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1953-02-25 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十五日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 奧村又十郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君    理事 佐藤觀次郎君       上塚  司君    大泉 寛三君       島村 一郎君    西村 茂生君       西村 直己君    宮幡  靖君       三和 精一君    荒木萬壽夫君       加藤 高藏君    笹山茂太郎君       吉田  正君    久保田鶴松君       坊  秀男君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      今泉 兼寛君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  木村 三男君         厚生事務官         (大臣官房国立         公園部管理課         長)      甲賀 春一君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 二月二十四日  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第九三号)  納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第九四号)  鉄道債券及び電信電話債券等に対する政府の元  利払保証に関する法律案内閣提出第九五  号) 同日  酒税法の一部改正等に関する請願河原田稼吉  君紹介)(第二五〇二号)  同(佐藤善一郎紹介)(第二五〇三号)  同外三件(船田中君紹介)(第二五五一号)  同(福永健司紹介)(第二五五二号)  日本製写真機等に対する物品税撤廃請願(加  藤勘十君紹介)(第二五〇四号)  台湾における外地資産補償に関する請願(中  田政美紹介)(第二五〇五号)  同(生悦住貞太郎君外一名紹介)(第二五〇六  号)  物品税中、貴石、貴金属の製造課税小売課税  に変更反対に関する請願加藤勘十君紹介)(  第二五〇八号)  外車の輸入関税引上げ反対に関する請願(關谷  勝利君紹介)(第二五四九号)  ネオントランスに対する物品税軽減請願(川  野芳滿紹介)(第二五五〇号)  理容師美容師事業所得税勤労所得税に変  更の請願赤松勇紹介)(第二五七七号)  同(楯兼次郎君紹介)(第二六三一号)  酒税引下げに関する請願外十一件(大橋忠一君  紹介)(第二五九八号)  同外三十七件(只野直三郎紹介)(第二五九  九号)  同外六十五件(川村継義紹介)(第二六〇〇  号)  同外百五十二件(木下重範紹介)(第二六〇  一号)  国鉄職員退職金に関する請願館俊三君紹  介)(第二六二四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  所得税法の一部改正に関する陳情書  (第一五二五  号)  燈台税設定に関する陳情書  (第一五二六号)  国民金融公庫下関支所設置に関する陳情書  (第一五二七号)  富士山本宮浅間神社奥宮境内地譲与に関する陳  情書(第二五二  八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)  開拓者資金融通特別会計において貸付金財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第三七号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律案内閣提出第三  八号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三九号)  製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第五九号)  米国対日援助物資等処理特別会計法を廃止する  法律案内閣提出第六二号)  国有財産法第十三条の規定に基き、国会の議決  を求めるの件(内閣提出議決第三号)  解散団体財産収入金特別会計法を廃止する法律  案(内閣提出第七七号)  設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七八号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第八一号)  アルコール専売事業特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第八二号)  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八三号)  製塩施設法の一部を改正する法律案内閣提出  第八五号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第九三号)  鉄道債券及び電信電話債券等に対する政府の元  利払保証に関する法律案内閣提出第九五  号)  中小企業金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 奧村又十郎

    奧村委員長 これより会議を開きます。  まず日程に追加し、国民金融公庫法の一部を改正する法律案及び鉄道債券及び電信電話債券等に対する政府元利払保証に関する法律案の両案を一括して議題とし、審査に入ります。  まず河野政府委員より、両案の提案理由説明を聴取いたします。河野銀行局長
  3. 河野通一

    河野(通)政府委員 ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由説明いたします。  国民金融公庫は、昭和二十四年六月資本金十三億円をもつて発足して以来、国民大衆の旺盛な資金需要に応じて、その後数次にわたつて増資を行うとともに、資金運用部資金の導入に努め、本年一月末においては、資本金百三十億円、資金運用部借入金六十億円の資金量をもつて約三百二十六億円の貸付行つたのでありますが、昭和二十八年度におきましても、公庫に対する資金需要相当多額に上ることが予想されますので、昭和二十八年度予算において一般会計から三十億円を公庫出資するこことし、これに伴つて公庫法資本金規定改正することにいたしたのであります。これにより昭和二十八年度においては、出資金三十億円及び資金運用部借入金五十億円計八十億円の新規資金のほか、既往貸付金回収金百六十一億円を加えて、二百四十一億円の資金のうち十一億円を資金運用部に返済して、なお二百三十一億円の貸付が可能となるわけであります。  公庫資金量の増大に伴い、公庫業務を一層円滑に行う必要がありますので、さらに次の諸点について公庫法改正を行うことといたしたのであります。すなわち、事務所の設置に関する制限規定を削除するとともに、公庫資金調達弾力性を持たせるため、借入金についての公庫法における予算上の制限を緩和することといたしたのであります。また公庫役職員の身分につきましては、さきに国家公務員法適用から除外したのでありますが、今回さらにその退職手当につきましても国家公務員の例によらないこととするとともに、国家公務員共済組合法適用を除外し、所要の規定を設けることにいたしたのであります。  次に鉄道債券及び電信電話債券等に対する政府元利払保証に関する法律案について、提出理由を御説明申し上げます。  別途御審議を願つております昭和二十八年度政府関係機関予算におきましては、日本国有鉄道及び日本電信電話公社は、それぞれ鉄道債券百二十億円及び電信電話債券百億円を公募して、その収入をもつて改良工事その他施設工事関係の経費の財源に充当することが予定せられております。政府といたしましては、これらの債券の募集を円滑ならしめるため、債券の元金及び利子の支払いについて保証をすることが適当であると考え、これらの債券元利支払いについて政府保証規定を設けるとともに、これらの者の外貨による長期借入金についてもあわせて保証する規定を設けようとするものであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。なにとぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 奧村又十郎

    奧村委員長 ただいまの両案の質疑は、次の機会に譲ることといたします。     —————————————
  5. 奧村又十郎

    奧村委員長 次に、公報に掲載いたしました十三の法案を全部一括して議題とし、質疑を続けたいと存じます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。吉田正君。
  6. 吉田正

    吉田(正)委員 銀行局長に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案についてでございますが、現在までの資金はどういうようにして調達されておつたか、それからその投資状態はどうなつておるかということをお尋ねいたします。
  7. 河野通一

