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1953-02-21 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十一日(土曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 奧村又十郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君    理事 佐藤觀次郎君       上塚  司君    大泉 寛三君       大村 清一君    小山 長規君       島村 一郎君    西村 茂生君       宮幡  靖君    三和 精一君       笹山茂太郎君    平岡忠次郎君       坊  秀男君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    塩崎  潤君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月二十一日  委員岡本茂君及び永山忠則君辞任につき、その  補欠として西村直己君及び小山長規君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 二月二十日  解散団体財産収入金特別会計法を廃止する法律  案(内閣提出第七七号)  設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七八号) 同日  酒税引下げに関する請願外二十六件(加藤鐐五  郎君紹介)(第二二三二号)  同外三件(吉江勝保紹介)(第二二三三号)  同外二件(黒金泰美紹介)(第二二三四号)  同外九件(濱地文平紹介)(第二二三五号)  同外三件(淺香忠雄紹介)(第二二三六号)  同外一件(前尾繁三郎紹介)(第二二三七  号)  同外五件(大西禎夫紹介)(第二二三八号)  同外二件(田子一民紹介)(第二二三九号)  同外四件(森清紹介)(第二二四〇号)  同外九件(小坂善太郎紹介)(第二二四一  号)  同外一件(菅家喜六紹介)(第二二四二号)  同外十三件(中野武雄紹介)(第二二四三  号)  同(首藤新八紹介)(第二二四四号)  同(押谷富三紹介)(第二二四五号)  同(金子與重郎紹介)(第二二四六号)  同(上塚司紹介)(第二二四七号)  同(宮幡靖紹介)(第二二四八号)  同(福井盛太紹介)(第二二四九号)  同(岡田五郎紹介)(第二二五〇号)  同(北れい吉紹介)(第二二五一号)  同(山崎巖紹介)(第二二五二号)  同(甲斐中文治郎君紹介)(第二二五三号)  同(大上司紹介)(第二二五四号)  同(坂田道太紹介)(第二二五五号)  同(熊谷憲一紹介)(第二二五六号)  同(松野頼三君紹介)(第二二五七君)  同(栗山長次郎紹介)(第二二五八号)  同(大石武一紹介)(第二二五九号)  同(尾崎末吉紹介)(第二二六〇号)  同(田中角榮紹介)(第二二六一号)  同(福永一臣紹介)(第二二六二号)  同(加藤精三紹介)(第二二六三号)  同(山口喜久一郎紹介)(第二二六四号)  同(岩本信行紹介)(第二二六五号)  同(中井一夫紹介)(第二二六六号)  同(塚田十一郎紹介)(第二二六七号)  同(松岡俊三紹介)(第二二六八号)  同(大野市郎紹介)(第二二六九号)  同(鈴木直人紹介)(第二二七〇号)  同(佐藤善一郎紹介)(第二二七一号)  同(新井京太紹介)(第二二七二号)  同(松岡松平紹介)(第二二七三号)  同(川村善八郎紹介)(第二二七四号)  同(川島正次郎紹介)(第二二七五号)  同外一件(福永健司紹介)(第二二七六号)  同外二十三件(松永東君外一名紹介)(第二二  七七号)  同(佐藤洋之助紹介)(第二二七八号)  同外一件(渡邊良夫紹介)(第二二七九号)  同外四件(山村新治郎君紹介)(第二二八〇  号)  同外五件(寺島隆太郎紹介)(第二二八一  号)  同外一件(小西寅松紹介)(第二二八二号)  同(武藤運十郎紹介)(第二二八三号)  同(辻原弘市君紹介)(第二二八四号)  同(田中織之進君紹介)(第二二八五号)  同外一件(古屋貞雄紹介)(第二二八六号)  同(坂本泰良紹介)(第二二八七号)  同外三件(西村力弥紹介)(第二二八八号)  同外一件(楯兼次郎紹介)(第二二八九号)  物品税中、貴石、貴金属の製造課税小売課税  に変更反対に関する請願黒金泰美紹介)(  第二三三一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四〇号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)  富裕税法を廃止する法律案内閣提出第四二  号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四三号)  酒税法案内閣提出第四四号)  登録税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四七号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第四八号)  酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案(  内閣提出第五三号)  解散団体財産収入金特別会計法を廃止する法律  案(内閣提出第七七号)  設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七八号)     —————————————
  2. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 これより会議を開きます。所得税法の一部を改正する法律案外七税法改正案一括議題として、前回に引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。大泉寛三君。
  3. 大泉寛三

