の見地からいたしましても好ましくないと考えられます。このような特殊事情を考慮いたしまして第一に、無効とされた外貨債で、現在善意取得者によつて所有されているものを有効化し得る道を開き、第二に、利札だけが単独に取引されておりまするときは、親証券有効化をまたないで、その利札だけを単独有効化し得る道を開くこととした次第でございます。  第四に、保険業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  改正の第一点は、航空保険事業についても、海上保険事業と同じく、私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律及び事業者団体法適用を除外することとしたことでございます。  航空保険事業は、海上保険事業と同じく、国際性が強く、かつ引受物件の価額が巨額に上ることが多いので、料率協定、再保険プール協定等共同行為が必要とされるのでございます。このような特殊性にかんがみまして、海上保険事業と同じく私的独占禁止法等適用を除外することといたしたのであります。  次に、保険会社につきましては、その決算の完了に特に日数を要する事情にかんがみまして、定時総会の場合に限り、その株主名簿を閉鎖することができる期間を、商法の規定にかかわらず、九十日間といたしました。  その他、保険会社責任準備金計算に関し必要な事項を命令で定めることとするほか、若干の規定整備をすることといたしたのであります。  第五に、国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  現行国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律は、昭和二十七年度限りその効力を失いますので、昭和二十八年度以降におきましてもその効力を持たせることとし、あわせて退職手当支給額勤続期間計算等について所要改正をいたすことといたしまして、この法律案提出いたした次第であります。  次にその改正の要点を申し上げます。第一に退職手当計算にあたり、恩給または共済給付相当額を控除する従来の方法は、事務上の手続も煩雑でありますので、これを廃止し、また退職手当支給額につきましては、現行八割増の整理退職手当支給額改正法においても維持することとし、普通退職手当並びに傷病、死亡による退職等の場合の退職手当をおのおの整理退職手当に対して五割、八割程度とし、さらに整理退職手当とその他の退職手当との差を特に勤続期間の長くなるに従い縮めるようにいたしたのでございます。  第二に休職、停職その他現実に職務をとることを要しない期間が一月以上ありました場合には、その期間の二分の一を恩給法の例にならい在職期間から除算することといたしたのであります。  第三に官吏俸給令による官吏に対する死亡賜金並びにこれに対応する雇用人に対する共済組合法による遺族一時金の一部を統合し、当分の間、死亡による退職の場合には、俸給月額の四月分に相当する額を死亡による退職手当に加算することといたしたのであります。  最後に起訴中の退職手当取扱いについての規定並びにその他必要な経過規定を置くとともに、保安庁職員給与法退職手当特例に関する規定等について、本改正趣旨に準じて必要な改正をいたした次第であります。  次に第六、日本専売公社法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、専売事業企業的運営をはかるため、日本専売公社会計制度に関する規定所要改正を加えることを内容としたものであります。その概要を申し上げますと、まず、現行予算弾力性に関する条項改正し、予算に需要り増加経済事情の変動その他予測することができない事態に順応し得る弾力性を与えるとともに、予算の流用及び繰越しに関する制限を緩和し、事業経営の一層の円滑化をはかることといたしました。  次に、能率の向上により、収入予定より増加し、または経費を予定より節減したことによつて生じた金額のうちその一部を、予算の定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けて特別の給与として給与総額にかかわらず支給することができるようにいたし、また、専売納付金計算にあたつては、たなおろし資産増加額を控除しないことに改め、企業体にふさわしい合理的制度といたすよう規定整備をいたしました。  最後に、業務内容に投資の条項を加え、また、業務にかかる現金の取扱いに関する規定及びその他予算の形式、内容手続規定等について所要改正を加えることといたしました。  次は第七でございますが、資産評価法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を説明いたします。  政府は、昭和二十五年に資産評価法制定して、第一次資産評価を実施し、さらに昭和二十六年に資産評価法の一部を改正して、第二次資産評価を実施したのでありますが、その実施の状況を見ますと、当時の経済情勢の影響もあつて、再評価は全体としては十分には行われなかつた実情にあり、かつまた、その後物価もある程度の上昇を示している状況であります。従いまして、現下の急務である資本蓄積促進資本食いつぶしの防止等をはかるために、今回さらに資産評価の機会を与え、現下物価水準に応じた再評価基準によつて評価を行い得るようにすることが必要であると認められますので、ここにこの改正案提案することとしたのであります。  以下本法律案について、その大要を申し上げます。  まず、今回の再評価は、法人につきましては、昭和二十八年中に開始する事業年度開始の日のうちいずれか一の日及び昭和二十九年中に開始する事業年度開始の日のうちいずれか一の目において、合せて二回行い得ることとし、また、個人事業用資産につきましては、昭和二十八年一月一日及び昭和二十九年一月一日において、合せて二回行い得るごととしております。なお譲渡所得に対する課程の調整をはかるため、個人の有する家屋、土地、非事業用資産等譲渡があつた場合には、これらの資産については、昭和二十八年一月一日現在で再評価が行われたものとみなすことといたしております。  次に、再評価の対象となる資産は、第二次再評価を行うことができた資産と同種の資産で、昭和二十八年一月一日に有している資産としております。しかして、再評価基準は、第一次及び第二次再評価基準設定の基礎とされた昭和二十四年六月以後の物価上昇を勘案し、新たにこれを設定しているのであります。すなわち、土地については約十三割、減価償却資産等については約五割、非事業用資産等については約二割を、それぞれさきの再評価基準から引上げたものを再評価基準としているのであります。  次に、再評価税につきましては、先般の再評価の場合と同様に、再評価差額に対して百分の六の税率により課することといたしております。なお、個人の有する資産について再評価が行われたものとみなされる場合に再評価差額から控除する金額を従来の十万円から十五万円に引上げることといたしました。また、再評価税の延納につきましては、前回の再評価税額と合せた総額によつてこれを認めることとし、法人土地等に対する再評価税は、再評価日から五年を経過するまでの間に譲渡等が行われない場合には、さらに、三年間にわたつて分納を認めることとするとともに、新たに、再評価税の繰上げ納付の道を開くごととしているのであります。なお、公益法人がその収益事業に属する資産について再評価行つた場合には、収益事業からの所得に対して法人税を課している点に顧み、今回の再評価限度引上分については再評価税を課することといたしております。  次に、再評価申告は、法人については、再評価日を含む事業年度終了の日から二箇月以内に、また個人については、再評価日を含む年の九月一日から十月三十一日までにしなければならないことといたしておりますが、再評価を行わなかつた法人は、申告書提出を要しないこととし、また、再評価を行わなかつた資産についての市町村別明細書提出も要しないこととしております。  次に、再評価積立金資本組入れにつきましては、再評価積立金金額から納付すべき再評価税額を控除した金額の十分の九に相当する金額までをただちに資本に組み入れることができるようにし、また、再評価税を完納した法人は、昭和三十二年一月一日以後においては、再評価積立金の全額を資本に組み入れることができることとしているのであります。なお、社債の発行限度につきましては、再評価積立金の十分の九に相当する金額をただちにその発行限度に算入することとしているのであります。  次は第八でございますが、昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  特定道路整備事業特別会計におきましては、道路整備特別措置法に基き実施せられる国の道路整備事業及び地方公共団体に対する資金貸付等に関する政府経理を取扱つておるのでありますが、昭和二十八年度におきましてはその財源に充てるため一般会計より二十五億円を繰入れることができることとしようとするものであります。  第九に、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  今回、政府は、日雇い労働者業務外の事由による疾病または負傷及びその被扶養者疾病または負傷に対して保険給付を行うことによつて、その生活の安定に寄与することを目的として、別途、今国会日雇労働者健康保険法案提出いたしまして御審議を願つているのでありますが、この日雇い労働者健康保険事業経理を明確にするため、厚生保険特別会計に新たに日雇い健康勘定を設けることとするため、この法律案提出した次第であります。  この法律案内容につき概略御説明いたしますと、日雇い健康勘定にお奇ましては、保険料一般会計及び郵政事業特別会計からの受入金借入金附属収入等をもつて歳入とし、保険給付費借入金償還金及びその他の諸費をもつて歳出としております。なお、経理上必要のあるときは、この勘定負担において、借入金または一時借入金等をなすことができることとし、さらに、業務勘定におきましては、本勘定設置に伴い所要規定整備をはかつております。  第十に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明申し上げます。  小学校の給食の用途に供する麦は、食糧管理法の一部を改正する法律附則規定に基いて、食生活改善のため農林大臣の定める価格をもつて売り渡すこととなつております。このため、食糧管理特別会計に生ずる損失を補填するため、当分の間、一般会計から同特別会計繰入金をすることができることとしようとするものであります。  昭和二十八年度におきましては、前述の繰入金として十六億五千二百余万円を予定いたしております。  最後に第十一といたしまして、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案提出理由を御説明申し上げます。  国債元金償還につきましては、従来国債整理基金特別会計法等規定によりまして、前年度初めの国債総額の万分の百十六の三分の一を一般会計または特別会計から国債整理基金特別会計に繰入れるほか、財政法第六条の規定によりまして、歳入歳出決算上の剰余金の二分の一以上を繰入れることとなつておりますが、最近の国の財政状況並びに国債償還状況からいたしまして、昭和二十八年度におきましては、一般会計からの繰入れは、財政法規定による繰入れのみにとどめることとしようとするものであります。  また、日本国有鉄道及び日本電信電話公社が旧特別会計当時負担していた公債及び借入金は、公社発足の際、一般会計負担に帰属し、公社は同額の債務政府に対し負担することになつたのでありますが、公社がその債務元金及び利子政府に支払う場合においては、これを国債整理基金特別会計に直接納付することとしようとするものであります。  以上十一の法律案につきまして提案理由を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 奧村又十郎