    河野(通)政府委員 輸出入銀行資金調達の方法は、法律に書いてございますように、一部は政府からの出資、一部は政府からの借入金、そのほか法律上は外国金融機関その他から外資の借入れができるようになつておりますが、これは現在までのところ実際にそういう形で資金調達したことはありません。従つて現在までの資金の源は、政府出資金政府からの借入金で、政府からの借入金のうちには、来年度の予算を含めて考えますと、資金運用部または従来の見返り資金からの借入れということに相なつております。金額は、今の資金調達の源をわけて申しますと、資本金、つまり出資金が今年度末において二百十億に相なります。それから借入金が三十億。来年度におきましては出資をいたしませんで近く設定を考えております投資特別会計から四十億の借入れをいたします。これによりまして資金の総量は約三百億近くに相なる予定であります。  それから融資状態でありますが、結論的に申し上げますと、実はあまりはかばかしく進んでおりません。これにつきましてはいろいろ理由がありますが、やはり貿易一般における不振、この問題が非常に影響いたしております。貿易の不振の理由につきましては、御承知のようにいろいろな原因があるわけでありますが、特に長期プラントものにつきましてはなかなか相手方の競争もはげしいのでありまして、現在までのところでは計画通り融資状況が進んでおりません。残高、現在のところで約五十六億の貸出し残高ということになつております。しかし最近は、御承知のようにだんだんこのプラントものに対する引合いは相当旺盛に出て参つております。従いまして今後におきましては、国際情勢に非常に大きな変化のない限りはだんだん好転いたして参ることを私どもは期待いたしておる次第であります。  なお今御提案申し上げております改正法律案によりまして、海外投資等に対する資金の供給ができて参るということになりますれば、これらの面から相当輸出入銀行融資活動は活発になつて参るということが期待できると考えている次第であります。
  8. 吉田正

    吉田(正)委員 今度の法律案は、貿易振興のために非常にけつこうだと思うのですが、ただこの改正によつて、従来輸出入銀行活動が不活発であつたという点で、今度これを拡張することによつてどういう地域にどれだけの投資が予想されるか、それをひとつお聞きしたい。
  9. 河野通一

    河野(通)政府委員 今お尋ねの点は、この法律改正をいたしたことによつて海外投資という面の融資をやることになつた場合に、それがどういう方面に行くかというお話でありますが、これはまだ引合いとして非常に具体化しているというところまでは参つておりません。計画としては実はいろいろあるわけでございまして、大体数字で申し上げますと三十件近くのものがあるようであります。相手の地域は、大体インドメキシコ、ブラジル、インドネシア台湾、パキスタン、沖繩といつたふうなところであります。業種は大体機械工業、ことに紡績関係機械工業の分が、これはメキシコあたりに相当あるわけであります。それからインド等におきましては、製鉄関係工場プラント関係があります。それからメキシコにおきましては、螢石開発、あるいは造船所計画といつたものもございます。それから台湾におきましては、自転車その他の軽工業的なものの工場設置計画、また沖繩インドネシア等におきましては、真珠の養殖、橋梁の工事、漁網の工場、そういつたふうなものに対する引合い——引合いと申すまでには行つておりませんが、計画があるようであります。そのほか東南アジア計画全体につきましては、開発自体につきまして、あるいは地下資源としての銅、鉄鉱石、マンガン、塩、粘結炭、マグネシア・クリンカー、そういつたふうなものについての開発計画計画されておるようであります。まだ輸出入銀行の対象として具体的に取上げるまでの段階に至つておりませんが、そういつたものがだんだん熟して参ると期待しております。     〔委員長退席淺香委員長代理着席
  10. 吉田正

    吉田(正)委員 東南アジア開発ということは長い間の自由党のかけ声でありますが、実は鉄鉱石の問題についても、その他の問題についても、一向はかばかしいことはやつていないので、こういう方面に対しまして、輸出入銀行としまして、こちらからの投資の問題ばかりでなしに、向うの金を使うようなことについて何らかの対策がないかどうか。つまり向うの金といいますのは、こちらが投資してやらせるばかりでなしに、向うの金と一緒にしたやり方においてやるというようなことについて、そういうような具体的な問題が進んでいるかどうか。ことにマレー方面に対する問題は一体どうなつておりますか。
  11. 河野通一

    河野(通)政府委員 御承知のように東南アジア地域におきましては、資本、特に長期資本は実は決して豊かではないわけであります。従いまして、これらの地域資本との合弁によりましてこつちも投資をして行くということにつきましては、いろいろ計画はあるようであります。たとえばこれは一例でありますが、アメリカ等からの投資などが入つて来るとか、あるいはそれらの地域における政府自体がある程度何らかの形で長期資金調達するというような形でないと、なかなか十分に調達ができない状態のようであります。しかしながら、今お話のようなことにつきましては、十分促進をいたしたいということで、個々に研究はいたしております。御承知かと思いますが、一時、例のインドとの関係で目印の製鉄計画というものが実はあつたわけであります。これらはやはりインド自体資本日本資金アメリカ資金とを合せて、そこで製鉄関係の仕事をやろうという計画であつたのであります。この計画はその後のいろいろな事情で現在のところ実はさたやみになつておりますが、そういうようなことがモデルとして十分考えられると思いますので、個々に今後はそういう方面の工作を進めることが適当であろうと考えております。また、今マレーお話がございましたが、具体的にはまだ十分に進んでいるようには聞いておりません。
  12. 吉田正

    吉田(正)委員 銀行局長に続いてお伺いしたいのですが、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案について、この特別会計の現状はどうなつているかということと、それから、従来為替上の欠損が出ているかどうか、その決算状態はどういう程度であるかということを伺いたい。
  13. 河野通一

    河野(通)政府委員 他の政府委員からお答え申し上げます。
  14. 白石正雄

    白石政府委員 外国為替資金特別会計の今までの収益状況でありますが、この特別会計は二十六年度から設立せられておりまして、二十六年度といたしましては十三億程度益金が出ております。これは一般会計の方に納付になることになつております。二十七年度といたしましては、まだ見込みでありますが、大体十五億円程度益金が出る見通しであります。
  15. 吉田正