    大泉委員 法人税のうち、交際費機密費一定限度以上に課税するということについて、その一定限度という線はどういう線をもつてこれに充てるベきか、当局のお考えを伺いたい。
  4. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 一定限度の線をきめることにつきましては、前回にも申し上げたと思いますが、よほど慎重にデータを集めてみませんとなかなかむずかしいと思つております。それで今考えておりますのは、資本金とか利益金所得額、これの一定割合、あるいは取引額一定割合、こういつたものを基準にすべきではないかと思つてデータを集めておりますが、業者の方もいろいろ関心を持たれまして、今日も土建関係方々が、大体土建関係交際費の従来の実績のようなデータをいろいろお見せくださつております。それから広告関係の人が、普通の商売に比べまして大分交際費がいるといつたようなお話を持つて来ております。そういうようなのがいろいろ集まつておりますから、そういう方々の御意見どもいろいろ研究してみまして、その上できめたいと思いますが、現在われわれの方の仕事といたしましては、国税庁、国税局を通じまして、各業態についての資料を今集めておりまして、もうそろそろ資料が集まつて来るのじやないかと思つております。気持としましては、大体従来の実績を元にしまして、そうしてあまりひどく無理が行かないように、といつてあまりゆるくなるために、かえつてこれが逆に使われないようにというような線を実は何とかして出して行きたい。政令で一応きめますが、一応きめましたあとにおきましても、あまりこだわらないで、いろいろな事情がわかつて来ればこれを直して行くということも、こういうような問題については考えて行かなければならないのじやないかと、実は早く大体の意見をこちらへ提出して審議の御参考に供すべきだと思つておりますが、そのようなわけでなかなか資料の集まりが遅れておりますもりですから、今まだ提出までに至つておりません。心持としましては、今申したような点で考えて行きたい、従いましてそれに応ずるようにせつかく資料を集めておりますので、御了承願いたいと思います。
  5. 大泉寛三

    大泉委員 当局としても、はつきりまだきまつていないようでありますから、私も多少自分意見を加えて質問してみたいと思います。利益の高において、あるいは資本の高において、あるいは業の規模においてというようにいろいろ見方もありましようが、結局利益の点においては、これはあくまでも利益は生れて来た一つの結果であつて交際費をやはり経費として使う、機密費経費として使つた結果が利益であるのであるから、この利益の高によつてきめるということは本末転倒すると思う。この点は私はあまり感心しません。それから大きい小さいといつても、私ども自分で事業もやつておる立場から、大きな会社の話を聞いたり、まだ小さな業者意見を聞くのだが、小さな業者は資金も乏しいから、なるたけ小さな交際費で効果的なねらいをもつて行くのだが、取引先である以上は相手のあることであつて自分質素倹約、あるいは最小限度で行きたいと思うけれども相手がお客様であるから、どうしても優待しなければ、感情を害したのでは何も交際費にならない、こういう建前から無理をしてやはり大会社のまねをする。まれといつては何だけれども、苦しい金を出すというような立場も多い。それは当然相手りつぱな方である、相手がもうけさせてくれる人であるからというので、たとえば汽車などは三等でいいものを二等にする、相手が二等に乗る人だから二等に招待する、こういうことからいうと、商売が小さいから、資本が小さいから、交際費を小さくするというわけにも行かない。人間は大小があつても、腹の量はやはりきまつておる。どうも量を詰めるわけに行かない。だからこれのみによつて等差をきめることはできない。この前も申し上げた通り、やはり統制が解けてから、また別の交際戰術が行われておる。以前のような権力を持つておる一つの機関のみを対象とするわけには行かない。あらゆる大衆を目標にして行かなければならない。また大衆を牛耳るような人に対しても向けて行かなければならぬ。あるいは交際費機密費の使いわけというものは、見方によつては困難である。この困難なものに税務署、あるいは国税局の役人がタッチしてきめるということは非常に大きなトラブルを起す原因になる。こういうことはやめた方がよい。あくまでも株主の啓蒙にゆだねた方がよいと思う。そこでわれわれの納得の行くような一定限度の線があるならば、この際承つておきたいと思つておるわけでありますが、実際上やはり今おつしやつた通り業者意見を聞いて、あるいは各方面社会通念からいつてこれをきめようというと、これはこの間もお話があつたように、局長課長りつぱでも、出先の方は半分感情が入り込んで行く、権力をそれに盛り込んで行く、こういうような立場相当計算して行かないといかぬ。もう少しこういう具体的な問題をつかまえての意見局長から承つておきたいと思いますが、最近は、いわゆる企業というものは個人の形態になつていない。一般大衆株主になつておる。非常に株主が零細化しておる。だから自然と社員重役が皆牛耳つておる。こういう人が会社を牛耳つておる間は、どうしても機密費の漏洩というものは避けられないと思う。ここにねらいを置かなければいけない。ねらいどころが根本的に違うのではないかと思う。これをどうして防ぐかということは、この前も申し上げた通り、いろいろな角度もありましようけれども、結局は資本を守り、利益を守る株主の責任にゆだねる。中小企業はこまいところまで手の届くような経営の方針でようやく大資本と対抗できるようになつていて、こういう点において大資本と伍して行ける。それを大資本を持ち、信用を持ち、社会的な優位を保持しながら、どうもあまり利益をあげなかつたり、交際費を多く使つたりするということは、これはそういう一つ株主の構成、あるいは株式分布状態が非常に悪いからだ。しかし悪いといつても、私たちは今ここで代案はありませんけれども、いわゆる当局交際機密費に対するねらいは、観点が根本的に違つているのではないか、こう思うのですが、これに対する局長のお考えを承りたいと思います。