    奥村委員長 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する法律案国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決を求めるの件、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案及び造幣局特別会計法の一部を改正する法律案の六法案一括議題として質疑を続行いたします。川野芳滿君。
  5. 川野芳滿

    川野委員 ただいま議題となりました六法案につきましては、質疑も大体尽されたと思いますので、この際質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
  6. 奧村又十郎

    奥村委員長 ただいまの川野芳滿君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 奧村又十郎

    奥村委員長 御異議がないようでありますから、右六法案につきましては、この際質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入ることにいたします。  これより日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案議題として採決いたします。本案原案の通り可決するに賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  8. 奧村又十郎

    奥村委員長 起立総員。よつて本案原案の通り可決いたしました。  次に、米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する法律案議題として採決いたします。本案原案の通り可決するに賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  9. 奧村又十郎

    奥村委員長 起立総員。よつて本案原案の通り可決いたしました。  次に、国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題として採決いたします。右件原案の通り可決するに賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  10. 奧村又十郎

    奥村委員長 起立総員。よつて右件は原案の通り可決いたしました。  次に、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案造幣局特別会計法の一部を改正する法律案外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案の三案を一括議題として採決いたします。本案原案の通り可決するに賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  11. 奧村又十郎

    奥村委員長 起立総員。よつて右各案はいずれも原案の通り可決いたしました。  なおただいま可決いたしました六案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  12. 奧村又十郎