    吉田(正)委員 そうしますと、従来の決算上の不足金というのは今出ていないわけですね。
  16. 白石正雄

    白石政府委員 さようであります。
  17. 吉田正

    吉田(正)委員 そうすると、今度積立てしようというその積立ての基準は何に置いて積立てするわけですか。
  18. 白石正雄

    白石政府委員 特別会計といたしまして、決算上の剰余金が出ました場合におきましては、今までは全部一般会計納付することになつてつたわけでありますが、今後は原則として、剰余金の出た場合においては全部特別会計の方に積立てるというようにしているわけでありまして、剰余金が出た場合全部積立てる。ただ特別の必要がある場合に、予算一般会計の方に納付をきめた場合においては、その金額一般会計納付せしめる、かように改正したいというわけであります。
  19. 淺香忠雄

    淺香委員長代理 次に、中小企業金融に関する件について発言を求められておりますので、これを許します。佐藤觀次郎君。
  20. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 河野銀行局長に関連の質問でちよつとお伺いしたいのですが、今度中小企業金融公庫法という法律が出ると思いますが、これに関連いたしまして、現在商工中金が実際に大衆のためになつてないという事実をわれわれは見るのであります。この点について、商工中金に対してどんな考えを持つておられるのか、銀行局長からひとつ御答弁を願いたいと思います。
  21. 河野通一

    河野(通)政府委員 商工中金は、御承知のように中小企業対策の一番大きな重点がいわゆる組合を有成して行くという点にある、その組合を育成して行くということの中小企業対策の裏づけとして、これは俗な言葉でありますが、いわゆる組合金融——組合金融という言葉は実は正確じやないのですが、いわゆる組合金融中核としてやつて参る中小金融専門機関であります。この運営やり方等につきましては、いろいろ御批判もあるようでありますが、数年来中小企業金融の問題が非常に重大な問題となつて以来、急速に資金量を増加して参つております。現在まで商工中金に対しては、あるいは政府見返り資金をもつて出資をするとか、あるいは債券の引受けを資金運用部相当多額に行うとか、あるいは指定預金政府から相当多額にいたすとか、そういつたことで資金量を急激に充実いたしまして、現在まで中小金融、ことにそのうちでもいわゆる組合金融に対して相当貢献いたして参つておると考えております。今後におきまして中小企業金融公庫ができた場合において、商工中金との関係はどうなるかという問題をお聞きかと思います。     〔淺香委員長代理退席委員長着席〕  この問題につきましては、非常に私どもははつきり考えておるのでありまして、商工中金は、いわゆる組合金融中核とする金融機関であるという意味において、一般銀行等とは性格を異にいたしますが、しかしこれはあくまで民間金融機関であるという性格をはつきりいたしておるのであります。従いまして、今後中小企業に対する政府金融機関として中小企業金融公庫というものをつくりました場合におきましては、これは少し例が食い違うかもしれませんが、農林関係金融機構として、一方に農林漁業金融公庫という政府機関があり、組合系統金融機関として農林中央金庫がある。この関係とあえて違いない新しい中小企業金融公庫は何をねらうかといいますと、政府金融機関の体系として御承知のように開発銀行というものが一つある、これは基幹産業、主として大きな基幹的な産業を中心にする機関である。それから国民金融公庫というものがある、これは御承知のように国民大衆生業資金をまかなう政府金融機関であります。しかるに現在ではその間に位する、いわゆる中小企業政府金融機関というものが、実はないわけであります。そのいわばギヤツプを埋めるために、ここに新しい政府金融機関たる中小企業金融公庫をつくり上げよう、こういうことであります。現在中小企業金融をやつておりますのは、開発銀行見返り資金から引継ぎました部分につきまして、中小企業設備資金金融をいたしております。これらの仕組みをそのままこの新しい中小企業金融公庫が引継いで、その機能を果して行く、それをさらに拡充して行く、そういう構想に立つているわけであります。商工中金との間には、いろいろ世間には誤解があるようでありますが、私ども商工中金との間に業務上の重複とか、あるいは摩擦都下言うことはないというふうに考えておる次第であります。
  22. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように現在非常に中小企業資金に困つております関係上、昨日も北村徳太郎氏から予算委員会においてやみ金融の問題が出ましたように、現在資金需要が非常に増大しておるわけでございます。しかるに最近日中連からこの中小企業金融公庫に対して反対の声も上つておりますが、これはわれわれといたしまして、いくら日中連反対いたしましても、中小企業金融公庫は、今河野銀行局長が御説明なつたように、政府機関として絶対に必要なものでありますが、これは御承知のように、商工中金では一割三分の利息だし、こちらは一割というところに反対理由があると思いますけれども、将来中小企業金融公庫を十分に活用するためには、商工中金を合併させて行くというような、そういう構想があるかどうか、これについで御説明を願いたいと思います。
  23. 河野通一