  6. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 いろいろ御意見を伺いまして、私も確かに一番基本的には、株主ほんとう会社経営に全部が関心を持つて従つてそこに資本蓄積といつたものを中心とした考え方でもつて、むだな濫費がないという形に持つて行くことが一番自然の姿ではないかと考えておりますが、今あなたのおつしやいましたように、現在の株主の姿が、いわば経営資本の分離といいますか、経営の方はお話のように、いわば社員重役という言葉がいいかどうかしりませんが、またそういうことを言うと叱られるかもしれませんが、いわば経営者経営者株主株主で、株主会社経営内容につきましてそれほどやかましく、これを基本的に改善しで行くということよりも、取引所における株価の値上り値下りというものにむしろ大きな関心がある、こういうような姿になつておりますがゆえに、株主の方から大きく規制して直して行くということにつきましては、なかなかむずかしい事情があるのではないか。そう一時にこれを期待できる問題ではないのではないか。従いまして、いわゆる社用族なんていう言葉がよかれ悪しかれ出て来るといつたような問題ではないかというふうに思います。従いまして、税法でこれをどうこうということにつきましては、いろいろ御議論があると思いますが、とにかく税法におきましては、資本蓄積のためにずいぶんいろいろな措置を講じておるてとは御承知の通りだと思います。相当租税の犠牲においてといいますか、それだけほかの人の租税が、全面的にならせば負担軽減される分があるわけです。それが資本蓄積のために軽減されて行くというところに、それによる租税の減収が相当あるわけで、それは結局大きく考えれば、一般納税者がこれを負担しているわけで、こういうことは私は言い得るのではないかと思います。従つて片方でそれだけ租税の面におきまして資本蓄積に努力している限りにおきましては、やはり会社の方にしましても、変な濫費はしないというような考え方があつていいじやないか。これはいい悪いという問題ではなくて、租税の面からして、やはりそうした場合におきましては、これを一応防止する意味の何か措置があつていいのじやないか。こういうのが今度の交際費についてある程度の措置を講じようということで、寄付金の問題などについて、一応現在そういう措置ができておりますが、それもねらいはかなり似たようなものではないかというふうに思つております。ただお話のように、基準をつくることにつきまして、なかなか困難があるものですから、従来からずいぶん議論はされたが、なかなか取上げられなかつたというところに、問題の困難性があるように思つております。お話のように利益資本、これではなかなか基準になりかねるように思つておりますので、何と申しても取引高のようなものですと、割合一つ基準になり得るのではないか。従いまして、あわせて加味するというよりも、取引高の方を一つ基準にして、あるいは資本利益というものを一つ基準にして、どちらか一つといつたような考え方があつていいのじやないか。そういう線に沿いまして、現在資料を収集している次第であります。
  7. 大泉寛三

    大泉委員 簡単にもう一点伺います。これは政務次官がおいでですかもら、政務次官にお伺いいたします。これはどうも税制方面からばかりではなかなか改善できないと思うのですが、そこで商法までも改正しなければならないのではないかと思うのです。たとえば今の株式がきわめて零細化してしまつて、少し大きな会社になると、株主の数が何方とある。それで株主総会を開くにしても何百万円の招集費がかかるというようなことであつて、その金は会社経費で出すけれども株主の方から、株主の横の連絡をもつて会社経営に対する意見を具申するというようなことは、なかなか容易にできない。いわゆる株主ほんとうに零細化した結果が、あまり利害関係が少くなつてしまつて株主の方でもどうにもならないのだとあきらめてしまつた、こういう傾向になつております。そこでやはり株主一定限度、たとえば十万株なら十万株を単位として、代表制度をこしらえるとかいうようないわゆる一つの組織立つたものにして、株主の意思を反映せしめるというような方法をとらなければ、これはできないと私は思うのであります。私はこの商法改正ということが年来の主張でありますけれども、もし政務次官において、そうしたことについてお考えがあられるか、私はそこまで検討する必要があるのではないか、かように思うのでありますが、政務次官の御意見をひとつ承りたい。
  8. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまの御説は私もごもつともと思います。ただ商法改正については、私どもとしてもまだ十分議を練つたこともございませんし、個人的に詳細に研究をいたしたこともまだございませんので、はつきりした意見を申し上げることはできないのでございますが、ただ株式民主化と申しますか、あるいは大衆化というようなことがあまりにも行き過ぎてしまつて、最近証券界あるいは会社経営等について、いろいろおもしろからぬ動向がうかがわれるというようなこともありますようで、これは関係各省の間におきましてあるいは法律改正考え、あるいはまたそれに至るまでの間に適当と考えられる措置が、実行可能なものがございますれば、そういうふうな点にも研究を進めたいというふうに考えているわけでございます。  なお先ほどの税法改正についての機密費等の問題でございますが、これは主税局長から申し上げました通り十分政府側におきましても成案を練り、かつこまかい規定につきましても、通牒、訓令等によりまして、第一線の税務官吏感情的に、あるいは権力を背景にして不要な摩擦を生ずることがないように、十分監視いたしたいと考えておりますことを、つけ加えて申し上げておきます。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 今の交際費の問題についてはやめておきます。  次に、中産階級所得税が、今度の税改正においてはあまり恩典に浴していないので、この点について重ねて伺いたいと思います。十二万円以上の中産所得者に対しては、現在のように俸給給与相当つているときに、やはり基準の額においても、それぞれやはり上に上せて行かなければならないと思う。