    奥村委員長 次に所得税法の一部を改正する法律案外十二税関係法案一括議題として、質疑を続行いたします。内藤友明君。
  13. 内藤友明

    内藤(友)委員 お尋ねする前に委員長にひとつ御希望を申し上げたいと思うのですが、実はただいまも提案理由の説明を聞きました法律が十一ありますので、ずいぶんたくさんの法律が出て参りました。これをどう処理するかということがこの委員会としても非常に重大な問題だと思うのでありますが、願わくはきようのこの委員会におきまして委員長から大体皆様の御了解を得ていただきまして何か懇談会でもお聞きいただきまして、その処理方法をひとつじつくりと相談して、促進できるように御配慮いただきたいと思うのであります。     〔委員長退席、川野委員長代理着席〕  そこでこれは愛知さんじやなしに、お隣におられる渡辺さんにお尋ねしたいと思いますが、登録税法の一部改正法律案ですが、まことに今度の改正案はけつこうなことだと思うのであります。と申しますのは、正しからざる印紙を張りまして登録したというのが先般刑事問題にまでなりましたことは、私ども聞き及んでおるのでありますが、実はこれは、登記いたしまするわれわれ民間側としてはあずかり知らぬのでありまして、たいていこれは、中間に仕事をいたしておりまする代書人と申しますか、世話人と申しますか、そういう人たちが登記所の職員と結託してやることではないかと思うのであります。ごく小額のものは、古い印紙をちよいと張つてごまかすものもあるかもしれませんけれども、多額のものにつきましては、およそそういうことはなかろうかと思うのでありますが、そこで、それらを防止するという意味から、今度の改正法律案をお出しになつたのだろうと思うのでございますが、もし不正な印紙を張りまして登記いたしまして、あとでわかつた、そしてこの法律によつてもう一度その印紙を正しいものに張りかえさせるということはわかりますが、そういう欠陥のある手続をいたしたその登記は有効か無効か、私はこれは無効じやないかと思うのであります。そういうでたらめな仕事をやりまして、そして一度受付けたからといいましても、これは錯誤でありまして、それを有効にするということはいけないのでございますが、これは主税局長の御見解をお聞きするのがいいのか、あるいは登記の責任を持つ人の御意見を承るのがいいのかわかりませんが、とにかく政府委員ということは政府委員なのでありますから、お答えできないとは考えられないのでありますが、そこをひとつ教えていただきたいと思います。
  14. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 私その方の専門でございませんから、もし私がここでお答えすることがあるいは間違つていたらすぐ取消して、専門の人から詳しく御説明をいたしたいと思いますが、われわれ法務省と話合いました場合の一応の結論といたしましては、善意においてなされた登記の場合においては、登記そのものは有効だ、こういうふうに解すべきではないかと考えておりますが、悪意の場合におきましては、登記そのものについての効力は一応有効と考えるが、疑問が持たれると考えております。
  15. 内藤友明

    内藤(友)委員 使うべからざる印紙をそこに使つたということは、これは善意じやないのです。悪意なのです。あやまつてやつたというのじやないのであつて、ほとんど悪意だろう、脱税だろうと思いますが、そういうことでやつた仕事が有効だとは考えられないのであります。そうすると、今の渡辺さんの御答弁からしますると、こういうものは全部だめだ、登記は有効ならず、こう解釈していいのでありますか。
  16. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 どうも専門家でございませんから、間違つた御答弁を申し上げて、もしまたあとで誤解を招いてもいけませんから、法務省の政府委員に至急出席してもらうようにお願いしたいと思います。
  17. 内藤友明

    内藤(友)委員 お答えはあとでもけつこうであります。ただ私はただいまのお答えの、善意のものならば有効、悪意のものではだめ、こうおつしやるのですが、脱税という気持は決して善意のものじやないのです。ただいま渡辺さんの御答弁でありますると、これにひつかかつたものは全部登記はだめだ、こう考えられますので、十分法務省のその責任の方にそこをおただしいただきたいと思います。私はだめだということにしていただきたい。そうしませんと、これはあとを断たないのでありますから、少し私の先入的な気持が強くあるかも存じませんが、その点をひとつ法務省の皆様によくお話をいただきたいと思います。私のお尋ねすることはただこの一点であります。
  18. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 かしこまりました。至急連絡いたします。
  19. 川野芳滿

    川野委員長代理 佐藤觀次郎君。
  20. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 主税局長にお尋ねしたいのですが、先日公聴会で舟橋聖一君が文士のいろいろな立場を訴えたのでありますが、今税金がいろいろな方面に多くなつて来たということは事実であります。文学賞とか文化勲章、こういうものに税金がかかつておるわけですが、学術的なものには文化賞でもかからぬ。しかも文士などが書くものには、文化賞に税金がかかるのは少しおかしいと思うのですが、これを軽減する意思があるかどうかお尋ねします。
  21. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 その関係の法文といたしましては、現行法の第六条の第六項でございますが、「国、地方公共団体、外国、国際機関、国際団体又は大蔵大臣の指定する団体、基金若しくはこれらに準ずるものが学術に対する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術の研究を奨励するものとして交付する金品(給与又は対価の性質を有するものを除く。)で大蔵大臣の定めるもの」これが現行法の根拠規定でございますが、ここに一応書いてあります「学術に対する顕著な貢献を表彰するもの」とかあるいは「顕著な価値がある学術の研究を奨励するもの」と「学術」という字になつておるものですから、小説、創作、そういうものに対します分につきましては、一応現在は課税をする建前といいますか、少くともこの指定の分としては入つておらないわけでございます。ただその性格からいたしまして、一時所得になるべきものだと思つておりますし、今度はその一時所得が十五万円以下の場合には課税しないことになつておりますので、具体的な場合におきまして、あるいはその金額を越える場合もあるかと思いますが、その場合におきましても、十五万円は一応控除になりますので、まあ大体の場合はそう無理なことにならないで済むのじやないだろうか、かように考えております。
  22. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 できる限り小説でも創作でも、映画、演劇につきましても、これは学術と同じような意味の民衆的ないろいろなものがございますので、ぜひこういうものについては課税をしないように努力していただきたいと思います。所得のあるところ税ありというのが原則でありますけれども、賞与に税金がつくということは、ちよつとりくつが合わないように思いますので、ぜひ考慮していただきたいと思います。  もう一つ愛知政務次官にお尋ねしたいのですが、著作権について、今著作権法が五十年になるということで運動がなされております。相続をする場合に著作権が相続の対象になるわけでございますが、これは御承知のように本が出れば一割五分の税を納めておるわけでございますから、死後の著作権に対しては税金をとらぬような方法をやつてほしいという要望があるし、また必ずしも著作権を持つておるから、本が売れるというわけでもないのでありまして、いわゆる著作権についての相続税は、将来廃止してもらいたいという要望がございますが、どういう御意向を持つておられるかお尋ねしておきたいと思います。
  23. 愛知揆一