    河野(通)政府委員 まず金利の問題に先にちよつとお触れになりましたので、それからお答え申し上げたいと思います。金利につきましては、御承知のようにやはり商工中金がコストの関係その他から一割二、三分ということになつております。これは別に商工中金が特に高いわけではございません。一般中小金融をやつております相互銀行が大体三銭五厘くらいでありましよう。三銭五厘というと、御承知のように大体一割三分程度になります。それから興業銀行あたりでやつております中小の貸出しがやはり三銭二厘くらいになつております。そういつた点で必ずしも商工中金金利が特に高いということにはならぬと思います。それから政府機関との金利関係につきましては、現在すでに開発銀行でやつております中小金融のレートが一割であります。そういつた関係から申しますと、今度の新しい中小企業金融公庫をつくることによつてこの問題が特に新しく起つたわけじやございませんので、従来からこの問題はあるわけであります。私ども商工中金金利を低くするようにいたしたいと考えておりますが、必ずしも市中金融機関金利と同じでなければならぬということには考えてないのであります。  第二点の、商工中金中小企業金融公庫に合併したらどうかというお話でありますが、私はそれは適当でないというふうに考えております。今後の商工中金のあり方、あるいは今後の運営仕方等につきましては、よほどこの問題について考えて参らなければならぬ点がありますけれども民間金融機関たる立場において、組合育成のための金融をつかさどる金融機関というものはあるべきである。政府金融機関をつくりました場合の中小企業金融公庫というものは、組合金融資金を限るということは適当でないと考えております。従いましてどうしても組合をつくることが適当でない業種、あるいは組合をつくらなくてもやつて行ける中小業種に対しても、政府一般金融機関からの金融がつかない限りにおいては、これらの新しい政府金融機関から金融をつけて行くということはどうしても必要である。政府金融機関たる以上、国民の租税その他から出て参つておるものでありますから、組合だけの金融にその業務を限るということは適当でない。しかし問題は、組合育成ということが中小企業対策として非常に重要であるということがわかりますから、その資金の流し方について、組合金融をやつております商工中金にどの程度ウエイトを置くべきか、ウエイトの問題は今後できるだけ十分に考えて参らなければならぬと思いますが、この新しい金融機関組合金融以外のものを締め出すことは適当でない。そういたしますと、やはり組合金融専門にやつて参る中小金融機関たる商工中金存在理由は明らかにあるというふうに私どもは考えておる次第であります。
  24. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点お尋ねしますが、問題になるのは、中小企業金融公庫ができましても、これをたとえば国民金融公庫のように支所をつくつて資金を流すか、あるいは銀行にだぶつかすかという問題によつて、これが一般中小企業者に対する貸付の問題についていろいろ意見が出ると思うのですが、そういう問題について、ややもするとこういう資金は、結局地方の銀行などに今まで関係のある人だけに流れるというような危険があるわけでございます。そういう点について、これはせつかく政府がこういうような中小企業のために中小企業金融公庫をつくるという有益な計画であつても、末端に行く場合に、これが途中で、あるところで区切れてしまうようなことがあるのでございます。こういう点についてどういう御所見を持つておられるのか、その一点をお尋ねしておきたいと思います。
  25. 河野通一

    河野(通)政府委員 中小企業金融公庫金融やり方が、公益と申しますか、本来の設立の使命に反するような運営の実情にならないように十分心がけて参りたいと思います。中小企業金融公庫運営の基本的な考え方は、先ほどもちよつと申し上げましたが、第一は、政府機関であるから、民間金融機関金融を補完するということが第一点。それから機構はできるだけ簡素なものにして行く、そうして既存の金融機関の窓口なり機能をできるだけ活用して行く、この二点をはつきりやつて参りたいと考えております。従いまして店舗等につきましても、現在のところではそうたくさんの支所を置くことは考えておりません。さしあたりは東京に本部だけを置けばいいと考えております。そして原則は、できるだけ一般民間金融機関の機能を活用するやり方、つまり代理貸しの制度を活用して行きたい。これは農林漁業金庫が、御承知のように農林中金その他の一般金融機関の窓口をみな活用いたしておりますことと同じような方法でやつて参りたいと考えておる次第であります。
  26. 吉田正

    吉田(正)委員 中小企業金融が末端においてうまく行かない。そして実際に金を借りられるのは、中小企業のうちでも、中の方はみな借りられて、小は全然借りられないというのが地方の情勢なんです。従つてそのために、御承知のようにやみ金融がはやつて来ている。最近の情勢は、地方の都市には十くらいやみ金融の会社がある。またこれに預けるのが月二分五厘から三分くらいで預けるわけです。ところが現在のように株価が上つてつたり、土地の値段が高いときにはいいのですが、これがちよつと下りかげんになつたら、ばたばたやられるのではないか。これに対して大蔵省の方では何らの取締りをしない。それに対しては検察庁がこれから動いて、これを取締るというようなことが出ているのですが、検察庁が出る前に、大蔵省ではこういうものに対して法的な措置をつくつたらどうかということは、前からもいろいろな意見があるのでありますが、この際そういうものを法律の上で規制しまして、それに対して十分な監督をするようなことにしまして、何か法律案を出す用意があるかどうか、伺いたい。
  27. 河野通一

    河野(通)政府委員 今お話のいわゆる金融業者につきましては、この委員会でもたびたび政府の態度を詰問を受けております。先般も内藤委員からこの問題について御質問がありまして、経過をお話申し上げたのでありますが、実はきのうも予算委員会で、北村さんからこの問題については御質問を受けております。お答えはまつたく同じことを申し上げるよりしようがないと思いますが、現在のところでは、関係当局との間にいろいろこの問題について検討いたしております。残念ではありますが、いまだに結論に到達いたしておりません。ことほどさように、非常に法律的にも経済的にもむずかしい問題がたくさんあるし、影響するところが甚大であるという観点から、慎重に研究して参りたい。ただ慎重に慎重にといつていつまで研究するかというおしかりをしよつちゆう受けているのでありますが、これは近日中に政府としての結論を得るつもりであります。得た上は、お約束に従つて、この委員会で私ども政府としての全体的な態度、ただ大蔵省だけでなくて、今お話のありました検察庁を含めた政府としての態度をはつきり申し上げられると思います。ただそのわれわれの態度が皆様方の御満足の行くような結論が出ますかどうか、その点については御批判をいただくよりしかたがないと思います。何か特殊の法律を今つくることを考えておるかという御質問でございますが、この点につきましても、研究はいたしておりますが、現在のところでは、特別にこのための立法措置を講ずることは考えておりません。しかしその問題も、法律をつくる必要があるかないかについて総合的に研究はいたしております。
  28. 吉田正

    吉田(正)委員 影響するところが大きいのは私どもも考えているのですが、早くしませんと、そうして同時に、法律によらないで何で取締るか、どういうように取締るのか、今の場合話せることがあつたら話していただきたい。と申しますのは、農村の金がどんどんそつちに流れて来ているのです。そのために、都市付近の農村の信用組合の貯金がだんだん減つて行く、あるいは郵便貯金が減つて行くという状態、これはゆゆしい問題で、一日遅れれば遅れるほどたいへんなことになる。これはこの前の国会から問題になつている。それを慎重に慎重にとやつているうちに、どんどんそれが大きくなる。慎重もほどほどにしたらどうかと思うのですが、これに対して、法律的な根拠なしにどういうふうにやつて行くのか、お聞かせ願いたい。
  29. 河野通一

    河野(通)政府委員 その点も含めて今研究をいたしておるわけであります。今までたびたびそういうことを申し上げてしかられているのですけれども、今度は近日中にはつきり態度をここで表明いたします。お約束いたします。
  30. 川野芳滿