現在のままにしておいて、ただ下の方だけ控除額をふやす、あるいは税額を下の方だけ切下げるだけでは、私は一般の人が、特に中産階級の人が恩典に浴さないと思う。むしろ今日の物価等から、あるいは俸給値上り等からいつて負担がかえつて重くなつたという結果になつておるので、これをもう二段階ほどそれに織り込むようなことが適切でなかろうか、こう思うのであります。この間の公述人の話を聞いてみると、生きて行くための生活費というものは日本は非常に多い。こういう観点からいつたならば、やはり二十万円から五、六十方円程度中産階級の人に対しても、税率を引下げて行かなければならないのではないか、かように思うのであります。われわれ委員としては相当考えもありますけれども、これに対する政府考え方を、満足ではなかろうけれども、ここで承つておきたい、かように思います。愛知政務次官のお考えをおつしやつていただきたいと思います。
  10. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまのお説、私はまことにごもつともだと思うのであります。配付いたしておりまする歳入予算説明資料の三十四ページにもございまするように、たとえば夫婦子供三人という大体標準的な家庭をとつてみますると、月額にいたしまして、給与所得の場合、五万円のところで、軽減割合が一割四分八厘になつております。それから夫婦子供四人の場合には、さらに軽減の率が一割五分五厘ということになつておりまするので、先般も御議論がございましたが、もし基礎給与所御願の五万円ということが変動ない限りにおいては、現行の税法に比べまして、月額五万円というのはいわゆる中産の上とでも申しますか、そういう給与所得の場合においては、やはり相当負担軽減になるというふうに私ども考えるのでありまして、根本的には先般の公述人意見にもたくさん出ておりましたが、単純に負担の率を現在アメリカやイギリスのそれと比べて、日本の税の負担が軽いというふうには私ども考えておらぬのでございまして、あのときの公述にもございましたように、たとえば食費だけをとつたエンゲル係数から申しましても、英米等とは比較にならず、日本の方が生活が困難でございまするので、税率負担だけでは比較になりません。そこで二十八年度の予算が施行せられる期間においては、私は世界的な景気の調整段階に入つたということは、どちらかといえば、大体不景気になるおそれがあるのではなかろうかと思う。従つて二十八年度中にはいわゆるべース・アツプというようなことは考えられないのではないか。従つて基礎になる賃金に変動がなく、一方において税の負担が、今申しましたように一割五分程度減るということは、実質的にこれらの階層の方々負担は確かに軽減されるものである、こういうことを歳入全体あるいは予算の編成の点から申しまして、歳入欠陥を生じない限りにおいて歳入をとらなければならないが、同時にその内容負担というものは、段階的に可能なる限度から引下げて参りたいというふうに考えておるのでございます。  なお二十九年度以降については、問題は所得税だけにとどまりませんで、むしろ国税、地方税を通ずるところの負担軽減、あるいはその合理化というようなことをはかつて参りたいのでございまして、地方税の問題につきましては、この一年間鋭意改革に、良案をつくり出すことに努力をいたしまして、これらを総合してさらに負担軽減をはかるようにいたしたいと考えておるわけであります。     —————————————
  11. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 次に、昨二十日本委員会に付託に相なりました解散団体財産収入金特別会計法を廃止する法律案及び設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。愛知大     —————————————
  12. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました解散団体財産収入金特別会計法を廃止する法律案及び設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  まず解散団体財産収入金特別会計法を廃止する法律案について申し上げます。  解散団体財産収入金特別会計は、旧解散団体財産管理及び処分等に関する政令第三条の規定により国庫に帰属した財産に関する収入金経理を明確にするため、昭和二十五年度に設けられたのでありますが、昨年七月団体等規正令が廃止されましたので、今後は解散団体の指定も国庫に帰属する財産も生じないこととなり、現在の解散団体財産管理及び処分の状況にかんがみまして、この特別会計を存置して一般会計区分経理をする必要はないものと認められるに至つたのであります。  以上の理由によりまして、昭和二十七年度限り解散団体財産収入金特別会計を廃止し、この会計に属する資産及び負債は、一般会計に引継ぎ、その後の経理は、一般会計において行うといたしたいのであります。  なお、資産及び負債の引継ぎの時期は、現金並びに昭和二十七年度分の未収金及び未払金につきましては、この会計昭和二十七年度の出納完結の日とし、その他の財産につきましては、この法律施行の際といたしたいのであります。  次に設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明いたします。  設備輸出為替損失補償法は、設備本邦から輸出する者が外国為替相場変更に伴つて受ける損失を補償する制度を確立することにより、本邦経済の維持及び発展に寄与する重要物資の輸入の確保に貢献する設備輸出の促進をはかることを目的としたものでありますが、最近におけるわが国の輸出貿易の実情にかんがみまして、設備輸出中心とする輸出の振興は、一段とその重要性を加えていると認められますので、今回設備輸出為替損失補償法の一部を改正し、政府設備輸出者に対して締結する為替損失補償契約の適用範囲を拡張することといたすものであります。  