    愛知政府委員 将来の問題としては研究問題だと思いまするが、なお現在の取扱い及び事務当局の所見につきましては、主税局長からお答えいたします。
  24. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 著作権の課税問題はいろいろむずかしい問題がありまして、税務当局におきましてもずいぶん苦労して実はやつております。私が知つております二、三の具体的な事例を見て参りましても、お父さんがある学校の教科書のようなものをお書きになつていて、その著作権が子供さんに相続されまして、毎年数十万円の所得がそこから生れて来る。割合に定期的姿で生れて来るというような具体的なな事例を私一つ知つておりますが、こういうような場合におきましては、いかにも一つの財産を相続なすつたという姿が非常にはつきりしておりますので、こういう場合には、やはり著作権が相続財産として取入れられるのも決して無理じやないということをはつきり感ずるわけでございますが、ただ文学書の問題になりますと、その作家の方が生きていられる間は非常に売れたような本も、その方がなくなられて後に相当命があるものとないもの、これはずいぶんいろいろあるように思つております。必ずしも出版された当時にベスト・セラーになつたものだからといいまして、それの命が長いとも言えませんし、案外当時は目につかなかつた短編物などが、その人の短編集として岩波文庫とか、あるいはいろいろな文庫に入つて相当長く命を続けている。従いまして具体的な相続税の課税におきましては、その辺の点につきましているく専門家の御意見なども伺いまして、どの程度の評価をして行くべきか。評価の問題といたしましてかなり問題を片づけているわけですが、しかし場合によりましては、税務当局におきましても相当慎重を期しまして、そう無理がないという線においての評価を実は行つている、かような実情にございます。
  25. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 講演料あるいは原稿料の源泉課税におきまして、この前には多少下りましたが、これは結局最後所得としてとられますので、もう少し下げる意思があるかどうか、この点について主税局長にお尋ねしたいと思います。     〔川野委員長代理退席、委員長着席〕
  26. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 現在は十五の税率で源泉課税をしております。この場合おきましていろいろ見て参りますと、あとで確定申告の場合におきまして追加納付される方の場合と、それから逆にむしろ返してもらうといつたような方の場合とございますが、現状におきましては、大体私は十五ぐらいの税率でもつていいのではないか。ただ今度の税法の改正の場合におきまして、この点を一点だけ税法の改正に入れておきました。と申しますのは、今までの税法でございますと、文士の例をとつて申し上げますと、文士の方が出版業者から原稿料をもらう場合におきましては、一応十五の税率でもつて税金をとられている。従いまして確定申告の場合におきましては計算上税金を返してもらうという計算になる。こういう場合に、その出版業者の方から税務署の方へそうした源泉徴収をした税金が納まつていない場合がときにあります。その場合に、今までの規定でございますと、政府の方ではそれだけの税金が納まつていないのだから、伴つてその場合には返せないのだといつたような議論がありまして、税務署の方でなかなか返しておりませんでした。しかしこれは文士の方々からも非常な御不満がございまして、文士の方としては、税法上税金を差引かれることについては何とも文句が言えないでもつて差引かれる。同時に出版業者が税金を納めることについて、文士の士としてはこれを強制する力はないのだ。ところが税務署の方としては、税金を納めない場合においては強制処分をするだけの権能を持つている。従つて納まらなかつた場合、その損失を文士の人にかぶせるのはおかしいのではないかという議論がずいぶんございます。これは私も確かにごもつともな議論だと思いまして、今度の税法改正におきまして、その点は、もし税金が出版業者から税務署の方に納まらず、滞納になつておりましても、文士の方としては十五の源泉税率で徴収がされているということがはつきりしておれば、確定申告において税額がとられ過ぎになつている、従つて返してくれという場合には、現金でも還付するという措置は一応考えてございまして、文士の方が一番お困りになり御不満になつていた点は、今度の税制改正におきまして一応改正し得るように提案してございます。
  27. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 平田国税庁長官に一点お尋ねしたいと思います。過納源泉課税の分について、税務署の方では金をとるときは早いのですが、返すときには非常に遅いということで問題になつておりますが、過納源泉課税については早く処置して返してもらえるかどうか、その点について平田国税庁長官にお尋ねいたします。
  28. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 実はこの問題は、機会がありますれば私の考えを申し上げたいと思つていたところでございますが、私は率直に申し上げまして、最近いろいろ考えておりますが、税金をなるべく早く返すということが、逆に納税を促進する最良の方法ではないかというふうに実は考えております。その話は、少し長くなつて恐縮でありますけれども、昨年納税表彰を行いましたところが、いなかの村長さんの話されたことですが、あるときに、税金を返すことについて税務署が非常に親切に早くやつてくれたので、その次からは村民の方々が、税金ならいつでも納めましよう。こういう気構えになつたということを実例をあげて非常にはつきりお話になつておられましたが、これは私は確かに非常に大きな真理を含んでおると思う。ところが今佐藤さんのお話のように、今までは逆に、一ぺん税務署に税金を納めると、なかなか返してくれない。私ども個人の経験でも、実は街頭録音に出ましたときも、税務署というのは死んでからあとでないと税金を返してくれないというふうな質問を受けまして、まつたく恐縮いたしたのでございますが、そういういろいろなことからいたしまして、何とかして返すべき税金は早く返す、このようにするのが納税を逆に促進するゆえんではないかということを考えまして、この点は、特に私どもの重大な方針の一つに入れております。今度法制的にも、それに関連して徴収法の一部改正案を出しているかと思つておりますが、返す方法等につきましてもいろいろくふうしてみたい。私の今の方針は、非常に大きな金額に上りますとやはりあやまちがある、あやまちがあるとよくございませんから、慎重を期さなければならぬと思いますが、比較的少い額のものを返す場合におきましては、一定の証拠書類さえ集まつている場合は先に返してしまう、そうしてあとでむしろ監査するという行き方にしたらどうかと思う。それから今は税金を返すのに税務署に金をとりに来いということになつておりますが、これも郵便局の振替払いで返すことにしたらどうか、そうしますとよほど納税者の手数も少くて、しかも迅速に返すという措置ができはしないか、それを来年度からぜひ実行に移して行きたいということで目下準備中でございます。ただときによりますと、払いもどし金の予算が足らなくて返せないというような場合もあるのでございますが、この問題につきましても、今年は間に合いませんでしたが、来年度からは予算が足らないために返すやつが返せないというような場合につきましても、なるべくくふうを凝らしまして、そういうことがなくて済むように処置をしてみたいと思つております。これは措置がもう一年くらい遅れるかもしれませんが、とにかく返すにつきましては、一応これは厳重に、具体的な実際もまた示しまして、早く返すようにいたしたいと考えておる次第であります。
  29. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 今のお話に関連いたしまして、私先日まで東京国税局長をやつておりましたので、ちよつと補足的に申し上げさせていただきたいと思います。東京国税局におきましては、昨年の暮れ、二十七日に一応仕事が全部終りましたのですが、払いもどしの関係だけにつきましては、三十一日まで税務署、国税局その関係の人たちだけに出勤してもらいまして、とにかく暮れのうちに、できるだけ返す仕事は促進するようにということでやつたような事例も、ございまして、税務署の一線におきましても、徴収の方の仕事とか、そういう方の仕事は二十七日に打切つてしまつたのですが、還付の仕事だけは三十一日までずつと日曜、休みをつぶしまして、出勤してもらつてやつたというようにやつておりますので、かなり税務署としましても努力はしている、かように思います。私はこの間まで国税局長をやつておつたせいもありますが、一言だけ附加させていただきたいと思います。
  30. 中崎敏