    ○川野委員 実は中小企業金融金庫法が不日出ると思いますが、その所管委員会があるいは大蔵委員会にならないかとも考えますので、この際御質問申し上げてみたいと思います。中小企業金融金庫と申しますると、名のごとく小さい業者に金融をする、こういうふうに私ども考えているわけであります。新聞に出ておりまするその記事を見ますると、一千万円以下の資本金のものを中小企業と認める、こういうことが書いてあつたようでございます。一千万円と申しますると、これは相当な資本金でございまして、こういう階級に金融をいたしますると、小さい業者にそれだけ金融が薄くなることを心配している人が多数いるわけでございまするが、これらについて、銀行局長の意見を承つてみたいと存じます。
  31. 河野通一

    河野(通)政府委員 この委員会でもたびたびその点については御議論が出ておりますが、中小企業のカテゴリーをどういうふうにきめて行つていいかということは、なかなかむずかしい、線の引けない問題であります。現実には千万円程度というのが、いわゆる中小企業として行政上いろいろな問題をやつております場合の大体のラインになつております。例を申し上げますと、たとえば開発銀行中小企業融資をいたしまして、これがやはり千万円であります。それから中小企業信用保険制度、これは近く改正の法案が国会に提案されることになつておりますが、これも大体千万円になる予定であります。そういつたいろいろな例を見ますと、大体千万円程度資本金あるいは貸出額というものが、常識的に見て中小企業というものの線ではないか。これはいろいろ御見解の相違はあるかと思いますが、一応線が引けると思います。ただ問題は、千万円の資本金という、中小の中では比較的大きい方のところへ融資が固まるということは避けなければならぬことでありまして、現実の運用としては、十分その点は考えて参りたいと思います。また非常に小さいものでありますならば、これは御承知のように生業資金と申しますか、家計と事業とが分離してない状態でありますが、こういつた零細企業の金融につきましては、私は中小企業金融公庫がやるべきではなくて、国民金融公庫がその対象になるべきだというふうに考えております。千万円という線を引きましたからといつて、千万円近くのものだけに中小企業金融公庫融資するということはできるだけ避けて、運用によつてそういうふうにやつて参りたいと考えております。
  32. 川野芳滿

    ○川野委員 えてして銀行経営というものになりますると、千万円という線が引かれますと、この千万円の人、あるいはこれに近い人を対象として融資をする場合が多いのであります。実は一度中小金融の問題で地方銀行あるいは市中銀行が問題になりました際に、中小企業専門の支店をつくり、この支店によつて中小企業金融をまかなうという御説明があつて、その支店ができたのでございまするが、できました当時は、なるほど小さい業者に融資をいたしておつたが、だんだん日がたちますと、その専門銀行が、中小企業と申しましても、中小企業の部門のうち大きな部門だけに融資をしたという数字が多くなつておる。こういう点から考えますると、ただいまの御答弁のように、一千万円といたしましても、一千万円の資本の人だけに融資するものではない、小さい人にもする、こういうふうにも申されますが、実際問題として一千万円と申しますと、見ようによつては大企業と申してもさしつかえないと私は思うのでありまして、こういつた小さい方面金融が薄くなるということが考えられるのであります。実はこの問題は、すでに閣議決定になつたものと私は聞いたのでありまして、そういう域に達していなかつたなら、私はひとつお考えをかえてもらいたいと考えておつたのであります。しかし新聞を見ますと、閣議決定を見ておるという実情でございますので、大きいものと小さいものとのわくと申しますか、そういう数字をある程度明らかにして、そうして小さい部門にできるだけ多くの融資をするというふうにしていただきたいと思います。と申しますことは、数日前日本全国の中小企業者の大会がございましたが、この大会におきましても、五百万円以上の資本金を持つものは中小企業にあらず、これは大企業である、そこで五百万円以下にしてもらいたいという空気が圧倒的でございました。こういう大会に銀行局長も御出席になつて、この空気をごらんになるならば、一千万円の資本というものはなるほど中小企業とは考えられないという気持も起ると考えるのでありますが、こういう点にも深甚の御注意を希望するわけであります。  さらにつけ加えて一言申し上げておきまするが、政府の方針というものは、大企業に融資をいたしておられる。小さい業者には国民金融公庫によつて融案されると申されますが、今実際の国民金融公庫融資面を調べてみますと、大体申込者の何割というわずかだけしか実は融資を見ていないわけであります。こういう点から、いろいろ問題になりまするやみ金融というものが必然的に出て参るわけであります。こう考えますと、政府の無策のために国民金融公庫が活躍できないということになりますと、やみ金融というものもある程度認めざるを得ないということになつて参ると私は考えます。今やみ金融やみ金融といろいろな悪名を打たれておりますが、実際の面としては、これを喜んでおる階級が多数ある。こういうことから考えますと、ただいま法案を出すなんということは考えていないという答弁もございましたが、もう一歩前進して、やみ金融のうちでもりつぱな金融法律の中に入れて、そして小さい融資をするところの金融機関というものをある程度お認めになる、こういうふうに法律をおつくりになつたらどうかと私は考えるわけでございます。今の御説明によりますと、いろいろ考慮中であるというお話がございましたが、さらに一歩前進して、今の小さい金融も認めるという方向にも考えを及ぼされたらどうかと考えますが、局長の御意見を承りたいと思います。
  33. 河野通一