次に改正の要点を申しあげますならば、まず第一に、政府設備輸出者に対して為替損失補償契約を締結することができまする対象は、現行法では、重要物資の輸入市場を国際収支上有利な地域に開拓し、または国際収支上より有利な地域へ転換することに役立つと認められる場合等に限定しておりますが、これをすべての設備輸出に拡張したことであります。  第二に、最近の設備輸出の実情を見ますと、契約時から代金の回収時までの期間がきわめて長期にわたるものが多く、また日本輸出入銀行法の一部改正により日本輸出入銀行の設備輸出に対する融資期限が延長されるので、これに合せるため政府が締結できる補償契約の期間の限度を現在の五年から七年に延長することといたしました。  第三に、補償契約の対象の拡張により、補償契約締結額の増大が予想されますので、政府が締結する補償契約の締結総額の限度を現在の百億円から二百億円に引上げることといたしました。  以上がこの法律案提案理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。     —————————————
  13. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 所得税法の一部を改正する法律案外七税法改正案一括議題として質疑を続行いたします。川野芳滿君。
  14. 川野芳滿

    ○川野委員 密造対策の一環として、二十度しようちゆうをおつくりになりましたことはまことに機宜を得た処置と考えるわけであります。しかしいろいろな事情でこの二十度しようちゆうの石数を御制限になるというようなお話を承つておるのでありますが、どのくらい二十度しようちゆうをお出しになる見込みでありますか、この点を伺つてみたいと思います。
  15. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 二十度しようちゆうをどういうふうに持つて行くかということにつきましては、本来の二十五度物のしようちゆうとの関係でいろいろ慎重を期さなければならぬと思つておりますが、さしあたりまして考えておりますのは、二十万石程度でございます。それでその後の状況を見まして、適当にまた考え直して行く点もあろうかと考えております。
  16. 川野芳滿

    ○川野委員 今の事情から二十度しようちゆうの御制限をされるということについて、あえて私も異議をさしはさまないものであります。しかしこの乙種類、すなわち旧式しようちゆうと通称申しておりますが、この地方は大体清酒にかわつて旧式しようちゆうというものが生れたわけでございます。実地に行つていただくとわかりますが、現在の二十五度しようちゆうにいたしましても薄く見ておりまして、そうしてかんをして飲んでおるという実情であります。従つて戰争前におきましても、こういう地方はかつて二十二度しようちゆうと申して、二十二度のしようもゆうを特別地帯としてお認めになりました事例があるわけなのであります。そこでこういうような地方におきましても、ほかの方面同様に御制限になるということは、実は実態に沿わないものと私考えるわけでありますが、こういう地方におきましては、やはり石数制限をおやりになるお考えでありますか、この点伺つてみたいと思います。
  17. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 二十度しようちゆうがどんなふうに売れて行くかということについては、今川野委員のおつしやいましたように、地域的ないろいろな特殊性はあろうと思つておりますが、それではどの程度、どんなふうに特殊性を持つのかという点について、一応われわれも抽象的にはある程度わかるつもりでございますが、具体的にどうもまだはつきりしない面がございます。従いましてとりあえずの措置といたしましては、大体地域的な差別は別にしまして、とにかく一応出すことにして行つたらどうか。その場合においてある地域については歓迎されない、ある地域については非常に歓迎されるというような点がはつきりして参りますと、そのいわゆる地域差というものを設けることが自然にうまく調節できて行くのじやないか。出発の当初におきましても、今川野委員のおつしやつたようなことがある程度われわれとしても推測されないではないのですけれども、どうもまだそれを全国的に業者の方に、全部納得させるまでにはつきりした姿として言い得るかどうかという点に多少自信がございませんので、とりあえずといたしましては、全国的に一定の割合で出してみまして、そうしておのずからそこに地域的に、今おつしやつたようにかんをして飲むような地域、冷やのままで飲むような地域といろいろございますものですから、冷やのままで飲みますと、二十度しようちゆうというのは、たとえば旧式しようちゆうとか、かすとりとかを少し入れないと、どうも薄過ぎるというようかいろいろな問題があると思います。そうなりますと、地域によつておのずからしようちゆうを飲むときの慣習も違いますから、そこである地域では二十度しようちゆうが非常に歓迎される、ある地域ではあまり歓迎されない、こういう事実がおのずから数字の上に出て来るのではないか。そうすればわれわれの方といたしましも、それを基礎にして相当の地域差の加味もできて行くのではないか。現状においてすぐに抽象的に地域差をつけるということになりますと、業者の方としてはまだほんとうの意味の数字が基礎として出ませんから、なかなか納得していただくのに困難もあろうかと思う。このような考え方からいたしまして、とりあえずの出発点といたしましては、一応地域差を抜きにしまして、一定の割合で出して行く。そうして少くともまずこの六月くらいまでを一期に見まして、その一期の間でまず売り出して、そこにおのずから一つ実績が出て参りますから、そうしたら今度はもう一ぺん地域差をつけるということが必要かどうかという点についての検討をして参る、かようにして参りたいと考えております。
  18. 川野芳滿