    ○中崎委員 広汎な税金問題につきましていろいろ質問したい思うのでありますが、時間の関係もありますので、とりあえず物品税のことについてお尋ねしたいのであります。わが党は、物品税については原則としてとらないという方向に考えておるのであります。一部高級奢侈品のごときものは別として、原則的には、これをとらないような考え方を持つておるのであります。これなかなか国家財政の都合上一ぺんにそういうわけにも行かないのでありまして、漸次そういう方向に進むべくわれわれも努力してみたいと思うのであります。その中で、貴金属に対する物品税の問題でありますが、ただこの物品税の体系から見ますと、現在においてはいわゆる源泉課税という建前に貫かれておるのであります。それを今回貴金属に関してだけ、これが店頭課税ということになつておるようであります。その中で金側時計につきましては、これは例外のようであります。そのほかの貴金属につきましてお尋ねしたいのでありますが、まず第一に政府の方でそうした原則をくつがえす一つの例を今回設けられたのでありますが、そうされなければならない切実な根拠をひとつお尋ねしたいと思います。
  31. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 政府といたしましては、物品税につきましては、むしろできるだけ消費の段階に近いところでもつてこういう糖類の税金は課税すべきものである、これをむしろ一応の理論としては考えております。ただ消費の段階に近いところ、すなわち小売の段階でもつて課税するということにつきましては、いろいろ課税技術的に困難もございます。従つてそうした技術的な困難の観点からいたしまして、むしろ製造課税でもつてやつた方がいいという物品税につきましては、製造課税をもつてつて行く、こういう考え方でずつとやつて参りまして、従いまして物品税が創設されました当初におきましても、相当の種類の物品が小売課税になつておつたことは中崎先年御承知の通りであります。最近この全部にわたりまして製造課税に持つて行つたということにつきましては、戦後の経済的ないろいろな困難の事態でございまして、やみがかなり横行していたというような事態もありましたものでございますから、それでいつそ全部製造課税に持つて行つた方がいいのじやないかというので、実は製造課税に持つてつてみたのでありますが、特に今度小売課税に移そうという種類の物品につきましては、製造課税で数年やつて見ました結論としましてどうもこの種類の品物は製造課税に持つて行くことが手数を省くゆえんでなくして、かえつていろいろな意味においての弊害を多くずるゆえんである、かような結論が出ましたので、この種の税金はむしろ消費の段階にできるだけ近いところで課税するのが本来の性格であり、しかも製造課税に持つて行くことが課税の上からいいまして、手数を省き技術的に簡易になるということよりも、逆に小売課税に持つて行くよりも、むしろ弊害が出るという事例であるならば、これはやはり小売課税に持つて行くべきじやないか、かような観点からしまして、特にその品物の性格から見まして製造課税に持つて行くことが適当でないもの、これを選びまして小売課税の方に持つて行こう、こういう改正案提案しておる次第でございます。
  32. 中崎敏