    河野(通)政府委員 最初のお尋ねでありますが、一般金融機関が、どうも小さいものに金融をいたさないという御指摘であります。この点は、えてしてそういう傾向がありますので、私どもといたしましても、そういつた中小企業に対する金融を軽視してはならぬということでいろいろ指導はいたしておるつもりであります。今例に引かれました銀行中小店舗の問題でありますが、これも御指摘のように、必ずしも成績が芳ばしくないので、この点は今後も十分注意をいたして参りたいと存じます。しかしながら一般のいわゆる中小金融機関、たとえば信用金庫でありますとか、相互銀行でありますとか、そういつた金融機関をごらん願いますと、貸出しの平均額が一人当り——これはながなか計算がむずかしいのでありますが、一応一人当り計算しますと、やはり二十万円から二十五万円ぐらいが平均じやないかと思います。そういつた数字から見ますと、私は必ずしもこれらの中小企業専門金融機関が、中小のうちの大きなものにばかり金融しておるのではないと考えるのであります。これは実績が示しておるのでありまして、国民金融公庫の平均が現在おそらく十二、三万円でしよう。それに比較いたしまして、相互銀行あるいは信用金庫の一人当りがおそらく二十万円から三十万円程度であろうと思いますので、そう中小のものに全然金融をいたしておらぬということにはなつておらぬと私は考えるのであります。しかし御指摘の点は十分に注意しなければならぬことはまつたく同感でありますから、今後中小のうちでも、そのうちの小さい方の部面についての金融を軽視しないように、十分運営上考えて参りたいと思います。  第二点のいわゆる貸金業者の金融の問題でありますが、これを何か立法化して、それを合法化というか、あるいは制度化したらどうかというような御意見は、かねがね実は当委員会でも承つておるのであります。この問題につきましては、結論を先に申し上げますと、先ほど申し上げましたように、近く政府としての態度を申し上げる際に十分ここで御議論をいただき、そして私どもの考えについての御批判をいただきたいと考えておりますが、実は法律によつて制度化するという意味にはいろいろあるわけであります。それに何か正規の金融難関としての立場を与える意味の制度化とい意見もありましようし、またそれを非常に厳重に取締り監督するための制度化という意見もありましようし、同じこれを法制化するというのにも意見がいろいろあると思います。私どもは、大体金持が自分で金を持つてつて、その金を貸金に充てるという普通の従来の貸金業者、これは何ら取締る必要もないので、まただれにも迷惑をかけない。従つてそういうものを制度化するとかどうとかいう問題はないと私は考えます。ただそれが反社会的と申しますか、金を借りる人が弱い立場にあるので、その弱味につけ込んで反社会的な高い金利をとるという点だけを取締ればいいので、一般の公衆から預金を集めるというようなことをやらない限りにおいては、私は問題はないと思います。結局、今問題になつておりまする株主相互金融方式、あるいは匿名組合方式による金融資金受入れのやり方が、一体預金を受けておることになるのかならぬのか、その問題に帰着するのであります。そしていずれかの結論が法律解釈として出た場合に、それをどうして行くかという問題に帰着するわけで、同じ法制化する、あるいは制度化するというのにもいろいろな意味があるわけであります。これらの点につきまして、あらゆる観点から今検討をせつかく加えておる段階にあるわけであります。御意見の点は十分拝聴いたしまして、われわれの結論を得るにあたりまして十分考えては参りますけれども、いずれ私どもの態度がきまりました上で、これらについての御叱正をいただきたい、かように考えております。
  34. 奧村又十郎

    奧村委員長 委員長からもつけ加えて申し上げます。先ほどの佐藤觀次郎君、吉田正君、川野芳滿君からの御質疑にありましたやみ金融取締り対策政府の方針につきましては、いずれ来週理事会にお諮りした上、皆様の御賛同を得て、特にこの問題を取上げて、大蔵省、法務省の関係政府委員を招致して十分質疑いたしたいと思います。
  35. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 関連質問……。銀行局長が来られると、こういう問題でいつも堂々めぐりをやるわけですが、これはよほど重大な問題でございまして、私たちはいくら銀行局長やみ金融を取締るといつて名目上取締つても、やはり現実にやみ金融、高利貸しをする者があるわけです。けれども、こういう問題をどういうように解決するという大蔵省の積極的な施策がなければ、いくら法律上で取締つても、裏へ裏へ行つて大衆が泣くというような結果になると思うのであります。そういう点について、先ほど川野委員からも一千万円の貸出しを中小企業者に対してやるよりも、たとえば百万円なら十人貸出しできるというような解釈もあるわけで、そういう問題についてもいろいろ議論がありますが、私たちの望むのは、そういうようなただ上から取締るというようなことでなしに、これを取締らなくてもいいというような方法をどうして講じないかという点で問題がある。そういう点について、大蔵省は現在の国民金融公庫、あるいは中小企業公庫ではたして現在のやみ金融を押えるだけの力があるかどうか、この点についてひとつ銀行局長の御意見を承りたい。
  36. 河野通一

    河野(通)政府委員 誤解を招かないために申し上げておきますが、今いろいろ議論が出ておりますのは、私はやみ金融という言葉を実は使つておらぬのであります。いろいろな業態があるが、そうした貸金業者等の形態がどうかということを申し上げておるので、いわゆるやみ金融ならこれは取締らなければならぬ。やみ金融があるかどうかということが問題になつておる。これは余談でありますが、私は先ほどもちよつと申し上げましたように、昔のいわゆる普通の状態における貸金業者、自分の金を持つている人が金を貸すということは、何ら取締る必要もない、その人が株を買うのと同じことなんで、何らさしつかえない、それを非常に高い金利、反社会的な金利をとるという点で問題があるので、普通の形態の貸金業者は何ら取締る必要がないと思う。反社会的でない貸金をやるのなら、これはほつておいていいじやないか。ただ問題は、今お話のように国民金融公庫なりあるいは今度新しくできます中小企業金融公庫資金源が少いのじやないか、それをふやして大いに機能を拡充するならば、もしかりに適法でない金融機関が跋扈いたしておるとすれば、これらを押えるよすがになるじやないかという御意見につきましては、これはしごく私どもは賛成であります。しかしたびたび申上げておりますように、私の力が足りない点はお許し願いたいのでありますが、財政上の事情もございまして、現在来年度の予算に組んであります程度政府資金しかこれらの機関につぎ込むことができなかつた。これはできるだけ財政の許す限り多額につぎ込むべきだと私は考えております。
  37. 奧村又十郎