    ○川野委員 模様を見てその先で考える、それでけつこうでございますが、実は今の見通しといたしまして、旧式しようちゆう地帯は二十度のしようちゆうがある程度売れるものと予想されておるわけであります。ことに御承知のように、全国一の密造地帯もございます関係上、もし売れるということになりますならば、そういう地帯には特に御配慮を願わなければならないと思うわけであります。しかし承るところによりますと、製造石数に比例して二十度しようちゆうを出させる、こういうような話も承るのでございますが、これもしかし一つの案であろうかと存じますが、ただいま申しましたように、旧式地帯はある程度過去の実績によりまして、あるいはまた現在薄いしようちゆうをわかして飲んでおります実情から申しましても、ある程度売れるものと考えます。そこでこういう場合には、その地方からいろいろと申請をいたしますと、特にこの許可を与えていただく期間が非常に長いのであります。そこでそういう地帯におきましては、あらかじめ御配慮を今からも願つておきまして、そういう地帯がわかつたならば次の処置をとる、こういうふうにしていただきたいと思うわけであります。
  19. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 旧式しようちゆうにつきましては、新式しようちゆうと事情の違う点もわれわれはよくわかつております。旧式しようちゆうの方は新式しようちゆうに比べますと、二十度になりましても飲んでみた場合にこれは薄くておかしい、飲めないといつたようなこともないわけでございます。かような意味からしまして、新式しようちゆうと旧式しようちゆうとをあまり機械的に、一律に見るのはどうかというお考えにつきましては、われわれの方といたしましても十分検討してみたいと考えております。
  20. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 暫時休憩いたします。     午前十一時三十一分休憩      ————◇—————     午後三時五十六分開議
  21. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  酒税法案及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案の両案を一括議題として質疑を続行いたします。川野芳満君。
  22. 川野芳滿

    ○川野委員 私はこの際合成酒の定義という問題について、少しくお尋ねを申し上げたいと存じます。法案の第三条におきまして、清酒の定義がしたためられておりまするが、特にその中に、「その原料中、当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を合む。)の重量をこえないものに限る。」こういうふうに、清酒の定義に至りましてははつきりと書かれておるのでございまするが、しかるに合成酒の定義の面においては、ぼやけておる点が多いのであります。そこで私は、本来でありますならば、合成酒の定義の中に、清酒の定義のようにはつきりさしていただきたい、こういうふうにも考えておるわけでございますが、現行の政令におきましても、合成酒の米量も示されております。すなわち合成酒は、百分の五以内の米を含む、こういうふうにいたしております。この問題については、政令等においてやはりはつきり百分の五以内、こういうふうにお定めになる御意思でありますか、この点伺つておきたいと存じます。
  23. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 今の御質問の点につきましては、しごくごもつともなことでございまして、われわれの方といたしましても、現在政令規定しておりますと同じように、新しい改正法の政令によりまして、合成酒に使います米の量を五%以内ということにはつきり制限する規定をつくるつもりでおります。
  24. 川野芳滿

    ○川野委員 清酒並びに合成酒の問題は、二、三年来非常な問題をかもしましたことは御承知の通りであります。そこでそういう意味合いにおきまして、定義をはつきりさせるということは最も必要であると考えるのでございますが、ただいま局長の答弁を聞きまして非常に満足でございます。  次にもう一つお尋ね申し上げたいと存じます。午前中にも私御質問申し上げたのでございますが、配給酒の問題であります。配給酒は、昨年は十七万六千石、こういうことでございまするが、今年はたしか十五万石くらいであるという答弁をされたものと私は考えます。そこで今度は午前中の質問において、二十度のしようちゆうが二十万石、こういう御答弁を承つたのでございますが、二十度のしようちゆうを二十万石もお出しになるということになりますと、配給酒というものはほとんど数字がなくなるのではなかろうか、というふうにも私心配いたすわけでございます。そこで配給酒の問題は、いろいろと当委員会におきましても問題になつたのでございまするが、昨年は十七万六千石ということになつておりまする以上は、少くとも昨年よりは多量の配給酒をわわれは希望いたす次第でございまするが、この点について局長の御意見を承つておきたいと存じます。
  25. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 二十度しようちゆうの問題と配給酒の問題とは、われわれは量としては別に考えております。配給酒と二寸度しようちゆうの問題とは全然別に考えております。  それから今川野委員お話の点は、政府といたしましても御意見を十分考えまして一善処したいと申し上げておきたいと思います。
  26. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となつております両案につきましては、すでに質疑も尽されたと思われますので、この際質疑を打切られんことを望みます。
  27. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 御異議なしと認め、右両案につきましては、以上をもつて質疑を打切ることといたします。  これよりただいま質疑を打切りました両案中、まず酒税法案議題として対論採決に入りたいと存じますが本案につきましては、淺香君より各派共同の修正案が提出されておりますので、まず提出者より修正案の趣旨弁明を求めます。淺香忠雄君。