    ○中崎委員 貴金属加工の場合につきましては、局長の方ですでに実態はよく御調査と思うのであります。私の調査したところによりますと、大体こうした貴金属の加工業者というのは東京が中心である。そのほか大阪に相当ある。さうして東京においては約五十社、いわゆる問屋筋といつたようなものでありますが、これが受注者になると思うのであります。それが三百名程度の職人、それはしかもほとんど専属のような形になつておるようでありますが、それに持つてつて、加工を発注する。そうして今度はまた注文者に製品が返つて、これが全国にばらまかれるというふうな実態のようであります。これはきわめて単純な形と私は思うのであります。ところが今政府で考えておられるように、これが今度小売店頭課税ということになりますと、全国で約三万五千軒程度のものがあるといわれておるのでありますが、わずか五十社、しかも職人が三百人でありますから、この間の関係を調べれば今まではこれで簡単に課税ができる。ところが今度はかえて、消費者に近い店頭課税ということになると、全国三万五千、しかもこれがあらゆる税務署、あらゆる管下にばらまかれておる店を相手に税金をとる調査をするということになりますから、徴税費からいつてもたいへんだし、手数からいつてもたいへんだ。そういうことになつて、結局において煩瑣な結果だけを生んで——政府の考えておられるのは、一面においては、実情に即してできるだけよけい税金をとろうという考え方と思うのでありますが、かえつて私は逆の効果を生むのではないかというふうに考えておるのであります。ことに四月からいよいよ金を自由放出されて、ニトン程度のものを出されるということになつておるのでありますが、従前は金も禁制品であつたために、公然とは取引ができなかつた。いわばやみからやみへのものであるから、従つてこのメーカーをとつつかまえるのはなかなか簡単に行かなかつた。今度は大ぴらにできるのでありますから、ニトンならニトンだけ割当てて販売される。それが今度はメーカーの側においてどういうふうに分布されて使われるかということは、はつきり捕捉ができるものだと私は思う。そういうふうに、言いかえれば情勢がむしろ自由になつて、今度は容易に源泉をつかみ得るような段階になつたときに、かえつてこれを逆行して、煩雑な店頭課税に持つて行かれるということは、私はどうもその間の事情がわかりにくいのでありますが、そこらのいわゆる徴税手数、そうしてさらに今度は源泉として五十社程度の問屋、三百名程度の職人、これらの関連性を容易につかみ得るものだというふうに考えるものでありますが、これについての実態の認識をお聞きしたいと思います。
  33. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 ただいまお話のような点につきましては、われわれの方でも十分検討いたしてみたわけでございます。それで現在の形態としましては、一応東京を中心とし、あるいは大阪にある幾つかの問屋が主たる仕事をするであろうということはわかりますが、その場合におきましても、問屋が委託加工の形態をとるか、あるいはこれは法律的な関係とも結びつき、税法のきめ方とも結びつくと思いますが、むしろ職人である方を製造者として、一応金なら金についての原料はそこで買い仕切つてしまいまして、そして製造者はむしろ職人の方である、こういう形態をとつたという問題につきましては、従来の経験、あるいは同種の物品から見ましても、むしろあとの方の形態になつて行く可能性が非常に強いのではないか、こういうふうに思つております。もしそういう形態が一部でも出て参りますと、職人の方に課税が行くわけでございまして、しかも職人の方は問屋筋に対しましては非常に弱い立場にあるということも当然考えられるわけであまりす。しかもその性格からしまして、税率が非常に高いということもまた一つ考えなくてはならぬじやないか、そういうような点から考えて参りますと、なかなか製造の過程におきまして弊害なしに課税が順調に進んで行くということについては、相当疑問がある。もしもそういうことになつたならば非常に弊害が起るのじやないかとわれわれは心配しております。それから今度新しく金の放出になることお話の通りでありますが、しかし同時にこの種の製品、たとえば貴石、半貴石なども一応今度入りますが、この種の製品につきましては、製造という過程自身が一体どういう過程だろうというのがまたいろいろ議論があるわけでございまして、結局大体個別的なものが動いている。製造として課税を受けておりますのは、どちらかといいますと輸入された宝石などが保税地域から引取られますときに、いわば一種のみなす製造の形で課税されるという程度のものしか、製造という過程ではないわけであります。それからさらに金の関係からいたしましても、新しい放出金のほかに古い、いわゆる古金を使いましての製造というのがやはり相当あるわけであります。過去においてはほとんどそれが大部分であつたのが、この時分になりますと、なかなか放出された金だけの関係から押えられるからいいのだというようなわけとはちよつと事柄が違うように思つております。またその辺の課税がうまく参りませんと、放出金に対する分だけが課税されて困るじやないか、おかしいじやないか、こういつたようなことも考えてみなくてはならぬじやないか。確かにおつしやいますように、小売の店頭ということになりますと、小売業者の数はふえますが、しかし大体小売りでございますと、店があつて店の表へ出ているといつたような関係から見まして、いわゆる飾り職人さんがアパートの一室でやつてみたり、あるいはごく裏の方の家でやつていたという場合などに比べますと、はるかに表へ出ているといつたような関係からいたしまして、数は確かにふえますが、まあ小売屋さんの方が表へ出ている関係がはつきりしていますし、現在の税務署の分布と、あるいはそれに勤めている税務官吏の点から考えますと、この程度の仕事でございますればそう無理なしに行い得るのじやないだろうか、こういうような観点からいたしまして、一応小売課税をこの範囲についてやつてみたらどうか。小売課税にしならいいんじやないかという議論は、他の品物についても相当ありますし、またそれを広げることについてもずいぶん検討してみたのでありますが、それを広げることについてはさらに今後の検討にまつごとにいたしまして、この程度に範囲を狭めましたものにつきましては、やはり小売課税が一番適当ではないか。同時にまた小売課税にいたしますれば、現在の製造価格に対する税率等の関係から見まして、小売価格に対する課税になりますから、税率自体も相当引上げることもできる。これは感覚だけの問題かもしれませんが、この提案におきましても税率は二割になつております。そういう小売価格に対しての二割程度の税率であれば、この種の品物としましてはそれほどの税率とも思えない。このような関係を彼此勘案しまして、この種のものにつきましてはやはり小売課税が一番適当であろう。かような結論を出したわけであります。
  34. 中崎敏