    奧村委員長 淺香忠雄君。
  38. 淺香忠雄

    ○淺香委員 今泉監理官に昨日タバコ小売許可に関しまして質問をいたしましたが、それに対してきよう資料をいただいたのでありますが、不具廃疾者に対して今日まで優先的に扱つて来た、そのパーセンテージはどのくらいかといえば、きようお出し願つた資料では二五%、ところが今度は未亡人の生業資金に関する法律が先般の国会で通りまして、未亡人としては非常に期待が大きいわけであります。従つて今御承知の通り、市町村の役場で生業資金の受付をやつておりますと同時に、一方においてはタバコの許可をもらいたいというので、出張所へ間合せも相当あるかのように聞いておるのであります。ところが率直に申しますと、昨日私がこの質問をいたしましたところが、当局の方においては御準備がないかのように私は考えるのであります。そこでこの法律が出ました前後に、タバコ関係の方に事前にこの問題について提案者の方から御相談があつたか、あるいはまたその後この法律が出ましたことをお知りになつてどういう御計画をお立てになつたか、この点を先にお伺いしたいと思います。
  39. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 最初の御質問の二五%ということについて、ちよつと誤解があるようでございますが、差上げました資料は未亡人だけの資料でございませんので、全般的に平均して申請による許可があつたのが二五%ということになつておりますので、一般的な数字でございます。ただ今まで不具廃疾者、未亡人関係については、特別に区別してそういう統計をとつておりませんので、今のところ本社の関係では区別した数字が出ておりませんけれども、今後はそういつたケースも実際にわけてとりたいと考えております。おそらくそういつた実情を調べますれば、これは平均でございますから、不具廃疾者、それから未亡人関係は最近起きた問題でございますので、まだ実績等もごくわずかじやないかと思います。しかし、不具廃疾者関係をとりわけてとれば、かなり高いパーセンテージになつていることは想像できると思います。  それから第二の方の、今度未亡人関係で申請があつた場合に、これを小売業者に優先的に指定するという問題、この議員立法を先般出されて通つたわけでございますが、その問題につきましては、議員の皆様方の方から、また厚生省の方から事前に私どもの方に協議がございましたが、たいへんけつこうな法律であるから、公社としても異存ないということで御返事申し上げて、あの法律が通つたように記憶しております。最近公社におきましては、全国の販売部長会議を招集しておりますので、来週そういつた関係者が全国から集まることになつておりますから、その席上で御趣旨のところは十分伝えまして、今後未亡人等につきまして、資格があつて申請したものにつきましては優先的に取扱うように、なお一層法律の趣旨の説明方、徹底方については万遺憾なきを期したいと考えております。
  40. 淺香忠雄

    ○淺香委員 不具廃疾者は優先的に取扱わなければならぬということになつているにかかわらず、きようの資料から見ましたら、全部含めて二五%というのですが、その不具廃疾者はそういうふうに優先的に認めなければならぬということになつておれば、本部の方でもこういつた統計はいつでも出せるように御準備があつてしかるべきものであつて、これは一般の許可の方に、不具廃疾者も優先的に認められておるけれどもつておるのだということであれば、これは何ら優先の価値はないと私は思う。  それからいま一点は、この法律を出す前に事前に相談があつた。まことにけつこうな法律であつて、私どももその通りやりますからというようなお話がかりにあつたといたしましたら、これはあなたの方の重大な手落ちとまでは行かなくてもあまりにも事なかれ主義ではなかつたか。何となれば、今日この申込みの二五%の許可を与えた数字は、これは間違いないと思いますけれども、私ども選挙区においてタバコ小売の許可の申請等で出張所などへ参りまして話を聞いてみますと、大体一割前後のように聞いておるのであります。ここに皆さんがお出しになりました数字と、私どもが選挙区で出張所等で聞きます数字と相当違いがある、かも非常にきびしい、こういうような今日の事態に、未亡人に対する生業資金関係して、タバコの許可を優先的に与えるというようなことになりました場合には、おそらく私は申込みが殺到するだろうと思う。その殺到しました申込みに対して、皆さんの方でこれをどう処置して行かれるか。こういう状態で進んで行きました場合には、おそらくこれは不許可だろうと思うのです。そんな場合には、何だ、法律にこれをうたつて、ちつとも許可をしてくれないじやないかというようなことで、物議をかもすような原因をつくる結果になる。しかもその物議をかもす原因はだれがつくつたんだといわれれば、議員立法だといわれるかもしれませんが、議員立法にいたしましても、その法律を作成いたします前に皆さんと御協議があつたということであれば、その協議に乗られて、よろしいといわれたのだから、あなた方に対する責任はまぬがれぬと私は思う。そういう意味におきまして、きのうのお話では、今十三万五千人のところを三万何千人ふやす予定だといわれますが、その二割五、六分程度の増設のお考えのうちに、こういうものが入つているか。私はこれは社会的にむしろ不安をかもすようなことになつて困る問題が起きて来ると思うのであります。もう少しこれに対する対策をお考えになつてもらわなければ困ると思うのですが、もう一ぺんその点について、ひとつ対策等がありましたら御説明願いたいと思います。
  41. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 二割五分平均で、大体申請に対して許可がなつている、少し甘いのじやないかという御質問ですが、この計数は間違つておりません。ただこれは全国平均でございますから、ある特定の地区等をとつた場合は、一割のところもございましようし、あるところは三割、四割というところもございましようから、その点は地区別に見た際と全国的に見た際との食い違いが若干あることは御承知願いたいと思います。この計数自体は間違いございません。  それから未亡人が非常にたくさん申請するのじやなかろうか。これもある程度予想はできまするが、しかし未亡人、不具廃疾者であるからといつて、全然無条件で許可されるわけでございませんので、昨日もちよつと申し上げましたように、やはり一定の条件だけは具備しなければならぬ、それから数も来年度においては新たに増加するのは大体三万五千という計数で、これは最近の増加件数からいつて非常に多い件数でございますが、全体から行くと、大体三万五千くらいということを予定しておりますし、そんなことで申請があつたのが百パーセント必ずしも通るとは考えておりませんが、一定の資格要件ということを考えてみますれば、そう驚くほどの申請件数があつて、それに対して二五%にも満たないというような懸念はこうもなかろう。現在の平均も二五%になつておりますし、御指摘のように不具廃疾者だけの計数が今日出ておりませんので、不具廃疾者は一体どのくらいの高いパーセンテージになつておるかということは今日御説明できませんが、おそらくこれを実績と見た際に、不具廃疾者の方は一般よりかなり高いパーセンテージになつておると思います。従つて本年度において、未亡人関係者の方から一定の資格要件を備えて申請されたものについては、相当高いパーセンテージで許可が相なる、こう考えております。しかし実際の取扱いにつきましては、単に法律上の優先じやなくて、運用上も確かに優先するようなあたたかい心持をもつて地方を指導して行きたい、こう考えております。
  42. 淺香忠雄