  29. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となつております酒税法案に対する修正案につきまして、修正の趣旨を御説明いたします。修正案の案文はお手元に配付いたしておりますのでこれをごらん願うことといたし、かつ速記録へ載せていただきまして、この際朗読を省略させていただきます。修正案の概要は大体次の四点であります。  まず第一点は、原案におきましては、酒類の製造及び販売業者が、国税もしくは地方税の滞納処分を受けた場合には、それぞれ免許を強制的に取消されることとなつておるのでありますが、酒類関係の免許取消し原因としての税滞納処分については、その税の範囲を現行以上に拡張する必要がないばかりでなく、かえつてこれによつて種々の弊害を生ずるおそれさえありますので、これを修正いたしまして、酒税の滞納処分を受けた場合のみに限定いたそうとするものであります。  修正の第二点は、原案におきましては、指定販売業者の割当は向う一年間存置することといたしておるのでありますが、業界における金融面その他の障害を円満に解決するためには、さらに一年ぐらいの猶予期間を置く必要があると思われますので、この期間を昭和三十年二月二十八日まで延長しようとするものであります。  修正の第三点は、配給酒の制度についてでありまして、原案におきましては、向う一年間を限つて存置しようとしているのでありますが、生産奨励並びに密造対策上の見地より、いましばらくこの制度を存続するのが適当であつて、むしろわれわれは政府の今年度配給酒の計画十五万石でははなはだ不十分であると考えておるのでありまして、今後農村方面には持に配給酒を増加いたすことを政府に要望するものであります。  修正の第四点は、雑酒、二級に属するもののうち、国内産であるかんしよを主原料とする特定のものにつきましては、その特異性にかんがみ、かつはまだ当分試験生産の域を脱しない状態にありますので、予定の税率では無理かと存ぜられますので、向う一年を限り、原案に規定されている税率よりもさらに一割程度引下げようとするものであります。  以上修正案の大要でありますが、何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。
  30. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。  これより原案及び修正案を一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。川野芳滿君。
  31. 川野芳滿

    ○川野委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま提案されておりまする酒税法案について、修正案並びに修正部分を除いた原案に賛成の意見を表明せんとするものであります。  今回政府は、財政多難の折にかかわらず酒税引下げの法案を国会に提案されましたことにつきましては、多大の敬意を表する次第でございます。現在酒は約四百数十倍実は値上げになつているわけであります。他の物価は三百倍、これらを比較いたしましても、酒がいかに値上げになつてつたかということは証拠立てられるわけでありまするが、こういう際に値下げをされましたことはさらに敬意を表する次第でございます。しかし、まだまだ他の物価に比較いたしますると酒は高いと考えますので、機会が参りましたならば、さらに酒税の引下げをされるよう私は希望する次第であります。しかし、今回の値下げの半面には、密造酒を正規のルートに五十数万石でしたか、入れるという計画になつている点から考えますると、密造取締りという問題はこの今回の値下げと不可分の問題であるかと考えます。この問題については、当委員会において相当問題になつたのでございまするが、当局におきましては、密造の絶滅という点に向つてさらに御努力を賜わらんことを切望する次第でございます。  さらに特配酒の問題でございまするが、この特配酒の制度もまことに妙味のある制度であると考えます。ことに、食糧増産に挺身いたしておりまする農民の方々に特配酒を配給するということは、食糧増産意欲を増進するものとも考えまするがゆえに、この特配酒は、どうか昨年以上にさらに増配されんことを切に希望する次第であります。  さらに、今回値下げになりますると、高く仕入れました品の税のもどし税の問題が起つて参るわけでございまするが、昨年値下げになりましたときには、現物を酒造家の手元まで持ち込んだというような実情でございましたが、かくいたしましては、運搬その他の点につきまして非常な手数並びに費用もかかることでございますので、どうかひとつ、現物は動かさずして税の払いもどしの方法をぜひ実施していただきたいと存ずる次第であります。  さらに、審議会が今度できることになつているようでございまするが、この審議会の委員につきましては、できるだけ民間人を多数御採用くださるように切に懇願する次第であります。  以上はなはだ簡単でございますが、数点を申し述べまして賛成の意を表する次第でございます。
  32. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 内藤友明君。
  33. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 ただいま議題になつておりまする酒税法案に対しまして、改進党を代表いたしまして、ただいま淺香委員から述べられました修正案並びにその修正部分を除きまする原案に対して賛成の意を表したいと思うのであります。  実は酒税の引下げの問題でありますが、これは実は、時間がなかつたので十分な討議ができなかつたのは残念でありますが、直接税と間接税というものをこの日本の国の財政状態におきましてどの割合にするかということは、もう少しこの委員会で掘り下げて研究されなければならなかつた問題ではなかつたかと思うのでありますが、実はそのための時間がなかつたのは残念に思うのであります。しかし、政府は、三月の一日からこの改正法律案を施行いたしたいと申されますので、いろいろと補すべき点は不十分でありましたけれども、一応私どもはこの改正法律案には賛意を表するのであります。  ただこの際希望いたしますることを二点ばかり申し添えたいと思うのであります。ただいま川野委員からもお述べになりましたが、今度この税の引下げに対しまして私ども賛意を表します一つの大きな原因は、今お話になりました密造酒を正規なルートに乗せるというねらいが相当にあるということで賛成いたしますので、これがほんとうにできますように、政府当局におかれましては、良心的にこの問題と取組んでいただきたいと思うのであります。もう一つの意味は、ただいまもお話がありましたように、配給酒は昨年が十七万六千石、二十八年度はそれよりも減りまして十五万石になつておりますが、これでは少々食い足りませんので、できるならばこれをふやしていただきたい、こういう希望を申し上げて賛成の意を表するものでございます。