    ○中崎委員 店頭の場合においては、一応店を持つておると考えられるのでありますが、必ずしも全部が店を持つていないで、こうしたものが、新らしいこういう制度になつたためにかえつて持ちまわりが相当できて来るということはもちろん考えなければならぬ。それでなくても相当あり得る。それから一つには十個あつても店頭に出しておるのは一個、二個、三個程度かもしれぬ。そういうおそれもある。それに対してどういうふうに税金をかけるのか。全国に三万五千もある店頭を調べて行くことはなかなか容易なことじやないと思う。また一つには旧地金というものが民間に相当流れておる。これはいつの時代においても相当多い。ただ一番多い密輸入というものはなくなるのじやないか。言いかえますと、金が今までは禁製品として取引ができないために、よそから密輸入しても高く売れる、もうかる。ところが今度二トン放出されることによつて、実際に加工すれば余るくらい。そうするとあとは加工もしないで将来の値上り、あるいは財産の保全のために金を隠しておくというものもあり得ると思うのですが、少くともこの対象となるところの加工という面から見ると、二トンじやあり余る。従つてこれは外国から輸入して来ても、それ以上に高く売れないのだから、密輸入というものは一応なくなりはしないかというふうにも考えられておつて、今日まで一番その対象となつた密輸入の金の問題というものは一応解消すると私は見ておるのです。そして今度店頭課税になるというと、職人のところに金を持つてつて加工してもらう。そうするとこれは何ら税金はかけられない。そういう面も相当今度起つたりして、私は政府の方で考えておられるように円滑に、しかもよけい税金がとれるとは見ていないのであります。そしてまたこのほかに、たとえばこの前も言つておられましたが、メーカーの方でかけるということになると、なかなか税金を立てかえるのはたいへんだというのであります。現在の取引の実態というものは現金取引のようであります。現在の貴金属に対する加工品については、たとえば六十日先で税金を払えばいいということになると、六十日間はメーカーが税金を自分のところで使つてちようど映画館で税金を六十日か使つておつたそうですが、それと同じように、あべこべに政府の金を使うという形になつておる。むしろその方で金融は助かつておるのだということもあるようでありますが、いずれにしてもいわゆる最終の消費者に近いところで物品税をかけるというその方針はいいのでありますが、一応メーカーの方でかけるという税体系を、ことさらそれがためにこのものに限つてだけそういう方針でやらなければならぬという根拠がわれわれよくわからないのであります。政府の方においても、この点をもう一度御検討願いたいということを申し上げて、この問題については質問を打切つておきたいと思います。
  35. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 簡単にお答えさせていただきます。店頭に並べられているものだけでなくて、裏に相当持つておるというようなことは確かにおつしやる通りであります。しかしおのずからそのことにつきましては調査の方法もございますし、また納税者とされましても、もちろん税金を免れることばかり考えている方がそう多いわけでもございませんので、われわれはその点、大部分の納税者につきましては信頼できるというふうに考えております。  それから一番この場合に問題になりますのは、いわゆるカバン屋とかいいまして、店を表に持たないで売買して歩く人についての問題はどういうふうに捕捉されるかという点が、いつでも御議論になるのでございますが、いろいろ調査して参りますと、やはりその人たちの相当部分といいますか、東京辺では大部分といつていいようですが、その場合におきましては、ちようど呉服屋さんが片方でもつて店を持ちながら片方でお得意先へ荷物をかついでいろいろまわつて歩かれると同じような関係で、やはり店を持つていらつしやる方がお得意先をおまわりになる、こういう範疇に属する人がかなり多いようでございます。東京辺ですと、ほとんど大部分がそうだということを、東京の係の者は申しております。しかしそれだけでなしに、あまり店をお持ちにならないで、まわつて歩かれる方がやはり相当数あるということは、これはあろうと思つております。ただわれわれの方といたしましては、所得税の課税などの面が別にございまして、そういう店を持たなくて商売をしていらつしやる方は、所得税に課税におきましても、なかなか調査のむずかしい点はあるのでございますが、しかし所得税の課税におきましても、やはりそういう方々についての調査は一応行われておるわけでございますから、従つてそういう方について、商売がそういう御商売であつて、店がなくてもやはりおのずから税務署の方にはある程度わかつておりますし、またわかつて参りますから、その方だけについて特に手が行き届かないということはないんじやないか。調査の点については難易の問題は私はあると思つております。しかしそういう方については、全部課税が逃げてしまうというような心配はないんじやないか、かように考えておりますし、また同時にそういう点についての心配があるだけに、執行の上におきましても特に注意して参るべきものである、かように考えております。
  36. 中崎敏