    ○淺香委員 一定の条件というのは一体どういう内容かを御説明していただきたいと思います。
  43. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 現在タバコの小売人を指定する際には、事務取扱い手続というようなものがありまして、昭和二十四年の六月一日付で、総裁名で出しております。かなり詳細の規定がございますので、これを印刷してお手元に差上げた方が非常におわかりがいいのじやなかろうか。後刻印刷してお届けいたします。
  44. 淺香忠雄

    ○淺香委員 資料を出していただくこともけつこうであります。しかし私はなぜその条件の内容を示してもらいたいかといえば、ちよつと生業資金でも借受けようかという未亡人には、できぬような内容になつておるように思うのです。そこで質問をいたしたわけです。それならば、未亡人等に対して優先的に取扱うというその条件はどういうところにあるのか、もう一ぺん伺いたいと思います。
  45. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 ごく中心のことだけちよつと申し上げますと、条件として掲げてあります第一項は、予定営業者の位置、構造、設備の適否、第二点としまして、予定営業者と近接小売営業所との距離及び指定後これに及ぼす影響の程度、三、申請地付近の交通の繁閑及び便否、四、供給区域の戸数及び人口、五、一箇月の製造タバコの取扱い予定高及びこれに充てることのできる資金の額、六、資産信用の程度及び営業経営能力の有無、七、事業として製造タバコの品質保持上適当なる物品を取扱つているかいないか、大体こういつたことが要件になつております。
  46. 淺香忠雄

    ○淺香委員 問題は資産信用のところに関係あるわけでありまして、これはどういうような基準をお持ちなのですか。——資産内容についてはお答えに手間取るような様子なのでありますが、それならばどういう標準をもつて許可の条件にしておられるかということを、具体的に資料としてお示しを願いたいと思います。  いま一点は、今の御答弁では、そんなに殺到するように考えられぬ、これはあなたの考え方と私の考え方との相違点でありまして、今日生業資金でも借受けようかという未亡人が、第一番に小商いをしたいなあ、小商いでもして子女養育でもして行こうかということを頭に浮べました場合に、どういう商売をするかといえば、第一番にタバコ屋を許可をしてもらつたら非常にきれいな仕事であり、頭を使う商売でもないからいいがなあということを、一般にふつと浮べると思うのであります。従いましてそういつた小むずかしい条件をお知りにならぬ、申込みさえすれば許可でももらえるかのような錯覚を起しておられる方は、相当あると私は見るのであります。従つてあなたが言われるそんなに数はあるまいということと、相当殺到するであろうという私の考えとは、見解の相違でありますが、もし殺到するといたしまして、それに対する対策をお聞きいたしたいと思うたのであります。昨日から今日にかけての御答弁の内容を聞いておりますと、どうもその対策はお立てになつておらないように思われますので、きようお答えができなかつたら、その対策を至急にお立てになりまして、次会の委員会で、この場合にはこうする、こういう場合にはこういう計画を進めるというように明確に御答弁をいただきたいと思いますと同時に、専売公社の方から総裁なり副総裁なりがお出ましになつて、この問題に対する方針を明らかにしていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問をきようは打切ります。
  47. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 最初のお尋ねの資金の問題でございまするが、大体その小売店で取扱う一箇月の販売額の二割程度の自己資金は必要だということが、一定の許可の標準になつております。  それから第二の方の、見解の相違だと申されましたが、私もおそらく未亡人でタバコ小売業者をやりたいという人は非常に多いと思います。これはまつたく同感でございまするが、しかしやりたいからといつても、やはり一定の資格要件がありませんとできないわけで、それには今の資産の問題もございますし、さきの地理的条件、それから既存の営業者との関係もございます。従つてやりたいという際には、おそらく出張所を尋ねて、どういつた要件があれば許可されるものでしようかという相談があると思います。その際に、できるかできないかという大体の見通しがつくわけでございますから、実際に申請書となつて現われる数は、そう法外に多い件数とは私は考えておりません。それから対策と申されますが、そういつた法律も通つたことでございますから、その点は、出張所その他にそういつた希望者がありましたら、かくかくの条件であればできるのだということを周知徹底させて、申請があつたときにはできるだけ丁寧に、従来はとかく期間なども遅れがちでありましたが、こういつた者については優先的に取扱つて、早く許否を決定するような取扱いに持つて行きたいと考えております。
  48. 淺香忠雄

    ○淺香委員 資産とか信用の条件に合致せないもの、これは当然だめなのでありますけれども、その標準に置いておられる資産は、もちろん各局によつてまちまちでありましようが、大阪あたりでは、これは数字が間違つておるかわかりませんが、私が聞いておるところでは、十数万円の資産がなければならぬ、こういうことであります。しかも陳列等をつくるのには指定の陳列屋さんにつくらすと、これも数万円かかる。結局二十数万円なければ今日タバコの許可がとれぬというような標準になりまして、これは初めから、申込んでもあなた方はだめですといつて門戸をとざした条件と同一であると考える。そういう意味におきまして、資産信用等の条件を具体的に数字をもつて示していただきたいというのが、私の質問の要点であります。  それからいま一点は、許可をされます場合には出張所の方に申込む、出張所の方はこれを調査し、本部の局の方に送る、そして最後に局長がこの許可、不許可をされるというきのうの御答弁でありましたが、どうも各地においてタバコ小売組合理事長さん、あるいは役員の方が出張所の所長と話し合つて、この許可を押える傾向があるかのように聞いておるのでありますが、この点はお調べになつたことがありましようか、もう一ぺん答弁していただきたいと思います。
  49. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 最後の点は局長の裁定によつてきまるわけでございますが、今御指摘のようなうわさのあることは私も聞いております。従つて機会あるごとに、公社以外の第三者がそういつたことについて容喙して、せつかく適格要件を備えているものが第三者の意見で左右されることのないようにということは、従来もそういつたうわさがあることでございますので、そういつたうわさの事実がないように鞭撻いたしておるわけでございますが、あるいはまだ末端まで徹底してないうらみがないとも限りませんので、今後についてもそういつた事実のないように、十分気をつけて参りたいと思います。
  50. 奧村又十郎

    奧村委員長 次会は公報をもつてお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十七分散会