  34. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 平岡常次郎君。
  35. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつております酒税法案に対する修正案、並びに修正箇所を除いた政府原案に賛成の意を表するものであります。但し、いささか注文をつけてみたいのであります。  まずこの酒税法案につきまして、この法律案のねらいが、第一に酒税税率軽減にあります。大衆課税の性格の強い酒類消費税というものが、増石の弊害を多少合みながらも一応約二割を引下げられるということは、国民大衆にとりまして福音たることを失わないがゆえに、賛成をいたすのであります。なおまた他面この法律案には、滞納の場合の利子税徴収も規定されてありますし、酒税の保全をはかるための証紙制度も採用されており、これと関連する規定の整備整合の行われておりますこともけつこうだと思います。ただ増石について、一級酒氾濫、二級酒欠乏というような弊に陥らぬように特に念を押しておきたいと思うのであります。それからもつと全体的に見まして、下級酒の税率の引下げられるというようなことは、この下級酒を用いますところの消費層が担税能力の低い大衆たるにかんがみまして、なお一層の徹底的引下げを要望いたしたいのでありますが、国家の歳入観点もあります、しかのみならず時間的な問題があります。すなわち審議に手間どりますれば、お花見時の大衆の宴に間に合いかねるであろうことをおそれまして、不備に対しますところの不満は一応収めまして、これの改正は後日にまつことといたし、時間的観点から賛意を表するこの要素をお見忘れないようお願いします。私は、政府当局はわが党のこの時間的配慮を尊重されまして、三月一日より必ずこの法律が実施できるよう、事務当局において推進され、本会議に急速に付議されんことを要望申し上げて、この案に賛意を表明いたすものであります。
  36. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 佐藤觀次郎君。
  37. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 日本社会党を代表いたしまして、ただいま淺香君より発言のありました修正案並びにそれを除いた原案に賛成するものであります。今度の酒税法改正は非常に厖大なものでありまして、これが三月一日という非常に期日の迫つている関係で、まだ十分論議の尽せないところがあると存じます。税金の問題その他いろいろの関連がありまして、二、三の不満がありますけれども、賛成をいたすものであります。特に下級酒につきまして、勤労者、中小商工業者、農民などにとつて、まだいささか高いきらいがありますので、なお一層下級酒に対しましては大減税をされることを希望いたしますが、まず現在の事情やむを得ざる立場において原案に賛成するものであります。特に先ほども川野委員より言われましたように、密造酒の問題は、これは相当積極的に今後やられて、密造酒のないようになるまで、ひとつ当局は努力していただきたい、こういう希望をもつて本案に賛成するものであります。
  38. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 坊秀男君。
  39. 坊秀男

    ○坊委員 ただいま議題となつております酒税法案に対する修正案並びに修正部分を除く原案に対しまして、同友会を代表いたしまして賛成の意を表するものでございます。申すまでもなく、租税収入というものには税率に一定の限界がございまして、この限界を越える税率を課する場合には、かえつて総税収において減収を来すものでありますが、特に酒税その他の間接税においてこれがまざまざと見られるわけでございます。その意味におきまして、今実施されようといたしまする酒税法は、税率を引下げるということによつて、消費の増を刺激いたしまして、歳入がふえて来るというようなことに相なつておるように見るのでございますが、歳出の増加が要請されておりますときに、これは租税措置としてきわめて機宜な措置だと思いますので、私は賛成の意を表する次第でございます。  以上でございます。
  40. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 討論は終局いたしました。これより採決に入ります。まず淺香君提出にかかる各派共同提案の修正案より採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  41. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 起立総員。よつて本修正案は可決されました。  次に本修正案の修正部分を除いた原案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  42. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 起立総員。よつて本案は修正議決されました。  なお本案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  これをもつて散会いたします。次会は特に明後二十三日午前十時より開会いたします。     午後四時十九分散会