    ○中崎委員 今そういうお話があつたのでまた続けたいのですが、実は脱税——これはだれも脱税したくはないんだが、なかなか負担に耐えかねて、そういうことが非常に多いということは当然なことなんであります。そこで私の一番心配しておるのは、それだからといつてたくさんの小売業者に対してのこういう制度は困るというわけです。どうしても無理がかかつて来る。言いかえますと、二トンなら二トンというものをメーカーにちやんと申請さして払い下げてやるのだから、これはどこどこへ行つたということはちやんとはつきりわかる。それが何軒の下請加工業者に持つて行かれるということは、これは計画生産として必然的にきわめて容易にわかるのです。また税金の面においても、これだけとれるということは、初めからはつきり数が出て来る。ところがこういうふうに三万五千名、中にはもぐりの人間が相当いる。そういうことになると、これは計画生産ではない、税金はとれにくい。そこでどうしても無理をして、所得税は所得税で調査され、また物品税物品税で二重に調査をなされなければならない。現在の税務機構の実態はあまりよく知りませんが、いずれにしても間接税と直接税とは別個の機関において別個に運営されている。これは関連性があつて十分行き届いているとは思いますが、必ずしも全体がそういうふうに行つているとは思わない。そのために小売人の側から言えば、二重、三重に調査を受けてきわめて煩雑である。いわゆる代官というか、地頭というか、そういうふうな観念が依然としてこれらの業者には相当持たれておるということは否定できない。でありますから、やはり最もとりいいように、しかも最も摩擦がないようにというふうな形にしていただきたい、こういうことが私の希望なんです。
  37. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 この種の品物につきましては、製造課税に置くことが非常に困難であり、同時に決してうまく行かない。放出される金の問題につきましても問題があると思いますが、同時にそれ以外の問題もあるわけでございますので、非常に困難があつて、うまく行かないだろうという心配が非常に強いということは、先ほど申し上げましたから繰返しませんが、小売課税の問題におきましては、間接税の関係と直接税の関係とは係も違いますし、また調査する観点も違いますので、二重に調査を受けなければならないような一応の印象になります。ただおそらく東京のまん中の商売の人は、この種のものを相当多く扱つていると思いますが、そうでない地域の人は、貴金属製品といいますと、御承知のように金、白金を使つた製品とか、それから銀でございますと、いわゆる純銀と称して銀の棒、あるいは銀の湯沸かしとか銀のさじ、これも普通に言われるのは大体銀メツキか銀張りでございまして、ほんとうに純銀のホークというのは子供のホークとか特別のものがありますが、あまり一般的なものではないと思います。従つて普通の中都市辺の小売屋さんのお扱いになるこの種の量は、それほど多くの量でもございませんし、従いまして同時に調査の対象になりますのはその部分だけでございまして、その品物以外については、物品税の調査は全然関係ないのでございますから、それほど小売屋さん万に大きな御迷惑をかけることはないんじやないだろうか。それからいろいろなお話もございましたが、金時計あるいは時計の側、これらのものはやはり時計会社でつくりまして、決して飾り屋などでもつて普通につくれるものではございませんし、つくつても意味がないものでございますから、こういうものにつきましては製造会社でもつて押えるのが一番いいというふうなことは、われわれも同じように思いますので、この種のものにつきましては、今回の場合におきましても製造課税の方に残しておりますが、指輪でありますとか、あるいはブローチ的なもの、そういう種類のものにおきましては、製造の過程においてはそれがどうしてもこまかくわかれて参りますので、本来の性格である消費に一番近いところでとつて行く小売課税の方がよいのじやないだろうか、過去におきましてもやはり小売課税においてやつて来た。それは相当の理由があつてのことではないか。製造課税の方も数年やつて見ましたが、どうもうまく行かないというので、こういう一応の結論を出した次第でざいます。
  38. 中崎敏

    ○中崎委員 うまく行かないのは、今のような点もあるいは多少あるかもしれないが、今度の場合ならうまく行くかということも問題である。要は税収を確保することにあるのだが、はたしてそれだけのものが確保されるかどうかということは残された問題だと思う。今まで税収を十分あげ得なかつた理由は、一つにはこれは禁制品であつて、表向き大ぴらに加工できない、隠れ隠れでやみからやみへとやられて行くために、勢い税金の対象として大ぴらにできないというような実情にあるのだから、この点も一つ考慮されなければならない問題だと思うのです。今いろいろ御説明がありましたが、これだけを店頭課税にしなければならぬという重大な根拠が私にはまだ十分納得が行かないのです。この問題を残しまして、一応時間の関係もありますから、私の質問を打切つておきたいのでありますが、全般について私として相当まだ意見を申し述べたい点もあるし、お聞きしたい点もありますので、引続いて今後の質問に残しておきたいと思うのです。
  39. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 あまりくどくなりますので、私ももう前言を繰返すことはいたしませんが、確かに今までは金が使用制限をされていたということが、今までのうまく行かなかつた点についての一つの原因であつたと申し上げることはできようと思います。しかし何と申しましても、製造課税にしておきますとやはり五割という高い税率になりますので、金の使用の制限が解かれたといたしましても、今度は税金のゆえにやはり同じような事態が続いて起つて来るのじやないだろうかということを実はわれわれは心配しているわけで、ございまして、せつかく中崎さんがほかの問題に移られようとしているときに私がくどくど申し上げますと、なかなかこの問題と離れられないようでございますから、私もあまりくどくどと御答弁申すことはいたしません。どうも私の説明が悪いのか、御納得いただけないことを非常に遺憾といたしますが、われわれやつてみまして今言つたような事情にあるということだけを申し上げておきます。
  40. 奧村又十郎

    奥村委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時二分散会